【発明の詳細な説明】
クローン化プルラナーゼ
発明の背景 技術分野
本発明は、一般的に遺伝物質の操作に関するものであり、特に、組換え操作に
有用な特異的DNA配列を作製および使用して、プルラナーゼ酵素の1つ以上の
特性を有するペプチドを確実に製造することに関係する。より詳細に言えば、本
発明は酵母にプルラナーゼ酵素を発現させる方法に関係する。背景技術
プルラナーゼは、低カロリービール製造の目的で醸造業で利用され、高デキス
トロース(D−グルコース)シロップの製造の目的で飲料工業で利用される枝切
り酵素である。例として米国特許第4355110号及び第4355047号参
照。これらの特許は、この後に参照する他の特許及び/または参考文献と共に、
参照してここに挿入され完全に示される。
プルラナーゼ遺伝子は細菌微生物から分離され、塩基配列が決定され、特徴づ
けられた。例えばクリキ(Kuriki)ら、J.Bacteriology、170巻、1554ページ(
1988)を参照。米及びその他の穀類がプルラナーゼを含むことは公知である。例
えば米国特許第4355110号は米にプルラナーゼが存在することを開示して
いる。
プルラナーゼ酵素は、米国特許第4355110号に開示された方法で米から
分離できる。しかしこの方法の1つの問題点は、著しく多量の廃棄副産物が生ず
ることである。そこでこの廃物に関連して廃棄処理の問題に直面する。
プルラナーゼのもう一つの別の供給源は細菌培養物である。しか
し細菌の使用は公共的観点からいくつかのマイナスの面をもつ。また細菌プルラ
ナーゼは概して米プルラナーゼより活性が低い。
よって、低カロリービールまたは高デキストロースシロップの製造に使用する
米酵素プルラナーゼ酵素の別の供給源が必要とされている。本発明は、米プルラ
ナーゼ酵素を発現し、適切に処理し、分泌するように作られた酵母を提供するこ
とによって上記の諸問題を解決する。
酵母は食物の加工成分の生産のために良い宿主微生物であると考えられる、な
ぜならば酵母は概ね安全とみなされるし、或る異種蛋白質を発現し、適切に処理
し、分泌するように作ることができるからである。問題は、酵母では生産できな
い(例えば毒性のあるもの)蛋白質や、適切な処理及び/または分泌が不可能と
いう蛋白質があることである。各蛋白質を、成功の確率を先験的に予想できない
まま個別的に処理しなければならない。
本発明は、成熟プルラナーゼ酵素が酵母中で発現するように方向づけることの
できる発現構造物(construct )を提供することによってこれらの問題を解決す
る。本発明のより驚くべき点は、その構造物が天然米プルラナーゼアミノ酸配列
に似ない酵素を発現することである。
用語“成熟プルラナーゼ”は、米の種子から分離したプルラナーゼを意味する
。成熟プルラナーゼにおいてはメチオニン、またはメチオニン含有ペプチドが翻
訳後−修飾中に除去されてしまったと予想される。しかしながらmRNA配列は
コード化されたメチオニン残基をもっているに違いない、なぜならばそれは翻訳
開始コドンだからである。本発明におけるようにプルラナーゼ酵素を酵母系に発
現させる場合、これは解決しなければならなかい問題の1つであった。
発明の開示
本発明の一つの面は、プルラナーゼ酵素をコード化する配列を含む、活性プル
ラナーゼ酵素を発現できるDNA構造物を提供し、ここでその配列は、成熟プル
ラナーゼの最初の2つのアミノ酸をコード化するために必要なヌクレオチドを含
まず、かつ調節配列がコーディング配列(coding sequence )の微生物宿主にお
ける発現及び分泌を可能にする。
本発明の一つの好適な面は、酵母における発現及び分泌を可能にする調節配列
を有する上記DNA構造物である。
本発明のまた別の好ましい面は、配列番号:2のコーディング配列を有するD
NA構造物であり、より好適には、ここで調節配列が酵母構造遺伝子、MFα1
、からのプロモーター及び分泌シグナルを含むことである。MFα1はα−因子
交配フェロモンをコード化する。
本発明のもう一つの面は、クローン化プルラナーゼ酵素であり、ここで、プル
ラナーゼは成熟プルラナーゼの最初の2つのアミノ酸を含まない。
本発明のもう一つの面は、配列番号:7の配列に相同のコーディング配列を含
むDNA構造物であり、ここで、相同性が十分なため遺伝子は活性プルラナーゼ
酵素を発現することができる。好適なコーディング配列は配列番号:7を含むも
のである。
こうして本発明は活性プルラナーゼ酵素を発現、分泌し得るDNA構造物、並
びに成熟プルラナーゼの最初の2つのアミノ酸が
欠けたクローン化プルラナーゼを提供する。本発明の活性プルラナーゼは低カロ
リービール及び高デキストロースシロップの製造に有用である。
本発明の一利点は、活性プルラナーゼ酵素が非細菌性宿主から得られ、米から
この酵素を分離するときに生ずる廃物が出ないことである。
本発明のこれらの、そしてまた別の目的及び利点は次に述べる説明から明らか
になる。
図面の簡単な説明
図1は、プルラナーゼクローンがpSEY210のMFα1配列に付着したと
きに生ずるアミノ酸配列の模式図である。
図2は、プルラナーゼ ゲノムクローンの5’領域のPCR増幅の線図である
。
図3は、プルラナーゼ cDNAクローンの3’領域のPCR増幅の線図であ
る。
図4は、pPB/3’pul−8.6kb及びpPB/5’−3’pul−8
.73kbの生成図である。
図5は、pPB/プルラナーゼ−10.9kbの生成図である。
図6は、本発明の酵母トランスフォーマントのためのプルラナーゼ活性のグラ
フである。
発明を実施するための最長の態様
A.概論
本発明は活性プルラナーゼ酵素を発現、分泌することのできるDNA構造物で
ある。一実施態様において、この構造物は、成熟プルラナーゼの最初の2つのア
ミノ酸をコード化する領域が欠けたプ
ルラナーゼコード領域を含む。その構造物はクローン化プルラナーゼを微生物に
発現するために適した調節領域も含んでいる。好適にはその微生物は酵母であり
、調節領域はMFα1プロモーターおよび分泌リーダー(leader)配列(これは
翻訳開始コドン、メチオニンを含む)並びに停止−及びポリアデニル化シグナル
を含む。
つまり、本発明は、プルラナーゼ ゲノムクローンとcDNAクローンの両方
を単離することによって好適に作製される。しかしながら微生物学に熟練せる当
業者は、以下に記載する遺伝的構造物及びアミノ酸配列を誘導する他の可能な生
化学的方法、例えば抗体及びこれと同等のもののスクリーニングを思い描くであ
ろう。
下記の例は、酵母MFα1プロモーターと分泌シグナルとを融合させる好適な
方法、および本発明のために好適な2つのアミノ酸欠失をもたらすプルラナーゼ
cDNAをも開示する。この例において、プルラナーゼ配列を第3のアミノ酸の
ところでMFα1プロモータ/シグナル配列に結合するために必要なヌクレオチ
ド配列を含むプライマーを用いて、ゲノムクローンの5’−領域を増幅した。し
かし、もし他の調節領域または別の発現系、例えばADHI、が必要な場合は、
これらの領域を、プルラナーゼ配列の第3番目のアミノ酸またはいずれかのアミ
ノ酸で始まるプルラナーゼ配列に対応するヌクレオチドを含むプライマーに、付
着させることもでき、成熟プルラナーゼに付加的アミノ酸を付加することを含む
。この方法で、プルラナーゼ遺伝子から最初の2つのアミノ酸を引いた(除去し
た)配列、またはアミノ末端で種々のアミノ酸を付加、または欠失した成熟プル
ラナーゼの配列である、本発明の発現構造物が得られる。
ひとたびプルラナーゼ酵素の発現構造物を得たならば、酵母宿主におけるベク
ター増殖のために必要な、適切な配列を含む適したベクターにこの発現構造物を
入れることが必要になる。
B.プルラナーゼcDNAクローンの作製
下記の例は特に適したプルラナーゼコード領域の作製を開示する。それらの例
が開示するように、先ず最初にプルラナーゼ遺伝子を分離する。好適にはその分
離物は米プルラナーゼ遺伝子である。
下記の例におけるように、先ず最初にプルラナーゼ含有生物からゲノムDNA
を分離し、このDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化し、これらのDNA断片
を適したベクターに挿入する。これらのゲノムクローンを、プルラナーゼの遺伝
子または酵素の公知のアミノ酸またはヌクレオチド配列を用いて作ったプローブ
でスクリーニングして、どのクローンがプルラナーゼ遺伝子を含むかを決定する
。配列番号:1は成熟プルラナーゼ遺伝子の配列である。下記の例はゲノムクロ
ーンの好適スクリーニング法を開示する。
プルラナーゼcDNAクローンを作製するためには下記の例のように進めるの
が最も好適である。cDNAは当業者には公知の方法によって米mRNAから作
る。このcDNAを適したベクターに挿入し、プルラナーゼ含有クローンの存在
をスクリーニングする。下記の例は2つのゲノムDNA断片でcDNAライブラ
リーをスクリーニングする方法を開示する。
プルラナーゼの5’末端及び3’末端両方を含むcDNAクローンを作った後
、発現構造物を作るのが一般的である。“発現構造物”とは、活性プルラナーゼ
遺伝子に翻訳されるようにデザインしたヌクレオチド配列を意味する。例えば、
発現構造物はゲノムク
ローンに見いだされるイントロンを含まない。配列番号:2には天然蛋白質の最
初のアミノ酸がないが、適切な3’配列を含む。本発明の好適発現構造物は配列
番号:2である。
下記の例はこのような構造物の好適作製法を開示する。例において、標的DN
Aとしてプルラナーゼ ゲノムクローン9−2を用いる標準PCR法によって、
プルラナーゼ遺伝子の147ヌクレオチド5’末端が増幅され、増幅後に最初の
2つのアミノ酸が欠けるようにされた。これは、HindIII部位と、天然プ
ルラナーゼの第3番目のアミノ酸で始まるヌクレオチド配列を含むPCRプライ
マーの使用によって行った。下記の例の図1と、配列番号:3及び4は好適プラ
イマーを説明する。
次に、プルラナーゼ遺伝子の3’末端を、cDNAクローン6−1を標的DN
Aとして用いて増幅する。下記の例は0.7kb断片が作られることを開示して
いる。この例では、その断片は、米の転写停止シグナル及びポリアデニル化シグ
ナルを含む3’非翻訳領域部分をも含む。これらの構造は酵母構造に配列が似て
おり、酵母中で機能するかも知れない。転写終止−及びポリアデニル化シグナル
は両方とも酵母における適切な発現に必要であることがわかった(ロマノス [Ro
manos]ら、酵母 (YEAST)、8巻:423ページ、1992)。
これら2つの断片は、当業者には公知の方法で、適切な制限部位を介してプル
ラナーゼcDNAクローンの2.3kb部分と結合し、完全な長さのプルラナー
ゼ発現構造物を作り出す。生成した発現構造物は、最初の2つのアミノ酸がない
ことを除けば、プルラナーゼ酵素の正確なコーディング配列を含む。
発現構造物は、酵母系に発現する適した配列を含むベクター(上記のように)
もしくは自律的に複製するプラスミドに入れるか、または宿主染色体に一体化す
るのが好適である。特に好適なベクターはpSEY210である。これはMFα
1プロモーターと分泌リーダー配列を含むが、転写停止シグナルまたはポリアデ
ニル化シグナルをもたない。
ひとたび発現構造物が作られたならば、それを発現し、プルラナーゼ活性を試
験しなければならない。下記の例は適切な発現戦略を開示している。酵素検定も
下記のように最も好適に行われるが、プルラナーゼ酵素の活性を評価するために
デザインされた他の検定法も同様に適する。
C.微生物宿主
本発明のプルラナーゼ発現構造物は他の適した微生物宿主に発現することが可
能である。プルラナーゼをコード化する領域(発現構造物)を含むDNA領域を
作り、これを他の微生物宿主に適した調節シグナルを含む適したベクターに挿入
することができる。代表的な例は大腸菌(E.coli)、バシラス(Bacillus)、ア
スペルギルス(Aspergillus)、ピチア(Pichia)、またはクルイヴェロミセス
(Kluyveromyces)を含む。
例
A.概論
下記の例は、プルラナーゼ−特異的プローブの作製、分離、特徴づけ;米ゲノ
ム−及びcDNAライブラリーからのプルラナーゼゲノムクローンおよびプルラ
ナーゼcDNAクローンの分離および特徴づけ;及び、プルラナーゼ発現構造物
の作製、を開示する。この
発現構造物は、プルラナーゼcDNAおよびゲノムクローンそれぞれの3’およ
び5’セグメントの増幅、並びにこれら増幅した断片とプルラナーゼcDNAク
ローンとの結合によって得られる。この発現構造物は成熟プルラナーゼの最初の
2つのアミノ酸を含まない。
この発現構造物を酵母発現ベクター、pSEY210に入れた。このベクター
から、活性プルラナーゼ酵素が発現し、測定された。
B.プルラナーゼ ゲノム−及びcDNAクローンの作製
1.プルラナーゼ特異的プローブの分離
好適方法は、臭化シアノゲン消化及びPCR法によって生成するプルラナーゼ
蛋白質及びペプチド断片からアミノ酸配列情報を得て、それに基づきプルラナー
ゼ特異的プローブを分離するというものである。このプローブを用いて、米ゲノ
ム及びcDNAライブラリー両方についてプルラナーゼ遺伝子をスクリーニング
することができる。3つのCNBrプルラナーゼペプチド断片を分離し、部分的
アミノ酸配列を決定した。
a.プルラナーゼアミノ酸及びPCRプライマー配列
米ゲノムDNAが、プルラナーゼアミノ末端及び41.0kdプルラナーゼC
NBrペプチドからのアミノ酸配列情報に基づき、混合されたオリゴヌクレオチ
ドプライマーとともにPCR法を用いて増幅された。これらのPCR条件(下記
)のもとで、プライマー20−5’(配列番号:8)及び41−3’b(配列番
号:9)、約675bpのゲノムPCR産物が分離された。PCRプライマーは
他の2つのCNBr断片に対して作られたが、それらはPCR産物を生産しなか
った。675bpPCR産物は適当なベクター
(この場合は細菌性ベクターpUC18のSmaI部位)にサブクローンした。
そしてDNA配列分析は、プルラナーゼのアミノ末端アミノ酸配列データとの比
較に基づいて、それがプルラナーゼ遺伝子のアミノ末端の一部を含むことを確認
した。このプローブをpul−1と名付けた。
b.PCR条件
PCR増幅は、Perkin-Elmer Cetus及び Perkin-Elmer CetusDNA Thermal Cyc
lerの指示に基づき、GeneAmp DNA増幅キットを用いて行った。次の条件を用
いた:米ゲノムDNA(PCR反応を促進するために使用前に沸騰させた)1マ
イクログラムとアミノ末端プライマー配列番号:8及び9それぞれ1マイクログ
ラムづつとを反応混合物 (mix)に加え、次の温度を用いて増幅させた:(1サイ
クル)95℃ 2分間;(30サイクル)94℃ 1分間、55℃ 1分間、7
2℃ 3分間;(1サイクル)72℃ 10分間。米ゲノムは複雑なため、2回
目に最初のPCR増幅反応混合物10マイクロリットル部分(アリコート)を取
り、前と同じPCR条件とプライマー濃度を用いて増幅した。
2.米ゲノムライブラリー及びcDNAライブラリーのスクリーニング
ラムダファージEMBL−3 SP6/T7において作成された、米ゲノムラ
イブラリー(Oryza sativa L.(indica)var.IR 36)をクロンテック社(Clontec
h)(Palo Alto,CA)から購入した。そのライブラリーを、マニアティス(Maniat
is)らの“分子クローニング(Molecular Cloning) :実験室マニュアル(ALabor
atory Manual)”(1982)に概略記載されている方法でスク
リーニングした。ハイブリッド形成プローブ(pul−1)をpUC18からK
pnI/BamHI断片として分離し(ジンクリーン [GeneClean]、Bio 101、La
Jolla、CA)、デュポン/NEN研究生産物(MA)[32P]dCTP−ニック(
nick)トランスレーションシステムを用いて放射性標識をつけた。高力価の溶菌
液を“仮の(tentative)”プルラナーゼ陽性−組換えファージから調製し(シル
ヘイヴィー[Silhavy ]ら、遺伝子融合実験[Experiments With Gene Fusions
]、1984)、数種のクローンを第二次スクリーニングのために選択した。
3.“仮の”米プルラナーゼ遺伝子クローンの特徴づけ
a.方法
制限酵素地図のために最初のハイブリッド形成シグナルの強度に基づき4つ
の“仮の”プルラナーゼクローンを選択した。組換えファージを50ミリリット
ル溶菌液から遠心分離によって分離した。フェノール/クロロホルムを用いてフ
ァージペレットからファージDNAを抽出した。プルラナーゼPCR断片(pu
l−1)を用いてクローンの制限地図を確認した。pul−1はプルラナーゼの
アミノ末端をあらわすから、各ゲノムクローンのアミノ末端を含む制限断片は容
易に確認されるものであった。
b.分析
i.制限酵素消化
ゲノムクローン9−2は最大のDNAインサートを含むから、完全な制限酵素
地図のために、これを選択した。このクローンをXhoIで消化したところ、2
つの断片がpul−1プローブにハイブリッド形成することがわかった。これは
、pul−1プローブ
内に内部XhoI部位があることを示す。
ii.ゲノムクローンの方向づけ
クローンにXhoI部位が存在したために、クローンのアミノ末端に対するゲ
ノムDNAの方向を容易に決定することができた。プライマー配列番号:8(ア
ミノ末端アミノ酸配列)及び配列番号:9(41.0kd CNBr断片)を用
いるPCR増幅によってpul−1プローブを分離した。これらのプライマーは
ゲノムクローン内にある内部XhoI制限部位にフランク (flank)する。
41−3’b PCRプライマーを用いてXhoI消化サザンブロッツ(サザン
[Southern]、J.Mol.Biol.98 巻、503 ページ、1975)を検査することによっ
て、“仮の”プルラナーゼの3’末端をあらわす8.0kbp XhoI断片が
同定された。4.3kbp BamHI断片をこのXhoI断片から分離し、米
cDNAライブラリーの検査に用いた。
4.米プルラナーゼcDNAクローンの分離及び特徴づけ
a.プルラナーゼのための米の開花期cDNAライブラリーのスクリーニング
i.cDNAライブラリー
米の開花期cDNAライブラリーを、スーザン・ウェスラー博士(Dr.Susan W
essler)(ジョージア大学、アテネ)から購入した。それはラムダgt10ファ
ージベクターに構築され、Nato rice CI 8998 mRNAを用いられた。
ii.ハイブリッド形成プローブ及び一次ライブラリースクリーニング
4.3kbpBamHIゲノムクローン9−2断片を用い、標準
法で180,000組換えファージをスクリーニングした(マニアティスら、同上、198
2)。10個の陽性プラークが見つかった。高力価溶菌液(シルヘイヴィーら、1
984)を用意し、cDNAクローンを2度目にスクリーニングした。
iii.二次的cDNAライブラリースクリーン
2つの二重フィルターを10個の陽性組換えファージクローンから作り、異な
るプローブ、すなわちpul−1およびBamHI(4.3kbp)ゲノムクロ
ーン断片とハイブリッド形成した(マニアティスら、同上、1982)。BamHI
プローブは、プルラナーゼ遺伝子の3’末端の大部分をあらわすから、どのプル
ラナーゼcDNAクローンでも確認する。もしもpul−1プローブがcDNA
クローンにハイブリッド形成するならば、これは完全な遺伝子またはほぼ完全な
遺伝子が存在することを示唆する、なぜならばこのプローブはその遺伝子の5’
末端をあらわすからである。BamHIプローブにハイブリッド形成する10の
cDNAクローンのうち、たった1つがpul−1プローブにハイブリッド形成
した。このクローンは“cDNAクローン6−1”と名付けられた。
iv.cDNAクローンの制限酵素地図作製
プルラナーゼcDNAクローン6−1の制限酵素地図を、ゲノムプルラナーゼ
ゲノムクローンの場合と同様にして決定した。プルラナーゼインサートをラムダ
gt10ベクターから、2つのEcoRI断片、2.5kbp及び0.44kb
p、として取り出した。両断片を適切なベクターにサブクローンし、pPB/2
.5プルラナーゼ及びpPB/.44プルラナーゼと命名した。
b.DNA配列分析による真のプルラナーゼであることの確認
ゲノムクローン9−2及びcDNAクローン6−1の部分的ヌクレオチド配列
をジデオキシ配列決定法によって決定した(サンガー[Sanger]ら、Proc.Nat'
l Acad.Sci USA 74 巻、5463 ページ、1977)。公知のアミノ酸データに基づき
、それらは真のプルラナーゼクローンであることが確認された。
5.プルラナーゼDNA塩基配列分析
プルラナーゼcDNAクローン6−1の5個の制限断片を、ブルースクリプト
SK+シーケンシング ベクター(Bluescript SK + sequencing vector)の適し
た制限部位にサブクローンした(ストラタジーン[Stratagene]、LaJolla,CA
)。cDNA6−1の全塩基配列を決定した(サンガーら、同上)。
cDNA6−1のDNA配列分析により、成熟プルラナーゼ蛋白質の最初の1
3のアミノ酸残基はそのDNA配列には存在しないことがわかった。これらのア
ミノ酸のための実際のDNA配列を、プルラナーゼPCR断片pul−1及びゲ
ノムクローン9−2のDNA配列分析によって決定した。さらに、プルラナーゼ
ゲノムクローン9−2アミノ末端のDNA配列分析の結果、枠内(in-frame)メ
チオニンコドン(翻訳開始コドン)はあらわれなかった。プルラナーゼmRNA
の一次翻訳産物は、プルラナーゼの植物の或る部分から別の部分への運搬を引き
起こすシグナル配列か、その酵素の安定性の維持に責任をもつ配列(プルラナー
ゼは例えばリボヌクレアーゼのような酵素前駆体であってもよい)か、または単
一のメチオニンを含んでもよい。これらの蛋白質配列の各々は蛋白質輸送中また
は成熟中に除去されることがある(プロセッシ
ング)。配列番号:7のプルラナーゼアミノ酸配列情報は、成熟した、プロセッ
シングを受けた蛋白質をあらわす。
配列番号:1は成熟プルラナーゼ酵素のための全ヌクレオチド配列を示す。成
熟プルラナーゼのコーディング領域は2646bpを有する(882アミノ酸残
基)。その他の342bpは、米の転写停止シグナル及びポリアデニル化シグナ
ルを含む3’−非翻訳領域からなる。プルラナーゼの理論的分子量は98695
ダルトンで、pI=5.39である。潜在的に9つのグリコシル化部位がある;
Asn Xaa Ser/Thr。潜在的架橋部位であるシステイン残基も9つ
ある。
C.米プルラナーゼのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisi ae)における発現
サッカロミセス属に米プルラナーゼ遺伝子を発現するために、以下のクローニ
ング戦略が開発された。酵母に発現させるためのプルラナーゼ遺伝子調節カセッ
トは、酵母MFα1プロモーター及び分泌シグナル(これは翻訳開始コドンメチ
オニンを含む)、及び米翻訳停止−及びポリアデニル化シグナルからなるもので
あった。プルラナーゼ遺伝子とこのプルラナーゼ調節カセットを適当なプラスミ
ドと組み合わせ、自律的複製プラスミドとして適した宿主に導入するか、または
染色体に統合した。プルラナーゼはそれを分離可能な培地に分泌し、当業者には
公知の方法によってプルラナーゼ活性を検定する。
好適な発現ベクターはpSEY210 MFα1−SUC2(エムル[Emr ]
ら、Proc.Nat'l Acad Sci USA 80巻、7080ページ、1983)であり、これはM
Fα1プロモーター及び分泌シグナル
を両方とももつが転写停止シグナルはもたない、2ミクロンベースの多コピープ
ラスミドであった。このベクターの停止シグナルはSUC2遺伝子を切り取ると
きに除去される。異なるプロモーター、またはプロモーター−分泌シグナルをも
つ他の発現ベクターも適している。
MFα1分泌シグナル(HindIII部位)とプルラナーゼ遺伝子との接合
部に正しい読み枠を維持することが必須である。プルラナーゼ遺伝子はMFα1
分泌シグナルに直接結合することができなかったが、なぜならばプルラナーゼ遺
伝子には1つ以上のHindIII部位があったからである。結果として、その
遺伝子の特異的断片を分離し、下に説明する時期(フェーズ)にMFα1発現ベ
クターにクローンされた。MFα1プルラナーゼ発現ベクターの作製は、プルラ
ナーゼcDNAクローンに2つのユニークな制限酵素部位(5’末端のHpaI
と、3’末端のKpnI)が存在するために容易であった。配列番号:2は発現
したプルラナーゼ配列をあらわす。
ポリメラーゼ連鎖反応法を選び、プルラナーゼ遺伝子の5’−及び3’−末端
断片を分離した。これらの領域のDNA配列は化学的にも合成でき、当業者には
公知の方法で発現ベクターに集められた。概して、PCRを用いて5’−末端の
147bp及び3’末端の701bpを増幅し、これらのPCR断片をその後M
Fα1発現ベクターにクローンした。701bp3’−末端はプルラナーゼ遺伝
子の約342bpの3’−非翻訳領域を含んでいた。この領域はプルラナーゼ転
写停止及びポリアデニル化シグナルを含んでいた;それは構造が酵母シグナルに
似ており、この場合にも機能を発揮す
ることをあらわしている。
PCRを用いることによって、プルラナーゼcDNAクローンのアミノ末端か
ら欠失していた13のアミノ酸のうち11のDNA配列が置換された。これを行
ったのは、それらなしでは酵素が不活性だったからである。HindIII部位
を付加し、正しい読み枠を維持し、プルラナーゼ遺伝子の破壊を最小にするため
に、最初のグルタミン及びグリシンはDNA配列から排除した。図1は本発明の
プルラナーゼのMFα1領域と最初の2つのアミノ酸との接合の略図である。
残る2307bpのプルラナーゼコーディング領域をpPB/2.5プルラナ
ーゼから分離し、最後に挿入した。pPB/プルラナーゼプラスミドはその後サ
ッカロミセス・セレビシエの適当な菌株に形質転換され、プルラナーゼ活性が検
定された。
1.ポリメラーゼ連鎖反応
米プルラナーゼ遺伝子をMFα1プロモーターのコントロール下に置くために
、遺伝子を3相において逐次的に集める戦略を開発した。各相はプルラナーゼ遺
伝子の特異的DNA断片によって表わされた。PCRを使用して遺伝子断片の2
つを分離した。pPB/プルラナーゼベクターの作製は、プルラナーゼcDNA
クローンに2つのユニークな制限酵素部位−−5’−末端のHpaIと3’−末
端のKpnI−−の存在のために容易になった。
2.3’プルラナーゼPCR増幅
プルラナーゼクローンの3’−末端を先ず最初に作ったのは、そのPCR産物
がより大きいからであった(図3参照)。3’−PCRプライマーは:プライマ
ーA、5’−−GGGTTCGCTTT
CACAACACA(配列番号:3)及びプライマーB、5’−CGCTCGA
GATGAGTATTTCTTCCAGGGTA(配列番号:4)であった。プ
ライマーBは、XhoI制限部位を含む。プルラナーゼcDNAクローンをPC
R反応の標的DNAとして用いた。3’pul/PCR産物(3’−末端の70
1bp)は3’−コーディング領域の部分(KpnI部位を含む)とcDNAク
ローンの全3’−非翻訳領域とを含んでいた。全3’−非翻訳領域を含めたのは
、米遺伝子の転写停止及びポリアデニル化シグナル両方がこの領域に位置してい
たからである。
その結果、酵母に発現したプルラナーゼ遺伝子は米植物におけると同様に停止
し、ポリアデニル化されることがある。酵母では、転写停止シグナルの存在がm
RNAの翻訳効率及び安定性を高め(ザレット [Zaret]及びシェルマン [Sherma
n]、J.Mol.Biol.177 巻 107ページ、1979)、より多い蛋白質産物に導くこと
が報告された。米の転写及びポリアデニル化シグナルが酵母のそれに似ているこ
とも、プルラナーゼ生産を高めるようにはたらくかも知れない。酵母転写停止シ
グナルは特徴づけられており(ロマノス[Rpmanos]ら、酵母、8巻、423 ページ
、1992)、当業者はこれを変形して使用することができる。
3.5’−プルラナーゼPCR増幅
プルラナーゼの5’−末端のPCR増幅(図2参照)は、cDNAクローンに
欠けていたアミノ酸のDNA配列の回復を含み、MFα1プロモーター/分泌シ
グナルと結合するためのHindIII制限部位を与えた。5’−PCRプライ
マーは次のものであった:プライマーA、5’−AAGCTTTCGTGACG
GAT
GCGAGGGCATA、HindIII制限部位をもつ(配列番号:5);プ
ライマーB、5’−CTCGAGGGTACCATGAAAGGCCCCATC
AGATA、KpnI−XhoI制限部位をもつ(配列番号:6)。プルラナー
ゼ ゲノムクローン9−2をPCR標的DNAとして用いて(米ゲノムDNAも
用いることができる)、5’−PCRプライマーは、13の欠失されているアミ
ノ酸のうちの11のアミノ酸のDNA配列、及び特異的HpaI部位にフランク
(隣接)するようにデザインされた。α−因子分泌シグナル及びプルラナーゼ遺
伝子の正しい枠内読み(in-frame reading)を得るために、結合部にはHind
III部位が必要であった。グルタミンとグリシンとを除去し、フェニルアラニ
ンで開始することによって、プルラナーゼ遺伝子から2つだけのアミノ酸が失わ
れ、特別のアミノ酸を付加する必要はなくなる(図1参照)。その結果5’pu
l/PCR断片は長さ147bpで、5’−末端にHindIII制限部位を、
3’−末端にKpnI−XhoI部位をもっていた。
4.TA−クローニングPCR断片
3’−及び5’−プルラナーゼPCR産物(それぞれ701bp及び147b
p)の両方を先ず最初にインビトロゲン(Invitrogen)(San Diego,CA)のT
A−クローニングベクター、pCRTMIIにサブクローニングした。このクロー
ニングシステムはPCRに用いる熱安定性ポリメラーゼの活性を利用する;それ
は鋳型には依存しないやり方で、全ての二本鎖PCR分子の3’−末端に1個の
dATPを付加する。pCRTMIIベクターは1個の3’−Tオーバーハングを
含み、それはPCR産物のA−オーバーハングと
直接結合できる。この中間段階を取ることによって、きれいな制限部位が生成さ
れ、MFα1発現ベクターへの結合に役立った。当業者はPCR断片を他の適切
なベクターにサブクローンする別の方法を考え、同じ結果を得ることができる。
サブクローニングのために用いたすべての断片はアガロースゲル電気泳動法によ
って分離し、電気溶出によって単離し、カラムクロマトグラフィーによって濃縮
した。これらの操作法を用いることによって結合−または形質転換妨害物のない
断片が単離された。
5.3’pul/PCRのpSEY210へのサブクローニング
その後3’プルラナーゼ/PCR断片をpCRTMIIベクターから755bp
HindIII/XhoI断片として切り取った(図4の“A”)。この断片は
約54bpのpCRTMIIベクターをもっている;これはその後除去した。3’
−HindIII/XhoI断片を、pSEY210 HindIII/Xho
I部位にクローンし(SUC2遺伝子は除去されている)、大腸菌株DH5αに
形質転換した(ベセスダ研究所[Bethesda Research Laboratories])。これら
のサブクローンは“pPB/3’プルラナーゼ−8.6kb”と名付けられた。
6.5’pul/PCRのpPB/3’プルラナーゼへのサブクローニング
pPB/3’プルラナーゼ(図6bの“B”)をHindIII/KpnIで
消化し、pCRTMIIから切り取った147bpHindIII/KpnI5’
プルラナーゼ/PCR断片と結合し、大腸菌DH5α細胞に形質転換した。これ
らのクローンはpPB/5’−3’プルラナーゼ−8.73kbと名付けられた
。
7.pPB/2.5プルラナーゼクローンの2.3kbp断片の、pPB/5 ’−3’プルラナーゼへのサブクローニング
pPB/2.5プルラナーゼ及びpPB/5’−3’プルラナーゼをHpaI
/KpnIで消化した。pPB/2.5プルラナーゼの2.3kbpプルラナー
ゼ断片を単離し、pPB/5’−3’プルラナーゼに結合し、大腸菌DH5αに
形質転換した。これらのクローンはpPB/プルラナーゼ(10.9kb)と名
付けられた。図5はこの操作を説明したものである。
8.pPB/プルラナーゼの酵母への形質転換
プラスミドを宿主酵母及びPEG/酢酸リチウム混合物(エルブル (Elble)、B
iotechniques 13 巻、18 ページ、1992)の存在下で1晩インキュベートする手順
を用いて、酵母菌SEY2102(MATα;ura3−52;leu2−3、
−112;his4−519[エムルら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA,80 :7080
,1983])をpPB/ プルラナーゼで形質転換した。形質転換細胞を次の日、選択
的培地上で培養した。5日後約150の形質転換細胞が見出だされた。
pPB/プルラナーゼ構造物を含む、形質転換したサッカロミセス・セレビシ
エ酵母菌SEY2102は、ブダペスト条約の規定にしたかって、1994年4
月14日、アメリカ培養コレクション(ATCC)(12301 Parklawn Dri
ve、Rockville 、Maryland 20852 )に、ATCC受託番号74281として寄
託された。
9.pPB/プルラナーゼ酵母形質転換細胞のプルラナーゼ活性の分析
pPB/プルラナーゼ酵母形質転換細胞について、強化培地(Y
PD−1%酵母、2%ペプトン、2%デキストロース)におけるプルラナーゼ活
性を検定した。形質転換細胞とSEY2102コントロールを各々YPD培地2
00mlで約36−40時間増殖させた;培地にはグルコースはもう存在しなか
った。酵母細胞を遠心分離によって除去し、ブロス (broth)を硫酸アンモニウム
沈殿(60%)によって濃縮した。4℃で5時間混合後、沈殿を0.2N酢酸ナ
トリウム10ml、pH5.0に再懸濁し、1晩中0.2NNaOACに対して
透析した;pH5.0。(サンプルをポリエチレングリコールでさらに濃縮した
。)pPB/プルラナーゼ及びSEY2102の濃縮ブロス2mlを等量の0.
2N NaOAC/1%プルランに加え、プルラナーゼ還元活性の存在を50℃
で検定した。等量の3,5−ジニトロサリチル酸の添加によって反応を停止した
。サンプルを10分間沸騰し、水10mlで希釈し、A540nmを読んだ。形質転
換細胞ブロスは、SEY2102対照に比してプルラナーゼ活性を示した。図6
の結果は、プルラナーゼ活性がマルトース等価物ミリグラムによって測定して、
時間とともに直線的に増加することを示す。ミリグラム マルトース等価物は、
当業者には公知の方法によってマルトース検量曲線から測定した。ベルンフィー
ルド(Bernfield,P )、酵素学の進歩(Advance in Enzymology )、XII、1
951。
産業上の利用可能性
本発明の活性プルラナーゼは低カロリービール及び高デキストロースシロップ
の製造に有用である。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:865)
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