JPH09316416A - 接着剤組成物、接着剤組成物の製造方法および手動ポンプ式スプレー型接着剤 - Google Patents

接着剤組成物、接着剤組成物の製造方法および手動ポンプ式スプレー型接着剤

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JPH09316416A
JPH09316416A JP8130143A JP13014396A JPH09316416A JP H09316416 A JPH09316416 A JP H09316416A JP 8130143 A JP8130143 A JP 8130143A JP 13014396 A JP13014396 A JP 13014396A JP H09316416 A JPH09316416 A JP H09316416A
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Yorinobu Takamatsu
頼信 高松
Hiroaki Sakamoto
洋彰 阪本
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Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着剤組成物に関し、それを適用した一方の
被着体を他方の被着体に貼着する場合に、一方の被着体
の剥離・貼着操作の繰り返しによる他方の被着体への糊
移りを効果的に防止し、剥離後に他方の被着体を汚染す
ることのない、特にスプレー型接着剤に最適なエタノー
ル溶媒型の接着剤組成物を提供することにある。 【解決手段】 (a)エタノールを含有する溶媒と、
(b)前記エタノール含有溶媒中に分散されたものであ
って、体積平均直径が10〜300μmのアクリル共重
合体からなる粘着性微小球とを含む接着剤組成物におい
て、前記粘着性微小球を被着体に結着させるバインダー
微粒子が前記エタノール含有溶媒中にさらに分散せしめ
られているように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤組成物に関
し、さらに詳しく述べると、エタノールを含有する溶媒
と、アクリル共重合体からなる粘着性微小球と、バイン
ダー微粒子とを含んでなる、特に手動ポンプ式スプレー
型接着剤に適する接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、いろいろなタイプの、アクリル共
重合体サスペンジョンから調製されるスプレー型粘着剤
等が公知である。例えば、特開平5−43854号公報
には、懸濁重合法に得られた粒子径10〜100μmの
アクリル共重合体からなる粘着性微小球を含有するサス
ペンジョン(固形分40〜70重量%)100重量部
と、エタノール40〜1,300部とからなり、手動ポ
ンプ式スプレー容器に充填して使用可能な再剥離性粘着
剤が開示されている。また、組成の詳細は不明である
が、乳化重合エマルジョン(粒子径約0.1〜1μmと
思われるポリマー微粒子のラテックス;固形分50重量
%)を上記サスペンジョンに代えて使用した比較例も開
示されている。
【0003】また、特開平4−359984号公報に
は、上記特開平5−43854号公報に開示のものと同
様な組成物にさらに液化噴射ガスを加えてなる再剥離用
粘着剤エアゾールが開示されている。これらの粘着剤で
は、エタノールを含む溶媒を使用しているので、比較的
にすぐれた乾燥性が得られる。また、紙等の吸水性の比
較的高い材料からなる被着体に粘着剤をスプレー塗布
し、乾燥した後に、その被着体にしわが発生することも
比較的少ない。
【0004】さらに、上記粘着性微小球は、その粒子径
が10〜100μmであるので、それを塗布した一方の
被着体(たとえば、壁紙)の粘着面に過度の凹凸を形成
し、それにより再剥離性粘着性を付与できる。しかしな
がら、上記粘着性微小球だけでは、その一方の被着体を
他方の被着体(たとえば、壁)に貼着し、その後、剥離
・貼着操作を繰り返した場合、他方の被着体への粘着性
微小球の移行(糊移り)が生じる。このような糊移り
は、剥離後に他方の被着体を著しく汚してしまう。
【0005】なお、これらの公報には、アクリル共重合
体からなる粘着性微小球とアルキルアクリレートコポリ
マー微粒子とを組み合わせて使用する例は開示されてい
ない。また、アクリル共重合体の組成、上記乳化重合エ
マルジョンの組成、エタノール希釈の方法の詳細、そし
て上記コポリマー微粒子のエタノールに対する分散安定
性に関する記載はない。
【0006】上記のような糊移りを防止する手段とし
て、たとえば、上記した粘着性微小球に加えて、比較的
粒子径の小さい(例えば、10μm以下)のポリマー微
粒子からなるバインダー(以下、「バインダー微粒子」
と呼ぶことがある)を添加することが考えられる。この
ようにすると、粘着性微小球を壁紙等の粘着面に強固に
結着する役目を、バインダー微粒子が担うことを期待で
きるからである。
【0007】上記のようなバインダー微粒子をエタノー
ル系溶媒型の接着剤組成物に使用する場合は、用いられ
るバインダー微粒子がエタノールに対して良好な親和性
を有することが要求される。すなわち、エタノールと接
触した時(エタノールによる希釈操作時)に、バインダ
ー微粒子の、容易には解くことができない程度の凝集体
が生じないことが要求される。しかしながら、エタノー
ルに可溶なバインダーは一般に耐水性が良くなく、環境
湿度の変化による凝集力が変化し、たとえば凝集力の低
下はバインダーとしての機能が低下する。一方、通常の
方法により製造され、エタノールに比較的不溶なバイン
ダー微粒子を含む水系ラテックスは、エタノール希釈操
作に対して比較的不安定で、凝固、ゲル化が生じやす
く、エタノール希釈操作が比較的困難である。
【0008】すなわち、上記のような用途に用いられる
バインダー微粒子またはバインダー微粒子を含んでいる
バインダーラテックスとしては、エタノール希釈に対す
る分散安定性が改良されたものが適する。ここで、エタ
ノールに比較的不溶なバインダー微粒子のラテックスに
関する先行技術を以下に紹介する。非水溶性有機化合物を利用したラテックス 1)J. Polymer Sci., Letters Ed., 11, 505 (197
3) 2)ACS Symp. 24, 1 (1976) 3)特開平5−339328号公報 これらの文献は、非水溶性有機化合物(ヘキサデカン、
セチルアルコール等)を乳化助剤として使用して重合さ
れたポリマー微粒子を含んでなるラテックスを開示して
いる。たとえば、特開平5−339328号公報は、ト
ルエンなどの有機溶媒を必要とせずに安定なアクリル系
ポリマーラテックスが得られることを開示している。
【0009】しかしながら、上記の公報等の文献には、
このようなポリマーラテックスのエタノール希釈安定性
に関する記載はない。また、アクリル共重合体の粘着性
微小球と組み合わせて使用した、スプレー型接着剤組成
物への応用に関する記載もない。共重合性界面活性剤を利用したラテックス 特開昭52−134658号公報には、原料エマルジョ
ンに含まれる重合性成分の1つとして共重合性界面活性
剤を使用し、それを重合してなるポリマーラテックスが
開示されている。かかるポリマーラテックスは、具体的
には、マレイン酸モノ−(ポリオキシエチレンフェニル
アルキルエーテル)エステルまたはその塩からなる共重
合性界面活性剤と、スチレンを主成分とするビニルモノ
マーとを含有する重合性成分を重合して得られたポリマ
ーラテックスである。この公報では、このように重合し
て得られたポリマー微粒子が分子内に界面活性成分を含
有するので、すぐれたアルコール希釈性を有することが
教示されている。
【0010】しかしながら、上記したようなポリマー微
粒子は、上記のようなバインダーとしての用途には適さ
ない。なぜならば、スチレンを主成分とするポリマーの
ガラス転移温度(Tg)は、通常0℃をはるかに超え、
バインダーとしての粘着性に乏しいからである。なお、
この公報によれば、上記のタイプの共重合性界面活性剤
は、スチレンの代わりに他のビニルモノマーを使用した
場合、充分なアルコール希釈性を示さないことが教示さ
れている。長鎖アルキル(メタ)アクリレートを利用したラテック
特開平6−192341号公報には、炭素数10〜34
の長鎖アルキル(メタ)アクリレート70〜99重量部
と、親水性アクリレート(ジエチレングリコールジメタ
クリレート、アクリル酸等)30〜1重量部とからなる
モノマー混合物を水中で重合してなるラテックスが開示
されている。この公報は、このような配合において、5
μm以下(実際には1μm未満)の微細な粒子径のポリ
マー微粒子が形成できることを教示している。
【0011】しかしながら、この公報には、このような
ラテックスのエタノール希釈安定性に関する記載はな
い。また、アクリル共重合体の粘着性微小球と組み合わ
せて使用した、スプレー型接着剤組成物への応用に関す
る記載もない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような従来の技術の問題点を解決して、接着剤組成
物を適用した一方の被着体を他方の被着体に貼着する場
合に、一方の被着体の剥離・貼着操作の繰り返しによる
他方の被着体への糊移りを効果的に防止し、剥離後に他
方の被着体を汚染することのない、特にスプレー型接着
剤に最適なエタノール溶媒型の接着剤組成物を提供する
ことにある。
【0013】本発明のもう1つの目的は、上記のような
接着剤組成物の製造方法を提供することにある。本発明
のさらにもう1つの目的は、上記のような接着剤組成物
を使用した手動ポンプ式スプレー型接着剤を提供するこ
とにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、その1つの面
において、(a)エタノールを含有する溶媒と、(b)
前記エタノール含有溶媒中に分散されたものであって、
体積平均直径が10〜300μmのアクリル共重合体か
らなる粘着性微小球とを含む接着剤組成物において、前
記粘着性微小球を被着体に結着させるバインダー微粒子
が前記エタノール含有溶媒中にさらに分散せしめられて
いることを特徴とする接着剤組成物を提供する。
【0015】本発明は、そのもう1つの面において、上
記のような接着剤組成物を製造する方法であって、下記
の工程: (a)前記エタノール含有溶媒中に分散された前記粘着
性微小球を含有するサスペンジョンを調製し、(b)前
記サスペンジョンに前記バインダー微粒子を含有するバ
インダーラテックスを添加して前記接着剤組成物を調製
する工程を含んでなることを特徴とする接着剤組成物の
製造方法を提供する。
【0016】本発明は、また、そのもう1つの面におい
て、上記のような接着剤組成物と、アルコール膨潤型ス
メクタイトとを含んでなることを特徴と手動ポンプ式ス
プレー型接着剤を提供する。本発明による接着剤組成物
は、エタノールを含有する溶媒と、この溶媒中に分散さ
れ、体積平均直径が10〜300μmのアクリル共重合
体からなる粘着性微小球と、上記溶媒中に分散され、炭
素数4〜10のアルキルアクリレートを含有する重合性
成分の重合体からなるバインダー微粒子とを含有する。
このようなバインダー微粒子は、接着剤組成物をスプレ
ー等の塗布手段により被着体の表面に適用し乾燥した
後、粘着性微小球をその被着体表面(粘着面)に強固に
結着するバインダーとして作用する。したがって、接着
剤組成物が適用された一方の被着体(たとえば、壁紙)
を、他方の被着体(たとえば、壁)に貼着した後、一方
の被着体の剥離・貼着操作の繰り返しによる、他方の被
着体への糊移りを効果的に防止できる。また、炭素数4
〜10のアルキルアクリレートを含有する重合性成分を
重合してなるバインダー微粒子は、エタノールに比較的
不溶であるので、環境湿度の変化に伴う凝集力の低下に
よるバインダーとしての機能低下を効果的に防止するよ
うにも作用する。
【0017】また、本発明の接着剤組成物において、含
まれるバインダー微粒子は、好ましくは、炭素数4〜1
0のアルキルアクリレートを含有する重合性成分を水系
溶媒中に分散させて重合させたものであり、また、前記
水系溶媒は、好ましくは、非重合性成分として非水溶性
有機化合物と乳化剤とを含んでおり、そして前記重合性
成分が分子内に酸性基を有するビニルモノマーをさらに
含んでいるものであり、また、前記重合性成分は、好ま
しくは、共重合性界面活性剤をさらに含んでいるもので
あり、また、前記水系溶媒は、好ましくは、非重合性成
分として乳化剤を含んでおり、そして前記重合性成分
が、炭素数11〜34の長鎖アルキル(メタ)アクリレ
ートと、分子内に酸性基を有するビニルモノマーとをさ
らに含んでいるものである。このような場合には、バイ
ンダー微粒子のエタノール希釈安定性が高められるの
で、接着剤組成物中の溶媒に含有される水の量を減らし
つつ、エタノールの量を相対的に多くすることが容易で
ある。したがって、接着剤組成物の速乾性が向上し、紙
等の材料からなる被着体の乾燥の際のしわの発生を効果
的に防止できる。また、これらの形態におけるバインダ
ー微粒子は、エタノールに対する不溶性がさらに増大す
るので、環境湿度の変化に伴う、バインダー微粒子の凝
集力の低下をさらに効果的に防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその好ましい実施
の形態について説明する。エタノールを含有する溶媒 本発明による接着剤組成物は、エタノールを含有する溶
媒を含む。この溶媒は、以下に詳細に説明する粘着性微
小球およびバインダー微粒子の分散媒として機能し、接
着剤組成物のスプレー塗布等の適用操作を容易にすると
ともに、塗布後の乾燥速度を適度に速くするように作用
する。このような観点から、本発明の実施において使用
する溶媒の量は、接着剤組成物の固形分濃度が、通常5
〜60重量%、好適には7〜50重量%、特に好適には
10〜40重量%の範囲となるように選ばれる。溶媒の
使用量が少なすぎると、スプレー塗布等の被着体への適
用操作が困難になる傾向があり、反対に多すぎると乾燥
速度が遅くなる傾向がある。乾燥速度が遅い場合、接着
剤を一方の被着体に適用後、他方の被着体と貼り合わせ
るには、接着剤が十分に乾燥するまで待つ時間が長くな
るので、実使用上有利でない。また、上記一方の被着体
が紙である場合に、乾燥後に紙のしわを発生させる原因
にもなる。
【0019】このような溶媒が実質的に水とエタノール
とからなる場合、人体への安全面から好適である。ま
た、水は、後述するように、粘着性微小球やバインダー
微粒子の調製に必要であり、接着剤組成物に必然的に含
まれる場合、それ以外の水は含まれないようにすべきで
ある。これは、溶媒中に含まれる水の量は可能な限り少
なくし、エタノールの量を可能な限り多くすることは、
速乾性のさらなる向上と、被着体の乾燥後のしわの発生
の確実な防止とを達成できるからである。このような場
合、全溶媒中に含まれるエタノールの量は、通常、50
〜99重量%、好適には55〜95重量%、特に好適に
は60〜90重量%の範囲である。エタノールの量が少
な過ぎると、乾燥速度が遅くなる傾向がある。反対に多
すぎる場合(すなわち、水の量が少なすぎる場合)は、
接着剤組成物としての性能は良好であるが、後述する接
着成分(粘着性微小球、バインダー粒子)の製造工程上
必要な水を相対的に少なくすることが必要となり、製造
を困難にする傾向がある。
【0020】また、溶媒には、本発明の効果を損なわな
い限り、エタノール以外のアルコール、たとえば、イソ
プロピルアルコール、メタノール等を含ませることもで
きる。アクリル共重合体からなる粘着性微小球 アクリル共重合体からなる粘着性微小球は、アクリル系
モノマーを含んでなるモノマー混合物からの懸濁重合に
より調製することができる。ここで、このような懸濁重
合の方法を簡単に説明する。
【0021】反応媒体として水を使用し、上記モノマー
混合物の液滴を水中に乳化分散させて、その液滴内で反
応を行う。通常、水の量は、上記モノマー混合物100
重量部に対して40〜600重量部の範囲であり、モノ
マー混合物の乳化分散に使用される乳化剤の量は、上記
モノマー混合物100重量部に対して0.1〜50重量
部の範囲である。乳化操作には、常用の撹拌装置、たと
えば、プロペラ撹拌子付きの装置を使用できる。
【0022】乳化剤は、通常の懸濁重合または乳化重合
に使用されているものを使用できる。好適な乳化剤の例
としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アン
モニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の
アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル等の非イオン性界面活性剤、ステアリルトリメチルア
ンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド等のカチオン性界面活性剤を挙げること
ができる。
【0023】重合開始剤は、油溶性のものを使用する。
具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを適当な重合開
始剤として挙げることができる。重合開始剤の量は、通
常、モノマー混合物100重量部に対して0.01〜1
重量部の範囲である。
【0024】重合時の反応温度は通常30〜80℃、そ
して反応時間は通常1〜24時間である。また、重合反
応は、通常、密閉容器中にて窒素ガス等の不活性ガス雰
囲気下で行うことができる。粘着性微小球の粒子径は、
それを体積平均直径で表すと、10〜300μmの範囲
である。この平均直径が10μm未満であると再剥離性
が低下する傾向があり、反対に300μmを超えると、
塗布性能、特にスプレーによる塗布性能が低下するおそ
れがある。塗布性能の低下は、被着体への均一な接着層
の形成を困難にすることが明らかである。このような観
点から、好適な体積平均直径は20〜200μm、特に
好適には30〜150μmの範囲である。粘着性微小球
の粒子径の制御は、反応容器の形状、撹拌速度、乳化剤
の種類および添加量を適宜選択することにより行うこと
ができる。
【0025】アクリル共重合体(粘着性微小球)のガラ
ス転移温度Tgは、通常25℃以下、好適には0〜−8
0℃、特に好適には−20〜−65℃の範囲である。T
gが25℃より高い場合、十分な接着性能を発揮できな
いおそれがある。また、低すぎるTgは、粘着性微小球
の凝集力を低下させ、再剥離性を低下させる傾向があ
る。出発物質としてのアクリル系モノマーには、通常の
粘着剤の原料となるものが使用できる。たとえば、炭素
数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸等のアクリル性不飽和酸、ヒド
ロキシエチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アク
リレート、N,N−ジメチルアクリルアミド等の塩基性
アクリルモノマーなどが使用できる。また、本発明の効
果を損なわない限り、スチレン系モノマー、酢酸ビニル
等の、他の共重合性モノマーを併用することができる。
【0026】また、粘着性微小球は、空孔を含まない中
実球でも、1個以上の空孔を有する中空球でも良い。場
合によっては、両者が混在していてもよい。エタノール再分散性を有する粘着性微小球 ところで、上記のようにして懸濁重合により調製された
粘着性微小球を含有する水系分散液をそのまま使用し、
エタノール溶媒等と混合して接着剤組成物を形成するこ
とは、接着剤組成物に含まれる水の含有量を減らすには
有利でない。このような場合、速乾性を向上させるため
には多量のエタノールで希釈する必要があり、接着剤成
分が比較的低濃度で含有されるものしか得られないから
である(例えば、上記した特開平5−43854号公報
の明細書の実施例では、上記粘着性微小球の含有量が9
〜27重量%のものが開示されているに過ぎない。)。
接着剤成分の濃度が低い場合、乾燥速度が遅くなる傾向
があり、乾燥後の紙等の被着体のしわの防止ができない
おそれがあり、さらに、スプレー用途に用いる場合には
均一にスプレーすることが困難になる。
【0027】一方、粘着性微小球の水系分散液から水を
除去し、粘着性微小球を濃縮し、この濃縮物とエタノー
ル溶媒等と混合して接着剤組成物を形成すれば、接着剤
成分(固形分)濃度を高めながら、溶媒中に含まれるエ
タノールの量を相対的に増やすことが可能である。すな
わち、水をエタノールに効率良く置換することが可能で
ある。
【0028】例えば、粘着性微小球の水系分散液に電解
質等の凝集剤を添加し、粘着性微小球の凝集体を形成
し、その凝集体外部に存在する水を除去し、これにエタ
ノールを加えることにより、ほとんどの水をエタノール
に置換することができる。しかしながら、エタノールを
置換溶剤に使用すると、エタノールがアクリル共重合体
の貧溶媒であるため、一般に一度凝集させた後にエタノ
ール溶媒中で再分散させることは非常に困難である。
【0029】本発明の1つの好適な実施形態によれば、
従来では実質的に不可能であった、水系分散液における
エタノール置換が可能である。すなわち、このような好
適な実施形態は、上記粘着性微小球として、下記の共重
合体: (A)炭素数4〜10のアルキルアクリレートと、ヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレートとを含有する重合
性成分を重合してなる共重合体、または、(B)炭素数
4〜10のアルキルアクリレートと、N,N−ジ置換ア
ミド基を分子内に有するビニルモノマーとを含有する重
合性成分を重合してなる共重合体、からなる粘着性微小
球を含有する接着剤組成物を提供する。
【0030】上記のような粘着性微小球は、一度凝集さ
せた後にエタノール溶媒中で再分散させることができる
ので、溶媒中のエタノール濃度を高めることが容易であ
る。このような場合、接着剤組成物中の固形分濃度を3
0重量%以上に維持しながら、全溶媒中に含まれるエタ
ノールの量を60重量%以上に高めることも可能であ
る。したがって、上記実施形態における、従来技術と比
較して有利な効果は、 所望の高濃度で接着剤成分を含有することが可能
で、 改良された速乾性を有し、 乾燥後の被着体のしわの防止がより確実で、 スプレー特性が良好で、 しかも、再剥離性が良好な、 接着剤組成物を提供できることである。このような接着
剤組成物は、特に以下に詳述する手動ポンプ式スプレー
型接着剤として好適である。
【0031】上記(A)のタイプの共重合体の原料とな
る、「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」と
は、分子内に1以上の水酸基を有するアルキル(メタ)
アクリレートである。水酸基を有するアルキル基の炭素
数は、通常2〜10、好適には3〜4の範囲である。か
かるアルキル基の炭素数が2より小さいと、共重合体の
粘着性が低下するおそれがあり、10より大きいと、良
好なエタノール再分散性が得られない傾向がある。水酸
基の数は、共重合体の粘着性を低下させない範囲で選ば
れ、通常1または2個、好適には1個である。このよう
なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例と
しては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルモノ
(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0032】炭素数4〜10のアルキルアクリレート
(Ac)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
(HA)との含有重量比率(Ac:HA)は、通常9
0:10〜60:40、好適には85:15〜70:3
0の範囲である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ートは、エタノール再分散性を発現させるのに好適な親
水性モノマーの1つであるが、このモノマーの重量比率
が10より少ないと、エタノール再分散性が低下するお
それがある。反対に、このような親水性モノマーの重量
比率が多すぎると、共重合体のTgや弾性率を上昇さ
せ、粘着性が低下するおそれがある。たとえば、アクリ
ル酸を上記親水性モノマーの1つとして用いる場合、ヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレートに比べて少ない
量で用いないと、共重合体の粘着性を発現できず、粘着
性とエタノール再分散性の両立が困難である。ヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル酸に比べ
て共重合体のTgを上昇させる作用が小さいので、比較
的多くの量を用いることができる。したがって、上記の
重量比率の範囲で用いれば、共重合体の粘着性とエタノ
ール再分散性の両立が容易である。ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートとアクリル酸とを組み合わせて用
いる場合、重合性成分中のアクリル酸の量は、通常10
重量%未満、好適には0.1〜8重量%、特に好適には
1〜5重量%の範囲である。
【0033】上記(A)のタイプの共重合体として、粘
着性とエタノール再分散性の両方が特にすぐれているの
は、イソオクチルアクリレートとヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートとを含有する重合性成分を重合し
てなる共重合体である。上記(B)のタイプの共重合体
の原料となる、「N,N−ジ置換アミド基を分子内に有
するビニルモノマー」とは、分子内にN,N−ジ置換ア
ミド基とビニル基〔(メタ)アクリロイル基を含む〕と
を有するモノマーである。N,N−ジ置換アミド基は、
N,N−ジアルキルアミド等の非環状アミドから誘導さ
れる基、ピロリドン、ピペリドン、カプロラクタム等の
環状アミドから誘導される基、またはピペリジン、モル
ホリン、ピロリジン等の環状アミンのアミドから誘導さ
れる基であり、モノマー分子中では、窒素原子は水素原
子を持たない構造である。このようなモノマーとして、
具体的には、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アク
リロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリ
ドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタ
ム、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。こ
のようなビニルモノマーは、比較的多くの量を用いても
共重合体の弾性率を上昇させることがなく、粘着性とエ
タノール再分散性の両立を容易にする。
【0034】上記(B)のタイプの共重合体として、粘
着性とエタノール再分散性の両方が特にすぐれているの
は、イソオクチルアクリレートとN−ビニルピロリドン
とを含有する重合性成分を重合してなる共重合体であ
る。炭素数4〜10のアルキルアクリレート(Ac)と
N,N−ジ置換アミド基を分子内に有するビニルモノマ
ー(NA)との含有重量比率(Ac:NA)は、通常9
0:10〜60:40、好適には85:15〜70:3
0の範囲である。上記ビニルモノマーの重量比率が10
より少ないと、エタノール再分散性が低下するおそれが
あり、反対に40を超えると、共重合体の粘着性が低下
するおそれがある。水系分散液におけるエタノール置換 上記の(A)のタイプまたは(B)のタイプの共重合体
からなる粘着性微小球を含有する水系分散液における、
水をエタノールに置換する方法を説明する。
【0035】まず、上記のアクリル共重合体からなる粘
着性微小球を含有する水系分散液を調製し、その水系分
散液に凝集剤を添加して、粘着性微小球を含んでなる凝
集体を形成した後、その凝集体外部に存在する水を除去
する。水の除去は、たとえば、通常の常圧濾過、減圧濾
過、遠心分離等により容易に行える。この場合、上記凝
集体内部に含まれる水を完全に除くことは好ましくな
く、通常凝集体全体に対して1〜30重量%の水を含有
させる。水の完全な除去は、再分散性能を低下させる。
また、凝集剤には、通常、塩化バリウムなどの凝集力の
比較的高い電解質を使用する。
【0036】このようにして得られた凝集体に、エタノ
ールを加え、凝集を解いて粘着性微小球を再分散させ
て、エタノール含有溶媒(エタノールと少量の水を含
む)中に粘着微小球が安定に分散したサスペンジョンを
形成する。粘着微小球の再分散操作は、軽い撹拌により
容易に行える。上記のようなエタノール再分散性は、粘
着性微小球の体積平均直径が10〜300μmであるこ
とも必須要件である。また、上記の粘着性微小球の凝集
体は、イソプロピルアルコール、メタノールなどの、粘
着性微小球を溶解しにくい他の溶媒中でも再分散可能で
ある。バインダー微粒子 本願明細書において、「バインダー微粒子」とは、上記
のようなバインダーとして作用する範囲の粒子径を有す
る、微細なポリマー粒子であると定義する。このような
粒子径は、それを体積平均直径で表すと、通常10μm
未満、好適には0.01〜5μm、特に好適には0.0
5〜3μmの範囲である。この粒子系が10μmを超え
ると、バインダーとして作用が低下する傾向がある。反
対に小さすぎる場合は、バインダー微粒子の凝集力が低
下し、再剥離性が低下する傾向がある。
【0037】また、バインダー微粒子は、好適には、炭
素数4〜10のアルキルアクリレートを含有する重合性
成分の重合体からなる。これにより、バインダーとして
の接着性を効果的に発揮する。また、このような重合体
(バインダー微粒子)のTgは、通常0℃以下、好適に
は−10℃〜−80℃、特に好適には−20℃〜−65
℃の範囲である。Tgが高すぎると粘着性が低下し、バ
インダーとしての作用が低下するおそれがある。反対に
Tgが低すぎると、バインダー微粒子の凝集力が低下
し、再剥離性が低下する傾向がある。
【0038】重合性成分には、上記アルキルアクリレー
ト、それぞれ後述する、酸性基含有ビニルモノマー、共
重合性界面活性剤、炭素数11〜34の長鎖アルキル
(メタ)アクリレートの他、本発明の効果を損なわない
範囲において、共重合可能な他のモノマーまたはオリゴ
マーを含ませることができる。本発明の接着剤組成物の
調製において、バインダー微粒子は、好適には、上記バ
インダー微粒子を安定に分散して含有する分散液(以
下、「バインダーラテックス」と呼ぶ)を別途調製し、
そのバインダーラテックスを、溶媒および粘着性微小球
と混合する。このような調製方法は、バインダー微粒子
が容易には解くことができない程度の凝集体を生じない
ようにしながら、各成分(粘着性微小球とバインダー微
粒子)が安定に分散された最終組成物を容易に形成する
ことができる点において有利である。
【0039】このようなバインダーラテックスは、水系
溶媒中に重合性成分を含有する液滴が乳化分散して含ま
れる原料エマルジョンから該重合性成分を重合して、そ
の重合体がバインダー微粒子として、そのまま溶媒中に
分散されて含まれるように調製するのが好適である。こ
のようにして調製されたバインダーラテックスは、組成
物中におけるバインダー微粒子の分散安定性を良好に保
つことが容易である。 エタノール希釈性にすぐれたバインダーラテックス:非
水溶性有機化合物系 接着剤組成物の上記のような調製方法では、エタノール
を含有する溶媒と、または、そのような溶媒を含む溶液
または分散液と、上記バインダーラテックスとを混合す
る必要があり、その際には、バインダーラテックスはエ
タノール含有溶媒によって希釈される。このエタノール
含有溶媒による希釈操作の際のバインダー微粒子の分散
安定性、すなわち、エタノール希釈性が良好であること
は、接着剤組成物の調製を容易にする。
【0040】好適な1実施形態におけるバインダーラテ
ックスは、炭素数4〜10のアルキルアクリレートと、
酸性基を分子内に有するビニルモノマーとしての(メ
タ)アクリル酸とを含有する重合性成分と、非重合性成
分として非水溶性有機化合物と乳化剤とを含む原料エマ
ルジョンから、該重合性成分を重合して形成したラテッ
クスである。このようにして得られたバインダーラテッ
クスは、アルコール系溶媒に対する希釈安定性、特にエ
タノール希釈性にすぐれる。
【0041】このバインダーラテックスのエタノール希
釈性の向上は、次のように説明することができる。通常
の水系ラテックスにおいて、乳化剤により分散安定化さ
れたバインダー微粒子が、エタノール希釈操作により、
微粒子の周囲の乳化剤の吸着層の脱着、破壊等が生じて
微粒子どうしが凝集する。しかしながら、上記の形態で
は、バインダー微粒子中の(メタ)アクリル酸成分と、
非水溶性有機化合物とが共同して、上記乳化剤の吸着層
を保持し、分散安定性を維持するためと考えられる。ま
た、最終の接着剤組成物においても、バインダー微粒子
中の(メタ)アクリル酸成分と、非水溶性有機化合物
と、乳化剤とが、バインダー微粒子のエタノール溶媒中
での分散安定性を高めていると考えられる。
【0042】ここで、「非水溶性有機化合物」とは、不
飽和性二重結合を含まず、アクリル系重合性成分と重合
しない、水に実質的に不溶の脂肪族炭化水素、脂肪族ア
ルコール等の脂肪族炭化水素基を有する化合物であると
定義される。これらの有機化合物は、重合反応中は乳化
助剤として機能する。上記脂肪族炭化水素基としては、
炭素数が通常8以上、好適には10〜24、特に好適に
は12〜22の範囲の基である。炭化水素基の炭素数が
8未満では、重合が安定に進まないおそれがあり、ま
た、得られたバインダーラテックスのエタノール希釈性
が低下するおそれがある。反対に炭素数が大きすぎて
も、エタノール希釈性が低下するおそれがある。非水溶
性有機化合物の具体例としては、ヘキサデカン、セチル
アルコール等を挙げることができる。これらの化合物
は、単独若しくは混合物として使用できる。
【0043】非水溶性有機化合物の含有量は、重合成分
100重量部に対して、好適には0.1〜10重量部、
特に好適には0.3〜5重量部の範囲である。0.1重
量部を下回るとエタノール希釈性が低下するおそれがあ
り、反対に10重量部を超えると可塑剤として作用し、
接着剤組成物の糊移りの防止効果が低下するおそれがあ
る。
【0044】また、(メタ)アクリル酸と同様の効果を
奏する酸性基含有ビニルモノマーとして、マレイン酸、
カルボキシルエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カ
ルボン酸が挙げられる。また、酸性基含有ビニルモノマ
ーと同様のエタノール希釈性を達成するために、使用量
を比較的多くする必要があるが、酸性基含有ビニルモノ
マーに換えて、酸性基以外の極性基を分子内に有するモ
ノマーを使用することができる。これらのモノマーは、
単独若しくは混合物として使用できる。
【0045】(メタ)アクリル酸等の酸性基含有ビニル
モノマーは、重合性成分中に、好適には1〜10重量
%、特に好適には3〜8重量%の割合で含有される。1
重量%を下回るとエタノール希釈性が低下するおそれが
あり、反対に10重量%を超えると接着剤組成物の粘着
性が低下するおそれがある。乳化剤は、前述の粘着性微
小球の懸濁重合に使用されるものと同様のものを使用で
きる。乳化剤の量は、通常、重合性成分100重量部に
対して、0.1〜5重量部の範囲で用いられる。
【0046】上記バインダーラテックスは、通常、良く
知られたマイクロサスペンジョン重合法や、ミニエマル
ジョン重合法により調製することができる。例えば、次
のようにして調製することができる。非水溶性有機化合
物を重合性成分に溶解させた重合性成分溶液を、乳化剤
水溶液に添加し、撹拌装置により、重合性成分溶液を5
μm以下の粒子径の液滴として乳化分散した原料エマル
ジョンを調製する。撹拌装置には、例えば、高圧ホモジ
ナイザー(日本精機(株)製)、ミルミックス(Tokusy
ukika (株)製)等のハイシェアータイプの乳化機が使
用できる。また、水の量は、重合性成分100重量部に
対して50〜600重量部の範囲が良い。原料エマルジ
ョンには、予め若しくは乳化分散後に、重合開始剤を添
加する。重合開始剤には、ベンゾイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、過硫
酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の常用の油溶性また
は水溶性の化合物を使用できる。また、過酸化水素、二
価の鉄塩、過硫酸塩、酸性亜硫酸ナトリウムなどのレド
ックス重合開始剤も使用することができる。
【0047】重合開始剤を添加した原料エマルジョン
を、液滴を5μm以下に保つように撹拌しながら加熱し
て重合を開始させ、所定の温度に保ちながら重合反応を
続ける。所定の反応時間の経過後、反応させた上記エマ
ルジョンを冷却し、反応を終了させる。重合時の反応温
度は通常30〜80℃、そして反応時間は通常1〜24
時間である。また、上記レドックス重合開始剤を使用し
た場合は、比較的低温(5〜50℃)にて反応を行うこ
とができる。さらに、重合反応は、通常、密閉容器中に
て窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことができ
る。
【0048】上記の方法の他、非水溶性有機化合物を乳
化剤水溶液中に分散させた後、重合性成分を加えて、重
合性成分と非水溶性有機化合物とからなる液滴を5μm
以下に保つように撹拌しながら反応させることもでき
る。エタノール希釈性にすぐれたバインダーラテックス:共
重合性界面活性剤系 別の好適な実施形態におけるバインダーラテックスは、
炭素数4〜10のアルキルアクリレートと共重合性界面
活性剤とを含む原料エマルジョンから、該重合性成分を
重合して形成したラテックスである。このようにして得
られるバインダーラテックスは、アルコール系溶媒に対
する希釈安定性、特にエタノール希釈性にすぐれる。
【0049】このバインダーラテックスのエタノール希
釈性の向上は、次のように説明することができる。上記
のように、通常の水系エマルジョンでは、エタノールに
よる希釈操作により、微粒子の周囲の乳化剤の吸着層の
脱着、破壊等が生じ、微粒子どうしが凝集する。しかし
ながら、バインダー微粒子中の組み込まれた共重合性界
面活性剤は、微粒子の周囲に脱着しない界面活性剤の層
を形成し、分散安定性を維持することができる。また、
最終の接着剤組成物においても、同様にして、バインダ
ー微粒子のエタノール溶媒中での分散安定性が高められ
ていることも考えられる。
【0050】ここで、「共重合性界面活性剤」とは、不
飽和性二重結合を含み、アクリル系重合性成分と共重合
可能であり、界面活性剤として作用する官能基を分子内
に有する化合物であると定義される。このような共重合
性界面活性剤の例としては、アクリル基と、スルホン
酸、スルホン酸塩、または硫酸塩を含む官能基とを分子
内に有するタイプを挙げることができる。具体的には、
次のような化合物が挙げられる。
【0051】エレミノールJS−2:アルキルアリルス
ルホコハク酸ナトリウム(三洋化成工業(株)より入手
可能) エレミノールRS−30:ポリオキシプロピレンメタク
リロイル硫酸ナトリウム(同上) アデカリアソプNE−10:ポリオキシエチレンノニル
フェノキシアリルオキシ−プロパン硫酸塩(旭電化工業
(株)より入手可能) アクアロンHS−10およびアクアロンHS−20:α
−スルホ−ω−〔2−(1−プロペニル)−4−ノニル
フェノキシ〕ポリオキシエチレンアンモニウム塩(第一
工業製薬(株)より入手可能) アクアロンRN−10、アクアロンRN−20およびア
クアロンRN−50:α−ヒドロ−ω−〔2−(1−プ
ロペニル)−4−ノニルフェノキシ〕ポリオキシエチレ
ン(同上) ラテムルS−180A:アルキルアリルオキシヒドロキ
シプロピルスルホコハク酸塩(花王(株)より入手可
能) これらの化合物は、単独若しくは混合物として使用でき
る。
【0052】共重合性界面活性剤の含有量は、重合成分
100重量部に対して、好適には0.1〜10重量部、
特に好適には0.3〜5重量部の範囲である。この界面
活性剤の含有量が0.1重量部を下回ると、重合安定性
およびエタノール希釈性がともに低下するおそれがあ
り、反対に10重量部を超えると、環境湿度の変化に伴
うバインダー微粒子の凝集力の低下を、効果的に防止で
きない可能性がある。
【0053】このタイプのバインダーラテックスは、上
記非水溶性有機化合物系ラテックスと同様にして調製す
ることができる。例えば、炭素数4〜10のアルキルア
クリレートと共重合性界面活性剤との混合溶液を水中に
添加し、混合溶液が5μm以下の粒子径の液滴として乳
化分散した原料エマルジョンを調製し、これを重合反応
させて形成する。エタノール希釈性にすぐれたバインダーラテックス:長
鎖アルキル(メタ)アクリレート系 さらに別の好適な実施形態におけるバインダーラテック
スは、炭素数4〜10のアルキルアクリレートと、分子
内に酸性基を有するビニルモノマーとしての(メタ)ア
クリル酸と、炭素数11〜34の長鎖アルキル(メタ)
アクリレートとを含有する重合性成分と、非重合性成分
として乳化剤とを含む原料エマルジョンから、該重合性
成分を重合して形成したラテックスである。このように
して得られるバインダーラテックスは、アルコール系溶
媒に対する希釈安定性、特にエタノール希釈性にすぐれ
ている。
【0054】この長鎖アルキル(メタ)アクリレート
は、上記共重合界面活性剤と同様にバインダー微粒子内
に組み込まれ、微粒子の周囲に脱着しない分散安定化の
層を形成し、これと(メタ)アクリル酸と乳化剤とが共
同して、エタノール希釈に対する分散安定化効果を奏す
ると考えられる。また、最終の接着剤組成物において
も、同様にして、バインダー微粒子のエタノール溶媒中
での分散安定性を高めていると考えられる。
【0055】上記長鎖アルキル(メタ)アクリレート
は、炭素数4〜10のアルキルアクリレートと(メタ)
アクリル酸の両方に対する溶解性が良好で、かつ水に対
する溶解度が20℃において0.01g/水100g未
満のものを好適に選択できる。このような長鎖アルキル
(メタ)アクリレートは、重合反応中に乳化助剤として
も機能する。また、このような長鎖アルキル(メタ)ア
クリレートは、単独若しくは混合物として使用できる。
【0056】上記長鎖アルキル(メタ)アクリレート
の、アルキル基の炭素数は、11〜34である。アルキ
ル基の炭素数が11未満であると、エタノール希釈性が
低下するおそれがあり、反対に34を超えると、バイン
ダーとしての接着力が低下する傾向がある。このような
観点から、好適な炭素数は12〜30、特に好適には1
4〜22の範囲である。
【0057】上記長鎖アルキル(メタ)アクリレート
は、重合性成分中に、好適には0.1〜50重量%、特
に好適には1〜30重量%の割合で含有される。この含
有量が少なすぎると、重合安定性およびエタノール希釈
性がともに低下するおそれがあり、反対に多すぎると、
バインダーとしての凝集接着力が低下するおそれがあ
る。
【0058】このタイプのバインダーラテックスの調製
において使用される乳化剤、(メタ)アクリル酸以外の
酸性基含有ビニルモノマーは、前述のものが使用でき、
その配合量も同様の理由から任意に選択できる。また、
このタイプのバインダーラテックスは、上記非水溶性有
機化合物系ラテックスと同様にして調製することができ
る。例えば、すべての重合性成分からなる混合溶液を乳
化剤水溶液に添加し、混合溶液が5μm以下の粒子径の
液滴として乳化分散した原料エマルジョンを調製し、こ
れを重合反応させて形成する。接着剤組成物の調製 本発明の接着剤組成物は、次のようにして調製すること
ができる。
【0059】まず、エタノール含有溶媒中に分散された
粘着性微小球を含有するサスペンジョンを調製する。こ
のサスペンジョンは、懸濁重合により調製された粘着性
微小球を含有する水系分散液、または、水系分散液に濃
縮操作を加え、粘着性微小球の含有濃度を高めたもの
に、エタノールを添加して調製する。エタノールの添加
操作では、必要に応じて、機械的な撹拌操作を水系分散
液に加えながら行う。また、前述のようにエタノール再
分散性を有する粘着性微小球を使用した場合は、前述の
ような方法で調製したサスペンジョンを用いることもで
きる。
【0060】続いて、上記サスペンジョンに前記バイン
ダー微粒子を含有するバインダーラテックスを添加し、
接着剤組成物を調製する。この工程でも、必要に応じ
て、機械的な撹拌操作を加えながら行う。粘着性微小球
(A)とバインダー微粒子(B)との混合比率は、通常
A:B=55:45〜99:1、好適には60:40〜
95:5の範囲である。手動ポンプ式スプレー型接着剤 本発明による接着剤組成物は、特に手動ポンプ式スプレ
ー型接着剤の用途に適している。これまで使用されてき
た、液化噴射ガスと接着剤成分とを缶容器に高圧充填し
た、エアゾールスプレー型接着剤と異なり、液化噴射ガ
スが不用である点が特徴である。手動ポンプ式スプレー
容器には、化粧品用、家庭用、農園用などに現在使用さ
れているものと同様のものが使用できる。本発明の接着
剤組成物は、液化噴射ガスの助けを借りることなく、手
動ポンプ式のスプレー装置にて良好にスプレーできる。
【0061】上記スプレー型接着剤における、接着成分
の沈降による溶媒からの分離を防ぐために、増粘剤を接
着剤組成物に添加するのが効果的である。しかしなが
ら、溶媒に溶解するタイプの従来の増粘剤は、接着剤の
粘度が不要な程度に高くなりやすく、スプレー特性(霧
状またはレース状にスプレーできること)が悪化し、場
合によっては棒状に吹き出される現象を引き起こす。ス
プレー特性のこのような悪化は、少ないスプレー回数に
て、被着体に均一かつ広い面積に接着剤を塗布すること
を困難にする。
【0062】そこで、本発明では、チキソトロピー剤と
して知られているスメクタイトのうち、アルコール膨潤
型スメクタイトを増粘剤として用い、スプレー特性を損
なわないようにしつつ、接着成分の沈降、分離を効果的
に防止することができる。アルコール膨潤型スメクタイ
トは、アルコール溶媒中に分散可能な層状粘土鉱物系増
粘剤であり、それが添加された組成物(接着剤)のチキ
ソトロピーを高めるように作用する。すなわち、静置し
た時には粘着性微小球やバインダー粒子等の接着成分が
沈降し、溶媒と分離するのを防ぎ、スプレー操作におい
ては、スプレーの剪断力により粘度が低下し、スプレー
特性が良好になる。さらに、被着体に塗布された後は粘
度が上昇するので、垂直面に塗布された時の液垂れを効
果的に防ぐことができる。これは、壁面や、壁紙を垂直
に保った状態でそれらに塗布する場合に有利な効果であ
る。
【0063】スメクタイトの含有量は、エタノール10
0重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好適には
1〜6重量部の範囲である。また、スメクタイトの具体
例としては、層状ケイ酸塩などを挙げることができる。
【0064】
【実施例】以下、本発明をその実施例について詳細に説
明する。なお、実施例中、「部」は、特別に断らない限
り「重量部」を表す。また、説明の簡略化のため、下記
の実施例で用いられる化合物を次のような略語で参照す
ることもある。さらに、参照される商品名も以下に説明
する。
【0065】AmDS:ドデシル硫酸アンモニウム SDS:ドデシル硫酸ナトリウム HD:n−ヘキサデカン CA:セチルアルコール IOA:イソオクチルアクリレート 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート NVP:N−ビニル−2−ピロリドン AA:アクリル酸 VAc:酢酸ビニル TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート 1,4−BDA:1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト ODMA:オクタデシルメタクリレート BPO:ベンゾイルパーオキサイド AVN:アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル AmPS:過硫酸アンモニウム スメクタイト:層状ケイ酸塩(コープケミカル(株)
製、商品名ルーセンタイトSPN) TW−P120:ポリオキシエチレンソルビタンモノパ
ルミテート(花王(株)製、レオドールTW−P12
0、商品名) レベノールWZ:ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製、商品名) アクアロンHS−10:共重合性界面活性剤(第一工業
製薬(株)製、商品名) さらに、下記の実施例において粒径、Tg等を記載する
けれども、これらの値は以下の手順に従って測定した。
また、実施例において用いられた各種のテスト法も、以
下に説明する。 <粒径>得られた共重合体粒子の粒径は、 MALVERN社製
粒径分布測定器マスターサイザーにより測定した。 <Tg>得られた共重合体のTgは、レオメトリックス
社製RSAII粘弾性スペクトロメーターを用いて測定を
行った。直径5mm、高さ7mmのシリンダー状の試料を粘
着性微小球又はバインダー微粒子の分散液を乾燥させて
成形し、平行プレート治具に取り付け、1 rad/sec の
周波数の圧縮ひずみを与えながら、−80〜200℃の
温度変化を与え、弾性率の温度依存性を測定した。ここ
で、Tgは、貯蔵弾性率と損失弾性率との比(tan
δ)である損失正接曲線の極大点を示す温度をもって定
義した。 <エタノール再分散性>得られた水系サスペンジョン
に、5%塩化バリウム水溶液を加え凝集させ、その凝集
物をろ過により取り出し、その凝集物30gに対して5
0gのエタノールを加える。簡単に再分散するものを
「良好」とし、しないものを「不良」とした。 <エタノール希釈性>得られた水系エマルジョンに、そ
のエマルジョン5gに対して50gのエタノールを加え
たとき、まったく凝集せずに希釈できたものを「良好」
とし、凝集物が観察できたものは、「不良」とした。 <手動ポンプ式スプレー>下記の第3表に示す配合で手
動ポンプ式スプレー容器(100ccの市販品、1回の吐
出量が0.11cc)に充填した。微小球アクリル共重合
体の配合で、凝集工程を使用したものを「有」とし、使
用しないものを「無」とした。
【0066】手動ポンプ式スプレーの容器中での液の分
離の有無、また、これら粘着剤を紙に塗布し、乾燥性、
乾燥後の紙のしわの状態、接着力および、再剥離性につ
いて、評価した結果も第3表に示した。 <容器中での液の分離>手動ポンプ式スプレー容器に粘
着剤をいれ、よく振り、静置した。24時間後に分離の
有無を観察した。 <乾燥性>A5サイズの上質紙に、ポンプスプレーで1
回スプレーし、乾燥するまでの時間を測った。 <紙のしわ>A5サイズの上質紙に、ポンプスプレーで
2回重ね塗りスプレーし、乾燥後のしわの有無を観察し
た。 <接着性>A5サイズの上質紙に、ポンプスプレーで1
回スプレーし、他の新しい上質紙を重ねて貼り付けた。
剥離したときの接着性を評価した。
【0067】 ◎:強 ○:中 △:弱 <再剥離性>A5サイズの上質紙に、ポンプスプレーで
1回スプレーし、他の新しい上質紙を重ねて貼り付け
た。剥離、貼着を繰り返したときの接着性の変化を評価
した。
【0068】 ○:接着性に変化がない。 ×:接着性が弱くなる。 <剥離時の糊移行>接着力の評価後、後で貼りあわせた
ほうの紙の表面を手で触り、糊移行の有無を観察した。
さらに新しい上質紙をそこに貼り、付着するか否かを観
察した。
【0069】 ○:ほとんど糊残りがなく、紙も付着しない。 ×:べたべたしており、紙が付着する。水系分散液(中間原料となるサスペンジョン)S−1の
調製 イオン交換水375.00部、AmDS(懸濁剤:ドデ
シル硫酸アンモニウム)1.25部、IOA(イソオク
チルアクリレート)100.0部、HPA(ヒドロキシ
プロピルアクリレート)25.0部、BPO(重合開始
剤:ベンゾイルパーオキサイド)0.25部を含有する
原料懸濁液から、懸濁重合により、IOA−HPA共重
合体からなる粘着性微小球を含有する水系分散液S−1
を調製した。
【0070】ここで、この重合方法を説明する。まず、
上記原料の混合物を密閉可能な容器に入れ、容器内を窒
素ガスで満たし、室温(約25℃)下、プロペラ撹拌子
を有する撹拌装置で、400rpm の回転速度にて、30
分撹拌して上記原料懸濁液を調製した。この原料懸濁液
に上記と同様にして撹拌を加えながら、原料懸濁液の温
度を序々に65℃まで上げ、その温度に保ちつつ同撹拌
を続け重合反応を行った。反応を5時間続けた後、反応
させた懸濁液を室温(約25℃)まで冷却し、反応を完
了させた。得られた粘着性微小球の体積平均直径は6
0.9μmであり、そのTgは−38℃であった。ま
た、水系分散液S−1中の粘着性微小球の含有割合は、
約25重量%であった。このようにして得られた粘着性
微小球のエタノール再分散性は、「良好」であった。得
られた結果を下記の第1表に示す。水系分散液S−2〜S−7の調製 下記の第1表に示す原料及び配合を用いた以外は、上記
水系分散液S−1の調製と同様な手法に従って、各水系
分散液を調製した。得られた水系分散液に含まれる粘着
性微小球の体積平均直径、Tgおよびエタノール再分散
性の評価結果を合わせて第1表に示す。水系分散液S−
6及びS−7では、粘着性微小球の原料モノマー(共重
合成分)に、ヒドロキシプロピルアクリレートおよびN
−ビニルピロリドンが使用されていない。したがって、
エタノール再分散性は不良であったが、後述するよう
に、本発明による接着剤組成物、および、手動ポンプ式
スプレー型接着剤の調製に支障をきたすものではなかっ
た。
【0071】
【表1】
【0072】バインダーラテックスL−1の調製 ラテックスL−1は、重合性成分が炭素数4〜10のア
ルキルアクリレートとアクリル酸を含み、非重合性成分
として非水溶性有機化合物と乳化剤とを含む原料エマル
ジョンから調製された、バインダーラテックスの例であ
る。イオン交換水120.00部、SDS(乳化剤:ド
デシル硫酸ナトリウム)0.40部、IOA(イソオク
チルアクリレート)73.6部、AA(アクリル酸)
6.4部、HD(非水溶性有機化合物:n−ヘキサデカ
ン)2.0部、AmPS(重合開始剤:過硫酸アンモニ
ウム)0.15部を含有する原料エマルジョンから、重
合性成分を重合させてなる、IOA−AA共重合体から
なるポリマー微粒子が、HDと乳化剤とにより安定に分
散されて含有されるラテックスL−1を調製した。
【0073】ここで、この重合方法を説明する。まず、
重合の前処理段階で、上記非水溶性有機化合物と上記重
合性成分(IOA+AA)とを密閉可能な容器に入れ、
撹拌して均一な溶液を調製した。この溶液に、上記イオ
ン交換水と上記乳化剤と上記重合開始剤とからなる水溶
液を加えて、容器内を窒素ガスで満たし、室温(約25
℃)下、前記ミルミックスを用いて、15,000rpm
の回転速度にて、15分間撹拌して上記原料エマルジョ
ンを調製した。この原料エマルジョン中のモノマー溶液
の液滴の平均直径は約1μmであった。続いて、400
rpm にて撹拌しながら、原料エマルジョンの温度を序々
に60℃まで上げ、その温度に保ちつつ同撹拌を続け重
合反応を行った。反応を5時間続けた後、反応させたラ
テックスを室温(約25℃)まで冷却し、反応を完了さ
せた。
【0074】得られたポリマー微粒子の体積平均直径は
0.47μmであり、そのTgは−37℃であった。ま
た、ラテックスL−1中の固形分の含有割合は、約41
重量%であった。さらに、このラテックスのエタノール
希釈性は、良好であった。得られた結果を下記の第2表
に示す。バインダーラテックスL−2〜L−4の調製 原料の種類と配合を下記の第2表に示すものに変更した
以外は、上記ラテックスL−1の調製と同様な方法に従
って、各バインダーラテックスを調製した。得られたラ
テックスに含まれるポリマー微粒子の体積平均直径、T
gおよびエタノール希釈性の評価結果を合わせて下記の
第2表に示す。バインダーラテックスL−5の調製 ラテックスL−5は、重合性成分が炭素数4〜10のア
ルキルアクリレートと炭素数11〜34の長鎖アルキル
(メタ)アクリレート(ODMA)とアクリル酸とを含
み、非重合性成分として乳化剤を含む原料エマルジョン
から調製された、バインダーラテックスの例である。原
料の種類と配合を下記の第2表に示す。
【0075】このラテックスの製造方法は、重合の前処
理段階で、重合性成分(IOA+AA+ODMA)の均
一な溶液を調製した以外は、上記ラテックスL−1の調
製と同様な手法に従った。得られたラテックスに含まれ
るポリマー微粒子の体積平均直径、Tgおよびエタノー
ル希釈性の評価結果を合わせて下記の第2表に示す。 バインダーラテックスL−6およびL−7の調製 ラテックスL−6およびL−7は、重合性成分が炭素数
4〜10のアルキルアクリレートと共重合性界面活性剤
(前記アクアロンHS−10)とを含む原料エマルジョ
ンから調製された、バインダーラテックスの例である。
原料の種類と配合を次の第2表に示す。
【0076】このラテックスの製造方法は、重合の前処
理段階で、重合性成分(IOA+アクアロンHS−1
0)の均一な溶液を調製した以外は、上記ラテックスL
−1の調製と同様な手法に従った。得られたラテックス
に含まれるポリマー微粒子の体積平均直径、Tgおよび
エタノール希釈性の評価結果を合わせて次の第2表に示
す。
【0077】
【表2】
【0078】バインダーラテックスL−8〜L−10の
調製(参考例) これらの参考例は、エタノール希釈性が上記のラテック
スL−1〜L−7に比べて良好でない、バインダーラテ
ックスの例である。原料の種類と配合を下記の第2表
(続き)に示す。これらを簡単に説明すると、 ラテックスL−8は、非水溶性有機化合物を含む
が、アクリル酸を含まない。
【0079】 ラテックスL−9は、アクリル酸を含
むが、非水溶性有機化合物、長鎖アルキル(メタ)アク
リレート、および、共重合性界面活性剤のいずれも含ま
ず、油溶性開始剤(AVN:アゾビス−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)を用いた。 ラテックスL−10は、アクリル酸を含むが、非水
溶性有機化合物、長鎖アルキル(メタ)アクリレート、
および、共重合性界面活性剤のいずれも含まず、水溶性
開始剤(AmPS)を用いた。
【0080】これらのバインダーラテックスは、エタノ
ール希釈性が比較的良好ではないので、比較的多量にエ
タノールを含む溶媒(全溶媒に対して50重量%以上の
エタノールを含む場合)と組み合わせて、本発明による
接着剤組成物、および、手動ポンプ式スプレー型接着剤
を調製するには適さない。しかしながら、これらのポリ
マー微粒子の体積平均直径はいずれも5μm以下である
ので、上記した他の例と同様にバインダーとしての機能
は十分である。
【0081】
【表3】
【0082】例1 水系分散液S−1から形成した凝集体を30部(固形分
含有割合約85重量%、残りは水)と、5部のラテック
スL−1、50部のエタノールを組み合わせて使用した
例である。ここで、本例の接着剤組成物の調製方法につ
いて説明する。まず、上記水系分散液に、凝集剤として
5%塩化バリウム水溶液を添加して分散している成分を
凝集させ、それを濾過操作により、上ずみと上記凝集体
とに分離した。その凝集体にエタノールを加えて撹拌装
置(上記プロペラ撹拌子を有する撹拌装置)にて撹拌し
て、凝集を解いて粘着性微小球を再分散させて、エタノ
ール溶媒中に上記粘着性微小球を分散させて含有するサ
スペンジョンを形成した。このサスペンジョンに、上記
ラテックスを撹拌しながら添加して、本例の接着剤組成
物を調製した。
【0083】本例の接着剤組成物中の固形分濃度は約3
3重量%であり、粘着性微小球の含有濃度は約30重量
%であった。また、溶媒全体に含まれるエタノールの割
合は約83重量%であった。さらに、この接着剤組成物
に、アルコール膨潤型スメクタイトを2部添加して、本
例の手動ポンプ式スプレー型接着剤を調製した。この手
動ポンプ式スプレー型接着剤の各評価結果を下記の第3
表に示す。例2〜例4 水系分散液とラテックスとの組み合わせを下記の第3表
に示すように変更した以外は、前記1と同様にして各例
の接着剤組成物を調製した。これらの接着剤組成物に、
アルコール膨潤型スメクタイトを2部添加して、各例の
手動ポンプ式スプレー型接着剤を調製した。これらの手
動ポンプ式スプレー型接着剤の各評価結果を下記の第3
に示す。例5 水系分散液とラテックスとの組み合わせを下記の第3表
に示すように変更し、水系分散液から凝集体を形成しな
いで、この水系分散液を上記サスペンジョンとして使用
した以外は、前記例1と同様にして各例の接着剤組成物
を調製した。これらの接着剤組成物に、アルコール膨潤
型スメクタイトを2部添加して、各例の手動ポンプ式ス
プレー型接着剤を調製した。これらの手動ポンプ式スプ
レー型接着剤の各評価結果を下記の第3表に示す。比較例1 バインダー成分、すなわち、バインダーラテックスを添
加しなかった以外は、前記例5の手法を繰り返した。本
例の手動ポンプ式スプレー型接着剤の各評価結果を下記
の第3表に示す。比較例2 バインダーラテックスとスメクタイトとを添加しなかっ
た以外は、前記例5の手法を繰り返した。本例の手動ポ
ンプ式スプレー型接着剤の各評価結果を次の第3表に示
す。
【0084】
【表4】
【0085】
【発明の効果】本発明による接着剤組成物では、それに
含まれるバインダー微粒子が、接着剤組成物をスプレー
等の塗布手段により被着体の表面に適用し乾燥した後、
粘着性微小球をその被着体表面(粘着面)に強固に結着
するバインダーとして作用する。したがって、接着剤組
成物が適用された一方の被着体(たとえば、壁紙)を、
他方の被着体(たとえば、壁)に貼着した後、一方の被
着体の剥離・貼着操作の繰り返しによる、他方の被着体
への糊移りを効果的に防止できる。また、炭素数4〜1
0のアルキルアクリレートを含有する重合性成分を重合
してなるバインダー微粒子は、エタノールに比較的不溶
であるので、環境湿度の変化に伴う凝集力の低下による
バインダーとしての機能低下を効果的に防止するように
も作用する。また、本発明の接着剤組成物では、バイン
ダー微粒子のエタノール希釈安定性が高められるので、
接着剤組成物中の溶媒に含有される水の量を減らしつ
つ、エタノールの量を相対的に多くすることが容易であ
る。したがって、接着剤組成物の速乾性が向上し、紙等
の材料からなる被着体の乾燥の際のしわの発生を効果的
に防止できる。また、これらの形態におけるバインダー
微粒子は、エタノールに対する不溶性がさらに増大する
ので、環境湿度の変化に伴う、バインダー微粒子の凝集
力の低下をさらに効果的に防止できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08F 220/18 220:26) (C08F 220/18 220:56)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)エタノールを含有する溶媒と、
    (b)前記エタノール含有溶媒中に分散されたものであ
    って、体積平均直径が10〜300μmのアクリル共重
    合体からなる粘着性微小球とを含む接着剤組成物におい
    て、 前記粘着性微小球を被着体に結着させるバインダー微粒
    子が前記エタノール含有溶媒中にさらに分散せしめられ
    ていることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記バインダー微粒子が、炭素数4〜1
    0のアルキルアクリレートを含有する重合性成分を水系
    溶媒中に分散させて重合させたものである、請求項1に
    記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記水系溶媒が、非重合性成分として非
    水溶性有機化合物と乳化剤とを含んでおり、そして前記
    重合性成分が分子内に酸性基を有するビニルモノマーを
    さらに含んでいる、請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記重合性成分が共重合性界面活性剤を
    さらに含んでいる、請求項2に記載の接着剤組成物。
  5. 【請求項5】 前記水系溶媒が、非重合性成分として乳
    化剤を含んでおり、そして前記重合性成分が、炭素数1
    1〜34の長鎖アルキル(メタ)アクリレートと、分子
    内に酸性基を有するビニルモノマーとをさらに含んでい
    る、請求項2に記載の接着剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記アクリル共重合体が、炭素数4〜1
    0のアルキルアクリレートと、ヒドロキシアルキル(メ
    タ)アクリレートとを含有する重合性成分の重合体から
    なる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記アクリル共重合体が、炭素数4〜1
    0のアルキルアクリレートと、N,N−ジ置換アミド基
    を分子内に有するビニルモノマーとを含有する重合性成
    分の重合体からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の接着剤組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の接着剤組成物を製造す
    る方法であって、下記の工程: (a)前記エタノール含有溶媒中に分散された前記粘着
    性微小球を含有するサスペンジョンを調製し、 (b)前記サスペンジョンに前記バインダー微粒子を含
    有するバインダーラテックスを添加して前記接着剤組成
    物を調製する工程を含んでなることを特徴とする接着剤
    組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記工程(a)において前記粘着性微小
    球含有サスペンジョンを調製するに当って、 (a−i)次のいずれか一方の共重合体: (A)炭素数4〜10のアルキルアクリレートと、ヒド
    ロキシアルキル(メタ)アクリレートとを含有する重合
    性成分を重合してなる共重合体、(B)炭素数4〜10
    のアルキルアクリレートと、N,N−ジ置換アミド基を
    分子内に有するビニルモノマーとを含有する重合性成分
    を重合してなる共重合体、からなり、そしてエタノール
    再分散性を有する粘着性微小球を含有する水系分散液を
    調製し、 (a−ii)上記工程(a−i)で得られた水系分散液に
    凝集剤を添加して前記粘着性微小球を含む凝集体を形成
    した後、その凝集体の外部に存在する水を除去し、そし
    て (a−iii)上記工程(a−ii)で得られた凝集体と前記
    エタノール含有溶媒とを混合し、前記凝集体の凝集を解
    いて前記粘着性微小球を再分散させて前記サスペンジョ
    ンを形成する、請求項8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の接着剤組成物と、ア
    ルコール膨潤型スメクタイトとを含んでなることを特徴
    とする手動ポンプ式スプレー型接着剤。
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