JPH09134176A - 楽音信号発生装置 - Google Patents

楽音信号発生装置

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JPH09134176A
JPH09134176A JP8149828A JP14982896A JPH09134176A JP H09134176 A JPH09134176 A JP H09134176A JP 8149828 A JP8149828 A JP 8149828A JP 14982896 A JP14982896 A JP 14982896A JP H09134176 A JPH09134176 A JP H09134176A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディジタルフィルタを用いて音色制御や折返
しノイズの除去を行う場合、簡単な構成で、精度の良い
フィルタ演算を行う。 【解決手段】 発生楽音の音高に対応するレートで変化
する整数部と小数部とからなるアドレス信号を発生し、
その整数部に応じて楽音波形サンプルデータを発生す
る。楽音制御データに対応して、異なる特性を示す複数
のフィルタ特性の中から前記制御データに対応するフィ
ルタ特性を選択して、選択されたフィルタ特性に対応す
る所定次数からなるフィルタ係数を発生し、このフィル
タ係数を補間し、m次のフィルタ特性を実現するための
連続する各次数に対応するm個のフィルタ係数の中から
n個(ただしn<m)の係数データを選択して供給す
る。n個の係数データとnサンプル点分の楽音波形デー
タとを用いて、m次のフィルタ演算をnサンプル点分の
楽音波形データに関して行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ディジタルフィ
ルタ演算を利用して折返しノイズ等の除去や音色制御等
を行う楽音信号発生装置に関し、特に、比較的簡単なハ
ードウェア構成で精度の良いディジタルフィルタ演算を
行うことができるようにした楽音信号発生装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子楽器においては、ディジタル楽音信
号の音色を制御するあるいはノイズを除去する等の目的
でディジタルフィルタが使用されている。例えば、合成
しようとする楽音の周波数に無関係に常に一定のサンプ
リング周波数でサンプリングすることにより楽音信号を
合成する所謂ピッチ非同期型の楽音合成方法において
は、一般に楽音の周波数とサンプリング周波数とは非整
数比であり、サンプリング定理から明らかなように楽音
周波数に非調和な折返しノイズが発生するおそれがあ
り、これを除去する必要がある。このようなピッチ非同
期型の楽音信号に含まれる折返しノイズを除去するため
の方策として、折返しノイズを除去する特性のディジタ
ルフィルタに楽音信号を通すようにすることが従来考え
られている(特開昭61−90514号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ディジタルフィルタに
楽音信号を通して折返しノイズを除去するものにおいて
は、フィルタの次数を十分にとって精度の良いフィルタ
演算を行わねばならないため、フィルタの構成が複雑に
なるという問題点がある。また、折返しノイズ除去用の
ディジタルフィルタに限らず、音色制御用その他の用途
のディジタルフィルタにおいても同様である。この発明
は上述の点に鑑みてなされたもので、ディジタルフィル
タを用いて音色制御や折返しノイズの除去を行う場合に
おいて、簡単な構成でありながら、精度の良いフィルタ
演算を行うことができるようにした楽音信号発生装置を
提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明に係る楽音信号
発生装置は、発生すべき楽音の音高に対応するレートで
変化する整数部と小数部とからなるアドレス信号を発生
するアドレス信号発生手段と、上記アドレス信号の整数
部に応じて楽音波形サンプルデータを発生する楽音波形
データ発生手段と、楽音を制御するための制御データを
発生する制御データ発生手段と、異なる特性を示す複数
のフィルタ特性の中から前記制御データに対応するフィ
ルタ特性を選択し、選択されたフィルタ特性に対応する
所定次数からなるフィルタ係数を発生可能なフィルタ係
数発生手段及びこのフィルタ係数発生手段から発生され
たフィルタ係数を補間することにより前記所定次数より
も多いm次のフィルタ係数が発生可能なフィルタ係数補
間手段を有し、上記アドレス信号の小数部に応じて前記
フィルタ係数発生手段でのフィルタ係数の発生及びフィ
ルタ係数補間手段での補間を制御することにより、m次
のフィルタ特性を実現するための連続する各次数に対応
するm個のフィルタ係数の中からn個(ただしn<m)
の係数データを選択して供給するフィルタ係数供給手段
と、このn個の係数データと上記楽音波形データ発生手
段で発生されたnサンプル点分の楽音波形データとを用
いて、m次のフィルタ演算をnサンプル点分の楽音波形
データに関して行うディジタルフィルタ演算手段とを具
えたものである。
【0005】アドレス信号発生手段は、発生すべき楽音
の音高に対応するレートで変化する整数部と小数部とか
らなるアドレス信号を発生する。いうまでもなく、アド
レス信号の整数部は小数部よりも分解能が粗い。楽音波
形データ発生手段では、このアドレス信号の整数部に応
じて楽音波形サンプルデータを発生する。従って、楽音
波形データ発生手段で準備する楽音波形サンプルデータ
の分解能は比較的粗いものであっても良い。例えば、従
来のピッチ同期型の楽音信号発生装置におけるもののよ
うに波形1周期当り64分割程度の精度で楽音波形サン
プルデータを準備するだけであってもよい。なお、後述
するように、この場合、楽音波形データ発生手段で発生
される楽音波形サンプルデータのサンプリング周波数は
ピッチに同期していると否とを問わない。仮に、ピッチ
非同期型であるとすると、ピッチ同期型並みの粗い分解
能で楽音波形サンプルデータを準備するだけでよいので
ある。フィルタ係数供給手段では、上記アドレス信号の
小数部に応じてm次のフィルタ係数に対応する係数デー
タのうちn個(ただしn<m)を選択して供給する。デ
ィジタルフィルタ演算手段では、このn個の係数データ
と上記楽音波形データ発生手段で発生されたnサンプル
点分の楽音波形データとを用いて、m次のフィルタ演算
をnサンプル点分の楽音波形データに関して行う。これ
により、アドレス信号の小数部の分解能を持つ精度の良
い楽音波形サンプルデータ(これは実際には楽音波形デ
ータ発生手段では準備されていないが)に対してm次の
精密なフィルタ演算(実際にはn個分の次数に関する演
算しか行われないが)を行うのと等価のフィルタ演算を
行うことができる。すなわち、アドレス信号の整数部に
対応して発生された楽音波形データを、ディジタルフィ
ルタにおいてm次フィルタ演算処理することによって、
該アドレス信号の小数部の分解能で波形補間するのと同
等の処理を達成することができるものである。これによ
り、折り返しノイズの除去に寄与することができる。
【0006】因みに、例えば、従来のピッチ非同期型の
楽音信号発生装置においては、折返しノイズの影響をで
きるだけ排除するために、波形の分解能をできるだけ高
め、サンプリング周波数を高くすることが一般に行われ
る。例えば、波形1周期当り1000〜16000分割の精度で
波形データを準備することが行われており、そのため、
波形メモリにはかなりの容量が要求される。このように
波形メモリにはかなりの容量が要求されるので、1周期
波形等の比較的短い区間からなる波形をメモリに記憶
し、これを繰返し読み出すような楽音信号発生方式の場
合はまだしも、連続的な複数周期波形等の比較的長い区
間からなる波形をメモリに記憶し、これを読み出すよう
な楽音信号発生方式の場合には不向きであった。これに
対して、合成しようとする楽音の周波数にサンプリング
周波数を同期させる所謂ピッチ同期型の楽音合成方法に
おいては、楽音周波数(ピッチ)とサンプリング周波数が
調和するため折り返しによって生じる成分は楽音周波数
と調和し、ノイズとはならないので、波形1周期当り6
4分割程度の比較的粗い精度で波形データを準備するだ
けでも問題ない。従って、連続的な複数周期波形等の比
較的長い区間からなる波形をメモリに記憶し、これを読
み出すような楽音信号発生方式の場合にも適している。
これに対して、この発明では、サンプリング周波数がピ
ッチに同期していると否とを問わず、ピッチ同期型並み
の粗い分解能で楽音波形サンプルデータを準備するだけ
でよいのである。従って、1周期波形等の比較的短い区
間からなる波形をメモリに記憶し、これを繰返し読み出
すような楽音信号発生方式の場合にも、また、連続的な
複数周期波形等の比較的長い区間からなる波形をメモリ
に記憶し、これを読み出すような楽音信号発生方式の場
合にも、この発明は適している。
【0007】これにより、実際に楽音波形データ発生
手段で準備する楽音波形サンプルデータの分解能はアド
レス信号の整数部に対応する比較的粗いものであっても
良い、ということにより回路構成の簡単化を図ることが
できるという利点、及び 実際にはmよりも少ないnサンプル点分の楽音波形デ
ータに対応する限られた次数に関してフィルタ演算を行
えばよい、ということによりディジタルフィルタ回路の
構成の簡単化をも図ることができるという利点、の両方
を享受しつつ、 実質的なフィルタ演算はアドレス信号の小数部の分解
能を持つ精度の良い楽音波形サンプルデータに対してm
次の精密なフィルタ演算を行ったのと等価となる、とい
うことにより、高分解能の楽音波形サンプルデータに対
する精密なフィルタ演算によってもたらされる種々の利
点、例えば、不要なノイズ成分を確実にカットし、良質
の楽音信号を得ることができるという利点、をも享受す
ることができる。更に、この発明によれば、フィルタ係
数供給手段ではフィルタ係数補間手段を有しているの
で、フィルタ係数発生手段で発生可能な所定次数よりも
多いm次のフィルタ係数を簡単に発生することができる
という効果を奏する。また、フィルタ係数供給手段で
は、異なる特性を示す複数のフィルタ特性の中から、楽
音を制御するための制御データに対応するフィルタ特性
を選択し、選択されたフィルタ特性に対応するm次のフ
ィルタ特性を実現するための連続する各次数に対応する
m個のフィルタ係数の中から上記アドレス信号の小数部
に応じてn個(ただしn<m)の係数データを選択して
供給するようにしたので、前述のように簡単な構成であ
りながらm次の精密なフィルタ演算によるノイズ除去機
能を得ることができることに加えて、任意の楽音制御デ
ータに応じた音色制御機能をも実現することができると
いう優れた効果を奏する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の実施例を詳細に説明しよう。図1はこの発明の一実
施例を示す基本的ブロック図であって、1はアドレス信
号発生手段、2は楽音波形データ発生手段、3はフィル
タ係数供給手段、4はディジタルフィルタ演算手段、で
ある。前述の通り、アドレス信号発生手段1は、整数部
IADと小数部FADとからなるアドレス信号を発生す
べき楽音の音高に対応するレートで発生するものであ
り、楽音波形データ発生手段2は、上記アドレス信号の
整数部IADに応じて楽音波形サンプルデータを発生す
るものであり、フィルタ係数供給手段3は、上記アドレ
ス信号の小数部FADに応じてm次のフィルタ係数のう
ちn個(ただしn<m)を選択して供給するものであ
り、ディジタルフィルタ演算手段4は、このn個のフィ
ルタ係数と上記楽音波形データ発生手段で発生されたn
サンプル点分の楽音波形データとを用いて、m次のフィ
ルタ演算をnサンプル点分の楽音波形データに関して行
うものである。なお、この例では、サンプリング周波数
fsは発生すべき楽音のピッチに無関係に一定であり
(つまりピッチ非同期型)、ディジタルフィルタ演算手
段4では、折返しノイズを除去するためにfs/2をカ
ットオフ周波数とするローパスフィルタ特性を実現する
ものとする。
【0009】この発明に従う楽音信号発生装置の原理的
説明を行うために、まず、前提となるディジタルフィル
タ動作について図2及び図3を参照して説明する。図2
は一般的なサンプリング周波数変換理論に基づく波形図
の一例であり、図3はそのスペクトルエンベロープの一
例を示すものである。図2(a)はサンプリング周波数f
sでサンプングされた楽音波形サンプルデータの一例を
幾つかのサンプル点について示す図である。この図2
(a)の楽音波形サンプルデータをそのサンプリング周波
数fsのM倍の周波数(M・fs)のサンプリングタイミン
グで動作するディジタルフィルタに入力することを考え
る。その場合、サンプリング周波数fsの1周期ts=1
/fsの中に周波数M・fsの1周期ts/MがM個入るこ
とになるが、図2(a)の楽音波形サンプルデータの1サ
ンプル時間中のM個のフィルタ演算タイミング全てにサ
ンプルデータを発生させずに、fsの1周期ts中のM個
のフィルタ演算タイミングの内1個のタイミングでのみ
サンプルデータを発生し、残りのM−1個のタイミング
ではサンプル値を“0”とする。このように、周波数M
・fsのサンプリングタイミングのうちM個につき1個の
タイミングで図2(a)の楽音波形サンプルデータのサン
プル値を発生し、残りのM個につきM−1個のタイミン
グではサンプル値を“0”としたものを図2(b)に示
す。
【0010】この図2(b)の楽音波形サンプルデータ
をディジタルフィルタに入力し、周波数M・fsのサンプ
リングタイミングに従ってフィルタ演算を行う。つま
り、1サンプリング周期がts/Mである各サンプル点
の楽音波形データ(但し、M個につき1個のサンプリン
グタイミングで有効なサンプル値を持ち、残りのM個に
つきM−1個のタイミングではサンプル値が“0”であ
るデータ)に対して各次数のフィルタ係数を演算するの
である。すると、フィルタ演算出力として、図2(c)
に示すように、M・fsのサンプリングタイミングの各々
に対応して密にサンプル値が発生した楽音波形データを
得ることができる。これは、周波数M・fsの各サンプリ
ングタイミングでフィルタ演算が行われ、各サンプリン
グタイミング毎のフィルタ演算においては各フィルタ次
数とそれに対応するサンプル値とのたたみこみ和によっ
て出力信号が得られるからである。図2(c)のように
密にサンプル値が発生した楽音波形データを所望のサン
プリング周波数でサンプリングし直すことにより、所望
のサンプリング周波数に変換した楽音波形サンプルデー
タを得ることができる。図2(d)はそのように所望の
サンプリング周波数でサンプリングし直すことにより得
られた楽音波形サンプルデータの一例を示す。この場
合、サンプリングし直すべき所望のサンプリング周波数
がM・fs/Nであるとすると、図2(c)の波形データ
をM・fsのサンプリングタイミングのN回につき1回の
割合でサンプリングし直せばよい。
【0011】以上のような処理により、サンプリング周
波数がfsの楽音波形データを、M・fs/Nのサンプリ
ング周波数にサンプリングし直すことができる。尚、図
ではM=4,N=3として図示している。図3(a)は図
2(a)の波形のスペクトルエンベロープの一例を示した
図、図3(b)は図2(b)の波形のスペクトルエンベロー
プの一例を示した図であり、図3(a)と(b)とでは
スペクトルエンベロープの形は同じだがレベルが図3
(b)の方が(a)の1/Mとなっている。これは、た
たみこみ和に含まれる実質的なサンプル値(“0”でな
いサンプル値)の数が本来の数の1/Mとなっているか
らである。図3(c)はディジタルフィルタ特性の一例を
示しており、この場合、fs/2をカットオフ周波数と
するローパスフィルタである。図3(d)は、このローパ
スフィルタ特性でフィルタリングすることにより得られ
た図2(c)の波形のスペクトルエンベロープを示すもの
である。この場合、サンプリング定理による折返しはM
・fs/2の周波数を境にして起こり、これはかなり高い
ので、再サンプリングの際にノイズとはならない。図3
(e)は図2(d)の波形のスペクトルエンベロープの一
例を示した図である。なお、フィルタの出力を再サンプ
リングしただけでは前述のように信号レベルは1/Mに
レベルダウンしたままであるので、再サンプリングの際
に図2(d)の波形データのレベルをM倍することによ
り、本来のレベルに戻してやるものとする。
【0012】以上では、ディジタルフィルタをサンプリ
ング周波数変換のために利用しており、楽音周波数を任
意のピッチに設定して楽音信号を発生することとは直接
には関係していない。これに対して、この発明は、任意
のピッチの楽音信号を発生する場合に上述の原理に基づ
くディジタルフィルタ演算を利用するようにしたもので
ある。すなわち、発生すべき楽音の音高に対応するレー
トで変化するアドレス信号をアドレス信号発生手段1に
より発生し、このアドレス信号に応じて楽音波形サンプ
ルデータを発生する場合に上述の原理に基づくディジタ
ルフィルタ演算を利用するようにしている。アドレス信
号は整数部IADと小数部FADとからなり、楽音波形
データ発生手段2では、このアドレス信号の整数部IA
Dに応じて楽音波形サンプルデータを発生する。換言す
れば、この楽音波形データ発生手段2で発生し得る楽音
波形サンプルデータは、アドレス信号の整数部IADの
分解能に対応するものでしかない。アドレス信号の整数
部IADに対応して楽音波形データ発生手段2から発生
される楽音波形サンプルデータの一例を図4(a)に示
す。
【0013】アドレス信号の小数部FADは、アドレス
信号の整数部IADによって特定されるサンプル点にお
ける隣接サンプル点間のより細かな位相を示している。
例えば、アドレス信号の整数部IADと小数部FADに
よって指示された現在のアドレス値が図4(a)でCA
Dで示した位相であるとすると、整数部IADの現在値
は例えば「3」であり、小数部FADはCADとIAD
の差である。つまり、CAD=IAD+FADである。
高調波歪や低調波歪及びノイズのない良質な楽音波形信
号を得るために、アドレス信号の小数部FADの分解能
で、つまりCADの位相に対応して、楽音波形サンプル
データを求めることが望まれる。この発明では、前述の
原理に基づくディジタルフィルタ演算を利用することに
より、このことを簡単な構成で、かつサンプリングクロ
ック周波数を格別に高速化することなく、実現するよう
にしている。そのために、フィルタ係数供給手段3で
は、アドレス信号の小数部FADに応じてm次のフィル
タ係数に対応する係数データのうちn個(ただしn<
m)を選択して供給するようにしている。前述の図2
(b),(c)に関連する説明から明らかなように、複数次
のフィルタ係数の全てに対応して楽音波形サンプルデー
タを供給するまでもなく、M個の次数につき1回の割合
で有効なサンプルデータを供給し、残りの次数に関して
はサンプルデータのサンプル値を“0”にしてもよく、
そうであっても多数次のフィルタ係数を用いて精密なフ
ィルタ演算を行っているので、良好な楽音信号を得るこ
とができる。このことに基づき、これと同様の考え方に
基づくディジタルフィルタ演算をこの発明では行うよう
にしている。ただし、前述の一般的なサンプリング周波
数変換理論に基づく処理においては、高速のフィルタ演
算タイミング(周波数M・fs)に従って全ての次数のフ
ィルタ係数に関して実際にフィルタ演算を行わねばなら
ない。何故ならば、次数とサンプルデータとの対応関係
は演算タイミングの変化に伴って時間的に変化するた
め、たとえサンプル値が“0”のサンプルデータと或る
フィルタ係数との積が“0”であることが明らかである
としても、それがどの次数に関して成り立つのかは不明
であるからである。従って、従来の一般的なサンプリン
グ周波数変換理論に基づく処理においては、図2(a)
のようなサンプリング周波数fsの楽音波形サンプルデ
ータを、図2(b)のように、サンプリング周波数M・
fsのMクロックにつき1回サンプリングし且つMクロ
ックにつきM−1回のサンプリングタイミングではサン
プル値として“0”を挿入することによりサンプリング
周波数M・fsのデータに変換し、これを周波数M・fsで
動作するディジタルフィルタに入力し、このディジタル
フィルタで設定されている全ての次数のフィルタ係数に
関して実際にフィルタ演算を行わねばならない。
【0014】これに対して、この発明では、サンプル値
“0”のサンプルデータとそれに対応するフィルタ係数
の演算は実質的には不要であることに着目して、そのた
めの演算を省略し得るようにしたことを特徴としてい
る。これにより、高速のフィルタ演算タイミングで演算
を行うことを不要にしつつ演算回路の簡単化をも図り、
しかも十分に多数次のフィルタ係数を用いて精密なフィ
ルタ演算を行うことができるようにすることにより、回
路構成の簡単化とフィルタ演算の高精度化の両方を一挙
に実現するようにしている。まず、図2(a),(b)の関
係と同様に、図4(a)の楽音波形サンプルデータをその
サンプリング周波数fsのM倍の周波数(M・fs)のサン
プリングタイミングで動作するディジタルフィルタに入
力すると仮定して、サンプリング周波数fsの1周期ts
=1/fsの中に周波数M・fsの1周期ts/MがM個入
ることを想定し、図4(a)の楽音波形サンプルデータの
1サンプル時間中のM個のフィルタ演算タイミング全て
にサンプルデータを発生させずに、fsの1周期ts中の
M個のフィルタ演算タイミングの内1個のタイミングで
のみサンプルデータを発生し、残りのM−1個のタイミ
ングではサンプル値を“0”とすることを想定する。こ
のように、周波数M・fsのサンプリングタイミングのう
ちM個につき1個のタイミングで図4(a)の楽音波形サ
ンプルデータのサンプル値を発生し、残りのM個につき
M−1個のタイミングではサンプル値を“0”としたも
のを図4(b)に示す。ここで、アドレス信号の小数部
FADの分割数(1を小数部FADの最小単位で割った
数のことを示す、例えば、小数部FADの最小単位が
0.1ならば分割数は10)をdとすると、M=dとす
る。
【0015】図4(b)のような楽音波形サンプルデー
タに対してm次のフィルタ演算を行うことを考えると
(mはフィルタ特性を設定するときに定めた任意の数で
ある)、図2を参照して説明したように、m次のフィル
タ係数全部を使って周波数M・fsのサンプリングタイミ
ングでフィルタ演算を行えば図2(c)に示されたのと
同様な精密な分解能のフィルタ出力信号が図4(b)の
楽音波形サンプルデータに関しても得られる。しかし、
それでは、前述したように、ディジタルフィルタを高速
のサンプリング周波数M・fsで動作させねばならず、か
つ、このディジタルフィルタで設定されている全ての次
数のフィルタ係数に関して実際にフィルタ演算を行わね
ばならないので、不利であり、この発明ではそれを採用
しない。その代わりに、この発明では、サンプル値
“0”のサンプルデータとそれに対応するフィルタ係数
の演算は実質的には不要であることに着目して、そのた
めの演算を省略し、かつ、フィルタ演算におけるサンプ
リング周波数も格別に高速化することなく演算を行うの
である。そのような不要な演算の省略は、この発明によ
れば、アドレス信号を整数部IADと小数部FADに分
割し、整数部IADに応じて楽音波形サンプルデータを
発生するが、ディジタルフイルタ演算のためのフィルタ
係数を小数部FADに応じて選択して供給するようにし
たことにより、実現される。つまり、楽音波形サンプル
データの発生は整数部IADに応じた比較的粗い分解能
で行うが、ディジタルフイルタ演算は小数部FADに応
じた精密な分解能で行うようにしたことが特徴である。
詳しくは、アドレス信号の小数部FADに応じてフィル
タ係数を選択することにより、整数部IADと小数部F
ADによって特定されるアドレス信号の現在の位相CA
Dに関する細かなサンプリングタイミングにおいてあた
かもフイルタ演算が行われているかのように、整数部I
ADに対応する粗いサンプリングタイミングの各サンプ
ル点の楽音波形サンプルデータに対応するフィルタ係数
の次数を決定することができるのである。換言すれば、
アドレス信号の小数部FADに応じて、整数部IADに
対応する各サンプル点のサンプルデータとフィルタ係数
の次数との対応関係が決定され、これにより、図4
(b)のように仮定した場合におけるサンプル値として
“0”を挿入した密なサンプリングタイミングに対応す
るフィルタ係数の次数を特定することができ、その次数
に関してはあえて演算を行うまでもなく積が“0”とし
て処理でき、実質的な値を持つサンプルデータに関して
のみ飛び飛びの次数に対応するフィルタ係数を演算すれ
ばよいことになる。こうして、この発明によれば、m次
のフィルタ演算において、フィルタ係数供給手段3が供
給すべきフィルタ係数は、m次のフィルタ係数に対応す
る係数データ全部ではなく、そのうちn個(ただしn<
m)をアドレス信号の小数部FADに応じて選択して供
給するようにすればよいのである。
【0016】ここで、想定したディジタルフィルタ演算
のサンプリング周波数M・fsにおけるMに関して、M=
d(小数部FADの分割数)であり、想定した図4
(b)のサンプルデータは、図4(a)の楽音波形サンプ
ルデータの1サンプル間隔をM=d分割した仮想フィル
タ演算タイミングのうち1個のタイミングでのみサンプ
ルデータを発生し、残りのd−1個のタイミングではサ
ンプル値を“0”としているものなので、図4(a)の楽
音波形サンプルデータの1サンプル間隔をd分割した仮
想フィルタ演算タイミングのうち1回のタイミングでの
み実質的なサンプル値を持ち、その仮想フィルタ演算タ
イミングに関してのみ実際の演算を行えばよいことにな
る。従って、上記nは、n=m/dなる関係で決定する
ことができ、dの間隔で順次離隔したn個の次数をアド
レス信号の小数部FADに応じて選択すればよい。ま
た、想定したディジタルフィルタ演算のサンプリング周
波数M・fs=d・fsのタイミングにおいて、d回に1回
だけ演算を行えばよく、他のタイミングでは行う必要が
ない、つまり、サンプルデータの単位遅延はサンプリン
グ周波数M・fs=d・fsで行う必要がなく、サンプリン
グ周波数fsで行えばよい、ということにより実質的に
サンプリング周波数M・fs=d・fsの精度で精密なフィ
ルタ演算を行うにもかかわらず、実際のフィルタ演算は
低速のサンプリング周波数fsで行えばよいことにな
る。また、これに関連して、図4(b)のようなサンプ
ルデータを想定するにはしても、実際にそのようなサン
プリング周波数M・fs=d・fsのdクロックにつき1回
のサンプリングとd−1回のサンプル値“0”の挿入を
行う処理を行う必要は全くなく、サンプリング周波数f
sに従ってアドレス信号の整数部IADに応じて発生さ
れたサンプルデータをそのまま用いればよい。
【0017】これを更に図によって説明すると、この発
明のフィルタ演算は、図4(b)のようなサンプルデー
タに関して、アドレス信号の現在の位相CADに対応し
てフィルタ演算を行うことと等価である。この場合、図
4(b)の各サンプルデータとm次のフィルタ係数の各
次数(0次〜m−1次)との対応関係の一例を示すと、
図4(c)のようである。図4(c)はm次のFIR
(有限インパルス応答)フィルタのローパスフィルタ特
性のインパルス応答の一例をエンベロープによって示す
ものである。このFIRフィルタの周波数ドメインはM
・fs=d・fsであり、ローパスフィルタ特性のカットオ
フ周波数はサンプリング周波数fsに関する折返しノイ
ズを除去するためにfs/2に設定する。このインパル
ス応答において、所定の基準次数(例えば中央の次数)
が現在のアドレス信号の位相CADに対応しているもの
とする。フィルタ演算においては、図4(b)の各サン
プルデータと図4(c)のフィルタ係数とのたたみこみ
が求められる。その場合において、d・fsの周波数ドメ
インにおける図4(b)のサンプルデータのうちサンプ
ル値“0”のものに関しては演算を行わない。すなわ
ち、図4(b)で有効なサンプル値を持っているサンプ
ルデータとそれに対応する次数のフィルタ係数との演算
だけを行う。n=m/dの関係から、m次のたたみこみ
において有効なサンプル値を持っているサンプルデータ
の数はnである。図の例では、m=96,d=16,n
=6であるものとしている。現在のアドレス信号の位相
CADに対応して実行したフィルタ演算によって得られ
るたたみこみ和は図4(d)において実線で示されてい
る。図4(d)において破線で一部示したが、このよう
なたたみこみ和つまりフィルタ出力信号がd・fsの周波
数ドメインで、図2(c)に示すのと同様に密に、発生
される。なお、前述と同様に、このたたみこみは実際は
n=6個のサンプルデータに関してしか行われていない
ので、フィルタ出力信号のレベルが本来の1/d=1/
16に低下する。これに対処するには、フィルタ出力信号
のレベルをd=16倍してやればよい。あるいは、フィ
ルタ出力信号のレベルをわざわざd=16倍するまでも
なく、本来の値のd=16倍のレベルを持つフィルタ係
数を使用して演算を行うようにしてもよい。
【0018】図4(e)は図4(c)のインパルス応答
を持つFIRローパスフィルタの振幅-周波数特性を例
示するものである。カットした周波数領域の成分が−80
dB以下に減衰されることが確かめられている。これは
かなり高精度なフィルタ特性である。図5はそのような
FIRローパスフィルタの振幅-周波数特性の実測図で
ある。図6は図5の特性のFIRローパスフィルタを通
した正弦波信号のスペクトルの実測図である。ここから
明らかなように、基本波以外のノイズ成分が確実に−8
0dB以下に減衰されている。図4(a)〜(c)の関係を
整理すると、m次のフィルタ係数の各次数(0次〜m−
1次)が小数部FADの分解能でアドレス信号の連続す
る値に対応しており、そこにおいて所定の基準次数(例
えば中央の次数k)が現在のアドレス信号の小数部FA
Dの位置(つまり現在の位相CADの位置)に対応して
いる。この現在のアドレス信号の小数部FADに対する
nサンプル点分の各整数部IADの隔たりに対応する量
だけ前記基準次数から隔たっているn個の次数を夫々飛
び飛びに決定し、こうして現在のアドレス信号の小数部
に応じて決定されたn個の次数に対応するn個のフィル
タ係数をフィルタ係数供給手段3により供給するのであ
る。アドレス信号の現在の位相CADに対応する基準次
数を中央の次数k(例えば、m=96のとき、つまり全
次数が0次〜m−1=95次のとき、中央の次数はk=
47次とする)とし、n=6とすると、「nサンプル点
分のアドレス信号の各整数部IAD」としては、現在の
アドレス信号の整数部IADの前後のn=6個のサンプ
ル点の整数部、つまり図4(a)に示すIAD−2,I
AD−1,IAD,IAD+1,IAD+2,IAD+
3がそれに該当する。このnサンプル点分の各整数部I
AD−2,IAD−1,IAD,IAD+1,IAD+
2,IAD+3の隔たりに対応する量だけ基準次数(k
=47次)から隔たっているn=6個の次数は、一般的
には次のように飛び飛びに決定される。
【0019】 IAD−2に対応する次数:k−FAD−2d IAD−1に対応する次数:k−FAD−d IAD に対応する次数:k−FAD IAD+1に対応する次数:k−FAD+d IAD+2に対応する次数:k−FAD+2d IAD+3に対応する次数:k−FAD+3d 勿論、上記は一例にすぎず、別の定義の仕方も可能であ
り、また、上記のように定義してもk,d,nの決め方
によっては、上記とは別の種々の特異解が生じることが
ある。例えば、同じ条件下でもk=46とした場合は、
現在のアドレス信号の整数部IADの3サンプル点前の
IAD−3に対応する次数をk−FAD−3dなる定義
のもとに決定しなければならない場合もある。フィルタ
係数供給手段3では、上記のようなテーブルを具える、
あるいは上記のような式を実行する演算回路を具えるな
りして、現在のアドレス信号の小数部FADに応じてn
個の次数を決定し、決定したn個の次数に対応する係数
データを夫々供給する。このフィルタ係数供給手段3と
ディジタルフィルタ演算手段4の内部構成の一例を幾分
詳しく示すと、図7のようである。フィルタ係数供給手
段3は、m次のフィルタ係数(0次〜m−1次)を発生
するフィルタ係数発生手段3aと、このm次のフィルタ
係数のうちn個を上記アドレス信号の小数部FADの値
に応じて選択する選択手段3bとを具えている。選択手
段3bは、例えば、上述のテーブルを具えており、アド
レス信号の小数部FADの値に応じて、nサンプル点分
の各整数部IAD−2,IAD−1,IAD,IAD+
1,IAD+2,IAD+3に対応する次数k−FAD
−2d,k−FAD−d,k−FAD,k−FAD+
d,k−FAD+2d,k−FAD+3dをこのテーブ
ルにより決定し、この飛び飛びの各次数に対応するフィ
ルタ係数h(i-2d),h(i-d),h(i),h(i+d),h(i+2
d),h(i+3d)を選択し出力する。
【0020】図7では、ディジタルフィルタ演算手段4
はFIRフィルタ構成からなり、楽音波形データ発生手
段2からアドレス信号の整数部IADに応じて発生され
る楽音波形データをサンプリング周波数fsのクロック
パルスφ(fs)によって遅延する遅延手段4aを具えて
いる。この遅延手段4aは、nサンプル点分の各整数部
IAD−2,IAD−1,IAD,IAD+1,IAD
+2,IAD+3に対応するサンプルデータX(Ii-
2),X(Ii-1),X(Ii),X(Ii+1),X(Ii+2),X(I
i+3)を供給する。これらのサンプルデータX(Ii-2),
X(Ii-1),X(Ii),X(Ii+1),X(Ii+2),X(Ii+3)
が乗算器4b1〜4b6に入力され、選択手段3bから与
えられるフィルタ係数h(i-2d),h(i-d),h(i),h(i
+d),h(i+2d),h(i+3d)と乗算される。乗算器4b1〜
4b6の出力は加算器4cで加算され、この加算出力が
FIRフィルタ出力として出力される。なお、現サンプ
ル点として取扱うサンプルデータX(Ii)が遅延手段4
aで遅延されているため、選択手段3bから与えるフィ
ルタ係数h(i-2d)〜h(i+3d)をこれに応じて適宜遅延し
て乗算器4b1〜4b6に与えるようにするとよい。ここ
で、上述した図4(a)〜(c)の関係を別の表現で整理す
ると、アドレス信号における小数部の分割数d(上記の
設例ではd=16)に応じてn=m/dなる関係でn
(上記の設例ではn=6)を決定し、決定すべきn個の
フィルタ係数はdの間隔で順次離隔したn個の次数に夫
々対応するものからなり、現在のアドレス信号の小数部
FADの値に応じて前記n個の次数を夫々決定し、こう
して現在のアドレス信号の小数部FADに応じて決定さ
れたn個の次数に対応するn個のフィルタ係数をフィル
タ係数供給手段3により供給するのである。
【0021】こうして、この発明によれば、m次フィル
タのたたみこみ演算において、本来なら全次数mの係数
データにつき演算を行わねばならないところを、n=m
/d個の係数データに関してのみ演算を行えばよく、演
算規模を1/dに縮小することができる。しかも、実際
の演算におけるサンプリング周波数はfsでありなが
ら、d・fsの高分解能でディジタルフィルタ演算を行っ
たのと等価の結果が得られる。次に、回路構成規模をあ
まり拡大すること無くフィルタ演算の精度を向上するこ
とについて説明する。m次分のフィルタ係数を用いてそ
のq倍の次数つまりq・m次のフィルタ演算を行うに
は、m次分のフィルタ係数の隣接するものの間で夫々分
解能qの補間を行い、これによりq・m次分のフィルタ
係数を密に発生させるようにすればよい。このようなq
倍の補間により、ディジタルフィルタ演算における等価
的なサンプリング周波数はq・d・fsという高分解能と
なり、フィルタ次数はq・m次となるので、フィルタ演
算の精度をかなり向上させることができる。次に、この
発明のより具体的な実施例について図8を参照して説明
する。図8の実施例では、アドレス信号の小数部FAD
の分割数をd=16とし、フィルタの次数をm=96とし、
n=6となるようにしている。そして、更に、m次のフ
ィルタ係数の隣接するものの間で夫々分解能q=4の補
間を行い、これによりq・m次=384次分のフィルタ係数
を密に発生させるようにしている。従って、アドレス信
号の小数部FADは、基本的には分割数d=16=「2
の4乗」に対応する4ビットのデータからなり、これに
更に下位2ビットを付加して分解能q=4の補間ステッ
プを指示するようにしている。従って、この実施例の場
合、アドレス信号の小数部FADは6ビットのデータか
らなる。また、サンプリング周波数はfs=50kHzに
固定されており、ピッチ非同期で楽音信号を発生するよ
うになっている。また、この実施例ではディジタルフィ
ルタは前述と同様に折返しノイズを除去するためのロー
パスフィルタ特性のFIRフィルタとして構成されてい
る。
【0022】鍵盤10は発生すべき楽音の音高を指定す
るための複数の鍵を具えている。鍵盤10で押圧された
鍵はキーアサイナ11において検出され、押圧鍵に対応
する楽音を発生すべきことが複数の楽音発生チャンネル
の何れかに割当てられる。楽音発生チャンネル数は一例
として8であり、各チャンネルは共通の楽音発生手段を
時分割共用することにより確立されるようになってい
る。キーアサイナ11は、各チャンネルに割当てた鍵の
キーコードKCとキーオン信号KON及びキーオンパル
スKONPをチャンネルタイミングに対応して時分割的
に出力する。アドレス信号発生回路12はキーアサイナ
11からのキーコードKCとキーオンパルスKONPを
受けて、各チャンネルに割当てられた鍵の音高に対応す
るレートで変化するアドレス信号を各チャンネルタイミ
ングに対応して時分割的に発生する。このアドレス信号
は、前述の通り整数部IADと小数部FADとからなっ
ている。整数部IADは、例えば、18ビットのデータ
からなり、楽音波形メモリ13に準備された複数周期か
ら成る楽音波形の連続的なサンプル点を指定するもので
あり、小数部FADは前述の通り6ビットのデータであ
る。一例として、楽音波形メモリ13は、アタック部の
複数周期波形のデータと持続部の複数周期波形のデータ
とを記憶しているとすると、アドレス信号発生回路12
では、キーオンパルスKONPをトリガとしてアタック
部の複数周期波形データを1回読み出し、続いて持続部
の複数周期波形データを繰返し読み出すように、アドレ
ス信号を発生する。なお、アドレス信号発生回路12に
おけるアドレス信号発生方式は、周波数ナンバを繰返し
演算する方式や可変分周方式、あるいはノートクロック
をカウントする方式など、どのような方式を用いてもよ
い。
【0023】鍵盤10に関連してタッチ検出装置14が
設けられており、押圧鍵のタッチを検出する。楽音波形
メモリ13は、一例として、前述のように複数周期波形
のサンプルデータを記憶しており、そのような波形サン
プルデータを音色選択回路15で選択可能な音色に対応
して複数組記憶している。また、音高に応じた音色のキ
ースケーリング制御あるいは鍵タッチに応じた音色の制
御のために、更に複数組の波形サンプルデータを記憶し
ていてもよい。そのために、音色選択コードTC,キー
コードKC,タッチデータTDが楽音波形メモリ13に
入力されており、これらに応じて読み出すべき波形が選
択され、これがアドレス信号の整数部IADに応じて読
み出される。アドレス信号発生回路12から発生された
アドレス信号の整数部IADのデータは楽音波形メモリ
13の位相アドレス入力に加わるが、これは直接加わる
のではなく、演算器(引算器16,加算器17)を経由
して加わる。この演算器16,17は、ディジタルフィ
ルタにおけるサンプルデータ遅延手段(図7の4aに該
当するもの)と等価的な働きをなすものである。すなわ
ち、この実施例では、楽音波形メモリ13から発生した
サンプルデータを実際に遅延することによりn(=6)
サンプル点分の各整数部IAD−2,IAD−1,IA
D,IAD+1,IAD+2,IAD+3に対応するサ
ンプルデータを得ているのではなく、アドレス信号の整
数部IADのデータに対して演算器16,17で時分割
的に−2,−1,0,+1,+2,+3を加算すること
によりn(=6)サンプル点分の各整数部IAD−2,
IAD−1,IAD,IAD+1,IAD+2,IAD
+3のアドレスデータを時分割的に発生し、これに応じ
てメモリ13を読み出すことによりこれらn(=6)サ
ンプル点分の各整数部IAD−2,IAD−1,IA
D,IAD+1,IAD+2,IAD+3に対応するサ
ンプルデータを得ているのである。
【0024】そのための演算タイミングについて詳しく
示すと、図9のようであり、CACはサンプリング周波
数fs=50kHzの周期で発生する計算サイクルパルス
を示し、この1周期を8分割して8チャンネルの時分割
タイミングCH1〜CH8が形成され、各チャンネルの
時分割タイムスロットを夫々6分割して6次分のフィル
タ演算タイムスロットが形成される。フィルタ演算タイ
ムスロットの1周期はマスタクロックパルスMCの1周
期であり、このマスタクロックパルスMCをモジュロ6
のカウンタでカウントすることにより1チャンネルタイ
ムスロット内の6個のフィルタ演算タイムスロット0,
1,2,3,4,5を区別するスロットカウントデータ
SLCTRが得られる。SMCはフィルタ演算サイクル
パルスであり、1周期が1チャンネルタイムスロットに
同期している。計算サイクルパルスCACが50kHzで
あるとすると、フィルタ演算サイクルパルスSMCは40
0kHz、マスタクロックパルスMCは2.4MHzであ
る。上述の各パルス及びカウントデータはマスタクロッ
ク発生器22及びタイミング信号発生回路23から発生
される。引算器16では、現在のアドレス信号の整数部
IADの2サンプル点前のサンプル点の整数部の値IA
D−2を求めるために、IADから2を引算するもので
ある。こうして求められたデータIAD−2は加算器1
7に入力され、スロットカウントデータSLCTRが加
算される。このスロットカウントデータSLCTRは、
図9に示すように、1チャンネルタイムスロット内で
0,1,2,3,4,5と変化するものであるから、1
チャンネルタイムスロット内の6個のフィルタ演算タイ
ムスロット0,1,2,3,4,5に対応して、6サン
プル点分の各整数部IAD−2,IAD−1,IAD,
IAD+1,IAD+2,IAD+3のアドレスデータ
が加算器17から時分割的に発生される。これに応じ
て、メモリ13からこれら6サンプル点分の各整数部I
AD−2,IAD−1,IAD,IAD+1,IAD+
2,IAD+3に対応するサンプルデータが時分割的に
読み出される。
【0025】メモリ13から読み出されたサンプルデー
タはフィルタ係数乗算用の乗算器18に入力される。フ
ィルタ係数はアドレス信号の小数部FADに応じてフィ
ルタ係数供給回路24から後述するように供給される。
乗算器18の出力はアキュムレータ19に入力され、た
たみこみ和が求められる。このアキュムレータ19はマ
スタクロックパルスMCのタイミングで(つまりスロッ
トカウントデータSLCTRの各ステップ毎に)アキュ
ムレートを行い、フィルタ演算サイクルパルスSMCの
タイミングでクリアされる。アキュムレート値をクリア
する直前に、今回の演算で求めたたたみこみ和がラッチ
回路20にラッチされる。これらの引算器16,加算器
17,乗算器18,アキュムレータ19,ラッチ回路2
0の部分がFIR型のディジタルフィルタ演算回路21
に相当する。フィルタ係数供給回路24は、m=96次
のフィルタ係数(0次〜95次)を夫々記憶したフィル
タ係数メモリ25,26と、この96次のフィルタ係数
のうちn=6個をアドレス信号の小数部FADの値に応
じて選択するための選択手段27と、補間回路28とを
具えている。2系列のフィルタ係数メモリ25,26は
全く同じものであり、補間回路28における補間のため
に隣接する2つのフィルタ係数を並列的に読み出すため
に2系列のフィルタ係数メモリ25,26が設けられて
いる。このフィルタ係数メモリ25,26に記憶するフ
ィルタ係数のインパルス応答は例えば前出の図4(c)
に示すようなものであり、これによって実現されるフィ
ルタ特性は例えば前出の図4(e)または図5に示すよ
うなローパスフィルタ特性であり、サンプリング周波数
fs=50kHzの半分のfs/2=25kHzをカットオフ
周波数としている。
【0026】選択手段27は、アドレス信号の小数部F
ADの値に応じて、n=6サンプル点分の各整数部IA
D−2,IAD−1,IAD,IAD+1,IAD+
2,IAD+3に対応する次数k−FAD−2d,k−
FAD−d,k−FAD,k−FAD+d,k−FAD
+2d,k−FAD+3dを決定し、決定した次数をア
ドレス信号としてフィルタ係数メモリ25,26からフ
ィルタ係数h(i-2d),h(i-d),h(i),h(i+d),h(i+
2d),h(i+3d)を選択的に読み出すものであり、この決
定を演算によって行うために引算器29,乗算器30,
加算器31を具えている。引算器29にアドレス信号の
小数部FADの上位4ビットデータを入力し、“15−
FAD”の引算を行う。乗算器30にはスロットカウン
トデータSLCTRを入力し、“16×SLCTR”の
乗算を行う。引算器29と乗算器30の出力を加算器3
1で加算し、上述の次数k−FAD−2d,k−FAD
−d,k−FAD,k−FAD+d,k−FAD+2
d,k−FAD+3dを指示するデータを出力する。ス
ロットカウントデータSLCTRの各値0〜5に対応す
る加算器31の出力つまり決定した次数は次の通りであ
る。下記表には夫々に対応する6サンプル点分の各整数
部の値IAD−2,IAD−1,IAD,IAD+1,
IAD+2,IAD+3も示されている。
【0027】
【表1】
【0028】k=47,d=16とすれば、上述のよう
に定義した各次数k−FAD−2d,k−FAD−d,
k−FAD,k−FAD+d,k−FAD+2d,k−
FAD+3dが上記表のようになることが理解されよ
う。従って、選択手段27における演算回路構成は、一
般的には、“k−FAD+(SLCTR−2)×d”=
“47−FAD+(SLCTR−2)×16”なる演算
式を実行するように構成すればよい。加算器31の出力
はそのままフィルタ係数メモリ25に入力される一方
で、加算器32で1加算されてフィルタ係数メモリ26
に入力される。こうして、隣接する次数の2つのフィル
タ係数データがフィルタ係数メモリ25,26から読み
出される。この2つのフィルタ係数データは補間回路2
8に入力され、アドレス信号の小数部FADの下位2ビ
ットデータに応じて4ステップの補間特性(例えば直線
補間特性)で補間される。こうしてメモリ25,26に
は実際にはm=96次分のフィルタ係数しか記憶されて
いないが、補間により、q・m=4×96=384次分
のフィルタ係数を密に準備しているのと等価である。補
間回路28の出力は前記乗算器18に入力される。な
お、4倍の補間により、補間回路28からスロットカウ
ントデータSLCTRの各タイミングに対応して出力さ
れるフィルタ係数の次数は実質的には下記表のように変
更されている。
【0029】
【表2】
【0030】なお、表1ではFADはモジュロ16(d=
16)であるが、表2ではFADはモジュロ64(d=64)
である。ラッチ回路20から出力されたフィルタ演算出
力信号は乗算器33に与えられ、エンベロープ発生器3
4から与えられる振幅エンベロープ信号が乗算される。
エンベロープ発生器34は、キーコードKC,音色選択
コードTC,タッチデータTDに応じて制御されたエン
ベロープ波形信号をキーオン信号KONに基づき発生す
る。乗算器33の出力はアキュムレータ35に入力さ
れ、全チャンネルのサンプルデータの合計が求められ
る。このアキュムレータ35はフィルタ演算サイクルパ
ルスSMCのタイミングで(つまり各チャンネルタイミ
ング毎に)アキュムレートを行い、計算サイクルパルス
CACのタイミングでクリアされる。アキュムレート値
をクリアする直前に、今回求めた全チャンネルのサンプ
ルデータの合計がラッチ回路36にラッチされる。ラッ
チ回路36から出力される楽音信号のサンプリング周波
数はfs=50kHzであり、ディジタルフィルタ演算回
路21におけるfs/2=25kHzをカットオフ周波数
とするローパスフィルタ特性のフィルタリングによって
折返しノイズが確実に除去されている。ラッチ回路36
の出力信号はディジタル/アナログ変換器37でアナロ
グ信号に変換され、サウンドシステム38に至る。ま
た、ラッチ回路36の出力信号は、例えばリバーブ,エ
コーその他の楽音効果を付与するためのディジタル効果
回路39に入力され、楽音効果が付与された後、ディジ
タル/アナログ変換器37でアナログ信号に変換され、
サウンドシステム38に与えられる。
【0031】なお、前述のようにフィルタ出力信号のレ
ベルが本来の1/d=1/16に低下することへの対処
は、フィルタ係数メモリ25,26に記憶するフィルタ
係数のレベルを予め16倍にしておくか、補間回路28
から乗算器18に与えられる係数データを4ビット上位
にシフトしてやればよい。次に、図8の構成に比べて回
路構成規模をそれほど拡張することなく、フィルタ演算
の精度を向上させる実施例について説明する。図8の実
施例においては、図4(a)に示すようなサンプリング周
波数fs=50kHzの楽音波形サンプルデータを、見掛け
上d・fs=16×50=800kHzのドメインのサンプリング
周波数とするために、図4(b)に示すようにd・fs=
800kHzのクロックのd回につきd−1回の割合でサン
プル値“0”を挿入したものとみなして処理し、サンプ
ル値“0”に対応する次数に関してはフィルタ演算を省
略している。これに対して、以下述べる第11図の実施
例では、図4(a)に示すようなサンプリング周波数fs
=50kHzの楽音波形サンプルデータを、図10(a)
に示すようなd・fs=800kHzのドメインで0次ホール
ドした状態のデータであると解釈し、サンプリング周波
数d・fs=800kHzの全サンプル点で有効な値を持つサ
ンプルデータに対して前記実施例と同様に簡略化された
フィルタ演算を施すのである。
【0032】図10(b)は図4(c)と同様のm=96
次のローパスフィルタ特性のインパルス応答を例示する
ものである。前述と同様に現在のアドレス信号の位相C
ADを所定の基準次数k(例えば中間の47次)に対応
させて、図10(a)のサンプルデータと図10(b)
のインパルス応答のたたみこみ和を求める。このたたみ
こみ和は、一般的には、
【数1】 と表わされる。ここで、x(ωs')は現在のアドレス信号
の位相CADに対応するたたみこみ和、h(95-i)はフィ
ルタ係数、W(i)はd・fs=800kHzのドメインのサン
プル値つまり図10(a)の各サンプル点のサンプルデー
タである。
【0033】図10(a)に示す波形のスペクトルエンベ
ロープは図10(c)のようである。不要な高調波成分が
減衰しており、都合が良い。従って、上記式に従って得
られるフィルタ出力信号においても不要な折返し成分が
十分に減衰したものとなる。ところで、上記のような一
般式では96回の積和が必要であるが、図10(a)の波
形サンプルデータにおいては同じ振幅がd=16回続い
ているので、これを一まとめにして演算を行えば、積和
の回数を7回に減らすことができ、図8の実施例の6回
とあまり変わらない演算規模に縮小することができる。
つまり、図10(a)を参照すると、アドレス信号の整数
部IAD−2とIAD−1の間で同じ波形サンプルデー
タがd=16回続いており、これを一まとめにして1回
の係数乗算で済ますことができ、IAD−1とIADの
間も同様、IADとIAD+1の間も同様、IAD+1
とIAD+2の間も同様、IAD+2とIAD+3の間
も同様、である。そして、IAD−3とIAD−2の間
ではd=16よりも少ない回数だけ同じ波形サンプルデ
ータが続いており、これを一まとめにして1回の係数乗
算で済ますことができ、また、IAD+3とIAD+4
の間も同様、である。従って、合計7回の積和で上記式
と等価のたたみこみを行うことができる。
【0034】そのために、図11の実施例では、同じ波
形サンプルデータに対応する最大d=16個の次数のフィ
ルタ係数を予め合計しておき、これを1個のフィルタ係
数データとして取扱って、1回の係数演算で積和を求め
るようにしている。例えば、W・h0+W・h1+W・
h2+W・h3+W・h4+W・h5+W・h6の計算
を7回の乗算で行う代わりに、h0+h1+h2+h3
+h4+h5+h6の合計値を予め準備しておき、W・
(h0+h1+h2+h3+h4+h5+h6)という
1回の乗算で積和を求めるのである。図11において、
図8の実施例と同一の部分は同一符号を付している。変
更箇所は、図8の引算器16,マスタクロック発生器2
2,タイミング信号発生回路23,フィルタ係数メモリ
25,26に対応する引算器160,マスタクロック発
生器220,タイミング信号発生回路230,フィルタ
係数メモリ250,260の部分である。前述のよう
に、この実施例では1サンプル点のフィルタ演算におい
て7回の積和演算を行うため、1チャンネルタイムスロ
ット内のフィルタ演算タイムスロットは7個必要であ
り、演算タイミングは図12のように変更される。図1
2において、計算サイクルパルスCACは前述と同様に
サンプリング周波数fs=50kHzの周期で発生し、こ
の1周期を8分割して8チャンネルの時分割タイミング
CH1〜CH8が形成されることも前述と同様である
が、各チャンネルの時分割タイムスロットは夫々7分割
されて7個のフィルタ演算タイムスロットが形成され
る。スロットカウントデータSLCTRは、この実施例
においては1チャンネルタイムスロット内の7個のフィ
ルタ演算タイムスロット0,1,2,3,4,5,6を
区別するように変更される。マスタクロックパルスMC
をモジュロ7のカウンタでカウントすることにより1チ
ャンネルタイムスロット内の7個のフィルタ演算タイム
スロット0〜6を区別するスロットカウントデータSL
CTRが得られる。従って、マスタクロックパルスMC
の周波数は2.8MHzに変更される。これに従ってマス
タクロック発生器220及びタイミング信号発生回路2
30の構成が変更されている。
【0035】また、1回のフィルタ演算で7サンプル点
分のアドレス信号の整数部に対応するサンプルデータに
関して演算を行うので、現アドレス信号の整数部IAD
の3サンプル点前の整数部IAD−3に対応するサンプ
ルデータが余分に必要となってくる。そこで、図8の引
算器16に対応する図11の引算器160では、現アド
レス信号の整数部IADから3を引算して“IAD−
3”を求めるように変更されている。フィルタ係数メモ
リ250,260は、m=96次のフィルタ係数のうち1
又は複数のフィルタ係数の合計に対応するフィルタ係数
グループ値を予め記憶しており、前述と同様に両メモリ
250,260は同じ記憶内容である。メモリ250,
260に予め記憶しておくフィルタ係数グループ値は、
表3に示すように、全次数に関するd=16個毎の次数の
フィルタ係数を合計したもの(これは81組あり、一例
としてアドレス16〜96に記憶されている)と、図1
0(b)のインパルス応答の左端のためのd=16個未
満のフィルタ係数を合計したもの(これは15組あり、
一例としてアドレス1〜15に記憶されている)と、同
インパルス応答の右端のためのd=16個未満のフィル
タ係数を合計したもの(これも15組あり、一例として
アドレス97〜111に記憶されている)、の111組
からなる。なお、アドレス0には“0”を記憶しておく
が、これはアドレスデータを発生する選択手段27を図
8と同一構成にしたために生じた設計上の事項であるに
すぎない。なお、基準とする中間次数(47次)のデー
タは47〜62次のフィルタ係数の合計値であり、これ
はアドレス63に記憶されているものとする。
【0036】
【表3】
【0037】この構成において、スロットカウントデー
タSLCTRの各値0〜6に対応して選択手段27の加
算器31から出力されるデータは、次数そのものを表わ
しているのではなく、前記表3に示すようなフィルタ係
数メモリ250,260のアドレスを表わしている。ア
ドレス信号の小数部FADに応じてスロットカウントデ
ータSLCTRの各値0〜6に対応して選択手段27の
加算器31から出力される係数メモリアドレスデータの
値は下記表4の通りである。下記表には夫々に対応する
7サンプル点分の各整数部IAD−3,IAD−2,I
AD−1,IAD,IAD+1,IAD+2,IAD+
3も示されている。
【0038】この場合のメモリ読み出しの考え方は、前
述の実施例と同様に、基準とする中間次数(47次)に
対応するアドレス63に記憶した係数データ(47〜6
2次のフィルタ係数の合計値)を現在のアドレス信号の
小数部FADに対応させ、この現在のアドレス信号の小
数部FADに対する7サンプル点分の各整数部IAD−
3,IAD−2,IAD−1,IAD,IAD+1,I
AD+2,IAD+3の隔たりに対応する量だけ前記基
準のアドレス63から隔たっている7個の係数メモリア
ドレスを夫々飛び飛びに決定し、こうして決定した7個
の係数メモリアドレスから7組のフィルタ係数グループ
値データを夫々読み出すようにするのである。また、前
述と同様に、隣接するアドレスのフィルタ係数グループ
値データが両メモリ250,260から並列に読み出さ
れ、補間が行われるようにもなっている。
【0039】
【表4】
【0040】表3と表4を参照すると、例えば、アドレ
ス信号の小数部FADが「6」ならば、SLCTRが0
のとき係数メモリアドレスが9であり、0〜8次のフィ
ルタ係数の合計データがフィルタ係数メモリ250から
読み出され、SLCTRが1のときはアドレスが25で
9〜24次のフィルタ係数の合計データが、SLCTR
が2のときはアドレスが41で25〜40次のフィルタ
係数の合計データが、SLCTRが3のときはアドレス
が57で41〜56次のフィルタ係数の合計データが、
SLCTRが4のときはアドレスが73で57〜72次
のフィルタ係数の合計データが、SLCTRが5のとき
はアドレスが89で73〜88次のフィルタ係数の合計
データが、SLCTRが6のときはアドレスが105で
89〜95次のフィルタ係数の合計データが、夫々読み
出される。このように7組のフィルタ係数グループ値に
よって0〜95次の全フィルタ係数がカバーされてい
る。
【0041】以上の通り、図11の実施例によれば、図
10(a)に示すようなd・fs=800kHzのドメインで0
次ホールドした状態のサンプルデータに対するm=96
次の全てのフィルタ係数の積和を求める演算を、実際に
はたった7回だけの演算で遂行することができる。従っ
て、簡単な構成でありながら、折返し成分を十分に減衰
させたスペルクトル構成の波形データを用いて、精度の
良いフィルタ演算を行うことができる。なお、図8,図
11の実施例では、ディジタルフイルタ演算回路21に
おいて、サンプルデータを遅延する手段として遅延回路
を実際に設けるかわりに楽音波形メモリ13のアドレス
を制御する演算器を設けているが、これは図7のように
遅延回路を実際に設けるようにしてもよい。また、楽音
波形サンプルデータ発生手段として、複数周期波形を記
憶した楽音波形メモリ13を用いているが、これに限ら
ず、単に1周期波形を記憶した楽音波形メモリ、あるい
は周波数変調演算によって楽音波形サンプルデータを発
生する方式、あるいは振幅変調演算によって楽音波形サ
ンプルデータを発生する方式、あるいはアドレスデータ
をデータ変換して楽音波形サンプルデータを発生する方
式など、どのような方式のものを用いても良い。また、
上記実施例では、各チャンネルの楽音発生及びフィルタ
演算を時分割処理方式によって行っているが、これは並
列処理であってもよい。また、複音発生方式に限らず、
単音発生方式であってもよい。また、図8,図11の実
施例において、音色選択コードTC,キーコードKC,
タッチデータTDに応じた波形を楽音波形メモリ13で
選択するには、これらのデータTC,KC,TDを楽音
波形メモリ13に入力せずに、アドレス信号発生回路1
2に入力し、アドレス信号の上位ビットによって選択で
きるように該アドレス信号発生回路12を構成してもよ
い。
【0042】なお、図4(c)あるいは図10(b)の
ように中間の次数を中心にして対称形をなしたインパル
ス応答の場合、フィルタ係数を全次数分メモリに記憶し
ておく必要はなく、半分だけ記憶しておき、対称位置に
ある同じ値のフィルタ係数を異なる次数間で共用するよ
うにしてもよい。また、フィルタ係数メモリ25,26
または250,260を1個にし、補間用の2つの隣接
する係数データを時分割で読み出すようにしてもよい。
その場合、マスタクロックパルスMCの周波数を2倍に
して、1つのフィルタ演算タイムスロット内に補間用の
2つの時分割タイムスロットを形成する。図8,図11
の実施例では、フィルタ係数メモリから読み出したフィ
ルタ係数を4ステップで補間しているが、補間ステップ
数はこれに限らない。また、補間を行わなくてもよい。
また、フィルタ演算形式は、上述のFIR型に限らず、
IIR(無限インパルス応答)型やその他の形式であっ
てもよい。また、この発明で使用するディジタルフィル
タの用途は、上記実施例のような折返しノイズ除去の用
途に限らず、音色制御等その他の用途であってもよい。
その場合、音色選択コードTC、キーコードKC、タッ
チデータTD等に応じてフィルタ特性を選択するように
する。つまり、フィルタ係数メモリに複数のフィルタ特
性に対応するフィルタ係数データを夫々記憶しておき、
音色選択コードTC、キーコードKC、タッチデータT
D等に応じて所望の音色を実現するフィルタ係数データ
の組を選択し、これをアドレス信号の小数部に応じて読
み出すようにするのである。
【0043】また、キーコードKCに応じた音色のキー
スケーリング制御やタッチデータTDに応じた音色制御
の際に、メモリに予め記憶しておくフィルタ係数データ
の数を少なくしておき、このフィルタ係数データをキー
コードKCやタッチデータTDに応じて補間することに
よりフィルタ係数を密に発生するようにしてもよい。ま
た、この発明に係る楽音信号発生装置を複数系列設け、
各系列で発生する楽音信号をキーコードKCやタッチデ
ータTDに応じて補間合成するようにしてもよい。上記
実施例では、サンプリング周波数が楽音信号のピッチに
無関係に常に一定であるピッチ非同期方式によって楽音
波形サンプルデータを発生しているが、サンプリング周
波数が楽音信号のピッチに同期するピッチ同期方式によ
って楽音波形サンプルデータを発生する場合においても
この発明を適用することができる。また、楽音波形メモ
リに記憶した波形サンプルデータを全て読み出さずに、
高音域では例えば2回に1回あるいは4回に1回という
ように間引いて読み出すようにアドレス信号を制御する
ようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、発生す
べき楽音の音高に対応して変化するアドレス信号の整数
部に応じて楽音波形サンプルデータを発生し、このアド
レス信号の小数部に応じてm次のフィルタ係数に対応す
る係数データのうちn個(ただしn<m)を選択し、こ
のn個の係数データとアドレス信号の整数部に対応して
発生されたnサンプル点分の楽音波形データとを用い
て、m次のフィルタ演算をnサンプル点分の楽音波形デ
ータに関して行うようにしたので、実際に楽音波形デ
ータ発生手段で準備する楽音波形サンプルデータの分解
能はアドレス信号の整数部に対応する比較的粗いもので
あっても良い、ということにより回路構成の簡単化を図
ることができるという利点、及び実際にはmよりも少
ないnサンプル点分の楽音波形データに対応する限られ
た次数に関してフィルタ演算を行えばよい、ということ
によりディジタルフィルタ回路の構成の簡単化をも図る
ことができるという利点、の両方を享受できると共に、
実質的なフィルタ演算はアドレス信号の小数部の分解
能を持つ精度の良い楽音波形サンプルデータに対してm
次の精密なフィルタ演算を行ったのと等価となる、とい
うことにより、高分解能の楽音波形サンプルデータに対
する精密なフィルタ演算によってもたらされる種々の効
果、例えば、不要なノイズ成分を確実にカットし、良質
の楽音信号を得ることができるという利点、をも享受す
ることができる、という優れた効果を奏する。
【0045】加えて、この発明によれば、フィルタ係数
供給手段ではフィルタ係数補間手段を有しているので、
フィルタ係数発生手段で発生可能な所定次数よりも多い
m次のフィルタ係数を簡単に発生することができるとい
う効果を奏する。また、フィルタ係数供給手段では、異
なる特性を示す複数のフィルタ特性の中から、楽音を制
御するための制御データに対応するフィルタ特性を選択
し、選択されたフィルタ特性に対応するm次のフィルタ
特性を実現するための連続する各次数に対応するm個の
フィルタ係数の中から上記アドレス信号の小数部に応じ
てn個(ただしn<m)の係数データを選択して供給す
るようにしたので、前述のように簡単な構成でありなが
らm次の精密なフィルタ演算によるノイズ除去機能を得
ることができることに加えて、任意の楽音制御データに
応じた音色制御機能をも実現することができるという優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る楽音信号発生装置の一実施例
の基本的な構成を示すブロック図
【図2】 一般的なサンプリング周波数変換理論に基づ
く各段階の波形サンプルデータの一例を示す波形図
【図3】 図2の各波形サンプルデータのスペクトルエ
ンベロープの一例を示す図
【図4】 この発明におけるディジタルフィルタ演算動
作を原理的に説明するための図
【図5】 この発明に従って実現したFIRローパスフ
ィルタの振幅-周波数特性の一例を実測して示す図
【図6】 図5の特性のローパスフィルタを通した正弦
波信号のスペクトルを示す実測図
【図7】 図1におけるフィルタ係数供給手段及びディ
ジタルフィルタ演算手段の一例を示すブロック図
【図8】 この発明に係る楽音信号発生装置のより具体
的な実施例を示すブロック図
【図9】 図8の実施例における演算その他動作のタイ
ミング関係を示すタイミングチャート
【図10】 この発明の別の実施例におけるディジタル
フィルタ演算動作を説明するための図
【図11】 図10に関連するこの発明の別の実施例を
示すブロック図
【図12】 図11の実施例における演算その他動作の
タイミング関係を示すタイミングチャート
【符号の説明】
1…アドレス信号発生手段、2…楽音波形サンプルデー
タ発生手段、3…フィルタ係数供給手段、4…ディジタ
ルフィルタ演算手段、3a…フィルタ係数発生手段、3
b,27…選択手段、4a…遅延手段、4b1〜4b6
…乗算器、4c…加算器、12…アドレス信号発生回
路、13…楽音波形メモリ、21…ディジタルフィルタ
演算回路、24…フィルタ係数供給回路、25,26,
250,260…フィルタ係数メモリ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生すべき楽音の音高に対応するレート
    で変化する整数部と小数部とからなるアドレス信号を発
    生するアドレス信号発生手段と、 上記アドレス信号の整数部に応じて楽音波形サンプルデ
    ータを発生する楽音波形データ発生手段と、 楽音を制御するための制御データを発生する制御データ
    発生手段と、 異なる特性を示す複数のフィルタ特性の中から前記制御
    データに対応するフィルタ特性を選択し、選択されたフ
    ィルタ特性に対応する所定次数からなるフィルタ係数を
    発生可能なフィルタ係数発生手段及びこのフィルタ係数
    発生手段から発生されたフィルタ係数を補間することに
    より前記所定次数よりも多いm次のフィルタ係数が発生
    可能なフィルタ係数補間手段を有し、上記アドレス信号
    の小数部に応じて前記フィルタ係数発生手段でのフィル
    タ係数の発生及びフィルタ係数補間手段での補間を制御
    することにより、m次のフィルタ特性を実現するための
    連続する各次数に対応するm個のフィルタ係数の中から
    n個(ただしn<m)の係数データを選択して供給する
    フィルタ係数供給手段と、 このn個の係数データと上記楽音波形データ発生手段で
    発生されたnサンプル点分の楽音波形データとを用い
    て、m次のフィルタ演算をnサンプル点分の楽音波形デ
    ータに関して行うディジタルフィルタ演算手段とを具え
    た楽音信号発生装置。
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