JPH09500269A - 殺菌性/透過性が増大したグリコシル化及び非グリコシル化タンパク質及びその製造方法 - Google Patents
殺菌性/透過性が増大したグリコシル化及び非グリコシル化タンパク質及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、グラム陰性の細菌細胞を用いた、殺菌力を有し/かつ透過性を増大する非グリコシル化タンパク質の製造方法を提供する。該方法は、殺菌性/透過性増大タンパク質をコードするベクターで上記細胞を形質転換し、該形質転換された細胞を、その細胞内で非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の産生が可能である条件下で培養し、該産生された非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質を細胞から回収することを含む。最終的に、本発明は、本発明の方法によって製造された上記の非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質を提供する。
Description
【発明の詳細な説明】
殺菌性/透過性が増大したグリコシル化及び非グリコシル化タンパク質
及びその製造方法
本出願は、1990年 8月13日に出願された米国特許出願07/567,016号の一部継続
出願であり、該出願は1990年 1月22日に出願された米国特許出願07/468,696号(
1992年 2月18日発行の米国特許第5,089,274号)の一部継続出願であり、該出願
は1989年 2月14日に出願され、現在は取り下げられている米国特許出願第07/310
,842号の一部継続出願であり、それらの内容は本明細書に参照として組込まれて
いる。
発明の背景
グラム陰性菌の感染は、特に免疫性に障害のある入院患者の罹患及び致死の主
要原因の一つである[Duma,R.J.,Am.J.of Med.,78(Suppl.6A): 154-164(1
985); 及びKreger,B.E.,D.E.Craven and W.R.McCabe,Am.J.Med.,68: 34
4-355(1980)]。入手可能な抗生物質はグラム陰性感染を阻止するのに有効であ
るが、リポ多糖(LPS)に関連した病原生理学的影響を中和するためには何の役に
も立たない。 LPSは、本明細書では、エンドトキシン(endotoxin)とも呼ばれ、
グラム陰性細菌の外膜の主要成分であり、微生物が溶解される時に放出される[A
henep,J.L.and K.A.Morgan,J.Infect.Dis.,150(3):380-388(1984)]。
抗生物質による治療の間に放出される LPSは炎症反応の強力な刺激物質である
。インビボ(in vivo)における LPSの有害な影響の多くは、炎症細胞から遊離さ
れる可溶性メディエ−タ−に由来する[Morrison,D.C.and R.J.Ulevich,Am.
J.Pathol.,93(2):527-617(1978)]。 LPSは宿主の炎症細胞によるメディエ−タ
−の放出を誘導し、その結果、ついには汎発性血管内凝固(DIC)、成人性呼吸困
難症候群(ARDS)、腎不全、及び不可逆的ショックをもたらすことがある。
単球及び好中顆粒球は細菌感染に対する宿主の防御に主要な役割を演じ、また
、内毒素血症(endotoxemia)の病因にも関与している。これらの細胞は微生物を
細胞内に摂取して殺し、また、インビボ及びインビトロで LPSに応答して殺菌性
、タンパク質分解性、オプソニン効果性、発熱物質性、補体活性化性、及び組織
損
傷効果を持つ可溶性タンパク質を遊離する。 LPSによって刺激された単球が放出
するサイトカインの一種である腫瘍壊死因子(TNF)は、インビボにおいて、LPSの
毒性効果のいくつかに類似した作用を示す。動物にTNFを注射すると、発熱、シ
ョック及びグルコ−スの代謝に変化を引き起こす。 TNFは、また、好中球の強力
な刺激剤でもある。IL-1、IL-6及びIL-8などの他のサイトカインも放出されて、
LPSに対する炎症反応においてある役割を演じることがある。
可溶性 LPSは好中球の化学走性を減少させ、接着性を増大させ、ヘキソ−スリ
ン酸経路活性及び O2ラジカル生成を上昇させ、補体に対する表面受容体の活性
を上昇させ、また顆粒タンパク質を周辺培地へ遊離する[Morrison and Ulevich(
1978)]。
特異的及びアズール親和性(azurophil)コンパ−トメントは共に LPSに応答
して脱顆粒する[Bannatyne,R.M.,N.M.Harnett,K.Y.Lee and W.D.Rigger
,J.Infect.Dis.,156(4):469-474(1977)]。 LPSに応答して放出されるアズ
ール親和性タンパク質は、宿主にとって有害でもあり、また、有益なこともあり
得る。好中球のエラスタ−ゼは、血液凝固カスケ−ドを抑制する因子であるプロ
テア−ゼインヒビタ−の分解を引き起こす。この結果、時として内毒素血症によ
って致命的な結果をもたらす汎発性血管内凝固のような凝血異常を引き起こす。
アズール親和性顆粒はまたミエロペルオキシダ−ゼ及び、以下 BPIタンパク質と
呼ばれる、殺菌性/透過性増大因子のような殺菌性分子を含む。
ウサギの BPIは1975年に初めて発見された[Weiss,J.,R.C.Franson,S.Bec
herdite,K.Schmeidler and P.Elsbach,J.Clin.Invest.,55:33(1975)]。B
PIタンパク質はヒトの好中球から1978年に分離された[Weiss,J.,P.Elsbach,
I.Olson and H.Odeberg,J.Biol.Chem.,253(8):2664-2672(1978)]。
1984年に、同様な性質を持つ57kDのタンパク質がヒトの好中球から分離された
[Shafer,W.M.,C.E.Martin and J.K.Spitznagel,Infect.Immun.,45:29(19
84)]。このタンパク質は、上記の57kDa タンパク質の N末端配列、アミノ酸組成
、分子量及び起源によって決められる限りはBPIタンパク質と同一である。しか
し、本発明者らは、Elsbach ら、及びWeiss らによって用いられたクロマトグラ
フによる分離を再現することは出来なかった。
ヒトの BPIタンパク質は、該タンパク質に感受性のあるグラム陰性細菌の外膜
に結合する57kDのタンパク質である[Weissら(1978)]。 BPIタンパク質がリピドA
結合性タンパク質であるという事実は以下のことによって証明されている。(1
)ラフ株の細菌は BPIタンパク質の殺菌性及び透過性増大活性の両方に対して感
受性がある[Weiss,J.,M.Hutzler and L.Kao,Infect.Immun.,51:594(1986
)]; (2)リピドA に於ける突然変異は、ポリミクシンB 及び BPIタンパク質の
両者の結合の低下並びに両者の殺菌活性に対する抵抗力の増大を引き起こす[Far
ley,M.M.,W.M.Shafer and J.K.Spitznagel,Infect.Immun.,56:1589(1988
)]; (3)S.typhimuriumへの結合に対する BPIタンパク質とポリミクシンB(PMB)
との競合[Farley 1988]; 及び(4)もう一つの LPS結合タンパク質であるリポ多
糖結合タンパク質(LBP)に対する BPIタンパク質の配列相同性及び免疫交叉反応
活性。LBP-LPS 複合体は、処方された組成のペプチドに応答して好中球上で酸化
バ−ストを促進することが示されている。加えて、LBP-LPS 複合体は単球上の細
胞表面受容体(CD 14)に結合し直し、その結果、腫瘍壊死因子(TNF)の生成を誘導
する。この様に、LBPは LPSの免疫刺激活性を仲介し、その結果、エンドトキシ
ンに対する毒性応答を促進する。ヒトの血清中に LPSと複合して見出されるもう
一つの LPS結合タンパク質である高密度リポタンパク質(HDL)は、好中球を刺激
する効果を示さない。
グラム陰性細菌に結合したBPIタンパク質は、 LPSの構造を崩し、微生物の疎
水性小分子に対する透過性を変えて細胞死を引き起こす[Weiss ら、(1978)]。
BPIタンパク質は、インビトロでpH及びイオン強度が生理学的条件下にある場合
に細菌を殺すため、インビボでもファゴリソソ−ムの低pH環境の外側で活性を示
す可能性を示唆している。 BPIタンパク質の殺菌性及び透過性増大活性の全ては
、このタンパク質の N末端の25 kD断片に存在している[Oci,C.E.,J.Weiss,P
.Elsbach,B.Frangione,and B.Marrion,J.Biol.Chem.,262:14891(1987)
]。以前は、 BPIタンパク質の有益な効果はその殺菌性効果に限定されていると
理解されていた。しかしながら、その後、 BPIタンパク質はエンドトキシンにも
結合するが、 LBPタンパク質とは異なり、 LPSの免疫刺激活性を促進するよりも
阻害することが示された。
Mannion らは[好中球の細胞質顆粒由来の殺菌性/透過性増大タンパク質の標
的細菌に対する優先的結合、J.Immunol.142:2807(1989)] BPIタンパク質が好
中性顆粒抽出物からグラム陰性細菌への結合によって精製され得ることを示した
。次いで、結合した BPIタンパク質の80 % は、200 mM MgCl2により37 ℃でpH 4
.0の10 mM 酢酸ナトリウム中に溶出され、細菌は遠心分離によって除去すること
ができた。大腸菌(E. coli)のような細菌の中で多くのタンパク質を発現させ
るのは困難であることが証明されている。大腸菌内で、どのタンパク質が発現す
るか、発現しても、そのタンパク質が変性した不溶性封入体の形で発現されるか
、或いは活性型に折り畳まれているかを予測することはできない。培地の組成、
pH、イオン強度、及び温度などの発酵条件を含む多様な条件を探求して、可溶性
物質に対する不溶性物質の量を変化させることができる[A.Mitraki and J.Ki
ng,Bio/Technology 7:690-697,(1989)、或いはC.H.Schein Bio/Technology 7
:1141-1149(1989)]。
更に、不溶性封入体型になっているタンパク質に対しては、多様な技法を探求
して復元された活性タンパク質を回収することができるが(BioTechniques 3:29
8-306(1985))、その成功は問題のタンパク質の性質に大いに依存している。
本発明は、中でも、 BPIタンパク質を含む殺菌性/透過性増大タンパク質をグ
ラム陰性細菌を用いて製造する方法を提供する。 BPIタンパク質は、抗生物質的
機能、即ち、グラム陰性細菌に対する強力な抗菌活性を持つタンパク質である。
従って、当業者は、ある宿主細胞内で活性のある可溶性タンパク質を発現できる
ことを期待しないであろう。このタンパク質は、その宿主細胞に対して既知のサ
イトトキシンとして機能するタンパク質だからである。実際、 BPIタンパク質が
グラム陰性細菌を殺すという事実は、この分野の他の人々が、 BPIタンパク質の
ために細菌の発現系を開発する障害となっている。大腸菌のようなグラム陰性細
菌における組換えタンパク質の生成は、哺乳動物細胞の発現系のような他の生成
法よりも 100倍迄も費用の点で効果的であり得るので、本発明は、現在の技術水
準に比して実質的に優れたものである。
発明の要約
本発明は、グラム陰性の細菌細胞を用いて非グリコシル化殺菌性/透過性増大
タンパク質を製造する方法を提供するもので、該方法は、殺菌性/透過性増大タ
ンパク質をコ−ドするベクタ−で上記細胞を形質転換し、該形質転換された細胞
をその細胞内で非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の産生を許容する
条件下で培養し、産生された非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質を上
記細胞から回収することを含んでいる。
好適な態様において、殺菌性/透過性増大タンパク質は、発現された時点では
それに付着したリ−ダ−ペプチドを有していない。
好適な態様において、非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の上記細
胞内における生成を許容する条件には低温が含まれている。
一態様において、回収は、(a)殺菌性/透過性増大タンパク質と LPS間の複
合体形成を阻害して殺菌性/透過性増大タンパク質を細胞から遊離する条件下で
細胞を溶解するステップ、(b)遊離された殺菌性/透過性増大タンパク質を分
離するステップを含んでいる。
別の態様において、回収は、(a)殺菌性/透過性増大タンパク質と LPS間の
複合体形成を許容する条件下で細胞を溶解し、(b)その結果得られた殺菌性/
透過性増大タンパク質−LPS 複合体を分離し、(c)分離された殺菌性/透過性
増大タンパク質−LPS 複合体を解離して殺菌性/透過性増大タンパク質を殺菌性
/透過性タンパク質−LPS 複合体から遊離し、(d)遊離された殺菌性/透過性
増大タンパク質を分離するステップを含んでいる。
最終的に、本発明は、本発明の方法によって製造された非グリコシル化殺菌性
/透過性増大タンパク質を提供する。
図面の簡略な説明 図 1
BPIタンパク質をコ−ドする cDNA の概要図である。図 2
BPIタンパク質の C末端切断体である BPIタンパク質の突然変異原性プライマ
−
「25kDa Pro 212 TGA」の塩基及びアミノ酸配列である。図 3
BPIタンパク質の C末端切断体である BPIタンパク質の突然変異原性プライマ
−「38kDa Pro 337 TGA」の塩基及びアミノ酸配列である。図 4
BPIタンパク質の突然変異原性プライマ−の塩基及びアミノ酸配列、 BPIタン
パク質の C末端切断体である好適な ATG 5’HindIII サイトを持つもの(好適AT
G 5’HindIII)を示す図である。図 5
pSVBPIMDHの概要図である。図 6-1及び 6-2
pAc373 の概要図である。図 7
(1)nBPI タンパク質(♯148104)、(2)rBPIタンパク質(♯148159)、及び(3)
rBPIタンパク質(♯148179)のSDS-PAGE分析を示す図である。図 8A-1及び 8A-2
BPIタンパク質のアミノ酸配列である。図 8B-1及び 8B-2
BPIタンパク質のcDNA配列である。図 9
p337 に対するタンパク質の配列である。図 10
p212 に対するタンパク質の配列である。図 11
哺乳類の細胞及び大腸菌の中で生成された BPIタンパク質、並びに非組換え方
法で得られた BPIタンパク質のSDS-PAGE分析を示す図である。レーン 1及び10は
分子量マ−カ−、レーン 3は CHO細胞内で生成された BPIタンパク質、レーン 5
は自然界由来の BPIタンパク質、レーン 7は大腸菌内で生成され、部分精製され
た BPIタンパクである。図 12
CHO細胞及び大腸菌内で生成された BPIに対する全血中のTNF 遊離を比較する
アッセイを示す図である。TNF のアッセイの際には、血液は健康な提供者からク
エン酸抗凝固剤を用いて採血される。 BPIタンパク質を加え、次いで LPSを添加
する。培養(インキュベ−ション)は37 ℃で 5 % CO2 中で 4時間行われる。サ
ンプルを遠心して血漿を採集する。 TNFはサンドイッチ法でアッセイされる。図 13
大腸菌内で生成された BPIタンパク質の LALアッセイにおける活性を示す図で
ある。
発明の詳細な記述
特に、本発明はグラム陰性細菌細胞を用いて非グリコシル化殺菌性/透過性増
大タンパク質を製造する方法を提供し、その方法は、殺菌性/透過性増大タンパ
ク質をコ−ドするベクタ−で上記の細胞を形質転換し、該形質転換された細胞を
その細胞内における非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の産生を許容
する条件下で培養し、該産生された非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク
質を細胞から回収することを含む。
本明細書に用いられているように、殺菌性/透過性増大タンパク質は、 BPIタ
ンパク質及び BPIの変異型を意味する。ここに用いられている様に、 BPIタンパ
ク質は、図 8A-1 及び 8A-2 に示されるヒトの BPIタンパク質のアミノ酸配列を
有し、図 8B-1 及び 8B-2 に示されているcDNA配列によってコ−ドされている天
然の55kDのヒトのタンパク質を意味する。ここで用いられているように、 BPIの
変異型は、 BPIタンパク質の一部分を含むタンパク質を意味し、このタンパク質
は、(a)LPS に結合し、(b)LPSへの結合に対して BPIタンパク質、或いは LB
Pと競合し、及び、(c)LPSが仲介する、ヒト単球による TNFαの生成を阻害す
る能力を持つタンパク質である。 BPI変異型は、BPI タンパク質の断片、BPI タ
ンパク質の点突然変異体、BPI タンパク質の欠失突然変異体、或いは、 BPIタン
パク質の点及び欠失突然変異体を含むが、これらに限定されるものではない。特
異的な BPI変異型には、 B(S351→A)(グリコシル化サイト除去)、B(D200→DP)
(酸
切断サイト挿入)、 B1-199(BPI タンパク質の N末端領域)B200-456(BPIタン
パク質の C末端断片)、 B(P61→C)(システイン挿入)、 B(C132→A)(システ
イン欠失)、 B(C132→5)(システイン欠失)、 B(C-175→S)(システイン欠失
)、 B(C112→A)(C135→S)(C175→S)(多重システイン欠失)、 B(C-132 →S)(C 133→S)(C175→S)
が含まれるが、決してこれらに限定されるものではない。
上記の BPI変異型の名称において、変異型に於ける BPIタンパク質の部分は、
大文字 Bとそれに続くヒトのBPI タンパク質に対して図8A-1、図8A-2、図8B-1及
び8B-2に示されているアミノ酸配列に割り当てられた番号に相当する数字によっ
て命名され、ここで、成熟した N末端は残基 1と命名される。単一アミノ酸残基
の置換は括弧内に示され、ここで、元のアミノ酸残基が(アミノ酸に対する標準
の大文字一つのコードを用いて)表示され、その後に置換アミノ酸残基が続く。
例えば、 351位のセリン残基がアラニン残基で置換された BPI変異型は B(S351 →A)
と命名される。アミノ酸置換は、特定の位置にある元のアミノ酸残基が、異
なったタンパク質の対応する位置にある残基で置換されるような置換のこともあ
る。 B(Xn→Y)はこのような置換の例で、ここでは、 BPIタンパク質の n位にあ
るアミノ酸残基 Xが LBP(或いは、ウサギまたはウシのLBP)の n位に見出だされ
る残基 Yによって置換されている。挿入変更されたアミノ酸残基は、括弧内に示
され、その後に挿入が起こるアミノ酸残基を表示し、続いて、その後に挿入が起
こるアミノ酸と挿入されるアミノ酸残基或いはアミノ酸残基(複数)が示される
。例えば、 B(D199→DP)に於いては、199 位にあるアスパラギン酸残基の後にプ
ロリン残基が挿入されている。
一つ或いはそれ以上のシステイン残基が削除されるかセリンまたは他のアミノ
酸残基で置換されている BPIタンパク質変異型は、その製造または使用の間に、
BPI 変異型が凝集することを阻止するのに有用なことがあろう。
上記の BPI変異型は、一つ或いはそれ以上の非保存グルコシル化サイトを削除
されていることもある。あるいは、BPI変異型は、一つ或いはそれ以上の非保存
グリコシル化サイトが挿入されていることもある。
BPI 変異型は、一つ或いはそれ以上の二次構造を改変するアミノ酸残基が削除
または付加されることもある。例えば、 BPIタンパク質に於いて一つ或いはそれ
以上の非保存プロリン残基が非プロリン残基で置換されることもある。
本明細書で用いられているように、 LPSはリポ多糖を意味する。ここで用いら
れている様に、 TNFαは腫瘍壊死因子αのことである。
一態様に於いて、グラム陰性細菌細胞は大腸菌(E.coli)である。グラム陰性
細胞を形質転換する方法、グラム陰性細胞を形質転換するのに適したベクタ−、
及びグラム陰性細胞を培養する方法は当業者には良く知られているものである。
このような方法及びベクタ−は以下に提供されている。
好ましい態様に於いて、殺菌性/透過性増大タンパク質は、発現された時点で
は、それに付加されるリ−ダ−ペプチドを持っていない。ここで用いられている
様に、「発現された時点」という術語は mRNA から最初に翻訳された時点を意味
する。
好適な態様に於いて、非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の細胞内
での生成を許容する条件には低温が含まれる。ここで用いられているように、「
低温」という術語は 25-36 ℃の間の温度を意味する。好適な実施態様に於いて
、低温は約26 ℃の温度を意味する。
殺菌性/透過性増大タンパク質は活性のある可溶型で生成されることもある。
活性のある可溶型で生成された殺菌性/透過性増大タンパク質を回収するための
二つの態様が以下に提供される。
一態様に於いて、回収操作は、(a)殺菌性/透過性増大タンパク質と LPS間
の複合体形成を阻止する条件下で細胞を溶解して殺菌性/透過性増大タンパク質
を細胞から遊離し、(b)遊離された殺菌性/透過性増大タンパク質を分離する
ステップを含む。
他の態様に於いては、回収操作は、(a)殺菌性/透過性増大タンパク質と LP
S間の複合体形成を許容するような条件下で細胞を溶解し、(b)その結果得られ
た殺菌性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体を分離し、(c)分離された殺菌
性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体を解離して殺菌性/透過性増大タンパク
質を殺菌性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体から遊離し、(d)遊離された
殺菌性/透過性増大タンパク質を分離するステップを含む。
一態様に於いて、細胞の溶解は、細胞の外膜を除去し、次いでその結果得られ
た細胞を破壊することを含む。
一態様に於いて、殺菌性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体の解離は、上記
の複合体を 2価のカチオンと接触させることを含む。複合体を 2価のカチオンと
接触させることには、上記複合体を0.05 M -1.0 M MgCl2 と接触させることを含
むことがある。好ましい態様に於いて、複合体を 2価カチオンと接触させること
には上記複合体を0.5 M MgCl2と接触させることを含む。
あるいは、殺菌性/透過性増大タンパク質は不活性な不溶型で生成され、封入
体内に貯蔵されることもある。以下に提供される態様は、不活性で不溶型で生成
された殺菌性/透過性増大タンパク質を回収するためのものである。
この態様に於いて、回収は、(a)不活性で不溶型をしている殺菌性/透過性
増大タンパク質を封入体から抽出して、(b)上記の不活性で不溶性のタンパク
質を折り畳み直して活性で可溶性の殺菌性/透過性増大タンパク質を生成する過
程を含む。この態様の例は以下に示される。
本発明は、更に、原核細胞を用いて非グリコシル化の殺菌性/透過性増大タン
パク質を生成する方法を提供し、この方法は、上記細胞に殺菌性/透過性増大タ
ンパク質をコ−ドするベクタ−で形質転換し、該形質転換された細胞を、その細
胞内における非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の産生を許容するよ
うな条件下で培養し、該産生された非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク
質を細胞から回収することを含む。一実施態様に於いて、上記の原核細胞はグラ
ム陰性の細胞である。
最後に、本発明は、本発明の方法によって生成された非グリコシル化殺菌性/
透過性増大タンパク質を提供するものである。
本発明は以下に続く「実験の詳細」に説明されている。「実験の詳細」は本発
明の理解を助けるために述べられているが、以下に続く請求の範囲に述べられて
いる様に、決して本発明の制限を意図したものではなく、また、その様に解釈さ
れるべきではない。
実験の詳細 実施例1 好中球BPIタンパク質の精製と特徴付け A.材料と方法 1.試薬
E.coli 0111:B4のリポ多糖類、野生型S.typhimurium、S.typhimurium RE突然
変異体の糖脂質、S.typhimurium RE突然変異体のリピドA(Lipid A)、およびP.ae ruginosa
のLPSをRIBI Immunochem Research,Inc.(Hamilton,MT)より購入した
。Fmet-Leu-Phe(FMLP)と硫酸ポリミクシンB(polymimyxin B sulfate)をSigma Ch
emical Co.(St.Louis,MO)より購入した。カルシウム、マグネシウム、フェノ
ールレッドを含まないハンク平衡塩溶液(Hank's Balanced Salt Solution(HBSS)
)をHazelton Research Products(Denver,PA)より購入した。Ficoll-Paque、Per
coll、およびMacrodexをPharmacia,Inc.(Piscataway,NJ)より購入した。TNFと
抗TNFをEndogen(Boston,MA)より購入した。フルオレセイン(Fluorescein)結合
ヤギ抗マウスIgGをTAGO,Inc.(Burlingame,CA)より購入した。IgG1コントロー
ル抗体をCoulter Immunology(Hialeah,FL)より購入した。フィコエリスリン(ph
ycoerythrin(PE))結合抗CR3(Leu-15)とIgG2aコントロールをBecton Dickinson(M
ountain View,CA)より購入した。抗CR1モノクローナル抗体は市販のものまたは
当業者に既知の方法によって入手できる。2.アズール顆粒の単離と抽出
顆粒球は地元の血液銀行より入手した軟膜から単離した。軟膜をHBSSで3-4
倍に希釈し、64 % Percollで遠心分離して顆粒球を単球から分離した。ペレット
をジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)に注入し、洗い、氷冷の溶解緩衝液(10 m
M PIPES,pH 6.8,100 mM KCl,3 mM NaCl,3.5 mM MgCl2)に再懸濁し、窒素キ
ャビテーション(Parr Instrument Co.,Moline,IL)で粉砕した。アズール顆粒
は、Borregaardの示すように不連続Percoll勾配で単離した[Borregaard,N.,J.
M.Heiple,E.R.Simons,R.A.Clarkら、J.Cell.Biol.,97: 52-61(1983)]。18
0,000 X gで2時間遠心分離してアズール顆粒を集め、Percollを除去した。1分
間の凍結-解凍-超音波処理の操作を4サイクル行い、顆粒を溶解した。溶解した
顆粒を同容量の100 mM,pH 2のグリシン中で室温で1時間激しくボルテックス
で撹拌し、
抽出した。30,000 X gで20分間、そして200,000 X gで30分間遠心分離して、酸
性抽出物から不純物を除去した。3.好中球の単離
健康な提供者から得た静脈血をクエン酸デキストロース抗凝固剤に加え、直ち
に氷につけた。血液と冷蔵マクロデックス(Macrodex)を5:1で混和し、4 ℃
で1.5-2時間沈殿させた。白血球の豊富な血漿を冷蔵HBSSで1回洗い、HBSSに再
懸濁してFicoll-Paque上に層状に重ねた。赤血球による汚染が顕著にみられた場
合には、顆粒球ペレットを低張溶解にかけた。細胞をHBSSで2回洗い、HBSS+2
%自家血漿に懸濁し、インキュベート混合物中の顆粒球の最終濃度を1X106 /ml
にした。4.BPIタンパク質の精製
1ml/minの流速のイソクラティックな条件の下で50 mMグリシンと100 mM NaCl
,pH 2.0緩衝液を用いて、Biosil(TSK-250)(7.8 mm X 600 mm)高性能サイズ分別
カラムで、約2 mgの天然のアズール顆粒抽出物を大きさによって分離した。LPS
阻害活性が最大のカラム分画には、SDS PAGEで示したように54 kDの分子種の大
部分が含まれていた。これらのTSK分画を集め、50 mM,pH 5.5のクエン酸塩を用
いてアクアポア弱陽イオン交換カラム(Aquapore weak cation exchange(WCX)c
olumn)にかけ、50 mMクエン酸塩および1M NaCl(緩衝液B)の0-75 %勾配中で25分
間溶出し、そして200 ml/minの流速で5分間、75-100%緩衝液Bを用いて溶出した
。55 kDの物質は陽イオン交換から回収され、SDS PAGEで単一のバンドを示した
。いくつかの実験では、さらに逆相HPLCを用い、Vydac C4カラムに0.1 % CH3CN
+0.1 % TFAで12分間、200 ml/minの流速で30分間かけて、BPIタンパク質をさら
に精製した(Rainin Instruments,Emeryville,CA)。5.好中球の刺激
単離した好中球は氷上で保存し、37 ℃で30分間、刺激のある状態および刺激
のない状態でインキュベートした。インキュベートした後、細胞を大量の0.05 %
Na Azide +2 %自己血漿で洗った。ペレットを二分し、一方を50 μlのコント
ロールIgG1抗体(20 μg/l X 106細胞)で染色し、他方を50 μlの20 μg/l X 106
細胞の抗CR1で0 ℃、30分間染色した。このインキュベートの後、PBS+自己血漿
で細
胞を2回洗い、そしてヤギ抗マウスIgG-FITCで染色した。いくつかの実験では、
コントロールウェルに20 μlのIgG2aフィコエリスリン(PE)を、標本ウェルには2
0 μlのLeu-15 PE、を用いた。0 ℃で30分間インキュベートした後、さらに2
回洗い、Becton Dickinson FACStar流動細胞計測器(Becton Dickinson,Mountai
n View,CA)を用いて、流動細胞計測による細胞の解析を行った。HBSS+2 %自己
血漿のみでインキュベートしたもの(コントロール)と、LPS、あるいはBPIタン
パク質またはポリミクシンBとともに37 ℃で30分間前もってインキュベートした
LPSを加えてインキュベートしたものの平均蛍光強度を比較して、好中球の反応
を測定した。データは平均蛍光強度を用いて刺激あるいは阻害の百分率で示し、
以下の式によって対数で求めた。
%刺激=[(実験値‐コントロール値)/(最大値‐コントロール値)] X 100
%阻害=1-[(+阻害値)-(コントロール値)]/[(-阻害値)-(コントロール値)] X 1
006.アミノ酸の解析
Pico-tag Workstation(Waters,Milford,MA)を用いてBPIタンパク質の蒸気相
加水分解とアミノ酸誘導を行い、フェニルチオカルバミルアミノ酸のクロマトグ
ラフィー解析をApplied Biosystems 130A MPLCで製作者のプロトコールに従って
行った。7.配列の解析
Applied Biosystems 477Aパルス液層シーケンサー(Applied Biosystems,Fost
er City,CA)を用い、自動エドマン分解でBPIタンパク質のN-末端配列を解析し
た。フェニルチオヒダントインアミノ酸解析は、Applied Biosystems Model 120
A液層クロマトグラフを用いてオンラインで行った。B.結果
ヒト好中球はインビボおよびインビトロの両方においてリポ多糖で刺激される
。活性化状態では、C3bおよびC3biのレセプター(それぞれCR1およびCR3)の膜表
面上での発現が増加する。細胞自動解析装置(Fluorescence Activated Cell Sor
ter(FACS))を用いて、単離したばかりのヒト好中球の蛍光強度を、0111:B4 LPS
の用量を増加して与えた刺激について測定した(データは示していない)。一般
的に
観察された最大刺激が10 ng/ml以上であったため、0111:B4 LPSの阻害を調べる
実験では、10ng/mlを刺激用量として用いた。実験はすべて反復した。CR1または
CR3のみの調節で好中球の刺激が起こるような状態が全く観察されなかったため
、ほとんどの実験についてCR1に関してのみデータを示した[M.Marraら、J.Immun
ol.,144(2): 662-666(1990)]。
好中球のアズール顆粒中にみられるタンパク質が、好中球のLPSに対する反応
を妨げることができるかどうかを調べるために、アズール顆粒の酸性粗抽出物を
LPSとともに37 ℃で30分間プレインキュベートした。そして混合物の好中球刺激
能を測定した。アズールタンパク質(1μg/ml)は、多核白血球(PMN)1X106個/ml
の刺激を10 ng/mlのLPSによって効果的に阻害することができた(データは示し
ていない)。この効果は、グリシン抽出液を用いてLPSとプレインキュベートし
たときには観察されなかった。また、粗抽出物を用いたときもコントロールのグ
リシン抽出液を用いたときも好中球を刺激することはなかった。
さらに、抽出物中のどのタンパク質が阻害効果を担っているかを調べるため、
酸性粗抽出物を逆相HPLCで分離し、各々のピークの阻害活性についてそれぞれ分
析した。各ピークの同定は、第一次元にMicrobore逆相HPLCを用い、つづいてSDS
PAGE、レクトロブロッティング、およびマイクロシーケンスを行う二次元精製
法により前もって行われていた。アズールタンパク質は、10個の不連続のピーク
を持つことが明らかになった。それぞれの同定物を表1に示す。N末端の15のア
ミノ酸についてアミノ酸配列を示す。
各ピーク1μgのLPS阻害活性を調べた。ピーク9が最も高いLPS中和活性をも
っていた。このピークに含まれるタンパク質種の大部分は、前述のBPIタンパク
質と同じN末端をもつ[Weiss,J.,P.Elsbach,I.OlssonとH.Odeberg,J.Biol.C
hem.,253(8): 2664-2672(1978)]。BPIタンパク質がアズール顆粒タンパク質抽
出物中で大部分のグラム陰性菌に対する殺菌活性を持つことを示した。カテプシ
ンG(Cathepsin G)はLPSに対して何らかの阻害がみられたが、実験によるデータ
はピーク9ほどの再現性がなかった。カテプシンGはインビトロでLPSに結合し、
グラム陰性菌を殺菌することを示したが、BPIタンパク質には及ばなかった。グ
ラム陰性菌に対する殺菌活性を示すその他のタンパク質は、エラスターゼ(elast
ase)とディ
フェンシン(defensins)である。しかしこれらのタンパク質(1μg/ml)はLPSの好
中球に対する刺激活性を中和しなかった。
サイズ分別とイオン交換につづいて逆相クロマトグラフィーを行い、天然のア
ズール顆粒抽出物のLPS阻害活性をさらに分類し、精製した。LPS阻害活性は、SD
S PAGEの純粋な55kDバンドと一致した(データは示していない)。
RPLC分離に使用する緩衝液(CH3CNおよび0.1 %トリフルオロ酢酸(trifluoroace
tic acid(TFA))がLPS阻害活性を顕著に減少させ(データは示していない)、ま
た、イオン交換クロマトグラフィーで精製した物質がSDS PAGEで測定したところ
、高い純度をもつため、サイズ分別/イオン交換物質を用量反応曲線を描くのに
用いた。
N末端の配列解析で、このサイズ分別/イオン交換精製物質がBPIタンパク質で
あることを確認した。タンパク質濃度はアミノ酸解析で測定した。0111:B4 LPS
,10 ng/mlに対する好中球の反応の最大阻害には、約90 ng/mlのBPIタンパク質
が必要である。調製されたペプチド(10-7 M FMLP)に対する好中球の反応は、BPI
タンパク質によって阻害されなかった(データは示していない)。
同じ用量反応曲線が、ポリペプチド抗生物質のポリミクシンB(Polymyxin B)(P
MB)で得られた。ポリミクシンBはLPSのリピドA部分に結合し、インビボおよびイ
ンビトロの両方においてその毒性を一部中和する。ポリミクシンBは、量数に比
例してLPSに結合する[Morrison,D.C.とD.M.Jacobs,Immunochem,13: 813-818
(1976)]。滑面LPS,10 ng/mlを阻害するために必要なPMBの計算した量は、およ
そ0.67 nMである。本実験では、10 ng/mlのLPSを用いた好中球の刺激を完全に阻
害するには0.4 ng/mlまたは0.36 nMのポリミクシンBが必要であった。10 ng/ml
のLPSを100%阻害には、90 ng/mlまたは1.58 nMのBPIタンパク質が必要であった
。
このように、モル数に基づいてみると、インビトロで好中球のLPS刺激を阻害
するために必要なBPIタンパク質の量は、ポリミクシンBの必要量のおよそ4倍で
あった。
BPIタンパク質がその他のグラム陰性菌からLPSを阻害することができるのかを
調べるため、多様な多糖鎖長をもつLPS分子とリピドAを、本実験系(好中球にお
けるCR1刺激)で90 ng/mlの2倍濃縮BPIタンパク質に対して調べた。表2に示し
たデータから、刺激用量がこれらの分子間で多様であり、リピドAと同様に、滑
面および粗面双方の化学型からのLPSは全てBPIタンパク質によって阻害されるこ
とが見いだされた。
実施例2 好中球BPIタンパク質についての予備的実験
LPSへの反応において、ヒト好中球は補体レセプターCR1とCR3の細胞表面での
発現を促す方向に制御する(データは示していない)。このLPSに対する好中球
の反応を測定するため、単離したばかりのヒト好中球をE.coli 0111:B4 LPSとと
もにインキュベートし(データは示していない)、10 ng/ml LPSを用いたときに
最大量のCR1を発現させたことが観察された(データは示していない)。LPSによ
る好中球の刺激は外因性の抗TNF抗体では阻害されなかったことは、この系でLPS
が好中球に直接作用していることを示している。
BPIタンパク質は、LPSに対する好中球の反応を阻害する(データは示していな
い)。CRの促進制御はおよそ1.8-3.6 nM(100-200 ng/ml)のBPIタンパク質の用量
で達成され、10 ng/ml、つまり約0.7nMの滑面LPS(分子量およそ15,000)を阻害す
るのに
必要な0.4 nMポリミクシンBと比較すると、観察された値の0.4 nMに近い。モル
数に基づいてみると、LPSを阻害するために必要なBPIタンパク質の量は、ポリミ
クシンBの必要量のおよそ5倍であった。
BPIタンパク質はLPSを介した好中球の刺激を阻害するが、FMLPあるいはTNFの
いずれによる刺激も阻害しない(表3)。これらのデータは、BPIタンパク質がLPS
を直接阻害し、CRの促進制御に関わる好中球の機作を妨げないことを示している
。
BPIタンパク質は、リピドAと同様に、滑面あるいは粗面の菌株からのLPSによ
って刺激されるCRの発現を阻害する。これらの異なる形のLPSに対してBPIタンパ
ク質活性の範囲が広く、中でもリピドAと2-ケト-3-デオキシ-オクトネートのみ
が決定因子を共有していたことから、BPIタンパク質によるLPS阻害はリピドAの
影響を受けるようである。
BPIタンパク質はその他のLPSを介した活性も阻害する。およそ9 nMまたは500
ng/mlの濃度では、BPIタンパク質はLAL解析でLPSの活性を有意に阻害した(デー
タは示していない)。プレインキュベートせずにLPSとBPIを一緒に加えた場合に
は、阻害が全く観察されず(データは示していない)、このことはBPIタンパク質
がLPSに作用してもLAL解析系には全く効果がないことを示している。BPIタンパ
ク質は、ヒト粘着単球によるLPSを介したTNFの産生も阻害する(表5)。
BPIタンパク質は、ElsbachとWeissによって1978年に初めて精製された。最初
の研究では、逆相HPLCを用いて1段階でBPIタンパク質をアズール顆粒抽出物か
ら単離した。逆相からのBPIタンパク質活性の再現性は乏しく、おそらく変性し
たためと考えられる。ここでは変性を伴わない操作のみを用いたLPS阻害活性の
生成物の精製を示し、好中球からの活性の大部分がBPIと一致することがわかっ
た。精製の技術が改善されたこともあり、次の部分で示すような非常に特異性の
高い活性物質がみいだされた。実施例3 厳格に発熱物質を排除した条件下での好中球BPIタンパク質の精製 A.材料と方法 1.試薬
米国薬局方基準の滅菌洗浄水はTravenol Laboratories Inc.(Deerfield,IL)
より入手した。PyrosartフィルターはSartorius GmbH(Germany)より入手した。C
MセファロースFFはPharmacia(Upsala,Sweden)より入手した。ポリアスパルトア
ミド
弱陽イオン交換HPLCカラム(100 X 4.6mm)はNest Group(Southborough,MA)より
入手した。グリシンおよびBio-Sil G250サイズ分別HPLCカラム(600 X 7.5mm)はB
io-Rad Laboratories(Richmond,CA)より入手した。ポリアクリルアミド電気泳
動ゲルはNovex(Encitas,CA)より入手した。配列決定およびアミノ酸解析用薬剤
および緩衝液はApplied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)より入手した。ト
リフルオロ酢酸、定沸点HCL、加水分解アミノ酸スタンダード、およびBCAタンパ
ク質分析用試薬はPierce Chemical Co.(Rockford,IL)より入手した。リムルス
遊走細胞分離物分析はWhittaker Bioproducts,Inc.(Walkersville,MD)より入
手した。リポ多糖はRIBI Immunochem Research,Inc.(Hamilton,MT)より入手し
た。HPLC用アセトニトリルはJ.T.Baker(Phillipsburg,NJ)より入手した。使用
したその他の緩衝液および塩は全て試薬用であった。18メグオーム純水はTechni
c(Seattle,WA)のLab Five超純水システムより入手した。洗浄用0.5 mM NaOHは
、試薬用NaOHペレットおよび米国薬局方水から調製した。2.好中球からの顆粒の抽出
これらは既述の通り(米国シリアル番号07/199,206、1988年5月26日出願)調製
したが、アズール顆粒のPercoll分離を外した部分は除く。一方、全顆粒分画は
核除去の後の上清を17,000 X gで20分間遠心分離して調製した。そして顆粒ペレ
ットを溶解細胞4X108 個につきpH 2、50 mMグリシン1mlに懸濁した。再懸濁し
た顆粒をドライアイスエタノール上で凍結/解凍を5サイクル行って溶解し、4
℃で1時間激しく撹拌した。30,000 X gで30分間遠心分離して可溶性抽出物を得
た。3.リムルス遊走細胞分離物分析
この分析は、製作者の指示に従って行った。必要に応じて、検体のpHを発熱物
質を除去した0.5 M,pH 7.4リン酸緩衝液で中性に調節し、米国薬局方水で希釈
して塩濃度を150 mM未満に下げた[Desch,C.E.ら(1989)Infection and Immunity
,57:1612-1614; Friberger,P.(1985)]。信頼できる内毒素試験のデザインは、
J.W.Cape(ed)p.139-149。細菌の内毒素:リルムス遊走細胞分離物分析による構
造、生物医学的意義、および方向性[Alan R.Liss,Inc.,New York; Galanos,C
.(1979)]。細菌のリポ多糖の化学的、生理化学的、および生物学的性質[p.321-3
32、E.Cohen(ed)]。カブトガニ(Limulidae)の生物医学的応用[Alan R.Liss,Inc
.,N
ew York; Byaston,K.F.とJ.Cohen(1990)J.Med.Microbiol.,31: 73-83; Tanak
a,D.ら(1982)Biochem.Biophys.Res.Comm.,105: 717-723; Morita,T.ら(19
85)J.Biochem.,97: 1611-1620]4.LPS中和分析
この分析は、前述のように行った[M.Marra(1990)J.Immunol.144(2): 662-666
]。5.顆粒抽出物の高塩濃度分画
200 mgの抽出タンパク質を様々な調製物から集め、氷上で保存した。滅菌した
5M NaClを抽出物に体積比1:4で加えた。生じた沈殿は4℃、20,000 X gで20
分間遠心分離してペレットにした。この上清を4倍の体積の米国薬局方洗浄水で
希釈し、十分な1M Tris,pH 7.4で最終濃度が50 mMになるようにpHを調節してC
Mセファロースクロマトグラフィー用に調製した。新しく、滅菌されていて、発
熱物質の含まれていない塩および緩衝液のみを用いた。6.CMセファロースクロマトグラフィー
XK-16カラム(Pharmacia)に床体積が5mlになるように充分量の樹脂を詰めた。
カラムを、サンプルを載せるためにP1ポンプを備え付けた勾配FPLCに設置した。
使用の前に、動態相に接する全ての面を0.5 M NaOHでよく洗った。カラムを0.5M
NaOHで4時間、0.2 ml/minの流速で洗浄した。そしてカラムを再び平衡化し、
ブランクランをかけた。ブランクおよび溶出物の分画は、発熱性をLAL分析で調
べた。調製した抽出物を、400 ml/hrの流速でのせた。一度載せたら、カラムを
その体積の2-3倍のスタート緩衝液で洗った。顆粒抽出物は、カラムにかけて
いる間氷上で保存した。カラムは室温で使用した。7.弱陽イオン交換HPLC
PheodyneインジェクターとGilson model111B U.V.検知器を備え付けたEldex三
元勾配ポンプを用いて、弱陽イオン交換HPLCを行った。カラムを設置する前に、
濡れる面は0.5 M NaClで洗い、さらに米国薬局方水でリンスして微量の塩を全て
除去した。ブランク分画と溶出物は上記のように発熱性を調べた。8.ゲル透過HPLC
弱陽イオン交換HPLCと同様の下準備と装置を用いてゲル透過HPLCを行った。た
だし、TDKカラムをNaOHで処理しなかった。9.ポリアクリルアミドゲル電気泳動
8-16 %アクリルアミド勾配ゲルをNovexより購入し、製作者の説明に従って使
用した。10.タンパク質の配列の決定
120A PTHアミノ酸解析装置を備え付けたApplied Biosystems 477Aパルス液層
シーケンサーを用いて自動エドマン分解を行った。11.Microbore逆相HPLC
タンパク質配列決定用の物質を、Aquaporeブチルカラム(30 X 2.1 mm)で塩を
除去して調製した。溶液Aは水に0.1 % T.F.A.を加えたもので、溶液Bは0.1 % T.
F.A.を添加した水で70 %含むアセトニトリルである。使用した勾配は、30-100 %
溶液Bを200 μl/minの流速で30分間であった。検知器は、フルスケールで波長21
4 nm、2.0吸光単位にセットした。HP3396Aを使用してプロットデータを計算した
。12.アミノ酸解析
アミノ酸解析は、上記の系でABIによって提供されたPTCカラム、緩衝液および
ABIによる分離条件を使用して行った。サンプルの加水分解物とPTC誘導体は、製
作者のプロトコールに従い、MilliporeのWatersクロマトグラフィー部門からPic
o-Tagワークステーションを使用して調製した。13.タンパク質分析
タンパク質の濃度は、Pierce Chemical Co.のBCA法の手引き23230,23225を用
いて測定した。緩衝液の相互作用を最小限にするため、サンプルを10倍に希釈し
、微量試薬プロトコールを用いた。B.結果
アズール顆粒から精製したBPIタンパク質が、LPSによる好中球の活性化を阻害
することと、LAL分析によって、LPSを直接阻害することを前に示した。BPiタン
パク質の役割をさらに定義し、アズール顆粒および特定の顆粒について同様なそ
の他の分子の存在を調べるため、酸性pHの全顆粒抽出物からのLPS阻害活性物の
精製を行った。先の研究から、LPS阻害活性が粗抽出物中に存在することが証明
された。
内毒素中和活性を同定するため、全顆粒抽出物からの精製を行った。高濃度の
NaCl(1M)を加えると顆粒抽出物中に存在するタンパク質の約90 %が可逆的な沈
殿をおこすという観察結果から、LPS中和活性の精製が飛躍的に向上した。実質
的にLPS阻害活性は全て可溶性の上清中に残った。そして可溶性分画を希釈し、
イオン強度を下げ、さらに精製し、CMセファロース陽イオン交換クロマトグラフ
ィーで濃縮した。幅広い活性のピークを溶出し、引き続きポリアスパルトアミド
高性能陽イオン交換カラムを用いてさらに精製した。いくらかはっきりした活性
のピークを回収したが、それはSDS-PAGEで複数の低分子量のタンパク質を伴う分
子量約55,000のタンパク質とほぼ一致した。ゲル透過HPLCを精製の最終段階に使
用し、単一の鋭敏なタンパク質のピークをもつ溶出物が活性のピークをもつこと
を同定した。精製タンパク質は、SDS-PAGEで分子量55,000に近接するバンドを2
本示し、糖鎖がついたものとついていないものであることがわかった。全内毒素
中和活性の25 %を250回精製して再生した。精製した内毒素中和タンパク質を逆
相HPLCにかけ、自動エドマン分解でN末端の配列解析を行った。39残基が完全に
一致することから、その配列は細菌の透過性を増加させるタンパク質のものと同
定した。さらに、精製した分子のアミノ酸組成は、BPIタンパク質のものと一致
した(データは示していない)。
近接したバンドのどちらもがBPIタンパク質であるか否かを調べるため、精製
したタンパク質を、BPIタンパク質の1-20アミノ酸を含む合成ペプチドに対する
BPIタンパク質特異的ウサギポリクローナル抗血清を用いてウェスタンブロット
解析にかけた。バンドは両方とも免疫反応を示した。相違は糖鎖によるものと考
えられる。実施例4 インビトロにおけるBPIタンパク質のLPS阻害活性
上記のように厳密に発熱物質を除去した状態でBPIタンパク質の精製を行うと
、より強力なBPIタンパク質調製物ができた。25 ng/mlのBPIタンパク質でLPSを
介したCRの促進制御を完全に阻害し、第1部で使用した物質と比べて4倍の活性
であった。モル数に基づくと、このBPIタンパク質調製物は、ほぼ化学式通りの
割合でLPSを阻害し、ポリミクシンBの阻害のモル濃度に匹敵した。BPIタンパク
質は、発熱物質を除去した状態で精製した低濃度においてヒト粘着単球によるLP
Sを介した
TNF産生も阻害した(表7と8)。
BPIタンパク質はLPSと結合する(データは示していない)。これらの実験で、4
μgのLPS/ウェルを96ウェルプラスチックプレートに固定し、そしてBPIタンパク
質の濃度を変えてインキュベートし、抗BPIタンパク質ポリクローナル抗血清で
処理した。LPSに結合したBPIタンパク質はポリミクシンBによって阻害され(デー
タは示していない)、BPIと特異的に結合することを示した。BPIタンパク質は、
血漿(データは示していない)および血清(データは示していない)の両方の存在下
でLPSに結合し、BPIタンパク質のインビボでの潜在的な効力を示した。
実施例5 好中球および組み換えCHO細胞誘導BPIタンパク質による、LPS誘導TNF 産生の阻害
ヒト末梢血単球をFicoll-Paque(Pharmacia)勾配で単離し、発熱物質を除去し
たHBSS(Hazelton)で2回洗い、血清を含まないRPMI(Gibco)培養液に5X106/mlに
なるように懸濁した。この細胞懸濁液を200μlとり、底が平らな96ウェル組織培
養皿(Costar)のウェルにそれぞれ入れて、37 ℃で2時間インキュベートした。R
PMI+熱処理した10 %自己血清で2回洗い、非粘着性の細胞を除去した。粘着性の
単球を、緩衝液、BPIタンパク質、またはポリミクシンB(Gibco; 7900U/ml)を加
えて37 ℃で30分間プレインキュベートしたE.coli 0111:B4 LPSで刺激した。上
清にLPS混合物を加えて4時間培養した後、上清を回収した。TNFαの分泌をELIS
A(Endogen)で定量した(結果は表9)。
通常の麻酔をかけたマウスに 10 ng/mlのE.coli 0111:B4 LPSを鼻腔から投与
した(結果は表10)。投与の20分前に、麻酔したマウスを鼻腔から50μlの生理食
塩水、BPIタンパク質、またはポリミクシンB溶液で処理した。LPS投与の1時間
後に、マウスに再び麻酔をかけ、1%ヒト血清アルブミンを含む生理食塩水0.7 m
lを気管から肺に投与した。肺は穏やかにしぼんだ。気管支肺胞洗浄液(BAL)を0.
5 ml吸入させ、遠心分離して細胞をペレットにし、BALサンプルを-70 ℃で保存
した。BAL液中のTNFαレベルは、WEHIクローン13マウス線維肉腫細胞に対する細
胞毒性を測定して測り、表10に示した。ヒトrTNFα(Chiron)をスタンダードとし
て用いた。
実施例6 組み換えCHO細胞誘導BPIタンパク質の発現
組み換えCHO細胞由来のBPIタンパク質を次の実施例に示した方法で入手した。
BPIタンパク質および/またはBPIタンパク質変異株をほ乳類の細胞で得るために
は、cDNA配列を適当なプラスミドベクターに挿入しなければならない。BPIタン
パク質をコードするcDNAの図を図1に示す。このような用途に適したベクターは
pSV-1であり、それは開始部位ならびにSV40の早期または後期プロモーターを含
み、続いて複数のクローニング挿入部位を持ち、B型肝炎表面抗原遺伝子からの
転写終了配列が続く(図5)。さらにプラスミドには細菌DNAの開始部位ならびに
アンピシリン耐性およびジヒドロ葉酸リダクターゼをコードする遺伝子を含む。
同様のベクターをその他の外来性の遺伝子を発現するために使用した(McGrogan
らBiotechnology 6,172-177)。BPIタンパク質のcDNA配列を受け入れるベクター
DNAを、HindIIIおよびBamHIによる切断、ならびにアルカリフォスファターゼに
よる脱リン酸化によって調製した。
いくつかのBPIタンパク質およびBPI変異株cDNA含有挿入物を、pSV-1へ挿入す
るために調製した。はじめに、BPIタンパク質をコードする挿入物を親プラスミ
ドを
EcoRIおよびBglIIなどの適当な制限酵素で切断し、BPIタンパク質をコードする
配列を持つ2つのDNA断片にした。これらの2つの断片をSV-1のなかで結合させ
、得られた組み換えクローンを制限酵素で切断してスクリーニングして2つの挿
入物が正しい方向に位置するかをみた。切断された形のBPIタンパク質をコード
する2種のcDNAを、親BPIタンパク質を挿入したDNAをオリゴヌクレオチドDNAを
用いて増幅合成した。増幅に使用したオリゴは、コドン212(oligo459)および337
(oligo460)(図3)をストップコドンと置き換え、さらにBamHIクローン部位と置
き換えるようにデザインした。両構造の5'末端で、オリゴ458を翻訳開始コドン
ATG(図4)のすぐ上流にHindIII部位をつくるための増幅に用いた。このように、
各々がBPIタンパク質の55kDa,38 kDa,および25 kDa部分をコードし、それぞれ
が調製されたベクターDNAに別々に結合した3つのBPI変異株をコードする挿入物
を作成した。38 kDaおよび25 kDa部分のアミノ酸配列を図9および図10にそれぞ
れ示した。
3つの構造をそれぞれ制限酵素で解析して確かめ、そしてCHO細胞系DUXll細胞
に感染させるに足る量に調製した。リポフェクチンを使用して感染させ、生じた
形質転換細胞を、当業者の標準的なプロトコールに従ってメソトレキセートの量
を増加させながら選抜した。形質転換した細胞を当業者の標準的な条件下で培養
し、トランスフェクションプールまたはプールからのクローンのいずれかからの
上清を、前記の方法のBPIタンパク質ELISAを用いてBPIタンパク質またはBPI変異
株について分析した。
天然のBPIタンパク質および2つのロットのCHO由来組み換えBPIタンパク質のS
DS-PAGE解析を図7に示す。組み換えBPIタンパク質は、SDS-PAGEゲルで約55 kDa
に単一のバンドを示した。CHO細胞で産生される組み換えBPIタンパク質は、天然
のタンパク質とは僅かに異なった泳動パターンをSDS-PAGEで示し、分子がCHO細
胞中で好中球またはHL60細胞中とは異なった処理を受けていることを示唆した。
このようなプロセシングは、分子が顆粒膜中に封入されるよりもむしろ分泌され
ていることに関わるか、またはその結果であると考えられる。組み換えBPIおよ
び天然のBPIのアミノ酸解析を表11に示したが、実質的に2つは同じものである
ことを示している。
実施例7 昆虫の細胞における組み換えBPIタンパク質の発現 1.プラスミド発現ベクターの構造
BPIタンパク質および/またはBPIタンパク質変異体を昆虫細胞で産生するため
、はじめにpAC373(図6-1および6-2参照)のような適当なプラスミド発現ベクター
にcDNA配列を挿入しなければならない。この挿入に適した制限酵素部位は、標準
的な部位決定的突然変異の操作で作成した。適当な発現ベクターの本質的な性質
には、pAC373のポリヘドロン遺伝子プロモーターのような転写プロモーターおよ
びバキュロウイルスゲノムとの組み換えを起こすことのできる相同配列が隣接す
ることが含まれる。このプラスミドベクターに存在するポリヘドロン遺伝子由来
するようなポリアデニル化シグナルは、組み換え遺伝子の発現に必要であるかま
たは必要でない。ベクター中に、E.coliのβ−ガラクトシターゼのようなマーカ
ー
遺伝子を転写プロモーターおよび可能なポリアデニル化シグナルを含む配列に並
置することはできるが、殺菌性/透過性増加タンパク質の発現に必須ではない。
このような目的の典型的なベクター、pAC373を図6-1および6-2に示した。2.組み換えバキュロウイルスの構築
BPIタンパク質標的遺伝子(または上記のように誘導したその断片)を含む発
現プラスミドおよび野生型バキュロウイルスDNAの間の相同的組み換えを行い、
キメラバキュロウイルスを作成した。プラスミドおよび野生型バキュロウイルス
DNAをリン酸カルシウム技術で共沈殿させ、感染していないSpodoptera frugiper
da(Sf9)昆虫細胞に加えた。トランスフェクションの後4-7日、細胞は細胞変性
の形態を呈し、ウイルス感染に典型的にみられる核の閉塞体が含まれていた。野
生型および組み換え型の両方のウイルスを含む無細胞培養液を回収し、BPIタン
パク質活性について分析した。3.キメラバキュロウイルスの同定と単離
寒天上の単層のSf9細胞のプラーク精製によって、このトランスフェクション
ストックからウイルスのクローン株を得た。解析に使用するプラークは、閉塞体
が陰性のプラークの形態によって同定した。発現プラスミドがβガラクトシダー
ゼのようなマーカー遺伝子を持つ場合は、寒天平面培地に入れた5-ブロモ-4-
クロリル-3-インドニル-β-D-ガラクトピラノシド(X-gal)のような発色基質由
来の青色で組み換えプラークを示した。取り出したプラークは、マルチウェル皿
に接種する。生じた細胞分解物および感染細胞上清は、スタンダードの活性また
は免疫学的分析を用いて組み換えBPIタンパク質の発現について評価することが
できる。陽性のウェルは、野生型の汚染を含まない純粋な組み換えウイルスのス
トックを得るため、さらにプラーク精製を行う必要がある。4.BPIタンパク質のバッチ生産
ExCell(J.R.Scientific)のような無血清、低タンパク質の培地でSf9細胞を増
殖させた。軽く遠心分離して懸濁した培地から細胞を集め、細胞1個あたり1ウ
イルスプラーク形成単位の様々な感染を用いて、ウイルス接種原を1X107/ml含
む、新しい培地に再懸濁した。2時間後、培養物を新しい培地で5倍に希釈し、
2-3日間インキュベートした。その終わりに、遠心分離して細胞をペレットに
し、条
件を整えた培地を回収した。標準的な方法でBPIタンパク質を無細胞上清から精
製した。5.昆虫細胞誘導BPIタンパク質の特徴
バキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞内で産生したBPIタンパク質は、分
子量約55,000 kDの糖タンパク質である。N末端のアミノ酸配列は、成熟ほ乳類の
細胞が産生するBPIタンパク質と同一のものであり、シグナル配列が正しくプロ
セシングを受けていることを示している。組み換えタンパク質に結合する内毒素
の特異的活性は、天然に入手されたBPIタンパク質と区別できなかった。実施例8 E.coliにおいてシグナル配列を持つ組み換えBPIタンパク質の発現A.p T7BPIタンパク質プラスミドの構造
オリゴヌクレオチドDNA増幅に使用するため、オリゴヌクレオチドをApplied B
iosystems 380B DNA合成機で調製した。オリゴヌクレオチドは、DNAのNdeIIおよ
びBamHI制限酵素部位をそれぞれBPIタンパク質の5'および3'端にもつよう作成
した。さらに、BamHI制限酵素部位を含む別のオリゴヌクレオチドをプロリン212
切除型のBPIタンパク質DNAを作成するために用いた。
増幅反応に続いて、断片を精製し、NdeIおよびBamHIで切断した。プラスミドp
GEMEX-1(Promegaより入手可能)を作成のためのベクターとして選択した。pGEMEX
-1はT7プロモーターを含み、T7プロモーターは適当な宿主内でその下流の配列を
発現させるのに使用できる。ベクターをBamHIで切断し、精製した後、NdeIで部
分消化して単一のNdeI部位および単一のBamHI部位を持つベクターを作成した。H
anahan形質転換プロトコールを用いて、断片を結合し、E.coli菌株JM101を形質
転換した。形質転換した細菌をカルバミシリンを含むLBプレートにのせ、37 ℃
で一晩インキュベートした。耐性コロニーを選択し、ミニプラスミド調製物を適
当な制限酵素で切断して解析した。切断物は、1%寒天ゲルおよび5%ポリアクリ
ルアミドゲルの両方で解析した。
発現宿主、E.coli菌株JM101(DE3)をミニプラスミド調製物1μlおよびHanahan
形質転換プロトコールを用いて形質転換した(DNA Cloning: A Practical Approa
ch,Vol.I,D.M.Glover Ed.,IRC Pr.Ltd.,Chapter 6,pp.109-135(1985))。JM
109(DE3)は、IPTGで誘導されるT7 RNAポリメラーゼの遺伝子の染色体コピーを含
む。形質転換した細菌をカルバミシリンを含むLBプレートにのせ、37 ℃で一晩
インキュベートした。結果は示していない。B.結果
全長をもつクローンで提供された、Grayらによって報告されたところによると
、発現プラスミドの成熟BPIタンパク質cDNA配列にシグナル配列を操作して結合
させると[Journ.of Biol.Chem.,264: 9505(1989)]、細菌のコロニーは全く得
られない。一方、シグナル配列を削除すると無数の細菌コロニーが得られる。シ
グナルペプチドを含むBPIタンパク質の全長およびプロリン212切断型からは全く
コロニーが得られない一方、シグナルペプチドを含まない型からはコロニーが得
られることから、BPIタンパク質は活性型で発現し、適切に処理されると細菌の
細胞質周辺の空隙(シグナルペプチドを持つタンパク質が放出される、細菌の部
位)にタンパク質を放出し、そこで殺菌活性により細胞を殺す。このことは、全
長型およびプロリン212切断型の両方が活性で、殺菌活性をもつことを示してい
る。実施例9 組み換えE.coli誘導BPIタンパク質の発現 1.BPIタンパク質発現ベクターの作成
E.coliでの発現構造物を作成するために、BPIタンパク質をコードする配列を
オリゴヌクレオチドを用いてPCRでCHO発現ベクターからサブクローニングした。
前向きBPI.5'C.ACC.GCC.GTG.ACA.CAT.ATG.GTC.AAC.CCT.GGC.GTC.、後ろ向きBPI.
5'GAC.GTT.CTC.TAT.AAA.TGA.AGG.ATC.CTA.GCT.CはそれぞれNdeIおよびBamHI部位
を作成している。生じた断片をNodeIおよびBamHIで切断し、pGEMEX-1 VECTOR(Pr
omega)にサブクローニングした。
pGEMEX E.coli発現ベクターは、3つのRNAポリメラーゼ断片を含む。第10遺伝
子から下流は複数のクローニング用配列である。該タンパク質が適当な制限部位
をインフレームでもっていれば、産生融合タンパク質に対してインフレームサブ
クローニングを行うことができる。
融合タンパク質の産生に伴う問題を避けるために、第10遺伝子領域をpMEGEXか
ら除去したが、T7 RNAポリメラーゼ結合部位ならびにNdeIおよびBamHIクローニ
ン
グ部位は残した。このため、NdeIの3251部位を部分切断し、続いてKlenowで平滑
化および再結合によって除去した。このプラスミドはpT7BPIと表される。BPIタ
ンパク質をコードする全領域の配列をシーケンスして配列が正しいことを確認し
たが、リーダーシーケンスを除去したため、プラスミドによってコードされる最
初のアミノ酸はメチオニンである。2.BPI変異株の構築のための突然変異産生
プラスミドpT7BPIは一本鎖DNA産生のためのf1開始点をもつ。このpT74BPIでE. coli菌株
CJ236を形質転換し、Kunkelの方法による部位指定突然変異のテンプレ
ートとして使用するためのssDNAを産生した[(Kunkel,T.A.(1988)Nucleic Acids
and Molecular Biology(Eckstein,F.,Lilley,D.M.J.Eds.)Vol.2,p.124,S
pringer-Verlag,Berlin and Meidelberg]。遺伝子突然変異オリゴヌクレオチド
を、ミスマッチコドンまたは突然変異の部位にあたるコドンの5'側の相同体お
よび3'側の全く同じ配列の12ヌクレオチドを用いて作成した。突然変異オリゴ
ヌクレオチドをABIの示すようにOPCカラムを用いて精製し、標準的な酵素技術で
リン酸化し、CJ236細胞で産生されたss-pT7BPIにアニーリングし、T7DNAポリメ
ラーゼを用いて37℃で伸長させ、T4リガーゼで結合させた。生じた閉鎖環状ds-D
NAを標準的なプロトコールに従って形質転換し(例えばSambrookらを参照)JM101
のようなReCA+のE.coliにプレートした。dS-DNA上での産生のため、標準的な技
術を用いて二本鎖シーケンシングをするために単一のコロニーを増殖させた。適
切な突然変異を持ったクローンでJM109(DE3)を発現のために形質転換した。3.BPIタンパク質の発現
JM109(DE3)は、誘導可能なlacプロモーターの制御下でT7RNAポリメラーゼをコ
ードする遺伝子の染色体コピーを含む。pTBPI(またはBPIの変異体)を含むJM109(
DE3)は、2xYT培地(Bio101,La Jolla,CA)+0.2 %グルコース+100 mg/mlカルベニ
シリン中で26-37 ℃で一晩培養した。増殖する接種原を産生するには低温および
高栄養含有溶液がよい。接種原を1:250から1:500に希釈し、振盪フラスコ内
IPTGを用いて4-24時間誘導した。遠心分離して細菌を集め、10 mM TRIS,pH8,
1mM EDTAに再懸濁し、高圧ホモジナイザーで粉砕した。当業者の標準的な方法
で37℃で細菌を培養した場合、実質的に全てのBPIタンパク質が封入体中に不溶
性のものとして産生された。しかし、温度を37 ℃よりも低くした場合には、可
溶性で活性のあるBPIタンパク質を得ることができた。結果 1.E.coliにおける不溶性BPIタンパク質の発現
BPIタンパク質の産生において優位であった37 ℃での発現は、不溶性の封入体
中であることが光学顕微鏡で確認された。E.coliの細胞をpH 6.0のTris中でUltr
a-Turraxホモジナイザーを用いて溶菌した。遠心分離して封入体を集め、1M Na
Cl,0.05 %トリエチルアミンで洗い、タンパク質を6 Mグアニジン溶液から様々
な緩衝液に移して急激に希釈した。BPIタンパク質をFast Sセファロースで精製
し、0.6 M NaClで溶出し、0.25 M NaClで希釈し、Fast Qセファロースで濾過し
て内毒素を除去し、Fast Sセファロース上で再捕捉し、0.6 M NaClまたは0.25-
1M NaCl勾配で溶出した。様々な条件下で折り畳んだ状態に戻すことにより、全
てのBPI(つまり、1mg/ml BPI全量)からおよそ0.1 %の活性BPIタンパク質を得た
。2.E.coliにおける可溶性活性BPIタンパク質の発現
一方、BPIタンパク質を、発酵条件を調製することによってE.coliで可溶性の
形で産生することができることが見いだされた。大量の可溶性BPIタンパク質が
発酵温度を37 ℃から26 ℃に下げると封入体の減少に伴って得られることが見い
だされた。このことは、振盪フラスコでの2xYT培地(Bio101,La Jolla,CA)+0.2
%グルコース+100 mg/mlカルベニシリン中の培養によって示された。BPIタンパ
ク質がE.coliに対して殺菌性で、BPIタンパク質がリーダーシーケンスをもつと
細胞質周辺空隙に分泌されて細胞を傷害するようなデザインになるため、BPIタ
ンパク質の産生能は予測できない。しかし、BPIタンパク質が分泌されずに高濃
度で維持されると、細胞を傷害せずに細胞質中に残ることが示された。可溶性の
BPIタンパク質を精製するために、粉砕段階(microfluidizerによる粉砕)からの
細胞分解物を、遠心分離および濾過によって不純物を除去した。続いて遠心分離
および濾過を行い、下記のように可溶性タンパク質を精製した。一方、細胞分解
物は、ポリエチレンイミンまたはBiocryl(Toso Haas)のような多価陽イオンで処
理することによって不純物を除去することができる。可溶性の物質の産生には多
くの利点がある。
折り畳んだ形に戻すための操作が無く、バッチによる大きな再現性が得られる。
BPIタンパク質は、1 OD600nmの濃度で約1 mg/lに相当する量を産生した。標
準的なfed-バッチ発酵技術を用いて、全生産にわたって細胞の濃度を50 OD600nm
よりも明らかに高くすることができる。一例として、8 g/lのトリプトン、5
g/lの酵母抽出物、2.5 g/l NaCl、2 g/lグルコース、および50 μg/mlカルバ
ニシリンを含む培地中で細菌をインキュベートし、100 g/lトリプトン、60 mg/l
酵母抽出物、200 g/lグルコースおよび0.1 g/lカルベニシリンを与え、pH 7.1お
よび溶解した酸素を50 %に維持する方法があげられる。このE.coliに対して毒性
のタンパク質のE.coliでの合成が、BPIタンパク質産生の技術における利点であ
る。
発酵条件は、当業者によって最大量の産物を得られるように変化させることが
できる。可溶性BPIタンパク質の量を増加させるためのさらなる改善には、BPIタ
ンパク質を細胞内で折り畳むために必要または有利な細胞因子またはシャペロン
タンパク質の過剰発現を含む。また、BPIタンパク質の生物学的活性を維持しつ
つ、高レベルで細菌内で発現する活性BPIタンパク質変異体を産生するようにBPI
タンパク質のアミノ酸構成を最適化することもできる。
チャイニーズハムスター卵巣細胞中で産生されるBPIタンパク質はE.coliが産
生するBPIタンパク質よりも高い分子量をSDS-PAGEで示し、これらの分子がほ乳
類の細胞とE.coliでは異なってプロセッシングを受けることを示す(図11)。3.E.coli誘導BPIタンパク質の精製
E.coli分解物からのBPIタンパク質の精製には克服しなければならない問題点
がいくつかある。BPIタンパク質は強力な内毒素結合分子であり、内毒素がE.col i
分解物1mlあたりに1X108単位よりも多いことが実験的に証明されている(リム
ルス分析による)。このようにE.coliが産生するBPIタンパク質は内毒素と複合体
を形成して細胞壁断片に結合する。精製された可溶性活性BPIタンパク質をE.col i
から得るためにはその活性を維持する一方で内毒素を除去しなければならない
。これらの問題点を、高度に精製された、可溶性のある、活性で、内毒素を含ま
ないBPIタンパク質をE.coliから産生するようにデザインした操作を組み合わせ
て克服した。4.精製のプロセスA
BPIタンパク質を発現するE.coliを10 mM Tris 1 mM EDTA pH 8中で高圧ホモジ
ナイザー(Microfluidics,Newton,MA)を用いて分解した。遠心分離と濾過を用
いて残っている全細胞および細胞破壊片を除去した。MgCl2を500 mM加え、37 ℃
で30分間インキュベートした。pHを4.0に下げるため、酢酸を加えた。さらに37
℃で30分間インキュベートし、コンタミしたタンパク質、脂質、およびDNAを大
量に含む沈殿を生じた。遠心分離および濾過を行い、BPIタンパク質を可溶性の
まま上清中に残した、それを3倍に希釈し、陽イオン交換機、例えばPoros HS(P
erceptive Biosystems,Cambridge,MA)、Fast Sセファロース、またはCMセファ
ロース(Pharmacia,Piscataway,NJ)などにかけた。洗浄系は以下のとおりであ
る。pH 6.5、8.5、および10.0。適当な緩衝液を用いてpHを6に戻し、0-2M Na
Cl勾配または段階溶出で溶出物を得た。溶出物のpHを8.5に上げ、溶液を適当な
陰イオン交換機、例えばPoros HQ、Fast Qセファロース、またはDEAEセファロー
スなどにとおして残留する内毒素およびDNAおよび陰イオン化合物の汚染を除去
した。これらの条件下ではBPIは結合しない。そしてBPIタンパク質を他の陽イオ
ン交換カラムにかけ、NaClの勾配またはステップを用いて溶出した。BPIタンパ
ク質のN末端配列を自動エドマン分解で確かめ、活性をリムルス分析における阻
害で確認した(図13)。5.精製のプロセスB
細胞分解物に存在するように内毒素と結合したBPIタンパク質は、陽イオン交
換に結合しない。したがって代替の精製操作として、細胞分解物をBPIタンパク
質-内毒素複合体が結合できないような最低限のpHで、陽イオン交換機、Poros H
S(Perceptive Biosystems,Cambridge,MA)、Fast Sセファロース、またはCMセ
ファロース(Pharmacia,Piscataway,NJ)にかけた。こうして次の陽イオン交換
でBPIタンパク質とともに溶出してしまう陽イオン性汚染物の大部分を除去した
。そしてカラム流出物を500 mM MgCl2に入れ、37 ℃で30分間インキュベートし
て酢酸でpHを4.0に調整した。遠心分離および濾過を行い、BPIタンパク質を可溶
性のまま上清中に残した、それを3倍に希釈し、陽イオン交換機、例えばPoros
HS(Perceptive Biosystems,Cambridge,MA)、Fast Sセファロース、またはCMセ
ファロース(Pharmacia,Piscataway,NJ)にかけた。洗浄系は以下のとおりであ
る。pH 6.
5、8.5、および10.0。適当な緩衝液を用いてpHを6に戻し、0-2M NaCl勾配ま
たは段階溶出で溶出物を得た。溶出物のpHを8.5に上げ、溶液を適当な陰イオン
交換機、例えばPoros HQ、Fast Qセファロース、またはDEAEセファロースにとお
して残留する内毒素およびDNAおよび陰イオン化合物の汚染を除去した。これら
の条件下ではBPIは結合しない。そしてBPIタンパク質を他の陽イオン交換カラム
にかけ、NaClの勾配またはステップを用いて溶出した。そしてセファロースCL-6
Bを用いてサイズ分別クロマトグラフィーでBPIタンパク質を10 mMサクシネート
ナトリウム、110 mM NaCl、pH 6.0に調製した。6.精製のプロセスC
代替の分解プロトコールは、BPIタンパク質-内毒素複合体の形成を防ぐような
添加物の使用を含む。pH 8または4で、塩化マグネシウムを分解に先立って加
えることができる。高圧ホモジナイザーで細胞溶解を行った。遠心分離および濾
過を行い、BPIタンパク質を可溶性のまま上清中に残した。それを3倍に希釈し
、陽イオン交換機、例えばPoros HS(Perceptive Biosystems,Cambridge,MA)、
Fast Sセファロース、またはCMセファロース(Pharmacia,Piscataway,NJ)にか
けた。洗浄系は以下のとおりである。pH 6.5、8.5、および10.0。適当な緩衝液
を用いてpHを6に戻し、0-2 M NaCl勾配または段階溶出で溶出物を得た。溶出
物のpHを8.5に上げ、溶液を適当な陰イオン交換機、例えばPoros HQ、Fast Qセ
ファロース、またはDEAEセファロースにとおして残留する内毒素およびDNAおよ
び陰イオン化合物の汚染を除去した。これらの条件下ではBPIは結合しない。そ
してBPIタンパク質を他の陽イオン交換カラムにかけ、NaClの勾配またはステッ
プを用いて溶出した。そしてセファロースCL-6Bを用いてサイズ分別クロマトグ
ラフィーでBPIタンパク質を10 mMサクシネートナトリウム、110 mM NaCl、pH 6.
0に調製した。7.内毒素除去剤の使用方法
ポリエチレンイミンまたはBiocryl(Toso Haas)のような内毒素を除去する多価
陽イオンを細胞に加え、高圧ホモジナイザーで分解することができる。遠心分離
および濾過を行い、BPIタンパク質を可溶性のまま上清中に残した、それを3倍
に希釈し、陽イオン交換機、例えばPoros HS(Perceptive Biosystems,Cambridg
e,MA)、Fast Sセファロース、またはCMセファロース(Pharmacia,Piscataway,
NJ)
などにかけた。洗浄系は以下のとおりである。pH 6.5、8.5、および10.0。適当
な緩衝液を用いてpHを6に戻し、0-2 M NaCl勾配または段階溶出で溶出物を得
た。溶出物のpHを8.5に上げ、溶液を適当な陽イオン交換機、例えばPoros HQ、F
ast Qセファロース、またはDEAEセファロースなどにとおして残留する内毒素お
よびDNAおよび陰イオン化合物の汚染を除去した。これらの条件下ではBPIは結合
しない。そしてBPIタンパク質を他の陽イオン交換カラムに結合させ、NaClの勾
配またはステップを用いて溶出した。そしてセファロースCL-6Bを用いてサイズ
分別クロマトグラフィーでBPIタンパク質を10 mMサクシネートナトリウム、110
mM NaCl、pH6.0に調製した。8.細胞の溶解に先立つ外膜からの内毒素の除去
一方、細菌の外膜は分解に先立って除去することができ、よって内毒素および
後の精製で内毒素除去の必要がなくなる。一例を挙げると、EDTAまたはEGTAのよ
うな2価のキレート剤あるいはTriton X-100のような界面活性剤を添加すること
がある[S.T.L.Harrison,Biotech,Adv.,9: 217-240(1991)]。9.クロマトグラフィー操作による、BPIタンパク質からの内毒素の除去
BPIタンパク質を高pH(8.5以上)で陰イオン交換機、例えばPoros HQ、Fast Qセ
ファロース、またはDEAEセファロースなどにとおして、または陽イオン交換機、
例えばPoros HS(Perceptive Biosystems,Cambridge,MA)、Fast Sセファロース
、またはCMセファロース(Pharmacia,Piscataway,NJ)などに結合させて、NaCl
で高pHでよく洗い、溶出するのに先立って内毒素を除去することができる。BPI
タンパク質発現E.coliを高圧ホモジネートに先だってpHの低い緩衝液、例えば20
mM酢酸ナトリウムpH 4.0に懸濁することができる。もしくは、溶菌の後でpHを
下げることができる。遠心分離および濾過を行い、BPIタンパク質を可溶性のま
ま上清中に残したBPIタンパク質は、陽イオン交換機、例えばPoros HS(Percepti
ve Biosystems,Cambridge,MA)、Fast Sセファロース、またはCMセファロース(
Pharmacia,Piscataway,NJ)などに結合する。洗浄系は以下のとおりである。pH
6.5、8.5、および10.0。適当な緩衝液を用いてpHを6に戻し、0-2M NaCl勾配
または段階溶出で溶出物を得た。溶出物のpHを8.5に上げ、溶液を適当な陽イオ
ン交換機、例えばPoros HQ、Fast Qセファロース、またはDEAEセファロースなど
にとおして残留
する内毒素およびDNAおよび陰イオン化合物の汚染を除去した。これらの条件下
ではBPIは結合しない。そしてBPIタンパク質を他の陽イオン交換カラムにかけ、
NaClの勾配またはステップを用いて溶出した。そしてセファロースCL-6Bを用い
てサイズ分別クロマトグラフィーでBPIタンパク質を10 mMサクシネートナトリウ
ム、110 mM NaCl、pH 6.0に調製した。10.BPIタンパク質の活性分析
低温でE.coliで可溶性型で産生され、上記の
精製操作Aで精製したBPIタンパク質を、内毒素を中和する能力についてリルムス
試験(LAL)で調べた。この分析はグラム陰性菌の内毒素がLALの前酵素の活性化を
触媒することに基づいている。はじめの活性化の割合を基質Ac-Ile-Glu-Gly-Arg
-pNAを用いた呈色反応で測定し、反応終了後に405 nmの吸光度を測定してモニタ
ーした。405 nmの吸光度と0.1-1 EU/mlの内毒素濃度の間には直線的相関関係か
みられた。
したがって、内毒素1EUをmicrotiterプレート内で37℃でE.coliBPIタンパク
質の段階希釈液に加え、続いて基質を添加した。各ウェルの吸光度をMolecular
Devicesプレートリーダーで測定した。IC50=0.45 mg/mlでのE.coliBPIタンパク
質によるLAL活性の阻害を図13に示した。このように、E.coli由来BPIタンパク質
は内毒素に結合し、中和することができる。
低温でE.coli内で可溶性型で産生され、上記の精製操作Aで精製したBPIタンパ
ク質の内毒素を介したTNF誘導の阻害についてヒト粘着単球で調べた。酸性クエ
ン酸デキストロースが入った真空採血管(Becton Dickinson,Rutherford,NJ)に
採取した血液を、Ca+2およびMg+2を含まないHank's平衡塩溶液(HBSS)で希釈した
。単球を、Ficol-Paque(Pharmacia Inc.,Piscataway,NJ)を用いて分離し、回
収し、HBSS中で3回洗い、検鏡して単球の割合を調べた。細胞はグルタミンおよ
び抗生物質入りで、血清を含まないRPMI1640で、およそ1X106単球/mlになるよ
う容積を調整した。細胞を96ウェル平底組織培養皿(Costar,Cambridge,MA)に200
μl/ウェルで加え、7 % O2の湿式恒温槽内で37 ℃で2時間インキュベートし
た。そして細胞を血清を含まない温かいRPMI1640で3回洗った。最後の洗浄の後
、熱処理で不活化した自己血清を10 %含む200μl/ウェルのRPMI1640を加えた。
そして各々のウェルに、緩衝液、ポリミクシンB、またはBPIタンパク質を加えて
プレインキュ
ベートしたE.coli内毒素の10倍溶液を22μlずつ加えた。細胞を内毒素溶液を加
えて37℃で4時間インキュベートし、そして上清を集めてELISA(Endogen,Inc.
,Boston,MA)でTNFα抗原について分析した(図12)。11.BPIタンパク質ELISA A.材料
Immulon-4 96ウェルプレート(Dynatech Labs,011 010-3750)、12チャンネル5
0-200 μlピペット、p20,p200,p1000ピペット、マイクロピペットおよびマイ
クロチャンネルピペットチップ、試薬保存容器(Costar)、ケース入り1ml試験管
(BioRad)、ならびにポリプロピレン15 mlコニカルチューブ。B.試薬
コーティング緩衝液:25 mM ホウ酸ナトリウム、pH 9.5。阻害緩衝液:5 % BSA(
Sigma A-7030)を含むPBS。ELISA緩衝液
:50 mM Tris,pH 7.4、150 mM NaCl、1mg/ml BSA(Sigma A-7030)
、0.05 % Tween 20(Sigma,p-1379)、1μg/mlポリミクシンB硫酸塩(Gibco/BRL
,7900 U/mg)を含む。スタンダードおよびサンプル希釈液
=60 mM MgCl2または未知のものに対しては
適当な溶液(例えば、標本培養組織が上清の場合はREM+dFBSを使用する)を含む、
洗浄/サンプル緩衝液。基質緩衝液
:24.5 mg MgCl2(500 mlにする)、48 mlジエタノールアミン、Lab V
H2Oで400 mlにし、pH 9.8に調整し、Lab V H2Oで500 mlにする。抗体
:INV 1-2 IgG(プロテインA精製Rb抗BPI抗体、5 mg/ml)およびビオチン抗BP
I抗体。また、モノクローナル抗体HA-1Aも使用できる。例えば、ウサギをBPIで
免疫し、産生された抗BPI抗体を当業者に既知の方法で得ることにより、抗BPI抗
体を作成できる。その他の試薬
:BPIスタンダード(Lot 149713=1.0mg/ml等量に分けたもの。-70
℃で保存)、PNPP基質タブレット(5 mg/タブレット:Sigma 104-105)、ストレプ
トアビジン-アルカリフォスファターゼ(BioRad,170-3554,Lot 72439)。例えば
、米国特許第5,089,274号のカラム11、ライン62、カラム12、ライン13の方法に
従ってBPIを得ることができる。C.操作 コーティングプレート
:コーティングプレートを1カ月前までに準備することに注意せよ。使用時まで
プレートを4℃で保存する。抗BPI IgG抗体(プロテインA精製)を、25mM ホウ酸
ナトリウムで、pH 9.5(10ml/プレート)、5 μg/mlに希釈する。96ウェルプレー
ト(Immulon-4)の各々のウェルに100 μlずつ加える。37 ℃で一晩インキュベー
トする。使用時まで冷蔵する。阻害用プレート
:プレートから抗体を吸い取り、プレートをペーパータオルでふ
く。PBS中5 %のBSAを200 μl、各々のウェルに加える。37 ℃で1-4時間、または
4℃で一晩インキュベートする。阻害緩衝液を吸い取り、ELISA緩衝液で3回洗
い、プレートをペーパータオルで拭く。BPIスタンダードおよび標本
:BPIスタンダードおよびサンプルは、ELISA緩衝液/
60 mM MgCl2を用いてポリエチレンチューブの中でのみ希釈しなければならない
ことに注意せよ。均等に分けたスタンダード(1mg/mlで0.5 ml)を2カ月ごとに
新しく解凍する。精製BPI 100 ng/mlのストック溶液以下のとおりを作成する。
a)149713 BPI 5 μl+ 希釈液495 μlで希釈し(=1:100; 10 μg/ml)、再度1:100
に希釈して最終濃度が100 ng/mlのものを1ml作成する(3回反復して標準曲線
を2本かくのに十分な100 ng/mlストック溶液)。およびb)以下の標準濃度のもの
をそれぞれ1000 μlずつ作成する。
100 μl/ウェルでスタンダードおよび標本を加え、37 ℃で2時間インキュベ
ートする。サンプル/洗浄緩衝液で4回洗い、ペーパータオルでよく拭く。二次抗体(複合体)
:最後の洗浄の後、プレートをよく拭き、ビオチン抗BPI抗
体を1:2000(=洗浄/サンプル緩衝液10 ml中に5 μl)にしたものを各々のウェル
に100 μlずつ加える。37 ℃で1-4時間、または4℃で一晩インキュベートする
。4回洗浄し、ふき取って乾かす。ストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ
:最後の洗浄の後、プレートをよ
く拭き、1:1000(=10 ml中に10 μl)のストレプトアビジンアルカリフォスファ
ターゼを各々のウェルに100 μlずつ加える。37 ℃で1-4時間、または4℃で一
晩インキュベートする。4回洗浄し、ふき取って乾かす。基質
:最後の洗浄の後、プレートをよく拭き、基質溶液を100 μl加える(2 X 5
mg PNPP基質タブレット/10 ml基質溶液)。使用の直前に2タブレット/10 ml基質
緩衝液に溶解し、新しい基質を調製することに注意せよ。
25-35分間培養した後、プレートを405 nmで測定する。測定中はプレートを暗
所に置く。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12P 21/02 9281−4B C12N 5/00 B
// A61K 38/00 ADZ 9455−4C A61K 37/02 ADZ
(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(72)発明者 レーン ジョン シー.
アメリカ合衆国 カリフォルニア州 メン
ロ パーク ローブル アヴェニュー
#7 1002
(72)発明者 スネイブル ジェイムズ エル.
アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サニ
ーヴェール ヴィセンテ #145 1267
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.殺菌性/透過性増大タンパク質をコ−ドするベクタ−で上記の細胞を形質転 換し、該形質転換された細胞を、非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質 の細胞内での生成を許容する条件下で培養し、産生された非グリコシル化殺菌性 /透過性増大タンパク質を細胞から回収することを含む、グラム陰性細菌の細胞 を用いて非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の製造方法。 2.殺菌性/透過性増大タンパク質が、発現された時点でそれに付加されたリ− ダ−ペプチドを有しない、請求の範囲1に記載の方法。 3.細胞内における非グリコシル化殺菌性/透過性増大タンパク質の生成を許容 する条件には低温が含まれる、請求の範囲1に記載の方法。 4.回収が、(a)殺菌性/透過性増大タンパク質と LPS間の複合体形成を防止 する条件下で細胞を溶解して殺菌性/透過性増大タンパク質を細胞から遊離する ステップ、(b)遊離された殺菌性/透過性増大タンパク質を分離するステップ を含む、請求の範囲1に記載の方法。 5.(a)殺菌性/透過性増大タンパク質とLPS間の複合体形成を許容する条件下 で細胞を溶解し、(b)得られた殺菌性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体を 分離し、(c)分離された殺菌性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体を解離し て殺菌性/透過性増大タンパク質を殺菌性/透過性増大タンパク質−LPS 複合体 から遊離し、(d)遊離された殺菌性/透過性増大タンパク質を分離するステッ プを含む、請求の範囲1に記載の方法。 6.請求の範囲1に記載の方法によって製造された、非グリコシル化殺菌性/透 過性増大タンパク質。
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