JPH09208518A - 高純度ナフタレンジカルボン酸の製造法 - Google Patents

高純度ナフタレンジカルボン酸の製造法

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JPH09208518A
JPH09208518A JP1896396A JP1896396A JPH09208518A JP H09208518 A JPH09208518 A JP H09208518A JP 1896396 A JP1896396 A JP 1896396A JP 1896396 A JP1896396 A JP 1896396A JP H09208518 A JPH09208518 A JP H09208518A
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naphthalenedicarboxylic acid
acid
ndca
amine
aqueous solution
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JP1896396A
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Akio Hashimoto
晃男 橋本
Takasuke Shigematsu
隆助 重松
Kenichi Nakamura
健一 中村
Minoru Takagawa
實 高川
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ジアルキルナフタレンの酸化反応により得られ
た粗ナフタレンジカルボン酸から、色相の改善された高
純度のナフタレンジカルボン酸を高い回収率で且つ工業
的に有利に製造する方法を提供する。 【解決手段】ジアルキルナフタレンの酸化反応により得
られた粗ナフタレンジカルボン酸を脂肪族アミン類を含
む水溶液に溶解し、ナフタレンジカルボン酸に対して不
純物として含まれる重金属成分を100ppm以下になるよう
除去した後、得られた水溶液を加熱することによりアミ
ン類を留去してナフタレンジカルボン酸を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジアルキルナフタレ
ンの酸化により得られた粗ナフタレンジカルボン酸から
高純度ナフタレンジカルボン酸を製造する方法に関す
る。ナフタレンジカルボン酸は優れた性能を有するポリ
エチレンナフタレート(PEN) 樹脂の原料として有用であ
る。
【0002】
【従来技術】ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコ
ール等のジオール類とを重合させることにより得られる
ポリエステルは、優れた引っ張り強度と耐熱性をもち、
フィルムや繊維、ボトル等の素材として、工業的に重要
な用途をもつ。特に2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチ
レングリコールを重合させてできるポリエチレンナフタ
レート(PEN) は、ポリエチレンテレフタレートに代わる
優れた工業用樹脂として近い将来の需要拡大が見込まれ
ている。
【0003】ナフタレンジカルボン酸は、ジアルキルナ
フタレンを酢酸溶媒中でCoやMn等の重金属と臭素化合物
の存在下に、分子状酸素により高温、高圧で酸化するこ
とにより得られる。しかしながら、こうして得られる粗
ナフタレンジカルボン酸には、触媒金属であるCoやMnが
数百ppm から数千ppm 混入することが避けられない。ま
た酸化反応の中間生成物であるホルミルナフトエ酸やメ
チルナフトエ酸、ナフタレン環の分解で生じるトリメリ
ット酸、臭素が付加したナフタレンジカルボン酸ブロマ
イド、原料ジアルキルナフタレン中の不純物に由来する
ナフトエ酸やナフタレントリカルボン酸等が不純物とし
て含まれる。更にこの他に構造不明な着色成分も存在す
る。これらの不純物の含まれるナフタレンジカルボン酸
をジオール類との重合の原料に用いた場合、得られるポ
リエステルには耐熱性及び軟化点の低下や、着色する等
の品質の劣化がみられる。特にホルミルナフトエ酸があ
る程度以上含まれている場合には、重合度が上がらない
他、ゲル化や着色を生じるためその量の抑制が重要とな
る。即ち高品質のポリエステルを得るためには、不純物
含量の極めて少ない高純度のナフタレンジカルボン酸が
必要である。
【0004】ナフタレンジカルボン酸は、高温での加熱
で分解するため蒸留が不可能であり、且つ一般の溶媒に
難溶性であるため通常の簡便な再結晶による精製が困難
である。このため、高純度のナフタレンジカルボン酸を
得る工業的方法は未だ確立しておらず、現在は粗ナフタ
レンジカルボン酸をメタノール等のアルコール類と反応
させてナフタレンジカルボン酸エステルとして精製され
ている。しかしポリエチレンナフタレートの原料として
は、ナフタレンジカルボン酸エステルではなく、ナフタ
レンジカルボン酸が望ましく、その精製法の確立が必要
である。
【0005】ナフタレンジカルボン酸を溶媒に溶解し精
製する方法として、米国特許5,256,817 号では、水また
は酢酸水溶液を溶媒として、300 ℃以上の高温下で溶解
し、水添、晶析を行うことを提案している。この方法で
はナフタレンジカルボン酸を溶解させるために高温が必
要とされ、そのため脱炭酸反応によるナフトエ酸の生
成、核水添反応によるテトラリンジカルボン酸の生成等
の副反応が起き易く、なおかつホルミルナフトエ酸の水
添による除去処理は不十分であり、晶析後の結晶に残存
している。特開昭62-230747 号では粗2,6-ナフタレンジ
カルボン酸をジメチルスルフォキサイドやジメチルアセ
トアミド、ジメチルフォルムアミド等の溶媒に溶解し、
晶析することによる精製方法が示されている。しかし該
溶媒への溶解度が低く、且つ該溶液を水素化した場合、
溶媒も水素化されるために水素化処理を行うことができ
ず、重合の際に特に問題とされるホルミルナフトエ酸の
除去が難しいという欠点がある。特開平5-32586 号では
ピリジン類に溶解し、晶析する事による精製方法が示さ
れている。しかしながら2,6-ナフタレンジカルボン酸の
溶解度の温度依存性が小さいため回収率が低いという欠
点がある。
【0006】上記のようにナフタレンジカルボン酸をそ
のまま精製する方法とは別に、ナフタレンジカルボン酸
をアルカリに溶解しアルカリ塩として、溶解度を向上さ
せ、精製する方法が提案されている。例えば特公昭52-2
0993号や特公昭48-68554号では、粗ナフタレンジカルボ
ン酸を KOHやNaOH等のアルカリ水溶液に溶解し、炭酸ガ
スや亜硫酸ガスを用いた酸析によりモノアルカリ塩とし
て析出させ、当該モノアルカリ塩と水とを接触させて不
均化することにより2,6-ナフタレンジカルボン酸を遊離
させている。しかしこれらの方法では、モノアルカリ塩
を析出する際に、2,6-ホルミルナフトエ酸等他の不純物
の塩も同時に析出してしまうほか、大量のアルカリや酸
の処理及び回収が必要となるという欠点があった。また
特公昭52-20994号や特開昭48-68555号では、粗2,6-ナフ
タレンジカルボン酸を KOHやNaOH等のアルカリ水溶液に
溶解し、冷却または濃縮によりジアルカリ塩の晶析を行
い、更に不均化することにより、精製された2,6-ナフタ
レンジカルボン酸を得る方法が提案されている。しかし
この方法ではジアルカリ塩の溶解度の温度依存性が小さ
く、また低温においてもジアルカリ塩の水に対する溶解
度が非常に大きいため回収率が低く、更に結晶中の微量
のアルカリの除去が困難という問題がある。
【0007】アルカリの替わりにアミンを用いて精製す
る方法も種々提案されている。特開昭50-135062 号で
は、粗2,6-ナフタレンジカルボン酸を炭素数 6以下の脂
肪族アミン水溶液に溶解し、冷却または濃縮によりジア
ミン塩として晶析し、加熱分解により精製された2,6-ナ
フタレンジカルボン酸を得る方法が示されている。しか
しこの方法では、低温においてもジアミン塩の水に対す
る溶解度が非常に高いため回収率が低く、工業的には問
題がある。また特開平5-294892号では、ナフタレンジカ
ルボン酸をアミン類とアルコール類との混合溶媒に溶解
させて晶析し、析出するナフタレンジカルボン酸アミン
塩を該当アミンの沸点以上の温度で加熱分解し、精製さ
れたナフタレンジカルボン酸を得る方法が示されてい
る。この方法でも、ナフタレンジカルボン酸アミン塩の
低級アルコールに対する溶解度が非常に高いため、回収
率が低いという欠点がある。
【0008】特開昭50-142542 号では、粗2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸をアミン水溶液に溶解した後、アミン化
合物を留去することにより、2,6-ナフタレンジカルボン
酸を析出させ精製2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方
法が示されている。この方法は使用する水の量が多く、
エネルギーを多く消費する欠点を有しており、また実施
例における回収率が63.8〜72.4% と低い。更に本発明者
らが本法について詳細に検討を行ったところ、工業的に
実施可能な2,6-ナフタレンジカルボン酸の回収率が得ら
れる領域では、充分良好な色相で2,6-ナフタレンジカル
ボン酸を得ることが出来なかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の如く従来のアミ
ンを用いナフタレンジカルボン酸を精製する方法では、
アミン化合物の加熱分解や留去するためにナフタレンジ
カルボン酸が高温に曝されることになり、その際に着色
が促進されることから高品質の製品を得ることが困難で
ある。また一般にナフタレンジカルボン酸の回収率が低
く、その改善が求められている。本発明の目的は、ジア
ルキルナフタレンの酸化反応により得られた粗ナフタレ
ンジカルボン酸から、色相の改善された高純度のナフタ
レンジカルボン酸を高い回収率で且つ工業的に有利に製
造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、ナフタレンジカ
ルボン酸と脂肪族アミンとの反応により得られるナフタ
レンジカルボン酸アミン塩を水に溶解させ、重金属成分
を除去した後、当該水溶液を加熱してアミン類を留出す
ることにより、高純度で色相が良好なナフタレンジカル
ボン酸を高い回収率で得られることを見出し本発明に到
達した。
【0011】即ち本発明は、ジアルキルナフタレンの酸
化反応により得られた粗ナフタレンジカルボン酸を脂肪
族アミン類を含む水溶液に溶解し、ナフタレンジカルボ
ン酸に対して不純物として含まれる重金属成分を100ppm
以下になるよう除去した後、得られた水溶液を加熱する
ことによりアミン類を留去してナフタレンジカルボン酸
を得ることを特徴とする高純度ナフタレンジカルボン酸
の製造法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で原料として使用される粗
ナフタレンジカルボン酸はジアルキルナフタレンの酸化
反応により得られたものであればよく、特に制限されな
い。酸化反応に用いられるジアルキルナフタレンとして
は、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジプロ
ピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等があり、
アルキル基の位置によりそれぞれ10種の異性体がある。
それらのうち、ポリエステルの原料としては、2,6-置換
体と2,7-置換体が有用であり、特に2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸が好適に用いられる。これらのジアルキルナフ
タレンは、重金属及び臭素を主とする酸化触媒存在下、
分子状酸素により酸化することによって粗ナフタレンジ
カルボン酸が得られる。
【0013】粗ナフタレンジカルボン酸を溶解する脂肪
族アミン類としては、例えばメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチ
ルメチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミ
ン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチル
アミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-
ブチルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、
トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミ
ン、トリペンチルアミン、2-エチルヘキシルアミン等の
アルキルアミンや、ピペリジン、N-メチルピペリジン、
ピロリジン、エチレンイミン、ヘキサメチレンイミン等
の脂環式アミンが挙げられる。これらの中では、取り扱
いや入手の容易さからメチルアミン類とエチルアミン類
が好ましく、その中でもナフタレンジカルボン酸とアミ
ンを形成した場合、アミン塩の分解温度の低いトリメチ
ルアミンとトリエチルアミンが特に好ましい。またこれ
ら2種類以上のアミンを混合して使用しても良い。
【0014】本発明方法では先ずこれら脂肪族アミン類
を含有する水溶液に粗ナフタレンジカルボン酸を溶解さ
せる。アミン化合物の使用量は、粗ナフタレンジカルボ
ン酸のカルボン酸基と当量またはそれ以上にする。工業
的に実施する経済的な使用量は 1.0〜1.2 当量である。
水の最適使用量は、アミン化合物の種類と量、粗ナフタ
レンジカルボン酸溶解時の温度、および含有不純物の種
類と量に影響されるが、通常はナフタレンジカルボン酸
に対し 0.5〜50倍重量、好ましくは 1〜20倍重量であ
る。粗ナフタレンジカルボン酸を上記のアミン類を含有
する水溶液と混合し、アミン塩を形成させ溶解させる時
の温度は10〜100 ℃程度である。
【0015】本発明においてアミンの留去操作を行う前
に、そのアミン塩水溶液に不純物として含まれる重金属
成分をナフタレンジカルボン酸に対して100ppm以下にな
るよう除去しておくことが必要である。100ppmより高い
場合には、最終的に得られるナフタレンジカルボン酸の
色相が不良であり、原料の粗ナフタレンジカルボン酸よ
りも着色する。これはナフタレンジカルボン酸の回収率
とは関係なく、回収率を低くしても着色は免れない。こ
の着色の原因は不純物として含まれる重金属成分がアミ
ンの留去操作において新たに着色成分の生成を促すため
である。特開昭50-142542 号のように単に固体吸着剤処
理を施しただけでは、不純物として含まれるナフタレン
ジカルボン酸の異性体や臭素誘導体、アルデヒド類、本
来存在していた着色成分を除去することは出来ても、重
金属成分を100ppm以下になるよう除去できるとは限ら
ず、従ってアミン留出時の着色を制御することは困難で
ある。重金属成分の含有量は少なければ少ないほど新た
な着色成分の生成を抑制するが、100ppmより多く含有し
た場合、特に着色の程度が著しい。そのため重金属成分
を100ppm以下になるよう除去しておくことが必要であ
る。
【0016】粗ナフタレンジカルボン酸に含まれる重金
属成分としては、ジアルキルナフタレン酸化反応の触媒
成分であるコバルトおよびマンガンが主であり、これ以
外に助触媒として加えた金属成分や反応器材質由来のチ
タン、鉄、ニッケル、クロム等がある。コバルトおよび
マンガンは粗ナフタレンジカルボン酸に数100 〜数1000
ppm 含まれ、特にその除去が重要である。粗ナフタレン
ジカルボン酸をアミン水溶液に溶解させると、これら重
金属成分のほとんどは不溶物として析出する。不溶重金
属成分の除去はまず濾過により実施される。濾過に使用
するフィルターの細孔径は10μm 以下であり、好ましく
は5μm 以下、更に好ましくは 1μm 以下である。工業
装置においては多段濾過によりフィルター細孔径を除々
に小さくしていく方が、目ずまりを防止し長期の安定運
転を可能にすることから好ましい。
【0017】これらフィルターを用いての濾過により除
去しきれない重金属成分は、固体吸着剤処理により更に
取り除くことができる。固体吸着剤としては、活性炭、
活性アルミナ、活性白土、イオン交換樹脂等が用いられ
る。固体吸着剤を工業装置で使用するには、カラムに充
填しナフタレンジカルボン酸のアミン塩を含む水溶液を
連続的に供給し実施される。濾過操作を行わず、固体吸
着剤の充填されたカラムにアミン水溶液を直接供給し不
溶重金属成分の除去操作を実施すると、除去しなければ
ならない不溶重金属成分量が多いため固体吸着剤への負
荷が大きく、長期に渡る重金属除去効果を得られない。
またカラム内に多量の不溶重金属成分が蓄積し、カラム
が閉塞し安定運転が不可能となる。固体吸着剤処理を回
分操作で行った場合は、アミン水溶液と固形成分の分離
は濾過で行わなければならず、その場合初めに濾過操作
を実施するのに比べ処理しなければならない固形成分の
量が増大し好ましくない。
【0018】重金属成分を100ppm以下になるよう除去さ
れたナフタレンジカルボン酸のアミン塩水溶液は、重合
の際に特に問題とされるホルミルナフトエ酸の除去する
ために、次にホルミルナフトエ酸除去処理を行うことが
好ましい。ホルミルナフトエ酸除去処理には、通常、貴
金属触媒が用いられ、この貴金属触媒は重金属成分によ
り被毒される。重金属成分を100ppm以下になるよう除去
することにより、アミンの留去操作の前に実施されるホ
ルミルナフトエ酸除去処理に使用される触媒の寿命を長
期間に渡り維持できる。
【0019】ホルミルナフトエ酸除去処理の一例として
水素化処理がある。水素化処理はホルミルナフトエ酸の
ホルミル基をメチル基に変換する反応で、触媒として活
性炭やシリカ、アルミナ等の表面積の大きな担体上に、
Pt, Pd, Rh, Ru, Ni, Coのうち一種以上の金属を分散さ
せたものを用いる。好ましくはPdまたはPtを活性炭上に
分散させた触媒を用いる。これらの触媒の存在下、粗ナ
フタレンジカルボン酸をアミン水溶液に溶解させた溶液
をホルミルナフトエ酸除去処理する。反応方式は回分方
式でも、連続流通式でも良いが、工業的には連続流通式
が好ましい。その際の反応条件は、使用する触媒種や触
媒量、滞留時間により異なるが、反応温度は通常70〜25
0 ℃で、粗ナフタレンジカルボン酸をアミン水溶液に溶
解する温度と同じとすることが望ましい。水素分圧は0.
01〜30 kg/cm2 で行い、好ましくは0.01〜10 kg/cm2
範囲とする。250 ℃以上の過酷な反応条件では副反応と
してナフタレン環の核水素化によるテトラリンジカルボ
ン酸の生成や、脱炭酸あるいは脱カルボニル反応でのナ
フトエ酸の生成が起こる場合がある。
【0020】このようにして得られたナフタレンジカル
ボン酸アミン塩を含有する水溶液からアミン化合物を留
去させる。アミン化合物を留去するには、アミン水溶
液を外部加熱しアミンのみ、あるいはアミンを水と共に
留去させる方法、過熱蒸気や水を供給しながら加熱し
留去させる方法、窒素ガスのような不活性ガスを吹込
みながらアミンを留去させる方法、減圧下でアミンを
留去させる方法などがあり、これら二種類以上の方法を
組み合わせてアミンのみ、あるいはアミンと水を留出さ
せてもよい。アミンを留去させる際の温度は、低過ぎる
とアミン塩の分解速度が遅くなるので50℃以上が好まし
く、特に80℃以上が好ましい。一方温度が高過ぎると、
生成するナフタレンジカルボン酸が変質したり着色する
場合があるので、通常 250℃以下にする。
【0021】以上の方法でナフタレンジカルボン酸アミ
ン塩を含有する水溶液からアミン化合物を留去すること
により、ナフタレンジカルボン酸アミン塩が分解され、
発生するアミンは冷却して捕集することによりによりほ
ぼ全量回収できる。この捕集されたアミンは必要に応じ
て精製し再度使用することができる。アミンが留出され
るにつれ、ナフタレンジカルボン酸アミン塩を含有する
水溶液から遊離のナフタレンジカルボン酸が析出する。
析出するナフタレンジカルボン酸量は留去されたアミン
量に比例する。高い回収率でナフタレンジカルボン酸を
得るにはアミン留出量を多くすればよい。経済的な工業
プロセスとして成り立つためには 90%以上の回収率で留
去操作を実施することが好ましい。加熱により析出する
精製ナフタレンジカルボン酸は、濾過や遠心分離等の操
作により回収することができる。また、適時水洗操作を
行い結晶に付着している不純物を取り除くなどの操作を
加えるなどしてもよい。このようにして得られた結晶を
更に乾燥することにより高純度ナフタレンジカルボン酸
が得られる。
【0022】
【実施例】以下に実施例および比較例により本発明の方
法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。原料および精製ナフタレンジ
カルボン酸の結晶の純度および性状は、有機物はメチル
エステル化処理後にガスクロマトグラフィーにて、無機
物は湿式分解処理後 ICP発光分光分析法にて分析した。
また色相については試料1gを 1N-水酸化ナトリウム水溶
液10mlに溶解し、10mmの石英セルを用いた 500nmの波長
の吸光度 (以下、OD500 と略記する) で評価した。
【0023】以下の実施例、比較例および各表中に記し
た略号は次の通りである。 2,6-NDCA 2,6-ナフタレンジカルボン酸 2,6-NDCA・ TEA 2,6-ナフタレンジカルボン酸ジトリエ
チルアミン塩 2-NA 2-ナフトエ酸 2,6-MNA 2,6-メチルナフトエ酸 2,6-FNA 2,6-ホルミルナフトエ酸 TMAC トリメリット酸 NTCA ナフタレントリカルボン酸 Br-2,6-NDCA 2,6-ナフタレンジカルボン酸ブロマイ
ド TDCA テトラリンジカルボン酸 L.E. 低沸物 H.E. 高沸物 TEA トリエチルアミン
【0024】製造例 氷酢酸 1797gに、酢酸コバルト (四水塩)3.8g 、酢酸マ
ンガン (四水塩)32.0g、臭化水素(47%水溶液)7.43gを混
合し溶解させ、触媒液を調製した。撹拌機、環流冷却器
および原料送液ポンプを備えた5Lチタン製オートクレ
ーブに前記の触媒液740gを仕込んだ。残りの触媒液は2,
6-ジメチルナフタレン180gと混合して原料供給槽に仕込
み、加熱して2,6-ジメチルナフタレンを溶解させ、原料
液を調製した。窒素で反応系内の圧力を18 Kg/cm2 G に
調整し、撹拌しながら温度 200℃に加熱した。温度、圧
力が安定した後、原料液および圧縮空気を反応器に供給
し酸化反応を開始した。反応器オフガス中の酸素濃度が
0.1容量% になるように供給空気流量を調節しながら、
原料液を 2時間かけて連続的に供給した。原料液の供給
終了後、空気の供給を 9分間継続した。反応終了後、オ
ートクレーブを室温まで冷却して反応生成物を取り出
し、ガラスフィルターで吸引濾過し、水及び酢酸で洗浄
後、乾燥した。その結果、表1に示す組成と色相の粗2,
6-NDCAが得られた。この粗2,6-NDCA中にはCoが340ppm、
Mnが 2400ppmが含まれていた。該粗2,6-NDCAを以下の実
施例および比較例の原料に用いた。
【0025】実施例1 還流冷却器、撹拌装置、温度測定管を備えた2Lのガラス
製 4つ口フラスコに粗2,6-NDCA 200g 、水 1070g、TEA
205.9g (2,6-NDCAに対して 1.1当量) を加え30分撹拌し
た。溶解せずに析出した重金属成分を、細孔径10μm の
焼結金属フィルターで濾過した後、さらに細孔径 5μm
のフィルターを用い濾過し2,6-NDCA・TEA の溶解水溶液
を得た。この溶液 70gを、撹拌装置、加圧濾過装置、ガ
ス抜き出し口を備えた 300mlのステンレス製オートクレ
ーブに入れ、窒素置換後、 200℃まで加熱し、同温度下
で100g/hr.の速度で水を加えながら、送水量と同量の留
出液を反応装置上部より抜き出す操作を 2時間行った。
総留出液量は溶液中のNDCA量に対して約21倍であった。
次いで同温度で加圧濾過し、得られた結晶を水及び酢酸
で洗浄後、 120℃で 5時間真空乾燥した。収率94.7% (=
粗2,6-NDCAに対する収率)で表1に示す組成と色相の精
製2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-NDCA中にはCoが 10p
pm、Mnが 68ppm含まれていた。
【0026】実施例2 2,6-NDCA・ TEA の溶解水溶液を得る工程において細孔径
10μm の焼結金属フィルターを用い濾過した後、細孔径
1μm のニトロセルロース製メンブランフィルターで濾
過した以外は実施例1と同様な操作を行い、表1に示す
組成と色相の精製2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-NDCA
中のCoは1ppm以下であり、Mnが 20ppm含まれていた。
【0027】実施例3 2,6-NDCA・ TEA の溶解水溶液を得る工程において細孔径
10μm の焼結金属フィルターで濾過した後、細孔径 1μ
m のニトロセルロース製メンブランフィルターで濾過
し、さらに溶解液 70gを、活性炭を充填したガラス製カ
ラムに流通し2,6-NDCA・TEA の溶解水溶液を得た以外
は、実施例1と同様な操作を行い、表1に示す組成と色
相の精製2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-NDCA中のCoは
1ppm以下、Mnは0.5ppm以下であった。
【0028】実施例4 2,6-NDCA・ TEA の溶解水溶液を得る工程において細孔径
10μm の焼結金属フィルターで濾過した後、細孔径 1μ
m のニトロセルロース製メンブランフィルターで濾過
し、さらに溶解液 70gを、活性白土を充填したガラス製
カラムに流通し2,6-NDCA・TEA の溶解水溶液を得た以外
は、実施例1と同様な操作を行い、表1に示す組成と色
相の精製2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-NDCA中のCoは
1ppm以下、Mnは0.5ppm以下であった。
【0029】比較例1 2,6-NDCA・ TEA の溶解水溶液を得る工程において全く濾
過操作を行わなわず、2,6-NDCA・ TEA の溶解水溶液を得
た以外は実施例1と同様な操作を行い、表2に示す組成
と色相の精製2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-NDCA中に
はCoが330ppm、Mnが 2360ppm含まれていた。
【0030】比較例2 2,6-NDCA・ TEA の溶解水溶液を得る工程において細孔径
10μm の焼結金属フィルターを用い濾過した以外は実施
例1と同様な操作を行い、表2に示す組成と色相の精製
2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-NDCA中にはCoが210pp
m、Mnが 1620ppm含まれていた。
【0031】実施例5 2〜3mm に粒径を揃えた0.5%Pd/C触媒5gを充填した13mm
φ×316mm のステンレス製反応管、気液分離器、原料フ
ィードポンプを備えた固定床加圧流通反応装置の系内を
水素33.3容量% 、窒素66.7容量% の混合ガス10 Kg/cm2
で充填し、同ガス 50ml/分の流通下、反応管を 150℃に
保持して、実施例4と同様な操作で得られた2,6-NDCA・
TEA の溶解水溶液を30g/hrで流通させて水素化処理を行
った。水素化処理を行った後の2,6-NDCA・TEA の溶解水
溶液を実施例1と同様な操作で留去処理を行い、表2に
示す組成と色相の精製2,6-NDCAの結晶を得た。この2,6-
NDCA中のCoは1ppm以下、Mnは0.5ppm以下であった。
【0032】比較例3 比較例1で得られた2,6-NDCA・TEA の溶解水溶液を用
い、実施例5と同様な操作で水素化処理と留去処理を行
い、表2に示す組成と色相の精製2,6-NDCAの結晶を得
た。この2,6-NDCA中にはCoが270ppm、Mnが 2200ppm含ま
れていた。
【0033】
【表1】 製造例 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 有機物 (%) (%) (%) (%) (%) 2,6-NDCA 98.593 99.746 99.721 99.938 99.927 2-NA 0.056 0.003 0.006 0.002 0.003 2,6-MNA 0.010 0.003 0.002 0.002 0.002 TMAC 0.630 0.002 0.001 0.001 0.002 2,6-FNA 0.263 0.210 0.235 0.020 0.020 TDCA 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 L.E. 0.097 0.011 0.009 0.010 0.015 Br-2,6-NDCA 0.165 0.013 0.012 0.013 0.015 NTCA 0.164 0.003 0.003 0.002 0.002 H.E. 0.022 0.014 0.011 0.012 0.014 合計 100.000 100.000 100.000 100.000 100.000 OD500 0.256 0.261 0.256 0.060 0.100
【0034】
【表2】 比較例1 比較例2 実施例5 比較例3 有機物 (%) (%) (%) (%) 2,6-NDCA 99.726 99.721 99.837 99.828 2-NA 0.006 0.008 0.007 0.008 2,6-MNA 0.002 0.003 0.120 0.124 TMAC 0.001 0.002 0.001 0.002 2,6-FNA 0.221 0.231 0.006 0.006 TDCA 0.000 0.000 0.003 0.002 L.E. 0.012 0.011 0.011 0.011 Br-2,6-NDCA 0.018 0.011 0.003 0.002 NTCA 0.002 0.004 0.002 0.002 H.E. 0.012 0.009 0.012 0.015 合計 100.000 100.000 100.000 100.000 OD500 0.452 0.338 0.200 0.321
【0035】
【発明の効果】本発明の方法によってジアルキルナフタ
レンを酸化して得られた粗ナフタレンジカルボン酸を、
脂肪族アミン類水溶液を用いて溶解して重金属成分を除
去し、加熱してアミン類を留去することにより、色相の
改善された高純度のナフタレンジカルボン酸を、高い回
収率で容易に得ることができる。また重金属成分を除去
した後、水素化処理を行い、アミン類を留去することに
より、重合の際に特に問題とされるホルミルナフトエ酸
の除去され、水素化触媒の寿命も長くなることから、高
純度ナフタレンジカルボン酸を工業的に極めて有利に製
造される。従って本発明の工業的意義は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高川 實 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジアルキルナフタレンの酸化反応により得
    られた粗ナフタレンジカルボン酸を脂肪族アミン類を含
    む水溶液に溶解し、ナフタレンジカルボン酸に対して不
    純物として含まれる重金属成分を100ppm以下になるよう
    除去した後、得られた水溶液を加熱することによりアミ
    ン類を留去することを特徴とする高純度ナフタレンジカ
    ルボン酸の製造法。
  2. 【請求項2】重金属成分の除去を濾過、または濾過に引
    き続き固体吸着剤処理により行う請求項1記載の高純度
    ナフタレンジカルボン酸の製造法。
  3. 【請求項3】重金属成分を除去した後、水素化処理を行
    い、アミン類を留去する請求項1または請求項2記載の
    高純度ナフタレンジカルボン酸の製造法。
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