【発明の詳細な説明】
重合体エマルジョンの製造
本発明はある種の重合体系の水性エマルジョンの製造方法、この方法で製造さ
れた水性エマルジョン及びその種々の用途における使用に関する。
一般に水性重合体ラテックスして知られる、重合体の水性エマルジョンを多数
の用途に使用すること、特に、被覆の用途においてバインダーを提供するために
使用することはこの分野で周知である。
ある種の用途については、低分子量親水性重合体と疎水性エマルジョン重合体
とを含有する重合体系の水性エマルジョンであって、多工程法によって製造され
たそして(しばしば)親水性重合体が水性媒体中で可溶化されている水性エマル
ジョンを使用することが有利であることが知られている。かかるラテックスによ
り、慣用のエマルジョン重合体と比較して、機械的、物理的又は性能特性が改善
され得る。
米国特許第4,894,397号明細書には、特に、親水性低分子量重合体エマルジョ
ンを第1工程で形成させ、このエマルジョンを重合条件下、少なくとも1種の疎
水性、ラテックス形成性単量体と接触させることにより疎水性第2工程重合体を
形成させることからなるラテックスの製造法が開示されている;かく得られた、
逆コア−シェルラテックス(inverse core-shell latex)の形であると言われてい
るエマルジョンのpHを調節して親水性重合体を溶解させ、かくして、親水性重合
体の連続水性相と疎水性重合体の不連続(discrete)安定化粒子とを生成させる。
一方、米国特許第4,954,558号明細書においては、単量体原料を乳化重合させ
、そして、この重合を行う際に、水又はアルカリに可溶性であるか又は分散性で
ある低分子量支持体樹脂を重合媒体に添
加することにより樹脂強化重合体エマルジョンを形成させている。
本発明者は、今般、低分子量酸官能性重合体と疎水性重合体とからなる重合体
系の水性エマルジョンであって、この種の既知のエマルジョン重合体と比較して
顕著な利点を有する重合体系の水性エマルジョンの調製方法を開発した。
本発明によれば、
a)遊離基開始剤と分子量を調節するための遷移金属キレート錯体、特に、コバ
ルトキレート錯体とを使用する遊離基重合法を使用して、500〜50,000の数平均
分子量を有するかつ酸官能基を含有する低分子量重合体を調製すること;
b)水性乳化重合を行って、少なくとも1種のオレフィン性不飽和単量体から疎
水性重合体の水性エマルジョンを形成させること、そして、上記水性乳化重合に
おいては、工程a)からの低分子量重合体を該水性乳化重合を開始する前及び/又
は該水性乳化重合を行う際に、上記水性乳化重合の水性媒体に導入して、該水性
媒体中に溶解又は分散させることからなる水性重合体エマルジョンの製造方法が
提供される。
本発明の一態様においては、低分子量酸官能性重合体を工程b)の乳化重合の水
性媒体に溶解させるが、かかる水性媒体中への溶解は、勿論、上記重合体を水性
媒体に添加することを条件として、工程b)の重合を開始する前、工程b)の重合を
行う際、工程b)の重合を行った後、又はこれらの段階の二つ又はそれ以上におい
て行うか又は生起させ得る。通常、溶解は工程b)の重合を開始する前又は工程b)
の重合を行う際又はこれらの段階の両者において行われる。低分子量重合体の溶
解は、しばしば、酸基の中和により、例えば、水性媒体のpHを上昇させることに
より達成し得る。低分子量重合体の水性媒体中への分散は該低分子量重合体の酸
基の中和によって促進し得る。
本発明によれば、前記方法によって形成させ得る水性重合体エマ
ルジョンも提供される。
本発明によれば、更に、上記したごとき水性重合体エマルジョンを被覆の用途
において使用すること、特に、インク、オーバープリントラッカーのごときグラ
フィック技術の用途において使用することも提供される。
(“低分子量重合体”という用語は、本明細書において、しばしば、便宜上、
オリゴマーと称される。)
低分子量重合体が工程b)の乳化重合の水性媒体中に分散されるということは、
この重合体が、溶解はしないが、該水性媒体中で実質的に沈降することがない程
度に十分に小さい粒子として分散していることを意味し、かかる分散体は、特に
、(重合体ラテックス又はエマルジョンにおけるごとく)重合体粒子のコロイド
分散体である。低分子量重合体を水性媒体中に導入して、最初に該重合体を水性
媒体中に分散させついで水性媒体中に(例えば中和により)溶解させることがで
き、また、これと反対のこともできることは理解されるであろう。勿論、コロイ
ド分散体と真の溶液との相違は識別することがしばしば困難であり、これらの状
態の中間の状態も存在する;また、低分子量重合体の一部を水性媒体中に分散さ
せ、一部を水性媒体中に溶解させることもできる。従って、“水性媒体中に分散
又は溶解させる”(“becomes dissolved or dispersed”)という用語は、乳化
重合の水性媒体中の低分子量重合体の最終状態がかかる中間状態に相当する場合
を包含させることも意図している。
酸官能性低分子量重合体は該重合体を水性媒体中に部分的に、より好ましくは
、完全に溶解させるのに十分な濃度の酸官能基を含有し得る;かかる溶解は、例
えば水性媒体のpHを調節することにより達成されるごとく、必要に応じて該重合
体の酸性基を中和させることにより行われる。例えば、低分子量重合体を工程b)
の乳化重合の水性媒体中に溶解させることが必要な場合には、低分子量重合体と
して、該重合体を水性媒体に溶解させるのに十分な酸官能基を有するような重合
体を選択すべきであり、かかる溶解は、必要に応じ、水性媒体のpHを調節して低
分子量重合体の酸官能基を中和することにより行われる(酸官能性低分子量重合
体が該重合体をエマルジョンの水性媒体中に部分的に溶解させるのに十分な程度
の酸官能基しか有していない場合には、低分子量重合体はコロイド分散体として
、又は、コロイド分散体と真の溶液との中間の状態で存在するか、又は、低分子
量重合体の一部が分散し、一部が溶解し得る)。通常、低分子量重合体を存在さ
せる媒体は酸性であり(pH<7)、酸基はカルボキシル基であり、従って、溶解
は有機又は無機塩基のごとき塩基を添加することによって媒体のpHを上昇させて
酸基を中和することにより行われるであろう;かかる有機又は無機塩基の例とし
ては、例えば、トリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミ
ン)、モルホリン及びアルカノールアミンのごとき有機アミン及びアンモニア、
NaOH、KOH及びLiOHのごとき無機塩基が挙げられる。勿論、酸官能性低分子量重
合体を導入する水性媒体は既にアルカリ性であるか又は十分にアルカリ性のもの
であることができ、この場合、(カルボキシル基のごとき)酸基は塩基を積極的
に添加してpHを上昇させることを必要とせずに中和される;また、酸基は、溶解
を行わせるのに中和することを必要としないような硫酸基(pk1〜2)のごとき
非常に強い酸基であるか又はかかる基を包含することができる。更に、酸性単量
体を遊離の形ではなしに、塩の形で重合させることができる。
更に、酸官能性低分子量重合体は、酸基の中和により該重合体を水性媒体に完
全に溶解させるのに十分な濃度の酸官能性を有し得るが、本発明の方法において
はかかる中和は必ずしも行う必要はなく、あるいは、部分的な中和だけを行って
、低分子量重合体を溶解させるのではなしに分散させる。
工程b)の水性乳化重合により疎水性エマルジョン重合体が得られる;このタイ
プの重合体は当業者に周知である。一般的に言えば、この疎水性エマルジョン重
合体は、ここでは、その水不溶性がpH範囲の全体に亘って保持される水不溶性重
合体であると理解される。この重合体の疎水性は、該重合体が少なくとも1種の
(重合した形の)疎水性単量体を、上記重合体をpH範囲の全体に亘って疎水性に
せしめかつ水不溶性にせしめるのに十分な濃度で含有することによって得られる
。従って、工程b)の乳化重合により形成されるエマルジョン重合体は、水性媒体
が受けることができるいかなるpH調節にも関係なしに乳化重合の水性媒体に不溶
性である。
工程a)で形成させる低分子量重合体は遊離基開始剤を使用する遊離基重合技術
を使用して製造される;この方法においては分子量を触媒量の遷移金属錯体、特
に、コバルトキレート錯体を使用して調節する;この技術は触媒連鎖移動(catal
ytic chain transfer)(CCT)重合として当業者に知られている。
かかる技術は最近の10年前後の文献に極めて広範囲に記載されている。例えば
、N.S.Enicolopyan等、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.Vol.19,879(1981)のごとき
種々の文献には、遊離基重合におて連鎖移動剤としてコバルトIIポルフィリン錯
体を使用することが開示されており、一方、米国特許第4,526,945号明細書には
かかる目的にコバルトIIのジオキシム錯体を使用することが開示されている。他
の種々の文献、例えば、米国特許第4,680,354号明細書、欧州特許公開(EP-A)第0
196783号公報及び欧州特許公開第0199436号公報には、遊離基重合によりオレフ
ィン性不飽和単量体のオリゴマーを製造するための連鎖移動剤として、ある種の
他のタイプのコバルトIIキレートを使用することが開示されている。一方、WO-A
-87/03605号明細書にはかかる目的にある種のコバルトIIIキレート錯体を使用す
ることが開示されており、また、イリジウム及びレニウムのご
とき他の金属のある種のキレート錯体を使用することが開示されている。
これらの文献に開示されている金属キレート錯体並びに上記文献に開示されて
いる触媒連鎖移動重合を行うための特定の重合技術は本明細書に参照として包含
されており、任意の適当な金属キレート錯体を本発明で使用される低分子量酸官
能性重合体の製造において使用し得る。
かかる金属キレート錯体の典型的なものは、恐らく、欧州特許公開第199436号
公報に記載されているものであるが、これらの錯体はビシナルイミノヒドロキシ
イミノ化合物、ジヒドロキシイミノ化合物、ジアザジヒドロキシイミノジアルキ
ルデカジエン及びジアザジヒドロキシイミノジアルキルウンデカジエンのコバル
トIIキレートであって、場合によりBF2のごときブリッジング基を含有するかつ
場合により、更に、水、アルコール、ケトン及び窒素塩基例えばピリジンのごと
きリガンドが配位しているものである。これらの中で特に好ましいものは、場合
により水和されているCoII(2,3-ジオキシイミノブタン-BF2)2、CoII(1,2-ジオキ
シイミノシクロヘキサン-BF2)2及びCoII(1,2-ジフェニル-1,2-ジオキシイミノ
エタン-BF2)2である。かかる錯体の空間配置は欧州特許公開第199436号公報に
記載されている。
有用であることが認められた他のコバルトIIキレートは本出願人の英国特許出
願第9316525.6号明細書に記載されており、その特に有用な例は2,12-ジメチル-3
,7,11,17-テトラアザビシクロ[11.3.1]ヘプタデカ-1-(17),2,11,13,15-ペンタ
ンコバルト(II)ブロミド一水和物であり、これはD.H.Busch及びK.M.LongによりI
norganic Chemistry,9(3),511(1970)に記載の方法により調製し得る。
金属キレート錯体はオリゴマーの効率的な製造を可能にしかつ連鎖移動剤とし
て作用し得るが、分子量の調節におけるその正確な作
用機構は本発明者には明らかではない。
CCT重合法は重合媒体(これは成分の分散媒体及び熱伝達媒体として作用する
)の存在下、又は、かかる媒体の不存在下で(即ち、塊状で)行い得る。重合媒
体を使用した場合には、重合は例えば溶液、懸濁又は乳化重合であり得る。本発
明の目的のためには、重合を水性重合法、例えば、懸濁又は乳化重合法により行
うことが好ましい(この方法のための典型的な乳化剤は疎水性重合体の形成に関
連して後記されている)。
CCT重合の媒体として使用し得る典型的な有機溶剤としてベンゼン、トルエン
及びキシレンのごとき芳香族炭化水素:ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
、アルコキシル化エチレングリコール又はポリエチレングリコールのごときエー
テル;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール
及びn-ブチルグリコールのごときアルコール及びそのカルボン酸とのエステル、
例えば酢酸、プロピオン酸及び酪酸とのエステル;アセトン又はメチルエチルケ
トンのごときケトン;及びピリジンのごとき液状第3アミンが挙げられる。かか
る溶剤の混合物も使用し得る。かかる溶液重合における固形分含有量は0.1〜99.
9重量%であり得る。懸濁又は乳化重合におけるごとく、重合媒体として水も使
用することができ(実際に好ましい)(固形分は典型的には5〜50重量%、好ま
しくは、20〜40重量%である)、かかる重合方法については慣用の乳化剤又は懸
濁剤を使用し得る。水と水混和性有機溶剤の組合せも重合媒体として使用し得る
。
低分子量重合体を製造するためには、CCT重合において水性乳化重合法を使用
することが好ましい。
CCT重合は通常、20〜200℃(より一般的には40〜150℃)の温度で行われる。
任意の適当な遊離基を生じる開始剤をCCT重合法で使用し得る;その通常の基準
は開始剤が1種又はそれ以上の他の重合
成分(例えば溶剤、単量体又は水)中で許容され得る溶解度を有すること、また
、重合温度において十分に活性であること(通常、0.5〜5時間の半減期を有す
ること)そして使用される連鎖移動触媒の安定性に許容され得ない影響を与えな
いことである。従って、開始剤は2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、4,4'-
アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキメ
チル)-2-ヒドロキエチル)]-プロピオンアミド及び2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2
-ヒドロキエチル)]-プロピオンアミドのごときアゾ化合物及びラウロイルペルオ
キシド及びベンゾイルペルオキシドのごときペルオキシ化合物及び過硫酸Na、K
又はアンモニウムを包含し得る遊離基生成開始剤から選択し得る。過硫酸アンモ
ニウム/ピロ亜硫酸ナトリウムのようなレドックスペアーのごときレドックス開
始剤も使用し得る。
CCT重合法は全ての成分を重合の開始時に存在させる“オール−イン−ワン”
バッチ法(“all-in-one”batch process)、又は、使用する成分の1種又はそれ
以上(通常、少なくとも1種の単量体)の全部又は一部を重合時に重合媒体に供
給するセミ−バッチ法(semi-batch process)を使用して行い得る。
本発明の方法で使用されるキレートは予め調製するか又は適当な反応剤からそ
の場で調製し得る。所定の分子量を得るのに必要な金属キレートの量は、同等の
分子量を得るために極めて高い濃度で必要とされる慣用の連鎖移動剤について要
求される量と比較して非常に低い量である。例えば、必要とされる金属キレート
の上限水準は(装入された単量体の全重量に基づいて)約0.1モル%に過ぎない
ものであり、これに対して、米国特許第4,893,397号明細書では低分子量親水性
重合体を製造するのに、慣用の連鎖移動剤を、装入された単量体の全重量に基づ
いて>0.3モル%必要であり、1〜3モル%が好ましいと述べられている。
酸官能性低分子量重合体を調製するのに使用される単量体系はCCT重合法を使
用して重合(又は共重合)させることが容易なかつ直接的に又はて適当な変換の
後に所要の酸官能性を提供し得る任意の適当なオレフィン性不飽和単量体である
。
かかる単量体系は、通常、(好ましくは、得られる重合体を前記したごとき水
性媒体に完全に又は部分的に可溶性にせしめるのに十分な量の)オレフィン性不
飽和酸官能性共単量体の共重合体を提供する単量体系である;かかる共単量体は
、かかる酸基を容易に生成する酸形成性基を担持している共単量体(例えば、無
水メタクリル酸のごとき無水物又は第3ブチルメタクリレート)及び非酸官能性
オレフィン性不飽和単量体(即ち、酸官能性基を有していない単量体)を包含し
ている。典型的には、酸基担持共単量体はモノカルボキシ−官能性アクリル単量
体及びオレフィン性不飽和ジカルボキシル担持単量体のごときオレフィン性不飽
和カルボキシ−官能性単量体である;かかる単量体の例としてはアクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸が挙げられる。スチレン p-
スルホン酸(又は対応するスチレン p-スルホニルクロライド)のごときスルホ
ン酸基含有単量体も使用し得る。酸基担持単量体は遊離酸として又は塩として、
例えば、エチルメタクリレート-2-スルホン酸又は2-アクリルアミド-2-メチルプ
ロパンスルホン酸のNH4又はアルカリ金属塩又は対応する遊離酸として重合し得
る。酸性単量体と共重合させ得る非酸官能性単量体としてはアルキルメタクリレ
ートとスチレンを挙げることができ、特に共単量体として低い水準で包含させる
場合にはアルキルアクリレートも使用し得る;1,3-ブタジエン及びイソプレンの
ごときジエン及び酢酸ビニルのごときビニルエステルも使用し得る。メタクリレ
ートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタク
リレート及びラウリルメタクリレートのごとき、C1〜C12、特にC1〜C10アルコー
ルとメタクリル酸との直鎖又は分岐鎖アルキルエステル(即ち、C1〜C12、特にC
1〜C10アルキルメタクリレート)が挙げられる。アクルレートとしては、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシ
ルアクリレートのごとき、C1〜C12、特にC1〜C10アルコールとアクリル酸との直
鎖又は分岐鎖アルキルエステル(即ち、C1〜C12、特にC1〜C10アルキルアクリレ
ート)が挙げられる。スチレンとしてはスチレンそれ自体及びメチルスチレン、
α-メチルスチレン及びt-ブチルスチレンのごとき種々の置換スチレンが挙げら
れる。アクリロニトル及びメタクリロニトリルのごときオレフィン性不飽和ニト
リル並びに塩化ビニル、塩化ビニリデン及び弗化ビニルのごときオレフィン性不
飽和ハライドも重合させ得る。アリル、グリシジル又はヒドロキシアルキル(例
えばヒドロキシエチル)メタクリレート又はアクリレートのごとき官能性単量体
、並びに、ヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレートのアセトアセト
キシエステル、例えばアセトアセトキシエチルメタクリレートのごときケト官能
性単量体及びジアセトンアクリルアミドのごときケト基−含有アミドも非酸官能
性単量体成分の一部として使用し得る。アクリルアミド及びメタクリルアミドの
ごときアミドも使用し得る。官能性単量体を使用する目的の一つは得られる重合
体系の以後の架橋性を提供することにある。
典型的には、酸官能性低分子量重合体は1〜60重量%、好ましくは3〜50重量
%、より好ましくは5〜40重量%の酸官能性共単量体と、これに対応して、99〜
40重量%、好ましくは97〜50重量%、より好ましくは95〜60重量%の非酸官能性
共単量体とを含有する単量体系から誘導される。
特に有用な単量体系は15〜40重量%の酸官能性共単量体(特にメタクリル酸)
と85〜60重量%の非酸官能性共単量体に基づく単量体系であるが、これはかかる
単量体系を使用することによりグラフィ
ック技術市場用の水性インキ及びオーバープリントラッカー製剤中のバインダー
材料を提供するのに特に適当な重合体エマルジョンが得られるという理由からで
ある。
ある場合には、非酸官能性共単量体は、通常、メチルメタクリレート、スチレ
ン、n-ブチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートの少なくとも1種から選
ばれ、一方、酸官能性単量体は例えばメタクリル酸である。この種類の有用なオ
リゴマーは10〜30重量%のメタクリル酸、50〜90重量%のメチルメタクリレート
、0〜30重量%のn-ブチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートの一方又は
両者及び0〜50重量%、特に、0〜40重量%のスチレンからなる単量体系から誘導
される。インク及びオーバープリントラッカーの用途に有用なオリゴマーは例え
ば、15〜40重量%のメタクリル酸、50〜85重量%のメチルメタクリレート、0〜3
0重量%のn-ブチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートの一方又は両者及
び0〜30重量%のスチレンからなる単量体系から誘導される。
連鎖移動重合の効率を最大にするためには、通常、単量体の少なくとも1種が
CH=C(CH3)-部分を有する単量体、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸エステル
及びアミド及びメタクリロニトリルであることが好ましく、重合に使用される単
量体の少なくとも5重量%、より好ましくは、少なくとも25重量%、特に好まし
くは、少なくとも50重量%がかかる単量体であることが好ましい。更に、使用さ
れる単量体系がかかる単量体を含有していない場合には、ある割合の親水性オリ
ゴマー分子はCCT重合の結果として必然的に生成される末端不飽和を有し得る。
この割合はしばしばオリゴマー分子の>80%であり得る(例えば、EP-A-0261942
B参照)。
かかる末端不飽和が存在することは、低分子量重合体とその後に形成される疎
水性重合体との間での良好な相溶性を増大させる可能性があるという理由で有利
である−かかる相溶性の増大は、恐らく、
これらの重合体の間である程度のグラフトが生起することによるものである。末
端不飽和に基づいてかかるグラフトが生起する可能性があるおとにより、かかる
グラフトが必要な場合にグラフトを促進させるために低分子量重合体中で特殊な
単量体を使用する必要性が排除され得る。かかる特殊なグラフト単量体の例は2
個(又はそれ以上の)不飽和部位を有する二(又は多)官能性単量体(例えばア
リルメタクリレート)及びラジカルにより引抜かれ得る(radicallyabstractable
)原子の1個又はそれ以上を有する単量体である。しかしながら、勿論、低分子
量重合体の合成においてグラフトを促進させるためにかかる特殊な単量体を使用
することが排除されるものではない。
低分子量重合体は500〜50,000、好ましくは、700〜20,000、特に、1,000〜10,
000の数平均分子量を有すべきである(重合体の分子量は適当な既知の重合体を
標準として使用してゲル透過クロマトグラフィーにより測定し得る)。多分散度
(polydispersity)PDi(重量平均分子量と数平均分子量との比)は好ましくは1.0
5〜5.0、より好ましくは1.1〜2.8である。
疎水性重合体を形成させるめに工程b)で使用される水性乳化重合法は、工程a)
からの酸官能性低分子量重合体を配合することを除いて、慣用の水性乳化重合の
方法である。かかる重合法は極めて周知のものであり、詳細に述べる必要はない
。かかる重合法は水性媒体中に単量体(1種又はそれ以上)を導入しついで遊離
基開始剤(通常、水溶性)を使用し、(通常)適当に加熱し(例えば40〜120℃
)かつ攪拌を行いながら重合を行うことからなることを述べれば十分であろう。
水性乳化重合は慣用の乳化剤[例えば、アニオン性及び/又はノニオン性乳化剤、
例えば、ジアルキルスルホサクシネートのNa、K及びNH4塩、硫酸化油のNa、K及
びNH4塩、アルキルスルホン酸のNa、K及びNH4塩、Na、K及びNH4アルキルサルフ
ェート、スルホン
酸のアルカリ金属塩;C12-24脂肪アルコール、エトキシル化脂肪酸及び/又は脂
肪アミド、及び、Naステアレート及びNaオレエートのごとき脂肪酸のNa、K及びN
H4塩;使用量は装入した全単量体の重量に基づいて、通常、0.2〜5重量%であ
る]を使用し、かつ、慣用の遊離基開始剤[例えば過酸化水素、t-ブチルヒドロ
ペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、NH4パーサルフェート、Kパーサルフ
ェート及びNaパーサルフェートのごとき過硫酸塩;レドックス系も使用し得る;
使用量は装入した全単量体の重量に基づいて、通常、0.05〜3重量%である]を
使用して行い得る。しかしながら、本発明の追加の要旨によれば、工程b)につい
ての乳化剤として作用させるための表面活性剤の必要性を排除し得るか又は著し
く減少させ得る;これは酸官能性低分子量重合体自体がかかる機能(即ち、乳化
剤として作用する機能)を満足させることにによるものである。
CCT重合と同様に、この工程の重合は“オール−イン−ワン”バッチ法(即ち
、使用すべき全ての成分を重合の開始時に存在させる方法)、又は、使用する成
分の1種又はそれ以上(通常、単量体の少なくとも1種又は1種の単量体だけを
重合させる場合にはその単量体)の全部又は一部を重合時に重合媒体に供給する
セミ−バッチ法を使用して行い得る。単量体は純粋な(neat)形で又は水中のエマ
ルジョンの形で供給し得る。2種以上の単量体を添加する場合には、当業者に周
知のごとく、セミ−バッチ法における単量体原料の組成を供給操作を行う際に変
化させ得る。好ましくはないが、完全連続式の方法も使用し得る。
疎水性重合体の形成に使用される単量体系は、得られる重合体が前記したごと
く疎水性であるようなものでなければならない。低分子量重合体の製造に使用し
たものと類似する非酸官能性単量体を使用し得る;特に、スチレン自体、α-メ
チルスチレン、o-,m-及びp-メチルスチレン、o-,m-及びp-エチルスチレン、p-ク
ロルスチレン
及びp-ブロムスチレンのごときスチレン類、アクリル酸又はメタクリル酸とアル
カノールとのエステル類、即ち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート
、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタク
リレート及び対応するアクリレートのごときアルキルアクリレート及びメタクリ
レート(通常、C1〜C12、特にC1〜C10アルキルアクリレート及びメタクリレート
)、酢酸ビニルのごときビニルエステル、塩化ビニルのごときハロゲン化ビニル
;塩化ビニリデンのごときハロゲン化ビニリデン、1,3-ブタジエン及びイソプレ
ンのごときジエン類を使用し得る;また、官能性単量体、例えば、2-ヒドロキシ
エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート及び対応するアクリレートの
ごときヒドロキシ、エポキシ及びアリル官能性(メタ)アクリレート、並びに、
ケト-官能性単量体、例えばアセトアセトキシエチルアクリレート又はメタクリ
レートのごときヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレートのアセトア
セトキシエステル、ジアセトンアクリルアミドのごときケト−含有アミド及びア
クリルアミド及びメタクリルアミドのごときアミドも単量体系の一部として使用
し得る。低分子量重合体の製造に使用される単量体と同様に、疎水性重合体につ
いての単量体系中で官能性単量体を使用する目的の一つは、得られる重合体系に
以後における架橋性を提供することにある。
酸官能性単量体(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸)も、(その性質に応
じて)得られる重合体の疎水性に影響を与えないような水準で共単量体として包
含させ得る。一般的にいえば、疎水性重合体を製造するのに使用される単量体系
は、通常、酸官能性単量体を(その種類に関係なしに)10重量%以下、好ましく
は5重量%以下の量で含有しているであろうが、ある好ましい態様においては、
酸官能性単量体を全く含有していないであろう。一般的にいえば、疎水性重合体
中の酸官能性単量体単位の濃度(重量基準)は、通常、
低分子量酸官能性重合体中の酸官能性単量体単位の濃度より低いであろう。
疎水性重合体は、ある場合には、スチレン、C1-12、特に、C1-10-アルキルメ
タクリレート(例えばメチルメタクリレート)及びC1-12、特に、C1-10-アルキ
ルアクリレート(例えばエチルアクリレート)の少なくとも1つを含有する単量
体系から製造することが有用である。単量体系は1種だけの単量体を含有し得る
;即ち、従って、得られる疎水性重合体は単独重合体である;本発明の方法のこ
の工程においては疎水性重合体を提供するのに、例えばスチレン(単独)を使用
し得る。疎水性重合体は、勿論、共重合体であり得る。
疎水性重合体を製造するための重合は慣用の又はそれ以外の連鎖移動剤を使用
して行い得るが、通常、かかる薬剤を使用することなしに行われる。
疎水性重合体の数平均分子量は、通常、≧50,000、より一般的には、≧100,00
0である。上限値は、通常、5,000,000を越えることはない。
全体的な即ち混合した(hybrid)重合体系(即ち、低分子量重合体と疎水性重合
体の両者を包含する重合体系)の数平均分子量は、通常、5,000〜1,000,000の範
囲である。
低分子量酸官能性重合体は、疎水性重合体を製造するための乳化重合の開始前
及び/又は該乳化重合中に、該乳化重合を行う水性媒体に導入して、該水性媒体
中に溶解させるか又は分散させる。かかる溶解又は分散は、下記に示すごとき可
能な方法を包含するな種々の方法で行い得る。
低分子量酸官能性重合体を溶液重合法(有機溶剤中)又は水性懸濁重合法によ
り形成させた場合には、通常、上記重合体を最初に重合媒体から単離して固体重
合体を取得し、ついでこの固体重合体を
水性媒体に溶解させる−かかる溶解を行う(即ち酸基の中和を生起させる)のに
必要な場合にはアルカリ性の水性媒体が好適である−;ついで得られた溶液を疎
水性重合体を形成させるための水性重合媒体の(全部又は一部の)基材として使
用し得る。別法として、単離した固体重合体を水中に溶解させずに分散させ(溶
解は、多分、中和によって促進される)ついで水性分散体を疎水性重合体を形成
させるための水性重合媒体の基材として使用する;溶解は場合により(しかし、
好ましくは)疎水性重合体を形成させるための重合中に又は重合後に行う(同様
に、溶解は必要に応じ、中和によって促進させる)。別法として、低分子量重合
体の水混和性有機溶剤中の溶液を単に水で稀釈して(この水は必要に応じて中和
を行うためにアルカリ性にするか、又は、低分子量重合体は、恐らく、水で稀釈
する前に既に中和されている可能性がある)、低分子量重合体の水溶液又は水性
分散体を得ることができる;この水溶液又は水性分散体は、同様に、以後に行う
乳化重合用の重合媒体の基材を提供するために使用される;この場合、以後の重
合を行う前又は行った後に、場合により有機溶剤を除去し得る。
別法として、単離した重合体を、固体自体の形で又は水中の分散体の形で、又
は、水溶液の形で(必要に応じ、アルカリ性にして)、疎水性重合体用の水性重
合媒体に乳化重合中に(一つ又はそれ以上の段階で)添加して、該重合体を水性
媒体に溶解又は分散させることができる;上記分散体は溶解させることが好まし
くかつ溶解は乳化重合中又はその後に行わせるか又は生起させる;必要ならば、
酸基を中和するための塩基を使用して水性重合媒体のpHを調節する(勿論、この
調節は必ずしも必要ではない)。
低分子量重合体を水性乳化重合法を使用して製造し、一方、酸官能性低分子量
重合体を水性媒体から単離し、上記したごとく使用する場合には、得られた低分
子量重合体の水性エマルジョンを、疎水
性重合体を形成させるための、その後の重合用の重合媒体(一部又は全部)を提
供するための基材として使用することがより好ましい(場合により低分子量重合
体を水性媒体に溶解させることがありそしてかる溶解を行わせることが好ましい
が、この溶解は疎水性重合体を形成させるための重合の前、重合中又は重合後に
−通常、低分子量重合体の酸基の中和により−行うか又は生起させる)。このこ
とは、疎水性重合体を形成させるための重合を、低分子量重合体を形成させるた
めに使用されるものと同一の反応容器中で行うこと[“ワン−ポット”(“one-
pot”)系]ができるという利点を有するが、勿論、所望ならば別個の反応容器
を使用し得る。また、かかる系においては、低分子量重合体を形成させるための
乳化重合に使用される成分の少なくとも幾つか、例えば、乳化剤及び/又は遊離
基開始剤を(十分な量で残留している場合には)、疎水性重合体を製造するため
の乳化重合に移行させることができ、かつ、かかる成分を更に添加する必要性を
排除することさえ可能である(実際には、新しい又は追加量の成分−これは2つ
の重合において必ずしも同一ではない−は通常、必要である)。また、前記した
ごとく、低分子量重合体それ自体を重合用の乳化剤として作用させ得る。
別法として、低分子量重合体の水性エマルジョンを、疎水性重合体を形成させ
るための重合中に、該疎水性重合体用の水性媒体に添加し得る;場合により、但
し好ましくは、上記重合体の水性媒体中への溶解を行わせるか又は生起させる;
そして上記の重合中又は重合後に、必要に応じて、酸基を中和する。
本発明の少なくとも幾つかの態様、特に、低分子量重合体を疎水性重合体用の
水性媒体に、該疎水性重合体を形成さるための重合を開始する前に導入する態様
においては、疎水性重合体の形成後であってかつ中和の前に製造された水性エマ
ルジョンは逆コア−シェルラテックス(inverse core-shell latex)の形であると
考えられる;
このラテックスにおいては疎水性重合体が低分子量重合体中でコア領域を形成し
ている−低分子量重合体中が疎水性重合体を包封している(encapsulate)か又は
低分子量重合体が疎水性重合体の周囲でシェルを形成しているか、又は、低分子
量重合体が、その膨潤マトリックス中に疎水性重合体を担持している−;また、
上記の態様においては、低分子量重合体を溶解させるために中和した際に、低分
子量重合体を含有する水性相が疎水性重合体の分離した(discrete)かつ安定化さ
れた粒子を含有する不連続相が存在する連続相を提供していると考えられる。例
えば、米国特許第4,894,397号明細書に記載されるエマルジョン重合体系は、か
かる用語で記載されている。また、(かかる態様及び他の態様においては)、得
られる重合体系の実際の構造(これは本発明者には十分には明らかではない)と
は関係なしに、低分子量重合体について、単に、疎水性重合体を形成するための
重合についての種子(seed)ということに関して述べることがより実際的であり得
る。従って、本発明は本発明の重合体系について得られる水性ラテックスについ
て推測されるか又は提案されている物理的構造に限定されるものではない。
低分子量重合体を形成させるためにCCT重合を使用することにより、本発明の
水性エマルジョンに多数の重要な利点がもたらされる。
CCT技術により、しばしば一つの種類又は他の種類の不利益を有する慣用の連
鎖移動剤の使用が回避される。例えば、メルカプタン(例えば米国特許第4,894,
397号明細書で使用されている)は著しい臭いを付与し、一方、ハロゲン化炭化
水素(例えばブロモホルム又は四塩化炭素)は環境に対して有害である。本発明
の方法によれば、オリゴマー及び最終複合重合体エマルジョンの両者について少
ししか臭いが付与されない。一方、α−メチルスチレン(他の既知の連鎖移動剤
)は非常に高価であり、しばしば、非常に低い水準、例えば35重量%までの水準
で使用しなければならない(勿論、これ
を共単量体として慎重に使用することは排除されない)。ある場合には、CCT技
術は非常に分子量の低い重合体を製造するための唯一の実施可能な方法であり得
る。
分子量を調節する作用をする金属キレートは、触媒として作用するため、同等
の分子量の低減を達成するための慣用の連鎖移動剤と比較して、非常に低い量で
使用し得る。これによって、極めて純粋な製品が得られる。
CCT技術により形成される低分子量重合体は、慣用の連鎖移動剤を使用する重
合法を使用した場合よりも狭い分子量分布を有し得る。分子量分布が狭いことに
より、低分子量重合体のアルカリ性水溶液の溶液粘度が低いという点から多数の
利点が提供される:例えば、所与の数平均分子量について、より低い溶液粘度を
得ることができる;所与の溶液粘度について、より高いオリゴマー数平均分子量
(従って、改善された性能特性)を得ることができる;そして、分子量分布が狭
くない場合に溶液粘度を過度に高いものにすることのあり得る、ある種の共単量
体を使用し得る。
低分子量重合体を水性乳化重合法を使用して製造した場合には、所望ならば全
体の方法を“ワン−ポット”法とすることができるという利点及び生成物が有機
溶剤を含有していないという利点が得られる。
本発明の別の態様においては、低分子量重合体と疎水性重合体の一方又は両者
が、組成物に潜在的な(latent)架橋性を付与する官能性基を有している(即ち、
その結果、組成物から被膜を形成させた後に架橋が生起する)。例えば、両方の
重合体が共反応性基を有することができる;例えば、一方の重合体がアミノ基を
有し、他方の重合体がエポキシ基を有することができ、或いは、一方の重合体が
ケト又はアルデヒドカルボニル基、他方の重合体がアミノ基を有することができ
、その結果、自己架橋系(ワン−パック系)を達成し
得る。別法として、重合体の一方又は両者にヒドロキシル基のごとき官能性基を
担持させ、そして、後に組成物にポリイソシアネート、メラミン又はグリコウリ
ル(glycouril)のごとき架橋剤を配合することができる;また、重合体の一方又
は両者にケトー又はアルデヒドカルボニル基を担持させ、後に架橋剤としてポリ
アミン又はアジピン酸ジヒドラジドのごときポリヒドラジドを配合することがで
きる。
本発明の水性エマルジョンの固形分含有量は全重量に基づいて、通常、約20〜
65重量%、より一般的には、30〜55重量%である。所望ならば、固形分含有量は
水を添加するか又は水を除去することにより(例えば蒸留又は限外濾過により)
調節し得る。
水性重合体エマルジョン中の低分子量重合体と疎水性重合体の相対的な量は、
低分子量重合体の重量%が、重合体エマルジョン中の低分子量重合体と疎水性重
合体の合計重量に基づいて、好ましくは、1〜60重量%、より好ましくは、3〜
40重量%になるような量である。
本発明の水性エマルジョンは種々の用途に使用することができそしてかかる用
途については、消泡剤、レオロジー調節剤、増粘剤、分散剤及び安定化剤(通常
、表面活性剤)、湿潤化剤、充填剤、増量剤、殺かび剤、殺菌剤、凝集溶剤、湿
潤溶剤(wetting solvent)、可塑剤、凍結防止剤、ワックス及び顔料のごとき他
の添加剤又は成分と組合せるか又はこれらを配合することができる。
水性エマルジョンは、例えば、フィルム、艶出剤(polish)、ワニス、ラッカー
、ペイント、インク、シーラント及び接着剤を提供するためには、必要に応じ、
適当に製剤して使用し得る。しかしながら、水性エマルジョンのあるものは(前
記したごとく)グラフィック技術市場用の水性インキ又はオーバープリントラッ
カー製剤の基材を提供するのに特に有用であり、適している;この場合には、水
性エマルジョンに顔料(例えば、TiO2又はカーボンブラック)のごとき添加剤を
配合し得る。水性エマルジョンの重合体系はかかるインキのバインダー材料とし
て特に適していることが認められており、特に、加圧可逆性(press reversibili
ty)と適用時の湿潤性との間及びフィルム抵抗性と乾燥インキの接着性との間で
、良好な性質のバランスを与えるという点で高い性能を与えるであろう。
本発明の水性エマルジョンは、例えば噴霧乾燥又は電解質を使用する凝集によ
り、その重合体系を回収することにより乾燥粉末として使用することもでき、こ
の乾燥粉末は種々の用途において、例えば、再分散後に水性組成物中で、また、
乾燥粉末−変性セメント中で使用し得る;上記セメントにおいては、粉末を無水
セメント混合物と混合して、使用する際に必要な水と混合し得る有用な組成物を
形成させる。
本発明を以下の実施例を参照して更に説明する。実施例中、特に説明がない限
り、部、%及び比率は全て、重量に基づくものである。
以下の実施例においては、下記の略号が使用されている:
MMA =メチルメタクリレート
MAA =メタクリル酸
St =スチレン
BMA =n-ブチルメタクリレート
BA =n-ブチルアクリレート
Mn =数平均分子量
PDi =多分散度(Mw/Mnの比、Mwは重量平均分子量である)
シアノ吉草酸 =4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)
CoBf =CoII(DHIB-BF2)、DHIBは2,3-ジオキシイミノブタンである。
CoPY = Co-ピヂエン(Co-pydiene) =2,12-ジメチル-3,7,11,17-
テトラアザビシクロ[11.3.1]ヘプタデカ-1(17),2,11,
13,15-ペンタンコバルト(II)ブロマイド一水和物
CoPhBF =CoII(DDE-BF2)、DDEは1,2-ジフェニル-1,2-ジオキシイ
ミノエタンである。
PTFE =ポリテトラフルオロエチレン
GPC =ゲル透過クロマトグラフィー
AIBN =α,α1-アゾイソブチロニトリル
tBHPO =第3ブチルヒドロペルオキシド
幾つかの低分子量重合体の調製
CCT法で調製した低分子量酸官能性重合体、LMP1〜LMP10の、一連の水性ラテッ
クスを下記のごとくして調製した。LMP1
この重合体はMMA(70重量%)/MAA(30重量%)オリゴマーに基づくものである。
重合装置として攪拌機、コンデンサー及び滴下濾斗(容量500ml)を備えた5l
じゃま板付き三つ口丸底フラスコを使用した。重合温度はサーモカップルとデジ
タル表示器を使用して監視した。反応混合物はサーモスタット制御された水浴を
使用して加熱した。
重合装置は使用前、窒素を使用して排気し、フラッシュした。重合方法
全ての単量体と水を、使用前、これらの中に窒素流を少なくとも1時間通送す
ることにより脱気(脱酸素)した。
脱気した脱イオン水(1750ml)を重合フラスコに添加し、これを水浴により75℃
に加熱した。ラウリル硫酸ナトリウム(15g)を採取し、攪拌しながら反応器に添
加した。
ロータフロー(rotaflow)ガラス/ゴムコネクター、磁気攪拌棒を備えたかつス
バシール(suba seal)でシールした清浄な無水の二つ口丸底フラスコを窒素を使
用して3回、排気し、フラッシュした。
CoBF(0.1570g)を採取し、フラスコに添加しついでフラスコを窒素を使用して
3回、再度、排気し、フラッシュした。
窒素流中でフラッシュした清浄な無水のガラスシリンジを使用して、メチルメ
タクリレート(561ml)及びメタクリル酸(222ml)を採取し、CoBFを含有するフラス
コに攪拌しながら添加した。CoBF/単量体混合物を約30分間攪拌してCoBFを溶解
させついでシリンジにより滴下濾斗に移した。
シアノ吉草酸(9.5g)を採取し、反応フラスコに添加した。
シアノ吉草酸が完全に溶解したとき(2〜3分間)、単量体/CoBF混合物を60
分間に亘って一定の速度で添加し、更に60分間放置しついで室温に冷却した。重
合温度は77℃を越えなかった。
ラテックスの試料についてGPC分析を行い、下記の結果が得られれた:Mn 1396
,PDi 2.36(ポリメチルメタクリレート標準を使用して検量したGPCにより測定)
。中和及び粘度測定
ラテックスの試料(250g)を採取し、これを水(65.5mlで稀釈しついで25%アン
モニア水溶液(17.3ml)で中和してpH9.0の透明溶液を得た。ブルックフィールド
粘度計を使用して、スピンドルNo.1、スピンドル速度60rpm、温度28℃で粘度を
測定した。これらの条件下での測定値は8.9cpsであった。LMP2
この重合体はMMA(85重量%)/MAA(15重量%)オリゴマーに基づくものである
。
使用した装置はLMP1について述べたものと同一であった。
重合方法はLMP1について述べたものと同一であった。
使用した成分とその量は以下に示す。
水 1750 g
ラウリル硫酸ナトリウム 15 g
シアノ吉草酸 9.5 g
メチルメタクリレート 681 ml
メタクリル酸 111 ml
CoBF 0.2854 g
単量体/CoBFを120分間に亘って一定の速度で添加した。反応を更に1時間行い
ついで室温に冷却した。重合を通じての最高温度は74.8℃であった。中和及び粘度測定
ラテックスの試料(250g)を水(94.3ml)で稀釈しついで25%アンモニア水溶液(9
.2ml)を使用してpH9.0に調節した。得られた溶液の粘度をLMP1について述べたも
のと同一の方法で測定して5.4cpsの値を得た。LMP3
この重合体はMMA(50重量%)/MAA(30重量%)/St(20重量%)オリゴマーに基づく
ものである。
使用した装置と重合方法は、単量体を120分間に亘って一定の速度で添加した
こと以外、LMP1について述べたものと同一であった。
使用した成分とその量は以下に示す。
水 1750 g
ラウリル硫酸ナトリウム 15 g
シアノ吉草酸 9.5 g
メチルメタクリレート 400.6 ml
メタクリル酸 221.9 ml
スチレン 165 ml
CoBF 0.2976 g
最終ラテックスをGPCにより分析して、Mn 4904及びPDi 4.14を得た。中和及び粘度測定
ラテックスの試料を採取し、三角フラスコ中で水(113.75ml)及び25%アンモニ
ア水溶液(20.0ml)で稀釈した。混合後、二重表面
水冷コンデンサーを三角フラスコに取付け、混合物を80℃で約30分間加熱した。
混合物を室温で一夜、冷却した。得られた溶液の粘度をLMP1について述べた方法
で測定して47cpsの値を得た。LMP4
この重合体はMMA(60重量%)/MAA(30重量%)/St(10重量%)オリゴマーに基づく
ものである。
使用した装置と重合方法は、単量体/CoBFを120分間に亘って添加したこと以外
、LMP1について述べたものと同一であった。
使用した成分とその量は以下に示す。
水 1750 g
ラウリル硫酸ナトリウム 15 g
シアノ吉草酸 9.5 g
メチルメタクリレート 480.8 ml
メタクリル酸 221.9 ml
スチレン 82.5 ml
CoBF 0.2870 g
最終ラテックスをGPCにより分析して、Mn 4860及びPDi 2.13を得た。中和及び粘度測定
ラテックスの試料(250g)を採取し、三角フラスコ中で水(110.2ml)及び25%ア
ンモニア水溶液(19.8ml)で稀釈した。混合後、二重表面水冷コンデンサーを三角
フラスコに取付け、混合物を水浴上で80℃で約30分間加熱して透明溶液を得た。
溶液を室温で一夜、冷却した。得られた溶液の粘度をLMP1について述べたものと
同一の方法で測定してpH 9.0で14.8cpsの値を得た。LMP5
この重合体はMMA(40重量%)/MAA(30重量%)/St(30重量%)オリゴマーに基づく
ものである。
重合装置として攪拌機、コンデンサー及び滴下濾斗を備えた1lじゃま板付き
、フランジ付きフラスコを使用した。滴下濾斗にPTFE攪拌機を取付けた。重合装
置は使用前、窒素で排気し、フラッシュした。装置はサーモスタット制御された
水浴を使用して加熱した。重合温度はサーモカップルとデジタル表示器を使用し
て監視した。重合方法
全ての単量体と水を、使用前、これらの中に窒素流を少なくとも1時間通送す
ることにより脱気した。
シアノ吉草酸(6.2g)、水酸化ナトリウム水溶液(33.2ml、1モルdm-3)及び水(
84cm3)を使用して、シアノ吉草酸ナトリウム塩の開始剤溶液を丸底フラスコ中で
窒素雰囲気下で調製した。
メチルメタクリレート(85.5ml)、メタクリル酸(59.2ml)、スチレン(66ml)及び
CoBF(0.1591g)の溶液を調製することにより乳化単量体原料溶液を調製した。得
られた溶液をシリンジにより滴下濾斗に移した。水(90.8ml)及びラウリル硫酸ナ
トリウム(2.17g)を、単量体溶液を調製したフラスコに添加しついでシリンジに
より滴下濾斗に移した。混合物を迅速に攪拌して黄色エマルジョンを生成させた
。
水(246ml)とラウリル硫酸ナトリウム(2.17g)を一定に攪拌しながら重合フラス
コに添加した。反応フラスコの内容物が75℃に到達したとき、開始剤溶液のアリ
コート(60ml)をシリンジにより採取し、重合フラスコに添加した。ついで、乳化
単量体原料の添加を開始した。開始剤溶液の残部をシリンジポンプを使用して0.
16ml/分の速度で重合の全体に亘って添加した。単量体に対する開始剤の合計量
は2.25重量%であった。乳化単量体/CoBFを120分間に亘って一定の速度で添加し
た。重合温度は75℃を越えなかった。
最終ラテックスの試料を採取し、GPCにより分析してMn 5011及びPDi 2.62を得
た。中和及び粘度測定
ラテックスの試料(168.27g)を三角フラスコ中に採取し、水(72.2ml)及び25%
アンモニア水溶液(11.96g)で稀釈した。混合後、コンデンサーを取付け、混合物
を水浴上で80℃で約30分間加熱し、ついで室温になるまで一夜、冷却した。得ら
れた溶液の粘度をLMP1について述べたものと同一の方法で測定して、pH9.0で481
cpsの値を得た。LMP6
この重合体はMMA(40重量%)/MAA(30重量%)/St(30重量%)オリゴマーに基づく
ものである。
重合装置、重合方法及び成分(その量を包含する)は、乳化剤として(ラウリ
ル硫酸ナトリウムの代わりに)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用し
、その5.25gを滴下濾斗中の単量体原料中で使用し、5.25gを重合フラスコに添加
したこと以外、LMP5について述べたものと同一であった。また、35.7mlのシアノ
吉草酸ナトリウム塩開始剤溶液を当初にフラスコに添加し、残部を重合中に0.24
ml/分の速度で添加した。
最終ラテックスを分析してMn 5392及びPDi 2.37の値を得た。中和及び粘度測定
LMP5について述べたものと同一の方法で測定した。得られた溶液の粘度の測定
値はpH9.0で224cpsであった。LMP7
この重合体はMMA(50重量%)/MAA(30重量%)/St(20重量%)オリゴマーに基づく
ものである。
重合装置として攪拌機とコンデンサーを備えた1lじゃま板付き、フランジ付
きフラスコを使用した。重合装置は使用前、窒素で排気し、フラッシュした。重
合温度はサーモカップルとデジタル表示器を使用して監視した。反応混合物はサ
ーモスタット制御された水浴
を使用して加熱した。重合方法
全ての単量体と水を、使用前、これらの中に窒素流を少なくとも1時間通送す
ることにより脱気(脱酸素)した。
脱酸素した脱イオン水(758ml)とラウリル硫酸ナトリウム(8.4g)を反応フラス
コに装入し、75℃に加熱し、攪拌した。
コバルト触媒を調製した。CoPY(1.0592g)を採取し、丸底フラスコに添加した
。フラスコを窒素で3回排気し、フラッシュした。脱酸素した脱イオン水(100g)
をシリンジによりフラスコに添加した。
単量体混合物を丸底フラスコ中で調製した。フラスコを窒素で3回排気し、フ
ラッシュした。スチレン(88ml)、メタクリル酸(118.3ml)及びメチルメタクリレ
ート(213.7ml)をシリンジにより採取し、フラスコに添加した。
シアノ吉草酸(5.1g)と水(50ml)を反応フラスコに添加した。単量体混合物とCo
PY水溶液をシリンジポンプに取付けたシリンジを使用して120分間に亘って一定
の速度で供給した。供給時間中及び更に3時間、反応フラスコ内の温度を75±2
℃に保持しついで室温に冷却した。
得られたラテックスの分子量をGPCにより測定して、Mn 3053及びPDi 2.66を得
た。中和及び粘度測定
ラテックスの一部を水及び25%アンモニア水溶液で稀釈して、pH9のオリゴマ
ーの20重量%溶液を得た。この溶液の粘度をLMP1について述べたものと同一の方
法で測定した結果、12cpsであることが認められた。LMP8
この重合体はMMA(70重量%)/MAA(30重量%)オリゴマーに基づくものである。
重合装置としてはLMP7について述べたものと同一の
ものを使用した。重合方法
全ての単量体と水を、使用前、これらの中に窒素流を少なくとも1時間通送す
ることにより脱気(脱酸素)した。
脱酸素した脱イオン水(1150ml)とラウリル硫酸ナトリウム(10.2g)を反応フラ
スコに装入し、75℃に加熱し、攪拌した。
窒素導入管と磁気攪拌棒を取付けた、清浄な、無水のニロ丸底フラスコを窒素
で3回排気し、フラッシュした。
CoBF(0.1525g)を採取し、フラスコに添加しついでこれを窒素で3回、再度、
排気し、フラッシュした。MMA(374ml)とMAA(148ml)を攪拌下、CoBFを含有するフ
ラスコに添加した。
シアノ吉草酸(6.4g)を反応フラスコに添加した。シアノ吉草酸を完全に溶解さ
せた後(2〜3分)、単量体/CoBF混合物をシリンジポンプに取付けたシリンジ
を使用して60分間に亘って一定の速度で供給した。単量体の添加中及び更に4時
間、反応フラスコ内の温度を75±2℃に保持しついで得られた重合体テックスを
室温に冷却した。
得られたラテックスの試料のGPCによる分析を行って、Mn 1953及びPDi 2.05を
得た。LMP9
この重合体はMMA(70重量%)/MAA(30重量%)オリゴマーに基づくものである。
重合装置としてLMP7について述べたものと同一のものを使用した。
実験方法はLMP8について述べたものと同一であった。
成分とその量を以下に示す。
水 450 ml
ラウリル硫酸ナトリウム 4.2 g
シアノ吉草酸 2.54 g
MMA 150 ml
MAA 59 ml
CoBF 0.0926 g
単量体とCoBFの混合物を1時間に亘って一定の速度で反応フラスコに添加した
。反応を更に4時間行いついで冷却した。
得られたラテックスの試料のGPCによる分析を行って、Mn 2572及びPDi 1.65を
得た。中和及び粘度測定
ラテックスの一部を水で稀釈しついで25%アンモニア水溶液で中和して、pH9
の20重量%溶液を得た。この溶液の粘度をLMP1について述べたものと同一の方法
で測定した結果、8cpsであることが認められた。LMP10
CCT法で調製される低分子量酸官能性重合体を下記の方法により水性懸濁重合
より調製した。
攪拌機、コンデンサー及びサーモカップルを備えた1lフランジ付きフラスコ
に0.6gの硫酸ナトリウム、4.0gのHX72溶液(12.5重量%、ポリアクリル酸)及び4
00mlの蒸留水を添加した。フラスコを窒素ブランケット下に保持した。温度を75
℃に上昇させ、50gのMMA、30gのBMA、20gのMAA、0.5gのAIBM及び0.015gのCoPhBF
の混合物を一度に添加した。温度を80℃に上昇させ、連続的に攪拌しながら5時
間保持した。この時間の終了後、反応フラスコを周囲温度に冷却した。生成した
重合体ビーズを濾過により単離し、水で洗浄しついで乾燥した。重合体ビーズの
試料をGPCにより分析して、Mn 3846及びPDi 2.87を得た。中和及び粘度測定
重合体ビーズの一部を水に添加しついで25%アンモニア水溶液で中和して、pH
9の20重量%溶液を得た。この溶液の粘度をLMP1につ
いて述べたものと同一の方法で測定した結果、10cpsであることが認められた。
幾つかの本発明の重合体ラテックスの調製実施例1
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP1を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置として攪拌機、コンデンサー、窒素導入管、1l滴下濾斗及び100ml
滴下濾斗を備えた2lじゃま板付き丸底フラスコを使用した。重合温度はサーモ
カップルとデジタル表示器を使用して監視した。反応フラスコは500W加熱マント
ルにより加熱した。重合方法
攪拌しながら、下記の物質を室温で反応フラスコに添加した。
797.51gのLMP1水性ラテックス(中和していないもの)
199.51gの脱イオン水
49.17gの25%アンモニア水溶液
この混合物を約15分間攪拌して均質な溶液を得た。ついでこの溶液に238.6gの
脱イオン水、16.5gのAkyposal OP 245V(非イオン表面活性剤の70w/v%水溶液)及
び1.15gの過硫酸アンモニウムを添加した。397.7gのスチレンを1l 滴下濾斗に
装入することにより疎水性重合体用の単量体原料を調製した。2.19gの過硫酸ア
ンモニウムを70.72gの脱イオン水に溶解させついでこれを100ml滴下濾斗に装入
することにより別個の開始剤原料を調製した。
反応フラスコを窒素でフラッシュしついで攪拌しながら温度を85〜90℃に上昇
させた。重合操作中、これらの条件を保持した。
反応温度に到達したとき、単量体の供給と開始剤の供給を同時に開始した。単
量体原料は2時間に亘って反応器に供給した;開始剤原料も2時間に亘って反応
器に供給した。供給の終了後、反応フラスコを更に1時間反応温度に保持しつい
で室温に冷却した。
得られたラテックスを低メッシュ篩上で篩分けた。
得られたラテックスは35.0%(w/w)の固形分含有量と0.6%(ラテックスに基づ
くv/v%)の残留スチレン含有量を有していた。実施例2
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP2を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置と重合方法は実施例1に述べたものと同一であった。使用した成分と
その量は以下に示す通りである:
LMP2 691.456g
水 243.83g
25%アンモニア水溶液 46.582g
ラウリル硫酸ナトリウム(30%水溶液) 28.409g
過硫酸アンモニウム 2.365g
スチレン 392.747g
水(原料中) 94.619g
得られたラテックスは40%(w/w)の固形分含有量と0%の残留スチレン含有量を
有していた。実施例3
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP3を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置と重合方法は実施例1に述べたものと同一であった。使用した成分と
その量は以下に示す通りである:
LMP3 652.028g
水 282.715g
25%アンモニア水溶液 46.554g
Akypolox OP 250V(70%) 16.374g
過硫酸アンモニウム 1.138g
水(原料中) 106.526g
スチレン 392.515g
過硫酸アンモニウム(3%水溶液) 71.961g
得られたラテックスは40%(w/w)の固形分含有量と0.4%(ラテックスに基づく
v/v%)の残留スチレン含有量を有していた。実施例4
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP4を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置と重合方法は実施例1に述べたものと同一であった。使用した成分と
その量は以下に示す通りである:
LMP4 658.537g
水 276.15g
25%アンモニア水溶液 46.554g
Akypolox OP 250V(70%) 16.373g
過硫酸アンモニウム 1.138g
水(原料中) 106.525g
スチレン 392.515g
過硫酸アンモニウム(3%水溶液) 71.961g
得られたラテックスは40%(w/w)の固形分含有量と0.16%(v/v%)の残留スチ
レン含有量を有していた。実施例5
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP6を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置としてスチール製攪拌機、PTFE製攪拌機グランド、コンデンサー、サ
ーモカップル及び滴下濾斗を備えた2lバッフル付き、フランジ付きフラスコを
使用した。滴下濾斗にガラス製攪拌機グランドとPTFE製攪拌機を取付けた。装置
はサーモスタット制御水浴を使用して加熱した。装置は使用前、窒素によりフラ
ッシュした。重合方法
前記したごとき方法で調製したオリゴマー水性エマルジョンLMP6(222g、中和
していないもの)を採取し、水(94.2g)で稀釈しついで25%アンモニア水溶液を使
用してpHを9.0に調節した。得られた溶液の粘度をブルックフィールド粘度計を
使用して20℃で測定して224cpsの値を得た。
中和オリゴマー溶液を採取し、重合フラスコに添加した。溶液を攪拌し、85℃
に加熱した。
水(131.4g)、ラウリル硫酸ナトリウム(1.0g)、スチレン(200g)及び過硫酸アン
モニウム(1.0g)をガラスビーカーに装入し、白色エマルジョンが得られるまで攪
拌した。エマルジョンを滴下濾斗に添加し、攪拌した。
上記乳化原料の一部(10%)を重合フラスコに添加した。5分後、上記乳化原料
の供給を再び開始した(resume)。供給は60分間で完了し、重合溶液を更に105分
間加熱した。ついでエマルジョンを室温に冷却した。
エマルジョンの試料を採取し、GPCにより分析して、Mn 187667及びPDi 2.57の
値を得た。実施例6
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP5を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した;但し、このエマルジョンは最初
、蒸発乾固させて固体を形成させついで疎水性重合体を形成させる重合工程を行
う前に再び溶解させて調製たものである。
使用した重合装置は実施例5で述べたものと同一である。
オリゴマー水性エマルジョンLMP5(中和していないもの)を採取し、水浴上で
70℃で蒸発乾固させた。得られた固体を乳鉢と乳棒を使用して粉砕して粉末にし
、真空オーブン中、80℃で60分間乾燥した。オリゴマー粉末の一部(66.7g)を三
角フラスコに装入し、これ
に水(250ml)を添加した。pHが9になるまで25%アンモニア水溶液を添加した。
得られた溶液の粘度をブルックフィールド粘度計を使用して23℃で測定して481c
psの値を得た。
オリゴマー溶液を重合フラスコに添加し、攪拌しながら85℃に加熱した。
ついで実施例5に述べたごとき方法でスチレンの重合を行った。
エマルジョンの試料を採取し、GPCにより分析して、Mnについては246492の値
及びPDiについては2.49の値を得た。実施例7
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP7を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置として攪拌機、コンデンサー、窒素導入管及び等圧化(pressure equa
lising)滴下濾斗を備えた1lバッフル付き丸底フラスコを使用し、滴下濾斗に
攪拌機を取付けた。
下記の物質を混合し、攪拌した:
133.3gのLMP7水性ラテックス(中和していないもの)
56.7mlの脱イオン水
10.4mlの0.88アンモニア水溶液
溶解が完了した後、溶液を0.88アンモニア水溶液を滴下することによりpH 9.0
に調節した。かく形成されたオリゴマー溶液を重合フラスコに添加し、加熱マン
トルを使用して85℃に加熱した。
水(60g)、スチレン(120g)、ラウリル硫酸ナトリウム(0.6g)及び過硫酸アンモ
ニウム(0.6g)をガラスジャーに装入し、白色エマルジョンが生成するまで攪拌し
た。エマルジョンを重合装置の滴下濾斗に添加した。
上記乳化原料の一部(10%)を重合フラスコに迅速に添加した。5分後、上記乳
化原料の供給を一定速度で再び開始し、供給は60分間で完了した。上記の供給を
行う間及びその後、更に60分間、重合
フラスコを85℃に加熱し、ついで周囲温度に冷却した。
生成した重合体ラテックスの試料を採取し、GPCにより分析した。クロマトグ
ラムは二頂型(bimodal)であり、Mn 35096、Mw 436748であった。実施例8
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP7を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置と重合方法は実施例7に述べたものと同一であった。使用した成分と
その量は以下に示す通りである:
当初の反応容器
133.3gのLMP7水性ラテックス(中和していないもの)
56.7mlの脱イオン水
10.4mlの0.88アンモニア水溶液
溶解が完了した後、溶液を0.88アンモニア水溶液を滴下することによりpH9.0
に調節した。
乳化原料
76gのスチレン
4gのグリシジルメタクリレート
40gの水
0.4gのラウリル硫酸ナトリウム
0.4gの過硫酸アンモニウム実施例9
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP7を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置と重合方法は実施例7に述べたものと同一であった。使用した成分と
その量は以下に示す通りである:
当初の反応容器
266.6gのLMP7水性ラテックス(中和していないもの)
113gの脱イオン水
20.8mlの0.88アンモニア水溶液
溶解が完了した後、溶液を0.88アンモニア水溶液を滴下することによりpH9.0
に調節した。
乳化原料
44mlのスチレン
44.7mlのn-ブチルアクリレート
40.1mlの水
0.6gのラウリル硫酸ナトリウム
0.6gの過硫酸アンモニウム
生成した重合体ラテックスの試料を採取し、GPCにより分析した。クロマトグ
ラムは二頂型であり、Mn 4195、Mw 119636であった。
この実施例で得られた重合体ラテックスの一部(80g)に下記の成分を配合して
白色水性インキを調製した。
120gの二酸化チタン(Tioxide 社製品、銘柄 TR80)
10gのn-プロピルアルコール
50gの水
上記成分を高剪断カミキサー中で約4000rpmで混合して均質な顔料分散体を得
た。インキのpHは8.1であった。
このインキをコロナ処理ポリエステルフィルム上に被覆し、オーブン中、80℃
で20秒乾燥した。インキ被膜は、水に浸漬した脱脂綿棒で摩擦した場合にはフィ
ルムから除去されないことから、耐水性であることが示された。乾燥インキはイ
ンキ中に浸漬した脱脂綿棒で摩擦した場合にはフィルムから容易に除去されかつ
インキ中に再分散することから、インキの可逆性が示された。実施例10
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP8を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置として攪拌機、コンデンサー、3個の等圧化滴下濾斗及び窒素導入管
を備えた5lバッフル付き丸底フラスコを使用した。反応フラスコは加熱マント
ルにより加熱した。
下記の物質を反応フラスコに添加した。
1400gのLMP8水性ラテックス(中和していないもの)
1180gの脱イオン水
反応フラスコの内容物を、これに少量の窒素流を通送しながら、温度が60℃に
到達するまで、60℃に加熱した。アスコルビン酸の水溶液(180mlの脱イオン水中
、6g)とtBHPOの水溶液(180mlの脱イオン水中、6g)を調製した。アスコルビン
酸水溶液とtBHPO水溶液の各々、40mlを反応フラスコに添加した。630gのMMAと63
0gのBAを6gのAerosol OT溶液(Cyanamidより供給;水/エタノール中75wt/wt%
)と混合し、滴下濾斗の一つに添加した。この単量体混合物を600ml/時の速度で
反応フラスコに添加した。単量体混合物の供給を開始すると同時に、アスコルビ
ン酸水溶液とtBHPO水溶液の各々の残分140mlを別の滴下濾斗から60ml/時の速度
で反応フラスコに供給した。単量体の供給が完了後、温度を30分間、60℃に保持
した。
得られた水性重合体ラテックスを30℃に冷却し、低メッシュ篩で篩分けした。
生成した水性重合体ラテックスの試料を採取し、GPCにより分析した。クロマト
グラムは多頂型(multimodal)であり、Mn 7462、Mw 244905、PDi 32.8であった。
水性ラテックスを噴霧乾燥することにより乾燥重合体粉末を回収した。乾燥重
合体粉末の一部はpH8.5において水溶液に容易に再分散した。実施例11
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体水性ラテックスLMP9を使用して
本発明の水性エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置として攪拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた
1lバッフル付き丸底フラスコを使用した。
攪拌しながら、反応フラスコに周囲温度で下記の物質を添加した。
229gのLMP9水性ラテックス(中和していないもの)
57gの脱イオン水
14.1gの25%アンモニア水溶液
混合物を15分間攪拌して均質な溶液を得た。混合物のpHが9になるまで25%ア
ンモニア水溶液を更に添加した。68.4gの脱酸素脱イオン水、4.73gのAkyponox O
P 250V(71重量%水溶液、非イオン表面活性剤)及び1.15gの過硫酸アンモニウム
を反応フラスコに添加した。反応フラスコの温度を85℃に上昇させた。
114.4gのスチレンと、20.3gの水中の0.628gの過硫酸アンモニウムの溶液をシ
リンジポンプに取付けた別個のシリンジを使用して、一定の速度で2時間に亘っ
て反応フラスコに供給した。供給終了後、反応器内部の温度を6時間、85℃に保
持しついで冷却した。
生成した水性重合体ラテックスの試料を採取し、GPCにより分析した。クロマ
トグラムは二頂型であり、Mn 5825、Mw 204206及びPDi 35.06の値が得られた。
クロマトグラムの高分子量ピークから、高分子量疎水性重合体はMn 90000、Mw 3
10000及びPDi 3.5の値を有することが認められた。実施例12
前記したごとき方法で調製した低分子量重合体LMP10を使用して本発明の水性
エマルジョン重合体系を調製した。
重合装置として攪拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた1lバッフル付
き丸底フラスコを使用した。
60gの低分子量重合体LMP10ビーズを220gの水及び9mlの25%アンモニア水溶液
と混合し、pH9の溶液を得た。水(約11g)を更に添加して、溶液の全量を300gと
した。このLMP10の溶液を下記の成分と一緒に反応フラスコに添加した:
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5g
Akyponox OP 250V(71重量%水溶液) 4.40g
過硫酸アンモニウム 1.06g
水 30g
反応フラスコの温度を85℃に上昇させた。
116mlのスチレンと、20mlの水中の0.58gの過硫酸アンモニウムの溶液をシリン
ジポンプに取付けた別個のシリンジを使用して、一定の速度で2時間に亘って反
応フラスコに供給した。供給終了後、反応器内部の温度を6時間,85℃に保持し
ついで冷却した。
生成した水性重合体ラテックスの試料を採取し、GPCにより分析した。クロマ
トグラムは二頂型であり、Mn 36308、Mw 597563及びPDi 14.46の値が得られた。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C08F 12/08 C08F 12/08
20/04 20/04
22/02 22/02
220/12 MMB 7824−4J 220/12 MMB
265/04 MQM 7537−4J 265/04 MQM
291/00 MPZ 7537−4J 291/00 MPZ
C09D 11/00 PTH 9272−4J C09D 11/00 PTH
PUC 9272−4J PUC
C09K 3/10 9356−4H C09K 3/10 E
//(C08F 220/12
220:04)
(72)発明者 パジエツト,ジヨン クリストフアー
イギリス国 チエシヤー ダブリユエイ6
6アールオー,フロードサム,フイール
ドウエイ 21
(72)発明者 オーベルベーク,ゲラルデユス コルネリ
ス
オランダ国 エヌ―5144 イージイ ワー
ルウイク,グロニンゲンシユトラート 9