JPH1028590A - アルコールデヒドロゲナーゼ及びキラルヒドロキシ化合物の酵素的生産へのその使用 - Google Patents

アルコールデヒドロゲナーゼ及びキラルヒドロキシ化合物の酵素的生産へのその使用

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JPH1028590A
JPH1028590A JP9087644A JP8764497A JPH1028590A JP H1028590 A JPH1028590 A JP H1028590A JP 9087644 A JP9087644 A JP 9087644A JP 8764497 A JP8764497 A JP 8764497A JP H1028590 A JPH1028590 A JP H1028590A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 活性最大が約50℃にあるアルコールデヒ
ドロゲナーゼ活性を有する安定な微生物酵素、その単離
方法、及び有機ケト化合物/ヒドロキシ化合物の鏡像異
性体選択的還元/酸化へのそれらの使用。 【効果】 この鏡像異性体選択的還元/酸化では、出発
化合物のタイプに応じてR−又はS−ヒドロキシ化合物
が得られる。特には、ラクトバチルス・ブレビスから得
ることが可能なアルコールデヒドロゲナーゼが適切であ
ることが立証されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばラクトバチ
ルス属の種のような微生物、特にはラクトバチルス・ブ
レビス(Lactobacillus brevis)に由来する新規の鏡像
異性選択アルコールデヒドロゲナーゼ類(ADH)に関
する。この新規酵素は、有機ケト化合物を還元して対応
するヒドロキシ化合物を生成するのに特に利点があり、
これらの還元は対応するR化合物を鏡像異性的に選択す
る。このプロセスにおける、ee(%)=(R)−生成
物−(S)−生成物/(R)−生成物+(S)−生成物
×100として算出される鏡像異性体過剰は通常95%を超
える。本発明によるADHを用いた場合、Sヒドロキシ
化合物は検出されなかった。その広範な基質スペクトル
により、本発明による酵素は、例えばキラルアルコール
類、キラルヒドロキシエステル類(例えば、α−及びβ
−ヒドロキシエステル類)及びヒドロキシ酸を生産する
ためにも用いることができる。
【0002】
【従来の技術】光学的に活性なヒドロキシ化合物は、古
典的な化学プロセスでは調製が困難な、価値の高いキラ
ル構築ブロックである。このため、通常、生物工学的プ
ロセスが微生物の全細胞を用いるか、もしくは単離酵素
によるキラル化合物の生産のために考慮される。例え
ば、F.Aragozziniらの刊行物(Appl.Microbiol.Biotech
nol.(1986)24, 175-177)に示されるように、全細胞
を用いるプロセスはしばしば低収率、僅かな鏡像異性体
過剰(すなわち、低ee値)及び長い反応期間という結
果に終わり、そのため精製され濃縮された形態で用いる
ことができる酵素がより有利である。アルコール類のよ
うなキラルヒドロキシ化合物の場合、補酵素(しばしば
NADH又はNADPH)の助けを借りてプロキラル化
合物を還元するアルコールデヒドロゲナーゼ類を用いる
ことができる。概して、これらの反応は高度に鏡像異性
体選択的である。従来利用可能なアルコールデヒドロゲ
ナーゼ類(ADH)は全てS−アルコール類を導き、こ
れらの酵素の幾つかについての基質スペクトルは比較的
狭い(酵母ADH、ウマ肝臓ADH)。ラクトバチルス
・ケフィール(Lactobacillus kefir)に由来するNA
DP依存性アルコールデヒドロゲナーゼがDE 40 14 573
C1に記述されている。これはR−アルコール類を導
く。しかしながら、この酵素は比較的不安定であること
が判明しており、それ故均質な酵素を形成させるための
精製は実質的な損失を伴ってのみ可能である(>98
%)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するた
めの手段】驚くべきことに、かなり高い安定性を有する
R−特異的アルコールデヒドロゲナーゼが徹底的なスク
リーニングにより見出された。最も類似する従来既知の
ADH酵素と比較してこの酵素の熱非活性化を決定する
場合、本発明の酵素が約65℃の温度で50%が不活性化す
るだけであるのに対して、従来既知の酵素は45℃で既に
50%が不活性化することが判明する。加えて、より高い
熱安定性は、より高い貯蔵安定性及び特定の反応条件下
でのより高い安定性を意味する。
【0004】相当する安定性を有するR−ADH酵素
が、特に、ラクトバチルス・ブレビスのようなラクトバ
チルス属及びベータバクテリウム亜群(A群)に見出さ
れた。従来、安定なR−特異的アルコールデヒドロゲナ
ーゼを有する微生物又は生物は知られていなかった。
L.ケフィールADHタンパク質に対する抗体の助けを
借りて、今や、ベータバクテリウム亜群(A群)の全て
のラクトバチルスがこの抗体と反応する対応蛋白質を有
することが示されている。対照的に、特にラクトバチル
ス・ブレビスでは、特に良好な酵素活性を検出すること
が可能である。しかしながら、この群のその他の株も、
たとえそれらが与えられた培養および試験条件下におい
て幾らか低い活性を示すとしても、そのような反応に原
理的に適切な酵素を有する。これとは対照的に、他の亜
群(サーモバクテリウム、IA、ストレプトバクテリウ
ム IB、ベータバクテリウムB群)のラクトバチルス
は、抗体試験での反応も示さず、適切な酵素活性も持た
ない。
【0005】ラクトバチルス・ブレビスから得ることが
できる安定な酵素を均一に精製することは可能であっ
た。精製した酵素を用いて、タンパク質配列の対応デー
タを決定した。そのN−末端アミノ酸の配列の比較は、
本発明による安定な酵素と他の微生物起源のADH類と
の間には多くの一致があるものの、幾つかのアミノ酸が
交換されていることを示している。
【0006】実施された以下の生化学的な特徴付けが、
対応する従来既知の酵素と比較しての本発明による酵素
の相違、例えばケトン類に対する相対活性に関する相
違、をさらに示す。本発明によるADHの最大安定性
は、例えば、約9.0のpH値にある。加えて、この酵素
はおおよそpH5.5で良好な安定性を有する。これは、
例えば、50 mM MESバッファ(MES=2−モルホリ
ノエタンスルホン酸)において当てはまる。同じバッフ
ァ系において、本発明による酵素は、25℃ないし60℃の
温度でおおよそ30分の後でも95%を超える残留活性を有
する。この酵素は約40℃に最大安定性を有する。加え
て、この酵素は約50℃に活性最大を有する。
【0007】さらに、本発明による酵素は、アミノ酸の
レベルで従来既知のADH酵素とは異なる。例えば、そ
のN末端には全長38アミノ酸(AA)にわたって5つの
アミノ酸置換があり、これは12%を上回るAA相違を意
味する。このように、全ての比較が、本発明のよるアル
コールデヒドロゲナーゼ、特にはラクトバチルス・ブレ
ビスに由来するもの、を対応する用途に用いることが有
利であることを示す。
【0008】本発明のさらなる主題は、本発明による酵
素の適切な微生物からの単離に関する。1972年6月6日に
DSM 20054という番号で“Deutsche Sammlung von Mikro
organismen und Zellkulturen”、Braunschweigに寄託
され、自由に利用することができるラクトバチルス・ブ
レビスの株を用いて、良好な酵素収率が達成された。こ
のADHの単離及び精製のためのプロセスは、本質的
に、次の処理工程により進められる:培養した細胞を、
例えばガラスビーズにより機械的に破壊し、疎水性クロ
マトグラフィーもしくは相互作用クロマトグラフィー、
続いて陰イオン交換クロマトグラフィー及びアフィニテ
ィクロマトグラフィーを行う。特に、全ての均質化及び
溶離バッファが約0.5ないし5mMのマグネシウムを含有す
る場合が有利であることが立証されている。これに関し
て、約1mMのMg2+濃度が特に有利であることが立証さ
れている。このようにして、少なくとも400U/mg、多く
の場合500U/mgまでの比活性を有する酵素が得られる。
【0009】加えて、本発明による酵素は組換えプロセ
ス、すなわち、適切な原核又は真核株におけるこの酵素
をコードする適切なDNAの発現により生産することが
できる。特には、大腸菌におけるラクトバチルス・ブレ
ビスに由来するADH構造遺伝子に基づく系が適切であ
る。これに関しては、驚くべきことに、このアルコール
デヒドロゲナーゼが可溶性かつ活性なタンパク質として
排他的に発現することが特に有利であることが立証され
ている。
【0010】本発明のさらなる主題は、1,4−ブタン
ジオール−ジグリセリジルエーテルまたは下記の一般式
(I)の有機ケト化合物の鏡像異性体選択的還元方法で
あって、この方法は該化合物又は適切な混合物を本発明
の微生物アルコールデヒドロゲナーゼで処理することを
特徴とする。1,4−ブタンジオール−ジグリセリジル
エーテル、下記の一般式(I)の有機ケト化合物または
前記化合物の適切な混合物は、約20℃〜60℃で約1
5分〜3時間、本発明の微生物アルコールデヒドロゲナ
ーゼ又は該酵素を含有する細胞の存在下においてインキ
ュベートし、適切なR−ヒドロキシ化合物を単離するこ
とができる。
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1およびR2は、異なっているか
または同じであり、水素、ヒドロキシ、一緒になってあ
るいは個別に、直鎖もしくは分岐C1-20アルキル、直鎖
もしくは分岐C1-20アルケニル、直鎖もしくは分岐C
1-20アルコキシカルボニルまたは直鎖もしくは分岐C
1-20アルコキシ、アリールまたはアラルキル基(これら
は一つまたは数個のハロゲン原子、ニトロ、ヒドロキ
シ、カルボキシル、オキソ、C1-20アルコキシ、C1-20
アルキル、C1-20アシル、C1-20アルコキシカルボニル
またはアリール−C1-20アルコキシカルボニル基で置換
されてもよい)、直鎖または分岐C1-10アルキレン基
(これは一つまたは数個の飽和、不飽和もしくは芳香族
含窒素、含酸素もしくは含硫黄複素環、アルコキシカル
ボニルまたはアルキル基(これらはアルコキシカルボニ
ル基で置換されてもよい)で置換されてもよい)、また
は単縮合もくしは重縮合脂環式もしくは芳香族基であ
る。) この場合、本発明による酵素は、そのまま、また、この
酵素を産生する微生物の培養物あるいはこの酵素を含有
する細胞として用いることができる。この反応は、好ま
しくは、水性バッファ、例えばリン酸カリウム、トリス
/HClもしくはトリエタノールアミン(TEA)バッ
ファ中で、マグネシウムイオンの存在下において、5な
いし10、好ましくは6ないし9のpH値、及び10℃ないし
70℃、好ましくは30℃ないし60℃の温度で行う。加え
て、NAD(P)Hのような適切な補酵素、及び酸化さ
れた補酵素を再生するための適切な作用物質、例えばイ
ソプロパノール、が反応混合物中に存在する。適当な変
換、例えば、好ましくは50%の変換が達成されたとき、
例えばクロロホルム中で直接抽出を行うことにより反応
を停止させることが好ましい。しかしながら、pH値の
低下、加熱、又は適切な酵素阻害剤の添加により反応を
停止させることもできる。続いて、得られた鏡像異性的
に純粋なR−ヒドロキシ化合物を水と混和しない有機溶
媒で抽出し、クロマトグラフィー又は蒸留の既知のプロ
セスにより未変換ケト化合物又は他の出発化合物から分
離する。鏡像異性体の純度は、キラルカラム材料でのG
C及び/またはHPLCあるいは旋光計で決定するのが
便利である。特に、本発明による方法は、ケトン類、
α、βもしくはγケトンエステル類のようなケトエステ
ル類並びに環状アリール及びアルキルエステル類、好ま
しくは、例えばハロゲンもしくはアルキルで置換されて
いる残基を有するものの還元に適することが立証されて
いる。アセトフェノン誘導体類、メチルシクロヘキサノ
ン類、2,4−ペンタンジオンのような特定のジケトン
類、様々な酢酸エステル類及びピルビン酸エチルのよう
なアルキルエステル類の場合に、特に良好な結果が達成
された。
【0013】本発明のさらなる主題は、下記の一般式
(II)の有機ヒドロキシ化合物の鏡像異性体選択的製
造方法であって、この方法は有機ヒドロキシ化合物のラ
セミ混合物または該有機ヒドロキシ化合物を本発明の微
生物アルコールデヒドロゲナーゼ又は該ADHを含有す
る細胞で処理することを特徴とする。下記の一般式(I
I)の有機ヒドロキシ化合物のラセミ混合物または該有
機ヒドロキシ化合物を本発明の微生物アルコールデヒド
ロゲナーゼ又は該ADHを含有する細胞で、水性バッフ
ァ中で、約5〜10のpH値、好ましくは約6〜9のp
H値で、約10℃〜70℃で、好ましくは約30℃〜6
0℃、より好ましくは約20〜60℃の温度で約15分
〜3時間インキュベートし、次いで得られた鏡像異性体
選択的に純粋なS−ヒドロキシ化合物を単離することが
できる。
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R1およびR2は各々前記の意味を
有する。) あるいは、上述の条件又はそのような反応について当業
者に公知の条件が適用される。本発明のよるADHは、
完全にもしくは部分的に精製して、又は細胞中に存在す
るままで、記述される反応に用いることができる。これ
に関しては、細胞は未変性の形態、透過性が付与された
形態、又は溶解された形態で存在することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下の実施例において、本発明を
より詳細に説明する。
【0017】
【実施例】実施例1 ラクトバチルス属の菌株間でのR−アルコールデヒドロ
ゲナーゼのスクリーニング ラクトバチルス属を、生理学的特徴に基づいてサーモバ
クテリウム(Thermobacterium) 、ストレプトバクテリウ
ム(Streptobacterium)及びベータバクテリウム(Betabac
terium) の3つの亜群に分類学的に分割し、ベータバク
テリウムは2つの亜群A及びBにさらに分割する。全て
の亜群の典型株を、ラクトバチルス・ケフィールに由来
するアルコールデヒドロゲナーゼに対する抗体で試験
し、それらがこの抗体に反応するかどうを決定した。驚
くべきことに、他の全ての株が不活性であったのに対し
て、ベータバクテリウムの亜群Aの試験した株の全てが
反応性を示した。次に、ベータバクテリウムの亜群Aの
株の粗製抽出物を酵素試験において試験し、どの程度の
酵素活性が存在するのかも決定した。それらの結果を表
1にまとめる。これは、提示されている培養及び試験条
件下では、この亜群の幾つかの株が、抗体試験が陽性で
あったにもかかわらず、酵素活性を全く示さないか、あ
るいは僅かしか示さないことを示している。しかしなが
ら、ラクトバチルス・ブレビスのサンプルにおけるAD
Hの酵素活性が特に高いことが注目された。
【0018】 表1 ラクトバチルス属の株におけるR−アルコールデヒドロゲナーゼの存在 ──────────────────────────────────── 株 抗体試験に 酵素活性 おける反応性 (アセトフェノン還元) [U/ml] ──────────────────────────────────── サーモバクテリウム L.アシドフィルス (L. acidophilus) 0 0 L.ヘルベチカス (L. helveticus) 0 0 L.ブルガリカス (L. bulgaricus) 0 0 L.デルブリュッキイ (L. delbrueckii) 0 0 L.サリバリウス (L. salivarius) 0 0 ストレプトバクテリウム L.カゼイ (L. casei) 0 0 L.プランタラム (L. plantarum) 0 0 L.アリメンタリウス (L. alimentarius) 0 0 L.カルバタス (L. curvatus) 0 0 L.コリネフォルミス (L. coryneformis) 0 0 L.ファルシミニス (L. farciminis) 0 0 ベータバクテリウムA群 L.ケフィール (L. kefir) + 87.0 L.ブレビス (L. brevis) + 93.0 L.セロビオサス (L. cellobiosus) + 0.9 L.フェルメンタム (L. fermentum) + 0.2 L.ビリデセンス (L. viridescens) + 0.2 L.コンファサス (L. confusus) + 0.3 L.ビュークネリ (L. buchneri) 0 0.8 ベータバクテリウムB群 L.ヒルガルディイ (L. hilgardii) 0 0 L.フラクチボランス (L. fructivorans) 0 0 ───────────────────────────────────実施例2 ラクトバチルス・ブレビスからのアルコールデヒドロゲ
ナーゼの単離及び精製 A.ラクトバチルス・ブレビスの培養 酵素を得るために、ラクトバチルス・ブレビスを次の培
地において培養した(量g/L):グルコース(20)、酵
母抽出物(5)、トリプトン(10)、肉抽出物(5)、ク
エン酸水素二アンモニウム(2)、酢酸ナトリウム
(5)、硫酸マグネシウム(0.1)、硫酸マンガン(0.0
5)、リン酸水素二カリウム(2)。
【0019】この溶液を1Lまで満たしてpH値を6.5に
調整し、続いてこの培地を121℃(2バール)で10分間滅
菌した。さらに酸素を供給したり、pHを調節すること
なく、30℃で株を培養した。滅菌及び30℃での保温の
後、発酵器中で、10Lのスケールのこの培地に4%予備培
養物(OD6600.35)を接種した。特定の時点でサンプ
ルを採取し、次いでその細胞を破壊した後にOD660
新鮮重量(fresh weight)及び酵素活性を試験することに
より、細胞増殖の時間経過及び酵素活性をこの調製物に
対する例として決定した。そのような時間経過から、
L.ブレビスに由来するアルコールデヒドロゲナーゼの
活性は、僅か1.5時間だけ維持される増殖の定常期に到
達した後にその最大活性値を示すことがわかった。この
微生物を同じ条件下で220Lのスケールで培養し、pH値
5.3及びOD6602.2で13時間後に、遠心により700gの細
胞塊を得た。この細胞塊は、測定し得る活性の損失もな
く、-20℃で数ヶ月間にわたって保存することが可能で
ある。
【0020】B.酵素の単離(粗製抽出物の生産) ガラスビーズ(0.3mm)の助けを借りて湿式破砕によ
り、細胞から酵素を放出させる。しかしながら、これは
細菌細胞を破壊する他のいかなる方法によっても達成す
ることができる。この細菌塊を、消泡剤(ポリプロピレ
ングリコール)が補足されている0.1M酢酸バッファpH
4.0+1mM MgCl2で40%懸濁液に希釈する。これを、
継続的に冷却しながら、破壊装置(IMA Co.)内におい
て、4000rpmで、ガラスビーズを1:2の比で添加して、2
0分間破壊した。8gの細菌が、40U/mlの容量活性及び約3
mg/mlのタンパク質含量を有する10mlの粗製抽出物を産
生した。酵素試験には、970 μl のトリエタノールアミ
ンバッファ(100mM;pH7.0;11mMアセトフェノンを含
有)、20μl NADPH(最終濃度0.19mM)及び酵素溶
液が含まれる。 酵素単位の定義:1Uは、1分当たりに1マイクロモルの基
質(アセトフェノン)を変換するのに要する酵素の量に
相当する。
【0021】C.ラクトバチルス・ブレビスからのアル
コールデヒドロゲナーゼの精製 この酵素は、疎水性相互作用クロマトグラフィー、次い
で陰イオン交換クロマトグラフィー及びアフィニティク
ロマトグラフィーにより、均一に精製することができ
る。この場合、約1mMのMg2+イオンを全てのバッファ
に添加するよう助言することができる。これらのイオン
がないと、酵素に不可逆的な損傷を与えることがある。
【0022】1.疎水性相互作用クロマトグラフィー 5mlの粗製抽出物(実施例2Bに対応)を、小ゲル濾過
カラム(PD10、Pharmacia)により1mM MgCl2及び0.
6M (NH42SO4を含有する50mMトリエタノールア
ミンバッファpH7.0中に再緩衝し、フェニル−セファ
ロースCL-6B(Pharmacia Co.、Freiburg、Germany)に
かける。このカラムを、50mMトリエタノールアミンバッ
ファpH7.0、1mM MgCl2及び0.6M (NH42SO
4で平衡化する。カラムにかけてカラムを平衡化バッフ
ァですすいだ後、酵素を減少する直線塩勾配(6Mから0M
の(NH42SO4、流速1ml/分)を用いて0.36M (N
42SO4で溶離する。活性画分をプールし、1.2M
(NH42SO4の濃度に調整する。このタンパク溶液
を、50mMトリエタノールアミンバッファpH7.0、1mM
MgCl2及び1.2M (NH42SO4で既に平衡化され
ているオクチル−セファロースカラムにかける。タンパ
ク溶液をカラムにかけ、続いてカラムをすすいだ後、酵
素を減少する直線塩勾配(1.2Mから0Mの(NH42SO
4、流速1ml/分)を用いて1.0M (NH42SO4で溶
離する。達成された精製を表2に示す。
【0023】2.陰イオン交換クロマトグラフィー 上で用いた最後のカラムからの最も活性の高い画分を、
ゲル濾過カラム(PD10、Pharmacia)により1mM MgC
2を含有する50mMトリス/HClバッファpH9.0に再
緩衝し、この方法で既に平衡化されているモノQカラム
(流速1ml/分;圧力1.5MPA;FPLCクロマトグラフ
ィーシステム;Pharmacia Co. Freiburg、Germany)に
かける。このカラムをすすいだ後、アルコールデヒドロ
ゲナーゼを0Mから6MのNaClの直線塩勾配で溶離させ
る。この酵素は、0.36M NaClで現れる。
【0024】3.アフィニティクロマトグラフィー 活性画分を、50mMモルホリノエタンスルホン酸バッファ
pH5.5及び1mM MgCl2で既に平衡化されているゲル
濾過カラム(PD10、Pharmacia Co.)により再緩衝し、
この方法で既に平衡化されている2’,5’AMP−セ
ファロースカラム(Pharmacia Co.)にかける。続い
て、同じバッファに溶解した100mM NaClでこれをす
すぐ。次に、0から10mMのNADPの直線NADP勾配
でこれを溶離する。デヒドロゲナーゼは3.33mM NA
DPで溶離する。このクロマトグラフィーは0.25ml/
分の流速で行った。酵素の完全な精製を表2にまとめ
る。
【0025】 表2 ラクトバチルス・ブレビスからのアルコールデヒドロゲナーゼの精製 ─────────────────────────────────── 精製工程 活性[U/mg] 比活性[U/mg] 収率[%] ─────────────────────────────────── 粗製抽出物 40.8 14.78 100 フェニル−セファロース 17.21 45.23 42 オクチル−セファロース 4.6 92 8 モノQ 2.47 183 4 2’,5’−AMP−セフ 11.74 489 3 ァロース ───────────────────────────────────
【0026】D.ラクトバチルス・ケフィールからのア
ルコールデヒドロゲナーゼの精製 ラクトバチルス・ケフィールは細胞内NADP依存性ア
ルコールデヒドロゲナーゼ(DE 40 14 573 C1)を有し
ており、それらの幾つかの生化学的特性(R−アルコー
ル類の生産、補酵素特異性)はラクトバチルス・ブレビ
スに由来するアルコールデヒドロゲナーゼのものに類似
する。両酵素の間の相違を示し、L.ブレビスに由来す
る酵素の利点を示すため、L.ケフィールに由来するア
ルコールデヒドロゲナーゼをL.ブレビスの酵素と同様
に均一に精製し、特徴付けの過程でL.ブレビスの酵素
を比較(例えば、温度安定性、N−末端アミノ酸配列)
により試験した。ラクトバチルス・ケフィールの培養、
酵素単離及び均質な酵素への精製は、L.ブレビスにつ
いて実施例2A)−2C)に記述される通りに行った。
表3には、L.ケフィールの酵素の精製がまとめられて
いる。
【0027】 表3 ラクトバチルス・ケフィールからのアルコールデヒドロゲナーゼの精製 ─────────────────────────────────── 精製工程 活性[U/mg] 比活性[U/mg] 収率[%] ─────────────────────────────────── 粗製抽出物 57.5 9.15 100 フェニル−セファロース 90.0 49 31 オクチル−セファロース 7.5 100 26 モノQ 17.5 206 23 2’,5’−AMP−セフ 48.8 174 8.5 ァロース ─────────────────────────────────── L.ブレビスからADHを単離及び精製する実施例2
は、この酵素がL.ケフィールの酵素に幾らか類似する
蛋白質及び化学的特性を有することを示す。両酵素は、
例えば、不可逆的な損傷を避けるためにMg2+イオンを
必要とする。しかしながら、特には、次の相違が存在す
る。
【0028】1.L.ブレビス及びL.ケフィールに由
来するADH酵素は、イオン交換体材料(この場合モノ
Q)に結合した後、大きく異なる塩濃度で脱離する。結
合の強さにおけるこの相違は、アミノ酸組成における荷
電アミノ酸に関する相違を示す。これは、以下に記述さ
れる配列決定により確認することができた。 2.精製された酵素的に活性なタンパク質の収率は、
L.ブレビスの酵素が大きく上回っている。これはより
安定な酵素であることを示している。
【0029】実施例3 ラクトバチルス・ブレビスに由来するアルコールデヒド
ロゲナーゼの生化学的な特徴付け A.pH安定性 様々なpH値を有するバッファ中に保存する場合の酵素
の活性の依存性を、pH4ないし11の範囲で試験した。
バッファの許容度(capacity)に応じて4ないし11のpH
範囲の様々なバッファを調製し、そこで均質な酵素を30
分間インキュベートした。それらの 1μl を取り出し、
トリエタノールアミンバッファ(100mM;pH7.0;11mM
アセトフェノンを含有する)970 μl 及びNADPH
(最終濃度0.19mM)20μl の通常の試験混合物に添加
した。この反応を、30℃で1分間、340nmで監視した。こ
れによりpH安定性の2つの最大が示され、低いものは
pH5.5及び高いものはpH9.0であった。この安定性を
表4に示す。
【0030】 表4 アルコールデヒドロゲナーゼのpH安定性 ─────────────────────────────────── pH値 バッファ 活性[U/ml] ─────────────────────────────────── 4.0 酢酸Na/酢酸 6.86 4.5 酢酸Na/酢酸 6.22 5.0 MES/NaOH 7.04 5.5 MES/NaOH 8.73 6.0 トリエタノールアミン/NaOH 5.58 6.5 トリエタノールアミン/NaOH 5.80 7.0 トリエタノールアミン/NaOH 6.57 7.5 トリス/HCl 5.04 8.0 トリス/HCl 3.83 8.5 トリス/HCl 8.42 9.0 トリス/HCl 17.11 10.0 グリシン/NaOH 1.25 11.0 グリシン/NaOH 2.43 ───────────────────────────────────
【0031】B.温度安定性 25ないし70℃の範囲の温度安定性を、Aに記述され
るものと類似の方法で決定した。均質な酵素溶液にそれ
ぞれの温度を30分間施し、次いで上述の試験混合物を用
いて30℃で直接測定した。このアルコールデヒドロゲナ
ーゼは、25ないし60℃の温度範囲で提示されている期間
(cf. 表5)安定であり、40℃で最大を示す。対照的
に、L.ケフィールに由来するADHは37℃で最大で40
℃までしか安定ではなく、その後活性は急速に減少す
る。この酵素の最大は37℃にある。
【0032】 表5 L.ブレビスに由来するアルコールデヒドロゲナーゼの温度安定性 ──────────────────────────────────── L.ブレビス L.ブレビス L.ケフィール L.ケフィール 温度[℃] 活性[U/ml] 温度[℃] 活性[U/ml] ──────────────────────────────────── 25 9.43 25 36.5 30 8.74 30 30.2 37 12.06 37 35.8 40 12.15 40 32 42 11.16 45 26.2 45 10.81 50 2.4 47 8.23 55 0 50 8.37 60 8.51 70 0.56 ────────────────────────────────────
【0033】C.最適温度 最適試験温度を決定するため、25ないし70℃で酵素活性
を測定した。試験混合物は標準濃度のアセトフェノン及
びNADPHに相当しており、その各々を提示されてい
る温度で5分間インキュベートした。表6に示されるよ
うに、この酵素の最適試験温度は50℃である。対照的
に、L.ケフィールに由来するアルコールデヒドロゲナ
ーゼは37℃で最適であり、45℃より高い試験温度ではそ
の活性は急速に減少する(表5)。
【0034】 表6 ラクトバチルス・ブレビスに由来するアルコールデヒドロゲナーゼの活性に最 適な温度(ラクトバチルス・ケフィールに由来するアルコールデヒドロゲナーゼ と比較して) ──────────────────────────────────── L.ブレビス L.ブレビス L.ケフィール L.ケフィール 温度[℃] 活性[U/ml] 温度[℃] 活性[U/ml] ──────────────────────────────────── 25 10.31 20 28.0 30 9.66 25 28.2 37 9.76 30 35.2 40 17.78 35 36.2 42 16.93 40 34.4 45 18.06 45 35.4 47 19.13 50 26.0 50 31.46 55 3.0 55 24.48 60 0 60 23.69 65 1.98 70 0.58 ────────────────────────────────────
【0035】D.アルコールデヒドロゲナーゼの基質ス
ペクトル アセトフェノンの代わりに一連の他のケトン類及びケト
エステル類を用い、酵素触媒によりこれらが還元され得
るかどうかを試験した。
【0036】以下の試験混合物をこれに用いた: 970 μl トリエタノールアミンバッファ(50mM;pH7.
0;10mMケト化合物を含有) 20μl NADPH(この試験では0.19mM) 10μl 精製酵素(実施例2を参照、アフィニティクロマ
トグラフィーの後、1:10に希釈) ケトン類の幾つかは、10mMで起こり得る基質阻害を確認
するため、1mMの濃度でも試験した。しかしながら、10m
Mのケトン濃度でそのような過度の阻害は起こらないこ
とが明らかになった。対応する基質に対して得られた活
性は表7に提示されている。
【0037】p−Cl−アセトフェノン、メチル−1−
ナフチルケトン及びメチルシクロヘキサノンのような基
質については、文献値に基づいてL.ケフィールに由来
するアルコールデヒドロゲナーゼとL.ブレビスに由来
するものとを直接比較することが可能である(Hummel,
W.Appl.Microbiol.Biotechnol. (1990),34,15-19)。こ
の比較は、本発明によるADHがこれらの化合物をより
高い活性で変換することを示す。その活性は、L.ケフ
ィールに由来するADHのものよりも約50ないし100%
高い。
【0038】 表7 L.ブレビスに由来するアルコールデヒドロゲナーゼの基質スペクトル ──────────────────────────────────── 基質 活性[U/ml]相対活性[%] ──────────────────────────────────── アセトフェノン 3.26 100 4−Cl−アセトフェノン 6.63 203 3−Cl−アセトフェノン 4.80 147 2−Cl−アセトフェノン 0.33 10 4−エチルアセトフェノン 2.13 65 2−メチルシクロヘキサノン 6.25 192 2−オキソ−4−フェニル酪酸エチルエステル 4.60 141 2,4−ペンタンジオン 4.22 130 アセト酢酸ベンジルエステル 4.11 126 アセト酢酸メチルエステル 3.81 117 アセト酢酸エチルエステル 3.54 109 ベンジルアセトン 3.24 99 ピルビン酸メチル 3.22 98 ピルビン酸エチル 8.10 248 4−Cl−酢酸エチルエステル 3.04 93 レブリン酸エチルエステル 2.99 92 4−アセチル酪酸エチルエステル 2.84 87 3−オキソ−n−吉草酸エチルエステル 2.29 70 3−オキソ−n−吉草酸メチルエステル 2.26 69 ブチリル酢酸エチル 2.21 68 酢酸ブチルエステル 2.07 64 イソブチリル酢酸エチルエステル 1.93 59 メチル−1−ナフチルケトン 1.21 37 ベンゾイル酢酸エチルエステル 1.14 35 エチル−2−メチルアセトアセテート 0.84 26 1,4−ブタンジオール−ジグリセリジルエーテル0.77 24 ヒドロキシアセトン 0.74 23 プロピオフェノン 0.55 17 トリフルオロ酢酸エチルエステル 0.50 15 シクロヘキサノン−2−カルボン酸エチルエステル0.41 13 エチル−2−オキソ−4−フェニルブチレート 0.40 12 ベンジルメチルケトン 0.36 11 4−アセチル酪酸 0.32 10 ベンズアルデヒド 0.30 9 ケト吉草酸 0.27 8 シクロヘキサノン−2−酢酸エチルエステル 0.14 4 ────────────────────────────────────
【0039】本発明による酵素の基質スペクトルは、そ
の広範さに関して、L.ケフィールの酵素に類似してい
る。両酵素は、アセトフェノン誘導体類、2−及び3−
オキソエステル類、環状及び開鎖ケトン類を高い活性で
変換し、ケトン類を還元することによりR−アルコール
類を生成することが可能である。
【0040】E.ラクトバチルス・ブレビスに由来する
アルコールデヒドロゲナーゼの分子量 ラクトバチルス・ブレビスに由来する精製したアルコー
ルデヒドロゲナーゼを、ゲル濾過カラムSuperdex G-200
(Pharmacia Co.、Freiburg)にかけた。その分子量
を、既知分子量のタンパク質を用いて得た検量線により
決定した。このゲル濾過におけるバッファのpHは、精
製のための通常のpH値である7.0であった(100mM T
EA、pH7.0、0.2M NaCl、1mM MgCl2)。こ
れらの条件下で、L.ブレビスのADHについて約104k
Dの分子量が測定され、これはL.ケフィールのADH
のものに相当する。さらに、両酵素は4つのサブユニッ
トから構成される。
【0041】F.アルコールデヒドロゲナーゼのN−末
端配列の決定 Applied Biosystems/U.S.A.社の、オンラインHPLC
モデル120Aを使用するPulsed Liquid Sequencer Model
477Aを用いてN−末端配列を決定し、L.ケフィールに
由来するアルコールデヒドロゲナーゼのN−末端配列と
比較した。 S-N-R-L-D-G-K-V-A-I-V-T-G-G-T-L-G-I-G-L-A-I-A-T-K-
F-V-E-E-G-A-K-V-M-I-T-T-R(配列番号1) L.ケフィールからの配列との比較において、次の5つ
のアミノ酸置換が最初の38アミノ酸(AA)で記録され
た: 1位 ThrがSerで(AAの化学的挙動に相違はなし); 2位 AspがAsnで(酸性荷電AAが非荷電AAで置換さ
れている); 5位 LysがAspで(塩基性AAが酸性AAで置換されて
いる); 24位 AspがThrで(酸性AAが親水性AAで置換されて
いる); 34位 ValがMetで(疎水性AAがイオウを含有するAA
で置換されている)。 この5つの場合の4つで、酵素のこれらの位置に反対の
極性を生じるアミノ酸置換が存在する。
【0042】実施例4 酵素を開裂した後のアミノ酸部分配列の決定 ラクトバチルス・ブレビスに由来する均質なアルコール
デヒドロゲナーゼを、エンドプロテイナーゼであるLy
s−Cプロテアーゼ(Boehringer Mannheim、476 986)
で開裂した。このために、タンパク質は予め変性させ、
カルボキシメチル化しなければならなかった。このAD
Hサンプルを60μlのグアニジニウムバッファpH8.5
[2mg/ml]に直接取り、室温で30分間インキュベート
した。インキュベーションが完了した後、1/10容量の1
11mM DTT溶液を添加し、再度37℃で30分間インキュ
ベートした。最後に、1/10容量の360mMヨード酢酸溶液
を添加し、このサンプルを暗所において37℃で30分間イ
ンキュベートした。この反応を、β−メルカプトエタノ
ールで停止させた。尿素(2M)を含有するバッファに再
緩衝させた後、1%(最終濃度)のトリトンX−100
(還元)及び4.6 μgのlys−Cプロテアーゼ(タン
パク質量の1/25[w/w])を添加し、これを37℃で一
晩インキュベートした。時間が終了した後(少なくとも
16−18時間)、1/10容量の10%TFAを添加すること
により反応を停止させた。この混合物の2×150μl で3
回、最後に1×100μl をHPLCに注入した。タンパク
質を含むピークの各々を別々に集め、個々のランを比較
した後、同じピークをプールして真空遠心で濃縮した。
その後、これらのサンプル(総数18)を配列決定に直接
用いた。
【0043】配列データ(画分の、明白で完全な配列情
報を有する最も重要なデータだけを列挙する):ピーク
画分番号3のタンパク質は、配列V-M-I-T-G-R-H-S-D-V-
G-E-K(配列番号2)を有し、したがって、N−末端に
直接結合する。タンパク質画分番号5(D-Y-D-V-R-V-N-
T-V-H-P-G-Y-I-K、配列番号3)及び番号6の配列も決
定することができた。後者のF-A-T-G-S-E-F-V-V-D-G-G-
Y-T-A-Q(配列番号4)の場合、これはラクトバチルス
・ブレビスに由来するADHのモノマーのC−末端に相
当する。
【0044】残りの12の画分の配列はここには列挙しな
い。しかしながら、全ての部分配列を適当なクローニン
グで確認することが可能であった。プロテアーゼLys
CでL.ケフィールに由来する精製ADHを開裂させる
対応実験に成功した。HPLCによりペプチドを分離し
たとき、L−ブレビスに由来する酵素の開裂において得
られたものに高度に類似する開裂パターンが生じた。こ
の開裂から、このペプチドの開裂断片の配列決定の後、
L.ケフィールの酵素のほとんど完全なアミノ酸配列を
得ることが可能であった。同定された配列断片をL.ブ
レビスに由来するADHの配列(図2を参照)と比較し
たとき、L.ケフィールの配列の部分的な断片は本質的
にL.ブレビスの配列に対応するものの、L.ケフィー
ルの配列には決定的な部分的断片がないことが明らかと
なった。これらの部分的な断片は図2においてX26で示
されており、すなわち、これはL.ブレビスの配列と一
致させるために必ず26アミノ酸を含む部分的断片であ
り、かつ2つのアミノ酸を含む部分的断片についてはX2
と示されている。L.ブレビス及びL.ケフィールに由
来するADHの配列の比較は、失われている部分的断片
26及びX2を別にして、18アミノ酸、すなわち約10%
が置換されていることを示す。
【0045】実施例5 酵素のクローニング A.ラクトバチルス・ブレビスからのゲノムDNAの調
ラクトバチルス・ブレビスの細胞を50mlの高TEバッフ
ァ(25mMトリス、10mMEDTA pH8.0)で洗浄し、6
000rpmで遠心した。そのペレットを10mlのTE(25mMト
リス、10mM EDTA pH8.0)に再懸濁させ、100μ
l のリゾチーム(100mg/ml)を添加して37℃で1.5時間
インキュベートした。続いて、細胞のタンパク質を変性
させ、溶解させた細胞に340μl の30%ラウリルサルコ
シンナトリウム、100 μl のQiagenプロテアーゼ(Qiag
en、Hilden;20mg/ml)及び25μlのRNAse A(40mg/m
l)を添加することにより50℃で一晩分解した。次の工
程で、細胞溶解物からのDNAをフェニル沈殿により他
の細胞内容物から分離した。(このために、最初に純粋
なフェノール(TEで飽和)、次にフェノール/IAA
/CHCl3(25:24:1)(IAA=イソアミルアルコ
ール)及び最後にIAA/CHCl3(24:1)を、1:1
の容量比で、水相に常に添加した)。次に、合わせた水
相を穏やかに攪拌することにより約5分間混合した後、2
0000rpmで遠心することにより分離した。最後の水性上
相を0.0625容量の8M LiClと混合した後、2容量部
の冷エタノール(100%)の層で注意深く覆った。境界
層に沈殿するゲノムDNAをパスツールピペットに巻き
取り、冷70%エタノールで2回洗浄した。真空遠心で乾
燥させた後、このDNAを2mlのTE(10mMトリス、1mM
EDTA)pH8.0に取った。この単離されたDNAの
純度をチェックするため、この溶液を1:50に希釈し、2
60:280nmの商を測光法により2.0と決定した。したがっ
てタンパク質の不純物は除外することができた。ゲルか
らのDNAの濃度は70ng/μlであると測定され、3gの
細胞から140 μg のゲノムDNAが単離された。
【0046】B.PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)のた
めの5’及び3’プライマーとしてのオリゴヌクレオチ
ド類 L.ブレビスに由来するADHのタンパク配列のN−末
端及びC−末端を、酵素によるペプチド開裂(実施例4
を参照)に基づいて決定することができた。この情報を
用いてPCRのためのプライマーを合成した。そのよう
に行う中で、ラクトバチルスにおいて知られている特定
のコドンの公知の優位性を考慮した。コドンATG(Met)
を各5’プライマーの先頭に開始コドンとして配置し
(これはタンパク質配列を欠いている)、翻訳の終了を
確実なものとするために2つの停止コドンを各3’プラ
イマーの後ろに配置した。プライマー構築物を以下に列
挙する(変わり得る核酸は括弧内に示す。これは、その
括弧の前の核酸の代替物として組込まれ、その結果実際
に用いられたプライマーは得られる組み合わせの混合で
ある): 5’プライマー 5’LB: 5'ATG-TCA-AAC-CGT-TTA(G)-GAT-GGT(C)-AAG-GTT(A)-GCT
(A)-ATT(C)-3'(配列番号5) 3’プライマー 3’LB: 5'CTA-CTA-TTG-A(T)GC-AGT-GTA-A(G)CC-A(G)CC-ATC-A
(T)AC-A(T)AC-GAA-3'(配列番号6) これらの合成されたプライマーを冷NH3でカラムから
溶離した。このNH3溶液を70℃で1時間インキュベート
した後、1mlのブタノールと共に振盪した。このサンプ
ルを14000rpmで2分間遠心し、形成された上清をデカン
トした。このサンプルを真空遠心に5分間処して乾燥さ
せ、そのペレットを500μl のH2Oに取った。これらの
プライマーを100ピコモル/μlの濃度で用いた。
【0047】C.L.ブレビスに由来するゲノムDNA
を用いるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応) 以下において、テンプレート濃度(ゲノムDNA)を変
化させ、他の全てのパラメータは一定に保った。アニー
リング温度として52℃を選択した。
【0048】 表8 PCR混合物 ──────────────────────────────────── 混合物 鋳型 5'プライマー 3'プライマーdNTPバッファ Taq H2O [ng] [pmol] [pmol] [nM] [10×] [U] [μl] 1 700 100 100 1.6 10μl 2.5 61.5 2 70 100 100 1.6 10μl 2.5 70.5 ──────────────────────────────────── それぞれの混合物の容量は100 μl であり、モルのデー
タは最終濃度と理解されるものであり、鋳型及びTaq
DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)は表8
に列挙される量が混合物全体に添加された。バッファ
(PCR反応バッファ;Boehringer Mannheim)は10倍
の濃度で存在した。PCRを、一晩、25サイクル行っ
た。加熱可能なカバーを備える、Perkin Elmer製のPC
R装置を用いた。
【0049】分析作業のため、10%の混合物(容量部
分)を1%アガロースゲルにのせ、100Vの定電圧で電気
泳動により分離した。このPCRは、約750bpのDNA
断片の実質的な増幅を示した。そのシグナルは697bp及
び925bpのマーカーバンドの間に存在するが、697bpによ
り近い。SDS−PAGEでの27kD(245AA)のADHの
モノマーの分子量決定によると、この場合、ADHタン
パク質のアミノ酸長及びその求められている遺伝子の塩
基対長が良好に一致する。
【0050】D.Qiaquick (登録商標) PCR精製キッ
ト(Qiagen、Hilden)でのPCR産生物の精製 100μl のPCR溶液に500μl のバッファPBをピペッ
トにより添加し、Quiaquick (登録商標) カラム(平衡
化せず)に直接かけた。遠心(1分、14000rpm)により
DNAをカラムに結合させ、溶離液を廃棄した。このカ
ラムを750μlのバッファPEで遠心(1分、14000rpm)
により洗浄し、溶離液を廃棄した。バッファPE中のエ
タノールの残留物を除去するため、このカラムを再度簡
単に遠心した。続いて、50μlの2mMトリス/HCl p
H8.0を添加して遠心(1分、14000rpm)することによ
り、このカラムから溶離させた。対照のため、各々のケ
ースにおいてこの溶出液の 1μl を分析用0.8%アガロ
ースゲルにかけ、60Vの定電圧の下で電気泳動により分
離した。濃度は、PCR3/1については70ng/μl、P
CR3/2については90ng/μlと決定された。PCR3/
2はさらに処理し、PCR3/1は-20℃で保存した。PC
R3/2をSpeed vacで16μlに濃縮し、Surecloneキット
(16μl PCR、 1μl クレノウ断片、2 μl 10 ×
バッファ、1 μl ポリヌクレオチドキナーゼ;37℃で
30分間インキュベート)の平滑化/キナーゼ反応に直接
用いた。この反応混合物を分離用0.8%アガロースゲル
(2時間、80V定電圧)に直接かけた。750bpでの可視バ
ンドをゲルから切り出し、Jetsorb(登録商標) (Genomed
、Bad Oeynhausen)によりゲルから単離した。50μlの
2mMトリス/HCl pH8.0を用いて、このJetsorb材
料からプラスミドDNAを溶離させた。この溶液を真空
遠心の助けを借りて 9μl に濃縮した。その 1μl を分
析アガロースゲルに用いた。このゲルにおけるPCR断
片の濃度(150ng/μl)から、総濃度 1.2μg のDNA
が生じた。このサンプルを、Surecloneキットのリガー
ゼ混合物に用いた。
【0051】E.ゲルからのJetsorb (登録商標) DN
A単離 ゲル材料100mg当たり300 μl のバッファA1及び10μl
のJetsorb懸濁液を混合し、50℃で15分間インキュベー
トした。その間、Jetsorb材料への完全な結合を確実な
ものとするため、時々、この溶液を再度混合した。続い
て、この懸濁液を11000rpmで30秒間遠心して上清を廃棄
し、そのペレットを300 μl のバッファA2に再懸濁し
て11000rpmで再度遠心した。この工程を完全に繰り返し
た後、その上清をピペットで注意深く除去し、ペレット
を50℃で5分間乾燥させた。次に、このペレットを30μl
の2mMトリス/HCl pH8.0に再懸濁させ、50℃で5
分間インキュベートした。遠心(11000rpm、30秒)が完
了した後、その上清を集め、ペレットを20μlの2mMトリ
ス/HCl pH8.0に再び再懸濁させてさらに上述の
通りに処理した。得られた上清をプールし、Speed vac
で18μlに濃縮した。その1 μl を分析アガロースゲル
にのせた。このゲルによる濃度測定では、DNA濃度は
10ng/μl、すなわち、総濃度が160ngであった。
【0052】F.Surecloneキット(Pharmacia Co.)で
のライゲーション 7 μl のPCR(1 μg )、1 μl のpUC18ベクター(5
0ng)、1 μl のDTT、10μlの2倍のリガーゼバッフ
ァ及び1 μl のリガーゼを用いた。この混合物から3 μ
l を取り出し、PCR断片濃度を低下させるために新し
いリガーゼ混合物に用いた。この第2の混合物は、PC
R−DNA濃度(157ng、すなわち1:3のベクター:P
CR比)を別として、第1の混合物の組成(1:20のベク
ター:PCR比)に相当する。両混合物を16℃で1.5時
間インキュベートした後、それらを用いて100 μl のコ
ンピテント細胞(大腸菌XL 1 Blue)をそれぞれ形質転
換した。これらのコンピテント細胞に、1 μl のリガー
ゼ混合物1及び4 μl のリガーゼ混合物2をピペットで
添加した。それぞれの細胞懸濁液300 μl をLBamp
寒天プレート(LB=カゼインペプトン/酵母抽出物;
pH7.5)に塗布した。
【0053】増殖したコロニーを4mlの液体培地(LB
amp−培地)に接種し、37℃で一晩培養した。この細胞
懸濁液の2mlを各々プラスミドの調製に用いた。(Qiage
nミニプレッププロトコル(Qiagen、Hilden)に相当す
る;以下を参照)。0.7容量部のイソプロパノールを用
いてこの細胞不含溶液からプラスミドDNAを直接沈殿
させて冷70%エタノールで洗浄し、真空遠心で乾燥させ
て10μlの2mMトリス/HClバッファ(pH8.0)に取
った。このプラスミド調製品からEcoRI及びHindIIIを用
いて制限消化を行った(1U/μl酵素、6μlのプラスミ
ドDNA、37℃、1時間)。完全な消化物を0.8%アガロ
ースゲルにのせ、80Vの定電圧で2時間電気泳動により分
離した(750bpのインサートを検出)。このプラスミド
を任意に後に配列決定に用いた。
【0054】G.プラスミドの調製(Qiagenミニプレッ
プ) 4mlの液体培養物を5000rpmで5分間遠心し、そのペレッ
トを300 μl のバッファP1に再懸濁した。この懸濁液
に300 μl のバッファP2を添加し、その細胞懸濁液を
室温で5分間インキュベートした。その後、この溶解細
胞に300 μl の冷バッファP3をピペットにより添加
し、核酸及びタンパク質を変性させるため、数回攪拌し
ながら氷上で10分間インキュベートした。変性成分を遠
心(11000rmp、15分間)により除去し、その上清を1ml
のQBTバッファ(Qiagen、Hilden)で予め平衡化され
ている新しいQiagen 20チップカラム(Qiagen、Hilde
n)に直接かけた。このカラムを4×1mlのバッファQC
で洗浄した後、0.8mlのバッファQFを用いてこのカラ
ムからプラスミドDNAを溶離した。14000rpmで30分間
遠心した後、0.7容量のイソプロパノールを用いてこの
溶液からDNAを沈殿させた。得られたペレットを1400
0rpmで遠心しながら70%エタノールで2×10分間洗浄し
た後、真空遠心で乾燥させた。このDNAを10μlの2mM
トリス/HClpH8.0に取り、例えば、制限酵素による
分析に用いた。
【0055】H.プラスミドのDNA配列決定 a.配列決定ゲルの調製 配列決定はPharmacia社製のオートリード(autoread)
レーザー蛍光シーケンサー(ALF)を用いて行った。
したがって、オートリード配列決定キット(Pharmaci
a)を配列決定反応に用いた。このゲルの標準厚は0.5mm
であった。適当なガラス板(厚さ0.35mm)をレーザー通
過側に用いた。配列決定ゲル:21gの尿素(超純粋)、1
2gのH2O(Millipore)、7.5mlのアクリルアミド(Rot
h、DNA配列決定用)、200 μl のAPS、45μlのT
EMED、6mlの10倍のTBE。0.6×TBE(Pharmaci
aの指示に相当するトリス/ホウ酸塩/EDTA)は移
動バッファ(mobile buffer) として役立った。 b.AutoReadTM配列決定キットを用いる配列決定反応 配列決定プライマー当たりそれぞれ 5μl (4μg)のプラ
スミドDNAを用いた。
【0056】5 μl のプラスミドDNA、5 μl のH2
O、2 μl のプライマー(ユニバーサル又はリバーサ
ル)、1.5 μl の1M NaOHを一緒にピペットで計量
し、DNAを変性させるために65℃で5分間インキュベ
ートした。次に、このサンプルを直接37℃に移し、反応
を1.5 μl の1M HClで中和した。2 μl のアニーリ
ングバッファを添加して簡単に遠心(15秒間、14000rp
m)し、37℃で10分間、次いで室温でさらに10分間イン
キュベートした。遠心が完了した後、1 μl のエクステ
ンションバッファ及び3.5 μl のジメチルスルホキシド
をこの調製品と混合し、混合物当たり2 μl の、酵素希
釈バッファで希釈したT7ポリメラーゼをピペットで添
加した。この溶液5.2μlを、37℃で予備インキュベ
ートされているプレートにピペットで直接移した。この
プレートには、プラスミド当たり3 μl のそれぞれのN
TP混合物(A、C、G、Tをこの順序で)を有する4
つのレーンがあった。37℃で5分間インキュベートした
後、配列決定反応をSanger(Sanger, F., Nickler, S.,
Coulson, A.R. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 7
4, 5463-5467)に従って6 μl の停止混合物を添加する
ことにより停止させ、反応混合物を90℃で2−3分間加熱
した後、鎖の復元を防ぐために氷上で直接冷却した。次
に、この混合物の6 μl を配列ゲルに直接のせ、シーケ
ンサーを作動させた。選択されたプラスミドのうちプラ
スミド3/1のみが正しいDNA配列を有していた。これ
らのデータは、次に、対応するタンパク配列(図1)に
翻訳することが可能である。ユニバーサルプライマーは
この配列のC−末端を示し、リバーサルプライマーはN
−末端(5’コーディング鎖)を示す。したがって、イ
ンサートは正しい方向で配置される。このDNA配列決
定に基づく配列は、タンパク質の配列決定によって得ら
れた配列データとの完全な一致を示す。
【0057】実施例6 A.pADH発現プラスミドの構築 アルコールデヒドロゲナーゼを発現させるため、構造遺
伝子を、この構造遺伝子がIPTGで誘発され得る適切
なプロモーター、好ましくはTacプロモーターの制御
の下で正しい方向に挿入されるような方法でpKK177発現
ベクターにクローン化した。このために、ADH遺伝子
を含むpUCベクターからEcoRI及びHindIIIによりアルコ
ールデヒドロゲナーゼの構造遺伝子を切り出し、この制
限混合物をアガロースゲル電気泳動によって分離してア
ガロースゲルから約750bpの大断片を単離した。同時
に、発現プラスミドpKK177をEcoRI及びHindIIIで切断
し、この制限混合物をアガロースゲル電気泳動によって
分離してアガロースゲルから約2.8kBpのベクター断片を
単離した。このようにして得られた断片を記述されるよ
うに一緒にライゲートした。この新たに形成したプラス
ミドをpADH-1と名付けた。制限分析及び配列決定によ
り、遺伝子の正しい挿入をチェックした。
【0058】B.様々な大腸菌発現株への発現プラスミ
ドpADH-1の形質転換 様々な大腸菌株、好ましくは大腸菌B HB101及び大腸菌K
12NM522のコンピテント細胞を、Hanahanによる方法(J.
Mol. Biol. 166 (1983) pp.557)に従って調製した。
このように作製された細胞の200 μl を20ngの単離pADH
-1プラスミドDNAと混合した。氷上で30分間インキュ
ベートした後、熱ショック(42℃で90秒間)を与えた。
続いて、これらの細胞を1mlのLB培地に移し、表現型
発現のために37℃で1時間インキュベートした。この形
質転換混合物のアリコートを、選択マーカーとしてアン
ピシリンを含有するLPプレートに塗布し、37℃で15時
間インキュベートした。
【0059】C.大腸菌におけるラクトバチルス・ブレ
ビスに由来するアルコールデヒドロゲナーゼの発現 発現プラスミドpADH-1を取り込んでいる形質転換体を取
り出し、それぞれアンピシリンを含有するLB液体培地
3mlに再接種して、ローラーにおいて37℃でインキュベ
ートした。これらの細胞を、光学濃度(測定波長550n
m)0.5で、1mM IPTGを用いて誘導した。各々の対照
として、発現プラスミドは含むが誘導はしないクローン
及び発現プラスミドは含まないがIPTGで誘導はする
それぞれの大腸菌WTも処理した。誘導と一晩増殖の後4
時間で、光学濃度がOD550=5に相当するチューブの各
々からアリコートを取り出した。これらの細胞を遠心
(6000rpmで10分間、4℃)して300 μl のTEバッファ
(50mMトリス−HCl、50mMEDTA、pH8.0)に取
り、超音波(Branson Sonifire 450/氷上においてレベ
ル2で2×30秒間)により溶解した。可溶性タンパク質
を、遠心(10分間、14000rpm)により不溶性蛋白質及び
細胞壁成分から分離した。この時点で、活性試験を行う
ためにアリコートを取り出した。残りの上清を50μlの5
×アプリケーションバッファ(60mMトリス−HCl p
H6.8、1.2%SDS、10%グリセロール、0.7M2−メル
カプトエタノール、0.05%ブロモフェノールブルー)と
混合し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動用に調
製した。タンパク質ペレット(不溶性蛋白質及び細胞壁
成分)は、再度300 μl のTEバッファ(50mMトリス−
HCl、50mM EDTA、pH8.0)に取り、超音波イ
ンパルス(Branson Sonifire450)を5回加えることによ
り再懸濁させた。これらのサンプルもそれぞれの容量の
5×アプリケーションバッファと混合した。最後に、タ
ンパク質を完全に変性させるため、全てのサンプルを95
℃で5分間加熱した。
【0060】D.SDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動(SDS−PAGE) SDS−PAGEは、U. K. Laemmli(1970, Nature 22
7, pp.680-685)の方法に従って行った。可溶性及び不
溶性タンパク質画分を別々に15%分離ゲルにおいて分離
し、続いてタンパク質バンドをクーマシー染色溶液(0.
2%クーマシー、30%エタノール、10%酢酸)で染色し
た。
【0061】用いられた大腸菌株のラクトバチルス・ブ
レビスに由来するアルコールデヒドロゲナーゼは、可溶
性蛋白質として排他的に発現した。SDS−PAGEに
おいて〜27kDaのサイズを有することが予め決定されて
いるさらなるタンパク質バンドに基づいて、この可溶性
蛋白質画分についてこれを排他的に示すことが可能であ
った。このさらなるタンパク質バンドは、対照(プラス
ミドを含む非誘導クローン及びプラスミドを含まない誘
導クローン)及び不溶性タンパク質画分を含むサンプル
には見られなかった。この粗製抽出物を用いて行われた
活性試験は、アルコールデヒドロゲナーゼが可溶性の形
態というだけではなく活性な形態で発現することも示し
た。
【0062】実施例7 R−フェニルエタノールの酵素触媒生産 精製酵素(実施例2C)及び必要な補酵素(NADP)
を、アセトフェノンからの(R)−フェニルエタノール
の酵素触媒合成に用いた。酸化された補酵素はイソプロ
パノールにより連続的に再生した。このイソプロパノー
ルは、この反応が触媒量の補酵素だけを必要とするよう
に同時に存在させた。詳しく述べると、その混合物は以
下のものを含有していた(この試験におけるこれらの成
分の最終濃度は、括弧内に列挙する):20μlのNAD
P(0.05mM)、7.7 μl のイソプロパノール(0.1M)、
0.6 μl のアセトフェノン(5mM)、921.7 μl のトリ
エタノールアミンバッファ(50mM;pH7.0、1mM Mg
Cl2を含有)及びラクトバチルス・ブレビスに由来す
る50μlのアルコールデヒドロゲナーゼ(4.5単位)。総
容量1mlのこの混合物を30℃で24時間インキュベートし
た後、サンプルをガスクロマトグラフィーにより分析し
た。このために、100 μl を取り出して100 μl のクロ
ロホルムと共に振盪し、遠心により相分離してGCのた
めにアリコートを低相(クロロホルム)から採取した。
【0063】ガスクロマトグラフィーでの(R)−及び
(S)−フェニルエタノールの分離のための分離条件:
固定相:Lipodex E、CDカラム(Macherey and Nagel, D
uren)、移動相:ヘリウム、注入容量;1 μl 、検出:
FID、温度:110℃。これらの条件下において、10.5
分で基質であるアセトフェノンが、13.8分で(S)−フ
ェニルエタノールが、及び14.2分で(R)−フェニルエ
タノールが溶出する。(S)−及び(R)−フェニルエ
タノールの保持値は、市販されているラセミ混合物(Fl
uka Co. Buchs, Switzerland)を用いて得ることができ
る。24時間後に、95%を超える基質が変換され、GCク
ロマトグラムは次の値を示す:アセトフェノン(保持時
間10.5分):面積=9.800;(S)−フェニルエタノー
ル(保持時間13.8分):面積=<500;(R)−フェニル
エタノール(保持時間14.2分):面積=240000。
【0064】実施例8 ラクトバチルス・ブレビスの全細胞を用いるケトン類の
還元によるアルコール類の生産 加えて、L.ブレビスの全細胞を用いて、ケトン類をキ
ラルアルコール類に還元することができる。この場合、
細胞内に存在する補酵素が利用されるため、NADPを
添加する必要はない。補酵素の再生は、イソプロパノー
ルにより、又はグルコースのような代謝可能な基質によ
り達成することができる。試験混合物:50mgのL.ブレ
ビスの細胞(遠心後の湿重量)を、0.1Mグルコース及
び10mMアセトフェノンを含有する860 μl のトリエタノ
ールアミンバッファ(50mM;pH7.50;1mM MgCl2+
を添加)に懸濁する。サンプルはガスクロマトグラフィ
ーにより分析する。30℃で2時間インキュベートした後
には、アセトフェノンはもはや検出されず、それに代わ
って相当する量のフェニルエタノールが生成している。
キラル固定相でのGC分離による定量がなされているた
め、同時に、生成したフェニルエタノールは光学的に高
純度のものであるが、定量可能な(S)−アルコールが
検出不可能であったことを示すことが可能であった。光
学純度は、(R)−アルコールについて>95%という高
率であった。これは、L.ブレビスの細胞が生成するア
ルコール類の光学純度を妨げ得るさらなるアルコールデ
ヒドロゲナーゼを明らかに含まず、その結果、全細胞を
用いるこのような方法でキラルアルコール類を生産する
ことが可能であることを示す。
【0065】
【配列表】
(2)配列番号1: (i)配列の特性: (A)長さ:38アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:
【0066】
【化5】
【0067】(2)配列番号2: (i)配列の特性: (A)長さ:13アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:
【0068】
【化6】
【0069】(2)配列番号3: (i)配列の特性: (A)長さ:15アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:
【0070】
【化7】
【0071】(2)配列番号4: (i)配列の特性: (A)長さ:16アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:
【0072】
【化8】
【0073】(2)配列番号5: (i)配列の特性: (A)長さ:33塩基対 (B)型:ヌクレオチド (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ゲノムDNA (xi)配列:
【0074】
【化9】
【0075】(2)配列番号6: (i)配列の特性: (A)長さ:36塩基対 (B)型:ヌクレオチド (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ゲノムDNA (xi)配列:
【0076】
【化10】
【0077】(2)配列番号7: (i)配列の特性: (A)長さ:756塩基対 (B)型:ヌクレオチド (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ゲノムDNA (xi)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:CDS (B)存在位置:1..756 (xi)配列:
【0078】
【化11】
【0079】
【0080】
【0081】(2)配列番号8: (i)配列の特性: (A)長さ:252アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:タンパク質 (xi)配列:
【0082】
【化12】
【0083】
【0084】(2)配列番号9: (i)配列の特性: (A)長さ:251アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:
【0085】
【化13】
【0086】
【図面の簡単な説明】
【図1】大腸菌におけるL.ブレビスに由来する組換え
ADHのDNA及びタンパク質配列(上列は各々の場合
における核酸配列(配列番号7)、下はその三文字コー
ドに対応するアミノ酸配列(一文字コードで、配列番号
8))。この配列は、開始コドンを介して挿入されてい
るメチオニンで始まる。このメチオニンは、純粋なタン
パク質の配列決定によって得られた対応アミノ酸配列に
は見出されない(N−末端;実施例3F及び実施例4を
参照)。
【図2】LysCプロテアーゼによる開裂の後にペプチ
ドを配列決定することにより得られた、ラクトバチルス
・ケフィールに由来するアルコールデヒドロゲナーゼの
アミノ酸配列(配列番号9)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/04 C12R 1:19) (C12P 41/00 C12R 1:24)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有す
    る安定な微生物酵素であって、20℃ないし60℃で約30分
    後に少なくとも95%の残留活性を有し、かつ少なくとも
    400U/mgの比活性にまで精製することが可能な酵素。
  2. 【請求項2】 約40℃及びpH9.0に最大安定性を有す
    る、請求項1に記載の酵素。
  3. 【請求項3】 pH5.5に最大安定性を有する、請求項
    1又は2に記載の酵素。
  4. 【請求項4】 前記酵素の最大活性が約50℃にある、請
    求項1ないし3のいずれか1項に記載の酵素。
  5. 【請求項5】 アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有す
    る安定な微生物酵素であって、約104kDa(ゲル濾過)の
    分子量を有し、かつアミノ酸位置1、2、5、24及び/又
    は34がそれぞれセリン、アスパラギン、アスパラギン
    酸、トレオニン及び/又はメチオニン残基である酵素。
  6. 【請求項6】 前記酵素がラクトバチルス属の株から得
    ることが可能な、請求項1ないし5のいずれか1項に記
    載の酵素。
  7. 【請求項7】 ラクトバチルス・ブレビス(DSM20054)
    から得ることが可能な、請求項1ないし6のいずれか1
    項に記載の酵素。
  8. 【請求項8】 配列番号8で表されるアミノ酸配列を本
    質的に有する安定なアルコールデヒドロゲナーゼ。
  9. 【請求項9】 配列番号7で表されるDNA配列又は対
    応する類似体によってコードされる安定なアルコールデ
    ヒドロゲナーゼ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし5のいずれか1項に記
    載の酵素の単離方法であって、ADHをコードする遺伝
    子で任意に形質転換されている微生物サンプルを溶解
    し、続いて、マグネシウムイオンを含有する適切なバッ
    ファ系において疎水性相互作用クロマトグラフィー、陰
    イオン交換及びアフィニティクロマトグラフィーに処す
    る方法。
  11. 【請求項11】 前記微生物がラクトバチルス・ブレビ
    ス(DSM 20054) である、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 1,4−ブタンジオール−ジグリセリ
    ジルエーテルまたは下記の一般式(I)の有機ケト化合
    物の鏡像異性体選択的還元方法であって、該化合物又は
    適切な混合物を約20℃〜60℃で約15分〜3時間、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルコールデヒド
    ロゲナーゼ又は該酵素を含有する細胞の存在下において
    インキュベートし、適切なR−ヒドロキシ化合物を単離
    する方法。 【化1】 (式中、R1およびR2は、異なっているかまたは同じで
    あり、水素、ヒドロキシ、一緒になってあるいは個別
    に、直鎖もしくは分岐C1-20アルキル、直鎖もしくは分
    岐C1-20アルケニル、直鎖もしくは分岐C1-20アルコキ
    シカルボニルまたは直鎖もしくは分岐C1-20アルコキ
    シ、アリールまたはアラルキル基(これらは一つまたは
    数個のハロゲン原子、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ
    ル、オキソ、C1-20アルコキシ、C1-20アルキル、C
    1-20アシル、C1-20アルコキシカルボニルまたはアリー
    ル−C1-20アルコキシカルボニル基で置換されてもよ
    い)、直鎖または分岐C1-10アルキレン基(これは一つ
    または数個の飽和、不飽和もしくは芳香族含窒素、含酸
    素もしくは含硫黄複素環、アルコキシカルボニルまたは
    アルキル基(これらはアルコキシカルボニル基で置換さ
    れてもよい)で置換されてもよい)、または単縮合もく
    しは重縮合脂環式もしくは芳香族基である。)
  13. 【請求項13】 下記の一般式(II)の有機ヒドロキ
    シ化合物の鏡像異性体選択的合成方法であって、ラセミ
    混合物または該有機ヒドロキシ化合物を請求項1〜9の
    いずれか1項に記載のアルコールデヒドロゲナーゼ又は
    該酵素を含有する細胞とともに約20℃〜60℃で約1
    5分〜3時間インキュベートし、適切なS−ヒドロキシ
    化合物を単離する方法。 【化2】 (式中、R1およびR2は、異なっているかまたは同じで
    あり、水素、ヒドロキシ、一緒になってあるいは個別
    に、直鎖もしくは分岐C1-20アルキル、直鎖もしくは分
    岐C1-20アルケニル、直鎖もしくは分岐C1-20アルコキ
    シカルボニルまたは直鎖もしくは分岐C1-20アルコキ
    シ、アリールまたはアラルキル基(これらは一つまたは
    数個のハロゲン原子、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ
    ル、オキソ、C1-20アルコキシ、C1-20アルキル、C
    1-20アシル、C1-20アルコキシカルボニルまたはアリー
    ル−C1-20アルコキシカルボニル基で置換されてもよ
    い)、直鎖または分岐C1-10アルキレン基(これは一つ
    または数個の飽和、不飽和もしくは芳香族含窒素、含酸
    素もしくは含硫黄複素環、アルコキシカルボニルまたは
    アルキル基(これらはアルコキシカルボニル基で置換さ
    れてもよい)で置換されてもよい)、または単縮合もく
    しは重縮合脂環式もしくは芳香族基である。)
  14. 【請求項14】 マグネシウムイオンが存在し、かつp
    H値が6ないし9である請求項10又は11に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 安定なアルコールデヒドロゲナーゼの
    組換え生産方法であって、配列番号7で表されるヌクレ
    オチド配列を原核又は真核細胞において発現させる方
    法。
  16. 【請求項16】 安定なアルコールデヒドロゲナーゼを
    コードする単離DNA断片であって、配列番号7で表さ
    れる核酸配列又はそれらとハイブリダイズする配列を含
    む単離DNA断片。
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