JPH09157958A - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維およびその製造方法

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JPH09157958A
JPH09157958A JP31923695A JP31923695A JPH09157958A JP H09157958 A JPH09157958 A JP H09157958A JP 31923695 A JP31923695 A JP 31923695A JP 31923695 A JP31923695 A JP 31923695A JP H09157958 A JPH09157958 A JP H09157958A
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JP
Japan
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fiber
cross
section
polyester fiber
layer component
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JP31923695A
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English (en)
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Akihiko Nagahama
昭彦 長浜
Yoshihiro Konno
吉宏 近野
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の繊維は、ギラギラしない落ち着きの
あるマイルドな光沢、不透明感さらにはドライタッチ、
しゃり感、張り・腰、軽量感に優れ、かつ鉱物的な触感
を有している衣料用の清涼感素材を提供する。 【解決手段】 繊維横断面における頂点部の曲率半径が
r≦2dを満足する三角〜六角の多角形中空断面繊維で
あり、二酸化チタン粒子を1.5重量%以上含有してい
るポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はギラギラしない落ち
着きのあるマイルドな光沢、鉱物質的触感のあるドライ
タッチ、張り・腰、軽量感に優れた高級衣料用織編物に
好適な多角形中空断面形状のポリエステル繊維およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリエステル衣料用織編物に光
沢感やドライタッチ、軽量感などの高級感を付与せんと
して、異形断面繊維や中空断面繊維を用いることが数多
く提案されている。代表的な異形断面繊維としてはT断
面、Y断面、偏平断面などであり、中空断面繊維として
は中空丸断面などが挙げられる。これら異形断面繊維お
よび中空断面繊維使い織編物は、中実丸断面繊維に比べ
各々に特徴ある光沢感や風合い、軽量感を有しており、
衣料用途に好んで使われている。
【0003】さらに異形断面繊維の優れた風合い特性と
中空断面繊維の軽量性の二つの特性を組み合わせた繊維
がいくつか提案されている。たとえば特公昭44−18
923号公報や特公昭58−4092号公報には中空部
を有する多角形断面繊維が提案されており、特公昭57
−49650号公報には、田型中空断面繊維が提案され
ている。しかしながら、これら異形断面繊維はいずれも
単成分紡糸によって製造するため、口金から鋭利な部分
を有する断面形状が得られない。そのため光沢感やドラ
イタッチなどを必要とする衣料分野においてはそれらの
特徴が満足するものではなかった。
【0004】また、最近では多様な要求の中で複合紡糸
技術を応用した頂点部が鋭利な異形断面繊維がいくつか
提案されている。たとえば特公昭56−159316号
公報には多層貼り合わせ状の複合糸の一方成分を加水分
解させて鋭いエッジをもたせた異形断面繊維を得る方法
が提案されているが、該公報に記載されている技術では
ドライタッチ等の風合いは優れてものの、繊維横断面に
おいて凸凹を有しているので、高級感のあるきらきらと
した光沢は得られず、さらに加水分解性の大きい成分を
部分的に残しているために織編物を染色した後、染め斑
がでやすいなどの欠点をも有している。
【0005】更に、これらの欠点をカバーするためにシ
ャープな頂点を有する多角中空断面が提案されている。
例えば特開平3−124807号公報、特開平4−25
7314号公報、特開平7−145508号公報があ
る。これらの提案によって軽量感、清涼感は明らかに向
上できたものの、ポリエステル衣料用織編物とした場合
のマイルドで高級感のある光沢、鉱物的な触感およびさ
らさら風合いが不十分であることがわかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
得られる特性を維持しつつ、かつ欠点を解消し、ポリエ
ステル衣料用織編物とした場合のマイルドで高級感のあ
る光沢、鉱物的な触感およびさらさら風合いを大幅に改
善した優れた高級衣料用織編物に適した繊維およびその
製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、繊
維横断面における頂点部の曲率半径が下記(1)式を満
足する三角〜六角の多角形中空断面ポリエステル繊維で
あり、二酸化チタンを1.5重量%以上含有することを
特徴とするポリエステル繊維によって達成される。 r≦2d (1) r:繊維横断面の頂点部曲率半径(μm) d:単繊維繊度(デニール)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の多角形中空断面繊維に配
合される二酸化チタン微粒子は1.5重量%以上とする
ことが必要である。1.5重量%未満の場合は本発明の
鉱物的な触感を十分に発現することができなくなる。好
ましくは2〜10重量%である。10重量%以上では二
酸化チタン微粒子がポリマ中において安定に分散せず紡
糸が困難になる。また、二酸化チタン微粒子の結晶形態
は織編物製造時の磨耗の小さいアナターゼ型が好まし
い。二酸化チタン微粒子の平均粒子径は紡糸時の濾圧上
昇を小さくする意味から0.01〜5μmであることが
好ましい。より好ましくは0.1〜2μmである。多角
形中空断面繊維に二酸化チタン微粒子を配合する方法と
しては該繊維を構成するポリマを重合する際に二酸化チ
タン微粒子の存在下に行う方法や紡糸時に2軸の押出機
を用いる方法がある。
【0009】本発明は三角形以上六角形以下の多角形断
面である必要がある。七角形以上の多角形断面とする
と、横断面における頂点部が鋭利でないものとなり、ド
ライタッチやしゃり感を満足することができない。より
好ましくは三角以上五角形以下、特に好ましくは四角形
である。図2は本発明のポリエステル繊維の断面形状の
例を示す横断面図である。(a)は四角形、(b)は三
角形、(c)は五角形、(d)は六角形の例である。
【0010】次に、本発明のポリエステル繊維の横断面
における頂点部の曲率半径と辺部の変動率について図を
もって詳細に説明する。図1は本発明のポリエステル繊
維の断面形状を説明するため一具体例の繊維の横断面図
であり、1は繊維、2は中空部、3は頂点部、4は辺部
からなる四角形中空断面繊維である。頂点部3の曲率半
径rは2dμm以下とする必要がある。例えば単繊維繊
度dが1デニールならば頂点部3の曲率半径rは2.0
μm以下であり、3デニールならば6.0μm以下であ
る。曲率半径rが2dμmを越えるなだらかな頂点部に
よって構成される断面形状ではドライタッチやしゃり感
を十分に発揮することができない。好ましくは頂点部の
曲率半径rはdμm以下であり、さらにこのましくは
(d/2)0.5 μm以下である。
【0011】次に、本発明のポリエステル繊維の断面形
状において、隣り合う頂点部3間の辺部4の変動率が重
要である。図1において、隣り合う頂点部3間の各辺部
4に基準線Lを引く。基準線Lは、Lによって形成され
る辺部4の凹部と凸部とを加えた面積を最小とするよう
に引く。この時各辺部において基準線Lと最も離れた点
をTとし、TとLとの距離をtとする。基準線Lにおい
て、両隣の基準線との交点間の長さをsとしたとき、そ
の繊維の横断面における辺部4の変動率を下記式により
定める。 変動率(%)=(t/s)×100 本発明のポリエステル繊維の横断面において、前記変動
率は10%以下が好ましい。
【0012】前記変動率は光沢感や表面タッチと密接な
関係があり、優れたドライタッチを発揮する範囲とし
て、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは
5%以下である。
【0013】本発明の多角形中空断面繊維の中空率は1
0〜40%の範囲とすることが好ましい。中空率が10
%未満になると、軽量感効果が低下し好ましくない。ま
た中空率が40%を越えると繊維横断面形状の保持性が
著しく低下してしまい、製織以降の工程で中空部が潰れ
て繊維断面が変形するため、張り腰、軽量感の点におい
て不良となる。より好ましい中空率は15〜30%の範
囲である。
【0014】本発明のポリエステル繊維は長繊維でも短
繊維でも良いが、特に多数の撚、毛羽が存在して単繊維
の持つ触感や風合いが発揮しにくい中空短繊維での鉱物
的触感およびさらさら風合い向上効果が著しい。
【0015】紡績糸およびスパン織編物は撚があるこ
と、毛羽があることによって長繊維に比較して単繊維の
持つ触感やさらさら風合いが劣る。その点から本発明の
ポリエステル繊維は紡績糸およびスパン織編物において
鉱物的触感およびさらさら風合いの著しい向上を図るこ
とができる。特に繊維長を長くすることによってその効
果が顕著となり、繊度と繊維長の関係が次式を満足して
いることが好ましい。
【0016】30≦L/d≦50 ここでL:平均繊維長(mm) d:繊度(d) また、繊維長が長くなることによって、ドライタッチ、
独特の光沢感、鉱物的触感等が更に顕著となり好まし
い。特に好ましい範囲は33≦L/d≦43である。一
方、L/dが30未満になると風合い、光沢の向上効果
が頭打ちとなるとともに、逆に紡績性が不良となり好ま
しくない。
【0017】本発明のポリエステル繊維は固有粘度ηが
0.53〜0.70とすることが好ましい。固有粘度η
が0.53よりも小さい場合には引っ張り強度および製
品の引き裂き強力に代表される物理特性が劣性になると
同時に後述する複合紡糸方法による場合には溶融粘度の
バランスが崩れ、本発明の多角形中空断面形状が得られ
にくい。一方、固有粘度ηが0.70を越えると溶融粘
度が高くなり過ぎ、繊維横断面形状の制御が難しくな
る。特に好ましい固有粘度ηは0.55〜0.64であ
る。
【0018】本発明のポリエステル繊維は、繰り返し単
位の1.0〜3.0モル%が金属スルホネート基を含有
するイソフタル酸成分であるポリマが好ましい。金属ス
ルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合率が
1.0モル%以上として、染料の染着率を高く良好な濃
色に染色できる。一方共重合率が3.0モル%以下とし
て、繊維横断面における頂点のシャープさを同時に発揮
し清涼感に優れた風合いとなる。更に繊維の引っ張り強
度も高く実用的である。好ましい共重合率は1.5〜
2.2モル%である。
【0019】また、溶融粘度を制御する視点から他の成
分を共重合あるいは配合することが好ましい。例えばポ
リエチレングリコール、ネオペンチルグリコールのエチ
レンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、片末端あるいは両末端が封鎖されたポ
リエチレングリコール等のポリアルキレングリコール系
化合物が好ましく用いられ、それらから選ばれた少なく
とも1種を0.5〜5.0重量%共重合あるいは配合す
ることが有効である。特に数平均分子量2000以下の
ポリエチレングリコールを0.5〜1.5重量%共重合
することが極めて有効である。
【0020】本発明で言う金属スルホネート基を含有す
るイソフタル酸成分は特に限定はされないが、5−ソジ
ウムスルホイソフタレートが好ましく使用できる。
【0021】次に本発明のポリエステル繊維の製造方法
の具体例について詳細に説明する。本発明のポリエステ
ル繊維の製造方法は、まず外層、内層部からなる中空複
合繊維を得、しかる後該複合繊維の外層部を溶解除去す
る。
【0022】本発明の製造方法における外層成分は、ス
ルホン酸金属塩成分を3.5モル%以上共重合したポリ
エチレンテレフタレートである。外層成分の金属スルホ
ネート基を含有するイソフタル酸成分共重合率が3.5
モル%未満であると、内層成分とのアルカリ溶液に対す
る溶解速度比が小さいために、内層部の頂点部分が溶解
して丸まってしまい、本発明の目的とする断面形状が得
られない。共重合率は好ましくは4.0モル%以上であ
り、より好ましくは4.5モル%以上である。一方、前
記共重合率が高すぎると複合繊維の強度が著しく低下す
るばかりでなく、熱水に対する溶解性が増大し、製造工
程で単繊維間膠着が発生する等の欠点を有する。好まし
くは共重合率は6.0モル%以下である。
【0023】実質的に外層成分のみを溶解するための溶
剤としては熱水あるいは熱アルカリ溶液(たとえば水酸
化ナトリウム熱水溶液)を使用するのである。これは実
質的に内層成分のポリエチレンテレフタレートをそのま
ま残し、外層成分のみを溶解除去するために、内層成分
に対する外層成分の溶解速度比が大きい方がより好まし
いからである。内層成分に対する外層成分の溶剤に対す
る溶解速度比は5以上であることが好ましい。
【0024】また、前記外層成分は、固有粘度ηが0.
33以上とすることが好ましい。紡糸時の糸切れを抑制
し、製糸性を良好にして、高次加工でも糸切れを抑制す
るためである。特に好ましい固有粘度は0.34〜0.
45である。
【0025】内層成分は繰り返し単位の1.0〜3.0
モル%が金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成
分である。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸
成分の共重合率が1.0モル%未満の場合には染料の染
着率が低く濃色にならない。逆に共重合率が3.0モル
%を超えると繊維横断面における頂点のシャープさが失
われ清涼感に乏しい風合いとなる。更に繊維の引っ張り
強度が低下してしまう。好ましい共重合率は1.5〜
2.2モル%である。
【0026】更に溶融粘度を制御する視点から他の成分
を共重合あるいは配合することが好ましい。例えばポリ
エチレングリコール、ネオペンチルグリコールのエチレ
ンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキ
サイド付加物、片末端あるいは両末端が封鎖されたポリ
エチレングリコール等のポリアルキレングリコール系化
合物が好ましく用いられ、それらから選ばれた少なくと
も種を0.5〜5.0重量%共重合あるいは配合するこ
とが有効である。特に数平均分子量2000以下のポリ
エチレングリコールを0.5〜1.5重量%以下共重合
することが極めて有効である。
【0027】また、内層成分に配合される二酸化チタン
微粒子は1.5重量%以上である。1.5重量%未満の
場合は本発明の鉱物的な触感およびさらさら風合いを十
分に発現することが困難である。好ましくは2〜10重
量%である。10重量%以上では二酸化チタン微粒子が
ポリマ中において安定に分散せず紡糸が極めて困難にな
る。また、二酸化チタン微粒子の結晶形態は織編物製造
時の磨耗の小さいアナターゼ型が好ましい。二酸化チタ
ン微粒子の平均粒径は紡糸時の濾圧上昇を小さくする意
味から0.01〜5μmであることが好ましい。より好
ましくは0.1〜2μmである。
【0028】本発明の製造方法では中空部を形成させる
段階で、より高い中空率を得るためには紡糸の段階での
ポリマの溶融粘度を高くする目的で固有粘度を高くする
ことが好ましい。同様に、本発明の繊維を製造する過程
においては布帛の状態で高率の減量加工を施すのである
が、この段階で布帛の強力低下が著しいため引裂強力が
低いという問題がある。そのため外層部を溶出した後で
も実用上問題とならない引裂強力を維持するために、内
層部の固有粘度ηを高くしておくことが好ましい。本発
明の製造方法における内層成分であるポリエチレンタレ
フタレートは、固有粘度ηが0.53〜0.70である
ことが好ましい。特に好ましくは0.55〜0.64で
ある。
【0029】以上述べたような内層成分と外層成分から
なる2種のポリマをそれぞれ別々に溶融、計量し、中空
の複合繊維を得る。図3は本発明で好ましく用いられる
複合口金装置の要部縦断面図である。図4(a)は図3
の複合口金装置におけるX−X´切断面の複合ポリマ流
の模式図、図4(b)は図3の複合口金装置におけるY
−Y´切断面の複合ポリマ流の模式図である。図5は口
金孔形状を説明するための口金の下面図である。
【0030】図3において5は上部導入板、6は下部導
入板、7は口金、8はスリットである。内層成分のポリ
マAが上部導入板5から導入され、外層成分のポリマB
が下部導入板6から導入され、口金7で内外層複合流と
なりスリット8から吐出する。ここで内外層複合流をス
リット8から吐出することによって内層の断面形状が何
故多角形状を示すかについて四角断面を例にとって簡単
に説明する。図4(a)に示すスリット8前では同心円
の内外層複合流であるが、図5(a)の各4つのスリッ
トに流入し、スリットから吐出される時には図4(b)
のように内側が高粘度、外側が低粘度の内外2層中空複
合流となり、各4つのスリットから吐出された内外2層
複合流は低粘度の流速の速い外側が高粘度の流速の遅い
内側へ曲り、各複合流が中心方向へ曲がるために各複合
流は衝突を起こし、接着すると同時に衝突によって内層
成分がシャープな頂点を形成する。更に、口金孔内にお
いて流速が速く、占有面積の小さい低粘度ポリマは吐出
直後に同時に高粘度ポリマと同じ流速になるために面積
の増大が起こる。また、低粘度ポリマは表面張力によっ
て高粘度側を押すために内外2層の接合面は直線とな
る。
【0031】前途のように安定して衝突・接着し、直線
を維持するためには内外層成分の溶融粘度比が重要であ
る。内層成分の形状を安定して形成するためには内層成
分の溶融粘度を外層成分の1.2〜6倍である。溶融粘
度比が1.2倍未満では、外層成分を溶出した後に得ら
れる繊維の横断面における辺部が凸状に膨らみ、頂点部
も丸みを帯びるために、ドライタッチや張り・腰に欠
け、光沢感も鈍いものとなりやすい。また内層成分の溶
融粘度が外層成分の6倍を越える場合は、口金直下での
ポリマ複合流の衝突・融着が不安定となり、複合異常を
起こし、経時的に断面が変動し、多角中空断面形状の繊
維を得ることは困難である。更に、本発明のポリエステ
ル繊維の横断面における頂点部をより鋭利に、かつ辺部
の直線性を向上させるためには、内層成分の溶融粘度を
外層成分の1.5倍以上にすることが好ましい。さらに
安定に本発明のポリエステル繊維を生産するためには内
層成分の溶融粘度を外層成分の溶融粘度の4倍以下にす
ることが好ましく、特に3倍以下が好ましい。
【0032】口金吐出孔スリットの形状は特に限定され
ないが、図5の(a)、(b)に示すような環状が好ま
しい。それは図6の(a)、(b)のようにスリットが
直線の場合には外層溶出前の断面形状が円形ではなく、
織・編み物にしたときに石垣のように辺同士が接触し、
外層溶出後にも辺どうしが並んでしまい繊維間空隙が減
少しやすくなる。だから図9に示すように各スリットの
曲率半径Rは相対するスリットの中心を結ぶ線分Lの1
/2より大きい方がより好ましい。
【0033】なお、前記図5の(a)の4分割のスリッ
トは、好ましくは同一孔形状で同一寸法である4個のス
リットを点対称状に配置し、3分割ならば図5の(b)
に示すように3個のスリットを点対称状に配置する。
【0034】また、単孔を構成するスリット数は3個〜
6個である。多角形中空繊維の頂点部および辺部の数
は、単孔を構成するスリットの数に等しく、3分割であ
れば三角形中空断面繊維となり6分割であれば六角形中
空断面繊維となる。
【0035】また、前記した内外層の2種のポリマは各
スリットにおいて、内外層2層状態で吐出される。吐出
する際の内層部の複合比率は辺部の変動率を所望の範囲
とし、なおかつ頂点部を鋭利にするために40〜80重
量%とすることが好ましい。より好ましくは内層部の複
合比率は50〜70重量%である。
【0036】前記2種のポリマの内層および外層成分共
に金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を含
有して、一般的に採用されている乾熱あるいは湿熱方式
によって延伸は可能である。該延伸時、20℃以上の湿
熱で繊維束を十分に湿らせ、湿熱で300m/分以下の
速度で延伸することが糸切れの発生を防ぐ点から好まし
い。
【0037】また、前記した方法によって得られた複合
繊維をその後の適当な工程で該外層成分を溶剤処理によ
り溶出し、内層成分を残留せしめることにより図2
(a)、(b)、(c)および(d)に示すような多角
形中空断面繊維を得ることができる。この際の溶剤とし
ては熱水、あるいはアルカリ溶液が好ましく使用され、
特に好ましくは水酸化ナトリウム熱水溶液である。また
該処理はいずれの工程でも構わないが、生産の安定性か
ら製織、製編後とすることが好ましい。
【0038】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
【0039】A.外層部溶出後の強度 試料となる原糸を3重量%水酸化ナトリウム熱水溶液に
て処理して外層部を溶解除去した後、オリエンテック社
製テンシロンUCT−100にて引張り試験を行い、外
層部を溶出した後の繊度で強度を算出した。 (外層部溶出後の強度)=(引張り強力)/(内層部の
繊度)(g/d)
【0040】B.風合い特性(しゃり感、張り・腰、さ
らさら風合い) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。それらを総合評価して、
「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「劣
っている」は△、「極めて劣っている」は×で表した。
なお、基準試料には通常定番品種として用いられている
試料原糸と同一繊度、同一フィラメント数のY断面ポリ
エステルフィラメント糸を試料と同様の製織、加工を施
したものを用い、これを「劣っている」とした。
【0041】C.軽量感、鉱物的触感 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。それらを総合評価して、
「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「劣
っている」は△、「極めて劣っている」は×で現した。
なお、基準試料には通常定番品種として用いられている
試料原糸と同一繊度、同一フィラメント数のY断面ポリ
エステルフィラメント糸を試料と同様の製織、加工を施
したものを用い、これを「劣っている」とした。
【0042】D.固有粘度η 温度25℃においてオルソクロロフェノール10mlに
対し試料0.10gを溶解し、オスワルド粘度計を用い
て測定した。
【0043】E.溶融粘度 溶融粘度は宝工業株式会社製メルトインデクサータイプ
MX−101−Bにより、紡糸温度と同温度でずり速度
30(1/SEC)において測定した値である。
【0044】F.平均粒子径 遠心沈降式粒度測定装置(堀場製作所製CAPA−50
0)を用いて測定した。
【0045】実施例1〜3、比較実施例1 5−ソジウムスルホイソフタレート成分を表1の通り変
更して共重合し、固有粘度を0.60、酸化チタンを
2.5重量%配合したポリエチレンテレフタレートを内
層成分とし、固有粘度が0.35で、5−ソジウムスル
ホイソフタレート成分を5.0モル%共重合した変性ポ
リエステルを外層成分として用い、通常の複合紡糸機に
より紡糸温度295℃で図3に示す内外層複合口金を用
いて、図5の(a)に示す口金孔形状である環状の4分
割スリット中空孔より、内層部の複合比率が60重量%
で吐出し、1500m/分の速度で巻き取った。この時
の溶融粘度および溶融粘度比は表1の通りである。この
未延伸糸を30万デニールとし、液浴で延伸した後スタ
ッファーボックスで機械捲縮を付与した。120℃で弛
緩熱処理した後、3.5デニール、76mmの複合原綿
を得た。この原綿を使用して30番単糸の紡績糸とし
た。得られた複合紡績糸を経糸、及び緯糸として製織
し、90℃でリラックス精練、180℃で中間セットし
た後、4重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液で処理
し、外層成分を溶出して2.1デニールとし、170℃
で仕上げセットして織物を得た。得られた織物について
それぞれ官能評価を実施した結果を表1に記載した。
【0046】実施例1〜3ではこれまでの異形断面ポリ
エステル紡績糸使いの織物では達成できなかった風合い
であり、同時に高級感のある光沢を有し、いずれの風合
い特性も優れたものであった。一方、比較実施例1は頂
点曲率半径が大きく風合いとしてさらさら感がなかっ
た。
【0047】
【表1】 実施例4 内層成分のポリマ組成を表1に示すとおり共重合し、固
有粘度を0.58に変更した以外は実施例1と同様に織
物を得た。得られた織物について評価した結果、発色性
がやや劣っていた以外は良好な評価を得た。
【0048】実施例5、6、比較実施例2 5−ソジウムスルホイソフタレート成分を1.8モル
%、酸化チタンを2.5重量%とし、固有粘度を表1の
とおり変更したポリエチレンテレフタレートを内層成分
にした以外実施例1と同様に織物を得た。なお、溶融粘
度およびその比率は表1に記載したとおりである。その
評価結果を表1に記載した。
【0049】実施例5は実施例1に比較してさらさら風
合いが若干不足したこと以外は良好であり、実施例6は
光沢が実施例1より若干劣っていたが従来の織物に比較
して明らかに風合いが優れていた。比較例2は芯ポリマ
の固有粘度を0.50とした以外実施例1と同様に実験
した。評価結果は表1に示したとおり頂点の曲率半径が
大きいため、特徴であるさらさら風合いは認められなか
った。
【0050】
【表2】 実施例7、8 内層部の複合比率を表1に記載したとおり変更した以外
実施例1と同様に実験を行った。
【0051】実施例7は頂点の曲率半径が若干大きくな
り、実施例1と比較してさらさら感が若干不足していた
以外は良好であった。実施例8は中空率が若干低下し、
軽量性がやや不足であった以外は良好であった。
【0052】比較例3 内層成分の固有粘度および外層成分の固有粘度をそれぞ
れ0.50、0.32とした以外は実施例1と同様に実
験を行った。評価結果を表1に示した。中空率が低く、
軽量性に欠けたものとなり、頂点の曲率半径が大きいた
め特徴のさらさら風合は認められなかった。
【0053】比較例4 吐出孔のスリットの数を7に変更した以外は実施例1と
同様に実験を行った。評価結果を表2に示した。角数が
多いために特徴のさらさら風合いは認められなかった。
【0054】比較例5 外層成分のSSI成分共重合率を3.0モル%に変更し
た以外は実施例1と同様に実験を行った。評価結果を表
2に示した。外層成分を溶出したときに内層成分も溶出
した結果、頂点の曲率半径が大きく、さらさら風合いは
認められなかった。
【0055】比較例6 内層成分の複合比率を85%に変更した以外は実施例1
と同様に実験を行った。評価結果を表2に示した。頂点
の曲率半径が大きくなり、特徴のさらさら風合いは認め
られなかった。
【0056】
【表3】 実施例9〜11、比較例7、8 内層成分の二酸化チタン微粒子の配合量を表1に記載し
たとおり変更した以外は実施例1と同様に実験を行っ
た。
【0057】実施例9は実施例1に比較して鉱物的触感
が若干不足したこと以外は良好であり、実施例10は実
施例1より鉱物的触感が更に優れていた。実施例11は
内層成分の二酸化チタン微粒子の配合量を8.0重量%
とした以外実施例1と同様にテストをして織物を評価し
た。この織物は鉱物的触感が強く好ましいものであった
が製織時糸切れが若干発生した。比較例7は内層成分の
二酸化チタン微粒子の配合量を1.0重量%とした以外
実施例1と同様に実験を行った。鉱物的触感が不足して
おり、満足する織物とはならなかった。比較例8は内層
成分の二酸化チタン微粒子の配合量を0.5重量%とし
た以外実施例1と同様に実験した。評価結果は表2に示
したとおり鉱物的触感が不足であった。
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】本発明の繊維は、従来技術では達成し得
なかった鋭い頂点部をもち、かつ中空率の高い多角形状
の中空断面を有しかつ鉱物的な触感を有するポリエステ
ル繊維およびその製造方法に関するものである。本発明
の繊維はきらきらとした独特な光沢感、不透明感さらに
はドライタッチ、しゃり感、張り・腰、軽量感に優れた
特性を有しており、これまでの異形断面繊維では得るこ
とのできなかった衣料用の清涼感素材として最適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維の断面形状を説明するための繊
維のモデル図
【図2】 本発明の繊維の断面形状の例を示す繊維の横
断面図
【図3】 本発明で好ましく用いられる複合口金装置の
要部縦断面図
【図4】 図3におけるポリマ複合流の横断面図
【図5】 本発明で好適される口金の一具体例の下面図
【図6】 本発明で好適される口金の一具体例の下面図
【図7】 本発明の溶出前の複合繊維の断面形状を示す
繊維の断面図
【図8】 従来の多角形中実繊維の横断面図
【図9】 本発明で好適される口金孔形状を説明するた
めの口金のモデル図
【符号の説明】
1:繊維 1´:内層部 2:中空部 3:頂点部 4:辺部 5:上部導入部 6:下部導入部 7:口金 8:スリット 9:外層部 A;内層成分 B;外層成分

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維横断面における頂点部の曲率半径が
    下記(1)式を満足する三角〜六角の多角形中空断面ポ
    リエステル繊維であり、二酸化チタンを1.5重量%以
    上含有することを特徴とするポリエステル繊維。 r≦2d (1) r:繊維横断面の頂点部曲率半径(μm) d:単繊維繊度(デニール)
  2. 【請求項2】 隣り合う頂点部間の辺部の変動率が10
    %以下である請求項1記載のポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 繊維横断面における中空率が10〜40
    %である請求項1、又は2記載のポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】 繊度と繊維長の関係が下記(2)式を満
    足する請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル
    繊維。 30≦L/d≦50 (2) L:平均繊維長(mm) d:繊度(デニール)
  5. 【請求項5】 固有粘度ηが0.53〜0.70である
    請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル繊維。
  6. 【請求項6】 金属スルホネート基を含有するイソフタ
    ル酸成分を、1.0〜3.0モル%共重合したポリエス
    テルからなる請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエ
    ステル繊維。
  7. 【請求項7】 金属スルホネート基を含有するイソフタ
    ル酸成分を3.5モル%以上共重合したポリエチレンテ
    レフタレートを外層成分とし、溶融粘度が外層成分の
    1.2〜6.0倍であって、繰り返し単位の1.0〜
    3.0モル%が金属スルホネート基を含有するイソフタ
    ル酸成分であり、二酸化チタンを1.5重量%以上含有
    するポリエチレンテレフタレートを内層成分とし、三分
    割〜六分割のスリットで構成された環状の口金孔より吐
    出させ、口金直下でポリマ複合流を接合させて巻き取っ
    て得られた中空複合繊維の実質的に前記外層成分のみを
    溶剤で溶解し、多角形中空断面形状とすることを特徴と
    するポリエステル繊維の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101222323B1 (ko) * 2009-06-08 2013-01-15 웨이어해유저 엔알 캄파니 육각형의 셀룰로오스 목재 펄프 섬유 입자 및 이를 재료와 조합하는 방법
CN106120069A (zh) * 2016-08-18 2016-11-16 江苏协盛化纤有限公司 一种纳米竹炭防水化纤
CN118374903A (zh) * 2024-06-26 2024-07-23 汕头市至上科技有限公司 凉感生物基聚酯纤维面料、制备方法及其在内衣中的应用

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