JPH1025564A - コーティング方法およびコーティング装置 - Google Patents

コーティング方法およびコーティング装置

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JPH1025564A
JPH1025564A JP8179024A JP17902496A JPH1025564A JP H1025564 A JPH1025564 A JP H1025564A JP 8179024 A JP8179024 A JP 8179024A JP 17902496 A JP17902496 A JP 17902496A JP H1025564 A JPH1025564 A JP H1025564A
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arc
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泰雄 鈴木
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Nissin Electric Co Ltd
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ION KOGAKU KENKYUSHO KK
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    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L58/00Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation
    • F16L58/02Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation by means of internal or external coatings
    • F16L58/04Coatings characterised by the materials used

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空体の内面に密着性および緻密性の高い良
質のコーティング膜を均一に形成することができ、大面
積コーティングが可能でかつアーク短絡時に短絡電流の
高速遮断が可能なコーティング方法およびコーティング
装置を提供することである。 【解決手段】 被コーティング体となるパイプ100を
円筒状保持部材2a,2b間に保持し、パイプ100内
の中心部に所望の材料からなる棒状のコーティング材3
を配置するとともに、コーティング材3の周囲に半円筒
状の接地導体4を配置する。円筒状保持部材2a,2b
の開口端部に蓋部材2c,2dを取り付けて反応室2を
形成する。反応室2内を排気系16により排気した後、
ガス導入系17から反応ガスを導入する。アーク電源1
2によりコーティング材3に電圧を印加するとともにバ
イアス電源13によりパイプ100に負のバイアス電圧
を印加し、コーティング材3を中心として接地導体4を
回転させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空アーク放電に
より中空体の内面にコーティング膜を形成するコーティ
ング方法およびコーティング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラント、石油プラント等において
用いられるパイプは、耐薬品性および耐蝕性が要求され
る。そこで、パイプの内面に合金、セラミック等のコー
ティング膜(皮膜)を形成することにより耐薬品性およ
び耐蝕性を高めることができる。
【0003】従来、パイプ等の中空体の内面をコーティ
ングするためには、プラズマCVD(化学的気相成長)
法が用いられている。プラズマCVD法を用いてパイプ
の内面にTiN膜を形成する場合には、パイプの内部を
真空に排気して反応ガスとしてTiCl4 およびNH4
の混合ガスを導入し、パイプに高周波電力を印加してグ
ロー放電を生じさせる。それにより、チタンと窒素が反
応し、パイプの内面にTiN膜が堆積する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
プラズマCVD法によるコーティングにおいては、コー
ティング膜の密着性が良好でなく、またパイプの長手方
向での一様な膜の形成が難しいという問題があった。
【0005】一方、基板上に金属、合金等のコーティン
グ膜を形成するためにアークプラズマ放電を利用した真
空アーク蒸着が用いられている。この真空アーク蒸着で
は、真空室内にコーティング材料からなる陰極および基
板を配置し、陰極と陽極との間でアークプラズマ放電を
発生させる。アークは、アーク電流により発生する自己
磁場により陰極の表面上を移動する。アークプラズマ放
電の結果、陰極の表面にアークスポットが形成され、そ
のアークスポットにおいて陰極物質が溶解して蒸発し、
基板上にコーティング膜が形成される。
【0006】アークスポットの移動速度が遅く、アーク
スポットの電流維持時間が長い場合には、陰極物質の深
部まで溶解が生じる。この場合、不均一溶解により突沸
現象が起こり、数μm程度の蒸発粒子が発生し、それが
ドロップレット(飛沫)として基板に付着する。これに
より、化合物の生成が妨げられるとともにコーティング
膜の緻密性が低下するという問題が生じる。
【0007】また、真空アーク蒸着により大面積のコー
ティングを行うためにはアーク電流を大きくする必要が
ある。しかしながら、アーク電流を大電流化すると、ア
ークスポットが大きくなり、ドロップレットが多数発生
するという問題が生じる。そのため、大面積で良質のコ
ーティング膜を形成することが困難である。
【0008】特開平5−106025号公報には、電磁
コイルを用いてアークの移動速度を制御する真空アーク
放電装置が提案されている。図8は、特開平5−106
025号公報に開示された真空アーク放電装置の概略図
である。
【0009】図8において、陽極となる真空室51の内
部にロッド形状の陰極52が配置されている。陰極52
はアーク電源53の負極に接続され、真空室51はアー
ク電源53の陽極に接続されている。陰極52の端部に
位置するストライカ54によってアークが間欠的に発生
される。螺旋状の電磁コイル55が陰極52と同軸に配
置されている。この電磁コイル55はコイル電源56に
接続されている。コーティングされる1または複数の基
板57は電磁コイル55の周囲に配置されている。
【0010】この真空アーク放電装置においては、アー
ク電流による自己磁場および電磁コイル55による磁場
によってアークスポット58が陰極52の表面を螺旋状
に移動する。その結果、アークスポットの電流密度が低
減し、ドロップレットの発生が低減される。
【0011】しかしながら、電磁コイル55の温度が上
昇すると、電磁コイル55に付着した酸化膜等の汚染物
が剥離し、あるいは熱応力ではじけて基板57上のコー
ティング膜に混入する。これを防止するためには、電磁
コイル55の断面積を大きくして電磁コイル55に冷却
パイプを設ける必要がある。ところが、電磁コイル55
の断面積が大きくなると、基板57のコーティングが阻
害されるという問題が生じる。そのため、コーティング
膜への汚染物の混入を回避することが難しいまた、アー
クプラズマ放電においては、ドロップレットが飛散する
際にアークが短絡することがある。アークの短絡が生じ
ると、アークスポットに多大な電流が流れ、より多くの
ドロップレットが生じることになる。この場合、ドロッ
プレットの大きさは数十μmに及び、その数は非常に多
い。このようなドロップレットの発生を回避するために
は、アークの短絡が生じたときに極めて短時間(1μ秒
以内)に短絡電流を遮断する必要がある。
【0012】しかしながら、図8の真空アーク放電装置
においては、電磁コイル55によるインダクタンスが存
在するので、短絡電流を遮断しようとするとインダクタ
ンスに蓄積された電荷により高電圧が発生し、短絡電流
の遮断を阻止するように作用する。そのため、短絡電流
を高速に遮断することが困難となる。
【0013】そこで、本発明の目的は、中空体の内面に
密着性および緻密性の高い良質のコーティング膜を均一
に形成することができ、大面積コーティングが可能でか
つアーク短絡時に短絡電流の高速遮断が可能なコーティ
ング方法およびコーティング装置を提供することであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係るコーテ
ィング方法は、中空体の内面にコーティング膜を形成す
るコーティング方法において、中空体の内部にコーティ
ング材料からなる棒状部材を配設するとともに中空体の
内部に棒状部材を部分的に囲むように棒状部材と同軸構
造の導電性部材を配設し、中空体の内部空間を囲む反応
室を形成し、反応室内を排気し、中空体を導電性部材に
対して電気的にバイアスするとともに棒状部材と導電性
部材との間にアーク放電を発生させるものである。
【0015】このコーティング方法においては、棒状部
材と導電性部材との間に発生するアークにより棒状部材
がスポット溶解してコーティング材料が蒸発し、アーク
プラズマが生成される。このとき、中空体は導電性部材
に対してバイアスされているので、アークプラズマ中の
イオンが中空体に向かって加速される。
【0016】一方、アーク電流により自己磁場が発生す
るため、電流および磁界による力が棒状部材の長手方向
に作用し、アークが棒状部材の長手方向に移動する。そ
れにより、中空体の内面の全体にコーティング材料から
なるコーティング膜が均一に形成される。アークプラズ
マのイオン化率は高く、また中空体のバイアスによりア
ークプラズマ中のイオンが中空体に向かって加速される
ので、コーティング膜の密着性および緻密性が高くな
る。
【0017】棒状部材の長手方向に沿ったアークの移動
速度は自己磁場の強度に依存する。棒状部材および導電
性部材からなる同軸構造では、棒状部材と導電性部材と
の間の距離およびアーク電流の大きさにより自己磁場の
強度が決定される。このような同軸構造においては、ア
ーク電流回路が低インダクタンスとなり、かつ棒状部材
と導電性部材との間の距離を短くすることができる。そ
のため、アーク電流を大きくして強力な自己磁場を形成
することにより、アークプラズマを棒状部材の長手方向
に高速に移動させることができる。
【0018】その結果、棒状部材に生成されるアークス
ポットの電流維持時間が短くなり、棒状部材の表面のみ
が溶解して蒸発することとなるので、蒸発粒子は小さ
く、すなわち数μmに及ぶドロップレットが発生しな
い。このように、棒状部材および導電性部材の低インダ
クタンスの同軸構造によって高速度アークが実現し、そ
れによりドロップレットの発生を抑制して緻密な膜を形
成することができる。
【0019】また、自己磁場を強くしてアークの移動速
度を速くすることができるので、アーク電流を大電流化
してもドロップレットの発生が抑制される。したがっ
て、アーク電流の大電流化により大面積のコーティング
が可能となる。
【0020】さらに、棒状部材および導電性部材が低イ
ンダクタンスの同軸構造となっているので、アークの短
絡が生じたときに、短絡電流を極めて短時間に遮断する
ことができる。その結果、アークの短絡による大きなド
ロップレットの発生およびコーティング膜への汚染物の
混入が回避される。
【0021】特に、導電性部材が棒状部材の周囲を部分
的に囲むように配置された部分円筒状部材からなり、棒
状部材と部分円筒状部材との間にアーク放電を発生させ
つつ部分円筒状部材を棒状部材を中心として回転させる
ことが好ましい。
【0022】この場合、部分円筒状部材が回転すること
によりアークプラズマが長手方向および円周方向に移動
するので、アークスポットが棒状部材の特定の箇所に長
く留まることなく棒状部材の表面上を一様にかつ高速に
移動する。それにより、棒状部材の周囲にアークプラズ
マが一様に生成されるため、ドロップレットが少なくか
つ小さくなり、より良質のコーティング膜がより均一か
つ緻密に形成される。
【0023】また、部分円筒状部材は冷却が可能な体積
および形状を有するので、容易にかつ十分に冷却可能と
なる。したがって、部分円筒状部材に付着した汚染物が
コーティング膜に混入することが防止される。
【0024】特に、反応室内を排気した後に反応室に反
応ガスを導入してもよい。この場合、コーティング材料
と反応ガスに含まれる元素により化合物が生成され、化
合物からなるコーティング膜が形成される。
【0025】また、中空体の内部にそれぞれ異なる種類
のコーティング材料からなる複数の棒状部材を配設して
もよい。この場合、複数のコーティング材料に含まれる
元素の化合物または合金からなるコーティング膜が形成
される。また、異なるタイミングで各棒状部材と導電性
部材との間にアーク放電を発生させることにより多層構
造のコーティング膜を形成することができる。
【0026】さらに、中空体の内面に形成されたコーテ
ィング膜にエネルギービームを照射することが好まし
い。それにより、気孔(ポア)が存在しない緻密なコー
ティング膜が形成される。
【0027】第2の発明に係るコーティング装置は、中
空体の内面にコーティング膜を形成するコーティング装
置であって、中空体を保持するとともに中空体の内部空
間を囲む反応室を形成する保持部材と、中空体の内部に
コーティング材料からなる棒状部材を支持する支持手段
と、中空体の内部に棒状部材を部分的に囲むように棒状
部材と同軸に配設された導電性部材と、反応室内を排気
するための排気部と、中空体を導電性部材に対して電気
的にバイアスするバイアス手段と、棒状部材と導電性部
材との間にアーク放電を発生させるアーク放電発生手段
とを備えたものである。
【0028】このコーティング装置においては、アーク
放電発生手段により棒状部材と導電性部材との間にアー
ク放電が発生され、そのアークにより棒状部材がスポッ
ト溶解してコーティング材料が蒸発するとともに、コー
ティング材料の元素がアークプラズマ化される。このと
き、中空体はバイアス手段により導電性部材に対して電
気的にバイアスされているので、アークプラズマ中のイ
オンが中空体に向かって加速される。
【0029】一方、アーク電流により自己磁場が発生す
るため、電流および磁界による力が棒状部材の長手方向
に作用し、アークが棒状部材の長手方向に移動する。そ
れにより、中空体の内面の全体にコーティング材料から
なるコーティング膜が均一に形成される。アークプラズ
マのイオン化率は高く、また中空体のバイアスによりア
ークプラズマ中のイオンが中空体に向かって加速される
ので、コーティング膜の密着性および緻密性が高くな
る。
【0030】棒状部材および導電性部材が低インダクタ
ンスの同軸構造となっているので、アーク電流を大きく
して強力な自己磁場を形成することにより、アークプラ
ズマを棒状部材の長手方向に高速に移動させることがで
きる。その結果、棒状部材に生成されるアークスポット
の電流維持時間が短くなり、棒状部材の表面のみが溶解
して蒸発することとなるので、大きなドロップレットが
発生しない。このように、棒状部材および導電性部材の
低インダクタンスの同軸構造によって高速度アークが実
現し、それによりドロップレットの発生を抑制して緻密
な膜を形成することができる。
【0031】また、自己磁場を強くしてアークの移動速
度を速くすることができるので、アーク電流を大電流化
してもドロップレットの発生が抑制される。したがっ
て、アーク電流の大電流化により大面積のコーティング
が可能となる。
【0032】さらに、棒状部材および導電性部材が低イ
ンダクタンスの同軸構造となっているので、アークの短
絡が生じたときに、短絡電流を極めて短時間に遮断する
ことができる。その結果、アークの短絡による大きなド
ロップレットの発生およびコーティング膜への汚染物の
混入が回避される。
【0033】特に、導電性部材が棒状部材の周囲を部分
的に囲むように配置された部分円筒状部材からなり、部
分円筒状部材を棒状部材を中心として回転可能に支持す
る回転支持手段と、部分円筒状部材を回転支持手段を介
して回転駆動手段とをさらに備えることが好ましい。
【0034】この場合、部分円筒状部材が回転すること
によりアークプラズマが長手方向および円周方向に移動
するので、アークスポットが棒状部材の特定の箇所に長
く留まることなく棒状部材の表面上を一様にかつ高速に
移動する。それにより、棒状部材の周囲にアークが一様
に生成されるため、ドロップレットが少なくかつ小さく
なり、より良質のコーティング膜がより均一かつ緻密に
形成される。
【0035】また、反応室にガスを導入するガス導入部
をさらに備えてもよい。この場合、ガス導入部から反応
室に反応ガスを導入することにより、コーティング材料
と反応ガスにより化合物が生成され、化合物からなるコ
ーティング膜が形成される。
【0036】また、導電性部材を冷却する冷却手段をさ
らに備えてもよい。これにより、導電性部材に付着した
汚染物がコーティング膜に混入することが防止される。
さらに、中空体の内面に形成されたコーティング膜にエ
ネルギービームを照射するエネルギービーム照射手段を
さらに備えることが好ましい。それにより、気孔が存在
しない緻密なコーティング膜が形成される。
【0037】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
コーティング装置の模式的縦断面図であり、図2はその
コーティング装置の模式的横断面図である。
【0038】図1および図2のコーティング装置1は、
導電性の中空体の内面を所望の材料でコーティングする
ために用いられる。本実施例では、被コーティング体と
して金属等の導電性材料からなる円筒状のパイプ100
を用いる場合を説明する。
【0039】コーティング装置1において、パイプ10
0は金属等の導電性材料からなる円筒状保持部材2a,
2b間に保持される。パイプ100内の中心部には、所
望の材料からなる棒状のコーティング材3が配置され、
そのコーティング材3の周囲に金属等の導電性材料から
なる半円筒状の接地導体4が配置されている。
【0040】コーティング材3の材料としては、例え
ば、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハ
フニウム)、Ta(タンタル)、Cr(クロム)、 W
(タングステン)、Mo(モリブデン)等の高融点金
属、TiAl等の合金、Al(アルミニウム)、Cu
(銅)、Ni(ニッケル)等の金属が用いられる。
【0041】円筒状保持部材2aの開口端部および円筒
状保持部材2bの開口端部には、それぞれ金属等の導電
性材料からなる円形の蓋部材2c,2dが取り付けら
れ、反応室2が形成される。
【0042】コーティング材3は、蓋部材2cの中心部
にセラミック等の絶縁体5を介して固定されている。ま
た、接地導体4は、セラミック等の絶縁体6を介してコ
ーティング材3に対して回転自在に取り付けられてい
る。この接地導体4は、回転駆動軸19を介して回転駆
動装置40に連結される。回転駆動軸19は蓋部材2d
の中心部にセラミック等の絶縁体6を介して回転自在に
支持されている。接地導体4の外周面には水冷パイプ8
が配設されている。また、円筒状保持部材2aには、コ
ーティング材3と接地導体4との間にアーク放電を発生
させるためのトリガーシリンダ9が設けられている。
【0043】接地導体4は導線10を介して接地されて
いる。この導線10はセラミック等の絶縁体11により
蓋部材2cに対して電気的に絶縁されている。コーティ
ング材3にはアーク電源12が接続されている。また、
パイプ100には、円筒状保持部材2aおよび蓋部材2
cを介してバイアス電源13により負のバイアス電圧が
印加される。
【0044】一方、蓋部材2dには、排気口14および
ガス導入口15が設けられ、排気口14には排気系16
が接続され、ガス導入口15にはガス導入系17が接続
されている。
【0045】次に、図1および図2のコーティング装置
を用いたコーティング方法を説明する。ここでは、一例
として、パイプ100の内面にTiNからなるコーティ
ング膜を形成する場合を説明する。パイプ100の長さ
は例えば5mであり、その内径は例えば3インチであ
る。
【0046】まず、被コーティング体となるパイプ10
0を円筒状保持部材2a,2b間に保持するとともに、
Tiからなるコーティング材3および接地導体4をパイ
プ100内の中心部に装着し、蓋部材2c,2dを取り
付けて反応室2を形成する。その後、排気系16により
反応室2内を高真空に排気し、ガス導入系17から反応
ガスとして圧力10-2Torrの窒素ガス(N2 )を反
応室2内に導入する。
【0047】次に、アーク電源12によりコーティング
材3に電圧を印加するとともに、バイアス電源13によ
りパイプ100に−200V〜−400V程度の負のバ
イアス電圧を印加する。このとき、接地導体4の溶解を
防止するために、水冷パイプ8に冷却水を流して接地導
体4を冷却する。
【0048】この状態で、トリガーシリンダ9によりト
リガー電極9aをコーティング材3に一瞬接触させて離
すことによりコーティング材3と接地導体4との間にア
ーク放電を生じさせる。コーティング材3と接地導体4
との間に発生するアークAによりコーティング材3がス
ポット溶解してTiが蒸発し、チタンイオン(Ti+
および窒素イオン(N+ )を含むアークプラズマが生成
される。図2に点線で示すように、真空中ではアークプ
ラズマは広がり、アークスポットは不連続的に回転す
る。このとき、パイプ100は負の電圧にバイアスされ
ているので、アークプラズマ中のTi+ およびN+ が矢
印で示すようにパイプ100に向かって加速される。
【0049】一方、図1に示すアークAによるアーク電
流回路によって自己磁場が発生する。それにより、フレ
ミングの左手の法則によりアークAに矢印Fで示す方向
に力が作用し、アークAがパイプ100の長手方向に移
動する。アークAの移動速度はアーク電流に依存する。
このアーク電流は例えば数10A〜数100A程度であ
る。このとき、接地導体4を回転駆動軸19を介して回
転駆動装置40により回転させることにより、パイプ1
00の内面の長手方向および円周方向にTiNからなる
コーティング膜18が均一に形成される。このようにし
て、パイプ100の内面の全面に密着性の高いコーティ
ング膜18が形成される。
【0050】なお、コーティング膜18の密着性をより
良好にするために、パイプ100の外周面上にヒータ
(図示せず)を取り付けてパイプ100を0℃〜400
℃の適切な温度に保ってもよい。
【0051】また、バイアス電源13の代わりに−10
0kVのパルス電圧を発生するパルス発生源を用いても
よい。この場合、パルス幅を適当に選択することにより
プラズマシースの広がりを規制することができる。
【0052】パイプ100の内面に金属からなるコーテ
ィング膜を形成する場合には、ガス導入系17から反応
室2内に圧力10-4TorrのAr(アルゴン)等の不
活性ガスを導入する。また、パイプ100の内面にセラ
ミックからなるコーティング膜を形成する場合には、ガ
ス導入系17から反応室2内にN2 、CH4 、C2 4
等の反応ガスを導入する。
【0053】上記の例で、ガス導入系17からN2 の代
わりにArを導入した場合には、Tiからなるコーティ
ング膜18が形成される。また、ガス導入系17からN
2 の代わりにCH4 またはC2 4 を導入した場合に
は、TiCからなるコーティング膜18が形成される。
【0054】また、上記の例では、TiNからなるコー
ティング膜18を形成する場合を説明したが、コーティ
ング材3の材料および反応ガスを選択することにより種
々のコーティング膜を形成することができる。
【0055】本実施例のコーティング方法およびコーテ
ィング装置においては、棒状のコーティング材3および
半円筒状の接地導体4が低インダクタンスの同軸構造と
なっているので、アーク電流を大きくして強力な自己磁
場を形成することにより、アークプラズマをコーティン
グ材3の長手方向に高速に移動させることができる。ま
た、接地導体4を回転させることによりアークプラズマ
がコーティング材3の長手方向および円周方向に移動す
るので、アークスポットがコーティング材3の特定の箇
所に長く留まることなくコーティング材3の表面上を一
様にかつ高速に移動する。それにより、ドロップレット
が少なくかつ小さくなり、より良質のコーティング膜を
より均一かつ緻密に形成することができる。
【0056】また、自己磁場を強くしてアークの移動速
度を速くすることができるので、アーク電流を大電流化
してもドロップレットの発生が抑制される。したがっ
て、アーク電流の大電流化により大面積のコーティング
を行うことができる。
【0057】さらに、コーティング材3および接地導体
4が低インダクタンスの同軸構造となっているので、ア
ークの短絡が生じたときに、短絡電流を極めて短時間に
遮断することができる。その結果、アークの短絡による
大きなドロップレットの発生およびコーティング膜への
汚染物の混入を回避することができる。
【0058】また、接地導体4を冷却することができる
ので、接地導体4に付着した汚染物がコーティング膜に
混入することを防止することができる。パイプ100の
内面に形成されたコーティング膜18を気孔(ポア)の
存在しない緻密な膜にするためには、コーティング膜1
8の形成後、電子ビーム溶解法またはレーザビーム溶解
法によりコーティング膜18を溶解することが好まし
い。
【0059】図3は電子ビーム溶解法に用いる電子ビー
ム照射ユニットの模式的断面図である。図3の電子ビー
ム照射ユニット20は、電子ビームガン21、磁石2
2,23、回転駆動軸24およびシリンダ25からな
る。電子ビームガン21の周囲に磁石22,23が取り
付けられ、電子ビームガン21は回転駆動軸24により
磁石22,23とともに回転駆動され、かつシリンダ2
5によりパイプ100の長手方向に移動可能となってい
る。
【0060】電子ビームガン21から発生した電子ビー
ム26は磁石22,23によって直角に曲げられてパイ
プ100の内面のコーティング膜に照射される。電子ビ
ーム26の電流値は例えば1A程度である。図3
(a),(b)に示すように電子ビームガン21を回転
させることにより電子ビーム26がパイプ100の内面
の円周方向に走査される。また、シリンダ25によって
電子ビームガン21をパイプ10の長手方向に移動させ
ることによりパイプ100の内面の長手方向に電子ビー
ム26が走査される。それにより、コーティング膜の全
面が均一に溶解され、コーティング膜が気孔を有さない
緻密な膜に改質される。
【0061】図4はレーザビーム溶解法に用いるレーザ
ビーム照射ユニットの模式的断面図である。図4のレー
ザビーム照射ユニット30は、レーザ発生装置31、レ
ーザ整形装置32、ミラー33および回転駆動軸34か
らなる。レーザ発生装置31は、CO2 レーザまたはY
AGレーザからなり、数kW〜数10kWのレーザ光を
発生する。レーザ整形装置32は、レーザ発生装置31
により発生されたレーザ光を平行レーザビーム35に整
形する。ミラー33は回転駆動軸34により回転駆動さ
れ、レーザ整形装置32から出射される平行レーザビー
ム35を反射および集光してパイプ100の内面にレー
ザスポット36を形成する。レーザスポット36のエネ
ルギーは例えば数mJ(ミリジュール)程度である。
【0062】回転駆動軸34によりミラー33を回転さ
せながらパイプ100の長手方向に移動させることによ
り、パイプ100の内面の円周方向および長手方向にレ
ーザスポット36が移動してパイプ100の内面のコー
ティング膜18が溶解する。それにより、コーティング
膜18が気孔を有さない緻密な膜に改質される。
【0063】このようにして得られたコーティング膜1
8は、15μm程度の薄膜であっても気孔を有さない緻
密な膜となるので、耐蝕性に優れている。図5は本発明
の他の実施例におけるコーティング装置の模式的横断面
図である。
【0064】図5のコーティング装置1においては、パ
イプ100の内部に異なる種類の材料からなる複数のコ
ーティング材3a,3bが配設されている。これらのコ
ーティング材3a,3bはそれぞれ独立したバイアス電
源12a,12bに接続されている。
【0065】以下の説明では、コーティング材3aがT
iからなり、コーティング材3bがAlからなるものと
し、反応室2内に反応ガスしてN2 を導入するものとす
る。アーク電源12a,12bによりコーティング材3
a,3bに同時に電圧を印加してコーティング材3a,
3bと接地導体4との間に同時にアーク放電を発生させ
た場合には、図6(a)に示すように、パイプ100の
内面にTiAlN膜50が形成される。
【0066】一方、アーク電源12a,12bによりコ
ーティング材3a,3bに交互に電圧を印加してコーテ
ィング材3aと接地導体4との間およびコーティング材
3bと接地導体4との間に交互にアーク放電を発生させ
た場合には、図6(b)に示すように、パイプ100の
内面にTiN膜51、AlN膜52、TiN膜53およ
びAlN膜54からなる多層構造のコーティング膜18
が形成される。
【0067】このように、コーティング膜18を多層構
造にすることによりコーティング膜18の硬度を向上さ
せることができる。なお、上記実施例では、導電性部材
として半円筒状(1/2円筒状)の接地導体4を用いて
いるが、導電性部材の形状は上記実施例に限定されな
い。例えば、図7(a)に示すように、導電性部材とし
て1/2以上の円筒状の接地導体4aを用いてもよく、
図7(b)に示すように、あまり長尺でない場合は、導
電性部材として1/2以下の円筒状の接地導体4bを用
いてもよい。
【0068】また、上記実施例では、円筒状のパイプ1
00の内面にコーティング膜18を形成する場合を説明
したが、本発明のコーティング方法およびコーティング
装置は多角形の断面形状を有するパイプ状体、その他の
断面形状を有する種々の中空体の内面にコーティング膜
を形成する場合にも適用することができる。
【0069】なお、本発明のコーティング方法およびコ
ーティング装置は、化学プラント、石油プラント、ガス
プラント、原子力プラント、発電プラント等の種々の分
野で用いられる種々のパイプおよびその他の中空体の内
面をコーティングするために用いることができる。
【0070】
【発明の効果】以上のように、第1および第2の発明に
よれば、棒状部材および導電性部材が低インダクタンス
の同軸構造となっているので、アーク電流を大きくして
強力な自己磁場を形成することにより、アークプラズマ
を棒状部材の長手方向に高速に移動させることができ
る。したがって、ドロップレットの発生を抑制して緻密
な膜を形成することができる。
【0071】また、自己磁場を強くしてアークの移動速
度を速くすることができるので、アーク電流を大電流化
してもドロップレットの発生が抑制される。したがっ
て、アーク電流の大電流化により大面積のコーティング
を行うことができる。
【0072】さらに、棒状部材および導電性部材が低イ
ンダクタンスの同軸構造となっているので、アークの短
絡が生じたときに、短絡電流を極めて短時間に遮断する
ことができる。したがって、アークの短絡による大きな
ドロップレットの発生およびコーティング膜への汚染物
の混入を回避することができる。
【0073】特に、部分円筒状部材からなる導電性部材
を棒状部材を中心として回転させた場合には、、アーク
プラズマを長手方向および円周方向に移動させることが
できるので、アークスポットが棒状部材の特定の箇所に
長く留まることなく棒状部材の表面上を一様にかつ高速
に移動する。それにより、ドロップレットが少なくかつ
小さくなり、より良質のコーティング膜をより均一かつ
緻密に形成することができる。
【0074】また、ガス導入部から反応室に反応ガスを
導入することにより、コーティング材料と反応ガスより
化合物を生成させ、化合物からなるコーティング膜を形
成することができる。
【0075】また、導電性部材を冷却することにより、
導電性部材に付着した汚染物がコーティング膜に混入す
ることを防止することができる。さらに、中空体の内面
に形成されたコーティング膜にエネルギービームを照射
することにより、気孔が存在しない緻密なコーティング
膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるコーティング装置の
模式的縦断面図である。
【図2】図1のコーティング装置の模式的横断面図であ
る。
【図3】電子ビーム照射ユニットの模式的断面図であ
る。
【図4】レーザビーム照射ユニットの模式的断面図であ
る。
【図5】本発明の他の実施例におけるコーティング装置
の模式的横断面図である。
【図6】図5のコーティング装置により形成されるコー
ティング膜の断面図である。
【図7】接地導体の他の例を示す模式的横断面図であ
る。
【図8】従来の真空アーク放電蒸着装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 コーティング装置 2 反応室 2a,2b 円筒状部材 2c,2d 蓋部材 3,3a,3b コーティング材 4,4a,4b,4c 接地導体 9 トリガーシリンダ 9a トリガー電極 12 アーク電源 13 バイアス電源 14 排気口 15 ガス導入口 16 排気系 17 ガス導入系 20 電子ビーム照射ユニット 21 電子ビームガン 30 レーザビーム照射ユニット 31 レーザ発生装置 32 レーザ成形装置 33 ミラー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空体の内面にコーティング膜を形成す
    るコーティング方法において、前記中空体の内部にコー
    ティング材料からなる棒状部材を配設するとともに前記
    中空体の内部に前記棒状部材を部分的に囲むように前記
    棒状部材と同軸構造の導電性部材を配設し、前記中空体
    の内部空間を囲む反応室を形成し、前記反応室内を排気
    し、前記中空体を前記導電性部材に対して電気的にバイ
    アスするとともに前記棒状部材と前記導電性部材との間
    にアーク放電を発生させることを特徴とするコーティン
    グ方法。
  2. 【請求項2】 前記導電性部材は前記棒状部材の周囲を
    部分的に囲むように配置された部分円筒状部材からな
    り、 前記棒状部材と前記部分円筒状部材との間にアーク放電
    を発生させつつ前記部分円筒状部材を前記棒状部材を中
    心として回転させることを特徴とする請求項1記載のコ
    ーティング方法。
  3. 【請求項3】 前記反応室内を排気した後に前記反応室
    に反応ガスを導入することを特徴とする請求項1または
    2記載のコーティング方法。
  4. 【請求項4】 前記中空体の内部にそれぞれ異なる種類
    のコーティング材料からなる複数の棒状部材を配設する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコー
    ティング方法。
  5. 【請求項5】 前記中空体の内面に形成されたコーティ
    ング膜にエネルギービームを照射することを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング方法。
  6. 【請求項6】 中空体の内面にコーティング膜を形成す
    るコーティング装置であって、 前記中空体を保持するとともに前記中空体の内部空間を
    囲む反応室を形成する保持部材と、 前記中空体の内部にコーティング材料からなる棒状部材
    を支持する支持手段と、 前記中空体の内部に前記棒状部材を部分的に囲むように
    前記棒状部材と同軸に配設された導電性部材と、 前記反応室内を排気するための排気部と、 前記中空体を前記導電性部材に対して電気的にバイアス
    するためのバイアス手段と、 前記棒状部材と前記導電性部材との間にアーク放電を発
    生させるアーク放電発生手段とを備えたことを特徴とす
    るコーティング装置。
  7. 【請求項7】 前記導電性部材は前記棒状部材の周囲を
    部分的に囲むように配置された部分円筒状部材からな
    り、 前記部分円筒状部材を前記棒状部材を中心として回転可
    能に支持する回転支持手段と、 前記部分円筒状部材を前記回転支持手段を介して回転駆
    動する回転駆動手段をさらに備えたことを特徴とする請
    求項6記載のコーティング装置。
  8. 【請求項8】 前記反応室にガスを導入するガス導入部
    をさらに備えたことを特徴とする請求項6または7記載
    のコーティング装置。
  9. 【請求項9】 前記導電性部材を冷却する冷却手段をさ
    らに備えたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに
    記載のコーティング装置。
  10. 【請求項10】 前記中空体の内面に形成されたコーテ
    ィング膜にエネルギービームを照射するエネルギービー
    ム照射手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6〜
    9のいずれかに記載のコーティング装置。
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