JPH1078129A - エンジン用ピストン - Google Patents
エンジン用ピストンInfo
- Publication number
- JPH1078129A JPH1078129A JP24908996A JP24908996A JPH1078129A JP H1078129 A JPH1078129 A JP H1078129A JP 24908996 A JP24908996 A JP 24908996A JP 24908996 A JP24908996 A JP 24908996A JP H1078129 A JPH1078129 A JP H1078129A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piston
- oil
- outer ring
- thrust side
- pin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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- Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ピストンにおいて、高回転数運転時の圧縮行
程において反スラスト側で生じるスラップ音の低減を図
る。 【解決手段】 スカート部3のスラスト側にのみ、スカ
ート部3との間の隙間内にダンピング用オイルが供給さ
れる外環部材7を嵌合配設する。ピストン本体1の重心
G2 は、ピストン本体1の中心線A−Aに対してスラス
ト側にオフセットしている。高回転数運転時の圧縮行程
において、ピストン本体1に働く慣性力と圧縮圧力に基
づくモーメントによって、ピストン本体1はクラウン部
2を反スラスト側に押し付けながら上死点へと移動する
ので、ピストン本体1のシリンダライナに対する衝撃が
軽減されて、スラップ音の発生を確実に低減できる。
程において反スラスト側で生じるスラップ音の低減を図
る。 【解決手段】 スカート部3のスラスト側にのみ、スカ
ート部3との間の隙間内にダンピング用オイルが供給さ
れる外環部材7を嵌合配設する。ピストン本体1の重心
G2 は、ピストン本体1の中心線A−Aに対してスラス
ト側にオフセットしている。高回転数運転時の圧縮行程
において、ピストン本体1に働く慣性力と圧縮圧力に基
づくモーメントによって、ピストン本体1はクラウン部
2を反スラスト側に押し付けながら上死点へと移動する
ので、ピストン本体1のシリンダライナに対する衝撃が
軽減されて、スラップ音の発生を確実に低減できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、クラウン部とス
カート部とを一体構造としたピストン本体、及び前記ス
カート部に嵌合した外環部材を有するエンジン用ピスト
ンに関する。
カート部とを一体構造としたピストン本体、及び前記ス
カート部に嵌合した外環部材を有するエンジン用ピスト
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動によって発生する騒音の
一つにスラップ音がある。このスラップ音は、ピストン
がシリンダ内を往復運動するときに該ピストンのスカー
ト部がシリンダライナの壁面に衝突することによって発
生するものである。つまり、シリンダ内をピストンが往
復運動できるように、ピストンとシリンダライナの壁面
との間には間隙が形成されている一方で、燃焼室からの
ブローダウンを防止するため、ピストンに形成されたピ
ストンリング溝にはピストンリングが嵌入しているの
で、ピストンがシリンダ内を往復運動する時、ピストン
ピン軸に垂直な方向即ちスラスト方向のシリンダライナ
壁面にピストンが衝突してスラップ音が発生する。
一つにスラップ音がある。このスラップ音は、ピストン
がシリンダ内を往復運動するときに該ピストンのスカー
ト部がシリンダライナの壁面に衝突することによって発
生するものである。つまり、シリンダ内をピストンが往
復運動できるように、ピストンとシリンダライナの壁面
との間には間隙が形成されている一方で、燃焼室からの
ブローダウンを防止するため、ピストンに形成されたピ
ストンリング溝にはピストンリングが嵌入しているの
で、ピストンがシリンダ内を往復運動する時、ピストン
ピン軸に垂直な方向即ちスラスト方向のシリンダライナ
壁面にピストンが衝突してスラップ音が発生する。
【0003】従来、このスラップ音を低減するため、種
々のピストンが開発されてきた。例えば、ピストン本体
のスカート部に外環部材を嵌合したピストン自体は、よ
く知られた構造のものであり、実公昭57−39564
号公報には、ピストンのスラスト面、即ち、爆発行程に
おいて燃焼ガス圧力によってシリンダライナに対して圧
接されるピストン面側にのみ、外環部材として半円筒形
のスラスト片をピストンピンの軸線に対して直交するピ
ストン半径方向に摺動自在に設け、更に当該スラスト片
とピストンとの間にオイル室を構成し、該オイル室内に
封入したオイルによってピストンの衝撃を吸収するピス
トンが開示されている。
々のピストンが開発されてきた。例えば、ピストン本体
のスカート部に外環部材を嵌合したピストン自体は、よ
く知られた構造のものであり、実公昭57−39564
号公報には、ピストンのスラスト面、即ち、爆発行程に
おいて燃焼ガス圧力によってシリンダライナに対して圧
接されるピストン面側にのみ、外環部材として半円筒形
のスラスト片をピストンピンの軸線に対して直交するピ
ストン半径方向に摺動自在に設け、更に当該スラスト片
とピストンとの間にオイル室を構成し、該オイル室内に
封入したオイルによってピストンの衝撃を吸収するピス
トンが開示されている。
【0004】また、実開昭58−144044号公報に
は、ピストンのスラップ音を低減する目的で、ピストン
ピンの軸中心をピストン本体の中心線に対してオフセッ
トした内燃機関のピストンが開示されている。即ち、上
記公報には、爆発初期のスラップ時のスカート部とシリ
ンダライナとの衝突を軽減してシリンダライナの摩耗を
防ぐことを目的として、ピストンピンの軸中心をピスト
ン本体の中心線に対してスラスト側へオフセットさせる
とともに、ピストン重心をピストンピンの軸中心よりも
更にスラスト側に位置させて、爆発行程時にピストンの
スカート部が、シリンダライナを堅固に支持しているア
ッパーデッキ付近のライナ上部に衝突させ、次いでピス
トンヘッド部をシリンダライナに衝突させるように構成
したものが開示されている。
は、ピストンのスラップ音を低減する目的で、ピストン
ピンの軸中心をピストン本体の中心線に対してオフセッ
トした内燃機関のピストンが開示されている。即ち、上
記公報には、爆発初期のスラップ時のスカート部とシリ
ンダライナとの衝突を軽減してシリンダライナの摩耗を
防ぐことを目的として、ピストンピンの軸中心をピスト
ン本体の中心線に対してスラスト側へオフセットさせる
とともに、ピストン重心をピストンピンの軸中心よりも
更にスラスト側に位置させて、爆発行程時にピストンの
スカート部が、シリンダライナを堅固に支持しているア
ッパーデッキ付近のライナ上部に衝突させ、次いでピス
トンヘッド部をシリンダライナに衝突させるように構成
したものが開示されている。
【0005】更に、本出願人は、先に出願したピスト
ン、即ち、国際出願(PCT/JP96/01278)
に開示したピストンがある。このピストンは、エンジン
駆動の油圧源からピストン本体のスカート部と外環部材
との間にオイルを供給し、ピストン本体のスカート部と
外環部材との間に形成された油膜のダンピング作用によ
ってシリンダライナに対するピストンの衝撃を抑えてピ
ストンのスラップ音を低減させるものである。外環部材
はピストンピンの外側に取り付けられた支持部材で支持
される二組の外環部材であり、スカート部との間に形成
された油膜のダンピング作用がスラスト側及び反スラス
ト側において得られている。
ン、即ち、国際出願(PCT/JP96/01278)
に開示したピストンがある。このピストンは、エンジン
駆動の油圧源からピストン本体のスカート部と外環部材
との間にオイルを供給し、ピストン本体のスカート部と
外環部材との間に形成された油膜のダンピング作用によ
ってシリンダライナに対するピストンの衝撃を抑えてピ
ストンのスラップ音を低減させるものである。外環部材
はピストンピンの外側に取り付けられた支持部材で支持
される二組の外環部材であり、スカート部との間に形成
された油膜のダンピング作用がスラスト側及び反スラス
ト側において得られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実公昭
57−39564号公報に開示されたピストンは、スラ
スト片はピストンに対してスラスト方向に摺動自在では
あるが、ピストンピンの回りに回動できないため、ピス
トン揺動時にはスラスト片がシリンダライナ内面に追従
できず、スラスト片とシリンダライナとの間でスラップ
音を生じるという問題がある。また、スラスト片がピス
トンに対して摺動自在であるとする以上、オイル室内に
封入されたオイルがオイル室から外部へ漏れることは避
けることができず、オイル供給機構を持たない構成では
オイルダンピング機能を維持することができない。
57−39564号公報に開示されたピストンは、スラ
スト片はピストンに対してスラスト方向に摺動自在では
あるが、ピストンピンの回りに回動できないため、ピス
トン揺動時にはスラスト片がシリンダライナ内面に追従
できず、スラスト片とシリンダライナとの間でスラップ
音を生じるという問題がある。また、スラスト片がピス
トンに対して摺動自在であるとする以上、オイル室内に
封入されたオイルがオイル室から外部へ漏れることは避
けることができず、オイル供給機構を持たない構成では
オイルダンピング機能を維持することができない。
【0007】また、実開昭58−144044号公報に
開示されたピストンでは、爆発行程においてピストンが
スラップ音を発生するときに、ピストンのスカート部を
ピストンヘッド部よりも先にシリンダライナに衝突させ
ることを意図しているに過ぎず、スラップ時の衝撃のダ
ンピング機能を備えていない。したがって、ピストンの
圧縮行程におけるスラップ音に着目し、その軽減を図る
技術を開示したものではない。
開示されたピストンでは、爆発行程においてピストンが
スラップ音を発生するときに、ピストンのスカート部を
ピストンヘッド部よりも先にシリンダライナに衝突させ
ることを意図しているに過ぎず、スラップ時の衝撃のダ
ンピング機能を備えていない。したがって、ピストンの
圧縮行程におけるスラップ音に着目し、その軽減を図る
技術を開示したものではない。
【0008】更に、国際出願(PCT/JP96/01
278)に開示したピストンでは、ピストンのスカート
部の両側、即ちスラスト側と反スラスト側とにおいて、
スカート部と外環部材との間の隙間にオイルを供給する
のでオイルの供給量が多くなり、長期にわたってエンジ
ンを運転した場合にオイル消費量が無視できない量とな
る。また、フリクション、ピストン重量の増大、及び組
立性の悪化等の問題も生じている。
278)に開示したピストンでは、ピストンのスカート
部の両側、即ちスラスト側と反スラスト側とにおいて、
スカート部と外環部材との間の隙間にオイルを供給する
のでオイルの供給量が多くなり、長期にわたってエンジ
ンを運転した場合にオイル消費量が無視できない量とな
る。また、フリクション、ピストン重量の増大、及び組
立性の悪化等の問題も生じている。
【0009】従来のピストンでは、エンジンの低中回転
数運転時、圧縮行程において、ピストンは混合気の圧縮
圧力、クランク揺動角等の作用により、反スラスト側に
押し付けられながら上死点に向かう。しかし、エンジン
の高回転数運転時には、ピストン本体に作用する上下方
向の力のバランスが崩れ、圧縮行程の終期では一時的に
スラスト方向に向かう力が強まり、ピストンはスラスト
方向に付勢される。このとき、ピストン本体の重心が反
スラスト側に位置しているため、慣性力によって上記ス
ラスト方向への押し付けは一層助長される。そして、圧
縮行程の終了直前では、混合気体の圧縮圧力の増大やピ
ストンの加速度の低下により、ピストンに対して、ピス
トンヘッドが反スラスト側に向かうようなピストンピン
の回りの回転モーメントが生じる。このように、高回転
数運転時の圧縮行程中のピストンには、作用するモーメ
ントの方向の変化によって付勢方向が、スラスト側から
反スラスト側に変化する。かかる付勢方向の変化は、ピ
ストンのシリンダライナに対する衝撃となり、スラップ
を生じる。
数運転時、圧縮行程において、ピストンは混合気の圧縮
圧力、クランク揺動角等の作用により、反スラスト側に
押し付けられながら上死点に向かう。しかし、エンジン
の高回転数運転時には、ピストン本体に作用する上下方
向の力のバランスが崩れ、圧縮行程の終期では一時的に
スラスト方向に向かう力が強まり、ピストンはスラスト
方向に付勢される。このとき、ピストン本体の重心が反
スラスト側に位置しているため、慣性力によって上記ス
ラスト方向への押し付けは一層助長される。そして、圧
縮行程の終了直前では、混合気体の圧縮圧力の増大やピ
ストンの加速度の低下により、ピストンに対して、ピス
トンヘッドが反スラスト側に向かうようなピストンピン
の回りの回転モーメントが生じる。このように、高回転
数運転時の圧縮行程中のピストンには、作用するモーメ
ントの方向の変化によって付勢方向が、スラスト側から
反スラスト側に変化する。かかる付勢方向の変化は、ピ
ストンのシリンダライナに対する衝撃となり、スラップ
を生じる。
【0010】この状況を図3及び図6〜9で説明する。
図3には、従来のピストンについても各部の寸法が記入
されている。図3を参照すると、ピストンピン22の軸
中心Oは、ピストン本体1の中心線A−Aに対して、ス
ラスト側に0.7mmオフセットされている。従来のピ
ストンについては、特に、ピストン本体1の重心G
1は、ピストンピン22の軸中心Oより23.3mm上
方(スカート部の裾端から40mm上方)に位置してい
るとともに、ピストンピン22の軸中心Oに対して反ス
ラスト側に約1.2mmオフセットした位置にある。
図3には、従来のピストンについても各部の寸法が記入
されている。図3を参照すると、ピストンピン22の軸
中心Oは、ピストン本体1の中心線A−Aに対して、ス
ラスト側に0.7mmオフセットされている。従来のピ
ストンについては、特に、ピストン本体1の重心G
1は、ピストンピン22の軸中心Oより23.3mm上
方(スカート部の裾端から40mm上方)に位置してい
るとともに、ピストンピン22の軸中心Oに対して反ス
ラスト側に約1.2mmオフセットした位置にある。
【0011】図6は、スラスト側及び反スラスト側にオ
イルダンピング機構を備えたピストン(以下、「両側オ
イルダンピング式ピストン」と言う。)と、どちらの側
にもオイルダンピング機構を採用していない従来の量産
型ピストンとについて、エンジンの低中回転数の一例と
して2000rpmを、そして高回転数の一例として3
500rpmを採り、各回転数においてスラスト側及び
反スラスト側でのシリンダライナの振動レベルをオーバ
ーオール値で示したグラフである。図7は、両側オイル
ダンピング式ピストンと量産型ピストンとについて、2
000rpmと3500rpmのエンジン回転数におけ
る、反スラスト側でのシリンダライナの振動加速度をク
ランク角に応じた歴波形で示して比較したグラフであ
る。図6から分かるように、スラスト側では、エンジン
の回転数が低中回転数であっても高回転数であっても、
オイルダンピング機構を採用することが有効である
((A)と(B)の比較、及び(C)と(D)の比
較)。しかし、反スラスト側では、エンジンの高回転数
運転時には、オイルダンピング機構を採用しないと大き
な振動が生じている。図7の歴波形のグラフから、この
振動、即ちピストンのスラップ音は、特に高回転数運転
時に圧縮行程の終期において生じていることが分かる
((C)を参照)。両側オイルダンピング式ピストンに
おいても、この反スラスト側における上死点直前の振動
が観測されている(図7の(D))。
イルダンピング機構を備えたピストン(以下、「両側オ
イルダンピング式ピストン」と言う。)と、どちらの側
にもオイルダンピング機構を採用していない従来の量産
型ピストンとについて、エンジンの低中回転数の一例と
して2000rpmを、そして高回転数の一例として3
500rpmを採り、各回転数においてスラスト側及び
反スラスト側でのシリンダライナの振動レベルをオーバ
ーオール値で示したグラフである。図7は、両側オイル
ダンピング式ピストンと量産型ピストンとについて、2
000rpmと3500rpmのエンジン回転数におけ
る、反スラスト側でのシリンダライナの振動加速度をク
ランク角に応じた歴波形で示して比較したグラフであ
る。図6から分かるように、スラスト側では、エンジン
の回転数が低中回転数であっても高回転数であっても、
オイルダンピング機構を採用することが有効である
((A)と(B)の比較、及び(C)と(D)の比
較)。しかし、反スラスト側では、エンジンの高回転数
運転時には、オイルダンピング機構を採用しないと大き
な振動が生じている。図7の歴波形のグラフから、この
振動、即ちピストンのスラップ音は、特に高回転数運転
時に圧縮行程の終期において生じていることが分かる
((C)を参照)。両側オイルダンピング式ピストンに
おいても、この反スラスト側における上死点直前の振動
が観測されている(図7の(D))。
【0012】図8は、従来のピストンにおいて、低中回
転数(2000rpm)での運転時及び高回転数(35
00rpm)での運転時に、ピストンがスラスト方向又
は反スラスト方向に受ける力(加速度)と、ピストンが
シリンダライナに対して反スラスト方向に作用する衝撃
エネルギーの変化を、クランク角に応じて描いたグラフ
である。この図から分かるように、高回転数運転時に
は、上死点(クランク角が0度)の直前の圧縮行程にお
いて、ピストンが受ける力は一時的にスラスト方向とな
る。即ち、クランク角θ1 までは、クランクロッドの姿
勢及びピストン本体の中心線に対するピストンピンのオ
フセット等により、ピストンは反スラスト側に付勢され
ているが、クランク角θ1 においては、混合気の圧縮圧
力と高回転数運転時の慣性力とにより、ピストンが受け
る力は反スラスト側からスラスト側に変わり、図9
(A)に示すように、ピストンのクラウン部2がスラス
ト側に付勢される。即ち、混合気の圧縮圧力に基づいて
ピストンヘッド頂面に作用する力P1 はまだ比較的弱い
が、ピストン本体1の重心G1 が反スラスト側に位置し
ていることにより減速中のピストン本体1に作用する慣
性力F1 が、ピストン本体1をピストンピン22の軸回
りに図で反時計回りに作用させるモーメントは比較的大
きい。そのため、高回転数運転時のピストンには正味の
モーメントとして図において反時計方向のモーメントM
1 が作用し、クラウン部2はスラスト側のシリンダライ
ナ40に衝突される。
転数(2000rpm)での運転時及び高回転数(35
00rpm)での運転時に、ピストンがスラスト方向又
は反スラスト方向に受ける力(加速度)と、ピストンが
シリンダライナに対して反スラスト方向に作用する衝撃
エネルギーの変化を、クランク角に応じて描いたグラフ
である。この図から分かるように、高回転数運転時に
は、上死点(クランク角が0度)の直前の圧縮行程にお
いて、ピストンが受ける力は一時的にスラスト方向とな
る。即ち、クランク角θ1 までは、クランクロッドの姿
勢及びピストン本体の中心線に対するピストンピンのオ
フセット等により、ピストンは反スラスト側に付勢され
ているが、クランク角θ1 においては、混合気の圧縮圧
力と高回転数運転時の慣性力とにより、ピストンが受け
る力は反スラスト側からスラスト側に変わり、図9
(A)に示すように、ピストンのクラウン部2がスラス
ト側に付勢される。即ち、混合気の圧縮圧力に基づいて
ピストンヘッド頂面に作用する力P1 はまだ比較的弱い
が、ピストン本体1の重心G1 が反スラスト側に位置し
ていることにより減速中のピストン本体1に作用する慣
性力F1 が、ピストン本体1をピストンピン22の軸回
りに図で反時計回りに作用させるモーメントは比較的大
きい。そのため、高回転数運転時のピストンには正味の
モーメントとして図において反時計方向のモーメントM
1 が作用し、クラウン部2はスラスト側のシリンダライ
ナ40に衝突される。
【0013】そしてクランク角θ2 においては、混合気
が強く圧縮され始めているため、ピストンヘッド頂面に
作用する混合気の圧縮圧力によってピストン本体1には
大きな力P2 が作用し、ピストン本体1をピストンピン
22の軸回りに時計方向に回転させようとするモーメン
トが大きくなる。一方、加速度が低下したことにより大
きさが小さくなった慣性力F2 によりピストン本体1の
重心G1 回りに反時計方向に回転させようとするモーメ
ントが小さくなる。したがって、ピストンは、正味のモ
ーメントとして図において時計方向のモーメントM2 を
受け、クラウン部2は反スラスト側に押し付けられる。
このときピストンは図9(B)に示すように、クラウン
部2が反スラスト側のシリンダライナ41と衝突してス
ラップ音を発生する。上記の力学的な現象が、エンジン
の高回転数運転時の圧縮行程終期における反スラスト側
でのピストンとシリンダライナとの衝突エネルギーの原
因と考えられる。なお、上死点であるクランク角度0°
の位置では、エンジンは爆発・膨張行程に入り、その直
後に混合気の燃焼圧によってピストンはスラスト側のシ
リンダライナ40に強く衝突して、主たるスラップ音が
発生する。
が強く圧縮され始めているため、ピストンヘッド頂面に
作用する混合気の圧縮圧力によってピストン本体1には
大きな力P2 が作用し、ピストン本体1をピストンピン
22の軸回りに時計方向に回転させようとするモーメン
トが大きくなる。一方、加速度が低下したことにより大
きさが小さくなった慣性力F2 によりピストン本体1の
重心G1 回りに反時計方向に回転させようとするモーメ
ントが小さくなる。したがって、ピストンは、正味のモ
ーメントとして図において時計方向のモーメントM2 を
受け、クラウン部2は反スラスト側に押し付けられる。
このときピストンは図9(B)に示すように、クラウン
部2が反スラスト側のシリンダライナ41と衝突してス
ラップ音を発生する。上記の力学的な現象が、エンジン
の高回転数運転時の圧縮行程終期における反スラスト側
でのピストンとシリンダライナとの衝突エネルギーの原
因と考えられる。なお、上死点であるクランク角度0°
の位置では、エンジンは爆発・膨張行程に入り、その直
後に混合気の燃焼圧によってピストンはスラスト側のシ
リンダライナ40に強く衝突して、主たるスラップ音が
発生する。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
課題を解決することであり、上記国際出願に開示されて
いるようなスラスト側及び反スラスト側にオイルダンピ
ング方式を採用したピストンと、どちらの側にもオイル
ダンピング方式を採用しない従来の量産型ピストンとの
騒音発生についての比較を基に、オイルダンピング機構
を片側だけに採用してオイル使用量を低減するととも
に、オイルダンピング機構を片側だけに限ったことによ
る騒音には重心位置の特定によって対応する低騒音のエ
ンジン用ピストンを提供することである。
課題を解決することであり、上記国際出願に開示されて
いるようなスラスト側及び反スラスト側にオイルダンピ
ング方式を採用したピストンと、どちらの側にもオイル
ダンピング方式を採用しない従来の量産型ピストンとの
騒音発生についての比較を基に、オイルダンピング機構
を片側だけに採用してオイル使用量を低減するととも
に、オイルダンピング機構を片側だけに限ったことによ
る騒音には重心位置の特定によって対応する低騒音のエ
ンジン用ピストンを提供することである。
【0015】即ち、図6及び図7に記載の実験データか
らすると、エンジンの低中回転数運転(例えば、200
0rpm)では、両側オイルダンピング式ピストンの反
スラスト側の騒音レベルは、量産型ピストンの反スラス
ト側の騒音レベルと格別の差がないことが確かめられる
(図6の(A)と(B)、及び図7の(A)と(B)を
参照)。したがって、オイルダンピング機構を設けるの
はスラスト側のみとしても、低中回転数運転では、反ス
ラスト側の騒音レベルが悪化することはない。そして、
高回転数運転時のスラップ音に対しては別の対策を採用
することで上記問題を解決することができる。
らすると、エンジンの低中回転数運転(例えば、200
0rpm)では、両側オイルダンピング式ピストンの反
スラスト側の騒音レベルは、量産型ピストンの反スラス
ト側の騒音レベルと格別の差がないことが確かめられる
(図6の(A)と(B)、及び図7の(A)と(B)を
参照)。したがって、オイルダンピング機構を設けるの
はスラスト側のみとしても、低中回転数運転では、反ス
ラスト側の騒音レベルが悪化することはない。そして、
高回転数運転時のスラップ音に対しては別の対策を採用
することで上記問題を解決することができる。
【0016】この発明は、上記の目的を解決するため、
以下のように構成されている。即ち、この発明は、ピス
トンリング溝を備えたクラウン部とピストンピンを挿通
するピン孔が形成されたボス部を備えたスカート部とか
ら構成したピストン本体、前記スカート部にスラスト側
にのみ嵌合配設され且つ前記スカート部との間にダンパ
ー用オイルが導入される隙間を形成している外環部材、
及び前記ピストンピンの両端部に取り付けられており、
前記外環部材を前記ピストンピンの軸回りに回動自在に
且つ前記ピストン本体に対してスラスト方向に相対移動
自在に支持する外環支持部材から成り、前記ピストン本
体の重心が前記ピストン本体の中心線よりもスラスト側
にオフセットされているエンジン用ピストンに関する。
以下のように構成されている。即ち、この発明は、ピス
トンリング溝を備えたクラウン部とピストンピンを挿通
するピン孔が形成されたボス部を備えたスカート部とか
ら構成したピストン本体、前記スカート部にスラスト側
にのみ嵌合配設され且つ前記スカート部との間にダンパ
ー用オイルが導入される隙間を形成している外環部材、
及び前記ピストンピンの両端部に取り付けられており、
前記外環部材を前記ピストンピンの軸回りに回動自在に
且つ前記ピストン本体に対してスラスト方向に相対移動
自在に支持する外環支持部材から成り、前記ピストン本
体の重心が前記ピストン本体の中心線よりもスラスト側
にオフセットされているエンジン用ピストンに関する。
【0017】この発明によるピストンでは、エンジンの
高回転数運転における反スラスト側の振動の急激な悪化
を、ピストン本体の重心位置の変更によって抑制するこ
とを図っている。即ち、この発明によるピストンでは、
ピストン本体の重心をピストン本体の中心線に対してス
ラスト側にオフセットしているので、上死点に向かう速
度が減速中のピストンには、更に上昇し続けようとする
慣性力が働き、この慣性力を重心位置に集約すると、こ
の慣性力はピストンピンの軸回りにおいてピストン本体
のヘッド側を反スラスト方向に付勢するモーメントを与
える。混合気の圧縮圧力がピストンをピストンピン回り
に付勢する方向は、慣性力による付勢方向と同じ反スラ
スト側である。したがって、圧縮行程の終期のピストン
に対して常に反スラスト側に押し付ける力が作用し続
け、ピストンが押し付けられる方向がスラスト側から反
スラスト側に変わることがないので、スラップ音が発生
するのを抑制することができる。
高回転数運転における反スラスト側の振動の急激な悪化
を、ピストン本体の重心位置の変更によって抑制するこ
とを図っている。即ち、この発明によるピストンでは、
ピストン本体の重心をピストン本体の中心線に対してス
ラスト側にオフセットしているので、上死点に向かう速
度が減速中のピストンには、更に上昇し続けようとする
慣性力が働き、この慣性力を重心位置に集約すると、こ
の慣性力はピストンピンの軸回りにおいてピストン本体
のヘッド側を反スラスト方向に付勢するモーメントを与
える。混合気の圧縮圧力がピストンをピストンピン回り
に付勢する方向は、慣性力による付勢方向と同じ反スラ
スト側である。したがって、圧縮行程の終期のピストン
に対して常に反スラスト側に押し付ける力が作用し続
け、ピストンが押し付けられる方向がスラスト側から反
スラスト側に変わることがないので、スラップ音が発生
するのを抑制することができる。
【0018】ピストンピンの軸中心をピストン本体の中
心線よりもスラスト側にオフセットした場合には、エン
ジンの圧縮行程で混合気がピストン本体に及ぼす圧力に
よって、ピストンには、正味のモーメントとして、減速
中のピストンに作用する慣性力の場合と同様に、ピスト
ンピンの軸回りにピストンのヘッドを反スラスト側に付
勢するモーメントを与える。
心線よりもスラスト側にオフセットした場合には、エン
ジンの圧縮行程で混合気がピストン本体に及ぼす圧力に
よって、ピストンには、正味のモーメントとして、減速
中のピストンに作用する慣性力の場合と同様に、ピスト
ンピンの軸回りにピストンのヘッドを反スラスト側に付
勢するモーメントを与える。
【0019】ピストン本体のスカート部と外環部材との
間に形成される隙間に導入されるオイルはクランク室へ
流れ出ていくものであるので、常にオイルを補給する必
要がある。オイルの補給については、噴射式或いはクラ
ンク室内のオイル溜まりからの撥上げ式があるが、供給
路による直接供給方式が確実である。即ち、ダンパー用
オイルは、油圧源から、ピストンピンに形成された油
路、ピストンピンの外周に形成された油溝、スカート部
に形成された油路、及びスカート部のスラスト側表面に
形成された油溝を順次に介して隙間に供給される。
間に形成される隙間に導入されるオイルはクランク室へ
流れ出ていくものであるので、常にオイルを補給する必
要がある。オイルの補給については、噴射式或いはクラ
ンク室内のオイル溜まりからの撥上げ式があるが、供給
路による直接供給方式が確実である。即ち、ダンパー用
オイルは、油圧源から、ピストンピンに形成された油
路、ピストンピンの外周に形成された油溝、スカート部
に形成された油路、及びスカート部のスラスト側表面に
形成された油溝を順次に介して隙間に供給される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、こ
の発明の実施例を説明する。図1はこの発明によるエン
ジン用ピストンの一実施例を示す分解斜視図、図2は図
1のエンジン用ピストンにおけるピストン本体と外環部
材との相互関係を示す断面図、図3は図1のエンジン用
ピストンの外観、重心及びピストン中心線の配置関係を
示す正面図、図4は図1のエンジン用ピストンへオイル
を供給するためのオイル供給経路を示す断面図、図5は
ピストン本体の中心軸線に対して重心位置をスラスト側
又は反スラスト側に移動させたときの反スラスト側にお
ける衝突エネルギーの変化を示すグラフである。
の発明の実施例を説明する。図1はこの発明によるエン
ジン用ピストンの一実施例を示す分解斜視図、図2は図
1のエンジン用ピストンにおけるピストン本体と外環部
材との相互関係を示す断面図、図3は図1のエンジン用
ピストンの外観、重心及びピストン中心線の配置関係を
示す正面図、図4は図1のエンジン用ピストンへオイル
を供給するためのオイル供給経路を示す断面図、図5は
ピストン本体の中心軸線に対して重心位置をスラスト側
又は反スラスト側に移動させたときの反スラスト側にお
ける衝突エネルギーの変化を示すグラフである。
【0021】図1は、この発明によるエンジン用ピスト
ンの一実施例を示す分解斜視図である。この発明による
ピストンは、本出願人が先に国際出願において提案した
ピストンにおいて、オイルダンピング機構をスラスト側
のみとし、高回転数運転時の反スラスト側での振動レベ
ル低減対策としてピストン本体の重心を最適化したもの
である。その他の基本的な構造、作動及びオイルの給油
方法等については、先に提案したピストンと同様であ
る。したがって、従来のピストンと同じ構成要素につい
て同じ符号を用いて説明してある。
ンの一実施例を示す分解斜視図である。この発明による
ピストンは、本出願人が先に国際出願において提案した
ピストンにおいて、オイルダンピング機構をスラスト側
のみとし、高回転数運転時の反スラスト側での振動レベ
ル低減対策としてピストン本体の重心を最適化したもの
である。その他の基本的な構造、作動及びオイルの給油
方法等については、先に提案したピストンと同様であ
る。したがって、従来のピストンと同じ構成要素につい
て同じ符号を用いて説明してある。
【0022】図1に示すように、このピストンは、ピス
トンヘッド部であるクラウン部2とボス部13を備えた
スカート部3とを一体構造に構成したピストン本体1、
スカート部3に嵌合する外環部材7、ボス部13と外環
部材7との間に介在され外環部材7を回動自在に且つス
ラスト方向に相対移動自在に支持する外環支持部材1
0、ピストン本体1とコンロッド11とを回転自在に連
結するピストンピン22、及びピストンピン22に外環
支持部材10を取り付けるためのサブピストンピン23
を有している。
トンヘッド部であるクラウン部2とボス部13を備えた
スカート部3とを一体構造に構成したピストン本体1、
スカート部3に嵌合する外環部材7、ボス部13と外環
部材7との間に介在され外環部材7を回動自在に且つス
ラスト方向に相対移動自在に支持する外環支持部材1
0、ピストン本体1とコンロッド11とを回転自在に連
結するピストンピン22、及びピストンピン22に外環
支持部材10を取り付けるためのサブピストンピン23
を有している。
【0023】ピストン本体1のクラウン部2には複数の
ピストンリング溝12が形成されており、各ピストンリ
ング溝12にはピストンリング(図示せず)が嵌入され
る。スカート部3は、クラウン部2の外径よりも小さい
外径を有し且つクラウン部2の下部に一体的に形成され
ている。また、ピストン本体1のスカート部3はピスト
ンピン22を挿通するピン孔4が形成されたボス部13
を備えている。ピストン本体1には、図3に示すよう
に、ピン孔4からスカート部3の一側、即ち爆発行程中
に燃焼ガス圧力がピストンをシリンダライナに対して圧
接する側であるスラスト側へのみ向かって延びる油路6
が形成されている。そして、スカート部3には、図1に
示すように、油路6から導入された油圧をスカート部3
の一面に分布させるための油溝5が形成されている。
ピストンリング溝12が形成されており、各ピストンリ
ング溝12にはピストンリング(図示せず)が嵌入され
る。スカート部3は、クラウン部2の外径よりも小さい
外径を有し且つクラウン部2の下部に一体的に形成され
ている。また、ピストン本体1のスカート部3はピスト
ンピン22を挿通するピン孔4が形成されたボス部13
を備えている。ピストン本体1には、図3に示すよう
に、ピン孔4からスカート部3の一側、即ち爆発行程中
に燃焼ガス圧力がピストンをシリンダライナに対して圧
接する側であるスラスト側へのみ向かって延びる油路6
が形成されている。そして、スカート部3には、図1に
示すように、油路6から導入された油圧をスカート部3
の一面に分布させるための油溝5が形成されている。
【0024】油溝5はスカート部3のスラスト側にのみ
形成されている。油溝5の形成箇所はピストンリング溝
12よりも下方位置であって且つピストンピン22の中
心軸よりも上方位置に設定されている。もう少し具体的
に述べると、スカート部3から外環部材7にスラスト荷
重が加わる部位は、図3に示すように、スカート肩部と
スカート下端付近の二箇所(即ちX,Yで示す部位)で
ある。そして、スカート肩部の衝突部位Xは、スカート
部3のプロフィール形状にもよるが、概略ピン孔4の中
心高さ(即ちピストンピン22中心高さ)から若干上の
部位である。油溝5はスカート肩部衝突部位Xよりも少
しピストンリング溝12寄りに設けられる。このように
油溝5は、スカート部3から外環部材7に荷重が加わる
部位X,Yを避けるように形成されるので、大きな面積
で荷重を受けることができると共に、荷重が加わった時
に油圧が油溝5から逃げてしまうのを避けることができ
る。また、油溝5の形状は、油溝5の形成箇所さえ満足
すれば、図1に示す形状に限定されるものではない。
形成されている。油溝5の形成箇所はピストンリング溝
12よりも下方位置であって且つピストンピン22の中
心軸よりも上方位置に設定されている。もう少し具体的
に述べると、スカート部3から外環部材7にスラスト荷
重が加わる部位は、図3に示すように、スカート肩部と
スカート下端付近の二箇所(即ちX,Yで示す部位)で
ある。そして、スカート肩部の衝突部位Xは、スカート
部3のプロフィール形状にもよるが、概略ピン孔4の中
心高さ(即ちピストンピン22中心高さ)から若干上の
部位である。油溝5はスカート肩部衝突部位Xよりも少
しピストンリング溝12寄りに設けられる。このように
油溝5は、スカート部3から外環部材7に荷重が加わる
部位X,Yを避けるように形成されるので、大きな面積
で荷重を受けることができると共に、荷重が加わった時
に油圧が油溝5から逃げてしまうのを避けることができ
る。また、油溝5の形状は、油溝5の形成箇所さえ満足
すれば、図1に示す形状に限定されるものではない。
【0025】また、ピストンが爆発行程即ち膨張行程に
移行してスラスト側に傾いても、外環部材7とスカート
部3との隙間に供給された油圧によって、油圧緩衝効果
が得られるので、スラスト側において、スラップ音を低
減することができる。
移行してスラスト側に傾いても、外環部材7とスカート
部3との隙間に供給された油圧によって、油圧緩衝効果
が得られるので、スラスト側において、スラップ音を低
減することができる。
【0026】外環部材7は半円弧面部材7bからなり、
ピストン本体1のスカート部3に嵌合される。半円弧面
部材7bの周方向両側にはそれぞれ円周方句に延びる腕
部18が形成されている。また、外環部材7がシリンダ
を構成するシリンダライナと同程度の熱膨張率を有する
材料で製作されていることが、外環部材7とシリンダラ
イナとの間に熱膨張差が発生せず好ましいものである。
例えば、シリンダライナが鋳鉄で製作されている場合に
は、外環部材7は鋳鉄又は鋼等で製作し、また、シリン
ダライナがセラミックスで製作されている場合には、外
環部材7をセラミックスで製作することができる。
ピストン本体1のスカート部3に嵌合される。半円弧面
部材7bの周方向両側にはそれぞれ円周方句に延びる腕
部18が形成されている。また、外環部材7がシリンダ
を構成するシリンダライナと同程度の熱膨張率を有する
材料で製作されていることが、外環部材7とシリンダラ
イナとの間に熱膨張差が発生せず好ましいものである。
例えば、シリンダライナが鋳鉄で製作されている場合に
は、外環部材7は鋳鉄又は鋼等で製作し、また、シリン
ダライナがセラミックスで製作されている場合には、外
環部材7をセラミックスで製作することができる。
【0027】外環支持部材10はピストン本体1のスカ
ート部3に形成されたボス部13にピストンピン22を
両側から挟むように配置され、外環部材7を支持するも
のである。外環支持部材10はピストンピン22の軸回
りに回動可能に設けられている。また、外環支持部材1
0は外環部材7の上下方向移動を規制し且つ外環部材7
のスラスト方向の相対移動を許容する案内溝19を有し
ている。案内溝19は外環支持部材10の上部と下部に
それぞれ凸状に形成された係止部即ち鍔部20,21に
よって規定されている。案内溝19の幅は外環部材7の
腕部18の幅と略等しく形成されているので、腕部18
は案内溝19に係合可能である。腕部18の案内溝19
への係合により、外環部材7は腕部18を介して外環支
持部材10に形成された案内溝19に摺動可能に支持さ
れる。また、案内溝19の中央部にはスカート部3のピ
ン孔4に整合するピン孔29が形成されている。
ート部3に形成されたボス部13にピストンピン22を
両側から挟むように配置され、外環部材7を支持するも
のである。外環支持部材10はピストンピン22の軸回
りに回動可能に設けられている。また、外環支持部材1
0は外環部材7の上下方向移動を規制し且つ外環部材7
のスラスト方向の相対移動を許容する案内溝19を有し
ている。案内溝19は外環支持部材10の上部と下部に
それぞれ凸状に形成された係止部即ち鍔部20,21に
よって規定されている。案内溝19の幅は外環部材7の
腕部18の幅と略等しく形成されているので、腕部18
は案内溝19に係合可能である。腕部18の案内溝19
への係合により、外環部材7は腕部18を介して外環支
持部材10に形成された案内溝19に摺動可能に支持さ
れる。また、案内溝19の中央部にはスカート部3のピ
ン孔4に整合するピン孔29が形成されている。
【0028】ピストンピン22は中心孔28を有してお
り、該中心孔28にはサブピストンピン23の小径部2
4が圧入可能になっている。また、ピストンピン22は
外周面の3箇所に即ち中央部と両端部に円周状に形成さ
れた油溝8,9を有しており、各油溝8,9は油路1
5,16を介して中心孔28に連通する。ピストンピン
22をピストン本体1及びコンロッド11に取り付けた
状態においては、図4に示すように、中央部の油溝8は
コンロッド11の油路38と連通し、両端部の油溝9は
ピストン本体1のピン孔4からスカート部3へ向かって
延びる油路6に連通する。
り、該中心孔28にはサブピストンピン23の小径部2
4が圧入可能になっている。また、ピストンピン22は
外周面の3箇所に即ち中央部と両端部に円周状に形成さ
れた油溝8,9を有しており、各油溝8,9は油路1
5,16を介して中心孔28に連通する。ピストンピン
22をピストン本体1及びコンロッド11に取り付けた
状態においては、図4に示すように、中央部の油溝8は
コンロッド11の油路38と連通し、両端部の油溝9は
ピストン本体1のピン孔4からスカート部3へ向かって
延びる油路6に連通する。
【0029】サブピストンピン23は、図1に示すよう
に、小径部24と大径部25とからなるピン部26と、
大径部25の端部に形成されたキャップ部27とから構
成されている。小径部24はピストンピン22の中心孔
28に圧入される。また、大径部25は外環支持部材1
0のピン孔29に嵌合される。
に、小径部24と大径部25とからなるピン部26と、
大径部25の端部に形成されたキャップ部27とから構
成されている。小径部24はピストンピン22の中心孔
28に圧入される。また、大径部25は外環支持部材1
0のピン孔29に嵌合される。
【0030】このピストンの組立は以下のようにして行
われる。まず、ピストン本体1のピン孔4及びコンロッ
ド11の小径部の孔にピストンピン22を挿入して、ピ
ストン本体1にピストンピン22を固定する。次いで、
ピストンピン22を両側から挟むように外環支持部材1
0をピストン本体1のボス部13に当てて、サブピスト
ンピン23の先端の小径部24をピストンピン22の中
心孔28に圧入する。これにより、サブピストンピン2
3の大径部25が外環支持部材10のピン孔29に挿入
された状態になり、この状態で、外環支持部材10はピ
ストンピン22の軸回りに回動可能となる。その後、ピ
ストン本体1のスカート部3に対して、腕部18を外環
支持部材10の案内溝19に挿入して外環部材7を嵌合
することにより、上記ピストンは組み立てられる。な
お、このピストンは、ピストン単体の状態においては、
外環部材7は腕部18が外環支持部材10の案内溝19
から簡単に外れてしまうが、ピストンをシリンダ内に収
納した状態では、外環部材7は外環支持部材10から外
れ落ちることはない。
われる。まず、ピストン本体1のピン孔4及びコンロッ
ド11の小径部の孔にピストンピン22を挿入して、ピ
ストン本体1にピストンピン22を固定する。次いで、
ピストンピン22を両側から挟むように外環支持部材1
0をピストン本体1のボス部13に当てて、サブピスト
ンピン23の先端の小径部24をピストンピン22の中
心孔28に圧入する。これにより、サブピストンピン2
3の大径部25が外環支持部材10のピン孔29に挿入
された状態になり、この状態で、外環支持部材10はピ
ストンピン22の軸回りに回動可能となる。その後、ピ
ストン本体1のスカート部3に対して、腕部18を外環
支持部材10の案内溝19に挿入して外環部材7を嵌合
することにより、上記ピストンは組み立てられる。な
お、このピストンは、ピストン単体の状態においては、
外環部材7は腕部18が外環支持部材10の案内溝19
から簡単に外れてしまうが、ピストンをシリンダ内に収
納した状態では、外環部材7は外環支持部材10から外
れ落ちることはない。
【0031】次に、外環部材7とピストン本体1のスカ
ート部3との関係について説明する。外環部材7とスカ
ート部3との間には、図2に示すように、隙間14が形
成されている。隙間14には油圧が供給される。外環部
材7は外周面の半径がシリンダボアの半径Br と等しく
形成されているので、このピストンをシリンダ内に組み
込んだ状態においては、外環部材7はシリンダライナに
密着することになる。外環部材7の内周面の半径R1
は、外環部材7の板厚をtとするとき、R1 =Br −t
で表される。これに対して、ピストン本体1は、スカー
ト部3の半径R2が外環部材7の内周面の半径R1 より
も大きく(R1 >R2 )、且つスカート部3の半径R2
の中心Pがピストン本体1の中心P0 から反対方向に微
小距離Lsだけ離れるように即ち偏倚するように設定し
たものである。また、外環部材7とスカート部3との間
隔(クリアランス)の取り方について、スカート部3を
ピストン中心に対して楕円状に形成することもできる
(R2 >R1 )。
ート部3との関係について説明する。外環部材7とスカ
ート部3との間には、図2に示すように、隙間14が形
成されている。隙間14には油圧が供給される。外環部
材7は外周面の半径がシリンダボアの半径Br と等しく
形成されているので、このピストンをシリンダ内に組み
込んだ状態においては、外環部材7はシリンダライナに
密着することになる。外環部材7の内周面の半径R1
は、外環部材7の板厚をtとするとき、R1 =Br −t
で表される。これに対して、ピストン本体1は、スカー
ト部3の半径R2が外環部材7の内周面の半径R1 より
も大きく(R1 >R2 )、且つスカート部3の半径R2
の中心Pがピストン本体1の中心P0 から反対方向に微
小距離Lsだけ離れるように即ち偏倚するように設定し
たものである。また、外環部材7とスカート部3との間
隔(クリアランス)の取り方について、スカート部3を
ピストン中心に対して楕円状に形成することもできる
(R2 >R1 )。
【0032】この結果、外環部材7とスカート部3との
隙間14の間隔は、外環部材7の中央部30と周辺部3
1とでは異なることになる。即ち、中央部30の間隔
(クリアランス)をC1 、周辺部31の間隔(クリアラ
ンス)をC2 で表すとすれば、中央部30の間隔C1
は、C1 =R1 −(R2 −LS )となり、R1 、R2 、
LS を適当に選ぶことにより、C1 >C2 となり、外環
部材7とスカート部3との間隔は、中央部30から周辺
部31に至るに従って、C1 からC2 まで徐々に小さく
なるように形成することができる。
隙間14の間隔は、外環部材7の中央部30と周辺部3
1とでは異なることになる。即ち、中央部30の間隔
(クリアランス)をC1 、周辺部31の間隔(クリアラ
ンス)をC2 で表すとすれば、中央部30の間隔C1
は、C1 =R1 −(R2 −LS )となり、R1 、R2 、
LS を適当に選ぶことにより、C1 >C2 となり、外環
部材7とスカート部3との間隔は、中央部30から周辺
部31に至るに従って、C1 からC2 まで徐々に小さく
なるように形成することができる。
【0033】次に、この発明によるピストンについて、
ピストン本体の重心及び中心線、ピストンピン22の軸
中心の相互の位置関係を図3に基づいて説明する。図3
に描かれた位置関係は、特にオフセット量について誇張
して描かれている。また、外環部材7は、想像線で示さ
れている。ピストンピン22の軸中心Oは、従来の量産
型ピストンと同様、ピストン本体1の中心線A−Aに対
してスラスト側にオフセットしていてもよいが、必ずし
もこれに限られず、例えば、ピストン本体1の中心線A
−A上に位置していてもよい。また、この発明によるピ
ストン本体1の重心G2 は、ピストンピン22の中心線
Oより23.3mm上方に位置(従来の量産型ピストン
と同様。)しているが、ピストンピン22の中心軸線O
に対しては、スラスト側に約0.3mmオフセットして
いる。このオフセット量は、図5に示されるように、高
回転数運転で重心位置をオフセットさせていったとき
に、反スラスト側への衝突エネルギーが最小値を示すよ
うな位置としてシュミレーションにて求めたものであ
る。なお、その他の寸法は、図5に示すとおりであり、
ピストンピン22の中心軸Oの位置は、スラスト側から
47.7mm、ピストンのスカート部3の裾端からピス
トンヘッド側に40mmの位置にある。
ピストン本体の重心及び中心線、ピストンピン22の軸
中心の相互の位置関係を図3に基づいて説明する。図3
に描かれた位置関係は、特にオフセット量について誇張
して描かれている。また、外環部材7は、想像線で示さ
れている。ピストンピン22の軸中心Oは、従来の量産
型ピストンと同様、ピストン本体1の中心線A−Aに対
してスラスト側にオフセットしていてもよいが、必ずし
もこれに限られず、例えば、ピストン本体1の中心線A
−A上に位置していてもよい。また、この発明によるピ
ストン本体1の重心G2 は、ピストンピン22の中心線
Oより23.3mm上方に位置(従来の量産型ピストン
と同様。)しているが、ピストンピン22の中心軸線O
に対しては、スラスト側に約0.3mmオフセットして
いる。このオフセット量は、図5に示されるように、高
回転数運転で重心位置をオフセットさせていったとき
に、反スラスト側への衝突エネルギーが最小値を示すよ
うな位置としてシュミレーションにて求めたものであ
る。なお、その他の寸法は、図5に示すとおりであり、
ピストンピン22の中心軸Oの位置は、スラスト側から
47.7mm、ピストンのスカート部3の裾端からピス
トンヘッド側に40mmの位置にある。
【0034】図5は、ピストン本体1の重心を、ピスト
ン本体1の中心線からスラスト方向又は反スラスト方向
に移動させた場合の、シリンダライナに対するピストン
の衝突エネルギーの計算結果をオーバーオール値で示し
たグラフである。図5では、ピストンピン22の軸中心
を、ピストン本体1の中心線に対してスラスト側に0.
7mmオフセットさせた場合と、オフセット無しとした
場合とを例にとって、ピストン本体1の重心位置に応じ
た、スラスト側と反スラスト側での衝突エネルギーの変
化が描かれている。図5から分かるように、ピストン本
体1の重心をピストン本体1の中心線から0.5〜1.
0mm程度スラスト方向に移動させた領域Eで、反スラ
スト側での衝突エネルギーは最小となっている((B)
と(D))。また、ピストンピン22の位置をオフセッ
トするか否かにかかわらず、ピストン本体1の重心をス
ラスト側に移動させるに連れて、スラスト側でも反スラ
スト側でも衝撃エネルギーは低下傾向にあるが、ピスト
ンピン22をスラスト側にオフセットした場合(B)の
方が、オフセット無しとした場合(D)よりも衝突エネ
ルギーのレベルは低くなっている。
ン本体1の中心線からスラスト方向又は反スラスト方向
に移動させた場合の、シリンダライナに対するピストン
の衝突エネルギーの計算結果をオーバーオール値で示し
たグラフである。図5では、ピストンピン22の軸中心
を、ピストン本体1の中心線に対してスラスト側に0.
7mmオフセットさせた場合と、オフセット無しとした
場合とを例にとって、ピストン本体1の重心位置に応じ
た、スラスト側と反スラスト側での衝突エネルギーの変
化が描かれている。図5から分かるように、ピストン本
体1の重心をピストン本体1の中心線から0.5〜1.
0mm程度スラスト方向に移動させた領域Eで、反スラ
スト側での衝突エネルギーは最小となっている((B)
と(D))。また、ピストンピン22の位置をオフセッ
トするか否かにかかわらず、ピストン本体1の重心をス
ラスト側に移動させるに連れて、スラスト側でも反スラ
スト側でも衝撃エネルギーは低下傾向にあるが、ピスト
ンピン22をスラスト側にオフセットした場合(B)の
方が、オフセット無しとした場合(D)よりも衝突エネ
ルギーのレベルは低くなっている。
【0035】次に、ピストンへの油圧供給経路について
説明する。図4に示すように、ピストン本体1は、コン
ロッド11の小径端に形成された孔と、スカート部3の
ピン孔4にピストンピン22を挿通することによって、
コンロッド11の小径端に回転可能に支持される。ま
た、コンロッドの大径端はクランクシャフト33のクラ
ンクピン34にコンロッドベアリング32を介して回転
可能に支持される。クランクシャフト33はオイルギャ
ラリー35を備えたシリンダブロック36に回転自在に
支持される。
説明する。図4に示すように、ピストン本体1は、コン
ロッド11の小径端に形成された孔と、スカート部3の
ピン孔4にピストンピン22を挿通することによって、
コンロッド11の小径端に回転可能に支持される。ま
た、コンロッドの大径端はクランクシャフト33のクラ
ンクピン34にコンロッドベアリング32を介して回転
可能に支持される。クランクシャフト33はオイルギャ
ラリー35を備えたシリンダブロック36に回転自在に
支持される。
【0036】一般に、ピストンは、オイルギャラリー3
5からシリンダブロック36及びクランクシャフト33
を経由してクランクピン34まで油路37が形成されて
いる。この実施例では、更にクランクピン34の油路3
7に連通する油路38がコンロッド11に形成され、油
路38に連通する油溝8がピストンピン22の中央部周
面に形成されている。ピストンピン22の中央部周面に
形成された油溝8は油路39としての中心孔28に連通
し、油路39は更にピストンピンの両端部周面に形成さ
れた油溝9に連通している。また、油溝9はピストン本
体1におけるピン孔4からスカート部3へ向かって延び
る油路6に連通している。以上のように構成されている
から、オイルギャラリー35から供給された圧油は、こ
れらの油路及び油溝を経由して、ピストン本体1のスカ
ート部3に形成された油溝5へと導かれ、外環部材7と
スカート部3との間の隙間14に次々に供給されること
になる。勿論、この隙間14は密閉空間ではないから、
圧油は隙間14から次々に漏出する。この状態におい
て、外環部材7はシリンダライナのスラスト側の壁面に
向けて所定の圧力で押し付けられ、外環部材7の外周面
がシリンダライナの壁面に密着した状態になる。なお、
所定の圧力とは、外環部材7をシリンダライナの壁面に
常に軽く密着させておく程度の小さな圧力をいう。
5からシリンダブロック36及びクランクシャフト33
を経由してクランクピン34まで油路37が形成されて
いる。この実施例では、更にクランクピン34の油路3
7に連通する油路38がコンロッド11に形成され、油
路38に連通する油溝8がピストンピン22の中央部周
面に形成されている。ピストンピン22の中央部周面に
形成された油溝8は油路39としての中心孔28に連通
し、油路39は更にピストンピンの両端部周面に形成さ
れた油溝9に連通している。また、油溝9はピストン本
体1におけるピン孔4からスカート部3へ向かって延び
る油路6に連通している。以上のように構成されている
から、オイルギャラリー35から供給された圧油は、こ
れらの油路及び油溝を経由して、ピストン本体1のスカ
ート部3に形成された油溝5へと導かれ、外環部材7と
スカート部3との間の隙間14に次々に供給されること
になる。勿論、この隙間14は密閉空間ではないから、
圧油は隙間14から次々に漏出する。この状態におい
て、外環部材7はシリンダライナのスラスト側の壁面に
向けて所定の圧力で押し付けられ、外環部材7の外周面
がシリンダライナの壁面に密着した状態になる。なお、
所定の圧力とは、外環部材7をシリンダライナの壁面に
常に軽く密着させておく程度の小さな圧力をいう。
【0037】この発明によるピストンは、以上のような
構成を備えており、以下のように作動する。ピストンが
往復運動すると、外環部材7はピストン本体1と一体的
に往復運動する。また、ピストンの往復運動に従ってピ
ストン本体1はスラスト方向に移動し即ちピストンピン
22の軸回りで揺動し、スラスト側においては、スカー
ト部3が外環部材7を介してシリンダライナの壁面に衝
突しようとする。その時、ピストン本体1は外環部材7
の方へ向かって移動するので、外環部材7とスカート部
3との間の隙間14に満たされている圧油はスカート部
3の周辺部31の隙間C2 から押し出される。ところ
が、その隙間14は外環部材7の中央部30(隙間C
1 )で大きく且つ周辺部31(隙間C2 )で小さく形成
されている(C1 >C2 )ので、ピストン本体1が外環
部材7に接近するにつれて隙間14は小さくなるととも
に、周辺部31が絞りとしての機能を発揮するようにな
り、ピストン本体1は急に油圧による抵抗を受けて外環
部材7の方へ接近し難くなる。このようにピストン本体
1がピストンピン22の軸回りに揺動した時に、ピスト
ン本体1は油圧緩衝作用を受けるので、スラスト側にお
けるスラップ音の発生は防止され、長期にわたってスラ
ップ音低減性能を維持することができる。
構成を備えており、以下のように作動する。ピストンが
往復運動すると、外環部材7はピストン本体1と一体的
に往復運動する。また、ピストンの往復運動に従ってピ
ストン本体1はスラスト方向に移動し即ちピストンピン
22の軸回りで揺動し、スラスト側においては、スカー
ト部3が外環部材7を介してシリンダライナの壁面に衝
突しようとする。その時、ピストン本体1は外環部材7
の方へ向かって移動するので、外環部材7とスカート部
3との間の隙間14に満たされている圧油はスカート部
3の周辺部31の隙間C2 から押し出される。ところ
が、その隙間14は外環部材7の中央部30(隙間C
1 )で大きく且つ周辺部31(隙間C2 )で小さく形成
されている(C1 >C2 )ので、ピストン本体1が外環
部材7に接近するにつれて隙間14は小さくなるととも
に、周辺部31が絞りとしての機能を発揮するようにな
り、ピストン本体1は急に油圧による抵抗を受けて外環
部材7の方へ接近し難くなる。このようにピストン本体
1がピストンピン22の軸回りに揺動した時に、ピスト
ン本体1は油圧緩衝作用を受けるので、スラスト側にお
けるスラップ音の発生は防止され、長期にわたってスラ
ップ音低減性能を維持することができる。
【0038】また、このピストンは、特に、スカート部
3のスラスト側の表面に油溝5を形成するに当たり、そ
の形成箇所をピストンピン22の軸中心よりも上方位置
で且つピストンリング溝12よりも下方位置としたの
で、ピストンが反スラスト側に傾いた時にも油溝5から
供給される油圧により油膜切れは生じなくなる。その結
果、ピストンがスラスト側に移動する時には衝突部位ま
わりに十分な油膜が確保されているので、衝突が緩和さ
れ、確実にスラップ音を低減することができる。
3のスラスト側の表面に油溝5を形成するに当たり、そ
の形成箇所をピストンピン22の軸中心よりも上方位置
で且つピストンリング溝12よりも下方位置としたの
で、ピストンが反スラスト側に傾いた時にも油溝5から
供給される油圧により油膜切れは生じなくなる。その結
果、ピストンがスラスト側に移動する時には衝突部位ま
わりに十分な油膜が確保されているので、衝突が緩和さ
れ、確実にスラップ音を低減することができる。
【0039】また、ピストン本体1の重心G2 をピスト
ン本体1の中心線A−Aに対してスラスト側にオフセッ
トしているので、図3に示すように、上死点に向かう速
度が減速中のピストンには、更に上昇し続けようとする
慣性力Fが働き、この慣性力Fを重心G2 に集約する
と、この慣性力Fはピストンピンの軸中心O回りにおい
てピストン本体1のクラウン部2を反スラスト方向に付
勢するモーメントを与える。混合気の圧縮圧力PC がピ
ストン本体1をピストンピン回りに回転させようとする
モーメントは、慣性力Fによるモーメントと同じく、ク
ラウン部2を反スラスト側に付勢する方向に働く(正味
のモーメントM)。したがって、圧縮行程の終期のピス
トン本体1に対して常にクラウン部2を反スラスト側に
押し付ける力が作用し続け、この力の作用方向がスラス
ト側から反スラスト側に変わることがないので、スラッ
プ音が発生するのを抑制することができる。
ン本体1の中心線A−Aに対してスラスト側にオフセッ
トしているので、図3に示すように、上死点に向かう速
度が減速中のピストンには、更に上昇し続けようとする
慣性力Fが働き、この慣性力Fを重心G2 に集約する
と、この慣性力Fはピストンピンの軸中心O回りにおい
てピストン本体1のクラウン部2を反スラスト方向に付
勢するモーメントを与える。混合気の圧縮圧力PC がピ
ストン本体1をピストンピン回りに回転させようとする
モーメントは、慣性力Fによるモーメントと同じく、ク
ラウン部2を反スラスト側に付勢する方向に働く(正味
のモーメントM)。したがって、圧縮行程の終期のピス
トン本体1に対して常にクラウン部2を反スラスト側に
押し付ける力が作用し続け、この力の作用方向がスラス
ト側から反スラスト側に変わることがないので、スラッ
プ音が発生するのを抑制することができる。
【0040】なお、図7に示す歴波形の振動グラフは、
シリンダライナ壁面の振動を、シリンダに加速度センサ
ーを取り付け、チャージアンプを介してオシロスコープ
で計測することによって得たものである。定常的に見ら
れる振動は、動弁系、燃焼室等の要因による振動と見ら
れる。
シリンダライナ壁面の振動を、シリンダに加速度センサ
ーを取り付け、チャージアンプを介してオシロスコープ
で計測することによって得たものである。定常的に見ら
れる振動は、動弁系、燃焼室等の要因による振動と見ら
れる。
【0041】
【発明の効果】この発明によるピストンは上記のように
構成されているので、次のような効果を奏する。即ち、
このピストンは、ピストンリング溝を備えたクラウン部
とピストンピンを挿通するピン孔が形成されたボス部を
備えたスカート部とから構成したピストン本体、前記ス
カート部にスラスト側にのみ嵌合配設され且つ前記スカ
ート部との間にダンパー用オイルが導入される隙間を形
成している外環部材、及び前記ピストンピンの両端部に
取り付けられており、前記外環部材を前記ピストンピン
の軸回りに回動自在に且つ前記ピストン本体に対してス
ラスト方向に相対移動自在に支持する外環支持部材から
成り、前記ピストン本体の重心を前記ピストン本体の中
心線よりもスラスト側にオフセットしたので、例えば、
エンジンの爆発・膨張行程に入ったときのスラスト側で
の主たるスラップ音は、外環部材のオイルダンピング作
用によって軽減される。そして、反スラスト側における
低中回転数運転時にはもともと衝突エネルギーが小さ
く、高回転数運転時の衝突エネルギーについては、ピス
トン本体の重心をピストン本体の中心線からスラスト側
にオフセットしているので、エンジンの圧縮行程におい
て前記ピストンが上死点に向かう速度が減速するとき
に、前記ピストンは、前記ピストンに働く慣性力に基づ
いて、前記ピストンピンの回りにおいて前記クラウン部
が反スラスト方向に押し付けられる方向に作用するモー
メントを受けるため、ピストンは反スラスト側に押し付
けられながら上死点に向かうこととなり、シリンダライ
ナに衝突することが軽減している。その結果、特に高回
転数運転時の圧縮行程終期における反スラスト側でのピ
ストンのシリンダライナへの衝突エネルギーは最小に抑
えることができ、確実にスラップ音を低減することがで
きる。
構成されているので、次のような効果を奏する。即ち、
このピストンは、ピストンリング溝を備えたクラウン部
とピストンピンを挿通するピン孔が形成されたボス部を
備えたスカート部とから構成したピストン本体、前記ス
カート部にスラスト側にのみ嵌合配設され且つ前記スカ
ート部との間にダンパー用オイルが導入される隙間を形
成している外環部材、及び前記ピストンピンの両端部に
取り付けられており、前記外環部材を前記ピストンピン
の軸回りに回動自在に且つ前記ピストン本体に対してス
ラスト方向に相対移動自在に支持する外環支持部材から
成り、前記ピストン本体の重心を前記ピストン本体の中
心線よりもスラスト側にオフセットしたので、例えば、
エンジンの爆発・膨張行程に入ったときのスラスト側で
の主たるスラップ音は、外環部材のオイルダンピング作
用によって軽減される。そして、反スラスト側における
低中回転数運転時にはもともと衝突エネルギーが小さ
く、高回転数運転時の衝突エネルギーについては、ピス
トン本体の重心をピストン本体の中心線からスラスト側
にオフセットしているので、エンジンの圧縮行程におい
て前記ピストンが上死点に向かう速度が減速するとき
に、前記ピストンは、前記ピストンに働く慣性力に基づ
いて、前記ピストンピンの回りにおいて前記クラウン部
が反スラスト方向に押し付けられる方向に作用するモー
メントを受けるため、ピストンは反スラスト側に押し付
けられながら上死点に向かうこととなり、シリンダライ
ナに衝突することが軽減している。その結果、特に高回
転数運転時の圧縮行程終期における反スラスト側でのピ
ストンのシリンダライナへの衝突エネルギーは最小に抑
えることができ、確実にスラップ音を低減することがで
きる。
【0042】ピストンピンの軸中心を、ピストン本体の
中心線よりもスラスト側にオフセットさせると、圧縮行
程の終期における混合気の圧縮圧力は、ピストンをピス
トンピンの回りにおいて、クラウン部を反スラスト側に
押し付ける方向のモーメントを与えるので、圧縮行程終
期においてピストンが反スラスト側のシリンダライナに
衝突することによるスラップ音を更に軽減することがで
きる。
中心線よりもスラスト側にオフセットさせると、圧縮行
程の終期における混合気の圧縮圧力は、ピストンをピス
トンピンの回りにおいて、クラウン部を反スラスト側に
押し付ける方向のモーメントを与えるので、圧縮行程終
期においてピストンが反スラスト側のシリンダライナに
衝突することによるスラップ音を更に軽減することがで
きる。
【0043】更に、ピストン本体のスカート部と外環部
材との間に形成される隙間へのオイルの導入を、油圧源
から、前記ピストンピンに形成された油路、前記スカー
ト部に形成された油路及び前記スカート部のスラスト側
表面に形成された油溝を介して供給すると、撥上げ式や
噴射式のオイル供給に比較してオイルの供給が確実とな
る。
材との間に形成される隙間へのオイルの導入を、油圧源
から、前記ピストンピンに形成された油路、前記スカー
ト部に形成された油路及び前記スカート部のスラスト側
表面に形成された油溝を介して供給すると、撥上げ式や
噴射式のオイル供給に比較してオイルの供給が確実とな
る。
【図1】この発明によるエンジン用ピストンの一実施例
を示す分解斜視図である。
を示す分解斜視図である。
【図2】図1のピストンにおけるピストン本体と外環部
材との相互関係を示す断面図である。
材との相互関係を示す断面図である。
【図3】図1のピストンの外観、重心及びピストン中心
線の配置関係を、従来の量産型ピストンの場合の配置関
係とともに示す正面図である。
線の配置関係を、従来の量産型ピストンの場合の配置関
係とともに示す正面図である。
【図4】図1のピストンへ油圧を供給するための油圧供
給経路を示す断面図である。
給経路を示す断面図である。
【図5】エンジン用ピストンにおける、ピストン本体の
重心位置を変化させたときの、スラスト側及び反スラス
ト側での衝突エネルギーの計算値を示すグラフである。
重心位置を変化させたときの、スラスト側及び反スラス
ト側での衝突エネルギーの計算値を示すグラフである。
【図6】従来の量産型ピストン及び両側オイルダンピン
グ式ピストンにおける低回転数運転時及び高回転数運転
時の振動レベルを表すグラフである。
グ式ピストンにおける低回転数運転時及び高回転数運転
時の振動レベルを表すグラフである。
【図7】従来の量産型ピストン及び両側オイルダンピン
グ式ピストンにおける反スラスト側での振動の歴波形を
表すグラフである。
グ式ピストンにおける反スラスト側での振動の歴波形を
表すグラフである。
【図8】従来のエンジン用ピストンに働くスラスト力と
反スラスト側での衝突エネルギーを表すグラフである。
反スラスト側での衝突エネルギーを表すグラフである。
【図9】従来のエンジン用ピストンの圧縮行程終期にお
ける挙動の説明図である。
ける挙動の説明図である。
1 ピストン本体 2 クラウン部 3 スカート部 4 ピン孔 5 油溝 6 油路 7 外環部材 9 油溝 10 外環支持部材 12 ピストンリング溝 13 ボス部 14 隙間 22 ピストンピン 39 油路 G2 ピストン本体の重心
Claims (4)
- 【請求項1】 ピストンリング溝を備えたクラウン部と
ピストンピンを挿通するピン孔が形成されたボス部を備
えたスカート部とから構成したピストン本体、前記スカ
ート部にスラスト側にのみ嵌合配設され且つ前記スカー
ト部との間にダンパー用オイルが導入される隙間を形成
している外環部材、及び前記ピストンピンの両端部に取
り付けられており、前記外環部材を前記ピストンピンの
軸回りに回動自在に且つ前記ピストン本体に対してスラ
スト方向に相対移動自在に支持する外環支持部材から成
り、前記ピストン本体の重心が前記ピストン本体の中心
線よりもスラスト側にオフセットされているエンジン用
ピストン。 - 【請求項2】 前記ピストンピンの軸中心が、前記ピス
トン本体の中心線よりも前記スラスト側にオフセットさ
れている請求項1に記載のエンジン用ピストン。 - 【請求項3】 前記ダンパー用オイルは、油圧源から、
前記ピストンピンに形成された油路、前記ピストンピン
の外周に形成された油溝、前記スカート部に形成された
油路、及び前記スカート部のスラスト側表面に形成され
た油溝を順次に介して前記隙間に供給される請求項1〜
2のいずれか1項に記載のエンジン用ピストン。 - 【請求項4】 エンジンの圧縮行程において前記ピスト
ンが上死点に向かう速度が減速するときに、前記ピスト
ンは、前記ピストンに働く慣性力に基づいて、前記ピス
トンピンの回りにおいて前記クラウン部が反スラスト方
向に押し付けられる方向に作用するモーメントを受ける
請求項1〜3に記載のエンジン用ピストン。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24908996A JPH1078129A (ja) | 1996-08-31 | 1996-08-31 | エンジン用ピストン |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24908996A JPH1078129A (ja) | 1996-08-31 | 1996-08-31 | エンジン用ピストン |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1078129A true JPH1078129A (ja) | 1998-03-24 |
Family
ID=17187830
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24908996A Pending JPH1078129A (ja) | 1996-08-31 | 1996-08-31 | エンジン用ピストン |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1078129A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100501437B1 (ko) * | 2002-09-02 | 2005-07-18 | 현대자동차주식회사 | 피스톤의 슬랩소음 저감장치 |
| JP2014518979A (ja) * | 2011-05-20 | 2014-08-07 | フェデラル−モーグル コーポレイション | 冷却通路を有するスチールピストンおよびその構成方法 |
| FR3055657A1 (fr) * | 2016-09-02 | 2018-03-09 | Peugeot Citroen Automobiles Sa | Ensemble bielle et piston comprenant un percage d’amenee d’huile de lubrification dans une jupe de piston |
| US10590884B2 (en) | 2009-11-06 | 2020-03-17 | Tenneco Inc | Steel piston with cooling gallery and method of construction thereof |
-
1996
- 1996-08-31 JP JP24908996A patent/JPH1078129A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100501437B1 (ko) * | 2002-09-02 | 2005-07-18 | 현대자동차주식회사 | 피스톤의 슬랩소음 저감장치 |
| US9970384B2 (en) | 2009-11-06 | 2018-05-15 | Federal-Mogul Llc | Steel piston with cooling gallery and method of construction thereof |
| US10590884B2 (en) | 2009-11-06 | 2020-03-17 | Tenneco Inc | Steel piston with cooling gallery and method of construction thereof |
| JP2014518979A (ja) * | 2011-05-20 | 2014-08-07 | フェデラル−モーグル コーポレイション | 冷却通路を有するスチールピストンおよびその構成方法 |
| JP2017115892A (ja) * | 2011-05-20 | 2017-06-29 | フェデラル−モーグル・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーFederal−Mogul Llc | 冷却通路を有するスチールピストンおよびその構成方法 |
| FR3055657A1 (fr) * | 2016-09-02 | 2018-03-09 | Peugeot Citroen Automobiles Sa | Ensemble bielle et piston comprenant un percage d’amenee d’huile de lubrification dans une jupe de piston |
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