JPH09199078A - 原子質量測定装置 - Google Patents

原子質量測定装置

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JPH09199078A
JPH09199078A JP8003273A JP327396A JPH09199078A JP H09199078 A JPH09199078 A JP H09199078A JP 8003273 A JP8003273 A JP 8003273A JP 327396 A JP327396 A JP 327396A JP H09199078 A JPH09199078 A JP H09199078A
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JP
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ions
sample
atomic mass
auxiliary
ion
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JP8003273A
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Naoyuki Sano
直幸 佐野
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定対象の原子イオンを正確に検出部に到達
させ得る原子質量測定装置。 【解決手段】 APFIM装置1の真空層2内にプロー
ブホールを有する補助イオン検出部7を備える。補助イ
オン検出部7のプローブホールの周りに衝突したイオン
の原子質量を補助原子質量測定部16にて測定する。プロ
ーブホールを通過したイオンの原子質量をイオン検出部
5にて測定する。補助イオン検出部7のプローブホール
の周りに衝突したイオンが全て測定対象の原子である場
合に、プローブホールを通過してイオン検出部5に到達
したイオンは必ず測定対象の原子イオンである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子をイオン化せ
しめ、その飛行時間に基づいて原子質量を測定する原子
質量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】APFIM(Atom-Probe Field Ion Mic
roscope )装置は、実空間において個々の原子を観察で
きる電界イオン顕微鏡(以下FIMという)を原子質量
分析器に備えた装置である。APFIM装置では、高電
圧パルスを針状試料に印加して試料表面の原子を電界蒸
発によりイオン化する。イオンは正のイオンとなって真
空中へ放出され、イオン検出部までの飛行時間に基づい
て原子質量が測定される。
【0003】APFIM装置の空間分解能は試料の深さ
方向は一原子層であり、面内方向は1nm〜数nmに達す
る。また、電界蒸発により、試料の表面原子をはぎ取り
ながら分析を行うので、バルク内部の極微細領域の分析
が可能である。このような特徴を生かしてAPFIM装
置は、合金中の微細析出物、濃度ゆらぎ及び各種の偏析
現象の解析に利用されている。
【0004】図8は、従来のAPFIM装置の構成を示
す模式図である。図中、21はAPFIM装置21であり、
軸長方向を略水平にして配された円筒形の真空槽22と、
これに連なる飛行管24と、飛行管24を介して真空槽22と
連通する円筒形状のイオン検出室23とを備えている。真
空槽22の上部にはガス導入系29が設けられ、底部には真
空排気系30が設けられている。これにより、FIM像の
形成に用いる結像ガスの雰囲気及び槽内真空度が調整可
能となる。また、真空槽22の側面には真空槽22内に配さ
れる観察鏡28に写るFIM像を観察するためのビューポ
ート(図示せず)が設けられている。
【0005】真空槽22内には針状の試料Sが長手方向を
軸長方向に合わせて配置されるようになっている。試料
Sと飛行管24との間には、後述するFIM像を観察する
ためのチャンネルプレートスクリーン(以下スクリーン
26という)及び観察鏡28が試料S側から配されている。
スクリーン26は二次電子倍増管を束ねた円板形状のシン
グルチャンネルプレート261 とこれの飛行管24側に貼付
された略同形の蛍光板262 とを備えており、夫々の略中
央にはプローブホール26a,26a が同軸状に設けられてい
る。このようなスクリーン26はその面を鉛直にして配さ
れ、上端部がスクリーン駆動部32に連結されている。ス
クリーン駆動部32により、スクリーン26は面を鉛直にし
た状態で移動可能に構成されている。観察鏡28は矩形平
板状を有しており、面方向を鉛直方向にして配されてい
る。観察鏡28の側端側の上部は観察鏡駆動部33に連結さ
れ、観察鏡駆動部33の動作に応じて前記側端を中心に回
動可能に構成されている。
【0006】イオン検出室23の内部にはイオンの原子質
量を測定するためのイオン検出部25が配されている。イ
オン検出部25は二次電子倍増管を束ねた円板形状のシェ
ブロン型チャンネルプレートであり、シェブロン型チャ
ンネルプレートは荷電粒子を電流出力する電極の機能も
有している。イオン検出部25は原子質量測定部34に接続
されており、イオン検出部25で増幅された荷電粒子が電
流出力され、これに相当する信号が原子質量測定部34へ
入力される。原子質量測定部34では、信号入力、イオン
の飛行距離及び飛行時間に基づいて原子の質量が測定さ
れる。
【0007】以上の如き構成のAPFIM装置を用い
て、試料Sの原子質量を測定する場合について以下に説
明する。まず、試料Sを真空槽22内に装入し、プローブ
ホール26a が試料Sに対面する位置までスクリーン26を
回動せしめ、観察鏡28に写る蛍光板262 が前記ビューポ
ートから観察可能な位置まで観察鏡28を回動せしめる。
このとき、観察鏡28は試料Sとプローブホール26a とを
結ぶ飛行経路中心線を遮らない位置に固定される。
【0008】次に、真空槽22内を超高真空に排気した
後、He又はNeをガス導入系29から導入する。試料Sに高
電圧を印加すると、試料先端の表面には高い電圧が発生
し、表面付近のHe原子又はNe原子がイオン化される。こ
のように電界イオン化されたHe原子又はNe原子のような
結像ガスは、試料Sから遠ざかるように加速される。
【0009】シングルチャンネルプレート261 に衝突し
た結像ガスは蛍光板262 を光らせてFIM像を形成す
る。FIM像は明暗のコントラストにより形成されてお
り、このコントラストは結像ガスのイオン化状態の変化
に応じて形成される。そして結像ガスのイオン化状態の
変化は、試料表面の原子配列に応じた局所的な電界の変
化に依存している。即ち、FIM像の輝点の配列は試料
S表面での原子配列の状態を投影するものであり、FI
M像を観察することにより試料Sの原子配列を推測する
ことができる。
【0010】He又はNeが電界イオン化されると同時に、
試料Sの表面原子は電界蒸発し、正のイオンとなって加
速飛行する。シングルチャンネルプレート261 に向かう
イオンのうち、スクリーン26のプローブホール26a を通
過したイオンが飛行管24を通ってイオン検出室23内のイ
オン検出部25に到達する。シェブロン型チャンネルプレ
ートによりイオンの到達が検出され、飛行距離及び飛行
時間が測定されて原子質量が求められる。
【0011】このとき、結像ガスをイオン化させるため
の電界と、試料表面原子を電界蒸発させるための電界と
では前者の方が小さく、印加する電界の大きさを調整す
ることにより、電界蒸発させずにFIM像だけを観察す
ることが可能である。従って、FIM像により試料S表
面の原子配列を観察した後、例えば試料Sに存在する析
出物の位置をFIM像の明暗コントラストで確認して、
析出物の原子がプローブホール26a を通過する目的で試
料Sとプローブホール26a との位置関係を調整した後、
試料表面を電界蒸発させて析出物の原子の質量を測定
し、析出物を同定することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上の如き構成のAP
FIM装置を用いて試料Sの表面原子の質量を測定する
場合に、試料S表面で電界蒸発したすべての原子のイオ
ンがイオン検出部に到達するのではなく、プローブホー
ル26a に通過したイオンのみが到達する。即ち、プロー
ブホール26a によって試料Sの分析領域を限定してい
る。試料S表面のどの原子がプローブホール26a を通過
するかの判断は、原子質量測定における最も重要な課題
であり、これは試料Sのプローブホール26a に対する見
込み角及びイオンの飛行軌道によって定められる。見込
み角は、試料S先端の曲率半径、プローブホール26a の
直径、及び試料S先端とプローブホール26a との距離に
依存しており、これらは試料Sに応じて所定の条件に設
定される。イオンの飛行軌道はFIM像を観察すること
により予測する。FIM像のコントラストを観察するこ
とにより試料S表面の原子配列の状態を推測し、プロー
ブホール26a を通過した原子を推定する。
【0013】しかしながら、FIM像は表面原子のイオ
ンによって形成されたものではなく、電界イオン化され
た表面原子付近のHe原子又はNe原子のような結像ガスに
より形成されたものである。このために、FIM像の観
察による、プローブホール26a を通過した原子の推定は
必ずしも正確であるとは限らない。合金試料に析出物が
存在する場合は、析出物は合金母相とは組成が大きく異
なるために電界蒸発の際のイオンの挙動が母相とは異な
る。即ち、母相と比較して電界蒸発し難かったり又はし
易かったりする。前者の場合には析出物が試料表面で局
所的に突出した状態で残り、後者の場合には局所的に凹
んだ状態で残る。電界蒸発したイオンの軌道は、電界蒸
発した原子表面の形状(局所的な曲率半径)に依存する
ので、析出物のイオンの軌道は母相のイオンの軌道とは
大きく異なることが予想される。即ち、析出物のイオン
の軌道と析出物付近の結像ガスの軌道とが大きくずれ、
FIM像が正しく投影されていない可能性がある。
【0014】例えば、スクリーン26に衝突した結像ガス
に対応する試料Sの原子のイオンがプローブホール26a
を通過したり、プローブホール26a を通過した結像ガス
に対応する試料Sの原子のイオンがスクリーン26に衝突
したりする虞がある。この場合には、原子質量が正確に
測定されないという問題があった。
【0015】このような問題を解決するために、‘K.Ho
no,T.Hashizume and T.Sakurai, Surf.Sci.,266(1992)
506-512 ’には、スクリーンの後方にもう一つのチャン
ネルプレートを配設し、プローブホールを通過したイオ
ンのFIM像を再度観察できる構成の装置が提案されて
いる。しかしながら、FIM像を形成しているのは結像
ガスであるために、飛行経路間にて何度FIM像を確認
しても、結像ガスと表面原子との飛行経路のずれに基づ
く上述したような問題点を解決することはできない。ま
た、イオン検出部にて再度FIM像を観察するよう構成
した装置が‘U.Rolander and H.O.Andren, Appl.Surf.S
ci.,76/77(1994) 392-402 ’にて提案されているが、こ
れについても同様である。
【0016】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、プローブホールの周りにて衝突した試料原子
の質量を測定することにより、プローブホールを通過す
るイオンを試料表面上で正確に投影し、原子質量の測定
精度を向上せしめる原子質量測定装置を提供することを
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る原子質量
測定装置は、試料の表面から放出された原子のイオンが
イオン検出部にて検出されるまでの飛行時間に基づいて
前記原子の質量を求める原子質量測定装置において、通
過した原子のイオンが前記イオン検出部へ到達するプロ
ーブホールを有し、該プローブホールの周りにて衝突し
たイオンの原子質量を求める補助イオン検出部を、前記
試料から放出されたイオンが前記イオン検出部へ到達す
るまでの飛行経路に備えることを特徴とする。
【0018】補助イオン検出部がプローブホールの周り
の領域に衝突したイオンの原子質量を測定する。イオン
検出部が前記プローブホールを通過したイオンの原子質
量を測定する。補助イオン検出部のプローブホールの径
寸法及びその周りの領域を適当な大きさに設定すること
により、補助イオン検出部に衝突したイオンに対応する
試料表面の原子配列の状態が決定される。イオンはプロ
ーブホールの周りに衝突するので、決定された原子配列
に囲まれた表面原子がプローブホールを通過した原子で
あることが判る。これにより、対象の原子がプローブホ
ールを通過したか否かを判断することができ、正確に測
定対象の原子を主のイオン検出部へ到達させることがで
きる。特に、合金中の微細な析出物を分析する場合に
は、検出しているイオンが、実際に析出物内部からのも
のなのか否かを確定することは、析出物の定量的な組成
決定において極めて重要である。
【0019】第2発明に係る原子質量測定装置は、第1
発明において、前記補助イオン検出部は、イオンが衝突
する領域を制限する領域制限部材を前記試料側に備える
ことを特徴とする。制限部材を備えることにより、補助
イオン検出部のイオンが衝突する領域を、試料に応じて
適当な領域に制限することができる。制限された領域に
衝突するイオンが全て測定対象の原子である場合は、主
のイオン検出器へ到達するイオンは全て測定対象の原子
となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施例を示す
図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明のAP
FIM装置の構成を示す模式図である。図中1はAPF
IMであり、軸長方向を略水平にして配された円筒形の
真空槽2と、これに連なる飛行管4と、飛行管4を介し
て連通する円筒形状のイオン検出室3とを備えている。
真空槽2の上部にはガス導入系9が設けられ、底部には
真空排気系10が設けられている。これにより、FIM像
の形成に用いる結像ガスの雰囲気及び槽内真空度が調整
可能となる。また、真空槽2の側面には真空槽2内に配
される観察鏡8に写るFIM像を観察するためのビュー
ポート(図示せず)が設けられている。
【0021】イオン検出室3の内部にはイオンの原子質
量を測定するためのイオン検出部5が配されている。イ
オン検出部5は、二次電子倍増管を束ねた円板形状のシ
ェブロン型チャンネルプレートであり、シェブロン型チ
ャンネルプレートは荷電粒子を電流出力する電極の機能
も有している。イオン検出部5は原子質量測定部14に接
続されており、シェブロン型チャンネルプレートで増幅
された荷電粒子が電流出力され、これに相当する信号が
原子質量測定部14へ入力される。原子質量測定部14で
は、信号入力、イオンの飛行距離及び飛行時間に基づい
て原子の質量が測定される。
【0022】図2及び図3は、真空槽2内に配された各
部位の動作による位置関係を示した斜視図である。真空
槽2内には針状の試料Sが長手方向を軸長方向に合わせ
て配置されるようになっている。試料Sと飛行管4との
間には、スクリーン6、補助イオン検出部7及び観察鏡
8が試料S側から配されている。
【0023】補助イオン検出部7は、ドーナツ板状の絞
り部71及び二次電子倍増管を束ねた円板形状のシェブロ
ン型チャンネルプレート72を互いに略平行に備えて構成
されている。シェブロン型チャンネルプレート72の略中
央にはプローブホール72a が設けられている。絞り部71
の略中央には径寸法調整可能なホール71a が設けられて
おり、プローブホール72a よりも大なる径寸法範囲で調
整される。シェブロン型チャンネルプレート72には補助
原子質量測定部16が接続されており(図1参照)、シェ
ブロン型チャンネルプレート72で増幅した荷電粒子が電
流出力され、これに相当する信号が補助原子質量測定部
16へ入力される。補助原子質量測定部16では、信号入
力、イオンの飛行距離及び飛行時間に基づいて原子の質
量が測定される。
【0024】補助イオン検出部7には補助検出駆動部15
が連結されている。補助検出駆動部15の操作により、補
助イオン検出部7は真空槽2の軸長方向に移動可能であ
り、ホール71a 及びプローブホール72a を試料Sに対向
させる(図2)か又は上方に向ける(図3)ように移動
可能に構成されている。また、試料Sに対する見込み角
が調整可能になっていることが好ましい。補助検出駆動
部15は例えば機械的な移動機構であり、図2及び図3に
示すように、2本のシャフトを真空槽2の軸長方向に配
し、夫々の一端に操作ツマミを取り付けて構成されてい
る。夫々のシャフトの外周側は所定長さにわたって螺刻
されている(図示せず)。絞り部71及びシェブロン型チ
ャンネルプレート72は下側で互いに連結され、この連結
部はさらに下側で回転板に連結され、回転板の回転軸は
さらにまた下側で支持部材に支持されている。回転板は
一シャフトの他側と接触しており、シャフトに直交する
軸周りに回動可能に構成されている。操作ツマミの回転
によりシャフトの先端が試料S側に移動して前記回転板
を押圧して回動せしめ、ホール71a 及びプローブホール
72a を上方に向けるようになっている。他のシャフトは
前記支持部材に嵌通されており、操作ツマミの回転によ
り支持部材をシャフトに沿って移動せしめ、補助イオン
部7と試料Sとの間隔を調整する。即ち試料Sに対する
見込み角を調整する。
【0025】スクリーン6は二次電子倍増管を束ねた円
板形状を有するシングルチャンネルプレート61と飛行管
4側に貼付された略同形の蛍光板62とを備えており、夫
々の略中央にはプローブホール6a,6a が同軸状に設け
られている。このようなスクリーン6はその面を鉛直に
して配され、上端部がスクリーン駆動部12に連結されて
いる。スクリーン駆動部12により、スクリーン6は面を
鉛直にした状態で移動可能に構成されている。なお、プ
ローブホール6a,6a は設けてなくても支障はない。
【0026】観察鏡8は矩形平板状を有しており、その
面を鉛直にして配されている。観察鏡8の側端上部は観
察鏡駆動部13に連結され、前記側端を中心に回動可能に
構成されている。なお、観察鏡8はスクリーン6のプロ
ーブホール6aを通ったイオンが通過可能な程度の大き
さのホールを設けている場合は、観察鏡駆動部13は備え
てなくても良い。なお、絞り部71及びシェブロン型チャ
ンネルプレート72の直径は、FIM像観察時にはその視
野を妨げない程度の大きさで、且つ試料Sに対して充分
な見込み角を有する程度の大きさが良く、15mm〜50mmが
好ましい。見込み角は補助イオン検出部7が有するプロ
ーブホール72a の直径と補助イオン検出部7の可動距離
との要因によって決定される。充分な見込み角を有する
ために、プローブホール72a は直径2mm〜4mm、可動距
離は10cm〜15cmが好ましい。なお、スクリーン6のプロ
ーブホール6aの直径は、補助イオン検出部7のプロー
ブホール72a と同程度が好ましい。
【0027】図2は、補助イオン検出部7がシェブロン
型チャンネルプレート72にて検出される原子の質量を測
定する場合を示している。補助イオン検出部7は、補助
検出駆動部15により面を鉛直にして配され、ホール71a
及びプローブホール72a を試料Sに対面させている。ま
たスクリーン6及び観察鏡8は、スクリーン駆動部12及
び観察鏡駆動部13により試料Sからの原子を遮らない位
置に移動されている。また図3は、スクリーン6及び観
察鏡8にてFIM像を形成し観察する場合を示してい
る。補助イオン検出部7は、補助検出駆動部15によりホ
ール71a 及びプローブホール72a を上方に向けて配され
ている。スクリーン6は、スクリーン駆動部12により試
料S表面付近の結像ガスを検出できる位置に配設され、
観察鏡8は、観察鏡駆動部13によりスクリーン6に形成
されたFIM像を観察可能な位置に配設されている。
【0028】なお、上述した補助イオン検出部7のため
の移動機構はこれに限るものではなく、FIM像を観察
する際に支障を来さない位置に移動可能な構成であれば
良い。また、観察鏡8は中央に、補助イオン検出部7を
通ったイオンが通過する程度の大きさのプローブホール
を設けてあっても良い。この場合は、観察鏡駆動部13を
備える必要はない。
【0029】以上の如き構成のAPFIM装置を用いて
試料Sの原子質量を測定する場合について以下に説明す
る。まず、試料Sを真空槽2内に装入し、スクリーン駆
動部12及び観察鏡駆動部13によりスクリーン6及び観察
鏡8を図3に示す位置に移動する。即ち、プローブホー
ル6a が試料Sに対向し、蛍光板62が観察鏡8に写る位
置に移動する。このとき、観察鏡28は試料Sとプローブ
ホール6a とを結ぶ飛行経路中心線を遮らない位置に固
定される。
【0030】真空槽2内を10-8Pa以下の超高真空に排気
した後、10-3Pa程度のHe又はNeをガス導入系9から導入
する。前述したような、試料表面原子を電界蒸発させず
に結像ガスのみを電界イオン化できる程度の高電圧Vを
試料Sに印加する。これにより試料先端の表面近傍には
高い電圧が発生し、He原子又はNe原子がイオン化され、
シングルチャンネルプレート61に到達した結像ガスは蛍
光板62を光らせてFIM像を形成する。FIM像を観察
することにより試料Sの原子配列を観察し、例えば試料
Sに存在する析出物Dの位置を推定する。
【0031】次に、スクリーン駆動部12、観察鏡駆動部
13及び補助検出駆動部15によりスクリーン6、観察鏡8
及び補助イオン検出部7を図2に示す位置に移動する。
即ち、補助イオン検出部7を試料S先端から所定長離隔
させて対面せしめ、スクリーン6及び観察鏡8は試料S
からの原子を遮らない位置に移動される。高電圧Vより
も高い電圧のパルスを試料Sに印加する。これにより試
料S先端の原子が電界蒸発して正のイオンが放射状に飛
行する。
【0032】試料S先端から補助イオン検出部7に向か
うイオンは、一部は絞り部71に衝突しまた一部はホール
71a を通過する。ホール71a を通過したイオンは、一部
はシェブロン型チャンネルプレート72に衝突しまた一部
はプローブホール72a を通過する。シェブロン型チャン
ネルプレート72に衝突したイオンは荷電粒子が増幅さ
れ、電流出力されて補助原子質量測定部16にて原子質量
が測定される。この結果に基づいて、後述する目的で絞
り部71のホール71a の径寸法を調整する。プローブホー
ル72a を通過したイオンは、飛行管4を通ってイオン検
出部5に衝突し、電流出力されて原子質量測定部14にて
検出されたイオンの原子質量が測定される。
【0033】試料Sの先端部に例えば析出物Dが存在す
る場合に、析出物Dの原子質量を測定するためには、イ
オン検出部5には析出物Dのイオンのみが到達しなけれ
ばならない。析出物Dのイオンのみがイオン検出部5に
到達しているか否かは次のように判断される。図4及び
図5は、電界蒸発によりイオン化された原子が飛行する
様子を説明する概念図である。図中、イオンの飛行経路
を矢符にて示しており、mは母相Mのイオンの飛行経路
を示し、dは析出物Dのイオンの飛行経路を示してい
る。一点鎖線は試料先端部からプローブホール72a 及び
イオン検出部5へ通じる経路の中心線である。図4に示
すように、析出物Dが試料Sの先端部に僅かに露出して
いる状態では、母相Mのイオンは絞り部17のホール71a
を通過してシェブロン型チャンネルプレート72に衝突し
ており、これは補助イオン検出部7の測定結果から判断
できる。この状態においては、母相Mのイオンがイオン
検出部5に到達している可能性があり、イオン検出部5
の測定結果の信頼性は低い。
【0034】図5に示すように、析出物Dが比較的広い
範囲で露出した状態では、母相Mのイオンは絞り部17に
衝突している。この状態においては、プローブホール72
a の周りのイオンが全て析出物Dであり、これは補助イ
オン検出部7の測定結果により判断できる。プローブホ
ール72a の周りのイオンが全て析出物Dであることか
ら、その中心のイオンも全て析出物Dであることが判
る。これにより、イオン検出部5に到達するイオンは全
て析出物Dのイオンであり、母相Mのイオンは到達して
いないことが判る。実際の分析では、図4及び図5の状
態を夫々独立して測定しても良いし、図4から図5の状
態へ連続的に分析することもできる。これは補助イオン
検出部7からの信号をモニターすることにより、補助イ
オン検出部7に衝突したイオンとプローブホール72a を
通過したイオンとの原子に関する情報を分析中に得るこ
とができ、図4から図5の状態への移行過程を容易に知
り得るからである。これにより、原子質量測定部14にて
測定された原子質量の信頼性を判断することができる。
【0035】以上の如く、本実施例のAPFIM装置を
用い、補助イオン検出部7に衝突するイオンの原子質量
を測定することによって、測定対象のイオンのみをイオ
ン検出部5に到達させ、原子質量を高精度に測定でき
る。
【0036】また、析出物の露出面積に応じて補助イオ
ン検出部7の衝突領域を制限することにより、常に析出
物のみを補助イオン検出部7で検出できる。絞り部71に
ホール71a の径寸法の調整可能なタイプを用いた場合
は、分析しつつ、析出物の露出面積に応じて補助イオン
検出部7の衝突領域を制限することにより、常にプロー
ブホール72a の周りに析出物のイオンを衝突させること
ができる。
【0037】さらに、補助イオン検出部7、補助検出駆
動部15及び補助原子質量測定部16を従来のAPFIM装
置に取り付けることによって、本実施例のAPFIM装
置と同等の構成となるので、従来のAPFIM装置を改
造、利用することができる。
【0038】また、上述した装置を用いてレイヤー・バ
イ・レイヤー分析を高精度に行うことができる。レイヤ
ー・バイ・レイヤー分析とは原子面1枚ごとの組成を決
定する分析法のことであり、原子質量測定装置において
試料の最表面原子面とその直下の原子面とのイオンを明
確に区別することにより行われる。図6はレイヤー・バ
イ・レイヤー分析を行う場合の原子の飛行状態を説明す
る概念図である。図中、イオンの飛行経路を矢符にて示
しており、1A,3Aは1,3層目のA原子のイオンの
飛行経路を示し、2B,4Bは2,4層目の原子Bのイ
オンの飛行経路を示している。一点鎖線は試料先端部か
らプローブホール72a 及びイオン検出部5へ通じる経路
の中心線である。
【0039】図6に示すように、金属間化合物ABの針
状試料SAの先端部は最表面がA原子面であり、2層目が
B原子面であり、軸長方向に順にA,B,…を積層して
形成されている。上述したように、最表面のA原子のみ
がイオン検出部5に到達するように衝突領域を制限して
試料を電界蒸発させると、最表面のA原子のイオンがイ
オン検出部5の位置1Aに到達し、2層目のB原子のイ
オンのみがシェブロン型チャンネルプレート72の位置2
Bに衝突し、3層目及び4層目のA及びB原子のイオン
は夫々絞り部71に衝突する。このとき、イオン検出部5
では最表面の原子の質量が測定され、補助イオン検出部
7では2層目の原子の質量が測定される。
【0040】補助イオン検出部7の衝突領域72b はプロ
ーブホール72a の周りの部分であるので、衝突領域72b
の範囲を制限することにより、衝突領域72b に衝突する
イオンは、必ずプローブホール72a を通過しているイオ
ンの直下層からのイオンとなる。この状態で、イオン検
出部5及び補助イオン検出部7の双方にて原子質量を測
定した場合は、補助イオン検出部7ではイオン検出部5
で測定した原子の直下層の原子を測定することになり、
レイヤー・バイ・レイヤー分析を高精度に行うことがで
きる。これにより、微量添加元素のサイト占有の状態を
高精度に調べることができる。図8に示した従来のAP
FIM装置では、最表面原子面とその直下層の原子面と
を精密に区別することが難しく、レイヤー・バイ・レイ
ヤー分析を正確に行うことは困難である。
【0041】上述の実施例では、スクリーン6に形成さ
れたFIM像を観察した後に、補助イオン検出部5に衝
突したイオンの原子質量を測定する場合を説明している
が、補助イオン検出部にFIM像が形成されるようにし
てあっても良い。図7は、これを実現する実施例のAP
FIM装置の構成を示す断面図である。図中21はAPF
IM装置21であり、真空層2内に補助イオン検出部17及
び観察鏡8を試料S側から配している。
【0042】補助イオン検出部17は、ドーナツ板形状の
絞り部171 、シェブロン型チャンネルプレート172 及び
螢光板173 を試料S側から配して構成されている。シェ
ブロン型チャンネルプレート172 及び螢光板173 の夫々
の略中央にはプローブホール172aが同軸状に設けられて
いる。絞り部171 の略中央には径寸法調整可能なホール
171aが設けられており、プローブホール172aよりも大な
る径寸法範囲で調整される。シェブロン型チャンネルプ
レート172 には補助原子質量測定部16が接続されてい
る。シェブロン型チャンネルプレート172 で増幅した荷
電粒子が電流出力され、これに相当する信号が補助原子
質量測定部16へ入力される。補助原子質量測定部16で
は、信号入力、イオンの飛行距離及び飛行時間に基づい
て原子の質量が測定される。
【0043】補助イオン検出部17には補助検出駆動部19
が連結されており、補助イオン検出部17が真空槽2の軸
長方向に移動可能に構成されている。スクリーン及びそ
の駆動部を備えていないことと補助イオン検出部17の構
成との他は、図1に示すAPFIM装置と同様であり、
同部分に同符号を付してその説明を省略する。
【0044】以上の如き構成のAPFIM装置21を用い
て原子質量を測定する場合には、試料Sを真空槽2内の
所定位置に装着し、真空槽2内を10-8Pa以下の超高真空
に排気した後、10-3Pa程度のHe又はNeをガス導入系9か
ら導入する。前述したような、試料表面原子を電界蒸発
させずに結像ガスのみを電界イオン化できる程度の高電
圧Vを試料Sに印加する。試料S先端から補助イオン検
出部17に向かう結像ガスは、一部は絞り部171 に衝突し
また一部はホール171aを通過する。ホール171aを通過し
た結像ガスは、一部はシェブロン型チャンネルプレート
172 に衝突し、また一部はプローブホール172aを通過す
る。シェブロン型チャンネルプレート172 に衝突した結
像ガスは荷電粒子が増幅され、蛍光板173 を光らせてF
IM像を形成する。FIM像を観察することにより試料
Sの原子配列を観察し、例えば試料Sに存在する析出物
Dの位置を推測して試料S及び補助イオン検出部17の大
まかな位置合わせを行う。
【0045】次に、高電圧Vよりも高い電圧のパルスを
試料Sに印加する。これにより試料S先端の原子が電界
蒸発して正のイオンが放射状に飛行する。試料S先端か
ら補助イオン検出部17に向かうイオンのうち、絞り部17
1 のホール171aを通過してシェブロン型チャンネルプレ
ート172 に衝突したイオンの荷電粒子が増幅され、補助
原子質量測定部16へ電流が出力される。そして補助原子
質量測定部16にて原子質量が測定され、上述と同様に絞
り部171 のホール171a径を調整して、シェブロン型チャ
ンネルプレート172 に衝突するイオンが測定対象のイオ
ンのみであるようにする。プローブホール172aを通過し
た測定対象のイオンは飛行管4を通ってイオン検出部5
に衝突し、原子質量測定部14へ電流が出力される。この
ようにして、原子質量測定部14にて原子質量を正確に測
定することができる。
【0046】なお、上述の実施例では、絞り部71を用い
てプローブホール72a の周りの領域を設定する場合を説
明しているが、これに限るものではなく、絞り部71を備
えていなくても、例えばシェブロン型チャンネルプレー
ト72の直径が適当なものを用いることにより同様の効果
が得られる。
【0047】また、上述の実施例では、FIM像を形成
した後に原子質量を測定する場合を説明しているが、こ
れに限るものではなく、FIM像を観察しなくても、即
ち螢光板、観察鏡及びこの駆動部を備えていない場合で
も、測定目標の原子をプローブホールに通過させて原子
質量を測定することができる。
【0048】さらに、上述のAPFIMでは、補助イオ
ン検出部にシェブロン型チャンネルプレートを備えてい
るが、これに限るものではなく、検出用の信号を得るの
に充分な増幅率を有するチャンネルプレートであれば良
い。その形状については、円板上に限らず、例えばラッ
パ管状のチャンネルトロンを用いても同様の効果を奏す
る。このことは、イオン検出部のチャンネルプレートに
ついても同様である。
【0049】さらにまた、上述のAPFIMでは、スク
リーンを構成するチャンネルプレートとしてシングルチ
ャンネルプレートを用いているが、検出用の信号を得る
のに充分な増幅率を有するチャンネルプレートであれば
これに限るものではなく、シェブロン型のようなチャン
ネルプレートを用いても良い。その形状については、円
板上に限らず、例えばラッパ管状のチャンネルトロンを
用いても同様の効果を奏する。
【0050】
【実施例】図1に示すAPFIM装置を用いて、上述し
た同様の測定手順で、熱処理したAl-0.25wt%Sc(アルミ
ニウム- スカンジウム)合金中の微細析出物の分析を行
った。同時に従来のAPFIM装置を用いて同様の分析
を行い、比較した。結果を表1に示す。なお、表1に示
すSc濃度(溶質元素濃度)は10個の試料を分析した平
均値を示している。また誤差は、10個の試料の分析値の
うちの〔最大値−平均値〕又は〔平均値−最小値〕の絶
対値の大なる値を上限値及び下限値としたものである。
【0051】
【表1】
【0052】一般に、Al-0.25wt%Scを熱処理した場合に
は、Al3 Scの析出物を生成することが Al-Sc2元系状態
図において示されている。表1で示すように、本発明装
置の分析結果はSc濃度は25.2±2.0 at.%であり、Al-S
c 2元系状態図において示される結果とほぼ同等の値を
示していた。従来装置を用いて分析した結果はSc濃度
は20.5±5.0 at.%である。これは、母相の原子が混在す
る状態で測定されていたために低い値が測定されたと考
えられる。以上から、本発明装置を用いることにより析
出物の組成決定の精度が3倍以上改善されていると言え
る。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、イオ
ンの飛行経路の途中に補助イオン検出部を備え、プロー
ブホールを通過するイオンの周りのイオンの原子質量を
測定することにより、測定対象の原子のイオンを必ずプ
ローブホールを通過させることができ、原子質量を正確
に測定し、極微細領域解析を高精度に行うことができる
等、本発明は優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るAPFIM装置の構成を示す模式
図である。
【図2】図1の真空槽内に配された各部位の動作による
位置関係を示した斜視図である。
【図3】図1の真空槽内に配された各部位の動作による
位置関係を示した斜視図である。
【図4】本実施例の電界蒸発の際にイオン化された原子
が飛行する様子を説明する概念図である。
【図5】本実施例の電界蒸発の際にイオン化されたイオ
ンが飛行する様子を説明する概念図である。
【図6】本発明装置でレイヤー・バイ・レイヤー分析を
行う場合の原子の飛行状態を説明する概念図である。
【図7】本発明の他の実施例のAPFIM装置の構成を
示す模式図である。
【図8】従来のAPFIM装置の構成を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1,11 APFIM装置 5 イオン検出部 6 スクリーン 7,17 補助イオン検出部 71,171 絞り部 71a,171a ホール 72,172 シェブロン型チャンネルプレート 72a,172a プローブホール 72b 衝突領域 8 観察鏡 15,19 補助検出駆動部 16 補助原子質量測定部 173 螢光板 S,SA 試料

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の表面から放出された原子のイオン
    がイオン検出部にて検出されるまでの飛行時間に基づい
    て前記原子の質量を求める原子質量測定装置において、 通過した原子のイオンが前記イオン検出部へ到達するプ
    ローブホールを有し、該プローブホールの周りにて衝突
    したイオンの原子質量を求める補助イオン検出部を、前
    記試料から放出されたイオンが前記イオン検出部へ到達
    するまでの飛行経路に備えることを特徴とする原子質量
    測定装置。
  2. 【請求項2】 前記補助イオン検出部は、イオンが衝突
    する領域を制限する領域制限部材を前記試料側に備える
    請求項1記載の原子質量測定装置。
JP8003273A 1996-01-11 1996-01-11 原子質量測定装置 Pending JPH09199078A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009041997A (ja) * 2007-08-07 2009-02-26 Fujitsu Ltd 元素分析装置及び方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009041997A (ja) * 2007-08-07 2009-02-26 Fujitsu Ltd 元素分析装置及び方法

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