JPH10250081A - インクジェットヘッドおよびインクジェットカートリッジ - Google Patents

インクジェットヘッドおよびインクジェットカートリッジ

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JPH10250081A
JPH10250081A JP9057282A JP5728297A JPH10250081A JP H10250081 A JPH10250081 A JP H10250081A JP 9057282 A JP9057282 A JP 9057282A JP 5728297 A JP5728297 A JP 5728297A JP H10250081 A JPH10250081 A JP H10250081A
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ink
electrode
electrodes
pressure chamber
pair
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JP9057282A
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Takeshi Tokiwa
剛 常盤
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極とインクとの界面での腐食反応及び溶解
を防ぐことにより、電極の腐食が少なく耐久性のあるイ
ンクジェットヘッドを提供することを目的とする。 【解決手段】 一対の信号電極4の表面に、信号電極4
よりも電極電位の低い金属を積層して防食部26を形成
する。たとえば信号電極4がCu,Au,Pt,Pdの
いずれかである場合は、Fe,Mg,Zn,Niから選
択される金属元素によって防食部26を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出さ
せて印刷用紙に印字叉は印画させるインクジェットヘッ
ドおよびインクジェットカートリッジに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンタは、記録
時の静粛性、高速記録が可能であること、カラー化が容
易であるなどの点から、家庭用、オフィス用コンピュー
タの出力用プリンタとして広く利用されるようになっ
た。このインクジェットプリンタは、インクを小滴化し
て飛翔させ、記録紙に付着させて記録を行うもので、小
滴の発生法や飛翔方向の制御法によって、コンティニア
ス方式とオンデマンド方式に大別される。
【0003】コンティニアス方式は、例えば米国特許第
3060429号明細書に開示されている方式であっ
て、インクの小滴化を静電吸引的に行い、発生した小滴
を記録信号に応じて電解制御し、記録紙上に小滴を選択
的に付着させて記録を行うもので、小滴の発生に高電圧
を要し、マルチノズル化が困難であるので高速記録には
不適である。
【0004】オンデマンド方式は、例えば米国特許第3
747120号に開示されている方式で、小滴を吐出す
るノズル孔を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ
振動素子に、電気的な記録信号を付加し、この電気記録
信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、機械的振動
に従って前記ノズル孔より小滴を吐出させて記録紙に付
着させることで記録を行うものである。この方式は、オ
ンデマンドでインクをノズル孔より吐出して記録を行う
ため、コンティニアス方式のように吐出飛翔する小滴の
中、画像の記録に要さなかった小滴を回収することが不
要でシンプルな構成が可能である。反面、記録ヘッドの
加工の困難さや、ピエゾ振動素子の小型化が極めて困難
でマルチノズル化が難しく、ピエゾ素子の機械振動とい
う機械的エネルギーで小滴の飛翔を行うので高速記録に
向かない等の欠点を有する。
【0005】また特公昭61−59911号公報、特公
昭62−11035号公報および特公昭61−5991
4号公報には、発熱抵抗体により沸騰を生起させ液滴を
飛翔させる方式が公開されている。
【0006】オンデマンド方式の他の例として、米国特
許第3179042号明細書に開示されている方式は、
ピエゾ振動素子等の手段による機械的振動エネルギーを
利用する代わりに熱エネルギーを利用するものである。
この方式は、機械的振動エネルギーを利用する方式と比
較しエネルギー変換効率が高い、マルチノズル化が容易
であるといった特徴がある。
【0007】次に、その吐出原理について説明する。図
10は従来のインクジェットヘッドの要部断面図で、1
は基板、2は仕切板、4は一対の信号電極、5は耐久皮
膜層、6は導電性インクを吐出するノズル、9は信号発
生装置、31はインク室をそれぞれ示す。
【0008】一対の信号電極4に電圧を印加すると、イ
ンク室31に充填された導電性インクに電流が流れ、そ
のジュール熱で信号電極4の先端間の導電性インクの一
部が気化する。更に気化された導電性インクの蒸気は、
ノズル6から吐出するのに十分な圧力を発生するまで膨
張する。ここで、信号発生装置9により電圧を印加する
ことで、導電性インクを吐出するノズル孔を選び所望の
文字を形成できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のインクジェット
ヘッドにおいては、電極が腐食性の塩化物イオン等をイ
ンクに導電性を持たせるための支持電解質としているた
め、長時間使用するとインクと電極の界面で電気化学反
応を起こし、電極が酸化もしくは溶解したり、染料など
のインク中の組成物によって電極上に付着物が発生し、
その結果ヘッドの吐出寿命が著しく劣化するという問題
を有していた。また電極寿命が電極の酸化や溶解および
付着物によって劣化し、長期保存安定性が確保できな
い。
【0010】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、電極とインクとの界面での腐食反応及び溶解を防ぐ
ことにより、電極の腐食が少なく耐久性のあるインクジ
ェットヘッドおよびインクジェットカートリッジを提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、圧力室と、前記圧力室の壁面に形成されたノ
ズル孔と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向する壁面に
配設された一対の電極と、前記圧力室に連設されたイン
ク流路と、前記インク流路内において前記圧力室の反対
側の端部に形成されたインク供給孔とを有するインクジ
ェットヘッドであって、前記一対の電極の表面に、これ
らの電極よりも電極電位の低い金属を接触配置または積
層したことを特徴とする。一対の電極よりも電極電位が
低い金属は防食部として機能する。そして、電極電位を
低くしたのは、電極電位の低い防食部の材料が犠牲腐食
となり、前記一対の信号電極の腐食を抑制するためであ
る。
【0012】本発明によれば、防食部の電極に前記一対
の信号電極より電極電位が低い材料を使用することによ
り、防食部が犠牲腐食となって前記一対の信号電極の腐
食を抑制することになり、従って、従来インクと電極の
界面で発生していた電気化学反応が、電極電位の低い金
属上で発生することとなる。これによって、前記信号電
極上で発生する沸騰現象をなんら阻害することなくイン
クとの界面での腐食反応及び溶解を効果的に防ぐことが
可能となり、電極の腐食がなく耐久性のあるインクジェ
ットヘッドが提供され、インクと電極の長期保存安定性
を実現することができる。
【0013】防食部は、電極上に形成する際、沸騰現象
を阻害しないために、耐久皮膜層からの露出面積を限り
なく小さくしつつ、インクに接触させることが好まし
い。そのために、耐久皮膜層からの露出長さ(信号電極
先端方向に対して)は、信号電極よりも短くすることが
好ましく、望ましくは信号電極の全長の50%以下にす
る。このような構成により、防食部では腐食反応が進行
し、一方信号電極上では安定した沸騰が得られる。
【0014】また、沸騰現象への影響を全く無くすた
め、防食用電極を圧力室の外に設けることもできる。こ
れにより、電極上に防食部を設ける構成に比べ信号電極
上で発生する沸騰気泡への影響は皆無となるが、常に防
食用電極と信号電極が電気的に接触している必要があ
る。これは、インク残量検知用電極は重力方向に対して
防食用電極よりも常に相対的に上側にあるようにするこ
とで、防食用電極が常に信号電極と電気的接触が取れる
構成とすることで対応できる。また、このような構成に
おいては、インク残量検知用電極は、防食用電極と兼用
することも可能である。
【0015】更に、防食部の材料としては、信号電極の
犠牲腐食として利用するために、インク中で比較的安定
であって不働態を形成しないものが好ましい。具体的に
は、Li,Be,C,Mg,V,Cr,Mn,Ni,C
u,Zn,Mo等である。また、信号電極がTi,N
b,Ta等の不働態を形成する材料によって構成されて
いる場合では、水素過電圧を低下させるために、酸化還
元電位がより貴な材料を防食部として用いることがで
き、具体的にはPd,Ag,Pt,Au,Cu等が好適
である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載のインク
ジェットヘッドは、圧力室と、前記圧力室の壁面に形成
されたノズル孔と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向す
る壁面に配設された一対の電極と、前記圧力室に連設さ
れたインク流路と、前記インク流路内において前記圧力
室の反対側の端部に形成されたインク供給孔とを有する
インクジェットヘッドであって、前記一対の電極の表面
に、これらの一対の電極よりも電極電位の低い金属を接
触配置または積層したことを特徴とする。
【0017】この発明によれば、インクと電極の界面で
起こる電気化学反応を、前記電極電位の低い金属上で起
こすことによって、電極とインクとの界面での腐食反応
及び溶解を防ぐことができ、電極の腐食がなく、耐久性
のあるインクジェットヘッドを提供し、インクと電極の
長期保存安定性を実現することができる。
【0018】請求項2に記載のインクジェットヘッド
は、前記一対の電極がCu,Au,Pt,Pdのいずれ
かである場合、前記一対の電極上に形成する防食部はF
e,Mg,Zn,Niから選択される金属元素によって
構成されていることを特徴とする。
【0019】この発明によれば、インクと電極の界面で
起こる電気化学反応を、前記電極電位の低い防食部で起
こすことによって、電極とインクとの界面での腐食反応
及び溶解を防ぐことができ、電極の腐食がなく、耐久性
のあるインクジェットヘッドを提供し、インクと電極の
長期保存安定性を実現することができる。
【0020】請求項3に記載のインクジェットヘッド
は、圧力室と、前記圧力室の壁面に形成されたノズル孔
と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向する壁面に配設さ
れた一対の電極と、前記圧力室に連設されたインク流路
と、前記インク流路内において前記圧力室の反対側の端
部に形成されたインク供給孔とを有するインクジェット
ヘッドであって、前記一対の電極に不働態を形成する金
属が含まれている場合、前記一対の電極よりも電極電位
の高い金属を接触配置または積層して防食部を形成した
ことを特徴とする。
【0021】この発明によれば、インクと電極の界面で
起こる電気化学反応を、前記電極電位の高い防食部で起
こすことによって、前記不働態を形成する電極とインク
との界面での腐食反応及び溶解を防ぐことができ、電極
の腐食がなく、耐久性のあるインクジェットヘッドを提
供し、インクと電極の長期保存安定性を実現することが
できる。
【0022】請求項4に記載のインクジェットヘッド
は、前記1対の電極がTiである場合、前記一対の電極
上に形成する防食部は、Cu,Au,Pt,Pd、Hg
から選択される1つの金属元素にて構成されていること
を特徴とする。
【0023】この発明によれば、インクと電極の界面で
起こる電気化学反応を、前記電極電位の高い防食部で起
こすことによって、前記不働態を形成する電極とインク
との界面での腐食反応及び溶解を防ぐことができ、電極
の腐食がなく、耐久性のあるインクジェットヘッドを提
供し、インクと電極の長期保存安定性を実現することが
できる。
【0024】請求項5に記載のインクジェットヘッドカ
ートリッジは、圧力室と、前記圧力室の壁面に形成され
たノズル孔と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向する壁
面に配設された一対の電極と、前記圧力室に連設された
インク流路と、前記インク流路内において前記圧力室の
反対側の端部に形成されたインク供給孔と、インクに接
する箇所に設けられた防食用電極を有するインクジェッ
トヘッドカートリッジであって、前記一対の電極にTi
が含まれている場合、前記一対の電極に印字のための電
圧がかかっているとき以外は、前記一対の電極は前記防
食用電極に接続されていることを特徴とする。
【0025】この発明によれば、インクと電極の界面で
起こる電気化学反応を、前記電極電位の高い防食部で起
こすことによって、前記不働態を形成する電極とインク
との界面での腐食反応及び溶解を防ぐことができ、電極
の腐食がなく、耐久性のあるインクジェットヘッドカー
トリッジを提供し、インクと電極の長期保存安定性を実
現することができる。
【0026】請求項6に記載のインクジェットヘッドカ
ートリッジは、前記防食用電極の重力方向に向かって上
部にインク残量検知電極を設け、前記防食用電極が常に
残量インクに浸漬されていることを特徴とする。
【0027】この発明によれば、前記防食部が常にイン
クに浸漬されていることによって、インクと電極の界面
で起こる電気化学反応を、前記電極電位の高い防食部で
起こすことによって、前記不働態を形成する電極とイン
クとの界面での腐食反応及び溶解を防ぐことができ、電
極の腐食がなく、耐久性のあるインクジェットヘッドカ
ートリッジを提供し、インクと電極の長期保存安定性を
実現することができる。
【0028】請求項7に記載のインクジェットヘッドカ
ートリッジは、インク残量検知電極はインクフィルタよ
りも重力方向に対して上部にあることを特徴とする。
【0029】この発明によれば、残量インクが常にイン
クフィルタより重力方向に対して上にあることになり、
従ってインクフィルタは常にインクに浸漬されているた
めに、インクフィルタがインクの染料やその他の添加物
の乾固物によって目詰まりすることなく、耐久性のある
インクジェットヘッドカートリッジを提供し、インクと
電極およびカートリッジの長期保存安定性を実現するこ
とができる。
【0030】請求項8に記載のインクジェットヘッドカ
ートリッジは、前記防食用電極はCu,Au,Pt,P
d,Cから選択される1つの金属元素によって構成され
ていることを特徴とする。
【0031】この発明によれば、前記インク残量検知用
電極と前記防食部の間で局部電池を形成することによっ
て前記インク残量検知用電極が腐食することなく、耐久
性のあるインクジェットカートリッジを得ることができ
る。
【0032】請求項9に記載のインクジェットヘッドカ
ートリッジは、前記インク中に含まれる支持電解質には
フッ化水素酸、塩酸、硫酸、リン酸の塩を除く塩である
ことを特徴とする。
【0033】この発明によれば、前記防食部や前記イン
ク残量検知用電極および信号電極4が腐食することな
く、耐久性のあるインクジェットヘッドカートリッジを
提供し、インクと電極およびインクジェットカートリッ
ジの長期保存安定性を実現することができる。
【0034】なお、以下に説明するインクジェットヘッ
ドで使用できる記録液は、水溶性、油溶性どちらでも良
いが、臭いや安全性を考慮すると水溶性の方が好まし
い。またインクには、染料、湿潤材としてのアルコール
類、グリコール類等の水可溶性有機溶媒、界面活性剤、
あるいはこれらの混合物を添加することが、にじみ、乾
燥速度、沸騰状態の調節、電極寿命、ノズル目詰まり等
にとって好ましい。さらに防腐剤も使用される。具体的
にはトリケップス社「インクジェット記録技術」の第1
77頁に記載のもの、太田徳也,日経エレクトロニク
ス,No303,1982.11.8号、太田徳也,電
子写真学会誌、Vol24,354(1985)、大渡
章夫,「第4回ノンインパクトプリンティング技術シン
ポジウム論文集」,電子写真学会,93(1987)、
平沢伸一,「第4回ノンインパクトプリンティング技術
シンポジウム論文集」89(1987)、沢木健二,繊
維と工業,Vol47,212,(1991)および特
開昭63ー1579号公報等に記載のある素材を使用す
ることができる。具体的には本実施の形態ではインク染
料として、バイエル社製のFood Black2を使
用している。
【0035】次に本発明で使用できる記録液の構成の具
体例を述べる。色材(染料;アゾ染料、酸性染料、塩基
性染料、直接染料、顔料;カーボンブラック、アゾレー
キ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン顔料、ベリレン顔料、ベリノン顔
料、アトラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジ
ン顔料、チオインジコ顔料、イソインドリノン顔料、キ
ノフタロン顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レー
キ、ニトロ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料、酸化チ
タン、酸化鉄等)、溶媒(水等)、溶剤(エチルアルコ
ール、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec
−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イ
ソブチルアルコール、n−ペンタノール、ジエチレング
リコール等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル
類等)、乾燥防止剤(グリセリン、尿素、ソルビタン、
ソルビトール、イノシトール、キレート剤等)、粘度調
整剤(グリセリン等)、表面張力調整剤(ジエアノール
アミン、トリエタノールアミン、アニオン系界面活性
剤、ノニオン系界面活性剤)、pH調整剤(水酸化カリ
ウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、ジエ
アノールアミン等)、分散剤(蛋白質類、天然ゴム類、
セルロース誘導体、天然高分子、非イオン性高分子、陰
イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等)、発泡剤
(イソプロピルアルコール、多価アルコール)、酸化防
止剤(ビタミンC、亜硫酸ナトリウム、ハイドロキノ
ン、ピラゾリドン、ヒドラジン等)、防腐剤(アルコー
ル、ホルマリン、オマシンナトリウム等)等がある。
【0036】本発明においては、インク中のジュール発
熱によって沸騰気泡を発生し、液滴を飛翔させるという
原理上、導電性のインクを使用することが特に好まし
い。この導電性インクについては、米国特許第4,53
6,776号明細書(特開昭59−129274号公
報)に「染料の水性混合物から成る選択的なインクジェ
ット印刷機のためのインクにおいて、この混合物が、1
cm当り15ないし50オームの比抵抗をインクに与え
るような量の加水分解塩から成ることを特徴とするイン
ク」が開示されている。また特開平5−179182号
公報(DIC)には「水と着色剤を含有するインクジェ
ット記録用水性インク組成物において、アルカノールア
ミンまたはエチレンオキシド付加物及びまたはプロピレ
ンオキシド付加物と、ハロゲン化水素からなる塩を含有
することを特徴とするインク」が開示されている。また
特公平2−5785には無機塩類について具体的な記載
がある。本発明にて用いられる導電性付与剤としてはリ
チウム(Li)等からなるアルカリ金属化合物塩、硫酸
アンモニウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム等の無機塩類、及び有機塩類どちらでも良いが4
級有機アンモニウム塩の誘導体が好ましく使用できる。
化合物の具体的な例としては、モノエタノールアミン硫
酸塩、ジエタノールアミン硫酸塩、トリエタノールアミ
ン硫酸塩、モノエタノールアミン硝酸塩、ジエタノール
アミン硝酸塩、トリエタノールアミン硝酸塩、モノエタ
ノールアミンリン酸塩、ジエタノールアミンリン酸塩、
トリエタノールアミンリン酸塩、ジメタノールアミン硫
酸塩、トリメタノールアミン硫酸塩、ジエチルアミン硫
酸塩、トリエチルアミン硫酸塩、ジメチルアミン硫酸
塩、トリメチルアミン硫酸塩、モノプロピルアミン硫酸
塩、ジプロピルアミン硫酸塩、トリプロピルアミン硫酸
塩、フェニルアミン硫酸塩、ジフェニルアミン硫酸塩、
ジメチレンアミン硫酸塩、トリメチレンアミン硫酸塩、
ジエチレンアミン硫酸塩、トリエチレンアミン硫酸塩、
ジプロピレンアミン硫酸塩、トリプロピレンアミン硫酸
塩、ピリジン硫酸塩、ピロール硫酸塩等を挙げることが
できる。
【0037】湿潤剤は、水より沸点の高いものであり、
ノズル先端の乾燥を防止するために用いられる。湿潤剤
としては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレ
ングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を
含むアルキレングリコール、例えばエチレングリコール
エチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のジエチレ
ングリコールの低級アルキルエーテル、グリセリン等が
挙げられる。多価アルコールは0.1〜10重量%、好
ましくは0.5〜3.0重量%含有される。多価アルコ
ールが0.5重量%未満になるにつれ、インク乾燥によ
るノズル先端が目詰まり傾向となるのが認められ、多価
アルコールが3.0重量%を越えるにつれ、インク比抵
抗が上昇する傾向となるのが認められ、それぞれ好まし
くない。
【0038】溶剤としては、水、及び、水と混合しうる
有機溶剤が使用できる。有機溶剤としては、メチルアル
コール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、等のアルキルアルコール、ア
セトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアル
コール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレンブリコールモノエチルエーテル等のエーテルアル
コール類、水溶性高分子化合物等が挙げられる。溶剤と
して用いられている水は、30〜80重量%、好ましく
は50〜70重量%含有される。水が50重量%未満に
なるにつれ、紙への浸透性が向上する傾向が認められ、
水が70重量%を越えるにつれ、紙への浸透性が低下す
る傾向が認められ、それぞれ好ましくないことがわかっ
た。
【0039】インクジェット用インクには、さらに、液
物性を調整するため、界面活性剤、pH調整剤、粘度調
整剤、等を添加することができる。
【0040】表面張力調整剤はインクジェット用インク
の速乾性を上げるために添加すると同時にインクジェッ
ト用インクの蒸発も防止し、調整剤としては、水溶性有
機溶媒、界面活性剤を用いるのが好ましい。水溶性有機
溶媒は、上記溶剤の中より選択されも良い。界面活性剤
は界面活性剤として具体的には、脂肪酸塩類、高級アル
コール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩
類、脂肪アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪
酸エステルのスルホン塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩
類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合の
ナフタリンスルホン酸塩類、アルキルピリジウム塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニールエーテル類、ポリオキシエチレ
ンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類
を挙げることができる。
【0041】pH調整剤としては、調合されるインクジ
ェット用インクに悪影響を及ぼさずに、所望のpH値に
調整できるものであればよいが、具体的には、低級アル
カノールアミン、アルカリ金属水酸化物の1価の水酸化
物、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
【0042】粘度調整剤は、インクジェット用インクの
粘度を調整するものであり、具体的には、ポリビニルア
ルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチ
ルセルロース、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリ
ドン、アラビアゴムスターチ等が挙げられる。
【0043】更に、印刷用紙に付着する場合のインクの
被膜の強度を補強するために、アルキッド樹脂、アクリ
ル樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン等の樹脂重合体が添加されても良
い。また、カビ防止剤を添加するのが長期保存時の信頼
性確保の点で有利である。
【0044】以下本発明の実施の形態について、図面を
参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1は本発明の第1の実施の形態にお
けるインクジェットヘッド要部断面図、図2は図1のイ
ンクジェットヘッドの分解斜視図である。図1,2にお
いて、1は基板、2仕切り板、3はノズルプレート、4
は信号電極、5は耐久皮膜層、6はノズル、7は導電性
インク滴、8は記録紙、9は信号発生装置、10は電極
間電解集中部、11は圧力室である。26は信号電極4
上に形成された防食部で、この防食部26はFe,M
g,Zn,Ni等の信号電極4より酸化還元電位の低い
金属元素によって構成されている。また、12は共通イ
ンク室、13はインク供給孔を示す。
【0045】図3は図1のインクジェットヘッドを組み
込んだインクカートリッジの斜視図及び一部切欠斜視
図、図4は図3のインクカートリッジを組み込んだプリ
ンタの斜視図である。図3において、14はインクジェ
ットヘッド、15はインクジェットヘッド14を組み込
んだインクカートリッジ、16はインクフィルター、1
7はインク導入孔、18はインクタンクを示している。
また、19はインクカートリッジ15をプリンタに挿入
するカートリッジ挿入孔、20はキャリッジ、21はイ
ンクカートリッジ15を乗せるガイドシャフト、22は
記録媒体を搬送するプラテンローラーをそれぞれ示す。
【0046】次いで、以上のように構成されたインクジ
ェットヘッドについて、図1,2を用いてその動作を説
明する。まず、信号発生装置9で3MHzの吐出パルス
を発生させ、信号電極4に印加する。これによって、互
いに対向する信号電極4の間にあるインク中を電流が流
れ、インクの電気抵抗によりインク自体にジュール熱が
発生し、インクが加熱される。インクが沸点に達すると
インク中にバブル(図示せず)が発生する。このバブル
が膨張することによりバブル中に電流が流れなくなりバ
ブル表面に電流が集中し、バブル表面が更に加熱されバ
ブルが成長する。その結果圧力室11内のインクの圧力
が急激に高まり、ノズル6から導電性インク滴7が吐出
される。この導電性インク滴7が記録紙8に付着して、
ドットが形成される。バブルが導電性インク滴7を吐出
させるほど大きくなると信号電極4の間のインクが少な
くなり、電極間に電流が流れなくなる。電流が流れなく
なるとジュール熱の発生が少なくなり、インクが冷却さ
れバブルが消滅する。インク供給孔13からインクが圧
力室11に供給され、圧力室11内が初期の状態に戻
る。再びインクが沸騰を開始するには数マイクロ秒以上
の加熱時間を必要とするので、このあいだ吐出し信号発
生装置9は信号電極4への電圧の印加を休止し、インク
の二重沸騰による不必要な導電性インク滴7の吐出を防
止する。以上の動作を吐出駆動周期5kHzの間隔で、
繰り返すことによって、記録紙8上の任意の場所にドッ
トを形成する。
【0047】次に図5を参照して、上記インクジェット
ヘッドにおける信号電極と防食部の形成方法について説
明する。図5は電極層形成から防食部形成までの工程図
であり、(a)は電極層形成、(b)は電極形成用レジ
ストパターン形成、(c)は電極パターン形成、(d)
は電極中央部に開口部をもつ防食層形成用レジストパタ
ーン形成、(e)は防食部形成をそれぞれ示す。
【0048】図5(a)に示すように、ほう珪酸ガラス
の基板1に、Ptをターゲットとしてスパッタ法にてA
r圧が10mTorr、基板温度200℃で高周波電力
を200W、30分間印加してPt薄膜をガラス基板上
に2μm形成する。ここで基板材料としては、ほうケイ
酸ガラスの他に、ガラス、セラミック、等の絶縁材料、
半導体、表面を高抵抗材料で被覆した金属、金属合金、
絶縁物が使用できる。
【0049】またガラス基板としては、カリ石灰ガラ
ス、ソーダ石灰ガラス、ほうケイ酸ガラス、クラウンガ
ラス、亜鉛クラウンガラス、ソーダカリガラス、バリウ
ムほうケイ酸ガラス、96%珪酸ガラス,99.5%珪
酸ガラス,燐酸ガラス,低融点ガラス,リチウム珪酸ガ
ラス,亜鉛アルミ珪酸ガラス,珪酸ジルコニウムガラス
等が使用できる。セラミック基板としては、酸化アルミ
ニュウム(アルミナ),酸化チタン(チタニア),Mg
O・SiO2(ステアタイト),2MgO・SiO2(ホ
ルステライト),BeO(ベリリア),MgO・Al2
3(スピネル)等が使できる。半導体基板としては、
シリコン,炭化シリコン,ダイアモンド,ゲルマニウム
等が使用できる。また電極材料としては、白金族金属
(Pt,Ru,Rh,Pd,Os,Ir),Au,Cu
等を使用することができる。
【0050】次いで図5(b)に示すように、フェノー
ル樹脂を主成分とする感光性レジスト材料を、スピンコ
ーターにより電極層23を形成した基板1上に塗布した
後に、90℃で30分間焼成を行って厚さ7μmのレジ
スト膜を形成する。さらに、電極のパターンを有するフ
ォトマスクをレジスト膜上に重ねて、UV照射器により
7秒間露光した後に現像を行い、ヘッド形成用レジスト
パターン24を形成する。
【0051】次に、図5(c)に示すように、アルゴン
圧力2×10-4Torr、ビームパワー300W、ステ
ージ傾斜角45度、ミリング時間70分の成形条件でア
ルゴンビームによるミリング加工を行い、電極パターン
を形成する。電極パターン上のレジスト膜24は溶剤に
より溶解し、信号電極4を形成する。
【0052】次に、図5(d)に示すように、フェノー
ル樹脂を主成分とする感光性レジスト材料をスピンコー
ターにより信号電極4を形成した基板1上に塗布した後
に、90℃で30分間焼成を行い厚さ7μmのレジスト
膜を形成し、ヘッド先端部の防食部のパターンを有する
フォトマスクをレジスト膜に重ねて、UV照射器により
7秒間露光した後に現像を行い、防食層形成用レジスト
パターン25とする。
【0053】さらに図5(e)に示すように、防食層形
成用レジストパターン25上からZnをターゲットとし
てスパッタ法にてAr圧が25mTorr、基板温度2
00℃で高周波電力を200W、10分間印加してZn
薄膜をカウンター電極形成用レジストパターン上に1μ
m形成し、防食部26とする。一対の信号電極4の材料
はPt(標準電極電位=1.2V)の他にもCu(標準
電極電位=0.521V),Au(標準電極電位=1.
50V),Pd(標準電極電位=0.915)等の貴金
属類も同様に使用することができる。また防食部26の
材料は、信号電極の標準電極電位よりも電位は低いとい
う条件が必要で、Zn(標準電極電位=−0.76V)
の他にもFe(標準電極電位=−0.44V),Mg
(標準電極電位=−2.37V),Ni(標準電極電位
=−0.236V)等を使用することができる。
【0054】これらは信号電極4に信号電極4よりも電
気化学的に電極電位の低い材料を接触させて、犠牲腐食
をさせることによって母材の腐食、劣化を抑制してい
る。また信号電極4上の防食部26の形成面積は、一対
の信号電極4の全面積より小さいことが好ましい。これ
は、信号電極4を防食部26が覆いつくすと、防食部2
6からの通電が優先的となり、防食部26の損耗、劣化
が激しいためである。次いでレジストパターン25を溶
剤によって溶解させ、防食部26以外の部分に付いた金
属膜はリフトオフによって除去する。
【0055】このように上記製造方法によれば、信号電
極4上に防食部26を密着性良く積層することができ、
しかも信号電極4上への防食用材料の残渣等がないた
め、安定した沸騰状態を得ることができ、吐出安定性の
よいインクジェットヘッドを実現できる。
【0056】以上のようにして形成した信号電極4と防
食部26とを有するインクジェットヘッド14に、溶媒
である水にインク導電材として、ジエタノールアミン塩
酸塩をインクの比抵抗が20Ωcmとなるように添加
し、湿潤材としてポリエチレングリコール、グリセリン
をそれぞれ3%、pH調整のためにKOHを添加しイン
クpHが7.2となるようにした導電性インクを用い
て、3MHz、25Vの吐出パルスを1億回印加した
後、60℃で3週間放置したところ、図6に示すよう
に、電極上に防食部を形成しなかった従来のインクジェ
ットヘッドは、3週間で印字良品率が60%に低下した
が、本実施の形態による防食部26を形成したインクジ
ェットヘッドは、3週間目まで印字良品率が95%と安
定した状態を保った。
【0057】(実施の形態2)次いで上記図5を用い
て、第1の実施の形態と異なる材料の信号電極4及び防
食部26を用いた場合の製造方法について説明する。
【0058】図5(a)に示すように、ほう珪酸ガラス
の基板1に、Tiをターゲットとしてスパッタ法にてA
r圧が50mTorr、基板温度400℃で高周波電力
を200W、30分間印加してTi薄膜をガラス基板上
に2μm形成した。基板材料としては、ほうケイ酸ガラ
スの他に、ガラス、セラミック、等の絶縁材料、半導
体、表面を高抵抗材料で被覆した金属、金属合金、絶縁
物、が使用できる。ガラス基板としては、カリ石灰ガラ
ス、ソーダ石灰ガラス、ほうケイ酸ガラス、クラウンガ
ラス、亜鉛クラウンガラス、ソーダカリガラス、バリウ
ムほうケイ酸ガラス、96%珪酸ガラス,99.5%珪
酸ガラス,燐酸ガラス,低融点ガラス,リチウム珪酸ガ
ラス,亜鉛アルミ珪酸ガラス,珪酸ジルコニウムガラス
等が使用できる。セラミック基板としては、酸化アルミ
ニュウム(アルミナ),酸化チタン(チタニア),Mg
O・SiO2(ステアタイト),2MgO・SiO2(ホ
ルステライト),BeO(ベリリア),MgO・Al2
3(スピネル)等が使用できる。半導体基板として
は、シリコン,炭化シリコン,ダイアモンド,ゲルマニ
ウム等が使用できる。
【0059】図5(b)に示すように、フェノール樹脂
を主成分とする感光性レジスト材料をスピンコーターに
より電極層23を形成した基板1上に塗布した後に、9
0℃で30分間焼成を行い厚さ7μmのレジスト膜を形
成し、電極のパターンを有するフォトマスクをレジスト
膜上に重ねて、UV照射器により7秒間露光した後に現
像を行い、ヘッド形成用レジストパターン24を形成す
る。
【0060】次に、図5(c)に示すように、アルゴン
圧力2×10-4Torr、ビームパワー300W、ステ
ージ傾斜角45度、ミリング時間70分の成形条件でア
ルゴンビームによるミリング加工を行い、電極パターン
を形成した。電極パターン上のレジスト膜24は溶剤に
より溶解し、信号電極4を形成する。
【0061】次に、図5(d)に示すように、フェノー
ル樹脂を主成分とする感光性レジスト材料をスピンコー
ターにより信号電極4を形成した基板1上に塗布した後
に、90℃で30分間焼成を行い厚さ7μmのレジスト
膜を形成し、ヘッド先端部の防食部のパターンを有する
フォトマスクをレジスト膜に重ねて、UV照射器により
7秒間露光した後に現像を行い、防食層形成用レジスト
パターン25とした。
【0062】図5(e)に示すように、防食層形成用レ
ジストパターン25上からPdをターゲットとしてスパ
ッタ法にてAr圧が20mTorr、基板温度200℃
で高周波電力を200W、10分間印加してPd薄膜を
カウンター電極形成用レジストパターン上に1μm形成
し、防食部26とした。一対の信号電極の材料であるT
iは不働態を形成していないときの標準電極電位は−
1.63Vであるが通常表面に酸化層を形成して不働態
化するため表面の標準電極電位は+0.5V程度であ
る。このTiの表面にTiよりも標準電極電位の高い、
Pd(標準電極電位=+0.9V)を防食部26として
Ti信号電極4に接触させる構成によって、Tiの水素
化電位が低下して腐食が抑制される。防食部26はPd
の他に、Cu,Au,Pt,Hg等を使用することがで
きる。また信号電極4上の防食部26の形成面積は、一
対の信号電極4の全面積より小さいことが好ましい。こ
れは、信号電極4を防食部26が覆いつくすと、防食部
26からの通電が優先的となり、防食部26の損耗、劣
化が激しいためである。レジストパターンを溶剤によっ
て、溶解させ、防食部26以外の部分に付いた金属膜は
リフトオフによって除去される。
【0063】以上のようにして形成した信号電極4と防
食部26とを有するインクジェットヘッド14に、溶媒
である水にインク導電材として、ジエタノールアミン塩
酸塩をインクの比抵抗が20Ωcmとなるように添加
し、湿潤材としてポリエチレングリコール、グリセリン
をそれぞれ3%、pH調整のためにKOHを添加しイン
クpHが7.2となるようにした導電性インクを用い
て、3MHz、25Vの吐出パルスを1億回印加した
後、60℃で3週間放置したところ、図7に示すよう
に、本実施の形態による防食部を形成したインクジェッ
トヘッドは、3週間目まで印字良品率が99%と殆ど印
字良品率の低下がないことが分かった。
【0064】本製造方法は、上記した第1の実施形態に
比べ、特に信号電極4に不働態を形成するTiを採用
し、また防食部26に水素化電位を低下させる貴金属類
の材料を採用することによって、電極寿命を安定化し、
かつインクと電極の界面で発生する電気分解による気泡
の発生を抑制し、安定した吐出性能を実現するという特
徴を有する。
【0065】(実施の形態3)本発明の第3の実施の形
態は、第1の実施の形態および第2の実施の形態におけ
る防食用電極27の構成以外は、第1の実施の形態と同
一の構成および駆動方法を有する。
【0066】図8の(a)は本実施の形態におけるイン
クカートリッジの断面図、(b)は信号電極と防食用電
極の接続回路図である。
【0067】図において、27は本実施の形態で使用す
るための防食用電極を、インクカートリッジ中のインク
フィルター16とインク導入孔17間に設けている。P
dを含む金属を材料とする防食用電極27はこの場所で
なくても、インクが供給される際、インク残量がもっと
も少なくてもインクがヘッドと電気的接触をとれるとこ
ろならば、本実施の形態の防食効果は有効である。
【0068】また、炭素を素材として製造されたインク
残量検知用電極28は防食用電極27に対して重力方向
に上側すなわち常に相対的に上側に形成もしくは固定さ
れている。これは、インク残量検知用電極28が信号電
極4との間にパルスを印加して電気的導通の確認を適宜
行っており、もし残量インクの液面がインク残量検知用
電極28を切った場合に、電気的導通がとれなくなるこ
とを利用して液面の検知を行うようにしたことによる。
インクカートリッジ15を長期間取り外した状態でも信
号電極4はインクに浸漬されているため、電極表面の不
働態膜が不安定になり、腐食が進行する。しかし同図
(b)に示すように、インクタンクを取り外しても防食
用電極27が常に信号電極4とインクを通して電気的に
接続されていれば、Ti電極よりも防食用電極27は貴
な電位状態になり、Tiは水素過電圧が低下して、腐食
が抑制される。
【0069】そこで本実施の形態に示したように、イン
ク残量検知用電極28を防食用電極27より重力方向に
対して上部に設け、インク液面がインク残量検知用電極
28以下になったら、それ以上の印字ができないように
することによって、防食用電極27は、常に残量インク
に浸漬しており信号電極4の防食は可能となる。
【0070】図8(b)は信号電極4に印字のための電
圧が印加されていない状態に防食用電極27に信号電極
4が接続されるための回路を示している。信号発生装置
9からの電圧の供給が止まると、スイッチングICが切
り替わり、信号電極4は防食用電極27と接続される。
この回路構成により、信号電極4は待機時常に防食用電
極27に接続され、電極の腐食を抑制している。以上の
構成により図9に示すように、60℃で3週間の間、約
98%以上の良品印字を確保することができた。
【0071】またインクタンク18を交換する際、イン
クカートリッジ15からインクタンク18が長期間取り
外されて、大気にさらされる状態であると、インクフィ
ルター16にインクが乾燥、固化して、インクフィルタ
ー16が目詰まりする原因となる。従って、インク残量
検知用電極28を重力方向に対して、インクフィルター
16の上部に設けることにより、インクフィルター16
は常にインクに接液された状態となり、インクフィルタ
ー16の長期保存安定性を確保できる。この構成によっ
て、60℃、1週間で96%の良品印字を確保できた。
またインク残量検知用電極28をインクフィルター16
の下部に設けると、60℃で1週間の間での良品印字は
75%であった。
【0072】このように本実施の形態によれば、先の実
施の形態に比べ、特に防食用電極27をインク室に存在
させずにインクフィルタの近傍に配設することにより、
その結果防食用電極27とインク界面で発生する電気科
学反応による電界気泡の発生や防食用電極27の溶解に
よって、インク室内での沸騰現象を阻害することなく、
信号電極4の防食を行うことができ、長期保存安定性に
優れたインクジェットヘッドを提供することができる。
【0073】(実施の形態4)本発明の第4の実施の形
態は第1の実施の形態と同一の構成、駆動方法を有する
が、本実施の形態では、特に、インク中に含まれる支持
電解質に、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、リン酸硫酸イオ
ン、塩化物イオン、硝酸イオンの塩以外を使用してい
る。これはTiは希薄なフッ化水素酸、塩酸、硫酸、リ
ン酸に侵されやすいためで、特に信号電極4の耐食性な
らびに長期保存安定性を確保する上では重要である。本
実施の形態では、インクの支持電解質としてジエタノー
ルアミン塩酸塩を使用した。染料水溶液に酢酸アンモニ
ウムを15%添加し、インク全体の比抵抗が20Ωcm
になるようにした。このようにして調整したインクを使
用することにより、信号電極4の長期保存安定性を確保
することができ、60℃で3週間の間、97%以上の印
字良品率が確保できた。一方インク中に含まれる支持電
解質にフッ化水素酸を用いると、60℃で3週間の間で
の印字良品率は30%であった。
【0074】
【発明の効果】以上のように本発明は、使用に伴って生
じる電極の防食を電極に接した防食用電極によって行う
ことにより、信号電極の腐食を抑制することができ、安
定した印字品質を保持しながら電極の損耗もなく極めて
長寿命のインクジェットヘッドおよびインクジェットヘ
ッドカートリッジを実現できる。さらにインクの支持電
解質においても電極材料を腐食しにくい材料を使用する
ことにより、長期保存安定性に優れたインクジェットヘ
ッド用インクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるインクジェットヘッ
ドの要部断面図
【図2】図1のインクジェットヘッドの分解斜視図
【図3】(a)図1のインクジェットヘッドを組み込ん
だインクカートリッジの斜視図 (b)同インクカートリッジの一部切欠斜視図
【図4】図3のインクカートリッジを組み込んだプリン
タの斜視図
【図5】電極層形成から防食部形成までの工程図
【図6】第1の実施の形態のインクカートリッジの印字
良品率を示すグラフ
【図7】第2の実施の形態のインクカートリッジの印字
良品率を示すグラフ
【図8】(a)第3の実施の形態におけるインクカート
リッジの断面図 (b)第3の実施の形態における信号電極、防食用電極
の接続回路図
【図9】第3の実施の形態のインクカートリッジの印字
良品率を示すグラフ
【図10】従来のインクジェットヘッドの要部断面図
【符号の説明】
1 基板 2 仕切り板 3 ノズルプレート 4 信号電極 5 耐久皮膜層 6 ノズル 7 導電性インク滴 8 記録紙 9 信号発生装置 10 電極間電解集中部 11 圧力室 12 共通インク室 13 インク供給孔 14 インクジェットヘッド 15 インクカートリッジ 16 インクフィルター 17 インク導入孔 18 インクタンク 19 カートリッジ挿入孔 20 キャリッジ 21 ガイドシャフト 22 プラテンローラー 23 電極層 24 ヘッド形成用レジストパターン 25 防食層形成用レジストパターン 26 防食部 27 防食用電極 28 インク残量検知用電極 29 スイッチング用IC 30 導電性インク 31 インク室 32 インクタンク 33 電源 34 スイッチ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧力室と、前記圧力室の壁面に形成された
    ノズル孔と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向する壁面
    に配設された一対の電極と、前記圧力室に連設されたイ
    ンク流路と、前記インク流路内において前記圧力室の反
    対側の端部に形成されたインク供給孔とを有するインク
    ジェットヘッドであって、前記一対の電極の表面に、こ
    れらの一対の電極よりも電極電位が低い金属を接触配置
    または積層したことを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】前記一対の電極がCu,Au,Pt,Pd
    のいずれかである場合、前記一対の電極の表面に形成す
    る防食部はFe,Mg,Zn,Niから選択される金属
    元素によって構成されていることを特徴とする請求項1
    に記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】圧力室と、前記圧力室の壁面に形成された
    ノズル孔と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向する壁面
    に配設された一対の電極と、前記圧力室に連設されたイ
    ンク流路と、前記インク流路内において前記圧力室の反
    対側の端部に形成されたインク供給孔とを有するインク
    ジェットヘッドであって、前記一対の電極に不働態を形
    成する金属が含まれている場合、前記一対の電極の表面
    に、これらの一対の電極よりも電極電位の高い金属を接
    触配置または積層して防食部を形成したことを特徴とす
    るインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】前記一対の電極がTiである場合、前記一
    対の電極上に形成する防食部は、Cu,Au,Pt,P
    d,Hgから選択される1つの金属元素によって構成さ
    れていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェ
    ットヘッド。
  5. 【請求項5】圧力室と、前記圧力室壁面に形成されたノ
    ズル孔と、前記圧力室の前記ノズル孔と対向する壁面に
    配設された一対の電極と、前記圧力室に連設されたイン
    ク流路と、前記インク流路内において前記圧力室の反対
    側の端部に形成されたインク供給孔と、インクに接する
    箇所に設けられた防食用電極を有するインクジェットヘ
    ッドカートリッジであって、前記一対の電極にTiが含
    まれている場合、前記一対の電極に印字のための電圧が
    かかっているとき以外は、前記一対の電極は前記防食用
    電極に接続されていることを特徴とするインクジェット
    カートリッジ。
  6. 【請求項6】前記防食用電極に相対的に上方の位置にイ
    ンク残量検知電極を設け、前記防食用電極を常に残量イ
    ンクに浸漬していることを特徴とする請求項5に記載の
    インクジェットカートリッジ。
  7. 【請求項7】前記インク残量検知電極はインクフィルタ
    に相対的に上方に位置していることを特徴とする請求項
    6に記載のインクジェットカートリッジ。
  8. 【請求項8】前記防食用電極はCu,Au,Pt,P
    d,Cから選択される1つの金属元素によって構成され
    ていることを特徴とする請求項5〜7に記載のインクジ
    ェットカートリッジ。
  9. 【請求項9】前記インク中に含まれる支持電解質はフッ
    化水素酸、塩酸、硫酸およびリン酸の塩を除く塩である
    ことを特徴とする請求項5〜8に記載のインクジェット
    カートリッジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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