JPH0975000A - 母子栄養用油脂含有飲食物 - Google Patents

母子栄養用油脂含有飲食物

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JPH0975000A
JPH0975000A JP7246679A JP24667995A JPH0975000A JP H0975000 A JPH0975000 A JP H0975000A JP 7246679 A JP7246679 A JP 7246679A JP 24667995 A JP24667995 A JP 24667995A JP H0975000 A JPH0975000 A JP H0975000A
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oil
fat
docosahexaenoic acid
food
triglyceride
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JP7246679A
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Hiroaki Tsuji
宏明 辻
Chie Takahashi
千枝 高橋
Akira Seto
明 瀬戸
Muneo Sakai
宗雄 堺
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Nisshin Oillio Group Ltd
Original Assignee
Nisshin Oil Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 トリグリセリドの2位に結合するドコサヘキ
サエン酸残基が、トリグリセリド中に存在するドコサヘ
キサエン酸残基の総量の40モル%未満で、1位および
3位の脂肪酸残基がそれらの位置間で規則的に、または
ランダムに分布する構造を持つ混合トリグリセリドを有
効成分として配合してなる妊娠期、授乳期の母親用飲食
物、育児用調製粉乳、フォローアップミルクなどの乳幼
児用乳製品、離乳食ないし幼児用飲食物等。 【効果】 本発明の母子栄養用油脂含有飲食物は、従来
のドコサヘキサエン酸供給源を同量配合したものよりも
少量の摂取で、容易に体内へドコサヘキサエン酸を蓄積
する効果が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はドコサヘキサエン酸の臓
器蓄積性の高い母子栄養用油脂含有飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】母子に対する栄養補給ないしは栄養強化
(以下、単に母子栄養という)は、母親から胎児へ必要
な栄養成分を補給する妊娠期、出生後の乳児に対して母
乳ないし育児用調製粉乳を介して必要な栄養成分等を供
給する授乳期、および離乳期から幼児期にかけての栄養
補給を対象とする。
【0003】妊娠期、授乳期の母親は通常より多くの栄
養成分を摂取する必要がある。また、乳児の栄養源とな
る母乳の組成は母親の食事内容によって変化し、中でも
脂肪酸やビタミン類が影響を受けやすいといわれている
(米久保 明得、「食の科学」、第201巻、第49
頁、1994年)。そこで、特別用途食品として、ビタ
ミン類、脂質等が付加された妊産婦、授乳婦用粉乳が市
販されている。
【0004】母乳が不足したり、なんらかの理由で母乳
を与えられない場合に代用し得る唯一の食品が育児用調
製粉乳(特殊栄養食品のなかでは乳幼児調製粉乳として
分類される)である。この調製粉乳で哺育された乳児の
発育や発達の程度を母乳栄養の場合にできる限り近づけ
るため種々の研究開発がなされ、様々な製品が発売され
ている。また、通常の育児用調製粉乳を受けつけない乳
児に対しては、無乳糖や低アレルギー性の特殊治療用粉
乳も市販されている。
【0005】乳児に母乳または人工乳だけを長く摂取さ
せる状態を続けると貧血を起こし、皮膚の緊張が減退
し、病気に対する抵抗力も減じてくる。したがって、あ
る月齢に達すると離乳することとなる。離乳の開始時期
はヒトの場合満5ヶ月頃で、離乳の進行過程に応じて食
べやすく調理した食品が用いられる。市販の離乳食品は
「ベビーフード」と呼ばれており、粉末状、顆粒状ある
いはフレーク状等のドライタイプと、びん詰、レトルト
食品、濃縮果汁等のウェットタイプがある。フォローア
ップ・ミルクは離乳期から幼児期にかけての栄養補給を
目的として調製された乳製品である。
【0006】母子栄養における脂質摂取、特にドコサヘ
キサエン酸の摂取とその作用についても研究が進められ
ており、妊娠期、授乳期には胎児および乳児の適正な発
育のためドコサヘキサエン酸を適量摂取することが望ま
しいとされている(厚生省保健医療局健康増進栄養課監
修、「第5次改定 日本人の栄養所要量」、1994
年)。
【0007】一般的に、生体内に蓄積される脂肪酸のう
ちn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、動物の脳の大脳皮
質シナプス膜や網膜の光受容膜などの神経関連組織に、
リン脂質の形態で多く分布している。これらn−3系長
鎖多価不飽和脂肪酸は、そのほとんどがドコサヘキサエ
ン酸(全cis−4,7,10,13,16,19−do
cosahexaenoic acid、C22:6、ただしCの後の数字は総
炭素数:二重結合数を示し以下同様とする。)であり、
種々の哺乳類大脳、網膜におけるドコサヘキサエン酸の
含量が、食餌にかかわらずほぼ一定であることから、脳
や神経系との係わりが存在すると推測されている。
【0008】ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエ
ン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから
胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内で
のドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で
肝臓から供給されるようになることが示唆されている。
その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁か
ら、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸
を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認
められている。(米久保 明得、「水産脂質−その特性
と生理活性」恒星社厚生閣、第123頁、1993
年)。
【0009】日本人の母乳中のドコサヘキサエン酸の含
有量は約0.63〜約1.0重量%であり、他国より2
〜3倍高い値となっている。Jensenらは北米人の母乳の
脂肪酸組成が食事中の脂肪の種類および量により変化
し、たとえば1日6mgの魚油を21日間摂食すると母乳
中のドコサヘキサエン酸の含有量が0.37重量%から
0.70重量%に増加することを報告している(R.G.Je
nsenら、J.Pediatr. 、第120巻、第S87頁、19
92年)。
【0010】また、Lucas らは、300名の未熟児の7
〜8歳時の知能指数を調べた結果、母乳(ドコサヘキサ
エン酸を含む)を与えられた群は、ドコサヘキサエン酸
を含まない人工乳を与えられた群より知能指数がおよそ
10高いことを報告している(A.Lucas ら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA、第89巻、第7840頁、199
2年)。
【0011】これらの研究から、ドコサヘキサエン酸が
学習能力や記憶保持に有効であるとみられている。ま
た、ヒトの発育、成長時に必須な成分と考えられ、最
近、ドコサヘキサエン酸を強化した育児用調製粉乳等の
母子栄養用製品が開発されている。しかしこれらの製品
に配合するドコサヘキサエン酸はこれを多く含む魚油や
魚油濃縮物等を素材とするものであり、前記の所望の効
果を得るためには、これらを多量かつ長期間にわたり摂
取あるいは投与することが必要であった。
【0012】ドコサヘキサエン酸を含む素材としては、
魚油が多く利用されている。魚油は主にイワシ油、タラ
肝油、ニシン油、イカ油、そしてマグロ眼窩油が用いら
れるが、これらの油脂の化学的構造を調べると、いずれ
もトリグリセリドの2位にエステル結合するドコサヘキ
サエン酸残基が、トリグリセリド中に存在するドコサヘ
キサエン酸残基の総量の50モル%以上で、1位および
3位よりも2位に結合するドコサヘキサエン酸残基が多
いトリグリセリド構造をとっている。
【0013】一方、ドコサヘキサエン酸のような多価不
飽和脂肪酸は反面、通常の例えば食用植物油脂の構成脂
肪酸に比べて二重結合を分子内に数多く持つため酸化さ
れ易く、過剰に摂取すると体内に有害な作用をもたらす
ことも知られている。生体内で脂質の過酸化反応が進行
すると、生体膜に障害を生じ、虚血性疾患、動脈硬化、
白内障、癌、アルツハイマー病、膠原病、アミロイドー
シス等の病変の原因となることが推測されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みてなされたもので、ヒトをはじめ動物に対し
て、副作用がなく、従来のドコサヘキサエン酸供給源よ
りも少量の摂取で、ドコサヘキサエン酸を臓器に蓄積せ
しめやすい母子栄養用油脂含有飲食物を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、トリグリセリド
構造の1,3位にドコサヘキサエン酸を多く持つ油脂
は、ドコサヘキサエン酸の供給源として一般に用いられ
ている、2位にドコサヘキサエン酸を多く持つ魚油より
もドコサヘキサエン酸の臓器蓄積効果が高く、上記の目
的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に
基づいて完成されたものである。
【0016】本発明において、トリグリセリド構造の2
位に結合するドコサヘキサエン酸残基がトリグリセリド
中に存在するドコサヘキサエン酸残基の総量の40モル
%未満で、1位および3位の脂肪酸残基がそれらの位置
間で規則的又はランダムに分布する構造を持つ混合トリ
グリセリドを有効成分とする油脂は、海産哺乳類油脂、
その乳脂、微生物油脂、微細藻類油脂のような天然由来
油脂の他、1,3位特異性リパーゼを用い、エステル交
換反応によって製造される油脂を包含する。
【0017】本発明で特徴的な混合トリグリセリドはド
コサヘキサエン酸を含む脂肪酸とグリセリンとからなる
トリグリセリドにおいて、ドコサヘキサエン酸の総量を
100モル%とするとき、その40モル%未満とドコサ
ヘキサエン酸以外の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの
2位に位置し、かつドコサヘキサエン酸の60モル%以
上とドコサヘキサエン酸以外の任意の脂肪酸とがトリグ
リセリドの1位および3位においてランダムにまたは非
ランダムに分布しているものである。
【0018】本発明に係る混合トリグリセリドを構成す
る脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸およびこれ以外の脂肪
酸である。後者の脂肪酸としては、短鎖、中鎖および長
鎖各脂肪酸、また飽和および不飽和各脂肪酸のいずれを
問わず使用できるが、このうち直鎖状であって、炭素数
が6以上の中鎖ないし長鎖の、飽和または不飽和脂肪酸
に属するものが望ましい。かかる脂肪酸としては、カプ
ロン酸(C6:0 )、カプリル酸(C8:0 )、カプリン酸
(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C
14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトオレイン酸
(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C
18:1)、エライジン酸(C18:1)、リノール酸
(C18:2)、α−リノレン酸(C18:3、9,12,15
−オクタデカトリエン酸)、α’−リノレン酸
(C18:3、5,8,11−オクタデカトリエン酸)、γ
−リノレン酸(C18:3、6,9,12−オクタデカトリ
エン酸)、エレオステアリン酸(C18:3、9,11,1
3−オクタデカトリエン酸)、オクタデカテトラエン酸
(C18:4,6,9,12,15−オクタデカテトラエン
酸)、アラキジン酸(C20:0)、アラキドン酸
(C20:4)、ガドレイン酸(C20:1)、エイコサペンタ
エン酸(C20:5、5,8,11,14,17−エイコサ
ペンタエン酸)、ベヘン酸(C22:0)、エルカ酸(C
22:1)、ブラシジン酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸
(C22:5、7,10,13,16,19−ドコサペンタ
エン酸)等をあげることができる。これらの脂肪酸は単
独で用いてよく、または任意の割合の混合脂肪酸として
使用してもさしつかえない。なお、これらのうち、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサ
ペンタエン酸、ドコサペンタエン酸が好ましい。
【0019】ドコサヘキサエン酸およびこれ以外の脂肪
酸で構成される本発明に係る混合トリグリセリドを製造
するには、化学合成法、エステル交換法、あるいは前記
天然物からの油脂抽出法等の技術を利用すればよい。化
学合成法としては、例えば所望量および組成の脂肪酸、
脂肪酸無水物あるいは脂肪酸ハロゲン化物(脂肪酸クロ
ライド)とグリセリンとを、酸性物質(塩酸、硫酸、パ
ラトルエンスルホン酸等)、アルカリ性物質(水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等)、金属(亜鉛、スズ、チ
タン、ニッケル等)、金属酸化物(酸化亜鉛、アルミ
ナ、酸化第一鉄等)、金属ハロゲン化物(塩化アルミニ
ウム、塩化スズ等)等のエステル化触媒の存在下または
非存在下で、窒素ガス気流中にて100〜250℃に加
熱し、生成水を除去しながら1〜25時間エステル化反
応させるとよい。
【0020】エステル化生成物は、必要に応じてアルカ
リ脱酸処理、活性炭、活性白土、アルミナ、シリカゲ
ル、イオン交換樹脂等を用いる吸着・分画処理、メタノ
ールやエタノール等の親水性有機溶剤および/またはn
−ヘキサンやキシレン等の親油性有機溶剤を用いる溶剤
分別処理を施して遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリ
セリド、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、さらに
はこれらの処理を適宜に組み合わせてトリグリセリドの
2位に結合するドコサヘキサエン酸残基の含有量が、ト
リグリセリドの1位、2位および3位に結合するドコサ
ヘキサエン酸残基の総含有量の40モル%未満となるよ
うにトリグリセリド成分を分画ないしは濃縮してもよ
い。なお本発明に係る混合トリグリセリドは、例えば加
熱かつ減圧下に水蒸気を吹き込み脱臭処理しておくこと
が望ましい。
【0021】エステル交換法を利用して本発明に係る混
合トリグリセリドを得るには、例えば原料としてドコサ
ヘキサエン酸を多量に含有する脂肪酸のトリグリセリド
(成分a−1)とドコサヘキサエン酸を実質的に含まな
いか少量含有の脂肪酸(成分a−2)、成分a−2の低
級アルコールエステル(メチルエステル、エチルエステ
ル等。以下同様。)または成分a−2のトリグリセリド
とを所望割合で混合し、あるいはドコサヘキサエン酸を
実質的に含まないか少量含有の脂肪酸のトリグリセリド
(成分b−1)とドコサヘキサエン酸を多量に含有する
脂肪酸(成分b−2)または成分b−2の低級アルコー
ルエステルとを所要量混合し、触媒として水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ性物質、ナトリウム
メチラート、ナトリウムエチラート、リチウムブチラー
ト等の金属アルコラート(金属アルコキシド)、塩基性
アニオン交換樹脂、酸性カチオン交換樹脂等のイオン交
換樹脂、あるいはリパーゼを用いてエステル交換反応を
行わせるのが簡便である。なお触媒として特定のリパー
ゼを用いてエステル交換すると、後述するように、トリ
グリセリドの1位および3位に選択的に新たな脂肪酸基
を導入することができ、本発明に係る混合トリグリセリ
ドを製造する方法として望ましい。
【0022】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してイワシ油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼
窩油等の魚油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産
哺乳動物を起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該
動物の乳脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等、ま
たナンノクロロプシス属(例えばNannochloropsis ocul
ata )、トラストキトリウム属(例えばThraustochytri
um aureum )、クリプテコディニウム属(例えばCrypth
ecodinium cohnii)、イソクリシス属(例えばIsochrys
is galbana)等に属する微細藻類から抽出される油脂、
モルティエレラ(Mortierella)属等の微生物に由来する
油脂、またドコサヘキサエン酸またはこれを任意の割合
で含む前記各種脂肪酸(段落番号0018の項参照)と
の混合脂肪酸のトリグリセリドを使用できる。成分a−
2としては前記各種脂肪酸(段落番号0018の項参
照)またはその誘導体を用いることができる。
【0023】また成分b−1として動植物、微生物、微
細藻類等から得られるトリグリセリドがあり、大豆油、
菜種油、綿実油、コーン油、パーム油、ヤシ油、サフラ
ワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハ
イオレイックヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、カカ
オ脂、チャイニーズタロウ、サル脂、シア脂、牛脂、ラ
ード、これらの水素添加油脂、分別油脂、前記成分a−
2のトリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド等を例
示でき、成分b−2としては前記成分a−1の加水分解
処理によって得られる脂肪酸がある。
【0024】エステル交換反応は、一例として前記原料
をモル比率で成分a−1:成分a−2=1:0.1〜
5、成分b−1:成分b−2=1:2〜10となるよう
に混合し、アルカリまたは金属アルコラートを触媒とす
る場合には実質的に無水状態として80〜120℃で
0.5〜3時間エステル交換反応せしめる。またイオン
交換樹脂を用いる場合も同様に無水状態とするが、室温
〜40℃程度にてカラム方式で原料を循環接触させるの
がよい。リパーゼを触媒として用いる場合には、原料中
の水分量を1重量%以下にし、市販のリパーゼ粉末ある
いはこれを公知の担体例えばセライト、ケイソウ土、活
性炭、多孔質ガラス、イオン交換樹脂、キトサン、高分
子ゲル、セルロース粉末等に固定化した固定化リパーゼ
を加え、20〜80℃で0.5〜20時間エステル交換
反応せしめる。
【0025】リパーゼは以下に述べる微生物を起源とす
るものあるいは動物臓器由来のものを使用できる。すな
わちアスペルギルス属(例えばAspergillus niger )、
ムコール属(例えばMucor miehei)、キャンディダ属
(例えばCandida cyrindracea)、シュードモナス属
(例えばPseudomonas fragi )、アルカリゲネス属(例
えば特公昭58−36953号公報に記載のAlcaligene
s sp. )、リゾプス属(例えばRhizopus delemar)、ジ
オトリクム属(例えばGeotrichum candidum )等に属す
る微生物起源のリパーゼおよびブタ膵臓リパーゼであ
る。このうちアスペルギルス属、ムコール属、アルカリ
ゲネス属およびリゾプス属の微生物を起源とするリパー
ゼ、ブタ膵臓リパーゼはグリセリドの1位および3位に
特異的に作用するため、本発明に係るトリグリセリドを
製造するに際しては好適である。
【0026】前述した各種エステル交換方法によって得
られるエステル交換反応物は、選択する原料の種類によ
ってはエステル交換反応物そのものを本発明に係る混合
トリグリセリドとすることができるが、前記化学合成法
によって得られるエステル化生成物の場合と同様に、必
要に応じてアルカリ脱酸処理、吸着・分画処理、溶剤分
別処理あるいは無溶剤分別(ウインタリング)処理等を
適宜に組み合わせて施し、不純物を除去したりグリセリ
ド成分を分画あるいは濃縮して本発明に係る混合トリグ
リセリドとすることもできる。なお該トリグリセリドは
脱臭処理しておくことが望ましい。
【0027】本発明に係る混合トリグリセリドは天然物
から油脂分を抽出する方法によっても得ることができ
る。すなわち前記エステル交換の原料(成分a−1)と
して記載したもののうち、クジラ、アザラシ(harbour
seal、harp seal 等)、オットセイ等の海産哺乳動物の
体組織、該動物から分泌される乳汁、クロレラ、スピル
リナ、ドナリエラ等の微細藻類の細胞またはこれらの培
養細胞、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis )属、
トラストキトリウム(Thraustochytrium)属、クリプテ
コディニウム(Crypthecodinium )属およびイソクリシ
ス(Isochrysis)属等に属する微細藻類例えばナンノク
ロロプシス オキュラータ(Nannochloropsis oculata
)、トラストキトリウム アウレウム(Thraustochytr
ium aureum)、クリプテコディニウム コーニー(Cry
pthecodinium cohnii)、イソクリシス ガルバナ(Iso
chrysis galbana)等の細胞またはこれらの培養細胞を
原料とする。なお微生物を起源とする場合には、これか
ら得られるトリグリセリドが本発明に係るグリセリド構
造を満足するものであればさしつかえない。
【0028】これらを圧搾処理もしくはn−ヘキサン、
クロロホルム、ベンゼン、メタノール、ジエチルエーテ
ル等の有機溶剤を用いて抽出処理または分別処理して油
分を得、これに脱ガム、アルカリ脱酸、脱色、脱臭等の
処理を施して遊離脂肪酸、リン脂質、糖脂質、不ケン化
物、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、グリセリド
画分を得ることができる。このグリセリド画分は本発明
に係る混合トリグリセリドとして利用できるが、該グリ
セリド画分をさらに無溶剤低温分別、溶剤分別あるいは
シリカゲル・カラム等により分画して、トリグリセリド
の2位に結合するドコサヘキサエン酸残基がより一層少
ないトリグリセリドを製造することも可能である。
【0029】以上に述べたような化学合成法、エステル
交換法、あるいは天然物からの抽出法等によって製造さ
れる本発明に係る混合トリグリセリドは、その構成脂肪
酸としてドコサヘキサエン酸の総量の40モル%未満が
トリグリセリドの2位にエステル結合するものである
が、より好ましくは20モル%未満である。40モル%
以上になると本発明の所望の効果は小さくなる。そして
ドコサヘキサエン酸の総量の60モル%以上およびドコ
サヘキサエン酸以外の脂肪酸がトリグリセリドの1位お
よび3位にランダムまたは非ランダムに分布してエステ
ル結合した構造のものである。本発明に係る混合トリグ
リセリドはそのままで油脂として利用でき、またこれを
有効成分として通常の食用油脂例えば成分b−1として
記載したような動植物系油脂と混合して油脂としても用
いることができる。このとき本発明に係る混合トリグリ
セリドの含有量は油脂全体の5〜100重量%が望まし
く、さらには10〜100重量%がより一層好ましい。
最も好ましくは20〜100重量%である。5重量%未
満では本発明の所望の効果が小さい。
【0030】本発明においては、前述の方法によって調
製される油脂すなわちドコサヘキサエン酸を含有する脂
肪酸とグリセリンとからなるトリグリセリドにおいて、
ドコサヘキサエン酸の総量の40モル%未満とドコサヘ
キサエン酸以外の脂肪酸とがトリグリセリドの2位に分
布しており、かつドコサヘキサエン酸の総量の60モル
%以上とドコサヘキサエン酸以外の任意の脂肪酸とがト
リグリセリドの1位および3位においてランダムにまた
は非ランダムに分布してそれぞれエステル結合した混合
トリグリセリドからなる油脂、または該混合トリグリセ
リドと任意の前記食用動植物油脂類とを該混合トリグリ
セリドの含有量が5重量%以上となるようにブレンドし
てなる油脂、を必須成分として配合した母子栄養のため
の飲食物が提供される。
【0031】本発明に係る油脂は、多価不飽和脂肪酸を
含有するため長時間加熱処理を施すフライ油のような用
途を除き、通常の食用油脂とほぼ同様に取り扱うことが
でき、他の食品原材料とともに加工できる。また品質劣
化を避けるためトコフェロール、アスコルビン酸エステ
ル(パルミテート、ステアレート等)、β−カロチン、
その他の抗酸化剤を適量配合し、あるいは油溶性色素や
香料等を添加してもさしつかえない。
【0032】本発明でいう母子栄養用油脂含有飲食物
は、妊産婦、授乳婦用ミルクや粉乳、飲食物等の妊娠
期、授乳期、の母親用の油脂含有特別用途食品、育児用
調製粉乳やフォローアップミルク等の乳幼児用乳製品、
油脂を含む離乳食ないし幼児用飲食物を対象範囲とす
る。
【0033】本発明の母子栄養用油脂含有飲食物は公知
の食品用原材料および本発明に係る油脂を用いて各種タ
イプのものを調製することができる。例えば妊産婦、授
乳婦用粉乳ないしミルク、育児用調製粉乳やフォローア
ップミルクの場合、乳製品および乳製品の成分を置換な
いし成分を添加したもの等と、本発明に係る油脂とを界
面活性剤を用いて分散、乳化あるいは可溶化させて調製
でき、また、本発明に係る油脂を粉末化処理して用いる
こともできる。
【0034】界面活性剤としては、食品製造時に通常使
用されるものを利用でき、例えばグリセリン脂肪酸エス
テル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル等がある。また大豆、卵黄等起源の
レシチン、リゾレシチン、これらの分画物(ホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
ァチジルイノシトールおよびこれらのリゾ体)、レシチ
ンの塩基部分をアルコール基で交換した誘導体(ホスフ
ァチジルエタノール、ホスファチジルグリセロール
等)、大豆蛋白質およびその加水分解物のような乳化剤
も特に制限されることなく用いることができる。また粉
末化処理は、デキストラン、シクロデキストリン、デン
プン、その加水分解物、その酵素や化学的処理物等に本
発明に係る油脂を吸着させる方法や、アラビアガムやゼ
ラチンを用いて本発明に係る油脂をマイクロカプセル化
する方法を用いることができる。
【0035】このとき、前記乳製品の飲用時の飲食物全
体に対する本発明に係る混合トリグリセリドはドコサヘ
キサエン酸含量として0.001重量%以上、好ましく
は0.005〜20重量%、さらに好ましくは0.01
〜10重量%である。0.001重量%未満では本発明
の所望の効果を期待できない。また20重量%を超えて
配合してもさしつかえないが、このように多量になると
本発明に係る油脂でなくともドコサヘキサエン酸が臓器
に蓄積されることとなる。
【0036】また、妊娠期、授乳期の母親用の油脂を含
む飲食物(前記の乳製品類以外)、油脂を含む離乳食な
いし幼児用飲食物では、公知の食品用原材料に本発明に
係る油脂を添加し、あるいは該食品用原材料の油脂分の
全部または一部を本発明に係る油脂と置きかえて製造す
る。これらの飲食物全体に対して本発明に係る混合トリ
グリセリドの含有量が、ドコサヘキサエン酸含量として
0.001重量%以上、好ましくは0.005〜80重
量%、さらに好ましくは0.01〜80重量%となるよ
うにすればよい。0.001重量%未満では本発明の所
望の効果を期待できない。なお、前記上限値は当該飲食
物の個々の種類にあわせ、周知の範囲内で適宜に設定で
きる。
【0037】本発明の母子栄養用油脂含有飲食物を摂取
することにより、ドコサヘキサエン酸を臓器に効率良く
蓄積させることができる。しかもこの効果は従来のドコ
サヘキサエン酸供給源である魚油等を配合した飲食物に
比べて顕著に大きいため、少量の摂取でも認められる。
さらに本発明の飲食物は、前記効果に基づいて、脳や神
経機能の維持や向上を目的とする用途への利用が可能で
ある。
【0038】
【実施例】
参考例1 トリオレイン1kgと、魚油(タマ生化学(株)製、商品
名:EPA−18)加水分解混合脂肪酸を低温分別した
魚油加水分解脂肪酸濃縮物(総脂肪酸中のC20:5:3
7.4モル%、C22:5:5.4モル%、C22:6:25.
2モル%。BHTを0.01重量%添加)とを1:5
(モル比)に混合し、水分含量を0.2重量%に調節し
た後、リポザイムIM20(商品名。ノボ ノルディス
ク社製、ムコール ミーハイ(Mucor miehei) 由来リパ
ーゼ)を充填したガラス製カラム(10cmφ×60cm)
に40℃にて通し選択的エステル交換反応を行わせた。
【0039】水蒸気蒸留および水洗処理にてエステル交
換反応物から遊離脂肪酸を除去した後、n−ヘキサンで
浸潤させたシリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワ
コーゲルC100)を充填したステンレス製カラムに供
し、n−ヘキサンで溶出させジグリセリドを除き、本発
明に係る混合トリグリセリド720gを得た。本トリグ
リセリドを構成する全脂肪酸組成、グリセリドの1位お
よび3位、2位の各脂肪酸組成をGLC分析によって求
めた。この結果を表1に示す。本トリグリセリドを構成
する脂肪酸のうちC22:6(ドコサヘキサエン酸)の総量
の4モル%がトリグリセリドの2位に分布していた。本
トリグリセリドを以下の動物実験の試験油とした。
【0040】本トリグリセリドの一部にナトリウムメト
キシド0.1重量%を加え、減圧下100℃にてランダ
ムエステル交換反応を行わせた後、セライトを用いて濾
過し、本トリグリセリドのランダムエステル交換反応物
を得た。この全脂肪酸組成、1位および3位、2位の各
脂肪酸組成を前記同様に求めた(表1参照)。このトリ
グリセリドの2位にはドコサヘキサエン酸の総量の45
モル%が分布していた。このランダムエステル交換物を
動物実験の対照油とした。
【0041】
【表1】 ※総炭素数:二重結合数で表示
【0042】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油のいずれかを5重量%配合し
た飼料(表2参照、ドコサヘキサエン酸として各々85
00ppm 含有。)を用いて飼育実験を行った。この間、
調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給
餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育
したのち、各試験区ラットの臓器および血中におけるリ
ン脂質中ドコサヘキサエン酸含量(ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン等の各リン脂質分
子種を構成する全脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量。
以下同様)を測定した。この結果を表3に示す。また各
試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重量に有
意差は認められなかった。なお、有意差の検定はT検定
法に拠った(以下同様)。
【0043】この実験結果から、本発明に係る混合トリ
グリセリド(試験油)はラットに対して副作用を及ぼさ
ず、試験油を添加した区では、脳中のホスファチジルエ
タノールアミンおよび血中のホスファチジルコリンにド
コサヘキサエン酸が多量に存在することが明らかにな
り、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが認め
られた。
【0044】
【表2】 ※1 日本クレア(株)製、AIN−93G−MX ※2 日本クレア(株)製、AIN−93−VX ※3 t−ブチルヒドロキノン
【0045】
【表3】 1):ホスファチジルコリン、2):ホスファチジルエタノールアミン 注)※は対照油添加区に対して統計的に危険率5%以下で有意差があることを 示す(以下同様)。
【0046】参考例2 試験油脂(本発明の混合トリグリセリドを含む油脂)お
よび対照油脂を以下のようにして調製した。試験油脂
は、 harp seal油脂をドライアイス/アセトン冷媒で−
80℃にて1時間冷却し、析出した結晶部を濾紙で濾別
して調製した。対照油脂は脂肪酸組成の異なる2種類の
魚油(タラ肝油と雑魚油との混合油、マグロ眼窩油)を
ドライアイス/アセトン冷媒で同様に冷却、分別した濃
縮物をブレンドし、試験油脂と総脂肪酸組成を合わせ
た。表4にこれらの脂肪酸組成を示す。
【0047】
【表4】 ※:表1の注釈と同じ。
【0048】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂をそれぞれ20重
量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量部、パ
ーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油5重量
部およびハイリノールサフラワー油25重量部の混合油
脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配合した
飼料(飼料組成は、脂肪5重量%を10重量%とし、コ
ーンスターチ41.7重量%を36.7重量%とする以
外は参考例1と同じ。それぞれドコサヘキサエン酸を3
600ppm 含有。)で、飼育実験を行った。この間、調
製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給餌
した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育し
たのち、各試験区ラットの臓器および血中におけるリン
脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結果を
表6に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量
および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0049】この実験結果から、本発明に係る油脂はラ
ットに対して副作用を及ぼさず、脳中のホスファチジル
エタノールアミンおよび血中のホスファチジルコリンに
ドコサヘキサエン酸が多く存在することが明らかなよう
に、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが認め
られた。
【0050】
【表5】 ※:表1の注釈と同じ。 ※※:飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、n−6系脂肪酸(表中、n−6と 表示)およびn−3系脂肪酸(表中、n−3と表示)のうちの各脂肪酸の 割合。
【0051】
【表6】 1)、2)および※:表3の注釈と同じ。
【0052】参考例3 9週齢のSD系雌ラット8匹を1試験区とし、参考例2
で使用した各飼料(それぞれドコサヘキサエン酸を36
00ppm 含有)を3週間与えた後、雄ラットと交配さ
せ、妊娠させた。妊娠中および出産後も同じ食餌を与え
た。母親ラットの乳汁における乳脂中のドコサヘキサエ
ン酸含量、生後2週間目の子ラットの脳中リン脂質(ホ
スファチジルエタノールアミン)のドコサヘキサエン酸
含量を測定した。この結果を表7および表8に示す。本
発明に係る油脂を配合した飼料で飼育すると、母親ラッ
トの乳汁中のドコサヘキサエン酸含量が増加し、また子
ラットの脳中のホスファチジルエタノールアミン中のド
コサヘキサエン酸含量も増加した。この結果からも本発
明に係る油脂ではドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高
いことが認められた。
【0053】
【表7】 ※:表3の注釈と同じ。
【0054】
【表8】 ※:表3の注釈と同じ。
【0055】参考例4 参考例2で使用した試験油脂および対照油脂の配合割合
を変えた油脂を飼料に添加して参考例2と同様にラット
飼育実験を行った。すなわち4週齢のSD系雄性ラット
7匹を1試験区とし、参考例2に記載の試験油脂または
対照油脂をそれぞれ10重量%含む油脂(試験油脂また
は対照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレ
イックサフラワー油10重量部およびハイリノールサフ
ラワー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表9参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き参考例2と同じ。それぞれドコサヘキサエン酸を
1700pp含有。)で、飼育実験を行った。この間、調
製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製した。
水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育したの
ち、各試験区ラットの臓器および血中におけるリン脂質
中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結果を表1
0に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量お
よび肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0056】この実験結果および参考例2の結果から、
本発明に係る油脂はラットに対して副作用を及ぼさず、
対照油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合
をも含めて、脳中のホスファチジルエタノールアミンお
よび血中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸
が多く存在し、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高い
ことが認められた。
【0057】
【表9】 ※および※※:表5の注釈と同じ。
【0058】
【表10】 1)、2)および※:表3の注釈と同じ。
【0059】参考例5 微細藻類クリプテコディニウム コーニー(Crypthecod
inium cohnii、ATCC 30336)を表11に示す
培地30リットルに植えつけ、30℃にて、ジャーファ
ーメンターで100時間通気培養し、該培養液から培養
藻体を遠心分離して集め、さらにこれを凍結乾燥した
(収量625g)。この乾燥藻体をクロロホルム:メタ
ノール=1:1(重量比)混合溶媒中でヒスコトロン
(商品名。日音医理科器械製作所製)により細胞破砕し
て抽出し、油分520gを得た。n−ヘキサン中に分散
させたシリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワコー
ゲルC100)を充填したステンレス製カラムに前記油
分を供し、ジエチルエーテル:n−ヘキサン=10:9
0(容量比)にて溶出させ、本発明に係るトリグリセリ
ド250gを得た。本トリグリセリド(これを試験油脂
とした)の脂肪酸組成を参考例1と同様にして求めた
(表12参照)。
【0060】
【表11】 (pH:6.8)
【0061】※1:ビタミンミックス水溶液(該水溶液
1リットル中の重量) ビオチン:0.003g チアミン:1.000g ※2:メタルミックス水溶液(該水溶液1リットル中の
重量) Na2 EDTA :1.00 g FeCl3 ・6H2 O:0.05 g H3 BO3 :1.00 g MnCl2 ・4H2 O:0.15 g ZnCl2 :0.01 g CoCl2 ・6H2 O:0.005g
【0062】
【表12】 ※:表1の注釈と同じ。
【0063】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および参考例2に記載の対照油脂を
それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂
10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフ
ラワー油10重量部およびハイリノールサフラワー油3
0重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表13参照。)を各
10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き参考
例2と同じ。それぞれドコサヘキサエン酸を3600pp
m 含有。)を調製し、参考例4と同様の飼育試験を行っ
た。各試験区ラットの臓器および血中におけるリン脂質
中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結果を表1
4に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量お
よび肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0064】この実験結果および参考例2の結果から、
本発明に係る油脂はラットに対して副作用を及ぼさず、
対照油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合
をも含めて、脳中のホスファチジルエタノールアミンお
よび血中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸
が多く存在し、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高い
ことが認められた。
【0065】
【表13】 ※および※※:表5の注釈と同じ。
【0066】
【表14】 1)、2)および※:表3の注釈と同じ。
【0067】実施例1 離乳直後のマウス8匹を一試験区とし、参考例4および
5に記載の試験油脂または対照油脂のいずれか1種を1
0重量%含む飼料を6週間投与した。6週目に、T型水
迷路((株)夏目製作所製、型式:KN−83)を用い
て学習能を調べた。
【0068】その結果、1回目の実験では、本発明に係
る油脂(試験油脂)を配合した飼料を投与した区はいず
れも対照油脂投与区に比較して袋小路で迷う回数が少な
く、出口に到達する時間も対照油脂投与区で約2分30
秒だったのに対して約1分30秒と短かった。参考例4
の試験油脂と参考例5の試験油脂とはほぼ同様の結果で
あった。2回目の実験では、いずれの試験区でも迷う回
数は少なくなったが、出口に到達する時間は対照油脂投
与区よりも試験油脂投与区の方が短かった。以上の結果
から、本発明に係る油脂は記憶学習能を向上させる効果
が大きいことが認められた。
【0069】実施例2 β−シクロデキストリン(関東化学(株)製、試薬グレ
ード)10重量部を水100重量部に添加し、十分に攪
拌後、参考例4および5で調製した本発明に係る油脂
(試験油脂をそれぞれ10重量%含む油脂)のいずれか
1種の10重量部を加え、室温で2時間攪拌した。つい
で、これを凍結乾燥処理して粉末状油脂含有物(包接
物)とした。
【0070】脱脂粉乳(雪印乳業(株)製、商品名:ス
キムミルク)16重量部と前記粉末状油脂含有物のいず
れか1種の0.85重量部とを混合した後、40℃の温
水140mlに溶解させ、妊産婦、授乳婦用ミルク、育児
用調製粉乳またはフォローアップミルクとして使用可能
な液体乳製品(ドコサヘキサエン酸をそれぞれ46ppm
、98ppm 含む)を得た。専門パネル10名により、
これらの乳製品の風味および食感を評価したところ、い
ずれも違和感のないものであった。
【0071】実施例3 9週齢のSD系雌ラット8匹を1試験区とし、実施例2
で調製した乳製品、また参考例4および5で使用したそ
れぞれの対照油脂を用いて実施例2と同様に調製した乳
製品(乳製品中のドコサヘキサエン酸含量は、参考例4
で調製したものが46ppm 、参考例5で調製したものが
98ppm )を、固形飼料(日本クレア(株)製、商品
名:CE−2とともに該固型飼料に対して2〜2.5倍
重量の割合で3週間与えた後、雄ラットと交配させ妊娠
させた。妊娠中および出産後も同じ餌を与えた。各試験
区とも飼料摂取量、体重増加量に有意差は認められなか
った。母親ラットの乳汁における乳脂中のドコサヘキサ
エン酸含量、生後2週目の子ラットの脳中リン脂質のド
コサヘキサエン酸含量を測定した。
【0072】その結果、本発明に係る油脂を配合した乳
製品を投与すると、対照油脂を配合した乳製品の場合に
比べて、母親ラット乳汁中のドコサヘキサエン酸含量が
増加し、また子ラットの脳中のホスファチジルエタノー
ルアミン中のドコサヘキサエン酸含量も増加した。以上
の結果から、本発明に係る油脂を配合した飲食物を摂取
することによりドコサヘキサエン酸が臓器に多く蓄積さ
れることが認められた。
【0073】実施例4 ゼラチン3重量部および水30重量部を加熱しながら混
合し、ゼラチン水溶液とした後、これを攪拌しながら4
0℃まで冷却した。これに参考例4および5で調製した
本発明に係る油脂(試験油脂のいずれか1種を10重量
%含む油脂)6重量部を加え、ホモジナイザーを用いて
水中油型に乳化した後、10重量%アラビアゴム水溶液
30重量部を加えて混合した。温度を40℃に保持して
攪拌を続けながら、同温の水140重量部および10重
量%酢酸5重量部を加え、5℃に冷却し、pHを4.0
に調整して、さらに30重量%エタノール水溶液100
0重量部を攪拌下に混合した。スラリーをエタノールで
洗浄し、30℃、減圧下で乾燥させて、粒径:10〜5
0μmのマイクロカプセル状油脂含有物を得た。
【0074】脱脂粉乳(実施例2で使用したものと同
じ)16重量部と、前記マイクロカプセル状油脂含有物
を0.3ないし2.0重量部とを混合したのち、40℃
の温水140mlに溶解させ、妊産婦、授乳婦用ミルク、
育児用調製粉乳またはフォローアップミルクとして使用
可能な液体乳製品(ドコサヘキサエン酸をそれぞれ16
ppm 、228ppm 含む)を得た。専門パネル10名によ
り、この乳製品の風味および食感を評価したところ、違
和感のないものであった。
【0075】実施例5 参考例4および5で調製した本発明に係る油脂(試験油
脂のいずれか1種を10重量%含む油脂)8重量部、コ
ーンスターチ83重量部および食塩3重量部をぬるま湯
で溶きまぜながら火にかけ、沈澱物がなくなり、白く糊
化されたところで火を止めた。さらにこれに白玉粉44
重量部、砂糖35重量部およびカット野菜10重量部を
混ぜ溶かしたもの、および牛レバー22重量部と3枚に
おろしたあじ44重量部とを各々醤油で煮てみじん切り
にしたものをそれぞれ加え、よくかき混ぜて煮上げた。
これを人肌程度まで冷却し、ヨーグルト90重量部、鶏
卵100重量部を加え、よく攪拌して、妊産婦、授乳婦
用特別用途食品あるいは離乳食に用いる食品を得た。こ
のものはエネルギー1228kcal、蛋白質58.1g、
脂質25.1g、糖質187.4gであり、ドコサヘキ
サエン酸を43ないし90ppm 含む、風味および外観に
何ら問題のないものであった。
【0076】
【発明の効果】本発明の母子栄養用油脂含有飲食物は、
ヒトをはじめ動物に対して、副作用がなく、従来のドコ
サヘキサエン酸供給源を配合した同様の飲食物に比べ
て、生体中においてドコサヘキサエン酸を血漿中のホス
ファチジルコリン区分、脳中のホスファチジルコリン区
分およびホスファチジルエタノールアミン区分の各構成
脂肪酸として多量に蓄積せしめる。このため本発明の母
子栄養用油脂含有飲食物は、魚油等の従来のドコサヘキ
サエン酸供給源を配合した母子栄養用飲食物よりも少量
の摂取でドコサヘキサエン酸の臓器への高蓄積性効果を
奏する。また、本発明の母子栄養用飲食物は、脳や神経
機能の維持、向上やドコサヘキサエン酸の生理作用、薬
理作用を十分に発揮させ得る用途への利用可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエ
ン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから
胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内で
のドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で
肝臓から供給されるようになることが示唆されている。
その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁か
ら、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸
を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認
められている。(藤本 健四郎 編、「水産脂質−その
特性と生理活性」恒星社厚生閣、第123頁、1993
年)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】また、Lucas らは、300名の未熟児の7
〜8歳時の知能指数を調べた結果、母乳(ドコサヘキサ
エン酸を含む)を与えられた群は、ドコサヘキサエン酸
を含まない人工乳を与えられた群より知能指数がおよそ
10高いことを報告している(鈴木 平光、「食品と開
発」、第27巻、No.8、第6〜9頁、1992年、
(株)健康産業新聞社)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してイワシ油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼
窩油等の魚油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産
哺乳動物を起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該
動物の乳脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等、ま
たナンノクロロプシス属(例えばNannochloropsis ocul
ata 、UTEX LB 2164等)、トラストキトリウム属(例え
ばThraustochytrium aureum 、ATCC 28211、同34304
)、クリプテコディニウム属(例えばCrypthecodiniu
m cohnii、ATCC 30021、同30334 、同30336 、同50052
)、イソクリシス属(例えばIsochrysis galbana、CC
AP 927/1、UTEX LB 987 等)等に属する微細藻類から抽
出される油脂、モルティエレラ(Mortierella)属等の微
生物(M.isabellina、IFO 6336、同6739、同7873、同78
84、ATCC 44853等)に由来する油脂、またドコサヘキサ
エン酸またはこれを任意の割合で含む前記各種脂肪酸
(段落番号0018の項参照)との混合脂肪酸のトリグ
リセリドを使用できる。ここでATCC:American Type Cul
ture Collection (米国)、CCAP:Culture Collectiono
f Alage and Protozoa (英国)、UTEX:Culture Collec
tion of Alage at theUniversity of Texas (米国)、
IFO:大阪発酵研究所の各略称である。成分a−2として
は前記各種脂肪酸(段落番号0018の項参照)または
その誘導体を用いることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂を用い、それぞれ
20重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量
部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油
5重量部およびハイリノールサフラワー油25重量部の
混合油脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配
合した飼料(飼料組成は、脂肪5重量%を10重量%と
し、コーンスターチ41.7重量%を36.7重量%と
する以外は参考例1と同じ。それぞれドコサヘキサエン
酸を3600ppm 含有。)で、飼育実験を行った。この
間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間
飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中におけ
るリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この
結果を表6に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重
増加量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および参考例2に記載の対照油脂を
用い、それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対
照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイッ
クサフラワー油10重量部およびハイリノールサフラワ
ー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表13参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き参考例2と同じ。それぞれドコサヘキサエン酸を
3600ppm 含有。)を調製し、参考例4と同様の飼育
試験を行った。各試験区ラットの臓器および血中におけ
るリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この
結果を表14に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体
重増加量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/80 A61K 35/80 Z C11B 1/00 C11B 1/00 C11C 3/10 C11C 3/10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリセリドの2位に結合するドコサヘキ
    サエン酸残基がトリグリセリド中に存在するドコサヘキ
    サエン酸残基の総量の40モル%未満で、1位および3
    位の脂肪酸残基がそれらの位置間で規則的又はランダム
    に分布する構造を持つ混合トリグリセリドを有効成分と
    するドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性の高い母子栄養用
    油脂含有飲食物。
  2. 【請求項2】 前記混合トリグリセリドが、海産哺乳類
    油脂、乳脂、または微細藻類油脂を含む天然由来油脂ま
    たはこれらを濃縮処理したものまたはこれらをエステル
    交換処理したもので構成された有効成分からなる請求項
    1に記載の母子栄養用油脂含有飲食物。
  3. 【請求項3】 海産哺乳類がクジラまたはアザラシであ
    る請求項2に記載の母子栄養用油脂含有飲食物。
  4. 【請求項4】 微細藻類がナンノクロロプシス属、トラ
    ストキトリウム属、イソクリシス属、またはクリプテコ
    ディニウム属のいずれかに属するものである請求項2に
    記載の母子栄養用油脂含有飲食物。
  5. 【請求項5】 前記混合トリグリセリドが、1,3位特
    異性リパーゼを用い、エステル交換反応によって製造さ
    れたトリグリセリドで構成された有効成分からなる請求
    項1または2に記載の母子栄養用油脂含有飲食物。
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