JPH0913076A - 血小板凝集能を抑制する油脂 - Google Patents

血小板凝集能を抑制する油脂

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JPH0913076A
JPH0913076A JP7191083A JP19108395A JPH0913076A JP H0913076 A JPH0913076 A JP H0913076A JP 7191083 A JP7191083 A JP 7191083A JP 19108395 A JP19108395 A JP 19108395A JP H0913076 A JPH0913076 A JP H0913076A
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fat
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宏明 辻
Akira Seto
明 瀬戸
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勝己 今泉
Ikuo Ikeda
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 グリセリドの構成脂肪酸としてn−3系長鎖
多価不飽和脂肪酸を含み、n−3系長鎖多価不飽和脂肪
酸の総量の40モル%未満がグリセリドの2位に結合し
たトリグリセリドからなる油脂および該トリグリセリド
を含有してなる油脂。 【効果】 本発明の油脂は、従来のn−3系長鎖多価不
飽和脂肪酸供給源より少量の摂取で、血小板凝集能を抑
制し動脈血管を拡張する作用のあるエイコサノイドを産
生する効果が大きく、したがって動脈硬化症の予防およ
び改善を容易ならしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血小板凝集能を抑制する
作用のある油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】動脈硬化症は病理学的には粥状動脈硬化
症、中膜硬化症および細動脈硬化症に分けられる。粥状
動脈硬化症は冠状動脈、脳底動脈、腎動脈、胸・腹部大
動脈等の内膜に脂肪沈着やプラーク形成が起こるもの
で、一方、中膜硬化症は大腿動脈等四肢の中程度の動脈
に、また細動脈硬化症は腎・副腎、脾臓、卵巣、膵臓等
の細動脈にみられる硬化性変化である。これらの動脈硬
化症は血管内膜での中膜平滑筋細胞の無制限の増殖と細
胞内のコレステロールの異常蓄積が成因となっていると
考えられており、これら血管壁の異常や血流の異常から
血小板の粘着・凝集が促進されそして動脈血栓へと進行
する。
【0003】生体内で多価不飽和脂肪酸から合成される
プロスタグランジンやトロンボキサン等のエイコサノイ
ドには血小板凝集作用、血管収縮作用をもつものと、逆
に血小板凝集抑制作用、血管拡張作用を有しているもの
があり、これらエイコサノイドは動脈硬化症と密接に係
わっていることがわかっている。またエイコサノイドの
なかでもプロスタグランジンI2 (以下、PGI2 と略
すことがある。)は血小板凝集抑制作用、血管拡張作用
および血圧低下作用を有し、トロボキサンA2(以下、
TXA2 と略すことがある。)は血小板凝集誘起作用お
よび血管収縮作用を有することが知られている。
【0004】ところで、従来の疫学的調査により、魚類
や海獣類を常食としているグリーンランド島に居住する
エスキモー人は、彼らとほぼ同程度の高脂肪食のデンマ
ーク人と比較して、動脈硬化症をはじめとする虚血性心
疾患の発症率が少ないことが明らかになり、かかる疾患
の発症に食餌性の多価不飽和脂肪酸が係わっていること
が判明した(Dyerberg,T. ら、Am. J. Clin. Nutritio
n, 第28巻、第958頁、1975年)。また、さら
なる疫学調査により、エイコサペンタエン酸(all cis
−5,8,11,14,17−eicosapentaenoic acid 、以下EPA
と略す。C20:5、Cの後の数字は総炭素数:二重結合数
を表わし以下同様とする。)やドコサヘキサエン酸(al
l cis −4,7,10,13,16,19 −docosahexaenoic acid、以
下DHAと略す。C22:6)のようなn−3系長鎖多価不
飽和脂肪酸等の摂取と血小板凝集能抑制、全血粘度の低
下との間に有意な相関がみられ、心臓血管系疾患や脳血
管系疾患による死亡率との間に逆相関ないしは該疾患に
よる死亡率の低下が認められることが報告されている
(例えば、Hirai,A.ら、Lancet、第2巻、第1132
頁、1980年)。n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の摂
取による虚血性心疾患由来の死亡率低下の機序としては
抗血小板凝集作用、血漿脂質改善作用が考えられる。
【0005】薬物を用いる動脈血栓の治療には血小板凝
集抑制剤(例えば、ワーファリン、アスピリン等)を主
体とする抗血小板療法やできあがった血栓、塞栓を溶解
するための血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレ
プトキナーゼ等)が広く用いられている。一方、EPA
やDHAのようなn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の摂取
が、前記のように、動脈硬化症等の虚血性心疾患の予防
や治療に有効であることが動物実験や臨床実験により明
らかにされてきた。
【0006】そこで、動脈硬化症の予防ないし症状を改
善する目的で、EPAやDHAを含む魚を多く含む食品
を意図的に摂取したり、EPAやDHAを含む魚油や魚
油濃縮物等を素材とする健康食品等が市販されている。
しかしこれらは多量かつ長期間にわたり摂取あるいは投
与することが必要であった。EPAやDHAを含む魚油
としては主にイワシ油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、
マグロ眼窩油等が用いられるが、これらの油脂の化学的
構造はいずれもグリセリドにエステル結合して存在する
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の50モル%以上
がトリグリセリドの2位の構成脂肪酸としてあり、換言
すればn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は1位および3位
よりも2位により多くエステル結合したトリグリセリド
構造をとっている。
【0007】一方、EPAやDHAは前記のように動脈
硬化症の予防ないし該症状の改善効果を有する反面、通
常の例えば食用植物油脂を構成する脂肪酸に比べて二重
結合を分子内に数多く持つため酸化され易く、過剰に摂
取すると生体に有害な作用をもたらすことも知られてい
る。生体内で脂質の過酸化反応が進行すると生体膜に障
害を生じ、虚血性疾患、動脈硬化、白内障、癌、アルツ
ハイマー病、膠原病、アミロイドーシス等の病変の原因
となることが推測されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、ヒトをはじめ動物に対して、副作用がなく、従来の
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸供給源よりも少量の摂取
で、血小板凝集能を抑制し、ひいては動脈硬化症の予防
や改善を容易ならしめる作用のある油脂を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行った結果、グリセリド構造の
1位および/または3位にn−3系長鎖多価不飽和脂肪
酸を多くもつ油脂は、n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の
供給源として用いられている、2位にn−3系長鎖多価
不飽和脂肪酸を多くもつ魚油に比べて血小板凝集能を抑
制する効果が顕著に高く、動脈硬化症の予防や改善効果
が期待でき、上記の目的が達成されることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】すなわち本発明の要旨は、グリセリドの構
成脂肪酸としてn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を含み、
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の40モル%未満
がグリセリドの2位に結合したトリグリセリドからな
る、または該トリグリセリドを含有してなることを特徴
とする血小板凝集能を抑制する作用のある油脂である。
【0011】本発明で特徴とするトリグリセリドは、n
−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸とグリセ
リンとから構成されるトリグリセリドにおいて、n−3
系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量を100モル%としたと
き、その40モル%未満とn−3系長鎖多価不飽和脂肪
酸以外の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの2位にエス
テル結合しており、かつn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸
の60モル%以上とn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸以外
の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの1位および3位に
おいてランダムにまたは非ランダムに分布してエステル
結合しているものである。
【0012】ここにn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸とは
炭素数が18以上で二重結合を3個以上を有するn−3
系直鎖状不飽和脂肪酸をいい、具体的にはα−リノレン
酸(C18:3)、オクタデカテトラエン酸(C18:4、6,9,
12,15 −octadecatetraenoicacid )、アラキドン酸
(C20:4)、EPA(C20:5)、ドコサペンタエン酸
(C22:5、7,10,13,16,19 −docosapentaenoic acid
)、DHA(C22:6)等を例示することができる。本
発明では、これらのうちα−リノレン酸、アラキドン
酸、EPA、ドコサペンタエン酸およびDHAからなる
群から選ばれる1種もしくは2種以上の任意の割合の混
合脂肪酸が好ましく、さらにはEPAおよび/またはD
HAがより好ましい。
【0013】またn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸以外の
脂肪酸としては、短鎖、中鎖および長鎖各脂肪酸、また
飽和および不飽和各脂肪酸のいかんを問わず使用できる
が、このうち直鎖状であって、炭素数が6以上の中鎖な
いし長鎖の、飽和または不飽和脂肪酸に属するものが望
ましい。かかる脂肪酸としてカプロン酸(C6:0 )、カ
プリル酸(C8:0 )、カプリン酸(C10:0)、ラウリン
酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸
(C16:0)、パルミトオレイン酸(C16:1)、ステアリ
ン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸
(C18:1)、リノール酸(C18:2)、α’−リノレン酸
(C18:3、5,8,11−オクタデカトリエン酸)、γ−リノ
レン酸(C18:3、6,9,12−オクタデカトリエン酸)、エ
レオステアリン酸(C18:3、9,11,13 −オクタデカトリ
エン酸)、アラキジン酸(C20:0)、ガドレイン酸(C
20:1)、ベヘン酸(C20:0)、エルカ酸(C22:1)、ブ
ラシジン酸(C22:1)等をあげることができる。これら
の脂肪酸は単独で用いてよく、または任意の割合の混合
脂肪酸として使用してもさしつえない。なお、これらの
うち、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸等が好ましい。
【0014】前記したn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸お
よびこれ以外の脂肪酸で構成される本発明のトリグリセ
リドを製造するには、化学合成法、エステル交換法、あ
るいは天然物からの抽出法等の技術を利用すればよい。
化学合成法としては、例えば所望量および組成の脂肪
酸、脂肪酸無水物あるいは脂肪酸ハロゲン化物(脂肪酸
クロライド)とグリセリンとを、酸性物質(塩酸、硫
酸、パラトルエンスルホン酸等)、アルカリ性物質(水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属(亜鉛、ス
ズ、チタン、ニッケル等)、金属酸化物(酸化亜鉛、ア
ルミナ、酸化第一鉄等)、金属ハロゲン化物(塩化アル
ミニウム、塩化スズ等)等のエステル化触媒の存在下ま
たは非存在下で、窒素ガス気流中にて100〜250℃
に加熱し、生成する水を除きながら1〜25時間エステ
ル化反応せしめるのがよい。
【0015】エステル化生成物は必要に応じてアルカリ
脱酸処理、活性炭、活性白土、アルミナ、シリカゲル、
イオン交換樹脂等を用いる吸着・分画処理、メタノール
やエタノール等の親水性有機溶剤および/またはn−ヘ
キサンやキシレン等の親油性有機溶剤を用いる溶剤分別
処理を施して遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリ
ド、着色物質、有臭成分等の不純物を除去し、さらには
これらの処理を適宜に組み合わせ、トリグリセリドの2
位に結合するn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸残基の含有
量が、トリグリセリドの1位、2位および3位に結合す
るn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸残基の総含有量の40
モル%未満となるようにトリグリセリド成分を分画ない
しは濃縮してもよい。なお本発明のトリグリセリドは、
例えば加熱かつ減圧下に水蒸気を吹き込み脱臭処理して
おくことが望ましい。
【0016】エステル交換法を利用して本発明のトリグ
リセリドを得るには、例えば原料としてn−3系長鎖多
価不飽和脂肪酸を多量に含有する脂肪酸のトリグリセリ
ド(成分a−1)とn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を実
質的に含まないか少量含有の脂肪酸(成分a−2)、成
分a−2の低級アルコールエステル(メチルエステル、
エチルエステル等。以下同様。)または成分a−2のト
リグリセリドとを所望割合で混合し、あるいはn−3系
長鎖多価不飽和脂肪酸を実質的に含まないか少量含有の
脂肪酸のトリグリセリド(成分b−1)とn−3系長鎖
多価不飽和脂肪酸を多量に含有する脂肪酸(成分b−
2)または成分b−2の低級アルコールエステルとを所
要量混合し、触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ性物質、ナトリウムメチラート、ナト
リウムエチラート、リチウムブチラート等の金属アルコ
ラート(金属アルコキシド)、塩基性アニオン交換樹
脂、酸性カチオン交換樹脂等のイオン交換樹脂、あるい
はリパーゼを用いてエステル交換反応を行わしめるのが
簡便である。なお触媒として特定のリパーゼを用いてエ
ステル交換すると、後述するように、トリグリセリドの
1位および3位に選択的に新たな脂肪酸基を導入するこ
とができ、本発明のトリグリセリドを製造する方法とし
て望ましい。
【0017】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してアマニ油、エゴマ油、シソ油等の植物油、イワシ
油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼窩油等の魚
油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産哺乳動物を
起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該動物の乳
脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等またナンノク
ロロプシス属(例えばNannochloropsis oculata )、ト
ラストキトリウム属(例えばThraustochytrium aureum
)、クリプテコディニウム属(例えばCrypthecodinium
cohnii)、イソクリシス属(例えばIsochrysis galban
a)等に属する微細藻類から抽出された油脂、モルティ
エレラ(Mortierella )属等の微生物に由来する油脂、
またn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸またはこれを任意の
割合で含む前記各種脂肪酸(段落番号0013の項参
照)との混合脂肪酸のトリグリセリドを使用できる。成
分a−2としては段落番号0013の項に記載の各種脂
肪酸またはその誘導体を用いることができる。
【0018】また成分b−1として動植物、微生物、微
細藻類等から得られるトリグリセリドがあり、大豆油、
菜種油、綿実油、コーン油、パーム油、ヤシ油、サフラ
ワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハ
イオレイックヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、カカ
オ脂、チャイニーズ タロウ、サル脂、シア脂、牛脂、
ラード、これらの水素添加油脂、分別油脂、前記成分a
−2のトリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド等を
例示でき、成分b−2としては前記成分a−1の加水分
解処理によって得られる脂肪酸がある。
【0019】エステル交換反応は、一例として前記原料
をモル比率で成分a−1:成分a−2=1:0.1〜
5、成分b−1:成分b−2=1:2〜10となるよう
に混合し、アルカリまたは金属アルコラートを触媒とす
る場合には実質的に無水状態として80〜120℃で
0.5〜3時間エステル交換反応せしめる。またイオン
交換樹脂を用いる場合も同様に無水状態とするが、室温
〜40℃程度にてカラム方式で原料を循環接触させるの
がよい。リパーゼを触媒として用いる場合には、原料中
の水分量を1重量%以下にし、市販のリパーゼ粉末ある
いはこれを公知の担体例えばセライト、ケイソウ土、活
性炭、多孔質ガラス、イオン交換樹脂、キトサン、高分
子ゲル、セルロース粉末等に固定化した固定化リパーゼ
を加え、20〜80℃で0.5〜20時間エステル交換
反応せしめる。
【0020】リパーゼは次に述べる微生物を起源とする
ものあるいは動物臓器由来のものを使用できる。すなわ
ちアスペルギルス属(例えばAspergillus niger )、ム
コール属(例えばMucor miehei)、キャンディダ属(例
えばCandida cyrindracea )、シュードモナス属(例え
ばPseudomonas fragi )、アルカリゲネス属(例えば特
公昭58−36953号公報に記載のAlcaligenes sp.
)、リゾプス属(例えばRhizopus delemar)、ジオト
リクム属(例えばGeotrichum candidum )等に属する微
生物起源のリパーゼおよびブタ、ウシ等の膵臓リパーゼ
である。このうちアスペルギルス属、ムコール属、アル
カリゲネス属およびリゾプス属の微生物を起源とするリ
パーゼ、ブタ膵臓リパーゼはグリセリドの1位および3
位に特異的に作用するため、本発明のトリグリセリドを
製造するに際しては好適である。
【0021】前述した各種エステル交換方法によって得
られるエステル交換反応物は、選択する原料の種類によ
ってはエステル交換反応物そのものを本発明で用いるト
リグリセリドとすることができるが、前記化学合成法に
よって得られるエステル化生成物の場合と同様に、必要
に応じてアルカリ脱酸処理、吸着・分画処理、溶剤分別
処理あるいは無溶剤分別(ウィンタリング)処理等を適
宜に組み合わせてエステル交換反応物に施し、不純物を
除去したりグリセリド成分を分画あるいは濃縮して本発
明で用いるトリグリセリドとすることもできる。なお該
トリグリセリドは脱臭処理しておくことが望ましい。
【0022】本発明に係るトリグリセリドは天然物から
油脂分を抽出する方法によっても得ることができる。す
なわち前記エステル交換の原料(成分a−1)として記
載したもののうち、クジラ、アザラシ(harbour seal、
harp seal 等)、オットセイ等の海産哺乳動物の体組
織、該動物から分泌される乳汁、クロレラ、スピルリ
ナ、ドナリエラ等の微細藻類の細胞またはこれらの培養
細胞、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis )属、ト
ラストキトリウム(Thraustochytrium)属、クリプテコ
ディニウム(Crypthecodinium )属およびイソクリシス
(Isochrysis)属等に属する微細藻類例えばナンノクロ
ロプシス オキュラータ(Nannochloropsisoculata
)、トラストキトリウム アウレウム(Thraustochytr
ium aureum )、クリプテコディニウム コーニー(Cry
pthecodinium cohnii)、イソクリシスガルバナ(Isoch
rysis galbana)等の細胞またはこれらの培養細胞を原
材料とする。なお微生物を起源とする場合には、これか
ら得られるトリグリセリドが本発明のグリセリド構造を
満足するものであればさしつかえない。
【0023】これらを圧搾処理もしくはn−ヘキサン、
クロロホルム、ベンゼン、ジエチルエーテル、メタノー
ル等の有機溶剤を用いて抽出処理または分別処理して油
分を得、これに脱ガム、アルカリ脱酸、脱色、脱臭等の
処理を施して遊離脂肪酸、リン脂質、糖脂質、不ケン化
物、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、グリセリド
画分を得ることができる。このグリセリド画分は本発明
で用いるトリグリセリドとして利用できるが、該グリセ
リド画分をさらに無溶剤低温分別、溶剤分別あるいはシ
リカゲル・カラム等により分画して、トリグリセリドの
2位に結合するn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸残基がよ
り一層少ないトリグリセリドを製造することも可能であ
る。
【0024】以上に述べたような化学合成法、エステル
交換法、あるいは天然物からの抽出法等によって製造さ
れる本発明のトリグリセリドは、その構成脂肪酸として
のn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の40モル%未
満がトリグリセリドの2位にエステル結合するものであ
るが、より好ましくは20モル%未満である。40モル
%以上になると本発明の所望の効果は小さくなる。本発
明のトリグリセリドはそのままで油脂として利用でき、
また通常の食用油脂例えば成分b−1として記載したよ
うな動植物系油脂と混合して油脂としても用いることが
できる。このとき本発明のトリグリセリドの含有量は油
脂全体の5〜100重量%が望ましく、さらには10〜
100重量%がより一層好ましい。最も好ましくは20
〜100重量%である。5重量%未満では本発明の所望
の効果が小さい。
【0025】本発明に係る油脂は、例えば通常の食用動
植物系油脂、ビタミンE、β−カロチン等とともにソフ
トカプセルやマイクロカプセル等のカプセル状態にして
摂取することができ、また通常の食用油脂と同様に食品
素材として各種加工食品の原料、料理の材料に用い、摂
食することができる。また本発明に係る油脂は動脈硬化
症の予防および治療のために利用されることが期待でき
る。
【0026】
【実施例】
実施例1 トリオレイン1kgと、魚油(タマ生化学(株)製、商品
名:EPA−18)加水分解混合脂肪酸を低温分別した
魚油加水分解脂肪酸濃縮物(総脂肪酸中のC20:5:3
7.4モル%、C22:5:5.4モル%、C22:6:25.
2モル%。n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸として72.
5モル%。BHTを0.01重量%添加。)とをモル比
で1:5にて混合し、水分含量を0.2重量%に調節し
た後、リポザイムIM20(商品名。ノボ ノルディス
ク社製、ムコール ミーハイ(Mucor miehei)由来のリ
パーゼ)を充填したガラス製カラム(10cmφ×60c
m) に40℃にて通し選択的エステル交換反応を行わせ
た。
【0027】水蒸気蒸留および水洗処理にてエステル交
換反応物から遊離脂肪酸を除去した後、n−ヘキサンで
浸潤させたシリカゲル(和光製薬(株)製、商品名:ワ
コーゲルC100)を充填したステンレス製カラムに供
し、n−ヘキサンで溶出させジグリセリドを除き、本発
明のトリグリセリド720gを得た。本トリグリセリド
を構成する全脂肪酸組成、グリセリドの1位および3
位、2位の各脂肪酸組成をGLC分析によって求めた。
この結果を表1に示す。本トリグリセリドを構成するC
20:5の90モル%。C22:6の95モル%以上、n−3系
長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の93.5モル%がトリグ
リセリドの1位および3位に分布していた。すなわち本
トリグリセリドの2位にはn−3系長鎖多価不飽和脂肪
酸の総量の6.5モル%が分布していた。本トリグリセ
リドを以下の動物実験の試験油とした。
【0028】本トリグリセリドの一部にナトリウムメト
キシド0.1重量%を加え、減圧下100℃にてランダ
ムエステル交換反応を行わせた後、セライトを用いて濾
過し、本トリグリセリドのランダムエステル交換物を得
た。この全脂肪酸組成、1位および3位、2位の各脂肪
酸組成を前記同様に求めた(表1参照)。このトリグリ
セリドの2位にはn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量
の50.6モル%が分布していた。このランダムエステ
ル交換物を動物実験の対照油とした。
【0029】
【表1】 ※総炭素数:二重結合数で表示。(n−3)はn−3系脂肪酸を示す。
【0030】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油を各5重量%配合した飼料
(表2参照)を用いて飼育実験を行った。この間、飼料
成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給餌し
た。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育した
のち、各試験区ラットの大動脈のPGI2 および血液中
のTXA2 の各量を測定した。この結果を表3に示す。
なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重
量に有意差は認められなかった。この実験結果から、本
発明に係るトリグリセリド(試験油)はラットに対して
副作用がなく、試験油を添加した区では、PGI2 の産
生量が顕著に増大(すなわち血小板凝集能の抑制作用お
よび動脈弛緩作用の増加)し、かつTXA2 の産生量が
極めて減少(すなわち血小板凝集能の誘起作用および動
脈収縮作用の低下)することが明らかになり、したがっ
て本発明に係るトリグリセリドは動脈硬化症の予防およ
び治療のために利用できる可能性が認められた。
【0031】
【表2】 ※1 日本クレア(株)製、AIN−93G−MX ※2 日本クレア(株)製、AIN−93−VX ※3 t−ブチルヒドロキノン
【0032】
【表3】 ※対照油添加区の値に対して危険率5%以下で有意差あり。
【0033】実施例2 試験油脂(本発明のトリグリセリドを含む油脂)および
対照油脂を次のように調製した。すなわち試験油脂はha
rp seal (アザラシ)油脂をドライアイス/アセトン冷
媒で−80℃、1時間冷却し、析出した結晶部を濾紙で
濾別して調製した。対照油脂は脂肪酸組成の異なる2種
類の魚油(タラ肝油と雑魚油との混合油、マグロ眼窩
油)をドライアイス/アセトン冷媒で同様に冷却、分別
した濃縮物をブレンドし、その総脂肪酸組成を試験油脂
のそれとほぼ近似するものとした。表4これらの脂肪酸
組成を示す。
【0034】
【表4】 ※:表1の注釈と同じ。
【0035】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂をそれぞれ20重
量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量部、パ
ーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油5重量
部およびハイリノールサフラワー油25重量部の混合油
脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配合した
飼料(飼料組成は脂肪5重量%を10重量%とし、コー
ンスターチ41.7重量%を36.7重量%とする以外
は実施例1と同じ。)で、飼育実験を行った。この間、
飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給
餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育
したのち、各試験区ラットの大動脈のPGI2 および血
液中のTXA2 の各量を測定した(表6参照)。なお各
試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重量に有
意な差異は認められなかった。この実験結果から、試験
油脂(本発明に係るトリグリセリドを含有する油脂)を
添加した区では、ラットに対して副作用が認められず、
またPGI2 産生の増大およびTXA2 産生の減少すな
わち血小板凝集能の抑制作用と動脈血管拡張作用とが増
強されることが明らかになった。したがって本発明に係
るトリグリセリドを含有する油脂は動脈硬化症の予防お
よび治療のために利用できる可能性が認められた。
【0036】
【表5】 ※:表1の注釈と同じ。(n−6)はn−6系脂肪酸を示す。 ※※:飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、n−6系脂肪酸およびn−3系脂 肪酸のうちの各脂肪酸の割合。
【0037】
【表7】 ※:表3の注釈と同じ。
【0038】実施例3 実施例2で使用した試験油脂および対照油脂の配合割合
を変えた油脂を飼料に添加して実施例2と同様にラット
飼育実験を行った。すなわち4週齢のSD系雄性ラット
7匹を1試験区とし、実施例2に記載の試験油脂または
対照油脂をそれぞれ10重量%含む油脂(試験油脂また
は対照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレ
イックサフラワー油10重量部およびハイリノールサフ
ラワー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表7参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き実施例2と同じ。)で、飼育実験を行った。この
間、飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育し
たのち、各試験区ラットの大動脈のPGI2 および血液
中のTXA2 の各量を測定した(表8参照)。なお各試
験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重量に有意
な差異は認められなかった。この実験結果および実施例
2の結果から、本発明に係るトリグリセリドを含有する
油脂は、ラットに対して副作用を及ぼすことなく、対照
油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合をも
含めて、PGI2 産生量の増大およびTXA2 産生量の
減少をひきおこし、血小板凝集能の抑制作用と動脈血管
の拡張作用とを増強せしめることが明らかになった。こ
のことから、本発明に係るトリグリセリドを含有する油
脂は動脈硬化症の予防および治療のために利用できる可
能性が認められた。
【0039】
【表7】 ※および※※:表5の注釈と同じ。
【0040】
【表8】 ※:表3の注釈と同じ。
【0041】実施例4 微細藻類クリプテコディニウム コーニー(Crypthecod
inium cohnii、ATCC30336)を表9に示す培地
30リットルに植えつけ、30℃にて、ジャーファーメ
ンターで100時間通気培養し、培養液から培養藻体を
遠心分離して集め、さらにこれを凍結乾燥した(収量6
25g)。この乾燥藻体をクロロホルム:メタノール=
1:1(重量比)混合溶媒中でヒスコトロン(商品名。
日音医理科器械製作所製)により細胞破砕して抽出し、
油分520gを得た。n−ヘキサン中に分散させたシリ
カゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワコーゲルC10
0)を充填したステンレス製カラムに前記油分を供し、
ジエチルエーテル:n−ヘキサン=10:90(容量
比)にて溶出させ、本発明に係るトリグリセリド250
gを得た。本トリグリセリド(これを試験油脂とした)
の脂肪酸組成を実施例1と同様にして求めた(表10参
照)。
【0042】
【表9】 (pH:6.8) ※1:ビタミンミックス水溶液(単位:該水溶液1リットル中の重量) ビオチン: 0.003 g チアミン: 1.000 g ※2:メタルミックス水溶液(単位:該水溶液1リットル中の重量) Na2 EDTA: 1.00 g FeCl3 ・6H2 O: 0.05 g H3 BO3 : 1.00 g MnCl2 ・4H2 O: 0.15 g ZnCl2 : 0.01 g CoCl2 ・6H2 O: 0.005g
【0043】
【表10】 ※:表1の注釈と同じ。
【0044】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および実施例2に記載の対照油脂を
それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂
10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフ
ラワー油10重量部およびハイリノールサフラワー油3
0重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表11参照。)を各
10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き実施
例3と同じ。)を調製し、実施例3と同様の飼育試験を
行った。各試験区ラットの大動脈のPGI2 および血中
のTXA2 の産生量の分析結果を表12に示す。なお各
試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重量に有
意差は認められなかった。この実験結果および実施例2
の結果から、本発明に係る油脂はラットに対して副作用
を及ぼさず、対照油脂に比べて少量の試験油脂を混合し
た油脂の場合をも含めて、PGI2 産生量を増大および
TXA2 産生量を減少させ、血小板凝集能の抑制作用と
動脈血管の拡張作用とを増強せしめることが明らかにな
った。このことから、本発明にかかるトリグリセリドを
含有する油脂は動脈硬化症の予防および治療のために利
用できる可能性が認められた。
【0045】
【表11】 ※および※※:表5の注釈と同じ。
【0046】
【表12】 ※:表3の注釈と同じ。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、動物に対して、副作用
がなく、従来のn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸供給源に
比べてPGI2 産生を増大させかつTXA2 産生を減少
させる効果が大きく、魚油等の従来のn−3系長鎖多価
不飽和脂肪酸供給源よりも少量の摂取で、血小板凝集能
を抑制しかつ動脈血管を拡張する作用のあるエイコサノ
イド産生力に富み、したがって動脈硬化症の予防および
改善を容易ならしめる作用のある油脂を提供できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してアマニ油、エゴマ油、シソ油等の植物油、イワシ
油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼窩油等の魚
油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産哺乳動物を
起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該動物の乳
脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等またナンノク
ロロプシス属(例えばNannochloropsis oculata 、UTEX
LB 2164等)、トラストキトリウム属(例えばThrausto
chytrium aureum 、ATCC 28211、同34304 等)、クリプ
テコディニウム属(例えばCrypthecodinium cohnii、AT
CC 30021、同30334、同30336 、同50052 等)、イソク
リシス属(例えばIsochrysis galbana、CCAP927/1、UTE
X LB 987 等)等に属する微細藻類から抽出された油
脂、モルティエレラ(Mortierella )属等の微生物(M.
isabellina、IFO 6336、同6739、同7873、同7884、ATCC
44853等)に由来する油脂、またn−3系長鎖多価不飽
和脂肪酸またはこれを任意の割合で含む前記各種脂肪酸
(段落番号0013の項参照)との混合脂肪酸のトリグ
リセリドを使用できる。ここでATCC:American Type Cul
ture Collection (米国)、CCAP:Culture Collection
of Algae and Protozoa (英国)、UTEX:Culture Colle
ction of Algae at the University of Texas (米
国)、IFO:大阪発酵研究所の各略称である。成分a−2
としては段落番号0013の項に記載の各種脂肪酸また
はその誘導体を用いることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油を用い、各5重量%配合した
飼料(表2参照)を用いて飼育実験を行った。この間、
飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給
餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育
したのち、各試験区ラットの大動脈のPGI2 および血
液中のTXA2 の各量を測定した。この結果を表3に示
す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝
臓重量に有意差は認められなかった。この実験結果か
ら、本発明に係るトリグリセリド(試験油)はラットに
対して副作用がなく、試験油を添加した区では、PGI
2 の産生量が顕著に増大(すなわち血小板凝集能の抑制
作用および動脈弛緩作用の増加)し、かつTXA2 の産
生量が極めて減少(すなわち血小板凝集能の誘起作用お
よび動脈収縮作用の低下)することが明らかになり、し
たがって本発明に係るトリグリセリドは動脈硬化症の予
防および治療のために利用できる可能性が認められた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂を用い、それぞれ
20重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量
部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油
5重量部およびハイリノールサフラワー油25重量部の
混合油脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配
合した飼料(飼料組成は脂肪5重量%を10重量%と
し、コーンスターチ41.7重量%を36.7重量%と
する以外は実施例1と同じ。)で、飼育実験を行った。
この間、飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日
調製し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3
週間飼育したのち、各試験区ラットの大動脈のPGI2
および血液中のTXA2 の各量を測定した(表6参
照)。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量および
肝臓重量に有意な差異は認められなかった。この実験結
果から、試験油脂(本発明に係るトリグリセリドを含有
する油脂)を添加した区では、ラットに対して副作用が
認められず、またPGI2 産生の増大およびTXA2
生の減少すなわち血小板凝集能の抑制作用と動脈血管拡
張作用とが増強されることが明らかになった。したがっ
て本発明に係るトリグリセリドを含有する油脂は動脈硬
化症の予防および治療のために利用できる可能性が認め
られた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および実施例2に記載の対照油脂を
用い、それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対
照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイッ
クサフラワー油10重量部およびハイリノールサフラワ
ー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表11参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き実施例3と同じ。)を調製し、実施例3と同様の
飼育試験を行った。各試験区ラットの大動脈のPGI2
および血中のTXA2 の産生量の分析結果を表12に示
す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝
臓重量に有意差は認められなかった。この実験結果およ
び実施例2の結果から、本発明に係る油脂はラットに対
して副作用を及ぼさず、対照油脂に比べて少量の試験油
脂を混合した油脂の場合をも含めて、PGI2 産生量を
増大およびTXA2 産生量を減少させ、血小板凝集能の
抑制作用と動脈血管の拡張作用とを増強せしめることが
明らかになった。このことから、本発明にかかるトリグ
リセリドを含有する油脂は動脈硬化症の予防および治療
のために利用できる可能性が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/80 A23D 9/00 516

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリセリドの構成脂肪酸としてn−3系
    長鎖多価不飽和脂肪酸を含み、n−3系長鎖多価不飽和
    脂肪酸の総量の40モル%未満がグリセリドの2位に結
    合したトリグリセリドからなることを特徴とする血小板
    凝集能を抑制する作用のある油脂。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のトリグリセリドを5重
    量%以上含有してなることを特徴とする血小板凝集能を
    抑制する作用のある油脂。
  3. 【請求項3】 n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸がα−リ
    ノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコ
    サペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸からなる群か
    ら選ばれる1種もしくは2種以上である請求項1または
    2に記載の油脂。
  4. 【請求項4】 n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸がエイコ
    サペンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸であ
    る請求項1または2に記載の油脂。
  5. 【請求項5】 トリグリセリドが海産哺乳動物もしくは
    微細藻類から得られるものまたはこれらを濃縮処理した
    ものまたはこれらをエステル交換処理したものである請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂。
  6. 【請求項6】 海産哺乳動物がクジラまたはアザラシで
    ある請求項5に記載の油脂。
  7. 【請求項7】 微細藻類がナンノクロロプシス属、トラ
    ストキトリウム属、イソクリシス属またはクリプテコデ
    ィニウム属のいずれかに属するものである請求項5に記
    載の油脂。
  8. 【請求項8】 トリグリセリドがグリセリドの1,3位
    に特異性を有するリパーゼを用い、エステル交換反応に
    よって製造されたものである請求項1、2または5のい
    ずれか1項に記載の油脂。
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WO2007132888A1 (ja) * 2006-05-16 2007-11-22 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology 平滑筋収縮抑制剤
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