JPH09122205A - 脂肪乳剤を含む輸液剤の輸液容器 - Google Patents

脂肪乳剤を含む輸液剤の輸液容器

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JPH09122205A
JPH09122205A JP7309819A JP30981995A JPH09122205A JP H09122205 A JPH09122205 A JP H09122205A JP 7309819 A JP7309819 A JP 7309819A JP 30981995 A JP30981995 A JP 30981995A JP H09122205 A JPH09122205 A JP H09122205A
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JP
Japan
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container
infusion
chamber
value
fat emulsion
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JP7309819A
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English (en)
Inventor
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
Hiroshi Motobayashi
博志 本林
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Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アシドーシス等により腎障害、下痢、嘔吐等
の生じることがなく、また脂肪乳剤を安定に維持できる
脂肪乳剤を含む輸液剤の容器を提供。 【構成】 脂肪乳剤を含む輸液剤が充填された輸液容器
において、上記容器は柔軟なプラスチック容器からな
り、該容器内が複数の室を有し、該室と室との隔離壁の
全部又は一部は上記容器外からの隔離開放が可能で該室
と室とを連通可能にする隔離開放手段で形成され、上記
一の室にはPH値が6.5〜10.0に維持された脂肪
乳剤が収容され、上記二の室にはPH値が3.5〜6.
5に維持された糖質溶液が収容されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂肪乳剤を含む輸液剤
の輸液容器に関するものであり、より詳細には、脂肪乳
剤の乳化物が長期間安定に維持され、かつ、その輸液剤
等において従来から問題となっている肝障害者等に見ら
れるアシドーシス症状の緩和や輸液時の嘔吐、悪寒等を
軽減する脂肪乳剤を含む輸液剤の輸液容器に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】栄養輸液には、末梢静脈からの可及的高
カロリー投与と高カロリー輸液剤による中心静脈経路か
らの投与がある。栄養輸液は病態の安定している患者の
術前術後の栄養管理−栄養補給、低栄養状態の改善、縫
合不全の治療等に適応される。栄養輸液は、三大栄養素
である糖質、アミノ酸、及び脂肪が一緒に投与される。
糖質は、主に末梢静脈からの輸液で5〜10重量%の糖
濃度範囲で用いられ、中心静脈からの輸液で10〜50
重量%の糖濃度範囲で用いられる。10重量%以上の高
張糖液を末梢静脈より用いると、血栓性静脈炎を起こ
し、疼痛、腫脹、発赤等の症状とともに静脈の閉塞を起
こし投与不能となる。このため、高カロリー輸液剤の場
合は中心静脈経路から投与される。糖質は主にグルコー
スであるが、この他に、フルクトース、キシリトース、
ソルビトース等も用いられる。
【0003】アミノ酸製剤としては、必須アミノ酸
(E)と非必須アミノ酸(N)とが配合され、その配合
比はほぼ1程度に維持される。またアミノ酸投与は十分
量の糖質と併用投与することが必要であり、アミノ酸中
の窒素1gに対する投与カロリー量の割合は150〜2
00を目標としている。また、肝性昏睡に陥った患者に
は分岐鎖アミノ酸製剤が投与される。従って、一般に使
用されるアミノ酸は、グリシン、L−アラニン、L−プ
ロリン、L−アスパラギン酸、L−セリン、L−チロシ
ン、L−グルタミン酸、L−システイン、L−ロイシ
ン、L−イソロイシン、L−バリン、L−リジン、L−
メチオニン、L−フェニルアラニン、L−トレオニン、
L−トリプトファン、L−アルギニン、L−ヒスチジン
等がある。アミノ酸は、遊離アミノ酸だけでなく、その
無機塩類、有機塩類、生体内で加水分解可能なエステ
ル、2以上のペプチド等のようにダイマーとして使用さ
れる場合もある。
【0004】脂肪乳剤は、糖質と異なり等張で浸透圧利
尿の心配がない、エネルギー量が高い、末梢静脈から投
与できる、等の利点を有しており、また高カロリー輸液
剤に必要なものである。脂肪乳剤は油脂を乳化剤を用い
て水に分散させて調製した水中油型乳化剤が用いられ
る。通常、乳化剤の調製は、精製水に油脂及び乳化剤を
加えた後、攪拌して粗乳化液を調製し、粗乳化液を高圧
乳化法により乳化することにより行われる。脂肪乳剤の
平均粒径は、通常1μm前後であるが、安定化を図るた
めに比較的細かく調製され、0.1〜0.3μm程度に
調製される。脂肪乳化剤に用いられる油脂としては、食
用油であれば植物油、動物油の何れの使用もなされ、例
えば、大豆油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ
油、椰子油、シソ油、エゴマ油等の植物油、肝油等の魚
油、またはこれらから抽出、或いは合成される脂肪酸グ
リセリド類等である。乳化剤としては、従来から使用さ
れる医薬製剤の乳化剤等が用いられ、卵黄リン脂質、水
素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質、水素添加大豆リン
脂質、レシチン、グリセリン及びその他の非イオン性界
面活性剤等であある。
【0005】また高カロリー輸液剤には、上記三大栄養
素の他に電解質が適宜用いられる。例えば、電解質とし
ては、Naが0〜160mEq/L、Kが0〜50mE
q/L、Mgが0〜20mEq/mL、Caが0〜20
mEq/L、Clが0〜160mEq/L、ホスフェー
ト0〜20mEq/L、アセテート又はラクテートが0
〜70mEq/L、サルフェートが0〜20mEq/
L、グルコネートが0〜20mEq/Lの範囲で用いら
れる。また、必要により亜鉛、鉄、マンガン、銅などの
重金属塩やビタミン類が用いられる。ナトリウム、カリ
ウム、マグネシウムなどにあっては、塩酸塩、乳酸塩、
酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、グルコン酸塩、グリセロリ
ン酸塩として用いられ、カルシウムにあっては、グリセ
ロリン酸塩として用いられる。また、沈殿などを生じな
いようにリン供給を十分にするために、多価アルコール
又は糖のリン酸エステルなどが用いられる。ビタミン類
にはビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミン
D類、ビタミンE類、ビタミンK類などが用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、脂肪乳
剤を含む輸液剤は、上述配合で投与或いは保存しておく
と以下の問題点が生じる。第一に、脂肪乳剤は、そのP
H値により安定性が極めて悪くなることがある。例え
ば、脂肪乳剤のPH値を6.0以下とすると、保存時に
徐々に乳化が崩れるおそれがある。一方、輸液剤は従来
から非定容性のプラスチック容器に充填され、瓶針等を
必要としないクローズドシステムのものが使用されてい
る。そして、このような容器は輸液剤の充填後、高圧蒸
気滅菌処理が一般になされる。しかし、輸液剤に糖質等
が含まれて輸液剤のPH値が高いと、その蒸気滅菌時に
輸液剤が変色を起こす場合がある。このため、ブドウ糖
等を含む高カロリー輸液剤にあっては、できるだけPH
値を下げて調整を行っている。このような状況で、輸液
剤のPH値を6.5以上に設定し、脂肪乳剤と糖とを共
存させた場合、高圧蒸気滅菌時に糖質が変質を起こすこ
とがある。更に、従来から知られているように、アミノ
酸をも含有させると、輸液剤のPH値の調整は限られた
電解質の量のみではできなくなる。また、従来から知ら
れているように糖とアミノ酸とを共存させれば、高圧蒸
気滅菌時にメイラード反応を生じて好ましくない。
【0007】第二に、人体の血漿中には重炭酸が存在
し、その重炭酸濃度は、通常24mEq/L程度であ
る。輸液により重炭酸を直接体内に投与する場合、また
血液透析や腹膜透析により間接的に投与する場合等に
は、それぞれの溶液の重炭酸濃度を血漿中の濃度に合わ
せて調合することが望ましい。しかし、輸液剤はプラス
チックの医療用容器内に充填されて、通常高圧蒸気滅菌
等により完全に滅菌した状態で病院に提供される。この
ため、予め重炭酸を容器内の液に調合しておくと、重炭
酸は高圧蒸気滅菌時に殆ど炭酸ガスに分解する。また、
従来のプラスチックの医療用容器に重炭酸を充填して高
圧蒸気滅菌をしなくても、PH値の低い溶液内では、重
炭酸は炭酸ガスに分解して消失する。このため、輸液剤
等には重炭酸が使用されず、体内代謝でこれに代わるも
のとしてアセテート又はラクテートが添加されている。
しかし、従来の高カロリー輸液剤に多量のアセテート等
を用いた場合、アセテート等は直ぐに体内で分解されな
い患者、例えば肝障害のある患者がいるため、患者の体
内はアシドーシスの傾向が見られる。また、上述のよう
に糖質の安定性の面から輸液剤のPH値ができるだけ低
くく抑えられると、投与患者には酸過剰投与、腎障害、
下痢、嘔吐などを生じることがある。特にPH値が5.
0以下では頻繁にこのような症状が見られる。
【0008】従って、本発明の目的は、アシドーシス等
により腎障害、下痢、嘔吐等の生じることがなく、また
脂肪乳剤を安定に維持できる脂肪乳剤を含む輸液剤の容
器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、脂肪乳剤を含
む輸液剤が充填された輸液容器において、上記容器は柔
軟なプラスチック容器からなり、該容器内が複数の室を
有し、該室と室との隔離壁の全部又は一部は上記容器外
からの隔離開放が可能で該室と室とを連通可能にする隔
離開放手段で形成され、上記一の室にはPH値が6.5
〜10.0に維持された脂肪乳剤が収容され、上記二の
室にはPH値が3.5〜6.5に維持された糖質溶液が
収容されていることを特徴とする脂肪乳剤を含む輸液剤
の輸液容器を提供することにより、上記目的を達成した
ものである。
【0010】本発明に係る輸液容器において、上記脂肪
乳剤及び糖質溶液の室以外に、PH値が5.5〜7.5
に維持されたアミノ酸製剤を収容した室が設けられてい
ることを特徴とすることができる。本発明に係る輸液容
器によれば、上記隔離壁を開放した後の上記輸液剤のP
H値が5.5〜8.0の範囲にあることを特徴とするこ
とにより、投与患者に腎障害や下痢などを生じさせるこ
とがない。本発明に係る輸液容器によれば、上記脂肪乳
剤が収容される上記第一の室には、重炭酸塩が含有され
ることを特徴とすることにより、脂肪乳剤の安定化を図
り、かつアシドーシス症状を極力抑えることができる。
本発明に係る輸液容器によれば、上記輸液剤中のアセテ
ート、又はラクテートの含有量が40〜0mEq/Lに
抑えられることを特徴とすることにより、肝障害者への
アシドーシス障害を防止することができる。本発明に係
る輸液容器によれば、上記隔離開放手段が剥離可能なピ
ールシール部であることを特徴とすることにより、容器
の操作性及び経済性が向上し、上記輸液剤を院内で容易
かつ無菌的に提供することができる。
【0011】
【作用】上記輸液剤の容器にあって、脂肪乳剤の調製液
は、糖質の調製液及びアミノ酸の調製液と区別された室
に充填され、PH値が6.5〜10.0に維持される。
また、糖質充填室の糖質溶液中に電解質を充填し、脂肪
乳剤の充填室には多量の電解質を含む必要はないため、
脂肪乳剤は安定な状態で室内に収容されることとなる。
このため、高圧蒸気滅菌処理がされ、長期間保存された
としても、脂肪乳剤の乳化状態が初期の状態と殆ど変わ
ることがない。また、糖質溶液はできる限り酸性にする
ことが望ましいが、この場合の糖質溶液には、電解質中
のアルカリ性分の一部は脂肪乳剤側で使用されるため、
かかる室においてPH値が低く維持され、高圧蒸気滅菌
時に変質を起こすおそれが少なくなる。しかも、室同士
を連通した際の輸液剤全体のPH値はほぼ中性付近に維
持されるため、従来と相違して投与患者に腹痛などの障
害を及ぼすおそれも少ない。
【0012】更に、上記輸液剤にあっては、重炭酸塩を
脂肪乳剤に含めると、重炭酸塩が直接輸液剤内に含まれ
るため、体内でのPH値が維持され、従来のものと相違
してアシドーシス等の電解質異常を生じることがない。
即ち、上記輸液剤を投与すると、重炭酸の添加割合に応
じてアセテートやラクテート等の電解質を少なくなくで
きるため、体内に直接重炭酸が作用し、体内中の重炭酸
濃度が一定になる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る脂肪乳剤を含む輸液剤の
輸液容器の好ましい実施例を添付図面を参照しながら詳
述する。図1は本発明に係る輸液容器の第一実施例の断
面図、図2は第一実施例の輸液容器の使用時の断面図で
ある。図3は本発明に係る輸液容器の第二実施例の半断
面図、図4は本発明に係る輸液容器の第二実施例の判断
面図である。
【0014】本実施例に係る脂肪乳剤を含む輸液剤が充
填された輸液容器1は、柔軟なプラスチック容器からな
り、容器1内が複数の室を有し、室2、3、4の隔離壁
の全部は容器1外からの隔離開放が可能で室2、3、4
間を連通可能にする隔離開放手段5、6で形成され、第
一の室2にはPH値が6.5〜10.0に維持された脂
肪乳剤12が収容され、第三の室4にはPH値が3.5
〜6.5に維持された糖質溶液14が収容されている脂
肪乳剤12を含む輸液剤11の輸液容器である。また更
に、輸液容器1は、第一の室2と第三の室4とは別に、
第二の室3を有し、第二の室3にはPH値が5.5〜
7.5に維持されたアミノ酸製剤13が収容されてい
る。
【0015】本実施例の輸液剤11の輸液容器1を更に
詳しく説明すると、輸液容器1は、壁面が撓む不定容積
性の樹脂容器からなる。本実施例において具体的には、
容器1は、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリプロピレ
ンの混合組成物をインフレーション成形して作製したチ
ューブ状のシートを、所定の大きさに裁断して形成した
ものである。裁断シートはその端部が熱溶着により完全
に固着シールされ、固着シール部1Aは容器を形成す
る。容器1には固着シール部1Aの他に、外側から互い
のシート内壁同士の剥離可能なピールシール部5、6が
形成される。そして、ピールシール部5、6により容器
1は第一の室2と第二の室3と第三の室4に分割隔離さ
れる。従って、容器1は完全な固着シール部1Aとピー
ルシール部5、6とが形成され、このような異なるシー
ル部の形成については、それ自体公知の完全固着シール
部1Aと剥離可能なシール部5、6を有する医療用容器
の製造方法などを参照して作製することができる。
【0016】即ち、本実施例では、直鎖状低密度ポリエ
チレン(密度:0.916g/cm 3、MI:2)とポ
リプロピレン(密度:0.90g/cm3、MI:0.
7)を7:3の割合で(温度は175℃)混練りし、こ
れをインフレーション成形し、肉厚200μm、長さ5
00mm、幅200mmのシートを作製する。次に周端
をシールして容器1の形態とするためインパルスシーラ
ー(富士インパルス株式会社製オートシーラFA−30
0−5W)でシールする。シール条件はシール時間1.
5秒間、冷却時間5秒間である。一方、ピールシール部
5、6は、上下から加熱金型で10mm幅、長さ200
mmの区間を押さえシールする。かかるシール条件は、
130℃〜150℃の間で、12秒間プレス状態に置い
た。尚、プレスによりシール面が完全に潰れないように
ストッパーを設け過大なプレス圧が及ばないように調整
する。尚、容器21には、固着シール部1A、1Aの形
成と同時に、排出口7、8が設けられる。また、中央の
第二の室3には切り欠き部9が形成される。
【0017】第一室2には脂肪乳剤12が排出口7から
充填され、脂肪乳剤12は油脂を乳化剤を用いて精製水
に分散させて調製した水中油型乳化剤が用いられる。乳
化剤の調製はそれ自体公知の方法により、精製水に油脂
及び乳化剤を加えた後、攪拌して粗乳化液を調製し、粗
乳化液を高圧乳化法により乳化することにより行われ
る。脂肪乳剤12のPH値は、6.5〜10.0、特に
好ましくは7.0〜9.0である。かかる範囲にある脂
肪乳剤12は長期間の間、安定性が維持される。脂肪乳
剤12の平均粒径は、1μm前後でも良いが、安定化の
ため比較的細かく調製され、0.05〜0.5μm、特
に0.1〜0.3μmに調製される。脂肪乳化剤12の
平均粒径が上記範囲を上回ると、長期間の保存性に問題
を生じ、上記範囲を下回ると、製造上、極めて時間がか
かり経済的でない。
【0018】脂肪乳剤12は、油脂が0.1〜40重量
%、好ましくは1〜20重量%の範囲に調製され、乳化
剤が0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重
量%の範囲に調製される。油脂添加量が上記範囲を上回
ると、乳化粒子は水中油型が不安定となり、長期の保存
に問題がある。また、上記範囲を下回れば、輸液剤11
の全体での濃度が低くなるので好ましくない。脂肪乳剤
12は、輸液剤11の全体の0.1〜20重量%、特に
0.5〜20重量%になるように配合されることが望ま
しい。脂肪乳剤12の配合量が上記範囲を上回ると、肝
障害或いは出血傾向などの副作用を生じやすくなる。一
方、配合量が上記範囲を下回れば、十分な栄養供給がな
されず、脂肪の投与が少ないために必須脂肪酸欠乏症を
生じるおそれがある。
【0019】脂肪乳剤12には、多少の電解質を必要に
より含めることができ、ナトリウム、カリウム、及びク
ロール、その他の有機塩を添加することができる。ま
た、上記PH値を調製する場合に、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、アンモニウム塩、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウムなどが必要により添加される。特に、PH値
の調製のために重炭酸塩を含ませるのが望ましく、重炭
酸塩は、後述するように糖質の溶液に配合される電解質
中のアセテート又はラクテート等の含有量を極力抑え
て、アシドーシス症状の予防となる。重炭酸は乳化に影
響を与えない範囲で添加され、輸液剤11の全体に対し
て1〜65mEq/Lの濃度範囲になるように含有され
る。重炭酸は、血漿中の濃度付近が好ましく、特に、5
〜50、更には15〜30mEq/Lの範囲で含有され
ることが望ましい。このため、後述の第三の室4に添加
されるアセテート又はラクテートの濃度は、40mEq
/L以下、特に重症肝障害者には、15〜0mEq/L
の範囲で含有される。
【0020】脂肪乳化剤に用いられる油脂としては、食
用油であれば植物油、動物油の何れの使用もなされ、例
えば、大豆油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ
油、椰子油、シソ油、エゴマ油等の植物油、肝油等の魚
油、またはこれらから抽出、或いは合成される脂肪酸グ
リセリド類等である。乳化剤としては、従来から使用さ
れる医薬製剤の乳化剤等が用いられ、卵黄リン脂質、水
素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質、水素添加大豆リン
脂質、レシチン、グリセリン及びその他の非イオン性界
面活性剤等である。重炭酸塩は混合時に溶解し易い重炭
酸カリウム、或いは重炭酸ナトリウムの状態で添加する
ことが望ましく、日本薬局方に基づく炭酸水素ナトリウ
ム注射液のように100w/v%の水溶液(懸濁液)或
いは濃厚液等が用いられる。
【0021】本実施例において、第一室2には200m
Lの脂肪乳剤12が収容され、脂肪乳剤12の平均粒径
は0.2μm以下に調製して製造される。また、脂肪乳
剤12のPH値は7.0〜8.0の範囲に維持され、浸
透圧比が1〜1.4に調製される。脂肪乳剤12には大
豆油(10.0重量%)と卵黄リン脂質(1.2重量
%)と濃グリセリン(2.5重量%)が用いられ、総エ
ネルギー量は100kcalに調製される。また、重炭
酸塩として重炭酸ナトリウムが輸液剤全体での濃度が2
4mEq/Lになるように添加されている。
【0022】第二の室3には、切り欠き部9からアミノ
酸製剤13が充填され、アミノ酸製剤13の充填後に切
り欠き部9は熱溶着シールされて密封される。アミノ酸
製剤中には必須アミノ酸(E)と非必須アミノ酸(N)
とが配合され、その配合比はほぼ1程度に調製され、ま
たPH値は5.5〜7.5、好ましくは6.0〜7.0
に調製される。またアミノ酸製剤13中のアミノ酸濃度
は、1〜30g/dl、特に5〜15g/dlに調製さ
れる。濃度が上記範囲を上回ると、輸液剤11全体のア
ミノ酸が過剰となり血中の窒素バランスを崩すおそれが
ある。また、輸液剤11中でのアミノ酸の濃度は、0.
5〜15重量%、特に5〜10重量%の範囲である。使
用されるアミノ酸は、グリシン、L−アラニン、L−プ
ロリン、L−アスパラギン酸、L−セリン、L−チロシ
ン、L−グルタミン酸、L−システイン、L−ロイシ
ン、L−イソロイシン、L−バリン、L−リジン、L−
メチオニン、L−フェニルアラニン、L−トレオニン、
L−トリプトファン、L−アルギニン、L−ヒスチジン
等がある。アミノ酸は、遊離アミノ酸だけでなく、その
無機塩類、有機塩類、生体内で加水分解可能なエステ
ル、2以上のペプチド等のようにダイマーとして使用さ
れる場合もある。尚、必要により多少の電解質を加えて
も良い。本実施例において、第二の室3には250mL
のアミノ酸製剤13が収容され、アミノ酸製剤13のP
H値は6.0〜7.0の範囲に維持され、浸透圧比が
3.0に調製される。第二の室3のアミノ酸製剤13中
の総アミノ酸濃度は10重量%で、総窒素量が1.56
重量%で、EAA/NEAAの比が1.33で、分岐鎖
アミノ酸が3.10重量%に調製される。
【0023】第三の室4には糖質溶液14が排出口8か
ら充填され、糖質溶液14には主要な電解質も含まれ
る。第三の室4の糖質溶液14中での糖濃度は、5〜7
0重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲に調製さ
れる。濃度が上記範囲を上回ると、電解質などとの溶解
調製が困難となり、上記範囲を下回れば、糖質溶液14
が他の溶液と混合され、希釈されたときの濃度が低すぎ
て、輸液量が過大となるおそれがある。また、混合後の
輸液剤11中の糖濃度は、10〜50重量%、特に20
〜30重量%になるようにすることが望ましい。糖質溶
液14のPH値は、3.0〜6.5、特に4.0〜5.
5に調製される。かかる範囲に糖質溶液14のPH値が
調製されると、高圧蒸気滅菌処理時において変質、変色
のおそれが少なくなる。糖質は主にグルコースである
が、この他にフルクトース、キシリトース、ソルビトー
ス等も用いられる。
【0024】糖質溶液14に含まれる電解質には、輸液
剤11の全体でNaが0〜160mEq/L、Kが0〜
50mEq/L、Mgが0〜20mEq/mL、Caが
0〜20mEq/L、Clが0〜160mEq/L、ホ
スフェート0〜20mEq/L、アセテート又はラクテ
ートが0〜70mEq/L、サルフェートが0〜20m
Eq/L、グルコネートが0〜20mEq/Lの範囲で
用いられる。また、必要により亜鉛、鉄、マンガン、銅
などの重金属塩やビタミン類が用いられる。ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウムなどにあっては、塩酸塩、
乳酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、グルコン酸塩、グ
リセロリン酸塩として用いられ、カルシウムにあって
は、グリセロリン酸塩として用いられる。また、沈殿な
どを生じないようにリン供給を十分にするために、多価
アルコール又は糖のリン酸エステルなどが用いられる。
ビタミン類にはビタミンA、ビタミンB類、ビタミン
C、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類などが
用いられる。更に、上述したように、脂肪乳剤12の溶
液に重炭酸塩が用いられた場合は、アセテート又はラク
テートの濃度が輸液剤11中で40mEq/L、特に1
5〜0mEq/Lで用いることが望ましい。かかる範囲
の濃度に抑えられると、投与患者のアシドーシスを防止
することができる。本実施例では、糖質溶液14はPH
値が5.0に調製されて第三の室4に550mL収容さ
れる。糖質としてはブドウ糖が80g、フルクトースが
40g、キシリトースが20g使用されている。また、
Naが35mEq、Kが20mEq、Mgが3mEq、
Caが2mEq、Clが35mEq、アセテートが15
mEq、サルフェートが4mEq、グルコネートが2m
Eqで用いられ、その他に、有機酸であるクエン酸が1
0mEq、リンが150mg、亜鉛が8μmolで用い
られる。
【0025】尚、第一〜第三の室2、3、4を連通させ
たときの輸液剤11のPH値は5.0〜8.0、特に
6.1〜7.5の範囲に調製される。かかる範囲にあれ
ば、酸性化による腹痛などが生じ難い。本実施例におい
て輸液剤11のPH値は6.5に調製される。また、輸
液容器1は排出口7、8及び切り欠き部9からそれぞれ
の製剤を充填した後、各排出口7、8がゴム栓10、1
0により密栓され、その後、容器1は高圧蒸気滅菌され
る。高圧蒸気滅菌は、局方の高圧蒸気滅菌方法に基づい
て行われ、高圧蒸気滅菌には一般的なオートクレーブが
使用され、オートクレーブ内は、例えば、不活性ガスで
置換した後に110乃至130℃の温度で行う。
【0026】このような本実施例の輸液容器1にあって
は、脂肪乳剤12は極めた安定な状態で保存され、製造
後、半年おいても殆ど乳化粒子に変化が見られなかっ
た。また、アミノ酸製剤13及び糖質溶液14において
も同様に変質及び変色が見られなかった。また、輸液容
器1内の輸液剤11は、アセテート又はラクテート等の
添加を極力抑えているため、投与患者のアシドーシスや
酸過剰投与の電解質異常を防止することができる。また
PH値を極端に低くすることがないので、投与患者に腹
痛や嘔吐等の症状を起こさせることがない。尚、上記輸
液剤11には、その他の電解質成分、糖質、ビタミン、
及びアミノ酸などを含有させても良い。電解質成分とし
ては例えば、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、
ヨウ素、リン等の水溶性塩を挙げることができる。ま
た、上記輸液剤11は中心静脈経路から注入される高カ
ロリー輸液剤として用いたが、本発明においては糖濃度
を少し落として、末梢からの輸液剤としても良い。
【0027】次に、本発明に係る輸液容器の第二実施例
を図3及び図4を参照しながら説明する。尚、第二実施
例に使用される輸液剤11、その成分である脂肪乳剤1
2、アミノ酸製剤13、及び糖質溶液14は第一実施例
の輸液剤と同様なので、同一の符号を図3及び図4に示
してその詳しい説明を省略する。図3及び図4に示す如
く、本実施例の輸液容器21は、輸液剤11をプラスチ
ック容器に充填した容器であり、容器1は複数の室2
2、23、24を有し、室22と室23と室24との隔
離壁の一部は容器1外からの隔離開放が可能で室同士の
連通を可能にする隔離開放手段であるクリックチップ2
5、26で形成される。そして、このような室22、2
3、24にも第一実施例と同様にPH値が調整された脂
肪乳剤12、アミノ酸製剤13、及び糖質溶液14が滅
菌或いは無菌的に収容される。
【0028】輸液容器21は、壁面が撓む不定容積性の
樹脂容器からなる。本実施例において具体的には、容器
21は、直鎖状低密度ポリエチレンを押出し成形して作
製したシートを延伸し、所定の大きさに裁断して形成さ
れる。裁断したシートは2枚に重ねられ、2枚のシート
は熱溶着により所定の四方が完全に固着シールされると
共に室22と室23と室24が隔離シールされ、周縁シ
ール部1A及び隔離シール部1Bは非剥離状態になって
いる。隔離シール部1Bの形成時にクリックチップ2
5、26が2枚のシート間に液密に取り付けられ、通
常、クリックチップ25、26は折り取り破壊されない
限り、室22と室23と室24の間を不連通としてい
る。即ち、クリックチップ25、26は樹脂成形物から
形成され、一端が閉止した管状に形成される。そして、
クリックチップ4はその閉止端の側面の切れ込み27で
その閉止端が折り取られることにより、完全な両端開放
型の管となる。
【0029】本実施例においての容器21の製造は、直
鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.916g/c
3、MI:2)のシートは、その肉厚200μm、長
さ400mm、幅200mmのシートに裁断される。次
に2枚の樹脂シートを重ねてその所定の周端を容器の形
態とするためインパルスシーラー(富士インパルス株式
会社製オートシーラFA−300−5W)でシールす
る。シール条件はシール時間1.5秒間、冷却時間5秒
間である。容器21に汎用なポリオレフィン系樹脂を用
いることは、経済的な面だけでなく、容器の充填物にと
って望ましい。即ち、ポリオレフィン系樹脂は可塑剤等
を含んでおらず、また官能基等を有していないため、輸
液剤に悪影響がない。
【0030】このような構成された輸液容器21では、
クリックチップ25、26の端部を折り取ることによ
り、各室22、23、24が連通され、第一実施例と同
様な作用効果を奏することができる。尚、第一及び第二
実施例では、ポリオレフィン系の直鎖状低密度ポリエチ
レン等を容器1、21に用いたが、不定容積性の樹脂容
器ができる限り、他の樹脂に代えても良い。例えば、低
密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、軟質ポリエステル樹脂、塩素化ポリエ
チレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体等の可撓性に富んだ材料を用いることができる。
また容器1、21の壁の厚みは、柔軟性、可撓性を有す
る限り、特にその厚みを限定するものではない。また、
容器1、21は、多層樹脂構造でも良い。特に、外層或
いは中間層等に炭酸ガスの難透過性の高い樹脂を用いる
ことが望ましい。このような炭酸ガスのバリア性の高い
樹脂層を設けた場合、容器1、21内の重炭酸塩12が
若干分解し、炭酸ガスを放出したとしても、容器1、2
1の充填室からの炭酸ガス放出が極めて困難となり、容
器の長期間の安定保存が更に保証される。
【0031】上記実施例では、シートなどから容器を成
形したが、本発明はこれに限るものではなく、ブロー成
形、真空成形した容器であっても良い。上記各実施例に
おいては、隔離開封手段にクリックチップ及びピールシ
ール部を用いたが、本発明では隔離開封手段をこれらに
限る必要はない。例えば、ラバーストッパーなど把持密
封手段等の易開封手段を隔離壁の一部又は全部に設けた
ものでも良く、また、隔離壁に連通針を有したプッシュ
アウト連通手段であっても良い。但し、室の分離性、開
封操作性、製造容易性の点で、ピールシール部の隔離開
封手段が特に望ましい。上記各実施例では、アミノ酸製
剤13の室を設けたが、アミノ酸製剤13の投与をしな
い場合は、本発明においては必ずしも必要はない。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る脂肪乳
剤を含む輸液容器においては、脂肪乳剤とその他の成分
を各室に分け、脂肪乳剤のPH値を適宜調整したので、
脂肪乳剤を安定に維持することができる。また、脂肪乳
剤の安定化に重炭酸塩を配合すると、アシドーシス等に
よる腎障害が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例における輸液容器の断面図である。
【図2】第一実施例の容器の使用時の断面図である。
【図3】第二実施例における輸液容器の半断面図であ
る。
【図4】第二実施例の容器の使用時の半断面図である。
【符号の説明】
1、21 輸液容器 1A、21A 周縁シール部 2、22 第一の室 3、23 第二の室 4、24 第三の室 5、6 ピールシール部 7、8 排出口 9 切り欠き部 10 ゴム栓 11 脂肪乳剤を含む輸液剤 12 脂肪乳剤 13 アミノ酸製剤 14 糖質溶液 25、26 クリックチップ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪乳剤を含む輸液剤が充填された輸液
    容器において、 上記容器は柔軟なプラスチック容器からなり、該容器内
    が複数の室を有し、該室と室との隔離壁の全部又は一部
    は上記容器外からの隔離開放が可能で該室と室とを連通
    可能にする隔離開放手段で形成され、 上記一の室にはPH値が6.5〜10.0に維持された
    脂肪乳剤が収容され、 上記二の室にはPH値が3.5〜6.5に維持された糖
    質溶液が収容されていることを特徴とする脂肪乳剤を含
    む輸液剤の輸液容器。
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載の輸液容器において、
    上記脂肪乳剤及び糖質溶液の室以外に、PH値が5.5
    〜7.5に維持されたアミノ酸製剤を収容した室が設け
    られていることを特徴とする輸液容器。
  3. 【請求項3】 上記隔離壁を開放した後の上記輸液剤の
    PH値が5.5〜8.0の範囲にあることを特徴とする
    請求項1又は2記載の輸液容器。
  4. 【請求項4】 上記脂肪乳剤が収容される上記一の室に
    は、重炭酸塩が含有されることを特徴とする請求項1又
    は2記載の輸液容器。
  5. 【請求項5】 上記輸液剤中のアセテート、又はラクテ
    ートの含有量が40〜0mEq/Lに抑えられることを
    特徴とする請求項4記載の輸液容器。
  6. 【請求項6】 上記隔離開放手段が剥離可能なピールシ
    ール部であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに
    記載の輸液容器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2007190161A (ja) * 2006-01-18 2007-08-02 Ajinomoto Co Inc 複室容器
US9004761B2 (en) 2006-05-01 2015-04-14 Baxter International Inc. Multiple chamber container with mistake proof administration system

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