JPH09210097A - 動力伝達装置の冷却構造 - Google Patents

動力伝達装置の冷却構造

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JPH09210097A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で加工がし易く、フィンを設けて
冷却効果を向上させることが容易で、使用上の煩雑さが
なく、またギアセット側の冷却も同時行える動力伝達装
置の冷却構造を供する。 【解決手段】 静止状態に固定されたアウター部材11に
設ける励磁コイル14に通電する通電量を制御することに
より回転自在のインナー部材12をアウター部材11に対し
て固定可能とする磁性粒子式電磁クラッチ10と、インナ
ー部材12に連結されたギアセット20とからなる動力伝達
装置において、アウター部材11とギアセット20を収納す
るギアケース部材35との間に、冷却媒体が導入される冷
却装置40を設けた動力伝達装置の冷却構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチまたはブ
レーキとして働く動力伝達装置に関し、特にその冷却構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性粒子式電磁クラッチは、環状空間を
形成するアウター部材の内側にインナー部材が配設さ
れ、両者間の間隙に磁性粒子からなる電磁粉を介在さ
せ、アウター部材に支持された励磁コイルに通電がある
と、磁界が生じて電磁粉の磁性粒子を磁化して連鎖を生
じさせてアウター部材11とインナー部材12が締結され、
通電がないときは、締結解除状態にあって両者は自由に
相対的に回転可能である。
【0003】かかる磁性粒子式電磁クラッチは、励磁コ
イルおよび電磁クラッチの係脱時の滑りによる発熱が大
きく、この発熱により安定した係脱機能および耐久性が
損なわれることになるので、一般に強制的な冷却が必要
とされる。
【0004】そこで従来は、実開昭63−64938号
公報等に開示されているように、インナー部材の内部に
軸部からアウター部材に対向する外周部に至る冷却水通
路を形成し、その外周部には特に環状室を設ける等して
冷却効果を高めるようにしていた。
【0005】またアウター部材に冷却水通路を形成して
主に励磁コイル側の発熱を冷却しようとする例もある。
いずれもインナー部材またはアウター部材の内部に冷却
水通路を形成するもので、スペース的に有利で電磁クラ
ッチ自体が大型化することはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし両者ともに、冷
却水通路を形成するためにインナー部材またはアウター
部材は複雑な構造となり、加工が極めて面倒であった。
インナー部材とアウター部材双方がともに回転しながら
クラッチの係脱を行うものであると、固定部と回転部と
の境における冷却水通路の形成が難しくなる。またイン
ナー部材に冷却水通路を形成する前者の場合は、励磁コ
イルの発熱に対する冷却効果が小さいなどの欠点があ
る。
【0007】さらに冷却水通路を形成するインナー部材
にしてもアウター部材にしても、電磁粉や励磁コイルな
どの非常に液体を嫌うものとの間を確実に遮断して液漏
れのないように高精度に加工またはシールをしなければ
ならず技術的にも困難な面があり、そのためコスト高と
なることもあった。
【0008】インナー部材やアウター部材は、内部に冷
却水通路を形成する場合、限られた内部スペースにフィ
ンを設けることは難しく、冷却伝達面積は小さくしたが
って冷却効果を上げるためには、大量の水を流す等の必
要があった。また冷却水通路が錆易い鉄鋼材の場合、錆
による通路詰まりのおそれがあり、防錆処理や冷却液の
管理および定期的なメンテナンスなど使用上の煩雑さが
あった。
【0009】なおかかる磁性粒子式電磁クラッチにギア
セットを組み合わせて動力伝達装置を構成する場合に
は、ギアセット側の冷却が必要な場合は、別途新たに冷
却装置をギアセットに設ける必要があり、スペース的に
もコスト的にも経済的でない。
【0010】本発明は、かかる点に鑑みなされたもの
で、その目的とする処は、構造が簡単で加工がし易く、
フィンを設けて冷却効果を向上させることが容易で、使
用上の煩雑さがなく、またギアセット側の冷却も同時行
える動力伝達装置の冷却構造を供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するめ
に、本発明は、静止状態に固定されたアウター部材に設
ける励磁コイルに通電する通電量を制御することにより
回転自在のインナー部材を前記アウター部材に対して固
定可能とする磁性粒子式電磁クラッチと、前記インナー
部材に連結されたギアセットとからなる動力伝達装置に
おいて、前記アウター部材と前記ギアセットを収納する
ギアケース部材との間に、冷却媒体が導入される冷却装
置を設けた動力伝達装置の冷却構造とした。
【0012】磁性粒子式電磁クラッチの静止状態にある
アウター部材とギアケース部材との間のデッドスペース
を利用して冷却装置を設けたので、冷却装置のために動
力伝達装置が大型化することを避けることができる。ア
ウター部材の外側に冷却装置を設けるので、構造を簡素
化することができ、加工も容易となるとともに、冷却媒
体のシールを簡単かつ確実に行うことができ、メンテナ
ンスも容易で使用上の煩雑さがない。
【0013】発熱源であるアウター部材とインナー部材
の摺動部と励磁コイル部の双方を冷却でき、冷却効率が
よい。またギアセット側の冷却も同時行うことができ、
別途冷却装置を設ける必要がない。
【0014】前記ギアセットをプラネタリギアセットと
し、該プラネタリギアセットの1つのギア要素を回動駆
動力が入力される入力部材に連結し、他の1つのギア要
素を出力部材に連結し、残りの1つのギア要素を前記磁
性粒子式電磁クラッチのインナー部材に連結した請求項
1記載の動力伝達装置の冷却構造とすることで、変速機
構を備える動力伝達装置を容易に構成することができ
る。
【0015】前記冷却装置は、前記アウター部材から前
記ギアケース部材に向け突出したフィンにより冷却媒体
の通る冷却通路を形成した請求項1または2記載の動力
伝達装置の冷却構造とすることで、狭いスペースでも冷
却伝達面積を大きくし、冷却効果の向上を図ることがで
き、大量の冷却媒体を流す必要がない。なおアウター部
材の外側にフィンが形成されるので、加工がし易い。
【0016】前記冷却通路の冷却媒体の導入口は、同冷
却通路の最上部に設けられる冷却媒体の導出口より下方
に配設された請求項3記載の動力伝達装置の冷却構造と
することで、冷却装置の内部のエアは冷却通路の最上部
に設けられる冷却媒体の導出口より排出され、冷却通路
に滞留することがないので、効率の良い冷却効果を維持
することができる。
【0017】前記アウター部材と前記ギアケース部材と
の間に、第1の前記冷却通路とともに、前記ギアケース
部材の内部との熱交換部を構成する第2の冷却通路を形
成した請求項3記載の動力伝達装置の冷却構造とするこ
とで、1つの冷却装置で磁性粒子式電磁クラッチとギア
セットの双方を効率良く冷却することができる。
【0018】前記第1の冷却通路と前記第2の冷却通路
とが連結され、前記第2の冷却通路を冷却媒体の流れの
上流側に、前記第1の冷却通路を冷却媒体の流れの下流
側に設定した請求項5記載の動力伝達装置の冷却構造と
することで、磁性粒子式電磁クラッチより発熱が小さく
温度の低いギアケース部材の内部との熱交換部を構成す
る第2の冷却通路に先に冷却媒体を流し、その後温度の
高い第1の冷却通路を冷却媒体が流れるようにして、効
率の良い冷却を行うことができる。
【0019】前記熱交換部に前記ギアセットの潤滑油を
導入する潤滑油挿入口を設けた請求項5または6記載の
動力伝達装置の冷却構造とすることで、冷却媒体により
熱交換部で冷却された潤滑油がギアセットに供給される
ので、ギアセットの冷却効果が大きい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る一実施の形態に
ついて図1ないし図3に図示し説明する。本実施の形態
は、2段変速装置1の例であり、その概略構成図を図1
に示す。同2段変速装置1は、概ね磁性粒子式電磁クラ
ッチ10とプラネタリギアセット20と油圧クラッチ30を組
み合わせて構成されており、磁性粒子式電磁クラッチ10
とプラネタリギアセット20との間に冷却装置40が設けら
れている。
【0021】磁性粒子式電磁クラッチ10は、そのアウタ
ー部材11が固定されて静止しており、同アウター部材11
の内側にインナー部材12が回転円筒部材13に嵌着されて
回転自在に配設されている。アウター部材11の周壁18に
は励磁コイル14が周方向に巻回されて内蔵されており、
アウター部材11とインナー部材12との間には電磁粉15が
介在している。静止側にある励磁コイル14には、電源16
から電力線17を通じて電力が供給されるようになってい
る。
【0022】一方プラネタリギアセット20と油圧クラッ
チ30は、ギアケース部材35に収容されており、そのうち
プラネタリギアセット20は、リングギア21が入力軸2に
一体に連結されるとともに油圧クラッチ30の一方の回転
部材31に一体に連結されており、サンギア22はワンウェ
イクラッチ5を介して前記磁性粒子式電磁クラッチ10の
回転円筒部材13に連結されている。そしてプラネタリギ
ア23はキャリア24を介して油圧クラッチ30の他方の回転
部材32に連結されており、回転部材32は出力軸3に一体
に連結されている。
【0023】ギアケース部材35は、プラネタリギアセッ
ト20および油圧クラッチ30を覆い、同ギアケース部材35
から突出する回転円筒部材13との間にシール部材36、出
力軸3との間にシール部材37が介装され、また入力軸2
と回転円筒部材13との間にもシール部材38が介装され
て、ギアケース部材35内の潤滑油の漏出を防止してい
る。
【0024】変速装置1は以上のような構成をしてお
り、その動きを以下説明する。磁性粒子式電磁クラッチ
10および油圧クラッチ30がいずれも締結解除状態にあれ
ば、磁性粒子式電磁クラッチ10のインナー部材12は回転
自由でこれと連結するサンギア22も自由に回転可能であ
り、入力軸2の回転動力はリングギア21を回転させる
が、リングギア21の回転はプラネタリギア23を介して負
荷なく回転自由なサンギア22へ伝達され、サンギア22は
ワンウェイクラッチ5を介して回転円筒部材13とともに
逆転しながら空転する。
【0025】したがってプラネタリギア23は自転はする
が公転せず、キャリア24および油圧クラッチ30の回転部
材32を介した出力軸3には動力は伝達されずニュ−トラ
ル状態にある。
【0026】ここで磁性粒子式電磁クラッチ10の励磁コ
イル14に通電があると、磁界が生じて電磁粉15の磁性粒
子を磁化して連鎖を生じさせて静止側のアウター部材11
にインナー部材12が締結されて、インナー部材12は回転
円筒部材13とともに固定されるので、サンギア22はワン
ウェイクラッチ5を介して逆転を禁止される。入力軸2
の回転動力はリングギア21を回転させ、逆転を禁止され
たサンギア22との間でプラネタリギア23が自転しながら
公転しキャリア24を回転させ、油圧クラッチ30の回転部
材32と一体に出力軸3を低速回転させる。
【0027】ここでさらに油圧クラッチ30を締結状態と
すると、プラネタリギアセット20はリングギア21とキャ
リア24とが一体に連結されてプラネタリギアセット20全
体で一体に回転可能となるとともに、入力軸2は出力軸
3に直接連結されるため、入力軸2の回転動力は、ワン
ウェイクラッチ5で切られたプラネタリギアセット20と
一体に出力軸3を高速回転させる。
【0028】以上のように本実施例の変速装置1は、ニ
ュートラルのほか低速回転状態と高速回転状態の2段の
変速状態を形成することができる。磁性粒子式電磁クラ
ッチ10を用いニュートラル状態から低速または高速回転
状態への移行が速やかかつ円滑に行われる。
【0029】かかる構成の変速装置1において、ギアケ
ース部材35と磁性粒子式電磁クラッチ10の周壁18との間
の環状の空間に設けられる冷却装置40について、以下説
明する。この冷却装置40に係る磁性粒子式電磁クラッチ
10とギアケース部材35の部分のより具体的な構造を図示
した図3に基づき説明する。
【0030】軸受6を介して入力軸2を内部に回転自在
に支持する回転円筒部材13は、ギアケース部材35の入力
側の開口円筒部35aに軸受7を介して回転自在に支持さ
れて外方に延出して、端部が遠心方向に展開して円板状
のフランジ13aを形成している。このフランジ13aに環
状の前記インナー部材12が、その内周部を固着されて一
体に設けられている。
【0031】鉄材からなるインナー部材12の外周膨張部
12aの周囲を環状に覆うアウター部材11の周壁18は、熱
伝導性の良い非鉄材であるアルミニウム製であり、一体
の外周壁18bと内壁18cに外壁18aが合わされて断面コ
字形状に形成され、その外壁18a,外周壁18b,内壁18
cに覆われる環状の内部空間の外周部に鉄製のフィール
ドコア19に支持されて励磁コイル14が設けられている。
【0032】この励磁コイル14の内周側の空間に前記イ
ンナー部材12の外周膨張部12aが位置する。なお外周膨
張部12aより内周側にテーパした円環状の邪魔板8が、
インナー部材の両面および外壁18a,内壁18cの各内面
に、外周方向を開口して固着されており、磁性粒子粉の
中心側への落下を防止して常時励磁コイル14側の外周近
傍に留まるようにし、電磁粉15の偏りを防止してクラッ
チの作動が円滑に行われるようしている。
【0033】アウター部材11の内壁18cの外面の外周側
には同心円弧状に複数の冷却フィン41が突出形成されて
いる。各冷却フィン41は、その内周面と外周面が僅かに
テーパして先細となり、型抜きの際の抜き勾配θが形成
されている。
【0034】そしてギアケース部材35は、その磁性粒子
式電磁クラッチ10側の前記開口円筒部35aを有する側壁
35bの外周に円筒部35cが突出しており、円筒部35cの
内径はアウター部材11の周壁18の外周壁18bの外径に略
等しく、この円筒部35cの内部にアウター部材11がOリ
ング39を介装して嵌入し、一体に固着される。アウター
部材11の内壁18cとギアケース部材35の側壁35bとの間
に形成される空間が冷却装置40の冷却水の通る冷却水通
路42となる。
【0035】外周側の冷却フィン41は、その先端がギア
ケース部材35の側壁35bに近接して両者間に若干のクリ
アランスCを有しているが、隣合う冷却フィン41間に冷
却水通路42aを形成している。図2に示すように複数の
冷却フィン41は、左右に略半円弧をなして適当な距離離
間して形成され、その下側の離間空間43に冷却水導入口
44が設けられ、上側の離間空間45に冷却水導出口46が設
けられている。
【0036】したがって磁性粒子式電磁クラッチ10とギ
アケース部材35間に形成される冷却装置40において、下
方の冷却水導入口44から下側離間空間43に導入された冷
却水は、下側離間空間43から左右に分かれて左右の円弧
状冷却フィン41により形成された冷却水通路42aを通っ
て上方に向かい、上側離間空間45で合流して冷却水通路
42の最上部に位置する冷却水導出口46から排出される。
【0037】以上のように冷却装置40は、磁性粒子式電
磁クラッチ10のアウター部材11とプラネタリギアセット
20のギアケース部材35との間のデッドスペースを利用し
て設けられているので、冷却装置40によって変速装置1
が大型化することはない。また本冷却装置40は、プラネ
タリギアセット20側も冷却することができ、別途プラネ
タリギアセット20を冷却する装置を設ける必要はない。
【0038】アウター部材11やインナー部材12の内部に
冷却構造を形成するのではなく、アウター部材11の外側
に冷却装置40が設けられるので、磁性粒子式電磁クラッ
チ10自体の構造を簡素化することができ、加工製造も容
易である。
【0039】アウター部材11の周壁18の内壁18cに形成
された冷却フィン41は、内壁18cの外側に形成されると
ともに、抜き勾配θが考慮されているので、型抜きが容
易であり、かつ周壁18は塑性能力のあるアルミニウム製
であるので、加工が極めて簡単で、安価にかつ大量に生
産することができる。
【0040】また内壁18cおよび冷却フィン41が、非鉄
材のアルミニウム製であるので、腐食・錆に強く、錆に
よる冷却水通路の詰まりにより冷却効果を妨げるおそれ
はないとともに、防錆処理や冷却液の管理および定期的
なメンテナンスなど使用上の煩雑さがない。
【0041】アウター部材11の周壁18の内部は、電磁粉
15や励磁コイル14など液体を極端に嫌う部材が存在する
が、冷却水は周壁18の外側を通る構造であるので、シー
ルのための特別の構造を採ることなく、確実なシールが
確保されている。そのため性能信頼性の向上が期待でき
る。
【0042】冷却装置40の冷却水通路42は、アウター部
材11の一側面の略全面に亘っており、かつ冷却フィン41
は、アウター部材11とインナー部材12の摺動部および励
磁コイル14等の発熱源を覆う周壁18に設けられて、双方
を冷却することになるので、冷却効率が良い。
【0043】また冷却フィン41は熱伝導性の良いアルミ
ニウム製の周壁18に形成され、同周壁18が励磁コイル14
を支持する鉄材のフィールドコア19をくるむ構造である
ので、励磁コイル14の冷却効果は大きい。
【0044】下方の冷却水導入口44から導入された冷却
水は、冷却フィン41により形成された冷却水通路42aを
通って上方に向かい、冷却水通路42の最上部に位置する
冷却水導出口46から排出される構造であり、また周壁18
から突設された冷却フィン41は、ギアケース部材35の側
壁35bとの間に若干のクリアランスCを有しているの
で、冷却水通路42の内部のエアは、通路内に留まること
はなく排出される。したがってエアが冷却水通路42の内
部に滞留することによる冷却効果の妨げはない。
【0045】冷却媒体としては、冷却水など液体を用い
る方が気体よりも熱伝達率が数段優れ、冷却効果が大き
い。
【0046】次に別の実施の形態について図4ないし図
6に基づき説明する。本実施の形態に係る変速装置50
は、前記変速装置1と構成が同じであり、ただ冷却装置
51にギアケース部材の内部との熱交換部60を新たに設け
たもので、したがって前記実施の形態と同じ部材は同じ
符号を用いることとする。
【0047】図6に示すように、ギアケース部材35の側
壁35bの中心側に両面に円弧状の冷却フィン61,62を形
成して熱交換部60としている。一方の冷却フィン61は、
冷却装置51の冷却水通路42に突出しており、他方の冷却
フィン62は、ギヤケース部材35の内部に突出している。
【0048】冷却フィン61の構成は、図5に示すように
最大径の冷却フィン61aが下方のみを開放して円弧状を
なし、他は左右に離間した半円弧状をなして前記冷却フ
ィン41による第1の冷却水通路42aに対し第2の冷却水
通路64を形成しており、そのうちの内側と外側の冷却フ
ィン61を仕切る中間径の1冷却フィン61bは、下側の離
間部分に放射方向に延びる連通路63が連結され、同連通
路63は前記冷却フィン41の下側の離間空間43を貫通して
冷却水導入口44に連通している。
【0049】したがって冷却装置40の下側に設けられた
冷却水導入口44より導入された冷却水は、図5に矢印で
示すように、連通路63を通って中心側に向かい、まず熱
交換部60の内側の冷却フィン61の冷却水通路64に入り、
左右に分かれて上方に向かい、上側空間で合流したのち
左右に分かれて外側の冷却フィン61の冷却水通路64に入
り、次いで下側の離間空間43から冷却フィン41の第1の
冷却水通路42aに左右に分かれて入り、上側の離間空間
45で合流したのち冷却水通路最上部の冷却水導出部46か
ら排出される。
【0050】以上のように本実施の形態の冷却装置51
は、冷却水の流れの上流側にギアケース部材35との熱交
換部60の第2の冷却水通路64を配し、下流側に磁性粒子
式電磁クラッチ10側の第1の冷却水通路42aを配し、ギ
アケース部材35側から磁性粒子式電磁クラッチ10側の順
に冷却水が流れるようにしている。
【0051】熱交換部60が設けられたことで、磁性粒子
式電磁クラッチ10の冷却と同時に行われるプラネタリギ
アセット20の冷却効果を高め、かつ磁性粒子式電磁クラ
ッチより発熱が小さく温度の低いプラネタリギアセット
20側の第2の冷却水通路64に先に冷却水を流し、その後
温度の高い第1の冷却水通路42aに冷却媒体を流すこと
で、一層効率の良い冷却を行うことができる。
【0052】上記冷却装置51では、熱交換部60を冷却フ
ィン61,62で形成したが、図7に図示するように冷却フ
ィンの代わりに熱交換部70の側壁を変形して、円弧状の
凹凸により断面が波形状を形成した波状側壁71としても
よい。熱交換の効果は前記冷却フィンのものと殆ど変わ
りなく、本側壁71の方が加工が容易である。
【0053】次に別の実施の形態について図8および図
9に基づき説明する。本実施の形態に係る変速装置80
は、前記変速装置1,50と構成が同じであり、冷却装置
81にギアケース部材の内部との熱交換部90を設けた点も
前記冷却装置51と同じであるが、同熱交換部90に潤滑油
導入通路96を設けた点が異なり、したがって前記実施の
形態と同じ部材は同じ符号を用いることとする。
【0054】熱交換部90は、前記熱交換部60と同様に両
面に円弧状の冷却フィン91,92が形成されており、冷却
装置81の内部に突出する冷却フィン91と磁性粒子式電磁
クラッチ10側の冷却フィン41とで構成される冷却水通路
は、前記図5に図示したと同じ構造をなしている。
【0055】しかしプラネタリギアセット20側の冷却フ
ィン92は、図9に示すように完全円弧状の最外周壁92a
の内部で、左右に離間して半円弧状をなし、ギアケース
内部と仕切壁95で仕切られて、潤滑油導入通路96を形成
している。潤滑油導入通路96は、ギアケース部材35の中
心側の開口円筒部35aの下側に導入口96aを有して、内
周側の下方導入口96aから潤滑油が導入され、仕切壁95
の冷却フィン92の外周上部位置に穿設された導出口96b
から潤滑油がギアケース内部に供給される。
【0056】このように熱交換部90にギアケース内部へ
の潤滑油供給の導入通路96を設けることで、潤滑油がギ
アケース内部へ供給される直前で冷却され、プラネタリ
ギアセット20の冷却を効果的に行うことができる。
【0057】以上の実施の形態では、磁性粒子式電磁ク
ラッチを用いた動力伝達装置に適用したものであるが、
本発明の冷却構造は、ヒステリシス式あるいは摩擦板式
の電磁クラッチ、さらには摩擦板を用いた機械式クラッ
チや油空式クラッチにも適用可能である。
【0058】なお前記冷却装置40,51,70において、冷
却フィン41は、磁性粒子式電磁クラッチ10側から突出形
成したが、ギアケース部材35側からも冷却フィンを突出
形成してもよい。また前記熱交換部60,90の冷却フィン
61,91に対応して磁性粒子式電磁クラッチ10の周壁18側
からも冷却フィンを突出形成してもよい。
【0059】
【発明の効果】本発明は、磁性粒子式電磁クラッチの静
止状態にあるアウター部材とギアケース部材との間のデ
ッドスペースを利用して冷却装置を設けたので、冷却装
置のために動力伝達装置が大型化することを避けること
ができる。アウター部材の外側に冷却装置を設けるの
で、構造を簡素化することができ、加工も容易となると
ともに、冷却媒体のシールを簡単かつ確実に行うことが
でき、メンテナンスも容易で使用上の煩雑さがない。
【0060】発熱源であるアウター部材とインナー部材
の摺動部と励磁コイル部の双方を冷却でき、冷却効率が
よい。またギアセット側の冷却も同時行うことができ、
別途冷却装置を設ける必要がない。
【0061】ギアセットをプラネタリギアセットとする
ことで、変速機構を備える動力伝達装置を容易に構成す
ることができる。
【0062】冷却装置は、アウター部材からギアケース
部材に向け突出したフィンにより冷却媒体の通る冷却通
路を形成することで、狭いスペースでも冷却伝達面積を
大きくし、冷却効果の向上を図ることができ、大量の冷
却媒体を流す必要がない。なおアウター部材の外側にフ
ィンが形成されるので、加工がし易い。
【0063】冷却通路の冷却媒体の導入口は、同冷却通
路の最上部に設けられる冷却媒体の導出口より下方に配
設された冷却構造とすることで、冷却装置の内部のエア
は冷却通路の最上部に設けられる冷却媒体の導出口より
排出され、冷却通路に滞留することがないので、効率の
良い冷却効果を維持することができる。
【0064】アウター部材と前記ギアケース部材との間
に、第1の前記冷却通路とともに、ギアケース部材の内
部との熱交換部を構成する第2の冷却通路を形成するこ
とで、1つの冷却装置で磁性粒子式電磁クラッチとギア
セットの双方を効率良く冷却することができる。
【0065】第1の冷却通路と第2の冷却通路とが連結
され、第2の冷却通路を冷却媒体の流れの上流側に、第
1の冷却通路を冷却媒体の流れの下流側に設定すること
で、磁性粒子式電磁クラッチより発熱が小さく温度の低
いギアケース部材の内部との熱交換部を構成する第2の
冷却通路に先に冷却媒体を流し、その後温度の高い第1
の冷却通路を冷却媒体が流れるようにして、効率の良い
冷却を行うことができる。
【0066】熱交換部に前記ギアセットの潤滑油を導入
する潤滑油挿入口を設けることで、冷却媒体により熱交
換部で冷却された潤滑油がギアセットに供給されるの
で、ギアセットの冷却効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る変速装置の概略構
成図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿って截断した断面図
である。
【図3】同変速装置の具体的構造を示す要部断面図であ
る。
【図4】別の実施の形態に係る変速装置の概略構成図で
ある。
【図5】図4におけるV−V線に沿って截断した断面図
である。
【図6】同変速装置の具体的構造を示す要部断面図であ
る。
【図7】その変形例を示す示す要部断面図である。
【図8】別の実施の形態に係る変速装置の概略構成図で
ある。
【図9】図4におけるIX−IX線に沿って截断した断面図
である。
【符号の説明】
1…変速装置、2…入力軸、3…出力軸、5…ワンウェ
イクラッチ、6,7…軸受、8…邪魔板、10…磁性粒子
式電磁クラッチ、11…アウター部材、12…インナー部
材、13…回転円筒部材、14…励磁コイル、15…電磁粉、
16…電源、17…電力線、18…周壁、19…フィールドコ
ア、20…プラネタリギアセット、21…リングギア、22…
サンギア、23…プラネタリギア、24…キャリア、30…油
圧クラッチ、31,32…回転部材、35…ギアケース部材、
36,37,38…シール部材、39…Oリング、40…冷却装
置、41…冷却フィン、42…冷却水通路、43…離間空間、
44…冷却水導入口、45…離間空間、46…冷却水導出口、
50…変速装置、51…冷却装置、60…熱交換部、61,62…
冷却フィン、63…連通路、64…第2の冷却水通路、70…
冷却装置、71…波状側壁、80…変速装置、81…冷却装
置、90…熱交換部、91,92…冷却フィン、95…仕切壁、
96…潤滑油導入通路。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静止状態に固定されたアウター部材に設
    ける励磁コイルに通電する通電量を制御することにより
    回転自在のインナー部材を前記アウター部材に対して固
    定可能とする磁性粒子式電磁クラッチと、前記インナー
    部材に連結されたギアセットとからなる動力伝達装置に
    おいて、 前記アウター部材と前記ギアセットを収納するギアケー
    ス部材との間に、冷却媒体が導入される冷却装置を設け
    たことを特徴とする動力伝達装置の冷却構造。
  2. 【請求項2】 前記ギアセットをプラネタリギアセット
    とし、 該プラネタリギアセットの1つのギア要素を回動駆動力
    が入力される入力部材に連結し、他の1つのギア要素を
    出力部材に連結し、残りの1つのギア要素を前記磁性粒
    子式電磁クラッチのインナー部材に連結したことを特徴
    とする請求項1記載の動力伝達装置の冷却構造。
  3. 【請求項3】 前記冷却装置は、前記アウター部材から
    前記ギアケース部材に向け突出したフィンにより冷却媒
    体の通る冷却通路を形成したことを特徴とする請求項1
    または2記載の動力伝達装置の冷却構造。
  4. 【請求項4】 前記冷却通路の冷却媒体の導入口は、同
    冷却通路の最上部に設けられる冷却媒体の導出口より下
    方に配設されたことを特徴とする請求項3記載の動力伝
    達装置の冷却構造。
  5. 【請求項5】 前記アウター部材と前記ギアケース部材
    との間に、第1の前記冷却通路とともに、前記ギアケー
    ス部材の内部との熱交換部を構成する第2の冷却通路を
    形成したことを特徴とする請求項3記載の動力伝達装置
    の冷却構造。
  6. 【請求項6】 前記第1の冷却通路と前記第2の冷却通
    路とが連結され、前記第2の冷却通路を冷却媒体の流れ
    の上流側に、前記第1の冷却通路を冷却媒体の流れの下
    流側に設定したことを特徴とする請求項5記載の動力伝
    達装置の冷却構造。
  7. 【請求項7】 前記熱交換部に前記ギアセットの潤滑油
    を導入する潤滑油挿入口を設けたことを特徴とする請求
    項5または6記載の動力伝達装置の冷却構造。
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