JPH09313604A - ケモカインの吸着材、吸着除去方法および吸着器 - Google Patents

ケモカインの吸着材、吸着除去方法および吸着器

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JPH09313604A
JPH09313604A JP9016984A JP1698497A JPH09313604A JP H09313604 A JPH09313604 A JP H09313604A JP 9016984 A JP9016984 A JP 9016984A JP 1698497 A JP1698497 A JP 1698497A JP H09313604 A JPH09313604 A JP H09313604A
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chemokine
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体液中のケモカイン(ただし、インターロイ
キン−8を除く)を効率よく吸着除去することが可能な
吸着材、前記吸着材により体液中のケモカインを吸着除
去する方法および前記ケモカイン吸着材を用いたケモカ
インの吸着器を提供すること。 【解決手段】 水不溶性担体にlogP(Pはオクタノ
ール−水系での分配係数)値が2.50以上の化合物を
固定してなることを特徴とする体液中のケモカインの吸
着材、前記ケモカイン吸着材を体液に接触させることに
より体液中のケモカインを効率よく吸着除去する方法お
よび前記ケモカイン吸着材を用いたケモカインの吸着
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体液中のケモカイ
ンを吸着除去するための吸着材、前記吸着材を用いた体
液中のケモカインの吸着除去方法、および体液中よりケ
モカインを吸着除去するためのケモカインの吸着器に関
する。
【0002】
【従来の技術】免疫担当細胞は免疫応答を引きおこす際
に種々の活性物質を産生する。その一部はサイトカイン
と呼ばれる蛋白性物質であり、種々の抗原特異的、非特
異的免疫炎症反応に深く関わる生体防御因子として非常
に重要な役割を果たしている。本来サイトカインは生体
の恒常性の維持に必要不可欠なものであるが、炎症など
の病態では過剰に産生され、炎症の病態形成、遷延に関
わっている。
【0003】サイトカインのなかでも、とくに走化性
(Chemotaxis)を有するものはケモカイン(Chemokin
e)と総称されている。走化性とは、化学走性ともい
い、化学物質の濃度差が刺激となる走性のことを指す。
ケモカインと呼ばれる物質はその構造上の特徴から、1
つのファミリーを形成しているものとして知られてい
る。
【0004】ケモカインの特徴としては、約6,000
から10,000の分子量を有する蛋白質として主に存
在することがあげられるが、ケモカインの種類により、
溶液中では2量体や4量体を形成、またはO−グリコシ
ル化により分子量が前記の範囲よりも大きい状態で存在
するものもある。またケモカインは、その構造上の特徴
から以下の2つのサブファミリーに分類されている。す
なわち、エム・バッギオリニ(M. Baggiolini)らがそ
の総説「シー・シー・ケモカインズ・イン・アレルギッ
ク・インフラメーション(CC CHEMOKINES IN ALLERGIC
INFLAMMATION)」、イムノロジー・トゥディ(Immunolo
gy Today)、第15巻、127頁、1994年に示して
いるように、ケモカインは分子内の非常に保存された位
置に4つのシステイン残基(以下、Cという)を有して
いるが、4つのCをN末端から順にC1、C2、C3、
C4とすると、C1とC2のあいだに任意のアミノ酸
(以下、Xという)が1つ存在するCXCサブファミリ
ーと、C1とC2のあいだにアミノ酸が存在しないCC
サブファミリーに分類されている。さらに各サブファミ
リー内のケモカインは、C以外のアミノ酸の配列におい
ても相同性(homology)を有していることが示されてい
る(たとえば茆原の報告、臨床免疫、第27巻[Sup
pl.16]、162〜171頁、1995年参照)。
【0005】CXCサブファミリーは、白血球のなかで
も概ね好中球に作用し、CCサブファミリーは、概ね単
球、好酸球、好塩基球およびリンパ球に作用するとされ
ていたが、近年ではその効果は多岐にわたることが示唆
されている。たとえば、インターロイキン−8はインタ
ーロイキン類のなかでも走化性を有するインターロイキ
ンであり、CXCサブファミリーに分類されるケモカイ
ンであるが、その機能は好中球のみならず、リンパ球、
好塩基球、好酸球、皮膚角化細胞、メラノーマ細胞、繊
維芽細胞、血管内皮細胞にもその生物活性を示すことが
知られている(松島、臨床免疫、第27巻[Supp
l.16]、147〜154頁、1995年参照)。
【0006】また、たとえばヒト単球上には、CCサブ
ファミリーに分類されるケモカインの1つであるmonocy
te chemoattractant protein-1(以下、MCP−1とい
う)およびマクロファージ炎症性蛋白質−1(macropha
ge inflammatory protein-1(以下、MIP−1とい
う))に対するそれぞれ特異的な受容体が存在するだけ
でなく、MCP−1、MIP−1、RANTESという
CCサブファミリーに分類される3種類のケモカインに
対する共通の受容体が存在していることが示唆されてお
り、サブファミリー内で同一の受容体を介して同一の生
理活性を示すものが存在していることが知られている
(松島、臨床免疫、第27巻[Suppl.16]、1
47〜154頁、1995年参照)。
【0007】生体が外部より侵襲を受けると、生体防御
反応としての炎症が引きおこされ、炎症局所への白血球
浸潤が生じる。このような炎症局所への白血球浸潤は、
炎症部位で産生された白血球走化性因子によって引きお
こされる。この白血球浸潤を引きおこす因子としてケモ
カインがその役割を果たしていることが知られている。
実際、ウサギ急性炎症モデルにおいて、ケモカインの1
つであるインターロイキン−8に対する抗体(抗インタ
ーロイキン−8抗体)の投与により好中球浸潤をブロッ
クし、急性炎症に伴う臓器障害を阻止することが証明さ
れている(セキド(Sekido)ら、ネイチャー(Natur
e)、第365巻、654〜657頁、1993年参
照)。
【0008】さらに近年、全身性炎症反応症候群(syst
emic inflammatory response syndrome(SIRS))
という概念で包括される病態においては、種々のサイト
カインが過剰に産生されることによりサイトカインネッ
トワークが活性化され、それに伴いケモカインが過剰に
産生されることにより好中球の誘導、活性化が引きおこ
されることが報告されており(遠藤ら、集中治療、第4
巻、1357〜1365頁、1992年参照)、それに
伴い全身性の炎症反応が進行し、ショック、組織障害お
よび多臓器不全が引きおこされ、ひいては死にいたるこ
とが示唆されている。
【0009】また、アレルギー性炎症の病変局所におい
てもRANTES、血小板第4因子(platelet factor-
4(以下、PF−4という))およびマクロファージ炎
症性蛋白質−1α(macrophage inflammatory protein-1
α(以下、MIP−1αという))などのケモカインを
中心とした作用によりリンパ球、好酸球をはじめとした
種々の炎症細胞が浸潤することが示唆されている。
【0010】また、たとえば透析療法など血液体外循環
を行なう際の人工材料との接触、透析液中の菌体内毒素
に代表される刺激物質、血中または組織中に存在する種
々の刺激因子などによる免疫担当細胞への刺激によりケ
モカインが過剰に産生される可能性が指摘されており、
たとえば長期透析療法に伴う合併症である透析アミロイ
ド症や手根管症候群において、MCP−1やMIP−1
αが過剰に産生され、病態形成にかかわっている可能性
が示唆されている(イノウエ(Inoue)ら、ネフロロジ
ー・ダイアリシス・トランスプランテーション(Nephro
logy DialysisTransplantation)、第10巻、2077
〜2082頁、1995年参照)。
【0011】さらに痛風性関節炎、乾癬、接触性皮膚
炎、突発性肺線維症、成人呼吸窮迫症候群、炎症性腸疾
患、免疫性血管炎、尿路感染症、心筋梗塞、喘息、気道
感染症、周産期感染、移植臓器拒絶症などの疾患におい
ては、ケモカインの1つであるインターロイキン−8が
炎症局所または全身血中から正常人に比して異常に高濃
度で検出されている(免疫薬理、第12巻、1号、15
〜21頁、1994年参照)。
【0012】また、慢性関節リウマチにおいてはインタ
ーロイキン−8、RANTES、MCP−1、MIP−
1αおよびマクロファージ炎症性蛋白質−1β(macroph
ageinflammatory protein-1β(以下、MIP−1βと
いう))が、半月体形成性腎炎においてはMCP−1、
MIP−1αおよびMIP−1βが、慢性糸球体腎炎に
おいてはインターロイキン−8およびMCP−1が、ル
ープス腎炎ではMCP−1が異常に発現し、その病態形
成に関与していることが示唆されている。
【0013】このような多様な機能を有する体液中のケ
モカインを除去する方法としては、これまでのところほ
とんど報告が見当たらないが、しいてあげれば、特開平
6−312017号公報に、表面に陽性官能基を有する
多孔質担体からなるエンドトキシンおよび/または該エ
ンドトキシンに起因するサイトカインの吸着材により血
液を浄化する方法が開示されている。しかしながら、そ
の実施例においてサイトカインの測定またはサイトカイ
ンの吸着に関してはいっさい開示されていない。
【0014】また、ケモカインに対する抗体や、ケモカ
インがレセプターに結合することを阻害する物質を投与
することにより、ケモカインの作用を抑制する、いわゆ
る抗サイトカイン療法の適用も考えられる。しかしなが
ら、前記の慢性関節リウマチのような慢性的な炎症を伴
う病態では多種類のケモカインが異常に発現しているこ
とが示唆されており、抗体などの投与によりこれらの作
用を抑制するためにはそれぞれに対する抗体を作製し投
与する必要がある。また、投与する抗体などは人体に悪
影響を与えるものであってはならず、その開発には長い
時間と多大な費用を要すると考えられ、適切な治療法と
はいい難い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、体液中に種
々存在するケモカインを効率よく吸着除去することが可
能な吸着材、前記吸着材を用いたケモカインの吸着除去
方法、および前記吸着材を用いたケモカインの吸着器を
開発することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、体液中に
存在するケモカインを効率よく吸着除去できる吸着材に
ついて鋭意検討した。その結果、水不溶性担体にlog
P(Pはオクタノール−水系での分配係数)値が2.5
0以上の化合物を固定化した物質が体液中に存在するケ
モカインを効率よく吸着除去できることを発見し、本発
明を完成した。
【0017】なお、本出願人は、水不溶性担体にlog
P(Pはオクタノール−水系での分配係数)値が2.5
0以上の化合物を固定してなるインターロイキン類の吸
着材について、先に出願している(特願平7−6656
5号)が、本発明においては、インターロイキン類のう
ち走化性を有するインターロイキン−8(CXCサブフ
ァミリーに属するケモカイン)は排除している。
【0018】すなわち本発明は、(1)水不溶性担体に
logP(Pはオクタノール−水系での分配係数)値が
2.50以上の化合物を固定してなることを特徴とする
体液中のケモカイン(ただし、インターロイキン−8を
除く)の吸着材に関する。
【0019】さらに本発明は、(2)水不溶性担体が親
水性担体である前記(1)項記載の体液中のケモカイン
(ただし、インターロイキン−8を除く)の吸着材に関
する。
【0020】さらに本発明は、(3)水不溶性担体が多
孔構造を有する前記(1)または(2)項記載の体液中
のケモカイン(ただし、インターロイキン−8を除く)
の吸着材に関する。
【0021】さらに本発明は、(4)水不溶性担体の、
球状蛋白質の排除限界分子量が1万以上60万以下であ
る前記(1)、(2)または(3)項記載の体液中のケ
モカイン(ただし、インターロイキン−8を除く)の吸
着材に関する。
【0022】さらに本発明は、(5)前記(1)項記載
のケモカイン(ただし、インターロイキン−8を除く)
の吸着材に体液を接触させることを特徴とする、体液中
のケモカイン(ただし、インターロイキン−8を除く)
の吸着除去方法に関する。
【0023】さらに本発明は、(6)液の入口および出
口を有し、かつ吸着材の容器外への流出防止手段を備え
た容器内に、前記(1)項記載のケモカイン(ただし、
インターロイキン−8を除く)の吸着材を充填してなる
ことを特徴とする体液中のケモカイン(ただし、インタ
ーロイキン−8を除く)の吸着器に関する。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明における体液とは、血液、
血漿、血清、腹水、リンパ液、関節内液など生体由来の
液性成分をいう。
【0025】また、本発明におけるケモカインとは、走
化性を有する物質で、かつその物質をコードする遺伝子
が、CXCサブファミリーに属するケモカインはヒト第
4染色体(q12〜21)に、またCCサブファミリー
に属するケモカインはヒト第17染色体(q11〜1
2)に存在していることを特徴とする物質を指す。ただ
し、インターロイキン−8は除く。松島の報告(臨床免
疫、第27巻[Suppl.16]、147〜154
頁、1995年参照)および茆原の報告(臨床免疫、第
27巻[Suppl.16]、162〜171頁、19
95年参照)などを参考に、現在までに知られているヒ
トケモカインを列挙すると、CXCサブファミリーに分
類されるものとして、GROα、GROβ、GROγ、
好中球活性化蛋白質−2(neutrophil activating prot
ein-2(NAP−2))、好中球活性化蛋白質−4(N
AP−4)、epithelial-cell derived neutrophil-act
ivating protein-78(ENA−78)、PF−4、inte
rferon-inducible protein-10(IP−10)、granulo
cyte chemotactic protein-2(GCP−2)、β−トロ
ンボグロブリン(β-thromboglobulin(βTG))およ
び前B細胞増殖刺激因子(pre-B cell growth stimulat
ing factor(PBSF))があげられる。また、CCサ
ブファミリーに分類されるものとして、MCP−1、H
C14、monocyte chemoattractant protein-3(MCP
−3)、I−309、MIP−1α、MIP−1β、R
ANTESがあげられる。しかしながら、ケモカインは
その名称が統一されていないばあいがあり、同一物質で
あっても異なる名称で呼ばれるばあいがある。たとえば
GROβ、GROγはそれぞれマクロファージ炎症性蛋
白質−2α(macrophage inflammatory protein-2α
(MIP−2α))、マクロファージ炎症性蛋白質−2
β(macrophage inflammatory protein-2β(MIP−
2β))とも呼ばれ、また、MCP−1は単球走化活性
化因子(monocyte chemotactic and activating factor
(MCAF))とも呼ばれ、HC14はmonocyte chemo
attractant protein-2(MCP−2)とも呼ばれている
ことが、京都府立医科大学微生物教室により編集された
成書(「サイトカインデータマニュアル」、南江堂、1
995年)に記されている。このため、前記のケモカイ
ンがほかの名称で呼ばれるばあいもケモカインとして含
まれることは当然のことである。さらには、今後新たに
発見され、ケモカインの定義の範疇に入ることが認めら
れた物質も含まれることはいうまでもない。
【0026】本発明のケモカイン(ただし、インターロ
イキン−8を除く、以下同様)の吸着材は、logP値
が2.50以上の化合物を水不溶性担体に固定化してな
ることを特徴とするものである。
【0027】logP値は化合物の疎水性のパラメータ
ーとなり、代表的なオクタノール−水系での分配係数P
の求め方はつぎのとおりである。まず、化合物をオクタ
ノール(もしくは水)に溶解し、これに等量の水(もし
くはオクタノール)を加え、グリッフィン・フラスク・
シェイカー(Griffin flask shaker)(グリッフィン・
アンド・ジョージ・リミテッド(Griffin & George Lt
d.)製)で30分間振とうする。そののち2,000r
pmで1〜2時間遠心分離し、オクタノール層および水
層中の化合物濃度の測定を分光学的またはGLCなどの
種々の方法により測定することにより次式で求められ
る。
【0028】P=Coct/Cw Coct:オクタノール層中の化合物濃度 Cw :水層中の化合物濃度 これまでに多くの研究者らにより種々の化合物のlog
P値が実測されているが、それらの実測値はシー・ハン
シュ(C. Hansch)らによって整理されている(「パー
ティション・コエフィシエンツ・アンド・ゼア・ユージ
ズ(PARTITIONCOEFFICIENTS AND THEIR USES)」、ケミ
カル・レビューズ(Chemical Reviews)、第71巻、5
25頁、1971年参照)。
【0029】また、実測値の知られていない化合物につ
いてはアール・エフ・レッカー(R.F. Rekker)がその
著書(「ザ・ハイドロフォビック・フラグメンタル・コ
ンスタント(THE HYDROPHOBIC FRAGMENTAL CONSTAN
T)」、エルセビア・サイエンティフィック・パブリッ
シング・カンパニー(Elsevier Sci. Pub.Com.)、アム
ステルダム(Amsterdam)、1977年)中に示してい
る疎水性フラグメント定数fを用いて計算した値(Σ
f)が参考となる。疎水性フラグメント定数は数多くの
logP実測値をもとに、統計学的処理を行ない決定さ
れた種々のフラグメントの疎水性を示す値であり、化合
物を構成するおのおののフラグメントのf値の和はlo
gP値とほぼ一致すると報告されている。本発明におい
てlogP値というとき、logP値が知られていない
化合物についてはΣf値を意味する。
【0030】ケモカインの吸着に有効な化合物の探索に
あたり、種々のlogP値を有する化合物を固定し検討
した結果、logP値2.50以上、好ましくは2.7
0以上、さらに好ましくは2.90以上の化合物がケモ
カインの吸着に有効であり、logP値2.50未満の
化合物は殆どケモカイン吸着能を示さないことがわかっ
た。たとえばアルキルアミンを固定化したばあい、アル
キルアミンをn−ヘキシルアミン(logP=2.0
6)からn−オクチルアミン(logP=2.90)に
変えると、このあいだでケモカイン吸着能は飛躍的に上
昇することがわかった。これらの結果より、本発明の吸
着材へのケモカインの吸着は、logP値2.50以上
の化合物の固定により担体上に導入された原子団とケモ
カインとのあいだの疎水性相互作用によるものと考えら
れ、logP値2.50未満の化合物では疎水性が小さ
すぎるためにケモカインの吸着能を示さないと考えられ
る。
【0031】また一方で、n−オクチルアミンを、さら
にアルキル鎖長が長く、より疎水性が高いと考えられる
セチルアミン(Σf=7.22)に変えると、ケモカイ
ンの吸着能はさらに上昇することがわかった。これらの
結果より、本発明のケモカイン吸着材へのケモカインの
吸着は、logP値2.50以上の化合物の固定により
達成されるが、化合物のlogP値は大きいほど好まし
いことがわかり、たとえば、セチルアミンよりもさらに
アルキル鎖長が長く、より疎水性が高いと考えられるオ
クタデシルアミン(Σf=8.28)のような化合物の
固定により、セチルアミンを固定したばあいと同等また
はそれ以上のケモカインの吸着を示すものと考えられ
る。logP値の上限値はとくに制限されないが、実用
上15程度である。
【0032】本発明において、水不溶性担体に固定され
る化合物としては、logP値が2.50以上の化合物
であれば特別な制限なしに用いることができる。ただ
し、担体上に化合物を化学結合法によって結合するばあ
いには、化合物の一部が脱離することが多いが、この脱
離基が化合物の疎水性に大きく寄与しているばあい、す
なわち脱離により担体上に固定される原子団の疎水性が
Σf=2.50より小さくなるようなばあいには本発明
の主旨から考えて、本発明に用いる化合物としては不適
当である。その代表例を一つあげると、安息香酸イソペ
ンチルエステル(Σf=4.15)をエステル交換によ
り水酸基を有する担体上に固定するばあいがあげられ
る。このばあい、実際に担体上に固定される原子団はC
65CO−であり、この原子団のΣfは1以下である。
このような化合物が本発明で用いる化合物として適当か
どうかは、脱離基の部分を水素に置き換えた化合物のl
ogP値が2.50以上かどうかにより判断すればよ
い。
【0033】logP値が2.50以上の化合物のなか
でも、炭素数7〜20個、なかんづく8〜18個の炭化
水素部位を有するものが好ましく、さらに不飽和炭化水
素、アルコール、アミン、チオール、カルボン酸および
その誘導体、ハロゲン化物、アルデヒド、イソシアナー
ト、グリシジルエーテルなどのオキシラン環含有化合
物、ハロゲン化シランなどのように担体への結合に利用
できる官能基を有する化合物が好ましい。
【0034】前記不飽和炭化水素としては、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テ
トラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1
−エイコセンなどがあげられる。
【0035】前記アルコールとしては、n−オクチルア
ルコール、ドデシルアルコール、ヘキサデシルアルコー
ル、1−オクテン−3−オール、ナフトール、ジフェニ
ルメタノール、4−フェニル−ブタノールなどがあげら
れる。
【0036】前記アミンとしては、n−オクチルアミ
ン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミ
ン、オクタデシルアミン、ナフチルアミン、2−アミノ
オクテン、ジフェニルメチルアミンなどがあげられる。
【0037】前記チオールとしては、オクタンチオー
ル、デカンチオール、ドデカンチオール、テトラデカン
チオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオー
ルなどがあげられる。
【0038】前記カルボン酸およびその誘導体として
は、n−オクタン酸、ノナン酸、2−ノネン酸、デカン
酸、ドデカン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、オレイ
ン酸、ジフェニル酢酸などがあげられ、その誘導体とし
ては前記カルボン酸の酸ハロゲン化物、エステル、アミ
ド、ヒドラジドなどがあげられる。
【0039】前記ハロゲン化物としては、塩化オクチ
ル、臭化オクチル、塩化デシル、塩化ドデシルなどがあ
げられる。
【0040】前記アルデヒドとしては、オクチルアルデ
ヒド、n−カプリンアルデヒド、ドデシルアルデヒドな
どがあげられる。
【0041】前記イソシアナートとしては、ドデシルイ
ソシアナート、ヘキサデシルイソシアナート、オクタデ
シルイソシアナートなどがあげられる。
【0042】前記グリシジルエーテルとしては、ドデシ
ルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテ
ル、オクタデシルグリシジルエーテルなどがあげられ
る。
【0043】前記ハロゲン化シランとしては、n−オク
チルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン
などがあげられる。
【0044】これらのほかにも、前記の例示化合物の炭
化水素部分の水素原子がハロゲン、チッ素、酸素、イオ
ウなどのヘテロ原子を含有する置換基、ほかのアルキル
基などで置換された化合物のうち、logP値が2.5
0以上の化合物、前述のシー・ハンシュ(C.Hansch)ら
の総説「パーティション・コエフィシエンツ・アンド・
ゼア・ユージズ(PARTITION COEFFICIENTS AND THEIR U
SES)」、ケミカル・レビューズ(Chemical Review
s)、第71巻、525頁、1971年の中の555頁
から613頁の表に示されているlogP値が2.50
以上の化合物などを用いることができるが、本発明にお
いてはこれらのみに限定されるものではない。
【0045】なお、これらの化合物はそれぞれ単独で用
いてもよいし、任意の2種類以上を組み合わせてもよ
く、さらにはlogP値が2.50未満の化合物との組
み合わせで用いてもよい。
【0046】本発明の吸着材における水不溶性担体と
は、常温常圧で固体であり水不溶性であることを意味す
る。また、本発明における水不溶性担体の形状として
は、粒状、板状、繊維状、中空糸状などがあげられる
が、その形状は問わず、その大きさもとくに限定されな
い。
【0047】本発明の吸着材における水不溶性担体とし
ては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋
ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポ
リアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子
やセルロース類、架橋アガロース、架橋デキストリンな
どの多糖類からなる有機担体、さらには、これらの組み
合わせによってえられる有機−有機、有機−無機などの
複合担体などが代表例としてあげられる。
【0048】なかでも、親水性担体が非特異的吸着が比
較的少なくケモカインの吸着選択性が良好であるため好
ましい。ここでいう親水性担体とは、担体を構成する物
質を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担
体を指す。水の接触角の測定方法は種々知られている
が、たとえば池田が、その著書(「実験化学選書・コロ
イド化学、第4章、界面の熱力学」、裳華房、75〜1
04頁、1986年)に示しているごとく、被測定物質
の平板上に水滴を置き測定する方法が最も一般的であ
る。前記の方法で測定した水の接触角が60度以下であ
る担体としては、セルロース、ポリビニルアルコール、
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリル
アミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレ
ン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラ
スなどからなる担体が代表例としてあげられる。
【0049】なお、前記セルロースにおいては、水の接
触角は約18度であることが成書に示されている(筏義
人、「医用高分子材料」、共立出版、65頁、1989
年参照)。
【0050】これらの水不溶性担体は、適当な大きさの
細孔を多数有する、すなわち多孔構造を有する担体であ
ることがより好ましい。多孔構造を有する担体とは、基
礎高分子母体が微小球の凝集により1個の球状粒子を形
成する際に微小球の集塊によって形成される空間(マク
ロポアー)を有する担体のばあいは当然であるが、基礎
高分子母体を構成する1個の微小球内の核と核との集塊
のあいだに形成される細孔を有する担体のばあい、また
は三次元構造(高分子網目)を有する共重合体が混和性
のある有機溶媒で膨潤された状態のときに存在する細孔
(ミクロポアー)を有する担体のばあいも含まれる。
【0051】また、吸着材の単位体積あたりの吸着能か
ら考えて、多孔構造を有する水不溶性担体としては、表
面多孔性よりも全多孔性のものが好ましく、また空孔容
積および比表面積は、吸着性が損なわれない程度に大き
いことが好ましい。
【0052】これらの好ましい要件を満たす担体として
セルロース類からなる多孔質のゲルがあげられる。セル
ロース類からなる多孔質のゲルは、(1)機械的強度が
比較的高く、強靭であるため撹拌などの操作により破壊
されたり微粉を生じたりすることが少なく、カラムに充
填したばあい、体液を高速で流しても圧密化しないので
高流速で流すことが可能となり、また細孔構造が高圧蒸
気滅菌などによって変化を受けにくい、(2)ゲルがセ
ルロース類で構成されているため親水性であり、リガン
ドの結合に利用しうる水酸基が多数存在し、非特異的吸
着も少ない、(3)空孔容積を大きくしても比較的強度
が高いため軟質ゲルにおとらない吸着容量がえられる、
(4)安全性が合成高分子ゲルなどに比べて高いなどの
すぐれた点を有しており、本発明に用いる最も適した担
体の1つである。
【0053】本発明でいうセルロース類とは、天然セル
ロース、再生セルロースおよびセルロース誘導体の少な
くとも1種のことであり、例えば天然セルロースとして
は木綿繊維を脱脂したもの、麻類の繊維、木材からリグ
ニンやヘミセルロースなどを除去してえられるパルプ、
該パルプをさらに精製してえられる精製セルロースなど
がある。また、再生セルロースとは天然セルロースをい
ったんセルロース誘導体にしたのち加水分解などにより
再生させたセルロースのことである。セルロース誘導体
としては、例えば天然または再生セルロースの水酸基の
一部または全部がエステル化および/またはエーテル化
されたものなどが挙げられる。前記セルロースの水酸基
の一部または全部がエステル化されたものの具体例とし
ては、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロー
ス、酪酸セルロース、ニトロセルロース、硫酸セルロー
ス、リン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セル
ロース、セルロースのジカルボン酸エステルなどが挙げ
られるが、これに限定されるものではない。また前記セ
ルロースの水酸基の一部または全部がエーテル化された
ものの具体例としては、例えばメチルセルロース、エチ
ルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、アミノエチルセ
ルロース、オキシエチルセルロースなどが挙げられる
が、これに限定されるものではない。
【0054】本発明においては前述の担体はそれぞれ単
独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合して用い
てもよい。
【0055】また、前述のような多孔構造を有する水不
溶性担体は、吸着対象の物質はある程度大きな確率で細
孔内に侵入できるが、ほかの蛋白質の侵入はできる限り
おこらない特徴を有することがより好ましい。すなわ
ち、本発明の吸着材の吸着対象であるケモカインは分子
量約6,000〜10,000の蛋白質として存在する
ことが多く、この蛋白質を効率よく吸着するためには、
ケモカインはある程度大きな確率で細孔内に侵入できる
が、ほかの蛋白質の侵入はできる限りおこらないことが
好ましい。細孔内に侵入可能な物質の分子量の目安とし
て排除限界分子量が一般に用いられている。排除限界分
子量とは、成書(たとえば、波多野博行、花井俊彦著、
「実験高速液体クロマトグラフ」、化学同人)などに述
べられているごとく、ゲル浸透クロマトグラフィーにお
いて細孔内に侵入できない(排除される)分子の内、最
も小さい分子量をもつものの分子量をいう。排除限界分
子量は一般に球状蛋白質、デキストラン、ポリエチレン
グリコールなどについてよく調べられているが、本発明
に用いる担体のばあい、球状蛋白質を用いてえられた値
を用いるのが適当である。
【0056】種々の排除限界分子量の担体を用いて検討
した結果、ケモカインの吸着に適当な球状蛋白質の排除
限界分子量の範囲は、1万以上60万以下であることが
明らかとなった。すなわち、球状蛋白質の排除限界分子
量が1万未満である担体を用いたばあいには、ケモカイ
ンの吸着量は小さくその実用性が低下し、また60万を
こえるものでは、ケモカイン以外の蛋白質(主としてア
ルブミン)の吸着が大きくなり、選択性の点でその実用
性が低下する。したがって、本発明に用いる担体の球状
蛋白質の排除限界分子量の好ましい範囲は1万以上60
万以下、さらに好ましくは2万以上50万以下、とくに
好ましくは3万以上40万以下である。
【0057】さらに、担体にはリガンドの固定化反応に
用いうる官能基を有していることが好ましい。これらの
官能基の代表例としては水酸基、アミノ基、アルデヒド
基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミ
ド基、エポキシ基、ハロゲン基、スクシンイミド基、酸
無水物基、トレシル基などがあげられるが、これらに限
定されるわけではない。
【0058】本発明に用いる担体としては硬質担体、軟
質担体のいずれも用いることができるが、体外循環用の
吸着材として使用するばあいには、カラムに充填し、通
液する際などに目詰まりを生じないことが重要であり、
そのためには充分な機械的強度が要求される。したがっ
て本発明に用いる担体は硬質担体であることがより好ま
しい。ここでいう硬質担体とは、たとえば粒状ゲルのば
あい、後記参考例に示すごとく、ゲルを円筒状カラムに
均一に充填し、水性流体を流した際の圧力損失ΔPと流
速の関係が0.3kg/cm2までの直線関係にあるも
のをいう。
【0059】本発明の吸着材は、logP値が2.50
以上の化合物を水不溶性担体に固定してえられるが、そ
の固定化方法としては公知の種々の方法を特別な制限な
しに用いることができる。しかしながら、本発明の吸着
材を体外循環治療に供するばあいには、滅菌時または治
療時においてのリガンドの脱離溶出を極力抑えることが
安全上重要であり、そのためには共有結合法により固定
化することが好ましい。
【0060】また、本発明における吸着材は、logP
値が2.50以上の化合物を適量固定化したものである
ことが好ましい。固定量が少なすぎるとケモカインの吸
着が見られず、多すぎると体液として血液を用いたばあ
いに血小板などの粘付着がおこりうる。よって、log
P値が2.50以上の化合物の固定量は、好ましくは水
不溶性担体の乾燥重量(1g)当たり10〜1000μ
molであり、さらに好ましくは50〜500μmol
であり、最も好ましくは100〜300μmolであ
る。
【0061】本発明の吸着材としては、logP値が
2.50以上の化合物を固定したセルロース類(以下、
C−セルロース類という)と水とからなるコロイド質固
相を持つヒドロゲルであることが好ましく、さらにC−
セルロース類と水の重量比が1:9から3:7の範囲に
あることが好ましい。以下、この吸着材について説明す
る。
【0062】セルロース類に対してlogP値が2.5
0以上の化合物を固定する方法には、公知の種々の方
法、例えば物理的に結合させる方法、イオン結合を介し
て結合させる方法、共有結合を介して結合させる方法な
どを用いることができるが、結合した化合物が脱離しに
くいことが重要であることから、共有結合を介して固定
することが最も好ましい。具体的な手段としては、セル
ロース類の水酸基を利用して直接的に該化合物をエステ
ル結合、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結
合、ウレタン結合等を介して結合させる方法や、セルロ
ース類にアミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、カルボ
キシル基などの官能基を導入することにより反応性の高
い状態とした(活性化)後、該化合物を結合させる方法
が挙げられる。また、セルロース類に官能基を導入して
活性化する具体的な方法としては、臭化シアン法、エポ
キシ法、トレシルクロリド性、過ヨウ素酸酸化法などが
具体例として挙げられるが、これらのみに限定されるも
のではない。
【0063】本発明でいうヒドロゲルとは、前述の通り
水または水溶液を必須成分とするコロイド質固相のこと
をいい、ヒドロゲルを乾燥して水分を除去した後に残さ
れるゲル骨格、すなわちキセロゲルは本発明でいうヒド
ロゲルの概念から外れるものである。
【0064】C−セルロース類と水の重量比は、ヒドロ
ゲルの付着水やヒドロゲル粒子間の間隙水を吸引濾過法
や遠心法などにより除去したときの重量(湿潤重量W
w)と、続いて乾燥させて重量が変化しなくなったとき
の重量(乾燥重量Wd)とから求められる。すなわち、
Wd:(Ww−Wd)が本発明でいうC−セルロース類
と水の重量比となる。具体的な湿潤重量を求める方法と
しては、例えばヒドロゲルをグラスフィルターにとり、
アスピレーターを用いて吸引し、吸引時間と重量の関係
を示す重量減少曲線を作成した際に曲線の傾きが緩やか
になる吸引時間経過後に重量を測定する方法が挙げられ
る。また、乾燥方法としては、恒量化が達成できる方法
であれば特に制限はないが、105℃程度の温度での常
圧乾燥が特別な装置が不要で簡便に採用できる。本発明
のヒドロゲルを構成するC−セルロースと水の重量比は
1:9〜3:7の範囲にあるが、この重量比は、ケモカ
イン吸着器に体液を通液した際の圧力損失によるヒドロ
ゲルの変形、およびこれに伴う圧密化を防ぐという観点
から、C−セルロース類の割合が1/9以上あることが
望ましく、さらに浄化速度の低下を防ぐという観点から
C−セルロース類の割合が3/7以下にあることが望ま
しいことに基づく。
【0065】本発明のケモカイン吸着器に収納される球
状ヒドロゲル粒子、とくに血液浄化器として使用するケ
モカイン吸着器に収納されるヒドロゲル粒子の形状は球
状であるのが好ましく、ここで球状とは真球状のものは
もちろんのこと、広く回転楕円体を含む。この種のヒド
ロゲルの平均粒子径に関しては、一般に血漿の如き細胞
成分をほとんど含まない体液を処理する場合には、30
0μm以下のものが浄化速度が高いという観点から採用
され、また、直接血液灌流方式で用いる場合には、血球
成分の充分な通過流路を確保するために250〜100
0μmのものが好ましく用いられている。本発明の球状
ヒドロゲル粒子、とくに血液浄化器として使用されるケ
モカイン吸着器に収納される球状ヒドロゲル粒子につい
ては、血球成分の通過性および浄化速度の両立の観点か
ら300〜600μmのものがより好ましい。ここでい
う平均粒子径とは、数平均粒子径のことを指し、たとえ
ば実体顕微鏡にて10倍から50倍程度の倍率で20〜
50個のヒドロゲル粒子の粒子径を観察・測定し、えら
れた測定値を平均することにより求められる。ヒドロゲ
ル粒子が回転楕円体の場合は、その長径を粒子径とし、
前述と同様の方法により平均粒子径を求める。粒子径が
上述の範囲にあれば粒径分布に関しては特別な制限なく
用いることが可能であるが、例えば特開昭63−117
039号公報などに記載された振動法を用いて均一液滴
を形成し、適切な条件で凝固させて作製される粒径分布
の狭い粒子は特に直接血液灌流方式で用いる場合好まし
い。
【0066】本発明のC−セルロース類からなるヒドロ
ゲル粒子を作製する方法としては、セルロース類をC−
セルロース類としたのち成形してヒドロゲル粒子とする
方法、セルロース類のヒドロゲル粒子を作製してこれに
logP値が2.50以上の化合物を固定する方法のい
ずれの方法も可能である。
【0067】具体的にセルロース類をC−セルロース類
としたのち成形してヒドロゲル粒子とする方法を挙げる
と、セルロース類にlogP値が2.50以上の化合物
を固定してC−セルロース類としたのち、該C−セルロ
ース類を溶剤に溶かして溶液化した後、液滴化し凝固さ
せてヒドロゲル粒子とする方法、また該C−セルロース
類を溶液化するのに適当な溶剤がない場合は、C−セル
ロース類に対しさらにエステル化やエーテル化を行い溶
剤に溶けやすいものとしたのち、ヒドロゲル粒子とする
方法などが挙げられるが、これに限定されるものではな
い。
【0068】セルロース類のヒドロゲル粒子を作製して
これにlogP値が2.50以上の化合物を固定する方
法において、セルロース類のヒドロゲル粒子を作製する
方法としては、セルロース類を溶剤に溶解した後、液滴
化し凝固させてヒドロゲル粒子を作製する方法が挙げら
れるが、セルロース類としてセルロース誘導体を用いる
方法が溶剤の種類が多様化するために製造条件の選択範
囲も広くなり、好ましく用いられる。セルロース誘導体
としては、前述のセルロースの水酸基の一部または全部
がエステル化および/またはエーテル化されたものが挙
げられるが、なかでも酢酸セルロース、プロピオン酸セ
ルロースなどのセルロースエステルが多種の溶剤に溶解
するためより好ましく用いられる。これらのセルロース
誘導体をヒドロゲル粒子化したのち、そのままあるいは
必要に応じ加水分解反応を行った後、logP値が2.
5以上の化合物を固定することによりC−セルロース類
のヒドロゲル粒子が作製される。
【0069】本発明の吸着材を用いて体液中よりケモカ
インを吸着除去する方法には種々の方法がある。最も簡
便な方法としては体液を取り出してバッグなどに貯留
し、これに吸着材を混合してケモカインを吸着除去した
のち、吸着材を濾別してケモカインが除去された体液を
うる方法がある。ほかには体液の入口と出口を有し、出
口には体液は通過するが吸着材は通過しないフィルター
を装着した容器に吸着材を充填し、これに体液を流す方
法がある。いずれの方法も用いることができるが、後者
の方法は操作も簡便であり、また体外循環回路に組み込
むことにより患者の体液、とくに血液から効率よくオン
ラインでケモカインを除去することが可能であり、本発
明の吸着材はこの方法に適している。
【0070】ここでいう体外循環回路では本発明の吸着
材を単独で用いることもできるが、ほかの体外循環治療
システムとの併用も可能である。併用の例としては、人
工透析回路などがあげられ、透析療法との組み合わせに
用いることもできる。
【0071】つぎに、前記ケモカイン吸着材を用いた本
発明のケモカイン吸着器を、一実施例の概略断面図であ
る図1にもとづき説明する。
【0072】図1中、1は体液の流入口、2は体液の流
出口、3は本発明のケモカインの吸着材、4および5は
体液および体液に含まれる成分は通過できるが前記ケモ
カイン吸着材は通過できないフィルター、6はカラム、
7はケモカインの吸着器である。しかしながら、ケモカ
イン吸着器はこのような具体例に限定されるものではな
く、液の入口および出口を有し、かつケモカイン吸着材
の容器外への流出防止具を備えた容器内に、前記吸着材
を充填したものであれば、どのようなものでもよい。
【0073】前記流出防止具には、メッシュ、不織布、
綿栓などのフィルターがあげられる。また、容器の形
状、材質、大きさにはとくに限定はないが、好ましい具
体例としては、たとえば容量150〜500ml程度、
直径4〜10cm程度の透明または半透明の筒状容器な
どがあげられる。材料としては、とくに好ましくは耐滅
菌性を有する素材であるが、具体的にはシリコンコート
されたガラス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
カーボネート、ポリサルフォン、ポリメチルペンテンな
どがあげられる。
【0074】
【実施例】以下、実施例において、本発明についてさら
に詳細に述べるが、本発明は以下の実施例のみに限定さ
れるものではない。また以下の実施例では、吸着対象の
ケモカインとして、CCサブファミリーの1つであるM
IP−1αを例にとりあげたが、そのほかのケモカイン
についても同様に実施が可能であることはいうまでもな
い。
【0075】参考例 両端に孔径15μmのフィルターを装着したガラス製円
筒カラム(内径9mm、カラム長150mm)にアガロ
ースゲル(バイオラッド(Bio−rad)社製のバイ
オゲル(Biogel)A−5m、粒径50〜100メ
ッシュ)、ビニル系ポリマーゲル(東ソー(株)製のト
ヨパールHW−65、粒径50〜100μm)およびセ
ルロースゲル(チッソ(株)製のセルロファインGC−
700m、粒径45〜105μm)をそれぞれ均一に充
填し、ペリスタティックポンプにより水を流し、流速と
圧力損失ΔPとの関係を求めた。その結果を図2に示
す。
【0076】図2に示すごとく、トヨパールHW−65
およびセルロファインGC−700mが圧力の増加にほ
ぼ比例して流速が増加するのに対し、バイオゲル(Bi
ogel)A−5mは圧密化を引きおこし、圧力を増加
させても流速が増加しないことがわかる。本発明におい
ては前者のごとく、圧力損失ΔPと流速の関係が0.3
kg/cm2までの直線関係にあるものを硬質ゲルとい
う。
【0077】実施例1 セルロース系多孔質担体であるセルロファインGC−7
00m(チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子量
400,000)170mlに水を加え全量を340m
lとしたのち、2M水酸化ナトリウム水溶液90mlを
加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン31ml
を加え、40℃で撹拌下2時間反応させた。反応終了
後、充分に水洗し、エポキシ化担体をえた。
【0078】このエポキシ化担体10mlにn−オクチ
ルアミン(logP=2.90)200mgを加え、5
0(v/v)%エタノール水溶液中、45℃で静置下、
6日間反応させた。反応終了後、50(v/v)%エタ
ノール水溶液、エタノール、50(v/v)%エタノー
ル水溶液、水の順に充分に洗浄し、n−オクチルアミン
固定化担体をえた。n−オクチルアミンの固定量は、担
体の乾燥重量(1g)当たり184μmolであった。
【0079】この固定化担体およびセルロファインGC
−700mそれぞれ0.5mlに対し、健常人血清(大
日本製薬(株)製)にヒト遺伝子組み替えMIP−1α
(アール・アンド・ディー・システムズ(R&D sy
stems)社製)を加えて調製したMIP−1α加健
常人血清(MIP−1α濃度1.1ng/ml)3ml
を加え、37℃で2時間振盪下で吸着させた。吸着前後
の上澄み溶液のMIP−1αの濃度をアール・アンド・
ディー・システムズ社製ヒトMIP−1α測定キットを
用いて測定し、次式により吸着率を算出した。
【0080】
【数1】
【0081】ただし、このばあいの吸着前血清中の濃度
とは、あらかじめ担体に含まれる水分を補正した値であ
る。
【0082】また吸着前後のアルブミン濃度をBCG法
により測定した。
【0083】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) セルロファインGC−700m 0 n−オクチルアミン固定化GC−700m 58 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 セルロファインGC−700m 3.8 3.6 n−オクチルアミン固定化GC−700m 3.8 3.3
【0084】実施例2 n−オクチルアミンをセチルアミン(Σf=7.22)
に、固定化反応の溶媒をエタノールに変えたほかは実施
例1と同様にしてセチルアミン固定化担体をえた。セチ
ルアミンの固定量は、担体の乾燥重量(1g)当たり1
89μmolであった。この固定化担体を用いて実施例
1と同様にして吸着実験を行ない、MIP−1αの濃度
を測定することにより吸着率を算出し、またアルブミン
濃度の変化を測定した。
【0085】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) セチルアミン固定化GC−700m 99 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 セチルアミン固定化GC−700m 3.8 3.3
【0086】実施例3 セルロファインGC−700mをセルロファインGC−
200m(チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子
量140,000)に変えたほかは実施例1と同様にし
てn−オクチルアミン固定化担体をえた。n−オクチル
アミンの固定量は、担体の乾燥重量(1g)当たり18
9μmolであった。この固定化担体を用いて実施例1
と同様にして吸着実験を行ない、MIP−1αの濃度を
測定することにより吸着率を算出し、またアルブミン濃
度の変化を測定した。
【0087】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) セルロファインGC−200m 0 n−オクチルアミン固定化GC−200m 59 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 n−オクチルアミン固定化GC−200m 3.8 3.7
【0088】実施例4 セルロファインGC−700mをセルロファインGC−
200mに、n−オクチルアミンをセチルアミンに、固
定化反応の溶媒をエタノールに変えたほかは実施例1と
同様にしてセチルアミン固定化担体をえた。セチルアミ
ンの固定量は、担体の乾燥重量(1g)当たり189μ
molであった。この固定化担体を用いて実施例1と同
様にして吸着実験を行ない、MIP−1αの濃度を測定
することにより吸着率を算出し、またアルブミン濃度の
変化を測定した。
【0089】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) セチルアミン固定化GC−200m 99 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 セチルアミン固定化GC−200m 3.8 3.7
【0090】実施例5 市販の酢酸セルロースをジメチルスルホキシドとプロピ
レングリコールの混合溶剤に溶解し、この溶液を特開昭
63−117039号公報に記載された方法(振動法)
により液滴化し、凝固させて、酢酸セルロースの球状ヒ
ドロゲル粒子をえた。この粒子を水酸化ナトリウム水溶
液と混和することにより加水分解反応を行ない、セルロ
ースヒドロゲル粒子(球状蛋白質の排除限界分子量は3
0,000であった。以下、C−lという)をえた。
【0091】セルロファインGC−700mをC−l
に、n−オクチルアミンをセチルアミンに、固定化反応
の溶媒をエタノールに変えたほかは実施例1と同様にし
てセチルアミン固定化担体をえた。セチルアミンの固定
量は、担体の乾燥重量(1g)当たり160μmolで
あった。この固定化担体を用いて実施例1と同様にして
吸着実験を行ない、MIP−1αの濃度を測定すること
により吸着率を算出し、またアルブミン濃度の変化を測
定した。
【0092】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) C−1 0 セチルアミン固定化C−1 99 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 セチルアミン固定化C−1 3.8 3.6
【0093】比較例1 n−オクチルアミンをn−ブチルアミン(logP=
0.97)に変えたほかは実施例1と同様にしてn−ブ
チルアミン固定化担体をえた。この固定化担体を用いて
実施例1と同様にして吸着実験を行ない、MIP−1α
の濃度を測定することにより吸着率を算出し、またアル
ブミン濃度の変化を測定した。
【0094】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) n−ブチルアミン固定化GC−700m 1 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 n−ブチルアミン固定化GC−700m 3.8 3.4
【0095】比較例2 n−オクチルアミンをn−ヘキシルアミン(logP=
2.06)に変えたほかは、実施例1と同様にしてn−
ヘキシルアミン固定化担体をえた。この固定化担体を用
いて実施例1と同様にして吸着実験を行ない、MIP−
1αの濃度を測定することにより吸着率を算出し、また
アルブミン濃度の変化を測定した。
【0096】 結 果 <MIP−1αの吸着率> 吸着率(%) n−ヘキシルアミン固定化GC−700m 6 <アルブミン濃度の変化(単位はg/dl)> 吸着前 吸着後 n−ヘキシルアミン固定化GC−700m 3.8 3.3
【0097】
【発明の効果】本発明の方法による水不溶性担体にlo
gP値2.50以上の化合物を固定化してなることを特
徴とする吸着材を用いることで体液中のケモカインを効
率よく吸着除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケモカイン吸着器の一実施例の概略断
面図である。
【図2】3種類のゲルを用いて流速と圧力損失との関係
を調べた結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 体液の流入口 2 体液の流出口 3 ケモカインの吸着材 4、5 フィルター 6 カラム 7 ケモカインの吸着器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性担体にlogP(Pはオクタノ
    ール−水系での分配係数)値が2.50以上の化合物を
    固定してなることを特徴とする体液中のケモカイン(た
    だし、インターロイキン−8を除く)の吸着材。
  2. 【請求項2】 水不溶性担体が親水性担体である請求項
    1記載の体液中のケモカイン(ただし、インターロイキ
    ン−8を除く)の吸着材。
  3. 【請求項3】 水不溶性担体が多孔構造を有する請求項
    1または2記載の体液中のケモカイン(ただし、インタ
    ーロイキン−8を除く)の吸着材。
  4. 【請求項4】 水不溶性担体の、球状蛋白質の排除限界
    分子量が1万以上60万以下である請求項1、2または
    3記載の体液中のケモカイン(ただし、インターロイキ
    ン−8を除く)の吸着材。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のケモカイン(ただし、イ
    ンターロイキン−8を除く)の吸着材に体液を接触させ
    ることを特徴とする、体液中のケモカイン(ただし、イ
    ンターロイキン−8を除く)の吸着除去方法。
  6. 【請求項6】 液の入口および出口を有し、かつ吸着材
    の容器外への流出防止手段を備えた容器内に、請求項1
    記載のケモカイン(ただし、インターロイキン−8を除
    く)の吸着材を充填してなることを特徴とする体液中の
    ケモカイン(ただし、インターロイキン−8を除く)の
    吸着器。
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