JPH09148746A - 多層配線基板及び半導体素子収納用パッケージ - Google Patents

多層配線基板及び半導体素子収納用パッケージ

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JPH09148746A
JPH09148746A JP7301429A JP30142995A JPH09148746A JP H09148746 A JPH09148746 A JP H09148746A JP 7301429 A JP7301429 A JP 7301429A JP 30142995 A JP30142995 A JP 30142995A JP H09148746 A JPH09148746 A JP H09148746A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内蔵されるコンデンサ部の高誘電率化に対し
て、コンデンサ部の剥がれや基板の割れが発生しやす
く、また耐電圧が低く、信頼性が不十分であった。 【解決手段】比誘電率が14以下のAl2 3 を主成分
とする絶縁層2間および/または表面にメタライズ配線
層7が配設された絶縁基板の内部または表面に、ZrO
2 −W,Mo−Al2 3 系の比誘電率が20以上の高
誘電体層3を一対の電極層4、5により挟持してなるコ
ンデンサ部6を積層したものであって、且つ高誘電体層
3と絶縁層2間の室温から400℃における熱膨張係数
の差を1.5×10-6/℃以下に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高誘電体層と一対
の電極からなるコンデンサ部を具備する多層配線基板お
よび半導体素子収納用パッケージに関するもので、より
詳細には安定した電気的特性と、コンデンサ部と絶縁層
との剥がれや基板の割れのない優れた密封性能と耐電圧
特性を有する多層配線基板およびパッケージに関する。
【0002】
【従来技術】半導体素子収納用パッケージでは、半導体
素子(集積回路)は外来ノイズや不要輻射により誤動作
を生じ易いために、従来より10〜数百nF程度の静電
容量を持ったコンデンサを電源側と接地側との間に介在
することにより、ノイズを吸収し誤動作を防止してい
た。このコンデンサは一般にはセラミック誘電体と、そ
の上下面に形成された一対の電極からなり、従来はこの
コンデンサの接続をパッケージとは別の外付けにより行
なっていたため、実装密度の向上を図ることができなか
った。
【0003】このような欠点を解決するための方法とし
て、アルミナを主成分とする絶縁層の間に、アルミナ等
の誘電体層と、WあるいはMoからなる一対の電極層と
からなるコンデンサ部を介装した半導体素子収納用パッ
ケージが知られている(特開昭62−169461号公
報参照)。
【0004】また、アルミナ中にWまたはMoからなる
高誘電率付与剤を含有する高誘電体層の上下面にWまた
はMo等の高融点金属を主成分とするペーストを塗布ま
たは印刷してなる一対の電極層が形成されたコンデンサ
部をアルミナを主成分とする絶縁層間に介装した多層ア
ルミナ質配線基板が特開平3−87091号公報にて提
案されている。
【0005】さらには、ZrO2 −Al2 3 系材料に
よって高誘電率化を図り、この材料を高誘電体層とする
コンデンサ部をアルミナ絶縁層間に介装した多層配線基
板が、特開平7−29764号にて提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1694
61号公報にて提案されるような、アルミナ等の誘電体
層とWあるいはMoからなる一対の電極層とからなるコ
ンデンサ部を具備したものでは、誘電体層の比誘電率が
せいぜい10程度であるため、高い静電容量を得るため
には誘電体層を数多く積層する必要があり、誘電体層を
数多く積層すればパッケージが大型化してしまうという
問題があった。
【0007】また、特開平3−87091号に提案され
るように、アルミナなどの絶縁性セラミックス中にW、
Moなどの金属成分を分散させると、その金属量が増加
するに従い徐々に比誘電率を高めることができるが、こ
れらの金属成分の量が増えすぎると絶縁層を形成する、
例えばアルミナセラミックスとの熱膨張係数差が大きく
なり、コンデンサ部を積層した基板において、積層箇所
が剥がれたり、割れ等が生じたり、また、半導体素子収
納用パッケージにおいては、その密封性能が低下すると
いう問題が生じる。また、金属成分の分散金属同士が接
触してコンデンサ部の電極間でリークを生じたり、分散
金属同士が接触しない状態においても、コンデンサ部の
電極間に高電圧が印加された時にリークしてしまう等の
問題があった。
【0008】さらに、特開平7−29764号に提案さ
れるように、ZrO2 −Al2 3系の高誘電体層で
は、ZrO2 自体の比誘電率が30と高いために、Zr
2 の添加量を増加することにより、比誘電率を大幅に
向上できる。また、ZrO2 −Al2 3 系は、すべて
セラミックスであるために特開平3−87091号のよ
うな金属成分によるリーク等の問題は生じにくい。
【0009】ところが、比誘電率が20以上のZrO2
−Al2 3 の誘電体層をAl2 3 を主体とする絶縁
層間に電極とともに積層した場合、ZrO2 自体の熱膨
張係数が10.5×10-6/℃(室温〜400℃)と高
いために、誘電体層と絶縁層との熱膨張係数の差が大き
くその差がおよそ1.7×10-6/℃以上となり、コン
デンサ部の剥がれや基板に割れ等が生じたり、パッケー
ジにおいては密封性能が低下するといった問題があっ
た。
【0010】その他、比誘電率が20以上の高誘電率材
料としては、BaOやTiO2 、PbOを含む誘電体材
料が古くから知られているが、これらの材料では、配線
基板として絶縁性能に優れたアルミナなどの絶縁材料と
の熱膨張の整合が難しく、しかも絶縁層やW、Moなど
の配線層との同時焼成が難しいために、基板の多層配線
化そのものが困難であった。
【0011】従って、本発明の目的は、比誘電率が20
以上の高誘電体層を有するコンデンサ部を内蔵しつつ、
安定した電気的特性と優れた気密性を有し、コンデンサ
部の剥がれや基板の割れ等の生じにくい信頼性の高い配
線基板および半導体素子収納用パッケージを提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の多層配線基板
は、比誘電率が14以下の絶縁層と、メタライズ配線層
とからなる絶縁基板の内部または表面に、比誘電率が2
0以上の高誘電体層と、一対の電極層とからなるコンデ
ンサ部を積層したものであって、且つ前記高誘電体層と
前記絶縁層との室温から400℃における熱膨張係数の
差が1.5×10-6/℃以下であることを特徴とするも
のである。
【0013】また、本発明の多層配線基板は、Al2
3 を主体とするセラミックスからなる絶縁層と、メタラ
イズ配線層とからなる絶縁基板の内部または表面に、少
なくともZrO2 とAl2 3 とを含有し、前記絶縁層
よりも高誘電率を有する高誘電体層と、一対の電極層と
からなるコンデンサ部を積層してなり、且つ前記高誘電
体層と前記絶縁層との室温から400℃における熱膨張
係数の差が1.5×10-6/℃以下であることを特徴と
する。
【0014】さらに、本発明の半導体素子収納用パッケ
ージは、比誘電率が14以下の絶縁層と、メタライズ配
線層と、半導体素子を収納するための収納部とを具備す
る絶縁基板と、蓋体とからなる半導体素子収納用パッケ
ージにおいて、前記絶縁基板の内部または表面に、比誘
電率が20以上の高誘電体層と、一対の電極層とからな
るコンデンサ部を積層してなり、且つ前記高誘電体層と
前記絶縁層との室温から400℃における熱膨張係数の
差が1.5×10-6/℃以下であることを特徴とするも
のである。
【0015】また、本発明によれば、上記の多層配線基
板および半導体素子収納用パッケージにおいて、望まし
くは、前記高誘電体層の耐電圧が0.3kV/mm以上
であり、前記絶縁層の室温から400℃における熱膨張
係数が6.7〜7.5×10-6/℃であり、前記高誘電
体層の室温から400℃における熱膨張係数が7.5〜
8.5×10-6/℃以下である。また、前記高誘電体層
は、Zrを酸化物換算で39〜70重量%、Alを酸化
物換算で10〜47重量%、Mo、Wのうちの少なくと
も1種を10〜35重量%の割合で含むことが望まし
い。
【0016】
【作用】本発明によれば、多層配線基板において、比誘
電率が14以下の絶縁層間あるいはその表面に、比誘電
率が20以上の高誘電体層と一対の電極層とからなるコ
ンデンサ部を積層したために、高誘電体層が一層であっ
ても、10nF以上(電極50mm×50mm、高誘電
体層の厚み40μm)が達成され、外来ノイズや不要輻
射による半導体素子(集積回路)の誤動作を防止し、信
頼性の高い多層配線基板あるいは半導体素子収納用パッ
ケージを提供できる。また、コンデンサの電極パターン
の設計が容易になり、且つ配線基板自体の小型化を達成
することができる。しかも、コンデンサ部の高誘電体層
と絶縁層との熱膨張係数差が1.5×10-6/℃以下で
あるために、高誘電体層と絶縁層との熱膨張差に起因す
るコンデンサ部の剥がれや基板の割れの発生を防止でき
る。
【0017】また、従来、高誘電体層をZrO2 −Al
2 3 系材料により、絶縁層をAl2 3 を主成分とす
るセラミックスにより構成した場合、熱膨張係数の差が
大きくなりコンデンサ部の剥がれや基板の割れが発生す
るのを、本発明により高誘電体層をZrO2 −Al2
3 −W,Mo系材料により構成すると、熱膨張係数をA
2 3 系絶縁層の熱膨張係数に近似させ、その差を容
易に1.5×10-6/℃以下に制御できるために、熱膨
張差に起因する剥がれや割れを未然に防止することがで
きる。
【0018】さらに、誘電体材料としてZrO2 −Al
2 3 −W,Mo系誘電体材料を用いることにより、配
線基板の絶縁層として最も高信頼性を有するAl2 3
を主成分とするセラミックスや、W、Mo等からなる配
線層と同時に焼成を行うことができる。しかも、高誘電
体層と絶縁層との熱膨張差が1.5×10-6/℃以下で
あるため、同時焼成時においてもコンデンサ部の剥がれ
や基板割れを生じることなく、高い歩留りで製造できる
ため、高品質で安価な配線基板を提供できる。また、半
導体素子収納用パッケージにおいても同様な理由により
気密性に優れた高信頼性のパッケージを提供できる。
【0019】またさらに、従来のAl2 3 −W,Mo
系高誘電体材料では、高誘電率化するためには、W、M
o等の金属成分を多量に含有しなければならず、そのた
めに高誘電体層の耐電圧が大きく低下してしまうが、本
発明におけるZrO2 −Al2 3 −W,Mo系高誘電
体材料は、高い比誘電率を有しながらも、金属成分の絶
対量が少なくできるために、高誘電体層の耐電圧を向上
することができる。その結果、配線基板や半導体素子収
納用パッケージの信頼性をさらに高めることが可能とな
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照しなが
ら具体的に説明する。 (多層配線基板の構造)図1は、本発明における多層配
線基板の一例を示す図である。図1によれば、絶縁基板
1中の絶縁層2中には、高誘電体層3と一対の電極層
4、5とから構成されるコンデンサ部6が積層内在され
ている。また、絶縁層2の表面あるいは内部にはメタラ
イズ配線層7が配設されている。また、図1の構成で
は、電極層4および5は、スルーホール8、9を通じて
基板表面に導出されている。
【0021】さらに、本発明の多層配線基板は、図1の
態様のようにコンデンサ部6を絶縁層2間に介装する他
に、例えば、図3に示すように、絶縁基板1の最表面に
電極層5、高誘電体層3および電極層4を積層形成する
こともできる。この場合、コンデンサ部6は、外気と触
れないようにその表面に樹脂などにより保護膜を形成し
てもよい。
【0022】(半導体素子収納用パッケージの構造)ま
た、図2は、本発明における半導体素子収納用パッケー
ジの一例を示す図である。図2によれば、半導体素子収
納用パッケージの絶縁基板10は、複数の絶縁層11が
積層され、絶縁層11の内部あるいは表面にはメタライ
ズ配線層12が配設されている。また、絶縁基板10の
内部には、高誘電体層13と、一対の電極層14、15
とからなるコンデンサ部16が形成されている。また、
絶縁基板10の上面には半導体素子17を収納するため
の凹部(収納部)18が形成され、凹部18は蓋体19
により密閉されている。また、コンデンサ部16の電極
層15は、スルーホール20を通じて、配線層12に接
続されている。さらに、図2の構成では、コンデンサ部
16の電極層14は、凹部18に露出して凹部の底面を
形成し、その底面に半導体素子17が搭載されている。
なお、配線層12は、スルーホール等を通じて外部端子
21に電気的に接続されている。
【0023】また、半導体素子収納用パッケージとして
は、図4乃至図8のように種々の態様が存在する。図4
のパッケージは、半導体素子17の下方には、高誘電体
層13と電極層14、15が交互に多層積層されてお
り、これらの電極層14、15はスルーホール20によ
り半導体素子17と接続されたものである。
【0024】図5のパッケージは、高誘電体層13の上
下面に電極層14、15が形成されたコンデンサ部16
が絶縁層11間に積層された構造からなり、電極層1
4、15はスルーホール20により半導体素子17と接
続されている。
【0025】図6のパッケージは、半導体素子17の下
方には、高誘電体層13の上下面に電極層14、15が
形成されており、これらの電極層14、15はスルーホ
ール20により半導体素子17と接続され、さらに、ピ
ン21が下面に固定され、これらのピン21は、電極層
14、15と接触しない状態で、電極層14、15およ
び高誘電体層13を通過し形成されたスルーホール22
を介して半導体素子17と接続されている。
【0026】図7のパッケージは、高誘電体層13と電
極層14、15が交互に積層されてコンデンサ部16が
形成され、電極層14、15はスルーホール20により
半導体素子17と接続され、さらに、半導体素子17は
ヒートシンク23に固定されている。
【0027】図8のパッケージは、フラットパッケージ
であり、高誘電体層13と電極層14、15が交互に多
層積層されており、これらの電極層13、14はスルー
ホール20により半導体素子17と接続されている。
【0028】(高誘電体層)本発明における上記配線基
板および半導体素子収納用パッケージにおいて、コンデ
ンサ部を形成する高誘電体層(図1の番号3、図2の番
号13)は、それ自体の比誘電率が20以上のものであ
る。比誘電率が20以上の材料としては、例えば、特開
平7−29764号に記載されるようなZrO2 −Al
2 3 系材料、特願平7−105315号や特願平7−
103703号に記載されるような硼珪酸ガラスに高誘
電率付与材としてTiO2 やZrO2 を添加し焼成した
材料、特願平7−102702号に記載されるようなム
ライトにW,Mo、ZrO2 等を添加した材料、特願平
7−39792号に記載されるように、Al2 3 に対
して高誘電率付与材としてTiO2 、Nb2 5 、Ta
2 5 から選ばれる少なくとも1種の成分2重量%以下
と、Mo、WおよびReから選ばれる少なくとも1種の
金属とかなる材料などが挙げられる。
【0029】(絶縁層)本発明における配線基板あるい
は半導体素子収納用パッケージの絶縁基板における絶縁
層は、それ自体の比誘電率が14以下、特に10以下の
絶縁材料により構成されるものであり、例えば、アルミ
ナ、ムライト、窒化アルミニウムのうちの少なくとも1
種を主体とする、言い換えれば50重量%以上含有する
セラミックスや、ガラスにフィラー成分として、アルミ
ナ、ムライト、シリカ、クリストバライト、フォルステ
ライト、コージェライト、スピネル、アノーサイト、Y
AG,YAM、ジルコニア、ジルコンなどを添加した、
いわゆるガラス−セラミックスなどが挙げられる。
【0030】(絶縁層と高誘電体層との熱膨張差)本発
明によれば、絶縁層と高誘電体層とは、室温から400
℃における熱膨張係数の差が1.5×10-6/℃以下、
特に1.0×10-6/℃以下であることが重要である。
この熱膨張差が1.5×10-6/℃よりも大きくなる
と、絶縁層の内部あるいはその表面に形成されたコンデ
ンサ部が同時焼成時、または冷却過程や温度サイクルが
加わった時に熱膨張差に起因して、絶縁層とコンデンサ
部とが剥がれたり、基板に割れを生じるなどの問題が発
生するためである。
【0031】前述した絶縁層形成材料および高誘電体層
形成材料を熱膨張係数が上記の範囲を満足するように適
宜選択することが必要となる。それと同時に、絶縁層と
高誘電体層とは、電極層および配線層を含め、同一条件
で焼成が可能であることが多層化するためには必要であ
る。そのためには、少なくとも高誘電体層中に、絶縁層
を構成するセラミックスの主たる構成成分を10重量%
以上、特に30重量%以上含有することが望ましい。
【0032】なお、本発明においては、前述したよう
に、熱膨張特性が異なる高誘電体層と絶縁層が直接、あ
るいは電極層を介して接する構造においては、熱膨張係
数差を1.5×10-6/℃以下に制御することが必要で
あるが、絶縁層と高誘電体層との熱膨張係数の差が1.
5×10-6/℃を越える場合には、高誘電体層と絶縁層
との間に、高誘電体層と絶縁層との中間的熱膨張特性を
有する比誘電率が14以下の中間層を形成し、絶縁層、
中間層、高誘電体層の各層間の熱膨張係数差を1.5×
10-6/℃以下に制御することも可能である。
【0033】(絶縁層と高誘電体層との好適組み合わ
せ)多層基板や半導体素子収納用パッケージに使用され
る絶縁層には、最も信頼性および量産性に優れた材料と
してアルミナを主成分とするアルミナ質セラミックスが
最も望ましい。このアルミナ質セラミックスは、Al2
3 を主体とする、言い換えれば50重量%以上含有す
るもので、具体的には、主にAl2 3 粒子と、その粒
界に存在するガラス相とから成り、そのガラス相は、C
a、Mgなどのアルカリ土類金属、Yなどの希土類元
素、AlおよびSiの群から選ばれる少なくとも1種の
元素の酸化物を含むものである。これらのガラス相形成
成分は、酸化物に換算して1〜20重量%、特に4〜
7.5重量%の割合で含有されることが望ましい。
【0034】このアルミナ質セラミックスからなる絶縁
層に対する好適な高誘電体層としては、ZrO2 と、A
2 3 と、W、Moの少なくとも1種からなるもの
で、Zrを酸化物換算で39〜70重量%、Alを酸化
物換算で10〜47重量%、W、Moのうちの少なくと
も1種を10〜35重量%の割合で含有するZrO2
Al2 3 −W,Mo系セラミック材料が望ましい。な
お、高誘電体層の比誘電率は、25以上であることが望
ましいが、その場合には、Zrを酸化物換算で39〜7
0重量%、Alを酸化物換算で10〜42重量%、W、
Moのうちの少なくとも1種を13〜35重量%の割合
で含有するセラミック材料が望ましい。
【0035】かかる組み合わせにおいては、室温から4
00℃における熱膨張係数は、絶縁層が6.7〜7.5
×10-6/℃であり、高誘電体層が7.5〜8.5×1
-6/℃以下であることが望ましい。
【0036】前述のZrO2 −Al2 3 −W,Mo系
の高誘電体層において、この高誘電体層の組成を上記の
範囲に限定したのは、Zr量が上記の範囲よりも少ない
と比誘電率が低くなるために比誘電率20以上を達成す
るにはW、Moなどの金属成分の添加量を増加させる必
要があるが、その場合、高誘電体層の耐電圧が低下する
という問題が発生する。逆に、Zr量が上記の範囲より
も多いと、アルミナ質セラミックスからなる絶縁層との
熱膨張差が大きくなり、コンデンサ部の剥がれや基板の
割れを生じやすくなる。WおよびMo量が上記の範囲よ
り多いと、誘電体層の耐電圧が低下し、また上記の範囲
より少ないと絶縁層との熱膨張係数を近似させることが
困難となる。
【0037】この場合、高誘電体層中のMo、W量に関
連して、この高誘電率層の耐電圧は0.3kV/mm以
上、特に0.5kV/mm以上であることが望ましい。
これは、耐電圧が0.3kV/mmより低いと、電圧付
加加速テストや使用時において充分な信頼性が得られな
くなる。
【0038】なお、この高誘電体層中には、上記の成分
に加え、焼結性の改善、着色化、あるいは熱膨張係数の
細かな制御のために、SiO2 、CaO、MgOなどの
アルカリ土類金属酸化物、Y2 3 などの周期律表第3
a族元素酸化物の焼結助剤、Cr2 3 、Fe2 3
CoO、NiO、MnO2 などの着色剤の他、B
2 3 、ZnOなどの添加物を全量中10重量%以下、
特に2〜7.5重量%の割合で添加することも可能であ
る。このうち、SiO2 、CaO、MgO等の成分は、
高誘電体層中において、ZrO2 粒子、Al2 3
子、W、Moなどの金属粒子の粒界においてガラス相を
形成する成分であり、電極層との密着性を高める作用も
なす。このガラス相は、焼結助剤をかねて配合されるS
i、アルカリ土類金属および希土類元素のうち少なくと
も1種の元素の酸化物と、高誘電率付与剤として添加さ
れたZrO2 粒子の一部やAl2 3 粒子の一部との反
応物として形成されるため、ガラス相中にはZrO2
微量溶け込んでいるので粒界の耐薬品性が向上する。
【0039】また、ZrO2 粒子は、高誘電率を付与す
る効果を安定化させるために立方晶および/または正方
晶ZrO2 、あるいはこれらに微量の単斜晶ZrO2
含む結晶として存在することが必要であり、このような
結晶で安定に存在させるためにZrO2 粒子中にはCa
O、MgO、Y2 3 などの希土類酸化物等をZrO2
に対して2〜20モル%の割合で固溶させることが望ま
しく、特にY2 3 を安定化材として用いた場合には、
5〜15モル%の割合で添加される。また、上記高誘電
体層のZrO2 粒子の平均結晶粒径は1.5〜20μ
m、Al2 3 粒子の平均結晶粒径は3〜20μm、W
やMoは、平均粒径10μm以下の金属相として分散し
ていることが望ましい。
【0040】なお、高誘電体層の厚みは、必要な静電容
量と高誘電体層の比誘電率により適宜決定されるが、通
常は一層あるいは多層構造で形成されるが、本発明によ
れば、電極50mm×50mm、高誘電体層厚み40μ
mで、10nF以上の静電容量が得られる。
【0041】また、高誘電体層は、後述する絶縁層との
室温から400℃における熱膨張差が1.5×10-6
℃以下、特に1.0×10-6/℃以下となるように、組
成制御することが必要であるが、高誘電体層として前述
したZrO2 −Al2 3 −W,Mo系材料を用いる場
合、前記高誘電体層中に、W,Mo等の金属成分が適量
含まれると高誘電体層自体の強度が高くなる傾向にあ
る。そのため、高誘電体層中に金属成分を含まないか、
あるいはその量が少ないと強度が低下するため、絶縁層
との熱膨張係数差は1×10-6/℃以下に制御する必要
があるが、高誘電体層中の金属成分量を10重量%以上
とすれば、高誘電体層が高強度化されるため、熱膨張係
数差が1.5×10-6/℃まで十分に許容できる。
【0042】一方、高誘電体層としてZrO2 −Al2
3 −W,Mo系材料を、絶縁層としてアルミナ質セラ
ミックスを用いる場合、両者の熱膨張係数を近似させる
ために、前述したアルミナ質セラミックスに対して、さ
らにZrO2 や、W、Moのうちの少なくとも1種をさ
らに含有せしめることにより熱膨張係数を制御すること
ができる。また、絶縁層中には、ZrをZrO2 換算で
0.5〜30重量%の割合で含有されることが望まし
い。これは、絶縁層中にZr成分が全く含まれないと、
前述の高誘電体層中のZrO2 成分が絶縁層に溶出して
高誘電体層の組成が変化したり、高誘電体層自体の厚み
が薄くなるなど、安定した誘電特性が得られず、また、
Zrが過度に多く含まれると、絶縁層の比誘電率が高く
なるためである。従って、絶縁層として少なくとも配線
層が内設される層では、比誘電率が14以下であること
が必要であり、そのためには、Zr量はZrO2 換算で
0.5〜30重量%が望ましい。
【0043】また、絶縁層中には、上記ZrO2 に関連
して、高誘電体層のZrO2 中に含まれる安定化剤と同
様な安定化剤を含有させることが望ましい。これは、高
誘電体層中に含まれる安定化ZrO2 中の安定化剤が拡
散して脱安定化するのを防止するためである。安定化剤
となる化合物としては、MgO、CaO、Y2 3 など
の希土類元素酸化物が挙げられる。
【0044】その他の組み合わせとしては、例えば、比
誘電率が14以下のAlN質セラミックスを絶縁層とし
て、高誘電体層をAlNに10〜30重量%のTiNあ
るいはZrNを含有せしめた比誘電率が20以上のセラ
ミック材料を用いることができる。
【0045】また、他の組み合わせとしては、比誘電率
が14以下のムライト質セラミックスを絶縁層として、
高誘電体層をムライトに対して、W、Mo、ZrO2
を添加し焼成した比誘電率20以上のセラミック材料を
用いることができる。
【0046】さらに他の組み合わせとして、ガラス−セ
ラミックス材料からなる絶縁層に対して、ガラスに部分
安定化ジルコニアおよびWを添加し焼結した比誘電率が
20以上のガラス−セラミック材料を用いることができ
る。
【0047】(電極層)一方、上記高誘電体層の上下面
に形成される一対の電極層は、公知のメタライズ層から
構成でき、例えばW、Mo、Mo−Mn、Re、Ti
N、Ag、Cu、Au、Pt、Ag−Pd、Pdなどが
知られているが、高誘電体層および絶縁層の焼成条件で
も溶融することなく焼結し得る材料を選択する。高誘電
体層として前述したようなZrO2 −Al2 3 −W,
Mo系材料や、AlN系材料、ムライト系材料を用いる
場合には、W,MoおよびReのうち少なくとも一種を
主成分とするメタライズ層が用いられ、ガラス−セラミ
ック材料を用いる場合には、Ag、Cu等が好適であ
る。なお、W、Moなどの電極材料は、高誘電体層およ
び絶縁層との同時焼成によって、高誘電体層および絶縁
層中に拡散する場合がある。
【0048】この電極層は、およそ1〜15μmの厚み
で形成され、この一対の電極層は、半導体素子収納用パ
ッケージにおいては、一方が電源層、他方が接地層とし
て半導体素子と電気的に接続し、このコンデンサ部をデ
カップリングコンデンサとして使用してもよい。
【0049】なお、電極層中には、上記金属成分以外に
高誘電体層や絶縁層中に含まれる成分を10重量%以下
の割合で添加することにより高誘電体層や絶縁層との密
着性を高めることができる。
【0050】また、電極層として、高誘電体層よりも低
熱膨張の金属、例えばW、Moを用いると、電極層側に
表面圧縮応力が発生するために基板全体としての強度を
高めることができる。このような表面圧縮応力は、W、
Moに代わり、Al2 3 を用い、これを高誘電体層の
最外層に配設することによっても同様な強度向上効果が
得られる。
【0051】(配線層)また、絶縁層中に配設される配
線層は、通常のメタライズ法により形成されるもので、
W、Mo、Re、Ni、Co、Cu等から選ばれる少な
くとも1種の金属により形成することができる。この配
線層は、一般にはおよそ3〜50μmの厚みで、絶縁層
の層間あるいは表面に形成されるが、高出力が要求され
る場合には、その厚みは数mmに至る場合もある。
【0052】(製造方法)本発明における多層配線基板
および半導体素子収納用パッケージの製造方法につい
て、絶縁層として前述のアルミナ質セラミックスを、高
誘電体層としてZrO2 −Al2 3 −W,Mo系材料
を用いた場合を例にとって説明する。
【0053】まず、絶縁層形成成分として、例えば、A
2 3 と、添加成分としてSiO2 ,MgO,Y2
3 等の希土類元素やアルカリ土類金属の酸化物、B、Z
nなどの酸化物等の焼結助剤、必要に応じて、ZrO2
粉末(場合により安定化材を含む)や、W、Mo、Cr
の金属粉末やそれらの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩
等を適量添加し、これにブチラール、アクリル等のバイ
ンダーや必要によりDBP等の可塑剤を添加し、さらに
トルエン,アルコール等の溶剤を添加混合した後、ドク
ターブレード法、カレンダーロール法等の公知の成形方
法により、厚さ0.1〜1mmのシート状成形体を作製
する。
【0054】このシート状成形体の表面には、配線層を
形成するためのW、Mo、Mo−Mnなどの金属成分を
含むメタライズペーストをスクリーン印刷法等により配
線パターンに印刷され、場合によっては、スルーホール
が形成され、そのスルーホール内にもメタライズペース
トが充填される。
【0055】一方、高誘電体層として、ZrO2 粉末、
Al2 3 粉末、W、Moのうちの少なくとも1種の金
属粉末あるいはそれらの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸
塩等を適量混合し、さらには、SiO2 ,CaO,Mg
O等のアルカリ土類金属成分およびY2 3 等の希土類
酸化物、B、Znなどの酸化物から成る焼結助剤成分を
添加し、必要によりさらにFe,Cr,Mn,Ti,N
i,Co等の金属,酸化物,塩等を含む着色剤を添加混
合する。このとき、電極材料としてWやMo等を用いた
場合には、後述する同時焼成時に電極成分が拡散するこ
とがあるため、その拡散量を考慮して混合組成を決定す
ることが必要である。
【0056】そして、この混合物に例えばブチラールも
しくはアクリル等のバインダーや必要によりDBP等の
可塑剤を添加し、さらにトルエン,アルコール等の溶剤
を添加混合した後、ドクターブレード法、カレンダーロ
ール法等の公知の方法により、厚さ10〜120μmに
シート化し、高誘電体層用のシート状成形体を作製す
る。
【0057】高誘電体層に高誘電率付与剤として添加さ
れるZrO2 粉末は、予め5〜15モル%のY2 3
どの固溶により安定化された立方晶を含むZrO2 粉末
を含むものを用いることが望ましい。安定化剤の含有量
を5〜15モル%とするのは、5モル%よりも少ないと
正方晶から単斜晶への相変態が生じやすくクラックが生
じる等の不具合が生じるからであり、15モル%よりも
多いとZrO2 そのものの比誘電率が低下し、誘電体層
の高誘電率化の効果が低下するからである。
【0058】なお、安定化または部分安定化ZrO2
原料粉末として用いなくても、調合によりZrO2 を安
定化するに必要な安定化剤元素の酸化物およびその化合
物を添加し焼成段階で安定化させても良い。
【0059】そして、上記のようにして作製された高誘
電体層シート状成形体の上下面には、電極層としてW、
MoまたはReを70〜100重量%、必要に応じてA
23 、SiO2 、Zr、Tiなどの周期律表第4a
族化合物、アルカリ土類金属、希土類金属およびその化
合物、Nb、Taなどの周期律表第5a族化合物等を0
〜30重量%添加含有して成る電極層形成用ペーストを
塗布する。
【0060】そして、電極層形成用ペーストが塗布され
た高誘電体層シート状成形体を、絶縁層用シート状成形
体とともに積層し、所定の圧力で加圧圧着する。
【0061】なお、薄い高誘電体層を形成する場合に
は、絶縁層用シート状成形体の表面に電極層形成用ペー
スト塗布、高誘電体層形成用のスラリー塗布、電極層形
成用ペースト塗布を順次行うことにより、作製すること
もできる。この場合も、高誘電体層中に、添加される焼
結助剤成分は2重量%以上であることが望ましい。
【0062】上記のようにして作製された積層体を加湿
した窒素、水素混合ガスなどの還元性雰囲気中で、17
00℃以下の温度において、1〜2時間焼成することに
より、高誘電体層と、一対の電極層からなるコンデンサ
部が積層形成された多層配線基板が形成される。なお、
焼成温度は絶縁層と配線層とコンデンサ部とを同時焼成
するための条件として設定され、1400℃よりも低く
なると高融点金属からなる配線層や電極層との同時焼成
が困難となる。1400℃以下で焼成する場合には、配
線層としてNiやCu、もしくはそれらと高融点金属粉
末の混合物のメタライズを用いることが好ましい。
【0063】尚、コンデンサ部は、高誘電体層と電極層
とを交互に積層して構成してもよく、そのような積層構
造によれば高い静電容量を得ることができる。
【0064】また、半導体素子収納用パッケージを製造
する場合には、上記多層配線基板の製造方法に加え、周
知の方法に基づき、図2における半導体素子を収納する
ための凹部18を形成すべく絶縁層を積層圧着した後、
同時焼成して配線基板を作製し、その後、別途作製され
た蓋体を配線基板の凹部を密閉するように、Au−Sn
ろう、ハンダ、低融点ガラス、溶接(シームウエルド)
などにより絶縁基板に密着することにより得ることがで
きる。
【0065】次に、本発明の効果を確認すべく以下の実
験を行った。 実験例1 原料として、8モル%のY2 3 により安定化された平
均粒径0.8μmのZrO2 粉末と、平均粒径が3μm
のAl2 3 粉末と、SiO2 :CaO:MgO:Cr
2 3 が4:1:1:1の重量比からなる焼結助剤と、
WあるいはMoの酸化物粉末を用いて、種々の組成の混
合物にブチラールからなるバインダーを添加し、さらに
トルエンとアルコールを添加混合した後、ドクターブレ
ード法により厚さ50μmの高誘電体層用シート状成形
体を作製した。
【0066】また、上記の原料を用いて、種々の組成か
らなる混合物を調製し、この混合物にブチラールからな
るバインダーと、可塑剤(ジブチルフタレート)等を添
加し、さらにトルエンとアルコールを添加混合した後、
ドクターブレード法により厚さ500μmの絶縁層用シ
ート状成形体を作製した。
【0067】そして、この高誘電体層用シート状成形体
および絶縁層用シート状成形体に100μm径のスルー
ホールを形成し、そのスルーホール内にWペーストを充
填した。また、高誘電体層用シート状成形体の上下面に
は、金属WにAl2 3 を2重量%添加したWペースト
をスクリーン法により電極層パターンに印刷した。
【0068】そして、この電極層が形成された高誘電体
層用シート状成形体の上下に絶縁層用シート状成形体を
2枚づつ積層圧着した後、加湿した(露点20℃)窒素
と水素の混合ガス(N2 /H2 =80/20)中で15
50℃において2時間普通焼成して50mm×50mm
の高誘電体層40μm、電極層5μm、絶縁層1.6m
mのコンデンサ内蔵多層配線基板を作製した。
【0069】得られた種々の多層配線基板に対して、高
誘電体層および絶縁層の組成をX線マイクロアナライザ
ー(XMA)を用いた検量線法により定量し、その組成
を表1および表2に示した。なお、AlはAl2 3
ZrはZrO2 として存在していることを確認したた
め、いずれも酸化物形態での組成を示した。
【0070】(比誘電率、静電容量の測定)次に、前述
した原料を用いて、定量分析により確認された組成と同
一組成の混合物を調合し、その混合物にブチラールから
なるバインダーと、可塑剤(ジブチルフタレート)等を
添加し、さらにトルエンとアルコールを添加混合した
後、ドクターブレード法により厚さ50μmのシート状
成形体を作成し、これを加湿した(露点20℃)窒素と
水素の混合ガス(N2 /H2 =80/20)中で155
0℃において2時間普通焼成した。得られた焼結体に対
して、Agペーストを50mm×50mmのパターンで
印刷した後、500℃で焼き付け処理してコンデンサを
作製した。
【0071】得られたコンデンサに対して、LCRメー
タ(YHP4284A)を用いて行い、100KHz、
1.0Vrmの条件で25℃における静電容量(C)を
測定するとともに、C=εo ・ε・S/d(εo :真空
中の誘電率,ε:比誘電率、S:電極面積(m2 )、
d:誘電体層の厚み(m))の式に基づき、静電容量か
ら25℃における比誘電率を計算した。
【0072】測定の結果について、絶縁層についてはの
比誘電率を、高誘電体層については、比誘電率と静電容
量を表1、2に示した。
【0073】(耐電圧の測定)また、高誘電体層の組成
からなるコンデンサの電極間に徐々に電圧を印加し、絶
縁破壊を生じた時の電圧値を耐電圧として、表1、2に
示した。
【0074】(熱膨張係数の測定)前述した原料を用い
て、定量分析により確認された組成と同一組成の混合物
を調合し、その混合物にブチラールからなるバインダー
と、可塑剤(ジブチルフタレート)等を添加し、さらに
トルエンとアルコールを添加混合した後、ドクターブレ
ード法により厚さ50μmのシート状成形体を作成し、
これを加湿した(露点20℃)窒素と水素の混合ガス
(N2 /H2 =80/20)中で1550℃において2
時間普通焼成した。得られた焼結体から長さ15×厚み
3×幅3(mm)の試験片を切り出し、これを室温(2
5℃)から昇温速度10℃/minの速度で400℃ま
で加熱し、その時の長さ方向の磁器の伸びを測定し、そ
の熱膨張曲線から平均熱膨張係数を算出した。結果は、
表1、2に示した。
【0075】(クラック発生の検査)表1および表2の
各多層配線基板についてそれぞれ50個の基板を作製
し、基板中のコンデンサ部の剥がれ(コンデンサ部と絶
縁層間の隙間発生)の有無や基板の割れ(クラック)の
発生の有無を観察し不具合の生じた個数を表1、2に示
した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】表1において、ZrO2 を含まない試料N
o.9、10等における高誘電体層では、比誘電率は18
が限度でありその際の耐電圧は0.2kVであった。ま
た、金属成分の含有量が微量の試料No.8における高誘
電体層では比誘電率は20であったが、熱膨張係数が
8.6×10-6/℃と大きくなり、絶縁層との熱膨張差
が大きくなった。ZrO2 とAl2 3 と金属成分を適
量配合することにより20以上の高誘電率を有しつつ、
室温から400℃までの熱膨張係数が7.5〜8.5×
10-6/℃の材料を作製することができた。
【0079】また、絶縁層について、Al2 3 を主成
分として、WまたはMoを15重量%以上、もしくはZ
rO2 を49重量%以上含むものを作製したが、比誘電
率が14を越え、絶縁層としては適さないものであっ
た。
【0080】表1、2において、試料No.1〜10、1
1〜14、15〜18、19〜22の各群は、それぞれ
同じ組成の絶縁層成形体を用いて作製したものである
が、各群間での組成および特性の変動はほとんどなかっ
た。これら4種類の絶縁層は、その表面あるいは内部に
配線層を形成してもとりわけ問題にはならないが、絶縁
層と積層するコンデンサ部の高誘電体層との熱膨張係数
の差が1.5×10-6/℃を越えると高誘電体層にクラ
ックや剥がれが生じた。
【0081】なお、表1、2中、熱膨張係数差が1.1
〜1.2×10-6/℃であり、高誘電体層中の金属の含
有量が少ない場合(試料No.21)と、高誘電体層中に
金属を適量含む場合(試料No.15)とでは、試料No.
21の方がクラックや剥がれの発生率が増加する傾向に
あった。これは、金属を適量含まないと高誘電体層の強
度が低下するためと考えられる。
【0082】本発明によれば、表1、2の結果から明ら
かなように、絶縁層と高誘電体層の個々の特性としては
良好であっても、それらの熱膨張係数差が1.5×10
-6/℃以下になるように選択し組み合わせることが重要
であることが理解される。しかし、熱膨張係数差が1.
5×10-6/℃以下であっても、試料No.9、10、1
4、18、22は、高誘電体層の比誘電率が低く本発明
の目的には適さないものであった。
【0083】特に、高誘電体層として、ZrO2 と金属
成分とAl2 3 を適量含有する高誘電体層を用いれ
ば、高誘電率と優れた耐電圧を有する高誘電体層となる
ため、多層配線基板あるいはパッケージとしての信頼性
がさらに高まることがわかった。
【0084】実験例2 AlN粉末、TiN粉末、Er2 3 粉末を調合し、こ
れにバインダーと可塑剤を添加しドクターブレード法に
よりそれぞれグリーンシートを作製し、高誘電体層用グ
リーンシートの表面には、電極用のWペーストを塗布
し、また配線用としてWペーストを塗布し、図1に示す
ように積層した後、これを窒素雰囲気中で1850℃で
2時間焼成してコンデンサ部を内蔵した多層配線基板を
作製した(試料No.23)。得られた基板における絶縁
層および高誘電体層のICP発光分光分析による組成分
析結果を表3に示した。
【0085】次に、実施例1と同様に、上記と同じ原料
を用いて前記組成分析結果に基づく同一組成の絶縁層お
よび高誘電体層の焼結体を上記と同様な方法で作製し、
個々に熱膨張係数、比誘電率、高誘電体層の耐電圧の測
定を行った。また、多層配線基板については、コンデン
サ部の剥がれの有無や基板の割れ(クラック)の発生の
有無を観察しその結果を表3に示した。
【0086】実験例3 ムライト粉末、ジルコニア粉末(8モル%Y2 3
有)、助剤(CaO:MgO=1:1)、Mo粉末、A
2 3 粉末を用いて調合し、これにバインダーと可塑
剤を添加しドクターブレード法によりそれぞれグリーン
シートを作製し、高誘電体層用グリーンシートの表面に
は、電極用のWペーストを塗布し、また配線用としてW
ペーストを塗布し、図1に示すように積層した後、これ
を加湿窒素水素混合雰囲気中で1450℃で2時間焼成
してコンデンサ部を内蔵した多層配線基板を作製した
(試料No.24、25)。得られた基板について、実験
例2と同様に組成分析を行いその結果を表3に示した。
【0087】そして、実施例1と同様に、上記と同じ原
料を用いて前記組成分析結果に基づく同一組成の絶縁層
および高誘電体層の焼結体を上記と同様な方法で作製
し、個々に熱膨張係数、比誘電率、高誘電体層の耐電圧
を測定するとともに、多層配線基板についてはコンデン
サ部の剥がれの有無や基板の割れ(クラック)の発生の
有無を観察しその結果を表3に示した。
【0088】実験例4 Al2 3 粉末、Mo粉末、TiO2 粉末、助剤(Si
2 :CaO:MgO=6:1:1)、Mo粉末を用い
て調合し、これにバインダーと可塑剤を添加しドクター
ブレード法によりそれぞれグリーンシートを作製し、高
誘電体層用グリーンシートの表面には、電極用のWペー
ストを塗布し、また配線用としてWペーストを塗布し、
図1に示すように積層した後、これを加湿窒素水素混合
雰囲気中で1550℃で2時間焼成してコンデンサ部を
内蔵した多層配線基板を作製した(試料No.26)。得
られた基板について、実験例2と同様に組成分析を行い
その結果を表3に示した。
【0089】そして、実施例1と同様に、上記と同じ原
料を用いて前記組成分析結果に基づく同一組成の絶縁層
および高誘電体層の焼結体を上記と同様な方法で作製
し、個々に熱膨張係数、比誘電率、高誘電体層の耐電圧
を測定するとともに、多層配線基板についてはコンデン
サ部の剥がれの有無や基板の割れ(クラック)の発生の
有無を観察しその結果を表3に示した。
【0090】
【表3】
【0091】表3によれば、いずれの場合においても絶
縁層および高誘電体層の熱膨張係数の差が1.5×10
-6/℃以下に制御されたために、同一焼成においても、
高誘電体層の剥がれや基板の割れの発生なく信頼性の高
い配線基板を作製することができた。
【0092】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の多層配線基
板やパッケージは、比誘電率20以上のコンデンサ部を
有し、絶縁層と高誘電体層との熱膨張係数の差を1.5
×10-6/℃以下に制御することにより、搭載される半
導体素子の誤動作を確実に防止することができるととも
に、コンデンサ部の剥がれや基板の割れを防止でき、製
造歩留りを向上させることができる。しかも、高誘電体
層の耐電圧が高いために信頼性を高い基板およびパッケ
ージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の一実施例を示す縦断面
図である。
【図2】本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施
例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の多層配線基板の他の実施例を示す縦断
面図である。
【図4】本発明の半導体素子収納用パッケージの他の例
を示す縦断面図である。
【図5】本発明の半導体素子収納用パッケージのさらに
他の実施例例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の半導体素子収納用パッケージのさらに
他の実施例を示す縦断面図である。
【図7】本発明の半導体素子収納用パッケージのさらに
他の実施例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の半導体素子収納用パッケージのさらに
他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 多層配線基板 2,11 絶縁層 3,13 高誘電体層 4,5,14,15 電極層 6,16 コンデンサ部 7,12 配線層 8,9,20,22 スルーホール 10 半導体素子収納用パッケージ 17 半導体素子 18 凹部(収納部) 19 蓋体 21 外部端子 23 ヒートシンク

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比誘電率が14以下の絶縁層と、メタライ
    ズ配線層とからなる絶縁基板の内部または表面に、比誘
    電率が20以上の高誘電体層と、一対の電極層とからな
    るコンデンサ部を積層してなり、且つ前記高誘電体層と
    前記絶縁層との室温から400℃における熱膨張係数の
    差が1.5×10-6/℃以下であることを特徴とする多
    層配線基板。
  2. 【請求項2】前記高誘電体層の耐電圧が0.3kV/m
    m以上である請求項1記載の多層配線基板。
  3. 【請求項3】前記絶縁層の室温から400℃における熱
    膨張係数が6.7〜7.5×10-6/℃であり、前記高
    誘電体層の室温から400℃における熱膨張係数が7.
    5〜8.5×10-6/℃以下である請求項1記載の多層
    配線基板。
  4. 【請求項4】前記高誘電体層が、Alを酸化物換算で1
    0〜47重量%と、Mo、Wのうちの少なくとも1種を
    10〜35重量%、Zrを酸化物換算で39〜70重量
    %の割合で含む請求項1記載の多層配線基板。
  5. 【請求項5】Al2 3 を主体とするセラミックスから
    なる絶縁層と、メタライズ配線層とからなる絶縁基板の
    内部または表面に、少なくともZrO2 とAl2 3
    を含有し、前記絶縁層よりも高い誘電率を有する高誘電
    体層と、一対の電極層とからなるコンデンサ部を積層し
    てなり、且つ前記高誘電体層と前記絶縁層との室温から
    400℃における熱膨張係数の差が1.5×10-6/℃
    以下であることを特徴とする多層配線基板。
  6. 【請求項6】前記高誘電体層の耐電圧が0.3KV以上
    である請求項5記載の多層配線基板。
  7. 【請求項7】前記絶縁層の室温から400℃における熱
    膨張係数が6.7〜7.5×10-6/℃であり、前記高
    誘電体層の室温から400℃における熱膨張係数が7.
    5〜8.5×10-6/℃以下である請求項5記載の多層
    配線基板。
  8. 【請求項8】比誘電率が14以下の絶縁層と、メタライ
    ズ配線層と、半導体素子を収納するための収納部を具備
    する絶縁基板と、蓋体とからなる半導体素子収納用パッ
    ケージにおいて、前記絶縁基板の内部または表面に、比
    誘電率が20以上の高誘電体層と、一対の電極層とから
    なるコンデンサ部を積層してなり、且つ前記高誘電体層
    と前記絶縁層との室温から400℃における熱膨張係数
    の差が1.5×10-6/℃以下であることを特徴とする
    半導体素子収納用パッケージ。
  9. 【請求項9】前記高誘電体層の耐電圧が0.3kV以上
    である請求項8記載の半導体素子収納用パッケージ。
  10. 【請求項10】前記絶縁層の室温から400℃における
    熱膨張係数が6.7〜7.5×10-6/℃であり、前記
    高誘電体層の室温から400℃における熱膨張係数が
    7.5〜8.5×10-6/℃以下である請求項8記載の
    半導体素子収納用パッケージ。
  11. 【請求項11】前記高誘電体層が、Zrを酸化物換算で
    39〜70重量%、Alを酸化物換算で10〜47重量
    %、Mo、Wのうちの少なくとも1種を10〜35重量
    %の割合で含む請求項8記載の多層配線基板。
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