JPH09183643A - セメント硬化遅延剤およびセメント硬化遅延シート - Google Patents

セメント硬化遅延剤およびセメント硬化遅延シート

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JPH09183643A
JPH09183643A JP4680296A JP4680296A JPH09183643A JP H09183643 A JPH09183643 A JP H09183643A JP 4680296 A JP4680296 A JP 4680296A JP 4680296 A JP4680296 A JP 4680296A JP H09183643 A JPH09183643 A JP H09183643A
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達 生田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モルタル組成物を打設し、硬化面を洗浄する
ことにより、コンクリート製品の表面に模様や洗い出し
面を形成する。 【解決手段】 主鎖が炭素数2〜6の多価カルボン酸を
含む多価カルボン酸成分と、炭素数2〜4の多価アルコ
ール又はその縮合物を含むポリオール成分との反応によ
り得られるポリエステルをセメント硬化遅延剤として用
い、セメントの硬化を抑制することにより、コンクリー
ト製品の表面に模様や洗い出し面を形成する。不飽和ポ
リエステルは、重合開始剤、重合性ビニルモノマーなど
を含む重合性組成物としても使用できる。硬化遅延剤は
不飽和ポリエステルの硬化物の粉粒体であってもよい。
硬化遅延剤と粘着剤を含む組成物を基材シートに塗布又
は含浸させ、硬化遅延シートを形成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメントを含む硬
化性組成物の表面の硬化を遅延させる上で有用なセメン
ト硬化遅延剤、それを用いたセメント硬化遅延シートに
関する。
【0002】
【従来の技術】セメントの硬化遅延剤は、セメントの水
和反応を遅らせることによりモルタルやコンクリートの
凝結および硬化を遅延させるため、セメントに混和され
るセメント混和剤の一種である。セメント硬化遅延剤に
関し、特開平1−172250号公報には、酸化鉛、酸
化ホウ素、ホウ砂、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ケイフッ化マ
グネシウムなどの無機系硬化遅延剤、ポリヒドロキシ化
合物(砂糖、アルコール、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、デキストリンな
ど)、ポリアクリル酸ナトリウム、オキシカルボン酸
塩、リグニンスルホン酸塩、グルコン酸又はその塩、ピ
ルビン酸、α−ケトグルタール酸などのケト酸などの有
機系硬化遅延剤が記載されている。これらのセメント硬
化遅延剤の使用目的は、夏期において硬化を抑制しつつ
生コンクリートを長期間に亘り輸送すること、大型コン
クリート構造物において温度による応力を緩和すること
などである。 コンクリート成形品および各種建築物の
表面に、左官技術の1つである洗い出し工法を利用して
装飾を施すことがしばしば行なわれている。この洗い出
し工法は、セメントが硬化する直前に水洗することによ
り、コンクリート表面層のモルタルを洗い流すことによ
り、骨材の一部を露出させる方法である。この方法は、
コンクリートの硬化速度が密接に関係するため、洗い出
すタイミングが時間的に極めて狭い範囲に限定され、多
量生産、または大型建築物への応用は不適な技術であ
る。また、コンクリート表面へのタイルの施工につい
て、粘着テープの粘着剤層の表面に複数枚のタイルを貼
着して配列したユニットタイルを用いる方法が提案され
ている。このユニットタイルを用いる方法では、コンク
リートが打設される型枠にユニットタイルを配置し、モ
ルタルを型枠に流し込んで養生した後、脱型し、粘着シ
ートを除去することにより表面にタイルを露出させた
後、タイルの表面に回り込んで硬化したセメントを除去
し、表面仕上げすることによりタイルを施工している。
この表面仕上げは、タイルに付着した硬化セメントを手
作業で削り取る場合が多く、表面の綺麗さを特徴とする
タイルの施工に欠くことができない工程である。しか
し、タイルに付着した硬化セメントを除去する作業は、
時間と手間がかかり煩雑であり、タイル施工経費が高騰
するだけでなく、硬化セメントの除去作業によりタイル
表面が損傷する原因ともなる。
【0003】このような問題を解決するため、コンクリ
ート混和剤の一種であるセメント硬化遅延剤を応用し
て、コンクリートの表面層だけの硬化を阻害し、コンク
リート製品の表面を加工したり、表面に模様を形成する
ことが提案されている。例えば、硬化遅延剤を紙に含浸
させ、含浸紙を型枠の底に貼付などにより固定し、モル
タルを打設し、コンクリートが硬化した後、コンクリー
ト成形品を脱型し、含浸紙と接触した表面の未硬化モル
タルを洗い流すことにより、骨材を露出させ、自然な風
合いを得る方法が提案されている。特開昭63−216
703号公報には、硬化遅延剤を紙に含浸させた型紙を
カッティングして所定の文字や図形などの模様に対応す
る裁断型紙を作製する工程、型枠内面の所定部位に裁断
型紙を接着する工程、前記型枠内にモルタルを打設し、
養生を施す工程、前記型枠を解体してコンクリート製品
を取出す工程、コンクリート製品の型紙部位を洗浄する
工程を経て、コンクリート製品の表面に所定の凹凸模様
を形成している。特開昭61−202803号公報に
は、前記セメント硬化遅延剤を塗布した紙にタイルなど
を貼り付けて型枠内にセットし、上記と同様にして洗い
出す方法が開示されている。特開平5−38711号公
報および特開平5−50411号公報には、超遅延剤、
粘着付与材、増量剤および白色系顔料を含む混合物を型
枠内面に付着させ、モルタル又はコンクリートを打設
し、養生及び脱型し、セメント製品のうち型枠との当接
面のセメントペーストを洗い出し、セメント製品の表面
を仕上げる方法が開示されている。しかし、セメントの
水和機構を抑制する従来の硬化遅延剤は、水に対して高
い溶解性を有しており、セメントコンクリート中の水分
に溶解する。従って、モルタルやコンクリートの打設に
伴って、硬化遅延剤が溶解し、型枠内又は成形品や構造
物表面においてモルタル又はコンクリート中の過剰なブ
リード水とともに流動する。そのため、洗い出しが不要
な箇所に硬化遅延剤が流動したり、硬化遅延剤が局所的
に集中したりする反面、洗い出しや装飾が必要とされる
部位では硬化遅延剤が流出する。また、ブリーディング
水が通過した面では、洗い出しの深さも特に深くなる。
従って、コンクリート成形品又は建築物の表面のうち所
定の部位に、装飾文字や図形など、特に複雑な装飾を精
度よく形成することが困難である。
【0004】特開平3−224953号公報には、型枠
の内壁に、コンクリート非硬化剤を塗布し、目地棒を介
してタイルや石などの装飾材を配列し、所定の高さに鉄
筋を組み込み、コンクリートを打設して硬化させた後、
脱型し、コンクリート製品の表面を水洗することによ
り、装飾材と一体化したコンクリートブロックの製造方
法が開示されている。この文献には、コンクリート非硬
化剤を、アルカリ膨潤化剤と高吸水性ポリマーと吸水モ
ノマーと硬化剤とを含む組成物を硬化させ、高級水性ポ
リマー含有硬化膜とすることが開示されている。特開平
3−175003号公報には、非硬化被覆材層を介して
型枠の内面に装飾材を仮着し、コンクリートを打設して
硬化させた後、脱型し、コンクリート製品の表面の非硬
化被覆材およびコンクリートの未硬化部分を水洗により
除去し、表面が装飾されたコンクリート製品を製造する
方法が開示されている。この先行文献には、非硬化被覆
材層を、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルアセタールなどのアルカリ膨潤化材と高吸水性ポリ
マーとの混合物で形成することが記載されている。しか
し、これらの先行文献に記載の方法では、型枠内に配設
された装飾材が、モルタル組成物の打設により位置ずれ
したりコンクリート非硬化剤が流失することにより、コ
ンクリート製品の所定の部位に洗い出し面や模様を形成
することが困難である。また、非硬化被覆材を装飾材の
表面に塗布する必要があるため、作業性およびコンクリ
ート製品の生産性を高めることが困難である。なお、特
開平3−175003号公報には、コンクリート非硬化
材がシート状であってもよいことが記載されている。し
かし、コンクリート非硬化材がアルカリ膨潤化材と高吸
水性ポリマーとの混合物で構成されているため、シート
化が困難である。さらに、セメントの硬化を遅延さるた
めには、アルカリ膨潤化材に加えて高吸水性ポリマーを
必要とし、アルカリ膨潤化剤の一例として記載されてい
るポリエステルの詳細については開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、水に対する溶解性が小さいにも拘らず、セメントに
対して高い硬化抑制能を有するセメント硬化遅延剤を提
供することにある。本発明の他の目的は、水分による流
出を抑制し、コンクリート製品の表面に模様や洗い出し
面を精度よく形成する上で有用なセメント硬化遅延剤を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、モル
タル組成物を打設しても、硬化遅延剤の流動を抑制でき
るとともに、モルタル組成物との接触面での硬化を均一
に抑制でき、コンクリート製品の表面に模様や洗い出し
面を精度よく形成できる硬化遅延シートを提供すること
にある。本発明の別の目的は、損傷を抑制しつつ装飾材
などにより表面を装飾し、化粧仕上げコンクリート製品
を得る上で有用なシートを提供することにある。本発明
のさらに別の目的は、コンクリート製品の表面に模様や
洗い出し面を簡便かつ効率よく形成できる硬化遅延シー
トを提供することにある。本発明の他の目的は、コンク
リート製品の表面に複雑な模様であっても容易に形成で
き、装飾性を高めることができる硬化遅延シートを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、(1)特定の多価カルボ
ン酸成分と多価アルコール成分とをエステル化反応によ
り高分子量化したポリエステルを用いると、水に対する
非溶解性を維持できるとともに、本来セメントに対する
硬化遅延能を有していないにも拘らず、モルタルやコン
クリートを打設すると、強いアルカリ性によりポリエス
テルが徐々に、しかも有効に加水分解し、セメントの硬
化の進行に伴って、加水分解生成物によりセメントに対
する硬化遅延能が極めて有効に発現すること、(2)セメ
ントの硬化に対する遅延能(抑制能)を有する硬化遅延
剤をシートに保持させると、コンクリート製品の表面に
模様や洗い出し面を精度よく形成できることを見いだ
し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明のセメント硬化遅延剤
は、主鎖が炭素数2〜6の多価カルボン酸又はその誘導
体を含む多価カルボン酸成分と、炭素数2〜4の多価ア
ルコール又はその縮合物を含むポリオール成分との反応
により得られるポリエステルで構成されている。多価カ
ルボン酸は、主鎖が炭素数2〜5の飽和ジカルボン酸、
マレイン酸や無水マレイン酸などのエチレン性不飽和結
合を有し、主鎖が炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸で
あってもよい。多価カルボン酸成分は、さらに、フタル
酸などの芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を含んでい
てもよい。前記ポリエステルの主たる繰り返し単位は、
炭素数4〜9の繰り返し単位で構成してもよい。前記セ
メント硬化遅延剤は、不飽和ポリエステルの硬化物、例
えば、(i)不飽和ポリエステルと重合開始剤とを含む
重合性組成物、(ii)不飽和ポリエステルと重合性ビニ
ルモノマーと重合開始剤とを含む重合性組成物などの硬
化物で構成することもできる。また、硬化物は粉粒体と
して使用してもよい。
【0008】本発明のセメント硬化遅延シートでは、主
鎖が炭素数2〜6の多価カルボン酸又はその誘導体を含
む多価カルボン酸成分と、炭素数2〜4の多価アルコー
ル又はその縮合物を含むポリオール成分との反応により
得られるポリエステルで構成されたセメント硬化遅延剤
を含む組成物が、基材シートに保持されている。なお、
本明細書において、「シート」とは厚さの如何を問わず
二次元的構造物を意味し、フィルムを含む意味に用い
る。「多価カルボン酸の誘導体」とは、酸無水物、多価
カルボン酸の低級アルキルエステル(例えば、メチルエ
ステル、エチルエステルなどの脱離可能なC1-4 アルキ
ルエステル)を含む意味に用いる。また、「粘着剤又は
接着剤」を総称して「粘着剤」、「粘着剤層又は接着剤
層」を総称して「粘着剤層」、「粘着性又は接着性」を
総称して「粘着性」と称する場合がある。さらに、特に
断りがない限り、「セメント」とは、水との混和により
硬化性を示す無機物質を意味し、気硬性セメント、水硬
性セメントなどを含む意味に用いる。さらに、セメント
を含む硬化性組成物にはセメントペースト、モルタル組
成物およびコンクリート組成物が含まれ、これらを単に
「無機硬化性組成物」と総称する場合がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
[本発明のセメント硬化遅延剤]本発明のセメント硬化
遅延剤は、多価カルボン酸又はその誘導体を含む多価カ
ルボン酸成分と、多価アルコール又はその縮合物を含む
ポリオール成分との反応により得られるポリエステルで
構成されている。多価カルボン酸には、式 HOOCR
1COOH(R1は両カルボキシル基の直接結合又は主鎖
が炭素数1〜4のアルキレン基を示す)で表される飽和
多価カルボン酸、式 HOOCR2COOH(R2は主鎖
が炭素数2〜4であり、不飽和二重結合を有する脂肪族
炭化水素基を示す)で表されるエチレン性不飽和結合な
どの重合性不飽和結合を有する不飽和多価カルボン酸が
含まれる。なお、前記式中、R1のアルキレン基、R2
不飽和炭化水素基は分岐していてもよいが、主鎖から分
岐したアルキル基などの置換基の炭素数は、前記R1
よびR2の主鎖の炭素数に含まれない。以下、特に断り
がない場合、多価カルボン酸の炭素数は主鎖の炭素数を
意味する。
【0010】R1が直接結合又は主鎖の炭素数1〜4の
アルキレン基(すなわちカルボキシル基の炭素原子を含
めて主鎖の炭素数が2〜6)である多価カルボン酸とし
ては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸などが挙げられ、R2が主鎖の炭素数
2〜4の不飽和脂肪族炭化水素基(すなわちカルボキシ
ル基の炭素原子を含めて主鎖が炭素数4〜6の不飽和炭
化水素基)である不飽和多価カルボン酸には、脂肪族ジ
カルボン酸(例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、
無水シトラコン酸、メサコン酸など)が含まれる。前記
飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸は組み合わせて使用
してもよい。これらの多価カルボン酸は単独で又は二種
以上組み上せて使用できる。多価カルボン酸成分は、前
記多価カルボン酸以外に、脂肪族多価カルボン酸(例え
ば、アゼライン酸、セバシン酸など)、芳香族多価カル
ボン酸(例えば、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸な
ど)を含んでいてもよい。特に、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸又はこれらの誘導体から選択された芳
香族ジカルボン酸又はその誘導体を含む多価カルボン酸
成分を用いると、飽和又は不飽和ポリエステルの強度、
伸度、可撓性、柔軟性、耐水性などの特性を調整するの
に有用である。ポリエステル全体に対する芳香族多価カ
ルボン酸の含有量は、例えば、0.1〜30重量%、好
ましくは0.1〜20重量%(例えば、1〜15重量
%)、さらに好ましくは0.1〜10重量%(例えば、
2〜10重量%)程度である。
【0011】好ましい多価カルボン酸には、(1)炭素
数2〜6の飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸又はその
誘導体を含むジカルボン酸成分(特に炭素数2〜5の飽
和脂肪族ジカルボン酸や、少なくともマレイン酸又はそ
の誘導体を含むジカルボン酸成分)、又は(2)炭素数
2〜6の飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘
導体と、フタル酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸
から選ばれた少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸又は
その誘導体とを含むジカルボン酸成分が含まれる。特に
好ましい多価カルボン酸成分は、(3)炭素数2〜4程
度の飽和ジカルボン酸又はその誘導体、(4)炭素数4
又は5の不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(特にマレ
イン酸又は無水マレイン酸)、(5)上記飽和ジカルボ
ン酸(3)及び/又は不飽和ジカルボン酸(4)(特に
マレイン酸又は無水マレイン酸)と、芳香族ジカルボン
酸又はその誘導体(特に芳香族C8ジカルボン酸又はそ
の誘導体)との組み合わせで構成されている。
【0012】ポリオール成分には、炭素数2〜4の多価
アルコール、例えば、ジオール(例えば、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコー
ルなどのC2-4 アルキレングリコール)、C2-4 アルキ
レングリコールの縮合物であるポリオキシアルキレング
リコール、例えば、ジオキシエチレングリコール、トリ
オキシエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコ
ール(以下、特に言及しない限り、これらを単にポリエ
チレングリコールと総称する場合がある)、ジオキシプ
ロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール(以下、特に言及
しない限り、これらを単にポリプロピレングリコールと
総称する場合がある)、ポリオキシテトラメチレングリ
コールなど;ポリオール(例えば、グリセリン、ジグリ
セリン、ポリグリセリン)が含まれる。これらのポリオ
ール成分は単独で又は組合せて使用してもよい。好まし
い多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレ
ングリコール、ジオキシエチレングリコール、トリオキ
シエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコー
ル、ジオキシプロピレングリコール、トリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、お
よびグリセリンが含まれる。多価アルコールは、ジオー
ル成分、特に炭素数2〜4の脂肪族ジオール又はその縮
合物で構成されたジオール成分を含む場合が多い。
【0013】ポリオキシアルキレングリコールの分子量
は、例えば、重量平均分子量100〜7500、好まし
くは200〜5000(例えば、200〜2500)程
度であり、ポリエチレングリコールを用いる場合、重量
平均分子量が300以下である場合が多い。プロピレン
グリコールやポリプロピレングリコールを含むグリコー
ル成分は、柔軟性と親水性を付与できると共に、スチレ
ンやアクリル系モノマーなどの重合性モノマーとの溶解
性を高める上で有用である。
【0014】多価アルコールは、必要に応じて他のポリ
オール、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトールなどと併用してもよ
い。
【0015】ポリエステルの主たる繰り返し単位−(R
aCOORbOCO)−(式中、Raは多価カルボン酸の
残基、Rbは多価アルコールの残基を示す)は、炭素数
4〜9の繰り返し単位(すなわち多価カルボン酸と多価
アルコールの合計炭素数が4〜9の繰り返し単位)で構
成されている場合が多い。これらのポリエステルのうち
不飽和ポリエステル、特にマレイン酸又は無水マレイン
酸を多価カルボン酸成分とする不飽和ポリエステルが好
ましい。
【0016】ポリエステルの分子量は特に制限されず、
例えば、重量平均分子量300〜100,000(例え
ば、300〜25000)、好ましくは300〜50,
000(例えば、500〜15000)、さらに好まし
くは500〜20000程度の範囲から選択できる。不
飽和ポリエステルの分子量は、重量平均分子量300〜
100000、好ましくは300〜50000、さらに
好ましくは500〜10000程度であり、重量平均分
子量300〜5000(例えば、500〜5000)、
特に500〜2500程度である場合が多い。分子量
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポ
リスチレン換算の重量平均分子量である。
【0017】なお、ポリエステルは油状であってもよ
く、固体であってもよい。油状のポリエステルはそのま
ま、固体のポリエステルは有機溶媒に溶解して、基材シ
ート(例えば、プラスチックシートや金属箔などの無孔
性シート、紙や不織布などの多孔性シート)に塗布又は
含浸させたり、木製などの型枠の内部底面や内部側壁に
刷毛やスプレーなどで塗布できる。また、固体状ポリエ
ステルは粉粒体として使用してもよく、加熱溶融させて
基材シートに塗布又は含浸させてもよい。
【0018】不飽和ポリエステルなどのポリエステル
は、慣用の方法、例えば、多価カルボン酸成分と多価ア
ルコール成分とを、触媒の存在下に縮合させることによ
り得ることができる。マレイン酸や無水マレイン酸など
の不飽和多価カルボン酸を用いる場合には、ハイドロキ
ノンなどのラジカル重合禁止剤の存在下で縮合反応させ
る場合が多い。ポリエステルは、多価カルボン酸1当量
に対して多価アルコール0.5〜3当量、好ましくは
0.7〜2当量程度の範囲から選択できる。分子量の小
さなポリエステルは多価カルボン酸およびポリオールの
うちいずれか一方の成分を過剰に使用することにより得
る場合が多い。
【0019】本発明のセメント硬化遅延剤は、前記ポリ
エステルで構成してもよく、ポリエステルが不飽和ポリ
エステルである場合には、不飽和ポリエステルの硬化物
で構成してもよい。不飽和ポリエステルの硬化物は、不
飽和ポリエステルと重合開始剤とを含む重合性組成物
(i)を硬化させることにより得られる。重合開始剤と
しては、種々の有機過酸化物、例えば、メチルエチルケ
トンパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ベン
ゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、ジクミルパーオキシドなどが使用できる。重合開始
剤の使用量は、重合性を損なわない範囲、例えば、不飽
和ポリエステル100重量部に対して、0.5〜5重量
部、好ましくは1〜4重量部程度であり、2〜3重量部
程度である場合が多い。このような重合性組成物(i)
は、セメント硬化遅延剤を構成する不飽和ポリエステル
が、取り扱いにくい油状などの低分子量であっても、重
合開始剤により自己架橋させて硬化し、粉末状のセメン
ト硬化遅延剤として用いることにより、取り扱い性を向
上できる。また、低分子量の不飽和ポリエステル、例え
ば、重量平均分子量300〜5000程度の不飽和ポリ
エステルを含む重合性組成物(i)は、比較的低粘度で
あり、基材シートに対する塗布又は含浸性が高い。ま
た、硬化させることによりシートに架橋組成物として保
持させることができる。
【0020】不飽和ポリエステルの硬化物は、不飽和ポ
リエステルと重合性ビニルモノマー(反応性希釈剤)と
前記重合開始剤とを含む重合性組成物(ii)の硬化物で
あってもよい。前記重合性ビニルモノマーとしては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのスチレン系モノマー、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレートなどのアルキル基の炭素数1〜20(特に炭素
数1〜10)程度のアルキル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グ
リシジル(メタ)アクリレートなどの官能基(ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、グリシジル基など)を有する
モノマー、(メタ)アクリル酸と前記多価アルコール
(ポリエチレングリコールなど)とのエステル(例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)など
が挙げられる。また、ビニルモノマーとしては、酢酸ビ
ニルなどのビニルエステル、塩化ビニルなどのハロゲン
含有ビニルモノマー、アクリロニトリルなどのシアン化
ビニル、エチレン、プロピレンなどのオレフィン系モノ
マーも使用できる。これらの重合性モノマーは一種又は
二種以上組み合わせて使用できる。好ましい重合性ビニ
ルモノマーには、スチレン系モノマー、アクリル系モノ
マーおよびメタクリル系モノマーが含まれる。重合性ビ
ニルモノマーの使用量は、不飽和ポリエステルの分子量
などに応じて、硬化遅延能や不飽和ポリエステルの取り
扱い性を損なわない範囲、例えば、不飽和ポリエステル
100重量部に対して、1〜500重量部(例えば、1
〜100重量部)、好ましくは5〜200重量部(例え
ば、5〜100重量部)程度の範囲から選択でき、5〜
30重量部程度の範囲であってもよい。このような重合
性組成物(ii)は、固形又は粘調な不飽和ポリエステル
であっても、重合性ビニルモノマーの添加により反応装
置から取り出すのが容易であるとともに、不飽和ポリエ
ステルが取り扱いにくい液状又は粘調であっても、架橋
させて硬化し、粉末状のセメント硬化遅延剤として用い
ることにより、取り扱い性を向上できる。また、重合性
組成物(ii)は、基材シートに塗布又は含浸させ、硬化
させることによりシートに架橋組成物として保持させる
ことができる。
【0021】不飽和ポリエステルの硬化物は、前記重合
性組成物を構成する成分(すなわち、重合性組成物
(i)を構成する不飽和ポリエステルと重合開始剤と、
重合性組成物(ii)を構成する不飽和ポリエステルと重
合性ビニルモノマーと重合開始剤)に加えて、重合促進
剤を含む重合性組成物(iii)の硬化物であってもよ
い。重合促進剤には、例えば、ナフテン酸コバルト、オ
クチル酸コバルトなどの有機酸コバルト塩、アセチルア
セトン、アセト酢酸エチルなどのβ−ジケトン類、芳香
族第3級アミン類、メルカプト類などが含まれる。これ
らの重合促進剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用
できる。重合性組成物における重合促進剤の濃度は、例
えば、10〜1000ppm、好ましくは10〜500
ppm(例えば、10〜100ppm)程度の範囲から
選択でき、30〜50ppm程度であってもよい。
【0022】不飽和ポリエステルの硬化(架橋)は、常
温でも可能であるが、短時間(例えば、0.5〜50分
程度)で硬化させるためには、温度60〜200℃程度
で行なうのが有利である。
【0023】本発明のセメント硬化遅延剤は、前記のよ
うに、油状又は固体(例えば、粉粒体)の飽和ポリエス
テル又は不飽和ポリエステルで構成できる。硬化遅延剤
としての不飽和ポリエステルの硬化物は、粉粒体として
使用できるとともに、基材シートに架橋組成物として保
持させてもよい。粉粒状の飽和ポリエステルや不飽和ポ
リエステル、粉粒状の硬化物の粒径は特に制限されず、
例えば、平均粒径0.1〜1000μm、好ましくは
0.1〜500μm程度の範囲から適当に選択できる。
本発明のセメント硬化遅延剤は、他の硬化遅延剤と併用
してもよい。また、本発明のセメント硬化遅延剤は、ポ
リエステルの種類に応じて、種々の添加剤、例えば、顔
料、染料などの着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など
の安定剤、重合禁止剤、可塑剤、消泡剤、乳化剤、加水
分解促進剤、無機塩、金属酸化物、砂などの充填剤など
を含んでいてもよい。
【0024】本発明のセメント硬化遅延剤を構成するポ
リエステルそれ自体は、セメントに対する硬化遅延能を
殆ど有していないか、硬化遅延能を有していても極めて
小さい。また、従来の硬化遅延剤と異なり、水に対して
殆ど溶解することがなく、モルタルやコンクリートから
のブリード水とともに殆ど流動しない。しかし、未硬化
モルタルやコンクリートの強いアルカリ性によりポリエ
ステルのエステル結合が加水分解され、硬化遅延に有用
なカルボキシル基とヒドロキシル基が遊離する。この加
水分解速度は、モルタルやコンクリート中の水分がセメ
ントの硬化に利用されるにつれて上昇し、養生中のコン
クリートの発熱により、さらには加熱養生の場合にはそ
の加熱により最大となり、遊離したカルボキシル基とヒ
ドロキシル基とが相乗的に大きな効果遅延能を発現させ
る。一方、硬化遅延能が発現する段階のコンクリートは
未だ未硬化状態であるものの既に流動性がなく、ポリエ
ステルの加水分解により硬化遅延成分が遊離しても、も
はやぶリード水に溶解して移動することもない。従っ
て、所望の部位でのみ硬化遅延能を発現でき、セメント
の硬化後に洗い出すことにより、例えば、文字、絵画な
どのパターンを形成できる。
【0025】なお、本発明のセメント硬化遅延剤は、洗
い出しにより所望のパターンを精度よく形成する上で有
用であるものの、従来の硬化遅延剤と同様の用途、例え
ば、夏期における生コンクリートの長期間に亘る硬化の
抑制、大型コンクリート構造物における温度による応力
の緩和などのために、モルタルやコンクリートに添加し
てもよい。
【0026】[本発明のセメント硬化遅延シート]本発
明のセメント硬化遅延シートは、(A1)前記飽和又は不
飽和ポリエステルで構成されたセメント硬化遅延剤を含
む組成物が基材シートに保持されている硬化遅延シー
ト、(A2)基材シートの表面にコンクリート硬化遅延剤
と粘着剤又は接着剤とを含む硬化遅延層が形成されてい
る硬化遅延シートとに大別できる。 [セメント硬化遅延シート(A1)]セメント硬化遅延シ
ート(A1)では、前記飽和又は不飽和ポリエステルを含
む組成物が基材シートに保持されている。前記組成物
は、ポリエステルが油状である場合には、そのまま使用
してもよい。また、ポリエステルは加熱溶融させて基材
シートに塗布又は含浸させてもよく、その形態(例え
ば、固体など)の如何に拘らず、有機溶媒に溶解して使
用してもよい。有機溶媒としては、例えば、エタノー
ル、イソプロパノールなどのアルコール類、ヘキサンな
どの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化
水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化
水素、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン
化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、及びこれら
の混合溶媒などが例示できる。
【0027】ポリエステルが不飽和ポリエステルである
場合、前記重合性組成物、すなわち、不飽和ポリエステ
ルと重合開始剤とを含む重合性組成物(i)、不飽和ポ
リエステルと重合性モノマーと重合開始剤とを含む重合
性組成物(ii)、これらの組成物(i)(ii)に重合促
進剤を添加した重合性組成物(iii)として使用しても
よい。
【0028】さらに、ポリエステルが粉粒状である場合
(特に不飽和ポリエステルの硬化物の粉粒体である場
合)、ポリエステルの粉粒体と粘着剤又は接着剤とを含
む組成物として用いてもよい。粘着剤又は接着剤として
は、例えば、天然ゴム、合成ゴム(例えば、ネオプレ
ン、イソプレンなど)などのゴム系粘着剤、ポリ酢酸ビ
ニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル
系エラストマー、アクリルゴムなどのアクリル系エラス
トマー、ポリエステルエラストマーなどが挙げられ、こ
れらはエマルジョン型粘着剤であってもよく、溶剤型の
粘着剤であってもよい。また、水溶性粘性物質、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアク
リルアミド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロースなどの合成水溶性
高分子、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビア
ゴム、トラガントゴム、ペクチン、アルギン酸ソーダ、
カラゲニンなどの天然水溶性高分子なども使用できる。
これらの粘着剤又は接着剤は一種又は二種以上使用でき
る。また、粘着剤組成物は、粘着付与剤(例えば、石油
樹脂、テルペン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂な
どの炭化水素系樹脂、ロジン誘導体など)と併用しても
よい。粘着剤又は接着剤組成物は、粘着力を調整するた
め、無機充填剤などを含んでいてもよい。ポリエステル
の粉粒体と粘着剤又は接着剤とを含む組成物において、
粘着剤又は接着剤の含有量は、硬化遅延性、粘着性又は
接着性が損なわれない範囲であればよく、例えば、粉粒
状ポリエステル100重量部に対して10〜2000重
量部、好ましくは50〜1000重量部、さらに好まし
くは100〜500重量部程度である。
【0029】前記基材シートには、例えば、プラスチッ
クシートや金属箔などの無孔性シート、紙、織布や不織
布などの多孔性シートが含まれる。基材シートのうち好
ましい無孔性シートとしてはプラスチックシートが含ま
れ、多孔性シートとしてはプラスチック製不織布などが
含まれる。基材シートを構成するポリマーは特に制限さ
れず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオ
レフィン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートなどのポリエステル(特にポ
リアルキレンテレフタレート);エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体;アクリル樹
脂;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリ
カーボネート;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体などが例示される。これらのポリ
マーは一種又は二種以上使用できる。好ましい基材シー
トには、ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキ
レンテレフタレートを用いたプラスチックシートや不織
布などが含まれる。また、基材シートは手切れ性や寸法
安定性が改善されたシートであってもよい。
【0030】基材シートは、単一のシートであってもよ
く複数の層が積層された複合シート、例えば、ポリエチ
レン製繊維などの繊維を織ったクロスの片面又は両面
に、前記ポリエチレンなどのシートを積層した積層シー
トなどであってもよい。また、プラスチックシートなど
の基材シートは、未延伸シートであってもよく、一軸又
は二軸延伸シートであってもよい。さらに、ポリエステ
ルを含む組成物との密着性を高めるため、基材シートの
表面は、火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ処理など
により表面処理されていてもよい。表面処理された基材
シートの表面張力は、約40dyn/cm以上である場
合が多い。前記基材シートの厚みは、作業性、機械的強
度などを損わない範囲で選択でき、例えば、15〜50
0μm、好ましくは20〜400μm、さらに好ましく
は30〜300μm程度であり、50〜300μm程度
である場合が多い。
【0031】基材シートに対する前記ポリエステル(好
ましくは不飽和ポリエステル)の保持の形態は特に制限
されず、前記ポリエステルを含む組成物の種類に応じて
選択できる。例えば、ポリエステルの保持は、基材シー
トに対して前記飽和又は不飽和ポリエステルを含む組成
物を塗布又は含浸させることにより保持させてもよく、
前記重合性組成物(i)〜(iii)では、基材シートに
塗布又は含浸し、加熱して硬化又は架橋させることによ
り架橋組成物として保持させてもよい。重合性組成物の
重合又は架橋は、常温で行ってもよいが、通常、100
℃以上(例えば、100〜200℃)、好ましくは10
0〜170℃(例えば、100〜150℃)、特に12
0〜150℃程度の温度で行なう場合が多い。
【0032】さらに、粉粒状ポリエステルと粘着剤や接
着剤を含む組成物では、前記と同様に、基材シートに塗
布又は含浸することにより保持させてもよい。さらに、
粉粒状ポリエステルを用いる場合、基材シートの表面に
形成した粘着剤層又は接着剤層へ粉粒状のポリエステル
を散布などにより付着させることにより保持させてもよ
い。なお、粉粒状ポリエステルは、ポリエステルの形態
に応じて、例えば、ポリエステルを冷却して粉砕するこ
とにより得てもよい。粉粒状ポリエステルを有する粘着
剤層の厚みは、例えば、30〜500μm、好ましくは
100〜500μm、さらに好ましくは150〜300
μm程度であり、200〜250μm程度である場合が
多い。
【0033】セメント硬化遅延シートには、(A2)基材
シートの表面にコンクリート遅延硬化剤と粘着剤又は接
着剤とを含む硬化遅延層が形成されている硬化遅延シー
トも含まれる。セメント硬化遅延シート(A2)では、基
材シートの表面に、コンクリート硬化遅延剤と粘着剤又
は接着剤とを含む硬化遅延層が形成されており、コンク
リート硬化遅延剤としては、前記ポリエステルに加えて
他の硬化遅延剤も使用できる。基材シート、粘着剤又は
接着剤としては、前記と同様の基材シート、粘着剤や接
着剤が使用できる。前記ポリエステル以外の硬化遅延剤
の種類は、セメントの硬化速度を低下させる硬化遅延剤
又は凝結遅延剤であれば特に制限されず、無機又は有機
硬化遅延剤が使用できる。無機硬化遅延剤には、リン
酸、ホウ酸又はそれらの塩、ヘキサフルオロケイ酸塩な
どが含まれる。有機硬化遅延剤には、例えば、下記に示
されるように、ホスホン基PO3 2を有するホスホン
酸化合物、非ホスホン酸系化合物が含まれる。ホスホン酸系硬化遅延剤 アミノジ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレ
ンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−
ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホス
ホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホス
ホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホ
スホン酸)又はそれらの塩など。
【0034】前記塩としては、アンモニア、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネ
シウム、バリウムなどのアルカリ土類金属との塩が挙げ
られる。ホスホン酸系化合物の塩には、例えば、アミノ
トリ(メチレンホスホン酸)五ナトリウム塩、1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸四ナトリウム
塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)カ
ルシウムナトリウム塩、ヘキサメチレンジアミンテトラ
(メチレンホスホン酸)カリウム塩、ジエチレントリア
ミンペンタ(メチレンホスホン酸)ナトリウム塩などが
含まれる。
【0035】非ホスホン酸系硬化遅延剤 グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グ
ルコン酸などのオキシカルボン酸又はその塩:シュウ
酸、マロン酸などの飽和多価カルボン酸、フマル酸、イ
タコン酸などの不飽和多価カルボン酸、グルコヘプタノ
ン酸などの多価カルボン酸又はその塩;ポリマレイン
酸、ポリフマル酸、スチレン−マレイン酸共重合体、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−
(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンスルホン酸−ア
クリル酸コポリマーなどの、カルボキシル基を有するモ
ノマーの単独又は共重合体若しくはそれらの塩(好まし
くは低分子量ポリマー又はその塩);酸化防止剤(例え
ば、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸など);ポリ
マー、例えば、ポリヒドロキシシラン、ポリアクリルア
ミド(好ましくは低分子量ポリマー):炭水化物(例え
ば、スクロースなどの多糖類、コーンシロップなど);
フミン酸;リグニンスルホン酸またはリグノスルホネー
ト(例えば、リグノスルホン酸カルシウムなど)などが
挙げられる。
【0036】これらの硬化遅延剤のうち、ホスホン酸化
合物、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、カルボキシ
ル基を有するモノマーの単独又は共重合体、イソアルコ
ルビン酸、リン酸、ホウ酸またはこれらの塩、ポリヒド
ロキシシラン、ヘキサフルオロケイ酸塩からなる群から
選択された少なくとも1つの成分が好ましい。硬化遅延
剤としては、ホスホン酸化合物、ヒドロキシカルボン
酸、多価カルボン酸(ポリカルボン酸)、イソアルコル
ビン酸またはこれらの塩、ポリヒドロキシシランなどを
使用する場合が多く、特にホスホン酸化合物とヒドロキ
シカルボン酸との組合せが好ましい。このような組合せ
には、例えば、アミノトリ(メチレンホスホン酸)とク
エン酸との組合せが含まれる。ホスホン酸化合物とヒド
ロキシカルボン酸との割合は、例えば、前者/後者=1
00/25〜500(重量比)、好ましくは100/5
0〜250(重量比)程度である。また、好ましい硬化
遅延剤は、酸性基(例えば、ホスホン酸基、カルボキシ
ル基、スルホン酸基など)又はその塩を有し、水溶性で
ある場合が多い。硬化遅延剤は1種又は2種以上使用で
きる。
【0037】前記コンクリート硬化遅延剤の使用量は、
粘着剤又は接着剤100重量部に対して5〜1000重
量部、好ましくは10〜700重量部、さらに好ましく
は25〜500重量部程度であり、25〜400重量部
(例えば、50〜300重量部)程度である場合が多
い。なお、硬化遅延剤と、粘着剤又は接着剤とを含む組
成物は、必要に応じてさらに、前記と同様の有機溶媒や
添加剤などを含んでいてもよい。セメント硬化遅延シー
ト(A2)は、基材シートに、硬化遅延剤と粘着剤又は接
着剤とを含む組成物を塗布し乾燥することにより得るこ
とができる。なお、硬化遅延シート(A1)(A2)におい
て、硬化遅延剤を含む組成物は、基材シートの少なくと
も一方の面に塗布すればよい。
【0038】セメント硬化遅延シートは、(A3)セメン
ト硬化遅延能を有する樹脂(例えば、不飽和ポリエステ
ルなどの前記ポリエステル)で構成したシート,(A4)
セメント硬化遅延剤を含む組成物で構成したシートであ
ってもよい。なお、(A3)硬化遅延性樹脂で構成された
シートは、前記硬化遅延剤を含んでいてもよい。硬化遅
延シート(A3)(A4)は、硬化遅延性樹脂、又は硬化遅
延剤とシート形成能を有する樹脂とを含む組成物を用
い、慣用の成形法、例えば、押出し成形法、流延法、カ
レンダー法などで形成できる。シート形成能を有する樹
脂としては、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
(1,4−ジメチロール−シクロヘキサンテレフタレー
ト)などのポリエステル;ナイロン46、ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイ
ロン11、ナイロン12などのポリアミド;ポリ酢酸ビ
ニル、エチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体、酢酸
ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体(VA−Veo
Va)などのビニルエステル系樹脂;ポリビニルアルコ
ール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニ
ルエステル系樹脂のケン化物;エチレン−アクリル酸エ
チル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、ポリクロロ
プレンなどのハロゲン含有ポリマー;アクリル樹脂、ス
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのア
クリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体などのスチレン系ポリマー;メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロースなど
のセルロース系ポリマー;天然高分子など)、熱硬化性
樹脂(例えば、熱硬化性アクリル樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂など)が
例示できる。これらの樹脂は一種又は二種以上使用でき
る。また、シート形成能を有する樹脂として、特に好ま
しい樹脂は、親水性樹脂(例えば、水溶性又は水分散性
樹脂)やラテックスやエマルジョンなどのように親水化
された樹脂である場合が多い。
【0039】前記硬化遅延シート(A4)において、硬化
遅延剤の量は、例えば、樹脂100重量部に対して、5
〜1000重量部、好ましくは10〜700重量部、さ
らに好ましくは25〜500重量部程度であり、25〜
400重量部(例えば、50〜300重量部)程度であ
る場合が多い。
【0040】セメント硬化遅延シートは、(A5)シート
への粘着剤又は接着剤の混入、粘着剤又は接着剤の塗布
などにより、粘着性又は接着性が付与されたシートであ
ってもよい。粘着剤を含有するシート(A5)において、
粘着剤の含有量は、例えば、硬化遅延性樹脂又はシート
成形性樹脂100重量部に対して、10〜500重量
部、好ましくは25〜400重量部、さらに好ましくは
50〜300重量部程度であり、25〜250重量部程
度である場合が多い。塗布により粘着剤層又は接着剤層
を形成する場合、粘着剤層又は接着剤層は、硬化遅延剤
の種類および含有量に応じて、例えば、0.1〜150
μm,1〜120μm,10〜100μm程度の厚みに
形成できる。
【0041】さらに、硬化遅延シートは、前記硬化遅延
シート(A2)の硬化遅延層が、粘着剤又は接着剤に代え
てバインダー樹脂を用いた非粘着性又は非接着性の硬化
遅延層で形成された硬化遅延シート(A6)であってもよ
い。バインダー樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アクリル
系ポリマー、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エス
テル共重合体、ポリエステル、ポリアセタール、ポリ塩
化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリカーボネート、塩素化ポリプロ
ピレンなどの塩素化ポリオレフィン、アセチルセルロー
ス、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、ニ
トロセルロースなどのセルロース系ポリマー、エラスト
マー(例えば、天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、ブタジ
エンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、
クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレ
ン−プロピレン−非共役ジエンゴム、アクリルゴム、ク
ロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、ウ
レタンゴムなど)などが例示される。これらのバインダ
ー樹脂は一種または二種以上使用できる。硬化遅延剤の
割合は、例えば、バインダー樹脂100重量部に対し
て、5〜1000重量部、好ましくは10〜700重量
部、さらに好ましくは25〜500重量部程度であり、
25〜500重量部(例えば、50〜400重量部)程
度である場合が多い。
【0042】さらに、硬化遅延シートは、前記硬化遅延
シート(A1)〜(A6)の表面に粘着剤層又は接着剤層が
形成された硬化遅延シート(A7)であってもよい。な
お、前記シート(A1)(A2)などが粘着性を有する場合
には、前記粘着剤層又は接着剤層は必ずしも必要ではな
い。粘着剤層又は接着剤層は、前記硬化遅延能を有する
シートの少なくとも一方の面に形成すればよい。粘着剤
又は接着剤としては、前記と同様の粘着剤や接着剤が使
用できる。粘着剤層の厚みは、タイルなどの化粧材に対
する粘着性を発現するとともに、コンクリートの硬化に
対する抑制作用を損わない範囲で選択でき、例えば、
0.1〜50μm(例えば、1〜50μm)、好ましく
は1〜40μm、さらに好ましくは2〜30μm程度で
あり、2〜25μm程度である場合が多い。
【0043】前記粘着剤層は、硬化遅延剤が浸出可能で
あるのが好ましい。硬化遅延剤が浸出可能な粘着剤層
は、硬化遅延シートの表面上に均一に形成してもよく、
不均一に形成してもよい。粘着剤層を均一に形成する場
合、粘着剤層の厚みは、例えば、0.1〜15μm、好
ましくは、1〜10μm、さらに好ましくは1〜5μm
程度の薄層であるのが好ましい。また、粘着剤層を不均
一に形成する場合、厚みの如何にかわらず、散在する粘
着剤層を、コーティングや印刷などの方法で規則的パタ
ーン又は不規則パターンとして形成してもよい。なお、
硬化遅延シートの表面が粘着性を有する場合、粘着面
は、離型紙などの離型可能な保護シートや紙で被覆され
ている場合が多い。
【0044】このような硬化遅延シートは、適宜裁断し
て表面装飾用シートとして使用してもよい。例えば、コ
ンクリート製品の洗いだし部位に対応する型枠の内壁の
部位に、裁断した硬化遅延シートを貼付などにより固定
し、コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した
後、脱型し、貼付部位に対応するコンクリート製品の表
面の未硬化モルタルを洗い流すことにより、化粧仕上げ
コンクリート製品を得ることができる。また、セメント
硬化遅延剤としてのポリエステルが基材シートに保持さ
れているので、コンクリートを打設しても硬化遅延剤が
移動することがなく、水に対して殆ど溶解しないため、
ブリード水により流動することもない。そのため、コン
クリート成形品又は建築物のうち、所望の表面部位に文
字、図柄などの装飾パターンを精度よく明確に施すこと
ができる。
【0045】前記硬化遅延シートにおいて、硬化遅延剤
を含む塗布層や硬化遅延層(以下、単に塗布層という場
合がある)は基材シートから剥離可能であってもよい。
基材シートから塗布層が剥離可能である場合には、塗布
層のうち所望する模様などに対応させて所定の部位又は
領域をカッティングして基材シートから剥離し、シート
を型枠内に配設し、無機硬化性組成物(モルタル組成物
など)を打設し、養生硬化したコンクリート製品のうち
前記シートとの接触面を洗い出すことにより、コンクリ
ート製品の表面のうち非カッティング部に対応する部位
に模様、図形パターンや骨材などが露出した洗い出し面
を形成できる。塗布層を剥離可能とするため、基材シー
トの表面は未処理であってもよく、例えば、ワックス、
高級脂肪酸アミド、シリコーンオイルなどの離型剤で処
理してもよい。基材シートの表面張力は、塗布層の接着
強度と関連付けて、塗布層の剥離性を損わない範囲で相
対的に選択できる。基材シートの表面張力は、例えば、
38dyn/cm以下、好ましくは20〜38dyn/
cm、さらに好ましくは25〜36dyn/cm程度で
ある場合が多い。
【0046】粘着剤により粘着性が付与された硬化遅延
シートを利用すると、表面に模様、図形や洗い出し面が
形成されたコンクリート製品、装飾材と一体に固着した
コンクリート製品を製造する上で有用である。すなわ
ち、粘着面を上面にしてシートを型枠内に敷設し、粘着
面に石、タイルなどの複数の化粧材の表面側を粘着によ
り配置し、化粧材を位置決め固定する。次いで、無機硬
化性組成物を型枠内に打設し、養生などの慣用の硬化方
法により硬化させ、硬化した成形品を型枠から取出す。
そして、化粧材の表面側(シートとの接触面側)を水、
加圧水、ジェット流などにより洗浄することにより、化
粧材に付着した未硬化の組成物を容易に除去でき、粘着
剤を除去することにより、清浄化された表化粧材が貼り
合せられたコンクリート製品(化粧仕上げブロック、プ
レキャストコンクリート板など)を得ることができる。
なお、化粧材をシートの粘着面に粘着させない場合に
は、前記洗い出しにより骨材が露出し模様又は洗い出し
面を形成できる。なお、敷設したシートは、型枠と面接
触し、接触面積が大きいため、無機硬化性組成物の打設
により、破断や位置ずれなどが生じるのを抑制できる。
そのため、両面粘着テープなどの仮止め手段により型枠
に仮止めする必要はないが、必要に応じて、仮止め手段
により型枠にシートを仮止めしてもよい。また、配置し
た化粧材間の間隙部(目地部)、型枠と化粧材との間隙
部(目地部)には、モルタル組成物などの付着を防止す
るための目地材(例えば、ポリウレタンなどの可撓性プ
ラスチックで形成された目地棒など)を配設してもよ
い。
【0047】さらに、粘着剤を含む塗布層や硬化遅延層
が形成されたシートを用いる場合、型枠内で装飾材を配
置することなく、予め粘着剤層に装飾材を配置又は配列
させたキットシートを型枠内に配設してもよい。例え
ば、粘着性を有する塗布層の表面に、複数の装飾材とし
てのタイルを面方向に連続して又は散在して貼着するこ
とにより、ユニットタイルを形成できる。複数のタイル
は、面方向(例えば、縦方向,横方向や縦横方向)に互
いに隣接(連続)して又は間隔をおいて配列する場合が
多い。このような装飾材キットシートを用いると、個別
に型枠内で装飾材を配置する必要がなく、別の工程で作
製された装飾材キットシートを型枠内に配設するだけで
よく、作業効率を高めることができる。装飾材として
は、種々の材料、例えば、玉石、黒石、鉄平石などの天
然石、人造石などの石材、タイルなどのセラミックス
材、金属材、ガラス材、木材、織布などが使用できる。
装飾材は平板状であってもよく、タイルは通常のタイル
の他、モザイクタイルや割りタイルであってもよい。ま
た、コンクリート製品の製造に際して、必要に応じて、
型枠内に鉄筋などの補強材を配設して無機硬化性組成物
を打設してもよい。
【0048】前記ユニットタイルなどの装飾材キットフ
イルムは、プレキャストコンクリート板などの化粧仕上
げコンクリート製品の製造に有用である。すなわち、前
記タイルなどの装飾材の裏面を上にして装飾材キットシ
ートを、コンクリート打設用型枠に配置し、コンクリー
トを打設して養生した後、脱型し、粘着性シートを除去
することにより、装飾材表面を露出させ、装飾材の表面
を水洗することにより、装飾材表面に回り込んだ非硬化
状態の無機硬化性組成物(セメントなど)を洗い流すこ
とにより、装飾材と一体化したプレキャストコンクリー
ト板を製造できる。すなわち、タイルなどの装飾材の表
面側に無機硬化性組成物が回り込んでも、シートや硬化
遅延層の硬化遅延成分により無機硬化性組成物の硬化を
抑制でき、非硬化(半硬化又は未硬化)状態となるた
め、装飾材の表面から無機硬化性組成物を除去するため
の表面仕上げを、水洗などの洗浄という簡単な操作で効
率よく、しかも完璧に行なうことができる。
【0049】セメントには、例えば、気硬性セメント
(セッコウ、消石灰やドロマイトプラスターなどの石
灰);水硬性セメント(例えば、ポルトランドセメン
ト、早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、急
硬高強度セメント、焼きセッコウなどの自硬性セメン
ト;石灰スラグセメント、高炉セメントなど;混合セメ
ント)などが含まれる。好ましいセメントには、例え
ば、セッコウ、ドロマイトプラスターおよび水硬性セメ
ントなどが含まれる。前記セメントは、水とのペースト
組成物(セメントペースト)として使用してもよく、
砂、ケイ砂、パーライトなどの細骨材、粗骨材を含むモ
ルタル組成物やコンクリート組成物として使用してもよ
い。なお、前記硬化遅延シートを用い、洗浄に伴なって
表面に露出する骨材により模様を形成する場合には、骨
材、特に粗骨材を含むモルタル組成物を用いる場合が多
く、装飾性を高めるため、粗骨材の少なくとも一部の表
面は平滑である場合が多い。前記ペースト組成物及びモ
ルタル組成物は、必要に応じて、着色剤、硬化剤、塩化
カルシウムなどの硬化促進剤、ナフタレンスルホン酸ナ
トリウムなどの減水剤、凝固剤、カルボキシメチルセル
ロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールなど
の増粘剤、発泡剤、合成樹脂エマルジョンなどの防水
剤、可塑剤などの種々の添加剤を含んでいてもよい。
【0050】本発明の硬化遅延シートは、種々のコンク
リート製品、例えば、カーテンウォール、壁材などのコ
ンクリートパネル、コンクリートブロックなどの製造、
特に化粧仕上げコンクリート製品(例えば、プレキャス
トコンクリート板)の製造に有用である。
【0051】
【発明の効果】本発明の硬化遅延剤は、特定のポリエス
テルで構成されているため、水に対する溶解性が小さい
にも拘らず、セメントに対して高い硬化抑制能を有す
る。そのため、水分による流出を抑制し、コンクリート
製品の表面に模様や洗い出し面を精度よく形成する上で
有用である。本発明の硬化遅延シートは、前記ポリエス
テルて構成された硬化遅延剤がシートに程されているた
め、モルタル組成物を打設しても、硬化遅延剤の流動を
抑制できるとともに、モルタル組成物との接触面での硬
化を均一に抑制でき、コンクリート製品の表面に模様や
洗い出し面を精度よく形成できる。また、洗浄により化
粧材に付着物を除去できるので、化粧材の損傷を抑制で
きる。さらに、型枠内へのシートの敷設、又は型枠内へ
のシートの敷設と化粧材の配置という簡単な操作で、コ
ンクリート製品の表面に模様や洗い出し面を簡便かつ効
率よく形成できる。特に、コンクリート製品の表面に複
雑な模様であっても容易に形成でき、装飾性を高めるこ
とができる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1および比較例1 撹拌装置、温度計を備えた容量1リットルの三口フラス
コに、エチレングリコール204gおよびシュウ酸29
6g(モル比=1:1)を入れ、撹拌しながら、常温か
ら150℃まで3時間かけて昇温した後、150℃から
210℃まで24時間かけて昇温した。この反応過程で
生成する水分を連続的に系外に除去し、温度が210℃
に達した時点で反応を停止することにより、油状ポリエ
ステルを得た。前記エチレングリコールとシュウ酸との
組み合わせに代えて、表1に示す多価アルコールと多価
カルボン酸とを組み合わせる以外、上記と同様にしてポ
リエステルを得た。比較例として、エチレングリコール
に代えてペンタンジオール、シュウ酸に代えてフタル酸
を用いる以外、上記と同様にしてポリエステルを調製し
た。なお、得られたポリエステルは油状であり、重量平
均分子量は、いずれも2000〜8000の範囲内であ
った。
【0053】そして、得られた油状ポリエステルの硬化
遅延剤としての性能を以下の方法で調べた。すなわち、
ポルトランドセメント/砂/水=100/200/55
(重量比)のモルタル600gを、口径12cmのポリ
プロピレン製容器に入れ、表面を平坦化した。次いで、
平坦化したモルタルに、ポリプロピレン製リング(口径
5cm,高さ3cm,厚み0.3mm)を高さが半分と
なる位置まで押し込み、部分的に埋設した。前記モルタ
ルを調製した後、10分以内に、前記油状ポリエステル
を層高2〜3mmとなるようにリング内に注いでモルタ
ル表面で流延させ、食品用ラッピングフィルムでポリプ
ロピレン製容器の上部を密封し、1時間放置した。次い
で、ポリプロピレン製容器全体を50℃のオーブン内に
移し、8時間放置して養生させた。養生後、ポリプロピ
レン製容器を取り出し、室温で55時間放置してモルタ
ルを硬化させた。硬化したモルタルからリングおよび残
留する油状ポリエステルを除去し、水洗しながら、歯ブ
ラシで油状ポリエステルとモルタルとの接触面を洗いだ
し、風乾した後、以下の基準で、洗い出し性を目視で評
価した。また、油状ポリエステルを用いることなく、上
記と同様にして洗い出すブランクテストも行なった。ブ
ランクテストでは、硬化したモルタルの表面は緻密で平
滑であり、砂の粒子形状は殆ど認められず、一面に亘り
平均してセメント色であった。 優:硬化遅延効果が顕著であり、モルタル表面に深さ2
〜5mmの凹部が生成した 良:砂の粒子が明瞭に露出しており、リングの内方域と
外方域とでは、粗度および色相において明瞭な差異が認
められた 可:ブランクテスト又はリングの外方域と比較して、砂
の露出による色相の差異が明らかに認められるものの、
表面の平滑さに大きな差異がなく、砂粒子の露出の程度
が小さい 不可:外観上、ブランクテストとの差異が認められな
い。
【0054】
【表1】 実施例2 撹拌翼を備えた容量10リットルのオートクレーブに、
無水マレイン酸3452g(35.2モル)、エチレン
グリコール2539g(40.9モル)を入れるととも
に、重合禁止剤としてのハイドロキノン100ppm、
重合触媒としてのテトラ−n−ブトキシチタン50pp
mを添加した。内容物を撹拌し、反応により生成する水
分を除去するため窒素ガスを流通させながら、常圧下、
常温から150℃まで3時間かけて昇温した後、150
℃から210℃まで24時間かけて昇温し、反応を停止
した。得られた不飽和ポリエステルを80℃に冷却し、
油状不飽和ポリエステル(重量平均分子量2250)1
00重量部に対して、有機過酸化物(日本油脂(株)
製,「パーブチルオー」)3重量部、架橋触媒としての
酢酸コバルトを50ppmの濃度で添加し混合した。混
合物をステンレス製バット(25cm×40cm×5c
m)に高さ2cmになるように流し込み、炉内で、12
0℃で15分間加熱処理して硬化させた。硬化物を室温
に冷却し、クラッシャーで粗粉砕し、さらに冷凍粉砕機
により平均粒径200μm以下に粉砕し、粉末状セメン
ト硬化遅延剤を得た。
【0055】次いで、粘着剤が塗布された幅5cmのテ
ープ(ニチバン(株)製,段ボール梱包用強粘着タイ
プ)の粘着剤塗布面の全面に、前記粉末状セメント硬化
遅延剤を均一に散布し、過剰の粉末を払い落とした。得
られたテープを、木製コンクリート板用型枠(内容積1
m×1m×(深さ)10cm)の底面に10cm間隔
で、粉末付着面を上にして貼付した。型枠内に、ポルト
ランドセメント/砂/水=100/200/55(重量
比)のモルタルを高さ3cmとなるように打設し、20
cm間隔で鉄筋(直径1cm×80cm)を配設した
後、前記モルタルをさらに合計高さ6cmとなるように
打設した。常温で168時間放置し、硬化した成形プレ
ートを型枠から離型し、粘着テープを除去した後、水洗
しながらタワシで洗い出し作業を行なった。その結果、
テープとの接触部位だけが2〜3cmの深さで洗い出さ
れ、砂の自然色と砂粒子による粗面を有する幅5cmの
洗い出し面が10cm間隔で明瞭に形成された。
【0056】実施例3 実施例2と同様にして調製した油状不飽和ポリエステル
100重量部に対して、室温で、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート10重量部、有機過酸化物(日本油脂
(株)製,「パーブチルオー」)3重量部、架橋触媒と
しての酢酸コバルトを50ppmの濃度で添加し、混合
することにより重合性組成物を調製した。この重合性組
成物を、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート製
シートに、塗布量50g/m2 で塗布し、150℃のオ
ーブン中に、30秒間加熱するように通過させて硬化さ
せ、セメント硬化遅延シートを得た。得られたシートを
幅5cmにスリットし、長尺シートを得た。
【0057】コンクリート型枠(30cm×1m×(深
さ)1m)の内壁(1m×1mの内壁)に間隔10cm
で、塗布面を型枠の内方に向けて前記長尺シートを格子
状に貼付し、実施例2と同様のモルタルを打設し、16
8時間硬化させた後、硬化モルタルを型枠から離型し
た。硬化モルタルの表面を実施例2と同様にして洗い出
したところ、セメント硬化遅延シートとの接触部位が深
さ約2mmで洗い出され、ゴバン目状パターンが明瞭に
形成された。
【0058】実施例4 無水マレイン酸3603g(31.1モル)とグリセリ
ン2674g(29.1モル)とを用いる以外、実施例
2と同様にして粘調な油状不飽和ポリエステル(重量平
均分子量1950)を得た。得られた不飽和ポリエステ
ル100重量部に対して、ブチルアクリレート10重量
部を添加するとともに、両者の合計量100重量部に対
して有機過酸化物(日本油脂(株)製,「パーブチルオ
ー」)3重量部を添加し、50℃で混合して重合性組成
物の溶液を調製した。得られた重合性組成物を、目付3
0g/m2 のポリエステル製不織布に含浸させ、過剰の
組成物をロールで絞ることにより除き、含浸不織布をオ
ーブン中、150℃で30秒間加熱することによりセメ
ント硬化遅延シートを得た。得られた硬化遅延シートを
実施例2で用いた木製型枠の底面の全面に敷いた後、こ
のシート上に、正方形のタイル(10cm×10cm×
(厚み)8cm)と目地棒(断面10mm×10mmの
正方形)を交互に並べ、実施例2で用いたモルタルを打
設した。常温で168時間放置して硬化させた後、コン
クリート成形品を型枠から離型し、タイル表面を水洗し
たところ、タイル表面の付着物は水洗のみで円滑に除去
でき、ワイヤーブラシ、ヘラなどによる除去作業は不要
であった。
【0059】実施例5 無水マレイン酸3450g(35.2モル)とエチレン
グリコール2800g(45.2モル)とを用いる以
外、実施例2と同様にして油状不飽和ポリエステル(重
量平均分子量540)を得た。得られた不飽和ポリエス
テルを、実施例2で用いた木製型枠の底面に10cm間
隔で、10cm幅に刷毛塗りした。型枠内に、実施例2
で用いたモルタルを高さ5cmで打設し、20cm間隔
で実施例2で用いた鉄筋を配設し、モルタルを合計高さ
10cmとなるようにさらに打設した。実施例2と同様
にして硬化させた後、コンクリート成形品を型枠から離
型し、洗い出したところ、油状不飽和ポリエステルの塗
布部位だけ、砂およびセメントが深さ約2mmで洗い出
された。乾燥後の洗い出し部位には、砂の自然色と砂粒
子の露出した浅い溝状の粗面が形成された。また、不飽
和ポリエステルの非塗布部は硬化しており、不飽和ポリ
エステルによる硬化遅延の影響は及んでいなかった。
【0060】実施例6 コハク酸4090g(34.6モル)とエチレングリコ
ール2770g(44.6モル)とを用いる以外、実施
例5と同様にして油状飽和ポリエステル(重量平均分子
量490)を得た。得られた飽和ポリエステルを用い、
実施例5と同様にしてセメント硬化遅延能を調べたとこ
ろ、油状飽和ポリエステルの塗布部位だけが洗い出さ
れ、比較的平滑で、砂の自然色を有する洗い出し面が形
成された。
【0061】実施例7 無水マレイン酸3430g(35.0モル)とエチレン
グリコール2387g(38.5モル)とを用い、反応
温度が210℃に達した後、さらに13時間反応させる
以外、実施例5と同様にして反応させ、撹拌不能となっ
た時点で反応を停止することにより重合体を得た。この
重合体は室温でガラス状であり、溶媒に不要であるた
め、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分
子量を測定することができなかった。得られた重合体を
クラッシャーおよび液体窒素を用いた冷凍粉砕機により
粉砕し、平均粒径200μm以下の粉末を得た。得られ
た粉末を、粘着剤が塗布されたテープに散布する以外、
実施例2と同様にして硬化遅延能を調べたところ、テー
プとの接触部位だけが深さ約2mmに洗い出され、5c
m幅の洗い出し面が10cm間隔で明瞭に形成された。
【0062】実施例8〜10,比較例2 表2に示す多価カルボン酸成分および多価アルコール成
分を用いる以外、実施例2と同様にして不飽和ポリエス
テルを得た。得られた不飽和ポリエステルの重量平均分
子量も合わせて表2に示す。
【0063】
【表2】 得られた不飽和ポリエステル100重量部に対して、有
機過酸化物(日本油脂(株)製,「パーブチルオー」)
3重量部、架橋触媒としての酢酸コバルトを50ppm
の濃度で添加し、混合することにより重合性組成物を調
製した。重合性組成物を、厚み50μmのポリエチレン
テレフタレート製シートに、塗布量50g/m2 で塗布
し、150℃のオーブン中に、30秒間加熱するように
通過させて硬化させ、塗布シートを得た。 [水浸漬試験]得られた塗布シートを5cm×10cm
のサイズに切断して試料を調製した。得られた試料を純
水中に5秒間浸漬した引き上げ、不飽和ポリエステルの
塗布面を上にして濾紙上に静置し、10分間に亘り試料
の変化を観察したところ、次のような結果を得た。 実施例8:塗布シートに強いカールが生じたが、皺が微
小で不飽和ポリエステルの塗布層は剥離しなかった。 実施例9:塗布シートはカールしたが、不飽和ポリエス
テルの塗布面は変化がなく、皺や剥離が認められなかっ
た。 実施例10:塗布シートは僅かにカールするものの、大
きな変化は認められなかった。 比較例2:塗布シートに殆ど変化が認められなかった。
【0064】[洗い出し試験]また、塗布シートを幅5
cmにスリットし、長尺シートを得た。木製型枠(1m
×1m×(深さ)10cm)の底面に、間隔10cm
で、塗布面を上にして前記長尺シートを貼付し、実施例
2で用いたモルタルを高さ3cmとなるように打設し、
20cm間隔で鉄筋(直径1cm×80cm)を配設し
た後、前記モルタルをさらに合計高さ6cmとなるよう
に打設した。常温で168時間放置し、硬化した成形プ
レートを型枠から離型し、長尺シートを除去した後、水
洗しながらタワシで洗い出し作業を行なったところ、次
のような結果が得られた。
【0065】実施例8:試料シートとの接触部に深さ2
mm程度の凹部が形成され、良好な洗い出し性が認めら
れた。 実施例9:試料シートとの接触部に深さ2mm程度の凹
部が形成され、良好な洗い出し性が認められた。 実施例10:試料シートとの接触部に深さ1mm程度の
凹部が形成され、洗い出し性は認められたが、実施例8
及び9に比べて凹部の深さが浅くなった。
【0066】比較例2:試料シートとの接触部に色相の
変化が認められたが、試料シートととの非接触部に比べ
て、表面粗度において変化がなかった。
【0067】実施例11 実施例8で得られた不飽和ポリエステル(テレフタル酸
含有量5重量%)100重量部に対して、スチレン10
重量部、有機過酸化物(日本油脂(株)製,「パーブチ
ルオー」)3重量部、架橋触媒としての酢酸コバルトを
50ppmの濃度で添加し、混合することにより重合性
組成物を調製した。この重合性組成物を用いる以外、実
施例8と同様にして不飽和ポリエステルの硬化物を保持
する塗布シートを調製し、実施例8と同様の水浸漬試験
及び洗い出し試験を行なった。その結果、水浸漬試験で
は、試料シートに目だったカールはなく、不飽和ポリエ
ステル塗布面には変化が認められなかった。また、洗い
出し試験では、長尺シートとの接触部位に深さ約2mm
の洗い出し面が形成された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 7/02 JHR C09J 7/02 JHR JKK JKK JLE JLE JLJ JLJ E04F 13/02 8913−2E E04F 13/02 G // C04B 103:24

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖が炭素数2〜6の多価カルボン酸又
    はその誘導体を含む多価カルボン酸成分と、炭素数2〜
    4の多価アルコール又はその縮合物を含むポリオール成
    分との反応により得られるポリエステルで構成されたセ
    メント硬化遅延剤。
  2. 【請求項2】 多価カルボン酸が炭素数2〜5の主鎖を
    有する飽和ジカルボン酸である請求項1記載のセメント
    硬化遅延剤。
  3. 【請求項3】 多価カルボン酸が、エチレン性不飽和結
    合を有し、主鎖が炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸で
    ある請求項1記載のセメント硬化遅延剤。
  4. 【請求項4】 ポリエステルの主たる繰り返し単位が、
    炭素数4〜9の繰り返し単位で構成されている請求項1
    記載のセメント硬化遅延剤。
  5. 【請求項5】 多価カルボン酸がマレイン酸又は無水マ
    レイン酸を含む請求項1記載のセメント硬化遅延剤。
  6. 【請求項6】 多価カルボン酸成分が、さらに芳香族ジ
    カルボン酸又はその誘導体を含む請求項1記載のセメン
    ト硬化遅延剤。
  7. 【請求項7】 ポリエステル全体に対する芳香族ジカル
    ボン酸の含有量が0.1〜30重量%である請求項6記
    載のセメント硬化遅延剤。
  8. 【請求項8】 芳香族ジカルボン酸が、フタル酸、テレ
    フタル酸、イソフタル酸およびこれらの誘導体から選ば
    れた少なくとも一種である請求項6記載のセメント硬化
    遅延剤。
  9. 【請求項9】 多価カルボン酸成分が、マレイン酸又は
    無水マレイン酸と、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体
    とで構成されている請求項1記載のセメント硬化遅延
    剤。
  10. 【請求項10】 多価アルコールが、エチレングリコー
    ル、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
    テトラメチレングリコール、ジオキシエチレングリコー
    ル、トリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレ
    ングリコール、ジオキシプロピレングリコール、トリオ
    キシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリ
    コール、およびグリセリンからなる群から選択された少
    なくとも一種である請求項1記載のセメント硬化遅延
    剤。
  11. 【請求項11】 ポリエステルの重量平均分子量が30
    0〜100,000である請求項1記載のセメント硬化
    遅延剤。
  12. 【請求項12】 ポリエステルの重量平均分子量が30
    0〜5000である請求項1記載のセメント硬化遅延
    剤。
  13. 【請求項13】 少なくともマレイン酸又はその誘導体
    を含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜4の脂肪族ジオ
    ール又はその縮合物を含むジオール成分との反応生成物
    であって、分子量300〜50,000の不飽和ポリエ
    ステルで構成された請求項1記載のセメント硬化遅延
    剤。
  14. 【請求項14】 不飽和ポリエステルの硬化物で構成さ
    れている請求項1記載のセメント硬化遅延剤。
  15. 【請求項15】 硬化物が、不飽和ポリエステルと重合
    開始剤とを含む重合性組成物の硬化物である請求項14
    記載のセメント硬化遅延剤。
  16. 【請求項16】 硬化物が、不飽和ポリエステルと重合
    性ビニルモノマーと重合開始剤とを含む重合性組成物の
    硬化物である請求項14記載のセメント硬化遅延剤。
  17. 【請求項17】 重合性ビニルモノマーが、スチレン系
    モノマー、アクリル系モノマーおよびメタクリル系モノ
    マーから選ばれた重合性モノマーである請求項16記載
    のセメント硬化遅延剤。
  18. 【請求項18】 重合性組成物が、不飽和ポリエステル
    100重量部に対して重合性モノマー1〜500重量部
    の割合で含む請求項16記載のセメント硬化遅延剤。
  19. 【請求項19】 硬化物が、有機酸コバルト塩、β−ジ
    ケトン類、芳香族第3級アミン類、メルカプト類から選
    択された少なくとも一種の重合促進剤を含む重合性組成
    物の硬化物である請求項14記載のセメント硬化遅延
    剤。
  20. 【請求項20】 重合性組成物における重合促進剤の濃
    度が10〜1000ppmである請求項19記載のセメ
    ント硬化遅延剤。
  21. 【請求項21】 硬化物が粉粒体である請求項14記載
    のセメント硬化遅延剤。
  22. 【請求項22】 主鎖が炭素数2〜6の飽和又は不飽和
    脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体を含むジカルボン酸
    成分と、炭素数2〜4のジオール又はその縮合物を含む
    ジオール成分との反応により得られ、かつ主たる繰り返
    し単位が炭素数4〜9の繰り返し単位であるポリエステ
    ルで構成されているセメント硬化遅延剤。
  23. 【請求項23】 ポリエステルが、主鎖が炭素数2〜6
    の飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体
    と、フタル酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸から
    選ばれた少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸又はその
    誘導体とを含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜4のジ
    オール又はその縮合物を含むジオール成分との反応によ
    り得られるポリエステルである請求項22記載のセメン
    ト硬化遅延剤。
  24. 【請求項24】 主鎖が炭素数2〜6の多価カルボン酸
    又はその誘導体を含む多価カルボン酸成分と、炭素数2
    〜4の多価アルコール又はその縮合物を含むポリオール
    成分との反応により得られるポリエステルで構成された
    セメント硬化遅延剤を含む組成物が、基材シートに保持
    されているセメント硬化遅延シート。
  25. 【請求項25】 不飽和ポリエステルを含む組成物を、
    無孔性シート又は多孔性シートへ塗布又は含浸し、加熱
    して硬化させることにより得られる請求項24記載のセ
    メント硬化遅延シート。
  26. 【請求項26】 不飽和ポリエステルを含む組成物が、
    不飽和ポリエステルと重合開始剤とを含む請求項25記
    載のセメント硬化遅延シート。
  27. 【請求項27】 不飽和ポリエステルを含む組成物が、
    不飽和ポリエステルと重合性モノマーと重合開始剤とを
    含む請求項25記載のセメント硬化遅延シート。
  28. 【請求項28】 (1)粉粒状であるポリエステルと粘
    着剤又は接着剤とを含む組成物を基材シートに塗布又は
    含浸するか、または(2)基材シートの粘着剤層又は接
    着剤層へ粉粒状のポリエステルを付着することにより得
    られる請求項24記載のセメント硬化遅延シート。
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