JPH09241783A - 非腐食性フラックスろう付用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

非腐食性フラックスろう付用アルミニウム合金板およびその製造方法

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JPH09241783A
JPH09241783A JP8196796A JP8196796A JPH09241783A JP H09241783 A JPH09241783 A JP H09241783A JP 8196796 A JP8196796 A JP 8196796A JP 8196796 A JP8196796 A JP 8196796A JP H09241783 A JPH09241783 A JP H09241783A
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aluminum alloy
metal
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JP8196796A
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Yoshito Oki
義人 沖
Haruo Sugiyama
治男 杉山
Yuichi Nishimura
祐一 西村
Katsuyasu Ichikawa
雄庸 市川
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形加工性に優れ、ろう付に際しては形成さ
れるろうの量が多く、かつろうの流動性が良好で、しか
もろう付後の、強度、耐蝕性に優れた、非腐食性フラッ
クスを用い一部が金属と合金化して溶融しろう材を形成
するアルミニウム合金板およびその板の製造方法を提供
する。 【構成】 一部が金属と合金化して溶融し、ろう材を形
成する材料であって、wt%で、Si:0.4〜1.6%、Cu:
0.4〜1.0%、Ti:0.05〜0.3%を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなり、不純物としてのMgを0.2
%以下とする非腐食性フラックスろう付用アルミニウム
合金板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工後組付け
てろう付けされる製品、たとえば熱交換器の積層型エバ
ポレータおよび積層型オイルクーラの流体通路を形成す
る積層素板、ラジエータのヘッダープレート等に使用さ
れるアルミニウム合金板等であって、成形加工性に優
れ、ろう付に際しては形成されるろうの量が多く、かつ
ろうの流動性が良好で、しかもろう付後の、強度、耐蝕
性に優れた、非腐食性フラックスを用い一部が金属と合
金化して溶融しろう材を形成するアルミニウム合金板お
よびその板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ドロンカップタイプの如き熱交換器は例
えば特開昭61−79752号公報に示されている如く
であって、張出し加工部ないしは絞り加工部を有する1
対の素材板により冷媒流通部たる管路を形成したものと
して並設し、前記冷媒流通部に熱交換を促進するフイン
をろう付けしたものとして製造される。然してこのよう
な熱交換器のろう付には耐食性を有すると共に強度の高
い3003に代表されるAl−Mn系合金からなる芯材と、
Al−Si系合金からなる皮材とをクラッドした所謂ブレー
ジングシートが使用されている。
【0003】然して、上記のようなブレージングシート
の製造法としては、芯材となる合金溶湯を鋳造して得ら
れた鋳塊を均質化処理し、該鋳塊と別途ろう材となる皮
材合金鋳塊を圧延して得られた板とを合わせ、熱間冷間
圧延して所定厚さの板としたのち、最終焼鈍してO材と
するのが一般的であって、このようにして得られる板の
成形性を高めるために、上記製造工程に於ける均質化処
理条件を高温長時間として、最終焼鈍処理後の板の結晶
粒寸法を微細なものとされている。なお上記したろう付
けには、フラックスを用い、あるいは真空中または不活
性ガス雰囲気中でろう付けする方法等があり、例えばブ
レージングシートの皮材としてAl−6〜12%Si合金を
用いた場合に、通常約600℃の温度に2〜3分程度加
熱保持してろう付けするものである。
【0004】ところで上述の如く、結晶粒組織が微細な
場合は、ろう付過程でろう材からのSiの結晶粒界拡散が
容易に生じてろうの流動性が低下する欠点がある。この
対策として、最終焼鈍処理温度への昇温速度を急速加熱
とし、このような処理を施こしたクラッド材に軽い歪み
を付与してろう付過程で粗大な再結晶粒としてSiの結晶
粒界拡散をできるだけ防止して、ろうの流動性の低下を
防止するクラッド材の製造方法が提案されている(特公
平6−47196号)が、このクラッド材を用いたろう
付製品は、そのクラッド材を製造することでコスト高と
なる欠点を有している。
【0005】そこで近年においては上記したようなクラ
ッド材を使用しないでろう付けする方法についてもそれ
なりの提案がなされており、そうした方法の1つに弗化
アルミニウムカリウム系の非腐食性弗化物フラックスと
金属珪素粉末の混合物でろう付けすることが米国特許第
5100048 号に発表されている。即ちこの方法ではアルミ
ニウム材料表面に塗布された珪素がろう付温度でアルミ
ニウム材料中へ急速に拡散し、アルミニウム材料表層部
がAl−Si共晶組成近くになると溶融(共晶温度:577
℃)し、ろうとなって部材相互間の接合がなされる。
【0006】即ち、具体的には弗化物系フラックスと金
属珪素粉末の混合物がドライパウダーまたは水やアルコ
ール等の揮発性液体に懸濁して塗布され、該混合物の配
合は重量比で0.1〜3:1程度で、混合物の塗布量は5
〜30g/m2、ろう付温度は577℃以上、その時間は
2〜5分であるが、最適条件としては珪素約30%の混
合物を20〜30g/m2塗布し、またろう付用材料とし
ては純Al材やAl−1%Mn材などが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】非腐食性フッ化物系フ
ラックスと金属珪素粉末の混合物でのろう付法はコスト
ダウンが可能であるが、従来の1000系や3000系
合金にそのまま適用すると、形成されるフィレットがブ
レージングシートに比べて小さくなり、熱交換器組付け
時の部材同士の間隙が大きいと結合不良を生じることが
明らかになった。然してこれを防ぐためには、部材同
士の間隙をできるだけ小さくすること、フラックスと
金属珪素粉末の混合物の塗布量を多くすること、がある
が、そのは部材を成形加工する金型精度および加工歪
みの関係から自ずから限界がある。一方はコスト高に
なるのに加えて、成形加工された部材に混合物を塗布す
る際に必然的に生じる、珪素粉末が多く付着した箇所で
の部材の局部的な溶解が大きくなる危険性が増大する。
【0008】材料の製造法に関しては、上記の急速加速
によるO材焼鈍後に軽歪みを加えてろう付過程で粗大な
再結晶粒組織とする方法は、成形加工性とろう付性にと
もに優れた製造法であるが、反面、粗大な結晶粒の生成
によりろう付後の強度が低下し、近年、熱交換器の小型
軽量化の要請に伴う部材の薄肉化への対応は、従来の1
000系や3003に代表される3000系合金にこの
製法を適用することは困難になってきた。また、部材の
薄肉化のためには、強度ばかりでなく耐食性の向上も重
要である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な欠点を解決するために鋭意検討した結果、Si、Cuおよ
びTiの特定量を同時に含有し、残部不純物からなるアル
ミニウム板は、この板の一部が金属と合金化して溶融
し、ろう材を形成する如き材料として使用する場合は、
ろう付に際してはろうの量が多く、かつろうの流動性が
良好で、ろう付後の強度並びに耐蝕性に優れていること
を見出し、またこのような組成において、再結晶粒の平
均粒径を70μm以下とし、1〜5%の歪みを導入した
板は、成形性が良好でかつろう付過程で再結晶粒の平均
粒径が100μm以上となって、ろう付に際してはろう
の量が多く、かつろうの流動性が良好であることを見出
して有利な手法を完成したものであって、以下の如くで
ある。
【0010】(1) 一部が金属と合金化して溶融し、
ろう材を形成する材料であって、wt%で、 Si:0.4〜1.6%、Cu:0.4〜1.0%、Ti:0.05〜0.
3% を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不純
物としてのMgを0.2%以下としたことを特徴とする非腐
食性フラックスろう付用アルミニウム合金板。
【0011】(2) 一部が金属と合金化して溶融し、
ろう材を形成する材料であって、wt%で、 Si:0.4〜1.6%、Cu:0.4〜1.0%、Ti:0.05〜0.
3%、Mn:0.3〜0.8% を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不純
物としてのMgを0.2%以下としたことを特徴とする非腐
食性フラックスろう付用アルミニウム合金板。
【0012】(3) 前記(1)項または(2)項の何
れか1つに記載の組成からなり、再結晶粒の平均粒径が
70μm以下で、1〜5%の歪みが導入されていること
を特徴とする非腐食性フラックスろう付用アルミニウム
合金板。
【0013】(4) 一部が金属と合金化して溶融し、
ろう材を形成する材料であって、前記(1)項に記載の
組成を有するアルミニウム合金鋳塊を400〜620℃
の温度で1〜15時間保持して均質化処理したのち、熱
間圧延および冷間圧延して所定の厚さの板とし、この板
を280℃以上の温度で保持時間を5時間以内として最
終焼鈍処理を行って再結晶粒の平均粒径を70μm以下
とし、然かるのちこの板に1〜5%の歪み導入加工を施
すことを特徴とする非腐食性フラックスろう付用アルミ
ニウム合金板の製造方法。
【0014】(5) 一部が金属と合金化して溶融し、
ろう材を形成する材料であって、前記(2)項に記載の
組成のアルミニウム合金鋳塊を530〜620℃の温度
で1〜15時間保持して均質化処理したのち、熱間圧延
および冷間圧延して所定の厚さの板とし、この板を10
℃/分以上の昇温速度で320℃以上の温度で保持時間
を10分間以内として最終焼鈍処理を行って再結晶粒の
平均粒径を70μm以下とし、然かるのちこの板に1〜
5%の歪み導入加工を施すことを特徴とする非腐食性フ
ラックスろう付用アルミニウム合金板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いる非腐食性フラック
スは LiF、NaF 、KF、CaF2、AlF3、SiF4等の弗化物の粉
末混合物、もしくはこれらを溶融後粉末としたもの、あ
るいは上記弗化物の錯化合物、たとえば KAlF4、K2AlF5
( K2AlF5・H2O ) 、K3AlF6、K2SiF6等の単味もしくは混
合物またはこれらを溶融後粉末としたもの等であって、
このような弗化物系のフラックスは何れのものもアルミ
ニウムに対して塩化物の如き腐食性を持たない。このも
のの粉末の寸法は平均で0.1〜30μm程度のもので、
好ましくは平均で1〜10μmである。
【0016】板材と合金化して溶融し、ろうを形成する
金属としては珪素の他10〜30%Zn含有する珪素−亜
鉛合金等がある。そしてこのような金属は被ろう付部材
として形成した、たとえば熱交換器の素板表面に溶射し
てもよく、また粉末とし、この粉末を被ろう付部材に塗
布または前記フラックスの粉末と混合してスラリーとし
て塗布してもよい。この場合、珪素粉末の他に1〜30
%の亜鉛粉末や2〜20%の銅粉末を添加混合して塗布
してもよい。特に被ろう付部材に供給する珪素を前もっ
て合金化することはコストがかさむ不利があり、溶射す
ることは溶射材とし、また溶射することによる不利があ
るので、好ましくは粉体として被ろう付部材に塗布して
用いる。
【0017】前記した混合物の塗布法としては次の〜
のような手法があり、そのスラリーとしては混合物を
水、アルコール、溶剤に懸濁したものであって、密着性
を高めるためのバインダー(アクリル系樹脂等)、界面
活性剤等を添加したものが用いられる。 成形加工された部材を熱交換器に組付け後、スラリー
中に浸漬、またはスプレー塗布(内部はスラリーを流
す) 成形加工された部材をスラリー中に浸漬、またはスプ
レー塗布、粉体のまま静電塗布、溶射(その後、熱交換
器に組付け) 板材をスラリー中に浸漬、またはスプレー塗布、ロー
ラー塗布、粉体のまま溶射(その後、部材に成形加工
し、熱交換器に組付け)
【0018】本発明における合金組成についてwt%(以
下、単に%という)により説明すると以下の如くであ
る。 Si:0.4〜1.6% Siは、フィレットを形成するろうの量を多くし、また、
ろう付後の強度を高める作用を有しており、本発明によ
る方法では金属珪素とアルミニウム合金部材表層との反
応により、Al−Si共晶組成融液(ろう)が生成してろう
付がなされるが、アルミニウム合金中のSiもろうの一部
になることと、Siは局部的な溶融を減少させる作用があ
る(特開平7−303982号)ため、生成したろうが
接合部に移動する際の抵抗が少なくなってフィレットを
形成するろうの量が多くなる。即ち、このようなSi量が
0.4%未満であると上記のような効果が少なく、また1.
6%を越えるとろう付温度でバーニングを生じるおそれ
がある。
【0019】Cu:0.4〜1.0% Cuは、歪み導入加工時の蓄積エネルギーを大きくし、ろ
う付過程での再結晶を容易にする作用があり、O材焼鈍
後に加える歪み量を少なくするのに効果がある(歪み量
が多いと成形加工性が低下する)。また、ろう付後の強
度を高め、さらに、部材の電位を貴にするため、より電
位の低いアルミニウム合金フィン等と組合わせた場合、
部材の耐食性を高める作用がある。このようなCu量が0.
4%未満だと効果が少なく、1.0%を越えると強度が高
くなりすぎ、成形加工性が低下する。
【0020】Ti:0.05〜0.3% Tiは鋳造時の結晶粒内部に偏在し、圧延加工を受けた部
材の組織を層状にして耐食性を高める作用があり、この
Ti量が0.05%未満であるとこのような作用が乏しく、
一方0.3%を超えると巨大な金属間化合物が生成して成
形加工性を低下する。
【0021】Mg:0.2%以下に規制 Mgは、少量でもろう付後の強度を高めるが、弗化アルミ
ニウムカリウム系の非腐食性フラックスを用いてろう付
すると、フラックス成分であるFとMgが反応するためフ
ラックスの効果が低減してろう付性が著しく低下する。
よって0.2%未満に規制する。
【0022】更に本発明においてはMnを0.3〜0.8%添
加することによりろう付け後の強度を高める効果を得る
ことができる。このMnが0.3%未満ではこのような作用
が乏しく、一方0.8%を超えるとろう付け性が低下し、
またO材焼鈍後に加える歪み量が多くなり、成形加工性
が低下する。
【0023】なお本発明によるものはその他の元素とし
て、0.7%までのFe、0.3%までのCr、Zn等は不純物元
素として許容できる。
【0024】上記したような前記(1)に記載の組成を
もった合金鋳塊は面削後400〜620℃の温度で1〜
15時間保持し均質化処理される。この均質化処理はそ
れに次いで行われる圧延加工を容易にし、また最終焼鈍
処理において280℃以上の温度に5時間以内加熱する
ことと相俟ってろう付工程の加熱過程で巨大かつ偏平な
再結晶粒とし、ろう材からのSiの拡散を実質的に阻止す
るためのものであって、400℃未満または1時間未満
ではそれらの効果が乏しく、又620℃超えではバーニ
ングが生じて好ましくないものであり、更に15時間を
超えた保持はそれ以上の効果がそれほど期待できずエネ
ルギーロスとなるので経済的でない。何れにしても上記
のような条件で均質化処理した鋳塊は熱間圧延、冷間圧
延を適宜に施して所望の板厚とされる。
【0025】以上のようにして所望の厚さに圧延された
板は280℃以上の温度に加熱して最終の焼鈍処理を施
してから歪導入加工が施されるが、これは再結晶の平均
粒径を微細なものと、成形性と爾後のろう付処理で大き
な再結晶粒を得、ろうの量と流動性を付与するためのも
のであって、280℃未満では再結晶が完了せず成形性
が劣ることとなる。保持時間5時間以下とは最終焼鈍処
理温度に到達後ただちに冷却する処理を含むものであ
る。最終焼鈍温度の上限は、バーニングが生じる620
℃程度が目安となる。
【0026】上記の再結晶の平均粒径が70μm以下の
板は歪み導入加工がなされる。然してこの最終焼鈍後に
加えられる歪導入加工については本発明において1%以
上であり、それによって芯材がその後のろう付け工程の
加熱過程(550℃の温度まで10〜60分)で平均粒
径100μm以上の巨大且つ偏平な再結晶粒を形成す
る。つまり板の一部がSiと合金化して溶融し、ろう材を
形成するような場合において斯うした粗大且つ偏平な再
結晶粒となることにより単位体積当りの粒界面積が少く
なり、従って粒界を拡散経路とするろう材からのSiの面
方向における拡散経路が非常に少くなって、板厚方向へ
のSi拡散を有効に阻止することは明らかである。
【0027】また、ろうを形成し、溶融したものは流動
性に優れていることからろう付け部に流動して健全なろ
う付け部を形成する。なお前記した歪導入加工は本発明
においてブレージングシートに所要量の板厚減少を与え
るものであって、テンションレベラー、ストレッチャ
ー、スキンパス圧延またはローラーレベラー等の設備を
用いて実施することができ、歪導入加工前の板厚をt0
とし、歪導入加工後の板厚をtとしたときに、(t0 −
t)/t0 ×100(%)の式で得られる値である。
【0028】このような歪導入量が1%未満であると、
好ましい最終焼鈍処理を行ってもろう付けの加熱過程で
巨大且つ偏平な再結晶粒を得ることができず、ろう付け
時におけるSi分の侵入阻止も不充分とならざるを得な
い。一方この歪導入量が5%を超えるならば板としての
伸びが低下しエリクセン値の低下した成形性の劣ったも
のとなる。
【0029】一方上記(2)に記載したような組成をも
った合金鋳塊は530〜620℃の温度で、1〜15時
間保持し均質化処理される。この均質化処理はこれに次
いで行われる圧延加工を容易にし、又最終焼鈍処理にお
いて、10℃/分以上の昇温温度で、320℃以上の温
度に加熱することと相俟って、ろう付工程の加熱過程で
巨大かつ偏平な再結晶粒とし、ろう材からのSiの拡散を
実質的に阻止するためのものであって、530℃以下ま
たは1時間未満ではその効果が乏しく、又620℃以上
ではバーニングが生じて好ましくない、15時間以上の
保持はそれ以上の効果がそれほど期待できないでエネル
ギーロスとなるので経済的でない。
【0030】上記した条件で均質化処理した鋳塊は熱間
圧延、冷間圧延を適宜に施して所望の板厚とされるもの
であり、斯様にして所望の厚さに圧延された板は320
℃以上の温度に加熱して最終の焼鈍処理を施してから歪
導入加工が施されるがこれは上記最終焼鈍処理における
320℃またはそれ以上までの加熱昇温速度を10℃/
分以上とする。即ちこの昇温速度を10℃/分以上とす
ると、Mnの析出し易い回復および再結晶過程を短時間内
に通過させることは明かで、Mnの析出量を低減して再結
晶粒の成長を容易にすることができる。昇温速度の上限
については、例えば誘導加熱方式によるときは2000
0℃/分のような高速昇温することが可能で、又本発明
の上述したような技術性から高速ほど好ましいことが明
かであるから限定する必要がない。最終焼鈍温度の上限
についてはバーニングが生ずる620℃程度が目安とな
る。
【0031】上記のような昇温速度を採って行われる最
終焼鈍後に加えられる歪導入加工については本発明にお
いて1%以上であり、それによってその後のろう付け工
程の加熱過程(550℃の温度まで10〜60分)で巨
大且つ偏平な再結晶粒を形成する。つまり板の一部がSi
と合金化して溶融し、ろう材を形成するような場合にお
いて、斯うした粗大且つ偏平な再結晶粒となることによ
り単位体積当りの粒界面積が少くなり、従って粒界を拡
散経路とするろう材中Siの面方向における拡散経路が非
常に少くなって、板厚方向へのSi拡散を有効に阻止する
ことは明らかである。
【0032】また、ろうを形成し溶融したものは流動性
に優れていることからろう付け部に流動して健全なろう
付け部を形成する。前記した最終焼鈍処理における昇温
速度が10℃/分未満では焼鈍処理過程でのMnの析出量
が多くなり、再結晶粒の成長を抑制するので最終焼鈍後
に本発明の如き軽度の歪導入加工ではその後のろう付け
加熱過程で再結晶粒成長が十分に行われないこととな
り、ろう材からのSiが再結晶粒中に拡散することを本発
明における如く確実に防止することができない。また最
終焼鈍処理における保持温度が320℃未満では再結晶
が完了せず、伸びの増加が少いため成形性に劣る。
【0033】なお前記した歪導入加工は上述した通りで
あるが、このような歪導入量が1%未満であると、最終
焼鈍処理における昇温速度を10℃/分以上の充分な高
速昇温としても、ろう付けの加熱過程で前述したような
巨大且つ偏平な再結晶粒を得ることができず、ろう付け
時におけるSi分の侵入阻止も不充分とならざるを得な
い。一方この歪導入量が5%を超えるならば板としての
伸びが低下しエリクセン値の低下した成形性の劣ったも
のとなる。また最終焼鈍における保持時間は上述したよ
うな条件で焼鈍することにより再結晶が短時間内に終了
し、その後の長時間に亘る保持は熱エネルギー的に不利
で、経済的損失となるので、10分以下で十分である。
【0034】結晶粒組織としては、成形加工前で70μ
m以下、ろう形成前において100μm以上の再結晶粒
組織とする。即ち成形加工前において70μm以上では
成形加工時に肌荒れを生じる。ろう形成前に再結晶が完
了していないと、生成したろうによる部材の浸食(結晶
粒内に微細高密度に存在している亜結晶粒界を通じて)
が著しく多くなり、フィレットが極端に小さくなる。ま
た、再結晶していても粒径が100μmより小さいと、
微細な結晶粒界を通じてのろうの浸食が多くなり、ろう
付性が低下する。
【0035】具体的な製造例について説明すると、先ず
第1製造例として供試材の作成は次の表1に示したアル
ミニウム合金を厚さ500mmのスラブに鋳造し、500
℃×5時間の均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延にて厚
さ0.62mmの冷延板を作製した。次いで、350℃×2
時間のO材焼鈍後、圧下率3%のスキンパス圧延による
歪み導入加工を行い、厚さ0.60mmの供試板を得た。
【0036】
【表1】
【0037】上記のようにして得られた供試材について
はろう付性、ろう付後の断面結晶粒組織、成形加工性、
ろう付後の強度、耐食性を次のように試験測定した結果
は後記する表2の如くである。 「ろう付性」供試板より幅25mm、長さ55mmの試験片
を切出し、イソプロピルアルコールに珪素粉末とフラッ
クスの混合物(重量比1:2)を懸濁したスラリー中に
浸漬して垂直に引き上げ、温風で乾燥後、片面に付着し
た混合物を刷毛で除去した。このときの混合物の付着量
は19〜21g/m2であった。次いで、混合物を塗布し
た面の上に、厚さ0.5mm、幅25mm、長さ25mmの30
03−H14材を垂直に立てた逆T字型試験片を組み立
て、窒素ガス雰囲気中で昇温速度50℃/分、600℃
での保持時間3分間のろう付試験を行った。ろう付性は
フィレット断面積(左右フィレットの平均)の測定によ
り評価した。 「ろう付後の断面結晶粒組織」上記ろう付試験後の供試
板の断面組織をバーカー法により観察した。 「成形加工性」供試板に対して、通常のJISエリクセ
ンA試験を行い、エリクセン値を求めた。 「ろう付後の強度」供試板を50℃/分の昇温速度で加
熱し、600℃で3分間保持した後50℃/分の速度で
冷却し、通常の引張試験により抗張力を測定した。 「耐食性」供試板より幅50mm、長さ110mmの試験片
を切出し、試験片の両面に純水に珪素粉末とフラックス
の混合物(重量比1:2)とアクリル樹脂系のバインダ
ーを懸濁したスラリーをスプレー塗布し、150℃で5
分加熱して乾燥した。このときの混合物の付着量は19
〜24g/m2であった。次いで、試験片を3003板上
に垂直に固定し、窒素ガス雰囲気中で600℃で3分間
のろう付を行い、下端の接合部を切除後、片面をシール
して耐食性試験に供した。耐食性試験として14日間の
CASS試験を行い、試験片に生じた最大孔食深さを測
定した。
【0038】
【表2】
【0039】また上記した製造例とは別に第2製造例と
して次の表3に示したアルミニウム合金を厚さ30mmの
金型に鋳造し、580℃×10時間の均質化処理後、熱
間圧延、冷間圧延にて厚さ0.60〜64mmの冷延板を作
製した。次いで、O材焼鈍として450℃に保持した炉
中に投入し、冷延板の温度が400℃に達した直後に取
出し、空冷した。その後、圧下率2〜6%のスキンパス
圧延による歪み導入加工を行い、または行わず、厚さ0.
60mmの供試板を得た。
【0040】
【表3】
【0041】上記のようにして得られた供試材について
は、ろう付過程での再結晶に必要な歪み量を求め、結晶
粒が粗大化する最低の歪み量を与えた供試材のろう付
性、成形加工性、ろう付後の強度、耐食性を評価した。
なお粗大化に必要な量としては2〜6%の歪みを与えた
供試板を50℃/分の昇温速度で加熱し、570℃に達
した直後に炉から取出し、断面結晶粒組織をバーカー法
により観察した。然してこのような測定結果は次の表4
に示す如くであるが、No. 13はMn量が高いため、ろう
付過程での再結晶に必要な歪み量が5%を越え、成形加
工性が低下する。また、形成されたフィレットが小さい
ことがわかる。
【0042】
【表4】
【0043】更に導入歪み量の異るNo. 11材について
のろう付試験結果とエリクセン試験結果は次の表5に示
す如くであるが、歪み量無しの従来製造法では、ろう付
時の結晶粒が微細なため、フィレットが小さい。これに
対し歪み量6%の比較製造法では、エリクセン値が小さ
くなり、成形加工性が低下していることは該表5におい
て示される如くである。
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるときは
熱交換器の積層型エバポレータ、積層型オイルクーラの
流体通路形成積層素板、ラジエーターのヘッダープレー
トなどに用いられるアルミニウム合金板として成形加工
性に優れ、ろう付けに当って形成されるろうの量が多
く、またろうの流動性が良好で、充分なフィレットを形
成し、ろう付け後の強度や耐食性などが共に優れたろう
を的確に形成し得るなどの効果を有し工業的にその効果
の大きい発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 祐一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 市川 雄庸 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部が金属と合金化して溶融し、ろう材
    を形成する材料であって、wt%で、 Si:0.4〜1.6%、Cu:0.4〜1.0%、Ti:0.05〜0.
    3% を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不純
    物としてのMgを0.2%以下としたことを特徴とする非腐
    食性フラックスろう付用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 一部が金属と合金化して溶融し、ろう材
    を形成する材料であって、wt%で、 Si:0.4〜1.6%、Cu:0.4〜1.0%、Ti:0.05〜0.
    3%、Mn:0.3〜0.8% を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不純
    物としてのMgを0.2%以下としたことを特徴とする非腐
    食性フラックスろう付用アルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 一部が金属と合金化して溶融し、ろう材
    を形成する材料であって、請求項1または請求項2の何
    れか1つに記載の組成からなり、再結晶粒の平均粒径が
    70μm以下で、1〜5%の歪みが導入されていること
    を特徴とする非腐食性フラックスろう付用アルミニウム
    合金板。
  4. 【請求項4】 一部が金属と合金化して溶融し、ろう材
    を形成する材料であって、請求項1に記載の組成を有す
    るアルミニウム合金鋳塊を400〜620℃の温度で1
    〜15時間保持して均質化処理したのち、熱間圧延およ
    び冷間圧延して所定の厚さの板とし、この板を280℃
    以上の温度で保持時間を5時間以内として最終焼鈍処理
    を行って再結晶粒の平均粒径を70μm以下とし、然か
    るのちこの板に1〜5%の歪み導入加工を施すことを特
    徴とする非腐食性フラックスろう付用アルミニウム合金
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 一部が金属と合金化して溶融し、ろう材
    を形成する材料であって、請求項2に記載の組成のアル
    ミニウム合金鋳塊を530〜620℃の温度で1〜15
    時間保持して均質化処理したのち、熱間圧延および冷間
    圧延して所定の厚さの板とし、この板を10℃/分以上
    の昇温速度で320℃以上の温度で保持時間を10分間
    以内として最終焼鈍処理を行って再結晶粒の平均粒径を
    70μm以下とし、然かるのちこの板に1〜5%の歪み
    導入加工を施すことを特徴とする非腐食性フラックスろ
    う付用アルミニウム合金板の製造方法。
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JP2017060989A (ja) * 2015-09-25 2017-03-30 三菱アルミニウム株式会社 熱交換器用アルミニウム合金チューブ

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