JPH10122117A - 水力機械 - Google Patents

水力機械

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JPH10122117A
JPH10122117A JP8283673A JP28367396A JPH10122117A JP H10122117 A JPH10122117 A JP H10122117A JP 8283673 A JP8283673 A JP 8283673A JP 28367396 A JP28367396 A JP 28367396A JP H10122117 A JPH10122117 A JP H10122117A
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JP
Japan
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coating
film
coated
hydraulic machine
nicr
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Application number
JP8283673A
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English (en)
Inventor
Ryoji Okada
亮二 岡田
Keiji Taguchi
啓二 田口
Toshiharu Ueyama
淑治 植山
Kazuo Niikura
和夫 新倉
Tsugio Yoshikawa
次雄 吉川
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/20Hydro energy

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  • Hydraulic Turbines (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】流体内に土砂などを含む条件下でも使用可能
な、耐摩耗性と耐食性に優れた水力機械及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】水力機械の流体と接する面にクロム炭化
物、タングステン炭化物、ニッケル、クロム、コバルト
からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む第1皮膜
と、硬質ゴム、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステル
からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む第2皮膜
とを被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐摩耗性、耐食性に
優れた水力機械の部品を備えた水力機械、その部品及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】流路を流れる流体を動作流体とする水力
機械には、たとえば水の位置エネルギを動力源として回
転するランナを備えた発電用水車、インペラの回転によ
り流体に運動エネルギを与えるポンプなどがある。近
年、このような水力機械は、流体内に固形物、例えば土
砂などを含む条件下での使用が増えている。このような
条件下で運転される水力機械の各種部品、たとえばポン
プのインペラ、ケーシング、水車のランナ、ケーシン
グ、ガイドベーンなどは、固形物の衝突による摩耗(以
下、土砂摩耗という)とキャビテーション壊食とが複合
した損傷が発生する。そのため、例えば特開平3−47
477号公報には損傷発生部にゴム等の樹脂ライニン
グ、もしくはセラミックス等の高硬度材料を溶射するこ
とが開示されている。
【0003】上記各種部材は、鋳造、若しくは製缶によ
って製作される。一般に3次元形状であるインペラ、ラ
ンナは鋳造によって製作されることが多い。しかし、発
電用水車インペラのような大型インペラでは、溶接によ
って組み立てる製造方法が一部用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先に示したように、水
力機械を流体内に土砂などを含む条件下で使用する場
合、土砂摩耗とキャビテーション壊食とによる損傷防止
のため、各種部材には高硬度材料の被覆が必要である。
しかしながら、三次元形状であるインペラ、ランナ、ケ
ーシング等は高硬度材料の被覆は容易ではない。
【0005】メッキ法は複雑形状物にも容易に被覆でき
る方法であるが、本例に適用する場合、次の課題があ
る。すなわち、クロムメッキ(以下、Crメッキと表記
する)は最も広く用いられている電解メッキであり、皮
膜硬さはメッキ膜中では最高に属し、ビッカース硬さ
(以下、Hvと表記する)が約1000である。しかし
電解メッキであるため、形状による電解集中が生じ膜厚
を均一とすることが困難である。また、メッキでは皮膜
内の歪のため厚膜形成が難しく、土砂摩耗とキャビテー
ション壊食に十分な膜厚の皮膜形成が困難である。ニッ
ケル−リンメッキ(以下、Ni−Pメッキと表記する)
は無電解メッキであり、形状にとらわれず均一な膜厚の
皮膜を形成できる。しかしながら、皮膜硬さは最高でも
Hv700〜800程度であり、土砂摩耗とキャビテー
ション壊食に対して十分な耐摩耗性を有していない。ま
たCrメッキと同様に、皮膜内の歪のため厚膜形成が難
しく、土砂摩耗とキャビテーション壊食に十分な膜厚の
皮膜形成が困難である。さらに、Crメッキ、Ni−P
メッキ共に浴槽に浸せきするため、水車、ポンプの部材
のような大型部品への適用は設備上実用的ではない。
【0006】溶射法によって形成する硬質被膜は、土砂
摩耗とキャビテーション壊食に対して十分な耐摩耗性を
有し、且つ溶射法は十分な厚みの皮膜を容易に被覆する
ことが出来る。しかしながら、溶射法を用いた場合には
次の課題がある。すなわち、良好な溶射皮膜を形成する
ためにはガンと部材との間隔に適切な距離が必要であ
り、さらに溶射ガンの寸法の制限から、比較的広いスペ
ースを必要とする。したがって、三次元形状であり、狭
いスペースを有する部材には、全ての領域において十分
な硬さと密着力を有する良好な皮膜を被覆することは困
難である。例えば、インペラ、ランナの場合、羽根の先
端のような溶射の容易な場所では良好な皮膜を形成する
ことが出来るが、羽根付け根のような流路内部では、ス
ペースが狭いため良好な皮膜の形成が困難である。流路
内部は羽根先端に比較し流体速度は低いが、それでも土
砂摩耗が生じ、土砂摩耗対策なしには十分な寿命が得る
ことが出来ない。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、本発明の目的は流体内に土砂などを含む
条件下でも使用可能な、耐摩耗性と耐食性に優れた水力
機械を提供することにある。◆本発明の別の目的は流体
内に土砂などを含む条件下でも使用可能な、耐摩耗性と
耐食性に優れた信頼性高い水力機械用部品を提供するこ
とにある。◆本発明のさらに別の目的は流体内に土砂な
どを含む条件下でも使用可能な、耐摩耗性と耐食性に優
れた水力機械を安価に製造する方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、内部に流体の流路を有するケーシングと、このケー
シング内に配設されており前記流路内の流体と共に回転
する回転体とを備えた水力機械において、次のいずれか
の構成を備える。
【0009】(A) 前記水力機械用部品の表面の少な
くとも一部に、クロム炭化物、タングステン炭化物、ニ
ッケル(以下、Niと表記する)、クロム(以下、Cr
と表記する)、コバルト(以下、Coと表記する)から
なる群から選ばれる少なくとも1種を含む第1皮膜と、
硬質ゴム、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステルから
なる群から選ばれる少なくとも1種を含む第2皮膜とが
被覆されていること。◆ (B) (A)において、前記第1被膜の上に前記第2
被膜が被覆された領域を有すること。◆ (C) (A)または(B)において、前記第2皮膜が
流体と接する全面に被覆されていること。◆ (D) (A)乃至(C)のいずれか1つにおいて、前
記第1皮膜がクロム炭化物、若しくはタングステン炭化
物を50重量%から90重量%含む皮膜、望ましくは7
0重量%から90重量%含む皮膜とする。◆ (E) (A)乃至(D)のいずれか1つにおいて、前
記第1皮膜の膜厚を0.1mm以上1.0mm以下、硬
質ゴム、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステルの内の
少なくとも1種類を含む樹脂から構成される皮膜の膜厚
を1mm以上3mm以下とする。◆ (F) (A)乃至(F)のいずれか1つにおいて、前
記第2皮膜の内部に、鉄、銅、ステンレス等の金属粉、
或いは酸化アルミ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸
化クロム、酸化珪素、炭化クロム、炭化タングステン、
炭化珪素、窒化珪素等のセラミック粒子を分散する。
【0010】上記課題を解決するため、水力機械を次の
いずれかの工程を有する製造方法で製造する。
【0011】(G) 用いる部材の表面の少なくとも一
部に、クロム炭化物、タングステン炭化物、ニッケル、
クロム、コバルトからなる群から選ばれる少なくとも1
種を含む第1皮膜を被覆し、次いで、硬質ゴム、エポキ
シ、ポリエチレン、ポリエステルからなる群から選ばれ
る少なくとも1種を含む第2皮膜を被覆する。◆ (H) (G)において、前記第1被膜を被覆後、35
0℃以上、650℃以下、望ましくは400℃以上、6
50℃以下の温度で1時間以上30時間以下加熱し、次
いで第2被膜を被覆する。◆ (I) (G)または(H)において、第2被膜の少な
くとも一部を第1被膜の上に重ねて被覆する。◆ (J) (G)または(I)において、第1被膜の被覆
方法として溶射法、望ましくは高速フレーム溶射法を用
いる。
【0012】そして、上記の構成により以下の効果が生
じる。◆クロム炭化物、タングステン炭化物、Ni、C
r、Coからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む
第1皮膜は被膜硬さが高いので、前記水力機械用部品の
表面の少なくとも一部に第1皮膜を被覆することにより
土砂摩耗とキャビテーション壊食に対して耐摩耗性を発
揮することが出来る。特にクロム炭化物としてCr32
を用い、タングステン炭化物としてWCを用いる皮膜
は、その皮膜硬さがHv1000以上であり且つ優れた
耐食性を有する。土砂などを構成する主な物質は長石と
石英であり、その最高硬さは石英のHv1000であ
る。土砂摩耗は衝突粒子の硬さを超えると急激に耐摩耗
性が向上するため、皮膜硬さがHv1000以上である
上記皮膜をインペラの表面の少なくとも一部に被覆する
ことによって、土砂摩耗とキャビテーション壊食に対し
て十分な耐摩耗性を発揮することが出来る。
【0013】第1皮膜を、Cr32若しくはWCを50
重量%から90重量%、望ましくは70重量%から90
重量%含む皮膜とすることによって土砂摩耗に対し優れ
た耐食性と耐摩耗性を有する。すなわち、クロム炭化物
若しくはタングステン炭化物、及びNi,Cr,Coの
内の少なくとも1種類を含む金属とから構成される皮膜
はCr32,WCの量によって皮膜硬さが変化する。C
32,WCの量を増せば皮膜硬さは増すが、皮膜の靭
性が失われ脆性となり、皮膜破壊、剥離等が生じやすく
信頼性が低下する。Cr32,WCの量が50重量%か
ら90重量%範囲であれば,土砂摩耗に対して十分な皮
膜硬さを有し、且つ靭性を保つことが出来る。また、こ
の範囲であれば皮膜硬さとしてHv1000以上を得る
ことが可能であり、土砂摩耗に対し優れた耐食性と耐摩
耗性を有する。但し、土砂濃度が高い場合はCr32
WCの量を高め、皮膜硬さを高める必要がある。この場
合、Cr32,WCの量は70重量%から90重量%が
望ましい。
【0014】上記第1皮膜の膜厚を0.1mm以上1.
0mm以下とすることによってインペラの土砂摩耗とキ
ャビテーション壊食に対して十分な寿命を保証でき、且
つ生産性、省エネルギの点で良好となる。すなわち、溶
射膜には微細なボイドが多数存在するため、優れた耐食
性と耐摩耗性を示すには皮膜厚さとしては0.1mm以
上を必要とする。一方、溶射膜は膜厚が増すと皮膜内部
の歪が増すため密着力が低下する。密着力の点からは、
この溶射膜は膜厚1.0mm以下とする必要がある。ま
た、この皮膜の耐摩耗性を考慮すると1.0mmの膜厚
があれば十分な寿命が予想され、作業の軽減、省エネル
ギの点でも1.0mm以下とすることが望ましい。以上
の点から膜厚を0.1mm以上1.0mm以下とすれ
ば、インペラの土砂摩耗とキャビテーション壊食に対し
て十分な寿命を保証でき、且つ生産性、省エネルギの点
で良好となる。
【0015】皮膜被覆法として溶射を用いることにより
土砂摩耗とキャビテーション壊食に対して十分な寿命を
保証できる厚みの皮膜を容易に被覆することが出来る。
すなわち、皮膜被覆法として溶射を用いるとNi,C
r,Coとクロム炭化物とから構成される皮膜では0.
1mmから1mmまでの膜厚、Ni,Cr,Coとタン
グステン炭化物とから構成される皮膜では0.1mmか
ら0.5mmまでの膜厚が形成可能である。したがっ
て、溶射で皮膜を形成すれば、土砂摩耗とキャビテーシ
ョン壊食に対して十分な寿命を保証できる厚みの皮膜を
容易に被覆することができる。
【0016】第1皮膜を被覆した後、350℃以上、6
50℃以下、望ましくは400℃以上、650℃以下の
温度で少なくとも1時間以上30時間以下加熱すること
によって、クロム炭化物若しくはタングステン炭化物、
及びNi,Cr,Coとから構成される皮膜内部におい
て、Ni,Cr,Coの金属相とクロム炭化物粒子若し
くはタングステン炭化物粒子との密着力が増すため、皮
膜の硬さが増加し、土砂摩耗とキャビテーション壊食に
対する耐摩耗性が増す。さらに、皮膜と母材との界面に
おいて密着力が増し、皮膜剥離が抑制される。したがっ
て、何らかの衝撃によって皮膜に亀裂が発生しても、皮
膜の剥離、脱落が抑制され信頼性が増す。加熱温度は高
いほど、皮膜内のNi,Cr,Co金属相とクロム炭化
物粒子若しくはタングステン炭化物粒子との密着力増
加、皮膜と母材との界面における密着力増加は早く進む
が、皮膜と母材との熱膨張率差によって熱歪が生じる。
熱歪による皮膜への影響を考慮すると650℃以下が望
ましい。また、皮膜の改良速度を考慮すると、350℃
が限界であり、これ以下では時間がかかり工業的利用が
困難となる。実用性を考慮すれば400℃以上、650
℃以下の温度範囲が望ましい。350℃以上、650℃
以下の温度範囲で検討すれば、350℃では20時間を
必要し、650℃であれば最低1時間で加熱の効果が生
じる。400℃以上、650℃以下の温度範囲で検討す
れば、30時間でその効果は収束する、したがって、効
果と省エネルギの点を考慮すれば1時間以上30時間以
下の加熱時間が望ましい。
【0017】第1被膜の被覆方法として溶射、特に高速
フレーム溶射を用いると三次元形状部材に対して均一が
緻密な皮膜が形成できる。溶射には各種方法があり、そ
れぞれの長所短所に応じた適用が行われている。最も緻
密な皮膜を形成できる溶射法は減圧中でプラズマ溶射法
を行う減圧溶射法である。しかし、減圧溶射法では施工
部材を真空容器中にいれて被覆処理せねばならず、本例
のような大型部材への適用は実用的でない。緻密な皮膜
を被覆できる他の方法として、爆発溶射法と高速フレー
ム溶射がある。爆発溶射法は一度の被覆面積が広いた
め、大型平面部材への被覆には適するが、溶射ガン、設
備が大きく、ランナやインペラのような三次元形状部材
に対して均一に被覆することは困難である。高速フレー
ム溶射は緻密な皮膜が形成でき、且つガンが比較的小さ
く、三次元形状部材に対して均一が緻密な皮膜が形成で
きる。
【0018】第1皮膜を被覆したインペラの表面に、硬
質ゴム、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステルからな
る群から選ばれる少なくとも1種を含む第2皮膜を被覆
すると部材全体の耐土砂摩耗性、耐キャビテーション性
が大幅に改善される。前述のごとく、高速フレーム溶射
はガンが比較的小さく、三次元形状部材に対して均一が
緻密な皮膜が形成できる溶射法であるが、それでもポン
プのインペラの流路内部のような箇所に良好な皮膜を形
成することは困難である。しかし、硬質ゴム、エポキ
シ、ポリエチレン、ポリエステルからなる群から選ばれ
る少なくとも1種を含む第2皮膜は、クロム炭化物、タ
ングステン炭化物、ニッケル、クロム、コバルトからな
る群から選ばれる少なくとも1種を含む第1皮膜に比較
すれば耐土砂摩耗性、耐キャビテーション性には劣るも
のの、施工法を適切に選定すればインペラの流路内部の
ような箇所にも良好な皮膜を被覆することができる。従
って、クロム炭化物若しくはタングステン炭化物、及び
Ni,Cr,Coのから構成される皮膜を溶射によって
被覆し、さらに同皮膜の被覆が困難な流路内部のような
箇所に硬質ゴム、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステ
ルの内の少なくとも1種類を含む樹脂から構成される皮
膜を被覆すれば、部材全体の耐土砂摩耗性、耐キャビテ
ーション性が大幅に改善される。
【0019】第1皮膜を被覆したインペラの表面に、第
2皮膜を被覆する際、少なくとも一部で被覆済の皮膜に
重ねることによって母材が継ぎ目なしに被覆されるた
め、土砂摩耗とキャビテーション壊食に対しての耐摩耗
性、信頼性が増す。皮膜の破壊、剥離は皮膜端部から生
じやすい。したがって、クロム炭化物若しくはタングス
テン炭化物、及びNi,Cr,Coの内の少なくとも1
種類を含む金属とから構成される皮膜に、硬質ゴム、エ
ポキシ、ポリエチレン、ポリエステル等の樹脂から構成
される皮膜一部重ねて被覆することによって、母材が継
ぎ目なしに被覆されるため、土砂摩耗とキャビテーショ
ン壊食に対しての耐摩耗性、信頼性が増す。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
示した実施例を参照して説明する。◆
【0021】
【実施例】
〔実施例1〕図1は、本発明の第1実施例を示す横軸ポ
ンプ1の概略断面図である。インペラ2は軸受3で両端
を支持された軸4に固定され、軸4の一端に連結された
駆動機(図示せず)によって回転し、インペラ両端から
吸い込んだ水をケーシング5から排出する機構である。
【0022】本発明を適用した部品は、インペラ2とケ
ーシング5である。インペラ2を例に取り、詳細を以下
説明する。図2にインペラ2の概略外観を示す。内部構
造を明確にするため、一部を分割表示している。インペ
ラ2は軸4と嵌合するボス21、そのボス21を取り囲
むシュラウド22、ボス21とシュラウド22と連結す
る羽根23からなる。ボス21とシュラウド22のすき
間が流路となり、両側の吸い込み口24から流入した水
は、回転するインペラ2によって加速され、吐き出し口
25から吐き出され、ケーシング5内の流路を通りポン
プから吐き出される。
【0023】インペラ2に流入する流水に多数の土砂が
含まれる場合、土砂粒子の衝突によって土砂摩耗が発生
する。この土砂摩耗を防ぐため、インペラ2には流水速
度の速い箇所、粒子衝突頻度の高い箇所、すなわちに羽
根23とシュラウド22の一部に、膜厚0.4mmから
0.6mmのCr32−16重量%Ni−4重量%Cr
溶射膜(以後、Cr32−20%NiCr溶射膜と表記
する)を被覆しており、さらに軸4との嵌合部分を除く
インペラ2の全面に膜厚1mmから2mmのエポキシ樹
脂皮膜を被覆している。エポキシ樹脂皮膜の内部には、
酸化アルミ粒子が分散されており、その分量は本実施例
では50重量%である。エポキシ樹脂皮膜はCr32
20%NiCr溶射膜を被覆した箇所にも、その上層に
被覆されており、その重なり箇所では下層にCr32
20%NiCr溶射膜8、上層にエポキシ樹脂皮膜の2
層構造となっている。
【0024】図3に、図2のインペラ2のA−A縦断面
をa方向から見た縦断面を示す。本図では断面以外にC
32−20%NiCr溶射膜8を被覆した箇所にハッ
チングを施す。Cr32−20%NiCr溶射膜8の被
覆箇所は、吸い込み口24、吐き出し口25近傍であ
り、溶射施工が容易な箇所である。
【0025】図4に、図2のインペラ2のb方向から見
た外観図を示す。但し、内部構造を明確にするため、右
半分のシュラウド22を省略してある。図4でも図3と
同様に、Cr32−20%NiCr溶射膜8を被覆した
箇所にハッチングを施す。
【0026】図5に、図4のインペラ2のB−B縦断面
をc方向から見た拡大の縦断面の一部を示すを示す。シ
ュラウド22と羽根24の一部にCr32−20%Ni
Cr溶射膜8が被覆され、さらに全面にエポキシ樹脂皮
膜9が被覆されている。 Cr32−20%NiCr溶
射膜8とエポキシ樹脂皮膜9は重なり、下層がCr32
−20%NiCr溶射膜8となる。
【0027】図6に、吐き出し口25の正面部分のケー
シング5の縦断面拡大図を示す。吐き出し口25の正面
部分51は、流速が早く、粒子衝突頻度が大きいために
土砂摩耗が生じやすい。そこで、吐き出し口25からの
流水が直接衝突する箇所にCr32−20%NiCr溶
射膜8が被覆され、さらに内面の全面にエポキシ樹脂皮
膜9が被覆されている。2分割化できるケーシング5
は、分割面から垂直となる吐き出し口25の正面部分5
1は溶射が可能であるが、他の部分は十分なスペースが
とれず、良好な溶射皮膜を被覆することが困難である。
そこで、インペラ2と同様に、エポキシ樹脂皮膜9を被
覆している。
【0028】次に、本発明の製造方法に関する一実施例
をインペラ2を例にとり、図7によって説明する。イン
ペラ2は鋳造によって製作した。材料は13%Cr鋳鋼
である。鋳造後、歪取り焼鈍を行い、その後切削によっ
て所定寸法に仕上げる。次いで、Cr32−20%Ni
Cr溶射膜8を被覆する箇所に前処理を施す。まず、洗
浄によって油脂を除去し、その後アルミナ粉を用いたサ
ンドブラスト処理によって表面を適度な表面粗さとし、
且つ酸化膜等の除去によって新生面をもうける。その
後、所定箇所に高速フレーム溶射法によってCr32
20%NiCr溶射膜8を被覆する。本実施例では、組
成Cr32−20%NiCrの焼結体を粉砕、分級した
溶射粉を用いた。なお、高速フレーム溶射は、各種ある
溶射法に中で緻密な皮膜が形成でき、且つ溶射ガンが比
較的小さく、比較的狭スペースを有する部材に対して均
一が緻密な皮膜が形成できるため、インペラのような三
次元形状部材への被覆には最も適した溶射法である。
【0029】次に、インペラを炉中に設置し、1時間以
上、30時間以下の間、350℃以上、650℃以下、
望ましくは400℃以上、650℃以下の温度範囲で保
持する加熱処理を施す。本実施例では、550℃で約1
5時間保持し、その後は炉中で冷却した。インペラは大
型部品であるため急激な昇温、冷却は困難であり、また
皮膜の熱歪の点からも適切でない。そのため、インペラ
は炉中で15h、550℃に保持し、その後炉中で緩や
かに冷却した。
【0030】この温度の加熱によって、Cr32−20
%NiCr溶射膜8おいてNi,CrとCr32粒子と
の密着力が増すため、皮膜の硬さが増加し、土砂摩耗と
キャビテーション壊食に対する耐摩耗性が増す。さら
に、Cr32−20%NiCr溶射膜8と母材との界面
において密着力が増し、皮膜剥離が抑制される。したが
って、何らかの衝撃によって皮膜に亀裂が発生しても、
皮膜の剥離、脱落が抑制され信頼性が増す。なお、この
現象はCr32−20%NiCr溶射膜に限らず、ばW
C−NiCr皮膜、WC−Co皮膜でも同様である。
【0031】加熱温度は高いほど、溶接部の残留歪の解
放、皮膜内のNi,Crの金属相とCr32粒子との密
着力増加、皮膜と母材との界面における密着力増加は早
く進むが、Cr32−20%NiCr溶射膜8と母材1
3Cr鋼との熱膨張率差によって熱歪が生じる。熱歪に
よる皮膜への影響を考慮すると650℃以下が望まし
い。また、溶射膜の改良速度を考慮すると、350℃が
限界であり、これ以下では時間がかかり工業的利用が困
難となる。実用性を考慮すれば400℃以上、650℃
以下の温度範囲が望ましい。350℃以上、650℃以
下の温度範囲で検討すれば、350℃では20時間を必
要し、650℃であれば最低1時間で加熱の効果が生じ
る。400℃以上、650℃以下の温度範囲で検討すれ
ば、30時間でその効果は収束する、したがって、効果
と省エネルギの点を考慮すれば1時間以上30時間以下
の加熱時間が望ましい。なお、この条件はCr32−2
0%NiCr溶射膜に限らず、WC量が50重量%から
90重量%範囲であればWC−NiCr皮膜、WC−C
o皮膜でも同様である。
【0032】十分な冷却後、軸4との勘合面をのぞくイ
ンペラ2の全面にエポキシ樹脂皮膜9を被覆する。本実
施例ではビス型エポキシに粒径10〜40μmの酸化ア
ルミ粒子を50重量%、硬化剤を10重量%混練した溶
剤を用いた。この溶剤を軸4との勘合面をのぞくインペ
ラ2の全面に塗布し、所定条件で加熱硬化させ、焼き付
ける。
【0033】〔実施例2〕図8は本発明の第2実施例を
示す水車6の概略外観図であり、内部構造を明確にする
ため一部を分割表示している。図8において、41は
軸、7はランナ、10はガイドベーン、11は上ランナ
カバー、12は下ランナカバー、13は軸受である。ガ
イドベーン10から軸41に固定されたランナ7内に水
が流れ込み、水の運動エネルギによってランナ7、軸4
1を回転させ、軸41の一端に連結された発電機(図示
せず)を回転させて発電する機構である。
【0034】本発明を適用した部品は、ランナ7、ガイ
ドベーン10、上ランナカバー11、下ランナカバー1
2である。ランナ7に流入する流水に多数の土砂が含ま
れる場合、ランナ7、ガイドベーン10、上下ランナカ
バー11、12は、土砂粒子の衝突によって土砂摩耗が
発生する。この土砂摩耗を防ぐため、ランナ7、ガイド
ベーン10、上下ランナカバー11、12には、土砂摩
耗の発生が予想される流水速度の速い箇所、粒子衝突頻
度の高い箇所にCr32−20%NiCr被膜が被覆さ
れ、他の部分には50重量%の酸化アルミ粒子が分散さ
れたエポキシ樹脂皮膜が被覆されている。Cr32−2
0%NiCr皮膜とエポキシ樹脂皮膜とは重なり、下層
にCr32−20%NiCr皮膜、上層にエポキシ樹脂
皮膜の構造となっている。
【0035】ランナ7、ガイドベーン10を例に取り、
詳細を以下説明する。◆図9はランナ7の概略斜視図で
ある。図9において71はクラウン、72はバンド、7
3は羽根であり、クラウン71と羽根73、バンド72
と羽根73は溶接によって接合され、ランナ7を形成し
ている。図10はクラウン71と羽根73との溶接部の
拡大断面図である。なお、図10では煩雑さをさけるた
めクラウン71、羽根73の断面ハッチングを区別せ
ず、さらに溶接部のハッチングをしていない。
【0036】羽根73は流水部の流速が早く且つ粒子衝
突頻度も高いことから全面に、クラウン71、バンド7
2は内面に、Cr32−20%NiCr皮膜8が被覆さ
れている。エポキシ樹脂皮膜9はランナ7全面に被覆し
ており、Cr32−20%NiCr皮膜8被覆箇所も上
塗りしてある。流速の早いランナ内面は全てをCr32
−20%NiCr皮膜8によって被覆することが望まし
いが、クラウン71と羽根73、バンド72と羽根73
は溶接によってランナ7を形成しているため、溶接部に
事前に溶射皮膜を被覆しておくことはできない。従っ
て、溶接部は溶接後、エポキシ樹脂皮膜9を被覆し、土
砂摩耗の損傷を防ぐ構造としている。
【0037】次に、本発明の製造方法の一例をランナ7
を例にとり、図11によって説明する。図11は、本発
明の一実施例である水車ランナ7の製造方法を示す工程
図である。まず、クラウン71、バンド72、羽根73
を個々に製作する。次に、個々に製作されたクラウン7
1、バンド72、羽根73に、高速フレーム溶射法によ
ってCr32−20%NiCr皮膜を被覆する。Cr3
2−20%NiCr皮膜を被覆する際、溶接部となる
箇所はCr32−20%NiCr皮膜の膜厚よりも厚
い、望ましくは2倍以上の厚みを有する金属板を張り付
け、Cr32−20%NiCr皮膜の被覆を防ぐ。皮膜
の膜厚より2倍以上の厚みを有する金属板であれば、高
速フレーム溶射法における高速ガスに対しても十分な強
度、耐熱性を有するため、破断飛散が防げる。また皮膜
の膜厚より2倍以上の厚みであれば、マスキング部と被
覆部の皮膜が連続する事はなく、良好な皮膜端部が形成
できる。
【0038】次に、クラウン71と羽根73、バンド7
2と羽根73を溶接し、ランナ7を形成する。溶接後、
溶接部をグラインダによって適切なR形状に加工し、稼
働時の応力集中を防ぐ。次に、ランナ7を炉中に設置
し、1時間以上、30時間以下の間、350℃以上、6
50℃以下、望ましくは400℃以上、650℃以下の
温度範囲で保持するSR処理を施す。本実施例では、5
50℃で約15時間保持し、その後は炉中で冷却した。
なお、15時間は550℃における保持時間である。5
50℃加熱では、約5時間以上の保持で皮膜硬さが増
し、約10時間以上の保持で密着力の著しい改善が図ら
れる。ランナは大型部品であるため急激な昇温、冷却は
困難であり、また皮膜の熱歪の点からも適切でない。ラ
ンナは炉中で15時間、550℃に保持し、その後炉中
で緩やかに冷却したものである。十分な冷却後、R形状
に加工した溶接部の酸化膜を再びグラインダで削除す
る。
【0039】その後、軸41との嵌合面を除くランナ7
の全面にエポキシ樹脂皮膜を被覆する。本実施例ではビ
ス型エポキシに粒径10〜40μmの酸化アルミ粒子を
50重量%、硬化剤を10重量%混練した溶剤を用い
た。この溶剤を軸41との嵌合面を除くランナ7の全面
に塗布し、所定条件で加熱硬化させ焼き付ける。
【0040】次に、本発明の他の適用部品であるガイド
ベーン10の説明をする。図12はガイドベーン10の
外観図である。ガイドベーン10は軸部101と羽根部
102とからなる。本図では断面以外にCr32−20
%NiCr溶射膜、エポキシ樹脂皮膜を被覆した箇所に
ハッチングを施す。ガイドベーン10はランナの流入口
の前に位置し、羽根部102の角度によってランナへ流
入する良好な水の流れを作る。従って、羽根部102は
粒子衝突頻度が高く、土砂摩耗が生じやすく、耐摩耗皮
膜の被覆が不可欠である。そこで、本実施例では羽根部
102全面にCr32−20%NiCr溶射膜を被覆
し、さらにその上からエポキシ樹脂皮膜を被覆してい
る。
【0041】〔実施例3〕図13は、本発明の第3実施
例を示す縦軸ポンプ15の概略断面図である。羽根16
が複数支持された軸17が、その一端に連結された駆動
機(図示せず)によって回転し、吸い込み口151から
吸い込んだ水を吐き出し口152から排出する機構であ
る。なお、図13において、18は軸受、19は軸封、
20はケーシングである。
【0042】本発明を適用した部品は、羽根16とケー
シング20の一部である。羽根16を例に取り、以下説
明する。図14は羽根16の概略外観図である。羽根1
6は羽根部161と軸部162とからなり、軸の端部に
取り付けられる構造である。図14では断面以外にCr
32−20%NiCr溶射膜、エポキシ樹脂皮膜を被覆
した箇所にハッチングを施す。本実施例の縦軸ポンプは
治水用排水ポンプ、発電所の循環水ポンプ等に用いら
れ、黄河、長江等で用いる場合、羽根16には粒子が激
しく衝突し、土砂摩耗が生じやすい。本実施例では羽根
16の土砂摩耗を防ぐため、羽根部161全面にCr3
2−20%NiCr溶射膜を被覆し、さらにその上か
らエポキシ樹脂皮膜を被覆している。羽根16は通常、
鋳物、若しくは鋳鋼であり、使用時は常時水中に設置さ
れる。鋳物製の場合、 Cr32−20%NiCr溶射
膜を被覆すると、下地の鉄材量とCr32−20%Ni
Cr溶射膜との間で電気腐食を生じる可能性がある。
【0043】エポキシ樹脂皮膜9は耐摩耗性の向上以外
に、上記電気腐食の防止を兼ね、耐食性の向上に寄与す
る。
【0044】以下、上記実施例全てに共通する効果、作
用、検討結果を説明する。◆Cr32−NiCr皮膜は
Cr32の量によって皮膜硬さが変化する。Cr32
を増せば皮膜硬さは増すが、皮膜の靭性が失われ脆性と
なり、皮膜破壊、剥離等が生じやすく信頼性が低下す
る。 Cr32−NiCr皮膜について Cr32の含
有率を検討した結果、50重量%から90重量%範囲が
土砂摩耗とキャビテーション壊食に対して良好であるこ
とが判明した。但し、黄河や揚子江、あるいは大雨後の
河川水といった土砂濃度が高い場合はCr32の量を高
め、皮膜硬さを高める必要がある。この場合、Cr32
の量が70重量%から90重量%が望ましい。また、皮
膜の金属成分については、耐食性,皮膜硬さ、靭性の点
からNi,Cr,Coが適している。これらの金属から
の選定、若しくは組み合わせであれば耐食性,硬さ、靭
性が良好である。
【0045】Cr32−20%NiCr皮膜は、皮膜硬
さが約Hv1000であり且つ優れた耐食性を有する。
土砂などを構成する主な物質は長石と石英であり、その
最高硬さは石英のHv1000である。土砂摩耗は衝突
粒子の硬さを超えると急激に耐摩耗性が向上するため、
皮膜硬さが約Hv1000である皮膜を被覆することに
よって、土砂摩耗とキャビテーション壊食に対して十分
な耐摩耗性を発揮することが出来る。
【0046】溶射膜には微細なボイドが多数存在するた
め、Cr32−20%NiCr皮膜8が優れた耐食性と
耐摩耗性を示すには皮膜厚さとしては0.1mm以上を
必要とする。一方、溶射膜は膜厚が増すと皮膜内部の歪
が増すため密着力が低下する。密着力の点からは、 C
32−20%NiCr皮膜は膜厚1.0mm以下とす
る必要がある。また、Cr32−20%NiCr皮膜8
の耐摩耗性を考慮すると1.0mmの膜厚があれば十分
な寿命が予想され、作業の軽減、省エネルギの点でも
1.0mm以下とすることが望ましい。
【0047】本実施例では、溶射膜としてCr32−2
0%NiCr皮膜を用いたが、本発明はこの組成に限定
されるものではない。取り扱い水中の土砂濃度が高く、
より高硬度の皮膜を必要とする場合、WC−NiCr皮
膜、若しくはWC−Co皮膜が望ましい。WC−NiC
r皮膜、WC−Co皮膜はCr32−NiCr皮膜に比
較し、高度が高く耐土砂摩耗性に優れが、高度が高い分
靭性に欠け、亀裂が生じやすい。従って、石の衝突のよ
うな衝撃が無く、且つ土砂濃度が高い場合最適の皮膜で
ある。
【0048】WC−NiCr皮膜、WC−Co皮膜の場
合、Cr32−NiCr皮膜と同様に、WCの量によっ
て皮膜硬さが変化する。WC量を増せば皮膜硬さは増す
が、皮膜の靭性が失われ脆性となり、皮膜破壊、剥離等
が生じやすく信頼性が低下する。WC量が50重量%か
ら90重量%範囲であれば,土砂摩耗に対して十分な皮
膜硬さを有し、且つ靭性を保つことが出来る。また、こ
の範囲であれば皮膜硬さとしてHv1000以上を得る
ことが可能であり、土砂摩耗に対し優れた耐食性と耐摩
耗性を有する。
【0049】WC−NiCr皮膜、WC−Co皮膜の場
合、Cr32−NiCr皮膜と同様に、膜内に微細なボ
イドが多数存在する。従って優れた耐食性と耐摩耗性を
示すには皮膜厚さとしては0.1mm以上を必要とす
る。一方、溶射膜は膜厚が増すと皮膜内部の歪が増すた
め密着力が低下する。密着力の点からは、WC−NiC
r皮膜、WC−Co皮膜の場合、膜厚を0.5mm以下
とする必要がある。また、WC−NiCr皮膜、WC−
Co皮膜の耐摩耗性を考慮すると0.5mmの膜厚があ
れば十分な寿命が予想され、作業の軽減、省エネルギの
点でも0.5mm以下とすることが望ましい。
【0050】上記実施例では、Cr32−20%NiC
r皮膜の上に、さらに膜厚1mmから2mmのエポキシ
樹脂皮膜9を被覆している。Cr32−20%NiCr
皮膜を被覆した箇所以外は比較的流速が遅く、且つ土砂
衝突頻度も少ない。しかし、それでも耐土砂摩耗対策を
施さなければ、土砂摩耗とキャビテーション壊食によっ
て摩耗が生じ、著しい性能低下が生じる。さらに、溶射
処理作業のスペースが無い場合、良好な溶射皮膜を被覆
することが出来ない。
【0051】エポキシ樹脂皮膜は、流速が早い領域では
土砂摩耗、或いはキャビテーション壊食に対しては決し
て十分な耐摩耗性を有しない。しかしながら、樹脂皮膜
内部に酸化アルミ粒子等のセラミック粒子を分散し皮膜
硬さを増せば、比較的流速が遅く、土砂衝突頻度の少な
い箇所であれば、十分な耐摩耗性を発揮する。また溶射
膜と異なり、スペースのない流路内部のような箇所であ
っても容易に良好な皮膜を被覆することができる。ま
た、一般に溶射膜の剥離は皮膜端部から発生する。溶射
膜をエポキシ樹脂皮膜で被覆することによって、溶射膜
端部が樹脂膜下層となり、皮膜端部からの剥離が抑制さ
れ信頼性が向上する。すなわち、前記Cr32−20%
NiCr溶射膜とエポキシ樹脂皮膜との2層皮膜、及び
単層のエポキシ樹脂皮膜9とを組み合わせることによっ
て、部品全体の耐摩耗性向上が得られる。
【0052】本実施例では樹脂皮膜として、ビス型エポ
キシに粒径10〜40μmの酸化アルミ粒子を50重量
%、硬化剤を10重量%混練した樹脂を用いた。酸化ア
ルミ粒子の混入量を増せば樹脂皮膜硬さは増すが、皮膜
の靭性が失われ脆性となり、皮膜破壊が生じやすく信頼
性が低下する。酸化アルミ粒子の量が20重量%から7
0重量%範囲であれば,耐土砂摩耗性と靭性を両立する
ことが出来る。また、粒子径は、衝突する土砂粒子と同
等以上が望ましい。河川水に含まれる土砂粒子は粒子径
が約8〜12μmと言われており、河川水中での使用を
想定する場合、混入粒子径は10μm以上が望ましい。
【0053】本実施例では樹脂膜として酸化アルミ粒子
をエポキシ皮膜を用いたが、本発明はこの組成に限定さ
れるものではない。硬質ゴムのライニング、若しくはポ
リエチレン、ポリエステルの皮膜であっても良い。これ
らの皮膜は、エポキシ皮膜と同様に、流路内部のような
狭スペースであっても良好な皮膜を被覆することがで
き、さらに酸化アルミ粒子等の無機粒子の混入ができ
る。溶射膜に比較しより厚い皮膜が形成でき、比較的流
速が遅く、土砂衝突頻度の少ない箇所であれば、十分な
耐摩耗性を発揮する。
【0054】また、混入する粒子は酸化アルミ粒子に限
定されることはなく、鉄、銅、ステンレス等の金属粉、
或いは酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸
化珪素、炭化クロム、炭化タングステン、炭化珪素、窒
化珪素等のセラミック粒子であっても良い。粒径は、前
述のごとく衝突粒子径以上が望ましい。◆なお、樹脂皮
膜としてエポキシ樹脂皮膜ではなく硬質ゴムのライニン
グ、若しくはポリエチレン、ポリエステルの皮膜を用い
た場合、被覆方法は塗布・焼き付けに限定するものでは
ない。
【0055】
【発明の効果】本発明によって流体内に土砂などを含む
条件下でも使用可能な、耐摩耗性と耐食性に優れた水力
機械を実現でき、且つ安価に、効率よく製造する事が出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す横軸ポンプの断面図
である。
【図2】本発明の第1実施例を示すポンプインペラの一
部断面を含む概略斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すポンプインペラの縦
断面図である。
【図4】本発明の第1実施例を示すポンプインペラの一
部断面を含む概略斜視図である。
【図5】本発明の第1実施例を示すポンプインペラの拡
大断面図である。
【図6】本発明の第1実施例を示すポンプケーシングの
拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施例を示すポンプインペラの製
造手順図である。
【図8】本発明の第2実施例を示す水車の一部断面を含
む概略斜視図である。
【図9】本発明の第2実施例を示す水車ランナの概略斜
視図である。
【図10】本発明の第2実施例を示す水車ランナの拡大
断面図である。
【図11】本発明の第2実施例を示す水車ランナの製造
手順図である。
【図12】本発明の第2実施例を示す水車ガイドベーン
の概略斜視図である。
【図13】本発明の第3実施例を示す縦軸ポンプの概略
縦断面図である。
【図14】本発明の第3実施例を示す縦軸ポンプ羽根の
概略斜視図である。
【符号の説明】
1…横軸ポンプ、2…インペラ、3…軸受、4…軸、5
…ケーシング、6…水車、7…ランナ、8…溶射膜、9
…樹脂皮膜、10…ガイドベーン、11…上ランナカバ
ー、12…下ランナカバー、13…軸受、15…縦軸ポ
ンプ、16…羽根、17…軸、18…軸受、19…軸
封、20…ケーシング、21…ボス、22…シュラウ
ド、23…羽根、24…吸い込み口、25…吐き出し
口、41…軸、71…クラウン、71…バンド、73…
羽根、101…軸部、102…羽根部、151…吸い込
み口、152…吐き出し口、161…羽根部、162…
軸部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新倉 和夫 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 吉川 次雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に流体の流路を有するケーシングと、
    このケーシング内に配設されており前記流路内の流体と
    共に回転する回転体とを備えた水力機械において、この
    水力機械の前記流路内の流体と接する面の少なくとも一
    部に、クロム炭化物、タングステン炭化物、ニッケル、
    クロム、コバルトからなる群から選ばれる少なくとも1
    種を含む第1皮膜と、硬質ゴム、エポキシ、ポリエチレ
    ン、ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1
    種を含む第2皮膜とが被覆されていることを特徴とする
    水力機械。
  2. 【請求項2】前記第1被膜の上に前記第2被膜が被覆さ
    れた領域を有することを特徴とする請求項1に記載の水
    力機械。
  3. 【請求項3】前記第2皮膜が流体と接する全面に被覆さ
    れていることを特徴とする請求項1または2に記載の水
    力機械。
  4. 【請求項4】水力機械を構成する水力機械用部品の流体
    と接する面の少なくとも一部に、クロム炭化物、タング
    ステン炭化物、ニッケル、クロム、コバルトからなる群
    から選ばれる少なくとも1種を含む第1皮膜と、硬質ゴ
    ム、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステルからなる群
    から選ばれる少なくとも1種を含む第2皮膜とが被覆さ
    れていることを特徴とする水力機械用部品。
  5. 【請求項5】前記第1被膜の上に前記第2被膜が被覆さ
    れた領域を有することを特徴とする請求項4に記載の水
    力機械用部品。
  6. 【請求項6】前記第2皮膜が流体と接する全面に被覆さ
    れていることを特徴とする請求項4または5に記載の水
    力機械用部品。
  7. 【請求項7】内部に流体の流路を有するケーシングと、
    このケーシング内に配設されており前記流路内の流体と
    共に回転する回転体とを備えた水力機械の製造方法にお
    いて、用いる部材の表面の少なくとも一部に、クロム炭
    化物、タングステン炭化物、ニッケル、クロム、コバル
    トからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む第1皮
    膜を被覆し、次いで、硬質ゴム、エポキシ、ポリエチレ
    ン、ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1
    種を含む第2皮膜を被覆することを特徴とする水力機械
    の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記第1被膜を被覆
    後、350℃以上、650℃以下、望ましくは400℃
    以上、650℃以下の温度で1時間以上30時間以下加
    熱し、次いで第2被膜を被覆することを特徴とする水力
    機械の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項7または8において、第2被膜の少
    なくとも一部を第1被膜の上に重ねて被覆することを特
    徴とする水力機械の製造方法。
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