JPH10163468A - 膜状複合構造体 - Google Patents

膜状複合構造体

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JPH10163468A
JPH10163468A JP8337476A JP33747696A JPH10163468A JP H10163468 A JPH10163468 A JP H10163468A JP 8337476 A JP8337476 A JP 8337476A JP 33747696 A JP33747696 A JP 33747696A JP H10163468 A JPH10163468 A JP H10163468A
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semiconductor
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Tadao Miura
忠男 三浦
Toru Sumiya
透 角谷
Shunichiro Tanaka
俊一郎 田中
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Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Original Assignee
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナノレベルでの半導体素子の微細化やメゾス
コピック素子等の新たな機能素子を実現する上で、均一
な電子状態を有する界面を作製すると共に、ナノレベル
の領域でショットキー電流、さらにはショットキー障壁
高さの異なる界面を共存させた膜状複合構造体が求めら
れている。 【解決手段】 半導体層1上には厚さ20nm以下の金属層
2が形成されている。金属層2は、半導体層1と直接接
している第1の領域Aと、半導体層1との間に絶縁体、
金属層2とは異なる金属または半導体層1とは異なる半
導体からなり、かつ厚さ10nm以下の中間層3が介在さ
れ、第1の領域Aとはショットキー電流、さらにはショ
ットキー障壁高さが異なる第2の領域Bとを有してい
る。これら各領域A、Bはいずれもナノレベルの大きさ
を有し、かつ各領域内における各界面はそれぞれ実質的
に均一なポテンシャル障壁を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショットキー電流
やショットキー障壁高さが異なる複数の微小領域を有す
る膜状複合構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子においては、各種界面は素子
の動作に基本的な役割を果たす。界面にはポテンシャル
変化があり、キャリアの非熱平衡状態が生じる。中でも
金属と半導体との接合界面には電位障壁いわゆるショッ
トキー障壁が生じることが知られている。このショット
キー障壁は整流作用を有し、この整流作用を示す金属−
半導体接合、いわゆるショットキー接合は、ショットキ
ーバリヤダイオード、ショットキーゲートトランジスタ
等として利用されており、半導体素子の基本となるもの
である。
【0003】金属−半導体界面に形成されるショットキ
ー障壁を制御することは、素子の設計、作製上重要であ
るが、障壁の形成機構は統一的な理解がまだなされてい
ない。また、素子に電極を接続する場合には、金属−半
導体界面が存在し、非整流性のオーミック接触を得る必
要があるが、一般に整流性の障壁を完全に避けることは
極めて困難である。ショットキー障壁を利用するにせ
よ、オーミック接触を利用するにせよ、金属−半導体界
面でのポテンシャル障壁の制御が不可欠であるが、従
来、界面には不可避的に界面準位が形成され、ショット
キー障壁を制御することは困難とされてきた。
【0004】また、界面形成時の半導体表面の結晶構造
上の欠陥、不純物の存在、界面反応等によって、均一な
界面を形成することが難しく、これも金属−半導体界面
のポテンシャル障壁の制御を困難にさせている。これ
は、界面形成過程の理解が進んでいないことに一因があ
り、上記問題を解決するためには、原子レベルでの界面
形成過程を理解し、制御することが必要である。
【0005】このように、従来からショットキーバリヤ
ダイオードやショットキーゲートトランジスタ等とし
て、ショットキー障壁を利用した種々の電子素子が使用
されているが、これらは金属−半導体界面の総体的なシ
ョットキー障壁を利用しているにすぎず、その利用分野
は電荷の流れや量等を界面全体で制御するような素子に
限られている。上記したように、金属−半導体界面のポ
テンシャル障壁を制御することにより、均一なポテンシ
ャル障壁を有する界面を作製すると共に、ナノレベルの
領域でポテンシャル障壁の異なる界面を存在させること
が可能であれば、ナノレベルでの半導体素子の微細化、
さらにはメゾスコピック素子等の新たな機能素子への応
用展開を図ることが可能となることが予想されるが、現
在までのところ、そのような電子素子は見出されていな
い。
【0006】一方、ショットキー障壁高さの値自体に関
しては、同じ金属−半導体接合であっても、界面の状態
等により異なることが報告されている。例えばNiSi
2 /Si(111) の接合系において、Siの (111)面とN
iSi2 の (111)面とが完全なエピタキシャル関係を満
す場合と、これらが双晶関係にある場合とでは、ショッ
トキー障壁高さの値が異なること、具体的には前者は0.
65eVであるのに対して、後者は0.79eVであることが報告
されている(R.T.Tung, Phys. Rev. Lett.52,461 (198
4))。これらにおいては、接合界面でのNi原子とSi
原子との配列が異なっており、そのことがショットキー
障壁高さに差を生じさせていると考えられている。
【0007】上記した報告は界面構造の違いによりショ
ットキー障壁高さが異なることを示しているものの、そ
れらは金属−半導体の測定接合領域内のショットキー障
壁高さが同一であることを前提としており、異なる金属
−半導体接合におけるショットキー障壁高さの違いを示
しているにすぎない。従って、金属−半導体の微小接合
領域内に、ショットキー障壁高さが異なる複数の領域が
共存することを示すものではなく、このような構造は従
来のショットキー障壁を利用した電子素子の範囲を超え
るものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のショットキー障壁を利用した電子素子は、金属−半導
体界面の総体的なショットキー障壁高さを利用している
にすぎず、ナノレベルの領域でポテンシャル障壁の異な
る界面を存在させた膜構造は得られていない。このよう
なことから、ナノレベルでの半導体素子の微細化やメゾ
スコピック素子等の新たな機能素子を実現する上で、金
属−半導体界面のポテンシャル障壁を制御することで、
均一なポテンシャル障壁を有する界面を作製すると共
に、ナノレベルの領域でショットキー電流、さらにはシ
ョットキー障壁高さの異なる界面を共存させた膜状複合
構造体が求められている。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、金属−半導体界面のポテンシャル障
壁の制御を実現することによって、微小領域内にショッ
トキー電流やショットキー障壁高さが異なるナノレベル
の複数の領域を存在させた膜状複合構造体を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の膜状複合構造体
は、請求項1に記載したように、半導体層と、前記半導
体層上に形成された厚さ20nm以下の金属層とを具備し、
前記金属層は、前記半導体層と直接接している第1の領
域と、前記半導体層との間に絶縁体、前記金属層とは異
なる金属または前記半導体層とは異なる半導体からな
り、かつ厚さ10nm以下の中間層が介在され、前記第1の
領域とはショットキー電流が異なる第2の領域とを有し
ていることを特徴としている。
【0011】本発明の膜状複合構造体は、より詳しくは
請求項2に記載したように、前記第1の領域および第2
の領域は、各領域内における各界面がそれぞれ実質的に
均一なポテンシャル障壁を有していることを特徴として
いる。さらには、請求項3に記載したように、前記第1
の領域および第2の領域は異なるショットキー障壁高さ
を有し、かつ前記第1の領域および第2の領域はそれぞ
れ各領域内で実質的に均一なショットキー障壁高さを有
していることを特徴としている。
【0012】本発明の膜状複合構造体おいて、前記第2
の領域は例えば請求項4に記載したように、前記金属層
の全領域に対して所望のパターンに応じて部分的に設け
られていることを特徴としている。また、前記中間層は
例えば請求項5に記載したように、前記半導体層と金属
層との間に、最大径が 100nm以下の島状体として存在し
ていること、あるいは請求項6に記載したように、前記
半導体層と金属層との間に、幅 100nm以下の帯状体とし
て存在していることを特徴としている。
【0013】本発明は、まず金属−半導体界面を形成す
るにあたって、例えば単結晶半導体基板の初期表面を制
御すると共に、金属薄膜、絶縁体薄膜あるいは半導体薄
膜の形成を原子レベルで制御する等によって、界面のポ
テンシャル障壁を制御することが可能であることを見出
したことに基いてなされたものである。すなわち、単結
晶半導体基板等からなる半導体層表面の表面準位密度を
低減したり、原子レベルで表面を平坦化すると共に、中
間層さらには金属層の形成を、例えば分子線エピタキシ
ー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等を利用し
て、超高真空中で初期表面を制御した上で基板温度や蒸
発速度を制御する等によって、各界面のポテンシャル障
壁を制御することが可能となる。
【0014】従って、中間層が存在せず金属層と半導体
層とが直接接している第1の領域と、金属層と半導体層
との間に厚さ10nm以下の中間層が介在された第2の領域
は、それぞれ各領域内の界面のポテンシャル障壁を均一
とすることができ、このような各領域内におけるショッ
トキー電流、さらにはショットキー障壁高さを制御する
ことができる。そして、第1の領域と第2の領域とは、
中間層の有無という金属−半導体界面の差を有している
ことから、ショットキー電流さらにはショットキー障壁
高さが異なる領域とすることができる。
【0015】一方、金属、絶縁体または半導体からなる
厚さ10nm以下の中間層は、例えば半導体層表面のテラス
等を利用することによって、島状やストライプ状等の所
望のパターン状に部分的に形成することができる。従っ
て、このような中間層上を含めて、半導体層表面を覆う
ように金属層を形成することによって、ナノレベルでシ
ョットキー電流さらにはショットキー障壁高さが異なる
第1の領域と第2の領域を有する膜状複合構造体が得ら
れる。
【0016】このような膜状複合構造体は、例えば超高
真空中で作製した後、真空を破らずに超高真空中で弾道
電子放射顕微鏡(Ballistic Electron Emission Microsc
opy:BEEM)観察を行い、各領域毎のショットキー電
流、さらにはショットキー障壁高さを測定することによ
り、ナノレベルの微小領域の複合化状態を確認すること
ができる。
【0017】本発明の膜状複合構造体は、上述した第1
の領域と第2の領域における異なるショットキー電流、
さらには異なるショットキー障壁高さを利用して、ナノ
レベルで微細化された半導体素子、さらにはメゾスコピ
ック素子等の新たな機能素子に応用することができる。
【0018】例えば、探針から金属層にトンネル電流を
流し、金属層の表面に到達した電子のうち、金属層内で
散乱されることなく金属層と半導体層との界面に到達し
た電子(弾道電子)は、その一部が金属−半導体界面の
電位障壁、いわゆるショットキー障壁を超えてショット
キー電流(コレクタ電流もしくはBEEM電流とも呼
ぶ)として半導体層に流れる。特に弾道電子が十分に界
面に到達する条件では、探針に印加した電圧に対してシ
ョットキー障壁高さ付近からショットキー電流が急激に
増加する。従って、第1の領域と第2の領域のショット
キー障壁高さが異なれば、金属層に流すトンネル電流の
電圧(探針電圧)に応じて各領域間で半導体層に流れる
電流、すなわちショットキー電流を制御することができ
る。また、中間層が弾道電子を強く散乱する場合にも、
同様に第1の領域と第2の領域間でショットキー電流を
制御することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0020】図1は本発明の膜状複合構造体の基本的な
構造を模式的に示す断面図である。同図において、1は
半導体層であり、各種半導体の単結晶基板やエピタキシ
ャル成長膜を使用することができ、その材質は特に限定
されるものではない。半導体層1の具体例としては、例
えばSi単結晶基板、Ge単結晶基板、Si−Ge基
板、GaAs、GaSb、InP、ZnTe、CdC
e、CdTe等の各種化合物半導体の単結晶基板、ある
いはこれら各種半導体のエピタキシャル成長膜等を挙げ
ることができる。
【0021】上述した半導体層1上には、厚さ20nm以下
の薄膜状の金属層2が形成されている。この金属層2の
構成材料も特に限定されるものではなく、Au、Ag、
Pt、Cu、Al等の各種の単体金属、あるいは合金等
を使用することができる。この金属層2の厚さは、上記
したように20nm以下とする。これは、金属層2の厚さが
あまり厚いと後に詳述する中間層3の存在の有無にかか
わらず、金属(2)−半導体(1)の接合界面に弾道電
子を注入した際に半導体層1に流れるショットキー電流
(コレクタ電流/BEEM電流)が小さくなりすぎ、シ
ョットキー電流の制御が困難となるためである。
【0022】上記した金属層2は、半導体層1の表面と
直接接している第1の領域Aと、半導体層2との間に厚
さ10nm以下の中間層3が介在された第2の領域Bとを有
しており、これら第1の領域Aおよび第2の領域Bによ
り金属(2)−半導体(1)の接合界面(金属−半導体
界面)を構成している。
【0023】これら第1の領域Aおよび第2の領域B
は、各領域内における金属層2と半導体層1との界面、
中間層3と半導体層1および金属層2と中間層3との界
面が、それぞれ実質的に均一なポテンシャル障壁を有し
ている。このような実質的に均一なポテンシャル障壁を
有する界面は、BEEM観察を行うことで確認すること
ができる。すなわち、各領域内における界面のポテンシ
ャル障壁が実質的に均一であれば、各領域に対応するB
EEM像(BEEM電流の測定結果を画像化したもの)
はほとんどコントラストのないものとなり、これにより
界面状態の確認を行うことができる。
【0024】このような実質的に均一なポテンシャル障
壁を有する界面は、半導体層1の初期表面を制御すると
共に、中間層3さらには金属層2の形成を原子レベルで
制御することにより得ることができる。例えば、単結晶
半導体基板等からなる半導体層1の表面は、注意深く処
理することにより、表面準位密度の低減と原子レベルで
の表面平坦化が可能である。このような表面を有する半
導体層1上に、例えば分子線エピタキシー(MBE)法
のように、超高真空中で初期表面を制御した上で、金属
薄膜、絶縁体薄膜、半導体薄膜等を成膜する際の基板温
度や蒸着速度を制御することが可能な成膜方法で、中間
層3さらには金属層2を形成することによって、それぞ
れ実質的に均一なポテンシャル障壁を有する界面を得る
ことができる。中間層3や金属層2は、具体的には 1×
10-7Pa以下というような超高真空中で形成することが好
ましい。
【0025】上述した中間層3の構成材料としては、絶
縁体、金属層2とは異なる金属、または半導体層1とは
異なる半導体を使用することができる。また、中間層3
には絶縁体や異種の金属または半導体からなる第3の物
質を積極的に介在させたもの以外に、金属層2と半導体
層1との反応層等を利用することもできる。このような
中間層3の厚さは10nm以下とする。中間層3の厚さが10
nmを超えると、後述するように所望のパターン形状での
形成が困難となる。
【0026】中間層3は金属2−半導体1の接合界面、
すなわち金属層2の全領域に対して部分的に設けられて
おり、この中間層3の形状は半導体層1表面の平坦なテ
ラス等を利用することによって、所望のパターンに応じ
た形状とすることができる。すなわち、厚さ10nm以下の
中間層3は、例えば単結晶半導体基板からなる半導体層
1の平坦なテラスを利用することによって、最大径が例
えば 1〜 100nm程度の島状体として形成したり、ステッ
プに沿って幅が例えば 1〜 100nm程度の帯状体として形
成したり、さらには特定のテラスのみを覆うように形成
することができる。またテラス幅も、半導体層1表面の
特定結晶面からの角度調整や、大気中での酸化処理と超
高真空中での加熱処理の適切な組合せ等によって、数10
nm〜数100nmの範囲で制御することができる。このよう
に、中間層3は厚さ10nm以下とすると共に、半導体層1
のテラスやステップを利用することによって、最大径が
1〜 100nm程度の島状体や幅が 1〜 100nm程度の帯状体
等として、所望のパターン状に形成することができる。
【0027】このようにして、絶縁体、金属層2とは異
なる金属または半導体層1とは異なる半導体からなる厚
さ10nm以下の中間層3を半導体層1上に形成した後に、
上述したような成膜方法で連続して金属層2を形成する
ことによって、各領域A、B毎に各界面のポテンシャル
障壁が均一な膜状複合構造体4を得ることができる。上
述した膜状複合構造体4の各領域A、B内のショットキ
ー電流およびショットキー障壁高さは以下の通りとな
る。例えば、中間層3として厚さ10nm以下の絶縁体薄膜
を用いた場合、金属(2)−半導体(1)の接合界面の
うち、第1の領域Aは半導体層1と金属層2とが直接接
していることから、半導体層1を構成する半導体と金属
層2を構成する金属とに基くショットキー障壁高さを有
しており、このショットキー障壁高さは第1の領域A内
の界面が実質的に均一なポテンシャル障壁を有している
ことから、第1の領域A内で実質的に均一とされてい
る。このような第1の領域Aでは、例えば探針から金属
層2にトンネル電流を流した場合、弾道電子は上記した
ショットキー障壁高さに応じたショットキー電流として
半導体層1に流れる。
【0028】一方、第2の領域Bは、半導体層1と金属
層2との間に、絶縁体からなる中間層3が介在されるた
め、金属(M)−絶縁体(I)−半導体(S)接合とな
り、いわゆるMIS接合に基くショットキー障壁高さを
有しており、このMIS接合に基くショットキー障壁高
さは、第2の領域B内の各界面が実質的に均一なポテン
シャル障壁を有していることから、第2の領域B内で実
質的に均一とされている。このような第2の領域Bで
は、金属層2に流したトンネル電流はMIS接合に基く
ショットキー障壁高さに応じたショットキー電流として
半導体層1に流れる。あるいは、絶縁体からなる中間層
3が例えば弾道電子を強く散乱する場合には、ショット
キー電流そのものが流れなくなる。
【0029】また、中間層3が金属層2とは異なる金属
で構成されている場合には、この中間層3を構成する金
属と半導体層1との間の金属−半導体界面が第2の領域
Bのショットキー障壁高さを支配することになる。従っ
て、このような第2の領域Bでは、金属層2にトンネル
電流を流した場合、金属層2とは異なる金属と半導体層
1との界面に基くショットキー障壁高さに応じて、ショ
ットキー電流として半導体層1に電流が流れる。すなわ
ち、第2の領域Bは、第1の領域Aとは異なるショット
キー障壁高さおよびショットキー電流を有することにな
る。
【0030】さらに、中間層3が半導体層1とは異なる
半導体で構成されている場合には、この中間層3を構成
する半導体と金属層2との間の金属−半導体界面が第2
の領域Bのショットキー障壁高さを支配することにな
る。従って、このような第2の領域Bでは、金属層2に
トンネル電流を流した場合、金属層2と半導体層1とは
異なる半導体との界面に基くショットキー障壁高さに応
じて、ショットキー電流として半導体層1に電流が流れ
る。すなわち、第2の領域Bは、第1の領域Aとは異な
るショットキー障壁高さおよびショットキー電流を有す
ることになる。
【0031】このように、金属層2と半導体層1との間
に、絶縁体、金属層3とは異なる金属または半導体層1
とは異なる半導体からなる中間層3を部分的に存在させ
た膜状複合構造体4においては、第1の領域Aと第2の
領域Bのショットキー電流、さらにはショットキー障壁
高さを制御することができる。具体的には、第1の領域
Aおよび第2の領域Bに対して、例えば探針から金属層
2にトンネル電流を流すことによって、各領域A、B間
でショットキー電流を制御することができる。すなわ
ち、ショットキー電流やショットキー障壁高さが異なる
ナノレベルの複数の微小領域(第1の領域Aと第2の領
域B)を、金属(2)−半導体(1)の接合界面(金属
−半導体界面)内に存在させることができる。
【0032】上述したような膜状複合構造体は、第1の
領域Aと第2の領域Bにおける異なるショットキー電
流、さらには異なるショットキー障壁高さを利用して、
ナノレベルで微細化された半導体素子、さらにはメゾス
コピック素子等の新たな機能素子に応用することができ
る。
【0033】次に、金属(2)−半導体(1)界面に、
上述したようなナノレベルの微小な第1の領域Aおよび
第2の領域Bが存在することを、BEEM観察で確認し
た具体例について述べる。
【0034】まず、半導体層1としてSi(111) 基板を
用いて、このSi(111) 基板表面に1×10-7Pa以下の超
高真空中でAuを成膜した。このAuの成膜およびその
評価は、表面や界面の制御や測定の妨げとなる雰囲気か
らの酸素、水、有機物等の吸着を軽減するために、成膜
から評価までを全て超高真空中で行える装置により実施
した。
【0035】上記した装置は、まず制御性に優れた分子
線エピタキシー(MBE)法を適用した成膜室を有し、
この成膜室には試料搬送室を介してSTM準備室が接続
されている。このSTM準備室はSTM室に接続されて
おり、このSTM室はSTM観察手段とBEEM観察手
段を有している。STM準備室では、BEEM測定のた
めの電極付けも行われる。以上の成膜からSTM観察お
よびBEEM観察までが、 2×10-8Pa以下の超高真空に
保たれている。
【0036】上記した超高真空成膜−評価装置を用い
て、Si(111) 基板の(7×7)表面を成膜面とし、この清
浄なSi(111) ・(7×7)表面にMBE法で厚さ 3.0nmの
Auを成膜した。成膜時の基板温度は、Auの蒸発源の
影響を受けて、約423K程度になっていた。続いて、上記
した超高真空成膜−評価装置で、Au膜の同一箇所のS
TM観察およびBEEM観察を行った。図2にSTM像
を、図3にBEEM像を示す。観察範囲は 100× 100nm
2 である。BEEM像はBEEM電流の強弱によりコン
トラストをつけた。
【0037】図2に示すSTM像から明らかなように、
Auは大小の島状に成長している。また、BEEMでは
界面に到達する弾道電流が膜厚の増加と共に減少するた
め、BEEM電流も膜厚の増加と共に減少する。従っ
て、大きな島では小さい島に比べてBEEM電流は小さ
くなる。図3に示すBEEM像はこれを受けて、大まか
にSTM像のコントラストを反転したような像になって
いる。ただし、BEEM像の中には、STM像による島
状部に対応する部分内に、黒色領域すなわちBEEM電
流が極端に低い領域が存在していた。この状態を図4に
模式的に示す。図4は図3に示すBEEM像の一部を模
式的に示したものであり、点描した部分が黒色領域であ
る。また、図4の破線で囲んだ領域(斜線領域)は同一
箇所のSTM像による島状部を示したものである。
【0038】上記したAuの本来の島状領域(図4に矢
印aで示す部分/黒色領域以外の部分)と黒色領域(図
4に矢印bで示す部分)とについて、BEEM電流のチ
ップ電圧依存性、いわゆるBEEMスペクトルを評価し
た。その結果を図5に示す。領域(a)ではBEEM電
流がAu/Si(111) のショットキー障壁高さである0.
8eV付近から立ち上がるスペクトルを示した。一方、領
域(b)では電子エネルギーを増やしてもBEEM電流
の増加は見られなかった。
【0039】上述した領域(b)において、通常のAu
/Si(111) 界面のように、BEEM電流の増加が見ら
れなかったのは、Au/Si(111) 界面にAuとSiと
の反応物が存在しているためであると考えられる。これ
は、成膜時に基板温度が423K程度まで上昇していたた
め、この基板温度によりAuとSiとが低温反応したも
のである。このことは、上記試料を573K、30min の条件
で再度アニールし、界面での反応を促進させたところ、
試料全面でBEEM電流が検出限界以下となったことに
より確認された。界面にAuとSiとの反応物層が存在
すると、この反応物層を通過する際に弾道電子が強く散
乱されるため、BEEM電流(ショットキー電流)はほ
とんど流れなくなる。このようなBEEM電流が異なる
複数の領域が存在することは、STM観察だけでは知る
ことができなかったものであり、BEEM観察を併用す
ることではじめて特定されたものである。
【0040】このように、界面にAuとSiとの反応物
層を部分的に存在させることによって、Au/Si(11
1) 界面に他の不純物が存在しない領域(第1の領域A
に相当)と、界面にAu−Si反応物を存在させた領域
(第2の領域Bに相当)とを得ることができ、これらに
よりショットキー電流が異なる複数の領域を有する膜状
複合構造体が得られる。また、Au/Si(111) 界面に
おけるAu−Si反応物の生成は、Si(111) 基板の表
面状態、成膜時の基板温度等により制御することができ
るため、本発明の第2の領域に相当するAu−Si反応
物が界面に存在する領域を制御することができる。
【0041】ただし、上記したAu−Si反応物の生成
制御およびその領域制御は、制御性が低いため、次にS
i基板の表面状態や成膜時の基板温度等を制御すること
によって、Au/Si(111) 界面にAu−Si反応物等
の不純物を存在させることなく、Au−Si界面のみか
らなるAu膜を成膜した例について述べる。
【0042】まず、Si(111) ・(7×7)DAS(Dimar A
datom Stacking Fault) 構造は、ダングリングボンドを
多く含み、このダングリングボンドは化学的に活性であ
るため、Au−Siの低温反応を抑制するためにはない
ほうがよい。そこで、Au成長の初期状態として、Si
(111) ・(31/2 × 31/2 )・Au表面を用いた。
【0043】Auの蒸発量が 2分子層以下では、基板を
973K程度まで加熱しても、Au原子はSi原子と低温反
応を起こさず、Au原子はSi原子と協力して、安定な
再配列状態を表面に形成する。また、蒸発量が 1.5分子
層(膜厚0.2nm)程度では、基板温度573K程度で(31/2 ×
31/2 )構造となる。そこで、まず基板温度573KでAu
を約 0.2nm成膜した後、Au−Siの低温反応を抑制す
るために、一旦基板を搬送室で室温まで冷却し、再度M
BE室に導入してAuを 3.0nm成膜した。
【0044】得られたAu膜のSTM観察およびBEE
M観察を行ったところ、STM像からAuが10nm程度の
島状体として存在していることが確認された。この島状
Au膜のBEEM像はコントラストがほとんどなく、ま
たその内部の代表的なBEEMスペクトルでは 0.8eV付
近からの立上がりが観察された。これらからBEEM像
のコントラストの乏しさは、BEEM電流の強度が均一
であることを示していることが分かる。よって、島状A
u膜内の界面のポテンシャル障壁は実質的に均一で、か
つ界面でのショットキー障壁高さは実質的に均一である
ことが確認された。
【0045】上記した島状Au膜は、図1に示した膜状
複合構造体4の中間層3として使用することができ、こ
の島状Au膜上を含めてSi基板上に他の金属層、例え
ば厚さ10nm程度のAg層を形成することによって、図1
に示した膜状複合構造体4を得ることができる。
【0046】次に、上述したAu膜の成膜結果を踏まえ
て、中間層3として第3の物質を介在させた膜状複合構
造体4の作製例およびその評価結果について述べる。な
お、各膜の成膜から評価までは上述した超高真空成膜−
評価装置を用いて行った。
【0047】実施例1 まず、Si(111) ・(7×7)基板を半導体層1として用
い、このSi基板表面のテラスの大きさを、大気中での
酸化処理と超高真空中での加熱処理により約50nmに制御
した。このようなテラスを有する清浄なSi(111) ・(7
×7)基板の表面上に、まず基板温度を303Kに制御しつつ
AuをMBE法で 1nm成膜した。引き続いて、基板温度
を303Kに制御しつつAgをMBE法で10nm成膜した。こ
こで、Au膜は中間層3として形成したものであり、そ
の上に形成したAg膜が金属層2となるものである。
【0048】このような複合膜のSTM観察およびBE
EM観察を行ったところ、Au膜はテラス上に島状体と
して存在しており、AgがSi基板と界面を形成してい
る領域と、Au中間層が存在して、AuがSi基板と界
面を形成している領域とが共存していることが確認され
た。また、各界面のポテンシャル障壁が実質的に均一で
あることがBEEM像から確認された。
【0049】さらに図6に、Ag−Si界面領域のBE
EMスペクトルの測定結果と、Au−Si界面領域のB
EEMスペクトルの測定結果を示す。Ag−Si界面領
域ではBEEM電流がAg−Siのショットキー障壁高
さである 0.7eV付近から立ち上がるスペクトルを示し、
一方Au−Si界面領域ではBEEM電流がAu−Si
のショットキー障壁高さである 0.8eV付近から立ち上が
るスペクトルを示した。これらから、ショットキー障壁
高さが異なる複数の領域が共存していることが確認され
た。
【0050】実施例2 Si(111) ・(7×7)基板を半導体層1として用い、この
清浄なSi(111) ・(7×7)基板の表面上に、まず基板温
度を973Kに制御しつつ、絶縁体であるCaF2 をMBE
法で 1nm成膜した。このCaF2 膜はステップから帯状
に成長していた。次いで、基板温度を303Kに制御し、C
aF2 膜上を含めてAuをMBE法で5.0nm成膜した。
ここで、CaF2 膜は中間層3として形成したものであ
り、その上に形成したAu膜が金属層2となるものであ
る。
【0051】このような複合膜のSTM観察およびBE
EM観察を行ったところ、AuがSi基板と直接界面を
形成している領域と、厚さ 1nmの帯状CaF2 膜がAu
−Si界面に介在された領域とが共存していることが確
認された。また、これら各領域のBEEMスペクトルか
らは、ショットキー障壁高さが異なることが確認され
た。
【0052】実施例3 Si(111) ・(7×7)基板を半導体層1として用い、この
Si基板表面のテラスの大きさを、大気中での酸化処理
と超高真空中での加熱処理により約50nmに制御した。こ
のようなテラスを有する清浄なSi(111) ・(7×7)基板
の表面上に、まず基板温度を773Kに制御しつつ、絶縁体
であるCaF2 をMBE法で 1nm成膜した。次いで、基
板温度を303Kに制御し、CaF2 膜上を含めてAuをM
BE法で5.0nm成膜した。ここで、CaF2 膜は中間層
3として形成したものであり、その上に形成したAu膜
が金属層2となるものである。
【0053】このような複合膜のSTM観察およびBE
EM観察を行ったところ、CaF2膜はテラス上に島状
体として存在しており、この厚さ 1nmのCaF2 膜がA
u−Si界面に介在された領域と、AuがSi基板と直
接界面を形成している領域とが共存していることが確認
された。また、これら各領域のBEEMスペクトルから
は、ショットキー障壁高さが異なることが確認された。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の膜状複合
構造体によれば、ショットキー電流やショットキー障壁
高さが異なる複数の微小領域を金属−半導体界面内に作
り込むことができる。よって、各種の機能素子等の開発
に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の膜状複合構造体の一実施形態の構造
を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明の膜状複合構造体における各領域の確
認結果として示したAu膜のSTM写真である。
【図3】 図3に示すSTM写真と同一箇所のBEEM
写真である。
【図4】 図2に示すAu膜のBEEM写真の一部を模
式的に示す図である。
【図5】 図2に示すAu膜のAu−Si界面およびA
u−Si反応物を有する界面のBEEMスペクトルの測
定結果を示す図である。
【図6】 本発明の一実施例による膜状複合構造体のA
g−Si界面およびAu−Si界面のBEEMスペクト
ルの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1……半導体層 2……中間層 3……金属層 4……膜状複合構造体 A……第1の領域 B……第2の領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角谷 透 東京都足立区千住4−31−8−401 (72)発明者 田中 俊一郎 神奈川県横浜市瀬谷区本郷1−35−12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体層と、前記半導体層上に形成され
    た厚さ20nm以下の金属層とを具備し、前記金属層は、前
    記半導体層と直接接している第1の領域と、前記半導体
    層との間に絶縁体、前記金属層とは異なる金属または前
    記半導体層とは異なる半導体からなり、かつ厚さ10nm以
    下の中間層が介在され、前記第1の領域とはショットキ
    ー電流が異なる第2の領域とを有していることを特徴と
    する膜状複合構造体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の膜状複合構造体におい
    て、 前記第1の領域および第2の領域は、各領域内における
    各界面がそれぞれ実質的に均一なポテンシャル障壁を有
    していることを特徴とする膜状複合構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の膜状複合構造体におい
    て、 前記第1の領域および第2の領域は異なるショットキー
    障壁高さを有し、かつ前記第1の領域および第2の領域
    はそれぞれ各領域内で実質的に均一なショットキー障壁
    高さを有していることを特徴とする膜状複合構造体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の膜状複合構造体におい
    て、 前記第2の領域は、前記金属層の全領域に対して、所望
    のパターンに応じて部分的に設けられていることを特徴
    とする膜状複合構造体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の膜状複合構造体におい
    て、 前記中間層は、前記半導体層と金属層との間に、最大径
    が 100nm以下の島状体として存在していることを特徴と
    する膜状複合構造体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の膜状複合構造体におい
    て、 前記中間層は、前記半導体層と金属層との間に、幅 100
    nm以下の帯状体として存在していることを特徴とする膜
    状複合構造体状。
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