JPH0770827A - ポリエステル系3成分複合繊維 - Google Patents

ポリエステル系3成分複合繊維

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JPH0770827A
JPH0770827A JP6102906A JP10290694A JPH0770827A JP H0770827 A JPH0770827 A JP H0770827A JP 6102906 A JP6102906 A JP 6102906A JP 10290694 A JP10290694 A JP 10290694A JP H0770827 A JPH0770827 A JP H0770827A
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Masayuki Sato
正幸 佐藤
Yoshihiro Konno
吉宏 近野
Hiroshi Takahashi
洋 高橋
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 芯成分A、島成分B、海成分Cのいずれも相
異なる3種のポリエステルからなり、島成分Bが芯成分
Aを取り囲むように点在し、且つ海成分Cのなかに偏在
することなく分散してなる3成分複合繊維において、海
成分Cの溶融粘度に対する芯成分Aおよび島成分Bの溶
融粘度の比、および原糸強度に対する海成分溶解除去後
の繊維強度の比を特定化したポリエステル系3成分複合
繊維。 【効果】 本発明により、張り・腰とソフトタッチな風
合、ふくらみ感をかね備えた新規な風合を有する布帛を
得るためのポリエステル系3成分複合繊維において、複
合形態の安定性および工程通過性、実用特性の優れた複
合繊維を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衣料用ポリエステル系
3成分複合繊維に関する。さらに詳しくは、複合形態の
安定性に優れ、且つ高強力である衣料用ポリエステル系
3成分複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、衣料用布帛は、ニーズの多様化、
高級化の要求が高まっており、種々の検討がなされてい
る。その一つとして、3成分系複合紡糸技術による検討
がなされている。例えば、特開平1−14321号公報
では、高収縮な芯成分、低収縮な島成分、易アルカリ減
量性の海成分からなるポリエステル系3成分複合繊維に
よって、張り・腰とソフトタッチな風合をかね備えた新
規な風合が得られることが開示されている。しかしなが
ら、該公報で用いている海成分ポリマの溶融粘度は、芯
成分および島成分の溶融粘度に比較して非常に高く、複
合形態の安定性は非常に良好であるが、得られる原糸の
強度、更には海成分溶解除去後の繊維の強度は低く、布
帛の引裂強力の低下や摩耗によるフィブリル化の発生な
どの実用特性面での問題が生じ、展開用途が限定されて
いた。また、特開平2−26912号公報においても、
高収縮な芯成分、低収縮な島成分、易アルカリ減量性の
海成分からなる3成分複合繊維によって、張り・腰とソ
フトタッチな風合をかね備えた新規な風合が得られるこ
とが開示されている。しかしながら、該公報の技術を用
いても、前記特開平1−14321号公報と同様の問題
が発生することがわかった。
【0003】また、熱水可溶性ポリエステルについても
種々の検討がなされており、例えば、特公昭64−62
86号公報では、海島型複合繊維の一成分として5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸およびイソフタル酸を共重
合した熱水可溶性ポリエステルを用いた複合繊維につい
て開示されている。しかしながら該公報では、単に2成
分複合繊維について記載されているに過ぎず、本発明の
如き異繊度、異収縮成分と海成分からなる3成分複合繊
維については何等開示されていない。従って、異繊度、
異収縮性の特徴をより効果的に発揮し、目的とする張り
・腰とソフトタッチな風合をかね備えた新規な風合を有
する布帛を得ることはできなかった。また、島成分ポリ
マと海成分ポリマの溶融粘度の比によっては複合形態の
異常による製糸性不良を招いたり、あるいは海成分溶解
除去後の繊維強度の低下により実用特性面で問題が発生
することがわかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、張り
・腰とソフトタッチな風合をかね備えた新規な風合を有
する布帛を得るためのポリエステル系3成分複合繊維に
おいて、操業安定性、即ち複合形態安定性にすぐれ、且
つ実用上問題の発生しないポリエステル系3成分複合繊
維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような本発明の目的
は、芯成分A、島成分B、海成分Cのいずれも相異なる
3種のポリエステルからなり、島成分Bが芯成分Aを取
り囲むように点在し、且つ海成分Cのなかに偏在するこ
となく分散してなる3成分複合繊維において、海成分C
の溶融粘度(εc)に対する芯成分Aおよび島成分Bの
溶融粘度(εaおよびεb)の比、εa/εcおよびε
b/εcが、いずれも0.80以上、2.50以下であ
り、原糸強度(T1)に対する海成分溶解除去後の繊維
強度(T2)の比、T2/T1が1.02以上であるポ
リエステル系3成分複合繊維(以下、複合繊維という)
によって達成できる。
【0006】図1は本発明の複合繊維の一例を示す複合
断面図である。Aは芯成分Aであり、Bは島成分Bであ
り、Cは海成分Cである。個々の島成分Bは海成分C中
に偏在することなく存在していることが必要である。す
なわち、個々の島成分Bは海成分Cにより分離されてい
ると共に、芯成分Aとも海成分Cにより分離されている
ことが好ましい。芯成分Aと個々の島成分B、および個
々の島成分B同志が海成分Cにより分離されていない
と、海成分Cを溶解除去しても、芯成分Aと個々の島成
分Bおよび個々の島成分B同志を分離することができ
ず、目的とするソフトタッチな風合を十分に得ることが
できない。
【0007】本発明では、海成分Cに対する芯成分Aお
よび島成分Bの溶融粘度の比では、紡糸における複合形
態の安定性と、得られる原糸の強度、更には海成分溶解
除去後の繊維の強度に密接な関係を有しており、該溶融
粘度比を特定の範囲とすることによって、複合形態を安
定化し、且つ高次加工、および実用の上で十分な強度を
有する原糸を得ることができるのである。即ち、海成分
Cに対する芯成分Aおよび島成分Bの溶融粘度の比、ε
a/εcおよびεb/εcが、いずれも0.80以上、
2.50以下であることが必要である。εa/εcまた
はεb/εcが0.80未満の場合、海成分Cの溶融粘
度が高すぎるため、複合形態の安定性の面からは安定し
た複合形態を得ることができるが、原糸強度、更には海
成分溶解除去後の繊維の強度の低下が著しく、高次加工
工程の通過性が悪化すると共に、布帛とした際に引裂強
力が低く、また摩耗によるフィブリル化が起こり、実用
上の問題が生じるのである。逆に、εa/εcまたはε
b/εcが2.50を越えると、海成分Cの溶融粘度が
低すぎて、安定した複合形態を得ることが困難となるた
め、製糸性が不良となり操業安定性が著しく損われてし
まうのである。前述の原糸および海成分溶解除去後の繊
維の強度の低下は、以下のようなメカニズムによって生
じるものと考えられる。即ち、海成分の溶融粘度が芯成
分および島成分に比較して非常に高いため、紡糸時の紡
糸応力が海成分に集中し、紡糸段階において海成分の繊
維構造の形成が優先的に進行し、逆に芯成分および島成
分は紡糸応力が余りかからないため、繊維構造の形成が
十分に行なわれない。即ち、海成分の構造は紡糸速度よ
り高紡速で紡糸した構造となり、逆に芯成分および島成
分は低紡速で紡糸した構造となる。従って、その後に行
なう延伸では、最も延伸性の低い海成分によって延伸倍
率が決定され、芯成分および島成分が十分に延伸されず
に延伸が完了することとなり、得られる原糸の強度、更
には海成分溶解除去後の繊維の強度が低下する。紡糸に
おける複合形態を安定化し、且つ高次加工、および実用
の上で十分な原糸強度を得るための、海成分Cに対する
芯成分Aおよび島成分Bの溶融粘度の比、εa/εcお
よびεb/εcの範囲は、好ましくは0.80以上、
2.00以下であり、より好ましくは0.80以上1.
80以下である。なお、溶融粘度の測定は、東洋精機製
作所(株)製キャピログラフ1Bにより、290℃、ず
り速度1200(1/秒)において測定した値である。
【0008】本発明の複合繊維は、原糸強度(T1)に
対する海成分溶解除去後の繊維強度(T2)の比、T2
/T1が1.02以上であることが必要である。T2/
T1の比が1.02未満であると、海成分溶解除去工
程、例えばアルカリ熱水処理において、非溶解成分、即
ち芯成分Aおよび島成分Bの加水分解などによる劣化が
進行し、布帛とした際の引裂強力が低く、また摩耗によ
るフィブリル化が起こり、実用上の問題が発生するた
め、製品の耐久性や毛羽発生等による品位の低下が起こ
る。T2/T1の比は、好ましくは1.05以上であ
る。なお、海成分溶解除去後の繊維強度の測定は以下の
方法で行なう。複合繊維を定長で100℃以下の処理温
度で脱海した後、通常の方法で強伸度を測定し、海成分
溶解除去後の繊維の繊度を下記式より計算し強度を求め
る。◎ 繊度=原糸繊度×(芯成分複合比+島成分複合比)
【0009】本発明の複合繊維は、該繊維を用いて布帛
とした後、例えば熱水やアルカリ熱水溶液で海成分Cを
溶解除去し、芯成分Aと島成分Bとに分離することによ
って独特の風合を得るものである。本発明の複合繊維
は、風合面、特に張り・腰の点で複合フィラメントを構
成する芯成分Aの繊度は、1.0デニール以上5.0デ
ニール以下であることが好ましい。芯成分Aの繊度が
1.0デニール未満であると、布帛に十分な張り・腰を
付与することができず、逆に5.0デニールを越えると
硬い風合となる。
【0010】また、ソフトタッチな風合という点で、複
合繊維を構成する島成分Bの繊度は、0.1デニール以
上0.6デニール以下が好ましい。島成分Bの繊度が
0.1デニール未満ではソフトタッチな風合が得られる
ものの、布帛の柔軟さが強調され過ぎてしまい、逆に
0.6デニールを越えるとソフトタッチな風合を得るこ
とができない。また、島成分Bの形状については、特に
限定しないが円形、楕円形、偏平形が好ましく、特に偏
平形が好ましい。島成分Bの形状を偏平形とすることに
より、独特の表面タッチを表現することが可能となる。
島成分Bの形状を偏平形とする場合には、その偏平度を
1.5以上、5.0以下とすることが好ましい。偏平度
が1.5未満であると偏平化による独特の表面タッチを
得るには不十分であり、逆に偏平度が5.0を越える
と、島成分の厚みが薄くなることにより、偏平面に対す
る曲げ剛性が低下し、ふくらみ感が低下すると共に、極
細糸によるピーチタッチを得にくくなる傾向がある。な
お、本発明でいう偏平度とは、図1に示した複合断面図
において、繊維円周方向の島成分の最大長さL1と繊維
半径方向の島成分の最大長さL2との比L1/L2であ
る。島成分Bの複合繊維における存在個数は、風合面よ
り4個以上20個以下であることが好ましく、より好ま
しくは5個以上15個以下である。島成分Bの個数が3
個以下の場合、太繊度の芯成分Aの効果が強調されすぎ
硬い風合となり、島成分Bの個数が21個以上の場合、
極細繊度の島成分Bの効果が強調されすぎ柔らか過ぎる
風合となる。
【0011】本発明の複合繊維は、得られる布帛の風
合、品位の点で相異なる3種のポリマで形成されている
ことが必要であり、相異なる3種のポリマとは、製糸、
製編織する際に複合成分間で剥離を生じないように、相
溶性が良好なポリマを組み合わせることが必要である。
製編織する際に、複合成分間で剥離を生じると、毛羽、
たるみ、糸切れが発生しやすく工程通過性、製品品位の
点で問題が生じる。芯成分Aを構成するポリマの好まし
い例としては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル
酸、ジフェニルジカンボン酸、ナフタリンジカルボン酸
等の二塩基酸類、オキシ安息香酸の如きオキシ酸類、お
よびジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール等のグリコール類、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、2,2ビス{4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル}プロパンなどのうちから1種
または2種以上のものを共重合したポリエステルが挙げ
られるがこの限りではない。本発明で用いる芯成分Aと
しては、島成分Bによるピーチタッチ効果を増大し、且
つ布帛とした場合にふくらみ感を付与するという点か
ら、島成分Bより乾熱収縮率で5%以上高収縮であるこ
とが好ましい。なお、乾熱収縮率の測定は以下の方法で
行なう。複合繊維の脱海前の糸長L0 を測定し、100
℃以下の処理温度で脱海した後、200℃乾熱処理を1
5分行なう。次いで芯成分と島成分とを分離し糸長を測
定し、芯成分の糸長をLH 、島成分の糸長をLL とす
る。乾熱収縮率は次式により求める。 芯成分の乾熱収縮率(%)=(L0 −LH )/L0 ×1
00 島成分の乾熱収縮率(%)=(L0 −LL )/L0 ×1
00
【0012】島成分Bとしては、芯成分Aとの収縮率差
により、布帛とした場合にふくらみ感を付与するという
点から、低収縮であることが好ましい。島成分Bを構成
するポリマの好ましい例としては、実質的にポリエチレ
ンテレフタレート単独重合体でよく、風合を改善するた
めに共重合体、あるいは添加物を加えたものでも良い。
【0013】海成分Cとしては、芯成分Aと島成分Bを
容易に分割できることが好ましく、そのためには芯成分
Aおよび島成分Bに対して、アルカリ減量比が30以上
高いポリマであることが好ましく、熱水可溶性ポリエス
テルであることがより好ましい。なお、アルカリ減量比
は以下の方法で測定する。本発明のポリマA、Bおよび
ポリマCからなる同一デニールの円形断面の各フィラメ
ントを3%苛性ソーダ水溶液に浴比1:125、温度9
8〜100℃で処理し、減量率が70%に到達するまで
の所要時間TA 、TB 、TC を測定し、ポリマCのポリ
マAおよびBに対するアルカリ減量比を次式により求め
た。 ポリマCのポリマAに対するアルカリ減量比=TA /T
C ポリマCのポリマBに対するアルカリ減量比=TB /T
C また、減量率はアルカリ処理前の重量をW0 、アルカリ
処理後の重量をW1 として、次式により求めた。 減量率(%)=(W0 −W1 )/W0 ×100
【0014】また、熱水溶解性は以下の方法で測定す
る。95℃の熱水100gにチップ1gを投入し、マグ
ネチックスターラーで攪拌しながら15分間溶解させ、
実質的にポリマが溶解するものを熱水可溶性とした。
海成分Cとして熱水可溶性ポリエステルを用いることが
より好ましい理由は以下の通りである。
【0015】第1の理由は、海成分Cの溶解除去後の芯
成分Aと島成分Bとの収縮率差をより大きく発現させる
ことが可能となり、布帛とした際に、より大きなふくら
み感を付与することができることである。すなわち、海
成分Cとして熱水可溶性ポリエステルを用いることによ
って、別に溶解工程を設けることなしに、精練工程にお
いて海成分Cを溶解除去することができるため、芯成分
Aと島成分Bを分離するまでの熱履歴を最小限に抑える
ことができる。このように分離するまでの熱履歴を最小
限に抑えることによって、海成分Cの溶解除去後の芯成
分Aと島成分Bとの収縮率差をより大きく発現させるこ
とが可能となるのである。
【0016】第2の理由は、海成分溶解除去後の繊維強
度を高く維持できることである。すなわち、熱アルカリ
水溶液を用いることなしに海成分の溶解除去ができるた
め、海成分の溶解除去の際に芯成分Aおよび島成分Bの
劣化は全く起こらず、従って海成分溶解除去後の繊維強
度を高く維持できるのである。
【0017】第3の理由は、布帛製造工程を簡略化でき
ることである。すなわち、精練工程で海成分を溶解除去
することができるため、熱アルカリ水溶液による海成分
溶解除去工程を省略することができ、安全衛生面および
製造コスト面で著しく改善することができるのである。
【0018】海成分Cとして用いる熱水可溶性ポリエス
テルは、主たる酸成分がテレフタル酸であり、共重合成
分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびイソ
フタル酸を総量として20モル%以上50モル%以下共
重合した熱水可溶性ポリエステルであることが特に好ま
しい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびイソフ
タル酸成分の総共重合量が20モル%未満の場合、十分
な熱水可溶性を得ることができずフレーク状の不溶物が
残存するため好ましくない。逆に、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸およびイソフタル酸成分の総共重合量が
50モル%を越えると、熱水可溶性は十分であるが、冷
水でも一部溶出されるようになり、取扱い上好ましくな
い。
【0019】本発明の複合繊維を形成するポリマA、
B、Cには、本発明の効果を阻害しない範囲で艶消剤、
抗酸化剤、蛍光増白剤、難燃剤、紫外線吸収剤などの添
加剤を含有させることもできる。
【0020】本発明による複合繊維を紡糸するのに必要
な紡糸パックは、特開昭57−47938号公報の第3
図や特開昭57−82526号公報の第2図に示される
装置が好適な一例として使用できる。また本発明による
複合繊維を紡糸するのに必要な口金は、図3に示すよう
な特開平1−14321号公報に示される装置が好適な
一例として使用できる。
【0021】本発明による複合繊維を製糸するにあたっ
ては、紡糸および延伸工程を連続して行なう方法、未延
伸糸として一旦巻き取った後、延伸する方法または高速
製糸法等の何れのプロセスにも適用することができる。
また、必要に応じて仮撚や、空気交絡等の糸加工を施し
ても良い。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。なお、実施例中において用いられる特性等の測
定法は以下の通りである。
【0023】(a)断面複合状態安定性 カチオン染料、あるいは分散染料で海成分を主に染色し
た後、厚さ5ミクロンにカットし、該染色断面より複合
状態を観察した。 ◎ :複合異常は全くなし ○ :複合異常の単繊維がマルチフィラメント糸の10
%未満 △ :複合異常の単繊維がマルチフィラメント糸の10
%以上30%未満 × :複合異常の単繊維がマルチフィラメント糸の30
%以上
【0024】(b)高次加工工程通過性 製織時の糸切れ発生頻度から3段階で評価した。 ○:糸切れ全くなし △:糸切れはないが毛羽発生あり ×:糸切れあり
【0025】(c)風合評価 高級衣料用布帛として重要な基本的風合である「張り
腰」、「ソフトタッチな風合」、「ふくらみ感」の3種
について熟練技術者10名による官能評価を実施し、各
々について従来の混繊糸使いを基準(5点)として10
点満点で評価した。得られた得点を平均し、0点以上2
点未満を××、2点以上4点未満を×、4点以上6点未
満を△、6点以上8点未満を○、8点以上10点以下を
◎として、5段階で評価した。 ◎ :特に優れている ○ :優れている △ :普通 × :劣っている ××:特に劣っている
【0026】(d)引裂強力 JIS L 1096に準ずる。
【0027】実施例1〜5および比較例1、2 島成分Bとして溶融粘度1450ポイズのポリエチレン
テレフタレートを、芯成分Aとしてイソフタル酸7.1
モル%、2,2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル}プロパンを4.0モル%共重合した溶融粘度
1520ポイズの変性ポリエステルを、海成分Cとして
5−ソジウムスルホイソフタル酸7.0モル%共重合し
た表1のように溶融粘度の異なる変性ポリエステル用
い、芯成分A、島成分Bおよび海成分Cの複合比A/B
/Cを40/47/13、島成分Bの数を7とし、紡糸温度29
0℃、1500m/分の速度で巻き取った。次いで延伸
を行ない、90デニール、12フィラメントのマルチフ
ィラメント糸を得た(海成分溶解分割後、芯成分は3デ
ニール、島成分は0.5デニールである)。得られた糸
の特性を表2に示す。尚、海成分Cは、いずれも熱水に
対しては不溶であった。該マルチフィラメント糸を用い
て緯糸打込みを行ない平織物を得た。該織物を濃度2%
の苛性ソーダ水溶液中で98〜100℃で30分間減量
処理を行ない、海成分を溶解除去し、弛緩状態で200
℃、5分間の乾熱処理、染色、仕上加工を行なった。表
3に得られた織物の工程通過性、実用特性を示す。
【0028】比較例1では、海成分Cに対する芯成分A
および島成分Bの溶融粘度の比が大きすぎるため、原糸
強度および海成分溶解除去後の繊維強度は高いが複合形
態の安定性に欠け、複合異常による製糸性が悪化し、ま
た品位の点でも複合異常により安定した品位の製品を得
ることが困難であった。また、比較例2では、海成分C
に対する芯成分Aおよび島成分Bの溶融粘度の比が小さ
すぎるため、複合形態の安定性は良好であるが原糸強度
が低く、製織時の糸切れ等のトラブルが発生し高次加工
工程の通過性が悪化すると共に、海成分溶解除去後の繊
維強度低下が大きく、布帛の引裂強力が低下し、実用に
十分耐え得る製品を得ることが困難であった。
【0029】実施例1および2では、海成分Cに対する
芯成分Aおよび島成分Bの溶融粘度の比がやや大きく、
複合形態の安定性が若干劣っていたが、原糸強度および
海成分溶解除去後の繊維強度は高く、高次加工通過性お
よび布帛の引裂強力は非常に良好であり、風合面でも適
度な張り・腰、芯成分Aと島成分Bとの収縮率差による
ふくらみ感、島成分Bの偏平化によるドライ感のあるピ
ーチタッチな風合を有しており、従来にない優れた特徴
を有していた。また、実施例5では、複合形態の安定性
が非常に良好であり、風合面でも適度な張り・腰、ふく
らみ感および島成分Bの偏平化によるドライ感のあるピ
ーチタッチな風合を有しており、従来にない優れた特徴
を有していたが、海成分溶解除去後の繊維強度が若干低
いため、引裂強力が若干低いものであった。また、実施
例3および4では、原糸強度、海成分溶解除去後の繊維
強度、複合形態の安定性、高次加工通過性とも非常に良
好であり、得られた布帛の風合も適度な張り・腰、ふく
らみ感およびドライ感のあるピーチタッチな風合を有し
ており、従来にない優れた特徴を有していた。
【0030】比較例3 芯成分A、島成分Bおよび海成分Cの溶融粘度をそれぞ
れ表1のように変更して実施例1と同様の方法で紡糸、
延伸を行ないマルチフィラメント糸を得た(海成分溶解
分割後、芯成分は3デニール、島成分は0.5デニール
である)。得られた糸の特性を表2に示す。実施例1と
同様に平織物を作製し、仕上加工を行なった。表3に得
られた織物の工程通過性、実用特性を示す。
【0031】比較例3は、海成分Cに対する芯成分Aお
よび島成分Bの溶融粘度比は十分満足し、原糸強度とし
ては高いが、海成分溶解除去後の繊維強度の低下が大き
いため、高次加工工程通過性が不良であるとともに引裂
強力が低く、実用に十分耐え得る製品を得ることが困難
であった。
【0032】
【表1】
【表2】
【表3】 実施例6〜9 実施例4で使用したポリマを用いて、島成分Bの島数を
表4のように変更して実施例4と同様の方法で紡糸、延
伸を行ないマルチフィラメント糸を得た(海成分溶解分
割後、芯成分は3デニール、島成分は0.5デニールで
ある)。得られた糸の特性を表4に示す。実施例4と同
様に平織物を作製し、仕上加工を行なった。表5に得ら
れた織物の工程通過性、実用特性を示す。
【0033】実施例6では、原糸強度、海成分溶解除去
後の繊維強度、複合形態の安定性、高次加工通過性等に
非常に優れていたが、風合面において、島成分Bの偏平
度が非常に大きいため、島成分の偏平面に対する曲げ剛
性の低下によりふくらみ感が若干不足し、また島数が少
ないことによりピーチタッチ感も若干低下していた。ま
た実施例9では、複合形態の安定性、高次加工通過性等
に非常に優れていたが、海成分溶解除去後の繊維強度が
若干低いため、引裂強力が若干低かった。また風合面に
おいても、ピーチタッチな風合は得られるが島成分Bの
偏平度が小さいため、偏平化によるドライ感は不足して
いた。実施例7および8では、原糸強度、海成分溶解除
去後の繊維強度、複合形態の安定性および工程通過性が
非常に良好であり、風合面においても、適度な張り・
腰、芯成分と島成分の収縮差によるふくらみ感、島成分
Bの偏平化によるドライ感のあるピーチタッチな風合を
有しており、従来にない優れた特徴を有していた。
【0034】
【表4】
【表5】 実施例10〜13および比較例4、5 実施例7において海成分Cとして5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸10.0モル%、およびイソフタル酸35
モル%を共重合した表6のように溶融粘度の異なる熱水
可溶性ポリエステル用い、島数を5として実施例7と同
様の方法で紡糸、延伸を行ないマルチフィラメント糸を
得た(海成分溶解分割後、芯成分は3デニール、島成分
は0.4デニールである)。得られた糸の特性を表7に
示す。なお、海成分Cの芯成分Aおよび島成分Bに対す
るアルカリ減量比は、海成分Cが数秒で完全溶解してし
まうため、詳細な減量比が測定不能のため500以上と
判断した。また、海成分Cの熱水溶解性については、い
ずれも良好な溶解性を有していた。実施例1と同様に平
織物を作製し、該織物を98℃のトリポリリン酸ソーダ
0.2g/l熱水溶液中で10分間減量処理を行ない海
成分Cを溶解除去し、弛緩状態で200℃、5分間の乾
熱処理、染色、仕上加工を行なった。表8に得られた織
物の工程通過性、実用特性を示す。
【0035】比較例4では、海成分Cに対する芯成分A
および島成分Bの溶融粘度の比が大きすぎるため、複合
形態の安定性に欠け、複合異常による製糸性が悪化し、
また品位の点でも複合異常により安定した品位の製品を
得ることが困難であった。また、比較例5では、海成分
Cに対する芯成分Aおよび島成分Bの溶融粘度の比が小
さすぎるため原糸強度が低く、製織時の糸切れ等のトラ
ブルが発生し高次加工工程の通過性が悪化すると共に、
海成分溶解除去後の繊維強度が低いため、布帛の引裂強
力が低下し、実用に十分耐え得る製品を得ることが困難
であった。
【0036】実施例10および11では、海成分Cに対
する芯成分Aおよび島成分Bの溶融粘度の比がやや大き
く、複合形態の安定性が若干劣っていたが、原糸強度お
よび海成分溶解除去後の繊維強度は高く、高次加工通過
性および布帛の引裂強力は非常に良好であり、風合面で
も適度な張り・腰、芯成分Aと島成分Bとの収縮率差に
よるふくらみ感、島成分Bの偏平化によるドライ感のあ
るピーチタッチな風合を有しており、従来にない優れた
特徴を有していた。
【0037】実施例12および13では、原糸強度、海
成分溶解除去後の繊維強度、複合形態の安定性、高次加
工通過性とも非常に良好であり、得られた布帛の風合も
適度な張り・腰、芯成分と島成分の収縮差によるふくら
み感および島成分Bの偏平化によるドライ感のあるピー
チタッチな風合を有しており、従来にない優れた特徴を
有していた。
【0038】
【表6】
【表7】
【表8】 実施例14〜16 実施例12において海成分Cとして5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸およびイソフタル酸の共重合量を表9の
ように変更した熱水可溶性ポリエステル用い、島数を1
0として、実施例12と同様の方法で紡糸、延伸を行な
いマルチフィラメント糸を得た(海成分溶解分割後、芯
成分は4デニール、島成分は0.5デニールである)。
得られた糸の特性を表10に示す。海成分Cの熱水溶解
性については、実施例14で用いたものは熱水では完全
に溶解することができず不溶物が残存した。また、実施
例16で用いたものは冷水に対しても一部が溶解した。
一方、実施例15で用いたものは良好な溶解性を有して
いた。また、海成分Cの芯成分Aおよび島成分Bに対す
るアルカリ減量比は、海成分Cが数秒で完全溶解してし
まうため、詳細な減量比が測定不能のため500以上と
判断した。実施例12と同様に平織物を作製し、仕上加
工を行なった。表11に得られた織物の工程通過性、実
用特性を示す。
【0039】実施例14では、原糸強度、海成分溶解除
去後の繊維強度、複合形態の安定性、高次加工通過性と
も非常に良好であり、得られた布帛の風合も適度な張り
・腰、ふくらみ感および島成分Bの偏平化によるドライ
感のあるピーチタッチな風合を有しており、従来にない
優れた特徴を有していたが、海成分Cの熱水溶解性が十
分でないために若干の不溶物が残存しており、品位の面
で若干劣っていた。
【0040】実施例16では、原糸強度、海成分溶解除
去後の繊維強度、複合形態の安定性とも非常に良好であ
り、得られた布帛の風合も適度な張り・腰、芯成分と島
成分の収縮差によるふくらみ感および島成分Bの偏平化
によるドライ感のあるピーチタッチな風合を有してお
り、従来にない優れた特徴を有していたが、海成分Cが
冷水においても一部溶解してしまうため、製織時に若干
の毛羽発生が起こり、高次加工通過性の面で若干劣って
いた。
【0041】実施例15では、原糸強度、海成分溶解除
去後の繊維強度、複合形態の安定性、高次加工通過性と
も非常に良好であり、得られた布帛の風合も適度な張り
・腰、芯成分と島成分の収縮差によるふくらみ感および
島成分Bの偏平化によるドライ感のあるピーチタッチな
風合を有しており、従来にない優れた特徴を有してい
た。
【0042】
【表9】
【表10】
【表11】
【0043】
【発明の効果】本発明によるポリエステル系3成分複合
繊維は、海成分Cに対する芯成分Aおよび島成分Bの溶
融粘度の比、および原糸強度と海成分溶解除去後の繊維
強度の比を特定化することにより、複合形態の安定性を
著しく改善することができ、更に工程通過性、実用特性
に優れ、且つ張り・腰、ソフトタッチな風合、およびふ
くらみ感をかね備えた従来にない優れた風合を有する布
帛を安定に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の3成分複合繊維を構成する複合繊維の
好ましい一例を示す複合断面図
【図2】図1の複合繊維から海成分を除去して得た糸の
断面図
【図3】本発明の3成分複合繊維を得るために好ましく
用いられる口金装置の縦断面図
【符号の説明】
1:芯成分Aの流入孔 2:島成分Bの流入孔 3:海成分Cの流入孔 4:ポリマ集合部 5:口金吐出孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯成分A、島成分B、海成分Cのいずれ
    も相異なる3種のポリエステルからなり、島成分Bが芯
    成分Aを取り囲むように点在し、且つ海成分Cのなかに
    偏在することなく分散してなる3成分複合繊維におい
    て、海成分Cの溶融粘度(εc)に対する芯成分Aおよ
    び島成分Bの溶融粘度(εaおよびεb)の比、εa/
    εcおよびεb/εcが、いずれも0.80以上、2.
    50以下であり、原糸強度(T1)に対する海成分溶解
    除去後の繊維強度(T2)の比、T2/T1が1.02
    以上であることを特徴とするポリエステル系3成分複合
    繊維。
  2. 【請求項2】 海成分Cとして、熱水可溶性ポリエステ
    ルを用いることを特徴とする請求項1に記載したポリエ
    ステル系3成分複合繊維。
  3. 【請求項3】 海成分Cとして、主たる酸成分がテレフ
    タル酸であり、共重合成分として5−ナトリウムスルホ
    イソフタル酸およびイソフタル酸を総量として20モル
    %以上50モル%以下共重合した熱水可溶性ポリエステ
    ルを用いることを特徴とする請求項1および2に記載し
    たポリエステル系3成分複合繊維。
JP6102906A 1993-06-16 1994-05-17 ポリエステル系3成分複合繊維 Pending JPH0770827A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100231324B1 (ko) * 1995-12-29 1999-11-15 구광시 제 3 성분계 복합섬유
JP2012057291A (ja) * 2006-01-31 2012-03-22 Eastman Chem Co スルホポリエステルに由来する多成分繊維及びマイクロデニール繊維の製造方法
WO2022107671A1 (ja) * 2020-11-20 2022-05-27 東レ株式会社 海島複合ポリエステル繊維

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