JPH10157442A - ビスカスヒータの設置方法及びビスカスヒータ - Google Patents

ビスカスヒータの設置方法及びビスカスヒータ

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JPH10157442A
JPH10157442A JP8317993A JP31799396A JPH10157442A JP H10157442 A JPH10157442 A JP H10157442A JP 8317993 A JP8317993 A JP 8317993A JP 31799396 A JP31799396 A JP 31799396A JP H10157442 A JPH10157442 A JP H10157442A
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JP
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rotor
viscous
drive shaft
heat
viscous heater
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JP8317993A
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English (en)
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Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Takashi Ban
孝志 伴
Satoshi Yagi
聖史 八木
Kazuhiko Minami
和彦 南
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主たる発熱がロータの周面とその対向壁面間
に存在する粘性流体の剪断により生じるビスカスヒータ
において、粘性流体の充填率が小さくても充填率に応じ
た発熱量を確保できるビスカスヒータの設置方法を提供
する。 【解決手段】 中部ハウジング1及びシリンダブロック
2を挟んで上部ハウジング3及び下部ハウジング4が配
置され、シリンダブロック2の外周面と中部ハウジング
1の内周面との間に、螺旋状のウォータジャケット8が
形成されている。発熱室10を構成するシリンダブロック
2内にはロータ11が回転可能に収容され、ロータ11は上
部ハウジング3及び下部ハウジング4に対して駆動軸16
及び従動軸17を介して回転可能に支持されている。駆動
軸16には傘歯車20が一体回転可能に固定されている。ビ
スカスヒータは傘歯車20が外部駆動軸22に固定された傘
歯車23と噛合し、ロータ11が鉛直方向に延びる状態でエ
ンジンルームに設置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスカスヒータの
設置方法及びビスカスヒータに係り、詳しくはハウジン
グ内に発熱室及び放熱室を区画し、前記発熱室内に収納
された粘性流体を同じく発熱室内に収納されたロータで
剪断することで熱を発生させ、この熱を前記放熱室を流
れる循環流体に熱交換するビスカスヒータのうち、主た
る発熱がロータの周面とその対向壁面間に存在する粘性
流体の剪断により生じるビスカスヒータの設置方法及び
ビスカスヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】車載用の補助熱源として、車両のエンジ
ンの駆動力を利用するビスカスヒータが注目されてい
る。例えば、特開平2−246823号公報には、車両
用暖房装置に組み込まれるビスカスヒータが開示されて
いる。
【0003】このビスカスヒータでは、前部及び後部ハ
ウジングが対設された状態で相互に連結され、その内部
には発熱室と、この発熱室の外域にウォータジャケット
(放熱室)とが形成されている。前部ハウジングには軸
受装置を介して駆動軸が回動可能に支承されており、こ
の駆動軸の一端には発熱室内で一体回動可能にロータが
固定されている。ロータの前後外壁部及びそれらと対向
する発熱室の内壁部は、互いに近接するラビリンス溝を
構成し、この発熱室の壁面とロータの壁面との間隙に粘
性流体(例えばシリコーンオイル)が介在されている。
【0004】そして、エンジンの駆動力が駆動軸に伝達
されると、駆動軸と共にロータが発熱室内で回転し、発
熱室内壁部とロータ外壁部との間に介在される粘性流体
が前記ロータによって剪断されて流体摩擦に基づく熱を
発生する。発熱室で発生した熱は、前記ウォータジャケ
ット内を流れる循環水に熱交換され、その加熱循環水は
外部暖房回路に供給されて車両の暖房に供される。
【0005】上記従来型のビスカスヒータでは、ロータ
の前後外壁部に、ラビリンス溝構成用の凹凸を形成する
必要から、そのロータ本体は、その軸心からの半径より
も軸長の短い円板類似の形状となる。かかるロータで
は、主たる剪断作用面はロータの前後外壁部の凹凸条部
表面となり、また、ロータ本体の軸心から離れた位置に
ある凹凸条部ほど周回速度(即ち剪断速度)が大きくな
る。このため、ヒータの発熱量を多くするためには、ロ
ータ径を大きく、つまりヒータ本体の外径を大きくする
必要が生ずる。しかし、このように径方向に大きなディ
メンションを持つビスカスヒータでは、車両内、特にエ
ンジンルーム内での搭載スペースの確保が一般に難し
く、他の車両用補機類との関係でレイアウト設計上の障
害となることがある。
【0006】本願発明者はこの問題を解決するビスカス
ヒータとして、ロータを円筒状に形成し、粘性流体に対
する主たる剪断作用面がロータの周面となるビスカスヒ
ータ(円筒型ビスカスヒータ)を発明した。このビスカ
スヒータではロータの径が小さくても、その長さを長く
することにより発熱に有効な剪断作用面を大きくするこ
とができ、従来のビスカスヒータに比較してエンジンル
ーム内での搭載スペースの確保が容易になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、円板型及び
円筒型ビスカスヒータについて、発熱室における粘性流
体の充填率と発熱量の関係を実験で調べた結果、円筒型
のビスカスヒータは、充填率の影響を大きく受けること
が判明した。即ち、図8に示すように、円板型のビスカ
スヒータでは充填率60%で発熱量が理論値のほぼ90
%に達するのに対して、円筒型のビスカスヒータでは充
填率60%ではほとんど発熱せず、充填率90%で発熱
量が理論値のほぼ50%になり、充填率100%付近で
円板型ビスカスヒータと同等となる。
【0008】粘性流体がロータの回転により剪断力を受
けるには、ロータの壁面と発熱室の壁面との隙間に存在
する粘性流体が連続していること、即ち油膜切れがない
ことが必要となる。充填率100%であれば油膜切れは
ないが、充填率が100%でなければ部分的に油膜切れ
が発生する。ビスカスヒータの駆動源には車両のエンジ
ンが使用され、ロータが支持された駆動軸にはプーリ及
びベルトを介してクランクシャフトの回転が伝達される
ため、ロータはその回転軸が水平に延びる状態でエンジ
ンルーム内に設置されている。従って、円筒型ビスカス
ヒータでは粘性流体がロータの最大径部に存在するた
め、充填率が低い状態ではロータの回転時に大きな遠心
力を受けてロータの周面から発熱室の壁面側に飛び散り
油膜切れが発生し易くなって発熱量が充填量に対応せず
に小さくなると考えられる。円板型の場合も遠心力の作
用により粘性流体は発熱室のロータの中心から離れた側
へ移動するが、軸方向の長さが短いためロータの外周部
は粘性流体で埋まり、発熱効率の悪いロータの中心寄り
に空間が生じることになるため充填率が低くても支障は
ない。
【0009】また、ビスカスヒータが運転されていない
状態において粘性流体を発熱室内に100%の充填率と
なるように充填すると、ビスカスヒータの運転によるロ
ータの回転に伴う発熱に伴って粘性流体が膨張する。そ
の結果、駆動軸と発熱室との隙間からの粘性流体の漏洩
を防止する軸封装置から、粘性流体が漏洩する場合があ
る。
【0010】本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされ
たものであってその第1の目的は、主たる発熱がロータ
の周面とその対向壁面間に存在する粘性流体の剪断によ
り生じるビスカスヒータにおいて、粘性流体の充填率が
小さくても充填率に応じた発熱量を確保できるビスカス
ヒータの設置方法を提供することにある。第2の目的は
前記の効果に加えて、軸封装置を省いても発熱室内の粘
性流体がロータの駆動軸部分から漏洩するのを防止でき
るビスカスヒータの設置方法を提供することにある。第
3の目的は前記両設置方法に適したビスカスヒータを提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、請求項1に記載の発明は、ハウジング内に発熱
室及び放熱室を区画し、前記発熱室内に収納された粘性
流体を同じく発熱室内に収納されたロータで剪断するこ
とで熱を発生させ、この熱を前記放熱室を流れる循環流
体に熱交換するビスカスヒータのうち、主たる発熱がロ
ータの周面とその対向壁面間に存在する粘性流体の剪断
により生じるビスカスヒータの設置方法であって、前記
ロータの軸心が鉛直方向に対して所定の角度以内の範囲
において延びる状態で車両の所定位置に設置するように
した。
【0012】「所定の角度以内の範囲」とは、ロータの
周面と発熱室の壁面との間に粘性流体が充填された状態
で設置されたとき、ロータの軸心を含み水平面と直交す
る平面がロータの周面を浸す粘性流体の上面と交差する
最下位点、最上位点の各点からロータの下端面までの距
離の差が、短い方の距離より小さくなる角度の範囲であ
り、ロータの外径と軸方向の長さにより異なる。
【0013】この発明では、発熱室内に充填されている
粘性流体の充填率が100%より小さい場合、ロータが
停止した状態では粘性流体はロータの上側に粘性流体の
ない間隙が存在する状態にある。ロータの回転軸が鉛直
となるように配置されている場合は、粘性流体の上端の
位置(高さ)はロータの周方向のどの位置においても等
しくなる。そして、ロータが回転したとき、粘性流体に
ロータの回転軸と直交する方向即ち水平方向に遠心力が
作用しても、粘性流体の移動が規制され、ロータ周面と
対向する発熱室壁面との間に存在する粘性流体に油膜切
れが発生しない。従って、ロータの回転に伴って、ビス
カスヒータでは粘性流体の充填率に対応する発熱量が生
じる。
【0014】ロータの回転軸が鉛直方向に対して傾いた
状態にある場合は、ロータの周面を浸した状態にある粘
性流体の上面とロータの下端面との距離は周面の位置に
よって異なる。ロータの下端面からの距離が最小の点を
通りロータ軸心直交する面よりロータの上端側に存在す
る粘性流体は、ロータの回転時に遠心力の作用によりロ
ータと対向する発熱室壁面に沿って拡がるため、油膜切
れが生じる。しかし、反対側に存在する粘性流体、即ち
ロータの下端側に存在する粘性流体はロータの回転時に
遠心力が作用しても、ロータの周面と対向する発熱室の
壁面との間に油膜切れが発生することがなく、充填率に
対応した熱量を発生する。
【0015】前記第2の目的を達成するため、請求項2
に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記
ロータの駆動軸は外部駆動源に連結され、該駆動軸の外
部駆動源に対する連結側が上側になるように前記ハウジ
ングを車両の所定位置に設置するようにした。
【0016】この発明では、駆動軸の外部駆動源に対す
る連結側が上側に存在するため、駆動軸をハウジングに
回転可能に支持する軸受部材から外部への粘性流体の漏
洩が防止される。
【0017】前記第3の目的を達成するため、請求項3
に記載の発明は、ハウジング内に発熱室及び放熱室を区
画し、前記発熱室内に収納された粘性流体を同じく発熱
室内に収納されたロータで剪断することで熱を発生さ
せ、この熱を前記放熱室を流れる循環流体に熱交換する
とともに、主たる発熱がロータの周面とその対向壁面間
に存在する粘性流体の剪断により生じるビスカスヒータ
であって、前記ロータは前記ハウジングに回動可能に支
持された駆動軸に一体回転可能に支持されており、該駆
動軸には駆動軸が鉛直方向に対して所定の角度以内の範
囲において延びる状態において、水平に延びる状態に配
設された外部駆動軸の回転力を駆動軸に伝達する回転力
伝達手段が取り付けられている。
【0018】この発明のビスカスヒータは駆動軸が鉛直
方向に対して所定の角度以内の範囲において延びる状態
でエンジンルームに設置されたとき、エンジンのクラン
クシャフトからの回転を伝達する外部駆動軸の回転力が
回転力伝達手段を介して駆動軸に円滑に伝達される。従
って、請求項1に記載の発明の方法を実施するのが容易
となる。また、回転力伝達手段が上側となるようにビス
カスヒータを設置すれば、請求項2に記載の発明を実施
できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を車両の暖房装置に
組み込まれるビスカスヒータに具体化した第1の実施の
形態を図面に従って説明する。
【0020】図1に示すように、ビスカスヒータのハウ
ジングは、中部ハウジング1及びシリンダブロック2を
挟んで上部ハウジング3及び下部ハウジング4が配置さ
れるように構成されている。そして、上部ハウジング3
及び下部ハウジング4と、中部ハウジング1及びシリン
ダブロック2との間にガスケット5,6が配置された状
態で、上部ハウジング3側から下部ハウジング4に螺合
されるボルト7により接合固定されている。図2に示す
ように、下部ハウジング4には四角形状のフランジ4a
を備え、ボルト7はフランジ4aに形成されたネジ穴に
螺合されるようになっている。
【0021】シリンダブロック2は外周面に螺旋状に延
びる凹部2aが形成された円筒状に形成され、円筒状の
中部ハウジング1内に圧入されることにより、シリンダ
ブロック2の外周面と中部ハウジング1の内周面との間
に、放熱室としてのウォータジャケット8が構成されて
いる。中部ハウジング1の外周部下端側には車両の暖房
回路(図示略)から循環流体としての循環水をウォータ
ジャケット8に取り入れる入水ポート9aが設けられ、
外周部上端側には当該ウォータジャケット8から前記暖
房回路へ循環水を送り出す出水ポート9bが設けられて
いる(いずれも図2に図示)。
【0022】発熱室10を構成するシリンダブロック2
内にはロータ11が回転可能に収容されている。ロータ
11は、アルミニウム合金製の円筒状部材12と、その
両端に圧入された一対の固定板13,14と、固定板1
3,14の中央外側に形成された穴に圧入された鋼製の
リング15とにより、その軸心からの半径Rよりも軸長
Lの長い円筒状の外周面を備えた中空なドラム状に構成
されている。リング15の内周面にはスプライン加工が
施され、上側のリング15には駆動軸16が嵌合され、
下側のリング15には従動軸17が嵌合されている。そ
して、ロータ11は上部ハウジング3及び下部ハウジン
グ4に対して駆動軸16及び従動軸17が軸受装置1
8,19を介して回転可能に支持されている。両軸受装
置18,19は各ハウジング3,4に圧入固定され、駆
動軸16を支持する軸受装置18には軸封機能付きのも
の(例えば、リップシール付きベアリング)が使用され
ている。
【0023】ロータ11の半径R及び軸長Lは、ロータ
11の外周面と発熱室10の対向壁面(即ち、シリンダ
ブロック2の内周面)との間及びロータ11の各端面
(各固定板13,14の外端面)と発熱室10の内端面
(上部及び下部ハウジング3,4の内壁面)との間に、
微少なクリアランス(間隙)が形成されるように設定さ
れている。そして、発熱室10内には、粘性流体として
のシリコーンオイルが所要量充填される。シリコーンオ
イルは下部ハウジング4の凹部4b内にも満たされる。
【0024】前部ハウジング3から突出した駆動軸16
の先端には、傘歯車20が一体回転可能に六角穴付きボ
ルト21によって固定されている。傘歯20は、外部駆
動軸22に一体回転可能に固定された傘歯車23と噛合
する状態で車両のエンジンルームに設置されるようにな
っている。外部駆動軸22はエンジン24(図3に図
示)にブラケットを介して支持されるとともに、プーリ
22aが一体回転可能に固定されている。傘歯車20
は、駆動軸16が鉛直方向に対して所定の角度以内の範
囲において延びる状態において、水平に延びる状態に配
設された外部駆動軸22の回転力を駆動軸16に伝達す
る回転力伝達手段を構成する。
【0025】図3に示すように、プーリ22aは外部駆
動源としての車両のエンジン24の周りに配設され、ク
ランクシャフト(図示せず)に固定されたクランクシャ
フトプーリ25にベルト26を介して作動連結され、ア
イドラプーリ27、オルタネータプーリ28、ウォータ
ポンププーリ29及びパワーステアリングプーリ30と
共に回転されるようになっている。
【0026】次に前記のように構成されたビスカスヒー
タの作用を説明する。このビスカスヒータはエンジンル
ーム内に駆動軸16が鉛直方向に延びる状態で、かつ傘
歯車20が傘歯車23と噛合する所定位置に設置され
る。この状態では発熱室10に充填されたシリコーンオ
イルは重力の作用によりハウジングの下側から、充填量
に対応した高さ位置までロータ11とシリンダブロック
2内面との隙間に充填されている。シリコーンオイルの
充填量は発熱時の熱膨張を考慮して、ビスカスヒータの
運転が継続されてシリコーンオイルの温度が上昇したと
きに、上部ハウジング3の端面とロータ11の端面との
間までシリコーンオイルが充填される量となっている。
【0027】エンジン24が駆動されるとベルト26を
介してプーリ22aが回転され、プーリ22aと一体に
外部駆動軸22及び傘歯車23が回転されるとともに、
傘歯車22を介して駆動軸16がロータ11と共に一体
回転される。これに伴い、ロータ11の外面と発熱室1
0の内壁面との間の隙間(クリアランス)に滞留するシ
リコーンオイルが、剪断作用を受けて発熱する。この熱
は、シリンダブロック2を介してウォータジャケット8
内を流れる循環水に熱交換され、当該加熱循環水が暖房
回路を介して車室内の暖房等に供される。
【0028】シリコーンオイルがロータ11の上端面と
上側ハウジング3の内端面との間を埋める状態において
は、ロータ11の周面及び両端面と対向する位置でシリ
コーンオイルの剪断発熱が生じる。但し、両ハウジング
3,4の内端面の中心部には各軸受装置18,19の外
径と対応する径の空間があるため、その部分では剪断発
熱は発生しない。従って、シリコーンオイル(粘性流
体)の粘性係数をμ、ロータ11の外周面と発熱室10
の内周面との間隙をδ1 、ロータ11の各端面と発熱室
10の内端面との間隙をδ2 、角速度をω、軸受装置1
8,19の半径をrとすれば、ロータ11の各端面にお
ける発熱量Q1 は、 Q1 =πμω2 (R4 −r4 )/δ2 となり、ロータ20の外周面における発熱量Q2 は、 Q2 =2πμω2 3 L/δ1 となる。このビスカスヒータでは、ロータ11の外周面
を主たる剪断作用面としていることから、δ1 <δ2 と
なるように設定され、更に、半径R<軸長Lであるた
め、Q1 <Q2 であり、ロータ11の外周面において大
きな発熱量Q2 を確保していることとなる。
【0029】ロータ11が鉛直方向に延びるように配置
されているため、ロータ11の回転によりシリコーンオ
イルに作用する遠心力は、重力と直交する方向に作用す
る。遠心力の作用によりシリコーンオイルが外側に拡が
ろうとした場合、発熱室10の壁面に規制されて、空間
のある上側へ移動しようとする。しかし、ロータ11の
周面と対向する発熱室10の壁面間の隙間に存在するシ
リコーンオイルは重力の作用により常に発熱室10に存
在する空間と反対側への付勢力を受けている。従って、
シリコーンオイルはほとんど上側へ移動できず、ロータ
11の周面と対向する発熱室10の壁面間に形成された
シリコーンオイルに油膜切れが発生せず、充填量に対応
して発熱する。
【0030】シリコーンオイルの充填量を代えてビスカ
スヒータの発熱量を測定した結果を図4に示す。なお、
下部ハウジング4の凹部4b内にシリコーンオイルがほ
ぼ充填された状態を充填率0としている。従来の円筒型
ビスカスヒータと異なり、低い充填率から高い充填率ま
で、充填量に対応した発熱量が得られ、上記のことが裏
付けられた。
【0031】この実施の形態のビスカスヒータは以下の
効果を有する。 (イ) ロータ11の軸心が鉛直方向に延びる状態で車
両の所定位置に設置されるため、ロータ11の回転時に
遠心力がシリコーンオイルに作用しても、ロータ11の
周面と対向する発熱室10の壁面との間に存在するシリ
コーンオイルに油膜切れが発生せず、充填率に対応した
発熱量を確保できる。
【0032】(ロ) 駆動軸16の外部駆動源に対する
連結側が上側に存在するため、シリコーンオイルの熱膨
張を考慮して、シリコーンオイルの温度上昇時に充填率
が100%となるように充填量を調整すれば、駆動軸1
6をハウジング(上部ハウジング3)に回転可能に支持
する軸受装置18から外部への粘性流体の漏洩が防止さ
れる。その結果、軸受装置18としてオイルシール機能
のない安価なベアリングを使用できる。
【0033】(ハ) 駆動軸16が鉛直方向に延びる
が、駆動軸16には水平に延びる外部駆動軸22の回転
力を駆動軸16に伝達する回転力伝達手段(傘歯車2
0)が固定されているため、ロータ11が鉛直に延びる
ようにビスカスヒータを設置してもエンジン24の回転
を駆動軸16に円滑に伝達できる。
【0034】(ニ) ウォータジャケット8はシリンダ
ブロック2の外周面に形成された凹部2aと中部ハウジ
ング1の内面とによって螺旋状に形成されているため、
細長い円筒状の発熱室の周囲に沿って形成されていて
も、循環水の部分的な滞留や短絡を回避して円滑に流れ
る。その結果、熱交換効率が向上する。また、凹部2a
を区画形成する凸条は、発熱室10の熱をウォータジャ
ケット8内の循環水に熱交換する部分の表面積が増加し
て、熱交換効率が向上する。
【0035】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図5に従って説明する。この実施の形態では外部駆
動源としてのエンジン24の回転を駆動軸16に伝達す
る回転力伝達手段の構成が前記実施の形態と異なり、そ
の他の構成は同じである。前記実施の形態と同じ部分は
同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみ説明す
る。
【0036】上部ハウジング3にはL字状をなすブラケ
ット31がボルト32により固定され、ブラケット31
にはベアリング33を介して軸34が回転可能に支持さ
れている。軸34の第1端部にはプーリ35が、第2端
部には傘歯車20と噛合する傘歯車36がそれぞれ一体
回転可能に固定されている。傘歯車20、軸34、プー
リ35及び傘歯車36が回転力伝達手段を構成する。
【0037】このビスカスヒータは車両のエンジンルー
ムに設置される場合、プーリ35がオルタネータプーリ
28、ウォータポンププーリ29等の他の補機用のプー
リと同一平面上に存在するように配設され、クランクシ
ャフトプーリ25の回転を伝達するベルト26が巻き掛
けられる。そして、エンジン24が駆動されるとクラン
クシャフトの回転がクランクシャフトプーリ25及びベ
ルト26を介してプーリ35に伝達され、プーリ35と
ともに軸34及び傘歯車36が一体に回転し、傘歯車2
0を介して駆動軸16が回転される。
【0038】この実施の形態では前記実施の形態と同様
な効果を発揮する他、クランクシャフトプーリ25の回
転を伝達するベルト26を巻き掛けるプーリ35がビス
カスヒータに装備されているため、エンジンにプーリを
支持する必要がなく、ビスカスヒータの設置位置の自由
度が大きくなる。
【0039】なお、実施の形態は上記に限定されるもの
ではなく、例えば、次のように変更してもよい。 (1) 第1及び第2の実施の形態において、プーリ2
2aあるいはプーリ35と駆動軸16との間にクラッチ
手段を設ける。クラッチ手段としては電磁クラッチの
他、プーリの回転速度が所定速度以下では駆動軸に回転
を伝達し、所定速度を超えると回転の伝達が断たれるク
ラッチ機構を使用できる。例えば、第2の実施の形態に
おいては、プーリ35と軸34との間にクラッチ手段を
容易に設けられる。これらの構成では、エンジンの駆動
力を必要に応じて駆動軸16に選択的に伝達可能とな
り、エンジンの回転速度が所定回転数以上のときには駆
動軸16への回転伝達を断つことにより、シリコーンオ
イル(粘性流体)が過剰発熱状態となるのを防止でき
る。従って、粘性流体の熱劣化が抑制されて粘性流体の
寿命が延びる。
【0040】(2) ロータ11の内周面側にも発熱室
を有する構成としてもよい。例えば、図6に示すよう
に、下側の固定板14が省略され、下部ハウジング4に
ロータ11の内部に挿入される凸部4cが設けられた構
成とする。なお、駆動軸16にはリング15の下端と当
接する止め輪(サークリップ)16aが取り付けられて
いる。凸部4cの周面とロータ11の内周面との隙間も
発熱室37となる。凸部4cの周面とロータ11の内周
面との隙間は、粘性流体の剪断発熱に有効な大きさ、例
えばロータ11の外周面とシリンダブロック2の内面と
の隙間と同じ間隔に形成される。下部ハウジング4には
発熱室37の内側にウォータジャケット38が形成さ
れ、図示しない入水ポート及び出水ポートを介して外部
暖房回路と接続されている。また、下部ハウジング4の
下側には、ウォータジャケット38の開放端を覆う下部
プレート39がガスケット40を介して固定されてい
る。ボルト7(図示せずは)下部ハウジング4を貫通し
て下部プレート39に螺合されている。この場合、同じ
大きさのロータ11であっても発熱量が増大する。ま
た、ロータ11の内側にもウォータジャケット38が設
けられているため、熱交換率が向上する。なお、ウォー
タジャケット38は省略してもよい。
【0041】(3) (2)において、ロータ11の凸
部4cの上端部と対応する位置に孔41を複数形成して
もよい。この場合、ロータ11の内外が孔41を介して
連通されるため、粘性流体を充填する際に発熱室37内
に円滑に充填される。
【0042】(4) (2)において、ウォータジャケ
ット38をウォータジャケット8と連通させて、入水ポ
ート及び出水ポートを両ウォータジャケット8,38で
共通にしてもよい。外側のウォータジャケット8は螺旋
状に形成されるが、内側のウォータジャケット38は上
下方向に蛇行して循環水が流れるように形成され、ウォ
ータジャケット8との連通部が下側に形成される。入水
ポートをビスカスヒータの下側に設けた場合は、入水ポ
ートから導入された循環水は先ず内側のウォータジャケ
ット38に導入され、ウォータジャケット38内を通過
した後、外側のウォータジャケット8へ導入されてウォ
ータジャケット8を通過して上側に設けられた出水ポー
トから外部暖房回路へと送り出される。
【0043】(5) ロータ11の軸心が鉛直となる状
態ではなく、ロータ11の軸心が鉛直方向に対して所定
の角度以内の範囲において延びる状態で車両の所定位置
に設置する。図7はロータ11の軸心Oが鉛直方向に対
して傾いた状態の模式図である。所定の角度とは図7に
示すように、ロータ11の軸心を含み水平面と直交する
平面がロータ11の周面を浸す粘性流体の上面と交差す
る最下位点、最上位点の各点P1,P2からロータ11
の下端面11aまでの距離をL1及びL2としたとき、
その差が、短い方の距離L1より小さくなる角度の範囲
である。充填率が同じであってもロータ11の径と軸長
との比によって傾斜可能な範囲が異なり、径が小さい方
が鉛直方向からの傾斜角を大きくできる。
【0044】この状態でロータ11が回転すると、ロー
タ11の周面と発熱室10の壁面との間に充填された粘
性流体のうち、ロータ11の下端面11aからの距離が
L1の位置よりロータ11の上端側に存在する粘性流体
は、遠心力の作用によりロータ11と対向する発熱室1
0の壁面に沿って拡がるため、油膜切れが生じる。しか
し、反対側に存在する粘性流体、即ちロータ11の下端
側に存在する粘性流体はロータ11の回転時に遠心力が
作用しても、ロータ11の周面と対向する発熱室10の
壁面との間に油膜切れが発生することがなく、その部分
の粘性流体の充填率に対応した熱量を発生する。
【0045】ロータ11の軸心が鉛直方向から傾くよう
に設置する場合は、傘歯車20のピッチ円錐角を傾きに
対応した角度に変更することにより容易に対応できる。 (6) 電気自動車にビスカスヒータを搭載する場合
は、駆動軸16を車輪駆動用のモータと別のモータで駆
動する構成としてもよい。この場合は、ビスカスヒータ
の駆動系が完全に独立するため、水平に延びる状態に配
設された外部駆動軸の回転力を駆動軸に伝達する回転力
伝達手段が不要となるとともに、ビスカスヒータの設置
姿勢の自由度が大きくなる。
【0046】なお、本明細書で言う「粘性流体」とは、
ロータの剪断作用を受けて流体摩擦に基づく熱を発生す
るあらゆる媒体を意味するものであり、高粘度の液体や
半流動体に限定されず、ましてやシリコーンオイルに限
定されるものではない。
【0047】前記実施の形態及び変更例から把握できる
請求項記載以外の発明について、以下にその効果ととも
に記載する。 (1) 請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記ロータをその軸心が鉛直に延びるように設置する。
この場合、粘性流体の充填率が少ない状態、例えば50
%程度以下でもロータの回転時にロータの周面と対向す
る発熱室の壁面との間に存在する粘性流体に油膜切れが
発生せず、充填率に対応した発熱量を確保できる。
【0048】(2) 請求項3に記載の発明において、
回転力伝達手段は駆動軸と直交する方向に延びるととも
にプーリを一体回転可能に支持する軸と、該軸に一体回
転可能に固定された傘歯車と、該傘歯車と噛合するとと
もに駆動軸と一体回転可能に固定された傘歯車とを備え
ている。この場合、クランクシャフトプーリの回転を伝
達するベルトを巻き掛けるプーリがビスカスヒータに装
備されているため、エンジンビスカスヒータ駆動用のプ
ーリを支持する必要がなく、ビスカスヒータの設置位置
の自由度が大きくなる。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1及び請求
項2に記載の発明では、主たる発熱がロータの周面とそ
の対向壁面間に存在する粘性流体の剪断により生じるビ
スカスヒータにおいて、粘性流体の充填率が小さくても
充填率に応じた発熱量を確保できる。
【0050】請求項2に記載の発明では、粘性流体の熱
膨張を考慮して、粘性流体の温度上昇時に充填率が10
0%となるように充填量を調整すれば、軸封装置を省い
ても発熱室内の粘性流体がロータの駆動軸部分から漏洩
するのを防止できる。従って、軸受装置としてオイルシ
ール機能のない安価なベアリングを使用できる。
【0051】請求項3に記載の発明では、請求項1及び
請求項2に記載の発明の設置方法を容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のビスカスヒータの縦断面
図。
【図2】 図1のII−II線断面図。
【図3】 ビスカスヒータ駆動用のプーリの配置を示す
概略図。
【図4】 粘性流体の充填率と発熱量の関係を示すグラ
フ。
【図5】 第2の実施の形態のビスカスヒータの部分断
面図。
【図6】 変更例のビスカスヒータの縦断面図。
【図7】 ロータを斜めに配置した場合の粘性流体の位
置を示す模式図。
【図8】 円板型及び円筒型ビスカスヒータの粘性流体
の充填率と発熱量の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…ハウジングを構成する中部ハウジング、2…同じく
シリンダブロック、2a…放熱室を構成する凹部、3…
上部ハウジング、4…下部ハウジング、4c…凸部、
8,38…放熱室としてのウォータジャケット、10,
37…発熱室、11…ロータ、16…駆動軸、20…回
転力伝達手段としての傘歯車、22…外部駆動軸、34
…回転力伝達手段を構成する軸、35…同じくプーリ、
36…同じく傘歯車。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南 和彦 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング内に発熱室及び放熱室を区画
    し、前記発熱室内に収納された粘性流体を同じく発熱室
    内に収納されたロータで剪断することで熱を発生させ、
    この熱を前記放熱室を流れる循環流体に熱交換するビス
    カスヒータのうち、主たる発熱がロータの周面とその対
    向壁面間に存在する粘性流体の剪断により生じるビスカ
    スヒータの設置方法であって、前記ロータの軸心が鉛直
    方向に対して所定の角度以内の範囲において延びる状態
    で車両の所定位置に設置するビスカスヒータの設置方
    法。
  2. 【請求項2】 前記ロータの駆動軸は外部駆動源に連結
    され、該駆動軸の外部駆動源に対する連結側が上側にな
    るように前記ハウジングを車両の所定位置に設置する請
    求項1に記載のビスカスヒータの設置方法。
  3. 【請求項3】 ハウジング内に発熱室及び放熱室を区画
    し、前記発熱室内に収納された粘性流体を同じく発熱室
    内に収納されたロータで剪断することで熱を発生させ、
    この熱を前記放熱室を流れる循環流体に熱交換するとと
    もに、主たる発熱がロータの周面とその対向壁面間に存
    在する粘性流体の剪断により生じるビスカスヒータであ
    って、 前記ロータは前記ハウジングに回動可能に支持された駆
    動軸に一体回転可能に支持されており、該駆動軸には駆
    動軸が鉛直方向に対して所定の角度以内の範囲において
    延びる状態において、水平に延びる状態に配設された外
    部駆動軸の回転力を駆動軸に伝達する回転力伝達手段が
    取り付けられているビスカスヒータ。
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