JPH1010276A - 原子炉炉心の冷却材流量計測方法及びその冷却材流量計測システム - Google Patents

原子炉炉心の冷却材流量計測方法及びその冷却材流量計測システム

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JPH1010276A
JPH1010276A JP8158558A JP15855896A JPH1010276A JP H1010276 A JPH1010276 A JP H1010276A JP 8158558 A JP8158558 A JP 8158558A JP 15855896 A JP15855896 A JP 15855896A JP H1010276 A JPH1010276 A JP H1010276A
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flow rate
value
coolant flow
measuring
reactor core
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JP8158558A
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Harutsugu Mori
治嗣 森
Shigeru Kanemoto
茂 兼本
Mitsuhiro Enomoto
光広 榎本
Shigeo Ehata
茂男 江畑
Yukio Takamori
由己夫 高森
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Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
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Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Inc
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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の中性子検出器を利用した冷却材流量計測
方法及びそのシステムの利点を活用しつつ、炉心内の各
燃料チャンネルの特性を加味した冷却材流量の推定値を
精度よく計測でき、かつ、炉心管理等の運用時の信頼性
を高める。 【解決手段】原子炉炉心の冷却材流量計測方法として、
ステップS1で原子炉炉心内の複数の燃料チャンネル間
の軸方向の異なる位置に配置された2つの中性子検出器
が検出した周波数成分X1、X2からゆらぎ成分の遅れ
時間に相当する気泡伝達時間の実測値Tmeasを求め、ス
テップS2で所定の原子炉炉心性能計算で求まる熱出力
分布パターンに基づいて複数の燃料チャンネル毎の気泡
伝達時間の予測値Tcal を求め、ステップS3で気泡伝
達時間の実測値Tmeas及びその予測値Tcal に基づいて
原子炉全体の冷却材総流量の推定値WT及び上記複数の
燃料チャンネル毎の冷却材局部流量の推定値W(n)を
計測する方法を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、原子炉炉心の冷
却材流量計測方法及びその冷却材流量計測システムに係
り、とくに原子炉内の冷却材流量計装に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、原子炉内の冷却材を原子炉内蔵型
冷却材再循環ポンプ(以下、「インターナルポンプ(R
IP)」という)により強制循環させることにより、原
子炉の出力を調整する沸騰水型原子炉(「改良型沸騰水
型原子炉」ともいう)が知られている。このようなRI
Pを搭載した原子炉においては、原子炉内の状態を把握
する上で冷却材流量を正確に計測することが重要とされ
ている。
【0003】以下、冷却材流量の計測方法を図10及び
図11に基づき説明する。
【0004】図10に示す原子炉圧力容器(RPV)1
内に炉心2を収容した沸騰水型原子炉においては、冷却
水(冷却材)が2つのRIP3、3により原子炉圧力容
器1内を循環する。即ち、この冷却水は、炉心2の外側
(シュラウドの外側)のダウンカマ4を下降して下部プ
レナム5に至る(図中の流れを示す二点鎖線a〜b参
照)と共に、その下部プレナム5から上昇して炉心支持
板6を介して炉心2を通過する間に沸騰して気液二相流
となり(図中の流れを示す二点鎖線b〜c参照)、これ
が上部格子板7、上部プレナム8を経て気水分離器9で
容器内再循環用の水とタービン供給用の水蒸気とに分離
する。
【0005】このように原子炉内を循環する冷却材の流
量は、通常、炉心支持板6の入口と出口の差圧(以下、
「炉心支持板差圧CPΔP」という)とRIP3の入口
と出口の差圧(以下、「ポンプ部差圧PΔP」という)
とを測定することにより、計測されている。
【0006】即ち、炉心支持板差圧CPΔP(図中の二
点鎖線a及びb間の差圧)は、炉心支持板6の入口と出
口とに通流可能に接続される炉心支持板差圧計装配管1
0を介して炉心支持板差圧測定装置11で測定され、ポ
ンプ部差圧PΔP(図10中の二点鎖線b及びc間の差
圧)は、RIP3の入口と出口とに互いに接続されるポ
ンプ部差圧計装配管12を介してポンプ部差圧測定装置
13で測定される。このように差圧が測定されると、図
11に示すような予め設定されている差圧及び炉心内冷
却材流量の相関に基づいて炉心流量が計測される。
【0007】しかしながら、上記差圧方式による流量計
測では、その計測原理から差圧のばらつきが等しくて
も、流量の計測値は流量の低い側の方が高い側の方より
もばらつくことになる。このため、冷却材流量の高低で
計測精度が変化し、特に低流量時には期待する精度の計
測値を取得するのが困難となっていた。このように計測
精度がばらつくと、例えば別途のプロセス計算機が実行
する所定の炉心性能計算にも誤差が生じてしまい、燃料
チャンネルの燃焼や熱水力状態等を正確に把握できなく
なる。
【0008】また、将来の原子炉の一つして想定されて
いる自然循環型原子炉では、上記差圧(図10中の二点
鎖線a〜c間の差圧)がより一層小さくなることから、
上記差圧方式による流量測定を殆ど実施できなくなる。
さらに、原子炉の構造上などの理由で差圧測定箇所を炉
心内に設けることができないことから、炉心内の各燃料
チャンネル内を通流する冷却材流量(局部冷却材流量)
を個別に計測できなかった。
【0009】そこで、上記問題を解決する手段の1つと
して、燃料チャンネル内の局部冷却材流量を計測する方
法が提案されている。
【0010】この冷却材流量計測方法は、炉心内に配置
された中性子検出器、例えば局部中性子束を検出するL
PRM(局部出力領域モニタ)検出器を利用するもの
で、そのLPRM検出器で検出された信号中の特定の周
波数成分(ゆらぎ成分)に着目し、そのゆらぎ成分の炉
心軸方向の相関で求まる遅れ時間から燃料チャンネル内
を流れるボイド(気泡)の移動速度を計測し(例えば、
特公昭53−11634号公報)、そのボイド移動速度
と予め設定された燃料チャンネル内の軸方向の二相流の
熱水力モデルとに基づいて燃料チャンネル流量を求める
ものである(例えば、特開昭52−139897号公
報)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のLPRM検出器を利用した冷却材流量計測方法
は、燃料チャンネル流量の計測原理としての利点はある
ものの、各燃料チャンネルの燃焼特性(核定数等)や、
熱水力的条件(隣接する制御棒位置等の炉心内の場所
等)を意識したものではなかったたため、実際のプラン
ト運用では計測誤差が大きくなり、特に燃料チャンネル
流量から炉心総流量を推定する計測方法としては計測精
度上、そのままでは殆ど適用できないという問題があっ
た。
【0012】この発明は、上述した従来の問題を考慮し
てなされたもので、従来の中性子検出器を利用した冷却
材流量計測方法及びそのシステムの利点を活用しつつ、
炉心内の各燃料チャンネルの特性を加味した冷却材流量
の推定値を精度よく計測でき、かつ、炉心管理等の運用
時の信頼性を高めることができる原子炉炉心の冷却材流
量計測方法及びその冷却材流量計測システムを提供する
ことを、目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明に係る原子炉炉心の冷却材流量
計測方法は、原子炉炉心内の複数の燃料チャンネル間の
軸方向の異なる位置に配置された少なくとも2つの中性
子検出器が検出した周波数成分からゆらぎ成分の遅れ時
間に相当する気泡伝達時間の実測値を求め、所定の原子
炉炉心性能計算で求まる熱出力分布パターンと予め設定
された燃料チャンネルの熱水力モデルとに基づいて上記
複数の燃料チャンネルの気泡伝達時間の平均値を算出
し、この平均値を予め設定した補正係数で上記複数の燃
料チャンネル毎に個別に換算し、この換算値を上記中性
子検出器に隣接する4つの燃料チャンネル毎に個別に定
めた重み付け係数で平均化して気泡伝達時間の予測値を
求め、上記気泡伝達時間の実測値及びその予測値に基づ
いて原子炉全体の冷却材総流量の推定値及び上記複数の
燃料チャンネル毎の冷却材局部流量の推定値を計測する
ことを特徴とする。
【0014】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明において、前記予測値を求める処理は、前記熱出力
分布パターンの代わりに、前記中性子検出器による検出
信号の平均値成分から求まる出力分布パターンを用いた
処理である。
【0015】請求項3記載の発明では、請求項1又は2
記載の発明において、前記実測値を演算する処理は、前
記実測値を求める処理は、前記ゆらぎ成分の相関関数か
ら重み付け平均で上記実測値を求めるステップと、上記
ゆらぎ成分の相関関数のピーク点近傍に複数点を内挿し
て上記実測値を求めるステップと、上記ゆらぎ成分の周
波数領域の互いの位相差から上記実測値を求めるステッ
プと、上記ゆらぎ成分のコヒーレンス関数の逆変換で求
まる疑似相関関数から上記実測値を求めるステップとの
内の少なくとも1つのステップを備えた処理である。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項3項記載の
発明において、前記実測値を演算する処理は、前記ゆら
ぎ成分の内のゆらぎ幅に基づく特徴部分を抽出し、この
特徴部分に基づく上記ゆらぎ成分の遅れ時間に相当する
気泡伝達速度を前記少なくとも1つのステップを実行し
て求める処理である。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
内のいずれか1項記載の発明において、前記2つの推定
値を計測する処理は、前記気泡伝達時間の実測値とその
予測値との誤差が最小となる状態まで繰り返し計算を行
い、この繰り返し計算の結果に基づいて前記2つの推定
値を同時に計測する処理である。
【0018】請求項6記載の発明では、請求項5記載の
発明において、前記2つの推定値を計測する処理は、原
子炉炉心外に配置された差圧測定用の流量測定装置が測
定した差圧信号で定まる炉心内冷却材流量の測定値を前
記繰り返し計算で使用する処理である。
【0019】請求項7記載の発明では、請求項1乃至6
の内のいずれか1項記載の発明において、前記実測値を
求める処理は、前記複数の燃料チャンネル間の軸方向の
異なる位置に配置された4つの中性子検出器の内の2つ
の中性子検出器を運転出力状態に応じて選択するステッ
プを備えている。
【0020】請求項8記載の発明では、請求項1乃至7
の内のいずれか1項記載の発明において、前記予測値を
求める処理は、原子炉炉心外に配置された差圧測定用の
流量測定装置が測定した差圧信号で定まる炉心内冷却材
流量の測定値を前記原子炉炉心性能計算で使用する処理
である。
【0021】請求項9記載の発明では、請求項8記載の
発明において、少なくとも前記冷却材総流量の推定値に
基づいて前記炉心内冷却材流量の測定値を補正する処理
を備えている。
【0022】請求項10記載の発明では、請求項9記載
の発明において、前記測定値を補正する処理は、前記冷
却材総流量の推定値と前記炉心内冷却材流量の測定値と
の偏差量が予め設定された基準値を超えたときに上記測
定値を補正する処理である。
【0023】請求項11記載の発明では、請求項9記載
の発明において、前記予測値を求める処理は、前記測定
値を補正する処理で補正された当該測定値を所定時間毎
に実行される前記原子炉炉心性能計算で使用する処理で
ある。
【0024】請求項12記載の発明では、請求項11記
載の発明において、前記測定値を補正する処理は、前記
冷却材総流量の推定値と前記炉心内冷却材流量の測定値
との偏差量が予め設定された基準値を超えたときに運転
員に告知させるステップを備えている。
【0025】請求項13記載の発明では、請求項8記載
の発明において、前記2つの推定値の内の少なくとも1
つに基づいて少なくとも前記流量測定装置に校正信号を
与える処理を備えている。
【0026】請求項14記載の発明では、請求項13記
載の発明において、前記校正信号を与える処理は、前記
炉心内冷却材流量の測定値が予め設定された基準値より
も低いときに前記流量測定装置に校正信号を与える処理
である。
【0027】請求項15記載の発明では、請求項8記載
の発明において、モニタ上の画面に少なくとも監視モー
ド及び補正モードを含む複数の入力モードを表示し、上
記監視モードが選択されたときに前記2つの推定値を上
記画面に表示すると共に、上記補正モードが選択された
ときに前記流量測定装置に校正信号を与える処理を備え
ている。
【0028】請求項16記載の発明に係る原子炉炉心の
冷却材流量システムは、原子炉炉心内の複数の燃料チャ
ンネル間の軸方向の異なる位置に配置された少なくとも
2つの中性子検出器と、上記原子炉炉心内の冷却材流量
を推定する流量推定手段とを備え、この流量推定手段
は、上記中性子検出器が検出した周波数成分の内のゆら
ぎ成分の遅れ時間に相当する気泡伝達時間の実測値を求
める手段と、所定の原子炉炉心性能計算で求まる上記燃
料チャンネル内の軸方向の熱出力分布パターンの推定値
に基づいて燃料チャンネル毎の気泡伝達時間の予測値を
求める手段と、その予測値及び上記実測値に基づいて原
子炉全体の冷却材総流量の推定値及び燃料チャンネル毎
の冷却材局部流量の推定値を同時に求める手段とを備え
たことを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、この発明の一実施形態を図面を
参照して説明する。ここで、従来の原子炉と実質的に同
一又は同等の構成要素については、同一又は同等の符号
を付してその説明を簡略又は省略する。
【0030】最初に、この発明に係る原子炉炉心の冷却
材流量計測方法の原理を図1〜図5に基づいて説明す
る。この発明は、少なくとも2つのLPRM検出器(中
性子検出器)のゆらぎ成分の相関で求まる遅れ時間に相
当する気泡伝達時間(「ボイド移動時間」、「ボイド伝
搬時間」ともいう)の実測値と、予め設定された燃料チ
ャンネル内の熱水力モデルで定まる気泡伝達時間の予測
値とを用いた従来の燃料チャンネル流量の推定方法を適
用したものである。
【0031】まず、ボイド伝搬時間の予測値を求める処
理を図1及び図2に基づいて説明する。
【0032】図1(a)は、炉心2内の複数の燃料チャ
ンネル20…20間の軸方向に装荷されたLPRM計装
管21(軸方向の異なる位置に4つのLPRM検出器2
2…22を搭載)を示し、この図1(a)の燃料チャン
ネルに対して典型的に知られている燃料チャンネル20
内の軸方向の熱水力状態(熱出力分布パターン)を図1
(b),(c)に示す。
【0033】ここで、プロセス計算機による炉心性能計
算では、通常、核定数、全炉心流量、炉心入口エンタル
ピー等の情報に基づいて、炉心2内の各燃料バンドル内
の軸方向の中性子束分布、熱流束分布、ボイド分布、ク
ォリティ分布、チャンネル流量配分等の熱出力分布パタ
ーンが一定時間毎に計算されている。この熱出力分布パ
ターンの計算値と、予め設定された燃料チャンネル20
の熱水力計算モデル(例えば、ドリフトフラックスモデ
ル)とから、軸方向の異なる位置に配置されたLPRM
検出器22、22間の「ボイド移動速度Ck」を、
【数1】 の式で算出する。この(1)式中の「ドリフト速度Vg
j」と「分布定数Co」は、実験的に求められる経験
式、例えば、
【数2】 の定義式で予め設定されている。
【0034】上記(1)式から、「ボイド伝搬速度C
k」は軸方向の位置をzとすると、このzの関数Ck
(z)で求めることができるため、このCk(z)を軸
方向の2つのLPRM検出器22、22間で積分する
と、
【数3】 の式で各燃料チャンネル毎に「ボイド伝搬時間Tm」
(m=1、2、…、n:n=「燃料チャンネルの個
数」、以下同じ)が求まる。
【0035】上記(1)及び(2)式で求まる「ボイド
移動速度Ck」の計算値は、燃料チャンネルの平均的挙
動に対応するボイド率に基づくボイド移動速度である。
しかしながら、注目するLPRM計装管21の周辺に
は、図2(a)に示すように、熱出力分布やチャンネル
流量の異なる4本の燃料チャンネル20…20があり、
この燃料チャンネル20…20は、図2(b)に示すよ
うに複数本(例えば60本)の燃料棒23…23の集合
体(「燃料集合体」、符号24は冷却材通路用のウォー
ターロッド)となっているため、実際のボイド移動速度
は、複数の燃料棒23…23間のコーナー部23a、周
辺部23b、中央部23cなどの燃料チャンネル20内
の位置により異なった値となる(図2中の制御棒30…
30、中性子源31…31、起動領域検出器(中性子検
出器)32…32は従来と同等のものであるため、その
説明を便宜上、省略する)。
【0036】従って、LPRM検出器22…22で中性
子束の変動として観測されるゆらぎ成分は、各種のボイ
ド移動速度を間接的に計測していることになる。つま
り、ゆらぎ成分は、ボイドとLPRM検出器22…22
との距離や、ボイド量、ボイド速度などに依存して異な
るため、検出器22…22の計測値に対応するボイド伝
搬時間は、上記(3)式で求まるチャンネル平均値とし
ての時間Tmではなく、燃料チャンネル20内のLPR
M検出器22に近いチャンネル壁面近傍付近(例えば図
2中のコーナー部23a)のボイド移動速度に強く影響
を受けた時間となる。
【0037】そこで、この発明では、上記(3)式のボ
イド伝搬時間Tm(平均値)を、
【数4】 の経験式で求まるLPRM検出器22…22で計測され
るゆらぎ成分の遅れ時間に相当する時間Tcor、mに換算
する方法に着目した。
【0038】上記(4)式中のf(α)は、ボイド量の
関数として定める補正係数(換算係数)であり、例えば
燃料棒23…23で区切られた領域内(サブチャンネル
内)の熱水力計算により予め設定されている。
【0039】また、LPRM検出器22…22の周辺部
に隣接する4本の燃料チャンネル20…20内のボイド
伝搬時間も夫々異なるため、この4本の燃料チャンネル
20…20内のボイド伝搬時間をLPRM検出器22…
22の計測値と対応させるための平均化方法も必要とな
る。
【0040】そこで、この発明では、燃料チャンネル2
0…20毎のボイド伝搬時間の換算値Tcor、mを、
【数5】 の式で示す燃料チャンネル20…20毎に定めた重み付
け係数w(m)で平均化してLPRM検出器22…22
の計測値と対応した予測値Tcal を演算する、「重み付
け平均法」を採用した。
【0041】上記(5)式の係数w(m)を定める式中
の「αz1、αz2」は、2つのLPRM検出器22…22
の高さに対応した位置z1、z2でのボイド率であり、
「φz1、φz2」は位置z1、z2での中性子束である。
「p1、p2、q1、q2」は、LPRM検出器22…
22で求まるボイド移動速度がボイド量の多い燃料チャ
ンネル20や中性子束の大きい燃料チャンネル20に強
く影響されることを考慮に入れて経験的に定めた重み係
数(定数)である。
【0042】従って、上記(5)式により、炉心性能計
算で使用される熱水力モデルと実質的に同等のモデルに
基づいて、LPRM検出器22…22の計測値(遅れ時
間)に相当するボイド伝搬時間の予測値Tcal が求まる
と、この予測値Tcal と実際にLPRM検出器22…2
2で計測されたゆらぎ成分の相関関数で求まる遅れ時間
に相当するボイド伝搬時間の実測値とを一致させるよう
に計算することにより、冷却材局部流量(「燃料チャン
ネル流量」、「チャンネル入口流量」ともいう)を推定
できる。
【0043】次に、軸方向の2つのLPRM検出器2
2、22の信号中のゆらぎ成分の相関からボイド伝搬時
間の実測値を求める処理を図3及び図4に基づいて説明
する。
【0044】図3は、ボイド伝搬時間の実測値を演算す
るアルゴリズムを説明するものである。同図において、
LPRM検出器22…22の出力側にゆらぎ成分(変動
成分)中の低周波成分を除去するバンドパスフィルタ5
0及びこのフィルタ50の出力から特徴部分を抽出する
特徴域抽出部50aを備え、この抽出部50aの抽出信
号に基づいて以下に述べる第1〜第3の演算処理が並列
的に実行される。
【0045】第1の演算処理は、従来の相関関数を用い
た方法を適用したもので、まず、ステップS51にてゆ
らぎ成分の相関関数C(t)を算出する。この相関関数
C(t)には、図4に示すように、ボイド伝搬時間に相
当する波形部分にピークが存在する。通常、この波形ピ
ークは、所定の周期でサンプリングされた相関関数デー
タの最大値(通常、100〜200(msec))として抽
出される。従って、遅れ時間の測定精度はデータのサン
プリング周期に制約を受けるため、例えば周期を10
(msec)とすると、遅れ時間を10(msec)単位でしか
求めることができない。
【0046】そこで、この第1の演算処理では、ステッ
プS51aにて相関関数が最大になる前後の値をC
(t)(t=t0、t1、t2)としたときに、(C
(t)−a×t2 −b×t−c)2 の値が最小の状態と
なるようにa、b、cをフィッティングし、遅れ時間の
実測値を、
【数6】 の式で定まるピーク値tpとして求める(以下、この方
法を「ピークフィッティング」と呼ぶ)。このピークフ
ィッティングで求まるピーク値tpに相当する遅れ時間
は、例えば上記サンプリング周期と同じ条件(10(ms
ec))で10(msec)以下の分解能を達成している。
【0047】また、上記ステップS51bの処理と並行
して、ステップS51bにて相関関数C(t)が正にな
る区間(図4中のta〜tb)内で平均(重心平均)し
て、遅れ時間の実測値を、
【数7】 の式で定まるピーク値tpとして求める(以下、この方
法を「重心平均法」と呼ぶ)。この重心平均法によるピ
ーク値tpに相当する遅れ時間の分解能も、上記ピーク
フィッティングによる場合と殆ど同等であった。
【0048】第2の演算処理は、ステップS52にてコ
ヒーレンス関数の逆変換で求まる疑似相関関数(「レホ
ケンス関数」という)を採用し、このレホケンス関数に
対して上記と同様の2つの方法を適用したステップS5
2a及びS52bの処理にて遅れ時間を求める。ここ
で、コヒーレンス関数は、周波数領域で2信号間の関連
性が高い部分を示すもので、これに重みを付けたレホケ
ンス関数は、2信号間のコヒーレンスの大きい周波数領
域のみを逆変換した疑似相関関数であるため、通常の相
関関数よりも遅れ時間の精度を向上させる利点がある。
【0049】第3の演算処理は、ステップS53にて相
関関数のフーリエ変換で求まる位相関数を算出し、ステ
ップS53aにて位相関数の位相フィッティングから遅
れ時間を算出する。
【0050】例えば、コヒーレンス関数CF(f)は、
軸方向の2つのLPRM検出器22、22で計測される
時系列の検出信号X1(t)及びX2(t)をフーリエ
変換Fしたときに、
【数8】 の式で求まる関数X1(f)及びX2(f)を、
【数9】 の式で求まる複素数の関数に相当する。ここで、X1
(f)及びX2(f)は、X1(f)及びX2(f)
の共約複素数を意味し、例えば、X1(t)のフーリエ
変換をX1(f)=X1R (f)+jX1I (f)の複
素数で表現したときに、このX1(f)の共約複素数
は、X1(f)=X1R (f)−jX1I(f)とな
る。X2(f)の共約複素数X2(f)も同等であ
る。
【0051】上記コヒーレンス関数CF(f)の位相部
が第3の演算処理で着目する位相関数となる。
【0052】また、第2の演算処理で着目するレホケン
ス関数RH(t)は、上記コヒーレンス関数CF(f)
をフーリエ逆変換F-1したときに、
【数10】 の式で求まる示す関数である。
【0053】ここでの相関関数C(t)は、
【数11】 のように、時間差tの時系列データの掛け算で求める。
【0054】この発明では、相関関数C(t)の遅れ時
間の推定精度を向上させるため、図4に示す全ての時間
領域のデータ(X1(τ)、X2(τ)、τ=1、2、
…、)を用いるのではなく、
【数12】 の条件式に示すように、物理的意味を考慮してゆらぎ成
分の大きい部分(周波数領域)のみを加算している。
【0055】上記第1〜第3の演算処理を個別に採用す
ると、データに依存して期待する精度の結果を求めるこ
とができない場合があるため、ステップS54にて複数
の演算処理で個別に求めた遅れ時間を総合的に判断す
る。
【0056】このような総合判断手法としては、例えば
予め判断ルール(条件)を定めておき、その判断ルール
に基づいて上記遅れ時間の最適値を選定すればよい。判
断ルールとしては、 1):各演算方法で求めた遅れ時間が予め設定した妥当
な範囲内にあるか否かを判断し、NO(範囲内にない)
の場合はその演算方法で求めた遅れ時間を除外する。 2):各演算方法で求めた遅れ時間の全ての平均値から
の内で予め設定した基準値値を超えているものがあるか
否かを判断し、YES(ある)の場合はその演算方法で
求めた遅れ時間を除外する。 3):各演算方法のフィッティング時の誤差は予め設定
された基準値よりも小さいか否かを判断し、NO(基準
値を超えている)の場合はその演算方法で求めた遅れ時
間を除外する。 4):ピークの相関の大きさが十分であるか否かを判断
し、NO(十分でない)の場合はその演算方法で求めた
遅れ時間を除外する。
【0057】上記1)〜4)等の総合判断ルールを採用
することで、ステップS55にてデータに依存しない常
に安定した精度の遅れ時間を算出できる。
【0058】次に、冷却材総流量(「全炉心流量」)と
冷却材局部流量(「チャンネル入口流量」)の推定値を
計測する処理を図5に基づき説明する。
【0059】一般に、沸騰水型原子炉では、炉心2内の
複数の燃料チャンネル20…20間に20〜50本のL
PRM計装管21…21が装荷されており、図5に示す
ように、各計装管21…21には軸方向の異なる位置に
4つのLPRM検出器22a、22b、22c、22d
が配置されている。これら4つの中性子検出器22a…
22dの内の遅れ時間を求める検出器の組み合わせとし
ては、(22a、22b)、(22b、22c)、及び
(22c、22d)の3通りがある。
【0060】そこで、上記3通りの組み合わせにおける
遅れ時間の計測値をTmeas(n、ab)、Tmeas(n、bc)、Tme
as(n、cd)とし、上記(5)式で求まる計算値をTcal
(n、ab)、Tcal (n、bc)、Tcal (n、cd)としたとき、両者
の差の2乗和(誤差V)を、
【数13】 の炉心平均の加算式で求めた。
【0061】この(8)式中の新たに追加した最後の項
「DPcal (n) 」は、各燃料チャンネル20…20の差
圧であり、これは炉心性能計算の熱水力モデルによりボ
イド分布と同時に計算される量である。また(8)式中
の「DPmeas」は、前述した炉心差圧の計測値である。
ただし、この炉心差圧を原子炉の型により直接、計測で
きない場合には、前述した下部格子板差圧CPΔPに静
水頭圧力を加える等の補正した計算値を採用する。「w
1、w2、w3、w4」は、予め設定した重み係数であ
る。
【0062】上記(8)式で与えた各計算値は、予め設
定された燃料チャンネル20…20の熱水力モデルと、
入力である軸方向の熱出力分布パターンと、チャンネル
入口流量とに依存する値であるため、この三者の内の熱
出力分布パターンを一定とすると、上記(8)式で求ま
る計算値と計測値の誤差Vは、チャンネル入口流量の関
数で表現できる。
【0063】従って、(8)式で求まる誤差Vを最小に
するように繰り返し計算等を行うことで、チャンネル入
口流量を一意的に決めることができる。
【0064】例えば、チャンネル入口流量をw(n)と
すると、
【数14】 の式に基づく繰り返し計算により、上記(8)式で求ま
る誤差Vを最小にする各チャンネル入口流量w(n)を
算出できる。ここで、上記(8)式中のεは、収束計算
用の正の定数である。全炉心流量は、チャンネル入口流
量w(n)の和で算出できる。
【0065】また、演算高速化のため、全炉心流量をW
Tとしたときに、
【数15】 の式に基づく繰り返し計算で全炉心流量WTのみを調節
することにより、各チャンネル入口流量w(n)を一律
同じ比で近似的に変えて算出してもよい。この場合に
は、全炉心流量のみの調節で最適な推定値を得ることが
できる。
【0066】上記(8)式に代表される燃料チャンネル
の熱水力モデルに基づいた炉心流量の推定方法は、重み
係数を適宜に変更することで、LPRM検出器から得ら
れる遅れ時間に基づいた方法も可能になるし、炉心差圧
のみに基づいた方法も可能になる。従って、この発明に
係る原子炉炉心の冷却材流量計測方法は、将来の原子炉
の計装系の設計の考え方に対応して柔軟に適用できる利
点もある。
【0067】なお、上記発明の原理では、炉心性能計算
で得られる軸方向の熱出力分布パターンが計算上必須で
あった。そこで、炉心性能計算で求まる熱出力分布を計
算上必須としない方法に着目した。つまり、この方法
は、炉心性能計算は、炉心性能計算が実行される周期
(通常、1時間)よりも早いタイミングで炉心流量を推
定するための近似方法である。
【0068】この近似方法は、炉心性能計算で得られた
熱出力分布をP(z)とし、LPRM検出器22…22
の直流値の分布から得られた中性子束分布をL(z)と
し、時刻t0及びt1における熱出力分布をP0(z)
及びP1(z)とし、同時刻での中性子束分布L(z)
をL0(z)及びL1(z)とし、時刻t0での両分布
を既知数としたとき、時刻t1での熱出力分布P1
(z)を、
【数16】 の式で近似する方法である。ここで、炉心性能計算で
は、通常、軸方向を24ノードに分割して熱水力モデル
の計算を行い熱出力分布を求めるのに対し、LPRM検
出器22…22は軸方向に4か所しか設置されないた
め、中性子束分布に対しては、適宜な内挿処理(線形内
挿や、スプライン補間内挿、固有関数内挿等)を施し、
熱出力分布と同等のノード数に変換し、この変換結果を
L(z)とする。
【0069】上記(11)の近似式を採用すると、適切
な時間毎に炉心性能計算値とLPRM出力分布の関係を
校正しておけば、その後は、LPRM検出器22…22
の読みだけで軸方向の熱出力分布を得ることができる。
また、この際に、LPRM検出器22…22周辺の4体
の燃料チャンネル20…20を個別に扱わず、4体の平
均熱出力分布として、上記P0(z)と同等に扱えば、
計算量を大きく節約できる。
【0070】ここで、この発明の第1実施形態に戻り、
その説明を続ける。
【0071】図6に示す沸騰水型原子炉炉心の冷却材流
量計測システムは、従来と同様の計装配管10を介して
差圧CPΔPを測定する炉心支持板差圧測定装置(以
下、単に「差圧測定装置」と呼ぶ)11及び所定の炉心
性能計算を実行するプロセス計算機60を利用するもの
で、RPV1内の炉心2内に装荷されたLPRM計装管
(集合体)21…21中のLPRM検出器22…22の
検出信号を受けるLPRM間遅れ時間算出装置(以下、
単に「遅れ時間算出装置」と呼ぶ)61と、この遅れ時
間算出装置61、差圧測定装置11、及びプロセス計算
機60の出力を受ける炉心流量算出装置62と、この炉
心流量算出装置62による流量算出結果を表示する表示
装置63とを備えている。
【0072】プロセス計算機60は、従来と同様のプロ
セス計算機を適用したもので、一定時間置きの定時ログ
に合わせて所定の炉心性能計算を実行し、その計算結果
である燃料チャンネルの熱出力分布パターンの推定値を
遅れ時間算出装置61に供給する。
【0073】遅れ時間算出装置61は、上記(6)及び
(7)式を含めた図3のアルゴリズム(遅れ時間の実測
値を求める算出手順)を実行するマイクロコンピュータ
を要部に搭載した構成で、LPRM検出器22…22の
検出信号に基づいてボイド遅れ時間の実測値Tmeasを求
め、この実測値Tmeasを炉心流量算出装置62に供給す
る。
【0074】炉心流量算出装置62は、上記(1)〜
(5)及び(8)〜(10)式に代表されるアルゴリズ
ム(冷却材流量の推定値を求める算出手順)を実行する
マイクロコンピュータを要部に搭載した構成で、差圧測
定装置11の炉心支持板差圧CPΔPと、プロセス計算
機60の熱出力分布パターンの推定値と、遅れ時間算出
装置のボイド遅れ時間の実測値Tmeasとに基づいてチャ
ンネル入口流量(局所流量)W(n)の推定値及び全炉
心流量(総流量)WTの推定値を同時に求め、これを表
示装置63の画面にリアルタイムに表示させる。
【0075】次に、この実施形態の全体の作用を図7に
基づき説明する。
【0076】まず、遅れ時間算出装置61がステップS
1の実測値を求める処理を実行して遅れ時間の実測値T
measを算出する。具体的には、図3のアルゴリズムと同
等のステップS10〜S17の処理(上記原理と同様)
を実行して、算出した遅れ時間の実測値Tmeasを炉心流
量算出装置62にリアルタイムに出力する。
【0077】また、プロセス計算機60は、一定時間置
きにステップS2の予測値を求める処理の内のステップ
S20〜S22(従来と同様)に示す炉心性能計算を実
行して、熱出力分布パターンの推定値を求め、これを炉
心流量算出装置62に定時ログに合わせて供給する。
【0078】そこで、炉心流量算出装置62は、ステッ
プS2の予測値を求める処理の内のステップS23〜S
26の処理(上記原理と同様)を実行して、遅れ時間の
予測値Tcal を求めると共に、この予測値Tcal 及び遅
れ時間算出装置61による実測値Tmeasに基づいてステ
ップS3の推定値を計測する処理、具体的にはステップ
S30〜S33の処理(上記原理と同様)を実行してチ
ャンネル入口流量W(n)の推定値及び全炉心流量WT
の推定値をリアルタイムに算出し、これを表示装置63
に出力する。
【0079】従って、この実施形態によれば、遅れ時間
の推定値及びその実測値の精度が大幅に向上し、冷却材
流量の高低に殆ど関係なく安定で且つ精度の高い炉心総
流量を計測できるほか、燃料チャンネル毎の局部流量も
同様の精度で測定できる。これにより、例えば低流量時
の既存のセンサーの計測精度を補償でき、既存の流量計
の補正係数を調整することで、低流量時まで含めた広い
範囲で安定した流量指示値を取得できるため、従来と比
べて炉心管理及び燃焼度管理等の運用時の信頼性を大幅
に高めた炉心流量計測方法及びそのシステムを構築でき
る。
【0080】特に、中性子検出器を利用した実測値を求
める処理では、互いに異なる複数の手法を総合的に組み
合わせているので、各手法の相互の欠点を補うことがで
き、安定した遅れ時間の計測値を提供できる。低流量時
での相関関数の推定精度を向上させることができる。
【0081】また、冷却材流量の推定値を計測する処理
では、ボイド量と中性子束レベルに応じた重み係数によ
る平均化方法を加味したため、従来の単純な平均方法に
比べて燃料チャンネル流量の推定精度を大幅に向上させ
ることができる。また、炉心全体における平均的誤差を
利用した推定計算を実行しているので、従来のLPRM
計装管単独での推定計算に比べて精度が大幅に向上して
いる。また、この推定計算処理に従来の炉心差圧の計測
値を利用すれば、熱水力モデルの不確定さを大幅に低減
できる利点がある。
【0082】また、この実施形態によれば、運用に応じ
て従来の差圧法で求まる流量測定値を組み合わせること
で、流量測定値選定の選択範囲に多様性をもたせた冷却
材流量計測方法及びそのシステムを構築できる。
【0083】なお、この実施形態では冷却材流量を連続
的に算出するようにしてあるが、原子炉運転の運用上の
都合により、例えばプロセス計算機の1時間置きの定時
ログに合わせて一定時間毎に算出してもよい。これによ
り、プロセス計算機による炉心性能計算の精度が更に向
上するようになる。
【0084】また、流量計算に採用するLPRM検出器
は、全数でなく、計算負荷を低減するため、前記(8)
式及び(10)式の利点を活用することで、任意の検出
器の組み合わせを適宜に選択することも可能となる。例
えば、プラント運転条件で燃料チャンネル内のボイド分
布が変化しても、それに合わせて冷却材流量測定用の中
性子検出器の位置を選択したり、評価関数を選択するこ
とで、冷却材流量の推定精度を常にプラント運転条件に
応じた最適な状態で求めることができる。
【0085】さらに、この実施形態ではプロセス計算機
60、遅れ時間算出装置61、及び炉心流量算出装置を
個別に搭載してあるが、グループ毎に又は一体に搭載し
た構成であってもよい。要は、実測値を求める処理(ス
テップS1)、予測値を求める処理(ステップS2),
及び推定値を求める処理(ステップS3)を実行可能な
構成であればよい。例えば、プロセス計算機に炉心流量
算出装置の機能を持たせてもよい。
【0086】また、この実施形態はRIPを搭載した沸
騰水型原子炉に適用してあるが、この発明はこれに限定
されるものではなく、RIPを搭載していない原子炉
や、自然循環炉等でもよい。この場合でも上記構成が殆
どそのまま適用できる。
【0087】(第2実施形態)次に、この発明の第2実
施形態を図8に基づいて説明する。この第2実施形態
は、燃料チャンネルの熱出力分布をLPRM検出器の直
流値から近似的に求めるものである。
【0088】図8に示す原子炉炉心の冷却材流量計測シ
ステムは、上記実施形態と同等の遅れ時間算出装置6
1、炉心流量算出装置62、及び表示装置63に加え、
上記(11)式を演算するアルゴリズム(上記原理と同
様)を実行する熱出力近似計算装置64を備えている。
【0089】熱出力近似計算装置64は、プロセス計算
機60からの熱出力分布パターンの推定値を数週間又は
数か月置きの炉心性能計算の校正タイミングに合わせて
予め入力し、この熱出力分布と上記(11)の近似式に
基づいて、LPRM検出器22…22からリアルタイム
に供給されてくる直流値から熱出力分布パターンの近似
値を求め、これをプロセス計算機60の推定値の代わり
に炉心流量算出装置にリアルタイムに供給する。
【0090】従って、この実施形態によれば、上記と同
等の効果に加え、中性子検出器の信号の直流値とゆらぎ
成分のみから冷却材流量を連続的に監視でき、炉心性能
計算結果の参照頻度が減って、プロセス計算機からの情
報の入力頻度を低減できるため、オンライン入力だけで
なく、オフライン入力も可能となり、プロセス計算機と
独立した炉心流量計測装置を構築できる利点がある。
【0091】(第3実施形態)次に、この発明の第3実
施形態を図9に基づいて説明する。この第3実施形態
は、流量算出結果の表示と運用方法を改善したものであ
る。
【0092】図9は、炉心流量計測装置62が算出した
炉心流量の推定値と運転員が切り換え可能に操作すべき
運用に関する複数の入力モードを同時に表示する上記第
1及び第2実施形態と同等の表示装置63の画面例を説
明するものである。
【0093】この表示装置63の画面M1においては、
チャンネル局所流量W(n)の推定値(10t/h)が
炉心内の各燃料チャンネル毎に区分けされた画像上に表
示されると共に、炉心総流量WTの推定値(t/h)が
各種の推定方法(相関法、差圧法(CΔP及びPΔP)
等)毎に表示される。
【0094】また、複数の入力モードとしては、プロセ
ス計算機60の定時ログのタイミングで炉心流量の推定
値W(n)、WTを算出する「オンデマンドモード」、
連続的に炉心流量の推定値W(n)、WTを算出する
「連続モード」、計算結果のみを表示する「監視モー
ド」、及び推定結果をプロセス計算機の性能計算用とし
てフィードバックさせたり、差圧法に基づく従来の計測
系にける校正定数を変更させるための「自動補正モー
ド」等がある。
【0095】特に「自動補正モード」には、複数の炉心
流量計測結果の相互の偏差(図9中のサブ画面M2参
照)を常に監視して、一定以上の偏差が出た場合に自動
又は手動で補正する「偏差大アラーム」等のサブ入力モ
ードが予め設定されている。
【0096】例えば、「偏差大アラーム」で手動補正が
設定されると、従来の方法で測定された炉心流量と、補
正された炉心流量との偏差が予め設定された基準値を超
えた場合に運転員が認知可能な警報などの告知手段が動
作するため、アラームが鳴る等の告知手段が作動し、こ
れにより、運転員は上記偏差に関する事態を直ちに認
め、基準値を超えた量に基づいて従来の計測系で測定さ
れた炉心流量を手動で校正できる。
【0097】従って、この実施形態によれば、表示画面
及び入力モードを工夫したため、炉心内の状態(炉心内
の冷却材の流れの偏り状況等)を視認性を高めた見やす
い画面で容易に把握できると共に、異なる測定原理に基
づく既存の流量測定装置(流量計)で求めた測定値と対
比することで、この流量測定装置の校正を運転中に容易
に実施でき、既存のセンサーを校正する手間を大幅に解
消でき、例えばコモンモードによるドリフト等を容易に
検知できる等の利点があり、炉心管理能力の精度向上に
大きく貢献できる。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る原
子炉心の冷却材流量計測方法及びその冷却材流量計測シ
ステムによれば、複数の燃料チャンネル毎の冷却材局部
流量の推定値を計測することを必須処理とし、特に複数
の燃料チャンネルの気泡伝達時間の平均値を予め設定し
た補正係数で複数の燃料チャンネル毎に個別に換算し、
この換算値を中性子検出器に隣接する4つの燃料チャン
ネル毎に個別に定めた重み付け係数で平均化して気泡伝
達時間の予測値を求める処理を実施したため、各燃料チ
ャンネルの特性を加味した条件で、既存の中性子検出器
を用いた冷却材流量の推定値の計測精度を大幅に高める
ことができ、これにより、従来と比べて炉心管理等の運
用時の信頼性を高めた冷却材流量計測方法及びその冷却
材流量計測システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の気泡伝達時間の予測値を求める原理
を説明する図で、(a)〜(c)はLPRM検出器の軸
方向配置と周辺燃料チャンネルの熱水力状態の説明図。
【図2】この発明の気泡伝達時間の予測値を求める原理
を説明する図で、(a)は概略の炉心配置図、(b)は
(a)中のA部の部分拡大図。
【図3】この発明の気泡伝達時間の実測値を求める原理
を説明するアルゴリズムを示す概略フロー図。
【図4】この発明の気泡伝達時間の実測値を求める原理
を説明する、相関関数と遅れ時間の関係図。
【図5】この発明の冷却材流量の推定値を求める原理を
説明する図で、(a)は概略の炉心配置図、(b)は
(a)のB−B線に沿った概略の部分断面図。
【図6】この発明の第1実施形態に係る原子炉炉心の冷
却材流量計測システムの全体構成を示す概略ブロック
図。
【図7】第1実施形態の作用を説明する概略フロー図。
【図8】この発明の第2実施形態に係る原子炉炉心の冷
却材流量計測システムの全体構成を示す概略ブロック
図。
【図9】この発明の第3実施形態に係る原子炉炉心の冷
却材流量計測システムの表示装置の表示画面例を示す
図。
【図10】従来の原子炉炉心の冷却材流量計測システム
を搭載した原子炉の要部構成を示す概略図。
【図11】従来の差圧PΔPと炉心流量との相関を説明
する図。
【符号の説明】
1 原子炉(RPV) 2 炉心 3 インターナルポンプ(RIP) 4 ダウンカマ 5 下部プレナム 6 炉心支持板 7 上部格子板 8 上部プレナム 9 気水分離器 10 炉心支持板差圧計装配管 11 炉心支持板差圧測定装置 12 ポンプ部差圧計装配管 13 ポンプ部差圧測定装置 20 燃料チャンネル 21 LPRM計装管 22 LPRM検出器 23 燃料棒 24 ウォーターロッド 30 制御棒 31 中性子源 32 起動領域検出器 60 プロセス計算機 61 LPRM間遅れ時間算出装置 62 炉心流量算出装置 63 表示装置 64 熱出力近似計算装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 光広 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 江畑 茂男 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 高森 由己夫 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉炉心内の複数の燃料チャンネル間
    の軸方向の異なる位置に配置された少なくとも2つの中
    性子検出器が検出した周波数成分からゆらぎ成分の遅れ
    時間に相当する気泡伝達時間の実測値を求め、 所定の原子炉炉心性能計算で求まる熱出力分布パターン
    と予め設定された燃料チャンネルの熱水力モデルとに基
    づいて上記複数の燃料チャンネルの気泡伝達時間の平均
    値を算出し、この平均値を予め設定した補正係数で上記
    複数の燃料チャンネル毎に個別に換算し、この換算値を
    上記中性子検出器に隣接する4つの燃料チャンネル毎に
    個別に定めた重み付け係数で平均化して気泡伝達時間の
    予測値を求め、 上記気泡伝達時間の実測値及びその予測値に基づいて原
    子炉全体の冷却材総流量の推定値及び上記複数の燃料チ
    ャンネル毎の冷却材局部流量の推定値を計測することを
    特徴とする原子炉炉心の冷却材流量計測方法。
  2. 【請求項2】 前記予測値を求める処理は、前記熱出力
    分布パターンの代わりに、前記中性子検出器による検出
    信号の平均値成分から求まる出力分布パターンを用いた
    処理である請求項1記載の原子炉炉心の冷却材流量計測
    方法。
  3. 【請求項3】 前記実測値を求める処理は、前記ゆらぎ
    成分の相関関数から重み付け平均で上記実測値を求める
    ステップと、上記ゆらぎ成分の相関関数のピーク点近傍
    に複数点を内挿して上記実測値を求めるステップと、上
    記ゆらぎ成分の周波数領域の互いの位相差から上記実測
    値を求めるステップと、上記ゆらぎ成分のコヒーレンス
    関数の逆変換で求まる疑似相関関数から上記実測値を求
    めるステップとの内の少なくとも1つのステップを備え
    た処理である請求項1又は2記載の原子炉炉心の冷却材
    流量計測方法。
  4. 【請求項4】 前記実測値を求める処理は、前記ゆらぎ
    成分の内のゆらぎ幅に基づく特徴部分を抽出し、この特
    徴部分に基づく上記ゆらぎ成分の遅れ時間に相当する気
    泡伝達時間を前記少なくとも1つのステップを実行して
    求める処理である請求項3項記載の原子炉炉心の冷却材
    流量計測方法。
  5. 【請求項5】 前記2つの推定値を計測する処理は、前
    記気泡伝達時間の実測値とその予測値との誤差が最小と
    なる状態まで繰り返し計算を行い、この繰り返し計算の
    結果に基づいて上記2つの推定値を同時に計測する処理
    である請求項1乃至4の内のいずれか1項記載の原子炉
    炉心の冷却材流量計測方法。
  6. 【請求項6】 前記2つの推定値を計測する処理は、原
    子炉炉心外に配置された差圧測定用の流量測定装置が測
    定した差圧信号で定まる炉心内冷却材流量の測定値を前
    記繰り返し計算で使用する処理である請求項5記載の冷
    却材計測方法。
  7. 【請求項7】 前記実測値を求める処理は、前記複数の
    燃料チャンネル間の軸方向の異なる位置に配置された4
    つの中性子検出器の内の2つの中性子検出器を運転出力
    状態に応じて選択するステップを備えた請求項1乃至6
    の内のいずれか1項記載の原子炉炉心の冷却材流量計測
    方法。
  8. 【請求項8】 前記予測値を求める処理は、原子炉炉心
    外に配置された差圧測定用の流量測定装置が測定した差
    圧信号で定まる炉心内冷却材流量の測定値を前記原子炉
    炉心性能計算で使用する処理である請求項1乃至7の内
    のいずれか1項記載の原子炉炉心の冷却材流量計測方
    法。
  9. 【請求項9】 少なくとも前記冷却材総流量の推定値に
    基づいて前記炉心内冷却材流量の測定値を補正する処理
    を備えた請求項8記載の原子炉炉心の冷却材流量計測方
    法。
  10. 【請求項10】 前記測定値を補正する処理は、前記冷
    却材総流量の推定値と前記炉心内冷却材流量の測定値と
    の偏差量が予め設定された基準値を超えたときに上記測
    定値を補正する処理である請求項9記載の原子炉炉心の
    冷却材流量計測方法。
  11. 【請求項11】 前記予測値を求める処理は、前記測定
    値を補正する処理で補正された当該測定値を所定時間毎
    に実行される前記原子炉炉心性能計算で使用する処理で
    ある請求項9記載の原子炉炉心の冷却材流量計測方法。
  12. 【請求項12】 前記測定値を補正する処理は、前記冷
    却材総流量の推定値と前記炉心内冷却材流量の測定値と
    の偏差量が予め設定された基準値を超えたときに運転員
    に告知させるステップを備えた請求項11記載の原子炉
    炉心の冷却材流量計測方法。
  13. 【請求項13】 前記2つの推定値の内の少なくとも1
    つに基づいて少なくとも前記流量測定装置に校正信号を
    与える処理を備えた請求項8記載の原子炉炉心の冷却材
    流量計測方法。
  14. 【請求項14】 前記校正信号を与える処理は、前記炉
    心内冷却材流量の測定値が予め設定された基準値よりも
    低いときに前記流量測定装置に校正信号を与える処理で
    ある請求項13記載の原子炉炉心の冷却材流量計測方
    法。
  15. 【請求項15】 モニタ上の画面に少なくとも監視モー
    ド及び補正モードを含む複数の入力モードを表示し、上
    記監視モードが選択されたときに前記2つの推定値を上
    記画面に表示すると共に、上記補正モードが選択された
    ときに前記流量測定装置に校正信号を与える処理を備え
    た請求項8記載の原子炉炉心の冷却材流量計測方法。
  16. 【請求項16】 原子炉炉心内の複数の燃料チャンネル
    間の軸方向の異なる位置に配置された少なくとも2つの
    中性子検出器と、上記原子炉炉心内の冷却材流量を推定
    する流量推定手段とを備え、 この流量推定手段は、上記中性子検出器が検出した周波
    数成分の内のゆらぎ成分の遅れ時間に相当する気泡伝達
    時間の実測値を求める手段と、所定の原子炉炉心性能計
    算で求まる上記燃料チャンネル内の軸方向の熱出力分布
    パターンの推定値に基づいて燃料チャンネル毎の気泡伝
    達時間の予測値を求める手段と、その予測値及び上記実
    測値に基づいて原子炉全体の冷却材総流量の推定値及び
    燃料チャンネル毎の冷却材局部流量の推定値を同時に求
    める手段とを備えたことを特徴とする原子炉炉心の冷却
    材流量計測システム。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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