JPH10294524A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JPH10294524A
JPH10294524A JP10111297A JP10111297A JPH10294524A JP H10294524 A JPH10294524 A JP H10294524A JP 10111297 A JP10111297 A JP 10111297A JP 10111297 A JP10111297 A JP 10111297A JP H10294524 A JPH10294524 A JP H10294524A
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JP10111297A
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Takuya Ishikawa
卓哉 石川
Akihiko Kasukawa
秋彦 粕川
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性層からpクラッド層への電子のオーバー
フローを抑制して、温度特性の良好な半導体レーザを提
供する。 【解決手段】 本半導体レーザ10は、GaAs基板
12上に作製したAlGaInP系の半導体レーザであ
って、活性層18とp型クラッド層22との間に伸張歪
の大きさが2%の電子ストッパ層20を有する。これに
より、活性層からpクラッド層への電子のオーバーフロ
ーを抑制して、温度特性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザに関
し、更に詳細には、良好な温度特性を有し、600nm
帯で発振する可視光半導体レーザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】大容量光ディスク、光計測機器等の各種
レーザ応用機器の光学系の調整を容易にするために、そ
の光源として、600nm帯で発振する可視光半導体レ
ーザを採用しようとする試みが進展しており、レーザ光
のビーム集光性及び視感度性を向上させるために、より
短い波長で発振する可視光レーザが望まれている。60
0nm帯可視レーザは、GaAs基板上にAlGaIn
P系の混晶半導体積層構造を形成したレーザにより実現
されており、GaInPに伸張歪を導入した活性層、或
いはAlを添加したAlGaInP活性層を用いたりし
ている。更には、活性層としてこれらの物質の量子井戸
構造を用いるなどして、より短波長での発振が得られて
いる。
【0003】しかし、発振波長の短波長化に伴い、Al
GaInP系の可視光半導体レーザでは、活性層からp
型クラッド層への電子のオーバーフローによる温度特性
の悪化が問題となっている。電子のオーバーフローを抑
制するためには、活性層とpクラッド層とのバンドギャ
ップ差を大きくするか、又はpクラッド層の高濃度ドー
ピングによりクラッド層のバンド端をシフトさせるかの
対策を施すことが有効であると言われている。ところ
で、AlGaInP系では、活性層とpクラッド層との
バンドギャップ差を大きくするために、クラッド層とし
て用いられるAlGaInP混晶中のAl組成比率を増
加させて、クラッド層のバンドギャップを大きくしよう
としても、(Al0.7Ga0.30.5 In0.5Pが直接遷
移型半導体と間接遷移型半導体との境界になり、これ以
上にAl組成比率を増加させても実質上は電子の閉じ込
め効果を増大させることができなくなる。従って、発振
波長が短波長化し、活性層のバンドギャップが大きくな
ればなるほど、活性層とクラッド層とのバンドギャップ
差が小さくなって、電子がpクラッド層にオーバーフロ
ーする現象を無視できなくなる。
【0004】そこで、電子に対する等価的な障壁の高さ
は、pクラッド層のドーパント濃度に依存し、ドーパン
ト濃度が高いほど等価的に電子に対する障壁が高くなる
という原理に基づいて、pクラッド層のドーピング濃度
を高くして、pクラッド層への電子のオーバーフロー現
象を抑制する試みが行われている。また、pクラッド層
のドーピングの高濃度化とは別の技術として、非常に薄
い多層膜を活性層とpクラッド層の間に挿入し、その多
層膜での電子の干渉効果を利用してpクラッド層に溢れ
出す電子を反射させ、活性層に効率よく電子を閉じ込め
て、等価的に障壁の高さを高くしようとする、いわゆる
多重量子障壁(MQB)構造も試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、AlGaIn
P系の600nm帯の可視レーザで、AlGaInP混
晶のpクラッド層にp型ドーパントを高濃度にドープし
ようとしても、技術的に難しく、せいぜい1x1018
-3程度の濃度が上限である。しかし、この程度のドー
パント濃度では、障壁の高さを等価的に高くする作用に
限界があって、電子のオーバフロー現象を抑制する効果
には乏しかった。また、多重量子障壁は理論的には非常
に大きな効果を奏することが期待されているものの、実
際には設計通りの超薄膜多層構造を形成することが難し
いことなどの製作的な理由により、理論通りの効果が得
られていないのが現状である。即ち、従来技術の範囲で
は、AlGaInP系のレーザ構造に特有の電子のオー
バーフローという問題が十分には解決されていなかっ
た。
【0006】同様に、1300nm帯で発振する赤外レ
ーザについても、電子のオーバーフロー現象による温度
特性の悪化は、次の理由から問題になっている。即ち、
この波長帯のレーザは光加入者系で用いられるため、実
用化のためには、低コストのモジュール化を図ることが
重要であるとの認識から、コスト削減の一つとして、モ
ジュールから温度調整機能を省くことが試みられてい
る。しかし、温度調整機能を省いたときに、600nm
帯の可視光レーザと同様に、活性層からp型クラッドへ
の電子のオーバーフロー現象が発生し、しきい値電流増
加の原因となっていて、1300nm帯のレーザについ
ても、同様に、従来、提案されている方法では電子のオ
ーバーフロー問題を十分には解決することが難しかっ
た。
【0007】そこで、本発明の目的は、活性層からpク
ラッド層への電子のオーバーフローを抑制して、温度特
性の良好な半導体レーザを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、活性層か
らpクラッド層への電子のオーバーフローのメカニズム
を研究した結果、伝導帯Γ点のエネルギーよりも伝導帯
X点のエネルギーの方が低い間接遷移型の混晶であっ
て、基板の格子定数よりも格子定数を小さくして伸張歪
を導入した半導体層を活性層とp−クラッド層との間に
電子のストッパとして機能させることにより、電子のオ
ーバーフローを抑制することを着想し、本発明を完成す
るに到った。
【0009】以下に、更に詳しく、本発明の基礎になる
現象を説明する。従来、半導体レーザに用いられる混晶
半導体材料の殆どは、図1(a)に示すように、伝導帯
Γ点のエネルギーがX点のエネルギーよりも低い、いわ
ゆる直接遷移型の混晶であった。また、近年、意図的に
格子定数が基板と異なる半導体材料を層構造に用いるこ
とも盛んになって来ているが、これも主に歪を導入した
量子井戸活性層として利用するもので、歪を導入する量
子井戸構造の活性層は直接遷移型の半導体層であった。
稀に、間接遷移型の半導体層を用いることはあっても、
その半導体層は、図1(b)に示すように、基板に格子
整合しているものであった。
【0010】このような事情から、歪を導入した間接遷
移型の混晶の伝導帯のΓ点の挙動は調べられているもの
の、歪を導入した混晶の伝導帯のX点の特性は知られて
いない。一般に、歪が導入されると、間接遷移型の混晶
の伝導帯のエネルギーが変化する。その変化の大きさ
は、歪の大きさと、変形ポテンシャルの大きさとにより
決定され、伝導帯に対しては静水圧下の変形ポテンシャ
ルが関与する。伝導帯のΓ点のエネルギーは、圧縮歪の
ときに増加し、伸張歪のときには減少する。一般に、圧
縮歪が導入される組成ではバンドギャップが小さく、伸
張歪が導入される組成ではバンドギャップが大きいの
で、歪みを導入した量子井戸構造において、例えば電子
の閉じ込めをよくするために、バンドギャップの大きい
組成を用いても、歪の効果によって伝導帯エネルギーが
低下し、その効果はあまり大きくないことになる。
【0011】伸張歪の導入された間接遷移型の混晶で
は、上述の静水圧下の変形ポテンシャルの変化はΓ点に
対するものとX点に対するものの間で異なり符号が逆に
なるために、歪導入によるエネルギーの変化は相互に逆
方向になり、伸張歪の導入されるようなバンドギャップ
の大きい組成では、図1(c)に示すように、伝導帯の
Γ点は下降し、X点は上昇することになる。間接遷移型
の混晶は、X点の方がΓ点よりもエネルギーが低いた
め、このX点エネルギーの上昇は、伸張歪間接遷移型半
導層の伝導帯のバンド端不連続ΔEcを増大し、バンド
ギャップを大きくして電子の閉じ込め効果を増大させる
ことになり、電子のオーバーフローを抑制するための障
壁層として適している。
【0012】一方、価電子帯エネルギーは、常に、Γ点
が極大である。価電子帯のエネルギー準位は、歪が導入
されることによって、図1(c)に示すように、重い正
孔に対するエネルギーと軽い正孔に対するエネルギーと
に分裂する。伸張歪が導入されるようなバンドギャップ
の大きい組成の場合、歪による価電子帯エネルギーレベ
ルの変化の方向は、軽い正孔に対するエネルギーが上昇
するために、結果的にバンド端不連続ΔEvを減少さ
せ、バンドギャップを低減させる方向である。従って、
上記のような伸張歪を導入した間接遷移型の混晶は、電
子に対するエネルギー障壁にはなるものの、正孔に対し
てほとんど障壁とならない。
【0013】以上の知見に基づいて、本発明に係る半導
体レーザは、活性層とp型クラッド層との間に伸張歪を
有する間接遷移型の混晶半導体層を有することを特徴と
している。好適には、間接遷移型の混晶半導体層の伸張
歪の大きさが3%以下であるように混晶半導体層の組成
を構成する。また、好適な実施態様は、Ga As 基板上
のAlGaInP系の半導体レーザであって、基板及び
活性層が、それぞれGaAs及び(Al)GaInPで
あって、間接遷移型の混晶半導体層が、AlGaInA
sP、AlGaInP、AlInP、GaInP及びG
aAsPのうちのいずれかである。また、別の好適な実
施態様は、InP基板上に格子整合させたInP系の半
導体レーザであって、基板及び活性層が、それぞれIn
P及びGaInAs(P)であって、間接遷移型の混晶
半導体層が、AlGaInAs、AlInAs及びAl
InAsPのうちのいずれかである。
【0014】Ga As 基板上の成膜されたGaInAs
P混晶、AlInAsP混晶、AlGaAsP混晶及び
AlGaInP混晶について、計算により等歪線及び直
接遷移型と間接遷移型の境界線を求めて、それぞれ、図
2(a)、図3(a)、図4(a)及び図5(a)に示
した。また、同じくGa As 基板上の成膜された格子整
合するGaInAsP混晶、AlInAsP混晶、Al
GaAsP混晶及びAlGaInP混晶について、計算
により伝導帯エネルギーのΓ点、X点のうちエネルギー
のより低い方の等高線を求めて、それぞれ、図2
(b)、図3(b)、図4(b)及び図5(b)に示し
た。図中、斜線表示の範囲は、伸張歪が3%以下の範囲
を示している。ところで、GaAs基板に格子整合する
混晶のうち、伝導帯のエネルギーの最も高い組成は(A
0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 Pであり、伝導帯のエネ
ルギーは、Ga As の価電子帯を基準として1.85e
V程度であるのに対して、図2から図5に示すいずれの
混晶においても、伸張歪の導入された間接遷移型の混晶
領域には、伝導帯のエネルギーが1.85eVより大き
な領域が存在する。よって、この領域の混晶を用いるこ
とにより、従来技術に比べて、電子のオーバーフローを
効果的に抑制することができる。
【0015】図6(a)は、InP基板上に格子整合す
るAlGaInAs混晶について、等歪線、直接遷移型
と間接遷移型の境界線を示した。また、図6(b)は、
InP基板上のAlGaInAs混晶の伝導帯エネルギ
ーのΓ点、X点のうち、よりエネルギーの低い方を等高
線表示したものである。ところで、InP基板の場合
は、InPに格子整合する混晶のうち、伝導帯のエネル
ギーの最も高い組成はAl0.48In0.52Asであり、そ
の伝導帯のエネルギーは、Ga As の価電子帯を基準と
して1.6eV程度であるのに対して、図6に示す示す
混晶においても、伸張歪の導入された間接遷移型の混晶
領域には、伝導帯のエネルギーが1.6eVより大きな
領域が存在する。よって、この領域の混晶を用いること
により、従来技術に比べて、電子のオーバーフローを効
果的に抑制することができる。
【0016】伸張歪が大きいほど、伝導帯のエネルギー
準位は高くなって、電子のオーバーフロー抑制効果が大
きいが、歪量が大きく、しかも膜厚の厚い層を良好に結
晶成長させることは難しく、歪量を大きくするには、膜
厚を薄する必要がある。一般に、歪に起因する転位が発
生しないようにするためには、膜厚×歪量が30nm%
以下程度であることが望ましい。一方、エネルギー障壁
が存在してもその障壁の膜厚が薄いと、電子はトンネリ
ングによって通過してしまうため、トンネリングを抑制
するには膜厚は10nm程度以上が必要である。従っ
て、トンネリングを抑制しつつ、電子のオーバーフロー
を抑制するには、伸張歪の量を3%以下にすることが望
ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
例を挙げて、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説
明する。実施例1 本実施例は、AlGaInP系の半導体レーザに本発明
に係る半導体レーザの構成を適用した実施例であって、
図7は本実施例の半導体レーザの層構造を示す基板断面
図、図8(a)は実施例1の半導体レーザの活性層付近
の伝導帯エネルギー模式図、及び図8(b)は図8
(a)に対応する従来構造の半導体レーザの活性層付近
の伝導帯エネルギー模式図である。本実施例の半導体レ
ーザ10は、図7に示すように、GaAs基板12上に
作製したAlGaInP系の半導体レーザであって、活
性層18とp型クラッド層22との間に伸張歪の大きさ
が2%の電子ストッパ層20を有する。
【0018】本半導体レーザ10は、n型GaAs基板
12上に、順次、エピタキシャル成長したn−GaAs
バッファ層14、n−(Al0.7 Ga0.3 0.5 In
0.5 P下部クラッド層16、真性のGaInP活性層1
8、伸張歪2%で厚さ10nmのAl0.81In0.19P伸
張歪電子ストッパ層20、p−(Al0.7 Ga0.3 0.
5 In0.5 P第1上部クラッド層22、及びp−GaI
nPエッチングストップ層24を備えている。その上に
メサ構造のp−(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0. 5 Pの
第2上部クラッド層26、及びp−GaInPの中間層
28を有し、メサ構造の両側にはn−GaAs電流阻止
層30が形成されている。更に、全面に成膜されたp−
GaAsコンタクト層32を介して上部電極34、及び
基板12の下側に下部電極36を電極として有する。
【0019】以下に、本半導体レーザ10の作製方法を
説明する。本半導体レーザ10の作製方法は、活性層1
8上に電子ストッパ層20を成膜することを除いて、従
来の半導体レーザの作製方法と同様である。先ず、n型
GaAs基板12上に、順次、バッファ層14、下部ク
ラッド層16、活性層18、伸張歪電子ストッパ層2
0、第1上部クラッド層22、エッチングストップ層2
4、第2上部クラッド層26、及び中間層28をMOC
VD法によりエピタキシャル成長する。次いで、中間層
28上にSiNなどの絶縁膜を堆積し、フォトリソグラ
フィ及び化学エッチングにより第2上部クラッド層26
及び中間層28をエッチングストップ層24までエッチ
ングしてメサ構造を形成する。絶縁膜を残したまま、2
回目のMOCVD成長により電流阻止層30を成膜し
て、メサ構造を埋め込む。次いで、絶縁膜を除去し、3
回目のMOCVD成長によりコンタクト層32を全面に
成長する。更に、コンタクト層30上に上部電極34、
基板12の下側に下部電極36を作製して、図7に示す
ような半導体レーザ10を完成する。
【0020】実施例1の半導体レーザ10を評価するた
めに測定したところ、閾値電流は40mA、発振波長は
652nmであった。また、閾値電流の温度依存性を評
価するために、特性温度T0を測定したところ、T0は約
120Kとなった。活性層付近のポテンシャルは、図8
(a)に示す通りである。
【0021】比較のために、活性層と第1上部クラッド
層との間に電子ストッパ層が形成されていないことを除
いて、実施例1の半導体レーザ10と同じ構成を有する
従来構造の半導体レーザを比較例として作製した。比較
例の第1上部クラッド層は、実施例1の半導体レーザ1
0の電子ストッパ層20と第1上部クラッド層22の膜
厚の和に等しい膜厚を有する。比較例の半導体レーザの
特性を測定したところ、閾値電流は45mA、発振波長
は652nmであった。また、閾値電流の温度依存性を
評価するために、特性温度T0を測定したところ、T0は
約60Kとなった。活性層付近のポテンシャルは、図8
(b)に示す通りである。
【0022】実施例2〜4 実施例2〜4は、本発明に係る半導体レーザの別の実施
例であって、電子ストッパ層として、それぞれ、膜厚が
10nmで伸張歪2%のp−(Al0.15Ga0. 850.8
In0.2P層、伸張歪の2.5%のp−GaAs0.25
0.75層、及び伸張歪2%のGa0.8In0.2P層を用いた
ことを除いて、実施例1と同じ構成の半導体レーザを実
施例2、3及び4として実施例1と同様にして作製し
た。実施例2〜4の半導体レーザを実施例1と同様にレ
ーザ特性を測定したところ、閾値電流はいずれも40m
Aであり、特性温度T0 はいずれも120Kから130
Kであった。また、実施例2〜4の活性層付近のエネル
ギー構造は、図9(a)、(b)及び(c)に示す通り
であった。
【0023】比較例との対比から明らかなように、実施
例1〜4の半導体レーザは、伸張歪を有する間接遷移型
半導体層を電子ストッパ層として用いることによりpク
ラッド層への電子のオーバーフローが抑制され、特性温
度T0が比較例より著しく高く、レーザの温度特性が大
幅に改善されていることが判る。また、閾値電流値も比
較例より低い。
【0024】実施例5 実施例5は、InP系の半導体レーザに本発明に係る半
導体レーザの構成を適用した実施例であって、図10は
本実施例の半導体レーザの層構造を示す断面図である。
本実施例の半導体レーザ40は、図10に示すように、
InP基板42上に作製したInP系の半導体レーザで
あって、活性層48とp型クラッド層54との間に伸張
歪の大きさが2%の電子ストッパ層52を有する。本実
施例の半導体レーザ40は、図10に示すように、n型
InP基板42と、基板42上に、順次、エピタキシャ
ル成長した、n−InP下部クラッド層44、GaIn
AsP−SCH層46、GaInAsP活性層48、G
aInAsP−SCH層50、膜厚10nmで伸張歪2
%のAl0.8In0.2As電子ストッパ層52を有し、下
部クラッド層44の上部、SCH層46、活性層48、
SCH層50及び電子ストッパ層52はメサ構造として
形成されている。メサ構造の上及び両側には、p−In
P上部クラッド層54を有し、更にn−InP電流阻止
層56が上部クラッド層54内をメサ構造に向かって進
入している。上部クラッド層54上には、p−InGa
Asからなるコンタクト層58を介して全面に上部電極
60及び基板42の下側に下部電極62が電極として形
成されている。
【0025】以下に、本半導体レーザ40の作製方法を
説明する。本半導体レーザ40の作製方法は、活性層4
8上にSCH層50を介して電子ストッパ層52を成膜
することを除いて、従来の半導体レーザの作製方法と同
様である。n型InP基板42上に、順次、下部クラッ
ド層44、SCH層46、活性層48、SCH層50及
び電子ストッパ層52をMOCVD法によりエピタキシ
ャル成長させる。次いで、電子ストッパ層52上にSi
Nなどの絶縁膜を堆積し、フォトリソグラフィ及び化学
エッチングにより下部クラッド層44の上部まで一部領
域を除いて除去し、メサ構造を形成する。続いて、絶縁
膜を残したまま2回目のMOCVD成長により上部クラ
ッド層54及び電流阻止層56を成膜する。絶縁膜を除
去し、3回目のMOCVD成長により全面に更に上部ク
ラッド層54を成長し、続いてコンタクト層58を成長
させる。次に、上部電極60及び下部電極62を作製し
て、半導体レーザ40を完成する。
【0026】実施例5の半導体レーザ40を評価するた
めに、半導体レーザ40の特性を測定したところ、閾値
電流は15mA、発振波長は1310nmであった。ま
た、閾値電流の温度依存性を評価するために、特性温度
T0を求めたところ、T0は約180Kとなった。比較の
ために、活性層と上部クラッド層との間に電子ストッパ
層が形成されていないことを除いて、実施例5の半導体
レーザ40と同じ構成を有する従来構造の半導体レーザ
を比較例として作製し、比較例の半導体レーザの特性を
測定したところ、閾値電流は15mA、特性温度T0は
約80Kとなった。比較例との対比から明らかなよう
に、実施例5の半導体レーザは、伸張歪を有する間接遷
移型半導体層を電子ストッパ層として用いることにより
pクラッド層への電子のオーバーフローが抑制され、特
性温度T0が比較例より著しく高く、レーザの温度特性
が大幅に改善されていることが判る。
【0027】上記の実施例では、バルク構造の活性層と
して構成したが、活性層を量子井戸構造としても同様の
効果を奏すること言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】本発明の構成によれば、活性層とp側ク
ラッド層との間に伸張歪を有する間接遷移型の混晶半導
体層を電子ストッパとして介在させることにより、活性
層からpクラッド層への電子のオーバーフローを抑制
し、温度特性の良好な半導体レーザ素子を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、
伸張歪を導入した間接遷移型混晶のエネルギーレベルを
説明するための模式図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、それぞれ、GaAs
に格子整合するGaInAsP混晶の等歪線、直接遷移
型・間接遷移型の境界線、及び、伝導帯のΓ点・X点の
うち低い方のエネルギーの等高線を表示し、かつ斜線領
域は、間接遷移で伸張歪3%以下の領域を示す。
【図3】図3(a)及び(b)は、それぞれ、GaAs
に格子整合するAlInAsP混晶の等歪線、直接遷移
型・間接遷移型の境界線、及び、伝導帯のΓ点・X点の
うち低い方のエネルギーの等高線を表示し、かつ斜線領
域は、間接遷移で伸張歪3%以下の領域を示す。
【図4】図4(a)及び(b)は、それぞれ、GaAs
に格子整合するAlGaAsP混晶の等歪線、直接遷移
型・間接遷移型の境界線、及び、伝導帯のΓ点・X点の
うち低い方のエネルギーの等高線を表示し、かつ斜線領
域は、間接遷移で伸張歪3%以下の領域を示す。
【図5】図5(a)及び(b)は、それぞれ、GaAs
に格子整合するAlGaInP混晶の等歪線、直接遷移
型・間接遷移型の境界線、及び、伝導帯のΓ点・X点の
うち低い方のエネルギーの等高線を表示し、かつ斜線領
域は、間接遷移で伸張歪3%以下の領域を示す。
【図6】図6(a)及び(b)は、それぞれ、InPに
格子整合するAlGaInAs混晶の等歪線、直接遷移
型・間接遷移型の境界線、及び、伝導帯のΓ点・X点の
うち低い方のエネルギーの等高線を表示し、かつ斜線領
域は、間接遷移で伸張歪3%以下の領域を示す。
【図7】GaAs基板上に作製したAlGaInP系6
00nm帯半導体レーザの実施例1の断面図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、それぞれ、実施例1
の半導体レーザと従来構造の素子の活性層付近の伝導帯
エネルギー模式図である。
【図9】図9(a)、(b)及び(c)は、実施例2〜
4の半導体レーザの活性層付近の伝導帯エネルギーの模
式図である。
【図10】InP基板上に作製したInP系1300n
m帯半導体レーザの断面図である。
【符号の説明】
10 実施例1の半導体レーザ 12 n型GaAs基板 14 n−GaAsバッファ層 16 n−(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P下部ク
ラッド層 18 真性GaInP活性層 20 伸張歪2%Al0.81In0.19P電子ストッパ層 22 p−(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P第1上
部クラッド層 24 p−GaInPエッチングストップ層 26 p−(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P第2上
部クラッド層 28 p−GaInP中間層 30 n−GaAs電流阻止層 32 p−GaAsコンタクト層 34 上部電極 36 下部電極 40 実施例5の半導体レーザ 42 n型InP基板 44 n−InP下部クラッド層 46 GaInAsP−SCH層 48 GaInAsP活性層 50 GaInAsP−SCH層 52 伸張歪2%Al0.8In0.2As電子ストッパ層 54 p−InP上部クラッド層 56 n−InP電流阻止層 58 p−InGaAsコンタクト層 60 上部電極 62 下部電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層とp側クラッド層との間に伸張歪
    を有する間接遷移型の混晶半導体層を有することを特徴
    とする半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 間接遷移型の混晶半導体層の伸張歪の大
    きさが3%以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 基板及び活性層が、それぞれGaAs及
    び(Al)GaInPであって、間接遷移型の混晶半導
    体層が、AlGaInAsP、AlGaInP、AlI
    nP、GaInP及びGaAsPのうちのいずれかであ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レー
    ザ。
  4. 【請求項4】 基板及び活性層が、それぞれInP及び
    GaInAs(P)であって、間接遷移型の混晶半導体
    層が、AlGaInAs、AlInAs及びAlInA
    sPのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の半導体レーザ。
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