JPH11314954A - コンクリ―ト硬化遅延剤 - Google Patents

コンクリ―ト硬化遅延剤

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JPH11314954A
JPH11314954A JP11028427A JP2842799A JPH11314954A JP H11314954 A JPH11314954 A JP H11314954A JP 11028427 A JP11028427 A JP 11028427A JP 2842799 A JP2842799 A JP 2842799A JP H11314954 A JPH11314954 A JP H11314954A
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JP
Japan
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concrete
polymer
acid
component
vinyl
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Application number
JP11028427A
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English (en)
Inventor
Tatsu Ikuta
達 生田
Mitsuteru Rokuta
充輝 六田
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Daicel Evonik Ltd
Original Assignee
Daicel Huels Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート硬化遅延剤を用い、タイル先付
けコンクリートパネル表面の汚れの除去性、コンクリー
ト表面の洗出し性、表面仕上げ状態を改善する。 【解決手段】 コンクリート硬化遅延剤を、コンクリー
ト硬化遅延能を有するポリマー(A) により構成する。前
記ポリマー(A) は、ガラス転移温度(Tg)−5℃以下
の低Tg成分を構造単位として有しており、遅延剤の表
面張力は45mN/m以下である。ガラス転移温度(T
g)−5℃以下の低Tg成分の割合は、ポリマー(A) 全
体の10重量%以上程度である。ポリマー(A) は、金属
イオンに対して塩を形成し得る官能基(特に遊離の酸
基、又は酸基を加水分解により生成可能な基)を有して
いる。ポリマー(A) は、ビニル系ポリマー、ポリエステ
ル(飽和又は不飽和ポリエステル)、不飽和ポリエステ
ルの架橋体又はグラフト重合体などである。前記コンク
リート硬化遅延剤により、シート、装飾材パックを形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート表面
硬化遅延剤に関し、特にテープ、シート、フィルムの領
域において、プレキャストコンクリート板(PC板)にタ
イルを先付けする際に用いられ、タイル表面の汚れを容
易に除去することを可能としたり、或いはコンクリート
表面に直接適用して、骨材洗い出しを容易とし得るコン
クリート表面硬化遅延剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビルなどの建造物において美観を高める
ために、外壁にタイルが多用されている。しかしなが
ら、コンクリートの壁面を形成した後に、現場にてタイ
ル貼りを施工する場合、多数の作業者を必要とし、かつ
長時間に亘る作業が強いられる。しかも、タイルのコン
クリートの接着強度は、必ずしも十分ではなく、施工後
タイルがコンクリート壁面から剥離し、落下することも
ある。
【0003】そこで、予めタイルが張り付けられたコン
クリートパネルを工場で製造し、現場において組み立て
る方法、すなわち先付け工法が採用されている。この先
付け工法では、一般に、必要な数のタイルを、粘着シー
トにマトリックス状に貼り付けたタイルパックを製作
し、これを型枠内面にセットする。次に、型枠内に、必
要に応じて配筋し、コンクリートを打設し、養生する。
しかる後、コンクリートが硬化した後に、型枠を解体し
てプレキャストコンクリート(PC)板を得る。
【0004】ところで、タイルパックを用いる先付け工
法では、単に粘着シートにタイルを貼付したパックを用
いると、後に充填するコンクリートが、タイルとタイル
と間(目地)を全て埋めてしまい、目地部を形成できな
い。このため、通常、タイル間の目地に、例えば、発泡
ウレタン、発泡ポリエチレン等のシートをカットしたテ
ープ、目地の形状に合わせて打ち抜き加工したネット状
成形体等を充填したタイルパックを使用する。しかし、
この方法によれば、目地処理に大きな労力を要し、生産
性が低い。
【0005】また、先付け工法では、コンクリートを打
設した後、コンクリートの一部が目地の部分から漏洩し
タイル表面に回り込むことを避けることができない。そ
のため、硬化後に型枠を解体した後、タイル表面に漏洩
したコンクリート組成物(モルタル成分)の硬化物を削
りとらなければならない。タイル表面に付着しているコ
ンクリート硬化物は、従来、皮スキ、カッターナイフな
どの工具を用い、人手により削りとっていた。しかしな
がら、硬化後のコンクリートが非常に硬いことに加え
て、タイル表面に傷をつけてはならないため、この削り
とり作業が非常に煩雑であった。しかも、タイル表面を
損傷させてはならないため、機械的にコンクリート硬化
物を除去することも難しい。このように、従来のタイル
パックでは、目地処理が煩雑であり、タイル表面の仕上
げ処理が困難である。
【0006】タイル表面処理を簡便化するため、コンク
リート用混和剤であるセメント凝結遅延剤を用いて、コ
ンクリート汚れを容易に除去する方法が、例えば、特開
昭48−29821号公報、特開平8−118325号
公報などに提案されている。
【0007】特開昭48−29821号公報では、紙よ
りなるタイルシートに複数のタイルを該タイルの外表面
側から、セメント凝結遅延剤を配合してなる接着剤を用
いて貼り付ける方法が開示されている。しかし、この方
法では、コンクリート組成物に大量に含まれる水分が、
上記タイルシートの紙に吸水し、シートにしわやたるみ
等が発生しがちであった。その結果、タイル表面とタイ
ルシートとの間に隙間が生じた部分では凝結遅延剤が十
分に作用せず、十分な効果を得ることができなかった。
さらに、接着剤により凝結遅延剤とコンクリートとの接
触が阻害され、凝結遅延剤が十分な効果を発揮できな
い、といった問題がある。
【0008】また、特開平8−118325号公報に
は、粘着剤層にセメント凝結遅延剤を含有させたシート
を用いる方法が開示されている。しかし、この方法でも
しばしば粘着剤層によってコンクリートとの接触が邪魔
をされて、配合された凝結遅延剤が十分な効果を発揮で
きないという致命的な問題がある。また、この方法によ
れば、タイル表面に残留したモルタル成分をある程度容
易に除去できるものの、タイルパックの目地処理を効率
よく行うことはできない。
【0009】特開平9−183643号公報には、主鎖
が炭素数2〜6の多価カルボン酸成分と、炭素数2〜4
の多価アルコール又はその縮合物を含むポリオール成分
との反応により得られるポリエステルで構成されたセメ
ント硬化遅延剤であって、ポリエステルの重量平均分子
量が300〜100,000のセメント硬化遅延剤が開
示されている。しかし、前記セメント硬化遅延剤は、粘
着性に乏しいため、タイルパックに使用するには、粘着
剤、接着剤等を併用する必要が生じる。ところが、十分
な粘着性を付与できる程度に粘着剤(接着剤)用いる
と、セメント硬化遅延性が低下するため、硬化遅延性と
粘着性を両立するのは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のコ
ンクリート硬化遅延剤は、粘着成分とセメント硬化遅延
成分が異なっており、その異なる成分を単に混合、配合
している。粘着成分には硬化遅延の効果はなく、硬化遅
延の成分には粘着の効果はないにもかかわらず、タイル
表面との接着とコンクリート表面の硬化遅延という二つ
の異なった性能をどちらも同一表面において発現するこ
とはそれ自体が二律背反したものであり、自己矛盾を抱
えていた。事実、上述したような、粘着成分、粘着層に
よる硬化遅延剤の効果の阻害がみられるため、新しい技
術の開発が強く望まれている。
【0011】従って、本発明の目的は、粘着性と硬化遅
延性とを両立できるコンクリート硬化遅延剤およびそれ
を用いたコンクリート硬化遅延シートを提供することに
ある。
【0012】本発明の他の目的は、粘着性と硬化遅延性
とを高いレベルで備えているとともに、目地部を精度よ
く形成できるコンクリート硬化遅延剤及びそれを用いた
コンクリート硬化遅延シートを提供することにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、前記シートを
用いたタイルパック、及びそのタイルパックを用いた装
飾コンクリート製品の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、簡便に、装飾コンクリート製品を
製造できる方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために成されたものであり、硬化遅延剤そのもの
が粘着性を有するという特色を有している。
【0015】すなわち、本発明のコンクリート硬化遅延
剤は、未硬化のコンクリートとの接触によりコンクリー
トの硬化を遅延させる能力を有するポリマー(A) を主成
分とするコンクリート硬化遅延剤であって、前記ポリマ
ー(A) が、ガラス転移温度(Tg)−5℃以下の低Tg
成分を構造単位として有しており、表面張力は45mN
/m以下である。ガラス転移温度(Tg)−5℃以下の
低Tg成分の割合は、ポリマー(A) 全体の10重量%以
上程度である。ポリマー(A) は、金属イオンに対して塩
を形成し得る官能基(特に、遊離の酸基、又は酸基を加
水分解により生成可能な基)を有していてもよい。ポリ
マー(A) は、酸基以外の親水性基(特に水酸基)を有し
ていてもよい。前記ポリマー(A) は、ガラス転移温度
(Tg)−5℃以下の低Tg成分を主鎖及び側鎖の少な
くともいずれか一方に有していてもよい。ポリマー(A)
は、ビニル系ポリマー、ポリエステル(飽和又は不飽和
ポリエステル)、不飽和ポリエステルの架橋体又はグラ
フト重合体などである。不飽和ポリエステルの架橋体
(グラフト重合体)は、不飽和ポリエステルとビニル化
合物により構成されていてもよく、この場合、不飽和ポ
リエステルの不飽和結合の数は、1分子当たり平均8個
以下であってもよい。
【0016】本発明には、前記コンクリート硬化遅延剤
で形成されるコンクリート硬化遅延シート、このシート
の表面に装飾材が配設されている装飾材パック、及びこ
のパックを用いた装飾コンクリートの製造方法も含まれ
る。
【0017】なお、本明細書ではセメント系組成物(モ
ルタルなど)の硬化物を「コンクリート」と総称する。
また、セメント及びセメント系組成物の硬化を遅延する
ことを「コンクリート硬化遅延」と総称する。
【0018】また、本明細書で「コンクリート硬化遅延
能を有する」とは、コンクリートの硬化を遅延させる能
力を有していることを意味し、特に、後述の実施例記載
の方法[評価法(2) −1]により硬化遅延能を測定した
場合の硬化遅延深度が0.5mm以上(例えば、0.7
5mm以上、好ましくは1.0mm以上、さらに好まし
くは1.5mm以上)であることを意味する。
【0019】また、本明細書では「コンクリート硬化遅
延剤(遅延性、遅延能、遅延効果、遅延シート、遅延材
等)」を単に「硬化遅延剤(遅延性、遅延能、遅延効
果、遅延シート、遅延材等)」、「遅延剤(遅延性、遅
延能、遅延効果、遅延シート、遅延材等)」と称する場
合がある。
【0020】また、本明細書では、「剤」とは、通常、
所定の性能を有する材料を意味し、「材」とは、通常、
「剤」の性能を利用するのに適した形態を有する加工品
のことを意味する。
【0021】また、本明細書では、「パック」とは複数
の装飾材を一体化した製品を意味する。例えば、「装飾
材パック(タイルパック)」とは、シート上に複数の装
飾材(タイル)を貼付けてパッケージング(一体化)し
た製品を意味する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 [ポリマー(A) ]本発明のコンクリート硬化遅延剤は、
未硬化のコンクリートとの接触によりコンクリートの硬
化遅延能を有するポリマー(A) (コンクリート硬化遅延
ポリマー)を主成分としており、前記ポリマー(A) は粘
着性を有している。
【0023】(粘着性成分)ポリマー(A) は、ガラス転
移温度(Tg)−5℃以下の低Tg成分を構造単位とし
て有しており、低Tg成分によりポリマー(A) に粘着性
が付与されている。
【0024】なお、ポリマー(A) の説明において、「ガ
ラス転移温度(Tg)−5℃以下の低Tg成分を分子構
造(構成単位)として有する」とは、硬化遅延効果を有
するポリマーそのものがそうした構造を有していること
を意味し、ポリマーの構造において、特定のブロック
鎖、グラフト鎖、又は架橋鎖が−5℃以下の低Tgを有
する場合の他、ポリマー全体が−5℃以下のTgである
場合も含んでいる。
【0025】この低Tg成分は、使用条件下においてポ
リマー(A) に、好適な粘着性を付与するために必要な条
件であり、その使用条件により好ましい範囲が異なる
が、低Tg成分のTgとしては−5℃以下(例えば、−
5℃〜−100℃)、好ましくは−10℃以下(例え
ば、−10℃〜−90℃)、さらに好ましくは−15℃
以下(例えば、−15℃〜−90℃)が適している。
【0026】また、本発明のポリマー(A) 及びコンクリ
ート硬化遅延剤が高い粘着性を示すためには、低表面張
力を有するのが好ましい。ポリマー(A) 及びコンクリー
ト硬化遅延剤の表面張力は、室温下(例えば、15〜2
5℃)で45mN/m以下(例えば、10〜45mN/
m)、好ましくは35mN/m以下(例えば、10〜3
5mN/m)、更に好ましくは30mN/m以下(例え
ば、10〜30mN/m)である。
【0027】ポリマー(A) における低Tg成分の量は、
少なくとも10重量%以上(10〜70重量%程度)、
好ましくは20重量%以上(20〜60重量%程度)、
より好ましくは30重量%以上(30〜60重量%程
度)である。低Tg成分の量が少ないと好適な粘着性を
得ることはできない。なお、低Tg成分の含有量が少な
い場合、低Tg成分は、通常、2−エチルヘキシルアク
リレートなどのアクリル酸C2-12アルキルエステルなど
の親水性又は疎水性ビニルモノマー(特にTgが約−2
0℃よりも低いビニルモノマー)で構成できる。
【0028】ポリマー(A) を構成する低Tg成分として
は、ホモポリマーのガラス転移温度が−5℃以下の低T
gポリマーとなるビニルモノマー(低Tgビニルモノマ
ー)が挙げられる。
【0029】低Tg成分を分子構造として有する場合、
ポリマー(A) の主鎖又は側鎖、あるいはそれらの両方に
共重合といった形で化学結合により、主たるコンクリー
ト硬化遅延効果を有するポリマー(A) に低Tg成分を導
入できる。例えば、低Tgビニルモノマーを共重合させ
ることにより、ポリマー(A) のブロック鎖、架橋鎖、グ
ラフト鎖として、低Tg成分を導入できる。また、低T
gビニルモノマーをポリマー(A) 中に均一に分散させて
ポリマー(A) 全体のTgを低下させてもよい。
【0030】低Tgビニルモノマーとしては、例えば、
アクリル酸エステル[アクリル酸アルキル(アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アク
リル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ラウリルなどのアクリル酸C2-12アルキルな
ど)、アクリル酸ヒドロキシアルキル(アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなど
のアクリル酸ヒドロキシC2-6 アルキルなど)など]、
メタクリル酸エステル(メタクリル酸n−ヘキシルなど
のメタクリル酸C6-14アルキルなど)などが挙げられ
る。また、低Tgビニルモノマーには、ビニルエーテル
やアリルエーテル、例えば、ビニルモノマー(ビニルア
ルコール、アリルアルコールなど)とアルキレングリコ
ール類(アルキレングリコール、ポリオキシアルキレン
グリコールなど)とのモノ又はジエーテルも含まれ、こ
れらのモノエーテル類の末端のOH基は封止されていて
もよい。
【0031】なお、低Tg成分には、ジエン系ゴム(ポ
リイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレンなど
のポリC4-10ジエンなど)、イソプレン系ゴム(ポリイ
ソプレンなど)、ブタジエン系ゴム(スチレンブタジエ
ンゴム)、イソブチレン系ゴム(ブチルゴム、ポリイソ
ブチレンなど)などのゴム成分の残基(セグメント)、
ポリオキシアルキレングリコール残基(セグメント)な
ども含まれる。
【0032】(コンクリート硬化遅延成分)ポリマー
(A) は、コンクリート硬化遅延ポリマーであり、金属イ
オン(コンクリート中のカルシウムイオンなど)と塩を
形成し得る官能基(特に、酸基)を有している。コンク
リート中のカルシウムイオンを補足することにより、コ
ンクリートの硬化を遅延できる。
【0033】酸基の種類は、特に限定されず、例えば、
リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基などが例示で
き、好ましくはカルボキシル基である。前記酸基は、遊
離の酸基に限られず、塩を形成してもよく、加水分解に
より生成してもよい。
【0034】本発明の硬化遅延ポリマーにおいて、カル
ボキシル基などの酸基(加水分解により生成する場合も
含む)は、金属イオンに対してキレート構造を構成し得
る位置に存在するのが好ましい。特に、酸基の一部又は
全てが、相互に2価の金属イオンに対して、キレート塩
を形成できる位置関係にあることが好ましい。
【0035】酸基は、例えば、酸基を有する成分を重合
(共重合、グラフト重合、ブロック重合、架橋、縮合重
合など)などにより、ポリマー(A) に導入できる。酸基
を有する成分としては、カルボキシル基以外の酸基を有
する成分、例えば、スルホン酸を有する重合性モノマー
(例えば、4−スチレンスルホン酸塩など)なども使用
できるが、通常、カルボキシル基を有する成分が使用で
きる。
【0036】カルボキシル基を有する成分としては、例
えば、(メタ)アクリル酸(又は、そのエステル)など
のビニル系モノマー、飽和又は不飽和の多価カルボン酸
(又は、そのエステル、酸無水物)などが挙げられる。
特に、2価の金属イオンとキレート塩を形成可能な位置
関係にある酸基を導入できる成分としては、マロン酸、
コハク酸などの飽和C2-4 ジカルボン酸;マレイン酸、
フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イサコン酸など
の不飽和C4-5 ジカルボン酸;(メタ)アクリル酸、及
びそれらのエステル又は酸無水物などが挙げられる。前
記2価の金属イオンとキレート塩を形成可能な位置関係
にある酸基導入可能な成分を用いると、ポリマー(A)
に、より優れたコンクリート硬化遅延能を付与できる。
【0037】酸基を有する成分と低Tg成分との割合
は、例えば、(前者)/(後者)=10/90〜90/
10(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/2
0(重量比)程度、好ましくは30/70〜70/30
(重量比)程度である。
【0038】(親水性成分)ポリマー(A) は、金属イオ
ンに対して塩を構成し得る官能基(カルボキシル基など
の酸基)以外の親水性基を有していてもよい。親水性基
により、ポリマー(A) にコンクリート硬化遅延能を、長
時間に亘って付与できる(持続性)。なお、上記酸基
も、親水性基と同様にコンクリート硬化遅延能の持続性
を付与できる。
【0039】このような親水性基には、水酸基,(ポ
リ)オキシアルキレン基又は単位やセグメントなどが含
まれる。また、前記親水性基には、親水性基を生成可能
な基[特に、水酸基又は(ポリ)オキシアルキレン基を
生成可能な基]も含まれる。親水性基を生成可能な基と
しては、例えば、アルコール類又は(ポリ)オキシアル
キレングリコール類のエステルが挙げられる。
【0040】親水性基は、例えば、親水性基を有する成
分を重合(共重合、グラフト重合、ブロック重合など)
させることにより、ポリマー(A) に導入できる。また、
親水性基を有する(多価)アルコール類又は(多価)カ
ルボン酸類をエステル縮合することによっても導入でき
る。
【0041】親水性基を有する成分、特に親水性基を有
する重合性モノマーとしては、不飽和モノマー類、例え
ば、(メタ)アクリル酸などの不飽和酸と(ポリオキ
シ)アルキレングリコール[特に、(ポリオキシ)C
2-4 アルキレングリコールなど]とのエステル類、アリ
ルアルコールなどの不飽和アルコールと前記(ポリオキ
シ)アルキレングリコールとのエーテル類などが挙げら
れる。
【0042】親水性基を有する(多価)アルコール類に
は、(ポリオキシ)アルキレングリコール類、飽和多価
アルコール類が含まれる。親水性基を有する(多価)カ
ルボン酸類には、オキシカルボン酸類などが含まれる。
【0043】親水性基を有する成分(重合性モノマー、
アルコールなど)の割合は、前記低Tg成分と酸基を有
する成分との合計100重量部に対して、例えば、0〜
1000重量部程度、好ましくは10〜500重量部程
度、さらに好ましくは20〜100重量部程度である。
【0044】前記ポリマー(A) の分子量は、通常、50
0〜1,000,000程度、好ましくは1,000〜
50,000程度の範囲から選択できる。なお、低分子
量のポリマー(A) は、高分子量のポリマー(A) の粘着性
を向上できる場合がある。
【0045】前記ポリマー(A) は、主鎖に低Tg成分を
有するポリマーと側鎖に低Tg成分を有するポリマーと
に大別でき、低Tg成分はポリマーの主鎖および側鎖の
双方に導入してもよい。前記ポリマー(A) は、ポリエス
テル(飽和ポリエステルや不飽和ポリエステル)、ビニ
ル系ポリマー(例えば、アクリル系ポリマーなど)など
で構成できる。不飽和ポリエステルは、不飽和結合によ
り架橋して、不飽和ポリエステルの重合体(架橋体、グ
ラフト重合体など)を形成してもよい。さらに、ビニル
系ポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸,これらのエステル、およびこれらの酸無水物から選
択された少なくとも一種の共重合性単量体の共重合体で
構成できる。
【0046】[主鎖に低Tg成分を有するポリマー(A)
]より具体的に、コンクリート硬化遅延ポリマーへの
粘着成分たる低Tg成分の導入の方法、及びその方法に
より得られるコンクリート硬化遅延ポリマーについて例
を挙げて説明する。硬化遅延ポリマーの主鎖に−5℃以
下の低Tg成分を導入する具体的な方法としては、硬化
遅延ポリマーがビニル系ポリマーの場合は、ホモポリマ
ーが−5℃以下の低Tg成分を用いた共重合が挙げら
れ、硬化遅延ポリマーがポリエステル系ポリマーである
場合はジカルボン酸又はジオールに−5℃以下の低Tg
成分を用いたポリマーが挙げられる。前者の場合、低T
g成分(ビニルモノマー)としては、前記低Tgビニル
モノマーが使用できる。また、後者の場合は、低Tg成
分(ジオール成分)として末端未封止のポリエチレング
リコールなどを挙げることができる。以下、硬化遅延ポ
リマーの主鎖に−5℃以下の低Tg成分を有するビニル
系ポリマーとポリエステルとについて、より詳細に説明
する。
【0047】(ビニル系ポリマー)ポリマー(A) がビニ
ル系ポリマーである場合、ビニル系ポリマー(A) を構成
するには、コンクリート硬化遅延能を付与するための酸
基を有する重合性モノマー、粘着性を付与するための低
Tgビニルモノマーが使用できる。
【0048】ビニル系ポリマー(A) を形成するための酸
基を有する重合性モノマーとしては、リン酸基、スルホ
ン酸基、カルボキシル基などのカルシウムイオンを補足
可能な酸基を有する重合性不飽和単量体が挙げられる。
なお、重合性モノマーの酸基は、遊離基であってもよ
く、塩、酸無水物、エステル基などを形成していてもよ
い。
【0049】酸基を有する重合性モノマーには、スルホ
ン酸基を有する重合性モノマー(例えば、スチレンスル
ホン酸又はその塩など)であってもよいが、前記カルボ
キシル基を有する重合性モノマー又はその誘導体が挙げ
られ、特に、(メタ)アクリル酸又はその酸無水物、ア
クリル酸エステル(アクリル酸C1-6 アルキル、アクリ
ル酸ヒドロキシC2-6 アルキルなど)、メタクリル酸エ
ステル(メタクリル酸C1-6 アルキル、メタクリル酸ヒ
ドロキシC2-6 アルキルなど)、不飽和ジカルボン酸
(マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イサコン酸
などの不飽和C4- 5 ジカルボン酸)又はその無水物若し
くはエステル類(モノ又はジエステルなど)などが使用
される。
【0050】ビニル系ポリマー(A) に粘着性を付与でき
る低Tg成分は、ホモポリマーのTgが−5℃以下であ
るモノマーを共重合させることにより、ポリマー(A) 中
に導入できる。
【0051】ホモポリマーのTgが−5℃以下であるモ
ノマーとしては、前記低Tgビニルモノマーと同様のモ
ノマーが挙げられ、特に、アクリル酸のC2-12アルキル
エステル(アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シルなど)、メタクリル酸C6-14アルキルエステル(メ
タクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリルな
ど)、アクリル酸C2-6 ヒドロキシアルキルエステル
(アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロ
キシプロピルなど)、ビニルエーテル、アリルエーテ
ル、ビニルエステル、アリルエステルなどが挙げられ
る。また、ビニル系ポリマーを重合する場合に、ポリイ
ソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、
ポリイソブチレンなどのゴム成分を共存させることによ
り、ポリマー(A) 中に、前記ゴム成分の残基(セグメン
ト)を導入してもよい。
【0052】なお、このようにして得られた低Tg成分
を主鎖に有するビニル系ポリマー(A) に対して、さらに
低Tgビニルモノマーをグラフト重合又は架橋してもよ
い。ビニル系ポリマー(A) 中の低Tgビニルモノマーの
割合は、前記ポリマー(A)中の低Tg成分の割合と同様
である。
【0053】また、酸基を有する重合性ビニルモノマー
と低Tgビニルモノマーとの割合は、前記酸基を有する
成分と低Tg成分との割合と同様であってもよく、ま
た、(酸基を有する重合性ビニルモノマー)/(低Tg
ビニルモノマー)=30/70〜80/20(重量比)
程度、好ましくは50/50〜80/20(重量比)程
度、さらに好ましくは60/40〜70/30(重量
比)程度であってもよい。
【0054】ビニル系ポリマー(A) には、親水性基を導
入していてもよい。親水性を付与することにより、コン
クリート硬化遅延剤のコンクリート硬化遅延性、特に硬
化遅延能の持続性を向上できる。親水性基は、前記親水
性基を有する重合性モノマーを共重合させることにより
導入できるが、特に、(メタ)アクリル酸とC2-4 アル
キレングリコール又はポリエチレングリコール(重合度
2〜10程度、末端が封止されていてもよい)とのエス
テル類、アリルアルコールなどの不飽和アルコール類と
2-4 アルキレングリコール又はポリエチレングリコー
ル(重合度2〜10程度、末端が封止されていてもよ
い)とのエーテル類、不飽和多価アルコール類などの不
飽和モノマーを共重合させることができる。
【0055】なお、親水性基を導入する場合、親水性基
は酸基を有する重合性モノマーと組み合わせて導入して
もよい。例えば、酸基を有する重合性モノマー(アクリ
ル酸、メタクリル酸など)と(ポリオキシ)アルキレン
グリコール類とのモノ又はジエステル、ビニルアルコー
ル又はアリルアルコールと(ポリオキシ)アルキレング
リコール類とのモノ又はジエーテルを共重合させてもよ
い。
【0056】親水性基含有モノマーの使用量は、酸基を
有する重合性モノマーと低Tgビニルモノマーの合計1
00重量部に対して、例えば、0〜1000重量部程
度、好ましくは、10〜500重量部程度、さらに好ま
しくは20〜100重量部程度である。
【0057】ビニル系ポリマーを構成するモノマー類
(コンクリート硬化遅延性能を付与する為のモノマー
類、粘着性を付与する為のモノマー類、及び親水性を付
与するモノマー類)は、官能基の種類に応じて、一部共
通する機能を有してしてもよい。共通する機能を有する
複数のモノマーは、複数の性質を、ビニル系ポリマー
(A)に付与できる。
【0058】ビニル系ポリマー(A) は、コンクリート硬
化遅延性及び粘着性を阻害しない範囲で、上記モノマー
類以外の重合性不飽和単量体(第三成分)との共重合体
であってもよい。例えば、第三成分の単量体を上記モノ
マー類と重合すると、重合性を向上できる場合がある。
【0059】前記第三成分(重合性不飽和単量体)とし
ては、芳香族ビニル系単量体(スチレンなど)、アクリ
ロニトリル系単量体(アクリロニトリルなど)、ビニル
エステル系単量体(酢酸ビニルなど)、塩化ビニル系単
量体、オレフィン系単量体などの単量体が挙げられる。
【0060】第三成分の使用量は、酸基含有モノマーと
低Tgモノマーとの総量100重量部に対して、例え
ば、50重量部以下、好ましくは30重量部以下、さら
に好ましくは20重量部以下である。
【0061】上記モノマー類は、種々の重合法、例え
ば、ラジカル発生剤(過酸化物など)の存在の下、溶媒
の存在下又は非存在下、加熱することにより容易に重合
できる。通常、溶剤(例えば、モノマー100重量部に
対して10〜300重量部程度の溶剤)の存在下、過酸
化物を含むモノマー類を、攪拌下、徐々に滴下すること
により重合できる。
【0062】ビニル系ポリマー(A) の分子量は、特に限
定されないが、例えば、数平均分子量(ゲルパーミエイ
ションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算
の分子量。以下総て同じ)で、1,000〜1,00
0,000程度、好ましくは5,000〜100,00
0程度、さらに好ましくは10,000〜50,000
程度である。
【0063】(ポリエステル(飽和又は不飽和ポリエス
テル))主鎖に低Tg成分を有するポリマー(A) がポリ
エステルである場合、ポリエステルの加水分解により生
じるカルボキシル基により、コンクリート硬化遅延性能
を付与できる。従って、ポリマー(A) を構成するポリエ
ステルは、コンクリートのアルカリによって比較的容易
に加水分解される方が好ましい。
【0064】ポリエステルは、少なくともジカルボン酸
成分を含む多価カルボン酸と、少なくともジオール成分
を含むポリオールとの反応により得ることができる。前
記ジカルボン酸成分としては、例えば、炭素数が2〜6
の飽和又は不飽和多価カルボン酸(特に、飽和又は不飽
和ジカルボン酸)が挙げられる。ジカルボン酸の炭素数
が2〜6程度の場合、ポリエステルは、容易に加水分解
され、高いコンクリート硬化遅延能を有する。
【0065】炭素数2〜6の飽和ジカルボン酸成分とし
ては、脂肪族飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジビン酸などが挙げ
られる。炭素数2〜6程度の不飽和ジカルボン酸成分と
しては、脂肪族不飽和ジカルボン酸、例えば、マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸
などが例示できる。前記ジカルボン酸成分は、酸無水物
であってもよい。これらジカルボン酸成分は単独で又は
組み合わせて使用できる。
【0066】また、ポリエステルを構成するジオール成
分としては、ポリマー(A) の加水分解性を高めることが
できるジオール成分、例えば、炭素数が2〜4程度の飽
和又は不飽和多価ジオール及びその縮合体が挙げられ
る。
【0067】炭素数が2〜4程度の飽和ジオール及びそ
の縮合体としては、例えば、アルキレングリコール(エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プ
ロパンジオール、1 ,3- ブタンジオール、テトラメチ
レングリコール)、ポリオキシアルキレングリコール
(ポリテトラメチレングリコールなど)、ポリエチレン
グリコ一ル(ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コールなど)、ポリプロピレングリコール(ジプロピレ
ングリコール、トリプロピレングリコールなど)などが
挙げらる。
【0068】炭素数が2〜4程度の不飽和ジオール及び
その縮合体としては、前記グリコールの脱水素体、例え
ばエテンジオール、プロペンジオール、ブテンジオール
などのアルケンジオール又はそれらの縮合体が挙げられ
る。
【0069】これらのジオール成分は単独で又は組み合
わせて使用してもよい。好ましいジオール成分は、縮合
体、例えば、2〜10量体、好ましくは2〜6量体、さ
らに好ましくは2〜3量体である。また、好ましいジオ
ール成分には、非対称ジオール、例えば、1,2−プロ
パンジオール、1,3−ブタンジオールなども含まれ
る。
【0070】上記ジカルボン酸成分及びジオール成分
は、他の多価カルボン酸、ポリオールなどと組み合わせ
て使用してもよい。他の多価カルボン酸(特に、ジカル
ボン酸)としては、例えば、炭素数が6を越える多価カ
ルボン酸、例えば、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン
酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボ
ン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸などが挙げられる。多価カルボン酸と
しては、ピロメリット酸などの3以上のカルボキシル基
を有する化合物を使用してもよい。
【0071】他のポリオールとしては、炭素数が5以上
のジオール、例えば、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジ
オール;シクロヘキサンジオール、シクロへキサンジメ
タノールなどの脂環式ジオール;ビスフエノールAなど
のビスフェノール類とC2-4アルキレンオキサイドとの
付加物などの芳香族ジオールなどをが挙げられる。ま
た、他の多価アルコールには、トリオール、テトラオー
ルなどの3以上のヒドロキシル基を有する多価アルコー
ル、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトールなども含まれる。
【0072】なお、前記ポリエステル系ポリマー(A) に
は、必要に応じて、カルボン酸成分及び/又はアルコー
ル成分として用いることにより、オキシカルボン酸類、
ケト酸類などのコンクリート凝結遅延能を有する化合物
(コンクリート凝結遅延剤)を導入してもよい。
【0073】本発明のポリマー(A) を構成するポリエス
テルは、前記多価カルボン酸成分とジオール成分との縮
合により得ることができる。例えば、所定量の前記ジカ
ルボン酸成分(好ましくは無水物)と、所定量の前記ジ
オール成分とを混合し、触媒(例えば、ジブチル錫オキ
サイドなど)の存在下、不活性ガス(窒素ガスなど)気
流中で攪拌しながら、適当な温度(例えば、130〜1
90℃程度)に加熱し、発生する水分を系外に継続的に
排出することにより、ポリエステルを製造できる。反応
時間は、発生する水分の除去方法により異なるが、通
常、常圧下で反応する場合、5〜20時間程度である。
【0074】上述のように、ポリマー(A) がポリエステ
ル系ポリマーである場合、ポリエステルの主鎖が加水分
解されることにより、酸基(カルボキシル基)が生成す
る。この酸基が、コンクリート中のカルシウムイオンを
補足することにより、コンクリートの硬化が遅延する。
なお、主鎖に低Tg成分を含むポリエステルである限
り、必要に応じて、更に硬化遅延に寄与する酸基を有す
るモノマーを導入してもよい。例えば、ビニル系ポリマ
ーの酸基を有する重合性モノマーにより、ポリエステル
(特に不飽和ポリエステル)をグラフト重合、又は架橋
してもよい。
【0075】なお、ポリステル系ポリマー(A) の末端基
には、更に、低Tg成分又は低Tg成分を含むポリマー
鎖を連結し、粘着性を更に向上させてもよい。ポリエス
テル系ポリマー(A) 中の、多価カルボン酸とポリオール
との割合は、例えば、(前者)/(後者)=0.8/1
〜1.2/1(モル比)程度、好ましくは0.9/1〜
1.1/1(モル比)程度である。
【0076】ポリエステルの分子量は、特に限定されな
いが、例えば、ポリスチレン換算の数平均分子量で、5
00〜50,000程度、好ましくは700〜30,0
00程度、さらに好ましくは1,000〜20,000
程度であり、特に1,000〜5,000程度である。
【0077】また、ポリエステルが不飽和ポリエステル
の場合、分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で
2,000以下(例えば、300〜2,000程度)、
好ましくは1,500以下(例えば、350〜1500
程度)、より好ましくは1,000以下(例えば、40
0〜1,000程度)であってもよい。分子量が2,0
00以下の場合、高い粘着性を付与できる。
【0078】[側鎖に低Tg成分を有するポリマー(A)
]硬化遅延ポリマーに二重結合が存在している場合
(例えば、前記不飽和ポリエステル、特に多価アルコー
ル成分が非縮合体である不飽和ポリエステルなど)、例
えば、硬化遅延ポリマー(不飽和ポリエステルなど)
に、ホモポリマーのガラス転移温度が−5℃以下の低T
gポリマーとなるビニルモノマー(低Tgビニルモノマ
ー)を含有又は含漬させることにより、低Tg成分を側
鎖に導入できる。また、硬化遅延ポリマー(不飽和ポリ
エステルなど)と低Tgビニルモノマーとを重合(グラ
フト重合、架橋など)、例えば、硬化遅延ポリマー(不
飽和ポリエステルなど)とビニルモノマーとの溶液を用
い、さらに過酸化物等のラジカル発生剤を使用するこに
よりグラフト化させることで低Tg成分を側鎖に導入で
きる。なお、重合に伴って、硬化遅延ポリマー(不飽和
ポリエステルなど)は架橋してもよく、ビニルモノマー
がグラフト重合してもよい。
【0079】なお、二重結合を有していないポリマー
(ビニル系ポリマーなど)であっても、グラフト重合
(又は、付加反応、縮合反応など)により低Tg成分を
側鎖に導入できる。
【0080】低Tgビニルモノマーとしては、前記ポリ
マー(A) の低Tgビニルモノマーが挙げられる。ポリエ
ステル系ポリマー(A) 中の低Tgビニルモノマーの割合
は、前記ポリマー(A) 中の低Tg成分の割合に同じであ
る。
【0081】低Tgビニルモノマーによる硬化遅延ポリ
マー(不飽和ポリエステルなど)のグラフト化において
は、必要に応じて、他のビニルモノマーを併用してもよ
い。他のビニルモノマーを併用することにより、硬化遅
延ポリマー(不飽和ポリエステルなど)とこれら低Tg
ビニルモノマーとの相溶性が低い場合であっても、相溶
性を改善できる。例えば、プロピレングリコールと無水
マレイン酸の縮重合による不飽和ポリエステルの場合、
2−エチルヘキシルアクリレートとの相溶性が極めて悪
い。この場合は、相溶性を改善させる他のビニルモノマ
ーとして、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートな
どを不飽和ポリエステルに含有又は含漬させた後に、2
−エチルヘキシルアクリレートを加えると好適な(相溶
性の高い)ポリマー/モノマー混合物を得ることができ
る。なお、前記他のビニルモノマーは、相溶性改善を目
的としない場合であっても併用してよい。
【0082】他のビニルモノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステル(アクリル酸
メチルなど)、メタクリル酸エステル[例えば、メタク
リル酸アルキル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブ
チルなどのメタクリル酸C1-5 アルキルなど)、メタク
リル酸ヒドロキシアルキル(メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのメタ
クリル酸ヒドロキシC1-20アルキルなど)]、(メタ)
アクリル酸無水物、無水マレイン酸、マレイン酸又はそ
のエステル、フマル酸又はそのエステル、ビニルエステ
ル(酢酸ビニルなど)、芳香族ビニル化合物(スチレン
など)などが挙げることができる。これら他のビニルモ
ノマーの配合により、しばしば粘着後、再度剥離する
際、被接着物への粘着硬化遅延ポリマーの付着を防止し
たり、硬化遅延性能を改善することができる。
【0083】他のビニルモノマーの割合は、硬化遅延ポ
リマー(不飽和ポリエステルなど)100重量部に対し
て、例えば、50重量部以下、好ましくは30重量部以
下、さらに好ましくは20重量部以下程度である。
【0084】低Tgビニルモノマー及び他のビニルモノ
マーは、慣用の重合方法、例えば塊状重合法により、硬
化遅延ポリマー(不飽和ポリエステル)を重合(グラフ
ト重合、架橋など)できる。例えば、重合(グラフト、
架橋など)させる所定量のビニルモノマーに、所定量の
不飽和ポリエステルを溶解し、重合開始剤(熱により重
合する場合は、過酸化物など;紫外線により重合する場
合は、光重合開始剤など)の存在下、重合する。なお、
硬化遅延ポリマー(不飽和ポリエステルなど)の重合
(グラフト重合、架橋)が進行するとともに、ポリマー
(A) は固化する。このため、通常、フラスコ中で重合反
応させるのでなく、上記混合液(必要に応じて、さらに
添加物を有していてもよい)を、最終の用途に適した基
体(フィルム、シートなど)に塗布又は含浸して、重合
(グラフト重合、架橋など)させる。
【0085】なお、硬化遅延ポリマーとの相溶性が良い
場合、ポリイソプレン、ブタジエンゴム、ブチルゴム、
ニトリルゴム、クロロプレンゴムなど二重結合を有し、
かつ−5℃以下の低Tgを有するポリマー(低Tgポリ
マー)を前記低Tgビニルモノマーに代えて又は前記低
Tgビニルモノマーと共に使用してもよい。低Tgポリ
マーを用いる場合、過酸化物(ラジカル発生剤)や硫黄
等により、低Tgポリマーと硬化遅延ポリマー(不飽和
ポリエステルなど)とをグラフト重合又は架橋すること
により、ポリマー(A) を構成できる。
【0086】低Tgポリマーの割合は、硬化遅延ポリマ
ー(不飽和ポリエステルなど)100重量部に対して、
例えば、0〜300重量部程度、好ましくは0〜200
重量部程度、さらに好ましくは0〜100重量部程度で
ある。
【0087】ポリマー(A) が不飽和ポリエステルの重合
体(架橋体、グラフト重合体など)の場合、親水性は、
例えば、以下の2種類の方法のいずれか一方(又は両
方)により付与できる。
【0088】第1の方法では、親水性基を有する不飽和
モノマーにより、不飽和ポリエステルを重合(グラフト
重合、架橋など)することにより、親水性基をポリマー
(A)のグラフト鎖又は架橋鎖に導入できる。
【0089】親水性基を有する不飽和モノマーとして
は、前記例示のモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸
などの不飽和カルボン酸とC2-4 アルキレングリコール
又はポリエチレングリコール(重合度2〜10程度、末
端が封止されていてもよい)とのエステル類、アリルア
ルコールなどの不飽和アルコールとC2-4 アルキレング
リコール又はポリエチレングリコール(重合度2〜10
程度、末端が封止されていてもよい)とのエーテル類、
その他の不飽和多価アルコール類などが挙げられる。
【0090】第2の方法では、ポリエステルを形成する
ジオール成分を、ポリオキシC2-4アルキレングリコー
ル(重合度2〜10程度)により構成することにより、
親水性基をポリエステルの主鎖に導入できる。この場
合、ポリオキシアルキレングリコールの重合度により、
ポリマー(A) の親水性を調整できる。また、重合度の異
なるポリオキシアルキレングリコールを組み合わせた
り、ポリオキシアルキレングリコールと他のジオール成
分とを組み合わせることにより、ポリマー(A) の親水性
を調整できる。
【0091】これら親水性を付与できるモノマーと、上
記粘着性を付与するモノマー(低Tgビニルモノマー)
とは、機能が一部共通していてもよい。ポリマー(A)
が、不飽和ポリエステル架橋体(グラフト重合体)であ
る場合、架橋反応(グラフト重合反応)に、不飽和結合
(重合性C−C二重結合など)の1分子当たりの平均の
数(不飽和結合数)が少ない不飽和ポリエステルを用い
ると、不飽和ポリエステル架橋体(グラフト重合体)
に、さらに高度な粘着性を付与できる(高粘着性不飽和
ポリエステル架橋体(グラフト重合体))。
【0092】不飽和ポリエステル1分子当たりの不飽和
結合数は、平均、8個以下(0.5〜8個程度)、好ま
しくは7個以下(0.5〜7個程度)、さらに好ましく
は6個以下(1〜6個程度)、特に5個以下(1〜5個
程度)程度である。なお、不飽和ポリエステルに対して
相溶性を有する飽和化合物(後述)を添加する場合、不
飽和結合数が5個以下(0.5〜5個程度)の不飽和ポ
リエステルを用いることにより、より高い粘着性を付与
できる。また。前記添加物(飽和化合物)を添加しなく
ても、不飽和結合数が3個以下(0.5 〜3個程度)の
不飽和ポリエステルを用いることにより、より高い粘着
性を付与できる。
【0093】なお、複数の不飽和ポリエステルを組み合
わせて使用する場合、不飽和結合数が8個を越える不飽
和ポリエステルと、不飽和結合数が少ない不飽和ポリエ
ステルと組合せて、不飽和ポリエステル組成物全体とし
ての平均不飽和結合数を8個以下にしてもよい。
【0094】なお、不飽和ポリエステルの不飽和結合
数、特に二重結合の数(二重結合数)は、例えば、不飽
和ジオールA(C−C二重結合1個)、飽和ジオール
B、不飽和ジカルボン酸C(C−C二重結合1個)及び
飽和ジカルボン酸Dにより不飽和ポリエステルを構成し
た場合、下記式により算出できる。
【0095】二重結合数(DB)=(不飽和ポリエステ
ル1分子中のエステル単位の数)×(ジオール成分中の
二重結合の比率又は割合+ジカルボン酸成分中の二重結
合の比率又は割合)=[Mn/(MA ×mA +MB ×m
B +MC ×mC +MD ×mD )]×[mA/(mA +m
B )+mD /(mC +mD )] (式中、Mnは、不飽和ポリエステルの数平均分子量を
示す。MA 、MB 、MC、又はMD は、それぞれ不飽和
ジオールA、飽和ジオールB、不飽和ジカルボン酸C、
又は飽和ジカルボン酸Dの分子量を示す。mA 又はmB
は、それぞれジオール成分中の不飽和ジオールA又は飽
和ジオールBの割合(モル比)を示し、m A +mB =1
である。mC 又はmD は、それぞれジカルボン酸成分中
の不飽和ジカルボン酸C又は飽和ジカルボン酸Dの割合
(モル比)を示し、mC +mD =1である。) 上記数平均分子量Mnは、ゲルパーミエイションクロマ
トグラフィーにより測定できる(スチレン換算)。ま
た、mA 、mB 、mC 及びmD は、不飽和ポリエステル
1H−NMRスペクトルを測定することにより算出で
きる。
【0096】なお、MA 〜MD は、厳密には、縮合に伴
って脱水が生じるため、ポリエステルの末端に位置する
か否かにより値が異なるが、簡便のため、上記式のMA
〜M D の値として、縮合前の各成分の分子量を用いてい
る。
【0097】また、ジオール成分、ジカルボン酸成分が
上記例と異なる場合(ジオール成分とジカルボン酸成分
が合計で5種類以上になる場合、不飽和ジオール成分又
は不飽和ジカルボン酸成分がC−C二重結合を2個以上
含有する場合など)は、上記式を適宜変形して使用する
ことにより、不飽和結合数(二重結合数)を算出でき
る。
【0098】上記不飽和ポリエステル1分子当たりの不
飽和結合数は、例えば、以下に示す方法により調整でき
る。すなわち、(1) 不飽和ポリエステルのカルボン酸成
分として、飽和ジカルボン酸と不飽和ジカルボン酸とを
組み合わせて使用し、その比率を調整する方法、(2) 不
飽和ポリエステルのジオール成分として、飽和ジオール
と不飽和ジオールを組み合わせて使用し、その比率を調
整する方法、(3) 使用する飽和ポリアルキレングリコー
ルの平均重合度を調整する方法、(4) 不飽和ポリエステ
ルの分子量を調整する方法、などが挙げられる。なお、
これらの方法は、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0099】高粘着性不飽和ポリエステル架橋体の不飽
和ポリステルを構成する不飽和ジカルボン酸成分として
は、前記ポリエステルを構成するジカルボン酸成分と同
様の成分が挙げられる。例えば、このようなジカルボン
酸成分のうち、不飽和ジカルボン酸成分としては、脂肪
族不飽和ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル
酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの脂肪
族不飽和C2-6 ジカルボン酸、又はそれらの無水物が挙
げられる。また、飽和ジカルボン酸成分としては脂肪族
飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸などの脂肪族飽和C2-6
ジカルボン酸が挙げられる。
【0100】また、前記不飽和ポリエステルを構成する
ジオール成分としては、前記ポリエステルを構成するジ
オールが挙げられる。例えば、このようなジオール成分
のうち、飽和ジオールとしては、脂肪族ジオール(グリ
コール)、例えば、C2-4 アルキレングリコール(エチ
レングリコール、プロビレングリコール、1 、3- ブタ
ンジオール、テトラメチレングリコール)、ポリオキシ
2-4 アルキレングリコール(ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなど)などが挙げられる。また、不飽和ジオー
ルとしては、前記グリコールの脱水素体、例えばエテン
ジオール、プロぺンジオール、ブテンジオール、ペンテ
ンジオール、ヘキセンジオールなどのアルケンジオール
又はそれらの縮合体が挙げられる。
【0101】不飽和ポリエステルの不飽和結合数の調整
をするのに好都合なモノマーの組み合わせとしては、不
飽和成分としての(無水)マレイン酸と、飽和成分とし
ての(無水)コハク酸と前記飽和ジオールとを選択して
組み合わせるのがよい。コハク酸(飽和ジカルボン酸)
とマレイン酸(不飽和ジカルボン酸)との比率は、上記
不飽和結合数の範囲(例えば、8個以下)に応じて調整
できるが、ポリマー(A) の硬化遅延性をより向上させる
ため、全ジカルボン酸成分のうち(無水)マレイン酸が
30モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ま
しくは50モル%以上、特に60モル%以上である方が
よい。
【0102】また、飽和ポリアルキレングリコールの平
均重合度により、不飽和結合数を調整する場合、通常、
種々の重合度のポリエチレングリコール類(ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、PEG100、
PEG200、PEG400など)を適宜組み合わせる
ことにより、不飽和結合数を調整できる。
【0103】一方、分子量により、不飽和結合数を調整
する場合、上記二重結合数(DB)の式により求められ
た分子量まで重合することにより、不飽和結合数を調整
できる。なお、後述する次工程(グラフト重合反応、架
橋反応)での取り扱い性(利便性)の向上のため、又は
コンクリート硬化遅延剤の性能向上のため、不飽和ポリ
エステルの数平均分子量は、前記主鎖に低Tg成分を有
する不飽和ポリエステルと異なり、通常、300〜5,
000程度、好ましくは400〜3,000程度、更に
好ましくは500〜2,000程度である。
【0104】尚、前記不飽和ポリエステルは、コンクリ
ート硬化遅延性能を付与するため、C2-6 ジカルボン酸
及び(ポリオキシ)C2-4 アルキレングリコールにより
構成されている。しかし、前記のように、ジカルボン酸
及び(ポリオキシ)アルキレングリコールは、他の多価
カルボン酸、他のポリオールなどと組み合わせて使用し
てもよい。例えば、他の多価カルボン酸にはフタル酸、
テレフタル酸、イソフタル酸などが含まれる。なお、前
記他の多価カルボン酸は不飽和結合を有するが架橋には
寄与しない為、上記不飽和結合数を調整するために使用
してもよい。
【0105】また、他のポリオールには、炭素数7以上
のジオールが含まれる。これら、他のポリオールも、上
記不飽和結合数を調整するために使用してもよい。これ
ら他の多価カルボン酸及び他のポリオールの合計の使用
量は、C2-6 ジカルボン酸及び(ポリオキシ)C2-4
カルボン酸の合計100重量部に対して、例えば、0〜
30重量部程度、好ましくは、0〜25重量部程度、さ
らに好ましくは0〜20重量部程度である。
【0106】[ポリマー(A) を主成分とするコンクリー
ト硬化遅延剤]本発明のコンクリート硬化遅延剤は上記
ポリマー(A) を主成分(例えば、50〜100重量%、
好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80
〜100重量%程度)として含む限り、他の添加剤との
組成物として使用してもよい。添加剤としては、次のよ
うな成分が例示できる。
【0107】1)粘着性付与剤 本発明のポリマー(A)は、それ自体粘着性を有している
ため、ポリマー(A) を含むコンクリート硬化遅延剤も、
既に粘着性を有している。しかし、このポリマー(A) に
更に粘着性付与剤を添加することにより、更に粘着性を
向上できる。
【0108】粘着性付与剤としては、ポリマー(A) と相
溶性を示す飽和化合物[反応性の炭素−炭素不飽和結合
(炭素−炭素二重結合など)を有しない化合物]が使用
でき、例えば、エステル類(酢酸エチルなどの酢酸エス
テル、前記飽和ポリエステルよりも数平均分子量の低い
飽和ポリエステル、例えば、数平均分子量200〜1,
000程度の低分子量の飽和ポリエステルなど)、トル
エンなどの芳香族炭化水素、ケトン類などの有機溶剤が
挙げられる。粘着性付与剤の使用量はポリマー(A) 10
0重量部に対して、例えば、0 〜50重量部程度、好ま
しくは1〜20重量部、更に好ましくは3〜10重量部
である。
【0109】2)その他添加剤 本発明のコンクリート硬化剤には、上記粘着性付与剤の
他、染顔料などの着色剤、各種安定剤、可塑剤、無機粉
体や有機粉体などの充填材、シート化を容易にするため
の加工性改善剤などを添加してもよい。なお、前記可塑
剤(特に飽和化合物)は、コンクリート硬化遅延剤の粘
着性を向上できる。
【0110】また、コンクリート硬化遅延剤は、例え
ば、ポリマー(A) がビニル系ポリマーである場合、ポリ
マー(A) と溶剤との組成物であってもよい。また、ポリ
マー(A) が不飽和ポリエステルの架橋体(グラフト重合
体)の場合、架橋前の混合物、例えば、不飽和ポリエス
テル(架橋体・グラフト重合体の主鎖を形成)を、低T
gモノマー(架橋体・グラフト重合体の架橋鎖、グラフ
ト鎖を形成)に溶解した溶液であってもよい。
【0111】このようなコンクリート硬化遅延剤は、粘
稠であってもよい液体、粉体であってもよい固体などで
あってもよい。このように、剤(コンクリート硬化遅延
剤及びその組成物など)は、適宜加工されて材(コンク
リート硬化遅延能を有する加工物)となるが、剤(コン
クリート硬化遅延剤)の性質上、シート化して用いる事
が最も好ましい。
【0112】[コンクリート硬化遅延シート]本発明の
粘着性を有するコンクリート硬化遅延剤の使用形態とし
ては、フィルム、テープ、シート等が好ましい。コンク
リート硬化遅延剤自体をフィルムあるいはシートとする
ことも可能であるが、加工上、合成樹脂による基材フィ
ルムあるいはシートに、粘着性コンクリート硬化遅延剤
を塗布するのがより簡便である。すなわち、コンクリー
ト硬化遅延剤で構成された層を、非粘着性シート上に形
成するのが好ましい。例えば、ポリマー(A) がビニル系
ポリマーである場合、溶液重合により製造されたビニル
系ポリマーのドープを、シートに塗布又は含浸させて、
必要に応じて加熱し、乾燥すればよい。また、ポリマー
(A) が不飽和ポリエステルの架橋体(グラフト重合体)
の場合、不飽和ポリエステルと、モノマーと、重合開始
剤との混合物を、シートに塗布又は含浸し、加熱又は紫
外線照射により、硬化(重合、架橋)させればよい。
【0113】また、コンクリート硬化遅延シートは、コ
ンクリート硬化遅延剤で構成された層を、二枚の非粘着
シートに挟むことにより形成してもよい。これらの構造
のコンクリート硬化遅延シートにおいて、少なくとも一
方の非粘着シートは離型性を有していてもよい。
【0114】また、当該コンクリート硬化遅延シート
は、基材フィルム又はシートの一方の面に、粘着性を有
する硬化遅延層を形成し、更に反対の面に他の粘着層を
形成してもよい。この場合、前記他の粘着層はコンクリ
ート硬化遅延能を有していてもよく、有していなくても
よく、また他の粘着層は接着剤層であってもよい。
【0115】さらに、当該粘着性コンクリート硬化遅延
シートは、粘着性を有するコンクリート硬化遅延剤の層
と、それ自体粘着性を有するフィルム又はシートとから
構成されていてもよい。
【0116】基材フィルム又はシートを構成するポリマ
ーは特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエ
ステル(特にポリアルキレンテレフタレート)、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合
体、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、
エチレン−ビニルアルコール共重合体などが例示され
る。これらのポリマーは一種または二種以上使用でき
る。
【0117】尚、基材フィルム又はシートとして、前記
硬化遅延能を有するポリマーで構成された硬化遅延フィ
ルムやシートまたは硬化遅延剤を含むフィルムやシート
を用いてもよい。
【0118】基材フィルム、シートとしては、例えば、
ポリエチレン製繊維などの繊維を織ったクロスの片面ま
たは両面に前記ポリエチレンなどのフィルム、シートを
積層した積層フィルムを用いてもよい。また、基材フィ
ルム、シートは手切れ性や寸法安定性が改善されたフィ
ルムであってもよい。
【0119】基材フィルム、シートは、単一のフィル
ム、シートでもよく、複数の層が積層された複合フィル
ム、シートであってもよい。また、基材フィルム、シー
トは、未延伸フィルム、シートであってもよく、一軸ま
たは二軸延伸フィルム、シートであってもよい。さら
に、延伸又は未延伸のヤーンにより形成される織布や不
織布などであってもよい。
【0120】これら基材フィルム、シートの表面は、硬
化遅延剤との密着性を高めるため、火炎処理、コロナ放
電処理、プラズマ処理などにより表面処理されてもよ
い。表面処理された基材フィルムや、シートの表面張力
は、約40mN/m以上である場合が多い。
【0121】粘着性を有する硬化遅延剤による硬化遅延
層は、基材フィルム、シートから剥離可能であってもよ
い。基材フィルム、シートから硬化遅延層が剥離可能で
ある場合には、硬化遅延層のうち所望する模様などのフ
ィルム、シートを型枠内に配設し(例えば、所望する模
様などに対応して、硬化遅延層、硬化遅延シート、硬化
遅延フィルムなどをカッティングし、不要な部分を剥離
除去した後、これを型枠内に敷設し)、無機硬化性組成
物(モルタル組成物など)を打設し、養生硬化したコン
クリート製品のうち、前記フィルム、シートとの接触面
を洗い出すことにより、コンクリート製品の表面のうち
非カッティング部に対応する部位に模様や骨材(装飾材
など)が露出した洗い出し面を形成できる。硬化遅延層
を剥離可能とするため、基材フィルムの表面は未処理で
あってもよく、例えば、ワックス、高級脂肪酸アミド、
シリコーンオイルなどの離型剤で処理してもよい。基材
フィルムや、シートの表面張力は、硬化遅延層の接着強
度と関連付けて、例えば38mN/m以下、好ましくは
20〜38mN/m、さらに好ましくは25〜36mN
/m程度である場合が多い。
【0122】[装飾材パック(キット)]上記コンック
リート硬化遅延シートの硬化遅延層面に、複数個の装飾
材(タイルなど)をその化粧面を接着面として貼付する
ことにより、装飾材パック(タイルパックなど)を得る
ことができる。
【0123】コンクリート硬化遅延能を有しない粘着剤
が塗付されたシートにタイルを貼付した従来のタイルパ
ックの場合は、通常タイルとタイルの間の目地部に、例
えば発泡樹脂シートのテープ等を敷設すると言う目地処
理が必要である。また、発泡シート等を用いて目地処理
を施す場合もある。しかし、本発明のコンクリート硬化
遅延シートを用いる場合、シート自らが十分なコンクリ
ート硬化遅延能を有するので、かかる目地処理をしなく
ても、次節で後述するタイル装飾されたコンクリート板
を作成するに際して、硬化遅延シートから数mmの深さ
で各タイル間のモルタルの硬化が阻害される。このた
め、本発明の硬化遅延シートを用いて装飾材パック(タ
イルパックなど)を作製する場合、発泡シートなどによ
る目地処理作業を排除することができる場合が多い。
【0124】なお、タイルに代えて又はタイルと組み合
わせて、タイル以外の装飾材をコンクリート硬化遅延シ
ートに貼付して装飾材パックを形成してもよい。装飾材
としては、例えば、金属板(片)、ガラス板(片、粒状
物)、木片、自然石(板、片)、樹脂板(シート、粒状
物、積層板)、セラミックスなどが例示できる。装飾材
は、規則的又はランダムに遅延層に貼付できる。
【0125】なお、本発明の装飾材パックは、各タイル
の間に発泡樹脂シート製のテープやネット等を充填(目
地処理)する必要はないが、必要に応じて、目地処理し
てもよい。 [ 装飾材パックを利用したコンクリート板の製造方法]
前記装飾材パック(タイルパックなど)は、コンクリー
ト製品(装飾コンクリート製品)、特にプレキャストコ
ンクリート板の製造に利用できる。例えば、装飾材パッ
ク(タイルパックなど)を、その装飾材側(タイル側)
を内向き又は上向きにして、型枠内に設置し、必要に応
じて鉄筋を配設し、コンクリートを打設し、養生、硬化
させる。その後、コンクリート硬化体(コンクリート
板)を型枠より脱型し、装飾材(タイル)表面のコンク
リート硬化遅延シートを剥離除去し、装飾材(タイル)
表面に残留している未硬化状態のモルタル成分を、必要
に応じて高圧水やブラシを利用して洗い流すことにより
コンクリート(板)[装飾コンクリート(板)]、特に
プレキャストコンクリート(PC)板を製造できる。こ
のように、本発明の装飾材パック(タイルパック)は、
発泡シートなどにより目地処理をしなくても、タイル表
面に残留するモルタル成分と共に、目地部のモルタルも
一緒に除去する(洗い流す)ことができる。このため、
簡便かつ高い精度で目地部を形成できる。
【0126】本発明を利用することにより、高い粘着性
と高い硬化遅延性を兼ね備える硬化遅延剤、硬化遅延性
フィルム、シート及びテープ、装飾材パックを得ること
ができる。また、前記装飾材パックを用いると、装飾コ
ンクリートの表面処理を簡便に行うことができる。
【0127】
【発明の効果】本発明のコンクリート硬化遅延剤は、そ
のもの自身が粘着性と硬化遅延効果の両方の性能を有す
るため、高い粘着性と高い硬化遅延能を両立できる。特
に、粘着性と硬化遅延性を高いレベルで備えているた
め、このコンクリート硬化遅延剤によりシートを形成す
ると、目地部を精度よく形成できる。また、シートは粘
着性を有してるため、容易に種々の装飾材を貼り付ける
ことができ、容易に装飾材パックを形成できる。さらに
は、前記シートを用いたタイルパックにより、コンクリ
ート製品を装飾すると、装飾材表面に残留するコンクリ
ートの除去作業を飛躍的に合理化できる。
【0128】
【実施例】以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明
を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何
ら限定されるものではない。
【0129】実施例1 無水マレイン酸とプロピレングリコールを縮重合させて
得た不飽和ポリエステル(ポリスチレン換算数平均分子
量800 )とヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルア
セテート、2−エチルヘキシルアクリレートを重量比で
10:6:3:3の比率で混合し、その混合物22gに
対して、さらに過酸化物(日本油脂製,パーブチルO )
0.483g、ナフテン酸コバルト0.0479gを加
え、表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム
(厚さ38μm)に塗布(塗布層の厚さ約80μm)
し、電気炉内で120 ℃で10分間加熱、架橋(グラフト)
硬化させた。−5℃以下の低Tg成分はこの場合2−エ
チルヘキシルアクリレートであり、硬化遅延剤全体の1
3.6重量%、得られたフィルムの塗布面側の表面張力
は42.1mN/mであった。
【0130】実施例2 無水マレイン酸と無水コハク酸(モル比で1 :1 )とプ
ロピレングリコールを縮重合させて得た不飽和ポリエス
テル(ポリスチレン換算数平均分子量1500)とヒドロキ
シエチルメタクリレート、2 −エチルヘキシルアクリレ
ートを重量比で7:3:7の比率で混合し、この混合物
17gに対して、さらに過酸化物(日本油脂製,パーブ
チルO )0.370g、ナフテン酸コバルト0.035
4gを加え、表面処理したポリエチレンテレフタレート
フィルム(厚さ38μm)に塗布(塗布層の厚さ約80
μm)し、電気炉内で120 ℃で10分間加熱、架橋(グラ
フト)硬化させた。−5℃以下の低Tg成分は2−エチ
ルヘキシルアクリレートであり、硬化遅延剤全体の4
1.2重量%、得られたフィルムの塗布面側の表面張力
は32.1mN/mであった。
【0131】実施例3 無水マレイン酸とポリエチレングリコール(分子量20
0)を縮重合させて得た不飽和ポリエステル(ポリスチ
レン換算数平均分子量2,500)とヒドロキシエチル
メタクリレート、2 −エチルヘキシルアクリレートを重
量比で7:3:7の比率で混合し、この混合物17gに
対して、さらに光重合開始剤(チバガイギー製,イルガ
キュア651 )0.347gを加え、表面処理したポリエ
チレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)に塗布
(塗布層の厚さ約80μm)し、紫外線の照射により架
橋(グラフト)硬化させた。−5℃以下の低Tg成分は
この場合2−エチルヘキシルアクリレートおよびポリエ
チレングリコールであり、硬化遅延剤全体の53.5重
量%、得られたフィルムの塗布面側の表面張力は29.
3mN/mであった。
【0132】実施例4 メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、2 −エチルヘキシルアクリレート、アクリ
ル酸を重量比で10:10:20:30:30の比率で、アゾビス
イソブチロニトリルにより共重合させた。なお、重合時
には酢酸エチルを溶剤として使用した。溶剤の使用量
は、前記モノマー混合物100重量部に対して、100
重量部であった。得られたポリマーのポリスチレン換算
数平均分子量は、30,000であった。前記ポリマー
の溶液を、表面処理したポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(厚さ38μm)に塗布(乾燥後の塗布層の厚さ
約80μm)し、電気炉内で120℃で10分間乾燥し
た。−5℃以下の低Tg成分は2−エチルヘキシルアク
リレートおよびエチルアクリレートであり、硬化遅延剤
全体の60重量%、得られたフィルムの塗布面側の表面
張力は30.3mN/mであった。
【0133】比較例1 無水マレイン酸とプロピレングリコールを縮重合させて
得た不飽和ポリエステル(ポリスチレン換算数平均分子
量800)とヒドロキシエチルメタクリレート、ビニル
アセテート、2 −エチルヘキシルアクリレートを重量比
で10:6:6 :1 の比率で混合し、この混合物23gに
対して、さらに過酸化物(日本油脂製パーブチルO )
0.477g、ナフテン酸コバルト0.0501gを加
え、表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム
(厚さ38μm)に塗布(塗布層の厚さ約80μm)
し、電気炉内で120 ℃で10分間加熱、架橋(グラフト)
硬化させた。−5℃以下の低Tg成分はこの場合2−エ
チルヘキシルアクリレートであり、硬化遅延剤全体の
4.3重量%、得られたフィルムの塗布面側の表面張力
は50.3mN/mであった。
【0134】比較例2 メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、アクリル酸を重量比で30:17:28:25の比
率で、アゾビスイソブチロニトリルにより共重合させ
た。尚、重合時には酢酸エチルを溶剤として使用した。
溶剤の量は、前記モノマー混合物100重量部に対し
て、100重量部であった。得られたポリマーのポリス
チレン換算数平均分子量は30,000であった。前記
ポリマー溶液を、表面処理したポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(厚さ38μm)に塗布(乾燥後の塗布層
の厚さ約80μm)し、電気炉内で120℃で10分間
乾燥した。−5 ℃以下の低Tg成分はこの場合エチルア
クリレートであり、硬化遅延剤全体の28重量%、得ら
れたフィルムの塗布面側の表面張力は48mN/mであ
った。
【0135】比較例3 アクリルエマルジョン粘着剤(積水化学社製、エスダイ
ン#7110)100 重量部に対して、硬化遅延剤(山宗化学
社製,ジョイノンII型)を25重量部配合し、表面処理し
たポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μ
m)に塗布(乾燥後の塗布層の厚さ約80μm)し、電
気炉内で120℃で10分間乾燥した。
【0136】尚、実施例1〜4及び比較例1〜3におい
て、分子量はテトラヒドロフランを溶離液として室温に
て、ポリスチレン標準サンプルによる検量線を用いてゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定し
た。また、表面張力は、協和界面科学( 株) 製のFACE自
動接触角計CA−Z 型により、各フィルム塗布面の、純水
(H2 O)と沃化メチレン(CH2 2 )に対する接触
角をn=5で測定し、これらの値の平均値をもとにFork
esの式から算出した。
【0137】実施例1〜4及び比較例1〜3により得ら
れたコンクリート硬化遅延シートは、下記の試験により
評価した。 (1) 粘着性 (1) −1:上記方法で得られた15cm角の各種遅延フィル
ムに、重さ約130 g、接着面の面積が60mm×107mm の陶
器製のタイルを、約30kgの荷重で10秒間圧着した後、そ
のフィルムの一片を手で持ち、素早く5回上下振動さ
せ、下記の基準で評価した。
【0138】 A:5回の振動でもタイルが剥がれなかった B:4回目で剥がれた C:3回目で剥がれた D:2回目で剥がれた E:1回目で剥がれた F:持ち上げた時点で剥がれた (2) 硬化遅延性 (2) −1 :上記方法で得られた10cm×7cm 角の各種遅延
フィルムを、塗布面が上になるようにポリエチレン製の
型枠(バット、深さ3cm)の底面(15cm×20cm)に
両面テープにより貼り付け、その上から未硬化のコンク
リート[モルタル(ポルトランドセメント:標準砂(J
IS R5201):イオン交換水=2.0kg:4.
0kg:800g=100:200:40(重量比))
を容量10Lのオムニミキサー(CHIYODA TECHNICAL IN
DUSTRIAL Co. LTD. OM-10E) を用いて3分間混練したも
の]を、バイブレーターを利用して厚さ20±1mmまで
流し込み、所定の振動を与えた後、バットに内容物の乾
燥を防ぐためのラップをかけ、気温23℃、湿度50%
の空調室に24時間放置し、硬化させた後、型枠及び硬
化遅延シートを除去した。モルタルの硬化遅延シートと
の当接面を、水により洗い出し[歯ブラシ(花王(株)
製、クリアクリーンデンタルブラシ かため)の柄の握
り部を正確に握り、50cmの高さから自然落下する流水
の下で、前記歯ブラシにより10分間手作業で洗い出
し]た。洗い出し面を乾燥した後、その遅延深度を測定
した。すなわち、モルタルの硬化遅延シートとの非接触
部(モルタルの周辺部、洗い出されない部分)の高さを
基準として、この面に対する洗い出し面の底までの深さ
を、レーザー変位系(キーエンス製 LB−080)に
より測定した。前記測定は、洗い出し面に均等に分布す
るように抽出された10点について行った。前記10点
の深さの平均値から、硬化遅延シートの厚さを減じた値
を、洗い出し面の深さ(硬化遅延深度)として算出し
た。硬化遅延深度は、下記の基準で評価した。
【0139】なお、前記硬化遅延性(硬化遅延深度)の
測定において、使用した材料の温度は20±1℃に調整
されていた。また、作業は、モルタルの硬化中を除き、
全て20±1℃の温度下で行った。
【0140】 A:深度3mm以上 B:深度2〜3mm C:深度1〜2mm D:深度0〜1mm (2) −2 :上記方法で得られた15cm角の各種遅延フィル
ムに、重さ約130 g、接着面の面積が60mm×107mm の陶
器製のタイル2枚を、その間隔が7mmとなるように配
列し、約30kgの荷重で10秒間圧着した後、タイルが上に
なるように型枠の底面に両面テープにより貼り付け、そ
の上から未硬化のコンクリート、すなわちモルタル(ポ
ルトランドセメント:砂:水=100:200:40
(重量比))を流し込み、所定の振動を与えた後、気温
23℃、湿度50%の空調室に24時間放置し、脱型し
た。フィルムを剥がした後のタイル表面を水で洗い流
し、その表面の状態を目視で観察し、下記の基準で評価
した。
【0141】 A:モルタル(コンクリート)のタイル表面での残留
(付着)が全くなく、目地部も2mm以上均一に形成さ
れていた(掘れていた) B:モルタル(コンクリート)のタイル表面での残留
(付着)が若干見られ、目地部の深さ(掘れかた)も浅
く、2mm以下であった C:モルタル(コンクリート)がタイル表面に一部残留
(付着)し、ヘラ又はブラシで削っても(擦っても)と
れなかった。目地部のモルタルも殆ど掘れなかった。
【0142】表1に評価結果を示す。
【0143】
【表1】
【0144】実施例5〜13および比較例4〜10 実施例5〜13及び比較例4〜10では、下記の不飽和
ポリエステル、ビニル化合物を用いた。
【0145】[不飽和ポリエステルA]表2に示す割合
(モル比)でジカルボン酸成分及びジオール成分を用い
不飽和ポリエステルを調製した。
【0146】
【表2】
【0147】表中、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエ
イションクロマトグラフィー(スチレン換算)により測
定した。 [ビニル化合物] (低TgビニルモノマーB) B−1:アクリル酸n−ブチル(n−BA) B−2:アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA) (他のビニルモノマーC) C−1:メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA) [粘着性付与剤D] D−1:酢酸エチル(EtAc) D−2:低分子量飽和ポリエステル(PE)(無水コハ
ク酸とプロピレングリコールとから得られるポリスチレ
ン換算数平均分子量500のポリエステル) [コンクリート硬化遅延シートの製造]不飽和ポリエス
テルA、低TgビニルモノマーB、他のビニルモノマー
C及び粘着性付与剤Dを表3〜4の割合で混合し、その
混合物に、さらに過酸化物(日本油脂製、パーブチル
O)、ナフテン酸コバルトを加え、表面処理したポリエ
チレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)に塗布
(塗布層の厚さ80μm)し、電気炉内で120℃で1
0分間加熱、架橋(グラフト)硬化させた。
【0148】得られたコンクリート硬化遅延シートは、
下記の試験により評価した。 (1) 粘着性 (1) −2:上記方法で得られた10cm×10cmの各種遅
延フィルムに、重さ約29g、接着面の面積が45mm×45mm
の陶器製のタイルを2枚、約30kgの荷重で10秒間圧着し
た後、そのフィルムの長辺上部を手で持ち、素早く10
回上下振動させ、下記の基準で評価した。
【0149】 A:10回の振動でタイルが剥がれなかった B:1〜9回の振動でタイルが剥がれた C:持ち上げた時点で剥がれた D:全く粘着しなかった (2) 硬化遅延性 (2) −3:上記方法で得られた10cm×7cm 角の各種遅延
フィルムを、塗布面が上になるように型枠の底面に両面
テープにより貼り付け、その上から未硬化のコンクリー
トを流し込み、所定の振動を与えた後、気温23℃、湿
度50%の空調室に24時間放置し、硬化させた後、型
枠から外し、水により洗い出しを行い、その遅延深度を
計測し、その深さにより下記の基準で評価した。
【0150】 A:深度2mm以上 B:深度1〜2mm C:深度0.1〜1mm D:深度0〜0.1mm 結果を表3〜5に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
【表4】
【0153】
【表5】
【0154】表から明らかなように、実施例の硬化遅延
シート(硬化遅延剤)は、高い粘着性及び高いコンクリ
ート硬化遅延性を示す。 実施例14 大きさ700mm×700mmの実施例9で用いた不飽
和ポリエステル系コンクリート硬化遅延シートを用意
し、このシートに大きさ107mm×60mm、重さ1
30gのタイルを、化粧面を接着面として、その長辺方
向に6列、その短辺方向に10列、合計で60枚を、タ
イル間隔7mmで配列貼付し、これをタイルパックとし
た。タイルパックを内寸700mm×700mm×10
0mmの型枠底面にタイル面を上にして敷設し、ポルト
ランドセメント100重量部、砂200重量部、水40
重量部からなるモルタルを層厚50mmとなる様に充填
した。室温で48時間放置しモルタル硬化させた。モル
タル硬化後、脱型し、タイル面より硬化遅延シートを剥
離除去し、タイル表面をタワシを用いて水洗し、タイル
表面と目地部の未硬化のモルタルを洗い流した。タイル
表面には全くモルタルが残留せず、タイル間の目地部は
深さ3mm程度に、ほぼ均一に掘れた。
【0155】前記工程の内、最終のタイル表面と目地部
の洗浄に要した作業時間は、一人作業で7分であった。 比較例11 タイルパック作成に当たり、実施例9の不飽和ポリエス
テル系コンクリート硬化遅延シートを、比較例3で用い
た積水化学社製、エスダイン#7110を塗布したコン
クリート硬化遅延シートに代えて、タイル間に目地用充
填材を充填する以外は総て実施例14と同様にして、6
0枚のタイルで装飾されたコンクリート板を作成した。
尚、タイルパック作成に当たって、タイル間の目地部に
充填した目地材料は厚味3mmの発泡ポリエチレンシー
トを、幅7.5mmにカットしたテープであり、タイル
の長辺方向に使用するものは700mmの長さに、タイ
ルの短辺方向に使用するものは60mmの長さににカッ
トしてあった。該テープのタイル間への充填(粘着シー
トに貼付けながら充填する)は総て一人の手作業で行っ
た。この作業に要した時間は13分であった。
【0156】モルタルの硬化後、該粘着シート及び目地
部の充填材を剥離除去し、タイル表面及び側面(タイル
と発泡テープ間)に残留硬化したモルタルをタワシを用
いて洗い流そうとしたが、全く取れなかった。これを、
一人作業でワイヤーブラシ、ヘラ、を使用して取り除い
たところ30分以上を要した。また、比較例11により
得られたタイル表面は、実施例14のタイル表面に比
べ、美観が著しく低下していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08G 63/52 C08G 63/52 C08L 33/00 C08L 33/00 C04B 103:24

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未硬化のコンクリートとの接触によりコ
    ンクリートの硬化を遅延させる能力を有するポリマー
    (A) を主成分とするコンクリート硬化遅延剤であって、
    前記ポリマー(A) が、ガラス転移温度(Tg)−5℃以
    下の低Tg成分を構造単位として有しており、表面張力
    が45mN/m以下であるコンクリート硬化遅延剤。
  2. 【請求項2】 ガラス転移温度(Tg)−5℃以下の低
    Tg成分を、ポリマー(A) 全体の10重量%以上含む請
    求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  3. 【請求項3】 ポリマー(A) が、金属イオンに対して塩
    を形成し得る官能基を有する請求項1記載のコンクリー
    ト硬化遅延剤。
  4. 【請求項4】 官能基が、遊離の酸基、又は酸基を加水
    分解により生成可能な基である請求項3記載のコンクリ
    ート硬化遅延剤。
  5. 【請求項5】 酸基が、金属イオンに対してキレート構
    造を形成し得る位置にある請求項4記載のコンクリート
    硬化遅延剤。
  6. 【請求項6】 酸基がカルボキシル基である請求項4又
    は5記載のコンクリート硬化遅延剤。
  7. 【請求項7】 ポリマー(A) が、酸基以外の親水性基を
    有する請求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  8. 【請求項8】 親水性基が水酸基である請求項7記載の
    コンクリート硬化遅延剤。
  9. 【請求項9】 ポリマー(A) が、ガラス転移温度(T
    g)−5℃以下の低Tg成分を主鎖及び側鎖の少なくと
    もいずれか一方に有する請求項1記載のコンクリート硬
    化遅延剤。
  10. 【請求項10】 ポリマー(A) が、(メタ)アクリル
    酸、マレイン酸、これらのエステル、及びこれらの酸無
    水物から選択された少なくとも一種との共重合体である
    請求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  11. 【請求項11】 ポリマー(A) がビニル系ポリマーであ
    る請求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  12. 【請求項12】 ポリマー(A) がポリエステルである請
    求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  13. 【請求項13】 ポリマー(A) が飽和ポリエステルであ
    る請求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  14. 【請求項14】 ポリマー(A) が不飽和ポリエステルで
    ある請求項1記載のコンクリート硬化遅延剤。
  15. 【請求項15】 ポリマー(A) が、不飽和ポリエステル
    の架橋体又はグラフト重合体である請求項1記載のコン
    クリート硬化遅延剤。
  16. 【請求項16】 ポリマー (A) が、不飽和ポリエステ
    ルとビニル化合物により構成されている請求項15記載
    のコンクリート硬化遅延剤。
  17. 【請求項17】 不飽和ポリエステルの不飽和結合の数
    が、1分子当たり平均8個以下である請求項15又は1
    6記載のコンクリート硬化遅延剤。
  18. 【請求項18】 不飽和ポリエステルを構成するジカル
    ボン酸成分のうち、不飽和ジカルボン酸成分の割合が3
    0モル%以上である請求項14、15又は16記載のコ
    ンクリート硬化遅延剤。
  19. 【請求項19】 ビニル化合物が、そのホモポリマーの
    ガラス転移温度(Tg)が−5℃以下の低Tgビニルモ
    ノマーにより構成されている請求項15又は16記載の
    コンクリート硬化遅延剤。
  20. 【請求項20】 低Tgビニルモノマーを、ポリマー
    (A) 全体の10重量%以上含む請求項19記載のコンク
    リート硬化遅延剤。
  21. 【請求項21】 低Tgビニルモノマーが、アクリル酸
    2-12アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシC2-6
    アルキルエステル、及びメタクリル酸C6-14アルキルエ
    ステルから選ばれた少なくとも一種である請求項19記
    載のコンクリート硬化遅延剤。
  22. 【請求項22】 ビニル化合物が、さらに、(メタ)ア
    クリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸C1-5 アル
    キルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
    ル、無水マレイン酸、マレイン酸又はそのエステル、フ
    マル酸、フマル酸又はそのエステル、ビニルエステル、
    ビニルエーテル、アリルエステル、アリルエーテル、及
    び芳香族ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種のビ
    ニルモノマーを含有する請求項19記載のコンクリート
    硬化遅延剤。
  23. 【請求項23】 マレイン酸又は無水マレイン酸をジカ
    ルボン酸成分とする不飽和ポリエステルと、ホモポリマ
    ーのガラス転移温度(Tg)が−5℃以下のビニル化合
    物との架橋又はグラフト重合体を主成分とするコンクリ
    ート硬化遅延剤であって、前記不飽和ポリエステルの1
    分子あたりの二重結合数が平均0.5〜7個である請求
    項15又は16記載のコンクリート硬化遅延剤。
  24. 【請求項24】 さらに不飽和ポリエステルに対して相
    溶性の飽和化合物を含有する請求項15、16又は23
    記載のコンクリート硬化遅延剤。
  25. 【請求項25】 飽和化合物が、エステル類、芳香族炭
    化水素類及びケトン類から選ばれた少なくとも一種であ
    る請求項24記載のコンクリート硬化遅延剤。
  26. 【請求項26】 請求項1記載のコンクリート硬化遅延
    剤で構成された層が、非粘着性シート上に形成されてい
    るコンクリート硬化遅延シート。
  27. 【請求項27】 請求項1記載のコンクリート硬化遅延
    剤で構成された層が、二枚の非粘着性シートに挟まれて
    いるコンクリート硬化遅延シート。
  28. 【請求項28】 少なくとも一方の非粘着シートが離型
    性を有する請求項26又は27記載のコンクリート硬化
    遅延シート。
  29. 【請求項29】 請求項26記載のコンクリート硬化遅
    延シートのうちコンクリート硬化遅延剤で構成された層
    の表面に装飾材が貼付されている装飾材パック。
  30. 【請求項30】 装飾材がタイル類である請求項29記
    載の装飾材パック。
  31. 【請求項31】 請求項29又は30記載の装飾材パッ
    クを、装飾材面を内側にして配設した型枠に、コンクリ
    ートを打設し、硬化させた後、コンクリート硬化体を脱
    型し、コンクリート硬化遅延シートを除去し、コンクリ
    ート硬化体の装飾材面に付着するモルタル成分を除去す
    る装飾コンクリートの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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