JPH0949112A - 高強度ポリアミド繊維およびその製造方法 - Google Patents

高強度ポリアミド繊維およびその製造方法

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JPH0949112A
JPH0949112A JP7201086A JP20108695A JPH0949112A JP H0949112 A JPH0949112 A JP H0949112A JP 7201086 A JP7201086 A JP 7201086A JP 20108695 A JP20108695 A JP 20108695A JP H0949112 A JPH0949112 A JP H0949112A
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JP
Japan
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strength
polyamide fiber
oil agent
water
aqueous emulsion
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JP7201086A
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English (en)
Inventor
Ryoji Okano
良治 岡野
Isoo Saito
磯雄 斎藤
Eiji Otsubo
栄治 大坪
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種産業資材用途に適した高強度でかつ強力
保持性および耐疲労性のすぐれたポリアミド繊維および
この高強度ポリアミド繊維を水系エマルジョン油剤を用
いて効率的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 本発明の高強度ポリアミド繊維は、強度
が10.0g/d以上、切断伸度が20%以上、沸騰水
収縮率が10.0%未満であることを特徴とする。ま
た、本発明の高強度ポリアミド繊維の製造方法は、ポリ
アミド未延伸糸条に水系エマルジョン油剤を付与した
後、熱延伸することにより高強度ポリアミド繊維を製造
する方法において、前記水系エマルジョンを付与した時
点と、前記熱延伸によって発生するドローポイントまで
の時間が0.05秒以下となるように、前記水系エマル
ジョンを付与した後ただちに熱延伸することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種産業資材用途に
適した高強度でかつ強力保持性および耐疲労性のすぐれ
たポリアミド繊維およびこの高強度ポリアミド繊維を水
系エマルジョン油剤を用いて効率的に製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド繊維は、強靱性、接着性、お
よび耐疲労性などの特性がすぐれているため、従来から
各種産業資材用途、例えばタイヤコード、搬送ベルト、
伝動ベルト、ゴムホースなどのゴム補強用コード、漁
網、ロープ、安全ベルト、スリング、ターポリン、テン
ト、組紐、および縫糸などの分野において汎く用いられ
ている。
【0003】そして、ポリアミド繊維を特にゴム補強用
コードとして用いる場合には、撚糸工程、接着剤付与後
の熱セット工程、ゴム加硫工程などで受ける熱的および
機械的刺激に対する強力保持性、およびタイヤ走行時の
繰返し疲労に対する耐疲労性などの性能が、ポリアミド
繊維に対し強く求められており、従来からそれらの要求
性能を満足させるための多くの検討がなされており、例
えば特開昭54−15022号公報、特開昭55−45
863号公報、および特開平1−168915などが提
案されている。
【0004】すなわち、上記特開昭54−15022号
公報および特開昭55−45863号公報に記載の技術
は、いずれも紡糸油剤として水系エマルジョン油剤を用
い、ポリアミド未延伸糸条にこの水系エマルジョン油剤
を付与した後、ただちに交絡ノズルで流体を吹きつけて
未延伸糸条の各フィラメントに油剤を均一にマイグレー
ションさせた後、熱延伸する方法であり、かかる方法に
よれば、10g/d以上の高強度で、かつ耐疲労性のす
ぐれたポリアミド繊維が得られることが開示されてい
る。
【0005】また、特開平1−168915公報に記載
の技術は、ポリアミド未延伸糸条に油剤を付与する直前
に、スチーム雰囲気中を通過させて各フイラメントの表
層を均一にスチーム処理した後、熱延伸する方法であ
り、かかる方法によれば、10g/d以上の高強度で、
かつタイヤコード加工工程における強力保持性が改善さ
れ、耐疲労性のすぐれたポリアミド繊維が得られること
が開示されている。
【0006】つまり、上記に示した従来技術は、いづれ
もポリアミド繊維の未延伸糸条に対し、水系エマルジョ
ン油剤またはスチームを用いて均一に水を付与した後、
熱延伸することによって、高強度でかつ強力保持性およ
び耐疲労性のすぐれたポリアミド繊維が得られることを
開示するものである。
【0007】このように、製糸工程、特に未延伸糸条の
段階でまず水を付与し、引続いて熱延伸することによっ
て、強力保持性および耐疲労性にすぐれたポリアミド繊
維が得られること、およびこのポリアミド繊維は前記の
強力保持性および耐疲労性物性の発現に対応した安定な
繊維構造が形成されたものであることが従来から知られ
ている。
【0008】ここでいう安定な繊維構造とは、例えばタ
イヤコードへの加工工程やタイヤ走行時に熱的、機械的
刺激を受けた場合に繊維構造の変化が小さいことを意味
する。
【0009】しかしながら、上記の従来技術で製造され
たポリアミド繊維は、未延伸糸条の段階で水を付与する
ことによって、上記安定な繊維構造が形成され、かつす
ぐれた強力保持性および耐疲労性が得られる反面、高強
度が得にくいという欠点があった。
【0010】このように、ポリアミド未延伸糸条に水を
付与することにより高強度ポリアミド繊維が得られ難く
くなるのは、以下の理由によるものと考えられる。
【0011】第1は、水が浸透した部分は他の部分より
熱延伸時に結晶化し易く、分子鎖が配向しにくいため、
この十分に配向しない部分が強度に寄与しないからであ
る。したがって、水の浸透の度合いが大きい程、繊維全
体の配向度が低く、低強度となる。
【0012】第2は、未延伸糸条に水を付与した場合、
糸条各フィラメント間およびフィラメントの断面内への
水の浸透度にばらつきが生ずるため、これがフイラメン
ト間の繊維構造および物性のばらつきの原因となり、こ
の場合にも十分な分子鎖の配向が達せられず、高強度糸
が得られないのである。
【0013】水が各フィラメント間およびフィラメント
の断面内に均一に浸透し、かつフィラメントの表面から
適度な深さ、例えば1〜5μの深さまで浸透しているこ
とが好ましいが、これらはフィラメントの断面を観察す
ることによってわかる。つまり、偏光顕微鏡下で、水の
浸透した部分を表層結晶層として観察することができる
のである。
【0014】したがって、高強度でかつ強力保持性およ
び耐疲労性のすぐれたポリアミド繊維は、未延伸糸に水
を均一に付与して、フィラメント間およびフィラメント
断面内に均一に浸透させ、かつ1〜5μの深さまで浸透
させることによって得ることができる。
【0015】しかるに、溶融紡糸され、紡糸口金から紡
糸、固化したポリアミド未延伸糸条は絶乾状態にあるた
め、これに水系エマルジョン油剤を付与すると瞬時に水
を吸収してしまい、マルチフィラメント間およびフィラ
メント断面内部への水の浸透を均一に行なうことができ
ない。
【0016】なお、上記特開昭54−15022号公報
および特開昭55−45863号公報の技術のように、
水系エマルジョン油剤を付与後ただちに流体で交絡処理
することによって、油剤をフィラメント間にマイグレー
ションさせる方法では、各フィラメント間への水の付与
は比較的均一となり、その結果9.6g/d程度までの
高強度は得られているが、フィラメント断面内への水の
均一な浸透は制御されていないため、結果として10g
/d以上の高強度糸を安定して得ることは困難であっ
た。
【0017】また、上記特開平1−168915号公報
の方法によれば、確かにフィラメント間およびフイラメ
ント内部への均一な水の浸透がなされ、かつ繊維断面内
への水の浸透深さもスチーム処理条件によって制御可能
であり、その結果として10g/d以上の高強度で、し
かも強力保持性および耐疲労性がある程度改良されたポ
リアミド繊維が得られるが、この技術はスチーム処理筒
の設置およびその工程管理の繁雑さが欠点であった。
【0018】一方、10g/d以上の高強度を有するポ
リアミド繊維を安定に生産するための一般的なプロセス
としては、例えば特開昭59−187617号公報およ
び特開昭58−115114号公報などに開示されてい
るように、ポリアミド未延伸糸条に水を付与しないで熱
延伸する方法が挙げられる。
【0019】すなわち、非水系油剤を付与した後熱延伸
する方法によれば、水系エマルジョン油剤を付与した後
熱延伸する方法に比較して、高強度のポリアミド繊維を
容易に得ることができるのである。
【0020】しかし、この非水系油剤を用いて得られた
ポリアミド繊維は、一般に強力保持性および耐疲労性な
どの点では不十分であるため、製糸工程およびタイヤコ
ード加工工程などにおいて、例えば熱延伸後十分な熱処
理を付与する手段、タイヤコード加工工程での接着剤付
与後の熱セットを強化する手段、および適切な油剤や接
着剤を選定する手段などの改良手段を組合せることによ
って、強力保持性や耐疲労性を実用上十分なレベルまで
に改良する必要があり、この点で工程が繁雑化し、効率
的な方法とはいえないものであった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解消を課題として検討した結
果、達成されたものである。
【0022】したがって、本発明の目的は、各種産業資
材用途に適した高強度でかつ強力保持性および耐疲労性
のすぐれたポリアミド繊維およびこの高強度ポリアミド
繊維を水系エマルジョン油剤を用いて効率的に製造する
方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の高強度ポリアミド繊維は、強度が10.
0g/d以上、切断伸度が20%以上、沸騰水収縮率が
10.0%未満であることを特徴とする。
【0024】そして、上記の特性を有する高強度ポリア
ミド繊維は、ポリアミド未延伸糸条に水系エマルジョン
油剤を付与した後、熱延伸することにより高強度ポリア
ミド繊維を製造する方法において、前記水系エマルジョ
ン油剤を付与した時点と、前記熱延伸によって発生する
ドローポイントまでの時間が0.05秒以下となるよう
に、前記水系エマルジョン油剤を付与した後ただちに熱
延伸することにより製造される。
【0025】また、上記高強力ポリアミド繊維を製造す
るに際しては、未延伸糸条に水系エマルジョン油剤を付
与し、さらにプレストレッチゾーンで非水系油剤を付与
した後、ただちに熱延伸することもできる。
【0026】さらに、上記高強力ポリアミド繊維の製造
においては、上記水系エマルジョン油剤が、エチレンオ
キサイド付加モル数が25モル以下で、かつ付加物のア
ルキル鎖中の炭素数が8以上である硬化ヒマシ油エチレ
ンオキサイド付加物を、活性剤として油剤成分中10重
量%以上含有することが、また上記熱延伸が2段以上の
多段延伸であり、かつ延伸温度が210℃以上であるこ
とが、それぞれ好ましい条件である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0028】本発明の高強力ポリアミド繊維は、強度が
10.0g/d以上、切断伸度が20%以上、沸騰水収
縮率が10.0%未満であることを特徴とし、これによ
って各種産業資材用ポリアミド繊維として好適な、高強
度でかつ強力保持性および耐疲労性のすぐれる特性を満
たすものである。
【0029】また、上記の特性を満たす高強力ポリアミ
ド繊維は、水系エマルジョン油剤を用いる改良された方
法によって、効率的に製造することができる。
【0030】すなわち、本発明の高強力ポリアミド繊維
の製造方法は、ポリアミド未延伸糸条に水系エマルジョ
ン油剤を付与した後、ただちに延伸することにより、ポ
リアミド未延伸糸各フィラメント間の水の付着ばらつ
き、フィラメント断面内への浸透のばらつき、および水
の吸着によって生ずるポリアミド未延伸糸条の縦膨潤な
どによって生ずる製糸上の障害、およびそれに伴なうポ
リアミド繊維物性の低下などを最小としたことを特徴と
するものである。
【0031】本発明の高強力ポリアミド繊維を形成する
ポリアミドとしては、ポリカプラミド、ポリヘキサメチ
レンアジパミドおよびポリテトラメチレンアジパミドな
どが挙げられるが、これらは5重量%以下の他の共重合
成分を含むコポリマであってもよい。ここでいう共重合
成分としては、例えばε−カプロアミド、テトラメチレ
ンアジパミド、ヘキサメチレンセバカミド、ヘキサメチ
レンイソフタラミド、テトラメチレンテレフタラミド、
およびキシリレンフタラミドなどが挙げられる。
【0032】なお、上記共重合成分を5モル%以上含有
した場合は、ポリアミド繊維の結晶性が低下し、耐熱性
や熱寸法安定性が低下するため好ましくない。
【0033】本発明に係る高強度ポリアミド繊維は、好
ましくは硫酸相対粘度が3.0以上、特に3.2以上の
高分子量ポリアミドからなる。ポリアミドの硫酸相対粘
度が3.0未満では、本発明が目的とする高強度および
/または高タフネスが安定して得られない場合がある。
【0034】また、本発明に係る高強度ポリアミド繊維
は、ゴム補強材や漁網などの産業資材用途に好ましく用
いられるため、耐熱性、耐候性および耐酸化防止性を付
与するために、ポリアミドには通常老化防止剤が添加さ
れている。
【0035】老化防止剤としては、通常銅化合物と有機
または無機の燐化合物、アルカリ金属またはアルカリ土
金属のハロゲン化物、第4級アンモニウムハロゲン化物
およびジフェニルアミン系抗酸化剤、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾール、およびヒンダードフェノール系抗酸
化剤などが用いられる。
【0036】銅化合物の具体例としては、酢酸第二銅、
沃化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、フ
タル酸銅、ステアリン酸銅、燐酸銅、ピロリン酸銅およ
び各種銅塩と無機または有機化合物との錯塩などが挙げ
られる。
【0037】ポリアミド繊維中に含有する老化防止剤の
量は、銅化合物の場合は銅として30〜150ppm、
好ましくは50〜100ppmである。銅化合物と併用
される酸化防止剤の添加量は0.01〜0.5重量%の
範囲が好ましい。。
【0038】本発明の高強度ポリアミド繊維を製造する
に際しては、まず上記ポリアミドポリマを水分率0.2
%以下に乾燥した後、紡糸機に供給し、紡糸温度280
〜310℃の範囲で溶融する。
【0039】次いで、溶融ポリマを紡糸パック中にて約
5〜50μの細孔を有する金属不織布フィルタ−を通し
て濾過した後、口金細孔を通して紡出する。
【0040】口金直下には10〜100cm、好ましく
は15〜50cm長さの加熱筒を設置し、加熱筒内の雰
囲気温度を250℃以上、好ましくは280〜310℃
とする。
【0041】上記加熱筒雰囲気中を通過して徐冷された
糸条は冷風を吹きつけられて冷却固化される。
【0042】次いで、糸条には水系エマルジョン油剤が
付与され、油剤を付与された未延伸糸条は引取ロ−ルで
300〜1000m/分、好ましくは450〜800m
/分の速度で引取られる。
【0043】引取り糸条は一旦捲取られることなく連続
して延伸工程に送られ、延伸される。
【0044】上記加熱筒の条件と引取り速度とは相互に
関連づけて設定することが必要であるが、未延伸糸の複
屈折が2×10-3〜15×10-3、好ましくは5×10
-3〜10×10-3の範囲となる条件であることが好まし
い。
【0045】上記においては、ポリアミド未延伸糸条に
水系エマルジョン油剤を付与した時点と、熱延伸時のド
ローポイント発生点までの時間が、0.05秒以下とな
るように条件設定することにより、水系エマルジョン油
剤を付与した後ただちに延伸することが重要である。
【0046】すなわち、溶融され口金細孔より紡糸、冷
却固化されたポリアミド未延伸糸条は、絶乾状態にある
ため、この未延伸糸条に水系エマルジョン油剤を付与す
ると、水が直ちに吸着される。
【0047】そして、水の吸着が速いために各フィラメ
ント全体に均一に拡散せず、また各フイラメントの断面
内においても不均一に吸着されることになり、このよう
にポリアミド未延伸糸条が水を不均一に吸着すると、延
伸される前に各フィラメント間およびフィラメント断面
内に不均一構造が形成され、糸条がロール上で揺れを生
じたり、均一な延伸ができなくなるため、延伸収率が低
下したり、得られた延伸糸の物性が低下するなどの障害
を招くことになる。
【0048】したがって、上記の障害を改善するために
は、ポリアミド未延伸糸糸条への水系エマルジョン油剤
の均一な付与と、各フィラメント断面内への水の均一な
吸着を達成すること、および/または十分に均一な水の
吸着ができない場合に、ポリアミド未延伸糸条が水を吸
着した後、不均一な繊維構造を形成する前に延伸を開始
することが必要である。
【0049】そのために、本発明の高強力ポリアミド繊
維の製造方法においては、ポリアミド未延伸糸条に水系
エマルジョン油剤を付与した後、延伸する方法におい
て、水系エマルジョン油剤を付与した時点と、熱延伸に
よって発生するドローポイントまでの時間を0.05秒
以下とし、水系エマルジョン油剤を付与した後ただちに
熱延伸することが必要である。
【0050】そして、この方法を実行するためには、水
系エマルジョン油剤を付与した後、引取りロールに糸条
を何回も周回することなく直ちに延伸しなければならな
い。
【0051】そこで、引取りロールの表面を摩擦力の大
きい鏡面とし、比較的周長の長いロールにポリアミド未
延伸糸条を1周未満周回させた後、ただちに延伸ゾーン
に糸条を送る。
【0052】延伸ゾーンにおいて発生するドローポイン
トは、上記引取りロールの出口から数cm〜50cmの
位置である。したがって、水系エマルジョン油剤の付与
位置からドローポイントまでの距離は、約150cm以
内であり、ポリアミド未延伸糸条が両地点を通過するの
に要する時間は、紡糸速度によって変化するものの0.
05秒以内、好ましくは0.04秒以内とする。
【0053】また、別の方法として、ポリアミド未延伸
糸条に非水系油剤を付与して引取った後、この糸条を引
取りロールおよびプレストレッチロールなどに必要分周
回させ、さらにドローポイントの直近で水系エマルジョ
ン油剤または水を付与することもでき、この場合には、
水系エマルジョン油剤または水を付与する位置からドロ
ーポイントまでの時間を0.05秒以内とすれば良い。
【0054】本発明において、水系エマルジョン油剤の
付与方法の最も好ましい態様は以下の通りである。
【0055】すなわち、ポリアミド未延伸糸条に付与す
る水系エマルジョン油剤の組成は以下が好ましい。
【0056】油剤組成はポリアミド未延伸糸条への水の
浸透を抑制するよう設計したもので、その結果糸条を構
成する各フィラメントへの均一な付着およびフイラメン
ト断面内への均一な浸透も達成し易い。
【0057】水系エマルジョン油剤の組成としては、エ
チレンオキサイド付加モル数が25モル以下で、かつ付
加物のアルキル鎖中の炭素数が8以上である硬化ヒマシ
油エチレンオキサイド付加物、具体的にはジオレイルア
ジペートを主成分とし、P0E(20)硬化ヒマシ油ト
リオレートを活性剤として油剤成分中10重量%以上含
有したものであり、前記活性剤の配合割合は10重量%
以上、好ましくは10〜50重量%である。
【0058】上記水系エマルジョン油剤を付与した後、
ポリアミド繊維の製糸工程油剤および高次加工工程油剤
を、原油剤を希釈または希釈することなく付与する。通
常、原油剤は水系エマルジョン油剤より粘性が高いの
で、糸条にプレストレッチをかけながら付与する。この
場合のプレストレッチ率は約0.1〜0.5%程度であ
る。
【0059】水系エマルジョン油剤中に原油剤組成を配
合した場合は、プレストレッチ工程での原油剤付与は不
要である。水系エマルジョン油剤の組成をポリアミド未
延伸糸条への水の浸透を抑制するように設計するために
は、油剤組成、エマルジョン濃度などの選択に自由度を
もたせることから、水系エマルジョン油剤と原油剤の付
与を分離するプロセスが好ましい。
【0060】かかる2段階で給油する場合は、水系エマ
ルジョンが原油剤に混合してもゲル化が生じないよう水
系エマルジョン油剤を設計しておく必要があるが、前記
水系エマルジョン油剤はそれを考慮した組成となってい
る。
【0061】水系エマルジョン油剤の濃度は通常5〜3
0重量%、好ましくは10〜25重量%であり、ポリア
ミド未延伸糸条への水の付与量は0.1〜1.0重量
%、好ましくは0.2〜0.5重量%である。
【0062】熱延伸は、2段以上の多段熱延伸を採用さ
れるが、限界延伸倍率の90%以上、好ましくは92〜
96%で延伸を行う。ここで限界延伸倍率とは5分間糸
切れすることなく延伸できる最高の延伸倍率のことであ
る。
【0063】総合延伸倍率は3.5〜6.5倍、通常は
4.0〜6.0倍である。また延伸温度は最終延伸温度
が210℃以上、好ましくは215〜250℃と高温で
あることが特徴である。
【0064】また、延伸に引き続いて熱弛緩処理を行な
うが、通常は最終延伸ロールとその後に配置したリラッ
クスロールとの間で8〜12%弛緩して熱処理を行う。
弛緩熱処理は実質的に最終延伸ロール上で行なわれるた
め、温度は210℃以上、好ましくは215〜250℃
である。
【0065】かくして、本発明の方法で得られる高強度
ポリアミド繊維は、強度が10.0g/d以上、切断伸
度が20%以上、沸騰水収縮率が10.0%未満であ
り、高強度でかつすぐれた強力保持性および耐疲労性を
具備するものである。
【0066】したがって、本発明の高強力ポリアミド繊
維は、上記のすぐれた特性を生かして、特にゴム補強用
繊維として有用である。
【0067】すなわち、本発明の高強力ポリアミド繊維
は、ゴムに埋込まれて加硫処理された時に強力低下が少
なく、高強度の加硫コードが得られる。そして、かかる
高強度加硫コードを用いる場合には、タイヤ補強材とし
てのコード本数を減らしたり、スダレ状織物のプラス数
を減らすことができ、さらには予め繊維の繊度を低くし
たコードを用いることができる。
【0068】いずれにしろ、補強機能を損うことなく繊
維の重量を減少させることができ、タイヤの軽量化が達
成できる。
【0069】また、本発明の高強力ポリアミド繊維は、
漁網用繊維として用いた時に、高タフネスであるため耐
久性にすぐれていること、および透明性も良好なため、
最適な原糸特性を発揮する。
【0070】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明の構成およ
び効果について、さらに具体的に説明する。
【0071】なお、上記および下記の実施例中に記載し
た繊維構造パラメータ、繊維物性、タイヤコード特性な
どの定義および測定法は次の通りである (1)硫酸相対粘度(η) 試料2.5gを98%硫酸25ccに溶解し、オストワ
ルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0072】(2)強度(T/D)、切断伸度(E) “テンシロン UTL−4L”型引張試験機((株)オ
リエンテック製)を用い、JIS L−1017、7.
5に準じて測定した。
【0073】(3)沸騰水収縮率(Sw) JIS L−1017、7.14に準じて測定した。
【0074】(4)タフネス 上記で求めた強度(g/d)と切断伸度(%)から次式
により算出した。
【0075】(強度)×(切断伸度)1/2 (5)GY疲労寿命比 JIS L−1017、3.2.2.1Aに準じて測定
し、対応の比較例を100として算出した。
【0076】[実施例1〜8、比較例1〜2]硫酸相対
粘度3.60のポリカプラミドを水分率0.2%以下に
乾燥した後、紡糸機に供給し、紡糸温度285℃で溶融
した。
【0077】次いで、溶融ポリマを紡糸パック中にて約
20μの細孔を有する金属不織布フィルターを通して濾
過した後、口金細孔を通して紡出した。
【0078】口金直下には長さ20cmの加熱筒を設置
し、加熱筒内の雰囲気温度を310℃とした。
【0079】次に、表1に記載の水系エマルジョン油剤
を夫々スリットノズルにより付与した未延伸糸条を、引
取ロールで1000m/分の速度で引取り、この引取り
糸条を一旦捲取ることなく連続して延伸した。
【0080】その際、水系エマルジョン油剤を付与した
時点と、ドローポイント発生点までの時間を、表2に示
したごとく0.01〜0.05秒にそれぞれ変更した。
【0081】延伸は、2段以上の多段熱延伸で、総合延
伸倍率は5.10倍である。また、延伸温度は、表2に
示した通り最終延伸温度を215〜225℃とし、さら
に延伸に引き続いて熱弛緩処理を、前記最終延伸ロール
とその後に配置したリラックスロールとの間で8%弛緩
下に行った。この弛緩熱処理は実質的に最終延伸ロール
上で行ない、最終延伸温度と同等で行った。
【0082】上記で得られたポリアミド繊維について、
製糸条件および得られた延伸糸の繊維物性および繊維収
率などを表2に併せて示した。
【0083】[比較例1〜2]上記実施例1〜8におい
て、水系エマルジョン油剤を付与した時点と、ドローポ
イント発生点までの時間を、表2に示したごとく0.1
0〜0.15秒にそれぞれ変更した以外は同様にして得
られたポリアミド繊維について、製糸条件および得られ
た延伸糸の繊維物性および繊維収率などを表2に併せて
示した。
【0084】[実施例9]硫酸相対粘度3.60のポリ
カプラミドを水分率0.2%以下に乾燥した後、紡糸機
に供給し、紡糸温度285℃で溶融した。
【0085】次いで、溶融ポリマを紡糸パック中にて約
20μの細孔を有する金属不織布フィルターを通して濾
過した後、口金細孔を通して紡出した。
【0086】口金直下には長さ20cmの加熱筒を設置
し、加熱筒内の雰囲気温度を310℃とした。
【0087】次に、表3に示した水系エマルジョン油剤
(イ)をスリットノズルにより付与し、次いでプレスト
レッチゾーンで非水系油剤を付与した後、未延伸糸条を
引取ロールで1000m/分の速度で引取り、この引取
り糸条を一旦捲取ることなく連続して延伸した。
【0088】その際、水系エマルジョン油剤を付与した
時点と、ドローポイント発生点までの時間を0.02秒
とした。
【0089】延伸は、2段以上の多段熱延伸で、総合延
伸倍率は5.10倍とした。また延伸温度は最終延伸温
度を210℃、さらに延伸に引き続いて熱弛緩処理を、
前記最終延伸ロールとその後に配置したリラックスロー
ルとの間で8%弛緩下に行った。この弛緩熱処理は実質
的に最終延伸ロール上で行ない、温度は210℃で行っ
た。
【0090】製糸条件および得られた延伸糸の繊維物性
および繊維収率などを表2に併せて示した。
【0091】次に、上記実施例1〜9および比較例1〜
2で得られた各ポリアミド繊維を、それぞれ10cm当
り39回の下撚をかけた後、この下よりコード2本を合
わせて下撚と反対方向に同数の上撚をかけて生コードと
した。
【0092】この各生コードに対し、リツラー社(米)
製“コンピュートリータ”ディッピング機を用いて、接
着剤を付与し、引き続いて熱処理した。
【0093】接着剤はRFL液を用い、付着量が約5重
量%となるよう液濃度および液切り条件を調整した。
【0094】熱処理条件は、乾燥ゾーンを160℃で1
20秒間定長で通過させた後、235℃の熱処理ゾーン
を40秒間、熱処理ゾーン出口の応力(張力をディップ
コードの繊度で除した値)が1g/dとなるようストレ
ッチをかけて通過させた。
【0095】次いで、ノルマライジングゾーンでは23
0℃で40秒間、1%の弛緩を与えて熱処理した。得ら
れた各ディップコードについて、タイヤコードとしての
特性を測定し、その結果を表2に併せて示した。
【0096】
【表1】
【表2】 表2の結果から明らかなように、本発明の高強度ポリア
ミド繊維は本発明が目的とする繊維物性を満足して効率
的に製造することができる。
【0097】また、本発明の高強度ポリアミド繊維を用
いてなるディップコードは、ゴム中に埋め込まれ、加硫
処理を受けた時、高強力で高伸度、すなわちタフネスが
高く、熱寸法安定性にすぐれ、かつ耐疲労性も良好な加
硫コードとなることが明らかである。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高強度ポ
リアミド繊維は、高強度でかつ強力保持性および耐疲労
性がすぐれており、本発明の高強力ポリアミド繊維の製
造方法によれば、上記の特性を有する高強度ポリアミド
繊維を、水系エマルジョン油剤を使用する効率的なプロ
セスにより製造することができる。
【0099】また、本発明の高強度ポリアミド繊維は、
その高強度でかつ強力保持性および耐疲労性がすぐれた
特性を生かして、特にベルト、ホースなどのゴム資材お
よびタイヤコードなどのゴム補強用途に有用であり、特
にタイヤコードとして適用した場合には、加工工程やタ
イヤの走行時における熱的、機械的刺激に対して繊維構
造の変化が少なく、初期の繊維物性を有効に保持するこ
とができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 101:34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強度が10.0g/d以上、切断伸度
    が20%以上、沸騰水収縮率が10.0%未満であるこ
    とを特徴とする高強度ポリアミド繊維。
  2. 【請求項2】 ポリアミド未延伸糸条に水系エマルジ
    ョン油剤を付与した後、熱延伸することにより高強度ポ
    リアミド繊維を製造する方法において、前記水系エマル
    ジョン油剤を付与した時点と、前記熱延伸によって発生
    するドローポイントまでの時間が0.05秒以下となる
    ように、前記水系エマルジョン油剤を付与した後ただち
    に熱延伸することを特徴とする強度が10.0g/d以
    上、切断伸度が20%以上、沸騰水収縮率が10.0%
    未満である高強度ポリアミド繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリアミド未延伸糸条に水系エマルジ
    ョン油剤を付与し、さらにプレストレッチゾーンで非水
    系油剤を付与した後、ただちに熱延伸することを特徴と
    する請求項1に記載の高強度ポリアミド繊維の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 水系エマルジョン油剤が、エチレンオ
    キサイド付加モル数が25モル以下で、かつ付加物のア
    ルキル鎖中の炭素数が8以上である硬化ヒマシ油エチレ
    ンオキサイド付加物を、活性剤として油剤成分中10重
    量%以上含有することを特徴とする請求項2または3に
    記載の高強度ポリアミド繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱延伸が2段以上の多段延伸であり、
    かつ延伸温度が210℃以上であることを特徴とする請
    求項2〜4のいずれかに記載の高強度ポリアミド繊維の
    製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006225783A (ja) * 2005-02-16 2006-08-31 Asahi Kasei Fibers Corp 溶融紡糸用パック及び溶融紡糸方法
JP2009275294A (ja) * 2008-05-12 2009-11-26 Seiren Co Ltd エアバッグ用縫い糸およびそれを用いたエアバッグ
WO2019034488A1 (de) * 2017-08-16 2019-02-21 Oerlikon Textile Gmbh & Co. Kg Verfahren und vorrichtung zur herstellung eines multifilen vollverstreckten fadens aus einer polyamidschmelze
JP2024531651A (ja) * 2021-09-17 2024-08-29 ヒョスン アドヴァンスト マテリアルズ コーポレーション 高弾性ナイロンコード及びその製造方法

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