JPH10192444A5 - - Google Patents
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- JPH10192444A5 JPH10192444A5 JP1997001372A JP137297A JPH10192444A5 JP H10192444 A5 JPH10192444 A5 JP H10192444A5 JP 1997001372 A JP1997001372 A JP 1997001372A JP 137297 A JP137297 A JP 137297A JP H10192444 A5 JPH10192444 A5 JP H10192444A5
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Description
【発明の名称】消火用ゲル
【特許請求の範囲】
【請求項1】架橋(共)重合体からなる吸水性樹脂、潮解性物質および水を含むことを特徴とする消火用ゲル。
【請求項2】前記潮解性物質が潮解性無機塩であり、かつ、前記吸収性樹脂に対して潮解性無機塩が5〜5,000重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1記載の消火用ゲル。
【請求項3】前記吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上であることを特徴とする請求項1または2記載の消火用ゲル。
【請求項4】前記吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなることを特徴とする請求項1、2または3記載の消火用ゲル。
【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の消火用ゲルを用いた消火方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消火用ゲルに関するものである。消火用ゲルは、例えば、灰皿用の消火材等として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、灰皿用の消火材として、吸水性樹脂に水を吸収させてなるゲルを用いることが種々提案されている。例えば、実開平2−39747号公報には、吸水性樹脂と消臭剤と香料とからなる灰皿用の消臭芳香剤が開示されている。また、例えば、実開平7−14898号公報には、色素(着色剤)等が混入された吸水性樹脂のゲルが入った灰皿が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の消火材であるゲルは、吸水性樹脂に水が単に吸収された構成となっているので、該吸水性樹脂に吸収された水(ゲル中の水)が時間の経過に伴って蒸発して徐々に減少してしまう。即ち、時間の経過に伴ってゲルが徐々に乾燥してしまうので、ゲルの消火能力が経時変化によって低下するという問題点を有している。また、ゲルが乾燥すると、煙草の火が吸水性樹脂に移って燃え上がる場合がある。つまり、上記従来のゲルは、該ゲルの乾燥を防止して消火能力を維持するための対策が何ら講じられていない。
【0004】
また、上記従来の消火材であるゲルを構成する吸水性樹脂は、耐塩性に劣っている。このため、多数の煙草を消火すると、該煙草から溶出する各種塩類の作用によってゲルが液状化してしまい、例えば、使用後の該ゲルをゴミ袋等に入れて廃棄する際に、ゴミ袋等から汚水(液状化したゲル)が漏洩して、周囲を汚染する場合がある。つまり、上記従来のゲルは、使用後に廃棄する際に、汚水が漏洩しないように注意する必要があり、その作業が煩わしいという問題点も有している。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができ、しかも、使用後に簡単に廃棄することができる消火用ゲルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、消火用ゲルについて鋭意検討した。その結果、吸水性樹脂と、例えば塩化カルシウム等の潮解性物質と、水とを含む消火用ゲルが、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることを見い出した。また、吸水性樹脂として、特定の構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体を用いることにより、使用後の消火用ゲルを簡単に廃棄することができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、架橋(共)重合体からなる吸水性樹脂、潮解性物質および水を含むことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、請求項1記載の消火用ゲルにおいて、潮解性物質が潮解性無機塩であり、かつ、前記吸収性樹脂に対して潮解性無機塩が5〜5,000重量%の範囲で含まれることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の消火用ゲルにおいて、吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上であることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、請求項1、2または3記載の消火用ゲルにおいて、吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明の消火方法は、上記の課題を解決するために、請求項1、2、3または4記載の消火用ゲルを用いることを特徴としている。
【0012】
潮解性物質は、水溶性であり、かつ、同一温度において、空気中の水蒸気圧よりも、その飽和水溶液の水蒸気圧の方が小さい。従って、潮解性物質は、水の蒸発を抑制する能力、即ち保水力に優れている。上記の構成によれば、消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいるので保水力に優れており、消火用ゲル中の水が時間の経過に伴って蒸発することはない。即ち、時間の経過に伴って消火用ゲルが徐々に乾燥することはなく、それゆえ、消火用ゲルの消火能力を長期間にわたって維持することができる。例えば火の点いた煙草を消火するには、該煙草の火を消火用ゲルに押し付けるだけでよい。消火用ゲルに含まれる水によって煙草の火を素早く消すことができる。
【0013】
これにより、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができる消火用ゲルを提供することができる。消火用ゲルは、消火能力を長期間にわたって維持することができるので、該消火用ゲルに火が燃え移ることはない。また、架橋重合体の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなる消火用ゲルは、架橋重合体、つまり、吸水性樹脂の初期吸液速度(吸液開始直後の吸液速度)がより一層速くなる。また、本発明にかかる消火用ゲルは、例えば、ビル火災や森林火災等の一般火災の消火材としても好適に用いられる。
【0014】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明にかかる消火用ゲルは、吸水性樹脂、潮解性物質および水を含んでなる。
【0016】
上記の吸水性樹脂としては、公知の各種吸水性樹脂を採用することができ、特に限定されるものではないが、潮解性物質の存在下での吸液倍率に優れた吸水性樹脂がより好ましい。そして、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上である吸水性樹脂が特に好ましい。該吸液倍率が5g/g以上である吸水性樹脂は、消火能力に特に優れている。尚、上記吸液倍率の測定方法は、後段の実施例にて詳述する。
【0017】
このような吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸塩系架橋重合体、イソブチレン−マレイン酸架橋共重合体、澱粉−アクリル酸架橋グラフト重合体、ビニルアルコール−アクリル酸架橋共重合体、ビニルアルコール架橋重合体、ポリアルキレングリコール架橋重合体、澱粉−アクリロニトリル架橋共重合体、ビニルピロリドン架橋重合体、スルホン酸基含有架橋重合体、N−ビニルアミド系架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体、(メタ)アクリルアミド系架橋重合体等が挙げられる。上記例示の吸水性樹脂のうち、ビニルピロリドン架橋重合体、スルホン酸基含有架橋重合体、N−ビニルアミド系架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体、および、(メタ)アクリルアミド系架橋重合体がより好ましく、(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体がさらに好ましい。
【0018】
上記の(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体は、一般式(1)
CH2 =CR−CO−(X)n −Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキシ基、または、炭素数1〜9のアルキル基を置換基として1個〜3個有するオキシアルキルフェニル基を表し、nは、平均で3〜100の正数を表す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体である。
【0019】
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、具体的には、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ベンジルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら化合物は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを用いる場合には、エチレンオキサイドの平均付加モル数は5モル〜50モルの範囲内がより好ましい。つまり、一般式(1)におけるXがオキシエチレン基であり、Rが水素原子またはメチル基であり、Yがメトキシ基である場合には、nは平均で5〜50の範囲内がより好ましい。
【0020】
上記の単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の他に、必要に応じて、該(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合する単量体(以下、共重合単量体と記す)を、80重量%未満の範囲内で含んでいてもよい。該共重合単量体は、特に限定されるものではなく、種々の化合物を用いることができる。
【0021】
上記の共重合単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびこれらの中和物や部分中和物等の、不飽和モノカルボン酸系単量体;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびこれらの中和物や部分中和物等の、不飽和ジカルボン酸系単量体;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、およびこれらの中和物や部分中和物等の、不飽和スルホン酸系単量体;
(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド系単量体;
N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド等のN−ビニルアミド系単量体;
(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、ポリエチレングリコールモノプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノプレノールエーテル、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、ポリエチレングリコールモノイソプレンアルコールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレンアルコールエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノアリルエーテル、ビニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のカチオン性単量体、およびこれらの四級化物;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;
(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体;等が挙げられる。また、上記の不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、および不飽和スルホン酸系単量体の中和物や部分中和物は、相当する化合物を、一価金属、二価金属、アンモニア、または有機アミンによって中和させることにより得られる。
【0022】
これら化合物は、一種類のみを(メタ)アクリル酸エステル系単量体と併用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。このうち、不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体、および、これらの混合物が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合性に優れており、かつ、安価であるため、特に好ましい。
【0023】
単量体成分が共重合単量体を含んでいる場合において、上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合単量体との比、つまり、単量体成分における(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、特に限定されるものではないが、20重量%以上がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合が20重量%未満である場合には、耐塩性に優れた架橋重合体を得られないおそれがある。
【0024】
単量体成分を重合させる際には、必要に応じて溶媒を用いることができる。上記の溶媒としては、単量体成分が溶解可能な液体、例えば、水;水と均一に混合する親水性の有機溶媒;が挙げられる。該有機溶媒としては、例えば、メチルアルコールやエチルアルコール等の、炭素数1〜4の低級アルコール;アセトン等の低級ケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記例示の溶媒のうち、水が特に好ましい。尚、二種類以上の溶媒を併用する場合の混合比率は、上記単量体成分の組成等を考慮に入れて適宜設定すればよい。また、逆相懸濁重合法(後述する)により重合を行う場合には、疎水性の有機溶媒を用いることができる。該疎水性の有機溶媒は、特に限定されるものではない。
【0025】
上記溶媒の使用量、即ち、溶媒中の単量体成分の濃度(以下、単に濃度と称する)は、特に限定されるものではないが、重合反応の制御の容易さ、反応収率、経済性等を考慮に入れて、20重量%以上、飽和濃度以下の範囲内となるように設定すればよい。該濃度が20重量%未満の場合には、溶媒の使用量が過多となり、反応収率が低下すると共に経済性に劣るおそれがある。濃度が飽和濃度を越える場合には、重合反応が不均一となると共に、重合反応の反応熱(重合熱)を除去することが困難となる。従って、重合反応の制御が困難となる。
【0026】
単量体成分を重合させる際には、通常、架橋剤を用いる。架橋剤を用いることにより、得られる架橋重合体の内部架橋密度を任意の値に制御することができるので、該架橋重合体の吸液倍率等の各種物性を調節することができる。上記の架橋剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等の、一分子中にエチレン系不飽和基を2個以上有する化合物;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物;
ジビニルベンゼン;等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0027】
上記架橋剤の使用量、即ち、単量体成分に対する架橋剤の割合は、例えば、単量体成分の組成や架橋剤の種類、架橋重合体に所望する物性(つまり、架橋密度)等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.001モル%〜5.0モル%の範囲内がより好ましい。架橋剤の割合が0.001モル%よりも少ない場合には、得られる架橋重合体の内部架橋密度が小さくなり過ぎ、該架橋重合体(つまり、吸水性樹脂)を含んでなる消火用ゲルの消火能力が低下するおそれがある。架橋剤の割合が5.0モル%よりも多い場合には、得られる架橋重合体の内部架橋密度が高くなり過ぎ、該消火用ゲルの消火能力が低下するおそれがある。尚、架橋剤として多価アルコールを用いる場合には、重合反応後、得られた反応生成物を150℃〜250℃で加熱処理することがより好ましい。また、架橋剤としてポリエポキシ化合物を用いる場合には、重合反応後、得られた反応生成物を50℃〜250℃で加熱処理することがより好ましい。
【0028】
上記の架橋重合体は、単量体成分を、例えば、ラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合法、放射線重合法、電子線重合法、紫外線重合法;或いは、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法;等の公知の重合方法を採用して重合することにより得られる。また、いわゆる注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法、或いは、双腕型ニーダーを反応器として用い、該ニーダーの剪断力により反応生成物を細分化しながら重合する重合法等を採用して重合することにより、架橋重合体を得ることもできる。さらに、重合は、攪拌しながら行ってもよく、静置した状態で行ってもよい。尚、単量体成分は、本発明にかかる潮解性物質の存在下で重合させることもできる。
【0029】
上記のラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等の水溶性アゾ化合物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等の有機系過酸化物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0030】
また、これらラジカル重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合わせることによりレドックス系開始剤とすることもできる。上記の還元剤としては、具体的には、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。尚、ラジカル重合開始剤を用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線等を反応系に照射してもよく、また、ラジカル重合開始剤とこれら放射線や電子線、紫外線等の照射とを併用してもよい。
【0031】
ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、単量体成分に対して0.001重量%〜10重量%の範囲内がより好ましく、0.01重量%〜1重量%の範囲内がさらに好ましい。また、レドックス系開始剤を用いる場合における還元剤の使用量は、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤に対して重量比で0.01〜5の範囲内がより好ましく、0.05〜2の範囲内がさらに好ましい。
【0032】
逆相懸濁重合法を採用する場合に、単量体成分の水溶液を疎水性の有機溶媒に分散させる分散剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル;エチルセルロース、セルロースアセテート等のセルロースエステル;セルロースエーテル、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等のカルボキシル基含有重合体;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら分散剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、逆相懸濁重合法を採用する場合に供される疎水性の有機溶媒は、特に限定されるものではない。
【0033】
反応温度は、単量体成分の組成や重合方法、或いは、該単量体成分、架橋剤、溶媒、およびラジカル重合開始剤等の種類や組み合わせ、使用量等にもよるが、反応が完結し、しかも、得られる架橋重合体の分子量が大きくなるように、比較的低温の方が好ましい。反応温度は、例えば、20℃〜100℃の範囲内が好適である。尚、反応時間は、特に限定されるものではなく、上記重合反応が完結するように、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0034】
重合反応により得られる反応生成物は、必要に応じて、乾燥機等を用いて乾燥すればよい。乾燥温度や乾燥条件等は、乾燥物、即ち、架橋重合体が熱によって劣化しないように設定すればよく、特に限定されるものではない。さらに、架橋重合体は、必要に応じて、ミートチョッパー等の破砕機や、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて破砕・粉砕し、粒子状にすることもできる。上記の製造方法により、架橋重合体が得られる。
【0035】
また、架橋重合体は、その物性や特性、例えば潮解性物質の水溶液の浸透性や分散性、吸液速度等を向上させるために、表面に種々の加工や修飾(モディファイ)等が施されていてもよい。即ち、架橋重合体は、例えば、該架橋重合体の表面近傍にさらに架橋構造を導入する表面処理等が施されていてもよい。上記の表面処理を施すことにより、架橋重合体、つまり、吸水性樹脂の初期吸液速度(吸液開始直後の吸液速度)がより一層速くなる。
【0036】
上記の表面処理を施す際に用いられる表面架橋剤としては、架橋重合体が有する官能基と反応可能な官能基を、一分子内に2個以上有する化合物が好適である。上記の表面架橋剤としては、具体的には、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン;グルタルアルデヒド、グリオキサール等の多価アルデヒド;(ポリ)塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の多価金属塩;前記例示の架橋剤;等が挙げられる。これら表面架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0037】
表面架橋剤の使用量は、特に限定されるものではないが、架橋重合体に対して0.005重量%〜5重量%の範囲内が好ましい。また、上記の表面処理を施す際の処理方法は、特に限定されるものではない。例えば、粒子状の架橋重合体に表面架橋剤をそのまま、或いは適当な溶媒に溶解させた溶液の状態で混合した後、必要に応じて加熱することにより表面処理を施してもよく、また、架橋重合体を疎水性の有機溶媒に分散させた後、該分散液に表面架橋剤を添加し、次いで、必要に応じて加熱することにより表面処理を施してもよい。上記の製造方法により、表面近傍にさらに架橋構造が導入された架橋重合体が得られる。該架橋重合体の吸液倍率は、塩化カルシウム(潮解性物質)飽和水溶液を吸収させた場合には5g/g以上であることがより好ましい。
【0038】
上記の方法により、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体、即ち、吸水性樹脂が得られる。尚、吸水性樹脂の製造方法は、上記例示の方法のみに限定されるものではない。また、吸水性樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0039】
上記の潮解性物質は、水溶性であり、かつ、同一温度において、空気中の水蒸気圧よりも、その飽和水溶液の水蒸気圧の方が小さい化合物であればよく、特に限定されるものではないが、無機塩が好適である。上記の無機塩としては、例えば、金属ハロゲン化物、金属(亜)硝酸塩等が挙げられる。これら無機塩は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0040】
金属ハロゲン化物としては、具体的には、例えば、カルシウムやマグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、スズ等のハロゲン化物、即ち、これら金属の塩化物、臭化物、およびヨウ化物が挙げられる。上記例示の金属ハロゲン化物のうち、無水塩化カルシウムが、水の蒸発を抑制する能力、即ち保水力により一層優れると共に安価であり、かつ、消火用ゲルの消火能力をより一層向上させることができるので、特に好ましい。尚、金属ハロゲン化物は、無水物であってもよく、また、水和物となっていてもよい。
【0041】
金属(亜)硝酸塩としては、具体的には、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム等が挙げられる。
【0042】
吸水性樹脂に対する潮解性物質の使用量は、吸水性樹脂の組成、潮解性物質の種類、並びにこれらの組み合わせ;或いは消火用ゲルの用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、吸水性樹脂に対して5重量%〜5,000重量%の範囲内がより好適である。潮解性物質の使用量が5重量%よりも少ない場合には、消火用ゲルの消火能力を長期間にわたって維持することができなくなるおそれがある。潮解性物質の使用量が5,000重量%よりも多い場合には、消火用ゲルが液状化するおそれがある。
【0043】
本発明にかかる消火用ゲルは、吸水性樹脂、潮解性物質および水の他に、必要に応じて、各種の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤は、例えば加工性の改良および品質性能の向上等のために、消火用ゲルに含まされる。上記の添加剤は、一般に吸水性樹脂に用いられている各種の添加剤を用いることができる。
【0044】
該添加剤としては、例えば、顔料や染料等の着色剤;活性炭やカーボンブラック、鉄フタロシアニン誘導体、植物性精油等を吸着させたゼオライト等を主体とする消臭剤または脱臭剤;芳香剤;香料;銀や銅、亜鉛等の金属等を主体とする抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤;脱酸素剤(酸化防止剤);発泡剤;水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;ロックウール、スラグウール、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、植物繊維、動物繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、等の繊維状物質;ひる石;炭化ケイ素、シリカ、アタパルジャイト、ゾノライト、セピオライト、ワラストナイト、珪藻土、バーミキュライト、パーライト、雲母、タルク、ベントナイト、石綿、発泡石綿等の無機微粒子;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら添加剤は、一種類のみを併用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。これら添加剤を添加することにより、消火用ゲルに種々の機能を付与することができる。
【0045】
そして、添加剤として着色剤を含む消火用ゲルは、その外観が綺麗になるので、装飾性に優れている。従って、該消火用ゲルは、例えば、灰皿用の消火材等として好適に用いられる。
【0046】
吸水性樹脂に対する添加剤の添加量は、吸水性樹脂の組成、潮解性物質の種類、添加剤の種類、並びにこれらの組み合わせ;或いは消火用ゲルの用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。また、添加剤の添加方法は、特に限定されるものではない。
【0047】
消火用ゲルの製造方法、つまり、吸水性樹脂、潮解性物質、水、および添加剤(但し、必要に応じて)の混合方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を採用することができる。具体的には、例えば、吸水性樹脂、潮解性物質、水、および添加剤を一度に全て混合する方法;吸水性樹脂と潮解性物質と水とを混合した後、添加剤を混合する方法;吸水性樹脂と潮解性物質と添加剤とを混合した後、水を混合する方法;吸水性樹脂と添加剤とを混合した後、潮解性物質の水溶液を混合する方法;吸水性樹脂に、予め調製した潮解性物質と添加剤と水との混合物を混合する方法;水に、予め調製した吸水性樹脂と潮解性物質と添加剤との混合物を混合する方法;潮解性物質の水溶液に、吸水性樹脂と添加剤とを投入する方法;等が挙げられる。要するに、消火用ゲルは、吸水性樹脂と潮解性物質と水とを含んでなり、該吸水性樹脂がゲル状となっていればよい。
【0048】
吸水性樹脂に対する水の使用量、つまり、消火用ゲルが含有すべき含水量(水分量)は、吸水性樹脂の組成、潮解性物質の種類、並びにこれらの組み合わせ;或いは消火用ゲルの用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、多ければ多い程、消火能力に優れる。
【0049】
消火用ゲルは、製造時に、吸水性樹脂が潮解性物質および水を含むことにより膨潤、ゲル化して、該潮解性物質および水を保持する。潮解性物質は空気中の水蒸気を吸水し、吸水性樹脂は水を保持する。従って、ゲル化した吸水性樹脂は、空気中の水蒸気圧と、吸水性樹脂中の水によって生じる水蒸気圧とが、或る一定のバランスを維持するように、空気中の水蒸気を吸水するか、若しくは、吸水性樹脂中の水を蒸発させる。つまり、消火用ゲルは、温度(気温)や相対湿度の変化によって、その含水量に若干の変動が生じるものの、安定した含水状態を長期間維持することができる。
【0050】
以上のように、本発明にかかる消火用ゲルは、吸水性樹脂、潮解性物質および水を含んでなる構成である。そして、吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上であることがより好ましい。また、吸水性樹脂は、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体であることがより好ましい。潮解性物質は、塩化カルシウムであることがより好ましい。
【0051】
潮解性物質は、水溶性であり、かつ、同一温度において、空気中の水蒸気圧よりも、その飽和水溶液の水蒸気圧の方が小さい。従って、潮解性物質は、水の蒸発を抑制する能力、即ち保水力に優れている。上記の構成によれば、消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいるので保水力に優れており、消火用ゲル中の水が時間の経過に伴って蒸発することはない。即ち、時間の経過に伴って消火用ゲルが徐々に乾燥することはなく、それゆえ、消火用ゲルの消火能力を長期間にわたって維持することができる。例えば火の点いた煙草を消火するには、該煙草の火を消火用ゲルに押し付けるだけでよい。消火用ゲルに含まれる水によって煙草の火を素早く消すことができる。
【0052】
また、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体は、耐塩性に優れている。このため、消火用ゲルを、例えば灰皿用の消火材等として用いた場合には、多数の煙草を消火しても、該煙草から溶出する各種塩類の作用によって消火用ゲルが液状化することはない。従って、使用後の消火用ゲルを簡単に廃棄することができる。
【0053】
これにより、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができ、しかも、使用後に簡単に廃棄することができる消火用ゲルを提供することができる。消火用ゲルは、消火能力を長期間にわたって維持することができるので、該消火用ゲルに火が燃え移ることはない。また、着色剤を含む消火用ゲルは、その外観が綺麗になるので、装飾性に優れている。従って、該消火用ゲルは、例えば、灰皿用の消火材等として好適に用いられる。また、本発明にかかる消火用ゲルは、例えば、ビル火災や森林火災等の一般火災の消火材としても好適に用いられる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示す。
【0055】
〔実施例1〕
先ず、吸水性樹脂を作成した。即ち、温度計を備え、内面が三フッ化エチレン樹脂でライニング処理された内容積10Lのジャケット付きニーダーを反応器とした。上記のジャケットには温水が通水されるようにした。この反応器に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9モル)2,247部、共重合単量体としてのメタクリル酸ナトリウムの43%水溶液2,448部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8モル)4.74部、および、溶媒としてのイオン交換水741部を仕込んだ。単量体成分に占めるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの割合は、68%であり、メタクリル酸ナトリウムの割合は32%であった。また、単量体成分に対するポリエチレングリコールジアクリレートの割合は、0.07モル%であった。
【0056】
次いで、反応器内を窒素置換した後、ニーダーのブレードを回転させて反応液を攪拌しながら、ジャケットに45℃の温水を通水して、反応液を45℃(反応開始温度)に昇温した。そして、該反応液に、ラジカル重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩10%水溶液59部を添加した。反応液を20秒間攪拌・混合して、重合を開始した後、攪拌を停止して反応液を静置した。単量体成分に対する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の割合は、0.15モル%であった。また、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を添加した時点での反応液中の単量体成分の濃度は、60%であった。
【0057】
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の添加後、直ちに重合反応が開始され、74分間経過後に、反応温度がピークに達して85℃となった。この間、ジャケットの温度は反応液の温度と等しくなるように上昇させた。続いて、ジャケットに80℃の温水を通水し、該反応液の温度を80℃に30分間保って、反応生成物である含水ゲル重合体を熟成した。熟成終了後、該含水ゲル重合体に、表面架橋剤としてのポリエチレングリコール(重量平均分子量(Mw)13,000)60%水溶液55部を添加した。次いで、ニーダーのブレードを回転数40rpmで10分間回転させて、含水ゲル重合体を解砕した。次いで、上記のニーダーを反転させて含水ゲル重合体を取り出した。
【0058】
このようにして解砕された、微細な粒径を有する含水ゲル重合体を、窒素気流型乾燥機に入れ、150℃で3時間かけて乾燥させた。次いで、乾燥物である架橋重合体をハンマーミルを用いて粉砕することにより、吸水性樹脂((メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体)を得た。
【0059】
塩化カルシウム飽和水溶液に対する該吸水性樹脂の吸液倍率を、以下に示す方法により測定した。即ち、吸水性樹脂約0.3gをティーバッグ式の袋に均一に入れ、25℃の塩化カルシウム飽和(濃度凡そ45%)水溶液100gに浸漬した。5時間浸漬した後に袋を引き上げ、一定時間水切りを行った後、袋の重量W1 (g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの重量W0 (g)を測定した。そして、これら重量W1 ・W0 から、次式、
吸液倍率(g/g)=(重量W1 (g)−重量W0 (g))/吸水性樹脂の重量(g)
に従って吸液倍率(g/g)を算出した。その結果、上記吸水性樹脂の吸液倍率は19.2g/gであった。
【0060】
次に、消火用ゲルを作成した。即ち、潮解性物質並びに水としての無水塩化カルシウム30%水溶液100部を100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌しながら、上記の吸水性樹脂7部を該水溶液に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置して、吸水性樹脂に該水溶液を含ませることにより膨潤、ゲル化させた。これにより、本発明にかかる消火用ゲルを得た。
【0061】
上記消火用ゲルの消火能力を、以下に示す方法により評価した。即ち、得られた消火用ゲル50gを、直径10cm、高さ2.5cmのガラス製灰皿内に均一に拡げた。次いで、該消火用ゲルに、火の点いた煙草を20本押し付けた。すると、消火用ゲルに含まれる水によって、煙草の火は素早く消えた。つまり、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0062】
また、上記消火能力の持続性を、以下に示す方法により評価した。即ち、得られた消火用ゲル50gを、上記の灰皿内に均一に拡げた後、7日間放置した。放置後の消火用ゲルを観察したところ、しっとりしており、外観上の変化は認められなかった。この消火用ゲルに、火の点いた煙草を20本押し付けたところ、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0063】
従って、得られた消火用ゲルは、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることがわかった。また、液状化した箇所が認められないことから、該消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができることがわかった。
【0064】
〔実施例2〕
実施例1における架橋剤としてのポリエチレングリコールジメタクリレートの使用量を、4.74部から28.44部に変更した以外は、実施例1と同様の反応および操作等を行うことにより、吸水性樹脂を得た。単量体成分に対するポリエチレングリコールジアクリレートの割合は、0.42モル%であった。また、該吸水性樹脂の吸液倍率は5.2g/gであった。
【0065】
次に、消火用ゲルを作成した。即ち、無水塩化カルシウム30%水溶液100部を100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌しながら、上記の吸水性樹脂25部を該水溶液に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置した。これにより、本発明にかかる消火用ゲルを得た。
【0066】
上記消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所が若干、認められたものの、全体的にはゲル状態を維持していた。
【0067】
また、上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、消火用ゲルに外観上の変化は認められず、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0068】
従って、得られた消火用ゲルは、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることがわかった。また、液状化した箇所が殆ど認められないことから、該消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができることがわかった。
【0069】
〔実施例3〕
実施例1と同様の反応および操作等を行うことにより、吸水性樹脂を得た。次に、消火用ゲルを作成した。即ち、無水塩化カルシウム30%水溶液100部と、着色剤としての青色1号0.01gとを100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌して均一に混合した。次いで、該水溶液を攪拌しながら、上記の吸水性樹脂7部を該水溶液に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置した。これにより、本発明にかかる、青色に着色された消火用ゲルを得た。該消火用ゲルは、その外観が綺麗であり、装飾性に優れていた。
【0070】
上記消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0071】
また、上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、消火用ゲルに外観上の変化は認められず、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0072】
従って、得られた消火用ゲルは、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることがわかった。また、液状化した箇所が認められないことから、該消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができることがわかった。
【0073】
〔比較例1〕
実施例1における無水塩化カルシウム30%水溶液100部の代わりに、イオン交換水100部を用いた以外は、実施例1と同様の反応および操作等を行うことにより、比較用の消火用ゲルを得た。従って、比較用の消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいない。
【0074】
上記比較用の消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。また、比較用の消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0075】
上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、比較用の消火用ゲルは、水が殆ど蒸発しており、パサパサしていた。つまり、外観上に大きな変化が認められた。また、比較用の消火用ゲルは、煙草を消火することができずに、焦げて煙が発生した。
【0076】
従って、比較用の消火用ゲルは、消火能力に優れているものの、該消火能力を長期間にわたって維持することができないことがわかった。
【0077】
〔比較例2〕
イオン交換水100部を100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌しながら、ポリアクリル酸ナトリウム系の吸水性樹脂(市販品)7部を該イオン交換水に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置した。これにより、比較用の消火用ゲルを得た。従って、比較用の消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいない。
【0078】
上記比較用の消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。しかしながら、比較用の消火用ゲルには、液状化した箇所が多数、認められた。
【0079】
上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、比較用の消火用ゲルは、水が殆ど蒸発しており、パサパサしていた。つまり、外観上に大きな変化が認められた。また、比較用の消火用ゲルは、煙草を消火することができずに、焦げて煙が発生した。
【0080】
従って、比較用の消火用ゲルは、消火能力に優れているものの、該消火能力を長期間にわたって維持することができないことがわかった。また、液状化した箇所が多数、認められたことから、該比較用の消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができないことがわかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の消火用ゲルは、以上のように、架橋(共)重合体からなる吸水性樹脂、潮解性物質および水を含む構成である。
【0082】
本発明の請求項2記載の消火用ゲルは、以上のように、潮解性物質が潮解性無機塩であり、かつ、前記吸収性樹脂に対して潮解性無機塩が5〜5,000重量%の範囲で含まれる構成である。
【0083】
本発明の請求項3記載の消火用ゲルは、以上のように、吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上である構成である。
【0084】
本発明の請求項4記載の消火用ゲルは、以上のように、吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなる構成である。
【0085】
本発明の請求項5記載の消火方法は、以上のように、本発明にかかる消火用ゲルを用いる構成である。
【0086】
これにより、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることができる消火用ゲルを提供することができるという効果を奏する。消火用ゲルは、消火能力を長期間にわたって維持することができるので、該消火用ゲルに火が燃え移ることはない。また、架橋重合体の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなる消火用ゲルは、架橋重合体、つまり、吸水性樹脂の初期吸液速度(吸液開始直後の吸液速度)がより一層速くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】架橋(共)重合体からなる吸水性樹脂、潮解性物質および水を含むことを特徴とする消火用ゲル。
【請求項2】前記潮解性物質が潮解性無機塩であり、かつ、前記吸収性樹脂に対して潮解性無機塩が5〜5,000重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1記載の消火用ゲル。
【請求項3】前記吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上であることを特徴とする請求項1または2記載の消火用ゲル。
【請求項4】前記吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなることを特徴とする請求項1、2または3記載の消火用ゲル。
【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の消火用ゲルを用いた消火方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消火用ゲルに関するものである。消火用ゲルは、例えば、灰皿用の消火材等として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、灰皿用の消火材として、吸水性樹脂に水を吸収させてなるゲルを用いることが種々提案されている。例えば、実開平2−39747号公報には、吸水性樹脂と消臭剤と香料とからなる灰皿用の消臭芳香剤が開示されている。また、例えば、実開平7−14898号公報には、色素(着色剤)等が混入された吸水性樹脂のゲルが入った灰皿が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の消火材であるゲルは、吸水性樹脂に水が単に吸収された構成となっているので、該吸水性樹脂に吸収された水(ゲル中の水)が時間の経過に伴って蒸発して徐々に減少してしまう。即ち、時間の経過に伴ってゲルが徐々に乾燥してしまうので、ゲルの消火能力が経時変化によって低下するという問題点を有している。また、ゲルが乾燥すると、煙草の火が吸水性樹脂に移って燃え上がる場合がある。つまり、上記従来のゲルは、該ゲルの乾燥を防止して消火能力を維持するための対策が何ら講じられていない。
【0004】
また、上記従来の消火材であるゲルを構成する吸水性樹脂は、耐塩性に劣っている。このため、多数の煙草を消火すると、該煙草から溶出する各種塩類の作用によってゲルが液状化してしまい、例えば、使用後の該ゲルをゴミ袋等に入れて廃棄する際に、ゴミ袋等から汚水(液状化したゲル)が漏洩して、周囲を汚染する場合がある。つまり、上記従来のゲルは、使用後に廃棄する際に、汚水が漏洩しないように注意する必要があり、その作業が煩わしいという問題点も有している。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができ、しかも、使用後に簡単に廃棄することができる消火用ゲルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、消火用ゲルについて鋭意検討した。その結果、吸水性樹脂と、例えば塩化カルシウム等の潮解性物質と、水とを含む消火用ゲルが、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることを見い出した。また、吸水性樹脂として、特定の構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体を用いることにより、使用後の消火用ゲルを簡単に廃棄することができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、架橋(共)重合体からなる吸水性樹脂、潮解性物質および水を含むことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、請求項1記載の消火用ゲルにおいて、潮解性物質が潮解性無機塩であり、かつ、前記吸収性樹脂に対して潮解性無機塩が5〜5,000重量%の範囲で含まれることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の消火用ゲルにおいて、吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上であることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明の消火用ゲルは、上記の課題を解決するために、請求項1、2または3記載の消火用ゲルにおいて、吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明の消火方法は、上記の課題を解決するために、請求項1、2、3または4記載の消火用ゲルを用いることを特徴としている。
【0012】
潮解性物質は、水溶性であり、かつ、同一温度において、空気中の水蒸気圧よりも、その飽和水溶液の水蒸気圧の方が小さい。従って、潮解性物質は、水の蒸発を抑制する能力、即ち保水力に優れている。上記の構成によれば、消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいるので保水力に優れており、消火用ゲル中の水が時間の経過に伴って蒸発することはない。即ち、時間の経過に伴って消火用ゲルが徐々に乾燥することはなく、それゆえ、消火用ゲルの消火能力を長期間にわたって維持することができる。例えば火の点いた煙草を消火するには、該煙草の火を消火用ゲルに押し付けるだけでよい。消火用ゲルに含まれる水によって煙草の火を素早く消すことができる。
【0013】
これにより、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができる消火用ゲルを提供することができる。消火用ゲルは、消火能力を長期間にわたって維持することができるので、該消火用ゲルに火が燃え移ることはない。また、架橋重合体の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなる消火用ゲルは、架橋重合体、つまり、吸水性樹脂の初期吸液速度(吸液開始直後の吸液速度)がより一層速くなる。また、本発明にかかる消火用ゲルは、例えば、ビル火災や森林火災等の一般火災の消火材としても好適に用いられる。
【0014】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明にかかる消火用ゲルは、吸水性樹脂、潮解性物質および水を含んでなる。
【0016】
上記の吸水性樹脂としては、公知の各種吸水性樹脂を採用することができ、特に限定されるものではないが、潮解性物質の存在下での吸液倍率に優れた吸水性樹脂がより好ましい。そして、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上である吸水性樹脂が特に好ましい。該吸液倍率が5g/g以上である吸水性樹脂は、消火能力に特に優れている。尚、上記吸液倍率の測定方法は、後段の実施例にて詳述する。
【0017】
このような吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸塩系架橋重合体、イソブチレン−マレイン酸架橋共重合体、澱粉−アクリル酸架橋グラフト重合体、ビニルアルコール−アクリル酸架橋共重合体、ビニルアルコール架橋重合体、ポリアルキレングリコール架橋重合体、澱粉−アクリロニトリル架橋共重合体、ビニルピロリドン架橋重合体、スルホン酸基含有架橋重合体、N−ビニルアミド系架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体、(メタ)アクリルアミド系架橋重合体等が挙げられる。上記例示の吸水性樹脂のうち、ビニルピロリドン架橋重合体、スルホン酸基含有架橋重合体、N−ビニルアミド系架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体、および、(メタ)アクリルアミド系架橋重合体がより好ましく、(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体がさらに好ましい。
【0018】
上記の(メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体は、一般式(1)
CH2 =CR−CO−(X)n −Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキシ基、または、炭素数1〜9のアルキル基を置換基として1個〜3個有するオキシアルキルフェニル基を表し、nは、平均で3〜100の正数を表す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体である。
【0019】
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、具体的には、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ベンジルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら化合物は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを用いる場合には、エチレンオキサイドの平均付加モル数は5モル〜50モルの範囲内がより好ましい。つまり、一般式(1)におけるXがオキシエチレン基であり、Rが水素原子またはメチル基であり、Yがメトキシ基である場合には、nは平均で5〜50の範囲内がより好ましい。
【0020】
上記の単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の他に、必要に応じて、該(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合する単量体(以下、共重合単量体と記す)を、80重量%未満の範囲内で含んでいてもよい。該共重合単量体は、特に限定されるものではなく、種々の化合物を用いることができる。
【0021】
上記の共重合単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびこれらの中和物や部分中和物等の、不飽和モノカルボン酸系単量体;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびこれらの中和物や部分中和物等の、不飽和ジカルボン酸系単量体;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、およびこれらの中和物や部分中和物等の、不飽和スルホン酸系単量体;
(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド系単量体;
N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド等のN−ビニルアミド系単量体;
(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、ポリエチレングリコールモノプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノプレノールエーテル、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、ポリエチレングリコールモノイソプレンアルコールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレンアルコールエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノアリルエーテル、ビニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のカチオン性単量体、およびこれらの四級化物;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;
(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体;等が挙げられる。また、上記の不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、および不飽和スルホン酸系単量体の中和物や部分中和物は、相当する化合物を、一価金属、二価金属、アンモニア、または有機アミンによって中和させることにより得られる。
【0022】
これら化合物は、一種類のみを(メタ)アクリル酸エステル系単量体と併用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。このうち、不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体、および、これらの混合物が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合性に優れており、かつ、安価であるため、特に好ましい。
【0023】
単量体成分が共重合単量体を含んでいる場合において、上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合単量体との比、つまり、単量体成分における(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、特に限定されるものではないが、20重量%以上がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合が20重量%未満である場合には、耐塩性に優れた架橋重合体を得られないおそれがある。
【0024】
単量体成分を重合させる際には、必要に応じて溶媒を用いることができる。上記の溶媒としては、単量体成分が溶解可能な液体、例えば、水;水と均一に混合する親水性の有機溶媒;が挙げられる。該有機溶媒としては、例えば、メチルアルコールやエチルアルコール等の、炭素数1〜4の低級アルコール;アセトン等の低級ケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記例示の溶媒のうち、水が特に好ましい。尚、二種類以上の溶媒を併用する場合の混合比率は、上記単量体成分の組成等を考慮に入れて適宜設定すればよい。また、逆相懸濁重合法(後述する)により重合を行う場合には、疎水性の有機溶媒を用いることができる。該疎水性の有機溶媒は、特に限定されるものではない。
【0025】
上記溶媒の使用量、即ち、溶媒中の単量体成分の濃度(以下、単に濃度と称する)は、特に限定されるものではないが、重合反応の制御の容易さ、反応収率、経済性等を考慮に入れて、20重量%以上、飽和濃度以下の範囲内となるように設定すればよい。該濃度が20重量%未満の場合には、溶媒の使用量が過多となり、反応収率が低下すると共に経済性に劣るおそれがある。濃度が飽和濃度を越える場合には、重合反応が不均一となると共に、重合反応の反応熱(重合熱)を除去することが困難となる。従って、重合反応の制御が困難となる。
【0026】
単量体成分を重合させる際には、通常、架橋剤を用いる。架橋剤を用いることにより、得られる架橋重合体の内部架橋密度を任意の値に制御することができるので、該架橋重合体の吸液倍率等の各種物性を調節することができる。上記の架橋剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等の、一分子中にエチレン系不飽和基を2個以上有する化合物;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物;
ジビニルベンゼン;等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0027】
上記架橋剤の使用量、即ち、単量体成分に対する架橋剤の割合は、例えば、単量体成分の組成や架橋剤の種類、架橋重合体に所望する物性(つまり、架橋密度)等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.001モル%〜5.0モル%の範囲内がより好ましい。架橋剤の割合が0.001モル%よりも少ない場合には、得られる架橋重合体の内部架橋密度が小さくなり過ぎ、該架橋重合体(つまり、吸水性樹脂)を含んでなる消火用ゲルの消火能力が低下するおそれがある。架橋剤の割合が5.0モル%よりも多い場合には、得られる架橋重合体の内部架橋密度が高くなり過ぎ、該消火用ゲルの消火能力が低下するおそれがある。尚、架橋剤として多価アルコールを用いる場合には、重合反応後、得られた反応生成物を150℃〜250℃で加熱処理することがより好ましい。また、架橋剤としてポリエポキシ化合物を用いる場合には、重合反応後、得られた反応生成物を50℃〜250℃で加熱処理することがより好ましい。
【0028】
上記の架橋重合体は、単量体成分を、例えば、ラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合法、放射線重合法、電子線重合法、紫外線重合法;或いは、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法;等の公知の重合方法を採用して重合することにより得られる。また、いわゆる注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法、或いは、双腕型ニーダーを反応器として用い、該ニーダーの剪断力により反応生成物を細分化しながら重合する重合法等を採用して重合することにより、架橋重合体を得ることもできる。さらに、重合は、攪拌しながら行ってもよく、静置した状態で行ってもよい。尚、単量体成分は、本発明にかかる潮解性物質の存在下で重合させることもできる。
【0029】
上記のラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等の水溶性アゾ化合物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等の有機系過酸化物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0030】
また、これらラジカル重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合わせることによりレドックス系開始剤とすることもできる。上記の還元剤としては、具体的には、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。尚、ラジカル重合開始剤を用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線等を反応系に照射してもよく、また、ラジカル重合開始剤とこれら放射線や電子線、紫外線等の照射とを併用してもよい。
【0031】
ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、単量体成分に対して0.001重量%〜10重量%の範囲内がより好ましく、0.01重量%〜1重量%の範囲内がさらに好ましい。また、レドックス系開始剤を用いる場合における還元剤の使用量は、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤に対して重量比で0.01〜5の範囲内がより好ましく、0.05〜2の範囲内がさらに好ましい。
【0032】
逆相懸濁重合法を採用する場合に、単量体成分の水溶液を疎水性の有機溶媒に分散させる分散剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル;エチルセルロース、セルロースアセテート等のセルロースエステル;セルロースエーテル、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等のカルボキシル基含有重合体;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら分散剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、逆相懸濁重合法を採用する場合に供される疎水性の有機溶媒は、特に限定されるものではない。
【0033】
反応温度は、単量体成分の組成や重合方法、或いは、該単量体成分、架橋剤、溶媒、およびラジカル重合開始剤等の種類や組み合わせ、使用量等にもよるが、反応が完結し、しかも、得られる架橋重合体の分子量が大きくなるように、比較的低温の方が好ましい。反応温度は、例えば、20℃〜100℃の範囲内が好適である。尚、反応時間は、特に限定されるものではなく、上記重合反応が完結するように、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0034】
重合反応により得られる反応生成物は、必要に応じて、乾燥機等を用いて乾燥すればよい。乾燥温度や乾燥条件等は、乾燥物、即ち、架橋重合体が熱によって劣化しないように設定すればよく、特に限定されるものではない。さらに、架橋重合体は、必要に応じて、ミートチョッパー等の破砕機や、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて破砕・粉砕し、粒子状にすることもできる。上記の製造方法により、架橋重合体が得られる。
【0035】
また、架橋重合体は、その物性や特性、例えば潮解性物質の水溶液の浸透性や分散性、吸液速度等を向上させるために、表面に種々の加工や修飾(モディファイ)等が施されていてもよい。即ち、架橋重合体は、例えば、該架橋重合体の表面近傍にさらに架橋構造を導入する表面処理等が施されていてもよい。上記の表面処理を施すことにより、架橋重合体、つまり、吸水性樹脂の初期吸液速度(吸液開始直後の吸液速度)がより一層速くなる。
【0036】
上記の表面処理を施す際に用いられる表面架橋剤としては、架橋重合体が有する官能基と反応可能な官能基を、一分子内に2個以上有する化合物が好適である。上記の表面架橋剤としては、具体的には、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン;グルタルアルデヒド、グリオキサール等の多価アルデヒド;(ポリ)塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の多価金属塩;前記例示の架橋剤;等が挙げられる。これら表面架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0037】
表面架橋剤の使用量は、特に限定されるものではないが、架橋重合体に対して0.005重量%〜5重量%の範囲内が好ましい。また、上記の表面処理を施す際の処理方法は、特に限定されるものではない。例えば、粒子状の架橋重合体に表面架橋剤をそのまま、或いは適当な溶媒に溶解させた溶液の状態で混合した後、必要に応じて加熱することにより表面処理を施してもよく、また、架橋重合体を疎水性の有機溶媒に分散させた後、該分散液に表面架橋剤を添加し、次いで、必要に応じて加熱することにより表面処理を施してもよい。上記の製造方法により、表面近傍にさらに架橋構造が導入された架橋重合体が得られる。該架橋重合体の吸液倍率は、塩化カルシウム(潮解性物質)飽和水溶液を吸収させた場合には5g/g以上であることがより好ましい。
【0038】
上記の方法により、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体、即ち、吸水性樹脂が得られる。尚、吸水性樹脂の製造方法は、上記例示の方法のみに限定されるものではない。また、吸水性樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0039】
上記の潮解性物質は、水溶性であり、かつ、同一温度において、空気中の水蒸気圧よりも、その飽和水溶液の水蒸気圧の方が小さい化合物であればよく、特に限定されるものではないが、無機塩が好適である。上記の無機塩としては、例えば、金属ハロゲン化物、金属(亜)硝酸塩等が挙げられる。これら無機塩は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0040】
金属ハロゲン化物としては、具体的には、例えば、カルシウムやマグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、スズ等のハロゲン化物、即ち、これら金属の塩化物、臭化物、およびヨウ化物が挙げられる。上記例示の金属ハロゲン化物のうち、無水塩化カルシウムが、水の蒸発を抑制する能力、即ち保水力により一層優れると共に安価であり、かつ、消火用ゲルの消火能力をより一層向上させることができるので、特に好ましい。尚、金属ハロゲン化物は、無水物であってもよく、また、水和物となっていてもよい。
【0041】
金属(亜)硝酸塩としては、具体的には、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム等が挙げられる。
【0042】
吸水性樹脂に対する潮解性物質の使用量は、吸水性樹脂の組成、潮解性物質の種類、並びにこれらの組み合わせ;或いは消火用ゲルの用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、吸水性樹脂に対して5重量%〜5,000重量%の範囲内がより好適である。潮解性物質の使用量が5重量%よりも少ない場合には、消火用ゲルの消火能力を長期間にわたって維持することができなくなるおそれがある。潮解性物質の使用量が5,000重量%よりも多い場合には、消火用ゲルが液状化するおそれがある。
【0043】
本発明にかかる消火用ゲルは、吸水性樹脂、潮解性物質および水の他に、必要に応じて、各種の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤は、例えば加工性の改良および品質性能の向上等のために、消火用ゲルに含まされる。上記の添加剤は、一般に吸水性樹脂に用いられている各種の添加剤を用いることができる。
【0044】
該添加剤としては、例えば、顔料や染料等の着色剤;活性炭やカーボンブラック、鉄フタロシアニン誘導体、植物性精油等を吸着させたゼオライト等を主体とする消臭剤または脱臭剤;芳香剤;香料;銀や銅、亜鉛等の金属等を主体とする抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤;脱酸素剤(酸化防止剤);発泡剤;水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;ロックウール、スラグウール、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、植物繊維、動物繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、等の繊維状物質;ひる石;炭化ケイ素、シリカ、アタパルジャイト、ゾノライト、セピオライト、ワラストナイト、珪藻土、バーミキュライト、パーライト、雲母、タルク、ベントナイト、石綿、発泡石綿等の無機微粒子;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら添加剤は、一種類のみを併用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。これら添加剤を添加することにより、消火用ゲルに種々の機能を付与することができる。
【0045】
そして、添加剤として着色剤を含む消火用ゲルは、その外観が綺麗になるので、装飾性に優れている。従って、該消火用ゲルは、例えば、灰皿用の消火材等として好適に用いられる。
【0046】
吸水性樹脂に対する添加剤の添加量は、吸水性樹脂の組成、潮解性物質の種類、添加剤の種類、並びにこれらの組み合わせ;或いは消火用ゲルの用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。また、添加剤の添加方法は、特に限定されるものではない。
【0047】
消火用ゲルの製造方法、つまり、吸水性樹脂、潮解性物質、水、および添加剤(但し、必要に応じて)の混合方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を採用することができる。具体的には、例えば、吸水性樹脂、潮解性物質、水、および添加剤を一度に全て混合する方法;吸水性樹脂と潮解性物質と水とを混合した後、添加剤を混合する方法;吸水性樹脂と潮解性物質と添加剤とを混合した後、水を混合する方法;吸水性樹脂と添加剤とを混合した後、潮解性物質の水溶液を混合する方法;吸水性樹脂に、予め調製した潮解性物質と添加剤と水との混合物を混合する方法;水に、予め調製した吸水性樹脂と潮解性物質と添加剤との混合物を混合する方法;潮解性物質の水溶液に、吸水性樹脂と添加剤とを投入する方法;等が挙げられる。要するに、消火用ゲルは、吸水性樹脂と潮解性物質と水とを含んでなり、該吸水性樹脂がゲル状となっていればよい。
【0048】
吸水性樹脂に対する水の使用量、つまり、消火用ゲルが含有すべき含水量(水分量)は、吸水性樹脂の組成、潮解性物質の種類、並びにこれらの組み合わせ;或いは消火用ゲルの用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、多ければ多い程、消火能力に優れる。
【0049】
消火用ゲルは、製造時に、吸水性樹脂が潮解性物質および水を含むことにより膨潤、ゲル化して、該潮解性物質および水を保持する。潮解性物質は空気中の水蒸気を吸水し、吸水性樹脂は水を保持する。従って、ゲル化した吸水性樹脂は、空気中の水蒸気圧と、吸水性樹脂中の水によって生じる水蒸気圧とが、或る一定のバランスを維持するように、空気中の水蒸気を吸水するか、若しくは、吸水性樹脂中の水を蒸発させる。つまり、消火用ゲルは、温度(気温)や相対湿度の変化によって、その含水量に若干の変動が生じるものの、安定した含水状態を長期間維持することができる。
【0050】
以上のように、本発明にかかる消火用ゲルは、吸水性樹脂、潮解性物質および水を含んでなる構成である。そして、吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上であることがより好ましい。また、吸水性樹脂は、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体であることがより好ましい。潮解性物質は、塩化カルシウムであることがより好ましい。
【0051】
潮解性物質は、水溶性であり、かつ、同一温度において、空気中の水蒸気圧よりも、その飽和水溶液の水蒸気圧の方が小さい。従って、潮解性物質は、水の蒸発を抑制する能力、即ち保水力に優れている。上記の構成によれば、消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいるので保水力に優れており、消火用ゲル中の水が時間の経過に伴って蒸発することはない。即ち、時間の経過に伴って消火用ゲルが徐々に乾燥することはなく、それゆえ、消火用ゲルの消火能力を長期間にわたって維持することができる。例えば火の点いた煙草を消火するには、該煙草の火を消火用ゲルに押し付けるだけでよい。消火用ゲルに含まれる水によって煙草の火を素早く消すことができる。
【0052】
また、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体は、耐塩性に優れている。このため、消火用ゲルを、例えば灰皿用の消火材等として用いた場合には、多数の煙草を消火しても、該煙草から溶出する各種塩類の作用によって消火用ゲルが液状化することはない。従って、使用後の消火用ゲルを簡単に廃棄することができる。
【0053】
これにより、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができ、しかも、使用後に簡単に廃棄することができる消火用ゲルを提供することができる。消火用ゲルは、消火能力を長期間にわたって維持することができるので、該消火用ゲルに火が燃え移ることはない。また、着色剤を含む消火用ゲルは、その外観が綺麗になるので、装飾性に優れている。従って、該消火用ゲルは、例えば、灰皿用の消火材等として好適に用いられる。また、本発明にかかる消火用ゲルは、例えば、ビル火災や森林火災等の一般火災の消火材としても好適に用いられる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示す。
【0055】
〔実施例1〕
先ず、吸水性樹脂を作成した。即ち、温度計を備え、内面が三フッ化エチレン樹脂でライニング処理された内容積10Lのジャケット付きニーダーを反応器とした。上記のジャケットには温水が通水されるようにした。この反応器に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9モル)2,247部、共重合単量体としてのメタクリル酸ナトリウムの43%水溶液2,448部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8モル)4.74部、および、溶媒としてのイオン交換水741部を仕込んだ。単量体成分に占めるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの割合は、68%であり、メタクリル酸ナトリウムの割合は32%であった。また、単量体成分に対するポリエチレングリコールジアクリレートの割合は、0.07モル%であった。
【0056】
次いで、反応器内を窒素置換した後、ニーダーのブレードを回転させて反応液を攪拌しながら、ジャケットに45℃の温水を通水して、反応液を45℃(反応開始温度)に昇温した。そして、該反応液に、ラジカル重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩10%水溶液59部を添加した。反応液を20秒間攪拌・混合して、重合を開始した後、攪拌を停止して反応液を静置した。単量体成分に対する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の割合は、0.15モル%であった。また、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を添加した時点での反応液中の単量体成分の濃度は、60%であった。
【0057】
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の添加後、直ちに重合反応が開始され、74分間経過後に、反応温度がピークに達して85℃となった。この間、ジャケットの温度は反応液の温度と等しくなるように上昇させた。続いて、ジャケットに80℃の温水を通水し、該反応液の温度を80℃に30分間保って、反応生成物である含水ゲル重合体を熟成した。熟成終了後、該含水ゲル重合体に、表面架橋剤としてのポリエチレングリコール(重量平均分子量(Mw)13,000)60%水溶液55部を添加した。次いで、ニーダーのブレードを回転数40rpmで10分間回転させて、含水ゲル重合体を解砕した。次いで、上記のニーダーを反転させて含水ゲル重合体を取り出した。
【0058】
このようにして解砕された、微細な粒径を有する含水ゲル重合体を、窒素気流型乾燥機に入れ、150℃で3時間かけて乾燥させた。次いで、乾燥物である架橋重合体をハンマーミルを用いて粉砕することにより、吸水性樹脂((メタ)アクリル酸エステル系架橋重合体)を得た。
【0059】
塩化カルシウム飽和水溶液に対する該吸水性樹脂の吸液倍率を、以下に示す方法により測定した。即ち、吸水性樹脂約0.3gをティーバッグ式の袋に均一に入れ、25℃の塩化カルシウム飽和(濃度凡そ45%)水溶液100gに浸漬した。5時間浸漬した後に袋を引き上げ、一定時間水切りを行った後、袋の重量W1 (g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの重量W0 (g)を測定した。そして、これら重量W1 ・W0 から、次式、
吸液倍率(g/g)=(重量W1 (g)−重量W0 (g))/吸水性樹脂の重量(g)
に従って吸液倍率(g/g)を算出した。その結果、上記吸水性樹脂の吸液倍率は19.2g/gであった。
【0060】
次に、消火用ゲルを作成した。即ち、潮解性物質並びに水としての無水塩化カルシウム30%水溶液100部を100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌しながら、上記の吸水性樹脂7部を該水溶液に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置して、吸水性樹脂に該水溶液を含ませることにより膨潤、ゲル化させた。これにより、本発明にかかる消火用ゲルを得た。
【0061】
上記消火用ゲルの消火能力を、以下に示す方法により評価した。即ち、得られた消火用ゲル50gを、直径10cm、高さ2.5cmのガラス製灰皿内に均一に拡げた。次いで、該消火用ゲルに、火の点いた煙草を20本押し付けた。すると、消火用ゲルに含まれる水によって、煙草の火は素早く消えた。つまり、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0062】
また、上記消火能力の持続性を、以下に示す方法により評価した。即ち、得られた消火用ゲル50gを、上記の灰皿内に均一に拡げた後、7日間放置した。放置後の消火用ゲルを観察したところ、しっとりしており、外観上の変化は認められなかった。この消火用ゲルに、火の点いた煙草を20本押し付けたところ、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0063】
従って、得られた消火用ゲルは、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることがわかった。また、液状化した箇所が認められないことから、該消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができることがわかった。
【0064】
〔実施例2〕
実施例1における架橋剤としてのポリエチレングリコールジメタクリレートの使用量を、4.74部から28.44部に変更した以外は、実施例1と同様の反応および操作等を行うことにより、吸水性樹脂を得た。単量体成分に対するポリエチレングリコールジアクリレートの割合は、0.42モル%であった。また、該吸水性樹脂の吸液倍率は5.2g/gであった。
【0065】
次に、消火用ゲルを作成した。即ち、無水塩化カルシウム30%水溶液100部を100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌しながら、上記の吸水性樹脂25部を該水溶液に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置した。これにより、本発明にかかる消火用ゲルを得た。
【0066】
上記消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所が若干、認められたものの、全体的にはゲル状態を維持していた。
【0067】
また、上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、消火用ゲルに外観上の変化は認められず、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0068】
従って、得られた消火用ゲルは、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることがわかった。また、液状化した箇所が殆ど認められないことから、該消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができることがわかった。
【0069】
〔実施例3〕
実施例1と同様の反応および操作等を行うことにより、吸水性樹脂を得た。次に、消火用ゲルを作成した。即ち、無水塩化カルシウム30%水溶液100部と、着色剤としての青色1号0.01gとを100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌して均一に混合した。次いで、該水溶液を攪拌しながら、上記の吸水性樹脂7部を該水溶液に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置した。これにより、本発明にかかる、青色に着色された消火用ゲルを得た。該消火用ゲルは、その外観が綺麗であり、装飾性に優れていた。
【0070】
上記消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0071】
また、上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、消火用ゲルに外観上の変化は認められず、全ての煙草を素早く消火することができた。また、消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0072】
従って、得られた消火用ゲルは、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることがわかった。また、液状化した箇所が認められないことから、該消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができることがわかった。
【0073】
〔比較例1〕
実施例1における無水塩化カルシウム30%水溶液100部の代わりに、イオン交換水100部を用いた以外は、実施例1と同様の反応および操作等を行うことにより、比較用の消火用ゲルを得た。従って、比較用の消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいない。
【0074】
上記比較用の消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。また、比較用の消火用ゲルに液状化した箇所は認められなかった。
【0075】
上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、比較用の消火用ゲルは、水が殆ど蒸発しており、パサパサしていた。つまり、外観上に大きな変化が認められた。また、比較用の消火用ゲルは、煙草を消火することができずに、焦げて煙が発生した。
【0076】
従って、比較用の消火用ゲルは、消火能力に優れているものの、該消火能力を長期間にわたって維持することができないことがわかった。
【0077】
〔比較例2〕
イオン交換水100部を100mlビーカーに入れ、マグネチック・スターラーで攪拌しながら、ポリアクリル酸ナトリウム系の吸水性樹脂(市販品)7部を該イオン交換水に投入した。投入した後、攪拌を停止して混合物を1時間静置した。これにより、比較用の消火用ゲルを得た。従って、比較用の消火用ゲルは、潮解性物質を含んでいない。
【0078】
上記比較用の消火用ゲルの消火能力を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、全ての煙草を素早く消火することができた。しかしながら、比較用の消火用ゲルには、液状化した箇所が多数、認められた。
【0079】
上記消火能力の持続性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果、比較用の消火用ゲルは、水が殆ど蒸発しており、パサパサしていた。つまり、外観上に大きな変化が認められた。また、比較用の消火用ゲルは、煙草を消火することができずに、焦げて煙が発生した。
【0080】
従って、比較用の消火用ゲルは、消火能力に優れているものの、該消火能力を長期間にわたって維持することができないことがわかった。また、液状化した箇所が多数、認められたことから、該比較用の消火用ゲルは、使用後に簡単に廃棄することができないことがわかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の消火用ゲルは、以上のように、架橋(共)重合体からなる吸水性樹脂、潮解性物質および水を含む構成である。
【0082】
本発明の請求項2記載の消火用ゲルは、以上のように、潮解性物質が潮解性無機塩であり、かつ、前記吸収性樹脂に対して潮解性無機塩が5〜5,000重量%の範囲で含まれる構成である。
【0083】
本発明の請求項3記載の消火用ゲルは、以上のように、吸水性樹脂は、塩化カルシウム飽和水溶液に対する吸液倍率が、5g/g以上である構成である。
【0084】
本発明の請求項4記載の消火用ゲルは、以上のように、吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなる構成である。
【0085】
本発明の請求項5記載の消火方法は、以上のように、本発明にかかる消火用ゲルを用いる構成である。
【0086】
これにより、消火能力に優れると共に、該消火能力を長期間にわたって維持することができることができる消火用ゲルを提供することができるという効果を奏する。消火用ゲルは、消火能力を長期間にわたって維持することができるので、該消火用ゲルに火が燃え移ることはない。また、架橋重合体の表面近傍に架橋構造を導入する表面処理が施されてなる消火用ゲルは、架橋重合体、つまり、吸水性樹脂の初期吸液速度(吸液開始直後の吸液速度)がより一層速くなる。
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