JPH0979014A - エンジン用シリンダヘッドの製造方法 - Google Patents

エンジン用シリンダヘッドの製造方法

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JPH0979014A
JPH0979014A JP7237265A JP23726595A JPH0979014A JP H0979014 A JPH0979014 A JP H0979014A JP 7237265 A JP7237265 A JP 7237265A JP 23726595 A JP23726595 A JP 23726595A JP H0979014 A JPH0979014 A JP H0979014A
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valve seat
cylinder head
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head body
seat base
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JP7237265A
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Shuhei Adachi
修平 安達
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Yamaha Motor Co Ltd
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Yamaha Motor Co Ltd
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    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L3/00Lift-valve, i.e. cut-off apparatus with closure members having at least a component of their opening and closing motion perpendicular to the closing faces; Parts or accessories thereof
    • F01L3/22Valve-seats not provided for in preceding subgroups of this group; Fixing of valve-seats
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    • Y10T29/49Method of mechanical manufacture
    • Y10T29/49229Prime mover or fluid pump making
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダヘッド本体にバルブシート母材を加
熱圧接により埋没させて接合する方法において、吸気側
と排気側の双方のバルブシートにおいて適切な投影面積
および良好な接合状態を得にくい。 【解決手段】 通電時における電流値(電流密度)を、
吸気ポート側より排気ポート側を大きくし、そのときの
通電パターンを、間に通電休止時間r1 、r2 を挟みな
がら3段階の電流値I1 、I2 、I3 に分けるとともに
各段階ごとに徐々に電流値を上げていき、バルブシート
素材に対する加圧力を通電パターンの2段階目に増大さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリンダヘッド
本体の吸・排気ポートの燃焼室側の開口部にバルブシー
トを接合するエンジン用シリンダヘッドの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両用エンジンは4サイクル
OHC型が一般的となってきており、そのエンジンのシ
リンダは、近年においてはアルミニウム合金製のシリン
ダブロックとシリンダヘッドとの組み合わせで構成され
ている。シリンダヘッドは、シリンダブロック内を往復
動するピストンとの間で画成される燃焼室を有し、かつ
燃焼室に通じる吸・排気ポートが形成されたシリンダヘ
ッド本体(アルミニウム合金製)と、これら各ポートの
燃焼室側の開口部に装着されたバルブシートとから構成
されている。バルブシートは、吸気弁および排気弁のバ
ルブフェース面が当接する部位に装着されている。この
バルブシートは、吸・排気弁が繰り返し当接するととも
に高熱にさらされるために、耐摩耗性および高温強度に
優れた鉄系焼結合金などによって形成されている。
【0003】さて、バルブシートをシリンダヘッド本体
に装着する方法としては、従来より圧入式が採用されて
いた。ところがこの圧入式では、異種金属による熱伝導
率の差や両者の間の界面に存在する微小隙間に起因して
シリンダヘッド本体への熱伝達時の熱抵抗が大きくな
り、その結果、シリンダヘッドの冷却不充分からの異常
燃焼や、バルブの過熱といった不具合を招くおそれを抱
えていた。このような圧入式による不具合を解消するた
めに、シリンダヘッド本体のバルブシート装着部位に、
耐熱性、耐摩耗性、耐食性に優れたバルブシート材料の
粉末レーザーを加熱溶融させて肉盛り(クラッド)し、
その肉盛層を機械加工することによってバルブシートを
形成するレーザークラッド法が提案されている(たとえ
ば、特開昭62−150014号公報参照)。
【0004】しかるに、このレーザークラッド法では、
バルブシート材料の粉末を溶融した際にシリンダヘッド
本体側も溶融される。このため、ガス生成によるブロー
ホールや凝固収縮による引け巣、あるいはシリンダヘッ
ド本体に予め施されていた強度向上処理の消失等のいわ
ゆる材料欠陥が起こり、接合強度の不足や変形を生じ易
いといった欠点を有している。
【0005】そこで、本発明者等は、上に挙げたバルブ
シート接合方法が有する欠点を解消するものとして、鉄
系焼結合金でできたバルブシート母材を加熱圧接して接
合する技術を提案した(特開平5−287324号)。
これは、アルミニウム合金のシリンダヘッド本体を通電
加熱して組成流動を生じさせると同時にバルブシート母
材を加熱圧接してシリンダヘッド本体に埋没させ、その
際に、両者の圧接部の界面の原子が相互に拡散し、両者
が隙間なく強固に固定されるといった方法である。この
方法によれば、バルブシート母材もシリンダヘッド本体
もほとんど溶融しないため材料欠陥が発生せず、しかも
両者の間の熱抵抗が抑えられて熱影響を生じないシリン
ダヘッドが得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法においても、次のような解決すべき課題が残されてい
た。まず、排気ポート側のバルブシートは、高熱の排気
ガスに常にさらされるので吸気ポート側よりも高温の環
境にあり、それに応じた高い接合強度が求められるとと
もに、シリンダヘッドへの陥没が発生しやすい。これら
を解決するには、バルブシートの投影線長さ(投影幅)
に基づく投影面積がある程度大きく、シリンダヘッド本
体11に負荷される面圧が一定以下に保たれることが重
要である。ところで、一般に吸気側と排気側のバルブ径
は、排気側よりも吸気側の方が大きく設定されている。
これは、なるべく多く吸気するために吸気側は大きく、
排気側は小さくても排気圧により多量の排気量が確保さ
れるからである。吸・排気バルブが2つずつ形成された
4バルブ型のエンジンの場合、上記のようにバルブシー
トの投影面積を大きくすると、吸気側のバルブシート間
の距離を十分に確保できなくなる不具合が生じる。
【0007】また、シリンダヘッド本体へ通電する電流
値とバルブシート母材に対する加圧力との時間的な組み
合わせ、すなわち通電と加圧力のパターンがどのようで
あれば良好な接合状態が得られるかが確立されていなか
った。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、吸気側と排気側の双方のバルブシートにおいて適切
な投影面積および良好な接合状態が得られるエンジン用
シリンダヘッドの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであって、請求項1では、シリ
ンダヘッド本体における燃焼室への吸気ポートおよび排
気ポートの各開口部に形成された円環状のバルブシート
着座面に、シリンダヘッド本体と異なる材料の円環状の
バルブシート母材をセットした後、通電しながら加熱圧
接させてバルブシートを接合するエンジン用シリンダヘ
ッドの製造方法において、通電時における電流密度を、
吸気ポート側より排気ポート側が大なるよう変化させる
ことを特徴としている。請求項2では、前記通電パター
ンを、間に通電休止時間を挟みながら少なくとも3段階
に分け、各段階ごとに徐々に電流値を上げていくととも
に、バルブシート素材に対する加圧力を、通電パターン
の2段階目以降に増大させることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】A.一実施形態 以下、本発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明
する。A−1.シリンダヘッドの全体構成 図1は本発明に係るシリンダヘッドの一部断面図、図2
は図1の矢印II方向矢視図、図3はバルブシート母材を
バルブシート着座面にセットした状態を示す断面図であ
る。図3は、シリンダヘッド本体およびバルブシート母
材の一部のみを拡大して描いてある。これらの図におい
て、11は4サイクルOHC型エンジンのシリンダヘッ
ド本体である。シリンダヘッド本体11は、アルミニウ
ム合金を材料として鋳造により作られている。シリンダ
ヘッド本体11には、図示せぬシリンダブロック内を往
復動するピストンとの間で画成される燃焼室を形成する
ための凹部12が、下面に向けて形成されているととも
に、この凹部12の両側には、凹部12に開口する吸気
ポート13と排気ポート14が2つずつ形成されてい
る。なお、図3は、シリンダヘッド本体11の下面(凹
部12が開口する面)を上方に向けた状態を示してい
る。
【0011】シリンダヘッド本体11の材料であるアル
ミニウム合金は、JISにAC4Cとして規定されてい
るAl−Si−Mg系アルミニウム合金が採用されてい
る。この材料を選択した理由は、他のアルミニウム合金
を使用したときに比べて後述するバルブシートを最も強
固に接合できたからである。図1に示すように、吸気ポ
ート13と排気ポート14の上壁部分には、バルブガイ
ド15、16を介して吸気弁17および排気弁18がそ
れぞれ装着されている。両ポート13、14の開口部1
3a、14aには、バルブシート着座面40が形成さ
れ、このバルブシート着座面40に、後述するバルブシ
ート19が接合されている。なお、バルブガイド15、
16は、シリンダヘッド本体11に穿設したバルブガイ
ド穴11aに圧入して固定されている。このバルブガイ
ド穴11aは、その軸線Cが各ポート13、14の開口
部13a、14aの軸線と一致するように形成されてい
る。なお、図2中8は、プラグ取付孔である。
【0012】図1に示したバルブシート19は、図3に
示す円環状に形成したバルブシート母材20をバルブシ
ート着座面40に加熱状況下において圧接させることに
よって接合し、仕上げ加工を施した後のものである。図
3に示すように、バルブシート着座面40は、開口部1
3a、14aの軸線に直交する平面41と、平面41か
らポート13、14に連続する第1、第2の内側テーパ
面42、43と、凹部12に連続する外側テーパ面44
とで構成されている。平面41と第1の内側テーパ面4
2の2面により、開口部13a、14aの内周側に突出
し、鈍角の頂点45を有する円環状の凸条46が形成さ
れている。
【0013】バルブシート母材20は、図3に示すよう
に、鉄系焼結合金製円環体21の表面を銅の皮膜22に
よって覆うことによって形成されている。円環体21の
材料としては、本実施形態では、後述する通電時に内部
で抵抗熱が生じ難いようにする観点から、銅を溶浸させ
たものが採用されている。また、皮膜22は、膜厚が
0.1μm〜30μmとなるように円環体21に電気め
っきを施すことによって形成されている。
【0014】バルブシート母材20の形状は、全体とし
ては円環状であるが、その軸方向断面は、外周面50、
底面51、内周面52および上面53で形成されてい
る。図3に示すように、外周面50は、シリンダヘッド
本体11側に向かうにしたがって次第に外径が細くなる
ように傾斜しており、底面51は外周面50に連続し、
軸心へ向かうにしたがって次第にシリンダヘッド本体1
1側に偏在するように傾斜している。内周面52は、バ
ルブシート着座面40の外側テーパ面44と略平行な傾
斜面52aと、この傾斜面52aの内周側端部から軸方
向と平行に延在する軸方向延在面52bとから形成され
ている。上面53は、外周面50と傾斜面52aとをつ
ないでおり、バルブシート着座面40の平面41と略平
行に形成されている。
【0015】バルブシート母材20は、バルブシート着
座面40へセットされた状態が、図3に示すように、底
面51が凸条46の頂点45に接触し、大径側端部が凹
部12に突出し、さらに、バルブシート着座面40を構
成する外側テーパ面44と外周面50とのなす角度α
と、バルブシート着座面40を構成する第1の内側テー
パ面42と底面51とのなす角度βが、α≧βを満足さ
せるように設定されている。
【0016】A−2.バルブシート母材の接合方法 上記バルブシート母材20をシリンダヘッド本体11の
バルブシート着座面40に接合するには、図5および図
7に示すプレス装置24を使用して行う。このプレス装
置24は、基台25の下部に下部プラテン26を固定
し、この下部プラテン26の上方に、この下部プラテン
26に対して接離するように上部プラテン27を昇降自
在に配設している。この上部プラテン27は、基台上部
に軸線が上下方向を向くよう取り付けたシリンダ装置2
8の作用端となるロッド28aの下端を固定している。
【0017】下部プラテン26および上部プラテン27
は、それぞれ導電部材26a、27aを介して図示して
いない給電装置から給電される構造になっている。な
お、上部プラテン27に接続した導電部材27aは、上
部プラテン27の昇降動作に合わせて変形あるいは昇降
するように構成されている。また、本実施形態では、上
部プラテン27が陽極となり、下部プラテン26が陰極
となるように構成されている。シリンダ装置28を支持
する基台上部には、上部プラテン27の前部に固定した
反射部材29にレーザー光を反射させ、この反射部材2
9との距離から上部プラテン27の変位量を測定するレ
ーザー変位計30が取り付けてある。
【0018】プレス装置24によりバルブシート母材2
0を接合するには、先ず、下部プラテン26上に下側電
極31を固定し、この下側電極31上にシリンダヘッド
本体11を載置固定して行う。このとき、シリンダヘッ
ド本体11は、凹部12側を上方に向け、かつバルブシ
ート母材20を接合するポートの開口部での軸線がシリ
ンダ装置28のロッド28aの軸線と一致するように位
置決めしておく。
【0019】次に、図7に示すように、バルブシート母
材20を接合するポートのバルブガイド穴11aにガイ
ド棒32を凹部12側から嵌挿する。このガイド棒32
は、金属製丸棒32aの外周面にアルミナなどの絶縁材
32bを被覆されたもので、バルブガイド穴11aに嵌
挿させストッパー32cによって位置決め保持させた状
態で、シリンダヘッド本体11の燃焼室側端面より上方
に突出する長さに形成されている。絶縁材32bの形成
方法は、本実施形態ではアルミナなどのセラミック材を
丸棒32aに溶射し、その後、研磨仕上げする手法を採
っている。
【0020】次いで、バルブシート母材20をポート開
口部に重ね、このバルブシート母材20に上側電極33
を載せる。この上側電極33は、金属製円柱体の軸心部
に前記ガイド棒32が嵌合する透孔33aを穿設してお
り、その下端部に、バルブシート母材20の傾斜面52
a(図3)に密接するテーパー面33bと、軸方向延在
面52bに全周にわたり密接する位置決め用周面33c
とを形成している。また、この上側電極33の下端部に
は、バルブシート母材20を磁気吸着させるための磁性
体33dが固着させてある。
【0021】すなわち、上側電極33の透孔33a内に
ガイド棒32を嵌合させることにより、この上側電極3
3がシリンダヘッド本体11のポートの開口部と同軸上
に位置づけられる。また、テーパー面33bおよび周面
33cをバルブシート母材20に密接させることによ
り、このバルブシート母材20が嵌合によってポート開
口部と同軸となるように位置決めされる。
【0022】このようにバルブシート母材20に上側電
極33を載せた後、上側電極33を回転させてバルブシ
ート母材20が確実に嵌合しているか否かを検査する。
しかる後、シリンダ装置28を駆動して上部プラテン2
7を下降させ、上側電極33に密着させる。このとき、
上部プラテン27の下面と上側電極33の上面とが互い
に平行になるようにする。次に、シリンダ装置28を駆
動して上部プラテン27を下降させ、上側電極33を介
してバルブシート母材20を一定な加圧力をもってシリ
ンダヘッド本体11に押し付ける。このときにバルブシ
ート母材20に加えられる加圧力の方向は、上側電極3
3がガイド棒32によって移動方向が規制されているか
ら、開口部13a、14aの軸線方向と一致する。この
ため、バルブシート母材20は開口部13a、14aに
軸線を一致させた状態でこの軸線に沿って押し付けられ
る。
【0023】その加圧力は、図8に示す加圧力パターン
に基づいて変化させる。すなわち、相対的に低い一定の
第1加圧力P1 を接合工程初期に加え、その後は下降終
了まで相対的に高い一定の第2加圧力P2 を加える。
【0024】第1加圧力P1 による加圧を開始した後、
上部プラテン27が安定したら、レーザー変位計30に
よりこれと反射部材29までの距離を測定し、この距離
を上部プラテン27の下降開始位置として記録する。ま
た、第1加圧力P1 による加圧開始から一定時間が経過
した後、プラテン27および下部プラテン26に電圧を
印加し、これら両プラテンの間、すなわち上側電極3
3、バルブシート母材20、シリンダヘッド本体11お
よび下側電極31に電流を流す。このとき、電流は上側
電極33からシリンダヘッド本体11へ向けて流れる。
このときの電流値を、図8に示す通電パターンに基づい
て変化させる。
【0025】その通電パターンは、第1電流I1 を時間
1 流した後、一旦休止時間r1 を与え、次に第1電流
1 よりも電流値の高い第2電流I2 を時間t2 流した
後、もう1度休止時間r2 を与え、最後に第2電流I2
よりも電流値の高い第3電流I3 を時間t3 流し、接合
終期において第2加圧力P2 を加えている途中で電流値
を0とする。つまり、電流値を段階的に増大させてい
く。第1加圧力P1 から第2加圧力P2 への変換は、第
2電流I2 を流している途中であって、第2電流I2
切り換えてから時間t4 後に行う。さらに、吸気ポート
13側と排気ポート14側では、流す電流値(電流密
度)を、排気ポート14側の方が大きくなるよう(たと
えば約1.1倍程度)変える。以下に、図8における電
流値、時間および加圧力の具体例を示す。
【0026】イ.電流値 吸気ポート側 I1 =64kA、I2 =68kA、I3
=72kA 排気ポート側 I1 =70kA、I2 =75kA、I3
=80kA (何れも±4kA) ロ.時間(吸気ポート側、排気ポート側とも共通) t1 、t2 、t3 =0.1秒 (6/60秒) t4 =0.05秒 (3/60秒) r1 、r2 =1/60秒 ハ.加圧力(吸気ポート側、排気ポート側とも共通) P1 =12kN P2 =24kN
【0027】このとき、バルブシート母材20は図3に
示すように底面51がシリンダヘッド本体11の凸条4
6の頂点45に線接触しており、これら両者どうしが接
触する部分の面積がきわめて小さいことから、通電によ
る電気抵抗が大きくなってこの接触部が発熱するように
なる。この抵抗熱は、バルブシート母材20とシリンダ
ヘッド本体11との接触界面の全体に伝導する。このよ
うにバルブシート母材20とシリンダヘッド本体11と
の界面の温度が上昇すると、固相状態で互いに圧接し合
う材料金属(皮膜22の銅およびシリンダヘッド本体1
1のアルミニウム合金)の原子が活発に運動するように
なり、これらの原子どうしが相互に拡散する。
【0028】上述したように原子の相互拡散が起こるこ
とにより、界面付近の組成は、皮膜22を構成する銅
と、シリンダヘッド本体11のアルミニウム合金との共
晶合金になり、純銅より、またシリンダヘッド本体11
のアルミニウム合金より低い温度で固相から液層に変わ
ることができる状態になる。このときの界面付近の状態
を図9に模式的に示す。図9においては、原子の相互拡
散が起こり前記共晶合金が生成されている共晶合金層を
符号Aで示す。
【0029】続いて、界面付近の温度がさらに上昇し、
共晶合金層の一部が液相に変化するようになると原子の
拡散現象は一層活発となり、この共晶合金層が成長する
に伴ない固相と液相との界面が拡大する。この共晶合金
層の液相化が進行する一方、共晶合金層に隣接するシリ
ンダヘッド本体11のアルミニウム合金は、バルブシー
ト母材20が前記第1加圧力P1 で押し付けられている
ことと、抵抗熱により昇温されていることとによって、
塑性流動(塑性変形)を起こす。この塑性流動は、最初
の接触部を中心にして図9において上下方向に略対称と
なるように生じるため、液相化した共晶合金は塑性流動
に乗じて、図10に示すように接触部の外に排除され
る。図10において、共晶合金の排除された部分を符号
Bで示す。また、このときには、バルブシート母材20
の皮膜22の一部が共晶合金化されて接触部から排除さ
れることにより、円環体21の一部がアルミニウム合金
に触れるようになってこれらの間でも原子の拡散現象が
起こる。この拡散現象が生じている部位を、図10中に
符号Cで示す。
【0030】上記のように共晶合金層の一部が接触部か
ら排除されることと、アルミニウム合金が塑性流動を起
こすこととにより、バルブシート母材20がシリンダヘ
ッド本体11内に埋没し始める。このようにバルブシー
ト母材20が埋没し始めてから、加圧力を増大させて前
記第2加圧力P2 とする。加圧力が増大することにより
アルミニウム合金の塑性流動量が増大し、これに伴って
共晶合金の排除量が増量される。この結果、接触部の未
反応部分において新たに銅−アルミニウム合金からなる
共晶合金が生成され、上述した現象が繰り返されてこの
共晶合金層が液相化しさらに排除される。これととも
に、円環体21の材料である鉄系焼結合金とアルミニウ
ム合金との界面で原子が相互に拡散する領域も拡がる。
【0031】上記反応を図8に示す通電および加圧力の
パターンに基づいて進行させ、シリンダヘッド本体11
へバルブシート母材20を接合させていく。電流が流れ
ている間は勿論、通電が断たれた後も反応不能温度まで
温度が低下するまでは反応が進行し、共晶合金層の生成
→液層化→塑性流動に伴なう排除、という現象と、鉄系
焼結合金とアルミニウム合金との原子相互拡散という現
象が同時に起こりながらバルブシート母材20が埋没し
続け、図11に示すようにその外周面の略全域がシリン
ダヘッド本体11内に埋没するようになる。
【0032】この埋没量が増大しなくなったとき、シリ
ンダ装置28による加圧を停止し、レーザー変位計30
によってこれと反射部材29との距離から上部プラテン
27の最終位置を求めた後に上部プラテン27を上昇さ
せ、シリンダヘッド本体11をプレス装置24から取り
外す。なお、平均電流値や総通電時間も全工程が終了す
るまでの間に求めておく。次に、上部プラテン27の下
降開始位置から最終位置までの高低差を算出することに
より、バルブシート母材20の総埋没量を求める。この
値が予め定めた許容値の範囲内でないときには接合不良
とみなす。この許容値としては、本実施形態では0.5
mm〜2.5mmとした。なお、許容値はシリンダヘッド本
体11の材料によっても異なるが、約1mm〜1.5mmと
することが好ましい。
【0033】シリンダヘッドの最終仕上げ加工は、図1
1に示すように、バルブシート母材20が接合されたシ
リンダヘッド本体11から、不要部分を図12に示すよ
うにたとえば研削等の機械加工で除去することによって
行う。この最終仕上げ加工を行うことにより円環体21
の不要部および皮膜22が除去され、図12中に符号C
で示す原子の拡散領域を介して、シリンダヘッド本体1
1に接合されたバルブシート19が得られる。ここで、
バルブシート19は、図12における各寸法A(投影面
積を決める投影線長さ)、B(最大肉厚)、θ(外周面
と加工面とのなす角度)が、A≧2、B≧0.9、θ≧
30°なる関係を満たすように形成されている。
【0034】A−3.一実施形態の効果 バルブシート19とシリンダヘッド本体11とが原子
拡散によって隙間なく強固に固定されている。したがっ
て、両者の熱抵抗が小さくシリンダヘッドの冷却性能を
向上させることができる。また、上記のように、製造過
程においてシリンダヘッド本体11は溶融しないため、
凝固時のブローホールや引け巣といった材料欠陥も生じ
ない。
【0035】バルブシート母材20を接合させる際の
電流密度が、排気ポート14側が吸気ポート13側より
大きくされている。排気ポート側のバルブシート19
は、高熱の排気ガスに常にさらされるので吸気ポート側
よりも高温の環境にあり、それだけ吸気ポート13側よ
り前記投影線長さ(投影面積)が大きく確保されていた
方が好ましい。図2に示すように、排気ポート14側の
電流密度を吸気ポート13側よりも大きくすることによ
り、排気ポート14側では、バルブシート19の投影線
長さが確保されて陥没や変形が生じにくくなる。また、
吸気ポート13側ではバルブシート13間の距離を犠牲
にすることなく十分に大きな開口部13aの面積を確保
できる。
【0036】バルブシート母材20を接合させる際
に、図8に示すような通電および加圧力のパターンをと
ることにより、良好な接合が行える。すなわち、電流値
においては、2回の休止時間r1 、r2 を挟んで3段階
に徐々に増大させているので、界面が過剰に温度上昇せ
ず、シリンダヘッド本体11が溶融して液相に変化する
ことが防がれる。また、休止時間を与えることなく過剰
な電流を流し続けると、鋼自体の抵抗発熱による温度上
昇の結果、バルブシート母材20の円環体21の温度が
鋼の相変態点を越え、その後の冷却工程でマルテンサイ
ト変態を起こしてしまう。こうなると、硬度が増大して
靱性に欠けた材質となりバルブシートとしての機能が十
分に果たせなくなる。また、加圧力においては、はじめ
は比較的小さい第1加圧力P1 を加えることにより、急
な衝撃がバルブシート母材20に与えられるのを回避
し、その後、第2電流I2 を流している途中で第2加圧
力P2に増大させることによって、良好な接合が行え
る。
【0037】バルブシート母材20は、バルブシート
着座面40へセットされた状態が、図3に示すように、
底面51が凸条46の頂点45に線接触している。つま
りバルブシート母材20はバルブシート着座面40に面
接触してはいない。面接触している場合、前述の如く加
工公差の影響を受けてバルブシート母材20の埋没量に
ばらつきが生じる。しかしながら、本実施形態は線接触
しているので、接触面積はどのバルブシート母材20で
あろうとも常に一定であり、したがって、発熱量が一定
になって埋没量のばらつきが抑えられ、設定埋没量内に
収まる。このため、所定の肉厚が常に保持され、かつ剥
離のおそれがなく十分な接合強度が得られるとともに、
欠肉といった不具合も起こらず良好な弁機能が発揮され
る。
【0038】バルブシート母材のバルブシート着座面
40へのセット状態が、図3に示すように、外周面50
と外側テーパ面44とのなす角度αと、底面51と第1
の内側テーパ面42とのなす角度βが、α≧βを満足さ
せるように設定されている。この結果、バルブシート母
材20においては、外周面50より底面51の方がシリ
ンダヘッド本体11に近接している。したがって、図4
に示すように、電流は外周面50側に集中せず分散し、
どちらかというと底面51側から優先的にシリンダヘッ
ド本体11に流れていく。このため、シリンダヘッド本
体11においては、底面51に面する部分の電流密度が
高くなって溶融しやすくなる。しかしながらその溶融層
は、バルブシート母材20が加圧されることにより界面
外へ排除され残存しない。その結果、材料欠陥によるバ
ルブシート19が剥離が起こらない。
【0039】バルブシート母材20が埋没された後、
仕上げられたバルブシート19は、図12に示すよう
に、A≧2、B≧0.9、θ≧30°なる関係を満たす
ように形成されている。バルブシート19においては、
爆発圧力やバルブフェースの着座衝撃によるシリンダヘ
ッド本体11への陥没および自身の損傷を避けるため、
シリンダヘッド本体11との界面の面積ひいてはシリン
ダヘッド本体11に負荷される面圧が一定以下に保た
れ、かつ自身の剛性が一定以上確保されていることが重
要である。実験の結果、図13に示すように、投影線長
さAが2より小さいと許容面圧を越えてしまうので、投
影線長さAはA≧2であることが望ましい。また、図1
4に示すように、肉厚Bが0.9より小さいと曲げ変形
率が大きく、0.9以上だとそれ以上増大しない。した
がって、肉厚BはB≧0.9が望ましい。さらに、図1
5に示すように、外周面50と加工面とのなす角度θが
少なくとも30°確保されていないと、すなわちそれだ
けの断面積が確保されていないと、バルブシート19が
剥離する確率が増大する。したがって、θ≧30°が望
ましい。
【0040】B.変更例 本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく以下
のように種々の変更が可能である。 シリンダヘッド本体11およびバルブシート母材20
の材質は上記一実施形態に限られず、両者の間に共晶合
金が生成されるものであればどのようなものでもよい。 本発明は、自動車のエンジンは勿論のこと、オートバ
イのエンジンなどあらゆるエンジンに適用することがで
きる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
通電時における電流密度を吸気ポート側より排気ポート
側が大なるよう変化させたので、吸・排気双方とも適切
なバルブシートの投影面積得ることができる。(請求項
1)。通電パターンを、間に通電休止時間を挟みながら
少なくとも3段階に分け、各段階ごとに徐々に電流値を
上げていくとともに、バルブシート素材に対する加圧力
を通電パターンの2段階目以降に増大させるので、過剰
電流に起因する溶融が起きず、良好な接合が行える。
(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のバルブシートを示す側
断面図である。
【図2】 図1のII方向矢視図である。
【図3】 バルブシート母材をバルブシート着座面にセ
ットした状態を示す側断面図である。
【図4】 バルブシート母材がバルブシート着座面に埋
没される状態を示す側断面図である。
【図5】 バルブシートをシリンダヘッドのポート開口
部に接合するためのプレス装置を示す平面図である。
【図6】 バルブシートをシリンダヘッドのポート開口
部に接合するためのプレス装置を示す側面図である。
【図7】 バルブシート母材に電極を当接させた状態の
側断面図である。
【図8】 通電および加圧力のパターンを示す線図であ
る。
【図9】 バルブシート母材の皮膜の金属材料とシリン
ダヘッド本体の金属材料からなる合金層が生成されてい
る状態の側断面図である。
【図10】 シリンダヘッド本体の金属材料が塑性流動
を起こしている状態の側断面図である。
【図11】 バルブシート母材がシリンダヘッド本体に
埋没した状態を示す側断面図である。
【図12】 バルブシートを仕上げ加工した状態の側断
面図である。
【図13】 バルブシートの投影線長さと面圧の関係の
一例を示すグラフである。
【図14】 バルブシートの肉厚と曲げ変形率の関係の
一例を示すグラフである。
【図15】 バルブシートの外周面と剥離の確率の関係
の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
11…シリンダヘッド本体、13…吸気ポート、13a
…吸気ポート側の開口部、14…排気ポート、14a…
排気ポート側の開口部、19…バルブシート、20…バ
ルブシート母材、40…バルブシート着座面。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッド本体における燃焼室への
    吸気ポートおよび排気ポートの各開口部に形成された円
    環状のバルブシート着座面に、シリンダヘッド本体と異
    なる材料の円環状のバルブシート母材をセットした後、
    通電しながら加熱圧接させてバルブシートを接合するエ
    ンジン用シリンダヘッドの製造方法において、 前記通電時における電流密度を、前記吸気ポート側より
    前記排気ポート側が大なるよう変化させることを特徴と
    するエンジン用シリンダヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記通電パターンを、間に通電休止時間
    を挟みながら少なくとも3段階に分け、各段階ごとに徐
    々に電流値を上げていくとともに、前記バルブシート素
    材に対する加圧力を、前記通電パターンの2段階目以降
    に増大させることを特徴とする請求項1に記載のエンジ
    ン用シリンダヘッドの製造方法。
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