JPH0933517A - 鋼板の材質計測方法 - Google Patents

鋼板の材質計測方法

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JPH0933517A
JPH0933517A JP7185194A JP18519495A JPH0933517A JP H0933517 A JPH0933517 A JP H0933517A JP 7185194 A JP7185194 A JP 7185194A JP 18519495 A JP18519495 A JP 18519495A JP H0933517 A JPH0933517 A JP H0933517A
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JP
Japan
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steel sheet
scale thickness
measuring
scale
measured
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Application number
JP7185194A
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English (en)
Inventor
Akira Torao
彰 虎尾
Hideya Furusawa
英哉 古澤
Masaharu Saisuu
正晴 斎数
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼鈍後のステンレス鋼板の結晶粒径や硬度を
オンラインで連続的に測定する。 【構成】 冷間圧延後に焼鈍する鋼板10の材質を予測
する鋼板の材質計測方法であって、焼鈍後のステンレス
鋼板10の表面のスケール厚さを測定装置20で測定
し、該スケール厚さと、予め得られている鋼板10の化
学成分及び冷間圧延工程での冷間圧下率の情報とから、
焼鈍炉内での放射率を求め、該放射率と、焼鈍炉にて放
射温度計12で測定される該鋼板10の輝度温度とから
均熱温度を求め、該均熱温度と上記スケール厚さとから
鋼板の焼鈍炉14内での均熱時間を推定し、該均熱温度
及び該均熱時間と鋼板の化学成分及び冷間圧下率の情報
とに基づいて、鋼板の材質(結晶粒径、硬度)を予測す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の材質計測方
法、特に焼鈍後のステンレス鋼板の結晶粒径や硬度をオ
ンラインで連続的に測定する際に適用して好適な、鋼板
の材質計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板の結晶粒を成長させ、機
械的強度等の材質特性を得るために、焼鈍処理が施さ
れ、その際に鋼板表面上に形成される、主として酸化物
からなるスケールを取り去るための酸洗処理が引き続き
行われる。これらの処理が連続して行われる工程は、一
般にCAP(Cold Anealing and Pickling )ライン
と呼ばれている。
【0003】この焼鈍工程では、板温の昇温パターンを
適切に管理して、目標となる材質特性を得る必要があ
り、そのために焼鈍炉での板の最高到達温度(均熱温
度)Tss[K]と、ある温度からTssへ到達するまでの
時間(均熱時間)Ts を調整するように、炉温制御がな
されている。
【0004】本来、板温度を高精度に測定して板温制御
を実施することが望ましいが、炉内では表面に酸化スケ
ールが成長し、その成長程度、例えばスケール厚さの違
いにより、鋼板の放射率が異なるために、放射率を固定
した従来の放射温度計や、二色温度計では、正確な板温
を測定できないことから、その代替として、上述した炉
温制御が行われている。
【0005】このような焼鈍工程では、ステレンス鋼板
の品質特性を決定する要因として、結晶粒度が重要であ
ることから、オンラインで結晶粒径を測定することが望
まれており、そのための装置として超音波の後方散乱波
の強度値から結晶粒径を推定するものが、次の文献に提
案されている。“The Development and Marketing
of New Technology for the Inspection of R
olled Strip”BNF 6th International Con
ference 。
【0006】又、結晶粒径を測定する他の技術として
は、超音波の後方散乱ノイズを周波数分析し、特定の周
波数領域での後方散乱ノイズ強度の積分値と結晶粒径と
の関係を利用する方法が特開平4−95870に開示さ
れている。又、被測定鋼板の保磁力を測定し、その測定
値と既知の結晶粒径を有する鋼板での保磁力との相対比
から測定対象鋼板の結晶粒径を求める方法が特開平6−
213872に提案されている。更に、X線回折測定に
より、回折X線強度の計数率の変動幅から結晶粒径を推
定するオンライン測定方法が特開平5−142168に
開示されている。これらの結晶粒径を推定する手法は全
て、従来の顕微鏡観察による破壊試験に代わる非破壊試
験方法であるため、連続測定を行う際に有効に適用でき
ればオンライン測定に好適である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記文
献に提案されている超音波後方散乱波の強度から結晶粒
径を測定する方法には、鋼板のパスライン変動や表面の
スケール性状等の影響を受け易いため、結晶粒径の測定
精度は約±10μm程度と悪く、実用化には至ってない
という問題がある。
【0008】又、特開平4−95870に開示されてい
る方法には、超音波探触子を被測定物上に載置させるた
めに鋼板が走行しているときには測定できず、更に、測
定場所がずれると測定誤差が大きくなるという問題があ
る。
【0009】又、特開平6−213872に開示されて
いる保磁力を利用する方法では、測定対象と検出ヘッド
間の距離を高精度に制御する必要があるため、オンライ
ン測定に適用する際に運用上の問題がある。
【0010】更に、X線回折を利用する特開平5−14
2168に提案されている方法は、X線を使用するため
に装置管理が容易ではなく、その上高価であるという欠
点を有している。
【0011】以上のように、結晶粒径を測定する多くの
方法が提案されているが、それぞれに問題があり、実用
化されていないのが実状である。
【0012】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、鋼板の焼鈍状態を全体的に把握し、
対象鋼板の結晶粒径等の材質特性をオンラインで測定
し、鋼板品質を総合的に評価することができる技術を提
供することを課題とする。
【0013】なお、後に詳述する如く、本発明では、焼
鈍時に鋼板表面が酸化されて形成されるスケールの厚さ
をオンライン測定することが重要な要件となっているの
で、ここで、このスケールについて若干説明しておく。
【0014】上述した炉温制御により焼鈍される鋼板の
板厚や板幅等の寸法の違い、鋼板成分の違い等により、
形成されるスケールの厚さや脱スケール性は異なったも
のとなり、次工程で酸洗する際には、酸洗後のスケール
残りの発生をなくすために、鋼板の走行速度を抑制する
傾向にあった。従って、生産能率を阻害したり、スケー
ルの性状によっては、酸洗が不充分であるためにスケー
ル残りが生じて、ステンレス鋼板の表面品質特性の悪
化、例えば光沢不良を発生させることにもなっていた。
【0015】又、従来から、表面のスケール厚さを非破
壊で測定する手段はなく、表面分析装置による破壊試験
により、相対的なスケール厚さを求めたり、スケール部
の断面を光学顕微鏡で観察して厚さを測定することが行
われていたに過ぎない。
【0016】CAPラインでのスケール厚さを測定する
技術に直接関係するものではないが、表面の酸化物をオ
ンラインで測定するのに好適な技術としては、特公昭6
2−34093に開示されている、鋼板等の被測定体の
除錆度を測定するために、550nm付近の波長帯域を
有する光を被測定体表面で反射させ、上記波長帯域にお
ける反射光の光量を測定し、被測定体表面の赤錆と黒皮
を、各々同程度の検出感度で検出する方法が参考とな
る。
【0017】ところが、上記公報に開示されている測定
方法は、表面スケールを除去する、例えばショットブラ
スト装置等により、機械的に鋼板の表面を除錆処理した
後のスケール残りの状態を定量的に評価するものであ
り、スケールの組成としても、鉄の酸化物を対象とする
ものである。
【0018】又、この方法は、斜めの方向から光を照射
して、その反射光を正面で受光するので、これらの先行
技術の対象のように、拡散反射の多い鋼板を測定する場
合には良いが、ステンレス鋼板のスケールのように、光
沢性が高く、拡散反射成分の少ない表面を測定する際に
は、反射光量が弱くなり、測定感度が劣るという問題点
も有する。
【0019】更に、特公昭62−34093の方法で
は、使用波長を550nm付近と限定しているが、CA
Pラインで生じるスケールは、主として、鋼板の成分で
もある、CrやMn、Ni、Si等の酸化物を主成分と
しており、分光反射スペクトル解析等の結果によれば、
可視波長域よりも、紫外又は赤外域に吸収が大きくなる
ことから、その特性を利用した測定が好ましい。従っ
て、550nmの緑色光や白色光全体を用いた反射測定
は、CAPラインでのスケール厚さ測定には適さず、高
感度なスケール厚さの測定は困難であった。このよう
に、焼鈍工程では依然としてスケール厚さをオンライン
で測定する技術は実現されていない。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、冷間圧延後に
焼鈍する鋼板の材質を予測する鋼板の材質計測方法であ
って、焼鈍後の鋼板表面のスケール厚さを測定し、該ス
ケール厚さと、予め得られている鋼板の化学成分に基づ
いて、焼鈍炉内での放射率を求め、該放射率と、焼鈍炉
にて測定される該鋼板の輝度温度とから均熱温度を求
め、該均熱温度と上記スケール厚さとから鋼板の焼鈍炉
内での均熱時間を推定し、更に、該均熱温度及び該均熱
時間と、鋼板の化学成分及び冷間圧下率の情報とに基づ
いて、鋼板の材質を予測することにより、前記課題を解
決したものである。
【0021】本発明は、又、請求項2のように、予測す
る鋼板の材質が、結晶粒度及び硬度の少なくとも一方で
あるようにしたものである。
【0022】本発明は、又、請求項3のように、焼鈍後
の鋼板のスケール厚さとして、焼鈍炉内で輝度温度を測
定した時点から、輝度温度の測定位置とスケール厚さの
測定位置との離間距離を鋼板速度で除して算出される測
定時間差が経過した時点の測定値を使用するようにした
ものである。
【0023】本発明は、又、請求項4のように、鋼板の
スケール厚さを、鋼板の表面反射光を紫外から可視波長
領域で検出し、該波長領域のうちの、所定波長以下の少
なくとも1つの波長での反射光強度から求めるようにし
たものである。
【0024】本発明は、又、請求項4において、請求項
5のように、前記スケール厚さを求めるために使用する
波長を、450nm以下としたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は、各種条件により圧延、
焼鈍された成分系の異なる複数種類のステンレス鋼板に
ついて、スケール厚さ、放射率、均熱温度(板温)、均
熱時間等を調べ、それぞれの値と結晶粒径、硬度等の材
質特性との間に一定の関係があることを知見してなされ
たものである。
【0026】まず、本発明の要件の1つになっているス
ケール厚さの測定方法について詳述する。但し、本発明
に適用できるスケール厚さの測定方法はこれに限定され
ないことはいうまでもない。
【0027】本発明者等は、各種焼鈍条件下でのステン
レス鋼板の紫外から可視波長領域での反射スペクトルを
詳細に調べた結果、特定の波長での反射光強度値が、鋼
板表面のスケール厚さと一定の関係があることを知見
し、これに基づいて、本発明に有効に適用できる、特
に、ステンレス鋼板等の鋼材の焼鈍後のCr、Mn、N
i、Si等の酸化スケール厚さを、非破壊で高精度に測
定可能とする技術を開発した。
【0028】この測定技術を説明するに当り、測定対象
の一例として、ステンレス鋼板のうちの一種であるオー
ステナイト系ステンレス鋼板(以下SUS304とす
る)を取り上げる。この鋼板の特徴としては、その成分
に約18%のCrと、約8%のNiが含まれることが挙
げられる。このCr、Niの量と、その他の含有成分で
あるC、N、Si、Mnの量等の多少によって、材料特
性の異なる亜鋼種が複数存在する。
【0029】焼鈍炉での板の最高到達温度(均熱温度)
Tss、ある温度からTssに到達するまでの時間(均熱時
間)Ts が異なる各種焼鈍条件下で製造されたSUS3
04のスケールを、各種表面分析装置、例えばGDS
(グロー放電発光分析装置)やX線回折装置、更に、被
膜の光学特性(例えば屈折率)を測定する分光エリプソ
メータや、反射特性を測定する分光器により測定した結
果、スケールは、主としてCrやMn、Fe等の酸化物
から構成されること、スケール層内に複数の層が存在す
るが、主としてCr2 O3 層の厚さで代表できること、
スケール厚さは、およそ0.1〜0.5μmと推定され
ること、スケールの分光複素屈折率(N1 =n1 −ik
1 ,ここでi2 =−1)の値がほぼ決定できること、紫
外から可視の短波長域での吸収が大きいこと等が明らか
になった。
【0030】又、スケール厚さの相対的な値は、GDS
法によりスケールをスパッタリングする際、スケール被
膜と地鉄界面に濃化する元素に着目して、その元素のピ
ークに達するまでのスパッタリング時間によって表わす
ことができることも確認された。この値を、スケール厚
さの相対的な値として用い、以下無次元量dscとする。
【0031】まず、各種のTss、Ts 条件により、焼鈍
されたSUS304を使用し、積分球を内蔵した分光器
を用いて、紫外から可視波長領域での分光反射率R
(λ)を測定した。ここで、λは波長(250〜800
nm)であり、反射率の基準は、未焼鈍でスケールのな
いSUS304鋼板を用いている。これらの鋼板につい
て、GDS法によりスケール厚さの指標であるdsc値を
分析した。
【0032】次に、分光反射率R(λ)とdsc値との相
関を調べたところ、紫外から可視低波長を選択すると、
両者の間には良好な相関関係が存在することが明らかに
なった。一例としてλ=405nm(=λ1 )として、
dsc値とR(λ)との対応を図1に示す。ここでは亜鋼
種の異なる鋼板サンプル1(○印)、2(×印)での測
定結果を示した。更に多くの亜鋼種に対しても、同様の
対応関係が得られており、この関係を利用することによ
り、スケール厚さdscを±10%以内の測定精度にて推
定することが可能である。
【0033】測定結果として別の波長、例えば500n
m、546nm、600nm等を用いると、スケール厚
さdscと、それぞれの反射率R(500)、R(54
6)、R(600)とは直線的な相関関係にならず、ス
ケール厚さの変動範囲において、関係式は2価又は3価
の関数形となることが明らかになった。その一例とし
て、図2に、dsc値とR(546)の関係を示す。この
図より、dsc値がおよそ8〜15(任意単位)の範囲で
のR(546)の変化が小さく、スケール厚さを推定で
きないことが分かる。波長が600〜700nmでは、
dsc変化に対する反射率の変化は更に小さくなるが、膜
厚と波長との一般的な関係、更には吸収性も少なくなる
ことから、スケール厚さ変化に対する反射率変化の度合
が小さくなることは当然推察されるものである。
【0034】又、波長を長くすると、反射率が振動的に
増減すること、更にその変化も小さくなることも確認さ
れている。
【0035】一方、分光エリプソメータによる分光複素
屈折率N1 の測定結果と、下地SUS304の分光複素
屈折率N2 =n2 −ik2 の値とを用い、波長、入射
角、屈折角等を与えて、膜厚と反射率との関係を計算し
たところ、可視波長の低い波長域を使用すると、実験結
果と同様に直線関係が得られることも確認されている。
【0036】図3に、使用波長とスケール厚さ推定誤差
の関係の測定例を示す。この図3から明らかなように、
使用波長が450nm以下の領域で、目標精度±15%
以下が達成されている。以上のことなどから、使用する
波長は450nm以下であることが望ましい。
【0037】又、吸収の少ない波長(=λ0 )や波長領
域(λ=λa 〜λb )での反射率を同時に測定してお
き、光源強度変動や鋼板までの測定距離変動等、スケー
ル厚さ変動に関係しない変動要因を補正するために利用
することも可能である。この手法は、膜での吸収性を利
用した、一般的な膜厚計測に用いられている補正法であ
る。
【0038】以上の結果から、所定波長での反射強度測
定からステンレス鋼板のスケール厚さを測定可能となる
ことが明らかにされた。これらの反射強度測定は、測定
対象が移動している場合でも基本的に実現可能である。
従って、分光測定系と測定対象との間の距離を離して測
定を行うことを可能とする装置構成とすれば、オンライ
ン、非接触でのスケール厚さの測定が実現されることに
なる。
【0039】本発明者等は、前記GDS法によるスケー
ルのスパッタリングについて、更に詳細に検討した結
果、スパッタリングを開始してから、スケール被膜と地
鉄との界面に濃化している元素のピークに達するまでの
スパッタリング時間tsi[sec]からスケール厚さを定
量評価できることが明らかにされた。即ち、スパッタリ
ング時間tsiとスケール厚みdscとの間には一定の比例
関係が存在する。
【0040】更に、紫外波長での反射光強度値や分光エ
リプソメータによる被膜厚測定値、スケール層の断面顕
微鏡写真などから実測値を評価することにより、最終的
には、分光反射光強度I(λ)からスケール厚みdsc
[μm]を推定することが明らかにされた。これを式で
表現すると次の(1)式となる。
【0041】 dsc=f1(I(λ)) …(1)
【0042】ここでf1は一定の関数形であり、λ[n
m]としては複数(n個)の波長を用いることができ
る。この場合には(1)式は次の(2)式で表現され
る。
【0043】 dsc=f2(I(λ1),I(λ2),・・・I(λn)) …(2)
【0044】次に、各種の均熱温度Tss、均熱時間Ts
の条件下で焼鈍処理されたSUS304を使用し、各鋼
板のdsc測定値とTss、Ts 等との関係を調べ、更にス
ケールの酸化増量、酸化速度定数及びその温度依存性等
の関係を速度論的に解析したところ、次の(3)式の関
係を得た。
【0045】 Ts =f3(Tss,dsc) …(3)
【0046】上記(3)式のTs は、一般にある温度T
soから最高温度(均熱温度)Tssへ至るまでの時間と定
義されるが、Tsoにどの時点で到達したかはCAPライ
ンでは測定できない。一方、Tssは焼鈍炉中の加熱帯で
実測又は推定可能であるために、dsc、Tssが得られれ
ば前記(3)式を用いてTs を推定することができる。
【0047】次に、スケール厚みと放射率との関係を調
べるために、放射温度計により各鋼板の輝度温度Sを測
定し、更にそのときの実際の鋼板温度Tを、例えば熱電
対で測定した。又、生成したスケールの厚みdscは、前
記(1)式又は(2)式を原理とする反射光強度法によ
り測定した。
【0048】一般に、波長λでの放射測温を実施する
際、鋼板の放射率をεとすれば、輝度温度S[K]、鋼
板温度T[K]、εの間には次の(4)式の関係がある
(ウィーンの式)。
【0049】 1/T=1/S+(λ/C2)ln(ε) …(4) ここで、C2はPlankの第2定数である。 C2=1.4388×104 [μm・K] …(5)
【0050】鋼板のスケール厚みを変化させ、成分元素
量の異なる条件、即ち次に説明する(7)式で与えられ
るM値として異なる値を持つ鋼板に対して放射率とスケ
ール厚みとの対応関係を調べ、dsc、Mを変数として回
帰すると以下に示す(6)式の関係が得られた。
【0051】 ε=f4(dsc,M) …(6)
【0052】この(6)式でM値は、鋼板を構成する化
学成分を表わす指標として、各構成元素の割合値を用い
てオーステナイト安定度を定量的に表現する値で、次の
(7)式で定義することができる。この(7)式でf5
は一定の関数形であり、各変数は化学成分のmass%値を
用いている。
【0053】 M=f5(%C,%N,%Si,%Mn,%Cr, %Ni,%Cu,%Mo,%Nd) …(7)
【0054】従って、予め上記M値が明らかであれば、
前記(4)〜(6)式を用いることにより、dscとSを
測定することで鋼板温度Tを算出することができる。従
って、焼鈍炉内でdscとSを同時に測定することができ
れば、高精度な板温測定が可能になる。
【0055】ところが、実際には炉内でのスケール厚さ
測定を実施するのは困難であるため、スケール厚さの測
定は焼鈍炉出側の鋼板温度が低下した状態で測定するこ
とになる。そのため、輝度温度の測定は、実際にはスケ
ール厚さ測定位置の上流において行われることになるの
で、鋼板の同じ位置の輝度温度とスケール厚さを測定す
るためには測定の時間差を考慮する必要が生じる。
【0056】今、輝度温度測定位置とスケール厚測定位
置との離間距離(2点間)の長さをL[m]、鋼板の速
度をV[m/sec ]とすれば、測定時間差Δt[sec ]
は次の(8)式で与えられる。
【0057】Δt=L/V …(8)
【0058】従って、焼鈍炉の出側で、ある時刻tにお
けるスケール厚さ測定値、輝度温度測定値及び放射率推
定値を、それぞれdsc[t]、S[t]、ε[t]で表
わすとすれば、前記(4)〜(6)式を用いて演算を行
う際には、dsc[t]、ε[t]、S(t−L/V)の
値を使用することになる。この場合、鋼板温度として
は、時間L/V[sec ]だけ過去に溯った時点での値T
(t−L/V)が得られることになる。このようにして
得られる鋼板温度Tは、放射温度計の設置場所が加熱帯
の最終段階であることを考慮すると、均熱温度Tssに相
当すると考えられるので、鋼板上の同一位置のdsc、T
ssが得られることになり、前記(3)式を用いてTs が
算出可能となる。
【0059】次に、鋼板の材質、即ち結晶粒径や硬度を
推定する方法について説明する。各種条件で焼鈍された
前記SUS304鋼板の結晶粒径d[μm]やビッカー
ス硬度Hv[−]を実測し、焼鈍条件Tss、Ts や焼鈍
前の鋼板の特性を表わす指標である前記M値や、次に説
明するR値等との関係を調査し、更に結晶粒の成長を熱
活性化過程として取り扱うことにより、dを表わす関係
式として次の(9)式を得た。又、具体的な関数式とし
て(9A)式を得た。なお、この(9A)式における係
数A、B、Cは、上記M、Rの関数である。
【0060】 d=f6(Tss,Ts ,M,R) …(9) d=Aexp (−B/Tss)・Ts +C …(9A)
【0061】上記(9)式のRについて説明すると、鋼
板は、仕上焼鈍の前工程である冷間圧延工程において圧
下され、歪みエネルギを蓄えることになるので、そのエ
ネルギが焼鈍時の結晶粒の再結晶過程に影響を及ぼす。
そこで、圧下を表わす指標として、冷間圧延前の板厚H
と圧延後の板厚hを用いて次の(10)式に示される冷
間圧下率R[%]を定義する。
【0062】 R=[(H−h)/H]×100 …(10)
【0063】この(10)式で表わされるR値と、前述
したM値の2つは、焼鈍前の鋼板の材質を決定する上で
主要な指標になる。
【0064】又、前記ビッカース硬度Hvは、次の(1
1)式で与えられる。
【0065】 Hv=f7(Tss,Ts ,M,R) …(11)
【0066】以上説明したように、(1)〜(11)式
を用いることにより、スケール厚さと輝度温度をオンラ
インで測定し、予め得られている関係式や測定対象の鋼
板の焼鈍前の特性である化学成分や冷間圧下率の情報を
元にして、焼鈍後の鋼板の結晶粒径や硬度等の材質特性
を連続的に推定することが可能となる。
【0067】以上の説明はSUS304について行った
が、他の鋼種、例えばSUS430等のステンレス鋼や
普通鋼についても、同様の手法を適用可能である。
【0068】以下、図面を参照して、より具体的な実施
の形態の例を詳細に説明する。
【0069】図4は、本発明に係る一実施形態に適用さ
れるCAPラインの概略構成を示す配置図である。
【0070】上記CAPラインでは、2つの異なる波長
λ1=365nm、λ2=405nmを利用し、光源と
してHg−Xeランプを使用するオンラインスケール厚
さ測定装置20と、波長λ=1.6μmでの輝度温度を
測定する放射温度計12とを組合せてある。
【0071】上記CAPラインで、走行するステンレス
鋼板10は、焼鈍プロセス14を出た後酸洗ライン16
へ連続的に搬送される。スケール厚さ測定装置20はロ
ール18により板の振動を抑えられた場所に鋼板10か
らの距離を一定になるように設置される。一方、放射温
度計12は、スケール厚さ測定装置20が設置されてい
る位置から鋼板に沿ってL[m]の距離だけ上流側の位
置で、且つ焼鈍プロセス14内に設置され、連続的に鋼
板の輝度温度を測定するようになっている。
【0072】上記スケール厚さ測定装置20は、図5に
示す如く構成されている。即ち、光源であるHg−Xe
ランプ22の光は、平行光にされて、積分球24を通し
てステンレス鋼板10に垂直に照射される。ここで、積
分球を用いているのは、スケール表面や下地表面の粗さ
等が、亜鋼種やコイル毎に異なり、拡散反射の状況が変
化することによって、測定される反射光強度値に誤差を
もたらすことが懸念されるからである。
【0073】鋼板10から反射される拡散光を含む反射
光は、再度積分球24内へ戻り、中心波長がそれぞれ3
65、405nmと、Hg−Xeランプ22の基線に対
応した波長にて、透過率がピークになる干渉フィルタ2
6、28を通って、これら波長での反射光強度が、2つ
の光検出素子30、32により、それぞれ検出される。
【0074】光検出素子30、32は、積分球24上
の、例えば投受光ポート25に対して±90°の位置に
配置される。
【0075】検出された信号は、増幅器40を経て、予
めスケール厚さと反射率との関係が決められた変換式が
記憶されている信号変換装置42へ送られ、その結果が
出力装置44に出力される。
【0076】スケール厚さを算出する変換式としては、
例えば前記(1)式は(2)を使用することができる。
このスケール厚さの判別に利用する変換式は、スケール
厚さ測定装置20をCAPラインに設置した後、実際の
ステンレス鋼板10での測定データと分析結果を基にし
て最終的に決定される。
【0077】光源としては、ハロゲンランプや、紫外波
長域での光強度の強いメタルハライドランプを利用する
ことも可能であり、光ファイバを使用して、ランプ本体
や電源部を、光照射部から離して配置することも可能で
ある。使用する波長は、他にもλ3 として365nmを
用いたり、スケールによる吸収の少ない600〜700
nmの範囲内の波長を選択して付け加えることも可能で
ある。その際には、干渉フィルタ付の光検出素子を増や
して積分球上に配置すれば良い。
【0078】更に、他のスケール厚さ測定装置20とし
ては、上記のような複数の波長分離素子を個々に使用す
るのではなく、回折格子を内蔵したダイオードアレイ型
並列光検出素子と光ファイバ50を利用した小型分光器
52を使用し、得られた全スペクトル(例えば200〜
800nmの波長範囲)の信号を、信号変換装置54へ
送信して演算処理を施すようにした、図6に示すものを
使用することもできる。このスケール厚さ測定装置で
は、光源として光ファイバ62と集光光学系64とを有
するメタルハライド光源60を使用している。
【0079】このスケール厚さ測定装置であれば、測定
対象鋼板の鋼種によって最適な測定波長が異なる場合で
も、自由に波長選択が可能となるために、適用範囲が拡
大される。
【0080】以上の説明では、鋼板10と積分球24の
間の距離を一定に保持していたが、鋼板10の板厚が大
きく変化する場合には、測定誤差を生じることもあるの
で、図6に示した如く、積分球24から鋼板10までの
距離を実測する距離センサ70を付与することで、常時
距離を一定に制御するようにしてもよい。又、上述した
スケール厚さ測定装置に、板幅方向に走査する機構を付
与することにより、板幅方向でのスケール発生状況を把
握することも可能である。
【0081】上記各測定装置と変換装置等の演算処理系
のブロック図を図7に示す。この処理系では、スケール
厚さと輝度温度の測定時間差を演算するために板速値V
がプロセス状態量検出装置80により検出され、測定時
間差演算装置82により時間差L/Vが演算され、均熱
温度変換装置84に入力される。ここでLの値は既知で
ある。焼鈍前の鋼板特性を表わすM値やR値等は、上位
計算機86から放射率変換装置88や材質特性変換装置
90へ送られる。又、スケール厚さ変換装置94で算出
されたdscは放射率変換装置88と均熱時間変換装置9
6に送られる。
【0082】以上の測定系、処理系により測定、算出さ
れたdsc、Tss、Ts 、d、Hv等の値は上位計算機8
4へ転送され、操業監視や品質管理のために活用される
と共に、炉温設定や板速等のプロセス状態量を変更する
ためのバーナーやモーター等のアクチュエータ98へ送
られ、焼鈍の最適化が図られるようになっている。又、
結晶粒径dや硬度Hvは品質管理情報として出力装置9
2に出力される。
【0083】上述した演算処理系では、前記各種パラメ
ータを変換演算するための関数形、例えばf2、f3、
f4、f6、f7等は、予めオフラインで焼鈍実験を行
い、最適な形に決定して用いられる。
【0084】図8は、GDS法によるスケール厚さの分
析値dscと、光反射強度I(λ1)、I(λ2)から関
数f2により求められる値との対応を示す線図である。
例えば、この関係を用いて、2つの波長での光反射強度
を測定し、それに基づいて前記(2)式のf2の関数値
を求めることにより、オンラインでスケール厚さdscを
測定することができる。
【0085】その際に使用できる具体的な関数として
は、次の(2A)式を挙げることができる。
【0086】 dsc=A1×I(λ1)+B1×I(λ2)+C1 …(2A)
【0087】上記のようにして測定されるGDS法によ
るスケール厚さの実測値と、本実施形態によるスケール
厚さの推定値との関係を図9に示した。この図9よりス
ケール厚さを高精度に測定可能であることが分かる。
【0088】図10は、あるM値でのスケール厚さdsc
と、そのスケール厚さを有する鋼板の放射率εとの関係
を示す線図であり、この関係が前記(6)式に示す関数
f4の一例である。この関数を具体的に表わすと次の
(6A)式となる。
【0089】 ε=A2×dsc3 +B2×dsc2 +C2×dsc+D2 …(6A)
【0090】先に測定されたスケール厚さdscと前記M
値とを関数f4に適用して放射率εが求められ、この放
射率εと放射温度計12で測定される輝度温度Sと、更
に波長λの値(ここでは1.6μm)とから前記(4)
式を用いて温度T、即ち、均熱温度Tssが求められる。
【0091】次に、このTssの値とdscの値とから、前
記(3)式に示す関数f3を用いて均熱時間Ts の値が
推定され、最終的に前記(9)、(11)式を用いて焼
鈍後の材質特性値である結晶粒径dや硬度Hvが推定さ
れる。
【0092】ここで、関数系f3、f7の具体例として
は、次の(3A)式、(11A)式を挙げることができ
る。又、f6の具体例としては、前記(9A)を利用で
き、その係数A、B、Cとしては(12A)〜((12
C)式を挙げることができる。
【0093】 Ts =f3(Tss,dsc)=A3exp (B3/Tss)・dsc2 …(3A) Hv=f7(Tss,Ts ,M,R) =A4・{Aexp (−B/Tss)・Ts +C}-1/2+B4…(11A) A=exp (A5・M+A6・R+A7) …(12A) B=B5・M+B6・R+B7 …(12B) C=C5・R+C6 …(12C)
【0094】なお、関数形f1の具体例としては、次の
(1A)式を挙げることができる。
【0095】 dsc=A0・I(λ)+B0 …(1A)
【0096】以上の各式中で、A0〜A7、B0〜B
7、C1、C2、C5、C6及びD2はそれぞれ定数で
ある。
【0097】以上の本発明によるロジックを経てオンラ
インで推定された結晶粒径dと、オフラインで実測され
たdの値との対応を図11に示す。この図11の結果よ
り、結晶粒径の誤差は凡そ±4μmの範囲で推定可能で
あることが分かる。
【0098】以上詳述した如く、本実施形態によれば、
鋼板焼鈍後のスケール厚さや材質特性、例えば結晶粒
径、硬度等をオンラインで測定可能になるので、品質の
良否を迅速に把握して品質保証体制を構築可能になるば
かりでなく、炉温設定や板速度を変更する制御系にフィ
ードバックすることにより、均質な鋼板製造へ寄与する
ことができる。
【0099】以上、本発明について具体的に説明した
が、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるも
のでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能で
ある。
【0100】前記実施形態では、スケール厚さ測定に光
学的な手法を用いた例を示したが、これに限られるもの
でなく、他の方法、例えば放射線を応用した手法等も適
用可能である。
【0101】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
焼鈍後のステンレス鋼板の結晶粒径や硬度をオンライン
で連続的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】波長450nmでの反射率とスケール厚みの関
係から、スケール厚みを測定する原理を説明する線図
【図2】比較例として、波長546nmでの反射率とス
ケール厚みの関係を示す線図
【図3】使用波長とスケール厚さ推定誤差の関係を示す
線図
【図4】CAPにおける測定装置の配置状態を示す説明
図
【図5】スケール厚さ測定装置の具体的構成を示す断面
図
【図6】スケール厚さ測定装置の変形例の具体的構成を
示す断面図
【図7】測定装置と演算処理系の概略構成を示すブロッ
ク図
【図8】スケール厚さと光反射強度の演算値との関係を
示す線図
【図9】スケール厚さの実測値と推定値との関係を示す
線図
【図10】スケール厚さと放射率との関係を示す線図
【図11】結晶粒径実測値と推定値との関係を示す線図
【符号の説明】
10…ステンレス鋼板 12…放射温度形 14…焼鈍プロセス 16…酸洗ライン 18…ロール 20…スケール厚さ測定装置 22…Hg−Xeランプ 24…積分球 26、28…干渉フィルタ 30、32…光検出素子 42、54…信号変換装置 50、62…光ファイバ 52…小型分光器 60…メタルハライド光源 64…集光光学系 80…プロセス状態量検出装置 82…測定時間差演算装置 84…均熱温度変換装置 86…上位計算機 88…放射率変換装置 90…材質特性(結晶粒径,硬度)変換装置 92…出力装置 94…スケール厚さ変換装置 96…均熱時間変換装置 98…アクチュエータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷間圧延後に焼鈍する鋼板の材質を予測す
    る鋼板の材質計測方法であって、 焼鈍後の鋼板表面のスケール厚さを測定し、 該スケール厚さと、予め得られている鋼板の化学成分に
    基づいて、焼鈍炉内での放射率を求め、 該放射率と、焼鈍炉にて測定される該鋼板の輝度温度と
    から均熱温度を求め、 該均熱温度と上記スケール厚さとから鋼板の焼鈍炉内で
    の均熱時間を推定し、 更に、該均熱温度及び該均熱時間と、鋼板の化学成分及
    び冷間圧下率の情報とに基づいて、鋼板の材質を予測す
    ることを特徴とする鋼板の材質計測方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 予測する鋼板の材質が、結晶粒度及び硬度の少なくとも
    一方であることを特徴とする鋼板の材質計測方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、 焼鈍後の鋼板のスケール厚さとして、焼鈍炉内で輝度温
    度を測定した時点から、輝度温度の測定位置とスケール
    厚さの測定位置との離間距離を鋼板速度で除して算出さ
    れる測定時間差が経過した時点の測定値を使用すること
    を特徴とする鋼板の材質計測方法。
  4. 【請求項4】請求項1において、 鋼板のスケール厚さを、鋼板の表面反射光を紫外から可
    視波長領域で検出し、 該波長領域のうちの、所定波長以下の少なくとも1つの
    波長での反射光強度から求めることを特徴とする鋼板の
    材質計測方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記スケール厚さを求めるために使用する波長を、45
    0nm以下とすることを特徴とする鋼板の材質計測方
    法。
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