JP2000219939A - 耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レール - Google Patents
耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レールInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 重荷重鉄道に要求される耐摩耗性、耐表面損
傷性を向上させた高強度レールを提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.85%超〜1.20
%以下を含有し、少なくとも一部がパーライト組織を呈
する鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2%
耐力が600〜1200MPaの範囲であることを特徴
とする耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト
系レール。
傷性を向上させた高強度レールを提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.85%超〜1.20
%以下を含有し、少なくとも一部がパーライト組織を呈
する鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2%
耐力が600〜1200MPaの範囲であることを特徴
とする耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト
系レール。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重荷重鉄道のレー
ルに要求される耐摩耗性、耐表面損傷性を向上させたパ
ーライト系レールに関するものである。
ルに要求される耐摩耗性、耐表面損傷性を向上させたパ
ーライト系レールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】海外の重荷重鉄道では、鉄道輸送の高効
率化の手段として、列車速度の向上や列車積載重量の増
加が図られている。このような鉄道輸送の効率化はレー
ル使用環境の過酷化を意味し、レール材質の一層の改善
が要求されるに至っている。具体的には、曲線区間に敷
設されたレールでは、G.C.(ゲージ・コーナー)部や
頭側部の摩耗が急激に増加し、レールの使用寿命の点で
問題視されるようになった。
率化の手段として、列車速度の向上や列車積載重量の増
加が図られている。このような鉄道輸送の効率化はレー
ル使用環境の過酷化を意味し、レール材質の一層の改善
が要求されるに至っている。具体的には、曲線区間に敷
設されたレールでは、G.C.(ゲージ・コーナー)部や
頭側部の摩耗が急激に増加し、レールの使用寿命の点で
問題視されるようになった。
【0003】しかしながら、最近の高強度化熱処理技術
の進歩により、共析炭素鋼を用いた微細パーライト組織
を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レールが発
明され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛躍的に
改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または、微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報)。 圧延終了後あるいは、再加熱したレール頭部をオース
テナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃/sec
で加速冷却する130kgf/mm2 以上の高強度レールの製
造法(特許第1597914号)。これらのレールの特
徴は、共析炭素含有鋼(炭素量:0.7〜0.8%)に
よる微細パーライト組織を呈する高強度レールであり、
その目的とするところは、パーライト組織中のラメラ間
隔を微細化し、耐摩耗性を向上させるところにあった。
の進歩により、共析炭素鋼を用いた微細パーライト組織
を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レールが発
明され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛躍的に
改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または、微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報)。 圧延終了後あるいは、再加熱したレール頭部をオース
テナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃/sec
で加速冷却する130kgf/mm2 以上の高強度レールの製
造法(特許第1597914号)。これらのレールの特
徴は、共析炭素含有鋼(炭素量:0.7〜0.8%)に
よる微細パーライト組織を呈する高強度レールであり、
その目的とするところは、パーライト組織中のラメラ間
隔を微細化し、耐摩耗性を向上させるところにあった。
【0004】しかし、近年海外の重荷重鉄道ではより一
層の鉄道輸送の高効率化のために、貨物の高積載化を強
力に進めており、特に急曲線のレールでは上記開発のレ
ールを用いてもG.C.部や頭側部の耐摩耗性が十分確保
できず、摩耗によるレール寿命の低下が問題となってき
た。このような背景から、現状の共析炭素鋼の高強度レ
ール以上の耐摩耗性を有するレールの開発が求められる
ようになってきた。
層の鉄道輸送の高効率化のために、貨物の高積載化を強
力に進めており、特に急曲線のレールでは上記開発のレ
ールを用いてもG.C.部や頭側部の耐摩耗性が十分確保
できず、摩耗によるレール寿命の低下が問題となってき
た。このような背景から、現状の共析炭素鋼の高強度レ
ール以上の耐摩耗性を有するレールの開発が求められる
ようになってきた。
【0005】これらの問題を解決するため、本発明者ら
は下記に示すようなレールを開発した。 過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、
パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加
させた耐摩耗性に優れたレール(特開平8−14406
1号公報) 過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、
パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加
させ、同時に、硬さを制御した耐摩耗性に優れたレール
(特開平8−246100号公報)
は下記に示すようなレールを開発した。 過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、
パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加
させた耐摩耗性に優れたレール(特開平8−14406
1号公報) 過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、
パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加
させ、同時に、硬さを制御した耐摩耗性に優れたレール
(特開平8−246100号公報)
【0006】これらのレールの特徴は、鋼の炭素量を増
加し、パーライトラメラ中の耐摩耗性に優れたセメタイ
ト相の密度を増加させ、さらに、硬さを制御することに
よりパーライト組織の耐摩耗性を向上させるものであっ
た。しかし、これらの過共析鋼を用いたパーライト組織
のレールでは、耐摩耗性の向上は図れるものの、曲線区
間に敷設されたレールにおいては、車輪との繰り返し接
触により、接触面圧や接線力の大きいレール頭部のG.
C.部や頭側部にきしみ割れやフレーキングといった表
面損傷の発生が散見されるようになり、これらの損傷に
対する対策が求められていた。
加し、パーライトラメラ中の耐摩耗性に優れたセメタイ
ト相の密度を増加させ、さらに、硬さを制御することに
よりパーライト組織の耐摩耗性を向上させるものであっ
た。しかし、これらの過共析鋼を用いたパーライト組織
のレールでは、耐摩耗性の向上は図れるものの、曲線区
間に敷設されたレールにおいては、車輪との繰り返し接
触により、接触面圧や接線力の大きいレール頭部のG.
C.部や頭側部にきしみ割れやフレーキングといった表
面損傷の発生が散見されるようになり、これらの損傷に
対する対策が求められていた。
【0007】そこで、本発明者らはレール鋼の耐摩耗性
を向上させ、同時に、これらの表面損傷を防止する方法
を検討した。まず、本発明者らは、過共析パーライト鋼
に発生するこれらの表面損傷の発生機構を解明した。そ
の結果、レール頭部のG.C.部や頭側部では、ころが
り面直下に大きな塑性変形帯が形成されており、この塑
性変形帯(メタルフロー)に沿ってき裂が発生している
ことを見出した。そこで、本発明者らはこの塑性変形帯
の形成とこれにともなって発生するき裂損傷を防止する
ため、これらの塑性変形帯の形成と材料の機械的性質の
関係を調査した。その結果、表面損傷の発生源である塑
性変形帯の形成は、鋼の0.2%耐力とよい相関があ
り、0.2%耐力をある一定範囲にすると、この塑性変
形領域が小さくなり、きしみ割れやフレーキングといっ
た表面き裂損傷の発生が著しく抑制されることを見出し
た。
を向上させ、同時に、これらの表面損傷を防止する方法
を検討した。まず、本発明者らは、過共析パーライト鋼
に発生するこれらの表面損傷の発生機構を解明した。そ
の結果、レール頭部のG.C.部や頭側部では、ころが
り面直下に大きな塑性変形帯が形成されており、この塑
性変形帯(メタルフロー)に沿ってき裂が発生している
ことを見出した。そこで、本発明者らはこの塑性変形帯
の形成とこれにともなって発生するき裂損傷を防止する
ため、これらの塑性変形帯の形成と材料の機械的性質の
関係を調査した。その結果、表面損傷の発生源である塑
性変形帯の形成は、鋼の0.2%耐力とよい相関があ
り、0.2%耐力をある一定範囲にすると、この塑性変
形領域が小さくなり、きしみ割れやフレーキングといっ
た表面き裂損傷の発生が著しく抑制されることを見出し
た。
【0008】さらに、本発明者らはこれらの塑性変形領
域から発生するきしみ割れやフレーキングといった表面
損傷の大きさと材料の機械的性質の関係を調査した。そ
の結果、これらの表面損傷の大きさは、鋼の全伸びとよ
い相関があり、全伸び値をある一定範囲にすると、表面
損傷のき裂の長さが小さくなり、きしみ割れやフレーキ
ングといった表面損傷の進展が著しく抑制されることを
見出した。
域から発生するきしみ割れやフレーキングといった表面
損傷の大きさと材料の機械的性質の関係を調査した。そ
の結果、これらの表面損傷の大きさは、鋼の全伸びとよ
い相関があり、全伸び値をある一定範囲にすると、表面
損傷のき裂の長さが小さくなり、きしみ割れやフレーキ
ングといった表面損傷の進展が著しく抑制されることを
見出した。
【0009】以上の結果から、本発明者らは、レール鋼
の耐摩耗性を向上させ、同時に、これらの表面損傷の発
生を防止するため、鋼の炭素量を増加し、パーライトラ
メラ中の耐摩耗性に優れたセメタイト相の密度を増加さ
せ、同時に、0.2%耐力をある一定範囲とし、さら
に、全伸び値をある一定範囲とすることにより、耐摩耗
性が向上し、同時に、きしみ割れやフレーキングといっ
た表面損傷の発生、さらには、その進展が著しく抑制さ
れることを知見した。
の耐摩耗性を向上させ、同時に、これらの表面損傷の発
生を防止するため、鋼の炭素量を増加し、パーライトラ
メラ中の耐摩耗性に優れたセメタイト相の密度を増加さ
せ、同時に、0.2%耐力をある一定範囲とし、さら
に、全伸び値をある一定範囲とすることにより、耐摩耗
性が向上し、同時に、きしみ割れやフレーキングといっ
た表面損傷の発生、さらには、その進展が著しく抑制さ
れることを知見した。
【0010】すなわち本発明は、重荷重鉄道に要求され
る耐摩耗性、耐表面損傷性を向上させた高強度レールを
提供することを目的としたものである。
る耐摩耗性、耐表面損傷性を向上させた高強度レールを
提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その要旨とするところは、 (1) 重量%で、C :0.85%超〜1.20%以
下を含有し、必要に応じてさらに、Si:0.10〜
1.00%、Mn:0.10〜1.50%を含有し、少
なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼レールであっ
て、前記パーライト組織の0.2%耐力が600〜12
00MPaであることを特徴とする耐摩耗性および耐表
面損傷性に優れたパーライト系レール。 (2) 重量%で、C :0.85%超〜1.20%以
下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜
1.50%を含有して、さらに、 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、Ti:0.0050〜0.0300%、 Mg:0.0010〜0.0100%、Ca:0.0010〜0.0150% Co:0.10〜2.00% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物からなり、少なくとも一部がパーライト組織を
呈した鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPaであることを特徴とす
る耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レ
ール。 (3) 重量%で、C:0.85%超〜1.20%以下
を含有して、必要に応じてさらに、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50% 少なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼レールであ
って、前記パーライト組織の0.2%耐力が600〜1
200MPa、全伸び値が7〜12%であることを特徴
とする耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト
系レール。 (4) 重量%で、C :0.85%超〜1.20%以
下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜
1.50%を含有して、さらに、 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、Ti:0.0050〜0.0300% Mg:0.0010〜0.0100%、Ca:0.0010〜0.0150% Co:0.10〜2.00% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物からなり、少なくとも一部がパーライト組織を
呈する鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPa、全伸び値が7〜12
%であることを特徴とする耐摩耗性および耐表面損傷性
に優れたパーライト系レール。 (5) 鋼レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を
起点として少なくとも深さ20mmの範囲がパーライト
組織を呈することを特徴とする前記(1)〜(4)に記
載の耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系
レール。
するものであって、その要旨とするところは、 (1) 重量%で、C :0.85%超〜1.20%以
下を含有し、必要に応じてさらに、Si:0.10〜
1.00%、Mn:0.10〜1.50%を含有し、少
なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼レールであっ
て、前記パーライト組織の0.2%耐力が600〜12
00MPaであることを特徴とする耐摩耗性および耐表
面損傷性に優れたパーライト系レール。 (2) 重量%で、C :0.85%超〜1.20%以
下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜
1.50%を含有して、さらに、 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、Ti:0.0050〜0.0300%、 Mg:0.0010〜0.0100%、Ca:0.0010〜0.0150% Co:0.10〜2.00% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物からなり、少なくとも一部がパーライト組織を
呈した鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPaであることを特徴とす
る耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レ
ール。 (3) 重量%で、C:0.85%超〜1.20%以下
を含有して、必要に応じてさらに、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50% 少なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼レールであ
って、前記パーライト組織の0.2%耐力が600〜1
200MPa、全伸び値が7〜12%であることを特徴
とする耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト
系レール。 (4) 重量%で、C :0.85%超〜1.20%以
下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜
1.50%を含有して、さらに、 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、Ti:0.0050〜0.0300% Mg:0.0010〜0.0100%、Ca:0.0010〜0.0150% Co:0.10〜2.00% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物からなり、少なくとも一部がパーライト組織を
呈する鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPa、全伸び値が7〜12
%であることを特徴とする耐摩耗性および耐表面損傷性
に優れたパーライト系レール。 (5) 鋼レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を
起点として少なくとも深さ20mmの範囲がパーライト
組織を呈することを特徴とする前記(1)〜(4)に記
載の耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系
レール。
【0012】
【発明の実施の態様】以下、本発明について詳細に説明
する。上記本発明(1)〜(7)において、化学成分、
パーライト組織の範囲および0.2%耐力、全伸び値を
上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。 (1)レール鋼の化学成分 まず、本発明においてレールの化学成分を上記のように
限定した理由について説明する。Cは、パーライト変態
を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する重要な元素で
あり、通常のレール鋼としてはC量0.60〜0.85
%が添加されているが、C量0.85%以下では耐摩耗
性の向上を図るためのパーライト組織中のセメンタイト
相の密度が確保できず、さらに、レール頭部内部に疲労
損傷の起点となる粒界フェライトが生成し易くなり、レ
ール寿命が低下する。また、C量が1.20%を超える
と、パーライト組織中のセメンタイト相の密度が増加
し、パーライト組織の延性が低下し、ころがり面にスポ
ーリングと呼ばれる剥離損傷が発生し易くなり耐表面損
傷性が劣化する。さらに、成分系によっては、パーライ
ト組織中に初析セメンタイト組織が生成し、レールの靱
性や延性が大きく低下するため、C量を0.85超〜
1.20%に限定した。
する。上記本発明(1)〜(7)において、化学成分、
パーライト組織の範囲および0.2%耐力、全伸び値を
上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。 (1)レール鋼の化学成分 まず、本発明においてレールの化学成分を上記のように
限定した理由について説明する。Cは、パーライト変態
を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する重要な元素で
あり、通常のレール鋼としてはC量0.60〜0.85
%が添加されているが、C量0.85%以下では耐摩耗
性の向上を図るためのパーライト組織中のセメンタイト
相の密度が確保できず、さらに、レール頭部内部に疲労
損傷の起点となる粒界フェライトが生成し易くなり、レ
ール寿命が低下する。また、C量が1.20%を超える
と、パーライト組織中のセメンタイト相の密度が増加
し、パーライト組織の延性が低下し、ころがり面にスポ
ーリングと呼ばれる剥離損傷が発生し易くなり耐表面損
傷性が劣化する。さらに、成分系によっては、パーライ
ト組織中に初析セメンタイト組織が生成し、レールの靱
性や延性が大きく低下するため、C量を0.85超〜
1.20%に限定した。
【0013】通常さらに、下記条件でSiおよびMnを
含有させる。Siは、パーライト組織中のフェライト相
への固溶体硬化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇
させる元素であるが、0.10%未満ではその効果が十
分に期待できず、また、1.00%を超えると、熱間圧
延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成によ
り溶接性が低下するため、Si量を0.10〜1.00
%に限定した。
含有させる。Siは、パーライト組織中のフェライト相
への固溶体硬化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇
させる元素であるが、0.10%未満ではその効果が十
分に期待できず、また、1.00%を超えると、熱間圧
延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成によ
り溶接性が低下するため、Si量を0.10〜1.00
%に限定した。
【0014】Mnは、パーライト変態温度を低下させ、
焼き入れ性を高めることによって高強度化に寄与し、さ
らに、初析セメンタイト組織の生成を抑制する元素であ
るが、0.10%未満の含有量ではその効果が小さく、
レール頭部に必要とされる硬さの確保が困難となる。ま
た、1.50%を超えると、焼入性が著しく増加し、マ
ルテンサイト組織が生成し易くなることや、偏析が助長
され、偏析部にレールの靭性に有害な初析セメンタイト
組織が生成し易くなるため、Mn量を0.10〜1.5
0%に限定した。
焼き入れ性を高めることによって高強度化に寄与し、さ
らに、初析セメンタイト組織の生成を抑制する元素であ
るが、0.10%未満の含有量ではその効果が小さく、
レール頭部に必要とされる硬さの確保が困難となる。ま
た、1.50%を超えると、焼入性が著しく増加し、マ
ルテンサイト組織が生成し易くなることや、偏析が助長
され、偏析部にレールの靭性に有害な初析セメンタイト
組織が生成し易くなるため、Mn量を0.10〜1.5
0%に限定した。
【0015】また、上記の成分組成で製造されるレール
は強度、延性、靭性を向上させる目的で以下の元素を必
要に応じて1種類または2種以上を添加する。 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50% Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、Ti:0.0050〜0.0300%、 Mg:0.0010〜0.0100%、Ca:0.0010〜0.0150%、 Co:0.10〜2.00%
は強度、延性、靭性を向上させる目的で以下の元素を必
要に応じて1種類または2種以上を添加する。 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50% Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、Ti:0.0050〜0.0300%、 Mg:0.0010〜0.0100%、Ca:0.0010〜0.0150%、 Co:0.10〜2.00%
【0016】次に、これらの化学成分の上記のように定
めた理由について説明する。Crは、パーライトの平衡
変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細に
して高強度化に寄与すると同時に、パーライト組織中の
セメンタイト相を強化することによって耐摩耗性を向上
させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小
さく、1.00%を超える過剰な添加を行うと、マルテ
ンサイト組織が多量に生成し、レールの靱性を低下させ
るため、Cr量を0.05〜1.00%に限定した。
めた理由について説明する。Crは、パーライトの平衡
変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細に
して高強度化に寄与すると同時に、パーライト組織中の
セメンタイト相を強化することによって耐摩耗性を向上
させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小
さく、1.00%を超える過剰な添加を行うと、マルテ
ンサイト組織が多量に生成し、レールの靱性を低下させ
るため、Cr量を0.05〜1.00%に限定した。
【0017】Moは、Cr同様パーライトの平衡変態点
を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にするこ
とにより高強度化に寄与し、耐摩耗性を向上させる元素
であるが、0.01%未満ではその効果が小さく、0.
20%を超える過剰な添加を行うと、偏析が助長され、
さらに、パーライト変態速度が低下し、偏析部にマルテ
ンサイト組織が生成し、レールの靱性が低下するため、
Mo量を0.01〜0.20%に限定した。
を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にするこ
とにより高強度化に寄与し、耐摩耗性を向上させる元素
であるが、0.01%未満ではその効果が小さく、0.
20%を超える過剰な添加を行うと、偏析が助長され、
さらに、パーライト変態速度が低下し、偏析部にマルテ
ンサイト組織が生成し、レールの靱性が低下するため、
Mo量を0.01〜0.20%に限定した。
【0018】Cuは、パーライト鋼の靭性を損なわず強
度を向上させる元素であり、その効果は0.05〜0.
50%の範囲で最も大きく、また、0.50%を超える
と赤熱脆化を生じやすくなることから、Cu量を0.0
5〜0.50%に限定した。
度を向上させる元素であり、その効果は0.05〜0.
50%の範囲で最も大きく、また、0.50%を超える
と赤熱脆化を生じやすくなることから、Cu量を0.0
5〜0.50%に限定した。
【0019】Niは、パーライト鋼の延性と靭性を向上
させ、同時に、固溶強化によりパーライト鋼の高強度化
を図る元素であるが、0.05%未満ではその効果が著
しく小さく、また、1.00%を超える過剰な添加を行
ってもそれ以上の効果が期待できない。したがって、N
i量を0.05〜1.00%に限定した。
させ、同時に、固溶強化によりパーライト鋼の高強度化
を図る元素であるが、0.05%未満ではその効果が著
しく小さく、また、1.00%を超える過剰な添加を行
ってもそれ以上の効果が期待できない。したがって、N
i量を0.05〜1.00%に限定した。
【0020】Vは、熱間圧延時の冷却課程で生成したV
炭化物、V窒化物による析出硬化で強度を高め、さら
に、高温度に加熱する熱処理が行われる際に結晶粒の成
長を抑制する作用によりオーステナイト粒を微細化さ
せ、パーライト組織の強度、延性および靭性を向上させ
るのに有効な成分であるが、0.01%未満ではその効
果が十分に期待できず、0.50%を超えて添加しても
それ以上の効果が期待できないことから、V量を0.0
1〜0.50%に限定した。
炭化物、V窒化物による析出硬化で強度を高め、さら
に、高温度に加熱する熱処理が行われる際に結晶粒の成
長を抑制する作用によりオーステナイト粒を微細化さ
せ、パーライト組織の強度、延性および靭性を向上させ
るのに有効な成分であるが、0.01%未満ではその効
果が十分に期待できず、0.50%を超えて添加しても
それ以上の効果が期待できないことから、V量を0.0
1〜0.50%に限定した。
【0021】NbはVと同様にNb炭化物、Nb窒化物
による析出硬化で強度を高め、さらに、高温度に加熱す
る熱処理が行われる際に結晶粒の成長を抑制する作用に
よりオーステナイト粒を微細化させ、そのオーステナイ
ト粒成長抑制効果はVよりも高温度域(1200℃近
傍)まで作用し、パーライト組織の延性と靭性を改善す
る。その効果は、0.002%未満では期待できず、ま
た、0.050%を超える過剰な添加を行ってもそれ以
上の効果が期待できない。したがって、Nb量を0.0
02〜0.050%に限定した。
による析出硬化で強度を高め、さらに、高温度に加熱す
る熱処理が行われる際に結晶粒の成長を抑制する作用に
よりオーステナイト粒を微細化させ、そのオーステナイ
ト粒成長抑制効果はVよりも高温度域(1200℃近
傍)まで作用し、パーライト組織の延性と靭性を改善す
る。その効果は、0.002%未満では期待できず、ま
た、0.050%を超える過剰な添加を行ってもそれ以
上の効果が期待できない。したがって、Nb量を0.0
02〜0.050%に限定した。
【0022】Bは鉄の炭ほう化物(Fe23(CB)6 )
を形成し、パーライト変態を促進効果により、結果とし
て、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、
レール頭表面から内部までより均一な硬度分布を付与す
る元素であるが、0.0001%未満の含有量ではその
効果が全くなく、また、0.0050%を超えて添加す
ると、粗大な鉄の炭ほう化物が生成し、延性や靱性の低
下を招くことから、B量を0.0001〜0.0050
%に限定した。
を形成し、パーライト変態を促進効果により、結果とし
て、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、
レール頭表面から内部までより均一な硬度分布を付与す
る元素であるが、0.0001%未満の含有量ではその
効果が全くなく、また、0.0050%を超えて添加す
ると、粗大な鉄の炭ほう化物が生成し、延性や靱性の低
下を招くことから、B量を0.0001〜0.0050
%に限定した。
【0023】Tiは鋼中の過剰な窒素を窒化物(Ti
N)として析出させ、同時に、Bの窒化物(BN)の析
出を抑制し、結果として、鉄の炭ほう化物(Fe23(C
B)6)を優先的に生成させ、パーライト変態を促進さ
せる元素であるが、0.0050%未満の含有量では、
窒化物を形成するには十分でなく、また、0.0300
%を超えて添加すると、粗大な窒化物(TiN)や炭化
物(TiC)が生成し、レールの延性や靱性が低下する
と同時に、レール使用中の疲労損傷の起点となりやすい
ため、Ti量を0.0050〜0.0300%に限定し
た。
N)として析出させ、同時に、Bの窒化物(BN)の析
出を抑制し、結果として、鉄の炭ほう化物(Fe23(C
B)6)を優先的に生成させ、パーライト変態を促進さ
せる元素であるが、0.0050%未満の含有量では、
窒化物を形成するには十分でなく、また、0.0300
%を超えて添加すると、粗大な窒化物(TiN)や炭化
物(TiC)が生成し、レールの延性や靱性が低下する
と同時に、レール使用中の疲労損傷の起点となりやすい
ため、Ti量を0.0050〜0.0300%に限定し
た。
【0024】Mgは、O、または、SやAl等と結合し
て微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱におい
て、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細
化を図り、パーライト組織の延性や靭性を向上させるの
に有効な元素である。さらに、MgO、MgSがMnS
を微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成
し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーラ
イトブロックサイズを微細化することにより、パーライ
ト組織の延性や靭性を向上させるのに有効な元素であ
る。しかし、0.0010%未満ではその効果は弱く、
0.0100%を超えて添加するとMgの粗大酸化物が
生成してレール延性や靭性を劣化させるため、Mg量を
0.0010〜0.0100%に限定した。
て微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱におい
て、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細
化を図り、パーライト組織の延性や靭性を向上させるの
に有効な元素である。さらに、MgO、MgSがMnS
を微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成
し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーラ
イトブロックサイズを微細化することにより、パーライ
ト組織の延性や靭性を向上させるのに有効な元素であ
る。しかし、0.0010%未満ではその効果は弱く、
0.0100%を超えて添加するとMgの粗大酸化物が
生成してレール延性や靭性を劣化させるため、Mg量を
0.0010〜0.0100%に限定した。
【0025】Caは、Sとの結合力が強く、CaSとし
て硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分
散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーラ
イト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロッ
クサイズを微細化することにより、パーライト組織の延
性や靭性を向上させるのに有効な元素である。しかし、
0.0010%未満ではその効果は弱く、0.0150
%を超えて添加するとCaの粗大酸化物が生成してレー
ル延性や靭性を劣化させるため、Ca量を0.0010
〜0.0150%に限定した。
て硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分
散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーラ
イト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロッ
クサイズを微細化することにより、パーライト組織の延
性や靭性を向上させるのに有効な元素である。しかし、
0.0010%未満ではその効果は弱く、0.0150
%を超えて添加するとCaの粗大酸化物が生成してレー
ル延性や靭性を劣化させるため、Ca量を0.0010
〜0.0150%に限定した。
【0026】Coはパーライトの変態エネルギーを増加
させて、パーライト組織を微細にすることにより強度を
向上させる元素であるが、0.10%未満ではその効果
が期待できず、また、2.00%を超える過剰な添加を
行ってもその効果が飽和域に達してしまうため、Co量
を0.10〜2.00%に限定した。
させて、パーライト組織を微細にすることにより強度を
向上させる元素であるが、0.10%未満ではその効果
が期待できず、また、2.00%を超える過剰な添加を
行ってもその効果が飽和域に達してしまうため、Co量
を0.10〜2.00%に限定した。
【0027】上記のような成分組成で構成されるレール
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製
を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、
さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、
この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
は熱処理する目的で高温に再加熱されたレールの少なく
とも頭部に熱処理を施すことにより、レール頭部に硬さ
の高いパーライト組織を安定的に生成させることが可能
となる。
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製
を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、
さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、
この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
は熱処理する目的で高温に再加熱されたレールの少なく
とも頭部に熱処理を施すことにより、レール頭部に硬さ
の高いパーライト組織を安定的に生成させることが可能
となる。
【0028】このように、レールの金属組織としてはパ
ーライト組織であることが望ましいが、成分系、加速冷
却速度および素材の偏析状態によっては、パーライト組
織中に微量な初析フェライト組織や初析セメンタイト組
織が生成することがある。しかし、パーライト組織中に
これらの組織が微量に生成してもレールの耐摩耗性、耐
表面損傷性、さらには、強度、延性、靱性に大きな影響
をおよぼさないため、本パーライト系レールのパーライ
ト組織としては若干の初析フェライト組織および初析セ
メンタイト組織の混在も含んでいる。
ーライト組織であることが望ましいが、成分系、加速冷
却速度および素材の偏析状態によっては、パーライト組
織中に微量な初析フェライト組織や初析セメンタイト組
織が生成することがある。しかし、パーライト組織中に
これらの組織が微量に生成してもレールの耐摩耗性、耐
表面損傷性、さらには、強度、延性、靱性に大きな影響
をおよぼさないため、本パーライト系レールのパーライ
ト組織としては若干の初析フェライト組織および初析セ
メンタイト組織の混在も含んでいる。
【0029】本願発明でいう少なくとも一部がパーライ
ト組織とは、レールの80%以上がパーライト組織であ
ることが望ましい。そしてパーライトとパーライト以外
の組織が微細に混在していても、またレールの頭部表面
近傍が実質パーライト組織でそれ以外の部分がパーライ
ト以外の組織であってもよい。
ト組織とは、レールの80%以上がパーライト組織であ
ることが望ましい。そしてパーライトとパーライト以外
の組織が微細に混在していても、またレールの頭部表面
近傍が実質パーライト組織でそれ以外の部分がパーライ
ト以外の組織であってもよい。
【0030】(2)パーライト組織の範囲 パーライト組織の呈する望ましい範囲を、頭部コーナー
部および頭頂部の該頭部表面を起点として深さ20mm
の範囲に限定した理由について説明する。20mm未満
では、レール頭部に必要とされている耐摩耗性および耐
内部疲労損傷性領域としては小さく、摩耗の進行および
内部疲労損傷の発生により十分な寿命改善効果が得られ
ないためである。また、前記パーライト組織を呈する範
囲が頭部コーナー部および頭頂部の該頭部表面を起点と
して深さ30mm以上あれば、寿命改善効果がさらに増
し、より望ましい。
部および頭頂部の該頭部表面を起点として深さ20mm
の範囲に限定した理由について説明する。20mm未満
では、レール頭部に必要とされている耐摩耗性および耐
内部疲労損傷性領域としては小さく、摩耗の進行および
内部疲労損傷の発生により十分な寿命改善効果が得られ
ないためである。また、前記パーライト組織を呈する範
囲が頭部コーナー部および頭頂部の該頭部表面を起点と
して深さ30mm以上あれば、寿命改善効果がさらに増
し、より望ましい。
【0031】ここで、図1に本発明の耐摩耗性、耐内部
疲労損傷性に優れたレールの頭部断面表面位置での呼称
および耐摩耗性が必要とされる領域を示す。レール頭部
において1は頭頂部、2は頭部コーナー部であり、頭部
コーナー部2の一方は車輪と主に接触するゲージコーナ
ー(G.C.)部である。
疲労損傷性に優れたレールの頭部断面表面位置での呼称
および耐摩耗性が必要とされる領域を示す。レール頭部
において1は頭頂部、2は頭部コーナー部であり、頭部
コーナー部2の一方は車輪と主に接触するゲージコーナ
ー(G.C.)部である。
【0032】(3)パーライト組織の0.2%耐力 パーライト組織の呈する範囲の0.2%耐力を、600
〜1200MPaの範囲に限定した理由を説明する。パ
ーライト組織の0.2%耐力が600MPa未満になる
と、車輪との接触によって発生するレール頭部のG.C.
部や頭側部でのころがり面直下の塑性変形領域が増加
し、曲線区間に敷設されたレールにおいては、車輪との
繰り返し接触により、塑性変形領域にきしみ割れやフレ
ーキングといった表面損傷の発生が増加する。さらに、
耐摩耗性が低下し、レールの摩耗寿命が大きく低下す
る。また、パーライト組織の0.2%耐力が1200M
Paを超えると、耐力の増加により、レール頭部での車
輪との接触領域(塑性変形領域)が著しく減少し、車輪
との局部的な接触による過大な面圧が発生し、スポーリ
ング等の剥離損傷が発生しやすくなるため、0.2%耐
力の範囲を600〜1200MPaの範囲に限定した。
なお、パーライト組織の0.2%耐力は、鋼の成分、熱
間圧延やその後の矯正等のレール製造条件で制御するこ
とができる。
〜1200MPaの範囲に限定した理由を説明する。パ
ーライト組織の0.2%耐力が600MPa未満になる
と、車輪との接触によって発生するレール頭部のG.C.
部や頭側部でのころがり面直下の塑性変形領域が増加
し、曲線区間に敷設されたレールにおいては、車輪との
繰り返し接触により、塑性変形領域にきしみ割れやフレ
ーキングといった表面損傷の発生が増加する。さらに、
耐摩耗性が低下し、レールの摩耗寿命が大きく低下す
る。また、パーライト組織の0.2%耐力が1200M
Paを超えると、耐力の増加により、レール頭部での車
輪との接触領域(塑性変形領域)が著しく減少し、車輪
との局部的な接触による過大な面圧が発生し、スポーリ
ング等の剥離損傷が発生しやすくなるため、0.2%耐
力の範囲を600〜1200MPaの範囲に限定した。
なお、パーライト組織の0.2%耐力は、鋼の成分、熱
間圧延やその後の矯正等のレール製造条件で制御するこ
とができる。
【0033】(4)パーライト組織の全伸び値 パーライト組織の呈する範囲の望ましい全伸び値を、7
〜12%の範囲に限定した理由を説明する。0.2%耐
力が上記限定範囲内で、パーライト組織の全伸び値が6
%以下になると、パーライト組織の延性が低下し、ころ
がり面にスポーリングと呼ばれ剥離損傷(表面損傷)が
発生しやすい。また、レールとして必要とされる延性を
確保することが困難となり、車両などから作用する過大
な衝撃力などにより、レール溶接継ぎ手部や母材などか
ら不安定破壊を発生しやすい。また、パーライト組織の
全伸び値が13%を超えると、延性の向上により、車輪
との接触によって発生するレール頭部のG.C.部や頭側
部でのころがり面直下の限界塑性変形量が増大し、耐摩
耗性の向上もとないその塑性変形領域が拡大する。その
結果、車輪との繰り返し接触により、塑性変形領域にき
しみ割れやフレーキングといった表面損傷が発生しやす
くなるため、全伸び値の範囲は6〜13%の範囲が好ま
しい。さらに、本発明のごとく全伸び値が7〜12%の
範囲であれば、実用上問題とはならない軽微な表面損傷
もほとんど発生せず、さらに十分な耐表面損傷性を得る
ことができる。なお、パーライト組織の全伸び値は、鋼
の成分や熱間圧延等のレール製造条件で制御することが
できる。
〜12%の範囲に限定した理由を説明する。0.2%耐
力が上記限定範囲内で、パーライト組織の全伸び値が6
%以下になると、パーライト組織の延性が低下し、ころ
がり面にスポーリングと呼ばれ剥離損傷(表面損傷)が
発生しやすい。また、レールとして必要とされる延性を
確保することが困難となり、車両などから作用する過大
な衝撃力などにより、レール溶接継ぎ手部や母材などか
ら不安定破壊を発生しやすい。また、パーライト組織の
全伸び値が13%を超えると、延性の向上により、車輪
との接触によって発生するレール頭部のG.C.部や頭側
部でのころがり面直下の限界塑性変形量が増大し、耐摩
耗性の向上もとないその塑性変形領域が拡大する。その
結果、車輪との繰り返し接触により、塑性変形領域にき
しみ割れやフレーキングといった表面損傷が発生しやす
くなるため、全伸び値の範囲は6〜13%の範囲が好ま
しい。さらに、本発明のごとく全伸び値が7〜12%の
範囲であれば、実用上問題とはならない軽微な表面損傷
もほとんど発生せず、さらに十分な耐表面損傷性を得る
ことができる。なお、パーライト組織の全伸び値は、鋼
の成分や熱間圧延等のレール製造条件で制御することが
できる。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1に本発明レール鋼の化学成分、ミクロ組織、引張試験
における0.2%耐力、全伸び値を示す。また、表1に
は図2に示す強制冷却条件下における西原式摩耗試験で
の70万回繰り返し後の摩耗量、図3に示すレール・車
輪の形状を1/4に縮尺加工した円盤試験片による水潤
滑ころがり疲労損傷試験結果を併記した。
1に本発明レール鋼の化学成分、ミクロ組織、引張試験
における0.2%耐力、全伸び値を示す。また、表1に
は図2に示す強制冷却条件下における西原式摩耗試験で
の70万回繰り返し後の摩耗量、図3に示すレール・車
輪の形状を1/4に縮尺加工した円盤試験片による水潤
滑ころがり疲労損傷試験結果を併記した。
【0035】
【表1】
【0036】表2に比較レール鋼の化学成分、ミクロ組
織、引張試験における0.2%耐力、全伸び値を示す。
また、表1には図2に示す強制冷却条件下における西原
式摩耗試験での70万回繰り返し後の摩耗量、図3に示
すレール・車輪の形状を1/4に縮尺加工した円盤試験
片による水潤滑ころがり疲労損傷試験結果を併記した。
織、引張試験における0.2%耐力、全伸び値を示す。
また、表1には図2に示す強制冷却条件下における西原
式摩耗試験での70万回繰り返し後の摩耗量、図3に示
すレール・車輪の形状を1/4に縮尺加工した円盤試験
片による水潤滑ころがり疲労損傷試験結果を併記した。
【0037】
【表2】
【0038】図4に本発明レール鋼と比較レール鋼(符
号:M〜O、共析炭素含有鋼)の0.2%耐力と摩耗量
の関係を示す。
号:M〜O、共析炭素含有鋼)の0.2%耐力と摩耗量
の関係を示す。
【0039】なお、レール鋼の構成は以下のとおりであ
る。 ・本発明レール鋼(12本) 符号A〜L 上記成分範囲で、該鋼レールの少なくとも一部がパーラ
イト組織を呈し、前記パーライト組織の0.2%耐力が
600〜1200MPaの範囲であることを特徴とする
耐摩耗性、耐表面損傷性に優れたパーライト系レール。
または、上記成分範囲で、該鋼レールの少なくとも一部
がパーライト組織を呈し、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPa、全伸び値が7〜12
%の範囲であることを特徴とする耐摩耗性、耐表面損傷
性に優れたパーライト系レール。
る。 ・本発明レール鋼(12本) 符号A〜L 上記成分範囲で、該鋼レールの少なくとも一部がパーラ
イト組織を呈し、前記パーライト組織の0.2%耐力が
600〜1200MPaの範囲であることを特徴とする
耐摩耗性、耐表面損傷性に優れたパーライト系レール。
または、上記成分範囲で、該鋼レールの少なくとも一部
がパーライト組織を呈し、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPa、全伸び値が7〜12
%の範囲であることを特徴とする耐摩耗性、耐表面損傷
性に優れたパーライト系レール。
【0040】・比較レール鋼(6本) 符号M〜R 符号M〜O:化学成分が上記請求範囲外の共析炭素含有
鋼による比較レール鋼。 符号P :化学成分が上記請求範囲外の過共析炭素含
有鋼による比較レール鋼。 符号Q〜R:0.2%耐力が上記請求範囲外の過共析炭
素含有鋼による比較レール鋼。
鋼による比較レール鋼。 符号P :化学成分が上記請求範囲外の過共析炭素含
有鋼による比較レール鋼。 符号Q〜R:0.2%耐力が上記請求範囲外の過共析炭
素含有鋼による比較レール鋼。
【0041】引張試験条件は次のとおりとした。 試験機 :万能小型引張試験機 試験片形状:JIS4号相似 平行部長さ:25mm、平行部直径:6mm、 伸び測定評点間距離:21mm 引張速度 :10mm/min 試験温度 :常温(20℃)
【0042】摩耗試験条件は次のとおりとした。 試験機 :西原式摩耗試験機 試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm) 試験荷重 :686N すべり率 :20% 相手材 :パーライト鋼(Hv390) 雰囲気 :大気中 冷却 :圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min) 繰返し回数:70万回 ころがり疲労損傷試験条件は次のとおりとした。 ・試験機 :ころがり疲労損傷試験機 ・試験片形状:円盤状試験片 (外径:200mm、レール材断面形状:60Kレールの1/4モデル) ・試験荷重 :ラジアル荷重:1.5トン スラスト荷重:0.3トン ・雰囲気 :乾燥+水潤滑(60cc/min) ・回転数 :乾燥(0〜5000回) :100rpm 乾燥+水潤滑(5000回〜):300rpm ・繰返し回数:0〜5000回まで乾燥状態、その後水潤滑により300万回 または損傷発生まで、なお、試験中ころがり面に微小な割れや剥離(1〜2mm )が発生した場合は、その損傷が進展しない限り、300万回まで実験を継続し た。
【0043】図4に示すように、本発明の0.2%耐力の
範囲内で、本発明レール鋼は、共析炭素含有の比較レー
ル鋼(符号:M〜O、共析炭素含有鋼)と比べて、炭素
量を高めることにより同一硬さにおいて摩耗量が少な
く、耐摩耗性が大きく向上している。
範囲内で、本発明レール鋼は、共析炭素含有の比較レー
ル鋼(符号:M〜O、共析炭素含有鋼)と比べて、炭素
量を高めることにより同一硬さにおいて摩耗量が少な
く、耐摩耗性が大きく向上している。
【0044】表1、2に示すように、本発明の0.2%耐
力の範囲内で、本発明レール鋼は、比較レール鋼(符
号:P)と比べて、過共析鋼においてC量を適切な範囲
に納めることにより、レールの靱性や延性に有害な初析
セメンタイト組織の生成させることなく、高い硬度のパ
ーライト組織を安定して得ることが可能となる。また、
本発明レール鋼は、比較レール鋼(符号:Q〜R)と比
べて、0.2%耐力を適切な範囲に納めることにより、
フレーキングやスポーリング損傷を防止することが可能
となり、耐表面損傷性が大きく向上する。
力の範囲内で、本発明レール鋼は、比較レール鋼(符
号:P)と比べて、過共析鋼においてC量を適切な範囲
に納めることにより、レールの靱性や延性に有害な初析
セメンタイト組織の生成させることなく、高い硬度のパ
ーライト組織を安定して得ることが可能となる。また、
本発明レール鋼は、比較レール鋼(符号:Q〜R)と比
べて、0.2%耐力を適切な範囲に納めることにより、
フレーキングやスポーリング損傷を防止することが可能
となり、耐表面損傷性が大きく向上する。
【0045】
【発明の効果】このように本発明によれば、成分組成、
組織、0.2%耐力、さらには全伸び値を一定の条件範囲
とすることで、耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたレ
ールを重荷重鉄道に提供することができる。
組織、0.2%耐力、さらには全伸び値を一定の条件範囲
とすることで、耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたレ
ールを重荷重鉄道に提供することができる。
【図1】レール頭部断面表面位置の呼称を表示した図
面。
面。
【図2】西原式摩耗試験機の概略図面。
【図3】ころがり疲労損傷試験機の概略図面。
【図4】本発明レール鋼と比較レール鋼(符号:M〜
O、共析炭素含有鋼)の0.2%耐力と摩耗量の関係を
示した図面。
O、共析炭素含有鋼)の0.2%耐力と摩耗量の関係を
示した図面。
1:頭頂部 2:頭部コーナー部 3:レール試験片 4:相手材 5:レール円盤試験片 6:車輪試験片 7:モーター(レール側) 8:モーター(車輪側) 9:水潤滑装置
Claims (7)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.85%超〜1.20%以下 を含有し、少なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼
レールであって、前記パーライト組織の0.2%耐力が
600〜1200MPaであることを特徴とする耐摩耗
性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レール。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.85%超〜1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50% を含有し、少なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼
レールであって、前記パーライト組織の0.2%耐力が
600〜1200MPaであることを特徴とする耐摩耗
性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レール。 - 【請求項3】 重量%で、 C :0.85%超〜1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50% を含有して、さらに、 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、 Ti:0.0050〜0.0300%、 Mg:0.0010〜0.0100%、 Ca:0.0010〜0.0150% Co:0.10〜2.00% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物からなり、少なくとも一部がパーライト組織を
呈した鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPaであることを特徴とす
る耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レ
ール。 - 【請求項4】 重量%で、 C:0.85%超〜1.20%以下 を含有し、少なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼
レールであって、前記パーライト組織の0.2%耐力が
600〜1200MPa、全伸び値が7〜12%である
ことを特徴とする耐摩耗性および耐表面損傷性に優れた
パーライト系レール。 - 【請求項5】 重量%で、 C :0.85%超〜1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50% を含有し、少なくとも一部がパーライト組織を呈する鋼
レールであって、前記パーライト組織の0.2%耐力が
600〜1200MPa、全伸び値が7〜12%である
ことを特徴とする耐摩耗性および耐表面損傷性に優れた
パーライト系レール。 - 【請求項6】 重量%で、 C :0.85%超〜1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50% を含有して、さらに、 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ni:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.50%、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、 Ti:0.0050〜0.0300%、 Mg:0.0010〜0.0100%、 Ca:0.0010〜0.0150% Co:0.10〜2.00% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物からなり、少なくとも一部がパーライト組織を
呈する鋼レールであって、前記パーライト組織の0.2
%耐力が600〜1200MPa、全伸び値が7〜12
%であることを特徴とする耐摩耗性および耐表面損傷性
に優れたパーライト系レール。 - 【請求項7】 鋼レールの頭部コーナー部および頭頂部
表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲がパー
ライト組織を呈することを特徴とする請求項1〜請求項
6のいずれか1項に記載の耐摩耗性および耐表面損傷性
に優れたパーライト系レール。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP11024210A JP2000219939A (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レール |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11024210A JP2000219939A (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レール |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000219939A true JP2000219939A (ja) | 2000-08-08 |
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ID=12131949
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11024210A Withdrawn JP2000219939A (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 耐摩耗性および耐表面損傷性に優れたパーライト系レール |
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| JP (1) | JP2000219939A (ja) |
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1999
- 1999-02-01 JP JP11024210A patent/JP2000219939A/ja not_active Withdrawn
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