JPH10195601A - 耐摩耗性・耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法 - Google Patents

耐摩耗性・耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法

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JPH10195601A
JPH10195601A JP35060096A JP35060096A JPH10195601A JP H10195601 A JPH10195601 A JP H10195601A JP 35060096 A JP35060096 A JP 35060096A JP 35060096 A JP35060096 A JP 35060096A JP H10195601 A JPH10195601 A JP H10195601A
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rail
head
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resistance
steel rail
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JP35060096A
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Masaharu Ueda
正治 上田
Koichi Uchino
耕一 内野
Kouji Babazono
浩二 馬場園
Rei Kobayashi
玲 小林
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重荷重鉄道用レールの耐摩耗性・耐内部疲労
損傷性を向上させる。 【解決手段】 重量%でC:0.70〜0.85%、S
i:0.60超〜1.00%、Mn:0.20〜1.5
0%、Cr:0.50超〜1.00%、V:0.01〜
0.20%を含有し、さらに、必要に応じてMo:0.
01〜0.20%、Nb:0.002〜0.050%、
Co:0.10〜2.00%、B:0.0005〜0.
0050%の1種または2種以上を含有し、残部が鉄お
よび不可避的不純物からなる鋼レールであって、該鋼レ
ールの頭部コーナー部および頭頂部の表面を起点として
少なくとも深さ20mmの範囲がHv370以上のパーラ
イト組織を呈し、さらに前記範囲における硬さの差の最
大値がHv40以下であることを特徴とする耐摩耗性・
耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レールである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重荷重鉄道用のレール
に要求される耐摩耗性、耐内部疲労損傷性を大きく向上
させたパーライト系レールおよびその製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鉄道輸送の高効率化の手段として、列車
速度の向上や列車積載重量の増加が図られている。この
ような鉄道輸送の効率化はレール使用環境の過酷化を意
味し、レール材質の一層の改善が要求されるに至ってい
る。具体的には、海外の重荷重鉄道の曲線区間に敷設さ
れたレールでは摩耗が急激に増加し、レールの摩耗寿命
の点で問題視されるようになった。
【0003】しかしながら、最近の高強度化熱処理技術
の進歩により、共析炭素鋼を用いた微細パーライト組織
を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レールが開
発され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛躍的に
改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または、微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報参照)。 圧延終了後あるいは再加熱したレール頭部を、オース
テナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃/sec
で加速冷却する130kgf/mm2 以上の高強度レールの製
造法(特公昭63−23244号公報参照)。 これらのレールの特徴は、共析炭素含有鋼による高強度
レールであり、その目的とするところは高硬度(強度)
化により耐摩耗性を向上させるところにあった。
【0004】しかし、近年の海外重荷重鉄道ではより一
層の鉄道輸送の効率化のために、貨物の高積載化を強力
に進めており、特に急曲線区間では、上記開発のレール
を用いても十分な耐摩耗性が確保できず、さらに、レー
ル頭部内部からの疲労き裂の発生が顕在化し、レール使
用寿命の低下が大きな問題となってきた。このような背
景から、現状の高強度レール以上の耐摩耗性、耐内部疲
労損傷性を有するレールの開発が求められるようになっ
てきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 耐摩耗性の向上 現行レールの耐摩耗性を向上には、一般的にはパーライ
ト組織のラメラ間隔を微細化し、レール頭表部の硬さを
向上させる方法が有効である。しかし、レール頭表部の
硬さの向上を狙って熱処理冷却速度や合金添加量を過度
に増加させると、レール頭表部にベイナイトやマルテン
サイトなどの異常組織が生成し、耐摩耗性や靭性が大き
く低下するといった問題点があった。また、もう一つの
解決策として、パーライト組織より耐摩耗性の高い組織
の金属材料をレール鋼として使用する方法が考えられる
が、レールと車輪のようなころがり摩耗の環境において
は、微細パーライト組織よりも安価で耐摩耗性に優れた
材料は見いだされていないのが現状である。
【0006】耐内部疲労損傷性の向上 現行レールの耐内部疲労損傷性の向上には、疲労き裂の
発生を防止するためレール頭部内部の硬さを向上させる
方法が有効である。しかし、レール頭部内部の硬さの向
上を狙って熱処理冷却速度や合金添加量を過度に増加さ
せると、内部硬度の向上は図れるものの、レール頭表部
にベイナイトやマルテンサイトなどの異常組織が生成
し、耐摩耗性や靭性が大きく低下するといった問題点が
あった。また、熱処理冷却方法の選択により、レール頭
表部の異常組織の生成を防止し、頭部内部の硬さを向上
させる方法もあるが、レール頭表部と頭部内部の冷却速
度の制御が難しく、頭部内部において適正な硬度分布が
得られないのが現状である。
【0007】そこで、本発明者らは適正な合金選択およ
び添加量を制御することにより、レール頭表部において
ベイナイトやマルテンサイト等の異常組織の生成を防止
し、冷却速度が異なるレール頭表部から頭部内部におい
て、高硬度のパーライト組織を安定的に生成させ、耐摩
耗性、耐内部疲労損傷性を同時に向上させるレールおよ
びその製造法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】まず、図1で本発明の耐
摩耗性、耐内部疲労損傷性に優れたレールの頭部断面表
面位置の呼称を示す。レール頭部においてaは頭頂部、
bは頭部コーナー部であり、頭部コーナー部2の一方は
車輪と主に接触するゲージコーナー(G.C.)部であ
る。ここで説明しているレール頭表部とは、図1に示す
ように、主に耐摩耗性の必要なレール頭頂部aおよび頭
部コーナー部bの該頭部表面から10mm程度の領域を指
すものであり、レール頭部内部とは主に耐内部疲労損傷
性が必要な上記範囲よりさらに深い10〜20mm程度の
領域を示すものである。
【0009】本発明者らは耐摩耗性の向上を図るため、
レール頭表部の硬度を向上させる合金元素ついて実験室
的に検討した。実レールを用いた冷却実験を行った結
果、レール頭表部では、パーライトの平行変態点を上
昇させ、変態時の過冷度を大きくするCr、パーライ
トの平行変態点を上昇させ、さらに、パーライト組織中
のフェライト相に固溶するSiを添加することにより硬
度の向上が可能であることがわかった。また、異常組織
の生成を防止し、硬度の高いパーライト組織を安定的に
生成させるには、これらの添加量に一定の上限があるこ
とも確認した。
【0010】次に、本発明者らは耐内部疲労損傷性の向
上を図るため、レール頭部内部の硬度を向上させる合金
元素ついて実験室的に検討した。実レールを用いた冷却
実験を行った結果、レール頭表部と比較して冷却速度の
遅いレール頭部内部では、上記のCr、Siの添加だけ
では硬度の上昇が小さいことがわかった。そこで、これ
を補う添加元素の検討を行った。その結果、冷却速度の
遅いレール頭部内部では、Vを添加することによりVの
炭・窒化物が析出しやすく、レール頭部内部の硬度が大
幅に向上することが確認された。
【0011】以上の実験結果から、本発明者らはCr、
Siの添加に加えてVを添加することにより、レール頭
表部の硬度の向上に加えて、同時に、レール頭部内部に
おいても硬度の向上を可能とし、耐摩耗性、耐内部疲労
損傷性を同時に向上させることができることを知見し
た。
【0012】これに加えて、本発明者らは、上記のC
r、Si、Vの合金が添加された鋼レールの高強度化の
ための熱処理条件について実験室的に検討した。その結
果、レール頭表部においてマルテンサイトやベイナイト
などの異常組織を生成させず、高硬度のパーライト組織
を安定的に生成させ、同時に、レール頭部内部において
Vの炭・窒化物を形成させ、硬度の向上を図るには、レ
ール頭表部の冷却速度に一定の範囲が存在することを知
見した。
【0013】本発明は上記知見に基づくものであって、
その要旨とするところは、重量%で、 C :0.70〜0.85%、 Si:0.60超
〜1.00%、 Mn:0.20〜1.50%、 Cr:0.50超
〜1.00%、 V :0.01〜0.20%を含有し、さらに、必要に
応じて Mo:0.01〜0.20%、 Nb:0.002
〜0.050%、 Co:0.10〜2.00% B :0.000
5〜0.0050%の1種または2種以上を含有し、残
部が鉄および不可避的不純物からなる鋼レールであっ
て、該鋼レールの頭部コーナー部および頭頂部の表面を
起点として少なくとも深さ20mmの範囲がHv370以
上のパーライト組織を呈し、さらに前記範囲における硬
さの差の最大値がHv40以下であることを特徴とする
耐摩耗性・耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レー
ル、及び上記成分の鋼を熱間圧延した高温度の熱を保有
する鋼レール、あるいは熱処理する目的で高温に加熱さ
れた鋼レールの頭部において、頭表部をオーステナイト
域温度から1〜5℃/secの冷却速度で加速冷却し、該
鋼レール頭表部の温度が650〜450℃達した時点で
加速冷却を停止し、その後放冷する工程からなり、該鋼
レールの頭部コーナー部および頭頂部の表面を起点とし
て少なくとも深さ20mmの範囲がHv370以上のパー
ライト組織を呈し、さらに前記範囲における硬さの差の
最大値がHv40以下であることを特徴とする耐摩耗性
・耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レールの製造
法である。
【0014】本発明は重荷重鉄道のレールに要求される
耐摩耗性、耐内部疲労損傷性を同時に向上させたレール
を低コストで提供できる。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず本発明の化学成分、パーライト組織の硬さおよびその
範囲を限定した理由について詳細に説明する。
【0016】(1)化学成分 まず、本発明においてレールの化学成分を上記のように
限定した理由について説明する。
【0017】Cはパーライト変態を促進させ、かつ、耐
摩耗性を確保する有効な元素である。しかし、C量が
0.70%以下では、レール頭部の硬さを確保すること
が困難となり、さらに、パーライト変態が安定せず、レ
ール頭部内部に疲労損傷の起点となる粒界フェライトが
生成し易くなる。また、C量が0.85%を超えると、
レールの延性が大きく低下するため、C量を0.70〜
0.85%に限定した。Siはパーライトの平衡変態点
を上昇させ、さらに、パーライト組織中のフェライト相
への固溶体硬化により硬さ(強度)を向上させる元素で
あるが、0.60%以下では、レール頭表部の硬さを向
上させることが困難となり、また、1.00%を超える
とレールの脆化をもたらし溶接性も大きく低下するた
め、Si量を0.60超〜1.00%に限定した。
【0018】Mnはパーライト変態温度を低下させ、焼
き入れ性を高めることによって高硬度(強度)化に寄与
する元素であるが、0.20%未満では、レール頭部の
硬さ(強度)を確保することが困難となり、また、1.
50%を超えると偏析部にレールの靭性に有害なマルテ
ンサイト組織が生成しやすくなるため、Mn量を0.2
0〜1.50%に限定した。
【0019】Crはパーライトの平衡変態点を上昇さ
せ、変態時の過冷度を大きくし、パーライト組織を微細
にして高硬度(強度)化に寄与すると同時に、パーライ
ト組織中のセメンタイト相を強化することによって耐摩
耗性を向上させる元素であるが、0.50%以下では、
レール頭表部の硬さを向上させることが困難となり、
1.00%を超える過剰な添加はマルテンサイト組織を
生成させ、レールの靭性を低下させるため、Cr添加量
を0.50超〜1.00%に限定した。
【0020】Vはレール頭部の熱処理において、頭部内
部の緩冷却速度域で炭窒化物を形成しやすく、析出硬化
により硬度(強度)を高める元素であるが、0.01%
未満ではその効果が十分に期待できず、0.20%を超
えて添加してもそれ以上の効果が期待できないことか
ら、V添加量を0.01〜0.20%に限定した。
【0021】また、上記の成分組成で製造されるレール
は強度、延性、靭性を向上させる目的で以下の元素を必
要に応じて1種類または2種以上を添加する。
【0022】 Mo:0.01〜0.20%、 Nb:0.002
〜0.050% Co:0.10〜2.00% B :0.000
5〜0.0050% 次に、これらの化学成分の上記のように定めた理由は以
下の通りである。MoはCr同様パーライトの平衡変態
点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にする
ことにより高硬度(強度)化に寄与し、レール頭部の耐
摩耗性を向上させる元素であるが、0.01%未満では
その効果が小さく、0.20%を超える過剰な添加は、
パーライトの変態速度を低下させ、靭性に有害なマルテ
ンサイト組織が生成しやすくなるため、Mo添加量を
0.01〜0.20%に限定した。
【0023】Nbは炭窒化物を形成し、析出強化により
レール頭部の硬度(強度)を向上させ、さらに、再加熱
熱処理時にのオーステナイト粒の成長を抑制し、細粒化
により延靱性を向上させる元素であるが、その効果は、
0.002%未満では期待できず、また、0.050%
を超える過剰な添加を行ってもそれ以上の効果が期待で
きないことから。Nb量を0.002〜0.050%に
限定した。
【0024】Coはパーライトの変態エネルギーを増加
させて、パーライト組織を微細にすることによりレール
頭部の強度を向上させる元素であるが、0.10%未満
ではその効果が十分に期待できず、また、2.00%を
超える過剰な添加を行ってもその効果が飽和域に達して
しまうため、Co量を0.10〜2.00%に限定し
た。
【0025】Bは鉄の炭ほう化物を形成し、オーステナ
イト粒界から生成する初析フェライトを抑制し、パーラ
イト組織を安定的に生成させる元素であるが、0.00
05%未満ではその効果が弱く、0.0050%を超え
て添加するとBの粗大な炭ほう化物が生成し、レールの
延性および靱性を劣化させるため0.0005〜0.0
050%に限定した。
【0026】上記のような成分組成で構成されるレール
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製
を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、
さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、
この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
は熱処理する目的で高温に加熱されたレールの頭部を加
速冷却し、レール頭部のパーライト組織の硬さを向上さ
せる。
【0027】(2)パーライト組織の硬さおよびその範
囲 はじめに、パーライト組織の硬さをHv370以上に限
定した理由について説明する。本成分系では硬さがHv
370未満になると、レールの摩耗が進行し、重荷重鉄
道で要求されている耐摩耗性を確保することが困難とな
り、さらに、急曲線区間のレールでは頭部内部から疲労
き裂が発生しやすくなり、レール折損により寿命低下を
引き起こすことから、パーライト組織の硬さをHv37
0以上に限定した。
【0028】次に、深さ20mmの範囲におけるパーライ
ト組織の硬さの差の最大値をHv40以下に限定した理
由を説明する。レール頭部では断面部位によって冷却速
度が異なるため、硬さはレール頭表部から頭部内部へ行
くにしたがって低下する分布を示す。このレール頭表面
と頭部内部の硬度差がHv40以上になると、レール頭
部断面において材料強度の変化が著しく大きくなり、こ
れにともない、レール頭部内部の低硬度(強度)部に塑
性変形が集中しやすく、内部疲労損傷が発生し、レール
寿命が低下するため、硬さの差の最大値をHv40以下
に限定した。
【0029】さらに、Hv370以上の硬さを有するパ
ーライト組織の呈する範囲を、頭部コーナー部および頭
頂部の該頭部表面を起点として深さ20mmの範囲に限定
した理由について説明する。20mm未満では、レール頭
部に必要とされている耐摩耗性領域として小さく、さら
に、レール頭部内部で疲労き裂を起点とするレール折損
が発生し、十分な寿命改善効果が得られないためであ
る。また、前記パーライト組織を呈する範囲が頭部コー
ナー部および頭頂部の該頭部表面を起点として深さ30
mm以上であれば、さらに寿命改善効果が増し、より望ま
しい。
【0030】図1に本発明の耐摩耗性、耐内部疲労損傷
性に優れたレールのHv370以上のパーライト組織の
必要範囲を示す。Hv370以上のパーライト組織は少
なくとも図中の斜線部分に配置されていれば、レールの
耐摩耗性、耐内部疲労損傷性を向上させることが可能と
なる。
【0031】(3)製造条件 請求項3において、レール製造時の各冷却条件を上記の
ように限定した理由について詳細に説明する。熱間圧延
した高温度の熱を保有する鋼レール、あるいは熱処理す
る目的で高温に加熱された鋼レールの頭部において、頭
表部をオーステナイト域温度から1〜5℃/sec の冷却
速度で加速冷却し、該鋼レール頭表部の温度が650〜
450℃に達した時点で冷却を停止する冷却条件に限定
した理由について説明する。
【0032】まず、レール頭表部をオーステナイト域温
度から650〜450℃までの間を1〜5℃/sec の冷
却速度で加速冷却するのは、650℃を超える温度で加
速冷却を停止すると、加速冷却直後にパーライト変態が
開始し、硬さの低いパーライト組織が多く生成し、レー
ル頭部の硬さがHv370未満となり、耐摩耗性、耐内
部疲労損傷性が確保できないため、650℃以下に限定
した。また、450℃未満まで冷却を行うと、加速冷却
後にレール内部からの十分な復熱が期待できず、偏析部
にレールの靭性・耐摩耗性に有害なマルテンサイト組織
が生成するため450℃以上に限定した。
【0033】また、レール頭表部の加速冷却速度が1℃
/sec 未満になると、加速冷却途中の高温度域でパーラ
イト変態が開始し、硬さの低いパーライト組織が多く生
成し、レール頭部の硬さがHv370未満となり、レー
ル頭部の耐摩耗性、耐内部疲労損傷性の確保ができない
ため、1℃/sec 以上に限定した。一方、加速冷却速度
が5℃/sec を超えると、レール頭表部にベイナイトや
マルテサイト等の異常組織が生成し、レールの耐摩耗性
や靱性を損なうことや、同時にレール頭部内部の冷却速
度が増加し、Vの炭・窒化物の形成が困難となり、レー
ル頭部の硬さの差の最大値がHv40を超えるため、加
速冷却速度を1〜5℃/sec の範囲に限定した。
【0034】なお、本加速冷却速度範囲は冷却開始から
終了までの平均的な冷却速度を限定するものであるが、
加速冷却途中においてパーライト変態による発熱やレー
ル内部からの自然復熱による一時的な温度上昇が発生す
ることがある。しかし、加速冷却開始から終了までの平
均的な冷却速度が上記範囲内であれば本パーライト系レ
ールの特性に大きな影響をおよぼさないため、本レール
の加速冷却条件としては冷却途中の一時的な温度上昇に
ともなう冷却速度の低下も含んでいる。
【0035】また、1〜5℃/sec の冷却速度を得る方
法としては、空気や空気を主としミスト等を加えた冷却
媒体およびこれらの組み合わせにより、所定冷却速度を
得ることが可能である。
【0036】従って、Hv370以上のパーライト組織
を呈した耐摩耗性、耐内部疲労損傷性に優れたレールを
製造するには、レール頭表部において、硬さの低いパー
ライト組織の生成を防止し、耐摩耗性や靱性に有害なベ
イナイト、マルテンサイトなどの異常組織が生成しない
ように、空気や空気を主としミスト等を加えた冷媒を用
いてオーステナイト域温度から1〜5℃/sec の冷却速
度で加速冷却し、該鋼レール頭表部の温度が650〜4
50℃達した時点で加速冷却を停止することにより、レ
ール頭表部から内部まで高硬度のパーライト組織を安定
的に生成させることが可能となる。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1に本発明レール鋼と比較レール鋼の化学成分、頭部加
速冷却条件、頭部硬さ、およびミクロ組織を示す。ま
た、表1には図2に示す転動疲労試験結果も併記した。
図2において、1はレール移動用スライダーであり、こ
の上にレール2が載置される。5はモーター4で回転す
るローラー3を押さえた荷重安定装置であり、左右に移
動するレール2上にローラー3が転動する。
【0038】さらに、図3乃至図6には、表1に示す本
発明レールのC、E、比較レール鋼のK、Nの頭部断面
硬度分布を示した。
【0039】なお、レールの構成は以下のとおりであ
る。
【0040】・本発明レール(9本) 符号A〜I 上記成分範囲で、該鋼レールの少なくともレール頭部表
面から該頭部表面を起点として深さ20mmの範囲がパー
ライト組織を呈し、さらに前記範囲における硬さの差の
最大値がHv40以下の頭部に加速冷却を施した熱処理
レール。
【0041】・比較レール(9本) 符号J〜N:化学成分が上記請求範囲外の比較レール
(5本)。 符号O〜R:熱処理条件が上記請求範囲外の比較レール
(4本)。 転動疲労試験の条件は次のとおりとした。
【0042】試験機:転動疲労試験機 試験片形状 レール:136ポンドレール×2m 車 輪:AARタイプ(直径920mm) ラジアル荷重:147000N スラスト荷重: 49000N 潤滑 :ドライ+油(間欠給油)
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】図3と図5を比較すると、本発明レール
は比較レールと比べてSi、Crを高めることにより、
レール頭表部および頭部内部の硬さをが向上しており、
表1に示すように耐摩耗性、耐内部疲労損傷性が大きく
向上している。また、図4と図6を比較すると、本発明
レールは比較レールと比べてVを添加することにより、
レール頭部内部の硬さをが向上しており、表1に示すよ
うに耐内部疲労損傷性が大きく向上している。
【0045】さらに、表1に示すように化学成分を適切
な範囲に納め、適切な熱処理条件を選択するこよによ
り、レールの靭性や耐摩耗性に有害なマルテンサイト組
織やベイナイト組織を生成させることなく、耐摩耗性に
優れたパーライト組織をレール頭部内部まで安定的に生
成させることが可能となる。このように本発明によれ
ば、重荷重鉄道に耐摩耗性および耐内部疲労損傷性に優
れたレールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レール頭部断面表面位置の呼称およびHv37
0以上のパーライト組織の必要範囲を示した図。
【図2】転動疲労試験機の概要図。
【図3】本発明レールCの頭部断面硬度分布を示した
図。
【図4】本発明レールEの頭部断面硬度分布を示した
図。
【図5】比較レールKの頭部断面硬度分布を示した図。
【図6】比較レールNの頭部断面硬度分布を示した図。
【符号の説明】
a:頭頂部 b:頭部コーナー部 1:レール移動用スライダー 2:レール 3:車輪 4:モーター 5:荷重負荷装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 玲 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.70〜0.85%、 Si:0.60超〜1.00%、 Mn:0.20〜1.50%、 Cr:0.50超〜1.00% V :0.01〜0.20%を含有し、残部が鉄および
    不可避的不純物からなる鋼レールであって、該鋼レール
    の頭部コーナー部および頭頂部の表面を起点として少な
    くとも深さ20mmの範囲がHv370以上のパーライト
    組織を呈し、さらに前記範囲における硬さの差の最大値
    がHv40以下であることを特徴とする耐摩耗性・耐内
    部疲労損傷性に優れたパーライト系レール。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.70〜0.85%、 Si:0.60超〜1.00%、 Mn:0.20〜1.50%、 Cr:0.50超〜1.00%、 V :0.01〜0.20%を含有し、さらに、 Mo:0.01〜0.20%、 Nb:0.002〜0.050%、 Co:0.10〜2.00%、 B :0.0005〜0.0050%の1種または2種
    以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる
    鋼レールであって、該鋼レールの頭部コーナー部および
    頭頂部の表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲
    がHv370以上のパーライト組織を呈し、さらに前記
    範囲における硬さの差の最大値がHv40以下であるこ
    とを特徴とする耐摩耗性・耐内部疲労損傷性に優れたパ
    ーライト系レール。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の成分を含有する鋼にお
    いて、熱間圧延した高温度の熱を保有する鋼レール、あ
    るいは熱処理する目的で高温に加熱された鋼レールの頭
    部において、頭表部をオーステナイト域温度から1〜5
    ℃/sec の冷却速度で加速冷却し、該鋼レールの頭表部
    の温度が650〜450℃達した時点で加速冷却を停止
    し、その後放冷する工程からなり、該鋼レールの頭部コ
    ーナー部および頭頂部の表面を起点として少なくとも深
    さ20mmの範囲がHv370以上のパーライト組織を呈
    し、さらに前記範囲における硬さの差の最大値がHv4
    0以下であることを特徴とする耐摩耗性・耐内部疲労損
    傷性に優れたパーライト系レールの製造法。
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