JPH09503861A - 患者の急性心筋梗塞症の検出 - Google Patents

患者の急性心筋梗塞症の検出

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Abstract

(57)【要約】 患者の急性心筋梗塞症を検出ための方法および手段を提供する。本発明の方法には患者の末梢血液を採取し、単球血小板結合体(MP−C)の量を定量して単球血小板結合体の有意に増加しているか否かを判断する。定量は、スライドグラス上の単球血小板結合体を顕微鏡下で直接計数するか、見かけ上の細胞の体積の増加を測定する装置によるか、フローサイトメトリーによるか、または電気抵抗パルスサイジングまたは散乱光によって行えばよい。AMIを検出するための診断用テストキットもまた、提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 患者の急性心筋梗塞症の検出 急性心筋梗塞症(AMI)は米国において依然として死亡および障害の原因の うちの主流を成している。AMIの早期診断は、適当な治療および分類を決定す るのに非常に重要である。さまざまな血清酵素の活性の上昇を測定するアッセイ は、AMIの診断に重要な役割を果たす。しかしながら、急性狭心痛には診断が 困難であるという問題がある、というのも解剖を行った結果から多くの心筋梗塞 が検知されずに進行することが指摘されている(リーら、アン・イント・メド( Ann.Int.Med.)105:221−233,1986)。 急性心筋虚血(不安定狭心症およびAMI)の病体生理学的な基本は過去10 年間にわたって明らかにされてきた。急性心筋虚血は一般に、アテローム性動脈 硬化症患者の冠動脈の閉塞性血栓に起因すると考えられている。冠血管の血流の 一時的あるいは間欠的な減少による短時間の虚血からは心筋層は回復するが、冠 動脈血流量の減少が永続的であり長期間続いた場合には、急性心筋梗塞症が発症 すると考えられる(メタら、JACC15:727−729,1990)。 現在、不安定急性狭心症(UAP)およびAMIの両方は、血管内皮細胞の破 壊、内皮細胞破壊部位における血小板の活性化およびフィブリンおよび他の細胞 性物質の取り込みによる血栓の肥大という、同様の病態示すと考えられている。 不安定急性狭心症の患者の血栓は不安定であり、心筋の壊死を起こす患者では血 栓が安定し、固くなるようである。 血小板は止血および動脈血栓の生成において中心的役割を示す。動脈血栓は主 に凝集した血小板から生成されているが、その他に顆粒球も多く含む(例えばレ バインら、ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション57:95 5−963、1976)。単球と血小板の両方は虚血の後の心筋に対するダメー ジに寄与していることが知られている(エントマンら、FASEBジャーナル :2529−2537、1991;フォルツら、サーキュレイション54:36 5−370、1976;イーらジェイ・サーズ・レス(J.Surg.Res.)40:4 99−503,1986)。 冠動脈内皮細胞のダメージと血小板の活性化は冠動脈閉塞に起因する病態生理 であると考えられている。活性化された血小板は、トロンボキサンA2およびセ ロトニンのごとき強い痙攣誘発物質および血小板凝集物質を放出し、これらが動 脈閉塞部位から離れた血栓もしくはその下流の両方において血管収縮性の影響を 及ぼす(メタ、J.JACC15:727−729、1990)。 血小板の活性化はまた、表面へα−顆粒外部膜タンパク質−140(GMP− 140)の発現を伴う。これはCD62と名付けられており、血小板活性化依存 性顆粒外部膜タンパク質(PADGEM)もしくはP−セレクチンとして知られ ている。GMP−140は血小板の多形核白血球(PMN)および単球への接着 を媒介する(ラーセンら、セル、59:305,1989)。 近年、血小板−白血球接着を正確に定量するフローサイトメトリー法が開発さ れた。このアッセイは血小板が結合している白血球の割合および細胞当たりに結 合している白血球の相対数を正確に測定することができる(リンダーら、78: 1760−1769、1991)。このアッセイを用いて、リンダーらは心肺バ イパス手術(CPB)による血小板の活性化が、単球とPMNへの血小板の接着 を伴うことを示した(リンダーら、ブラッド、79:1201−1205)。 AMIは世界保健機構によって臨床的に定義づけられている(急性心筋梗塞症 の診断のためのWHO基準;ジェノバ:心血管疾患会議、1981年)。WHO の基準に基づけば、以下に示すいずれかの2つの基準がAMIの診断に用いられ る:(a)局所的な狭心痛み、(b)ECGにおける新たなQ波、および(c) ピーク酵素(CK,SCOTまたはLDH)が正常値の上限の2倍以上であるこ と。 しかしながら、新たなQ波の存在は稀である。Q波放出の異常はAMI後約4 から8時間に認められる。AMIの診断は一般に狭心痛およびECGにおける非 特徴的変化に基づいてなされる。局所狭心痛は左腕下および左手に広がり、指の 打診痛覚を伴う胸の痛みである。 サイトゾルのイソ酵素であるCK−MBは、臨床研究においてのAMIの診断 に用いられる標準である。血清酵素であるクレアチニンキナーゼ(CK)は二つ のサブユニットを有し、両者はアミノ酸配列および組織特異性が異なる。CK− MBは最初は心筋細胞のみ存在すると考えられていたが、より感受性の高いアッ セイによって正常骨格筋にもその存在が少量ではあるが確認されている。CK− MBの増加が非心筋由来、例えば外科手術や外傷によっても起こり得るが、かか る要因なしに生じるCK−MBの増加は高い確率で心筋虚血と結び付いている( リーら、アン・イント・メド、105:221−223、1986)。 旧来のCK−MBアッセイには最初および約12時間および約24時間後の連 続的サンプリングが必要である(サクセナら、アーチ・ファトール・ラブ・メド117 :180−183)。血栓溶解治療は梗塞発生から4から6時間以内に開 始しなくてはならないため、この方法は救急医にとって診断のジレンマを伴うも のである。単回CK−MB測定の感受性は低い(34%)ので、一回の試験では AMIの危険性を除くのに用いることはできない。さらに、血栓溶解治療を開始 する前にCK−MBの結果を得るのでは遅すぎる。 旧来の24時間CK−MBサンプリングを、6時間でできる2、3の非常に早 い測定に代えることが示唆されている(アップルら、クリン・ケム(Clin.Chem.37 :909、1991)が、症状の発現時間と血清CK−MBの発現が臨床的 に有意となる時間の間隔は2.8から15.1時間の間で変化する(アーウィンら 、アーク・インターン・メド140:329−334、1980)。したがって 、実際はAMIの患者であっても、症状発生後の比較的早い時期に測定したCK −MBレベルがネガティブである場合もある。 CK−MBに代わる迅速な、そして感受性の高いアッセイへの要望が高まって いる。多くの代わりとなるアッセイが報告されており、例えばCK異性体(プエ ロら、クリン・ケム35:1452−1455、1989)、ミオグロブリン( ドレクセルら、アム・ハート・ジェイ(Am.Heart J.)105:642−650、 1983)およびトロポニン(troponin)イソ酵素(カトゥースら、ジェイ・モ ル・セル・カルディオール21:1349−1353、1989)を用いる方法 がある。これらのアッセイはまた心筋ダメージの血清マーカーの出現に基づくも ので もある。CK−MBアッセイと同様、これらのアッセイは確実に読み取るために は開始時および約24時間後に行わなくてはならない。加えて、アッセイの結果 は少なくとも1時間のターンアラウンンド時間を有する。 UAPおよびAMIに必要とされる処置方法は非常に異なっているため、AM Iの早期診断は救急室における手当における重要な到達目標でもある。血栓溶解 治療は、心筋梗塞の4から6時間以内に始める場合にはAMIに有効な治療法で ある。これはUAPには有効ではない。さらに、血栓溶解治療は危険な副作用、 例えば出血を伴う場合がある。 WHO基準が非特異的であり、一時的な心筋の虚血か心筋の壊死かの判断がで きないことは明らかである。我々の研究により急性心筋壊死の疑いで入院した患 者のうちの、たった30%しかその後にAMIと診断されていないことが明らか となった(例えばプエロら、サーキュレーション、82:759−764(199 0))。 加えて、AMIが絡む死亡のうちの50%以上は冠動脈虚血の発症後最初2時 間以内に起こっている(アップル、F.S.,A.J.C.P.97:217−216、19 90)。この短い時間枠ではAMIのCK−MBアッセイによる診断に依存でき ないことは確かである。 最後に、医師が心筋梗塞の診断を誤ることは非常に多いという発見(リーら、 アン・イント・メド、105:221−233)は、当業者の現在の状況がいま だに非常に不十分な状態であるということを強調するものである。 したがって、虚血性心疾患を示唆する症状を示す患者のうちからAMI患者を 同定するための迅速で正確な方法に対する要求は強いものとなっている。 本発明は急性心筋梗塞を出現時または少なくともその症状の発現時において診 断することを容易にする方法および手段を提供する。本発明は、急性心筋梗塞( AMI)の直後には、循環レベルの単球血小板結合体の有意な上昇が認められる という発見に基づくものである。本明細書および請求の範囲において「単球−血 小板結合体」もしくは「MP−C」という語は1個または複数個の血小板が付着 した単球を意味する。発現から24及び48時間後の間、血小板−単球結合体は ベ ースラインに戻る。したがって、本発明の方法はこの時間の間に行わなくてはな らない。 驚くべきことに、血小板−単球結合体のレベルは安定または不安定狭心症の患 者において、または重篤な外傷もしくは感染の後には上昇しない。すなわち、本 発明によれば、AMIを他の症状から区別することができ、患者に対して適当な 治療を行うことができる。 詳しくは、本発明は患者の急性心筋梗塞の発生の検出方法であって、患者の血 液試料を採取し、該試料から単球−血小板結合体を定量する方法に関する。 加えて、本発明は患者の急性心筋梗塞診断用テストキットであって、単球−血 小板結合体の定量のための手段を含むものを提供する。 さらに、本発明は患者の急性心筋梗塞診断用テストキットであって、白血球に 対する特異性を有し、レポーター分子へ結合している第1の抗体および血小板に 対して特異性を有し、レポーター分子へ結合している第2の抗体を含有している 容器と、先に定量しておいた固定化剤と抗凝固剤を含有する減圧栓を有するバイ アルとを装着するよう区分されているものを提供する。 さらに、本発明は患者の急性心筋梗塞診断用テストキットであって、単球−血 小板結合体を直接計数するものを提供するが、この態様のキットには血液試料を 集めるための固定化剤および抗凝血剤を含有する真空栓をした試験管を含む。 さらに、本発明は患者の急性心筋梗塞診断用テストキットであって、a)血液 試料を集めるための固定化剤と抗凝固剤を含有する減圧栓を有するチューブ、b )白血球および血小板に対する、標識した抗体類、およびc)レポーター分子検 出系を含むものを提供する。 さらに、本発明は患者の急性心筋梗塞診断用テストキットであって、a)血液 試料を集めるための固定化剤と抗凝固剤を含有する減圧栓を有するチューブ、b )FITC結合抗CD45抗体およびビオチン化抗−GPIIb/IIIa(C D41a)抗体;およびc)PE−アビジンを含むものを提供する。 本発明は患者の末梢血を採取し、単球−血小板結合体(MP−C)のレベルを 定量することを含む方法により達成される。本発明の方法によって、通常は循環 単球の約5%が1または複数の血小板と結合体を形成していることを測定した。 5%のMP−Cレベルに対して有意に高いMP−Cレベル、例えば平均から2標 準偏差離れている場合をAMIの発生のシグナルとし得る。約10%またはそれ 以上のMP−Cレベルの場合が、AMIの指標となると考えられる。 MP−Cの定量は従来から知られているどのような方法を用いてもよい。例え ば、MP−Cの定量を顕微鏡下で接着細胞を数えるマニュアル法で行うことも可 能である。MP−Cレベルはまた、フローサイトメーターによって測定してもよ い。 単球に接着する血小板により細胞の比体積が変わるため、単球−血小板結合体 を電気抵抗パルスサイジング法(クールターサイジング:細胞計測装置)を用い るかまたは単色光散乱を用いて、例えばセルカウンターによって、測定してもよ い。 本発明にはまた、MP−Cの検出および定量のために必要な器具および試薬を 提供する数多くの様々なAMI診断キットも含まれる。診断用キットを使用する に当たって用いられる方法は単球−血小板結合体を検出および定量するための従 来の方法である。 白血球および血小板用の抗体、例えば抗-CD45および抗-CD41aで標識 した固定血液試料についてのフローサイトメトリーまたは単球集団中の相対体積 変化の測定のような更に最近の方法論も種々のAMI診断キットを用いて検討さ れている。 本発明の開示により、患者をAMIとして診断することができまたは除外する ことができるので、AMIを安定型および不安定型の狭心症、強度の外傷または 感染のような他の症状と区別することができる。AMIとしては除外されるかま たはAMIとして診断されてしまえば、適当な処置を施すことが可能である。 第1図は、ひとりの代表的AMI患者からの投与直後のフローサイトメトリー ヒストグラムデータである。単球-血小板結合体の百分率が表示されている。 第1図bはストレプトキナーゼ投与後2時間の時点での同じ患者からのフロー サイトメトリーヒストグラムデータである。 第1図cは同じ患者からの4日後のフローサイトメトリーヒストグラムデータ である。 第2図は白血球に関する前方散乱光(寸法パラメータ(Y軸))対側方散乱光 (複雑性パラメータ(X軸))のプロットであり、リンパ球(L)、単球(M) および顆粒体(PMN)の間で明瞭な輪郭が形成されることが示されている。 第3図aは、非特異的な免疫染色用としてコントロールに使用される同型のコ ントロール抗体からの蛍光を示すヒストグラムである。これは陽性血小板のしき い値を決定するために用いられる。 第3図bは、投与の結果、AMI患者から収集した血液の単球領域にゲートを かけたCD41a(抗-GPIIb/IIIa)の蛍光を示すヒストグラムである。コ ントロールの蛍光の最大方向(channel)よりも強い蛍光を示す陽性血小 板の百分率が記録される。 第4図は経皮的冠動脈圧腔拡張術(PCTA)の前後に於ける単球-血小板結 合体の百分率を示すグラフである。 第5図は虚血性心疾患(安定型および不安定型の可逆的虚血狭心症およびAM I)のある患者のcICAM−1の水準を示すグラフである。 第6図は経皮的冠動脈圧腔拡張術前後の患者のcICAM−1水準のグラフで ある。 本発明によれば、AMIを暗示する兆候のある患者は、単球-血小板結合体水 準を測定するためにその血液が採取される。AMIの存在は患者の末梢の血液試 料中のMP−Cの水準をAMIに関連する場合のMP−Cの既知水準と比較して 決定される。血小板に結合しAMIに関連する単球の水準は一般的には50%台 である。コントロールの血液試料中の血小板に結合した単球の百分率は大略ほん の5%に過ぎないから、5%を越える有意のMP−C水準、例えばコントロール の平均値からの標準偏差の2倍のMP−C水準であれば、それはAMIの存在を 示していよう。10%またはそれ以上の水準はAMIインデックスと考えられよ う。MP−C結合体の水準が測定されれば、適切な処置を合理的に決定すること ができる。 本発明によれば、AMIの臨床的な兆候を有する患者から単球-血小板結合体 の数値が読み取られる。AMIの初期の兆候としては、左腕から指の刺痛感覚を ともなう左手までに広がる狭心痛が含まれる。 また本発明によれば、例えば半意識的または無意識的な患者にAMIの可能性 がある場合は常に単球-血小板結合体の数値が読み取られる。 好ましい実施態様では、血液試料は一般には腕から静脈穿刺によって採取され る。血液は固定液と抗凝血剤の入った試験管に集められる。固定液と抗凝血剤の 組み合わせは通常臨床実験室で用いられるもののどれを用いてもよい。使用する ことのできる固定液の例は緩衝液処理した10%のホルマリン/ホルムアルデヒ ド、グルタルアルデヒド、またはパラホルムアルデヒドである。使用することの できる抗凝血剤はクエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、ヘパリンおよびヘ パリン様化合物である。固定液および抗凝血剤は静脈穿刺による血小板の活性化 の結果として生じるかもしれない疑似単球-血小板結合体の形成を防止するのに 役立つ。 もうひとつの実施態様では、採血試験管には、パラホルムアルデヒドの最終濃 度が1〜5%の間になるように、リン酸塩により緩衝した塩溶液中に2%のパラ ホルムアルデヒドと3.8%のクエン酸ナトリウムが含まれている。試料は6時 間以上固定液中に留まらせてはいけない。10分もあれば固定時間として十分で ある。 MP−Cを直接人が計数する場合は、数滴の固定した血液をスライドガラスに 載せ、標準の方法で染色し、カバーガラスをかぶせる。単球-血小板結合体の数 は少なくとも200個の単球を計数し、次いで1個またはそれ以上の血小板が結 合した単球の百分率を報告することにより決定される。この方法はフローサイト メトリーまたは細胞寸法測定装置、例えばセルカウンターが使用できない場合に 用いられる。 単球-血小板結合体を測定するもうひとつの方法は細胞表面積当たりの体積の 変化を検出することである。本発明のこの実施態様ではMP−Cと一致した体積 を有する細胞固着物の百分率が記録される。MP−Cの相対数が通常の範囲から 外れるとAMIが示唆される。 MP−Cを読み取るもうひとつの好ましい実施態様はフローサイトメトリーア ッセイによるものである。白血球を対象とした飽和濃度の抗体および血小板を対 象とした飽和濃度の抗体を適当な同型のコントロール試薬とともに用いる。白血 球を対象とした抗体の例としてCD13、CD14、およびCD45が含まれる 。血小板を対象とした抗体の例としてはCD41a、CD41bおよびCD42 aが含まれる。適切な標識を付けた同型コントロールの例としては同じ動物から であるが、無関係の抗原に対して調製されたIgG1抗体類が挙げられる。 好ましい実施態様で用いられる抗体は「レポータ分子」に結合する。本発明の 明細書およびクレームで用いる「レポータ分子」という言葉は、その化学的特性 により、抗原に結合した抗体を検出することができる分析同定の可能なシグナル を発する分子のことを言う。検出は定性的であっても、定量的であってもよい。 一般的なレポータ分子は酵素類、蛍光体類、または放射性ヌクレオチド含有分子 である。 本発明の好ましい実施態様では、パラホルムアルデヒド固定血液の少量試料を 2個の別の試験管に入れ、等張性塩緩衝液で2回洗浄する。フルオレセインイソ チオシアネート(FITC)を結合した飽和濃度の抗-CD45を両方の試験管 に加える。ビオチン付加抗-GPIIb/IIIa(CD41a)をひとつの試験管に 添加し、他方には適当に標識した同型のコントロールを加えた。適当に標識した 同型のコントロールの例としては同じ動物からであるが、無関係の抗原に対して 調製されたIgG1抗体類が挙げられる。次ぎに試験管は4℃で15分間インキ ュベートし、洗浄し、そしてフローサイトメトリーによる分析用として、PBS のような等張性緩衝液200μl中に再分散する。 別の実施態様では、本発明はまたAMI検出用の診断キットを目的としている 。キットには患者の血液試料中に存在する単球-血小板を検出し定量する装置と 試薬が含まれる。フローサイトメトリーまたは細胞カウンターとともに使用され るキットは白血球に対する特異性を有する抗体を含むことができるようにした第 1の容器を受け入れるように区分されている。第2の容器は血小板に特異性を有 し またレポーター分子に結合した抗体を含むように適合化される。予備測定した固 定液および抗凝血剤を含む減圧栓付きのガラスびんも用意されている。 フローサイトメトリーとともに使用するための好ましい診断試験キットはFI TCを結合した抗-CD45およびビオチン付加抗-GPIIb/IIIa(CD41 a)を含むように適合化した第1の容器およびアビジン結合したフィコエリトリ ン標識(PEアビジン)を含むように適合化した第2の容器を受け入れるように 区分される。予備測定した固定液および抗凝血剤を含む減圧栓付きガラス容器も 用意される。 本発明は更に以下の実施例によって説明するが、実施例は発明の範囲を限定す るものではない。 実施例1 冠動脈ダメージおよびAMIの指標としての単球−血小板結合体 全血中の血小板が結合した白血球のサブセットの割合をフローサイトメトリー 法により調べた。28人の冠動脈疾患(CAD)患者から採取した41の血液試 料と4つのコントロール血液を得た。7mlの血液をバキュテーナー(Vactainer )内へ採取した。試料はすぐに2%パラホルムアルデヒド、3.8%クエン酸ナト リウムのPBS溶液で固定化し、パラホルムアルデヒドの終濃度が1%であるフ ローサイトメトリー用溶液を調製した。 フローサイトメトリーはリンダーらの方法の変法を用いて行った。パラホルム アルデヒドで固定化した各末梢血液の100μlをそれぞれ2本の試験管へ投入 し、PBSで2回洗浄した。飽和濃度のFITC結合抗CD4(ベクトン−デッ キンソン・イムノサイトメトリー・システムス、カリホルニア州サンホセ)を両 方の試験管へ添加した。ビオチン化抗−GPIIb/IIIa(CD41a;エ ーエムエーシー、インコーポレイテッド、メリーランド州ウエストブロック)を 一方の試験管へ投入し、ビオチン化抗IgG1(同型コントロール)をもう一方 へ投入した。試験管を15分間4℃にてインキュベートし、その後PBSにて洗 浄、再懸濁した。次いで試料に飽和濃度のファイコエリスリン−アビジン(PE −アビジン)(ベクトン・ディッキンソン)を加えて4℃で15分間インキュベ ートし、200μlのPBSで洗浄および再懸濁してフローサイトメトリー分析 に用いた。 試料はファックスキャン(FACScan)フローサイトメーター(ベクトン −ディッキンソン)で分析し、リストモードでデータを蓄積した。この装置のF L1(FITC蛍光)に対する閾値設定した。この調節はCD45−FITCの 信号(全血細胞)を識別する最低レベルを定めるものであり、装置は設定した閾 値を越えない信号を検知しなくなる。この操作は試料中に存在し、測定しなくて もよい赤血球の影響を除くための簡便な方法である。前方および側方散乱光の組 み合わせを用い、単球およびPMNの領域を電子ゲートをかけるために定めるこ とができる(図2)。ゲートをかけた領域内に含まれるものを、CD41−PE が存在している(「赤色蛍光」)として分析する。同型コントロール抗体を含む 試験管を血小板陽性蛍光(CD41a−PE)の閾値(98%の信号が閾値以下 である)を設定するのに用いた。血小板陽性結合体の存在は単球およびPMNポ ピュレーションとして記録される(図3)。予備研究により、このフローサイト メトリーアッセイは1個のみの血小板が結合している白血球を検出できることが 分かっている(リンダーら、ブラッド78:1730−1737、1991)。 フローサイトメトリーアッセイを用いて血小板が結合している白血球サブセッ トの全血中の割合を調べた。血液を28人の冠動脈疾患の患者およびコントロー ルの8人から採取して調べた。表1に示したように、単球−血小板結合体(M− PC)はAMIの初期段階においてコントロールに対し、数倍の増加が認められ た(p<0.05)。M−PCの下図はAMI後48時間以内にベースラインまで 戻った。安定型または不安定狭心症の患者ではM−PCの上昇が認められなかっ た。 不安定狭心症(UAP)に起因する症状および病理はAMIのものと類似して いるにもかかわらず、UAPの患者においてM−PCレベルが正常範囲であるこ とは特記すべきことである。UAPは通常、重篤度が増すか、または頻度が増え たか、またはその両方である狭心痛のパターンの変化によって検出される。これ らの2つの病態の唯一の相違は、AMIにおいては血栓が永続性であるのに対し 、UAPにおいては血栓が自発的に消滅することのみである。UAPとAMIの M−PCのデータは、比較的高度の血小板活性化がAMIでは生じており、UA Pでは末梢血中では検出できない一過性の活性化のみが生じるということを示し ている。 図1はフローサイトメトリーにより解析した、典型的なAMI患者のヒストグ ラムデータである。M−PCの数は救急室への到着時に高く(A)、そしてスト レプトキナーゼ投与2時間後にも高い(B)、しかしながら、この値は4日後に はベースラインに戻っていた(C)。ヒストグラムは単球フラクションを囲い込 んで作成し、CD41a(血小板GPIIb/IIIa)の蛍光を分析した。カ ーソルの位置は同型のコントロールの分析により定めた。CD4陽性群の割合は 、少なくとも1個の血小板が結合している単球の割合を示す。(リンダーら、ブ ラッド78:1730−1737、1991)。 AMI患者におけるM−PCの顕著な増加は、血小板および単球活性化の強さ が他の虚血性心疾患の患者のものよりはるかに大きいことを示す。 実施例2 経皮的冠動脈内腔拡張術(PCTA)における単球−血小板レベルの研究 冠動脈内皮細胞のダメージと血小板の活性化の間の関係を調べるため、5人の 患者の経皮的冠動脈内腔拡張術(PCTA)の前および10分後のM−PCの割 合をフローサイトメトリーにて実施例1と同様にして測定した。図4に示したよ うに、PCTA直後の単球−血小板結合体の割合に有意な増加が認められた(p <0.05)。PTCA前のM−PC値は正常範囲(5.6±1.69)であった 。PTCAの10分後にはしかしながら、17.2±5.34%のM−PCが検出 された。M−PCはPTCAの1時間後にはベースラインまで戻っていた(表1 )。PTCA後のM−PC結合体の末梢血中の相対数は、AMIの患者に認めら れたレベルより低かった。 これらの所見は、内皮細胞の傷害、血小板の活性化およびM−PCの形成の程 度は、バルーンに誘導された血管の傷害後に生じる場合の方が、AMIへ結び付 く自然発生の冠動脈血栓症の場合より低いことを示唆する。 これらのデータから、末梢静脈血中のM−PCレベルをAMIの早期発見のた めに用い得ること、およびM−PCレベルがベースラインを越えて増加する場合 、冠動脈内皮細胞のダメージがあること、および血小板が活性化されていること が予測できる。M−PCレベルが不安定狭心症において高くないという事実は、 内皮細胞のダメージの程度および危険度もしくは血栓の安定性を特に考慮しなく てはならないということを示唆する。M−PC結合体は末梢血中、AMI後およ そ24時間乃至48時間、およびPCTA後およそ1時間持続する。 PCTAを受けた患者におけるM−PCレベルの僅かな一時的上昇は、血小板 −白血球活性化の程度がAMIにおける場合の程度と同一ではないことを示唆す る。M−PCは従って、AMIの診断のための重要な道具であり、さらに冠動脈 内皮細胞の血管の傷害および血小板活性化のインデックスとなることが判明した 。 実施例3 冠動脈内皮細胞のダメージおよびAMIの指標としての循環ICAM−1 数多くの動物実験において、好中球が心筋虚血性疾患および心筋梗塞において 重要な役割を担っていることが分かっている。初期症状の検出において、この好 中球が診断および治療の標的となり得ることを予測して、白血球−内皮細胞接着 を媒介する細胞内接着分子(ICAM−1)を用いた研究を行った。 ICAM−1が閉塞/再循環の後に内皮細胞上で産生されることが示唆されて いる。接着分子の発散は、接着を調節、制御するための強力な方法であるので、 血清内にて循環している接着分子は冠動脈内皮細胞のダメージおよびAMIの早 期標識となり得ると考えられる。87人の虚血性心臓疾患患者からの血清および 16人からのコントロール血清中の、循環ICAM−1(cICAM−1)の存 在の有無を酵素結合免疫アッセイ(ELISA)によって調べた。アッセイは市 販品の説明書に従って行った。コントロールに対するcICAM−1のレベルの 有意な増加が安定型狭心症の患者(N=30;p<0.05)、不安定狭心症の 患者(N=39;p<0.05)およびAMIの患者(N−18;p<0.05) において認められた(図5)。これらの結果はcICAM−1がAMIの標識と しては有用でないことを示す。 cICAM−1と冠動脈内皮細胞のダメージとの相関関係を、経皮的冠動脈内 腔拡張術(PTCA)の前および10分後の患者のcICAM−1レベルを調べる ことによって調べた。虚血性心臓疾患において認められるcICAM−1レベル の増加が、直接冠動脈の内皮細胞のダメージと結び付いているならば、PTCA によってcICAM−1のベースレベルからの増加が誘導されるはずである。し かしながら、cICAM−1レベルの有意な増加はPTCAの後には認められな かった(図6)。これらのデータは、虚血性心臓疾患における虚血性内皮細胞にお けるcICAM−1レベルの増加が活性化の定常状態であることを示唆する。 実施例4 スライドグラス上の試料を顕微鏡で見てマニュアルで計数する、単球−血小板結 合体レベルの測定方法 パラホルムアルデヒドにて固定化した血液試料から血液のスメアを調製した。 血液試料の小滴を顕微鏡用スライド上に乗せ、乾燥させ、メタノールで固定化し た。このスライドグラスをライトの染色液または他のタイプのロマノフスキー染 色にて染色し、カバーグラスをかけた。少なくとも200個の単球が形態的に同 定でき、1または複数の血小板が付着している単球を記録した。MP−Cレベル が約10%またはそれ以上の場合をAMIの指標として用いる。 実施例5 電気抵抗パルスサイジングまたは散乱光による単球−血小板結合体レベルの測定 最初の7mlの固定化血液試料から分取した少量の試料をセルカウンター、例 えば通常のフローサイトメーターまたは電子サイジング機能を有するフローサイ トメーターへ導いた。装置は細胞の接着割合を同定するようプログラムされてお り、これはMP−Cに相応する。10%またはそれ以上のMP−CレベルをAM Iの指標として用いた。 実施例6 AMI診断のためのフローサイトメトリーを用いる診断テストキット MP−Cレベルをフローサイトメトリーアッセイを利用して測定するテストキ ットには、先に量を測定しておいたパラホルムアルデヒドとクエン酸ナトリウム を含有する減圧栓つきバイアルを含む。FITC結合抗CD45およびビオチン 付加抗GPIIb/IIIa(CD41a)を他のバイアルもしくは試験管へ入 れたもの、アビジン結合ファイコエリスリン標識を他のバイアルもしくは試験管 へ入れたものも含む。陽性AMI血液試料および陰性AMI血液試料も同時に提 供する。試験は実施例1の手法に従って行う。 実施例7 見かけ上の単球細胞体積の増加を検出するための、診断テストキット MP−Cレベルを測定する第3のテストキットには、減圧栓つき試験管に固定 液および抗凝固剤を予め測定された量含有するものを含む。陽性AMI血液試料 および陰性AMI血液試料もまたキットに含まれる。 上述の実施例は本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるもの ではないことが理解されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI G01N 33/49 0276−2J G01N 33/49 X 33/53 0276−2J 33/53 K 0276−2J L 0276−2J U

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.患者から血液試料を採取し、該試料内の単球−血小板結合体を定量すること を含む、患者の急性心筋梗塞症の検出方法。 2.該定量を、スライドガラス上の試料を顕微鏡で観察して単球−血小板結合体 の数をマニュアルで計測することによって行う、第1項記載の検出方法。 3.該定量を、フローサイトメトリーにより行う、第1項記載の検出方法。 4.該定量を、セルカウンターを用いて行う、第1項記載の検出方法。 5.該定量を、電気抵抗パルスサイジング様式のセルカウンターを用いて行う、 第1項記載の検出方法。 6.該定量を、散乱光様式のセルカウンターを用いて行う、第1項記載の検出方 法。 7.単球−血小板結合体定量のための手段を含む、患者の急性心筋梗塞症の検出 のための診断用テストキット。 8.白血球細胞に対する特異性を有し、レポーター分子が結合している第1抗体 と、血小板に対する特異性を有し、レポーター分子が結合している第2抗体を含 有するための容器を収め、そして予め計量した固定液および抗凝固剤を含有する 減圧栓付バイアルを収めるよう、区分分けされている、患者における急性心筋梗 塞発生の検出のための診断用テストキット。 9.固定液および抗凝固剤を含有する減圧栓付きの血液試料採取用試験管を有す る、単球−血小板結合体の数を直接計数することによって患者における急性心筋 梗塞発生の検出をするための、診断用テストキット。 10.a)固定液および抗凝固剤を含有する減圧栓付きの血液試料採取用試験管 、 b)白血球細胞および血小板に対する標識した抗体、 c)レポーター分子検出系 を有する、患者における急性心筋梗塞発生の検出をするための、診断用テストキ ット。 11.a)固定液および抗凝固剤を含有する減圧栓付きの血液試料採取用試験管 、 b)FITC結合抗CD45およびビオチン化抗GPIIb/IIIa(CD4 1a):および、 c)PE−アビジン を含有する、患者における急性心筋梗塞発生の検出をするための、診断用テスト キット。 12.さらにa)AMI陽性血液試料;および b)AMI陰性血液試料 を有する、第11項記載のテストキット。 13.さらに、 a)血液試料を2%パラホルムアルデヒドおよび3.8%のクエン酸ナトリウム 内で即座に固定化する、 b)固定化血液試料をFITC−抗−C45およびビオチン化抗GPIIb/I II(CD41a)と共にインキュベートする、 c)血液試料を飽和濃度のPE−アビジンにてインキュベートする、 d)反応させた血液試料を洗浄し、再懸濁する;および e)単球−血小板結合体を定量する 工程を含む、第1項記載の方法。 14.工程e)がフローサイトメトリーにより行われる、第13項記載の方法。 15.工程e)が見かけの細胞体積を測定する装置によって行われる、第13項 記載の方法。 16.工程e)がクールター・カウンターを用いて行われる、第13項記載の方 法。 17.工程e)がテクニコンH1を用いて行われる、第13項記載の方法。 18.工程e)がテクニコンH2を用いて行われる、第13項記載の方法。
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