JPH0977705A - アルコールの酸化反応剤及びそれを用いた酸化方法 - Google Patents

アルコールの酸化反応剤及びそれを用いた酸化方法

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JPH0977705A
JPH0977705A JP26225895A JP26225895A JPH0977705A JP H0977705 A JPH0977705 A JP H0977705A JP 26225895 A JP26225895 A JP 26225895A JP 26225895 A JP26225895 A JP 26225895A JP H0977705 A JPH0977705 A JP H0977705A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン酸類を用い、アルコール類を高い転
化率および選択率で酸化し、対応するカルボニル化化合
物を生成させる。 【解決手段】 式 M(XO3 n(式中、Mは水素原
子又は金属、Xはハロゲン原子を示し、nは1又は前記
金属Mの価数を示す)で表されるハロゲン酸又はその塩
(臭素酸,ヨウ素酸又はこれらのアルカリ金属塩など)
と、還元性無機化合物(亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ
硫酸塩、ピロ亜硫酸塩など)とで構成された酸化反応剤
を用い、一級又は二級アルコールを酸化することによ
り、対応するカルボニル化生成物を化学量論的に生成さ
せる。一級アルコールからは酸化的エステル化によりエ
ステルやカルボン酸、二級アルコールからは対応するケ
トン、α,ω−ジオールからは対応するラクトン又はジ
カルボン酸が生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液相酸化反応にお
いて、アルコールからエステル、ケトン、ラクトン又は
ジカルボン酸などを生成させる上で有用なアルコールの
酸化反応剤およびこの触媒を用いたアルコールの酸化方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン酸及びその塩(以下、ハロゲン
酸類と称する場合がある)は、工業的に利用価値の高い
酸化物として古くから活用されており、アルコール類の
酸化のみならず、アルデヒド類の酸化、オレフィン類や
パラフィン類の酸化、酸化脱水素、酸化開裂などの反応
において高い活性を示すことが知られている。酸化剤と
してのハロゲン類としては、前記ハロゲン酸の他、ハロ
ゲン、次亜ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸、ハロゲン酸フ
ッ化物、N−ハロゲン酸アミド、次亜ハロゲン酸エステ
ル、ヨードシル化合物などがよく利用されている。ハロ
ゲン酸類は、酸化反応全般に利用できる比較的安価な酸
化物であるとともに、ハンドリングが容易であり、代表
的な空気酸化や過酸化物を用いた酸化反応などに比べて
も非常に安全であり、かつコントロールしやすいという
利点がある。また、化学量論的に反応が進行するため、
使用量により反応を制御することが可能であり、他の一
般的な酸化反応では困難な高い酸化選択性が得られる利
点もある。従って、前記ハロゲン酸類を用いる酸化方法
は、工業的には付加価値の高い化合物(例えば、医薬、
農薬などの原体など)を少量バッチ生産する上で有効な
手段として活用されている。
【0003】ハロゲン酸類を酸化剤として利用する方法
は、主に、3種類、すなわち、(1)ハロゲンを単独又
は有機溶媒中で用いる方法、(2)酸性溶液中、次亜ハ
ロゲン酸を用いる方法、(3)アルカリまたは炭酸塩と
ともハロゲンを次亜ハロゲン酸塩として用いる方法に大
別される。これらの方法のうち、(1)の方法は、ハロ
ゲンガスを大量に使用するため、環境上の問題から大規
模な除害設備が必要となるだけでなく、将来的には法的
規制を受ける可能性が強い。また、(2)の方法は、反
応系を酸性にする必要があるため、副反応が生じる場合
が多く、酸化反応生成物の選択性が低下する。さらに酸
性下において酸化活性種たる次亜ハロゲン酸への分解効
率で小さいため、通常、被酸化物(基質)に対して3〜
10倍モル量以上の過剰なハロゲン酸類が必要となり、
経済的に不利である。これに対して、(3)の方法は、
酸化活性種が比較的安定な塩の形態で存在するため、取
り扱い性が容易であり、基質に対して若干過剰量の次亜
ハロゲン酸塩を使用すればよいという利点がある。
【0004】そこで、前記(3)の方法に関して、いく
つかの酸化技術の改良が提案されている。例えば、特開
昭62−155225には、アルカリ性媒体中、亜臭素
酸又はその塩に対して、活性化剤として、マグネシウ
ム、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、
銅、亜鉛、ルテニウムの単体、又はこれらの金属の塩
(硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、塩酸塩、燐酸塩)を添加
し、炭化水素類やアルコール類を液相で酸化する方法が
開示されている。この文献には、ジオールからジケト
ン、ラクトンなどを生成させる例が記載されている。ま
た、特開平1−151532号公報および特開平1−1
51534号公報には、アルミナ又はシリカゲルの存在
下、水に不溶な不活性有機溶媒中、固体の亜臭素酸塩と
アルコールとを反応させ、ケトンやアルデヒドを生成さ
せる方法が開示されている。
【0005】しかし、これらの方法は、一部のアルコー
ル基質を除いて酸化収率が50%〜80%程度と低く、
反応後の精製処理が必要となる。また、各種の金属や重
金属化合物を添加するため、反応後の廃棄物処理に特殊
な設備などを必要とする。
【0006】一方、ジオール類の酸化反応では、ジケト
ン、ジアルデヒド、ジカルボン酸、ケトアルデヒド、ケ
ト酸、ラクトン、ケトルアルコール、ヒドロキシアルデ
ヒドなどの工業的に極めて利用価値の高い化合物が得ら
れる。そのため、ジオール類についても様々な酸化手法
が検討され、前記酸化反応生成物を選択的に製造する方
法が試みられている。例えば、ハロゲン又は含ハロゲン
化合物を用いる手法以外にも、一般的なアルコール化合
物の酸化方法として、(1)分子状酸素を酸化剤として
用いるラジカル的な手法、(2)クロム酸やマンガン酸
などの金属酸化物を用いる手法、(3)複合金属種であ
る固体酸触媒を用いる手法、(4)有機又は無機の過酸
化物を用いる手法、(5)カルボニル化合物などを水素
受容体とした金属錯体を用い、錯体上での配位子交換に
よる手法などが検討されている。しかし、ジオール類の
酸化では、反応を制御する必要性などから、前記の一般
的な手法が広く適用できず、しかも、これらの手法が適
用できる場合でも反応条件が厳しく限定される。また、
ジオール類の酸化方法では、様々な組み合わせの酸化生
成物が得られるため、反応後の処理・精製の煩雑さを避
けるためには、酸化反応において高い転化率および反応
選択性が求められている。
【0007】このような点から、ジオール類は、非常に
特殊な酸化系で酸化する場合が多い。例えば、ジオール
類から対応するジケトンを生成させる酸化方法として、
酸化クロム(VI)−ピリジン錯体による酸化[Sarett
法、Cornforth法]、DMSO酸化法、NaIO3 やK
IO3 を用いる酸化方法、Pt/O2 空気酸化法などが
知られている。また、ジオール類から対応するケトアル
コールを生成させる酸化方法としては、四酢酸鉛/ピリ
ジンを用いる方法や次亜ハロゲン酸/硝酸アンモニウム
塩を用いる方法も知られている。これらの方法では、い
ずれも比較的高い反応効率および選択率で目的化合物を
生成させることができ、有効な酸化方法である。一方、
隣接する炭素原子にヒドロキシル基が結合したビシナル
なジオール類の酸化反応では、酸化過程で炭素−炭素間
結合の開裂(グリコール開裂)が生じやすいので、対応
する1,2−ジケトンやアシロインを選択的に生成させ
ることが特に困難である。そこで、選択性を高めるため
には、過剰量の炭酸銀/セライト試薬を用いるFetizon
法などの限られた方法しか採用できない。
【0008】このように、各種アルコール類に対して汎
用の酸化方法は極めて例が少なく、とりわけ工業的に有
利な酸化剤であるハロゲン酸類を利用した汎用性のある
酸化方法は確立されていない。
【0009】ハロゲン酸類を用いた化学量論的な反応に
関し、H5 IO6 又はNaBrO3とNaHSO3 とを
用いることにより、オレフィン類などの不飽和炭化水素
から対応するハロヒドリン誘導体が高い収率で生成する
(J. Org. Chem., 59, 5550-5555(1994))。この方法
では、例えば、オレフィンから対応するハロヒドリンが
生成し、α,β−不飽和カルボニル化合物から対応する
α−ハロアルドールが生成し、アリルアルコールから対
応する2−ハロ−1,3−ジオールが生成し、アルキン
から対応するケトン,ジケトン又はα,α−ジハロケト
ンを高い収率で生成させることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ハロ
ゲン酸類を用い、高い反応性および選択性で、アルコー
ル類を酸化できる反応剤およびそれを用いた酸化方法を
提供することにある。本発明の他の目的は、温和な条件
下であっても、化学量論的に高い転化率および選択率で
アルコール類を酸化できる反応剤およびそれを用いた酸
化方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的
は、各種アルコール類に対して汎用性のある酸化反応剤
およびそれを用いた酸化方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、NaBrO3 /NaH
SO3 酸化系を、一級アルコールやα,ω−ジオールな
どのアルコール類の酸化反応に適用したところ、一級ア
ルコールからは酸化的エステル化によりエステルが生成
し、α,ω−ジオールからは対応する環状エステルがそ
れぞれ高い収率で生成することを見いだし、さらに検討
を重ねた結果、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明のアルコールの酸化反応
剤は、下記式 M(XO3 n (式中、Mは水素原子又は金属、Xはハロゲン原子を示
し、nは1又は前記金属Mの価数を示す)で表されるハ
ロゲン酸又はその塩と、還元性無機化合物とで構成され
ている。前記ハロゲン酸又はその塩は、Mが水素原子又
は1〜3価金属、Xが塩素、臭素又はヨウ素原子、nが
1〜3の整数のハロゲン酸又はその塩、例えば、塩素
酸、臭素酸又はヨウ素酸あるいはこれらの塩であっても
よい。前記還元性無機化合物には、例えば、亜硫酸塩、
亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ピロ亜硫酸塩などが含まれ
る。ハロゲン酸又はその塩1当量に対する還元性無機化
合物の割合は、例えば、0.1〜5当量程度の範囲から
選択してもよい。
【0013】本発明の方法では、前記酸化反応剤によ
り、一級又は二級アルコールを酸化させる。この方法で
は、一価又は多価アルコールを液相で酸化させることが
できる。前記酸化反応を利用すると、アルコール類の種
類、ヒドロキシル基の置換部位に応じて、種々の対応す
るカルボニル化合物を生成させることができる。例え
ば、一級アルコールから対応するエステル又はカルボン
酸を生成させることができ、二級アルコールから対応す
るケトンを、ジオールから対応するラクトン又はジカル
ボン酸を生成させることができる。さらに、本発明の方
法では、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸又はこれらの塩と、
亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩又はピロ亜硫酸塩
とで構成された反応剤により、アルコール類を液相で酸
化する方法、ハロゲン酸又はその塩に、活性化剤として
還元性無機化合物を添加してアルコール類の酸化を促進
する方法などが含まれる。なお、本明細書において、ヒ
ドロキシル基が一級アルコール基又は二級アルコール基
である化合物(例えば、一価アルコール、ジオールおよ
びポリオール)のみならず、ヒドロキシル基が低級アル
コキシ基に転換されたアルコール、アセタールやヘミア
セタールなどの誘導体も、「アルコール類」と総称す
る。また、特に言及しない限り、ハロゲン酸又はその塩
を総称して「ハロゲン酸類」という場合がある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で用いるハロゲン酸又はそ
の塩は、式 M(XO3 n で表される。(式中、Mは
水素原子又は金属、Xはハロゲン原子を示し、nは1又
は前記金属の価数を示す) Mで表される金属の種類は、ハロゲン酸の活性を損わな
い限り特に制限されず、例えば、Na,K,Liなどの
アルカリ金属(周期表1A族金属)、Mg,Ca,S
r,Baなどのアルカリ土類金属(周期表2A族金
属)、Sc,Yなどの周期表3A族金属、Ti,Zrな
どの周期表4A族金属、V、Nbなどの周期表5A族金
属、Cr,Mo,Wなどの周期表6A族金属、Mn,T
cなどの周期表7A族金属、Fe,Ru,Co,Rh,
Ni,Pd,Ptなどの遷移金属(周期表8族金属)、
Cu,Ag,Auなどの周期表1B族金属、Zn,Cd
などの周期表2B族金属、Al,Gaなどの周期表3B
族金属、Sn,Pbなどの周期表4B族金属、Sb,B
iなどの周期表5B族金属などが含まれる。好ましい金
属Mは、水溶性ハロゲン酸塩を形成する場合が多い。
【0015】好ましいMには、水素原子又は1〜3価金
属、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムな
ど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムな
ど)、アルミニウムなどが含まれる。経済性および安全
性などを考慮すると、前記Mはナトリウム、カリウムな
どのアルカリ金属である場合が多い。
【0016】Xで表されるハロゲン原子には、フッ素、
塩素、臭素およびヨウ素原子が含まれる。好ましいハロ
ゲン原子は、塩素、臭素およびヨウ素原子、特に臭素原
子である。なお、次亜ハロゲン酸を用いる酸化反応にお
いて、酸化力はCl>Br>Iの順序で低下することが
知られているが、ハロゲン酸又はその塩では、むしろX
が臭素原子およびヨウ素原子である化合物が高い酸化活
性を示す。nは1又は前記金属Mの価数であり、1〜3
程度である場合が多い。
【0017】好ましいハロゲン酸又はその塩の具体例と
しては、例えば、臭素酸、臭素酸アルカリ金属塩(臭素
酸ナトリウムNaBrO3 、臭素酸カリウムKBr
3 、臭素酸リチウムなど)、臭素酸アルカリ土類金属
塩(臭素酸マグネシウム、臭素酸カルシウムなど)、臭
素酸亜鉛、臭素酸アルミニウム、これらの臭素酸又はそ
の塩に対応する塩素酸又はヨウ素酸若しくはこれらの塩
(例えば、塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウムな
ど)などが挙げられる。これらのハロゲン酸又はその塩
は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これら
のハロゲン酸又はその塩のうち、臭素酸、臭素酸アルカ
リ金属塩(臭素酸ナトリウムNaBrO3 、臭素酸カリ
ウムKBrO3 、臭素酸リチウムなど)、塩素酸又は塩
素酸アルカリ金属塩、ヨウ素酸又はヨウ素酸アルカリ金
属塩、特に臭素酸アルカリ金属塩を用いる場合が多い。
【0018】なお、前記ハロゲン酸類は、反応系中で生
成すればよく、例えば、臭素酸アルカリ金属塩は、対応
するアルカリ金属水酸化物を含む水溶液に臭素を吹き込
むことにより生成させてもよい。前記ハロゲン酸類は、
結晶などの固体、水溶液、又は適当な有機溶媒溶液とし
て使用でき、水溶液として使用するばいが多い。
【0019】本発明の特色は、前記ハロゲン酸類と、還
元性無機化合物とを組み合わせている点にある。このよ
うな組み合わせにより構成される酸化反応剤(反応系)
は、アルコール類に対して高い酸化能を有するだけでな
く、選択的に酸化する能力が高い。特に、還元性無機化
合物の添加により、酸化反応が大きく促進される。その
ため、還元性無機化合物は、ハロゲン酸類の活性化剤と
して機能するようである。
【0020】前記還元性無機化合物には、種々の無機化
合物、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、
リチウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カ
ルシウムなど)、アルミニウム、クロム、マンガン、遷
移金属(鉄、ニッケルなど)、銅、亜鉛などの金属単
体、又はこれらの金属又はアンモニアと無機酸との塩
(例えば、硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸
塩、ピロ亜硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、リン酸塩、炭酸塩
など)などが含まれる。これらの無機化合物のうち、
アルカリ金属、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩
は、ハロゲン酸類の活性を高める上で極めて有用であ
る。なお、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシ
ウムなど)、アルミニウム、クロム、マンガン又はこれ
らの塩は、遷移金属(鉄、ニッケルなど)、銅、亜鉛
又はこれらの塩に比べて、比較的高い反応活性を示す。
【0021】好ましい還元性無機化合物には、前記のよ
うにアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、特に、亜硫酸
金属塩(例えば、亜硫酸ナトリウムNa2 SO3 、亜硫
酸カリウムの亜硫酸アルカリ金属塩、亜硫酸アンモニウ
ムなど)、亜硫酸水素金属塩(例えば、亜硫酸水素ナト
リウムNaHSO3 ,亜硫酸水素カリウムなどの亜硫酸
水素アルカリ金属塩、亜硫酸アンモニウム塩など)、チ
オ硫酸金属塩(例えば、チオ硫酸ナトリウムNa2 2
3 、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸アルカリ金属
塩、チオ硫酸アンモニウムなど)、ピロ亜硫酸塩(ピロ
亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムなどのピロ亜硫
酸アルカリ金属塩、ピロ亜硫酸アンモニウムなど)など
が含まれる。これらの還元性無機化合物は、単独で又は
二種以上組み合わせて使用できる。還元性化合物として
は、亜硫酸金属塩、亜硫酸水素金属塩、チオ硫酸金属塩
などを用いる場合が多い。
【0022】還元性無機化合物の使用量は、ハロゲン酸
類の活性および選択的酸化能を損わない範囲で選択で
き、例えば、ハロゲン酸換算で、ハロゲン酸類1当量に
対して、0.1〜5当量、好ましくは0.25〜2.5
当量、さらに好ましくは0.5〜1.5当量程度であ
る。還元性無機化合物は、ハロゲン酸類1当量に対して
0.7〜1.3当量、特に0.9〜1.1当量程度の割
合で使用する場合が多い。
【0023】このような酸化反応剤(酸化系)は、アル
コール類から選択的にカルボニル化化合物を生成させる
上で有用であり、ハロゲン酸類や還元性無機化合物の種
類又は添加量を選択することにより、各種アルコール類
を選択的に酸化でき、汎用性が高い。そのため、本発明
の方法では、前記酸化反応剤を用いて、アルコール類を
酸化する。
【0024】アルコール類としては、一級アルコール基
を有する一級アルコール、二級アルコール基を有する二
級アルコールが使用でき、アルコール類は、一価又は多
価アルコールであってもよい。アルコール類のうち一価
アルコール類には、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−
ブチルアルコール、ペンチルアルコール、2−ペンタノ
ール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコー
ル、ヘキシルアルコール、2−ヘキサノール、3−ヘキ
サノール、イソヘキシルアルコール、ヘプチルアルコー
ル、2−ヘプタノール、オクチルアルコール、2−オク
タノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアル
コール、デシルアルコール、アリルアルコール、クロチ
ルアルコール、プロパルギルアルコール、ゲラニオー
ル、フィトールなどの炭素数1〜20程度の直鎖状又は
分岐鎖状の脂肪族アルコール(飽和又は不飽和脂肪族ア
ルコール);シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロ
ヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、4−t
−ブチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シ
クロオクタノールなどの置換基(アルキル基など)を有
していてもよい炭素数3〜12程度の脂環族アルコー
ル;ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シン
ナミルアルコール、サリチルアルコール、1,1−ジフ
ェニルメタノール、2−フェニル−2−エタノール、
1,1−ジフェニルエタノールなどの芳香族アルコー
ル;フルフリルアルコールなどの複素環式アルコールな
どが含まれる。
【0025】多価アルコール類には、例えば、エチレン
グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロ
パンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタ
ンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ヘキ
サンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘ
キサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−
ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1−
フェニル−1,2−エタンジオール、1,2−ジフェニ
ルエタンジオールなどの置換基を有していてもよいアル
キレングリコール(例えば、炭素数2〜20程度のアル
キレングリコール);ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコールなどのオキシエチレン単位の繰返し数2
〜20程度のポリエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコールなどのオキシプロ
ピレン単位の繰返し数2〜20程度のポリプロピレング
リコール、オキシテトラメチレン単位の繰返し数2〜2
0程度のポリテトラメチレングリコールなどのオキシア
ルキレングリコール;グリセリン、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
どの3以上のヒドロキシル基を有する脂肪族多価アルコ
ール;1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シク
ロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオー
ル、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、1,2−シクロヘプタンジオール、
1,3−シクロヘプタンジオール、1,4−シクロヘプ
タンジオール、1,2−シクロオクタンジオール、1,
3−シクロオクタンジオール、1,4−シクロオクタン
ジオール、1,5−シクロオクタンジオール、ビス(4
−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、メント
ール、ボルネオールなどの環状多価アルコール;単糖類
(例えば、トレオース、アラビノース、リボース、キシ
ロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フル
クトースなど)、2〜10の単糖単位を含むオリゴ糖類
(例えば、スクロース、マルトース、ラクトースなどの
2糖類;ラフィノースなどの3糖類など)、11以上の
単糖単位を含む多糖類(デンプン、可溶性デンプンな
ど)などの糖類;ペンタエリトリット、エリトリット、
アラビット、キシリット、ソルビット、マンニット、イ
ノシットなどの糖アルコール;ソルビットの分子内脱水
縮合物(1,4−ソルビタン、3,6−ソルビタン、
1,5−ソルビタン、1,4,3,6−ソルビドな
ど)、マンニットの分子内脱水縮合物(マンニタンな
ど)などの鎖状糖アルコールの分子内脱水縮合生成物;
およびコレステロール、テストステロールなどのステロ
イド化合物などが含まれる。
【0026】これらのアルコール類は、前記のようにヒ
ドロキシル基が脱離可能な保護基(例えば、C1-2アル
コキシ基などの低級アルコキシ基)に転換されたアルコ
ール、アセタールやヘミアセタールなどの誘導体であっ
てもよく、二重結合などの不飽和結合を有していてもよ
く、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、C1-6 低級
アルコキシ基)、カルボニル基、アシル基(例えば、C
1-7 低級アシル基)、カルボキシル基、アルコキシカル
ボニル基(例えば、C1-6 低級アルコキシ−カルボニル
基)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、モノ−又
はジ−C1-4 アルキルアミノ基)などの官能基を有する
アルコール類であってもよい。
【0027】前記酸化反応を利用すると、アルコール類
の種類、ヒドロキシル基の置換部位に応じて、種々の対
応するカルボニル化合物を高い転化率で選択的に生成さ
せることができる。例えば、基質ジオールのヒドロキシ
ル基を選択的に酸化し、化学量論的な収率および高い選
択率で対応するカルボニル化合物を生成させることがで
きる。また、従来では達成することが困難であった多価
アルコールの選択的な酸化、例えば、ジオール、グリセ
リン類、糖類やステロイドなどの天然化合物をヒドロキ
シル基の部位で選択的に酸化することもできる。特に、
一級ヒドロキシル基と二級ヒドロキシル基とを有する多
価アルコール類の酸化では、ハロゲン酸類の添加量を制
御することにより、二級ヒドロキシル基の酸化を優先的
に進行させ、高い選択率でヒドロキシケトン化合物を優
先的に生成させることができる。さらに、複数の二級ヒ
ドロキシル基を有する多価アルコールに対するハロゲン
酸類の量を増加させるにつれて、複数のヒドロキシル基
を順次オキソ基に変換できる。例えば、2個の二級ヒド
ロキシル基を有するジオールに対して、ハロゲン酸又は
過ヨウ素酸換算で、ハロゲン酸類を1〜1.5モル程度
用いると、一方のヒドロキシル基をオキソ基に変換で
き、ハロゲン酸類を2〜2.5モル程度用いると、双方
のヒドロキシル基をオキソ基に変換できる。
【0028】より詳細には、例えば、下記式(1)で表
される一級アルコールから下記式(2a)で表されるエ
ステルを、酸化的エステル化反応により、選択的に生成
させることができるとともに、前記一級アルコール
(1)から対応するカルボン酸(2b)を選択的に生成
させることもできる。
【0029】
【化3】 (式中、R1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニ
ル基、シクロアルキル基、アラルキル基を示す) 前記式において、R1 で表されるアルキル基には、前記
アルコール類に対応する直鎖状又は分枝鎖状C1-20アル
キル基(好ましくはC2-10アルキル基)が含まれ、アル
ケニル基には、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−
プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル基
などのC2-10アルケニル基が含まれ、アルキニル基に
は、例えば、エチニル、プロピニル基などのC2-10アル
キニル基が含まれる。R1 で表されるシクロアルキル基
としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シク
ロオクチルなどのC3-20シクロアルキル基(好ましくは
4-10シクロアルキル基)が含まれ、アラルキル基に
は、例えば、ベンジル、フェネチル基などのC6-12アリ
ール−C1-4アルキル基などが含まれる。
【0030】前記エステル(2a)とカルボン酸(2
b)は、アルコール(1)に対するハロゲン酸類および
還元性無機化合物の量を調整することにより効率よく生
成させることができる。例えば、前記エステル(2a)
は、一級アルコール(1)のヒドロキシル基に対してハ
ロゲン酸類を2.5当量未満(例えば、1〜2.3当
量、好ましくは1〜2当量程度)、還元性無機化合物を
2.5当量未満(例えば、1〜2.3当量、好ましくは
1〜2当量程度)使用することにより、効率よく生成さ
せることができ、カルボン酸(2b)は、一級アルコー
ル(1)のヒドロキシル基に対してハロゲン酸類2.5
当量以上(例えば、2.5〜5当量、好ましくは2.7
〜4当量程度)、還元性無機化合物2.5当量以上(例
えば、2.5〜5当量、好ましくは2.7〜4当量程
度)を使用することにより、効率よく生成させることが
できさらに、カルボン酸(2b)は、酸の存在下又は酸
性条件下、特に前記一級アルコール(1)に対するハロ
ゲン酸類および還元性無機化合物の量が多い系で反応さ
せることによっても高い収率で得ることができる。前記
酸としては、種々のプロトン酸(無機酸、有機カルボン
酸)が使用できる。無機酸には、例えば、フッ化水素
酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのハロゲン化
水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸などが含まれる。有機
カルボン酸には、例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢
酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸などの飽和カルボ
ン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸などの飽和ジカルボ
ン酸、マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、グリコー
ル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのなどの
オキシカルボン酸などが含まれる。有機カルボン酸とし
ては、水溶性有機カルボン酸を用いる場合が多い。これ
らの酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用で
き、前記無機酸と有機カルボン酸とを組み合わせて使用
してもよい。
【0031】前記プロトン酸で調整される反応系は、酸
性であればよく、pH5以下(例えば、0.1〜5程
度)、好ましくはpH3以下(例えば、0.5〜3程
度)である。前記プロトン酸の使用量は、酸化反応を促
進できる範囲で選択でき、例えば、ハロゲン酸類1当量
に対して、0.1〜5当量、好ましくは0.3〜3当
量、さらに好ましくは0.5〜2.5当量程度である場
合が多い。
【0032】また、本発明の酸化方法では、下記反応式
で表されるように、二級アルコール(3)から対応する
ケトン(4)を選択的に生成させることもできる。
【0033】
【化4】 (式中、R2 及びR3 は、同一又は異なって、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、
アラルキル基を示し、R2 とR3 は互いに結合して非芳
香族環を形成してもよい) この反応において、過剰量のハロゲン酸類び還元性無機
化合物を用い、脂環族アルコールを酸化すると、α−ハ
ロゲノケトンの生成量が増加する。そのため、ハロゲン
酸類と還元性無機化合物の使用量をコントロールするこ
とにより、アルコールからケトン及びα−ハロゲノケト
ンを選択的に合成できる。例えば、基質アルコール類に
対して、ハロゲン酸類を2.5当量以下(例えば、1.
2当量程度)、還元性無機化合物を2.5当量以下(例
えば、1.2当量程度)用いると、対応するケトンが高
い収率で得られ、ハロゲン酸類を3当量以上(例えば、
3〜5当量程度)、還元性無機化合物を3当量以上(例
えば、3〜4当量程度)用いると、α−ハロゲノケトン
を高い収率で得ることができる。
【0034】R2 及びR3 で表されるアルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキ
ル基としては、前記R1 の項で説明したのと同様の基が
挙げられる。非芳香族環には、前記シクロアルキル基に
対応する環、例えば、C4-10シクロアルカン環などが含
まれる。ケトンの生成反応において、二級アルコールと
しては、二級ヒドロキシル基を有する一価又は多価の脂
肪族アルコール(例えば、C3-10アルコール又はC3-10
ジオールなど)、脂環族アルコール(例えば、C4-10
クロアルカン環を有する脂環族アルコールなど)を用い
る場合が多い。
【0035】さらに、下記反応式で表されるように、一
級アルコール基を有するジオール(5)から対応するラ
クトン(6a)又はジカルボン酸(6b)を生成させる
こともできる。
【0036】
【化5】 (式中、R4 は水素原子又はメチル基を示し、nは3以
上の整数を示す、R4 は繰返し数nにより異なっていて
もよい) この反応式において、前記酸化反応剤の種類や量などに
もよるが、n=3〜5程度のジオールを酸化すると、対
応するラクトンが生成しやすく、nが5以上(特にnが
6以上、例えば、n=7〜20、好ましくはn=8〜1
6程度)の炭素鎖の長いジオールを酸化すると、対応す
るジカルボン酸が生成しやすい。
【0037】なお、芳香族アルコールを基質として用い
ると、対応する芳香族アルデヒドを効率よく生成させる
こともできる。
【0038】酸化反応において、ハロゲン酸類の使用量
は、例えば、基質アルコール類の水酸基に対して0.5
〜5モル、好ましくは0.7〜2.5モル、さらに好ま
しくは0.8〜1.5モル程度であり、還元性無機化合
物の使用量は、ハロゲン酸類に対して0.5〜2モル、
好ましくは0.7〜1.7モル、さらに好ましくは0.
8〜1.5モル程度である。ハロゲン酸類及び還元性無
機化合物の使用量は、基質アルコール類の水酸基に対し
て、それぞれ、0.9〜3モル、好ましくは1〜2.5
モル(例えば、1.1〜2.5モル)程度である場合が
多い。ハロゲン酸類の使用量が少な過ぎると、反応効率
が低下し、過剰であるとさらに酸化反応が進行した化合
物やハロゲン化された化合物が生成しやすくなる。ま
た、還元性無機化合物の添加量が少な過ぎると、反応速
度が低下しやすい。
【0039】アルコール類の酸化反応は、通常、液相で
行なう場合が多い。アルコール類の液相酸化は、ハロゲ
ン酸類が通常水溶性であるため、少なくとも水を含む均
一系で行なう場合が多く、水に対して混和性又は相溶性
を有し、反応に不活性な有機溶媒、例えば、アセトニト
リル、ホルムミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、ケトン類(アセトンなど)、エーテル類
(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、低級カルボ
ン酸(例えば、ギ酸、酢酸など)、三級アルコール(t
−ブタノールなど)またはこれらの混合溶媒を使用して
もよい。また、水に対して非混和性の有機溶媒、例え
ば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテルなどのエ
ーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエス
テル類又はこれらの混合溶媒を用い、水相と有機溶媒相
との二相系(不均一系)で反応させてもよい。また、二
相系で反応させる場合、基質アルコール類の溶解性など
を考慮して、相間移動触媒(例えば、四級アンモニウム
塩など)、界面活性剤などを併用してもよい。さらに
は、基質アルコール類を溶媒として利用することもでき
る。
【0040】酸化反応において、基質アルコール類や各
成分の添加順序などは特に制限されず、操作性などの点
から適当に設定できる。反応操作性の観点からは、基質
アルコールとハロゲン酸類とを含む所定温度の混合液
に、還元性無機化合物を添加するのが有利である。
【0041】ハロゲン酸類を酸化剤として用いてアルコ
ール類を酸化する際、反応系に活性化剤として還元性無
機化合物を添加すると、常温常圧下であっても、アルコ
ール類を化学量論的に、しかも高選択率で酸化し、対応
するカルボニル化合物を高い収率で得ることができる。
そのため、酸化反応は、比較的温和な条件であっても円
滑に進行する。反応温度は、例えば、0℃〜150℃
(例えば、0℃〜100℃)、好ましくは10〜70
℃、さらに好ましくは20〜50℃程度である。また、
反応は、常圧又は加圧(例えば、1〜10atm程度)
下で行なうことができる。なお、反応温度及び/又は反
応圧力が高いと、さらに酸化が進行し、低分子カルボン
酸類などが副生する虞がある。
【0042】反応終了後、慣用の分離精製手段、例え
ば、蒸留、濃縮、溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィ
ーなどにより、目的酸化生成物を容易に分離精製でき
る。なお、酸化反応による生成物が水に対して不溶性又
は難溶性である場合、溶媒によっては、反応終了後に、
相分離や沈殿物が生成する場合もあるが、本発明の酸化
方法では、転化率及び選択率が高いので、殆どの場合、
簡単な抽出操作であっても目的生成物を高い純度で得る
ことができる。しかも、ハロゲン酸類、還元性無機化合
物の未反応物やこれらの分解物は、極めて高い水溶性を
示すため、水洗などにより未反応物や不純物を簡単に除
去できる。そのため、本発明の方法では、反応終了後、
簡単な有機溶剤抽出と水洗浄とを組み合わせるだけで、
目的とする生成物を高い収率及び高い純度で得ることが
できる。このように、本発明の方法では、温和な条件で
反応を促進できるとともに、従来法に比べて非常に安全
である。しかも、高い転化率及び選択率でアルコール類
を酸化できるとともに、分離精製を含む後処理工程を極
めて簡素化でき、簡単な操作で目的生成物を高い収率で
得ることができる。そのため、工業的及び経済的に極め
て有利にアルコール類を酸化できる。
【0043】
【発明の効果】本発明の酸化反応剤は、ハロゲン酸類と
還元性無機化合物とを組み合わせているため、高い反応
性および選択性で、アルコール類を酸化できる。また、
温和な条件下であっても、化学量論的に高い転化率およ
び選択率で基質アルコール類を効率よく酸化できる。そ
のため、各種の基質アルコール類に対して適用でき、汎
用性が高い。本発明の酸化方法では、前記酸化反応剤を
用いるので、アルコール類を簡便かつ効率よく酸化で
き、高い収率で目的化合物を得ることができる。しか
も、目的化合物の分離精製も容易であり、工業的及び経
済的に有利に目的化合物を得ることができる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaBrO3
181g(1.2モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合液に、25℃で、NaHS
3 125g(1.2モル)の水溶液200mlを徐々
に滴下して1時間撹拌し反応させた。反応混合液をジエ
チルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後、乾燥さ
せ、濃縮することにより、シクロヘキサノンが転化率9
9%、選択率100%で得られた。
【0045】実施例2 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaClO3
128g(1.2モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合溶液を40℃に加熱し、N
aHSO3 125g(1.2モル)の水溶液200ml
を徐々に滴下して2時間撹拌し反応させた。反応混合液
をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後、乾
燥させ、濃縮することにより、シクロヘキサノンが転化
率80%、選択率80%で得られた。
【0046】実施例3 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaBrO3
181g(1.2モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合液を40℃に加熱し、Na
2 SO3 151g(1.2モル)の水溶液200mlを
徐々に滴下して2時間撹拌して反応させた。反応液をジ
エチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後、乾燥さ
せ、濃縮することにより、シクロヘキサノンが転化率8
0%、選択率80%で得られた。
【0047】実施例4 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaBrO3
181g(1.2モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合液を40℃に加熱し、Na
2 2 3 190g(1.2モル)の水溶液200ml
を徐々に滴下して2時間撹拌しながら反応させた。反応
液をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後、
乾燥させ、濃縮することにより、シクロヘキサノンが転
化率70%、選択率80%で得られた。
【0048】実施例5 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaBrO3
211g(1.4モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合液を40℃に加熱し、Na
2 2 3 222g(1.4モル)の水溶液200ml
を徐々に滴下して2時間撹拌しながら反応させた。反応
液をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後、
乾燥させ、濃縮することにより、シクロヘキサノンが転
化率95%、選択率100%で得られた。
【0049】実施例6 1,2−シクロヘキサンジオール116g(1モル)、
NaBrO3 362g(2.4モル)の水溶液400m
lおよびアセトニトリル400mlの混合液に、25℃
で、NaHSO3 250g(2.4モル)の水溶液20
0mlを徐々に滴下して1時間撹拌反応させた。反応液
をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後乾燥
させ、濃縮すると,1,2−シクロヘキサンジノンが転
化率99%、選択率100%で得られた。
【0050】実施例7 2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン226g(1モル)、NaBrO3 362g(2.4
モル)の水溶液400mlおよびアセトニトリル400
mlの混合液に、25℃で、NaHSO3 250g
(2.4モル)の水溶液200mlを徐々に滴下して1
時間撹拌反応させた。反応液をジエチルエーテルで抽出
し、抽出液を水洗した後乾燥させ、濃縮すると、2,2
−ビス(4−オキシシクロヘキシル)プロパンが転化率
99%、選択率100%で得られた。
【0051】実施例8 1,2−シクロヘキサンジオール116g(1モル)、
NaBrO3 181g(1.2モル)の水溶液400m
lおよびアセトニトリル400mlの混合液に、25℃
で、NaHSO3 125g(1.2モル)の水溶液20
0mlを徐々に滴下して1時間撹拌反応させた。反応液
をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後乾燥
させ、濃縮すると、α−ヒドロキシシクロヘキサノンが
転化率99%、選択率100%で得られた。
【0052】実施例9 1,2−プロパンジオール76g(1モル)、NaBr
3 181g(1.2モル)の水溶液400mlおよび
アセトニトリル400mlの混合液に、25℃で、Na
HSO3 125g(1.2モル)の水溶液200mlを
徐々に滴下して1時間撹拌反応させた。反応液をジエチ
ルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後乾燥させ、濃
縮すると、ヒドロキシアセトンに1,2−プロパンジオ
ールが付加したケタール化合物が、転化率99%、選択
率100%で得られた。
【0053】実施例10 シクロヘキサノールに代えて、下表の基質アルコールを
用いる以外、実施例1と同様にして反応させたところ、
下表に示す化合物が得られた。なお、基質アルコールの
使用量は5ミリモルであり、NaBrO3 は6ミリモル
の水溶液3mlとして用い、前記基質アルコールとNa
BrO3 水溶液およびアセトニトリル10mlの混合液
に、25℃で、NaHSO3 は6ミリモルの水溶液6m
lを徐々に滴下し、表に示す時間撹拌することにより反
応させた。
【0054】
【表1】 表1より明らかなように、二級アルコールから対応する
ケトンが高収率で得られる。
【0055】実施例11 2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ンに代えて、下表の基質アルコールを用い、NaBrO
3 /NaHSO3 の割合及び反応時間を変化させる以
外、実施例7と同様にして反応させたところ、下表に示
す化合物が得られた。なお、基質アルコールの使用量は
5ミリモル、アセトニトリルの使用量は10mlであ
り、NaBrO3 及びNaHSO3 はそれぞれ水溶液と
して用いた。また、基質2,2−ビス(4−ヒドロキシ
シクロヘキシル)プロパンについてはアセとニトリルに
代えて溶媒としてt−ブタノールを用いた。
【0056】
【表2】 表2より明らかなように、ジオール類においても二級ア
ルコールと同様に、ヒドロキシケトン及びジケトンが高
い収率で得られる。また、1,2−シクロオクタンジオ
ールにおいては、反応時間が短い段階では、対応するヒ
ドロキシケトンが生成していた。
【0057】実施例12 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaBrO3
382g(2.4モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合液に、25℃で、Na2
SO3 250g(2.4モル)の水溶液200mlを徐
々に滴下して1時間撹拌反応させた。反応液をジエチル
エーテルで抽出し、抽出液を水洗の後乾燥させ、濃縮す
るとα−ブロモシクロヘキサノンが転化率99%、選択
率100%で得られた。
【0058】実施例13 NaBrO3 3モルおよびNa2 HSO3 4モルを
用い、室温(約25℃)で24時間反応させる以外、実
施例12と同様にして反応させたところ、α−ブロモシ
クロヘキサノンが転化率74%、選択率100%で得ら
れた。
【0059】実施例14 1,2−シクロヘキサンジオール116g(1モル)、
NaBrO3 563g(3.6モル)の水溶液600m
lおよびアセトニトリル200mlの混合液に、25℃
で、Na2 HSO3 250g(2.4モル)の200m
l水溶液を徐々に滴下して1時間撹拌反応させた。反応
液をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後乾
燥させ、濃縮すると、6−ブロモ−1,2−シクロヘキ
サンジオンが転化率99%、選択率100%で得られ
た。
【0060】比較例1 シクロヘキサノール100g(1モル)、NaBrO3
181g(1.2モル)の水溶液400mlおよびアセ
トニトリル400mlの混合液を25℃で1時間撹拌反
応させた。反応混合液を分析したところ、未反応シクロ
ヘキサノール85%が残存していた。
【0061】比較例2 1,2−シクロヘキサンジオール116g(1モル)、
NaBrO3 181g(1.2モル)の400ml水溶
液およびアセトニトリル400mlの混合液を25℃で
1時間撹拌反応させた。反応液を分析したところ未反応
1,2−シクロヘキサンジオール85%が残存してい
た。
【0062】実施例15 下表の一級アルコール1モル、NaBrO3 2モルの
水溶液400mlおよびアセトニトリル400mlの混
合液に、25℃で、Na2 HSO3 2モルの水溶液2
00mlを徐々に滴下して2時間撹拌反応させた。反応
液をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水洗した後、
乾燥させ、濃縮すると、下表のエステルが得られた。
【0063】
【表3】 なお、基質アルコールとしてベンジルアルコールを用い
る以外、上記と同様にして反応させたところ、ベンズア
ルデヒドが収率51%、安息香酸が収率17%で得られ
た。
【0064】実施例16 NaBrO3 、Na2 HSO3 、アセトニトリルおよび
水を表に示す割合で用い、1−オクタノール5ミリモル
を、室温で2時間撹拌反応させる以外、実施例15と同
様にして反応させたところ、下表のエステルまたはカル
ボン酸が得られた。なお、No.2においては、2M−
硫酸を用いて反応系の液性をpH1に調整して反応させ
た。また、No.5では、基質である1−オクタノール
を10ミリモルを用いた。
【0065】
【表4】 実施例17 1,1−ジメトキシオクタン10ミリモル、NaBrO
3 12ミリモル、Na2 HSO3 12ミリモル、お
よび水8mlを用いる以外、実施例15と同様にして反
応させたところ、1−メトキシ−1−オクタノンが収率
54%で得られた。
【0066】実施例18 1,1−ジメトキシオクタン5ミリモル、n−ブタノー
ル5ミリモル、NaBrO3 12ミリモル、Na2
SO3 12ミリモル、および水8mlを用いる以外、
実施例15と同様にして反応させたところ、ブトキシカ
ルボニルヘプタンが収率61%、1−メトキシ−1−オ
クタノンが収率25%で得られた。
【0067】実施例19 1,4−ブタンジオール1モル、NaBrO3 382g
(2.4モル)の水溶液400mlおよびアセトニトリ
ル400mlの混合液に、25℃で、Na2 HSO3
50g(2.4モル)の水溶液200mlを徐々に滴下
して2時間撹拌反応させた。反応液をジエチルエーテル
で抽出し、抽出液を水洗した後乾燥させ、濃縮すると、
γ−ブチロラクトンが転化率60%、選択率100%で
得られた。
【0068】実施例20 1,4−ブタンジオールに代えて、1,5−ペンタンジ
オールを用いる以外、実施例19と同様にして反応させ
たところ、δ−バレロラクトンが転化率60%、選択率
100%で得られた。
【0069】実施例21 1,4−ブタンジオール5ミリモル、NaBrO3
5ミリモル、Na2 HSO3 15ミリモル、アセトニ
トリル10mlおよび水20mlを用いる以外、実施例
19と同様にして、25℃で2時間撹拌反応させたとこ
ろ、γ−ブチロラクトンが収率62%で得られた。
【0070】実施例22 1,6−ヘキサンジオール1モル、NaBrO3 382
g(2.4モル)の水溶液400mlおよびアセトニト
リル400mlの混合液に、25℃で、Na2HSO3
250g(2.4モル)の水溶液200mlを徐々に滴
下して2時間撹拌反応させた。反応液をジエチルエーテ
ルで抽出し、抽出液を水洗した後乾燥させ、濃縮する
と、アジピン酸が転化率71%、選択率100%で得ら
れた。
【0071】実施例23 1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,5−ペンタン
ジオールを用いる以外、実施例22と同様にして反応さ
せたところ、グルタル酸が収率68%で得られた。
【0072】実施例24 1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,10−デカン
ジオールを用いる以外、実施例22と同様にして反応さ
せたところ、セバシン酸が収率91%で得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 47/54 C07C 47/54 49/04 9049−4H 49/04 A 49/385 9049−4H 49/385 A 49/76 9049−4H 49/76 A 51/235 2115−4H 51/235 53/126 2115−4H 53/126 55/14 2115−4H 55/14 61/00 2115−4H 61/00 63/00 2115−4H 63/00 Z 67/40 67/40 69/02 69/02 69/75 69/75 D C07D 307/33 C07D 307/32 E F

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式 M(XO3 n (式中、Mは水素原子又は金属、Xはハロゲン原子を示
    し、nは1又は前記金属Mの価数を示す)で表されるハ
    ロゲン酸又はその塩と、還元性無機化合物とで構成され
    ているアルコールの酸化反応剤。
  2. 【請求項2】 ハロゲン酸又はその塩において、Mが水
    素原子又は1〜3価金属、Xが塩素、臭素又はヨウ素原
    子、nが1〜3の整数である請求項1記載のアルコール
    の酸化反応剤。
  3. 【請求項3】 ハロゲン酸又はその塩が、塩素酸、臭素
    酸又はヨウ素酸若しくはこれらの塩である請求項1記載
    のアルコールの酸化反応剤。
  4. 【請求項4】 還元性無機化合物が、亜硫酸塩、亜硫酸
    水素塩、チオ硫酸塩又はピロ亜硫酸塩である請求項1記
    載のアルコールの酸化反応剤。
  5. 【請求項5】 ハロゲン酸又はその塩1当量に対する還
    元性無機化合物の割合が、0.1〜5当量である請求項
    1記載のアルコールの酸化反応剤。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の反応剤により、一級又は
    二級アルコールを酸化させるアルコールの酸化方法。
  7. 【請求項7】 一価又は多価アルコールを液相で酸化さ
    せる請求項6記載の酸化方法。
  8. 【請求項8】 下記式 【化1】 (式中、R1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニ
    ル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を
    示す)で表される一級アルコールから下記式 【化2】 (式中、R1 は前記に同じ)で表されるエステル又は一
    級アルコールに対応するカルボン酸を生成させる請求項
    6記載の酸化方法。
  9. 【請求項9】 二級アルコールから対応するケトンを生
    成させる請求項6記載の酸化方法。
  10. 【請求項10】 ジオールから対応するラクトン又はジ
    カルボン酸を生成させる請求項6記載の酸化方法。
  11. 【請求項11】 塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸又はこれら
    の塩と、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩又はピロ
    亜硫酸塩とで構成された反応剤により、アルコール類を
    液相で酸化する酸化方法。
  12. 【請求項12】 ハロゲン酸又はその塩に、活性化剤と
    して還元性無機化合物を添加してアルコール類の酸化を
    促進する方法。
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