JPH0912652A - 熱可逆性ハイドロゲル材料およびその製造法 - Google Patents

熱可逆性ハイドロゲル材料およびその製造法

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JPH0912652A
JPH0912652A JP18790395A JP18790395A JPH0912652A JP H0912652 A JPH0912652 A JP H0912652A JP 18790395 A JP18790395 A JP 18790395A JP 18790395 A JP18790395 A JP 18790395A JP H0912652 A JPH0912652 A JP H0912652A
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polymer
graft copolymer
aqueous solution
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Zenichi Ogita
善一 荻田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 組成の均一性、ゾル−ゲル転移点などの品質
安定性等に優れ、化学架橋を生じないため、生体の動
き、治癒過程における創傷の変形などに良く追従し、破
壊し組織内に取り込まれることがなく、かつ滲出液に溶
解しないなど生体適合材料等として有用な、新しい熱可
逆性ハイドロゲルを提供する。 【構成】 水溶液が曇点を有する高分子からなる主鎖
に、側鎖として水溶性高分子を結合するグラフト共重合
体であって、グラフト共重合体の分子量が10万以上で
ある熱可逆性ハイドロゲル材料と、熱可逆性ハイドロゲ
ル材料の製造において、熱可逆性ハイドロゲル材料を構
成するグラフト共重合体を、1個の重合性官能基を導入
した水溶性高分子を水溶液が曇点を有する高分子を与え
る単量体と共重合することにより物性および製造時の架
橋形成による不溶化を良好に制御できることを特徴とす
る熱可逆性ハイドロゲル材料の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱可逆性ハイドロゲ
ル材料とその製造法に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、ゲル中に多量の水を保持するハイドロ
ゲル材料として、物質の分離材、医療用具、医薬品、農
薬、化粧品などに有用な、温度の変化により、可逆的に
ゲル化する熱可逆性ハイドロゲル材料とその製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】水溶性高分子の中には、その
水溶液が熱可逆的にハイドロゲルを形成するものがある
ことが知られており、これらは、物質の分離材や医薬、
化粧品等の分野において産業的に利用されてもいる。タ
ンパク質であるゼラチンや、多糖類である寒天がその代
表であって、これらの水溶液は冷却により流動性を失な
ってゼリー状のハイドロゲルとなり、加熱によって再び
水溶液に戻る熱可逆ゾル−ゲル転移を示すことがよく知
られている。また、これとは逆に加熱によってハイドロ
ゲルとなるものとしては、多糖類誘導体であるメチルセ
ルロースの水溶液がある。しかしながら、これらの系に
共通する問題点として、これらの水溶性高分子がいずれ
も天然の材料を素材としているため、品質の安定性確保
が困難であることや、ゾル−ゲル転移温度の制御が困難
であること、ゲル化温度に達してからゲル化するまでに
長時間を要することなどが挙げられる。
【0003】一方、非イオン性界面活性剤の中にも、そ
の水溶液が熱可逆的にハイドロゲルを形成するものがあ
ることが知られている。たとえばポリプロピレンオキサ
イドの両端にポリエチレンオキサイドが結合した、商品
名プロニックF−127(旭電化工業(株)製)の高濃
度水溶液は約20℃以上でハイドロゲルとなり、それ以
下の温度で水溶液となることが知られている(たとえ
ば、International Journal of Pharmaceutics, 12, 1
47−152(1982) )。しかしながら、この材料の場合に
は、約20wt%以上の高濃度でしかハイドロゲルとな
らず、ハイドロゲル中の含水率が低いという問題があっ
た。また、約20wt%以上の高濃度でゲル化温度以上
に保持しても、さらに水を加えるとゲルが溶解してしま
うという問題もあった。たとえばこのゲルを創傷被覆材
として使用した場合には、創傷面から分泌される滲出液
によってこのハイドロゲルは溶解してしまうという重大
な欠点につながる。そして、この材料の場合には、比較
的分子量が低いため、約20wt%以上の高濃度水溶液
は非常に高い浸透圧を示し、細胞膜等も容易に透過する
ので、細胞や生物、生体を対象とする用途には不都合を
生じる場合があった。
【0004】さらにまた、熱可逆性ハイドロゲル材料と
してポリ−Nイソプロピルアクリルアミドとポリエチレ
ンオキシドの結合体が知られているが、その製造工程
で、両高分子中に複数の反応活性な官能基を導入してい
るため、結合反応の際に化学架橋が生じて不溶化する危
険性が高く、製造が困難であるばかりではなく、得られ
るハイドロゲルの物性を制御することは非常に困難であ
った。
【0005】同様に三官能性のポリエチレンオキシドと
ポリプロピレンオキシド、もしくは逆に三官能性のポリ
プロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの結合体
も熱可逆性ハイドロゲルとして提案されてもいるが、こ
のものも、製造時に化学架橋が生じ、上記と同様の欠点
が避けられないものであった。さらに、このような化学
架橋は、架橋重合体がゾル−ゲル転移温度以上の状態、
すなわちゲル状態で分子間の運動性を制約するために、
生体の複雑な動きあるいは治癒過程における創傷の変形
などの追従性が著しく阻害されると同時に、化学架橋に
起因する脆性破壊により組織中にこのゲルの断片が取り
込まれるなどの重大な問題が考えられる。
【0006】そこで、この発明は、上記の通りの従来の
熱可逆性ハイドロゲル材料の問題点を解決し、品質の安
定性、ゾル−ゲル転移温度の制御性、ゲル化の効率性に
優れていることはもちろんのこと、含水率を高くするこ
とができ、生体への適合性に優れ、かつ化学架橋が存在
しないため、柔軟で、複雑形状や変形への追従性にも優
れ、先にものべた生体の動きおよび創傷の治癒過程にお
ける変形性にも追従できると同時に、脆性破壊による組
織中への取り込みが阻止され、滲出液にも溶解せず、安
定な新しい熱可逆性ハイドロゲル材料とその製造法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、水溶液が曇点を有する高分子か
らなる主鎖に、水溶性高分子を側鎖として結合したグラ
フト共重合体であって、このグラフト共重合体は、分子
量が10万以上であることを特徴とする熱可逆性ハイド
ロゲル材料を提供する。さらにまたこの発明は、上記熱
可逆性ハイドロゲル材料を構成するグラフト共重合体
を、水溶性高分子鎖中に1個の重合性官能基を導入し、
その水溶液が曇点を有する高分子を構成する単量体と共
重合させて得ることを特徴とする熱可逆性ハイドロゲル
材料の製造法をも提供する。 さらに詳しく説明する
と、まず、この発明で規定するところのグラフト共重合
体とは、幹となる線状重合体(主鎖)に任意の重合体の
枝(側鎖)を結合させた高分子化合物を意味しており、
この発明のグラフト共重合体は主鎖が曇点を有する高分
子であって、側鎖が水溶性高分子からなることを特徴と
し、かつ、必須としている。
【0008】このような構造のグラフト共重合体からな
る特定の熱可逆性ハイドロゲル材料はこの発明によって
はじめて提供されるものである。そして、曇点とは、透
明な高分子水溶液(濃度1wt%)を徐徐に加熱した
時、はじめて白濁を生じる温度を意味しており、この発
明においては、特に限定されるものではないが、この曇
点が0℃〜90℃、さらには0℃〜40℃であることが
望ましい。すなわち、その水溶液が曇点を有する高分子
は曇点以下の温度では水に溶解するが、曇点以上の温度
では非水溶性となり水から析出する。その水溶液が曇点
をを有する高分子としては、ポリ−N−イソプロピルア
クリルアミド、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミ
ド、ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド、ポリ−
N,N−ジエチルアクリルアミド、ポリ−N−アクリロ
イルピペリジン、ポリ−N−アクリロイルピロリジン、
ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミドなどのポリ
N置換アクリルアミド誘導体、ポリ−N−イソプロピル
メタアクリルアミド、ポリ−N−シクロプロピルメタア
クリルアミドなどのポリN置換メタアクリルアミド誘導
体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール
部分酢化物などが挙げられる。
【0009】上記のポリN置換(メタ)アクリルアミド
誘導体の曇点は、他の単量体とのランダム共重合体によ
って調節でき、親水性単量体との共重合によって曇点が
上昇、疎水性単量体との共重合によって曇点が低下す
る。ここで親水性単量体としてはたとえば、N−ビニル
ピロリドン、アクリルアミド、アクリル酸など、疎水性
単量体としては例えば、n−ブチルメタクリレート、ア
クリロニトリル、スチレンなどを挙げることができる。
【0010】また、この発明における水溶性高分子とし
ては、たとえば、ポリエチレンオキサイド等のポリアル
キレンオキサイド類、ポリN−ビニルピロリドン、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、デキストラン、ポリビニルピリジン、ポリメタア
クリルアミド、ポリN−メチルアクリルアミド等のポリ
N置換アクリルアミド誘導体、ポリヒドロキシメチルア
クリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ
ビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸およびそれ
らの塩、ポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、ポリN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ポリN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ドおよびそれらの塩などが挙げられる。
【0011】そして、上記のこの発明のグラフト共重合
体については、その分子量が10万以上であることを必
須としてもいる。ここで分子量10万以上のグラフト共
重合体とは、主鎖の曇点以下の温度においてその水溶液
を分画分子量10万の限外濾過膜(アミコン社製YM1
00)を用いて限外濾過した時、濾過されないものをい
う。
【0012】なお、グラフト共重合体中の水溶性高分子
側鎖は、その平均重合度は10以上であることが好まし
い。その平均重合度が10未満の場合には、水中で水和
した水溶性高分子の立体障害効果(体積排除効果)が不
十分となり、主鎖の曇点以上の温度における主鎖間の凝
集を有効に抑制できないため、系全体が巨視的な相分離
(著しいゲルのシネレシス)を起こし、安定なハイドロ
ゲルが得られにくくなる。一方、水溶性高分子側鎖の平
均重合度が1000を越える場合、水中で水和した水溶
性高分子の立体障害効果が過剰となり、主鎖の曇点以上
の温度における主鎖間の凝集を阻害するため、安定なハ
イドロゲルが得られにくくなる。従って、水溶性高分子
側鎖の平均重合度の好ましい範囲は10〜1000であ
る。
【0013】また、グラフト共重合体中の側鎖の割合に
ついては、10重量%以上とするのが好ましい。これが
10重量%未満の場合には、主鎖の曇点以上の温度にお
ける主鎖間の凝集力が強すぎるために、ゲルの著しいシ
ネレシス現象が生起して安定なハイドロゲルが得られ
ず、側鎖の割合が90重量%を越える場合、主鎖の曇点
以上の温度における主鎖間の凝集力が不十分なためにハ
イドロゲルとならない傾向にある。従って、上記グラフ
ト共重合体中の好ましい側鎖の割合は10重量%〜90
重量%の範囲である。
【0014】次に、この発明の製造法について説明する
と、一般にグラフト共重合体の合成法としては、1)重
合体の連鎖移動反応を利用する方法、2)幹重合体に遊
離基に分裂し得る官能基を導入し、そこから重合を開始
する方法、3)幹重合体からイオン重合を開始せしめる
方法などが知られている。この発明のグラフト共重合体
をこれらの方法によって得ることもできるが、側鎖の重
合度を制御するという観点からは、水溶性高分子鎖中に
1個の重合性官能基を予め導入し、その水溶液が曇点を
有する高分子を構成する単量体と水中で共重合させて得
ることが、得られたグラフト共重合体の物性の良好な制
御および製造時の架橋形成の制御という点で有利でもあ
る。
【0015】ここで水溶性高分子鎖中に導入される重合
性官能基の数は1個であることが必要で、複数の重合性
官能基が導入されるとその後の曇点を有する高分子を構
成する単量体との共重合において、いかなる溶媒にも不
溶の化学架橋ゲルが生成し、熱可逆性ハイドロゲル材料
となる水溶性のグラフト共重合体が得られなくなる。水
溶性高分子鎖中に重合性官能基1個を導入するには、た
とえば水溶性高分子を与える単量体を重合させる際に連
鎖移動剤を用いて、直接あるいは間接的に重合性官能基
を高分子鎖片末端に導入することができる。
【0016】重合性官能基1個を分子内または末端に結
合した水溶性高分子とその水溶液が曇点を有する高分子
を構成する単量体との共重合反応を水中で行うことによ
り、この発明に必須の高重合度のグラフト共重合体を得
ることができる。これは水の連鎖移動係数が極めて小さ
いためである。
【0017】
【作用】以上の通り、この発明の熱可逆性ハイドロゲル
材料は、特定のグラフト共重合体からなるものであっ
て、この熱可逆ハイドロゲル材料は、低温では流動性の
ある水溶液、高温では流動性を失ってハイドロゲルとな
る熱可逆ゾル−ゲル転移を示す。そのメカニズムは以下
のように推定される。すなわち、グラフト共重合体主鎖
の曇点以下の温度では、主鎖、側鎖ともに水溶性である
ので完全に水に溶解する。しかし、この水溶液の温度を
主鎖の曇点以上に昇温すると、該主鎖が非水溶性となっ
て凝集し分子間会合が起こる。一方、グラフト共重合体
側鎖は主鎖の曇点以上においても水溶性を保つので、主
鎖間の凝集が巨視的な相分離に至ることを防止し、安定
なハイドロゲルが形成される。
【0018】そして、この発明の熱可逆性ハイドロゲル
材料は、上記の特有の構成からなるグラフト共重合体で
あることによって、従来のもののように、化学架橋が生
じることがないため、その製造工程において不溶性する
ことはなく、実際の利用時にも柔軟で複雑形状や変形へ
の追従性に優れたものとなる。この発明の熱可逆性ハイ
ドロゲル材料は、このような優れた特性から、医療、医
薬への応用が特に期待されるものでもある。すなわちた
とえば創傷被覆材として利用する場合には、従来のよう
な分子内化学架橋が生じないため、ゲルは疎水結合とい
う物理的架橋のみによって形成され、その架橋の結合エ
ネルギーおよび寿命は化学架橋に比べて充分に小さく、
生理的条件下でその架橋の形成を制御することができ
る。このため、この発明の熱可逆性ハイドロゲル材料
は、複雑な生体形状への適応性(密着性)、柔軟な生体
組織との物理的マッチング、生体の動きおよび創傷面の
変形への追従性、脆性破壊による生体組織への取り込み
の阻止および創傷面からの滲出液に溶解することなく、
安定でさらに病変組織等の排出という生体との適合性が
極めて優れている。
【0019】
【実施例】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明
について説明する。もちろん、この発明は以下の例によ
って何ら限定されるものではない。実施例1 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド〔NKエステルM−900G(平均重合度9
0)、新中村化学工業(株)製〕40gおよびN−イソ
プロピルアクリルアミド20gを蒸留水3000mlに
溶解し、窒素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテ
トラメチルエチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰
囲気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の
限外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾
過により精製し、濾過されないものを回収して凍結乾燥
し、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド主鎖にポリ
エチレンオキサイド側鎖を結合した分子量10万以上の
グラフト共重合体55gを得た。核磁気共鳴スペクトル
および元素分析の解析結果から、このグラフト共重合体
中のポリエチレンオキサイド側鎖の割合は66重量%で
あった。
【0020】上記のグラフト共重合体5gを蒸留水95
gに溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶液は3
5℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液である
が、35℃以上の温度では流動性を失い、わずかに白濁
した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなった。
このハイドロゲルを冷却すると、35℃でもとの透明な
水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し観測
された。また、このゲルを40℃で多量の水中に投入し
たが、溶解しなかった。実施例2 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド〔NKエステルM−900G(平均重合度9
0)、新中村化学工業(株)製〕20gおよびN−n−
プロピルアクリルアミド20gを蒸留水2000mlに
溶解し、窒素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテ
トラメチルエチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰
囲気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の
限外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾
過により精製し、濾過されないものを回収して凍結乾燥
し、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド主鎖にポリ
エチレンオキサイド側鎖を結合した分子量10万以上の
グラフト共重合体37gを得た。核磁気共鳴スペクトル
および元素分析の解析結果から、このグラフト共重合体
中のポリエチレンオキサイド側鎖の割合は50重量%で
あった。
【0021】上記のグラフト共重合体5gを蒸留水95
gに氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水
溶液は25℃以下では完全に透明で流動性のある高い水
溶液であるが、25℃以上の温度では流動性を失い、わ
ずかに白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲル
となった。このハイドロゲルを冷却すると、25℃でも
との透明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰
り返し観測された。実施例3 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド〔NKエステルM−230G(平均重合度2
3)、新中村化学工業(株)製〕40gおよびN−n−
プロピルアクリルアミド20gを蒸留水3000mlに
溶解し、窒素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテ
トラメチルエチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰
囲気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の
限外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾
過により精製し、濾過されないものを回収して凍結乾燥
し、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド主鎖にポリ
エチレンオキサイド側鎖を結合した分子量10万以上の
グラフト共重合体55gを得た。核磁気共鳴スペクトル
および元素分析の解析結果から、このグラフト共重合体
中のポリエチレンオキサイド側鎖の割合は66重量%で
あった。
【0022】上記のグラフト共重合体5gを蒸留水95
gに氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水
溶液は25℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液
であるが、25℃以上の温度では流動性を失い、わずか
に白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとな
った。このハイドロゲルを冷却すると、25℃でもとの
透明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返
し観測された。また、このゲルを30℃で多量の水中に
投入したが、溶解しなかった。実施例4 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(ブレンマーPME−4000(平均重合度9
8)、日本油脂(株)製)75gおよびN−イソプロピ
ルアクリルアミド117g、n−ブチルメタクリレート
8gをベンゼン1000mlに溶解、窒素置換後、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル3gを加え、窒素雰
囲気下、60℃で5時間反応させた。反応液にクロロホ
ルム1000mlを加えて希釈し、この溶液をヘキサン
10lに加えて沈澱を生成させ、この沈澱を乾燥後、蒸
留水4lに溶解させた。この水溶液を分画分子量10万
の限外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外
濾過により精製、濾過されないものを回収して凍結乾燥
し、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド−n−ブチ
ルメタクリレート主鎖にポリエチレンオキサイド側鎖を
結合した分子量10万以上のグラフト共重合体170g
を得た。核磁気共鳴スペクトルおよび元素分析の解析結
果からこのグラフト共重合体中のポリエチレンオキサイ
ド側鎖の割合は66重量%であった。
【0023】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶
液は20℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液で
あるが、20℃以上の温度では流動性を失い、わずかに
白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなっ
た。このハイドロゲルを冷却すると、20℃でもとの透
明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し
観測された。また、このゲルを25℃で多量の水中に投
入したが、溶解しなかった。実施例5 N−ビニルピロリドン22.6gをベンゼン800ml
に溶解し、2−メルカプトエチルアミン6.2g、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gを加え、6
0℃で8時間反応させた。溶媒を減圧留去して100m
lまで濃縮し、ジエチルエーテル2000mlに加えて
沈澱を析出させた。該沈澱を真空乾燥後、蒸留水200
mlに溶解し、分画分子量3000の限外濾過膜(アミ
コン社製YM3)を用いて限外濾過し、次いで濾液を分
画分子量1000の限外濾過膜(アミコン社製YM1)
を用いて限外濾過により精製し、濾過されないものを回
収して凍結乾燥し、分子量1000〜3000の片末端
に1級アミノ基を有するポリ−N−ビニルピロリドン1
0gを得た。トリニトロベンゼンスルホン酸を用いた1
級アミンの定量により、数平均重合度を求めたところ、
約20であった。
【0024】この片末端に1級アミノ基を有するポリ−
N−ビニルピロリドン10gを四塩化炭素50mlに溶
解し、アクリル酸クロライド(国産化学(株)製)0.
46g、トリエチルアミン0.69mlを加え、室温で
終夜反応させた。濾過後、溶媒を減圧留去して片末端に
重合性官能基を導入したポリ−N−ビニルピロリドンの
モノアクリルアミドを得た。
【0025】このポリ−N−ビニルピロリドンのモノア
クリルアミド20gと、N−n−プロピルアクリルアミ
ド10gを蒸留水1500mlに氷冷下で溶解し、窒素
置換後、過硫酸アンモニウム0.3gおよびテトラメチ
ルエチレンジアミン200μlを加え、氷冷窒素雰囲気
下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の限外
濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾過に
より精製し、濾過されないものを回収して凍結乾燥し、
ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド主鎖にポリ−N
−ビニルピロリドン側鎖を結合した分子量10万以上の
グラフト共重合体27gを得た。核磁気共鳴スペクトル
および元素分析の解析結果から、このグラフト共重合体
中のポリ−N−ビニルピロリドン側鎖の割合は66重量
%であった。
【0026】上記のグラフト共重合体5gを蒸留水95
gに氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水
溶液は25℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液
であるが、25℃以上の温度では流動性を失い、わずか
に白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとな
った。このハイドロゲルを冷却すると、25℃でもとの
透明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返
し観測された。また、このゲルを30℃で多量の水中に
投入したが、溶解しなかった。比較例1 両末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド〔NKエステル23G(平均重合度23)、新中
村化学工業(株)製〕40gおよびN−n−プロピルア
クリルアミド20gを蒸留水3000mlに溶解し、窒
素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテトラメチル
エチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰囲気下で反
応させたところ、約1時間でいかなる溶媒にも不溶の化
学架橋ゲルとなってしまった。比較例2 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド〔NKエステルM−900G(平均重合度9
0)、新中村化学工業(株)製〕40gおよびN−イソ
プロピルアクリルアミド20gをクロロホルム3000
mlに溶解し、窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブ
チロニトリル0.3gを加え、窒素雰囲気下、終夜沸点
還流反応させた。溶媒を減圧留去後、蒸留水1000m
lに溶解し、分画分子量10万の限外濾過膜(アミコン
社製YM100)を用いて限外濾過し、次いで濾液を分
画分子量3000の限外濾過膜(アミコン社製YM3)
を用いて限外濾過により精製し、濾過されないものを回
収して凍結乾燥して、ポリ−N−イソプロピルアクリル
アミド主鎖にポリエチレンオキサイド側鎖を結合した分
子量3000〜10万のグラフト共重合体50gを得
た。核磁気共鳴スペクトルおよび元素分析の解析結果か
ら、このグラフト共重合体中のポリエチレンオキサイド
側鎖の割合は66重量%であった。
【0027】上記のグラフト共重合体5gを蒸留水95
gに溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶液は5
0℃以上に昇温しても流動性の高い水溶液であり、ハイ
ドロゲルとはならなかった。
【0028】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明の熱
可逆性ハイドロゲル材料の水溶液は、特定の温度以下で
は水溶液、以上ではハイドロゲルとなる。このゲル化温
度は、グラフト共重合体中の側鎖となる高分子水溶液の
曇点に依存するので、この曇点を調節することで任意に
制御できる。この発明の熱可逆性ハイドロゲル材料は、
合成材料であるので天然材料に見られるような未知の不
純物を含まず、組成の均一性、性能の安定性を容易に保
証でき分子量の大きい高分子であるので毒性の心配がな
く、細胞や生物、生体を対象とする用途にも問題なく使
用できる。また、この発明の熱可逆性ハイドロゲル材料
からのハイドロゲルは、ゲル化温度以上に保持すれば、
さらに水を加えてもゲルが溶解してしまうという問題が
ないので、ゲルを水中に分散した状態での使用も可能で
ある。そして発明の熱可逆性ハイドロゲル材料の水溶液
は、10wt%以下の低濃度でもゲル化するのでハイド
ロゲルの含水率が高く、物質の分離や医薬品、農薬、化
粧品などに有効に利用される。そして、分子内化学架橋
が生じないため、柔軟で、複雑形状や変形への追従性に
優れ、生体適合材料等として極めて有益なものとなる。
【0029】さらにまた、本発明の熱可逆性ハイドロゲ
ル材料の製造法は、その水溶液が曇点を有する高分子鎖
中に1個の重合性官能基を導入し、水溶性高分子を与え
る単量体と主として水中で共重合させてグラフト共重合
体を合成するものであるので、合成の過程で化学架橋ゲ
ルを生成するおそれがなく、物性の制御がし易く、大量
の有機溶媒を使用する必要もないので工業的生産に非常
に有利である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液が曇点を有する高分子からなる主
    鎖に、水溶性高分子を側鎖として結合したグラフト共重
    合体であって、このグラフト共重合体は、分子量が10
    万以上であることを特徴とする熱可逆性ハイドロゲル材
    料。
  2. 【請求項2】 請求項1の熱可逆性ハイドロゲル材料の
    製造において、熱可逆性ハイドロゲル材料を構成するグ
    ラフト共重合体を、1個の重合性官能基を導入した水溶
    性高分子を水溶液が曇点を有する高分子を与える単量体
    と共重合することにより、物性および製造時の架橋形成
    による不溶化を制御して製造することを特徴とする熱可
    逆性ハイドロゲル材料の製造法。
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