JPH09252181A - 多層セラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents

多層セラミックス回路基板の製造方法

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JPH09252181A
JPH09252181A JP8059466A JP5946696A JPH09252181A JP H09252181 A JPH09252181 A JP H09252181A JP 8059466 A JP8059466 A JP 8059466A JP 5946696 A JP5946696 A JP 5946696A JP H09252181 A JPH09252181 A JP H09252181A
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JP
Japan
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binder removal
multilayer ceramic
removal treatment
circuit board
binder
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JP8059466A
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English (en)
Inventor
Akihiro Hamano
明弘 浜野
Ichiro Uchiyama
一郎 内山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層セラミックス成形体の脱バインダ処理時
に水蒸気発生装置や水蒸気の結露防止のための保温設備
等が必要であり、設備面でのコストが高くなる。また導
入可能な水蒸気量が制約されるため、脱バインダ処理時
の処理能力が制約される。 【解決手段】 回路パターンを印刷したグリーンシート
を積層した後、脱バインダ処理工程、焼成工程を行う多
層セラミックス回路基板の製造方法において、炭酸ガス
を含む不活性ガス雰囲気下で脱バインダ処理を施した
後、不活性ガス雰囲気下で焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層セラミックス回
路基板の製造方法に関し、より詳細にはセラミックス粉
末、バインダ及び溶剤等からなるセラミックスグリーン
シートに導電材料を含んだ導体ペーストを印刷する工程
を含んで構成された多層セラミックス回路基板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】多層セラミックス回路基板の製造は一般
に以下のような工程で行われる。
【0003】まず主原料粉末に焼結助剤、バインダ、有
機溶剤等を添加して混合し、得られたスラリを用いてド
クターブレード法等によりグリーンシートを作製する。
次に、前記グリーンシートの半導体素子を搭載する面に
導電性金属を含む導体ペーストをスクリーン印刷法等に
より回路パターン状に印刷し、これらを積層した後乾燥
させて多層セラミックス成形体を得る。
【0004】次に、この多層セラミックス成形体に含ま
れている前記バインダ、有機溶剤等の有機物を分解、消
失させるために脱バインダ処理を行い、その後焼成する
ことにより多層セラミックス回路基板を製造する。
【0005】前記した多層セラミックス回路基板の製造
工程において、前記バインダをセラミックス原料粉末に
添加するのは、セラミックス原料粉末自体では成形性に
乏しいためであり、前記バインダの添加により成形性を
与えて所定形状の成形体を作製し、これを焼成すること
により目的形状のセラミックス焼結体を得る。
【0006】前記成形体の作製方法として、前記ドクタ
ーブレード法の他、鋳込み法や各種プレス成形法等が挙
げられるが、いずれの方法を採用する場合であっても、
前述したように主原料粉末にバインダ及び溶剤等を添
加、混合して成形性を付与した後、成形体を作製する。
前記バインダ及び溶剤は、一般に有機高分子性の樹脂や
それら樹脂が可溶な有機溶剤(いずれも有機物)であ
り、これにより成形は容易になるが、焼結時に成形体内
部に前記有機物やそれらの分解物であるカーボン等が残
留すると焼結の進行が阻害される。従って、緻密な焼結
体を得るためには焼成前にこれらの有機物を除去するこ
と(脱バインダ処理)が必要である。前記脱バインダ処
理が不十分な場合には、残留カーボンによる焼結阻害が
生じ、緻密な焼結体が得られないばかりでなく、不均一
な焼結により焼結体に反りや変形等が生じる場合があ
る。
【0007】前記脱バインダ処理は、一般にセラミック
ス成形体を適当な雰囲気下で加熱処理することにより行
われる。金属導体を含んだ回路パターンが形成されてお
らず、酸化性雰囲気下での加熱が可能な酸化物系セラミ
ックス成形体の場合は、酸化性雰囲気下、すなわち酸素
中又は大気中にて前記脱バインダ処理が行われ、該脱バ
インダ処理によりバインダ成分である有機物は酸素との
燃焼反応により、酸化分解されてセラミックス成形体か
ら除去される。上記反応を簡単に記載すると、下記の化
1式で示される。
【0008】
【化1】C + O2 → CO2 一方、金属導体を含んだ回路パターンが形成されている
か、あるいは非酸化物系セラミックスの場合は、酸化性
雰囲気下で脱バインダ処理を行うことができず、金属導
体の酸化防止と脱バインダ処理とを両立させるために不
活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気の非酸化性雰囲
気下での脱バインダ処理が行なわれ、バインダ成分であ
る有機物は主に熱分解によってセラミックス成形体から
除去される。
【0009】一般にこの熱分解反応は上記化1式で示し
た燃焼反応に比べて高温で進行する。従って、非酸化性
雰囲気下での熱分解による脱バインダ処理は、酸化性雰
囲気下での酸化分解による脱バインダ処理に比べて、高
温かつ長時間の加熱処理を要する。また非酸化性雰囲気
下で脱バインダ処理を行った場合には、熱分解によりカ
ーボンが生成し、このカーボンが焼成しようとするセラ
ミックス成形体内部に残留したり、脱バインダ処理に用
いた炉内に蓄積したりするため、脱バインダ処理を完全
に行うのが難しくなる。
【0010】このため特開昭58−196095号公報
においては、脱バインダ処理を行う非酸化性ガス雰囲気
中に微量の水蒸気を添加し、多層セラミックス成形体内
部や炉内に残留したカーボンを一酸化炭素に変換するこ
とにより除去する方法が提案されている。上記反応を簡
単に記載すると下記の化2式で示される。
【0011】
【化2】C + H2 O → CO + H2 また、このようにして脱バインダ処理が終了した多層セ
ラミックス成形体は金属導体の酸化を防止し得る適当な
不活性ガス雰囲気下で焼成されることにより多層セラミ
ックス回路基板となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
特開昭58−196095号公報記載の多層セラミック
ス回路基板の製造方法によれば、多層セラミックス成形
体の脱バインダ処理時に非酸化性ガス雰囲気中に水蒸気
を添加するため、水蒸気発生装置が必要となる。また、
前記非酸化性ガス雰囲気の配管や炉内低温部における水
蒸気の結露を防止するための保温設備等が必要であり、
さらに前記結露を防止する目的から、導入可能な水蒸気
量が制約される。このように、設備面でのコストが高
く、また、脱バインダ処理時の処理能力が制約されると
いった課題があった。
【0013】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
って、金属導体を含んだ回路パターンが形成され、非酸
化性雰囲気下で脱バインダ処理を行なう必要のある多層
セラミックス成形体に対し、水蒸気(H2 O)を用いる
ことなく比較的低温で短時間に脱バインダ処理を行うこ
とができ、設備面でのコストを削減することができると
共に、焼結後の残留カーボン量が少なく、導電性に優れ
た金属導体層を有する、緻密で均一な多層セラミックス
回路基板を製造することができる多層セラミックス回路
基板の製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係る多層セラミックス回路基板
の製造方法は、回路パターンを印刷したグリーンシート
を積層した後、脱バインダ処理工程、焼成工程を行う多
層セラミックス回路基板の製造方法において、炭酸ガス
を含む不活性ガス雰囲気下で脱バインダ処理を施した
後、不活性ガス雰囲気下で焼成することを特徴としてい
る(1)。
【0015】有機物より構成されたバインダ成分を含む
セラミックス成形体を非酸化性雰囲気下で加熱するとバ
インダ中の低沸点揮発成分の蒸発に続いて熱分解による
高沸点揮発成分のガス化による揮発が進行する。これら
のバインダ成分の揮発は通常600〜700℃までの間
に終了する。この過程で前記バインダ成分の95%以上
はセラミックス成形体より排除される。一方、約5%以
下のバインダ成分はカーボン等として成形体中に残留す
る。一般に緻密で均一なセラミックス成形体を得るには
残留カーボン量を0.2wt%以下にするのが望まし
く、0.1wt%以下にするのがより望ましい。
【0016】上記多層セラミックス回路基板の製造方法
(1)によれば、炭酸ガスを含む不活性ガス雰囲気下で
脱バインダ処理を施すため、下記の化3式で示した反応
が進行し、多層セラミックス成形体中に残留したカーボ
ン(C)が一酸化炭素(CO)に変換されてガス化し、
これにより金属導体層を酸化させることなく前記カーボ
ンが多層セラミックス成形体より除去される。また、上
記工程により、炉内に残留するカーボン(C)も同様の
反応により炉外に排出される。
【0017】
【化3】C + CO2 → 2CO よって水蒸気(H2 O)を用いることなく比較的低温で
短時間に脱バインダ処理を行うことができ、設備面での
コストを削減することができると共に、焼結後の残留カ
ーボン量が少なく、導電性に優れた金属導体層を有す
る、緻密で均一な多層セラミックス回路基板を製造する
ことができる。
【0018】また、本発明に係る多層セラミックス回路
基板の製造方法は、多層セラミックス回路基板の製造方
法(1)において、グリーンシート作製における主原料
粉末がガラスセラミックスを構成する粉末で、かつ前記
回路パターンが銅を主成分とする組成物で構成されてい
ることを特徴としている(2)。
【0019】上記多層セラミックス回路基板の製造方法
(2)によれば、主原料粉末がガラスセラミックスを構
成する粉末であるため低温焼成が可能となる。よって前
記回路パターンを低抵抗配線材料である銅を主成分とす
る組成物で構成することができる。これにより、誘電率
が低く、伝送損失が小さく、かつ熱膨張率がシリコンに
近いためにフリップチップ方式等による実装が可能であ
るといった利点を有するガラスセラミックス回路基板
を、金属導体層を酸化させることなく、またカーボン
(C)を多層セラミックス成形体に残存させることなく
製造することができる。
【0020】また、本発明に係る多層セラミックス回路
基板の製造方法は、上記多層セラミックス回路基板の製
造方法(1)又は(2)において、脱バインダ処理工程
における処理温度が730〜1000℃、処理時間が
0.5〜10時間、及び雰囲気中の二酸化炭素濃度が1
〜100%であることを特徴としている(3)。
【0021】上記化3式の反応は723℃以上の温度で
ΔG°<0となり、反応が右辺の方向に進行してカーボ
ン(C)が一酸化炭素(CO)に変換され、前記カーボ
ン(C)の除去が可能となる。
【0022】従って、上記多層セラミックス回路基板の
製造方法(3)によれば、脱バインダ処理工程におい
て、非酸化性ガス雰囲気中に二酸化炭素(CO2 )を適
量添加し、多層セラミックス成形体を723℃以上の温
度(730〜1000℃)に加熱するため、多層セラミ
ックス成形体内部及び炉内のカーボンを除去することが
できる。また、CO2 の酸化力がO2 に比べて緩やかな
ため、CO2 による金属導体の酸化はほとんど進行しな
い。導体金属が銅(Cu)の場合は下記の化4式に示し
た反応が考えられるが、化4式の反応は上記脱バインダ
温度領域においてΔG°が常に正であるため反応が右辺
の方向には進行せず、Cuの酸化は生じない。
【0023】
【化4】2Cu + CO2 → Cu2 O + CO (室温〜1000℃で常にΔG°<0) さらに、非酸化性ガス雰囲気中にCO2 を添加する場合
はH2 Oを添加する場合と相違し、結露の発生等の問題
がなく、保温ヒーターのような保温設備が不用であり、
CO2 添加量の制約もない。
【0024】また、本発明に係る多層セラミックス回路
基板の製造方法は、上記多層セラミックス回路基板の製
造方法(1)又は(2)において、脱バインダ処理工程
における処理温度が750〜850℃、処理時間が1〜
10時間、及び雰囲気中の二酸化炭素濃度が5〜100
%であることを特徴としている(4)。
【0025】上記多層セラミックス回路基板の製造方法
(4)によれば、より確実に多層セラミックス成形体内
部及び炉内のカーボンを除去することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る多層セラミッ
クス回路基板の製造方法の実施の形態を説明する。
【0027】まず所望の粒径を有するセラミックス混合
物にバインダ、溶剤等を添加してボールミル中で混合
し、スラリーを作製する。次にこのスラリーを用いてド
クターブレード法によりグリーンシートを作製する。次
に、得られた前記グリーンシートの半導体素子を搭載す
る面に導電性金属を含む導体ペーストをスクリーン印刷
等により回路パターン状に印刷して導体回路を形成す
る。次に回路間の接続のためのスルーホールを形成し、
該スルーホールへの導体ペーストの充填を行った後、こ
れらを積層して所望の大きさにカットすることにより多
層セラミックス成形体を作製する。
【0028】次に、これを小型のバッチ炉にて炭酸ガス
を含む不活性ガス雰囲気下で所定温度・時間の脱バイン
ダ処理を施した後、同一炉において不活性ガス雰囲気下
で所定時間焼成することにより前記多層セラミックス成
形体を焼結させ、多層セラミックス回路基板を製造す
る。
【0029】不活性ガスとしては窒素(N)、アルゴン
(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)ガス等が
挙げられる。
【0030】上記多層セラミックス回路基板の製造方法
によれば、炭酸ガス(CO2 )を含む不活性ガス雰囲気
下で脱バインダ処理を施すため、上記の化3式に示した
反応が進行し、セラミックス成形体中に残留したカーボ
ン(C)が一酸化炭素(CO)に変換されてガス化し、
これにより金属導体層を酸化させることなく前記カーボ
ン(C)がセラミックス成形体より除去される。また、
上記工程により、炉内に残留するカーボンも同様の反応
により炉外に排出される。
【0031】また、CO2 の酸化力がO2 に比べて緩や
かなため、CO2 による金属導体の酸化はほとんど進行
しない。導体金属が銅(Cu)の場合、上記の化4式に
示した反応が考えられるが、該化4式の反応は1000
℃程度までの上記脱バインダ温度域においてはΔG°が
常に正であり、Cuの酸化は進行しない。
【0032】さらに、非酸化性ガス雰囲気中にCO2
添加する場合はH2 Oを添加する場合と相違し、結露の
発生等の問題がなく、保温ヒータのような保温設備が不
用であり、CO2 添加量の制約もない。
【0033】よって、水蒸気(H2 O)を用いることな
く比較的低温で短時間に脱バインダ処理を行うことがで
き、設備面でのコストを削減することができると共に、
焼結後の残留カーボン量が少なく、導電性に優れた金属
導体層を有する、緻密で均一な多層セラミックス回路基
板を製造することができる。
【0034】
【実施例及び比較例】
<実施例>実施例では、上記実施の形態で説明した多層
セラミックス回路基板を以下に示す条件により製造し
た。
【0035】セラミックス原料粉末:平均粒径3μmの
アルミナ粒子およびホウ珪酸ガラス粉末 バインダ:ポリビニールブチラール(PVB) 溶剤:トルエン、ブタノール 導体ペースト:市販のCuペースト ガラスセラミックス多層回路成形体の大きさ:縦40m
m×横40mm×厚み3mm 脱バインダ処理条件を下記の表1〜3に示すように変化
させ、脱バインダ処理工程後の多層セラミックス成形体
の残留カーボン量を測定した。
【0036】また、前記脱バインダ処理工程の後、前記
多層セラミックス成形体を同一炉で、酸素濃度が1pp
m程度の窒素雰囲気下で1000℃、10分間の焼成を
行い、得られた多層セラミックス回路基板の諸特性を評
価した。表1〜3において、特に優れた諸特性が得られ
た試料には*印を付してある。
【0037】なお残留カーボン量は、前記各試料を酸素
雰囲気中で加熱して全ての残留カーボンを炭酸ガスに変
換し、その一部を赤外線測定用容器に採取し、赤外線吸
収(IR)スペクトルを測定することにより炭酸の吸収
スペクトル強度を測定した値から算出した。
【0038】下記の表1は、脱バインダ処理条件として
脱バインダ処理工程時における熱処理温度を変化させた
場合の脱バインダ処理後の多層セラミックス成形体にお
ける残留カーボン量、焼成後の焼結体(多層セラミック
ス回路基板)の密度、半田濡れ性及び配線抵抗を示して
いる。
【0039】
【表1】
【0040】CO2 による脱バインダ処理反応は上記化
3式で表わされ、該反応は723℃以上の温度でΔG°
<0となり、脱バインダ処理反応が進行する。
【0041】上記表1から明らかなように、脱バインダ
処理温度が723℃より低い場合の多層セラミックス回
路基板(試料1、2)では脱バインダ処理が不充分であ
り、残留カーボン量が0.5wt%、0.3wt%と望
ましい範囲である0.20wt%以下より多くなり、焼
成後の焼結密度は85%と比較的低くなった。他方、7
23℃以上の温度である730℃で脱バインダ処理を施
した試料3では残留カーボン量を0.2wt%とかなり
低減することができ、焼成後の焼結密度は92%とかな
り高い値とすることができた。750℃、780℃、8
00℃、850℃で脱バインダ処理を施した試料4、
5、6、7では残留カーボン量はそれぞれ0.08wt
%、0.06wt%、0.05wt%、0.1wt%と
十分低い値にすることができ、また、いずれの場合も焼
成後の焼結密度は98〜99%と高い値とすることがで
きた。
【0042】また、900℃で脱バインダ処理を施した
試料8では脱バインダ処理温度が高温であるために脱バ
インダ処理工程中にガラスセラミックスの焼結が始ま
り、残留カーボンがガラスセラミックス内に閉じこめら
れたため、残留カーボン量としては0.15wt%とな
り、800℃で脱バインダ処理を施した試料6の場合よ
りも高い値となった。また試料9では脱バインダ処理温
度がさらに高い1000℃であるため、脱バインダ処理
工程中におけるガラスセラミックスの焼結がさらに進
み、残留カーボン量は0.2wt%と増加した。
【0043】また、焼成後の前記焼結密度は残留カーボ
ン量の少ないものほど高い値を示した。銅導体の半田濡
れ性、配線抵抗はいずれの試料の場合も良好であった。
【0044】以上説明したように、脱バインダ処理温度
としては730℃〜1000℃程度の温度範囲が好まし
く、この温度範囲で脱バインダ処理を施した場合に、焼
結後の残留カーボン量が少ない、導電性に優れた金属導
体層を有する、緻密で均一な多層セラミックス回路基板
を製造することができた。さらに、脱バインダ処理温度
としては750℃〜850℃の温度範囲がより好まし
く、この温度範囲で脱バインダ処理を施した場合、より
優れた特性の多層セラミックス回路基板を製造すること
ができた。
【0045】次に、脱バインダ処理温度を800℃、保
持時間を2時間に固定し、不活性ガス雰囲気中のCO2
濃度を1、5、10、20、50、100%と変化させ
て脱バインダ処理を行い、その後の多層セラミックス成
形体における残留カーボン量、焼成後の焼結体の密度、
半田濡れ性及び配線抵抗を調べた。下記の表2にその結
果を示す。
【0046】
【表2】
【0047】上記表2から明らかなように、CO2 濃度
が1%である試料10では残留カーボン量は0.2%と
なり、焼結密度は92%となった。CO2 濃度が5%以
上である試料11〜15ではいずれも残留カーボン量を
0.04〜0.06wt%程度と十分に低い値とするこ
とができ、より望ましい範囲と考えられる0.1wt%
以下の値となった。また焼結密度も99%以上と良好で
あった。焼成後の半田濡れ性、配線抵抗値は試料10〜
15のいずれの場合についても良好であった。
【0048】以上説明したように、望ましくは1%より
多いCO2 濃度、より望ましくは5%より多いCO2
度を有する不活性ガス雰囲気下で脱バインダ処理を施す
ことにより、焼結後の残留カーボン量が少ない、導電性
に優れた金属導体層を有する、緻密で均一な多層セラミ
ックス回路基板を製造することができた。
【0049】次に、脱バインダ処理温度を800℃に固
定し、不活性ガス雰囲気中のCO2濃度を10%に固定
して、脱バインダ処理時間を0.1、0.5、1、2、
5、10時間と変化させて脱バインダ処理後の多層セラ
ミックス成形体における残留カーボン量、焼成後の焼結
体の密度、半田濡れ性及び配線抵抗を調べた。下記の表
3にその結果を示す。
【0050】
【表3】
【0051】脱バインダ処理時間が0.1時間である試
料16では残留カーボン量は0.30wt%となり、望
ましい範囲である0.20wt%より多くなり、焼成密
度は90%以上であった。脱バインダ処理時間を0.5
時間である試料17では残留カーボン量は0.13wt
%まで低減でき、焼結密度も94%とかなり高い値とな
った。脱バインダ処理時間が1時間以上である試料18
〜21では残留カーボン量がいずれも0.04〜0.0
6wt%程度と十分に低くなり、焼結密度はいずれも9
9%以上と極めて良好であった。また、脱バインダ処理
時間を5時間から10時間に延長しても残留カーボン量
は0.01wt%程度しか低減されず、焼結密度におい
ては同等の値となった。銅導体の半田濡れ性、配線抵抗
値は試料16〜21のいずれの場合も良好な値であっ
た。
【0052】以上説明したように、望ましくは0.5時
間以上、より望ましくは1時間以上脱バインダ処理を行
うことにより、焼結後の残留カーボン量が少ない、導電
性に優れた金属導体層を有する、緻密で均一な多層セラ
ミックス回路基板を製造することができた。ただし、5
時間以上脱バインダ処理を行ってもほとんど効果は変わ
らないため、生産効率を考えると0.5時間〜5時間程
度が望ましく、1時間〜5時間程度がより望ましい。
【0053】<比較例>次に、比較例として脱バインダ
処理温度を800℃に固定し、脱バインダ処理時間を2
時間に固定し、脱バインダ処理工程時の雰囲気及び焼成
工程時の雰囲気を変化させて脱バインダ処理後の多層セ
ラミックス成形体における残留カーボン量、焼成後の焼
結体の密度、半田濡れ性及び配線抵抗を調べた。下記の
表4にその結果を示す。なお、表中の焼成雰囲気におい
ては酸素濃度が1ppm程度の窒素雰囲気を単に窒素雰
囲気として記している。
【0054】
【表4】
【0055】脱バインダ処理工程時の雰囲気ガスに窒素
のみを用いた試料22では脱バインダ処理が不充分とな
り、残留カーボン量が望ましい範囲である0.20wt
%以下を上回る0.5wt%となった。この結果、焼結
密度は89%と低い値となり、緻密に焼結させることが
できなかった。
【0056】大気中で脱バインダ処理を施した試料23
では脱バインダ処理後の残留カーボン量は0.02wt
%となり、焼結密度は99.8%と良好であったが、銅
導体が酸化してCu2 Oとなって配線抵抗値が大きくな
り、焼成後に導体回路として使用できなかった。
【0057】試料24においてはCO2 を10%含む窒
素雰囲気下で脱バインダ処理を施したが、不活性ガス雰
囲気(窒素雰囲気)下ではなく大気中で焼成を行ったた
め、試料23の場合と同様に焼結密度は99.5%と良
好であったものの銅導体の酸化により配線抵抗値が大き
くなり、導体回路として使用できなかった。
【0058】上記実施例及び比較例の結果から明らかな
ように、CO2 を含む不活性ガス雰囲気下で脱バインダ
処理を施した後、不活性ガス雰囲気下で焼成することに
よってはじめて焼結後の残留カーボン量が少ない、導電
性に優れた金属導体層を有する、緻密で均一な多層セラ
ミックス回路基板を製造し得る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回路パターンを印刷したグリーンシート
    を積層した後、脱バインダ処理工程、焼成工程を行う多
    層セラミックス回路基板の製造方法において、炭酸ガス
    を含む不活性ガス雰囲気下で脱バインダ処理を施した
    後、不活性ガス雰囲気下で焼成することを特徴とする多
    層セラミックス回路基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 グリーンシート作製における主原料粉末
    がガラスセラミックスを構成する粉末で、かつ前記回路
    パターンが銅を主成分とする組成物で構成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の多層セラミックス回路基
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱バインダ処理工程における処理温度が
    730〜1000℃、処理時間が0.5〜10時間、及
    び雰囲気中の二酸化炭素濃度が1〜100%であること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の多層セラミッ
    クス回路基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 脱バインダ処理工程における処理温度が
    750〜850℃、処理時間が1〜10時間、及び雰囲
    気中の二酸化炭素濃度が5〜100%であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の多層セラミックス回
    路基板の製造方法。
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