JPH10196785A - ピストン - Google Patents

ピストン

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JPH10196785A
JPH10196785A JP1322297A JP1322297A JPH10196785A JP H10196785 A JPH10196785 A JP H10196785A JP 1322297 A JP1322297 A JP 1322297A JP 1322297 A JP1322297 A JP 1322297A JP H10196785 A JPH10196785 A JP H10196785A
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JP
Japan
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piston
outer ring
ring member
piston pin
skirt portion
Prior art date
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Application number
JP1322297A
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English (en)
Inventor
Teruo Nakada
輝男 中田
Yasuhiro Okubo
泰宏 大久保
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンにおいて、外環部材をピストン軸方
向と周方向に対称な形状とし、外環支持部材に対して弾
性力で保持させることにより、スラップ音を軽減した低
騒音ピストンの軽量化、部品点数の削減、組立作業性の
改善を図る。 【解決手段】 スカート部3の少なくともスラスト側に
配設される外環部材47は、ピストン本体1のピストン
軸線方向及び周方向に対称な形状とされるので、外環部
材47は小型化され、ピストン重量が軽減される。ま
た、ピストン本体1への外環部材47の組付けに方向や
姿勢に注意を払う必要がない。更に、外環部材47は、
弾性部材で成形され且つピストンピン42の両端部にお
いて腕部49が外環支持部材52に係合することで、回
動且つ径方向移動自在とされるので、部品点数が減少
し、ピストンをアッセンブリとして取り扱うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばエンジン
に適用される、クラウン部とスカート部とを一体構成と
したピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】シリンダ内でのピストンの作動によって
発生する騒音の一つにスラップ音がある。このスラップ
音は、ピストンがシリンダ内を往復運動するときに該ピ
ストンのスカート部がシリンダライナの壁面に衝突する
ことによって発生するものである。つまり、シリンダ内
をピストンが往復運動できるように、ピストンとシリン
ダライナの壁面との間には間隙が形成されている一方
で、燃焼室からのブローダウンを防止するため、ピスト
ンに形成されたピストンリング溝にはピストンリングが
嵌入しているので、ピストンとシリンダとの間には隙間
が存在し、ピストンがシリンダ内を往復運動する時、ピ
ストンの径方向、即ちスラスト方向のシリンダライナ壁
面にピストンが衝突してスラップ音が発生する。
【0003】従来、このスラップ音を低減するため、種
々のピストンが開発されてきた。例えば、本出願人は、
特開平8−42391号公報に開示されているような、
ピストン本体のスカート部外周に、ピストン本体に対し
て回動可能に且つスラスト方向に相対移動可能となるよ
うに、外環部材を配設すると共に、スカート部と外環部
材との間の隙間にオイルを導入し、導入したオイルのダ
ンピング作用によって、外環部材がピストン本体のスカ
ート部に衝突するのを緩和させて低騒音化を図ったピス
トンを提案している。
【0004】図5は、上記特開平8−42391号公報
に開示されたピストンの例を示す分解斜視図である。図
5に示すように、このピストンは、ピストンヘッド部で
あるクラウン部2とボス部13を備えたスカート部3と
を一体構造に構成したピストン本体1、スカート部3に
嵌合する外環部材7、ボス部13と外環部材7との間に
介在され外環部材7を回動自在に且つスラスト方向に相
対移動自在に支持する外環支持部材10、ピストン本体
1とコンロッド11(図7参照)とを回転自在に連結す
るピストンピン22、及びピストンピン22に外環支持
部材10を取り付けるためのサブピストンピン23を有
している。
【0005】ピストン本体1のクラウン部2には複数の
ピストンリング溝12が形成されており、各ピストンリ
ング溝12にはピストンリング(図示せず)が嵌入され
る。スカート部3は、クラウン部2の外径よりも小さい
外径を有し且つクラウン部2の下部に一体的に形成され
ている。また、ピストン本体1のスカート部3はピスト
ンピン22を挿通するピストンピン孔4が形成されたボ
ス部13を備えている。ピストン本体1には、ピストン
ピン孔4からスカート部3へ延びる油路6が形成されて
いる。油路6については、図5では、スカート部3の外
周面に開口する部分のみが図示されており、図6では、
簡潔のため、エンジンの爆発行程中にピストンがシリン
ダライナに対して圧接される側であるスラスト側にのみ
示されている。そして、スカート部3には油路6から導
入された油圧をスカート部3の一面に分布させるための
油溝5が十字状に形成されている。
【0006】油溝5及び油路6は、スカート部3のスラ
スト側と反スラスト側とに形成されているが、図5には
スラスト側のみ示してある。油溝5の形成箇所はピスト
ンリング溝12よりも下方位置であって且つピストンピ
ン22の中心軸よりも上方位置に設定されている。外環
部材7はスラスト側及び反スラスト側においてスカート
部3に配設されているので、ピストンは、スラスト側及
び反スラスト側にオイルダンピング機構を備えたピスト
ン(以下、「両側オイルダンピング式ピストン」と言
う)である。
【0007】外環部材7は半円弧面部材7bからなり、
ピストン本体1のスカート部3に嵌合される。半円弧面
部材7bの周方向両側にはそれぞれ円周方句に延びる腕
部18が形成されている。また、外環部材7がシリンダ
を構成するシリンダライナと同程度の熱膨張率を有する
材料で製作されていることが、外環部材7とシリンダラ
イナとの間に熱膨張差が発生せず好ましいものである。
例えば、シリンダライナが鋳鉄で製作されている場合に
は、外環部材7は鋳鉄又は鋼等で製作し、また、シリン
ダライナがセラミックスで製作されている場合には、外
環部材7をセラミックスで製作することができる。
【0008】外環支持部材10はピストン本体1のスカ
ート部3に形成されたボス部13にピストンピン22を
両側から挟むように配置され、外環部材7を支持するも
のである。外環支持部材10はピストンピン22の軸回
りに回動可能に設けられている。また、外環支持部材1
0は外環部材7の上下方向移動を規制し且つ外環部材7
のスラスト方向の相対移動を許容する案内溝19を有し
ている。案内溝19は外環支持部材10の上部と下部に
それぞれ凸状に形成された係止部即ち鍔部20,21に
よって規定されている。案内溝19の幅は外環部材7の
腕部18の幅と略等しく形成されているので、腕部18
は案内溝19に係合可能である。腕部18の案内溝19
への係合により、外環部材7は腕部18を介して外環支
持部材10に形成された案内溝19に摺動可能に支持さ
れる。また、案内溝19の中央部にはスカート部3のピ
ストンピン孔4に整合するピン孔29が形成されてい
る。
【0009】ピストンピン22は中心孔28を有してお
り、該中心孔28にはサブピストンピン23の小径部2
4が圧入可能になっている。また、ピストンピン22は
外周面の3箇所に即ち中央部と両端部に円周状に形成さ
れた油溝8,9を有しており、各油溝8,9は油路1
5,16を介して中心孔28に連通する。ピストンピン
22をピストン本体1及びコンロッド11に取り付けた
状態においては、図7に示すように、中央部の油溝8は
コンロッド11の油路38と連通し、両端部の油溝9は
ピストン本体1のピストンピン孔4からスカート部3へ
向かって延びる油路6に連通する。
【0010】サブピストンピン23は、図5に示すよう
に、小径部24と大径部25とからなるピン部26と、
大径部25の端部に形成されたキャップ部27とから構
成されている。小径部24はピストンピン22の中心孔
28に圧入される。また、大径部25は外環支持部材1
0のピン孔29に嵌合される。
【0011】このピストンの組立は以下のようにして行
われる。まず、ピストン本体1のピストンピン孔4及び
コンロッド11の小径部の孔にピストンピン22を挿入
して、ピストン本体1にピストンピン22を固定する。
次いで、ピストンピン22を両側から挟むように外環支
持部材10をピストン本体1のボス部13に当てて、サ
ブピストンピン23の先端の小径部24をピストンピン
22の中心孔28に圧入する。これにより、サブピスト
ンピン23の大径部25が外環支持部材10のピン孔2
9に挿入された状態になり、この状態で、外環支持部材
10はピストンピン22の軸回りに回動可能となる。そ
の後、ピストン本体1のスカート部3に対して、腕部1
8を外環支持部材10の案内溝19に挿入して外環部材
7を嵌合することにより、上記ピストンは組み立てられ
る。なお、このピストンは、ピストン単体の状態におい
ては、外環部材7は腕部18が外環支持部材10の案内
溝19から簡単に外れてしまうが、ピストンをシリンダ
内に収納した状態では、外環部材7は外環支持部材10
から外れ落ちることはない。
【0012】次に、外環部材7とピストン本体1のスカ
ート部3との関係について説明する。外環部材7とスカ
ート部3との間には、図6に示すように、隙間14が形
成されている。隙間14には油圧が供給される。外環部
材7は外周面の半径がシリンダボアの半径と等しく形成
されているので、このピストンをシリンダ内に組み込ん
だ状態においては、外環部材7はシリンダライナに密着
することになる。外環部材7の内周面の半径R1 は、外
環部材7の板厚をtとするとき、R1 =Br −tで表さ
れる。これに対して、ピストン本体1は、スカート部3
の半径R2 が外環部材7の内周面の半径R1 よりも大き
く(R2 >R1 )、且つスカート部3の半径R2 の中心
Pがピストン本体1の中心P0 から外環部材7が配設さ
れる側とは反対方向に微小距離Ls だけ離れるように即
ち偏倚するように設定したものである。また、外環部材
7とスカート部3との間隔(クリアランス)の取り方に
ついて、スカート部3をピストン中心に対して楕円状に
形成することもできる。
【0013】この結果、外環部材7とスカート部3との
隙間14の間隔は、外環部材7の中央部30と周辺部3
1とでは異なることになる。即ち、中央部30の間隔
(クリアランス)をC1 、周辺部31の間隔(クリアラ
ンス)をC2 で表すとすれば、中央部30の間隔C1
は、C1 =R1 −(R2 −LS )となり、R1 、R2
S を適当に選ぶことにより、C1 >C2 となり、外環
部材7とスカート部3との間隔は、中央部30から周辺
部31に至るに従って、C1 からC2 まで徐々に小さく
なるように形成することができる。
【0014】次に、ピストンへの油圧供給経路について
説明する。図7に示すように、ピストン本体1は、コン
ロッド11の小径端に形成された孔と、スカート部3の
ピストンピン孔4にピストンピン22を挿通することに
よって、コンロッド11の小径端に回転可能に支持され
る。また、コンロッドの大径端はクランクシャフト33
のクランクピン34にコンロッドベアリング32を介し
て回転可能に支持される。クランクシャフト33はオイ
ルギャラリー35を備えたシリンダブロック36に回転
自在に支持される。
【0015】一般に、ピストンは、オイルギャラリー3
5からシリンダブロック36及びクランクシャフト33
を経由してクランクピン34まで油路37が形成されて
いる。この実施例では、更にクランクピン34の油路3
7に連通する油路38がコンロッド11に形成され、油
路38に連通する油溝8がピストンピン22の中央部周
面に形成されている。ピストンピン22の中央部周面に
形成された油溝8は油路39としての中心孔28に連通
し、油路39は更にピストンピンの両端部周面に形成さ
れた油溝9に連通している。また、油溝9はピストン本
体1におけるピストンピン孔4からスカート部3へ向か
って延びる油路6に連通している。以上のように構成さ
れているから、オイルギャラリー35から供給された圧
油は、これらの油路及び油溝を経由して、ピストン本体
1のスカート部3に形成された油溝5へと導かれ、外環
部材7とスカート部3との間の隙間14に次々に供給さ
れることになる。勿論、この隙間14は密閉空間ではな
いから、圧油は隙間14から次々に漏出する。この状態
において、外環部材7はシリンダライナのスラスト側の
壁面に向けて所定の圧力で押し付けられ、外環部材7の
外周面がシリンダライナの壁面に密着した状態になる。
なお、所定の圧力とは、外環部材7をシリンダライナの
壁面に常に軽く密着させておく程度の小さな圧力をい
う。
【0016】このピストンは、以上のような構成を備え
ており、以下のように作動する。ピストンをシリンダボ
ア内に組み込み、前記隙間に油圧を供給すると、外環部
材7はシリンダライナに向けて押し付けられて該シリン
ダライナの壁面に密着した状態になる。ピストンが往復
運動すると、外環部材7はピストン本体1と一体的に往
復運動する。また、ピストンの往復運動に従ってピスト
ン本体1はスラスト方向に移動し即ちピストンピン22
の軸回りで揺動し、スラスト側においては、スカート部
3が外環部材7を介してシリンダライナの壁面に衝突し
ようとする。その時、外環部材7とスカート部3との間
の隙間14に満たされている圧油はスカート部3の周辺
部31の隙間C2 から押し出される。ところが、その隙
間14は外環部材7の中央部30(隙間C1 )で大きく
且つ周辺部31(隙間C2 )で小さく形成されている
(C1 >C2 )ので、周辺部31が絞りとしての機能を
発揮するようになり、ピストン本体1は急に油圧による
抵抗を受けて外環部材7の方へ接近し難くなる。このよ
うにピストン本体1がピストンピン22の軸回りに揺動
した時に、ピストン本体1は油圧緩衝作用を受けるの
で、スラスト側におけるスラップ音の発生が防止され
る。
【0017】また、本出願人は、国際出願(PCT/J
P96/01278)にも低騒音化を図ったピストンを
開示している。このピストンは、ピストン本体のスカー
ト部と外環部材との間に形成された油膜のダンピング作
用によってシリンダライナに対するピストンの衝撃を抑
えてピストンのスラップ音を低減させるという基本的な
構成において、上記の公報に記載のものと同じである。
このピストンは、また、ピストンピンの外側に取り付け
られた支持部材で支持される二組の外環部材を有し、ス
ラスト側及び反スラスト側においてダンピング作用が得
られる両側オイルダンピング式ピストンである。
【0018】更に、本出願人は、オイルダンピング機構
を片側だけに採用した構造を有する低騒音のエンジン用
ピストンを提案した(特願平8−249089号)。オ
イルダンピング機構を片側だけに採用したことによって
オイル使用量が低減される。また、オイルダンピング機
構を片側だけに限ったことによって増加する騒音には、
ピストンの重心位置を特定することによって対処したも
のである。即ち、ピストン本体の重心をピストン本体の
中心線に対してスラスト側にオフセットすることによ
り、上死点に向かって減速中のピストンにおいても、混
合気の圧縮圧力が作用し始める圧縮行程の終期において
も、ピストンに対して常に反スラスト側に押し付ける力
が作用し続け、ピストンが押し付けられる方向がスラス
ト側から反スラスト側に変わることがないので、スラッ
プ音が発生するのを抑制することができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のエンジン用
ピストンは、いずれも、スラップ音を有効に低減させる
ことができるものであるが、以下に挙げるような、なお
改良すべき点が残されている。まず、外環部材がスカー
ト部の全高、即ち、ピストン軸線方向に沿ったスカート
部の幅全体を覆うような形状に形成されているため、外
環部材が大型化してピストン全体の重量増加を招いてい
る。また、外環部材は、図5に示すように、スカート部
3の形状に合わせた特有の形状を有している。即ち、外
環部材はピストンの軸線方向に平行な中心線に対しては
左右対称に形成されているが、上下方向には対称に形成
されていない。したがって、ピストン本体に外環部材を
組み付けるに際して、誤組付けを防止するために外環部
材の上下方向を確認しつつ組付け作業を行う必要があ
り、組付け作業の煩雑化を招いている。
【0020】また、外環部材をピストンピンに対して回
動可能に取り付けつつその脱落を防止するために、ピス
トンピンに対して圧入されるサブピストンピンを用いて
おり、外環支持部材をサブピストンピンに対して回動自
在に支持し、このようにして回動自在に支持された外環
支持部材に対して外環部材を径方向に移動自在に支持さ
せて、外環部材のピストンピンからの脱落防止を図って
おり、一般的なピストンに比して部品点数が増加し、高
コストとなっている。
【0021】更に、外環部材は外環支持部材の案内溝に
係合されているのみであるため、ピストン自体は外環部
材がピストン本体に組み付けられた状態を保つことがで
きず、ピストンを、外環部材とピストン本体とを予め組
み立てたアッセンブリ品として扱うことができない。し
たがって、ピストンをシリンダライナに挿入する際に
は、外環部材を手等で抑えてピストン本体から脱落しな
いように保持する必要があり、エンジンの組立作業の煩
雑化を招いている。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
課題を解決することであり、上記各先願に開示されてい
るような少なくともスラスト側にオイルダンピング方式
を採用したピストンにおいて、ピストン全体の重量を軽
減し、部品点数を削減し且つピストンのエンジンへの組
付け作業を簡単化できるピストンを提供することであ
る。
【0023】上記の目的を解決するため、以下のように
構成されている。即ち、この発明は、ピストンリング溝
を備えたクラウン部とピストンピンを挿通するピストン
ピン孔が形成されたボス部を備えたスカート部とから構
成したピストン本体、前記スカート部の少なくともスラ
スト側に配設され且つ前記スカート部との間に隙間を形
成している外環部材、及び前記外環部材を前記ピストン
ピンの軸回りに回動自在に且つ前記ピストン本体に対し
て径方向に相対移動自在に支持するため前記ピストンピ
ンの両端部に取り付けられた外環支持部材を具備し、前
記外環部材は前記ピストン本体のピストン軸方向及び周
方向に実質的に対称な形状に形成されていることから成
るピストンに関する。
【0024】この発明によるピストンでは、前記外環部
材がスカート部の少なくともスラスト側に配設されてい
るので、外環部材をスラスト側と反スラスト側の両側に
装着する場合は勿論のこと、外環部材をスラスト側のみ
に装着する場合でも、スラップ音軽減作用が得られる。
また、前記外環部材が前記ピストン本体の軸方向及び周
方向に実質的に対称な形状に形成されているので、ピス
トンの組立に際して、ピストン本体に対して外環部材を
装着する方向や姿勢に注意を払わずとも装着できれば結
果的に正しい装着となっており、外環部材をピストン本
体に装着するに際して外環部材の方向や姿勢を確認する
必要がない。更に、外環部材を対称な形状に形成してい
るので、外環部材をスカート部全体を覆うような特有形
状とならず、外環部材は小型化され、ピストン全体の重
量が軽減される。
【0025】また、上記の目的を解決するため、以下の
ように構成されている。即ち、この発明は、ピストンリ
ング溝を備えたクラウン部とピストンピンを挿通するピ
ストンピン孔が形成されたボス部を備えたスカート部と
から構成したピストン本体、前記スカート部の少なくと
もスラスト側に配設され且つ前記スカート部との間に隙
間を形成している外環部材、及び前記外環部材を前記ピ
ストンピンの軸回りに回動自在に且つ前記ピストン本体
に対して径方向に相対移動自在に支持するため前記ピス
トンピンの両端部に取り付けられた外環支持部材を具備
し、前記外環部材は弾性部材から成り、且つ前記外環部
材は、前記外環部材の周方向両端に形成された腕部が前
記外環支持部材に形成された係合部にばね力で係合する
ことにより前記外環支持部材に支持されていることから
成るピストンに関する。
【0026】この発明によるピストンでは、外環部材の
周方向両端に形成された腕部は、弾性部材から成る外環
部材のばね力によって外環支持部材に形成された係合部
に係合するので、外環部材をピストン本体に装着した状
態では、外環支持部材は、外環部材のばね力によってピ
ストンピン孔に押し込まれる方向の力を受けてピストン
ピンから脱落し難くなっている。したがって、従来のピ
ストンのようにサブピストンピンを必要としているもの
ではなく、部品点数が減少する。また、外環部材は、前
記腕部が外環支持部材に形成された係合部に係合するこ
とによって外環支持部材に保持されるので、例えば、ピ
ストンのシリンダライナへの組立作業において、ピスト
ン本体に外環部材が保持された状態のピストンを一つの
アッセンブリとして取り扱うことが可能となる。
【0027】また、このピストンでは、前記外環部材
は、前記ピストン本体のピストン軸方向及び周方向に実
質的に対称な形状に形成されると共に、弾性部材から形
成し、且つ前記外環部材の周方向両端に形成された腕部
が前記外環支持部材に形成された係合部にばね力で係合
することにより前記外環支持部材に支持されるものであ
る。このような外環部材を用いると、外環部材の小型化
と軽量化、ピストン本体への組付け作業性の向上が図ら
れると共に、外環支持部材のピストンピンからの脱落の
防止、即ち、外環支持部材がピストンピン孔からの抜出
しの防止と、外環部材のピストン本体への保持とが簡素
化される。
【0028】更に、上記ピストンにおいて、前記外環部
材の周方向両端に形成された腕部が補強部材によって補
強されており、前記腕部と前記補強部材とが前記外環支
持部材に形成された係合部に係合している。外環部材の
ピストン本体に対するスラスト方向、即ち、ピストン本
体の径方向への摺動は、前記腕部が外環支持部材に形成
された係合部に摺動することにより行われるが、このピ
ストンにおいては、腕部と補強部材とが共に摺動するこ
とになる。したがって、外環部材は、摺動部の耐摩耗性
が向上し、スラップ音の抑制が長期にわたり且つ安定し
て図られる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、こ
の発明の実施例を説明する。図1はこの発明によるピス
トンの一実施例を示す分解斜視図、図2は図1のピスト
ンをピストンピンの軸線方向から見た正面図、図3は図
1のピストンの側面図、図4は、図2の線A−Aに示す
平面で切断(外環支持部材52を除く)した断面図であ
る。
【0030】図1〜図4に基づいて、この発明によるピ
ストンの一実施例を説明する。この発明によるピストン
は、外環部材47によるオイルダンピング機構をピスト
ンのスラスト側、即ち、ピストンの昇降動作時に慣性力
や混合気の圧縮圧力に起因してピストンがシリンダライ
ナに対して特定の径方向に衝突させられることになる側
にのみ配置したものである。ピストンの基本的な構造、
作動等については、先に提案したピストンと同様であ
る。したがって、従来のピストンと同じ構成要素につい
て同じ符号が用いられている。
【0031】ピストン本体1は、従来のピストンと同様
に、複数のピストンリング溝12を備えたクラウン部2
と、ボス部13にピストンピン42が挿入されるピスト
ンピン孔4が形成されたスカート部3とを有している。
図4に示すように、ピストンピン孔4に挿入されたピス
トンピン42は、ピストンピン孔4の両端近傍に形成さ
れたリング溝45に嵌着されるスナップリング44によ
りピストンピン孔4内から抜け出さないように保持され
る。
【0032】外環部材47はピストン本体1のスカート
部3の外周のスラスト側において配設されているが、外
環部材をピストンのスラスト側のみならず、反スラスト
側に設けてもよい。実施例に示すように、外環部材47
をスラスト側に限って配設しても、外環部材をスラスト
側及び反スラスト側の両側に配設する場合と比較して、
スラップ音の軽減作用が大きく減少しないことが、実験
上確認されている。
【0033】外環部材47は、鋼板のような全体が弾性
を有する板状部材で形成されている。外環部材47は、
ピストン本体1の外周面に沿って配置されてオイルダン
ピング機能を受け持つ半円弧状本体48と、半円弧状本
体48から両側に延びて後述する外環支持部材に係合さ
れる腕部49とを有している。外環部材47の弾性は、
半円弧状本体48が円弧を縮径する方向にばね性を備え
ていることに基づいている。
【0034】ピストン本体1のスカート部3と外環部材
47との間に形成される隙間14に導入されるオイルは
クランク室へ流れ出ていくものであるので、常にオイル
を補給する必要がある。スカート部3のスラスト側の側
面には、外環部材47とスカート部3との間隙に油を供
給するための油溝46が形成されている。油溝46は、
ピストンリング溝12の下方且つピストンピン42の中
心の上方位置に形成されている。オイルの補給について
は、供給路による直接供給方式と、クラウン部2に形成
されたクーリングチャンネルからの給油方式とがある。
クーリングチャンネルによる給油方式は、構造が簡単と
なり好ましい。直接供給方式を採用する場合には、ダン
パー用オイルは、図7に示した経路、即ち、油圧源か
ら、クランクシャフト33、コンロッド11、及びピス
トンピン42を通じて導入される。ピストンピン42と
スカート部3における油路の構造は、図5及び7に示し
たピストンピン22及びスカート部3の油路と同様の構
造とされる。
【0035】ピストンピン42の両端部には、外環支持
部材52が配設されている。外環支持部材52は、ピス
トンピン42の中空孔43内に嵌入される小径部53
と、外環部材47の腕部49と係合する係合部55を有
する大径部54とを有している。外環支持部材52の小
径部53をピストンピン42の中空孔43内に嵌入し、
大径部54の側面をピストンピン42の端面に当接させ
た状態では、係合部55はスカート部3のボス部13か
ら外部に露出している。係合部55は、一対の対向する
鍔部56,57によって形成される案内溝58を有して
いる。したがって、外環部材47は、腕部49が係合部
55の案内溝58に滑り嵌入するように係合するので、
ピストン本体1の径方向に相対移動自在である。しか
も、外環支持部材52の小径部53がピストンピン42
の中空孔43内で回動することにより、外環部材47は
外環支持部材52と共にピストンピン42の軸周りに回
動自在でもある。
【0036】腕部49の内側面には、補強部材50が取
り付けられている。係合部55に対しては、腕部49と
補強部材50とが摺動係合する。補強部材50は、腕部
49が係合部55に接触する接触面積を増加させている
ので、外環支持部材52に対する腕部49の支持が安定
すると共に、外環部材47が外環支持部材52に対して
ピストン本体1の径方向に摺動するときの摺動部の耐摩
耗性が向上する。補強部材50の腕部49への取付け
は、プロジェクション溶接等により行われる。
【0037】外環部材47は、ピストン本体1のピスト
ン軸線方向(図2及び図3において上下の方向)及び周
方向について対称形に形成されている。即ち、外環部材
47は、図2に示すように、ピストン本体のピストン軸
線に直交する平面A−A、及び図3に示すようにピスト
ン本体のピストン軸線を含む平面B−Bについて、対称
形に形成されている。したがって、外環部材47をピス
トン本体に組み付ける時に、外環部材の上下及び左右方
向に注意を払うことなく組み付けることができる。外環
部材47をピストン本体1に組み付けることができれば
結果的に正しく組付けられていることになり、外環部材
47のピストン本体1への組付け作業が簡素化される。
【0038】また、外環部材47は、特にピストン本体
1のピストン軸線方向及び周方向に対称に形成してある
ので、図5に示したようなスカート部3の形状に合わせ
た特有の形状を有する従来の外環部材7と比較して、上
下幅が狭くスカート部3の肩部にのみ適用されるものと
なっている。このような形状を有する外環部材47は、
形状が簡素化されて製作上有利であるばかりでなく、シ
リンダライナとの摩擦が軽減され、且つピストン全体の
軽量化に寄与している。上下幅が狭い外環部材47であ
っても、従来の外環部材7と比較してオイルダンピング
効果に格別の差が生じないことが、実験上確認されてい
る。
【0039】外環部材47は、その半円弧状本体48が
円弧を縮径する方向にばね性を有している。腕部49
は、そのばね性に抗して腕部49を拡開した状態で、外
環支持部材52の係合部55に係合する。外環部材47
を外環支持部材52に支持させた状態では、外環支持部
材52は、外環部材47の半円弧状本体48が自身の円
弧を縮径させようとするばね性により、ピストンピン4
2の端部に当接するように付勢される。したがって、外
環支持部材52は中空孔43から抜け出るのが防止され
てピストンピン42から脱落することがなく、且つ外環
部材47は外環支持部材52に保持される。外環部材と
外環支持部材とのピストン本体への組付けにはサブピス
トンピンを要しないので、部品点数が削減されて低コス
ト化が図られる。また、ピストン本体と外環部材とをア
ッセンブリ品として扱うことが可能となり、シリンダラ
イナへのピストンの挿入等の組立作業性が改善される。
【0040】
【発明の効果】この発明によるピストンは上記のように
構成されているので、次のような効果を奏する。即ち、
この発明によるピストンは、外環部材をピストンピンの
両端部の外環支持部材に対してピストンピンの軸回りに
回動自在に且つピストン本体に対して径方向に相対移動
自在に支持しており、外環部材をピストン本体のピスト
ン軸方向及び周方向に実質的に対称な形状に形成したの
で、外環部材をスカート部の形状に合わせた特有の形状
とすることがなく、外環部材の小型化が図られ、ピスト
ン本体全体の重量が軽減される。また、組付け時に外環
部材の上下方向を確認する必要がなくなるので、外環部
材のピストン本体への組付け作業の簡素化が図られ、量
産性が向上する。
【0041】また、この発明によるピストンは、外環部
材をピストンピンの両端部の外環支持部材に対してピス
トンピンの軸回りに回動自在に且つピストン本体に対し
て径方向に相対移動自在に支持しており、前記外環部材
を弾性部材から形成し、且つ前記外環部材の周方向両端
に形成された腕部が前記外環支持部材に形成された係合
部にばね力で係合することにより前記外環部材が前記外
環支持部材に支持されるものであるから、外環部材のば
ね力によりピストンピンからの外環支持部材の脱落防止
と外環部材の外環支持部材に対する保持とが同時に行わ
れる。この発明によるピストンでは、従来のピストンに
おいて外環支持部材を支持していたサブピストンピンが
不要となるので、部品点数が減少しコストダウンを図る
ことができる。また、ピストン本体に外環部材を組み付
けたものがアッセンブリ品として扱えることになるた
め、例えば、エンジンに組み付ける場合には、シリンダ
ライナへのピストン挿入作業が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるピストンの一実施例を示す分解
斜視図である。
【図2】図1に示したピストンの一実施例の正面図であ
る。
【図3】図1に示したピストンの一実施例の側面図であ
る。
【図4】図2における線A−Aで示す平面での断面図で
ある。
【図5】従来のピストンの一実施例を示す分解斜視図で
ある。
【図6】図5に示した従来のピストンのピストン本体と
外環部材との関係を示す断面図である。
【図7】従来のピストンの給油機構を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ピストン本体 2 クラウン部 3 スカート部 4 ピストンピン孔 7 外環部材 10 外環支持部材 12 ピストンリング溝 13 ボス部 14 隙間 42 ピストンピン 47 外環部材 49 腕部 50 補強部材 52 外環支持部材 53 小径部 54 大径部 55 係合部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンリング溝を備えたクラウン部と
    ピストンピンを挿通するピストンピン孔が形成されたボ
    ス部を備えたスカート部とから構成したピストン本体、
    前記スカート部の少なくともスラスト側に配設され且つ
    前記スカート部との間に隙間を形成している外環部材、
    及び前記外環部材を前記ピストンピンの軸回りに回動自
    在に且つ前記ピストン本体に対して径方向に相対移動自
    在に支持するため前記ピストンピンの両端部に取り付け
    られた外環支持部材を具備し、前記外環部材は前記ピス
    トン本体のピストン軸方向及び周方向に実質的に対称な
    形状に形成されていることから成るピストン。
  2. 【請求項2】 ピストンリング溝を備えたクラウン部と
    ピストンピンを挿通するピストンピン孔が形成されたボ
    ス部を備えたスカート部とから構成したピストン本体、
    前記スカート部の少なくともスラスト側に配設され且つ
    前記スカート部との間に隙間を形成している外環部材、
    及び前記外環部材を前記ピストンピンの軸回りに回動自
    在に且つ前記ピストン本体に対して径方向に相対移動自
    在に支持するため前記ピストンピンの両端部に取り付け
    られた外環支持部材を具備し、前記外環部材は弾性部材
    から成り、且つ前記外環部材は、前記外環部材の周方向
    両端に形成された腕部が前記外環支持部材に形成された
    係合部にばね力で係合することにより前記外環支持部材
    に支持されていることから成るピストン。
  3. 【請求項3】 前記外環部材は前記ピストン本体の軸方
    向及び周方向に実質的に対称な形状に形成されている請
    求項2に記載のピストン。
  4. 【請求項4】 前記外環部材の周方向両端に形成された
    腕部が補強部材によって補強されており、前記腕部と前
    記補強部材とが前記外環支持部材に形成された係合部に
    係合している請求項1〜3のいずれか1項に記載のピス
    トン。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005037175A1 (de) * 2005-08-06 2007-02-08 Mahle International Gmbh Kolben für einen Verbrennungsmotor sowie Abdeckring für den Kühlkanal eines solchen Kolbens

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005037175A1 (de) * 2005-08-06 2007-02-08 Mahle International Gmbh Kolben für einen Verbrennungsmotor sowie Abdeckring für den Kühlkanal eines solchen Kolbens

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