【発明の詳細な説明】
ヒトエリスロポイエチン受容体断片及びそれに対する抗体発明の分野
本発明は、精製されたヒトエリスポイエチン受容体の細胞外ドメインポリペプ
チドに関する。より具体的には、本発明は、エリスロポイエチンに対する親和性
を保持しているヒトエリスロポイエチン受容体の細胞外ドメインポリペプチド、
そのようなポリペプチドの製造に使用するのに適したDNA配列、及びそのよう
なポリペプチドを認識する抗体に関する。発明の背景
エリスロポイエチン(Epo)は、哺乳動物の腎臓及び肝臓で産生される分子
量34キロダルトン(kDa)の糖タンパクホルモンである。Epoは血球増生の鍵
となる成分であり、赤血球前駆細胞の増殖及び分化を誘導する。Epo活性はま
た、グロビン及びカルボニックアンヒドラーゼを含む多数の赤芽球系(erythroid
)特異的遺伝子の活性化に関連している。参照:Bondurant et al.,Mol. Cell.B iol.
5: 675-683(1985); Koury et al., J. Cell. Physiol. 126: 259-265(1986
)。エリスロポイエチン受容体(EpoR)は、他の多くの成長因子受容体、例
えばインターロイキン(IL)−3、IL−4及びIL−6受容体、顆粒球マク
ロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)受容体、ならびにプロラクチン及
び成長ホルモン受容体を包含する造血/サイトカイン/成長因子受容体ファミリ
ーの一員である。参照:Bazan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6934-6938(19
90)。サイトカイン受容
体ファミリーのメンバーは、4個の保存されたシステイン残基及び膜貫通領域の
すぐ外側に位置するトリプトファン−セリン−X−トリプトファン−セリンモチ
ーフを有する。その保存された配列は、タンパク質−タンパク質相互作用に関与
するものと考えられている。参照:Chiba et al., Biochem. Biopys. Res. Comm .
184: 485-490(1992)。
最近、EpoR cDNAがマウスの肝臓から単離され〔参照:Tojo et al.,
Biochem. Biopys. Res. Comm. 148: 443-48(1987)〕、ヒト胎児肝臓からも単離
された。参照:Jones et al., Blood 76: 31-35(1990);Winkelmann et al., Bl ood
76:24-30(1990)。ヒトcDNAは、分子量が〜55kDaの、約508個のア
ミノ酸から構成されたポリペプチド鎖をコードする。ヒトEpoRのゲノミック
クローンも単離され、その配列が分析された。参照:Penny and Forget, Genomi cs
11: 974-80(1991); Noguchi et al., Blood 78: 2548-2556(1991)。コーディ
ング配列の分析から、シグナルペプチドは約24個のアミノ酸残基からなり、細
胞外ドメインには約226個のアミノ酸残基が存在し、約23個のアミノ酸が細
胞膜中ドメインに存在し、約235個のアミノ酸が細胞質ドメインに存在するも
のと予測される。参照:D′Andrea and Zon, J. Clin. Invest. 86: 681-687(19
90); Jones et al., Blood 76: 31-35(1990); Penny and Forget, Genomics 11:
974-80(1991)。成熟ヒトEpoRタンパク質は、約484個のアミノ酸からな
っている。ヒトの赤芽球系前駆細胞(erythroid progenitor cells)は、全てE
po受容体を有することが示され
た。赤芽球系前駆細胞が成熟するに従って、Epoの結合は減少し、網状赤血球
上ではEpo受容体が検出されなくなる。参照:Sawada et al., J, Clin. Inve st.
80: 357-366(1987); Sawada et al., J. Cell. Physiol. 137: 337(1988)。
Epoは、赤芽球系前駆細胞の細胞生存力(viability)を維持させ、それらが細
胞分裂及び分化を行うことを可能にする。Epoに反応性である赤芽球系前駆細
胞の2種類の主要なものは、バースト形成ユニット−赤芽球系細胞(burst-formi
ng units-erythroid; BFU−E)及びコロニー形成ユニット−赤芽球系細胞(c
olony-forming units-erythroid; CFU−E)である。そのEpo受容体数は
、正常BFU−E及びCFU−EにおけるEpoに対する応答と非常によく相関
している。Epo受容体数は、ヒト及びマウス細胞においてCFU−E段階で最
大値に達した後、減少するように見える。参照:Sawada et al., J. Clin. Inve st.
80: 357-366(1987); Landschulz et al., Blood 73: 1476-1486(1989)。E
poが除去された後のEpo受容体の回復は、タンパク質合成に依存するように
見えるが、これは、分解によるEpo受容体のダウンレギュレーションと、続い
てEpoが除去されると受容体が新たに合成され増加することによる受容体のア
ップレギュレーションとを示唆する。参照:Sawyer and Hankins, Blood 72: 13
2(1988)。巨核球及び赤芽球系前駆細胞のEpo受容体の研究によると、血小板
新生作用(thrombopoiesis)と血球増生の調節の間には関連があり、両方の細胞タ
イプによる細胞分裂の刺激がEpo受容体数によって制御されている。Berridge
et al., Blood 72: 970-977(1988)。Epo受容体はク
ローニングされたが、Epo受容体に対するEpoの結合に関与する正確なメカ
ニズム及びその後の血球増生プロセスとの関係は、知られていない。
Epo受容体(EpoR)の特徴づけは、天然の原料から得ることのできるE
poRの量が極めて少量であるので、困難である。したがって、血球増生を刺激
するEpoとその受容体との相互作用のメカニズムは、今でも未知の状態である
。参照:D′Andrea and Zon, J. Clin. Invest. 86: 681-687(1990)。最近、こ
のメカニズムは、白血病生成(leukemogenesis)における成長因子とその受容体
の役割を理解するのに非常に興味深いものとなっており、変化した造血成長因子
とその受容体が、腫瘍生成及び白血病生成に関与する可能性がある。参照:Dunb
ar et al., Science 245:1493-1496(1989); Li et al., J. Virol. 57: 534-538
(1986)。
特定の細胞タイプのEpo応答性と細胞タイプのEpo親和性との間の相関に
関するいくつかの研究から、一致しない結果が報告されている。これらの研究に
は、相当するプラスミドベクターから由来するいくつかの非ネイティブアミノ酸
配列を有する組換えEpo又はEpoRが使用された。参照:Berridge et al.,
Blood 72: 970-977(1988); Harris et al., J. Biol. Chem. 267: 15205-09(19
92)。これらの組換えEpo又はEpoR分子の三次構造的変化及び/又は他の
特徴が、ネイティブ(未変性)タンパク質の特性を変化させた可能性がある。し
たがって、外来の(例えば、ベクターの)アミノ酸配列を含まない、実質的に純
粋なEpo受容体の断片を得ることは、重要な進歩となる。このような断片が
機能的活性を保有しているかどうかを予測することはできないが、それにもかか
わらず、EpoはEpo受容体の細胞外ドメインに結合するので、精製された細
胞外ドメイン断片は特に有用であるだろう。発明の要約
カルボキシ末端付近にトロンビンのタンパク分解的切断部位を有するポリペプ
チドを発現させることのできる第一のヌクレオチド配列と、基本的に全長ヒトエ
リスロポイエチン受容体cDNAのコーディング配列のヌクレオチド73乃至7
50(配列番号4に挙げられている)からなる第二のヌクレオチド配列とを含む
発現ベクターが開示されている。Epo受容体cDNAのコーディング配列断片
は、タンパク分解的切断部位の3′側(下流側)に位置しており、タンパク分解
的切断部位と同じ翻訳リーディングフレーム内にある。Epo受容体cDNAの
コーディング配列断片は、第一のポリヌクレオチド配列と翻訳において隣接する
ように方向づけされている。
基本的に発現ベクターによって生成されたポリペプチドからなり、トロンビン
のタンパク分解的切断部位を有する第一のセグメントと、基本的に全長ヒトエリ
スロポイエチン受容体タンパク質の約第25アミノ酸乃至約第250アミノ酸(
配列番号4に挙げられている)からなる第二のセグメントとを含む精製された融
合タンパク質が開示されている。第二のセグメントは、第一のセグメントのカル
ボキシ末端に共有結合によりカップリングされている。基本的に全長ヒトエリス
ロポイエチン受容体タンパク質配列の約第25ア
ミノ酸乃至約第250アミノ酸からなる精製されたタンパク質は、融合タンパク
質をトロンビンで切断することによって生成することができる。
精製されたヒトエリスロポイエチン受容体ポリペプチドの細胞外ドメインに対
する親和性を有する抗体が開示されている。この抗体は、全長ヒトエリスロポイ
エチン受容体タンパク質配列の約第25アミノ酸乃至約第250アミノ酸を含む
ポリペプチドに対し親和性を示す。
固相試薬及び固相試薬に作動的にカップリングされている抗体を含有するイム
ノアッセイ組成物が開示されている。また、固相試薬及び固相試薬に作動的にカ
ップリングされている精製されたタンパク質を含むイムノアッセイ組成物も開示
されている。
基本的に全長ヒトエリスロポイエチン受容体タンパク質の約第25アミノ酸乃
至約第250アミノ酸からなる実質的に純粋なヒトエリスロポイエチン受容体ポ
リペプチドを得る方法が開示されている。実質的に純粋なヒトエリスロポイエチ
ン受容体ポリペプチドは、エリスロポイエチンに特異的に結合できる能力を保持
している。上記方法は、ポリペプチドの切断を可能にする条件下で融合タンパク
質をトロンビンで処理することによって分解混合物を形成し;分解混合物を、ポ
リペプチドと固相試薬とのカップリングを可能にする条件下でエリスロポイエチ
ンとカップリングされている固相試薬に加えて、ポリペプチド−固相組成物を形
成し;ポリペプチド−固相組成物を洗浄して、結合していない物質を除去し;実
質的に純粋なヒトエリスロポイエチン受容体ポリペプチドを、ポリペプ
チド−固相組成物より溶出させる工程、を包含する。図面の簡単な説明
図1は、発現ベクターpGEX−2T内に挿入されたヒトエリスロポイエチン
受容体cDNAの5′コーディング配列の約678bpを含有するプラスミドpJ
YL26を図式的に示したものである。図1は、pJYL26から発現される組
換え融合タンパク質EpoRex−thをも示す。
図2aは、EpoRex−thを発現する大腸菌(E.coli)細胞抽出液をグル
タチオン親和性カラム上で精製して回収した画分の280nmでの吸光度(A280)
を示す。図2bは、トロンビンで処理されたEpoRex−thをエリスロポイ
エチン親和性クロマトグラフィーに適用した結果、回収されたEpo−bpを含
有する画分のA280 を示す。
図3は、トロンビンによるEpoRex−thの切断を示す、クマシーブルー
で染色されたポリアクリルアミドゲルの写真である。
図4は、Epo−bpに対するヒツジ抗Epo−bp抗体の結合を示す、ウェ
スタンブロットである。
図5は、標識されていないEpoの存在下及び不在下での、Epo−bpに対
する多様な濃度のヒト 125I−Epoの結合を示す。
図6は、トリプシンでEpo−bpを切断した後に観察されるポリペプチドの
バンドを示す、クマシーブルーで染色されたポリアクリルアミドゲルの写真であ
る。発明の詳細な説明
組換えヒトEpo及び全長ヒトEpo受容体cDNAクローンを使用すること
ができるにもかかわらず、EpoとEpo受容体との間の相互作用、又は赤芽球
系前駆細胞の増殖及び分化に関与する信号伝達メカニズムについては、ほとんど
知られていない。
プラスミド発現ベクターは、そのベクター内に挿入されたクローニングされた
コーディング配列からタンパク質を発現させることができるようにする。一般的
に、発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの選択及び維持のための選択可
能なマーカー及び複製起点、ならびに挿入された遺伝子に融合させるのに適した
、ポリペプチドの高レベル発現の誘導のための誘導可能な調節要素を包含する。
ベクターのタンパク分解的切断部位配列の下流に、好都合な制限部位を設計して
工作するのが好ましい。Epoコーディング配列断片に融合させるのに好ましい
ポリペプチドは、カルボキシ末端にトロンビンのタンパク分解的切断部位を有す
るグルタチオンSトランスフェラーゼである。
本明細書に開示された本発明のための発現ベクターは、EpoRの細胞外ドメ
インを融合タンパク質の一部として発現させ、この融合タンパク質は、その後に
切断することによって精製されたEpoRの細胞外ドメインを製造することがで
きる。EpoRの細胞外ドメインをコードする配列は、この配列を適切なリーデ
ィングフレームで発現ベクターに挿入するのに適したいずれの方法を利用して工
作してもよい。例えば、第一のプライマーは細胞外ドメインの5′末端のコーデ
ィング配列に対応し、第二のプライマーは細胞
外ドメインの3′末端のコーディング配列に相補的であるように、一対のポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーを合成することができる。プライマーは、
目的とする標的配列の末端に対応するプライマーの部分に続いて好都合な制限酵
素部位を有するようにするのが好ましい。プライマーは、全長ヒトEpoR c
DNA鋳型(template)からEpoRの細胞外ドメインを増幅させるのに使用さ
れる。生成されたPCR産物を、その後発現ベクターにクローニングする。各末
端に同一の制限部位を有するよりは、異なる制限部位を有するようにPCRプラ
イマーを合成するのが好ましい。PCR産物の各末端に異なる制限部位が存在す
ると、ヒトEpoRのコーディング配列断片をセンス(sense)方向に挿入させる
ことが容易になる。
ヒトエリスロポイエチン受容体の細胞外ドメインを一部分として含有する融合
タンパク質の高レベル発現は、宿主細胞の培養物中で組換えプラスミド発現ベク
ターからの発現を誘導することによってなされる。以下では、融合タンパク質は
EpoRex−thと呼び、精製されたヒトエリスロポイエチン受容体の細胞外
ドメインはEpo−bpと呼ぶ。細胞タンパク質抽出物は、発現している大腸菌
培養物から適当ないずれかの方法で調製するのが好ましい。EpoRex−th
は、上記抽出物から望むとおりに精製してもよい。例えば、抽出物を、融合タン
パク質のEpo−bpコーディング配列の上流の部分と結合することのできるカ
ラムに通過させてもよい。融合タンパク質はカラムに結合するが、一方、抽出物
中の他のタンパク質は、カラムマトリックスへの融合タンパク質
の結合を可能にする緩衝液でカラムを洗浄する際に溶出される。EpoRex−
thは、その後に緩衝液条件を変化させることによって高純度で溶出させること
ができる。
Epo−bpの精製は、精製されたEpoRex−thを適当な切断方法で切
断することによって精製することができる。例えば、上流ポリペプチド及びEp
o−bp間の切断部位は、臭化シアンに感受性であってもよく、あるいは、部位
特異的プロテアーゼ切断に感受性であってもよい。好ましい態様において、トロ
ンビンのタンパク分解的切断部位は、上流ポリペプチドの内部であるが、上流ポ
リペプチドコーディング配列のカルボキシ末端に位置する好都合な制限クローニ
ング部位の5′側に位置するように設計する。
切断されたEpo−bpポリペプチドセグメントは、サイズ排除クロマトグラ
フィー、等電点電気泳動又は親和性クロマトグラフィーのような精製技術により
、上流ポリペプチドセグメントから分離してもよい。更に、望ましい場合には、
必要によって2種類以上の精製技術を使用して適切な程度の純度を得てもよい。
好ましい精製技術は、親和性クロマトグラフィーである。例えば、プロテアーゼ
で処理した融合タンパク質混合物を、Epoとカップリングされたアガロースビ
ーズで充填されたカラムに適用してもよい。切断されたEpo−bpセグメント
はEpo−アガロースに結合するが、一方、上流ポリペプチドセグメントはカラ
ムを通過する。Epo−bpは、その後に液相のpHを低くすることによって溶
出させることができる。
本発明の一態様において、ヒトEpoR(hEpoR)のアミ
ノ酸第25乃至第250をコードする配列は、pGEX−2T(Pharmacia,Mec
hanicsburg,PA)にクローニングする。pGEX−2Tは、グルタチオンSトラ
ンスフェラーゼ(GST)をコードする配列と作動的に連結されたIPTG誘導
性プロモーターを有する。GSTコーディング配列の3′末端には、正しいリー
ディングフレームでトロンビンのタンパク分解的切断部位、ならびにGSTに共
有結合によりカップリングされるようにコーディング配列を挿入することのでき
る好都合なクローニング部位がある。
hEpoRの第25乃至第250アミノ酸を含有するPCR産物は、好適なD
NA鋳型、例えば全長ヒトEpoR cDNAから製造する。細胞外ドメインコ
ーディング配列の5′末端及びBamHI部位を含有するPCRプライマーを合
成し、細胞外ドメインコーディング配列の3′末端に相補的な配列及びEcoR
I部位を含有するPCRプライマーを合成する。pGEX−2T内でBamHI
部位は、GSTコーディング配列に関してEcoRI部位の5′側に位置するよ
うにする。PCR産物をpGEX−2Tにクローニングし、予測される大きさの
プラスミドを有する形質転換された大腸菌コロニーを同定する。
アミノ末端のGSTセグメント及びカルボキシ末端のEpoR細胞外ドメイン
セグメントを有する融合タンパク質は、IPTGで転写を誘導することによって
形質転換された大腸菌で発現させる。IPTGは、融合タンパク質コーディング
配列の上流に位置するlacプロモーターに対する抑制を解除する。ある量の融
合タンパ
ク質が蓄積されるのに十分な時間発現させた後、細胞を溶解し、好適ないずれか
の方法で粗抽出物を得る。粗抽出物混合物は、融合タンパク質を、他の多くの細
胞タンパク質と共に含有する。融合タンパク質EpoRex−thは、望ましい
場合にはこの抽出物から精製してもよい。
好ましい態様においては、EpoRex−thを、グルタチオン(GSH)に
カップリングされたアガロースビーズで充填されたカラムを通過させる。GSH
はGSTの基質であり、EpoRex−thのGSTセグメントは高い親和力で
固定化されたGSHに結合する。したがって、融合タンパク質はカラムに結合す
るが、一方、抽出物中の事実上全ての他のタンパク質は結合しない。洗浄後、還
元されたGSHを液相に添加することによって、EpoRex−thをカラムか
ら溶出することができる。
本発明の一態様において、精製されたヒトエリスロポイエチン受容体の細胞外
ドメインポリペプチドは、EpoRex−thをトロンビンで消化することによ
って製造してもよい。その結果生成されたGST及びEpo−bpの消化混合物
を、次にEpo親和性カラムに適用してもよい。Epo−bpはそのリガンドで
あるEpoに結合するが、一方、GSTはカラムを通過する。Epo−bpは、
適切な溶出緩衝液、例えば0.1Mグリシン(pH3.0)を使用することによっ
て精製された形態で溶出することができる。
ヒトエリスロポイエチン受容体の細胞外ドメインに対する抗体は、そのような
ポリペプチドの精製された調製物を動物の免疫系に提示する(presentation)こ
とによって製造することができる。例
えば、精製されたEpo−bpを、ラット、マウス、ウサギ又はヒツジのような
動物に、皮下注射、筋内注射、又は腹腔内注射で注入してもよい。追加免疫注射
は、望ましい場合、間隔をおいて行うことができる。Epo−bpに対する循環
抗体は、抗原を注入された動物の免疫系によって生成され、これらの抗体は、血
液、好ましくは血清から回収することができる。抗Epo−bp血清は、ウェス
タンブロット、ELISAアッセイ等の多様なアッセイフォーマットでEpo−
bpを検出するのに利用することができる。例えば、検出すべきEpo−bpは
、精製されたEpo−bp調製物、細菌又は真核細胞抽出物、インビトロ細胞培
養物からの真核細胞、血清試料又は個体から採取した生体組織や細胞中のもので
あってよい。抗Epo−bp抗体は、Epo−bp同様に、完全な(インタクト
な)ヒトEpoRの細胞外ドメインを認識するものと予測される。Epo−bp
に対するモノクローナル抗体は、当業界において公知の方法で製造することがで
きる。参照:D′Andrea et al., Blood 75: 874-80(1990); Goldwasser et al.,
米国特許第 4,558,005号;Harlow and Lane, Antibodies-Lab Manual, Cold Spr
ing Harbor Laboratory, 1988。
Epo−bpに対する抗体は、好ましくはEpoRの細胞外ドメインに対して
特異的な結合親和性を有する。例えば、精製されたEpo−bpを注射した動物
の血清は、精製されたEpo−bp 10μgをポリアクリルアミドゲルにおい
て電気泳動し、1:2,000の希釈倍率の抗Epo−bp血清に露出させた場
合、ウェスタンブロットにおいて検出可能なEpo−bpに対する
結合力を示すべきである。
本明細書に開示されたEpoRの精製された細胞外ドメインは、そのような純
粋なヒトEpo受容体断片(すなわち、非ヒト又は非Epo受容体アミノ酸配列
を含有していない)として得られる最初のものである。本明細書に開示された実
験は、この断片がヒトEpoに特異的に結合する能力を保持していることを明ら
かにしている。本明細書に開示されたタンパク質及び抗体は、EpoとEpo受
容体との間の相互作用を理解するのに有用である。本発明の精製されたEpo−
bpは、更に、Epo受容体の構造を研究し、赤芽球系前駆細胞の分化及び増殖
メカニズムの調節に関与する因子を同定するのにも有用である。更に、本明細書
に開示された本発明は、Epo及びEpo受容体を同定し定量すること、ならび
に、造血系の悪性度及びある種の心臓血管系障害を理解することにも有用である
。すなわち、ヘマトクリット及び/又はヘモグロビンレベルの増減が、血圧に影
響を与え、他の循環系の問題を引き起こす可能性がある。
本発明は、下記の説明的な態様を参照することによって更に理解できるが、こ
れらは単純に例示的なものであり、特許請求の範囲の記載のとおりの本発明の真
の範囲を限定するものとしてとらえるべきではない。例1 材料
グルタチオン(GSH)−アガロース、pGEX−2T発現ベクター及びセフ
ァデックス(Sephadex)G−50は、ファルマシア
(Pharmacia; Mechanicsburg, PA)から購入した。PCR試薬は、パーキン−エ
ルマー・シータス(Perkin Elmer Cetus; Norwalk, CT)から購入し、アフィゲル(
Affigel)15は、バイオラッド(BioRad; Richmond,CA)から購入した。バクテ
リオファージT4DNAリガーゼ、制限酵素及びイソプロピルチオ−β−D−ガ
ラクトシド(IPTG)は、BRLギブコ(BRL Gibco; Gaithersburg, MD)から
購入した。Geneclean IIは、Bio 101(La Jolla, CA)から購入した。ニトロセル
ロースは、Schleicher & Schuell Co.(Keene, NH)から購入した。化学蛍光(Chem
luminescence: ECL)試薬及び 125I−Epoは、アマシャム(Amersham; Arlingt
on Heights, IL)から購入し、標識されていないEpoは、Chugai-Upjohn(Rosem
ont, IL)から贈与を受けた。フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ジ
イソプロピルフルオロホスフェート(DFP)、トロンビン、トリプシン及びト
リトンX−100は、シグマケミカル社(Sigma Chemical Company; St. Louis,
MO)から購入した。ビオチン化ウサギ抗ヒツジ抗体及びアビジン−ホースラディ
ッシュペルオキシダーゼは、ピアス社(Pierce Co.; Rockford, IL)から購入し
た。全長ヒトエリスロポイエチン受容体(EpoR)cDNA調製物であるLA
P37は、エール(Yale)大学(New Haven, CT)の Bernard G. Forget博士から
提供を受けた。その他の全ての試薬は試薬等級のものを使用した。例2 EpoR cDNA組換えベクターの構築
組換えプラスミド発現ベクターpJYL26を、ヒトEpo受容
体の細胞外ドメインコーディング配列を含有するPCR産物及びプラスミドベク
ターpGEX−2Tから構築した。このプラスミドの構築を下記に説明する。
PCR増幅は、全長ヒトEpoR cDNAであるLAP37を鋳型として使
用して行った。5′−センスプライマーとしては、5′−TTGGATCCGC
GCCCCCGCCTAAC−3′を使用した。このプライマーは、5′末端に
BamHIリンカー配列を有しており、その後に全長ヒトEpoRタンパク質の
アミノ酸第25乃至第29をコードする配列が存在する。3′−アンチセンスプ
ライマーとしては、5′−TGAATTCGGGGTCCAGGTCGCT−3
′を使用した。このプライマーは、EcoRIリンカーを有しており、その後に
全長EpoRのアミノ酸第226乃至第222をコードする配列に相補的な配列
が存在する。パーキンエルマー−シータスPCRキットを使用し、LAP37
cDNA 0.1μg、各プライマー 20pM、dNTP混合物(dGTP、d
CTP、dTTP及びdATP)1.25mM、Taqポリメラーゼ 0.5μl
及びPCRキットに供給された10×緩衝液を用いてPCRを行った。プログラ
ミングが可能なPTC−100サーマルコントローラー(M.J. Research, Inc. W
atertown, MA)を使用して、94℃で1分間変性させ、55℃で1分間アニーリ
ングさせた後、72℃で1.5分間伸長させるサイクルを25回反復して増幅さ
せた。
PCR産物(〜600bp)及びpGEX−2T(〜4.9kb)の大きさを、1
% Seakem及び2% Nusieveアガロース(FMC
Bioproducts, Rockland, ME)のゲル上で、1×TA緩衝液(50×TAは、1L
中にトリス塩基242g及び酢酸57.1mlを含有する)中でHaeIIスタンダ
ードを用いて移動させ、確認した。PCR産物及びpGEX−2Tの両方を、製
造者の指示(Bio101, La Jolla, CA)のとおりにGeneclean II方法によってゲルス
ライスから精製した。PCR産物及びpGEX−2Tの濃度を、OD260での
吸光度により概算した。その後、両DNAを、連結する前に37℃で4時間Ba
mHI及びEcoRIで消化した。消化産物を、1% Seakem及び2% Nusieve
アガロースゲル上で分析した。PCR産物及びpGEX−2T断片の両方をゲル
から切り出し、Geneclean II方法によって再び精製した。
連結は、PCR産物及びpGEX−2Tをそれぞれ1μg/μl で含有する混合
物で行った。混合物を、45℃で5分間インキュベートし、0℃に冷却させた。
その後、10×バクテリオファージT4DNA緩衝液 1μl、10×バクテリ
オファージDNAリガーゼ 1μl、10mMATPを加えて総量を10μlとし
た。次に、混合物全体を16℃の循環水槽内で一晩インキュベートした。生成さ
れた連結物は、サイズスタンダード、pGEX−2T、PCR産物、及び連結産
物(PCR産物+pGEX−2T)を含むレーンを用いて、1%アガロースゲル
上、1×TA緩衝液中を100ボルトで移動させる電気泳動によって確認した。
連結産物は、〜5.5kbであることが確認された。その後、連結混合物のアリコ
ートを用いて大腸菌JM109株を形質転換させた(連結混合物20μg/JM1
09 200μl)。形質転換のためには、大腸菌混合物を静かに
反転させて混合した後、氷浴中で30分間インキュベートし、42℃で正確に9
0秒間インキュベートした。その後、混合物を氷浴中で1乃至2分間冷却させ、
LB培地(1L中に、バクトトリプトン 10g、バクトイースト 5g、Na
Cl 10g含有、pH7.5、オートクレーブしたもの)500μlを添加した
。37℃で45分間インキュベートした後、LB混合物を、LB/Amp寒天ペ
トリプレート上に、50、75、125、150及び300mlの量で展開した。
寒天ペトリプレートは、1LのLB培地当たり15gの寒天(オートクレーブし
たもの)及び100μg/Lのアンピシリンを含有する、20乃至30mlのLB/
Amp培地で製造した。対照LB/Ampプレートは、完全な(インタクトな)
pGEX−2T、消化されたpGEX−2T及びPCR産物のみで作成した。プ
レートは、ベンチ上で数時間おいて液体を吸収させた後、逆にして37℃で24
時間培養した。成長したコロニーを、格子を付したプレートに植え、これを再び
37℃で24時間培養する一方、全てのコロニーの別のセットをLB/Amp培
地各5ml中で一晩生育させた。
各コロニーからミニプレップ(miniprep)法でDNAを抽出した。各コロニー
をLB/Amp培地(50μg/ml Amp貯蔵液の2μl/ml)5mlと共に緩く栓
をした15mlプラスチック試験管に入れ、激しく振とうしながら37℃インキュ
ベーター中で一晩培養した。次の日、各培養物の1.5mlを、4℃、14,00
0×gで3分間マイクロ遠心分離してペレットにし、STET 93μl及びリ
ゾチーム貯蔵液17μl(STET:5%スクロース+5%ト
リトンX−100+50mMトリス、pH8.0+50mMEDTA、pH8.0、4℃
保存;リゾチーム貯蔵液:5mg/ml、冷凍庫に保存)中に再懸濁させた。その後
、再懸濁された混合物を室温で10分間インキュベートし、2分間沸騰させた後
、4℃、14,000×gで15分間マイクロ遠心分離した。ペレットを滅菌し
た楊枝で除去し、RNAse(100mg/ml)2μlを上清に加え、37℃で30
分間インキュベートした。インキュベーション後、氷冷イソプロパノール110
μlを加えて、混合物を4回反転させた後、4℃、14,000×gで15分間
ペレットにした。次いで、ペレット(DNA)を〜1mlの70%エタノールで洗
浄し、残存するSTET及びその他の不純物を除去し、ペレットを再び4℃、1
4,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを1乃至2時間空気中で乾燥
させた後、滅菌したdH2O 25μl中に再懸濁させた。
抽出されたDNAを、TA緩衝液中の0.8%アガロースゲル上で、色素フロ
ント線がゲルの長さの4/5程移動するまで100ボルトで泳動し、確認した。
ゲルを、室温で15分間、静かに振とうしながらエチジウムブロマイド(0.5
μg/ml)で染色し、dH2Oで15分間脱色した。DNAバンドは、UV光下で
調べた。予測された大きさのDNAを有する培養物を、EcoRI及び/又はE
coRI+BamHIで消化した後、TA緩衝液中の1%アガロースゲルで調べ
た。EcoRI及びBamHI消化は、試料混合物を、DNA2μg当たりEc
oRI又はBamHI 1μgの比率で制限酵素と混合し、試料容量10μl当
たり
制限酵素キットに包含されている10×反応緩衝液1μlを用いて、37℃の水
槽で2時間インキュベートすることによって行った。EcoRI及びEcoRI
+BamHIで消化したDNAサイズを1%アガロースゲルで調べた後、約〜5
.5kbの大きさのプラスミドを有する1つのコロニーを選択した。このコロニー
内のプラスミドを、pJYL26と命名した。pJYL26のダイヤグラムを、
図1の上段に示す。例3 EpoRex−th融合タンパク質の精製
本実施例は、2つのセグメントを有する融合タンパク質の製造及び精製を教示
している。第一のセグメントは、カルボキシ末端にトロンビン切断部位を有する
ポリペプチドGSTである。第二のセグメントは、このトロンビン切断部位で第
一のセグメントに融合されている、ヒトEpo受容体の細胞外ドメインである。
GST及びEpo−bpを含有する融合タンパク質EpoRex−thは、GS
H−アガロース親和性クロマトグラフィーによって精製する。
組換えベクターpJYL26を含む形質転換された大腸菌を、アンピシリン1
00μg/mlを含有するLB培地400ml中で激しく振とうしながら37℃で一晩
生育させた。次の日、培養物を新しいLB/Amp培地4Lで希釈し、更に90
分間培養した後、イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を1mM
となるように添加した。IPTGで誘導した4時間後に、細胞を、4℃、3,0
00×gで15分間遠心分離してペレットにし、50mMリン
酸ナトリウム、pH7.4、10mM β−メルカプトエタノール(βME)、10
mM EDTA、pH8.0、1mM PMSF及び1mM DFPを含む溶解緩衝液
160ml中に再懸濁させた。次いで、固体リゾチーム160mgを添加した。60
cc注射器を使用して、溶解された細胞懸濁液を、18、21及び23ゲージの針
を3度通過させてホモジナイズし、氷上で30分間インキュベートした。ドライ
アイス/メタノール凍結及び37℃での解凍過程を3回反復し、弱く超音波処理
した後、トリトンX−100を1%となるように添加した。上清を、4℃、15
×kgで15分間遠心分離して回収した。
GSH−アガロースカラムは、膨潤させたGSH−アガロースビーズを10倍
のベッド容量のリン酸緩衝食塩水(PBS:16mM Na2HPO4、4mM Na
H2PO4、pH7.4、3M NaClの塩過剰)で3回洗浄して、保存剤及び溶
出性デキストランをアガロースゲルから除去することによって調製した。その後
、カラムを5倍のベッド容量の等張PBSで平衡化した。IPTGで誘導された
抽出物をカラムに適用し、カラムを5倍のベッド容量のPBSで2回洗浄して、
GSH−アガロースに親和性を持っていない全てのタンパク質を溶出させた。そ
の後、50mM トリス−HCl、pH8.0中に5mM 還元型GSHを含有する5
倍のベッド容量の溶出緩衝液を加えることにより、EpoRex−thを溶出さ
せた。1.0mlの画分を回収し、各画分のA280 を測定した。A280 データを図
2aに示す。後に、画分18乃至23がEpoRex−thタンパク質を含有す
ることが示された。
これらの画分を合わせた。4L の細胞培養物から、平均2mgのEpoRex−t
hが抽出された。例4 Epo−bpの精製
図1の下段に図式化したように、EpoRex−thは、トロンビン特異的タ
ンパク分解的切断部位を含有している。トロンビンは、図1に示すように、配列
−CTG GTT CCG CGT GGA TCC−にコードされるアミノ酸
配列Leu Val Pro Arg Gly Serで特異的に切断する。参
照:Smith and Johnson, Gene 67: 31-40(1988)。EpoRex−thをトロン
ビンと共にインキュベートしてEpo−bpセグメントからGSTセグメントを
切断し、下記のようにEpo−アガロース親和性を利用して2つのセグメントを
精製した。
最も効果的なトロンビン切断を見出すため、様々の濃度のトロンビンを試した
。精製したEpoRex−thを、室温又は37℃で、PBS緩衝液(pH7.4
)中で1時間、EpoRex−th60μg当たり0.0125、0.125、
0.6又は2.4μgのトロンビンを用いてインキュベートした。その結果を、
ポリアクリルアミドゲル(12.5%)電気泳動で分析した。クマシーブルーで
染色した後、融合タンパク質EpoRex−th(55kDa)、Epo−bp(29
kDa)及びGST(26kDa)に相当するバンドが見られた。EpoRex−thの
完全消化のために、0.6μgの濃度を選択した。結果を図3に示す。
トロンビンで切断するため、EpoRex−th 60μgを、
トロンビン0.6μgと共に室温で1時間インキュベートした。混合物を、トリ
ス緩衝生理食塩水(TBS)又はPBS中のエリスロポイエチン−アガロースカ
ラムに適用した。Epo−bpを0.1Mグリシン緩衝液(pH3.0)で溶出さ
せた。0.5mlの画分を、予め2Mトリス−HCl(pH7.5)0.5mlを含有
している試験管に回収した。Epo−bpピークの画分14乃至19を合わせた
後、以後の実験のため、TBS又はPBS中で4℃で一晩透析した。4L の細胞
培養調製物から出発して、およそ200μgのEpo−bpが抽出された。
Epo−アガロースビーズを使用してEpo−アガロースカラムを準備した。
Epo−アガロースビーズは、0.1M 3−(N−モルフォリノ)−プロパンス
ルホン酸(MOPS)中でEpo(0.5mg/ml)を4℃で一晩透析することによ
って調製した。Epoは、透析したEpo溶液1ml及び洗浄したアフィゲル(Aff
igel)15 2mlを混合し、回転振盪器上で室温で2時間インキュベートするこ
とによって、アフィゲル15ビーズに結合させた。上清を、2,000×gで3
0秒間マイクロ遠心分離した後に除去した。充填されたEpo−アガロースビー
ズは、4℃でTBS又はPBSで3回洗浄し、使用するまで保存した。目的とす
るタンパク質画分を回収した後、Epo−アガロースビーズは、TBS又はPB
Sで十分に洗浄し、再使用するまで4℃に保存することができる。例5 Epo−bpに対する抗体の製造
本実施例は、精製されたEpo−bpに対する抗体の製造を教示している。精
製されたEpo−bpを、12.5%SDS−PAGEゲルで電気泳動し、Ep
o−bpタンパク質バンドをPBS中で再懸濁させ、ヒツジに注射した。抗Ep
o−bp抗体を含有するヒツジ血清は、その血清を1:2,000で希釈した場
合、精製されたヒトEpo−bpを検出することが示された。
上記のとおり精製されたEpo−bp(0.5mg)を、2×処理(レムリ:Lae
mmli)緩衝液と混合し、10分間沸騰させた。混合物を12.5%SDSゲルに
適用し、200ボルトで3乃至4時間電気泳動した。ゲルを0.125%クマシ
ーブルーで一晩染色し、dH2Oで1乃至2時間脱色した後、カミソリでゲルか
らEpo−bpバンドを切り出した。
Epo−bpゲルスライスをPBS緩衝液10乃至15ml中に再懸濁させ、ゲ
ルが小片に粉砕されてPBSとの懸濁混合物を形成するまで、反復して注射器を
通過させた。この懸濁液を成体のヒツジに皮下注射した。Epo−bpは、動物
体重25kg当たりEpo−bp 0.5mg以上の比率で注射した。初回の注射後
3週毎に1回ずつ、初回注射と同じ用量で2回の追加免疫注射を行った。2回目
の追加免疫注射後、血液を採取して抗体を回収することができる。動物による抗
体の産生を維持するために、毎月注射することができる。注射部位は動物の各部
位を巡回させる。参照:Sambrook et al., Molecular Cloning, 2nd Ed., Cold
Spring Harbor Laboratory Press, Chapter 18, 1989。
注射した動物から採血するため、採血部位の毛を70%アルコー
ルで消毒した。耳動脈又は他の接近可能な動脈を探して毛を剃った。少量のキシ
レンを、耳の端の、採血部位でない所に塗布した。血液を翼状針(バタフライ)
で徐々に抜いて、ヘパリンを入れていないガラス試験管に受けた。血液を室温で
1時間インキュベートして凝固させ、パスツールピペットで試験管壁から血餅を
はずして、試験管を4℃で一晩インキュベートした。凝固した血液混合物を、デ
ィッシュに注いで、血餅を除去した。凝固していない残りの部分を、ガラス試験
管に戻し、300rpmで10分間遠心分離した。Epo−bpの精製について上
述したのと同じ手順を用いて、上清(血清)を、Epo−bp親和性カラムに適
用し、カラムに結合した抗体を、0.1Mグリシン緩衝液(pH3.0)で溶出さ
せた。溶出液を、PBS中で4℃で一晩透析し、500μlずつのアリコートに
分けて−70℃で保存した。Epo−bp親和性カラムは、下記の例6に記載さ
れているEpo−bpアフィゲルビーズと同じ方法で、Epo−bp及びアフィ
ゲル15アガロースビーズから調製した。
この例で使用した溶液は、次のように調製する:
溶解緩衝液II:50mM NaPO4(0.5M 二塩基性PO47.74ml+0.
5M一塩基性PO4 2.26ml)+10mMβ−メルカプトエタノール+10mM
EDTA、pH8。
PBS緩衝液:0.15M NaCl+16mM二塩基性PO4+6mM一塩基性P
O4、pH7.4。
TBS緩衝液:1Lにつき、2Mトリス−HCl、pH7.4、12.5ml+5M
NaCl 27.5ml。
2×処理(レムリ)緩衝液:0.125Mトリス−HCl、pH6.8+4%S
DS+20%グリセロール+10%β−メルカプトエタノール。
ヒツジ抗Epo−bp血清を、Sambrook et al., Molecular Cloning, 2nd Ed
., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989に記載されているウェスタンブ
ロッティング法及びECL製造者(Amersham Co., Arlington Heights, IL)によ
って提供されているウェスタンブロッティングプロトコールによって、精製され
たEpo−bpに対する結合について分析した。トロンビンで切断した後、Ep
oRex−thとEpo−bpとをSDS−PAGEゲル上で電気泳動により分
離した。その後、ゲルをニトロセルロース(Schleicher and Schuell Co., Keene
, NH)上にブロッティングした。ブロット液(Blotto:1L中に脱脂粉乳80g、
5M NaCl 30m、2Mトリス−HCl、pH7.5 10ml及び0.05%T
ween−20)中のニトロセルロースに、ヒツジ抗Epo−bp血清を1:2
,000の希釈倍率で加え、静かに撹拌しながら室温で1時間インキュベートし
た。一次抗体を洗浄した後、第二の試薬であるビオチン化されたウサギ抗免疫グ
ロブリン抗ヒツジ抗体(1:10,000希釈)をブロット液中のニトロセルロ
ースに加え、更に1時間室温で振とうしながらインキュベートした。ホースラデ
ィッシュペルオキシダーゼーアビジン(1:10,000希釈)を加え、混合物
を室温で45分インキュベートした。洗浄したニトロセルロースを、素早く化学
蛍光(ECL)試薬に浸した後、濡れた状態のブロットを直ちにKODAK X線フィ
ルムに露出させた。
図4は、各レーンに下記のタンパク質が適用されたウェスタンブロットの写真を
示す:レーン1、分子量スタンダード;レーン2、トロンビンで消化したEpo
Rex−th;レーン3、GST;レーン4、精製されたEpo−bp。図4の
レーン4から分かるように、精製されたEpo−bpは、1:2,000で希釈
された抗Epo−bp抗体によって検出された。精製されたEpo−bpの見掛
け分子量は、約29kDaであった。例6 Epo−bpに対するEpoの結合
本例は、Epo−bpに対するEpoのリガンド結合及び結合に対するEpo
濃度の効果を教示している。
Epo−bpビーズは、PBS中の洗浄されたアフィゲル15アガロースビー
ズに、60μg/mlのEpo−bpを添加し、タンパク質の最終濃度がEpo−b
pビーズ1ml当たりおよそ30μgとなるようにして調製した。混合物を回転プ
ラットホーム上で室温で2時間インキュベートした。氷冷PBS緩衝液で3回洗
浄した後、ペレットをPBS緩衝液1ml中に再懸濁させた。結合アッセイのため
、最終懸濁液30μl (Epo−bp約1.0μg)を種々の濃度の 125I−Ep
oと混合し、5分ごとにピペットで再懸濁させながら室温で1時間インキュベー
トした。インキュベーションの終了時に、氷冷PBS緩衝液1mlを加えて、反応
していない 125I−Epoを洗浄し、更に2回洗浄をくり返した。反応させたビ
ーズを、ガンマー計数器で計数した。トリプシン消化抽出物(下記参照)からの
、完全なEpo−bpより小さいタンパク質も、同じ方
法で適用して、リガンド結合に関する効果をテストした。非特異的結合は、標識
されたEpoを添加する前に混合物を1時間200倍過剰量の標識されていない
Epoと予めインキュベートする以外には、同じ方法で測定した。
Epoに対するEpo−bpの結合を図5に示す。図5の各点は、2乃至4回
の試料の平均値である。データは平均値士SEMとして示してある。p数値が0
.05未満の場合、有意であるものとした。結果を、2−テイルドステューデン
トt−テスト(two-tailed Student t-test)で分析した。Epo−bpに対する
Epoの特異的結合活性は、Epo濃度が増加するに従って急激に増加し、 125
I−Epoの濃度を8nMから12nMに増加させると結合は3倍に増加した。Ep
o結合の見掛けの飽和状態は、12nMで起こった。これは、 125I−Epoの反
応させていない上清においても確認された。Epo−bpに対する 125I−Ep
oの結合は、 125I−Epoが8nM以上である濃度条件で、標識されていないE
poの存在下で有為に抑制された(両比較でp<0.0001)。非特異的結合
は、予想よりも多少高かった。ウェスタンブロット及び結合アッセイで示された
Epo−bpに対するEpo結合の特異性及び感度により、過剰量の標識されて
いないEpoが 125I−Epoの結合を完全に排除しうることは、予期されてい
た。
リガンド結合に関与するEpo−bpの最小限の配列を見出すため、トリプシ
ン消化実験を行った。Epo受容体タンパク質にはいくつかのアルギニン及びリ
ジン部位が存在し、これらはトリプシン
消化の特異的部位となることもできる。Epo−bpのトリプシン消化は、総量
200μlのPBS、pH6.7中で、Epo−bp5μg当たり10、20、3
0、50、100μg及び2mgのトリプシンを用いて、37℃で3乃至6時間行
った。反応は、等量の2N酢酸を加えるか、あるいは沸騰させることによって停
止した。図6から分かるように、Epo−bpは、20μg以上のトリプシンが
存在する場合、効果的に切断された。トリプシンは、2mgのトリプシンを含有す
るレーンで23.2kDa のタンパク質バンドとして視認可能である。トリプシン
によって消化されたEpo−bpは、20kDaのタンパク質として視認可能であ
る。図6において、レーン1は標準分子量マーカーを含み;レーン2は対照であ
り;レーン3乃至8は、それぞれ10、20、30、50、100μg及び2mg
のトリプシン濃度で37℃で3時間消化したものを示し;レーン9乃至14は、
同じトリプシン濃度で37℃で6時間インキュベートしたものを示す。
切断されていないEpo−bpはおよそ30kDaであるので、ファルマシア
セファデックスG−50(MW≦30,000)を使用したゲル濾過クロマトグ
ラフィーを適用して、分子量≦30,000のタンパク質成分を総混合物から分
離した。粉末状のセファデックスG−50を水和させ、等張PBSで数回洗浄し
て保存剤を除去した。トリプシンで消化したEpoRex−thを、ゲルカラム
の上部にPBS中総量2mlで適用した。カラムを、スイングローター(swinging-
bucket rotor)内で2,000×gで室温で4分間遠心分離した。注射器底より
回収された最初の溶出液
(〜0.2ml)を、蓋を取ったマイクロ遠心チューブに回収した。この溶出液は
、Epo−bpより大きいサイズのタンパク質を含有している。更にPBS緩衝
液0.2mlをカラムに加えて、10分間遠心分離することによって、二番目の溶
出液を新しい蓋を取ったマイクロ遠心チューブに回収した。この工程を2回反復
した。二番目の溶出液をEpo−アガロースカラムに適用し、ピークの画分をS
DS−PAGEゲル及びウェスタンブロッティングで調べた。図6に示すように
、トリプシンで消化したEpo−bpの最終産物は、およそ20kDaであった。
抗体は、切断されたEpo−bpを認識しなかった。したがって、ウェスタンブ
ロッティングによって確認されたように、トリプシン消化によってEpo−bp
から30個のアミノ酸が除去されると、Epo−bpに対する抗体による認識も
完全に排除された。
上記の詳細な説明は本発明に対する理解を増進させるためだけのものであり、
当業者には、添付した請求の範囲の精神と領域から逸脱することなしに改変が明
らかであるので、上記の詳細な説明から不必要な制限が加えられるべきではない
。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12P 21/02 9637−4B C12P 21/02 C
G01N 33/53 0276−2J G01N 33/53 D
// C12N 1/21 7804−4B C12N 1/21
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(C12N 1/21
C12R 1:19)