JPH09279319A - 耐摩耗性及び靭性に優れたコンプレッサー部品用アルミ合金の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性及び靭性に優れたコンプレッサー部品用アルミ合金の製造方法

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JPH09279319A JP34070096A JP34070096A JPH09279319A JP H09279319 A JPH09279319 A JP H09279319A JP 34070096 A JP34070096 A JP 34070096A JP 34070096 A JP34070096 A JP 34070096A JP H09279319 A JPH09279319 A JP H09279319A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性及び靭性に優れたコンプレッサー部
品用Al合金を得る。 【解決手段】 Si:6.5〜7.5%,Cu:1.5
〜4.5%,Mg:0.2〜0.8%,Mn:0.1〜
0.8%,Sb:0.05〜0.25%を含み、Fe含
有量が0.25%未満に規制されたアルミニウム合金
を、共晶Siの平均粒子長さが3〜5μmで、長さ5μ
m以下の共晶Siが共晶Si全体の75%以上となる鋳
造組織が得られるように、外径300〜600mmの鋳
塊を水冷式半連続鋳造法で鋳造し、均質化処理後、減面
率で50%以上の押出し加工により外径10〜130m
mの押出し材を製造し、熱間鍛造し、鍛造材を500℃
以上の温度で溶体化処理した後、水焼入れ及び焼戻し処
理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性及び靭性に優
れたコンプレッサー部品用アルミ合金を製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】車両用,家庭用,産業用等のコンプレッ
サー部品は、耐摩耗性は勿論、安全性と過酷な使用に耐
えるため靭性に優れていることが要求される。このよう
な部品の材料としてA4032合金(Al−Si共晶合
金)が使用されてきたが、A4032合金は強度,伸び
共に低く、靭性に劣っている。そこで、特開昭60−1
97838号公報では、Cu,Mg,Fe,Mn等の合
金元素を調整した合金が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】A4032合金、或い
はAl−Si共晶系合金にCu,Mg,Fe,Mn等の
元素を調整した合金のT6処理材は、強度の高いもので
も38〜39kgf/mm2 程度、伸びも8〜10%程
度に止まり、靭性に劣っている。また、亜共晶系Al−
Si合金は、強度,伸び共に改善され、靭性も向上して
いるが、コンプレッサー部品に要求される十分な特性を
備えていない。本発明は、コンプレッサー部品としての
要求特性を満足すべく調査・研究した結果完成されたも
のであり、鋳造組織における共晶Siのサイズ及び分布
を調整することにより、耐摩耗性及び被削性に優れ、熱
間鍛造材のT6処理後の引張強さが43kgf/mm2
以上,伸びが15%以上,切欠き靭性が13kgf/m
2 以上と優れた機械的性質及び靭性をもつアルミ合金
製コンプレッサー用部品の製造方法を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、Si:6.5〜7.5重量%,
Cu:1.5〜4.5重量%,Mg:0.2〜0.8重
量%,Mn:0.1〜0.8重量%,Sb:0.05〜
0.25重量%,残部がAl及び不純物からなる組成を
もち、Fe含有量が0.25重量%未満に規制されたア
ルミニウム合金を溶製し、共晶Siの平均粒子長さが3
〜5μmで、長さ5μm以下の共晶Siが共晶Si全体
の75%以上となる鋳造組織が得られるように、外径3
00〜600mmの鋳塊を水冷式半連続鋳造法で鋳造
し、該鋳塊を均質化処理した後、減面率で50%以上の
押出し加工により外径10〜130mmの押出し材を製
造し、該押出し材を熱間鍛造し、鍛造材を500℃以上
の温度で溶体化処理した後、水焼入れ及び焼戻し処理を
施すことを特徴とする。使用するアルミニウム合金は、
更にTi:0.1重量%以下又はTi:0.1重量%以
下とB:0.02重量%以下を含むことができる。
【0005】
【作用】本発明者等は、合金元素及びその含有量が特定
された亜共晶系のAl−Si合金にSbを添加した合金
溶湯を水冷式半連続鋳造法で鋳造したとき、大径のビレ
ットにおいても共晶Siが十分に微細化されることを見
い出した。このように共晶Siが微細化された鋳塊は、
急冷法で共晶Siを微細化した鋳造体及びその塑性加工
体と比較して共晶Siが過度に微細化されないため、耐
摩耗性が確保される。
【0006】本発明で使用するアルミニウム合金の合金
成分,含有量等を説明する。 Si:6.5〜7.5重量% 共晶Siを形成し、耐摩耗性を付与する上で有効な合金
元素である。耐摩耗性改善作用は、6.5重量%以上の
Si含有で顕著になる。しかし、7.5重量%を超える
多量のSiが含まれると、伸びが著しく低下し、靭性が
損なわれる。 Cu:1.5〜4.5重量% T6処理後の強度及び伸びを改善する合金元素であり、
1.5重量%以上の含有量でCuの作用が顕著になる。
しかし、4.5重量%を超えるCu含有量では、伸びが
低下し、耐食性が劣化する。
【0007】Mg:0.2〜0.8重量% Mg2 Siの析出物を生成して強度を付与する合金成分
であり、0.2重量%以上の含有量で強度改善効果が顕
著になる。しかし、0.8重量%を超える多量のMgが
含まれると、伸びが低下し、鋳造、押出性等の塑性加工
性が劣化する。 Mn:0.1〜0.8重量% Feの存在により生成するAl−Si−Fe系晶出物を
微粒な丸みを帯びたAl−Si−Mn(Fe)系晶出物
とし、靭性を向上すると共に、晶出物によって耐摩耗性
を付与する作用を呈する。このような作用は、Mn含有
量が0.1重量%以上になると顕著に現れる。しかし、
0.8重量%を超える多量のMnが含まれると、却って
靭性が低下する。
【0008】Sb:0.05〜0.25重量% 共晶Siを微細化し、被削性,靭性及び塑性加工性を改
善する有効な合金元素である。Sbの作用・効果は、
0.05重量%以上の含有量で顕著に発揮される。しか
し、0.25重量%を超えるSb含有量では、Mg3
b化合物の晶出により靭性が低下し、またMgの強度向
上作用を低下させる。このようなSbの添加効果は、N
a,Sr等の他の共晶Si微細化剤では得られない。こ
れは、次の理由によるものと推察される。すなわち、S
b添加による場合、共晶Siが細かく均一に分布してい
る。他方、Na又はSrを添加した場合、鋳造体の箇所
によって共晶Siの微細化の程度が異なり、細かな部分
とより微細な部分が生じる。そのため、このような鋳造
体を押出し加工して押出し棒としたとき、細かな部分と
より微細な部分が顕著に現れ、その組織の違いが特性の
差となるものと考えられる。また、Na,Srを添加す
ると、溶湯表面のガス吸収が激しく、水冷半連続鋳造に
際してディップチューブの閉塞により鋳込み不可能にな
る等の好ましくない現象が発生する。これに対し、Sb
を含有させると、特に早い速度で溶湯を凝固させる必要
がないため、大径のビレットが得られ、結果として押出
し生産性が高められる。具体的には、直径300〜60
0mmのビレットで共晶Siを均一且つ適度に微細化で
きる。このような大径のビレットであっても、すなわち
条件的には緩冷却に近い鋳造であっても、粒径が制御さ
れた共晶Siが晶出し、共晶Siの平均粒子長さが3〜
5μmで、長さ5μm以下の共晶Siが共晶Si全体の
75%以上となる鋳造組織が得られる。
【0009】Ti:0.1重量%以下, B:0.0
2重量%以下 Ti及びBは、必要に応じ添加される合金元素であり、
鋳造割れを防止する作用を呈する。しかし、0.1重量
%を超えるTiや0.02重量%を超えるBを添加する
と、Ti又はBの金属間化合物が生成し、後続する押出
し・鍛造工程において加工性を劣化させる。本発明で使
用するアルミニウム合金は、溶製工程で返材等から混入
してくる不純物を含むこともある。このような不純物の
代表的なものとしてFeがある。Feは、Mn共存下で
微細な晶出物を形成して耐摩耗性を向上させる作用を奏
するが、含有量が多くなるとAl−Fe−Mn−Si系
晶出物が多量に発生して靭性が損なわれる。そのため、
返材等の配合量を調整することにより、Fe含有量を
0.25重量%未満,好ましくは0.1重量%未満に規
制する。Fe以外のZn,Cr等も靭性を低下させる原
因となるので、それぞれ0.05重量%以下に規制する
ことが好ましい。
【0010】鋳造組織:共晶Siの平均粒子長さが3〜
5μm 長さ5μm以下の共晶Siが共晶Si全体の75%以上 共晶Siの平均粒子長さ及び面積率は、アルミニウム合
金材の物性に影響を与える要因である。本発明者等によ
る多数の実験から本発明で規定した合金系においては、
共晶Siの平均粒子長さ3〜5μm及び長さ5μm以下
の共晶Siが共晶Si全体の75%以上であることが、
鋳造後の押出し,鍛造により製造されるコンプレッサー
部品に要求される物性を満足する上で必要なことが本発
明者等による多数の実験から見い出された。共晶Siの
平均粒子長さが5μm以上になると、合金材の被削性及
び靭性が低下する。逆に、共晶Siの平均粒子長さが3
μmより小さくなると、後工程における塑性加工により
共晶Siが過度に分断・微細化し、必要とする耐摩耗性
が得られない。また、長さが5μmを超える共晶Siの
量が面積率で共晶Si全体量の25%を超えると、合金
材の伸び及び靭性が低下する。共晶Siの平均粒子長さ
及び面積率は、画像解析法で測定できる。
【0011】水冷式半連続鋳造法 前述した鋳造組織をもつ鋳塊を得るために、水冷鋳型を
使用した水冷式半連続鋳造法で外径300〜600mm
のビレットを鋳造する。ビレットの外径が300mm未
満では、質量効果による影響が小さく、急冷した場合と
同様に共晶Siが過度に微細化される。そのため、後工
程の押出し・鍛造で共晶Siが微細になりすぎ、必要と
する耐摩耗性が得られない。逆に外径600mmを超え
るビレットを鋳造すると、質量効果が大きすぎて緩冷却
状態で鋳造されるため、結晶粒及び共晶Siが粗大化し
た鋳造組織となり、靭性の劣化につながる。
【0012】押出し加工:減面率50%以上,外径10
〜130mmの押出し材 制御された鋳造組織をもつ鋳塊は、減面率50%以上の
押出し加工により外径10〜130mmの押出し材に製
造する。押出し材としては、中実材,形材等がある。押
出し加工により共晶Siが分断されるが、外径10mm
に達しないまでの高加工率で押出し加工すると鋳造時に
得られた共晶Siが塑性加工によって過度に分断されて
微細化し、耐摩耗性が劣化する。逆に130mmより大
きな押出し材とする場合には、塑性加工による共晶Si
の分断・微細化が容易に進まず、被削性及び靭性が低下
する。同様に50%に達しない減面率の押出し加工で
は、共晶Siの分断・微細化が容易に進まず、被削性及
び靭性が低下する。 熱処理 押出し材は、熱間鍛造後に500℃以上,好ましくは5
10〜530℃の温度で溶体化処理され、次いで水焼入
れ及び焼戻し処理が施され、必要強度が付与される。
【0013】
【実施例】表1に示した成分組成をもつアルミニウム合
金を常法に従って溶製した後、水冷鋳型を用いた水冷式
半連続鋳造法で外径325mmのビレットに鋳造した。
得られたビレットに510℃×6時間の均質化処理を施
し、間接押出し機で外径45mmの押出し棒を製造し
た。
【0014】
【0015】押出後の資料番号2及び4を顕微鏡観察し
たところ、それぞれ図1及び図2に示す組織をもってい
た。Sbを添加した資料番号4では、図2にみられるよ
うに、共晶Si(黒い点)が微細均一に分布した組織に
なっていた。他方、Sb添加のない試料番号2では、図
1にみられるように、共晶Siが分断しきれず比較的大
きな状態で残存している部分が観察された。資料番号2
及び4の切削面を光学顕微鏡の拡大視野で観察したとこ
ろ、それぞれ図3及び図4に示す組織をもっていた。S
b添加により共晶Siを微細均一に分布させた資料番号
4では、図4にみられるように、切削面の傷が小さかっ
た。このことから、資料番号4は被削性に優れているこ
とが判る。他方、試料番号2では、図3にみられるよう
に大きな疵が切削面に発生していた。
【0016】次いで、鋳造材の共晶Siの平均粒子長さ
と、粒子長さ5μm以下の共晶Si量を画像解析法で測
定した。共晶Siの平均粒子長さは、粒子の最大長さの
平均値とした。また、直径45mmの押出材を所定長さ
に切断し、400℃の温度で減面率50%の圧縮熱間鋳
造を施した。鍛造品にT6処理(510℃×4時間の溶
体化処理→水焼入→170℃×10時間の焼戻し処理)
を施したのち、機械的性質、切欠き靭性、耐摩耗性を測
定した。切欠き靭性は、軸方向に直角に角度45度の切
欠きを入れ、静的引張荷重をかけて測定した。耐摩耗性
は、大越式耐摩耗試験機を使用し、荷重21kg,回転
摩耗子FC28,摩耗速度1〜3m/秒,摩耗距離60
0mの条件で測定した。
【0017】
【0018】表2の結果にみられるように、本発明に従
った場合には、鋳造組織における共晶Siの平均粒子長
さが小さく、しかも粒子長さ5μm以下の共晶Siが多
量に存在しているので、T6処理後の機械的性質が引張
強さ43kgf/mm2 以上,伸び15%以上,切欠き
靭性13kgf/mm2 以上と靭性に優れた製品が得ら
れる。これに対し、試料番号1,2,7,8の比較例及
びA4032合金は、何れかの性質において劣り、コン
プレッサー部品に要求される特性を満足していない。
【0019】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、成分及び含有量が特定された過共晶Al−Si系合
金を水冷式半連続鋳造法で鋳造し、共晶Siの平均粒子
長さが3〜5μmで、長さ5μm以下の共晶Siが共晶
Si全体の75%以上となる鋳造組織に調整している。
この鋳造組織をもつ鋳塊を押出し及び熱間鍛造で最終製
品であるコンプレッサー部品に製造するとき、押出し及
び鍛造時の塑性変形で共晶Siが適度に分断・微細化さ
れ、耐摩耗性に寄与する共晶Siの作用を確保しなが
ら、靭性の改善を図ることが可能となる。また、前述し
た鋳造組織に起因して鍛造性も優れていることから、加
工度の高い塑性加工を施しても割れが発生することがな
く、鍛造用素材として有効に使用でき、被削性もよいこ
とから高寸法精度の加工が可能となる。このようにし
て、靭性や耐摩耗性が高く、安全性に優れたコンプレッ
サー部品が製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Sb無添加の鋳塊の金属組織を示す顕微鏡写
【図2】 本発明に従ってSbを添加した鋳塊の金属組
織を示す顕微鏡写真
【図3】 Sb無添加の鋳塊の切削面を光学顕微鏡の拡
大視野で観察したときの金属組織を示す顕微鏡写真
【図4】 本発明に従ってSbを添加した鋳塊の切削面
を光学顕微鏡の拡大視野で観察したときの金属組織を示
す顕微鏡写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22F 1/00 612 8719−4K C22F 1/00 612 630 8719−4K 630B 8719−4K 630D 631 8719−4K 631Z 683 8719−4K 683 691 8719−4K 691B 694 8719−4K 694A (72)発明者 小林 重幸 東京都品川区東品川二丁目2番20号 日本 軽金属株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:6.5〜7.5重量%,Cu:
    1.5〜4.5重量%,Mg:0.2〜0.8重量%,
    Mn:0.1〜0.8重量%,Sb:0.05〜0.2
    5重量%,残部がAl及び不純物からなる組成をもち、
    Fe含有量が0.25重量%未満に規制されたアルミニ
    ウム合金を溶製し、共晶Siの平均粒子長さが3〜5μ
    mで、長さ5μm以下の共晶Siが共晶Si全体の75
    %以上となる鋳造組織が得られるように、外径300〜
    600mmの鋳塊を水冷式半連続鋳造法で鋳造し、該鋳
    塊を均質化処理した後、減面率で50%以上の押出し加
    工により外径10〜130mmの押出し材を製造し、該
    押出し材を熱間鍛造し、鍛造材を500℃以上の温度で
    溶体化処理した後、水焼入れ及び焼戻し処理を施すこと
    を特徴とする耐摩耗性及び靭性に優れたコンプレッサー
    部品用アルミ合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 更にTi:0.1重量%以下又はTi:
    0.1重量%以下とB:0.02重量%以下を含むアル
    ミニウム合金を使用する請求項1記載のコンプレッサー
    部品用アルミ合金の製造方法。
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