JPH09263970A - 亜鉛系メッキ鋼板 - Google Patents
亜鉛系メッキ鋼板Info
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Abstract
条件とし、融点が高く、且つ良好な接着性を示す化学組
成を有する皮膜を亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層表面に形
成させる。 【解決手段】 亜鉛系メッキ鋼板の表面にFe-Ni-Zn-O系
皮膜を形成し、上記皮膜中Ni含有量を10〜5000mg/m2 、
Znを5 〜5000mg/m2 、且つ酸素を1 〜50at.%とする(基
本条件)。更に上記皮膜中のFe/(Fe+Ni)(wt.
% 比率) を、要求される特性水準即ち、用途により0 超
〜0.9 、0.05〜1.0 未満、または0.05〜0.9 のいずれか
とする。基本条件の酸素を1 〜20at.%に制限し、更にF
e/(Fe+Ni)を0.05〜0.9 に制限する。また、基
本条件のNi含有量を10〜4000mg/m2、Znを5 〜4000mg/m
2 に制限し、更にFe/(Fe+Ni)を0.1 〜0.3 に
制限する。
Description
板の改良に関するものであり、特に、プレス成形性、ス
ポット溶接性、接着性および化成処理性の内、少なくと
もプレス成形性に優れ、且つ、用途に応じて適宜、スポ
ット溶接性、接着性および化成処理性に優れた亜鉛系メ
ッキ鋼板に関するものである。
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性、塗装適合性等のほかに、車体
製造工程において要求される性能として、プレス成形
性、スポット溶接性、接着性および化成処理性に優れて
いることが重要である。
鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。
これは亜鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、
冷延鋼板の場合に比較して大きいことが原因である。即
ち、この摺動抵抗が大きいので、ビードと亜鉛系メッキ
鋼板との摺動抵抗が著しく大きい部分で、亜鉛系メッキ
鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起
こりやすくなる。
せる方法としては、一般に高粘度の潤滑油を塗布する方
法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑油
の高粘性のために、塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥
が発生したり、またプレス時の油切れにより、プレス性
能が不安定になる等の問題がある。従って、亜鉛系メッ
キ鋼板のプレス成形性が改善されることが強く要請され
ている。
時に電極である銅が溶融した亜鉛と反応して脆い合金層
を形成しやすいために、銅電極の損耗が激しく、その寿
命が短く、冷延鋼板に比べて連続打点性が劣るという問
題がある。
車体の防錆、制振等の目的で各種の接着剤が使用される
が、近年になって亜鉛系メッキ鋼板の接着性は冷延鋼板
の接着性に比較して劣ることが明らかになってきた。
昭53-60332号公報および特開平2-190483号公報は、亜鉛
系メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処
理、または加熱処理を施すことにより、ZnO を主体とす
る酸化膜を形成させて溶接性、または加工性を向上させ
る技術(以下、「先行技術1」という)を開示してい
る。
板表面にMn酸化物、リン酸およびその他酸化物からなる
Mn系酸化物皮膜を被覆したプレス成形性、化成処理性を
向上させる技術(以下、「先行技術2」という)を開示
している。
板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗布酸化処
理または加熱処理により、Ni酸化物を生成させることに
よりプレス成形性および化成処理性を向上させる技術
(以下、「先行技術3」という)を開示している。
から選ばれた1種または2種以上の金属を亜鉛系メッキ
鋼板の表面に置換析出させる方法、特開昭58-67785号公
報は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、例えば、電気メッキ
または化学メッキにより、NiおよびFe等の金属を生成さ
せて耐食性を向上させる技術(以下、「先行技術4」と
いう)を開示している。
なるFe-Zn 系連続被覆表面層、あるいはこの系に少量の
Ni等を含む表面層を、設けることにより、カチオン電着
塗装性を向上させる技術(以下、「先行技術5」とい
う)を開示している。
鉛メッキ鋼板の上層としてNi:30wt.% 以下を含有する電
気Zn-Ni 合金メッキ層を形成することにより、加工性を
向上させる技術(以下、「先行技術6」という)を開示
している。
た先行技術には下記の問題がある。先行技術1は、上述
した各種処理により、メッキ層表面にZnO を主体とする
酸化物を生成させる方法であるため、プレス金型とメッ
キ鋼板との摺動抵抗の低減効果は少なく、プレス成形性
の改善効果は少く、また、ZnO 主体の酸化物がメッキ表
面に存在すると接着性が劣化するという問題を有する。
亜鉛系メッキ鋼板の表面に形成する方法であるため、プ
レス成形性および化成処理性の改善効果は大きいが、ス
ポット溶接性、接着性は劣化するという問題を有する。
成させる方法であるため、耐食性は向上するが、一方、
接着性が低下するという問題がある。先行技術4は、Ni
等の金属のみを形成させる方法であるため、耐食性は向
上するが、皮膜の金属的性質が強いためプレス成形性の
改善効果が十分ではない。更に、金属の接着剤に対する
濡れ性が低く、十分な接着性が得られないと言う問題が
ある。
Ni等の金属のみを形成させる方法であるため、皮膜の金
属的性質が強いためプレス成形性の改善効果が十分では
ない。更に、金属の接着剤に対する濡れ性が低く、十分
な接着性が得られないと言う問題がある。
を解決して、プレス金型との摺動抵抗が小さいことを基
本条件とし、且つ、融点が高く、しかも良好な接着性を
示す化学成分組成を有する皮膜を亜鉛系メッキ鋼板のメ
ッキ層表面に形成させることにより、プレス成形性に優
れていることを前提とし、用途に応じて適宜、スポット
溶接性、接着性および化成処理性に優れた亜鉛系メッキ
鋼板を提供することにある。
問題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系メッ
キ鋼板のメッキ層の表面に、Fe-Ni-O 系の適正な皮膜を
形成することによりプレス成形性、スポット溶接性、接
着性および化成処理性を改善できることを見出し、特願
平6ー257499号により、プレス成形性に優れてい
ることを前提とし、用途に応じて適宜、スポット溶接
性、接着性および化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板
について特許出願をした。
では、Fe-Ni-O 系皮膜付着量が多い場合に化成処理皮膜
の密着性がやや劣るという問題を見出だし、化成処理性
をさらに改善すべく、鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系メ
ッキ鋼板のメッキ層の表面に、Fe-Ni-Zn-O系の適正な皮
膜を形成することによりプレス成形性、スポット溶接
性、接着性および化成処理性を改善できることを見出し
た。
成形性において、冷延鋼板に比較して劣る。それは、亜
鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が大きいから
である。その原因は、高面圧下において、低融点の亜鉛
と金型が凝着現象を起こすためである。これを防ぐため
には、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、亜鉛また
は亜鉛合金メッキ層より硬質で、且つ高融点の皮膜を形
成することが有効である。この発明におけるFe-Ni-Zn-O
系皮膜は硬質かつ高融点であるから、亜鉛系メッキ鋼板
の表面に、Fe-Ni-Zn-O系皮膜を形成することにより、プ
レス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺動
抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑り込
みやすくなり、プレス成形性が向上する。また、この発
明におけるFe-Ni-Zn-O系皮膜のNiは高面圧下での摺動時
に新生面が露出した場合に、プレス油の成分を吸着しや
すい性質があり、その吸着膜により凝着現象を防ぐ効果
がある。
における連続打点性において、冷延鋼板に比較して劣
る。その原因は、溶接時に溶融した亜鉛が電極の銅に拡
散して脆弱な合金層を生成するために、合金層の剥離に
よる電極先端径の拡大を生じるためである。従って、亜
鉛系メッキ鋼板の連続打点性を改善する方法としては、
メッキ表面に、高融点の皮膜を形成し、メッキ金属と銅
電極との反応を抑制することが有効である。本発明者ら
は亜鉛系メッキ鋼板のスポット溶接性を改善するため
に、各種の皮膜について検討した結果、NiあるいはNi酸
化物皮膜が特に有効であることを見出した。この理由は
明らかでないが、非常に高融点のNi酸化物が亜鉛の銅電
極への拡散を抑制し、銅電極の損耗を低減する、あるい
は、NiがZnと反応し高融点のZn-Ni 合金を形成し、亜鉛
と銅電極の反応を抑制することによるものと推定され
る。
鋼板に比較して劣ることは知られていたが、この原因は
明らかになっていなかった。そこで、本発明者らは、こ
の原因について調査した結果、鋼板表面の酸化皮膜の組
成により、接着性が支配されることが明らかになった。
すなわち、冷延鋼板の場合には鋼板表面の酸化皮膜はFe
酸化物主体となるのに対し、亜鉛系メッキ鋼板では主に
Zn酸化物が主体となる。この、酸化皮膜の組成により接
着性が異なっており、Zn酸化物はFe酸化物に比べて接着
性が劣っていた。従って、本発明のように亜鉛系メッキ
鋼板の表面にFe酸化物皮膜を形成することによって、接
着性を改善することが可能である。
冷延鋼板に比較して劣るのは、鋼板表面のZn濃度が高い
ために、形成されるリン酸塩結晶が粗大で不均一となる
こと、および、リン酸塩結晶の質が異なることに起因す
る。鋼板表面のZn濃度が高い場合には、リン酸塩結晶は
ホパイトが主体となり、塗装後の温水2次密着性に劣
る。これは、リン酸塩皮膜中のFe濃度が低いため、塗装
後湿潤環境下に曝されると、化成処理皮膜が復水し、鋼
板との密着力を失うことが原因である。
リン酸塩結晶中にFeおよびNi等の金属を含有させること
が有効である。本発明者らは、亜鉛系メッキ鋼板のメッ
キ層の表面に、Fe-Ni-O 系の適正な皮膜を形成すること
により化成処理性を改善できることを見出し、特願平6
ー257499号により、プレス成形性に優れているこ
とを前提とし、用途に応じて適宜、スポット溶接性、接
着性および化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板につい
て特許出願をした。前記亜鉛系メッキ鋼板では、化成処
理の際にFe-Ni-O 系皮膜中のNiおよびFeがリン酸塩結晶
中に取り込まれ、良好な密着性を有する化成処理皮膜と
なり、また、緻密で均一なリン酸塩の結晶が形成され、
温水2次密着のみならず、耐食性も向上することが判明
した。
った結果、元来Niは化成処理液との反応性に劣り、純Ni
金属板上にはリン酸亜鉛結晶は生成しにくいことが判明
した。即ち、化成処理のリン酸塩結晶形成には、化成処
理液中にZnが溶出し、溶液中で水素が発生することを必
要とする。しかしながら、Niが鋼板表面を完全に覆って
しまうと、化成処理液中への金属の溶出が抑制され、反
応性に劣る結果となる。前記亜鉛系メッキ鋼板におい
て、Fe-Ni-O 系皮膜付着量が多くなると、密着性が劣化
した原因は、この点にある。一方、Fe-Ni-O 系皮膜付着
量が低い場合に優れた性能を示したのは、化成処理の際
にFe-Ni-O 系皮膜が一部溶解し、原板のZnが露出した部
分が形成され、化成処理の反応性が向上するものと推定
された。
果、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、Fe-Ni-Zn-O
系の適正な皮膜を形成することにより皮膜付着量が多い
場合でも化成処理性が劣化しないこと、また、緻密で均
一なリン酸塩の結晶が形成され、温水2次密着のみなら
ず、耐食性も向上することが判明した。
に、少なくとも、Ni、FeおよびZnの金属およびNi、Feお
よびZnの酸化物を含む混合皮膜(以下、「Fe-Ni-Zn-O系
皮膜」という)が適性に形成されていることにより、亜
鉛系メッキ鋼板は、プレス成形性、スポット溶接性、接
着性および化成処理性において優れたものが得られるこ
とを知見した。即ち、上記Fe-Ni-Zn-O系皮膜がメッキ層
の表面に形成されていることが、この発明の必須条件で
ある。
れたものであって、請求項1記載の亜鉛系メッキ鋼板
は、少なくとも1方の面のメッキ層表面に、Fe-Ni-Zn-O
系皮膜を形成した亜鉛系メッキ鋼板であって、前記Fe-N
i-Zn-O系皮膜中のNi含有量は10〜5000mg/m2 の範囲内に
あり、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜のZn含有量は5 〜50
00mg/m2 の範囲内にあり、且つ、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜
中の酸素含有率は、1 〜50at.%の範囲内にあることに特
徴を有するものである。
項1記載の発明に、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のFe
含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との和に対する前記Fe含
有率(wt.%)の比率が、0 超〜0.9 の範囲内にあることを
付加したことに特徴を有するものである。
項1記載の発明に、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のFe
含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との和に対する前記Fe含
有率(wt.%)の比率が、0.05〜1.0 未満の範囲内にあるこ
とを付加したことに特徴を有するものである。
項1記載の発明に、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のFe
含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との和に対する前記Fe含
有率(wt.%)の比率が、0.05〜0.9 の範囲内にあることを
付加したことに特徴を有するものである。
くとも1方の面のメッキ層表面に、Fe-Ni-Zn-O系皮膜を
形成した亜鉛系メッキ鋼板であって、前記Fe-Ni-Zn-O系
皮膜中のNi含有量は10〜5000mg/m2 の範囲内にあり、更
に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のZn含有量は5 〜5000mg/m
2 の範囲内にあり、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のFe
含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との和に対する前記Fe含
有率(wt.%)の比率は、0.05〜0.9 の範囲内にあり、且
つ、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中の酸素含有率は、1〜20at.
%の範囲内にあることに特徴を有するものである。
くとも1方の面のメッキ層表面に、Fe-Ni-Zn-O系皮膜を
形成した亜鉛系メッキ鋼板であって、前記Fe-Ni-Zn-O系
皮膜中のNi含有量は10〜4000mg/m2 の範囲内にあり、更
に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のZn含有量は5 〜4000mg/m
2 の範囲内にあり、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のFe
含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との和に対する前記Fe含
有率(wt.%)の比率は、0.1 〜0.3 の範囲内にあり、且
つ、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中の酸素含有率は、1〜20at.
%の範囲内にあることに特徴を有するものである。
板のメッキ層の表面に形成されたFe-Ni-Zn-O系皮膜の付
着量およびその組成を上述したように限定した理由を述
べる。
たように、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の形成によりプレス成形
性、スポット溶接性、接着性および化成処理性が向上す
る。しかしながら、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のNi含有量は10
mg/m2 未満ではプレス成形性およびスポット溶接性の向
上効果が得られない。
と、プレス成形性およびスポット溶接性改善効果が飽和
するので、価格の高いNiをこれ以上多量に使用してもコ
スト的に無駄である。また、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のZnに
は化成処理性の改善効果があるものの、共存するNi含有
量が5000mg/m2 を超えた場合には、リン酸塩結晶の生成
が抑制され化成処理性が劣化する。化成処理性を良好に
するためには、前記Ni含有量は、4000mg/m2 以下である
ことが望ましい。従って、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のNi含有
量は10〜5000mg/m2 の範囲内、望ましくは10〜4000mg/m
2 のの範囲内に限定すべきである。
Zn-O系皮膜に適正量のZnが含有されることにより、化成
処理性が向上する。しかしながら、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中
のZn含有量は5mg/m2未満では化成処理性の向上効果が得
られない。
と、化成処理性改善効果が飽和し、更に、スポット溶接
性および接着性を劣化させ、また、プレス成形性が劣化
することがあり好ましくない。また、前記諸効果を一層
良好にするためには、上記Zn含有量は、4000mg/m2 以下
であることが望ましい。従って、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中の
Zn含有量は5 〜5000mg/m2 の範囲内、望ましくは5 〜40
00mg/m2 のの範囲内に限定すべきである。
i-Zn-O系皮膜に適正量の酸素が含有されることにより、
プレス成形性が向上する。しかしながら、Fe-Ni-Zn-O系
皮膜中の酸素含有率が1at.% 未満では、皮膜の金属的性
質が強くなるためプレス成形性の改善効果が発揮されな
い。また、接着剤との濡れ性も低下する。
化物の量が多くなりすぎるため、リン酸塩結晶の生成が
抑制されて、化成処理性が劣化する。但し、化成処理性
に優れていることを要求しない用途には、その酸素含有
率の上限は高くしてもよいが、50at.%を超えるとFe-Ni-
Zn-O系皮膜はほとんど酸化物で構成されるようになり、
皮膜中の金属単体の存在が僅かとなる。この場合には、
酸化物の導電性が低いことにより溶接時の電気抵抗が著
しく上昇し、溶接中の電極先端温度が高くなる。このた
め、電極が損耗しやすくなり、連続打点数が低下する。
従って、化成処理性を問題にしない場合でも、スポット
溶接性を確保するために、皮膜の酸素含有率を50at.%以
下にすべきである。
およびスポット溶接性、プレス成形性および接着性、
または、プレス成形性、スポット溶接性および接着性
を良好にするためには、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の酸素含有率
を、1 〜50at.%の範囲内にすべきであり、また、プレ
ス成形性、スポット溶接性、接着性および化成処理性を
良好にするためには、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の酸素含有率を
1 〜20at.%の範囲内にすべきである。
率の和に対するFe含有率の比率」Fe-Ni-Zn-O系皮膜に適
正量のFeが含有されることにより、接着性が改善され
る。これは、接着性は、表面電位が高い金属ほど良好で
あり、Feは最も表面電位が高い金属に属する。従って、
Feを多く含有するほど、接着性は改善される。しかしな
がら、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のFe含有率(wt.%)とNi含有率
(wt.%)との和に対する前記Fe含有率(wt.%)の比率(以
下、「皮膜中Fe/Fe+Ni」という)が、0.05未満では、接
着性の改善効果が発揮されない。また、安定して非常に
優れた接着性を求められる場合には、皮膜中に存在する
Fe含有率を確保するため、皮膜中Fe/Fe+Niを0.1 以上と
することが望ましい。
用途には、皮膜中Fe/Fe+Niの下限値は不要である。しか
しながら、皮膜中Fe/Fe+Niが、0 (零)では、Fe-Ni-Zn
-O系皮膜中にFeが存在しなくなるので、Fe-Ni-Zn-O系皮
膜がメッキ層の表面に形成されていることというこの発
明の必須要件を満たさない。
ても皮膜中Fe/Fe+Niを、0 (零)超えにすべきである。
一方、皮膜中Fe/Fe+Niが0.9 を超えると、皮膜中に存在
するNi含有量が減少するため、溶接時に形成される高融
点のZn-Ni 合金の比率が少なくなり、そのため電極の劣
化が激しくなり、スポット溶接性の改善効果が発揮され
ない。また、安定して非常に優れたスポット溶接性を求
められる場合には、皮膜中に存在するNi含有量を確保す
るため、皮膜中Fe/Fe+Niを0.3 以下とする事が望まし
い。
要しない用途には、皮膜中Fe/Fe+Niの上限値は不要であ
る。しかしながら、皮膜中Fe/Fe+Niは1.0 では、金属Ni
およびFe、並びに、NiおよびFe酸化物を含む混合皮膜、
即ち、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の存在というこの発明の必須要
件を満たさない。
であっても、皮膜中Fe/Fe+Niを、1.0 未満ににすべきで
ある。従って、プレス成形性およびスポット溶接性を良
好にするためには、皮膜中Fe/Fe+Niは、0 (零)超え0.
9 の範囲内にすべきであり、また、プレス成形性および
接着性を良好にするためには、皮膜中Fe/Fe+Niは0.05〜
1.0 未満の範囲内にすべきであり、そして、少なくとも
プレス成形性、スポット溶接性および接着性を良好にす
るためには、皮膜中Fe/Fe+Niは、0.05〜0.9 の範囲内、
但し、接着性およびスポット溶接性を更に良好にするた
めには0.1 〜0.3 の範囲内に限定すべきある。
き所定の特性(プレス成形性、スポット溶接性、接着性
および化成処理性の4性質)を要する。従って、上述し
たFe-Ni-Zn-O系皮膜を表面に形成させた亜鉛系メッキ鋼
板の性質の内、どの性質を如何なる水準にするかに応じ
て、Fe-Ni-Zn-O系皮膜のNi含有量、Zn含有量並びにその
酸素含有率および皮膜中Fe/Fe+Niの適正な範囲を決定す
べきである。この適正な範囲は、上述したところから、
下記の通りである。
i-Zn-O系皮膜のNi含有量、Zn含有量並びにその酸素含有
率および皮膜中Fe/Fe+Ni」Fe-Ni-Zn-O系皮膜を表面に形
成させた亜鉛系メッキ鋼板を、(1)少なくとも、プレ
ス成形性に優れたものにするためには、 Ni含有量:10〜5000mg/m2 、 Zn含有量:5〜5000mg/m2、および、 酸素含有率:1 〜50at.% なる皮膜の構成を満足すべきであり、即ち、請求項1記
載のこの発明を以下、「本発明1」といい、(2)少な
くとも、プレス成形性およびスポット溶接性に優れたも
のにするためには、 Ni含有量:10〜5000mg/m2 、 Zn含有量:5 〜5000mg/m2 、 酸素含有率:1 〜50at.%、および、 皮膜中Fe/Fe+Ni:0 超〜0.9 なる皮膜の構成を満足すべきであり、即ち、請求項2記
載のこの発明を以下、「本発明2」といい、(3)少な
くとも、プレス成形性および接着性に優れたものにする
ためには、 Ni含有量:10〜5000mg/m2 、 Zn含有量:5 〜5000mg/m2 、 酸素含有率:1〜50at.% 、および、 皮膜中Fe/Fe+Ni:0.05〜1 未満 なる皮膜の構成を満足すべきであり、即ち、請求項3記
載のこの発明を以下、「本発明3」といい、(4)少な
くとも、プレス成形性、スポット溶接性および接着性に
優れたものにするためには、 Ni含有量:10〜5000mg/m2 、 Zn含有量:5 〜5000mg/m2 、 酸素含有率:1 〜50at.%、および、 皮膜中Fe/Fe+Ni:0.05〜0.9 なる皮膜の構成を満足すべきであり、即ち、請求項4記
載のこの発明を以下、「本発明4」といい、(5)プレ
ス成形性、スポット溶接性、接着性および化成処理性に
優れたものにするためには、 Ni含有量:10〜5000mg/m2 、 Zn含有量:5〜5000mg/m2、 酸素含有率:1 〜20at.%、および、 皮膜中Fe/Fe+Ni:0.05〜0.9 なる皮膜の構成を満足すべきであり、即ち、請求項5記
載のこの発明を以下、「本発明5」といい、そして、
(6)上記(5)において、プレス成形性、スポット溶
接性、接着性および化成処理性に更に優れたものにする
ためには、 Ni含有量:10〜4000mg/m2 、 Zn含有量:5 〜4000mg/m2 、 酸素含有率:1 〜20at.%、および、 皮膜中Fe/Fe+Ni:0.1 〜0.3 なる皮膜の構成を満足すべきであり、即ち、請求項6記
載のこの発明を以下、「本発明6」という。
キ皮膜中に含まれるZn,Co,Mn,Mo,Al,Ti,Sn,W,Si,Pb,Nb
およびTa等成分元素が取り込まれた酸化物、水酸化物ま
たは金属単体が含まれていても、上述した効果は奏され
る。
板とは、母材である鋼板上に溶融メッキ法、電気メッキ
法、気相メッキ法等の方法の1種以上の方法でメッキ層
を形成させた鋼板である。
のほか、Fe,Ni,Co,Mn,Cr,Al,Mo,Ti,Si,W,Sn,Pb,Nb およ
びTa等の金属もしくは酸化物、水酸化物、または、有機
物等の内、一種または二種以上を所定量含有する単層ま
たは複層のメッキ層からなるものであればよい。また、
前記メッキ層にSiO2,Al2O3等の微粒子を含有してもよ
い。その他、亜鉛系メッキ鋼板として、メッキ層の成分
元素は同じであって組成の異なる複数の層からなる複層
メッキ鋼板や、メッキ層の構成元素は同じであってメッ
キ層の厚さ方向に組成を連続的に変化させた機能傾斜メ
ッキ鋼板を使用することも可能である。
i-Zn-O系皮膜は、その形成方法により特に限定されるも
のではなく、置換メッキ、酸化剤含有の水溶液への浸漬
による方法、酸化剤含有の水溶液中での陰極または陽極
電解処理、所定の水溶液の吹き付け、ロール塗布法等、
レーザーCVD、光CVD、真空蒸着並びにスパッタ蒸
着法等の気相メッキ法を採用することができる。
キ鋼板の少なくとも1方の面のメッキ層表面に形成され
ているので、車体製造工程のどのような工程において、
どのような車体部分に使用される鋼板であるかに応じ
て、その皮膜を1方の面あるいは両面に形成させたもの
を適宜選択することができる。
面のみに形成する場合、前記の亜鉛系メッキ層は、必要
に応じて、鋼板の両面に形成してもよく、あるいは前記
皮膜を形成する鋼板の一方面のみに形成したものであっ
てもよい。
する。本発明の範囲内の亜鉛系メッキ鋼板(以下、「本
発明供試体」という)、および本発明の範囲外の亜鉛系
メッキ鋼板(以下、「比較用供試体」という)を、次に
述べる方法で調整した。
鉛系メッキ鋼板(以下、「原板」という)を調整した。
調整された原板は、下記の7つのメッキ種からなり、メ
ッキの方法、メッキ組成およびメッキ付着量に応じて記
号を付した。なお、メッキを行うために用いた鋼板板厚
は、何れも0.8mmである。
t.%Fe、残部Zn)であり付着量は両面共に60g/m2であ
る。 GI:溶融亜鉛メッキ鋼板であり、付着量は両面共に90
g/m2である。
両面共に40g/m2である。 Zn−Fe:電気Zn−Fe合金メッキ鋼板(15wt.%F
e)であり、付着量は両面共に40g/m2である。
鋼板(12wt.%Ni)であり、付着量は両面共に30g/m2であ
る。 Zn−Cr:電気Zn−Cr合金メッキ鋼板(4 wt.%C
r)であり、付着量は両面共に20g/m2である。
板(5 wt.%Al)であり、付着量は両面共に60g/m2であ
る。 このようにして調整された原板のメッキ層表面に、Fe-N
i-Zn-O系皮膜を次の3種類の形成方法の何れかにより形
成した。 「形成方法A」酸化剤を含有させた硫酸鉄、硫酸ニッケ
ルおよび硫酸亜鉛の混合溶液中で、原板を陰極電解処理
することにより、原板の表面に所定のFe-Ni-Zn-O系皮膜
を形成させた。ここで、硫酸ニッケル濃度は100g/lで一
定とし、硫酸鉄濃度および硫酸亜鉛濃度を種々の所定値
に変化させ、また、pHは2.5 で一定、浴温は50℃で一
定、酸化剤として過酸化水素水を用い、濃度を種々の所
定値に変化させて皮膜の酸素含有率を調整した。 「形成方法B」塩化ニッケル濃度120g/l、種々の所定濃
度の塩化鉄および塩化亜鉛を含有する水溶液を原板に噴
霧し、空気とオゾンとの混合雰囲気中でFe-Ni-Zn-O系皮
膜の酸素含有率を調整しながら乾燥することにより、原
板の表面に所定のFe-Ni-Zn-O系皮膜を形成させた。 「形成方法C」塩化ニッケル濃度120g/l、種々の所定濃
度の塩化鉄および塩化亜鉛を含有し、pH=2.5〜3.5 、浴
温が50℃の水溶液中に原板を浸漬処理した。浸漬時間の
調整により、Fe-Ni-Zn-O系皮膜のNi含有量およびZn含有
量を種々の所定値に変化させた。また、pHの調整によ
り、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の酸素含有量を種々の所定値に変
化させた。また、酸素含有量を調整するために、適宜水
溶液中に所定の酸化剤を添加し、そして、所定の酸化雰
囲気中で加熱処理する等の方法で、原板の表面に所定の
Fe-Ni-Zn-O系皮膜を形成させた。
系皮膜を、所定の原板の表面に形成させることにより、
本発明供試体を得た。各供試体のFe-Ni-Zn-O系皮膜につ
いて、皮膜中のNiおよびZnの含有量、皮膜中Fe/Fe+Ni、
および、皮膜の酸素含有率を下記のようにして測定し
た。 「皮膜中のNiおよびZnの含有量、および、皮膜中Fe/Fe+
Ni」原板のメッキ種がいずれの場合についても下記の測
定方法で行なった。
の成分元素を含むので、ICP法では、上層のFe-Ni-Zn
-O系皮膜中の成分と下層のメッキ層中の成分元素とを完
全に分離することは困難である。従って、ICP法によ
り、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中の元素の内、下層のメッキ層中
に含まれていない元素のみを定量分析した。更に、Ar
イオンスパッタした後、XPS法によりFe-Ni-Zn-O系皮
膜中各成分元素の測定を表面から繰り返すことによっ
て、メッキ層の深さ方向に対する各成分元素の組成分布
を測定した。この測定方法においては、下層のメッキ層
中に含まれていないFe-Ni-Zn-O系皮膜の元素が最大濃度
を示す表面からの深さ(xとする)に、その元素が検出
されなくなる表面からの深さ(yとする)と上記最大濃
度を示す表面からの深さ(x)との差(y−x)の1/
2を加えた表面からの深さ(x+(y−x)/2)、即
ち、最大濃度を示す表面からの深さ(x)と、その元素
が検出されなくなる表面からの深さ(y)との、表面か
らの平均深さ((x+y)/2)をFe-Ni-Zn-O系皮膜の
厚さと定義した。そして、ICP法の結果とXPS法の
結果から、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の付着量および組成を算定
した。次いで、皮膜中Fe/(Fe+Ni)を算定し
た。 「皮膜の酸素含有率」また、酸素含有率は、オージェ電
子分光法(AES)の深さ方向分析結果から求めた。
び比較用供試体)についての、原板の亜鉛系メッキ鋼板
種類、および、原板へのFe-Ni-Zn-O系皮膜の形成方法を
それぞれ符号で示し、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の、Ni含有量、
Zn含有量、皮膜中Fe/Fe+Ni、および酸素含有率を示す。
価を供試体とビードとの摩擦係数で、スポット溶接性の
評価を連続打点性試験における連続打点数で、接着性の
評価を供試体の表面同士を接着させた後の剥離強度で、
そして、化成処理性の評価をリン酸塩結晶の形成状態お
よび密着性で行った。
評価試験方法は下記の通りである。
するために、各供試体の摩擦係数を、下記装置により測
定した。図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図で
ある。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数
測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平
移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されてい
る。スライドテーブル3の下面には、これに接したロー
ラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が
設けられ、これを押上げることにより、ビード6による
摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための
第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付
けられている。上記押付力を作用させた状態で、スライ
ドテーブル3の水平移動方向の一方の端部には、スライ
ドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力
Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテー
ブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油
として、日本パーカライジング社製ノックスラスト55
0HNを試料1の表面に塗布して試験を行った。
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ60mmの平面を有し、この平面
の前後端には、4.5mmRを持つ筒面の1/4部分が
同図のように接して形成されている。 「連続打点性試験」スポット溶接性を評価するために、
各供試体について連続打点性試験を行った。
対の電極チップで挟み、加圧通電して電流を集中させた
抵抗溶接(スポット溶接)を、下記条件で連続的に実施
した。 ・電極チップ:先端径6mmのドーム型 ・加圧力:250kgf ・溶接時間:0.2秒 ・溶接電流:11.0kA ・溶接速度:1点/sec. 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(以下、ナゲットという)の径が、4xt1/2
(t:1枚の板厚)未満になるまでに連続打点した打点
数を用いた。なお、上記打点数を以下、電極寿命とい
う。 「接着性試験」各供試体から次の接着性試験用試験体を
調製した。
斜視図である。同図に示すように、幅25mm、長さ2
00mmの2枚の供試体10を、その間に0.15mm
のスペーサー11を介して、接着剤12の厚さが0.1
5mmとなるように重ね合わせて接着し、接着性試験体
13を作製し、150℃x10min.の焼き付けを行
う。このようにして調製された前記試験体を図4に示す
ようにT型に折り曲げ、引張試験機を用いて200mm
/min.の速度で引張試験をし、試験体が剥離したと
きの平均剥離強度(n=3回)を測定した。剥離強度
は、剥離時の引張荷重曲線の荷重チャートから、平均荷
重を求め、単位:kgf/25mmで表した。図4中、
Pは引張荷重を示す。なお、接着剤は塩ビ系のヘミング
用アドヒシブを用いた。 「化成処理性試験」化成処理性を評価するために、次の
試験を行った。
ン酸亜鉛処理液(日本パーカライジング社製PBL30
80)で通常の条件で処理し、その表面にリン酸亜鉛皮
膜を形成させた。このようにして形成されたリン酸亜鉛
皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観
察した。その結晶状態により3段階に区分した。評価区
分の符号とその内容は、次の通りである。 ○:リン酸亜鉛皮膜の結晶が緻密で小さい。 △:リン酸亜鉛皮膜の結晶がやや粗大で大きい。 ×:リン酸亜鉛皮膜の結晶が粗大であるか、生成しな
い。 「化成処理皮膜の密着性試験」供試体を、上記自動車塗
装下地用の浸漬型リン酸亜鉛処理剤で処理し、更に20
μmの塗膜圧のED塗装を行った後、化成処理皮膜密着
性試験を行った。図5に化成処理皮膜と亜鉛系めっき層
自体との密着力を評価する方法の概略を示す。100×
25mmサイズの供試体14の間に0.15mmのスペ
ーサー15を介して接着剤16の厚みが0.15mm、
接着面積が25×10mmとなるように試験体を作成
し、170℃×30分の焼き付けを行なった。接着剤は
エポキシ系の構造用接着剤を用いた。尚、供試体14は
板厚0.8mmの各種鋼板であるが、材質によっては強
度が小さく、引張試験を行う際に母材破断を生じる可能
性があるため、供試体には板厚2mmの鋼板を補強板1
7とし、化成処理皮膜の密着性試験体18とした。この
試験体を引っ張り試験機を用いて200mm/minの
速度で引っ張り、剥離時の平均剥離強度を測定するとと
もに、剥離面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察
した。
GA[符号A]を用いた場合には、剥離はGA皮膜と鋼
板の界面で発生し、剥離強度はGA皮膜と鋼板の界面密
着強度となる。GI[符号B]、EG[符号C]、Zn
−Fe[符号D]、Zn−Ni[符号E]、Zn−Cr
[符号F]、Zn−Al[符号G]を用いた場合には、
接着剤内部の凝集破壊となり、剥離強度は接着剤自体の
強度となる。
着力の評価は、剥離強度が無処理材と同等のものを○、
剥離強度が無処理材より低下しているものを×とした。
表5〜8の本発明供試体の試験結果から、下記事項が明
らかである。なお、請求項1〜6のそれぞれに該当する
発明を、以下、「本発明1」、「本発明2」、「本発明
3」、・・・、「本発明6」という。 (1)本発明1はいずれも、少なくとも、摩擦係数が小
さく、従って、プレス成形性に優れている。 (2)本発明2はいずれも、少なくとも、摩擦係数が小
さく、しかも連続打点数が多く、従って、プレス成形性
およびスポット溶接性に優れている。 (3)本発明3はいずれも、少なくとも、摩擦係数が小
さく、しかも接着後剥離強度が強く、従って、プレス成
形性および接着性に優れている。 (4)本発明4はいずれも、少なくとも、摩擦係数が小
さく、連続打点数が多く、しかも接着後剥離強度が強
く、従って、プレス成形性、スポット溶接性および接着
性に優れている。 (5)本発明5はいずれも、摩擦係数が小さく、連続打
点数が多く、接着後剥離強度が強く、しかも化成処理の
皮膜の結晶が緻密で小さく、従って、プレス成形性、ス
ポット溶接性、接着性および化成処理性に優れている。 (6)本発明6はいずれも、摩擦係数が小さく、連続打
点数が多く、接着後剥離強度が強く、しかも化成処理の
皮膜の結晶が緻密で小さく、従って、プレス成形性、ス
ポット溶接性、接着性および化成処理性に優れており、
特に、プレス成形性、スポット溶接性および接着性に優
れている。
溶接性、接着性および化成処理性なる特性値との関係は
上述した通りであるが、各本発明の範囲内の亜鉛系メッ
キ鋼板であっても、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の有する性状によ
り上記各特性値に対して下記影響を及ぼすことが確認さ
れた。
ぼすNi含有量の影響」Fe-Ni-Zn-O系皮膜のNi含有量量が
本発明の範囲内であれば、Ni含有量が増加するとともに
プレス成形性およびスポット溶接性が良好になることが
わかる。
着性に及ぼすZn含有量の影響」Fe-Ni-Zn-O系皮膜のZn含
有量量が本発明の範囲内であれば、Zn含有量が増加する
とともにプレス成形性が良好になることがわかる。しか
しながら、スポット溶接性および接着性に関しては付着
量の増加とともに低下する傾向にある。
/Fe+Niの影響」Fe-Ni-Zn-O系皮膜のFe/Fe+Niが本発明の
範囲内であれば、Fe/Fe+Niが増加するとともに接着性が
良好になることがわかる。しかしながら、スポット溶接
性に関してはFe/Fe+Niが増加するとともに低下する傾向
にある。
下記事項が明らかである。 (1)Fe-Ni-Zn-O系皮膜が形成されていないもの(以
下、「比較例〔1〕」という)は、そのメッキ鋼板種類
が、記号:GA,GI,Zn−Fe,Zn−Ni,Zn
−Cr,または、Zn−Alのいずれで表わされる場合
であっても、プレス成形性、スポット溶接性、接着性お
よび化成処理性に劣っている。 (2)Fe-Ni-Zn-O系皮膜を構成する元素の内、Niを含ん
でいないもの(以下、「比較例〔2〕」という。)は、
スポット溶接性、接着性および化成処理性に劣ってい
る。 (3)Fe-Ni-Zn-O系皮膜を構成する元素の内、Znを含ん
でいないもの(以下、「比較例〔3〕」という。)は、
化成処理性にやや劣っている。 (4)Fe-Ni-Zn-O系皮膜を構成する元素の内、Feを含ん
でいないもの(以下、「比較例〔4〕」という。)は、
接着性に劣っている。 (5)Fe-Ni-Zn-O系皮膜のNi含有量が、本発明の範囲外
に過少のもの(以下、「比較例〔5〕」という。)は、
プレス成形性およびスポット溶接性に劣っている。 (6)Fe-Ni-Zn-O系皮膜のNi含有量が、本発明の範囲外
に過大のもの(以下、「比較例〔6〕」という。)は、
化成処理性に劣っている。 (7)Fe-Ni-Zn-O系皮膜のZn含有量が、本発明の範囲外
に過少のもの(以下、「比較例〔7〕」という。)は、
化成処理性に劣っている。 (8)Fe-Ni-Zn-O系皮膜のZn含有量が、本発明の範囲外
に過大のもの(以下、「比較例〔8〕」という。)は、
プレス成形性、スポット溶接性および接着性に劣ってい
る。 (9)Fe-Ni-Zn-O系皮膜の酸素含有率が、本発明の範囲
外に過少のもの(以下、「比較例
は、接着性に劣っている。 (10)Fe-Ni-Zn-O系皮膜の酸素含有率が、本発明の範
囲外に過多のもの(以下、「比較例〔10〕」とい
う。)は、スポット溶接性および化成処理性に劣ってい
る。 (11)比較用供試体として試験した、Fe−Zn上層
メッキは、溶接性に劣っている(「比較例〔11〕」参
照)。 (12)比較用供試体として試験した、Zn−Ni上層
メッキは、接着性および化成処理性に劣っている(「比
較例〔12〕」参照)。
鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成されたFe-Ni-Zn
-O系皮膜が、亜鉛または亜鉛合金メッキ層に比べて硬
質、且つ、高融点であるために、亜鉛系メッキ鋼板のプ
レス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺動
抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑り込
み易くなる。また、Fe-Ni-Zn-O系皮膜の存在、特に、Ni
が所定量含有されるために溶接時に高融点のZn-Ni 合金
の形成が確保されるために、電極の損耗が抑制され、そ
の結果スポット溶接における連続打点性が向上する。更
に、化成処理皮膜は、Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のNiおよびFe
がリン酸塩結晶中に取り込まれるので密着性に優れ、且
つ、緻密で均一なリン酸塩の結晶形成により温水2次密
着性にも優れたものとなる。また、化成処理の際に、Fe
-Ni-Zn-O系皮膜中のZnが溶出するため、化成処理液中へ
の金属の溶出が抑制されることがないので、Fe-Ni-Zn-O
系皮膜付着量が多くなっても、化成処理反応性が劣るこ
とはなく、従って、密着性は劣化しない。このようにFe
-Ni-Zn-O系皮膜付着量を多くする事ができるので、スポ
ット溶接時の耐チリ付着性を改善する効果も得られる。
優れた亜鉛系メッキ鋼板、プレス成形性およびスポット
溶接性に優れた亜鉛系メッキ鋼板、プレス成形性および
接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板、並びに、プレス成形
性、スポット溶接性、接着性および化成処理性に優れた
亜鉛系メッキ鋼板のいずれをも提供することができる、
工業上極めて有用な効果がもたらされる。
である。
視図である。
の負荷を説明する概略斜視図である。
を評価する方法を説明する概略斜視図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも1方の面のメッキ層表面に、
Fe-Ni-Zn-O系皮膜を形成した亜鉛系メッキ鋼板であっ
て、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のNi含有量は10〜5000mg/m
2 の範囲内にあり、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜のZn含
有量は5 〜5000mg/m2 の範囲内にあり、且つ、前記Fe-N
i-Zn-O系皮膜中の酸素含有率は、1 〜50at.%の範囲内に
あることを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板。 - 【請求項2】 請求項1記載の発明に、更に、前記Fe-N
i-Zn-O系皮膜中のFe含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との
和に対する前記Fe含有率(wt.%)の比率が、0超〜0.9 の
範囲内にあることを付加したことを特徴とする亜鉛系メ
ッキ鋼板。 - 【請求項3】 請求項1記載の発明に、更に、前記Fe-N
i-Zn-O系皮膜中のFe含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との
和に対する前記Fe含有率(wt.%)の比率が、0.05〜1.0 未
満の範囲内にあることを付加したことを特徴とする亜鉛
系メッキ鋼板。 - 【請求項4】 請求項1記載の発明に、更に、前記Fe-N
i-Zn-O系皮膜中のFe含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)との
和に対する前記Fe含有率(wt.%)の比率が、0.05〜0.9 の
範囲内にあることを付加したことを特徴とする亜鉛系メ
ッキ鋼板。 - 【請求項5】 少なくとも1方の面のメッキ層表面に、
Fe-Ni-Zn-O系皮膜を形成した亜鉛系メッキ鋼板であっ
て、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のNi含有量は10〜5000mg/m
2 の範囲内にあり、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のZn
含有量は5 〜5000mg/m2 の範囲内にあり、更に、前記Fe
-Ni-Zn-O系皮膜中のFe含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)と
の和に対する前記Fe含有率(wt.%)の比率は、0.05〜0.9
の範囲内にあり、且つ、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中の酸素
含有率は、1 〜20at.%の範囲内にあることを特徴とする
亜鉛系メッキ鋼板。 - 【請求項6】 少なくとも1方の面のメッキ層表面に、
Fe-Ni-Zn-O系皮膜を形成した亜鉛系メッキ鋼板であっ
て、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のNi含有量は10〜4000mg/m
2 の範囲内にあり、更に、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中のZn
含有量は5 〜4000mg/m2 の範囲内にあり、更に、前記Fe
-Ni-Zn-O系皮膜中のFe含有率(wt.%)とNi含有率(wt.%)と
の和に対する前記Fe含有率(wt.%)の比率は、0.1 〜0.3
の範囲内にあり、且つ、前記Fe-Ni-Zn-O系皮膜中の酸素
含有率は、1〜20at.%の範囲内にあることを特徴とする
亜鉛系メッキ鋼板。
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| JP (1) | JP3111889B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000129485A (ja) * | 1998-10-26 | 2000-05-09 | Nkk Corp | プレス成形性、スポット溶接性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板の製造方法 |
| JP2003213393A (ja) * | 2002-01-25 | 2003-07-30 | Jfe Engineering Kk | 亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 |
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|---|---|---|---|---|
| EP0738790B1 (en) | 1994-09-27 | 2001-03-14 | Nkk Corporation | Galvanized steel sheet and process for producing the same |
-
1996
- 1996-03-26 JP JP08070751A patent/JP3111889B2/ja not_active Expired - Fee Related
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