JPH10280122A - 吸収式冷凍機の製造方法 - Google Patents

吸収式冷凍機の製造方法

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JPH10280122A
JPH10280122A JP9083542A JP8354297A JPH10280122A JP H10280122 A JPH10280122 A JP H10280122A JP 9083542 A JP9083542 A JP 9083542A JP 8354297 A JP8354297 A JP 8354297A JP H10280122 A JPH10280122 A JP H10280122A
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JP
Japan
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temperature
corrosion
refrigerator
film
oxidation treatment
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Application number
JP9083542A
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English (en)
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Tomoko Kikuchi
智子 菊池
Katsumi Mabuchi
勝美 馬渕
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Filing date
Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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    • Y02A30/27Relating to heating, ventilation or air conditioning [HVAC] technologies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]
    • Y02B30/62Absorption based systems

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  • Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、吸収式冷凍機の内壁に冷凍機
運転前に予め防食皮膜を生成させることにより、冷凍機
運転中における水素ガス発生による冷凍効率の低下を防
止および防食皮膜による耐食性を確保し、吸収式冷凍機
の信頼性をあげることにある。 【解決手段】吸収式冷凍機に関連し、高温の空気を用い
た吸収式冷凍機の構成材料の内面に酸化皮膜を生成させ
る。その皮膜生成を加熱時間によって管理することによ
り充分な防食性能のある皮膜を生成させ吸収式冷凍機の
信頼性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な吸収式冷凍機
に係わり、特に主要構成部材の表面に予め防食皮膜を形
成することにより冷凍機の主要構成部材を高度に腐食防
止した耐食性に優れた吸収式冷凍機の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】吸収式冷凍機は濃厚LiBr水溶液を吸
収液とし、水を冷媒として用いている。吸収式冷凍機
は、一般にLiBr濃度が高いほど高い冷凍効率が得ら
れるため、例えば二重効用吸収式冷凍機においても最も
高い温度の部分では、LiBr濃度が65重量%,温度
が約160℃に達する。このような環境においては、構
成材料が激しく腐食するために、従来より特開昭58−22
4186号や特開昭58−224187号に記述されているように、
タングステン酸塩やモリブデン酸塩等の適正なインヒビ
ターを添加することによって、腐食を軽減してきた。こ
れらのインヒビターはpH調整剤であるアルカリ金属の
水酸化物と併用して用いられ、その酸化力によって構成
材に防食皮膜を形成することにより腐食が抑制される。
【0003】冷凍機の運転中に防食皮膜を形成させる方
法とは別に、特開平1−121663 号,特開平2−183778 号
に記載されているように、腐食の最も激しい高温再生器
の吸収液と接する内壁に防食皮膜を冷凍機の運転する前
に形成することを目的に、高温再生器に皮膜形成再循環
経路により高温再生器で加熱濃縮される皮膜形成液を循
環流動させて皮膜形成運転を行い、高温再生器の内壁お
よびこれに設けた再循環経路の配管等の吸収液と接する
表面に腐食保護皮膜を形成させる方法がある。また、吸
収液を用いない防食皮膜形成法としては特開平6−24953
5 号に記載されているように、水蒸気分圧を10ppm 以
下になるように露天をコントロールしかつ酸素分圧を1
0Pa〜10kPa程度に調整したガス雰囲気で400
℃以上に加熱することにより冷凍機内部に防食皮膜を形
成する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】インヒビターを用いて
冷凍機運転中に防食皮膜を形成させる方法に関して、イ
ンヒビターとしてクロム酸塩や硝酸塩を使用した場合、
その濃度がある一定の濃度になると構造材料に孔食を引
き起こす可能性があることが懸念され、その使用にはイ
ンヒビターの濃度管理が重要となる問題点がある。一
方、モリブデン酸塩はLiBrに対する溶解度が小さ
く、さらに酸化力が弱いために安定な防食皮膜を形成す
るのに時間を要し、安定な防食皮膜が形成されるまで水
素ガス発生による冷凍効率が低下する等の問題点があ
り、充分な防食効果を得ることが困難であった。また、
安定な防食皮膜が生成されるまでにかなりの量のインヒ
ビターが消費されるために、インヒビターの追加が必要
であった。
【0005】この問題点を解決するために、上記従来技
術に記載したように冷凍機全体の運転をする前に、皮膜
形成再循環経路を用いて皮膜形成運転を行い、防食皮膜
を形成させる方法がある。しかしこの方法において、皮
膜形成運転で用いる皮膜形成液は冷凍機運転中に防食皮
膜を形成させる方法で用いられるモリブデンを含むLi
Br液であるために、運転中に水素発生による冷凍効率
の低下の問題を解決できるが、モリブデン酸塩の溶解度
が小さいこと、酸化力が弱いことによる防食皮膜形成に
時間を要することおよびインヒビターが消費する等の問
題点を解決することはできない。
【0006】吸収液を使用しない上記従来技術に記載し
たガスを使用する防食皮膜形成方法ではモリブデン酸塩
の溶解度が小さいこと、酸化力が弱いことによる防食皮
膜形成に時間を要することおよびインヒビターが消費す
る等の問題点は解決することができる。しかし、露点を
コントロールするために不活性ガスを注入する工程,水
蒸気を凝縮させ所定圧力に下げる工程,酸素ガスを所定
圧力まで注入する工程が必要となり防食皮膜形成方法が
複雑となるばかりでなく、それにともなう真空ポンプ,
圧力計,質量分析器,冷却トラップ等の機器が必要とな
り装置的にも高コストの複雑なものになる。また、一度
冷凍機内を不活性ガスで充満させた後(減圧した後に不
活性ガスを導入するために冷凍機内の細部まで不活性ガ
スは置換される)に酸素ガスを注入する方法では、酸素
ガスを流動させても冷凍機内のすき間部や対流部などは
酸素ガスが行き渡らず均一に冷凍機内に酸素分圧を一定
にすることが困難である。したがって、ある部分は過剰
の酸素により防食皮膜が生成するが、その反面ある部分
では酸素不足が生じ防食皮膜が生成されずまたは不完全
な防食皮膜の生成によって腐食を低減できなくなる。
【0007】本発明の目的は、容易な方法で吸収式冷凍
機の内壁に製造工程中に、所定温度および所定時間加熱
処理を行い、均一な防食皮膜を形成させる工程を含むこ
とにより、冷凍機運転中における水素ガス発生による冷
凍効率の低下の防止および防食皮膜による高耐食性を有
する吸収式冷凍機の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、冷凍機の製
造工程中に冷凍機構成材料と高温の空気を接触させ防食
皮膜を形成させる工程を含ませることによって達成する
ことができる。
【0009】具体的には、200℃から800℃(好ま
しくは330℃〜500℃、より好ましくは350℃〜
450℃)の空気と冷凍機構成材料と接触させることに
より生成する防食皮膜を有する吸収式冷凍機の製造方法
と空気を導入または接触させる装置から達成できる。高
温の空気を接触させる方法として吸収式冷凍機にガス導
入口を設け、それにより、高温の空気を導入する方法
と、吸収式冷凍機の高温再生器や熱交換器等の各パーツ
ごとに高温の空気にさらすことにより防食皮膜を生成さ
せた後に、防食皮膜を有した各パーツを組み立てるいず
れかの方法によっても達成できる。
【0010】本発明は、水を冷媒としハロゲン化合物を
吸収式冷凍機において、酸化処理時間は、非耐熱部分を
除いた吸収式冷凍機の大きさ,構成材料の材質,材質の
形状およびその厚さおよび酸化処理に使用される空気の
温度によって決定される。高温空気の温度変化があった
場合、それにあわせて酸化処理時間も変更されるので、
防食皮膜生成が不完全にならないように管理することが
できる。
【0011】吸収式冷凍機で使用される吸収液のハロゲ
ン化合物として主に臭化リチウムが用いられ、これらに
よる腐食は、高温度の臭化物イオンが構成材料上に吸着
することにより引き起こされる。通常腐食速度は、初期
には大きいが、時間とともに小さくなる。これは、時間
とともに材料表面に緻密な酸化皮膜が生成し、これが防
食皮膜として作用するためである。すなわち、表面に防
食皮膜が生成すると、防食に影響を及ぼす水,酸素,酸
素イオンや鉄イオン等の拡散が防食皮膜によって抑制さ
れるために、腐食速度が遅くなるためである。したがっ
て、前酸化処理によって予め構成材料表面に防食皮膜を
形成しておけば、直接構成材料と臭化物イオンの吸着や
接触を阻止することができ、それによって腐食を防止す
ることができる。構成材料の多く鉄系材料が使用されて
いる。防食皮膜には構成材料を直接酸化して得られる鉄
の酸化物を使用することができる。
【0012】このような防食皮膜を形成させる方法とし
ては、高温水を使用する方法と高温ガスによる方法があ
る。高温水を利用する場合、高温高圧容器が必要となり
大規模な設備が必要となる。それに対し、高温ガスとし
て空気を使用する方法では、空気雰囲気にある冷凍機ま
たはその構成要素をそのまま酸化処理するので、少なく
とも空気中の酸素分圧に対する酸素ポテンシャルを有す
るために、酸素枯渇により酸化皮膜生成が不完全になる
ことはない。また、空気中の酸素分圧分しか酸素が存在
しないため、前記従来技術で示した不活性ガスを充満さ
せた後酸素ガスを充満させて皮膜を生成させる方法と比
較して、皮膜形成において不均一になったり、厚くなり
すぎて剥離する恐れはない。
【0013】構成材料とて炭素鋼以外にステンレス鋼や
低合金鋼を使用した場合でも高温空気中で酸化処理を行
うことができる。
【0014】また、皮膜処理において皮膜が生成してい
るために、初期においてもインヒビターの消費がほとく
どなく、インヒビターの補給が必要ない。防食皮膜形成
工程を製造工程中に含むことにより、冷凍機運転初期か
ら冷凍機構成材料の腐食が問題にならず、製品の信頼性
を向上させることができる。
【0015】また、上記目的は、運転前に予め冷凍機構
成材料と高温の水蒸気または任意の露点を有する空気を
接触させることにより防食皮膜を吸収式冷凍機内に生成
させることによって達成することができる。
【0016】具体的には、前述の温度で水蒸気または任
意の露点の空気(大気が好ましい)と冷凍機構成材料と
接触させることにより生成する防食皮膜を有する吸収式
冷凍機と、上記水蒸気または任意の露点の空気と吸収式
冷凍機構成材料と接触させることにより生成する防食皮
膜を生成させる方法と、この方法を実施するための上記
水蒸気または任意の露点の空気を導入または接触させる
装置から達成される。吸収式冷凍機構成材料と上記高温
の水蒸気または任意の露点の空気とを接触させる方法と
して、吸収式冷凍機にガス導入口を設けそれより上記高
温の水蒸気または任意の露点の空気を導入し防食する方
法と、吸収式冷凍機の高温再生器や高温および低温熱交
換器等の各パーツごとに上記高温の水蒸気または任意の
露点の空気雰囲気にさらすことにより防食皮膜を表面に
生成させた後に、防食皮膜を有した各パーツを組み立て
るいずれの方法によっても達成される。
【0017】本発明は、水を冷媒とし、ハロゲン化合物
を吸収液とする吸収式冷凍機において、熱交換器及び高
温再生器の少なくとも一方の表面、又は該冷凍機を構成
する鉄系部材で前記吸収液に接する全表面に厚さ0.0
2〜5.0μm(好ましくは0.1〜2.5μm、より好
ましくは0.3〜2.0μmベストは0.5〜1.5μm)
又は青色,紫色,黒色又は灰色のいずれかの色又は水酸
基を含む酸化皮膜が形成されていることを特徴とする吸
収式冷凍機にある。
【0018】また、本発明は、冷凍機を構成する鉄系部
材で前記吸収液に接する表面に形成される酸化皮膜が冷
却塔を有する冷却水系,冷水系統及び蒸気系統の配管を
構成する鉄系部材表面に形成される酸化皮膜の厚さより
薄いことを特徴とする。
【0019】更に、本発明は、ハロゲン化合物を有する
水溶液を加熱し水蒸気を発生させる高温再生器,前記水
蒸気を凝縮させる凝縮器,前記水蒸気を冷却する低温再
生器,前記凝縮器より出た水を蒸発させ冷水を発生させ
る蒸発器,該蒸発器より出た水を高濃度のハロゲン化合
物を含む水溶液に吸収させる吸収器及び該吸収器より出
た冷媒を前記高温再生器に戻すとともに前記低温再生器
より出た水と前記吸収器より出た冷媒とを熱交換させる
熱交換器とを備えた吸収式冷凍機において、前記高温再
生器及び熱交換器の少なくとも一方の表面、又は高温再
生器,凝縮器,低温再生器,蒸発器,吸収器及び熱交換
器の鉄系部材によって構成されかつ少なくとも前記水溶
液,水蒸気及び水に接する部分に厚さ0.02〜5.0μ
m又は青色,紫色,黒色又は灰色のいずれかの色又は水
酸基を含む酸化皮膜が形成されていることを特徴とする
吸収式冷凍機にある。
【0020】本発明は熱交換器及び高温再生器の他、上
述の各機器構成要素毎に前述の酸化皮膜を形成させて、
装置全体として組み立てることができるものである。
【0021】本発明は、水を冷媒とし、ハロゲン化合物
を吸収液とする吸収式冷凍機の製造法において、熱交換
器及び高温再生器の少なくとも一方の表面を200〜8
00℃の温度で、酸化処理するとともにP=T(5+lo
gt){但し、Tは加熱温度(°K)、tは加熱保持時間
(分)である。}によって求められるパラメータ(P)
の値が3.5〜6.0×103,4.0〜5.5×103が好
ましく、より4.4〜5.0×103がより好ましい)と
なるように加熱温度と加熱保持時間とを調整すること、
又は水蒸気分圧0.0001 以上及び酸素分圧0.2 以
上の酸化性雰囲気中で加熱し酸化皮膜を形成することを
特徴とする吸収式冷凍機の製造法にある。
【0022】本発明は、前述の熱交換器及び高温再生器
の少なくとも一方、又は高温再生器,凝縮器,低温再生
器,蒸発器,吸収器及び熱交換器の鉄系部材によって構
成されかつ少なくとも前記水溶液,水蒸気及び水に接す
る部分を前述と同じ方法によって酸化皮膜を形成させる
ことにあり、また、これらの各要素を個々に製造させる
ものである。
【0023】吸収式冷凍機の構成材料の吸収液であるハ
ロゲン化合物として臭化リチウムが用いられ、これによ
る腐食は、高濃度の臭素イオンが構成材料上に吸着する
ことにより引き起こされる。通常腐食速度は、初期には
大きいが、時間と共に減少する。これは、時間と共に材
料表面に酸化皮膜が生成し、これが防食皮膜として作用
するためである。すなわち表面に防食皮膜が生成する
と、腐食に影響を及ぼす水,酸素,酸素イオンや鉄イオ
ン等の拡散が防食皮膜によって抑制されるために腐食が
抑制されるためである。従って、前酸化処理によって予
め構成材料表面に防食皮膜を生成しておけば、直接的に
構成材料と臭素イオンの吸着や接触を阻止することがで
き、それによって腐食を防止することができる。構成材
料の多くに、鉄系材料が使用されている。防食皮膜には
構成材料を直接酸化することによって得られる鉄の酸化
物を使用することができる。防食皮膜の防食性能は、単
に皮膜の化学組成だけではなく、皮膜の物理的性質によ
っても左右される。すなわち前述したように、防食皮膜
は腐食に関与する物質の拡散を抑制するために、防食皮
膜が緻密である方が拡散抑制能が高い。いくら酸化皮膜
が厚くても緻密性が保たれてなければ、防食皮膜として
の働きは小さい。また表面に水酸基が存在する場合、水
酸基のプロトンによって皮膜内に強固な水素結合が生
じ、耐食性のよい皮膜が生成する。
【0024】このような防食皮膜を生成させる方法とし
ては、高温水を使用する方法と高温ガスによる方法があ
る。高温水を利用する場合、高温高圧容器が必要となり
大規模な設備が必要となり問題が生じる。それに対して
高温ガスとして空気(水蒸気分圧をコントロールし、任
意の露点の空気)や水蒸気を使用する方法は、酸素ポテ
ンシャルや水蒸気分圧を任意にコントロールできるた
め、設備が単純であり容易に実施することが可能であ
る。また空気雰囲気にある冷凍機またはその構成要素を
そのまま酸化処理するので、少なくとも空気中の酸素分
圧に対する酸素ポテンシャルを有するために、酸素枯渇
により酸化皮膜生成が不完全になることはない。さらに
これらの雰囲気で生成する酸化皮膜の厚さは数百オング
ストロームから数万オングストローム程度と非常に薄く
することが重要であり、それにより緻密性が高いものが
得られるために高い耐食性の防食皮膜として作用するこ
とができる。
【0025】構造材料にステンレス鋼や低合金鋼を使用
した場合においても同様に前酸化処理手段として前記高
温ガスを使用することができる。
【0026】また前酸化処理において皮膜が生成してい
るために、初期においてもインヒビターの消費がほとん
どなく、インヒビターを補給する必要性がなくなる。事
前の防食皮膜処理によって冷凍運転初期から冷凍機構成
材料の腐食を心配する必要がなく、製品の信頼性を向上
させることが可能となる。
【0027】前記従来技術で示したガスを用い比較的厚
い防食皮膜を生成する方法では一度不活性ガスで充満さ
せた後に酸素ガスを充満させるため防食皮膜の剥離が生
じ不均一性が生じるのに対し、本方法では前述したよう
に、比較的薄い皮膜を形成する方法では予め空気がある
部分へ高温の水蒸気または任意の露点の空気または酸素
ガスを導入するために、少なくとも雰囲気の酸素分圧は
空気中の酸素分圧以上は存在するために酸素分圧不足に
より防食皮膜が生成されないということはないので、均
一な皮膜が形成される。
【0028】吸収液は重量で臭化リチウム50〜70
%,アルカリ金属水酸化物0.05〜1重量%,モリブ
デン酸塩をMoO4 2~ として10〜150ppm 及び、硝
酸塩をNO3~として5〜350ppmを含み、更に好まし
くは高級アルコール0.2〜3%を含み、残部が30重
量%以上の水からなるものが好ましい。
【0029】吸収式冷凍機を動力源・用途・構成によっ
て大別しますと表1のようになる。補器を運転するため
の少量の電力を除けば、電力をほとんど使用する必要が
なく、動力源としては、ガス,油,蒸気をはじめとして
多くの物が利用できます。
【0030】基本的には冷房用冷水を作ることが主目的
であり、冬期の暖房用温水の製造又は、冷水,温水の同
期取り出しなど1台の機械で種々の目的に使用すること
ができる。
【0031】冷媒として水を使用し、吸収剤として臭化
リチウム水溶液を使用しているため、運転中の機内圧力
は、常時大気圧以下であり、圧力容器にはならない。従
って運転資格についても、冷凍機としては、特別な資格
が不必要である。
【0032】回転部分としては、器内の冷媒,溶液を循
環させるための小容量のポンプがあるだけであり、機械
式の冷凍機に比較すると、騒音,振動が少ないなどの利
点がある。
【0033】
【表1】
【0034】代表的なものとして、直だき二重効用吸収
冷温水ユニットの構成要素について示す。
【0035】機器は、四つの熱交換器である蒸発器,吸
収器,凝縮器,低温再生器を一つのシェルに収めた本体
と、高温再生器,冷媒,溶液をそれぞれ器内に循環する
冷媒ポンプ及び溶液ポンプ、ならびに、溶液同志の熱交
換を行う溶液熱交換器とから成っている。
【0036】蒸発器では約1/100気圧の真空下にお
いて、冷媒である水がチューブ群上に撒布されており、
この時管内を流れる冷水から蒸発熱を奪って気化するの
で、管内の冷水は冷やされて冷房の目的に使用される。
【0037】吸収器では、管内を流れる冷却水によっ
て、適度に冷却された臭化リチウムの水溶液が、蒸発器
よりもやや低い飽和圧力を示すので、蒸発器で発生した
冷媒蒸気は吸収器に流れ、溶液に吸収される。冷媒を吸
収して稀くなった稀溶液は、溶液ポンプによって、高温
再生器と低温再生器に2分して送られ各再生器において
加熱濃縮され、濃溶液となって再び吸収器に戻る。
【0038】高温再生器では、外部からガス,油などの
熱源が供給され炉中で燃焼しますので、この熱により稀
溶液は濃縮される訳ですが、この時付随的に発生する蒸
気を、低温再生器の管内に通してここでの加熱濃縮に利
用する。
【0039】低温再生器の管外側で発生した蒸気は、凝
縮器において液化し、蒸発器に戻ることにより、サイク
ルは一巡する。
【0040】吸収器からの稀溶液を、二つの再生器に送
り込む方法には大別して二通りあり、液を2分して並行
に送り込む方式をパラレルフロー及び二つの再生器に直
列的に送り込むシリーズフローとがあり、前者は後者に
比較して、運転中の高温再生器内動作圧力が低く、大気
圧に対する余裕が大きいので運転がしやすいこと及びサ
イクル内の溶液循環量が少ないために、同じ効率を得る
ための熱交換器の大きさが小さくてすむ利点がある。
【0041】直だき二重効用吸収式冷温水ユニット 一般ビルの冷暖房用に広く使われている主熱源機器であ
り、夏期の電力ピークに伴うエネルギー転換に利用さ
れ、省エネルギーに対する要望も高いため、高温再生器
における燃焼排ガスのもつエネルギーを回収して効率を
あげた特別省エネルギー形もある。
【0042】また、この形は応用範囲も最も広く、太陽
熱利用もできる太陽熱・直だき併用形,ガス・油の燃料
切替えのできる切替専焼形,屋外形,冷温水同時供給形
などに対応できるものである。
【0043】蒸気二重効用,蒸気一重効用吸収式冷凍機 二重効用蒸気だきには、圧力8kg/cm2G の蒸気を使用
されるが、先に述べたパラレルフローの利点を生かし、
5kg/cm2G ないし、冷水冷却水の温度の選定によって
は、2kg/cm2G でも運転できる低圧蒸気二重効用吸収
式冷凍機がある。
【0044】また、1kg/cm2G 程度の余蒸気のある工
場では、一重効用吸収式冷凍機が有効である。
【0045】排ガス利用吸収式冷凍機,冷温水ユニット ディーゼルエンジン,ガスタービンなどの排気や、各種
工場から得られる塗装排ガスなどを熱源とした冷凍機で
あり、250℃程度以上あれば二重効用として使用でき
るものである。
【0046】機器の構成としては、直だき二重効用吸収
式温水ユニットの高温再生器部分を、排ガス熱回収器に
置き換えることができる。この排ガス利用形は、他の熱
源、すなわち、蒸気,ガス,油などとの切替形ができ
る。
【0047】ソーラ吸収式冷凍機 太陽熱温水の温度は85℃程度で比較的低いので、一重
効用として使用されるが、熱源として安定していないの
で、何らかの形のバックアップが必要である。これに
は、太陽熱併用直だき吸収式冷温水ユニットが最適であ
り、太陽熱が十分に得られない時には、直だき二重効用
でバックアップできるので、設備費,運転経費とも、最
も有利な方法である。
【0048】吸収式ヒートポンプ 冷凍機はもともと低温熱源から、何らかの動力源によっ
て熱を高温部分にくみ上げる機械であり、低温部におけ
る吸熱を活用したものが冷凍機であり、一方、高温部に
おける放熱を利用することもできる。冷凍機における熱
バランスとしては、熱のくみ上げに要した動力源熱量に
低温部からくみ上げた熱量を、加算したものが高温部に
おける放熱量に等しくなるので、単に動力源をそのまま
加熱に使用する場合に比較すると、約1.5〜2 倍の向
上が得られる。これが吸収式ヒートポンプであり、主と
して工場プロセス用,ボイラ給水の予熱などを暖房に使
用することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
[実施例1]図1は密閉循環型吸収式冷凍機の構成図で
ある。この密閉循環型吸収式冷凍機は冷媒に水を、吸収
液として臭化リチウムの濃厚水溶液を用いている。この
冷凍機は高温再生器1,低温再生器8,凝縮器12,吸
収器3およびこれらの間に吸収液および冷媒を循環させ
るポンプ類と、熱交換器2から構成され、各部分は各々
以下のように作動する。
【0050】(A)高温再生器1 高温再生器1はガス炉油等の火炎によって冷媒を加熱蒸
発させるもので、容器と内部の熱交換器は炭素鋼等によ
って構成される。フロートボックスの底板にはSUS304鋼
が使用される。
【0051】(B)蒸発器12 蒸発器12の蒸発器管束の管内には冷水を通じており、
管外には冷媒が散布され、その蒸発の俊熱によって冷水
から熱を奪う。
【0052】(C)吸収器3 臭化リチウム水溶液は同じ温度の水よりも蒸気圧が著し
く低く、かなり低い温度において発生する水蒸気を吸収
する。吸収器3では蒸発器12で蒸発した冷媒は吸収器
の管束の外面に散布された臭化リチウム水溶液(吸収
液)に吸収され、この時発生する吸収液は管内を通る冷
却水により冷却される。
【0053】吸収液3で冷媒を吸収した希薄溶液は濃度
が低下し、吸収力が弱くなる。そこで溶液ポンプ13に
より、一部は高温再生器1に送られ、高温蒸気等によっ
て加熱され、冷媒蒸気が蒸発分離し、溶液は濃縮され濃
厚溶液は吸収器3に戻る。さらに吸収器3から出た希薄
溶液の一部は溶液ポンプ13により低温再生器8に送ら
れ、高温再生器1で発生した冷媒蒸気により加熱濃縮さ
れ、濃厚溶液は吸収器3に戻る。高温再生器1で分離さ
れた冷媒蒸気は凝縮器9で管内を流れる冷却水によって
冷却され、凝縮液化し、蒸発器12に戻る。
【0054】(D)熱交換器2 吸収器3から高温再生器1に向かう低温の希釈溶液を高
温再生器1から吸収器3に向かう高温の濃厚溶液によっ
て予熱し、再生器加熱量を減少させる。
【0055】(E)溶液ポンプ13 溶液ポンプ13は濃厚液,希薄溶液および冷媒を循環さ
せる。
【0056】吸収器3,高温再生器1および溶液ポンプ
13が圧縮式冷凍器の圧縮器と同じ機能を持つ。吸収液
は冷凍機運転中に熱交換器2を介して高温再生器1と吸
収器3の間を循環する。吸収液の濃度が高いほど、一般
的に冷凍効率も高まるため、高温再生器1はより高い温
度に保持する必要がある。
【0057】(F)冷却塔19 冷却塔19は凝縮器からでた冷却水を外部の冷媒によっ
て冷やすもので、モーター(M)でファン18を回転さ
せるとともに冷却水が噴霧される。
【0058】図2は、吸収式冷凍機の構成要素の一つで
ある熱交換器2の一例である波型プレート熱交換器の外
観斜視図である。図中の斜線部は波形に加工されている
部分で白地は波型加工されていない平らな部分である。
また、○は配管が接続される部分である。図3は波型プ
レートの断面を示し、1,3,5層目…の奇数部分はA
液が流れ、2,4,6層目…の偶数部分にはB液が各々
並流になるように溶液入口および溶液出口に接続され
る。この波型プレート熱交換器の作成方法を図4にフロ
ーチャートとして示す。板厚0.5mm のSPCE鋼板を
所定の寸法に切り出した後、プレスを用いて波型に成形
する。脱脂工程を経た後、所定の枚数を重ね合せ、周囲
をそれぞれ溶接によって接合し、それを炭素鋼SS40
0で作成した箱の中におさめ熱交換器を成形する。成形
した熱交換器を空気中にて予め所定の温度になっている
密閉電気炉内に挿入し、電気炉内に設けられたファンを
回して流動空気中にて一定時間加熱する。加熱時間およ
び加熱温度は200〜500℃,1〜4時間とする。加
熱処理は時間および温度で管理する。加熱処理後、プレ
ート熱交換器は電気炉内から取り出し放冷する。電気炉
の温度が低下してから取り出してもよい。酸化処理をし
た熱交換器は、吸収式冷凍機の組み立て工程に送られ
る。
【0059】また、上記と同じ方法で高温再生器に関し
ても熱処理が行える。図5は高温再生器の構成図であ
る。高温再生器は厚さ3〜6mmの鋼板および管から構成
される。脱脂工程,溶接工程を経て、組み立てられた高
温再生器は空気中にて予め所定の温度になっている電気
炉内に挿入され、電気炉内に設けられたファンを回して
流動空気中にて一定時間加熱される。加熱時間および加
熱温度は200〜800℃,0.1〜4 時間とする。加
熱処理後、高温再生器は密閉電気炉内から取り出す放冷
する。電気炉の温度が低下してから取り出してもよい。
酸化処理をした高温再生器は、吸収式冷凍機の組み立て
工程に送られる。それ以外にも鉄系材料で構成される要
素部分に関しては同様の酸化処理が行える。酸化処理
後、冷凍機の組み立て工程に送られる。
【0060】高温再生器と熱交換器で処理温度が異なる
理由としては、Fe−Fe3系線図では723℃で変態
が起きるからである。したがって、2mm以下の薄板を酸
化処理する場合は500℃を超えると変態も原因の一つ
である変形が大きくなる。しかし、すき間等を有する複
雑な冷凍機構成要素に関しては、部分によってはすぐに
空気中の酸素を枯渇してしまう部分もあり、このような
構成要素に関しては、空気中の拡散を早めるために比較
的高い500〜800℃程度で酸化するのが望ましい。
2mm以上の厚さがあれば、加熱処理による変形も少ない
ので加工上の問題にはならない。
【0061】さらに、冷凍機をポンプ,減圧弁等の非耐
熱容器を除いた段階まで仮組み立てをした後、その状態
で密閉電気炉に入れ、酸化処理を行うこともできる。
【0062】上記実施例の酸化処理時間は材料および構
成材の厚さおよび構成要素の大きさおよび電気炉内の温
度変化等から最適値を決定する。
【0063】[実施例2]図1に示した吸収式冷凍機の
構成図により説明する。本実施例の酸化処理は高温の空
気を高温再生器1→熱交換器2→吸収器3の経路に循環
させて行う。冷凍機をポンプ,減圧弁等の非耐熱容器を
除いた段階まで仮組み立てをした後、高温再生器付近に
設置したガス導入管4へ加熱装置5を備えた空気送風機
6を接続する。バルブ7aを閉じ次いでバルブ7bを開
け、加熱した高温の空気を冷凍機内部に導入する。この
とき、高温再生器1→低温再生器8→凝縮器9(運転時
に水蒸気が通るライン)の経路は腐食性が低いために酸
化処理を行う必要性が小さいため、その経路に導入する
高温空気が行かないようにバルブを設けて遮断してもよ
い。処理温度は200〜800,処理時間は0.1〜4
時間程度である。
【0064】また、別の酸化処理としては、高温再生器
で使用する加熱源を使用する方法がある。このとき、図
1に示す加熱装置5は不要である。高温再生器の加熱
源、例えばバーナー等で所定の温度まで加熱する。この
状態でガス送風機6を作動し、高温の空気を冷凍機内部
に供給することができ、冷凍機内部を酸化処理できる。 [実施例3]図6は実施例2で使用した加熱装置5およ
び空気送風機を用いた図2に示したプレート熱交換器の
酸化処理方法を示した図である。A液入口およびB液入
口にガス導入管4を設置し加熱装置5を備えた空気送風
機6を接続し、高温空気をプレート熱交換器内部に導入
する。処理温度は200〜500℃、処理時間は1〜4
時間程度である。
【0065】上記と同様な方法で高温再生器やそれ以外
の構成要素を酸化処理出来る。
【0066】[実施例4]厚さ2mmの一般構造用圧延鋼
板(SS400)を用い、エメリー紙#6/0番まで研
磨後、アセトン中で超音波洗浄し、実験に供した。試験
片の化学組成(重量%)は次のとおりである。
【0067】C:0.05,Si<0.01,Mn:0.
24,P:0.016,S:0.010,Fe:残部。この材
料は室温の耐力25kg/mm2 以上,引張強さ41〜52
kg/mm2 ,伸び率21%以上のものである。
【0068】また溶接部の腐食評価には、冷間圧延鋼板
であるJIS SPCE鋼板を2枚重ねその一端をプラ
ズマ溶接によって接合したものを試験片として用いた。
大気酸化処理条件は、300℃(1h),400℃
(1,5,10,20h)及び500℃(1h)とし
た。いずれの試験片も、電気炉が所定の温度に達した後
に試験片を挿入し、その時間を酸化処理時間開始時間と
した。SPCE鋼は圧延方向での室温での引張強さ28
kg/mm2 以上,伸び率36%以上を有するものである。
【0069】さらに実際の製造行程でできる酸化皮膜の
耐食性を調べるために、電気炉を使用し、実際の製造プ
ロセスに従い、プレス加工した2枚のSPCE鋼板を溶
接したものを1組とし、それを10組重ね合せて大気酸
化処理をした。この場合は、電気炉に試験片を挿入した
後温度をあげ、中心の温度が所定の温度に達した時点を
酸化処理開始時間とした。
【0070】腐食試験液は市販の一級試薬LiBr・H
2O をイオン交換水に溶解し、実機の条件を合せて65
重量%に調整し、これに重量でLiOH(0〜0.5
%),Li2MoO4(0〜0.035%)及びLiNO3
(0〜0.005%)を添加した。特に、本実施例では
腐食液として重量で、LiBr65%,LiOH0.3
%,Li2MoO40.02%溶液を用い、160℃で実験
した。
【0071】SS400の腐食試験は、オートクレーブ
内に試験片と試験液を入れ、アルゴンガスで1時間脱気
し、その後真空ポンプで2mmHgまで真空にし、これを
433Kに保持した恒温槽中に200時間保持して行っ
た。
【0072】SPCEの腐食試験はガラス管を用い、そ
れに試験片と試験液を入れ、真空ポンプに接続して25
℃で2mmHgの減圧下で脱気し、433Kに保持した恒
温槽中に200時間保持した。
【0073】腐食試験後、試験片から腐食生成物を除去
し、水洗,乾燥後、重量測定した。図7は、SS400
の200時間後の腐食量に及ぼす大気酸化処理温度の影
響を示す。300℃,1hで大気酸化処理を施した試料
の腐食量は、3.5mg/ dm2 から最大67.5mg/d
2の広い範囲でばらついている。しかし腐食量の最大
値は、酸化処理を施していない試料の場合よりは小さ
い。特に330℃以上、より350℃以上で30mg/d
2 以下の腐食量となる。大気酸化処理温度が380℃
以上、より好ましくは400℃以上では、ばらつきもほ
とんどなくなり、腐食量は1/10以下に低下する。腐
食量の下限値は、温度の上昇とともに上昇する傾向があ
る。
【0074】図8は、SS400の腐食量に及ぼす40
0℃の大気酸化皮膜厚さの影響を度す。ここで大気酸化
皮膜厚さは、酸化処理時間によって調整した。1時間酸
化処理をすると、表面には約1200nmの酸化皮膜が
生成する。その試験片の腐食量は、7.2mg/dm~2
あり、酸化処理によって腐食量は急減する。大気酸化処
理時間を長くし酸化皮膜を厚くしても腐食量はほとんど
変化しない。
【0075】図9は、大気酸化処理を施した試験片の腐
食量の時間変化を示す。1000時間後においても10
mg/dm2 以下のほとんど腐食量は増加していない。
【0076】図10は、大気酸化処理を施した試料の腐
食量に及ぼすLi2MoO4濃度依存性を示す。大気酸化
処理条件は、400℃,1時間である。大気酸化処理を
施さない場合も合わせて示した。腐食条件は、図7の場
合と同様である。大気酸化処理条件は、400℃,1時
間である。大気酸化処理を施さない場合は、腐食量はL
2MoO4の添加により急激に減少し、さらに添加量の
増加とともに腐食量は減少する。一方、大気酸化処理を
施した場合、腐食量はLi2MoO4濃度にほとんど依存
しなく、添加の有無による差も生じない。
【0077】図11は、大気酸化処理を施した試料の腐
食量に及ぼすLiOH濃度依存性を示す。添加物のない
65%LiBr水溶液中における腐食量は酸化処理の有
無にかかわらず、腐食量は500mg/dm2 以上であり
非常に多い。LiOHを添加しても、酸化処理を施して
いない場合は腐食量は若干減少するものの顕著な抑制作
用は示さない。それに対して酸化処理を施した場合は、
0.1% のLiOHの添加によって腐食量は急激に減少
する。しかしLiOH濃度には腐食量はほとんど影響さ
れない。
【0078】大気酸化処理を施していないもの及び40
0℃で1時間大気酸化処理を施したSPCE鋼板の溶接
部の断面の1000時間腐食させた後の状況を調べた。
大気酸化処理を施さない場合は、デポ及びハズの部分に
孔食が発生する場合があったが、大気酸化処理を施した
試料に関しては孔食は発生しなかった。他の温度で大気
酸化した場合においても孔食の発生は見られなかった。
【0079】1000時間の腐食試験後のインヒビター
の濃度を測定した。大気酸化処理を施さない場合、Li
2MoO4が0.02wt%から0.007wt%に、Li
NO3が0.005% から0%に低減した。それに対し
て、350℃で1時間大気酸化処理を施した場合では、
Li2MoO4が0.02wt%から0.018wt%に、
LiNO3が0.005%から0.0028%に低減し、特
にLi2MoO4の低減を抑えることができた。これは、
インヒビターであるLi2MoO4の追加時期の間隔を延
ばすことが可能であることを示し、メンテナンス間隔を
広げることができることを意味する。
【0080】300,400及び500℃で1時間大気
酸化処理を施したSS400試験片について腐食前のS
EM写真観察を行った。300℃で1時間大気酸化処理
しても表面には研磨傷が明瞭にみられ、生成している酸
化物はかなり薄い。それに対して、400℃で大気酸化
処理をした場合、表面には針状及び粒状の結晶が生成し
ており、表面には酸化物の割れが見られる。500℃に
なると、針状の結晶は少なくなり、粒状の結晶に均一に
覆われるようになる。腐食試験後においては、300℃
で大気酸化処理を施した場合、表面に酸化物が生成し研
磨傷が薄くなっている。400℃で大気酸化した試験片
では、腐食試験前に見られた針状の結晶は少なくなって
いるものの表面状態はほとんど変化していない。500
℃で大気酸化した試験片では、腐食試験前に見られた粒
状の酸化物がなくなり、その下の緻密な酸化物が残存し
ている。大気酸化処理によって生成した酸化皮膜は(400
℃以上で)、腐食試験によって一部表面が溶出するもの
の皮膜の大きな変化はない。
【0081】図12,図13及び図14は、それぞれ3
00,400及び500℃大気中で1時間大気酸化処理
したSS400の試験片とそれを160℃の65%Li
Br−0.3%LiOH−0.02%Li2MoO4溶液中
で200時間腐食試験した後のX線回折結果を示す。い
ずれにおいてもFe34及びFe23が検出されてい
る。また腐食試験後の試験片に関してはFe34及びF
23以外に(LiFe5O8),(Li5Fe58,Fe
0.98,Li2Fe35)及び(Li2MoO3,Li6Mo
2O7)も一部検出されているものと考えられるが、明確な
分離は不可能である。大気酸化処理によって生成する酸
化皮膜の組成は温度によらず一定である。腐食試験後の
酸化皮膜組成も本質的には腐食前と同じであり、SEM
観察の結果と一致している。
【0082】図15は、400℃,1時間大気酸化した
後のAESによる鉄及び酸素のDepthプロファイルを示
す。鉄と酸素の比率は1:1.2であり、マグネタイト
の1:1.33 に近く、X線回折の結果と一致してい
る。皮膜厚さは、AESの結果によれば1500nm
(1.5μm)程度であった。酸化処理後の試験片を酸洗
し、その重量差から求めた皮膜厚さは1200nm程度
であり(皮膜をFe34と仮定し、密度5.16g/cm3
として計算)、AESの結果とほほ一致していることか
ら、大気酸化できる皮膜はかなり緻密である。
【0083】[実施例5]本実施例の酸化処理は、図1
に示すように高温の空気を高温再生器1→熱交換器2→
吸収器3の経路に循環させることにより行う。まず冷凍
機をポンプ等の非耐熱機器を除いた段階で仮組み立てを
行った後、高温再生器1付近に設置したガス導入管4へ
加熱装置5を備えた空気送風機6を接続する。バルブ7
aを閉じ次いでバルブ7bを開け、加熱した高温の空気
を冷凍機内部に導入する。使用する空気は水蒸気分圧
0.00782 の湿度を有する空気(25℃で湿度25
%の空気)である。この際、高温再生器1→低温再生器
8→凝縮器9(冷凍機運転時には水蒸気が通るライン)
の経路は腐食性が低いために前酸化処理を施す必要性は
小さく、高温空気が腐食性の高い高温再生器1→熱交換
器2→吸収器3のラインに入るようバルブ7c,7dを
閉じる。導入された空気は、高温再生器,熱交換器を通
り吸収器に導入される。処理時間は、200から800
℃の空気で構造材の温度がその温度に達してから1から
4時間程度の酸化処理が適当である。
【0084】この密閉循環型吸収式冷凍機を冷媒に水
を、また吸収液として臭化リチウムの濃厚水溶液を用い
ている。この冷凍機は高温再生器1,低温再生器8,凝
縮器9,蒸発器12,吸収器3およびこれらの間に吸収
液および冷媒を循環させるポンプ類と、熱交換器2から
構成され、各部分は各々前述のように作動する。
【0085】凝縮器9,低温再生器8,蒸発器12,吸
収器3内の真空容器内のパイプは銅が用いられ、他は炭
素鋼によって構成されており、酸化膜の膜厚として青
色,紫色,灰色,黒色のいずれかの色になるように酸化
処理される。高温再生器1及び熱交換器2は炭素鋼によ
って構成され、同様の厚さと組成を有する酸化皮膜が形
成される。炭素鋼はJIS規格の一般構造用圧延鋼材S
S400が用いられる。炭素鋼の組成は重量で、C0.
03〜0.13%(好ましくは0.04〜0.08%),S
i0.5%以下(好ましくは0.05%以下),Mn0.5
%以下,残部Feが好ましい。特にP及びSは0.02
% 以下が好ましい。更に冷間圧延鋼板を用いることが
好ましい。真空容器外の外囲りの配管は熱間によるマン
ネスマン継目無管が用いられ、表面に0.8〜3μm の
厚さの黒色の酸化皮膜が形成されている。本実施例にお
ける酸化皮膜は水酸基又は水分を含み、内層にマグネタ
イト、外層にヘマタイト又はその水酸化物が形成され
る。
【0086】図16は、高温再生器の部分の入り口のガ
ス温度を400℃に調整するとともに水蒸気分圧0.0
0782 を有する空気(任意の露点の空気で本実施例
では25℃で湿度25%の空気)を用いて2時間酸化処
理を処理を実施した場合と前酸化処理を実施しない場合
の、冷凍機運転時における水素ガス発生量を示す。水素
ガスは鉄の腐食反応によって生成するため、鉄の腐食量
と水素ガス発生量は比例関係にある。図16に示すよう
に本発明を実施した場合の水素ガス発生量は、しない場
合と比較して、500時間冷凍機運転後において1/2
0以下であった。しかも200から1000時間におい
てはほとんど水素発生量は変化しなく水素発生速度に換
算すると0.02ml/minとなる。それに対して本発明
を実施しない場合は、200から1000時間において
水素発生量は増加しており水素発生速度は2ml/min
で、本発明を実施した場合の約100倍と非常に大きい
値となる。
【0087】図17は、本発明を実施した場合としない
場合の冷凍機運転時におけるインヒビターの消費量を示
している。本発明を実施した場合は、1000時間運転
後におけるインヒビターの消耗量は極わずかであり、特
に600時間以降ではインヒビターは全く消費していな
い。それに対して本発明を実施しない場合はインヒビタ
ーは500時間で既に約半分以下に減少し、さらに10
00時間以降においても減少し続けている。従って本発
明を実施した場合はインヒビターの補充回数が極端に削
減できることがわかる。本発明を実施することにより、
腐食,ガス発生量およびインヒビター消費量を非常に低
く抑さえることができ冷凍機の性能,信頼性および耐久
性を向上させることが可能となった。
【0088】[実施例6]本実施例においては、実施例
5のガス導入管4および加熱装置5を備えた空気送風機
の代わりに、ポンプ,減圧弁などの非耐熱機器を除いて
吸収式冷凍機を仮組上げた後の吸収液および冷媒を封入
する前の段階において、冷凍機全体を20℃,湿度60
%の水蒸気を含む空気中(水蒸気圧14.255mmHg
,水蒸気分圧0.01875)で400℃の電気炉内で
2時間加熱処理(P=4.76×103)を施した。本実施
例の処理を行った冷凍機の腐食量,ガス発生量およびイ
ンヒビター消費量は、実施例2の場合と同様に非常に低
く抑さえることができ冷凍機の性能,信頼性および耐久
性を向上させることが可能となった。この方法では冷凍
機全体を加熱するために、細部に渡って均一で密着性の
高い酸化皮膜を付けることができるという利点がある。
また、冷凍機全体を加熱するために、全ての接液部に防
食皮膜を生成することが可能であり、格段に防食性能を
高めることができる。
【0089】水蒸気を使用する場合は、電気炉に設置し
た冷凍機に図13に示した水蒸気発生装置を取り付ける
ことにより防食皮膜を生成させることができる。
【0090】[実施例7]図2,図3に示す波型プレー
ト熱交換器について酸化処理した。これは板厚0.5mm
の炭素鋼SS400を用い、波型にプレス加工した板を
複数枚重ねて周囲を溶接した構造となっている。
【0091】プレート熱交換器は、小型で大面積を有す
るために、熱効率が非常に良い反面、大面積であるため
に腐食によって発生するH2 が大量であるために、これ
が性能低下を引き起こす。また熱効率を良くするために
1枚のプレートの厚さは0.5mm以下と非常に薄いために
腐食を抑制することは非常に重要となる。
【0092】波型プレート型熱交換器は、複数の温度お
よび濃度が異なる吸収液が混在するという腐食には厳し
い条件であるにもかかわらず、伝熱特性上0.4〜0.5
mmという非常に薄い鋼板を使用している。腐食によって
孔が空くと伝熱性能が急激に低下するため、この部分の
防食が特に重要となる。
【0093】図18は、波型プレート熱交換器の作成方
法のフローチャートを示している。鋼板を所定の寸法に
切り出した後、プレスを用いて波型に成型する。脱脂工
程を経た後、所定の枚数を重ね合わせ周囲をそれぞれ溶
接によって接合し、熱交換器を成形する。成形した熱交
換器を実施例4と同じ空気中にて電気炉内に挿入し、電
気炉内に設けられたファンを回わして流動空気中にて一
定時間加熱する。酸化処理後、表面の色を観察し、青の
干渉色から灰色を含む黒色の範囲であれば次の工程に移
る。この工程においては、生成した皮膜が健全なもので
あるかどうか、すなわち良い耐食性を示す厚さが保持で
きているかどうかを判定している。生成する酸化皮膜が
薄過ぎる場合は、腐食反応に関与する物質の拡散抑制能
が低い。酸化皮膜の厚さを調べる方法として、オージエ
分光分析等の機器分析がある。しかし生産ラインにこれ
を使用することは難しいが、生成する酸化皮膜は薄いた
めに色によっておおよその厚さを判別することが可能で
ある。各温度および時間を任意に設定して空気および水
蒸気を用いて酸化処理を行い、表面の色とオージエ分光
分析による酸化皮膜厚さの関係を求めたところ、各々1
時間の加熱で、200℃でくすんだ金属面では30Å(オ
ングストローム),300℃(P=3.88×103)では
青の干渉色で300Å,400℃(P=4.56×1
3)では紫の干渉色で2000Å,500℃(P=5.
24×103)では灰色で6000Å,650℃(P=
6.26×103)では黒色で12000Å以上であっ
た。従って、表面の色がくすんだ金属面の場合にはまだ
酸化処理が不十分であるために、酸化処理温度または時
間の検討を行い更に酸化処理を継続する。この際酸化処
理温度を上昇させる等の処理が行われる。本実施例では
密閉型電気炉を用い、この電気炉中に波型プレート型熱
交換器の全体を入れて、ガスとして実施例5と同じ空気
を用い、表面に酸化皮膜を形成したものについて述べ
る。酸化温度および時間を150℃で1.0 時間(P=
2.87×103)(酸化処理時間は、最高温度での保持
時間を意味する、以後同様)とした場合、酸化処理後の
表面の色はくすんだ金属面の色を呈していたため、温度
を300℃にあげてさらに1.0 時間酸化処理を行っ
た。その結果、表面の色は、青の干渉色となった。
【0094】図19は酸化処理温度と酸化皮膜の厚さと
の関係を示す線図である。
【0095】次の工程においては、表面の酸化皮膜の剥
離の有無が検討される。酸化皮膜の厚さと耐食性との間
には相関性があるわけではない。酸化皮膜が厚すぎる場
合、皮膜成長時や前酸化処理後の冷却時の残留などによ
り皮膜自身ひび割れや界面剥離を生じやすくなり、防食
皮膜としての役割を果たさなくなる。例えば炭素鋼にお
いて温度を1000℃にした場合、表面には黒色の酸化
皮膜が生成したが、一部に酸化皮膜の剥離が見られ、そ
の部分には下地の金属色が確認された。この酸化皮膜で
は皮膜内に無数のクラックが生じているために、防食皮
膜としての役割を果たさなかった。しかし温度を600
℃に下げて酸化処理を施すと、酸化皮膜の剥離減少は見
られなかった。酸化皮膜の剥離を左右する原因の一つに
は、昇温速度の影響もあげられる。酸化処理後は炉冷で
ある。(1)に示すように酸化処理温度を300℃,昇
温速度を300℃/hとした場合、表面の色は青の干渉
色であり酸化皮膜の剥離も観察されなかった。しかし
(2)に示すように、酸化処理温度を500℃,昇温速
度を300℃/hとした場合、表面の酸化皮膜の色は灰
色であったが、表面の一部に酸化皮膜の剥離が見られ
た。そこで(3)に示すように昇温速度を250℃/h
にすると酸化皮膜の剥離は見られなくなった。酸化処理
温度が500℃を超える場合においても500℃の場合
と同様であった。従って、空気を使用した場合は、昇温
速度は酸化処理温度が300℃の場合は300℃/h程
度、500℃以上の場合は250℃/h程度が適してい
る。水蒸気を使用した場合は、酸化処理温度が500℃
以上の場合で昇温速度が300℃/hにおいても皮膜の
剥離は見られなかった。酸化皮膜の剥離が見られなかっ
た場合は吸収式冷凍機の組み立て工程に送られる。酸化
処理後、本実施例は炉冷の場合を示したが、空冷の場合
でも同様の結果を得ることができた。
【0096】プレート熱交換器は、プレートを2枚一組
として周囲をプラズマ溶接し、それを複数組重ね合せて
(一例として10組)、Box におさめた構造となってい
る。この構造に対して、所定の温度で1時間,大気酸化
処理を施した。
【0097】図20〜図22は、SPCE鋼を用いて実
際の製造プロセスで作製し、300〜450℃の各温度
で1時間、大気酸化処理したプレート熱交換器から切り
出し、その腐食量の時間変化を示す。腐食試験液は、実
施例1のSPCE溶接部の腐食評価の場合と同様であ
る。各ナンバーは、図3に示すプレートナンバーから切
り出した試験片のデータであることを示している。30
0℃においては、腐食量は広い範囲でばらついている。
No.8−1に関しては、実際に500時間以降で急増し
たわけではなく、酸化処理の効果はほとんどなく、酸化
処理を施していない試料の場合とほぼ同じ腐食量であ
る。大気酸化処理温度が350℃では、腐食量のばらつ
きにはなくなり、その量も大気酸化処理を施さない場合
と比較して1/10以下になる。400及び450℃に
おいても350℃の場合と同様である。またSS400
の場合と同様に大気酸化処理温度が高いほど腐食量が多
くなる傾向がある。特に、図21,図22に示すように
本発明の処理材は腐食量が1000時間においても20mg/
dm2 以下の優れたものである。また、その腐食量が1
0mg/dm2 以下のものも得られる。
【0098】[実施例8]図5に示す高温再生器につい
て酸化処理した。吸収器で希釈された吸収液は、高温再
生器に送られ、そこでバーナー(直だきの場合)で加熱
・濃縮される。加熱・濃縮された吸収液は高温熱交換器
へ送られる。一方高温再生器で発生した冷媒蒸気はミス
ト分離器を通って、凝縮器へ送られる。
【0099】高温再生器では、吸収液であるLiBrが
65%,160℃と高濃度,高温となるためにここの腐
食は著しく防食が不可欠である。本実施例においても実
施例7と同様に密閉電気炉内に高温再生器全体を入れて
同様に酸化処理したものである。
【0100】このように処理した構成要素を組み立てた
吸収式冷凍機における水素発生量およびインヒビター消
費量は、組み立て後に酸化処理を施した場合の図16,
図17の結果と同様の結果を得ることができ、冷凍機の
耐食性および信頼性を確保することができた。酸化処理
に当ってはバーナーは取りはずして行った。容器及び熱
交換部のパイプ及びそのパイプをつなぐ管板はいずれも
炭素鋼である。本実施例での膜厚は紫色の濃い3000
〜4000Åの厚さが良い。
【0101】ここで示した検査方法は、それぞれの構成
要素を組み立てた後にその全体を電気炉に挿入するため
に検査は外表面を検査することができる。実施例5に示
した場合も、冷凍機全体を電気炉内に挿入するために、
検査は冷凍機の外表面の観察で実施することができる。
それに対し、実施例5の場合は冷凍機内部に高温のガス
を導入するために、検査は冷凍機内部を観察するのが望
ましく、そのためにファイバースコープ等を使用して検
査しても良い。また、高温ガスを導入するために冷凍機
外表面も加熱されるため、外表面は接している空気によ
って酸化されるために、その外表面の観察を内部の観察
に代用することも可能である。
【0102】また、前述のパイプには銅のリング状のフ
ィンが多数設けられ、その表面にも酸化皮膜が形成され
ている。
【0103】[実施例9]冷凍機構成材としてのSS4
00炭素鋼を100,200,300,400,600
または800℃の温度領域において実施例5と同じ空気
環境下においてそれぞれ1時間酸化処理を実施した。酸
化処理後の表面の色は、200℃でくすんだ金属色、3
00℃で青色の干渉色、400℃で青紫の干渉色、60
0℃で青みがかった黒色、800℃で黒色であった。こ
れらの方法で酸化処理を施した炭素鋼材を、吸収式冷凍
機の一番過酷な条件である160℃のLiBr50〜7
0wt%水溶液中に1000時間浸漬した。インヒビタ
ーとしてLiOH0.05〜1.0wt%,Li2MoO4
10〜150ppm(MoO4 2~として)、LiNO35〜
350ppm (NO3~として)を共存させている。表面に
存在する酸化皮膜を除去し見かけの腐食量を求め、それ
から酸化処理によって浸漬前に生成している酸化皮膜量
を差し引いて、真の腐食量を求めた。
【0104】図23は腐食量と時間との関係を示す線図
である。酸化処理を施していない場合も合わせて示し
た。酸化処理温度が100℃の場合の腐食量はほとんど
無処理の場合と変わらないが、酸化処理温度が200℃
になると腐食量は約半分に低減できる。さらに酸化処理
温度が300℃以上になると、腐食量は約1/10以下
に低減でき、しかも600時間以降で腐食はほとんど進
行しなくなる。図3に示した実施例は、雰囲気コントロ
ールをしていない、すなわち任意の露点のその場の湿度
分の水蒸気圧を有する空気(28℃で湿度65%)を使
用したものである。酸化処理後(腐食試験前)における
酸化皮膜のX線回折を用いて性状を調べたところ、無処
理および100℃では酸化物を検出することはできなか
った。200℃以上では、マグネタイトおよびヘマタイト
が検出された。XPSの測定から表面には3価の鉄が検
出されたことから、皮膜の構造は内層がマグネタイト,
内層がマグネタイトから成る複合酸化皮膜である。また
同様にXPSによって炭素鋼表面には、水分子または水
酸基の存在が確認された。それに対し、乾燥空気(酸素
濃度10ppm 以下)で酸化処理したものには、水分子ま
たは水酸基の存在は確認されなかった。
【0105】尚、図23では400℃以上で酸化処理し
たものは高い耐食性を示しているが、構造物では600
℃以上のものは酸化皮膜の剥離が見られ、腐食量が多く
なること、また、300℃では線図のものより若干腐食
量が多くなるものも見られた。
【0106】[実施例10]炭素鋼(SS400)及び
ステンレス鋼(SUS304)に関する結果を表2に示した。
腐食条件は、前述と同じである。炭素鋼に関して、酸化
雰囲気を実施例5と同じ空気を用い、酸化温度が300
℃、昇温速度が300℃/h、酸化時間が0時間(30
0℃になった時点で冷却を開始)の場合、腐食量は20
0℃,1時間の場合と同様に約半分に減少する。酸化時
間を1時間にすると前述したように腐食量は約1/10
以下に低減することができる。酸化時間が4時間でも温
度を400℃以上にした場合、酸化時間が0時間でも3
00℃,0時間の場合と異なり腐食量は、300℃,1
時間の場合と同様に約1/10以下に低減することがで
きる。これは300℃以上にさらされている時間が1時
間以上になっているためである。前述したように、80
0℃においても同様の良い耐食性を示した。しかしFe
−Fe3C 系状態線図によれば、723℃で変態を起こ
す。従って、薄板を酸化処理する場合は、300〜50
0℃,1〜4h程度が最も適しているといえる。しかし
隙間等を有する複雑な冷凍機構成要素に関しては、部分
によってはすぐに空気中の酸素を枯渇してしまう部分も
ある。このような構成要素に関しては、空気中の酸素の
拡散を早めるために比較的高い500〜800℃程度で
酸化するのが望ましい。厚板であれば、変態による変形
も少なく加工する上で、問題とはならない。
【0107】
【表2】
【0108】500℃以上での炭素鋼に対する酸化処理
は小さな試料に対しては雰囲気,加熱速度,冷却速度等
の制御が容易で、均一な酸化皮膜が形成できるが、大型
又は複雑な形状を有する熱交換器,高温再生器等の実際
の製品においては酸化皮膜の剥離等が生じる均一な皮膜
が形成されないので、300〜500℃未満、好ましく
は380〜470℃、より400〜450℃が好まし
い。
【0109】前述の任意の露点のその場の湿度分の水蒸
気圧を有する空気(28℃で湿度65%)を使用して酸
化処理することができる。従って、露点をコントロール
する場合には装置および作業が非常に複雑になりデメリ
ットがあるが、大気中で酸化処理する場合は装置および
作業工程が非常に単純になるため、後者の方が酸化処理
法として優れている。
【0110】雰囲気を水蒸気にした場合は、500℃付
近で腐食量が一番小さくなるため、薄板の場合400〜
600℃で酸化処理するのが望ましい。水蒸気を使用し
た場合は、表面の水濡れ性が酸化処理をしていない金属
面や空気酸化した面と比較して非常に優れており、これ
を吸収器に適用することによって冷凍効率を格段に向上
させることができた。このために吸収器等水濡れ性が問
題となる部署においては水蒸気酸化が、その他の部署に
おいては空気酸化が適している。水蒸気酸化させた試験
片表面には、X線光電子分光分析(XPS)により任意
の露点の空気での酸化処理の場合と同様水酸基または水
分子の存在が確認された。
【0111】ステンレス鋼に関しても腐食量は、炭素鋼
とほぼ同様の結果が得られている。しかし腐食量は、全
体的に炭素鋼の1/3〜1/4となっている。これらの
実験は、オーステナイ系ステンレスであるSUS304に関し
て実施したものであるが、フェライト系ステンレス鋼や
低合金鋼に関しても同様の結果が得られた。しかしステ
ンレス鋼は、特にオーステナイト系において、長時間、
500〜900℃の温度領域にさらされると鋭敏化を生
じる。1時間という短時間では鋭敏化の度合いは小さい
が、応力がかかるような部材に関しては300〜500
℃の温度領域が最も適しているといえる。
【0112】[実施例11]図24〜図29は吸収式冷
凍機の構成を示す図である。図25は図24の左側及び
図26は図24の右側側面図である。図27は全体斜視
図であり、図28は図27に接続される冷却水系と冷水
系統の装置システム図及び図29は同じく図27に接続
される蒸気系の装置システム図である。
【0113】本実施例に示す吸収式冷凍機は図1に示す
装置構成を有している。本実施例においては、熱交換器
2は図15及び図16に示す波型プレート熱交換器によ
って構成されるとともに、高温再生器1は図22によっ
て構成されている。これらはいずれも装置全体に組込む
前に各々実施例9及び実施例10と同様に酸化処理を行
った。いずれも主な構成材料はSS400の炭素鋼から
なり、酸化処理条件として温度25℃,湿度60%の大
気にて450℃,1h保持,300℃/hの昇温速度で
行った結果、約0.4μm の厚さの酸化皮膜を形成し
た。酸化皮膜の色は濃い色の紫色の干渉色であった。ま
た、図28の冷却水系統と冷水系統及び図29の蒸気系
に接続される配管は同じく炭素鋼管からなり、その表面
に厚さ1〜5μmの黒色の酸化皮膜を形成したものを用
いた。酸化処理は予め酸化処理したものを購入又は同じ
大気を用い、650℃×1h保持,300℃/hの昇温
速度で酸化処理することにより得られる。
【0114】本実施例の装置を用い、重量で臭化リチウ
ム65%,水酸化リチウム0.15%を含む市販の吸収
液(LiBr溶液)にLiNO3 をNO3~として350
ppm添加した吸収液として封入し、全負荷で100時間
運転し、次いで該吸収液にLi2MoO4をMoO4 2~ と
して75ppm 添加し、複合インヒビターとした場合につ
いて全負荷で100時間運転したが、機内で発生するH
2 ガス量は非常に少ないものであった。
【0115】
【発明の効果】本発明によって、加熱時間および温度を
管理することによって吸収式冷凍機構成材料の表面に耐
食性のよい色調を有する防食皮膜を生成でき、製品の信
頼性を向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す吸収式冷凍機のシステ
ム構成図。
【図2】熱交換器の斜視図。
【図3】図2の内部を示す断面図。
【図4】本発明の一実施例による吸収式冷凍機に使用さ
れる熱交換機の作成方法のフローチャート図。
【図5】高温再生器の断面図。
【図6】本発明に関する熱交換器内に高温空気を封入し
て酸化処理を施す方法の概念図。
【図7】腐食量と大気中酸化との関係を示す線図。
【図8】腐食量と酸化膜の厚さとの関係を示す線図。
【図9】腐食量と腐食時間との関係を示す線図。
【図10】腐食量とLiMoO4 量との関係を示す線
図。
【図11】腐食量とLiOH量との関係を示す線図。
【図12】X線回折結果を示す線図。
【図13】X線回折結果を示す線図。
【図14】X線回折結果を示す線図。
【図15】酸化皮膜のFe及びOのプロファイル図。
【図16】本発明および従来法による吸収式冷凍機内に
発生する水素発生量を比較する図。
【図17】本発明および従来法による吸収式冷凍機内の
インヒビターの残存量を比較する図。
【図18】本発明の一実施例になる吸収式冷凍機に使用
される熱交換機の作成方法のフローシート。
【図19】酸化皮膜の厚さと酸化温度との関係を示す
図。
【図20】腐食量と時間との関係を示す図。
【図21】腐食量と時間との関係を示す図。
【図22】腐食量と時間との関係を示す図。
【図23】本発明および従来法による腐食量の時間経過
を比較する図。
【図24】吸収式冷凍機の構成図。
【図25】図24の左側側面図。
【図26】図24の右側側面図。
【図27】吸収式冷凍機全体構成を示す斜視図。
【図28】冷却水系統及び冷水系統を示す装置のシステ
ム図。
【図29】蒸気系を示す装置のシステム図。
【符号の説明】
1…高温再生器、2…熱交換器、3…吸収器、4…ガス
導入管、5…加熱装置、6…ガス送風機、7a,7b…
バルブ、8…低温再生器、9…凝縮器、10…冷水ある
いは温水、11…膨張タンク、12…蒸発器、13…溶
液ポンプ、14…冷媒ポンプ、15…ドレンクーラー、
16…操作盤、17…主回路盤、18…ファン、19…
冷却塔。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液と
    する吸収式冷凍機用熱交換機の製造方法において、厚さ
    が2mm以下の構造材を使用する熱交換器の組み立て工程
    の後、空気中で加熱温度200〜500℃の範囲、およ
    び加熱時間1〜4時間の範囲で加熱処理する工程を行う
    ことを特徴とする吸収式冷凍機の製造方法。
  2. 【請求項2】水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液と
    する吸収式冷凍機用高温再生器の製造方法において、厚
    さが2mm以上の構造材を使用する高温再生器の組み立て
    工程の後、空気中で加熱温度200〜800℃の範囲、
    および加熱時間0.1〜4 時間の範囲で加熱処理する工
    程を行うことを特徴とする吸収式冷凍機の製造方法。
  3. 【請求項3】水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液と
    する吸収式冷凍機の製造方法において、ポンプ・減圧弁
    などの非耐熱機器を除いて吸収式冷凍機を仮組み立てす
    る工程の後、空気中で加熱温度200〜800℃の範
    囲、および加熱時間0.1〜4時間の範囲で加熱処理す
    る工程を行うことを特徴とする吸収式冷凍機の製造方
    法。
  4. 【請求項4】水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液と
    する吸収式冷凍機の製造方法において、ポンプ・減圧弁
    などの非耐熱機器を除く吸収式冷凍機のそれぞれの構成
    要素を、空気中で加熱温度200〜800℃の範囲、お
    よび加熱時間0.1〜4 時間の範囲で加熱処理する工程
    を行った後組み立てることを特徴とする吸収式冷凍機の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002277090A (ja) * 2001-03-22 2002-09-25 Tokyo Gas Co Ltd 吸収式冷凍機のプレート式熱交換器
WO2004087830A1 (ja) * 2003-03-28 2004-10-14 Hachinohe Institute Of Technology 吸収冷凍機用作動媒体、吸収冷凍機および冷熱熱媒体製造方法

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