JPH09253886A - 690MPa級高張力鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

690MPa級高張力鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH09253886A
JPH09253886A JP8069537A JP6953796A JPH09253886A JP H09253886 A JPH09253886 A JP H09253886A JP 8069537 A JP8069537 A JP 8069537A JP 6953796 A JP6953796 A JP 6953796A JP H09253886 A JPH09253886 A JP H09253886A
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一師 須田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 690MPa級高張力鋼の溶接において、全
姿勢溶接で良好なビ−ド形状、作業性及び作業能率を確
保し、さらに長時間PWHT後の溶接部の高温強度と低
温靭性が良好なフラックス入りワイヤの提供する。 【解決手段】 ワイヤ全重量に対して重量%で、TiO
2:3〜6%、金属弗化物:1〜4%を必須とするスラ
グ剤組成と金属脱酸成分または合金成分を(1)式で表
されるワイヤの炭素当量CeqFCWが0.43〜0.
50%となるように含有し、さらに合金成分としてT
i:0.01〜0.20%、B:0.005〜0.01
5%さらにワイヤ中のMg量と金属弗化物量との比が
0.4≦(Mg量/金属弗化物量)≦0.8であること
を特徴とする690MPa級高張力鋼用ガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤ。 CeqFCW=C+0.08Si+0.07Mn+0.
05Ni+0.07Cr+0.15Mo+0.02Cu
+0.08Mg … (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、690MPa級高
張力鋼の溶接において、溶接ままおよび溶接後熱処理
(以下、PWHTとも言う)を行った後の溶接金属性
能、特に高温強度と低温靭性の両立が可能なフラックス
入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油化学プラントや発電設備で使
用される圧力容器やペンストックなどでは、操業効率向
上の目的でより高圧での操業が望まれ、構造物に使用さ
れる鋼材および溶接部の高強度化が進み、690MPa
級高張力鋼の適用が増加しつつある。従来、これらの鋼
材にはMn−Mo鋼やMn−Mo−Ni鋼が使用されて
いるが、溶接部における、PWHT後の高温強度および
低温靭性、特に装置の設置地域によっては氷点下域での
靭性を考慮して、低温用Mn−Ni系鋼をベースとして
0.5%未満のCrやNi、Cuさらには微量のNbや
V添加したタイプの鋼種も使用されている。これらの鋼
材を用いた装置では、溶接部の強度要求の例として、例
えば620℃×12時間のPWHT後の350℃におけ
る高温強度が600MPaでかつPWHT後におけるの
溶接部の靭性が−30℃で47J以上のようなものがあ
り、従来のフラックス入りワイヤの技術で対応するには
非常に厳しい要求となってきている。
【0003】一方、溶接施工法としては、溶接棒に比べ
高能率であり、姿勢溶接における溶接ビード形状も良好
であることから、フラックス入りワイヤを用いたガスシ
ールドアーク溶接を採用する事例が増加している。特
に、高温高圧で使用される部材には、十分な高温強度と
同時に溶接部の脆性破壊防止の観点から、低温における
靭性の要求もより高度化してきており、高強度と高靭性
の両立が大きな課題となっている。
【0004】また、このような高強度部材の溶接では、
溶接部の残留応力緩和や溶接影響部の軟化、溶接金属中
の水素を拡散放出する等の目的で、溶接部にPWHTを
行うことが一般である。ところが、このPWHTが高温
長時間におよぶ場合には、溶接金属の靭性が劣化するこ
とがある。特にフラックス入りワイヤを用いて施工され
るガスシールドアーク溶接部においては、ソリッドワイ
ヤや溶接棒、サブマージアーク溶接に比べて、溶接金属
中の酸素レベルが高く、PWHTによる靭性劣化の挙動
も異なっており、溶接まま、PWHT後の何れにおいて
も良好な溶接金属性能の得られる、最適な成分設計のフ
ラックス入りワイヤの開発が要望されていた。
【0005】Ni系低合金鋼用フラックス入りワイヤの
PWHT後の溶接金属性能に関しては、例えば、特開昭
52−65736号公報にMn−Ni−Cu鋼系のサブ
マージアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する技術
が開示されているが、この発明のフラックス入りワイヤ
では、ガスーシールドアーク溶接での立向や上向溶接は
困難であると共に、PWHT後の溶接部の高温強度と低
温靭性の両立もできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記690
MPa級高張力鋼の溶接において、全姿勢溶接で良好な
ビ−ド形状、作業性及び作業能率を確保し、さらに長時
間PWHT後の溶接部の高温強度と低温靭性が良好なフ
ラックス入りワイヤの提供することを目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的の
ために、ワイヤ成分を種々検討した結果完成したもので
あり、その要旨は、鋼製外皮内に粉体を充填してなるガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
て、ワイヤ全重量に対して重量%で、TiO2 :3.0
〜6.0%、金属弗化物:1.0〜2.0%、を必須と
するスラグ剤とC:0.15%以下、Si:0.3〜
1.2%、Mn:0.5〜2.5%、Ni:1.0〜
3.0%、Cr:0.3%以下、Mo:0.2%以下、
Cu:0.5%以下、Mg:0.4〜1.2%を必須と
する金属脱酸成分または合金成分を(1)式で表される
ワイヤの炭素当量CeqFCWが0.43〜0.50%
となるように含有し、さらに合金成分としてTi:0.
01〜0.20%、B:0.005〜0.015%を含
有し、さらにワイヤ中のMg量と金属弗化物量との比が
0.4≦(Mg量/金属弗化物量)≦0.8であること
を特徴とする690MPa級高張力鋼用ガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤである。
【0008】
【発明の実施の形態】前述したように、690MPa級
高張力鋼を用いた高温高圧装置の溶接部は、PWHT後
の高温強度、低温靭性の両立が必要である。従来のフラ
ックス入りワイヤを用いた溶接部では、高温強度が得ら
れるが靭性が不足するか、良好な低温靭性が得られるが
高温強度が不足すると言う問題があり、室温における6
90MPa級の強度、350℃にける600MPa級の
強度かつ氷点下域温度における低温靭性の得られる成分
のフラックス入りワイヤの検討は行われていなかった。
本発明者らは、これらの課題を達成するために、合金成
分およびスラグ組成の溶接金属に及ぼす影響を検討した
結果、以下の知見を得た。
【0009】 Si−Mn−Ni系をベースとしたワ
イヤ組成にCr、Mo、Cu、Ti、Bを適正の組合せ
成分となるよう少量ずつ複合添加することにより、高温
強度と低温靭性の両立が可能である。 全姿勢溶接で、安定した低温靭性および高温での延
性が得られるためには、スラグ剤の組成とMgの添加量
を適正な組合せにすることによって、スラグと溶接金属
の粘性を調整し、低温靭性を阻害する非金属介在物を低
下せしめる必要がある。
【0010】本発明は以上の知見を基に、ワイヤの構成
成分を適正な組合せとすることによってのみ効果を発揮
するが、ワイヤの構成要素および個々の添加成分の成分
量限定理由について以下に述べる。 TiO2:3.0〜6.0% TiO2は、アーク安定剤であると共に後述の金属弗化
物と共にスラグ剤の主成分を構成する。溶接時に溶接金
属を被包して大気から遮断すると共に、適度な粘性によ
り溶接ビード形状に影響し、特に姿勢溶接では、他の金
属成分とのバランスによりメタルの垂れ性に大きく影響
する。一方、溶融型または非溶融型の非金属介在物成分
を生成させる原因にもなり、溶接金属性能に影響する。
TiO2が3.0%未満では、スラグの被包が不充分で
姿勢溶接が困難である。また、6.0%を越える場合に
は、金属弗化物との組合せにおいてスラグ量過剰とな
り、姿勢溶接で溶接金属を保持し難くなると共に非溶融
型の非金属介在物が形成され、溶接金属の靭性が劣化す
る。
【0011】金属弗化物:1.0〜2.0% CaF2、NaF、MgF2、BaF2、K2ZrF6等の
弗化物は、溶接アークによって分解生成する弗素ガスの
作用により、溶接金属の脱酸に効果があると共に、スラ
グの塩基度および粘性に大きく影響する。後述のMgと
のバランスにより適正な成分量が決定されるが、金属弗
化物が1.0%未満では、溶接金属の脱酸が不充分とな
り、溶接金属の靭性が劣化する。また2.0%を越える
場合には、スラグ量が過剰になると共に、アークが不安
定となり姿勢溶接性が劣化する。
【0012】C:0.15%以下 本発明における690MPa級鋼用フラックス入りワイ
ヤにおいて、溶接金属の高温強度および低温靭性が最適
となるバランスの合金または金属脱酸剤のワイヤ成分
は、後述のCeqFCWによって決定されるが、個々の
成分についても上限または適正成分範囲の限定が必要で
ある。Cは、溶接金属を固溶強化すると共に、最適なバ
ランス量によって溶接金属の靭性に影響する。またPW
HTを行った場合にCrやMn、Cr、Mo、Nb、V
等との炭化物を形成し易い成分との相互作用により靭性
を劣化させる。ワイヤ中のC量が0.15%を越えて添
加された場合には、低温靭性が劣化すると共に、溶接時
にスパッタが多く発生し溶接作業性も劣化する。また、
Cの下限値は後述のCeqFCWが確保されれば、通常
の鋼製外皮成分の値で良く、特に規定されない。
【0013】Si:0.3〜1.2% Siは溶接金属の脱酸および固溶強化を行う成分であ
る。Siが0.3%未満では溶接金属の強度が確保でき
ない。また、0.3%未満の場合、溶接金属の脱酸が不
充分となり、充分な高温強度および低温靭性が確保でき
なくなると共に、アークが不安定となり、さらに脱酸生
成物として生成されるSiO2量が不足し、スラグ粘性
のバランスが崩れ良好な溶接作業性が得られない。ま
た、1.2%を越えた場合には、溶接金属の低温靭性が
劣化する。
【0014】Mn:0.5〜2.5% MnもSiと同様に溶接金属の脱酸および固溶強化剤と
して作用する。0.5%未満では、脱酸不足により低温
靭性が劣化する。逆に、2.5%を越える場合には、溶
接金属の強度が高くなると共にPWHTによって低温靭
性が劣化する。 Ni:1.0〜3.0% Niは、固溶強化により溶接金属の強度を向上させると
共に、耐食性、低温靭性を著しく向上させる。またNi
は他の合金成分に比べPWHTによる低温靭性に及ぼす
脆化度が少ない。本発明では、他の成分とのバランス上
1.0%以上の添加で高温強度および低温靭性の向上効
果が得られるが、3.0%以上添加すると、強度が過大
となる上に溶接時に高温割れが発生し易くなる。
【0015】Cr:0.3%以下、Mo:0.2%以下 CrおよびMoはMnと同様に、溶接金属の高温強度を
増大させる成分である。しかし過大に添加するとPWH
Tにより溶接金属を脆化させるため、本発明では他の合
金剤とのバランスによりCr:0.3%以下、Mo:
0.2%以下に制限する必要がある。 Cu:0.5%以下 Cuは、溶接金属の強度を発揮させると共に、Niと同
時添加することによって、耐食性性を向上させる。また
ワイヤ表面にCuめっきを施すことによってワイヤの通
電性と送給性を安定化する。ワイヤ中のCu添加量は他
の成分とのバランスにより適正量が決定されるが、0.
5%を越える場合には高温割れが発生する。
【0016】Mg:0.4〜1.2% Mgは高温の溶接アーク中において反応し、強力な脱酸
剤として作用する。また、本発明のワイヤにおいては、
溶融金属の粘性および脱酸反応により生成したMgOが
スラグ組成およびスラグの粘性に大きく影響するため、
後述するように金属弗化物とのバランスにより適正量の
添加が必要である。脱酸による効果が得られるためには
0.4以上の添加が必要である。また、1.2%を越え
るとスラグの粘性が過大になり姿勢溶接における溶接作
業性が劣化する。
【0017】Ti:0.01〜0.20% Tiは少量の添加で結晶粒が微細化し、0.01%以上
添加することによって低温靭性を向上させる。しかし、
0.20%を越えて添加すると強度が過大となり逆に靭
性が劣化する。上記CからTiまでの成分は主として金
属脱酸剤または合金剤として作用するため、金属単体ま
たは合金の形として鋼製外皮または充填フラックスに添
加する。
【0018】B:0.005〜0.015% Bは、微量の添加で溶接金属の焼き入れ性を高め、溶接
金属の強度をおよび低温靭性を向上させる。0.005
%未満では効果が無く、また0.015%を越える場合
には、強度が過大となり靭性が劣化する。Bの効果は金
属単体、合金または酸化による添加の何れでも発揮する
ことができるため、フラックスに添加する場合の形態は
自由である。
【0019】また、本発明ではC、Si、Mn、Ni、
Cr、Mo、CuおよびMgについて、(1)式で表さ
れる炭素当量CeqFCWが0.43〜0.50%であ
ることが必要である。CeqFCWが0.43%未満で
はPWHT後の溶接金属の引張強さが室温で690MP
aかつ350℃における高温引張強さが600MPa以
上である強度が得られない。また、0.50%を越えた
場合には強度が過大となり低温靭性が劣化する。
【0020】本発明はさらに、PWHT後の溶接金属の
高温延性、低温靭性および姿勢溶接における溶接作業性
の何れをも良好とするために、Mg量と金属弗化物量の
比を一定範囲内に保つことをその特徴の一つとしてい
る。一般に、立向や上向溶接のように溶接金属の垂れや
すい溶接姿勢では、界面張力によりスラグが溶接金属を
保持する必要があるが、本発明のようにTiO2および
金属弗化物を主成分としたスラグ系のフラックス入りワ
イヤでは、弗化物を添加したことによりスラグの粘性が
比較的低いのが特徴である。
【0021】Mgは脱酸剤としてアーク雰囲気中のワイ
ヤ先端部や溶滴中で急激に酸化反応しMgOとなるが、
Mgを多量に添加した場合にはこのMgOが溶融スラグ
に固溶することによってスラグの粘性が高まり、溶接作
業性が向上する。Mg量/弗化物量と立向接溶接におけ
るメタルの垂れ性との関係を図1に示すが、Mg量/弗
化物量を0.4以上にすることによってメタルの垂れ性
が向上する。しかし、Mg量/弗化物量が過大な場合に
はスラグの粘性が過大になると共に、スパッタ発生量が
多くなり安定な溶接ができなくなるためMg量/弗化物
量は0.8以下にする必要がある。尚、Mgをフラック
スから添加する場合には金属Mg単体または他の金属元
素との合金による添加の何れでもかまわない。
【0022】また、スラグ剤であるTiO2や弗化物の
不純物としてNbおよびVが不可避的にワイヤ中に存在
するのが通常であるが、これらのNbやVはPWHTに
よって炭化物を形成し易く、PWHT後の低温靭性を劣
化させる。本発明のフラックス入りワイヤではこれらN
b、Vについては規定しないが、何れも0.015%以
下に限定することが好ましい。
【0023】尚、本発明のフラックス入りワイヤには、
上記成分以外にも鉄粉、微量のアーク安定剤、微量のス
ラグ剤等を添加してもその効果には影響無い。またフラ
ックスの充填率は通常のフラックス入りワイヤに適用さ
れている8〜25%の範囲内であれば良いが、アーク安
定性の観点から12%以上が望ましい。さらに適用する
シールドガスもCO2、ArとCO2との混合ガスさらに
これらのガスに少量のO2を添加したもの等通常のMA
G溶接に仕様されるシールドガスであれば何れでも使用
可能である。
【0024】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。軟鋼パイプ製外皮を用い、外皮の中空部にフ
ラックスを充填後、伸線し、1.2mmφに仕上げてフラ
ックス入りワイヤを作成した。尚、弗化物はCaF2
MgF2、K2ZrF6を1:2:1の一定の比で複合添
加した。また、フラックス充填率は全て16%とした。
ワイヤの成分組成を表1に示す。表1の、No.1〜6
は本発明例であり、No.7〜26は比較例である。上
記ワイヤを用いて、表2の条件で立向溶接を行い、アー
ク状態観察およびメタル垂れをおこす上限電圧を測定す
ることによって溶接作業性を評価した。図2は溶接作業
試験方法を示す模式図であり、符号1は試験片、2は溶
接トーチである。溶接作業性が特に不良なもの以外につ
いて、表3の条件で溶接を行い、溶接金属性能試験を実
施した。図3は溶接金属試験における開先形状を示す断
面図である。溶接後の試験体は620℃×12時間のP
WHTを行った後、試験板の板厚中央部からJIS Z
3111 A1号引張り試験片およびJIS G056
7 II−10型高温引張り試験を採取し、溶着金属の
引張り試験を実施した。またJIS Z31114号試
験片により−30℃における2mmVノッチシャルピー
衝撃試験を行った。尚、引張り試験は室温および350
℃の2温度で実施した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表4に試験結果を示す。ここで、衝撃試験
結果は試験片3個の平均で示した。表4から明らかなよ
うに、TiO2が3%未満であるNo.7、逆にTiO2
が6%を越えるNo.8および弗化物量が2%を越える
No.10のワイヤについては、スラグ量が不適正であ
り何れもアークが不安定で、スパッタの発生量も多く、
姿勢は困難であった。また、Siが0.3%未満である
No.12についてもスラグの粘性が不足し安定した立
向溶接は困難であった。さらに、Cuを0.5%を越え
て添加したNo.20では、溶接ビード中央部に高温割
れと思われる縦割れが発生した。
【0029】Cが0.15%を越えるNo.11、Si
が1.2%を越えるNo.13、Niが3.0%を越え
るNo.17、Mgが1.2%を越えるNo.22のワ
イヤは、何れもCeqFCWが0.50%を越え溶接金
属の強度過大となり、良好な低温靭性が得られなかっ
た。さらにTiが0.20%を越えるNo.24および
Bが0.015%を越えるNo.26のワイヤについて
も溶接金属の強度が過大となると共に良好な靭性が得ら
れなかった。
【0030】一方、Mnが0.5%未満であるNo.1
4およびNiが1.0%未満であるNo.16は、Ce
qFCWも0.43未満であるが、何れもワイヤも溶接
金属の強度が690MPa未満となった。Mnが2.5
%を越えるNo.15、Crが0.3%を越えるNo.
18、Moが0.2%を越えるNo.19のワイヤでは
PWHT脆化による靭性不足が認められた。Tiが0.
01%未満のNo.23およびBが0.005%未満の
No.25では良好な靭性が得られなかった。
【0031】弗化物が1.0%未満であるNo.9、M
gが0.4%未満であるNo.21では何れも溶接金属
の脱酸不足が原因と思われる非金属介在物を起点とした
低衝撃値のものが認められ、平均として良好な靭性は得
られなかった。以上の比較例に比べ、本発明例であるN
o.1〜No.6のワイヤは、高温強度および低温靭性
共に良好な値が得られている。
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の6
90MPa級高張力鋼用ガスシールドアーク溶接用フラ
ックス入りワイヤにより、PWHT後の室温強度、高温
強度および低温靭性の何れの点についても良好で、バラ
ンスの取れた溶接金属を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワイヤ中のMg量/弗化物量と上進溶接におけ
る限界電圧の関係を示す図、
【図2】溶接作業性試験方法を示す模式図、
【図3】溶接金属試験における開先形状を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 試験片 2 溶接トーチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮内に粉体を充填してなるガスシ
    ールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワ
    イヤ全重量に対して重量%で、 TiO2 :3.0〜6.0% 金属弗化物:1.0〜2.0% を必須とするスラグ剤と C:0.15%以下 Si:0.3〜1.2% Mn:0.5〜2.5% Ni:1.0〜3.0% Cr:0.3%以下 Mo:0.2%以下 Cu:0.5%以下 Mg:0.4〜1.2% を必須とする金属脱酸成分または合金成分を下記(1)
    式で表されるワイヤの炭素当量CeqFCWが0.43
    〜0.50%となるように含有し、さらに合金成分とし
    て Ti:0.01〜0.20% B:0.005〜0.015% を含有し、さらにワイヤ中のMg量と金属弗化物量との
    比が 0.4≦(Mg量/金属弗化物量)≦0.8 であることを特徴とする690MPa級高張力鋼用ガス
    シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 CeqFCW=C+0.08Si+0.07Mn+0.05Ni+0.07Cr +0.15Mo+0.02Cu+0.08Mg … (1) (ただし、各成分は重量%)
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