JPH09256282A - ゴム製品補強用スチールコード - Google Patents

ゴム製品補強用スチールコード

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JPH09256282A
JPH09256282A JP8087057A JP8705796A JPH09256282A JP H09256282 A JPH09256282 A JP H09256282A JP 8087057 A JP8087057 A JP 8087057A JP 8705796 A JP8705796 A JP 8705796A JP H09256282 A JPH09256282 A JP H09256282A
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rubber
side wires
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多数の側素線と同等の太さの芯素線を有する略
楕円形状のスチールコードについて、芯素線に予めくせ
付け加工を施すことなく、側素線間に所要の間隙を形成
したスチールコードをゴムシートで挾んで加圧し加硫す
るときも所定の間隙が確保されてゴムがスチールコード
内部に容易、確実に浸入するようにその構造を工夫する
ことをその課題とする。 【解決手段】1本の真直ぐな芯素線2の周囲に6本の側
素線3、4・・を配して撚り合わせた1+6構造のオー
プン撚りのスチールコードとし、該スチールコードを圧
縮加工してコードの断面形状がコード長手方向に略同一
向きの偏平オープン構造とし、上記加圧加工時に隣接す
る2本の側素線の間に芯素線2を部分的に割り込ませ、
コード1撚りピッチにおける上記の芯素線の割り込みの
最大量Hmaxを芯素線直径dの30%以上50%以下
としたゴム製品補強用スチールコード。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車用タイヤ、コンベ
アベルト等のゴム製品補強材として使用されるゴム製品
補強用スチールコードに関するものであり、ゴムのスチ
ールコード内部空洞への充填性を改善し、かつ、スチー
ルコードの繰り返し曲げ荷重に対する疲労強度を向上さ
せることができ、これによってスチールコードによって
補強されたゴム製品の耐久性を著しく向上させることが
できるものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム製品補強用スチールコードは、5〜
7本の素線を互いに堅く撚り合わせて密着させた、いわ
ゆるクローズ撚りコードと、素線を互いに緩く撚り合わ
せた、いわゆるオープン撚りコードと、ほとんど撚り合
わせない素線群に他の素線群を堅く撚り合わせたものと
に大別される。クローズ撚りコードの例として図2に示
すものがある。このスチールコード21は芯素線21a
の回りに6本の側素線21bを互いに密着させて撚り合
わせたものである。このスチールコードは芯素線21a
の周囲に空洞部Dが存在しており、側素線21bが互い
に密着しているために、スチールコード21を2枚のゴ
ムシートの間に挾んでこれを圧縮して複合シートを形成
した場合、ゴム材が空洞部Dに浸入せず、単にスチール
コードをゴムシートによって包み込んだだけの複合体と
なり、ゴム材がスチールコードの空洞部Dに完全に入り
込んでゴムシートとスチールコードとが一体化された、
いわば完全な複合体にはならない。このものを自動車の
タイヤに組み込んだものにおいては、ゴム材とスチール
コードとの接着が不十分であり、このために自動車の走
行時にゴム材がスチールコードから剥離していわゆるセ
パレーション現象を起こす可能性が大きく、またゴム材
中の水分やタイヤの切疵より浸入した水分がスチールコ
ード21の空洞部Dに達すると、この水分は空洞部Dを
伝わってたちまちスチールコード21の長手方向に伝播
し、スチールコードを腐食させ、その結果その機械的強
度を著しく低下させることになる。この問題を解決する
ために、上記の空洞部にゴム材が可及的に浸入しやすく
したスチールコードの構造が種々提案されている。例え
ば図3に示すように芯素線32の線径を太くして、芯素
線の回りに密着して撚り合わせた側素線33相互の間に
間隙Cが形成したもの、図4に示すように、芯素線42
に予め小さなスパイラル状くせ付けを施しておいてこれ
に側素線43を密着して撚り合わせたもの(例えば特開
平6−191218号公報)、あるいは図5に示すよう
に芯素線52に予め小さな振幅の波状くせ付けを施して
おいてこれに側素線53を密着して撚り合わせたものが
その一例である(例えば、特開平6−191217号公
報)。さらに、素線に過大な型付けを施し、各素線間に
間隙を設けながら緩く撚り合わせたいわゆるオープン撚
りのスチールコード(例えば特開昭57−43866号
公報)や、図6に示すような上記オープン撚りのスチー
ルコードをローラで偏平に潰して断面形状を楕円にした
いわゆる偏平オープン撚りスチールコード(特開平2−
133687号公報)もまたその一例である。図3に示
す従来のスチールコード31の構造は、芯素線32と側
素線33との間の間隙にゴム材が十分浸入し、その結果
空洞部は形成されず、したがってスチールコード内部を
水分が伝播することはないが、芯素線32の径が太いた
めにスチールコード31の直径が大きくなり、そのため
にゴムシートの厚みが大きくなる。これを自動車に用い
た場合スチールコード31の直径が大きくなるために、
スチールコードのタイヤの円周方向曲げに対する柔軟性
が乏しく、乗り心地が損なわれる。さらに、このものは
芯素線32が常に側素線33に接触しているので、フレ
ッティング摩耗を生じ、このためにスチールコードの疲
労値が高く、耐久性が低い。また、芯素線42にスパイ
ラル状くせ付けをした図4に示すスチールコード41
は、芯素線42に側素線43が常に接触しているもので
はないので疲労値は改善されるが、断面形状が略真円形
状であるので、スチールコードの曲げに対する剛性がど
の方向に対しても同じであり、タイヤの所定のコーナリ
ング性能を確保するようにする(所定のタイヤの横方向
剛性を確保できるようにスチールコードの直径を選択す
る)と、タイヤの円周方向の曲げに対する剛性が高す
ぎ、乗り心地が悪くなる。また、上記スチールコード4
1は、図2のようなクローズ撚りのスチールコード21
に比べてコード径が太くなり、カレンダー(ゴム被覆工
程)後のシートが厚くなってしまい、加えてコード径が
太いためにシートに所要本数のスチールコードを埋め込
むことができず、シートの強度が低い。したがってこれ
をタイヤに用いるときはシートの重ね枚数を増やす必要
があり、結果としてタイヤの重量が増加する。また、芯
素線52に波状のくせ付けを施した図5に示すスチール
コード51は、芯素線52の移動軌跡で描かれる略トラ
ック型(いわゆる運動場のトラック)の空間(図中の点
線で囲まれた空間)の中に側素線53が入り込みにくい
ために、芯素線52の自由度がある程度大きい。そのた
め、芯素線52が上下のゴムシートの間にスチールコー
ドを挾んで加圧し加硫して一体化する加工による外力に
より移動しやすく、スチールコードの安定性が低下す
る。したがって、スチールコード製造時やゴムシート製
造時の取扱作業性が悪くなる。さらに、このスチールコ
ード41および51は、芯素線にスパイラル状あるいは
波状のくせ付け加工を施すため、その分製造コストが高
くなる。また、上記スチールコード41および51は、
スパイラル状あるいは波状のくせのピッチに対応して、
側素線の撚りピッチを設定する必要があり(そうでない
と、撚り形状が崩れる)、したがって、撚線機の調整作
業が容易でなく、取扱作業性に問題がある。また、図6
に示す偏平オープン状のスチールコード61において
は、ゴム材が各素線62の全周に接着し、かつスチール
コード内部まで十分に浸入するためには、各素線間の間
隙をゴム材が浸入するに十分な間隔、すなわち0.02
mm以上にする必要がある。しかし、このように間隙を
各素線間に十分にとると、スチールコードの製造時にお
いて撚り構造が不安定になりやすく、素線の片寄りが生
じたり撚りがスチールコードの長手方向に不均一になる
という問題がある。このものは各素線の自由度が比較的
大きいので、スチールコードをゴムシートに埋め込んで
加硫プレスする際に、せっかく生じた隙間が外力によっ
て減少し、あるいは素線移動により間隙の偏りが生じ、
ゴム材がコード内部に十分に浸入しにくくなる。こうな
ると、繰り返し曲げ応力によって座屈が生じやすくな
り、スチールコードひいてはゴム製品の寿命が短くなっ
てしまう。また、この偏平オープン状のスチールコード
61は低荷重での伸びが大きいためにゴムシート製造工
程における取扱いが難しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は多数の側素線
と同等の太さの芯素線を有する略楕円形状のスチールコ
ードについて、芯素線に予めくせ付け加工を施すことな
く、側素線間に所要の間隙を形成したスチールコードを
ゴムシートで挾んで加圧し加硫するときも所定の間隙が
確保されてゴムがスチールコード内部に容易、確実に浸
入するようにその構造を工夫することをその課題とする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題解決のために講
じた手段は次ぎの要素(イ)〜(ニ)によって構成され
るものである。 (イ)1本の芯素線の周囲に6本の側素線を配して撚り
合わせた1+6構造のスチールコードとしたこと、
(ロ)真直ぐな芯素線の周囲に側素線を撚り合わせたオ
ープン構造としたものを圧縮加工してコードの断面形状
がコード長手方向に略同一向きの偏平オープン構造とし
たこと、(ハ)上記加圧加工時に隣接する2本の側素線
の間に芯素線を部分的に割り込ませたこと、(ニ)コー
ド1撚りピッチにおける上記の芯素線の割り込みの最大
量を芯素線直径の30%以上50%以下としたこと。
【0005】
【作 用】図1を参照しつつ作用を説明する。真直ぐな
芯素線2は6本の撚られた側素線3の中にあって、スチ
ールコード1が圧縮加工によって略楕円形状に潰される
のであるから芯素線2が上下の側素線の間で強圧されて
隣接する側素線間に割り込んで側素線と組み合わされ
る。そしてこの割り込みは、コードの1撚りピッチにお
いて小さいところと大きい(割り込み最大)ところがあ
り(図1の割り込み状態を参照)、割り込みの増減がコ
ードの1撚りピッチ間隔で周期的に繰り返す状態であ
る。そして、隣接する側素線3と4との間に割り込んだ
割込量H(図1参照)は、芯素線2の外周が側素線3、
4の共通接線Lから突出した量(図示の共通接線Lと芯
素線2の接線L1の間隔)である。この割込量Hはスチ
ールコードに沿って、最大、最小の間で周期的に変動す
るが、この最大値の大小は、主としてスチールコード1
が圧縮加工によって略楕円形状に潰されるときのその圧
縮力の大小やスチールコードの撚りピッチの大小や側素
線の型付け率の大小によって調節される。スチールコー
ドを撚るときは真直ぐな芯素線が芯になるので撚り構造
が安定し、側素線が片寄ること、側素線の撚りが不均一
になることが回避される。また、潰された楕円形状に成
形された状態では、芯素線が側素線と堅く組み合わされ
るので、側素線の自由度が小さくなり、したがって、上
下のゴムシート間にスチールコードを挾んで加圧し加硫
するときも、側素線間の間隙が変動しにくく、所定の間
隙が保たれる。したがって、この間隙からゴムがスチー
ルコードの内部に浸入しやすく、ゴムがスチールコード
内に十分充填される。最大割込量が小さいと上記の作用
・効果が小さくなり、反対に最大割込量が大きいと上記
の作用・効果は大きいが、スチールコードに対する上記
の圧縮加工のために素線表面に生じる圧痕や損傷が増大
し、その結果スチールコードの疲労強度が低下する。そ
して、上記最大割込量Hmaxが芯素線径dに対して
0.3dに満たない場合は芯素線の上記の作用が小さ
く、そのために側素線の自由度が大きくなり、実用上の
効果はほとんど期待されない。反対に最大割込量Hma
xが芯素線径dに対して0.5dを超えると上記の圧
痕、損傷のための疲労強度の低下が顕著になり実用上望
ましくない。勿論、上記の圧痕、損傷を防止するための
特別な表面処理を素線に施せば最大割込量Hmaxを
0.5dよりも大きくすることが実用上可能ではある
が、最大割込量Hmaxを0.5dよりも大きくして
も、上記作用・効果はそれほど増大しない。なお、側素
線の数が少ないほど芯素線の曲がりが緩やかになり上記
の作用・効果は軽微になる。反対に側素線の数が多いと
芯素線の曲がりがきつくなるので、加圧加工時に素線表
面に生じる圧痕や損傷が増大し、その結果、スチールコ
ードの疲労強度が低下する。したがって、側素線の数が
5本、7本でも本発明の作用・効果を全く生じないでは
ないが、側素線を6本とするスチールコードが最も実用
的である。
【0006】
【実施態様】スチールコードの撚りピッチを6〜20m
mとする。6mm以下では極度の加工のために断線が生
じやすく、またスチールコードの単位長さ当たりの撚り
回数が多くなり生産性が低下する。また、芯素線のくせ
ピッチは側素線の撚りピッチよりも小さいので6mm未
満では、芯素線を隣接する側素線の間に大きく割り込ま
せることが物理的に困難である。他方、スチールコード
の撚りピッチが20mm以上であるときは、スチールコ
ードの柔軟性が小さくなり、またフレアーも生じやすく
なるので実用的でない。芯素線の線径を0.2mm〜
0.4mmとする。素線が余り細いと素線の強度が不足
し、余り太いとスチールコードの柔軟性が不足し、疲労
値が低くなる。断面形状が楕円形状の本発明のスチール
コードにおいてはこのことが一層顕著であり、0.4m
mを超えると実用的でない。
【0007】
【実 施 例】次いで、図1を参照しつつ実施例を説明
する。このスチールコード1は、素線径0.35mmの
真直ぐな1本の芯素線2の周囲に型付けした6本の側素
線を撚りピッチ16mmで、平均コード直径が1.07
mmの略真円形に撚り合わせ、これを圧延ローラによっ
て長径が1.36mm、短径が0.99mmの略楕円形
状に成形したものである。この圧延ローラによる加圧加
工により、芯素線は塑性変形して隣合う側素線の間に割
り込む。このスチールコードを樹脂に埋め込み、これを
スチールコードの長手方向に2mm間隔で切断した各断
面を撮影した拡大写真が図9に示す8枚の写真である。
この写真のうち割込量が最大(コードの1撚りピッチに
おける最大)のものにおける割込量を測定することによ
ってこの実施例における最大割込量を測定することがで
きる。3番目の写真が割込量が最大である。本発明のス
チールコードの特性を確認するために、最大割込量を適
宜変えた本発明のスチールコード数種(0.32d、
0.43d、0.48d)と従来のスチールコード数種
と二つの比較例(最大割込量が0.17d、0.58
d)との比較試験を行い、ゴムの浸入率、剛性比、耐疲
労性、取扱作業性について定量的に評価した。この評価
結果は次ぎの表1に示すとおりである。
【表 1】 なお、このテストの試験条件、評価方法は次ぎのとおり
である。ゴム浸入率は、各コードに5Kgの引張荷重を
かけた状態でゴム中に埋め込み、加硫した後、コードを
ゴム中から取り出してそのコードを分解して素線の一定
長さを観察し、観察した長さに対してゴムと接触した形
跡のある長さの比をパーセント表示した。ゴム浸入率は
通常70%以上必要である。耐疲労性は、複数本のスチ
ールコードをゴムシートに埋め込んだ複合体シートを用
いて3点プーリー曲げ疲労試験機により疲労試験を行
い、埋設したスチールコードがフレッティング摩耗、座
屈等を経て破断するに至るまでの繰り返し回数計数した
ものである。そして、実験No.6の従来のクローズ撚
り構造のものの耐疲労評価値を100として指数表示し
たものである。この値が高いほど耐疲労強度が高いこと
を表している。また、剛性比は図7に示すように、三点
曲げ試験機によりテストピース71のスパン(SP=2
0mm)において5mm押さえ込んだときの荷重Gを測
定した値であり、スチールコードの短径軸方向のものに
ついての上記荷重Gと長径軸方向のものについての上記
荷重G1との比(G/G1)をパーセント表示したもので
ある。この比が小さいほどこれをタイヤに適用したとき
のタイヤの円周方向の柔軟性が高く(剛性が低く)横方
向の剛性が高い(横方向の柔軟性が低い)ことを意味す
る。図8に示すように、5本のテストコード82を横一
列に、100%モジュラスが35Kg/cm2よりなる
ゴムシート83に埋め込んでテストピース81を作成
し、これについて剛性試験を行った。上記ゴムシート8
3の寸法は、厚みT=4mm、幅W=15mm、長さL
=100mmである。なお、短径軸方向の曲げ剛性は図
8の(a)に示すようにテストコード82を横にして埋
め込んだものの曲げ剛性であり、長径軸方向の曲げ剛性
は同図(b)に示すように、テストコード82を縦にし
て埋め込んだものの曲げ剛性である。取扱作業性は、ス
チールコード製造時、複合体シート成形時の作業の繁雑
さならびにスチールコードの取扱作業性の評価であり、
また製造時の加工の難易度も考慮して、実験No.6の
スチールコードと比較して非常に劣るものを×、少し劣
るものを△、差がないものを○として三段階評価したも
のである。表1の結果に基づいて各スチールコードの評
価を以下に述べる。図2に示す断面形状の従来のスチー
ルコード(実験No.6)は、本発明の実施例(実験N
o.1〜実験No.3)に比べてゴム浸入率が極めて劣
り、そのため耐疲労性が悪く、柔軟性に欠け、しかもシ
ートも厚くなる等の問題が生じる。図4に示す断面形状
の、芯素線に略スパイラル状のくせを付けた従来のスチ
ールコード(実験No.7)は、ゴム浸入率が80であ
り、本発明の実施例のゴム浸入率100に比してかなり
低い。また剛性比は99であり、本発明の実施例の剛性
比93〜95に比してかなり高い。また、本願の実施例
のスチールコードに比べ短径側のコード径がかなり大き
い。この為、このようなコードを用いた場合、シート厚
を薄くすることはできず、乗心地性を悪くする結果とな
る。さらにまた、芯素線にスパイラル状のくせ付け加工
を施す必要があるため、製造コストや設備コストが高く
なり、取扱作業性もやや悪かった。図5に示す断面形状
の、芯素線に波状のくせ付けをしたスチールコード(実
験No.8)は最大割込量が0.15dであって小さ
く、ゴム浸入率が60%であって低い。このものはスチ
ールコード製造時およびゴムシート製造時の取扱作業性
が悪く、特にスチールコードに付与する張力の適正な制
御が難しい。構造的には本発明の実施例と同じで最大割
込量を0.17dとした比較例、すなわち実験No.4
はスチールコードの安定性が悪く、ゴム浸入率は65%
に止まり、取扱作業性も悪い。最大割込量を0.58d
とした同様の比較例、すなわち実験No.5のスチール
コードは、本発明の実施例(実験No.1〜No.3)
に比して耐疲労性が著しく低い。これはコードの最大割
込量が大きすぎ、過度の圧縮加工による素線の圧痕、損
傷が顕著であるためである。以上の、従来例、比較例に
比して、本発明の実施例(実験No.1〜No.3)は
ゴム浸入率が100%と極めて高く、耐疲労性は105
〜108と高く、さらに、剛性比は93〜95と小さ
い。このために、これをタイヤに適用した場合、タイヤ
はその円周方向の柔軟性が高く、したがって、乗り心地
がよく、また、横方向への剛性が高く、したがってコー
ナリング特性がよい。また、取扱作業性は従来のものに
比して良好である。
【0008】
【効 果】本発明のスチールコードはコード長手方向の
略全域にわたってコード内部に空洞部を有さず、ゴム浸
入性が安定して高い。また、ゴムに埋め込んでシートに
した際のシート厚を薄くできるのでタイヤ重量を小さく
抑えることができ、自動車の燃費を向上できる。また、
タイヤの円周方向(回転方向)の剛性を低くできるので
乗り心地性を向上でき、また、タイヤ横方向への剛性を
高くできるのでコーナリング性能を高めることができ
る。さらに本発明のスチールコードは長手方向の撚りの
安定性が格段に優れているので、上記のとおりのゴム浸
入が極めて良好である外、スチールコードの取扱作業性
が極めて良好である。さらに、真直ぐな素線を芯素線と
してスチールコードを撚り合わせるものであるから、従
来のバンチャー型、チューブラー型のいずれの撚線機で
も製造でき、撚り不良を生じることはなく(芯素線に予
めくせ付けをした図4、図5の従来のものにおいては撚
り不良を生じることが製造上の問題である)、さらに、
側素線の撚りピッチを芯素線のくせのピッチに合わせる
ためのピッチ調整が必要でないので、それだけ側素線の
ピッチ調整が簡単であり、取扱いも容易であり、さらに
芯素線に予めくせ付けを施す必要はない。したがって、
図4、図5の従来例に比して製造コストを著しく低減す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスチールコードの断面図である。
【図2】芯素線の回りに6本の側素線を互いに密着させ
て撚り合わせた従来のスチールコードの断面図である。
【図3】線径の太い芯素線の回りに密着して撚り合わせ
た側素線相互の間に間隙を形成した従来のスチールコー
ドの断面図である。
【図4】芯素線に予め小さな半径のスパイラル状くせを
施し、これに側素線を密着して撚り合わせた従来のスチ
ールコードの断面図である。
【図5】芯素線に予め小さな振幅の波状くせ付けを施
し、これに側素線を密着して撚り合わせた従来のスチー
ルコードの断面図である。
【図6】従来の偏平オープン撚りスチールコードの断面
図である。
【図7】剛性試験機の概略図である。
【図8】(a)短径軸方向にスチールコードを埋め込ん
だ試験片の斜視図であり、(b)長径軸方向にスチール
コードを埋め込んだ試験片の斜視図である。
【図9】本発明の実施例のスチールコード(1+6構
造)の1撚りピッチにおける2mmきざみの断面拡大写
真である。
【符号の説明】
1、21、31、41、51・・・スチールコード 2、21a、32、42、52・・・芯素線 3、4、21b、33、43、53・・・側素線 61・・・偏平オープン状のスチールコード 62・・・素線 71、81・・・テストピース 82・・・テストコード 83・・・ゴムシート C・・・間隙 D・・・空洞部 H・・・割込量 d・・・素線径
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【実 施 例】次いで、図1を参照しつつ実施例を説明
する。このスチールコード1は、素線径0.35mmの
真直ぐな1本の芯素線2の周囲に型付けした6本の側素
線を撚りピッチ16mmで、平均コード直径が1.07
mmの略真円形に撚り合わせ、これを圧延ローラによっ
て長径が1.36mm、短径が0.99mmの略楕円形
状に成形したものである。この圧延ローラによる加圧加
工により、芯素線は塑性変形して隣合う側素線の間に割
り込む。このスチールコードを樹脂に埋め込み、これを
スチールコードの長手方向に2mm間隔で切断した各断
面を撮影した拡大写真の複写図(1〜8)を図9に示
す。図9のうち割込量が最大(コードの1撚りピッチに
おける最大)のものにおける割込量を測定することによ
ってこの実施例における最大割込量を測定することがで
きる。3番目の複写図が割込量が最大である。本発明の
スチールコードの特性を確認するために、最大割込量を
適宜変えた本発明のスチールコード数種(0.32d、
0.43d、0.48d)と従来のスチールコード数種
と二つの比較例(最大割込量が0.17d、0.58
d)との比較試験を行い、ゴムの浸入率、剛性比、耐疲
労性、取扱作業性について定量的に評価した。この評価
結果は次ぎの表1に示すとおりである。
【表 1】なお、このテストの試験条件、評価方法は次
ぎのとおりである。ゴム浸入率は、各コードに5Kgの
引張荷重をかけた状態でゴム中に埋め込み、加硫した
後、コードをゴム中から取り出してそのコードを分解し
て素線の一定長さを観察し、観察した長さに対してゴム
と接触した形跡のある長さの比をパーセント表示した。
ゴム浸入率は通常70%以上必要である。耐疲労性は、
複数本のスチールコードをゴムシートに埋め込んだ複合
体シートを用いて3点プーリー曲げ疲労試験機により疲
労試験を行い、埋設したスチールコードがフレッティン
グ摩耗、座屈等を経て破断するに至るまでの繰り返し回
数計数したものである。そして、実験No.6の従来の
クローズ撚り構造のものの耐疲労評価値を100として
指数表示したものである。この値が高いほど耐疲労強度
が高いことを表している。また、剛性比は図7に示すよ
うに、三点曲げ試験機によりテストピース71のスパン
(SP=20mm)において5mm押さえ込んだときの
荷重Gを測定した値であり、スチールコードの短径軸方
向のものについての上記荷重Gと長径軸方向のものにつ
いての上記荷重Gとの比(G/G)をパーセント表
示したものである。この比が小さいほどこれをタイヤに
適用したときのタイヤの円周方向の柔軟性が高く(剛性
が低く)横方向の剛性が高い(横方向の柔軟性が低い)
ことを意味する。図8に示すように、5本のテストコー
ド82を横一列に、100%モジュラスが35Kg/c
よりなるゴムシート83に埋め込んでテストピース
81を作成し、これについて剛性試験を行った。上記ゴ
ムシート83の寸法は、厚みT=4mm、幅W=15m
m、長さL=100mmである。なお、短径軸方向の曲
げ剛性は図8の(a)に示すようにテストコード82を
横にして埋め込んだものの曲げ剛性であり、長径軸方向
の曲げ剛性は同図(b)に示すように、テストコード8
2を縦にして埋め込んだものの曲げ剛性である。取扱作
業性は、スチールコード製造時、複合体シート成形時の
作業の繁雑さならびにスチールコードの取扱作業性の評
価であり、また製造時の加工の難易度も考慮して、実験
No.6のスチールコードと比較して非常に劣るものを
×、少し劣るものをΔ、差がないものを○として三段階
評価したものである。表1の結果に基づいて各スチール
コードの評価を以下に述べる。図2に示す断面形状の従
来のスチールコード(実験No.6)は、本発明の実施
例(実験No.1〜実験No.3)に比べてゴム浸入率
が極めて劣り、そのため耐疲労性が悪く、柔軟性に欠
け、しかもシートも厚くなる等の問題が生じる。図4に
示す断面形状の、芯素線に略スパイラル状のくせを付け
た従来のスチールコード(実験No.7)は、ゴム浸入
率が80であり、本発明の実施例のゴム浸入率100に
比してかなり低い。また剛性比は99であり、本発明の
実施例の剛性比93〜95に比してかなり高い。また、
本願の実施例のスチールコードに比べ短径側のコード径
がかなり大きい。この為、このようなコードを用いた場
合、シート厚を薄くすることはできず、乗心地性を悪く
する結果となる。さらにまた、芯素線にスパイラル状の
くせ付け加工を施す必要があるため、製造コストや設備
コストが高くなり、取扱作業性もやや悪かった。図5に
示す断面形状の、芯素線に波状のくせ付けをしたスチー
ルコード(実験No.8)は最大割込量が0.15dで
あって小さく、ゴム浸入率が60%であって低い。この
ものはスチールコード製造時およびゴムシート製造時の
取扱作業性が悪く、特にスチールコードに付与する張力
の適正な制御が難しい。構造的には本発明の実施例と同
じで最大割込量を0.17dとした比較例、すなわち実
験No.4はスチールコードの安定性が悪く、ゴム浸入
率は65%に止まり、取扱作業性も悪い。最大割込量を
0.58dとした同様の比較例、すなわち実験No.5
のスチールコードは、本発明の実施例(実験No.1〜
No.3)に比して耐疲労性が著しく低い。これはコー
ドの最大割込量が大きすぎ、過度の圧縮加工による素線
の圧痕、損傷が顕著であるためである。以上の、従来
例、比較例に比して、本発明の実施例(実験No.1〜
No.3)はゴム浸入率が100%と極めて高く、耐疲
労性は105〜108と高く、さらに、剛性比は93〜
95と小さい。このために、これをタイヤに適用した場
合、タイヤはその円周方向の柔軟性が高く、したがっ
て、乗り心地がよく、また、横方向への剛性が高く、し
たがってコーナリング特性がよい。また、取扱作業性は
従来のものに比して良好である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスチールコードの断面図である。
【図2】芯素線の回りに6本の側素線を互いに密着させ
て撚り合わせた従来のスチールコードの断面図である。
【図3】線径の太い芯素線の回りに密着して撚り合わせ
た側素線相互の間に間隙を形成した従来のスチールコー
ドの断面図である。
【図4】芯素線に予め小さな半径のスパイラル状くせを
施し、これに側素線を密着して撚り合わせた従来のスチ
ールコードの断面図である。
【図5】芯素線に予め小さな振幅の波状くせ付けを施
し、これに側素線を密着して撚り合わせた従来のスチー
ルコードの断面図である。
【図6】従来の偏平オープン撚りスチールコードの断面
図である。
【図7】剛性試験機の概略図である。
【図8】(a)短径軸方向にスチールコードを埋め込ん
だ試験片の斜視図であり、(b)長径軸方向にスチール
コードを埋め込んだ試験片の斜視図である。
【図9】本発明の実施例のスチールコード(1+6構
造)の1撚りピッチにおける2mmきざみの断面拡大写
真の複写図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の側素線と同等の太さの芯素線を有す
    るほぼ楕円形状のゴム製品補強用スチールコードにおい
    て、 1本の芯素線の周囲に6本の側素線を配して撚り合わせ
    た1+6構造のスチールコードとし、 真直ぐな芯素線の周囲に側素線を撚り合わせたオープン
    構造としたものを圧縮加工してコードの断面形状がコー
    ド長手方向に略同一向きの偏平オープン構造とし、 上記加圧加工時に隣接する2本の側素線の間に芯素線を
    部分的に割り込ませ、 コード1撚りピッチにおける上記の芯素線の割り込みの
    最大量を芯素線直径の30%以上50%以下とした上記
    ゴム製品補強用スチールコード。
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