JPH10259095A - ジルコニア膜及びその製造方法 - Google Patents

ジルコニア膜及びその製造方法

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JPH10259095A
JPH10259095A JP6513797A JP6513797A JPH10259095A JP H10259095 A JPH10259095 A JP H10259095A JP 6513797 A JP6513797 A JP 6513797A JP 6513797 A JP6513797 A JP 6513797A JP H10259095 A JPH10259095 A JP H10259095A
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zirconium
zirconia film
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博 山村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジルコニア膜中の析出する結晶に配向性を付
与し、更に係るジルコニア膜に1乃至5モル%及び6乃
至10モル%のY2 3 を分散させる。 【解決手段】 ジルコニウムプロポキサイドとアセチル
アセトンと水とn−プロパノールからなり、ジルコニウ
ムプロポキサイド:n−プロパノールのモル比が1:1
0乃至1:50である組成液を用いてゾル−ゲル法によ
りジルコニア膜を製造する。また、該組成液に酢酸イッ
トリウムを適量添加し、同様にゾル−ゲル法により1乃
至5モル%及び6乃至10モル%のY2 3 を含有する
ジルコニア膜を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被覆体表面に析出
する結晶が配向性を有するジルコニア膜,その原料組成
液、及び製造方法に関する。さらに、本発明は該ジルコ
ニア膜にY2 3を固溶させたY2 3 を含有するジル
コニア膜に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニアは高融点で耐食性が高いこと
から、耐火材料、耐食材料に用いられる材料である。こ
のジルコニアを膜状にしたジルコニア膜はその特性がそ
のまま生かされ、浸食防止、耐磨耗性向上、パッシベー
ションの強度の増大、又はアルカリの拡散防止等を目的
として、ガラス、金属、半導体等の表面に形成されて用
いられており、高い有用性を有す保護膜として知られて
いる。
【0003】その形成方法としては、金属酸化物の薄膜
形成方法として何れも従来から良く知られているプラズ
マスプレー法や真空蒸着法が一般に用いられる。しか
し、プラズマスプレー法では均一性等の点で良い膜質の
ジルコニア膜を得るのが難しく、ジルコニア及びジルコ
ニア膜が本来有しているはずの上記特性を十分に発揮す
るのは難しい。また、被膜体に専用の特別な前処理が必
要であり、被膜体の形状が限定されてしまうなど製造上
の課題も有している。
【0004】そして、真空蒸着法では、真空容器内での
成膜が必須であり、装置によって被膜体の形状、大きさ
が制限されるという課題をやはり有している。また、3
モル%程度のY2 3 を添加したジルコニアセラミック
スはジルコニアのみからなるものに比べ、更にその特性
が向上しており、高強度で高靱性でしかも耐熱性、耐食
性、耐磨耗性に優れており、粉砕用ボール等の機械部品
として用いられている。
【0005】しかし、3モル%程度のY2 3 を添加し
たジルコニアセラミックスの膜については、上記したよ
うに、その母体となるジルコニアのみからなる膜の成膜
が、その方法上に解決の困難な課題を有していることか
ら製造された例は無い。さらに、最近、固体電解質型燃
料電池の電解質として約8モル%のY2 3 を添加した
ジルコニアセラミックスの利用が期待されている。固体
電解質型燃料電池の電解質として高い特性を示すために
酸素イオン伝導度を高める必要があるが、そのためには
膜の厚さを可能な限り薄くすることが望ましい。
【0006】そのため、現在は所謂テープ成形法が該ジ
ルコニアセラミックスの成形において主に用いられてい
るが、膜厚を薄くするのに一定の限度があり、その結果
形成された該ジルコニアセラミックス膜は成形方法に起
因し、湾曲してしまうという問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ジルコニア等酸化物固
体を作製する方法、特に金属酸化物の膜を形成する方法
は上記の方法以外に、金属の有機又は無機化合物を溶液
とし、溶液中で化合物の加水分解・重縮合反応を進行さ
せてゾルを形成し、そして更にゲルに固化し、ゲルの加
熱によって酸化物固体を作製するゾル−ゲル法がある。
【0008】酸化物固体としてはガラス(非晶質セラミ
ックス)及び非晶質を経て作られる結晶性材料(所謂セ
ラミックス)がある。そして、その生成後の形状は薄
膜、繊維等が可能であり、薄膜の場合ガラス、金属、半
導体等の表面に形成されて保護膜として用いることも可
能である。ゾル−ゲル法を用いたセラミックス膜につい
ては、B. D. Fabs他がJ. Non-Cryst. Solids, 82, p349
(1986)においてSiO2 とTiO2 について報告し、作
花他が日本金属学会会報、28、p176(1989)においてジル
コン・チタン酸鉛(PZT)について報告するなど、多
数の研究報告がなされている。
【0009】ジルコニア膜については、最近Quinson 他
によって、J. Mat. Sci., 31,p5179(1996)上で報告がな
されている。この報告は被覆体としてステンレス製のス
チールを用い、ディップコーティング法によりスチール
上にジルコニア膜を成膜し、成膜した膜について応力に
よる変形、被覆された内部ステンレススチールの腐食に
対する防止性能を検討している。これらの特性について
はある程度の効果は有していることが開示されている
が、同時に、膜質の不均一性や、不透明であること等も
明らかにされている。
【0010】通常のゾル−ゲル法によるジルコニアセラ
ミックス膜の内部に析出した結晶は微粒子で、しかも、
配向性を有さずランダムな状態で存在している。よっ
て、そのような結晶の状態・微構造に由来して、屈折率
の不均一な分布がみられる。従って、膜中の微粒子によ
る散乱及び各結晶粒子の界面等で光の屈折が生じ、結果
として膜中に散乱が生じ、膜としては曇ったものとなっ
てしまう。
【0011】このような曇った膜でガラス等の透明な部
材や、金属等の表面を被覆した場合、ガラスではその特
性である透明性が低下してしまうことになり、金属でも
その表面の視覚的な特性が低下してしまう欠点を有す
る。従って、ガラス等の表面に被覆してその保護をする
保護膜は透明であることが望まれるが、Quinson 他の報
告例で見られたように、透明なジルコニア膜をゾル−ゲ
ル法で実現するのは難しいとされている。
【0012】そこで本発明の目的は、上記課題を解決し
た新規なジルコニア膜、及びその原料組成の提供も含む
製造方法を提供することである。また、本発明の別な目
的は、内部に析出する結晶が配向性を有し、従来の配向
性を有しないジルコニアセラミックス膜に比べて膜の均
一性が向上し、その結果、膜の耐磨耗性や耐浸食性等と
密接に関わる膜の強度、及び膜の光透過率を向上させ透
明とした新規なジルコニア膜を提供することを目的とす
る。
【0013】更に別な目的は、内部に析出する結晶が配
向性を有し、Y2 3 等の添加成分を分散させて含有す
るジルコニアセラミックス膜を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
ジルコニア膜において、被覆体表面に析出した結晶が配
向性を有していることを特徴とする。請求項2記載の発
明は、ジルコニア膜の製造方法において、式 Zr(OR)4 〔I〕 〔式中、Rは炭素数1乃至10のアルキル基若しくはヒ
ドロキシアルキル基を表す〕で表されるジルコニウムア
ルコキサイドと、式 ROH 〔II〕 〔式中、Rは〔I〕と同一であり、炭素数1乃至10の
アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す〕で表され
るアルコール又は2価のアルコールと、水と、ジルコニ
ウムイオンとキレート錯体を形成することが可能なキレ
ート剤と、酸触媒又は塩基触媒とを含み、ジルコニウム
アルコキサイド〔I〕:アルコール〔II〕のモル比が
1:10乃至1:50である組成物をゾル化させ、原料
ゾルを形成し、該ゾルを供給して被覆体にコートした
後、焼成して成膜し、被覆体表面に析出する結晶に配向
性を付与することを特徴とする。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項2記載のジ
ルコニア膜の製造方法において、前記組成物中のジルコ
ニウムアルコキサイド〔I〕及びアルコール〔II〕の
Rは炭素数が3の直鎖アルキルであることを特徴とす
る。請求項4記載の発明は、請求項2及び請求項3記載
のジルコニア膜の製造方法において、前記組成物中のジ
ルコニウムイオンとキレート錯体を形成することが可能
なキレート剤がアセチルアセトンであることを特徴とす
る。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項2及び請求
項3記載及び請求項4記載のジルコニア膜の製造方法に
おいて、前記のゾルを供給して被覆体にコートする方法
はスピンコート法によることを特徴とする。請求項6記
載の発明は、組成物において、式 Zr(OR)4 〔I〕 〔式中、Rは炭素数1乃至10のアルキル基若しくはヒ
ドロキシアルキル基を表す〕で表されるジルコニウムア
ルコキサイドと、式 ROH 〔II〕 〔式中、Rは炭素数1乃至10のアルキル基若しくはヒ
ドロキシアルキル基を表す〕で表されるアルコール又は
2価のアルコールと、水と、ジルコニウムイオンとキレ
ート錯体を形成することが可能なキレート剤と、酸触媒
又は塩基触媒とを含み、ジルコニウムアルコキサイド
〔I〕:アルコール〔II〕のモル比が1:15乃至
1:50であることを特徴とする。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項6記載の組
成物において、ジルコニウムアルコキサイド〔I〕及び
アルコール〔II〕のRは炭素数が3の直鎖アルキルで
あることを特徴とする。請求項8記載の発明は、請求項
6及び請求項7記載の組成物において、前記組成物中の
ジルコニウムイオンとキレート錯体を形成することが可
能なキレート剤がアセチルアセトンであることを特徴と
する。
【0018】請求項9記載の発明は、ジルコニア膜にお
いて、ZrO2 に対し1乃至5モル%のY2 3 を含有
し、被覆体表面に析出した結晶が配向性を有しているこ
とを特徴とする。請求項10記載の発明は、ジルコニア
膜において、ZrO2 に対し6乃至10モル%のY2
3 を含有し、被覆体表面に析出した結晶が配向性を有し
ていることを特徴とする。
【0019】請求項1記載の発明によれば、膜を形成す
るZrO2 は配向性を有して単結晶性を示す。通常、浸
食、磨耗は粒子境界から進行することが知られている。
よって、ガラスや金属や半導体を保護して高い耐磨耗
性、耐浸食性を示すジルコニア保護膜を提供できる。ま
た、単結晶性を有することから、多結晶性のセラミック
ス膜にみられた内部の不均一構造に由来する屈折率の異
なる部位のランダムな分布から生じる膜の透過率の低
下、つまり膜の曇りの無いジルコニア膜を提供できる。
【0020】請求項2及び請求項3及び請求項4記載の
発明によれば、出発物であるジルコニウムアルコキサイ
ドの加水分解・重縮合反応を、例えばZr(O−n- C
3 7 4 を用いた場合には溶媒としてn−プロピルア
ルコールを用いるように、Zr(OR)4 のジルコニア
金属元素に結合するアルコキシル基(OR)に対応する
アルコール(ROH)を溶媒として用い、かつアセチル
アセトン等のジルコニウムイオンのキレート錯体形成用
のキレート剤を添加し、更にジルコニウムアルコキサイ
ドとアルコールのモル比率を調製することにより制御し
ている。
【0021】よって、ジルコニウムアルコキサイドのゾ
ル化の際、加水分解・重縮合反応を穏やかに進行させる
ことが可能となり、含有する重縮合した金属アルコキサ
イドが高い規則性を有するゾルの形成が可能となる。従
って、そのようなゾルを用いてジルコニア膜を成膜する
ことが可能であり、被覆体表面に析出する結晶に規則性
を付与することが可能であり、被覆体表面の結晶が配向
性を有するジルコニア膜を簡便に再現性良く提供するこ
とが可能である。
【0022】請求項5記載の発明によれば、高い規則性
を有するゾルを塗布工程において、該ゾルは、被覆体で
ある基板の回転に由来する遠心方向の力によって引き延
ばされたようになる。その結果、ある規則性が基板の回
転に起因してゾル中に形成される。そしてその後の工程
である乾燥・焼成工程後もその規則性がある程度緩和さ
れずに残り、結果として、成膜されたジルコニア膜中に
規則性が付与され、その規則性が膜中に析出した結晶の
配向性として発現される。
【0023】従って、ジルコニア膜中の析出した結晶に
配向性を付与することが可能となり、内部の結晶が配向
性を有するジルコニア膜を簡便に再現性良く提供するこ
とが可能である。請求項6及び請求項7記載及び請求項
8記載の発明によれば、例えばZr(O−n- C
3 7 4 を用いた場合には溶媒としてプロピルアルコ
ールを用いるように、Zr(OR)4 のジルコニア金属
元素に結合するアルコキシル基(OR)に対応するアル
コール(ROH)を溶媒として用いること、そしてアセ
チルアセトン等のジルコニウムイオンのキレート錯体形
成用のキレート剤を添加し、更にジルコニウムアルコキ
サイドとアルコールのモル比率を調製することによっ
て、ジルコニア膜を形成するジルコニウムアルコキサイ
ドの加水分解・重縮合反応が穏やかに進行する組成物の
提供が可能となる。
【0024】そして、加水分解・重縮合反応が穏やかな
進行により、含有する重縮合したジルコニウムアルコキ
サイドが高い規則性を有するゾルを形成し、高い規則性
のゾルが内部の結晶に規則性を有するジルコニア膜を形
成することから、内部の結晶が配向性を有するジルコニ
ア膜を簡便に再現性良く提供することが可能な原料であ
る組成液を提供できる。
【0025】請求項9記載の発明によれば、被覆体表面
の析出した結晶が配向性を有するジルコニア膜に1乃至
5モル%のY2 3 を固溶させて含有するジルコニア膜
の提供が可能である。よって、被覆体表面の析出した結
晶が配向性を有することより膜質が均一で強度の高いジ
ルコニア膜を更に、高強度にすることが可能となる。従
って、より高強度で高靱性でしかもより耐熱性、耐食
性、耐磨耗性に優れた透明なジルコニア膜の提供が可能
となる。
【0026】請求項10記載の発明によれば、被覆体表
面の析出した結晶が配向性を有するジルコニア膜に6乃
至10モル%のY2 3 を分散させて含有するジルコニ
ア膜の提供が可能である。この膜はゾル−ゲル法を用い
て成膜することが可能であり、その膜厚は数十オングス
トロームから数ミクロンまで自由に選択できる。従っ
て、非常に薄い上記組成のジルコニアセラミックスの提
供が可能であり、非常に薄く成膜後に湾曲することのな
い固体電解質型燃料電池の電解質を提供できる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に係るジルコニア膜は内部
に析出した結晶が配向性を有しており、構造的に高い均
一性を有した単結晶性を有している。よって、ランダム
な状態の結晶に由来する膜の散乱がなく、従来ジルコニ
ア膜に見られた膜の曇りは無い。また、膜としての高い
均一性は膜の強度の向上にも寄与し、高い耐磨耗性や耐
食性を有する。
【0028】係る膜中結晶の配向性は以下で説明するジ
ルコニア膜の製造方法とその原料組成物に由来する。製
造方法は従来ゾル−ゲル法に分類されうる方法を用いて
いるが、その原料組成物に、そして、それを用いた製造
方法にも特徴がある。原料組成物は、ジルコニア膜を形
成するジルコニウムアルコキサイドの他に、著しい反応
の進行をジルコニウムアルコキサイドに配位等の相互作
用をして抑制し、その速度を適度なものとするアセチル
アセトン等のキレート剤と、ジルコニウムアルコキサイ
ドの加水分解に用いられる水と、加水分解反応の触媒
と、以上の物質を溶解することが可能な溶媒からなる。
【0029】ジルコニウムアルコキサイドとしては、上
記したジルコニウムノルマルブロポキサイドの他に、ジ
ルコニウムメトキサイド、ジルコニウムエトキサイド、
ジルコニウムイソプロポキサイド、ジルコニウムノルマ
ルブトキサイド、ジルコニウムセカンダリーブトキサイ
ド、ジルコニウムターシャリーブトキサイド、ジルコニ
ウムイソブトキサイド、及びジルコニウムオクチレング
リコレート等が入手しやすく使用しやすいことから使用
可能である。
【0030】キレート剤としてはアセチルアセトンの
他、アセチルアセトン誘導体で一位及び/又は二位及び
/又は三位の炭素に一以上のメチル基等のアルキル基や
フェニル基等のアリール基を有したもの、ホルムアミ
ド、アセト酢酸メチル等のアセト酢酸エステルが溶媒へ
の溶解度も十分であり、入手もしやすく使用可能であ
る。触媒としては、酸又は塩基性のものが使用可能であ
り、酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等の使
用が可能であり、塩基性触媒としては焼成後のジルコニ
ア膜に残留しないものなら如何なるものでもよく、アン
モニア等が使用可能である。
【0031】アルコールについては、製造に用いるジル
コニウムアルコキサイドが自身の有するアルコキサイド
構造に対応するアルコールの溶液として市販されてお
り、当然に、該溶媒に良く溶けること、及び、以下実施
例等でも説明するとおり、ジルコニウムアルコキサイド
の加水分解反応の制御が比較的容易に再現性良く行える
ことから、例えばZr(O−n- C3 7 4 を用いた
場合には溶媒としてプロピルアルコールを用いるよう
に、Zr(OR)4 のジルコニア金属元素に結合するア
ルコキシル基(OR)に対応するアルコール(ROH)
を溶媒として用いることが望ましい。
【0032】しかし、該溶媒のみに限られるわけではな
く、例えばZr(O−n- C3 74 を用いた場合に
は溶媒としてエタノールを使用するように、用いるジル
コニウムアルコキサイドを良く溶かし、また、焼成・成
膜後のジルコニア膜に残留しない、かつ適当な範囲の添
加量でジルコニア膜中の結晶に配向性を付与しうるもの
であれば如何なるものでもよい。
【0033】そして、溶媒の添加量であるが、本発明に
至る検討過程において、ジルコニウムアルコキサイド1
モルに対し10モル以上添加する場合に、成膜されるジ
ルコニア膜に配向性が出現しはじめ、25モル程度添加
するとその配向性は非常に高くなることが分かってい
る。よって、アルコールの添加量はジルコニウムアルコ
キサイド:アルコールのモル比が1:10となる量より
多くすることが望ましい。
【0034】また、ジルコニウムアルコキサイド:アル
コールのモル比が1:14の組成を有する組成液を石英
基板上に供給してスピンコート法により塗布し、その後
焼成してジルコニア膜を成膜した場合、その膜厚は0.
5μm程度になる。よって、必要以上に溶媒を添加する
ことは、一回に成膜できる膜の膜厚を薄くしてしまい、
保護膜としての性能を落とす結果となり、望みの膜厚を
得るのに数回の塗布作業を必要とする結果となる。
【0035】よって、成膜される膜の膜厚が薄くなり過
ぎない溶媒の添加量を選択する必要があり、アルコール
の添加量はジルコニウムアルコキサイド:アルコールの
モル比が1:50となる量より少なくすることが望まし
い。以上より、ジルコニウムアルコキサイド:アルコー
ルのモル比は1:10乃至1:50とするのが望まし
い。
【0036】次に、本発明に係るジルコニア膜の製造方
法について説明する。上記組成の組成液を混合し、室温
で攪拌する。そして、ジルコニウムアルコキサイドの加
水分解が進行し、ゾルの形成が十分になされた後、石英
基板等の被膜体にスピンコートされる。次に、100°
Cから450°Cで5分間程度乾燥され、不要の有機物
や水が膜中から除去される。必要な場合は、以上の塗布
と乾燥が数回、所望の膜厚を被膜が形成するまで繰り返
される。
【0037】次に電気炉で600乃至1000°Cで2
時間程度焼成され。この段階の後でも、必要な場合、塗
布・乾燥・焼成が所望の膜厚を被膜が形成するまで数回
繰り返される事も可能である。そして、焼成後、本発明
のジルコニア膜が成膜される。ここで、本製造方法のジ
ルコニア膜の均一性を高めている結晶の配向性が付与さ
れる機構については以下の機構が推定されている。
【0038】本発明の製造方法に用いられる組成液はア
セチルアセトン等のキレート剤と、ジルコニウムアルコ
キサイドに対しモル比で10乃至50倍のジルコニウム
アルコキサイドのアルコキサイド部位に対応するアルコ
ールを含有している。アセチルアセトン等のキレート剤
は配位するジルコニウムアルコキサイドの安定性を高め
る効果があることが一般に言われており、結果的にジル
コニウムアルコキサイドの反応性は弱められており、ま
た、上記したが更に以下の実施例中で改めて示されるよ
うに、ジルコニウムアルコキサイドを良く溶かす溶媒で
ある該アルコキサイド部位に対応する構造のアルコール
の量を増加させた場合に、効率よくジルコニア膜中に配
向性が付与されることから、ジルコニウムアルコキサイ
ドの加水分解・重縮合反応を穏やかに進行させることが
ジルコニア膜中に配向性を付与するのに寄与していると
理解される。
【0039】つまり、アセチルアセトン等のキレート剤
の立体的な効果や、非常に溶解性の良い該溶媒で反応す
べきジルコニウムアルコキサイドが希釈されていること
の効果により、反応は遅くなり、その立体的な反応選択
性が非常に高くなっていると推定される。よって、ジル
コニウムアルコキサイド中の反応性の比較的高いある特
定の部位でのみ加水分解・重縮合反応は進行し、結果的
に、例えば棒状等、一つ一つの重縮合体がある特定の方
向性を有した構造を持って含有されているゾルが形成さ
れていると推定される。
【0040】このゾルは塗布工程のスピンコートにより
基板に塗布される際、その基板の回転に由来する遠心方
向の力によって引き延ばされたようになる。その結果、
ある規則性が基板の回転に起因してゾル中に形成され、
乾燥・焼成後もそれがある程度緩和されずに残り、結果
として、成膜されたジルコニア膜中に規則性が付与さ
れ、その規則性が膜中に析出した結晶の配向性として発
現するものと理解される。
【0041】従って、本発明のジルコニア膜中の析出し
た結晶に配向性を付与している原因は、その原料である
組成液の組成と製造方法、特にゾルを基板に塗布する方
法にあると理解される。ここで、本発明の組成液から形
成されるゾルを基板等の被覆体に塗布する場合の方法に
ついてであるが、スピンコート法のみに限定される訳で
はない。つまり、基板上のゾルにある好みの規則性を付
与すれば本発明のジルコニア膜は製造可能であり、例え
ばディップによる塗布の後、ゾルの満たされた槽よりゾ
ルの塗布された基板の引き上げ時に、その引上げ速度を
調整することにより、基板上のゾル層に所望の規則性を
付与することが可能である。
【0042】また、塗布後規則性の無いゾルに対し、回
転や引っ張りやズレを生じさせるような何らかの力を適
用して、規則性を付与することも可能である。次に、本
発明のジルコニア膜の持つ、被覆体表面に析出した結晶
が配向性を有し、その結果膜が高い均一性を有するとい
う特性を利用した発明の実施の形態について以下で説明
する。
【0043】本発明は結晶の配向性に由来する高い透明
性を有するが、そのためガラス基板等の保護膜に応用す
ることが可能であることは既に記載したが、その際、従
来知られている強度の向上方法を適用して、さらに強い
強度のジルコニア保護膜を提供することが可能である。
3モル%程度のY2 3 を添加したジルコニアセラミッ
クスはジルコニアのみからなるものに比べ、更にその特
性が向上しており、高強度で高靱性でしかも耐熱性、耐
食性、耐磨耗性に優れていること、及びその膜について
は、上記した従来ジルコニア膜に係る成膜方法の課題の
解決の困難さから製造された例は無いことは既に記載し
た。
【0044】本発明のジルコニア膜の原料である組成液
に酢酸イットリウム(Y(CH3 COO)3 )を適量添
加することにより、3モル%程度のY2 3 を添加した
ジルコニアセラミックスであって、非常に強度の高い透
明なジルコニア膜が形成可能である。ここで、膜強度の
上昇効果は1モル%のY2 3 を添加した場合に現れ、
5モル%より多く添加すると添加量が多くなりすぎるた
め効果が消失する。よって、ジルコニア膜中のY2 3
の含有量はZrO2 に対し1乃至5モル%とするのが望
ましい。
【0045】尚、Y2 3 の原料としては上記の酢酸イ
ットリウム以外に硝酸イットリウムやステアリン酸イッ
トリウムや、イットリウムノルマルブトキサイド等のイ
ットリウムアルコキサイドの使用が可能である。また、
組成液がジルコニウムアルコキサイドと該ジルコニウム
アルコキサイドに対しモル比で10倍以下のジルコニウ
ムアルコキサイドのアルコキサイド部位に対応するアル
コールを含有している場合も、透明にはならないが膜形
成は可能であり、これにY2 3 をZrO2 に対し1乃
至5モル%含有させる場合、全く含有させないものに比
べ、膜の強度の向上が可能である。
【0046】次に本発明のジルコニウム膜に異種の金属
酸化物を添加し、元来内部での結晶の配向性に起因して
膜の均一性が高いことを利用して、均一性の高い異種金
属酸化物含有ジルコニア膜の成膜をすることも可能であ
る。その際、添加される異種の金属酸化物はジルコニア
膜中の結晶の配向性に従い、配向性が付与されて膜中に
分散され、異種金属酸化物含有ジルコニア膜に求められ
る特性を非常に高いものにすることが可能である。
【0047】例えば、固体電解質型燃料電池の電解質と
して約8モル%のY2 3 を添加したジルコニアセラミ
ックスの利用が期待されていることは既に記載したが、
上記の3モル%程度のY2 3 を添加したジルコニアセ
ラミックスと同様に、本発明のジルコニア膜の原料であ
る組成液に酢酸イットリウム(Y(CH3 COO)3
を適量添加することにより、8モル%程度のY2 3
含有したジルコニアセラミックス膜であって膜中の結晶
が配向性を有するものを製造することが可能である。
【0048】この時、得られたジルコニアセラミックス
膜は従来の8モル%程度のY2 3を含有したジルコニ
アセラミックス膜に比べ高い酸素イオン伝導度を有し、
固体電解質型燃料電池の電解質として非常に高い特性を
示すことが可能である。ここで、固体電解質型燃料電池
の電解質としての高い特性は6モル%のY2 3 を添加
した場合に現れ、10モル%以上では効果は飽和してし
まう。よって、ジルコニア膜中のY2 3 の含有量はZ
rO2 に対し6乃至10モル%とするのが望ましい。
【0049】尚、Y2 3 の原料としては上記の酢酸イ
ットリウム以外に硝酸イットリウムやステアリン酸イッ
トリウムや、イットリウムノルマルブトキサイド等のイ
ットリウムアルコキサイドの使用がやはり上記の3モル
%程度のY2 3 を添加したジルコニアセラミックスの
場合と同様に可能である。
【0050】
【実施例】
(実施例1)76.8wt%のジルコニウムプロポキサ
イドを含むn−プロパノール溶液(Aldrich Chemical C
ompany製)をn−プロパノール(和光純薬工業社製)に
溶解し、更にアセチルアセトン(和光純薬工業社製)と
硝酸を添加して、ジルコニウムプロポキサイド:アセチ
ルアセトン:水:n−プロパノールのモル比が1:1:
5:10である組成液を調製した。
【0051】同様に、ジルコニウムプロポキサイド:ア
セチルアセトン:水:n−プロパノールのモル比が1:
1:5:15、及び1:1:5:20、及び1:1:
5:25である組成液を調製した。更に比較例として同
様に、ジルコニウムプロポキサイド:アセチルアセト
ン:水:n−プロパノールのモル比が1:1:5:5で
ある組成液を調製した。
【0052】これらの組成液をマグネティックスターラ
ーを利用して室温条件下、空気中の水分が組成液内に入
り込まないように注意しながら数時間攪拌した。こうし
て得られた5種類のゾル溶液を、20mm×20mm
(厚さ1mm)の石英基板にそれぞれ別個にスピンコー
トした。スピンコーターにはMIKASA製の1H−D
Xを用い、スピンコート条件は回転速度を800rpm
として、それぞれゾル溶液供給後30秒間回転させた。
【0053】各基板はゾル溶液塗布後、450°Cで5
分間焼成され、乾燥を行った。そして、以上の塗布と乾
燥の工程をそれぞれの基板について各回同一の組成のゾ
ル液を用いて6回繰り返した。ジルコニウムプロポキサ
イド:アセチルアセトン:水:n−プロパノールのモル
比が1:1:5:15の組成を有するゾル溶液を4回塗
布し、乾燥後その膜厚をSEMを用いて測定すると約2
μmの厚みがあった。
【0054】その後、それぞれの基板を1000°Cで
2時間焼成しジルコニア膜を製造した。図1は上記の本
実施例に係る組成液及びその比較例から成膜されたジル
コニア膜のそれぞれのX線回折図を同一図中に比較して
表した図である。比較例のn−プロパノールが少なく、
ジルコニウムプロポキサイド:アセチルアセトン:水:
n−プロパノールのモル比が1:1:5:5である組成
比を有するゾル溶液から製造されたジルコニア膜(以
下、ジルコニア膜(1:1:5:5)と称する。)は所
謂粉末X線回折パターン(図1中、主な回折線は矢印で
示す。)を示し、膜内部の結晶がランダムな多結晶性の
構造を有することを示している。
【0055】それに対し、本実施例に係るジルコニウム
プロポキサイド:アセチルアセトン:水:n−プロパノ
ールのモル比が1:1:5:10である組成比を有する
ゾル溶液から製造されたジルコニア膜(以下、ジルコニ
ア膜(1:1:5:10)と称する。)、該組成比が
1:1:5:15であるゾル溶液から製造されたジルコ
ニア膜(以下、ジルコニア膜(1:1:5:15)と称
する。)、該組成比が1:1:5:20であるゾル溶液
から製造されたジルコニア膜(以下、ジルコニア膜
(1:1:5:20)と称する。)、該組成比が1:
1:5:25であるゾル溶液から製造されたジルコニア
膜(以下、ジルコニア膜(1:1:5:25)と称す
る。)では、ジルコニア結晶の(200)面や(31
0)面等に対応する回折線(図1中、(200)や(3
10)等で示す。)の消滅が見られた。
【0056】そして、n−プロパノールの比が大きくな
るに従い(111)面や(022)面等に対応する回折
線の強度の低下が見られ、ジルコニア膜(1:1:5:
25)においては(111)面、(003)面及び(1
13)面に対応する回折線のみを残す回折パターンが得
られた。この結果は、本実施例のジルコニア膜で、原料
の組成液中のn−プロパノールの比が大きくなるに従い
膜中の結晶の配向性が高まり、特にジルコニア膜(1:
1:5:25)内の結晶に高い配向性が有り、膜の均一
性も結果として非常に高いことを示している。
【0057】また、比較例であるジルコニア膜(1:
1:5:5)は曇っており不透明であるが、本実施例の
ジルコニア膜で、原料の組成液中のn−プロパノールの
比が大きくなるに従い膜の透明性が向上し、その透明性
はジルコニア膜(1:1:5:25)で最も良い。これ
は、膜の内部の結晶の配向性に従っているものと理解さ
れる。
【0058】更に、光学顕微鏡による表面観察の結果、
膜表面の状態にも差異があり、比較例であるジルコニア
膜(1:1:5:5)は表面が微結晶状態を呈するが、
本実施例のジルコニア膜で、原料の組成液中のn−プロ
パノールの比が大きくなるに従い膜表面では繊維状に粒
界が存在した状態になり、更に、ジルコニア膜(1:
1:5:25)では板状の結晶が散在していることが分
かった。
【0059】そして、比較例であるジルコニア膜(1:
1:5:5)と比較して、本実施例のジルコニア膜では
膜強度が向上し、耐磨耗性の向上が見られ、その向上の
程度は原料の組成液中のn−プロパノールの比が大きく
なるに従い高くなることが分かった。さらに、その強度
はジルコニア膜(1:1:5:25)で最も高いことが
分かった。
【0060】尚、上記方法と同様の方法で調製されたジ
ルコニウムプロポキサイド:アセチルアセトン:水:n
−プロパノールのモル比が1:1:5:14.3である
組成液を用い、焼成温度が600°Cである以外は全く
同一の条件でジルコニア膜を成膜したところ、焼成温度
が1000°Cであるジルコニア膜(1:1:5:1
5)とほぼ同様の特性のジルコニア膜が得られた。
【0061】この時、焼成温度を800°Cとした場合
も、焼成温度が1000°Cであるジルコニア膜(1:
1:5:15)とほぼ同様の特性のジルコニア膜が得ら
れた。 (実施例2)76.8wt%のジルコニウムプロポキサ
イドを含むn−プロパノール溶液(Aldrich Chemical C
ompany製)をn−プロパノール(和光純薬工業社製)に
溶解し、更にアセチルアセトン(和光純薬工業社製)と
硝酸を添加して、ジルコニウムプロポキサイド:アセチ
ルアセトン:水:n−プロパノールのモル比が1:1:
5:10である組成液を調製し、更に成膜されるジルコ
ニア膜中でY2 3 がZrO2 に対して1mol%とな
るように量を選択して酢酸イットリウム(和光純薬工業
社製)を添加し、溶解させた。
【0062】同様に、ジルコニウムプロポキサイド:ア
セチルアセトン:水:n−プロパノールのモル比が1:
1:5:15であり、更に成膜されるジルコニア膜中で
23 がZrO2 に対して3mol%及び8mol%
となるように量の選択をされた酢酸イットリウム(和光
純薬工業社製)を添加し、溶解した混合溶液を2種調製
した。
【0063】これらの組成液をマグネティックスターラ
ーを利用して室温条件下、空気中の水分が組成液内に入
り込まないように注意しながら数時間攪拌した。こうし
て得られた3種類のゾル溶液を、20mm×20mm
(厚さ1mm)の石英基板にそれぞれ別個にスピンコー
トした。スピンコーターにはMIKASA製の1H−D
Xを用い、スピンコート条件は回転速度を800rpm
として、それぞれゾル溶液供給後30秒間回転させた。
【0064】各基板はゾル溶液塗布後、450°Cで5
分間焼成され、乾燥を行った。そして、以上の塗布と乾
燥の工程をそれぞれの基板について各回同一の組成のゾ
ル液を用いて10回繰り返した。何れの組成液を使用し
た場合も、4回塗布し、乾燥後その膜厚をSEMを用い
て測定すると約2μmの厚みがあった。この結果より、
一回の塗布及び焼成で0.5μm程度の薄さのジルコニ
ア膜が形成可能であることが分かる。
【0065】その後、それぞれの基板を1000°Cで
2時間焼成しY2 3 を含有するジルコニア膜を製造し
た。以下、ジルコニア膜中に含有されるY2 3 がZr
2に対して1mol%のジルコニア膜を1Y−ジルコ
ニア膜と、ジルコニア膜中に含有されるY2 3 がZr
2 に対して3mol%のジルコニア膜を3Y−ジルコ
ニア膜と、ジルコニア膜中に含有されるY2 3 がZr
2 に対して8mol%のジルコニア膜を8Y−ジルコ
ニア膜と称する。
【0066】図2は上記の本実施例に係る組成液から成
膜されたジルコニア膜及び実施例1におけるジルコニア
膜(1:1:5:15)のそれぞれのX線回折図を同一
図中に比較して表した図である。実施例1におけるジル
コニア膜(1:1:5:15)は既に記載したように、
実施例1における比較例であるジルコニア膜(1:1:
5:5)に比べ高い内部の結晶は高い配向性を有してい
るが、本実施例に係るジルコニア膜は何れもジルコニア
膜(1:1:5:15)と同等の配向特性を有すること
を示している。
【0067】この結果は、本実施例のジルコニア膜では
何れの場合も、ジルコニア膜(1:1:5:15)で見
出された膜内の結晶の高い配向性を有したまま、Y2
3 がジルコニア膜中に分散されていることを示してい
る。よって、内部に析出した結晶が配向性を有してお
り、更にY2 3 を分散して含有するジルコニア膜が得
られた。
【0068】この時、1Y−ジルコニア膜と3Y−ジル
コニア膜においては、実施例1に於けるジルコニア膜
(1:1:5:15)に比べ高い強度を有していた。そ
して、更に、3Y−ジルコニア膜は1Y−ジルコニア膜
より高い強度を有していた。また、上記の3Y−ジルコ
ニア膜製造用組成液を用いて、焼成温度が600°Cで
ある以外は全く同一の条件でジルコニア膜を成膜したと
ころ、焼成温度が1000°Cである3Y−ジルコニア
膜とほぼ同様の特性のジルコニア膜が得られた。
【0069】この時、焼成温度を800°Cとした場合
も、焼成温度が1000°Cである3Y−ジルコニア膜
とほぼ同様の特性のジルコニア膜が得られた。尚、同時
に、ジルコニウムプロポキサイド:アセチルアセトン:
水:n−プロパノールのモル比を1:1:5:5とし、
更に成膜されるジルコニア膜中でY23 が1mol%
及び3mol%となるように酢酸イットリウム(和光純
薬工業社製)を調製し、これを用いて上記した方法と同
一の方法(焼成温度は1000°Cである。)でジルコ
ニア膜の製造をおこなった。
【0070】その結果、内部に析出する結晶に配向性は
見られないが、ジルコニア膜は形成され、その強度は何
れも実施例1の比較例であるジルコニア膜(1:1:
5:5)に比べ高い強度を示した。そして、3Y−Zr
2 の膜が最も高い強度を有していた。
【0071】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ガラスや
金属や半導体を保護して高い耐磨耗性、耐浸食性を示す
ジルコニア保護膜を提供できる。また、膜の曇りの無い
ジルコニア膜を提供できる。請求項2及び請求項3及び
請求項4記載の発明によれば、ジルコニウムアルコキサ
イドのゾル化の際、加水分解・重縮合反応を穏やかに進
行させることが可能となり、含有する重縮合した金属ア
ルコキサイドが高い規則性を有するゾルの形成が可能と
なる。
【0072】従って、被膜体表面の結晶が配向性を有す
るジルコニア膜を簡便に再現性良く提供することが可能
である。請求項5記載の発明によれば、ジルコニア膜中
の析出した結晶に配向性を付与することが可能となり、
内部の結晶が配向性を有するジルコニア膜を簡便に再現
性良く提供することが可能である。
【0073】請求項6及び請求項7記載及び請求項8記
載の発明によれば、ジルコニア膜を形成するジルコニウ
ムアルコキサイドの加水分解・重縮合反応が穏やかに進
行する組成物の提供が可能となる。そして、被膜体表面
の結晶が配向性を有するジルコニア膜を簡便に再現性良
く提供することが可能な原料である組成液を提供でき
る。
【0074】請求項9記載の発明によれば、被膜体表面
の析出した結晶が配向性を有することより膜質が均一で
強度の高いジルコニア膜を更に、高強度にすることが可
能となる。従って、より高強度で高靱性でしかもより耐
熱性、耐食性、耐磨耗性に優れた透明なジルコニア膜の
提供が可能となる。請求項10記載の発明によれば、非
常に薄い上記組成のジルコニアセラミックスの提供が可
能であり、非常に薄く成膜後に湾曲することのない固体
電解質型燃料電池の電解質を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る組成液及びその比較例から成膜
されたジルコニア膜のそれぞれのX線回折図を同一図中
に比較して表した図である。
【図2】本実施例に係る組成液から成膜されたジルコニ
ア膜及び実施例1におけるジルコニア膜(1:1:5:
15)のそれぞれのX線回折図を同一図中に比較して表
した図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆体表面に析出した結晶が配向性を有
    していることを特徴とするジルコニア膜。
  2. 【請求項2】 式 Zr(OR)4 〔I〕 〔式中、Rは炭素数1乃至10のアルキル基若しくはヒ
    ドロキシアルキル基を表す〕で表されるジルコニウムア
    ルコキサイドと、式 ROH 〔II〕 〔式中、Rは〔I〕と同一であり、炭素数1乃至10の
    アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す〕で表され
    るアルコール又は2価のアルコールと、水と、ジルコニ
    ウムイオンとキレート錯体を形成することが可能なキレ
    ート剤と、酸触媒又は塩基触媒とを含み、ジルコニウム
    アルコキサイド〔I〕:アルコール〔II〕のモル比が
    1:10乃至1:50である組成物をゾル化させ、原料
    ゾルを形成し、 該ゾルを供給して被覆体にコートした後、焼成して成膜
    し、 被覆体表面に析出する結晶に配向性を付与することを特
    徴とするジルコニア膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記組成物中のジルコニウムアルコキサ
    イド〔I〕及びアルコール〔II〕のRは炭素数が3の
    直鎖アルキルであることを特徴とする請求項2記載のジ
    ルコニア膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記組成物中のジルコニウムイオンとキ
    レート錯体を形成することが可能なキレート剤がアセチ
    ルアセトンであることを特徴とする請求項2及び請求項
    3記載のジルコニア膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記のゾルを供給して被覆体にコートす
    る方法はスピンコート法によることを特徴とする請求項
    2及び請求項3記載及び請求項4記載のジルコニア膜の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 式 Zr(OR)4 〔I〕 〔式中、Rは炭素数1乃至10のアルキル基若しくはヒ
    ドロキシアルキル基を表す〕で表されるジルコニウムア
    ルコキサイドと、 式 ROH 〔II〕 〔式中、Rは炭素数1乃至10のアルキル基若しくはヒ
    ドロキシアルキル基を表す〕で表されるアルコール又は
    2価のアルコールと、 水と、 ジルコニウムイオンとキレート錯体を形成することが可
    能なキレート剤と、 酸触媒又は塩基触媒とを含み、 ジルコニウムアルコキサイド〔I〕:アルコール〔I
    I〕のモル比が1:15乃至1:50であることを特徴
    とする組成物。
  7. 【請求項7】 ジルコニウムアルコキサイド〔I〕及び
    アルコール〔II〕のRは炭素数が3の直鎖アルキルで
    あることを特徴とする請求項6記載の組成物。
  8. 【請求項8】 前記組成物中のジルコニウムイオンとキ
    レート錯体を形成することが可能なキレート剤がアセチ
    ルアセトンであることを特徴とする請求項6及び請求項
    7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 ZrO2 に対し1乃至5モル%のY2
    3 を含有し、被覆体表面に析出した結晶が配向性を有し
    ていることを特徴とするジルコニア膜。
  10. 【請求項10】 ZrO2 に対し6乃至10モル%のY
    2 3 を含有し、被覆体表面に析出した結晶が配向性を
    有していることを特徴とするジルコニア膜。
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