JPH10101704A - 放射線照射を利用した植物に対する生物活性を有する多糖類の分解物を製造する方法 - Google Patents

放射線照射を利用した植物に対する生物活性を有する多糖類の分解物を製造する方法

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JPH10101704A
JPH10101704A JP8260458A JP26045896A JPH10101704A JP H10101704 A JPH10101704 A JP H10101704A JP 8260458 A JP8260458 A JP 8260458A JP 26045896 A JP26045896 A JP 26045896A JP H10101704 A JPH10101704 A JP H10101704A
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JP
Japan
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polysaccharide
kgy
pectin
irradiation
degradation product
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JP8260458A
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Tamikazu Kume
民和 久米
Masamitsu Shimazu
昌光 島津
Shinpei Matsuhashi
信平 松橋
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Japan Atomic Energy Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多糖類を分解して得られる、高い生物活性を
有する分解物を製造する方法に関する。特に、植物の害
虫や病原菌に対する抵抗反応を媒介する情報伝達物質と
して使用される抗菌活性誘導物質としての活性を有する
新規なオリゴ糖を大量に且つ効率よく製造法する方法で
ある。 【解決手段】 ペクチン又はキトサンからなる多糖類に
電離性放射線を照射することによりオリゴ糖からなる多
糖類の分解物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多糖類に電離放射
線を照射することにより、該多糖類を分解して得られ
る、高い生物活性を有する分解物を製造する方法に関す
る。特に、本発明は、植物の害虫や病原菌に対する抵抗
反応を媒介する情報伝達物質(エリシター)としての活
性を有する抗菌活性物質(ファイトアレキシン)である
新規なオリゴ糖を大量に且つ効率よく製造法する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多糖類から得られる生物活性物質
の製造方法としては、植物や病原菌の細胞壁を酵素分解
或いは酸分解することにより製造する方法が行われてい
た。
【0003】しかし、酵素分解処理では、多糖類主鎖の
切断個所が限定されており、得られる分解生成物の種類
が限定されるという問題点があった。更にこれまで知ら
れている酵素の中で、大量処理に使用できる酵素はほん
のわずかしかなく、又酵素分解処理においては水溶液中
での反応を行うため、分解生成物の回収、乾燥等の操作
が必要であるという問題点があった。
【0004】一方、酸分解処理では、濃塩酸等を使用す
る苛酷な条件下において多糖類を加水分解する必要があ
るために、その結果として単糖が多量に生成して変換効
率が悪く、又耐酸性の反応容器を使用することが必要で
あり、更に又試薬の回収が困難である等の問題点があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題点に鑑み、
本発明は、多糖類から高いエリシター活性を有する物質
を大量に、且つ効率よく製造する方法を提供すること、
及び従来の方法では得られなかった新規な活性物質を製
造することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点を解決するために、多糖類に電離放射線を照射する
ことにより、短時間に、簡単に且つ効果的に植物の害虫
又は病原菌に対するエリシター(抗菌活性誘導物質)活
性の高い各種オリゴ糖を製造することができること、又
新規な高いエリシター活性を有する物質を製造すること
ができることを見いだした。
【0007】即ち、本発明の放射線照射によるエリシタ
ー活性物質の製造方法は、大量の多糖類を連続的に且つ
短時間で処理することができ、しかも多糖類の乾燥粉末
又は溶液のいずれの状態での処理も可能であるという利
点を有している。又、放射線による多糖類の分解はラン
ダムに起こるため、従来の方法では得られなかった構造
の新規なオリゴ糖の生成が可能となった。
【0008】
【発明の実態の形態】本発明において用いられる多糖類
とは最も広義の意味において使用され、全ての天然物、
微生物による生成物及びそれらの加工処理生成物も含ま
れる。天然の多糖類としては、例えばペクチン、キチ
ン、キトサン、キシラン、セルロース、デンプン、イヌ
リン等、海藻中に含まれるアルギン酸、カラギーナン、
微生物によって生成される多糖類であるポリガラクトサ
ミン、マンナン、プルラン等、担子菌によって生成され
るレンチナン、シゾフィラン等がある。これらの多糖類
は一種類でもよく、又混合物として用いても良い。本発
明においては、多糖類として特にペクチン、キチン、キ
トサンを用いることが望ましい。
【0009】本発明において、多糖類に照射する電離放
射線としては、α線、β線、γ線、電子線及びエックス
線が用いられる。実用的にはγ線、電子線及びエックス
線を使用するのが便利である。電離放射線の線量は、
0.01〜2,000kGyの範囲であることが望まし
い。線量が低すぎる(0.01kGy以下)と効果が得
られず、又線量が高すぎる(2,000kGy以上)と
分解が進み過ぎて活性が失われるためである。
【0010】多糖類に放射線を照射する際には、多糖類
を乾燥又は水溶液の状態に調整する。多糖類が乾燥状態
の場合には、線量は100〜2,000kGy程度の高
線量であることが望ましい。又、乾燥状態での放射線処
理は大量処理が容易である等の観点から有利である。多
糖類が水溶液状態の場合には、線量は0.01〜10k
Gy程度の低線量でよく、必要な線量を低減化できると
いった利点を有する。上述の通り、多糖類が乾燥状態の
場合には高線量の照射が必要であるが、そのような場合
には電子加速器を用いて高線量率下で、短時間で照射処
理を完了することができる。
【0011】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明の範囲はそれらの実施例に限定される
ものではない。
【0012】
【実施例1】乾燥粉末状態にあるペクチンに種々の線量
の放射線を照射することによりペクチンを分解処理し、
大豆における抗菌活性物質であるグリセオンの誘導活性
効果を調べた。これと比較するために、酵素ドリセラー
ゼによるペクチン分解物の誘導活性効果も調べた。図1
に示すように、ペクチンに対する照射線量を100kG
yから1,000kGyに増加させることにより、グリ
セオンの生成量が著しく増加することが認められた。
2,000kGyの高照射線量においては、1,000
kGyの場合よりその生成量が減少したが、使用された
照射線量範囲では1,000kGyでの生成量が最も高
かった。これに対し、酵素ドリセラーゼを使用した場合
にもグリセオンの生成が認められるが、1,000kG
y及び2,000kGyの放射線を照射した場合の方が
グリセオリンの生成量が高かった。
【0013】次に、照射処理されたペクチンの分解物を
HPLC(高速液体クロマトグラフ)により分子量分画
を行った。図2に、グリセオンの生成量が最も高かった
照射線量1,000kGyにおけるペクチン分解物のH
PLCパターンを示す。又表1に、a(溶出時間:9.
7−10.7min.)、b(溶出時間:10.7−1
1.7min.)及びc(溶出時間:11.7−14.
0min.)の3区分について、グリセオンが誘導生成
される量を示す。その結果、照射線量1,000kGy
におけるペクチン分解の場合では、c画分において非常
に高いグリセオリンの誘導活性が認められた。ところ
で、照射線量2,000kGyにおけるペクチン分解の
場合では、a画分においてグリセオリンの誘導活性が最
も高かったが、1,000kGyのc画分の1/6程度
の活性しか得られなかった。
【0014】
【表1】 表1.ペクチン分解・分画成分によるグリセオリンの誘
導生成 試料 グリセオリン(nmol/g) 未処理 1.0 500kGy−a 5.4 500kGy−b 7.0 500kGy−c 5.4 1000kGy−a 9.4 1000kGy−b 10.2 1000kGy−c 61.9 2000kGy−a 11.7 2000kGy−b 5.5 2000kGy−c 5.8
【0015】そこで、最も活性の高い1,000kGy
における照射処理されたペクチンのc画分について、グ
リセオン誘導活性を調べた。子葉(コチレドン)へのペ
クチンの必要添加量を調べた結果、図3に示されるよう
に、30μgの添加濃度が最適であることが分かった。
【0016】
【実施例2】エンドウのファイトアレキシンであるピサ
チンの誘導生成を検討した。エンドウは栽培開始後50
日後の若い莢を収穫して用いた。エンドウの莢の内膜に
エリシターを含む溶液を滴下して培養して生成したピサ
チンを単離後、HPLCで分析した。
【0017】図4に示すように、1,000kGyで照
射処理したペクチン分解物中にピサチンの誘導活性が認
められ、それがエリシターとして機能していることが認
められたが、その生成量は、酵素エンドポリガラクツロ
ナーゼによるペクチン分解物中のピサチンの生成量より
低かった。
【0018】一方、グルコサミンのポリマーであるキト
サンを照射処理して得られた分解物中のピサチンの誘導
生成量を検討したところ、1,000kGyで照射処理
したキトサンにおいて非常に高いピサチンの生成量が得
られた。又、2,000kGyで照射処理したキトサン
では、1,000kGyでの照射処理の場合に比較して
著しくピサチンの生成量が減少した。
【0019】従って、これらの結果から、ピサチンの誘
導生成は照射処理されたペクチンでも認められるがが、
キトサンの1,000kGyの照射物がはるかにピサチ
ンの生成量において有効であることが分かった。
【0020】
【実施例3】ペクチンの放射線分解物を用いて、エンド
ウにおける抗オーキシン効果を調べた。検体として7日
目のエンドウの第3節間の胚軸を用いた。その断片1c
mを切り出し、各20断片を秤量した後、それらを、そ
れぞれ、1mMインドール酢酸(IAA)及び0.3m
g/mlのペクチン分解物を含む溶液中において3時間
静置した。各断片を回収後再び秤量し、次の式から分解
物であるオリゴマーの抗オーキシン効果を算出した。 抗オーキシン効果=(C−T)/C×100(%) C:未処理の場合における重量増加分 T:処理バッチにおける重量増加分
【0021】図5に示すように、オーキシン効果による
エンドウの伸長促進に対する阻害効果は、800kGy
の放射線を照射されたペクチン分解物では殆ど認められ
なかったが、1,000kGy及び2,000kGyの
放射線を照射されたペクチン分解物では顕著な阻害効果
が認められた。
【0022】又、エンドポリガラクツロナーゼ(End
oPG)又はドリセラーゼ(Driselase)とい
った酵素で処理したペクチン分解物でも阻害効果が認め
られたが、2,000kGyの放射線を照射されたペク
チン分解物による阻害効果が最も高かった。
【0023】酵素エンドポリガラクツロナーゼによるペ
クチン分解物であるオリゴマー混合物を用いた結果は、
20%の阻害効果であるのに対し、2,000kGyの
放射線を照射したペクチン分解物を用いた結果は、前記
酵素による分解物を用いた場合よりも高い阻害効率が発
生する。したがって、放射線によるペクチン分解物が植
物のオーキシンによる伸長促進に対して高い阻害活性を
有していることが明らかとなった。
【0024】
【発明の効果】本発明は、ペクチン又はキトサン等の多
糖類を電離放射線を使用して照射処理することにより、
植物の害虫や病原菌に対する抗菌活性誘導物質として高
い生物活性を有する新規なオリゴ糖を大量に且つ効率よ
く製造法することができるという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ペクチン分解物を用いたグリセオン誘導生成
を示す図である。
【図2】 ペクチン分解物のHPLCによる分子量分画
を示す図である。
【図3】 1,000kGyーc画分における子葉中の
ペクチンの添加量に対するグリセオリンの誘導生成量を
示す図である。
【図4】 多糖類を放射線処理して得られた分解物によ
るピサチンの生成量を示す図である。
【図5】 ペクチン分解物によるエンドウ胚軸の伸長阻
害効果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08B 37/08 C08B 37/08 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物に対する生物活性を有する多糖類の
    分解物を製造する方法において、多糖類に電離性放射線
    を照射することによりオリゴ糖からなる分解物を製造す
    る方法。
  2. 【請求項2】 多糖類がペクチン又はキトサンであり、
    分解物がグリセオリン又はピサチンである請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 放射線の線量が0.01〜2,000k
    Gyである請求項1に記載の方法。
JP8260458A 1996-10-01 1996-10-01 放射線照射を利用した植物に対する生物活性を有する多糖類の分解物を製造する方法 Pending JPH10101704A (ja)

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