JPH10304885A - 光学活性アルコール化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性アルコール化合物の製造方法

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JPH10304885A
JPH10304885A JP10047262A JP4726298A JPH10304885A JP H10304885 A JPH10304885 A JP H10304885A JP 10047262 A JP10047262 A JP 10047262A JP 4726298 A JP4726298 A JP 4726298A JP H10304885 A JPH10304885 A JP H10304885A
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acyl
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ala
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博道 太田
Takeshi Sukai
威 須貝
Takeshi Ishii
毅 石井
Masaru Mitsuta
賢 光田
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】化粧品や医薬品等として有用な光学活性アルコ
ール化合物の製造方法として、操作が煩雑でなく、多工
程を要さず、安全性に優れた手法を提供する。 【解決手段】一般式 化1 で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2R,
3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能力を有す
るエステル加水分解酵素を、一般式 化1で示されるN-
アシルスフィンゴイドエステルに作用させた後、反応液
から前記N-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)体
を回収し、これをエステル加水分解することにより、一
般式 化2 (R1、R2は脂肪族炭化水素基を、R3、R4はアシル基を
R5、R6は水素又はアシル基を表す)で示される光学活性
アルコール化合物を得ることを特徴とする光学活性アル
コール化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】光学活性アルコール化合物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式 化3
【0003】
【化3】
【0004】(式中、R1及びR2は、同一又は相異なっ
て、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい
炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素を表し、R5
びR6は、少なくともその一方が水素原子を表し、他方は
水素原子又は炭素原子2個から7個のアシル基を表
す。)で示される光学活性アルコール化合物は、毛髪及
び肌の手入れ等の為の化粧品や医薬品又はそれらの製造
中間体として有用である。これらの化合物は、通常、牛
やブタなどの動物の表皮組織から主に抽出分離されてい
るが、その生産量が限定され、また、その安定供給が困
難である等の問題点があった。最近では、有機合成化学
的手法による光学活性スフィンゴイドの不斉合成法が報
告されており、また、該光学活性スフィンゴイドを、例
えば、N−スクシミジルオクタデカノエイトを用いN−
アシルスフィンゴイドに導く方法も知られている[R.Ju
lina等、Helvetica Chemica Acta, 69, p.368(198
6)]。かかる有機合成化学的手法による光学活性スフィ
ンゴイドの不斉合成法としては、例えば、式 化4をSh
arpless不斉エポキシ化して式 化5で示されるエポキ
シ化合物を合成し、式 化6で示されるオキサゾリジノ
ン化合物を経由して、光学活性な式 化7を得る方法が
R.Julina等、 Helevetica Chimica Acta, 69,p.368 (19
86)等に記載されている。
【0005】
【化4】
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】また、Z-ブテン-1,4-ジオールを出発原料
に、Sharpless酸化、アジドによるエポキシドの開裂を
経て、アルデヒドへの酸化、Wittig反応、光異性化を経
て、光学活性な式 化7で示される化合物を合成する方
法がH.Shibuya等、Tetrahedron Letters, 30, p.7205
(1989)等に、Evansのキラル補助剤を用いる方法がK.C.N
icolaou等、J.Am.Chem.Soc., 110, p.7910 (1988)等
に、2-N-アシルアミノ-高級アシル酢酸エステル化合物
をルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不
斉水素化を行うことにより不斉炭素を制御する方法が特
開平6-80617等に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの有機
合成化学的手法による製法は、操作の煩雑性、必要工程
数、反応資材の安全性および使用量等の点で、工業的に
実施する方法としては、必ずしも満足できる方法とは言
い難い。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは、より簡便で、また安全性に富み、工業的規模
での実施にも好適な前記式 化3で示される光学活性ア
ルコール化合物の製造方法につき鋭意検討を行った結
果、特定の能力を有するエステル加水分解酵素を用いる
生化学的手法を見出し、本発明に至った。すなわち、本
発明は、 1)一般式 化8
【0012】
【化8】
【0013】(式中、R1及びR2は、同一又は相異なっ
て、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい
炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基を表し、R3
及びR4は、同一又は相異なって、炭素原子2個から7個
のアシル基を表す。)で示されるN-アシルスフィンゴイ
ドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部位を不
斉水解する能力を有するエステル加水分解酵素を、一般
式 化8で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルに
作用させ、これを不斉水解した後、反応液から未反応の
前記N-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)体を回
収し、これをエステル加水分解することにより、一般式
化9
【0014】
【化9】
【0015】(式中、R1及びR2は、同一又は相異なっ
て、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい
炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基を表し、R5
及びR6は、少なくともその一方が水素原子を表し、他方
は水素原子、又は炭素原子2個から7個のアシル基を表
す。)で示される光学活性アルコール化合物を得ること
を特徴とする光学活性アルコール化合物の製造方法(以
下、本発明製造方法と記す。)、 2)一般式 化8で示されるN-アシルスフィンゴイドエ
ステルがエリトロ体である前項1記載の光学活性アルコ
ール化合物の製造方法、 3)エステル加水分解酵素が、配列番号1で示されるア
ミノ酸配列又は該アミノ酸配列における1もしくは複数
のアミノ酸が付加、欠失、もしくは置換された配列を有
する蛋白質であることを特徴とする前項1又は2記載の
光学活性アルコール化合物の製造方法、を提供するもの
である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明製造方法の原料として用いられる、一般式 化1
【0017】
【化10】
【0018】(式中、R1及びR2は、同一又は相異なっ
て、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい
炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基を表し、R3
及びR4は、同一又は相異なって、炭素原子2個から7個
のアシル基を表す。)で示されるN-アシルスフィンゴイ
ドエステルにおいて、R1及びR2で表される1個以上のヒ
ドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個から
31個の脂肪族炭化水素基としては、例えば、1個以上
のヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子7
個から31個の直鎖又は分枝のアルキル基、1個以上の
二重結合を有しかつ1個以上のヒドロキシル基で置換さ
れていてもよい、炭素原子7個から31個の直鎖又は分
枝のアルケニル基等を挙げることができる。好ましく
は、1個から3個程度のヒドロキシル基で置換されてい
てもよい、炭素原子7個から31個の直鎖又は分枝のア
ルキル基、1個から3個程度の二重結合を有しかつ1個
から3個程度のヒドロキシル基等で置換されていてもよ
い、炭素原子7個から31個の直鎖又は分枝のアルケニ
ル基等があげられる。具体的には、例えば、ヘプチル
基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、
ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノ
ナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシ
ル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル
基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル
基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコン
チル基、1−トリデセニル基、1−テトラデセニル基、
1−ペンタデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−ヘ
プタデセニル基、1−オクタデセニル基、1−ノナデセ
ニル基、1−エイコセニル基、1−ヒドロキシトリデシ
ル基、1−ヒドロキシテトラデシル基、1−ヒドロキシ
ペンタデシル基、1−ヒドロキシヘキサデシル基、1−
ヒドロキシヘプタデシル基、1−ヒドロキシオクタデシ
ル基、1−ヒドロキシノナデシル基、1−ヒドロキシエ
イコシル基、1−ヒドロキシヘンエイコシル基、1−ヒ
ドロキシドコシル基、1−ヒドロキシトリコシル基、1
−ヒドロキシテトラコシル基、1−ヒドロキシペンタコ
シル基、1−ヒドロキシヘキサコシル基、1−ヒドロキ
シヘプタコシル基、12−メチル−トリデシル基、14
−メチル−ペンタデセニル基、メチルヘプタデシル基等
を挙げることができる。R3及びR4で表される炭素原子2
個から7個のアシル基としては、例えば、式化11
【0019】
【化11】
【0020】(式中、R7は、炭素原子1個から6個のア
ルキル基を表す。)で示されるアルキルカルボニル基等
を挙げることができる。より具体的には例えば、アセチ
ル基、プロピオニル基、ブチリル基等を挙げることがで
きる。好ましくは、例えばアセチル基が挙げられる。
【0021】一般式 化10で示されるN-アシルスフィ
ンゴイドエステルは、対応するN-アシルスフィンゴイド
を、例えば、T.Kolter等、Tetrahedron, 50, p.13425
(1994)等に記載の方法に準じて合成し、これをエステル
化することにより製造することができる。
【0022】このようなN-アシルスフィンゴイドエステ
ルの具体的な例としては、例えば、N-エイコサノイル-
1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオー
ル、N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘプ
タデカン-1,3-ジオール、N-エイコサノイル-1,3-O-ジア
セチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、N-エ
イコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノオクタデカン
-1,3,4-トリオール、N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチ
ル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオール、N-エイコサノイ
ル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオー
ル、N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘン
エイコサン-1,3-ジオール、N−オクタデカノイル-1,3-O
-ジアセチル-2-アミノ-15-メチルヘキサデカン-1,3-ジ
オ−ル、N−オクタデカノイル-1,3-O−ジアセチル-2-
アミノドコサン−1,3−ジオール、N−オクタデカノイ
ル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノ-4-ヘキサデセン-1,3-ジ
オール、N−オクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-ア
ミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、N−オクタデカノ
イル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノオクタデカン-1,3,4-
トリオール、N−オクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-
2-アミノ-4-ヘプタデセン-1,3-ジオール、N−オクタデ
カノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノ-4-エイコセン-1,
3-ジオール、N−2’-ヒドロキシオクタデカノイル-1,3
-O-ジアセチル-2-アミノ-15-メチルヘキサデカン-1,3-
ジオール、N−2’-ヒドロキシヘキサデカノイル-1,3-O
-ジアセチル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、N
−2’-ヒドロキシヘキサデカノイル-1,3-O-ジブチリル-
2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、N−2’-ヒドロ
キシエイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-オ
クタデセン-1,3-ジオール、N−2’-ヒドロキシエイコ
サノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノオクタデカン-1,
3,4-トリオール、N−2’-ヒドロキシテトラコサノイル
-1,3-O-ジアセチル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオー
ル、N−2’-ヒドロキシヘキサコサノイル-1,3-O-ジブ
チリル-2-アミノヘプタコサン-1,3-ジオール、N−ドコ
サノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-15-メチルヘキサ
デカン-1,3-ジオール、N−テコラコサノイル-1,3-O-ジ
アセチル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、N−ヘ
キサコサノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノヘキサデカ
ン-1,3-ジオール、N−メチルオクタデカノイル-1,3-O-
ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N−ペンタコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-
ドコセン-1,3-ジオール、N−ペンタコサノイル-1,3-O-
ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N−ペンタコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノエイ
コサン-1,3-ジオール等を挙げられるが、これらに限ら
れるものではない。
【0023】本発明製造方法において原料として用いら
れる、一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイ
ドエステルとしては、好ましくは、エリトロ体でありそ
の立体配置が(2S,3R)体および(2R,3S)体である異性体の
任意の混合物をあげることができる。
【0024】本発明製造方法に使用しうるエステル加水
分解酵素としては、一般式 化10で示されるN-アシル
スフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部
位を選択的に不斉水解する能力を有する酵素であればよ
い。このような能力を有するエステル加水分解酵素は、
狭義のリパーゼを含むエステラーゼやプロテアーゼ等で
あり、ブタ、ヒト等の動物由来でも、ヒマ等の植物由来
でも、アスペルギルス属、キャンディダ属、フザリウム
属、ジオトリカム属、ムコール属、ノカルディア属、ペ
ニシリウム属、リゾプス属、サッカロマイセス属、アク
ロモバクター属、アシネトバクター属、アルカリジェネ
ス属、クロモバクテリウム属、エシェリヒア属、シュー
ドモナス属、スフィンゴモナス属、バチルス属、バーク
ホルデリア属、モレキセラ属、ラクトバチルス属、スタ
フィロコッカス属、セラチア属、ヤロウイア属等に属す
る微生物由来でもかまわない。また、これらのエステル
加水分解酵素の遺伝子を組換えDNA技術により単離し、
同じ属に属する宿主細胞又は異なる属に属する宿主細胞
に導入することにより得られた形質転換体が産生するエ
ステル加水分解酵素でもよい。
【0025】より具体的なエステル加水分解酵素の例と
しては、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する蛋
白質、又は配列番号1で示されるアミノ酸配列における
1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換さ
れた配列を有し、かつ、一般式 化10で示されるN-ア
シルスフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエス
テル結合部位を不斉水解する能力を有する蛋白質を挙げ
ることができる。「配列番号1で示されるアミノ酸配列
を有する蛋白質」は、例えば、ブダペスト条約下におい
てFERM-BP5740として通商産業省工業技術院生命工学工
業技術研究所に寄託(受理日:平成8年11月7日)さ
れている微生物(E.coli JM109 / pAL612株)から調製
することができる。また、「配列番号1で示されるアミ
ノ酸配列における1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠
失もしくは置換された配列を有し、かつ、一般式 化1
0で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2
R,3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能力を
有する蛋白質」は、例えば、配列番号2で示される塩基
配列またはその部分塩基配列を有するDNAをプローブ
として、「クローニングとシークエンス」(渡辺格監
修、杉浦昌弘編集、1989、農村文化社発行)等に記
載されるハイブリダイゼーション方法を利用して上記の
動物、植物、または微生物由来の遺伝子ライブラリーを
スクリーニングすることによりその遺伝子を特定、単離
し、得られた遺伝子を微生物等の宿主細胞に発現させる
ことにより、調製することができる。また、例えば、配
列番号2で示される塩基配列を有する遺伝子に、Molecu
lar Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laborator
y Press(1989)等に記載の通常の変異導入方法により、
アミノ酸が付加、欠失、または置換される変異を導入
し、得られた遺伝子を微生物等の宿主細胞に発現させる
ことにより、調製することもできる。
【0026】本発明製造方法において用いられるエステ
ル加水分解酵素は、それ自体を含有する微生物又は細胞
の培養物の形で反応に利用しても良いが、該培養物また
は当該エステル加水分解酵素を含有する組織から分離し
て粗酵素や精製酵素等の形で反応に利用しても良い。こ
のような粗酵素や精製酵素等は、例えば、1)超音波処
理、2)ガラスビーズ又はアルミナを用いる摩砕処理、
3)フレンチプレス処理、4)リゾチーム等の酵素処
理、5)ワーリングブレンダー処理等により菌体、細
胞、または組織等を破砕し、得られた破砕物から6)硫
安などを用いる塩析、7)有機溶媒、ポリエチレングリ
コール等の有機ポリマーによる沈澱、8)イオン交換ク
ロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過
クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ
ー等の各種のクロマトグラフィー、9)電気泳動等の通
常の方法により調製することができる。さらにまた、エ
ステル加水分解酵素を、共有結合、イオン結合、吸着な
どにより担体に結合させる担体結合法、高分子の網目構
造の中に閉じ込める包括法等の固定化の方法によって不
溶化し、反応液から容易に分離可能な状態に加工した固
定物の形で利用することもできる。
【0027】不斉水解時の反応温度としては、約20℃か
ら約70℃、好ましくは、約25℃から約40℃の範囲を挙げ
ることができる。また該反応は、前記の一般式 化10
で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルを溶解する
有機溶媒と前記エステル加水分解酵素を溶解する緩衝液
の2層系で行うことがよい。必要に応じ、界面活性剤を
添加してもよい。反応溶媒としては、例えばデカンなど
を挙げることができ、緩衝液としては、pH約5〜pH約8の
通常の緩衝液を挙げることができる。反応時間は、約1
時間から約1週間である。反応液からの前記N-アシルス
フィンゴイドエステルの(2S,3R)体の回収に際しては、
例えば、溶媒抽出、分別蒸留、カラムクラマトグラフィ
ー等の方法を適宜用いることができる。このようにして
回収されたN-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)
体を、例えば、通常の方法でアルカリ加水分解すること
により、前記一般式 化9で示される光学活性アルコー
ル化合物を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるも
のではない。
【0029】実施例1 デカン10mlと100mM リン酸緩衝液(pH7.1)100mlの混合
液に、ラセミ体でありかつエリトロ体であるエリトロ-3
-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセ
テート1.03gと後記参考例1により調製されるエステル
加水分解酵素50mgを加え、30℃で、撹拌して反応を行っ
た。反応は、TLC[シリカゲル、クロロホルム:メタ
ノール(15:1)]で追跡した。2日間反応後、反応液を
酢酸エチルで抽出し、次いでクロロホルムで抽出を行っ
た。回収された有機溶媒層を塩水で洗浄後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、減圧濃縮を行うことにより残渣を得
た。得られた残渣を、シリカゲルカラムクトグラフィー
により分離した。溶出は、ヘキサン:酢酸エチル(5:
1)、次いでクロロホルム:メタノール(30:1)で行
った。溶出された(+)-(2S,3R)-エリトロ-3-アセトキシ-
2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテート(264.
9mg)の一部を加水分解した後、p-トルエンスルホン
酸、2,2-ジメトキシプロパン、アセトン存在下で(4R,5
S)-エリトロ-2,2-ジメチル-5-ステアロイルアミノ-4-ト
リデシル-1,3-ジオキサンに変換し、1H-NMRにて光学純
度を分析した結果、>95%e.e.であった。次に溶出された
(-)-(2R,3S)-エリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルア
ミノヘキサデカン-1-オール(481.8mg)の一部を加水分
解した後、(-)-(2R,3S)-エリトロ-2-ステアロイルアミ
ノ-1,3-ヘキサデカンジオールの旋光度と比較した結
果、光学純度は16%e.e.であった。さらに溶出された、
(-)-(2R,3S)-エリトロ-2-ステアロイルアミノ-1,3-ヘキ
サデカンジオール(214.8mg)の一部をp-トルエンスル
ホン酸、2,2-ジメトキシプロパン、アセトン存在下で、
(4S,5R)-エリトロ-2,2-ジメチル-5-ステアロイルアミノ
-4-トリデシル-1,3-ジオキサンに変換し、1H-NMRにて
光学純度を分析した結果、>95%e.e.であった。
【0030】実施例2 デカン0.1mlと100mM リン酸緩衝液(pH7.1)1.0mlの混合
液に、ラセミ体でありかつエリトロ体であるエリトロ-3
-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセ
テート10.2mgと参考例2により調製された固定化エステ
ル加水分解酵素10.8mgを加え、30℃で、撹拌して反応を
行った。反応は、TLC[シリカゲル、クロロホルム:
メタノール(15:1)]で追跡した。2日間反応後、実施
例1に準じて、生成物(+)-(2S,3R)-エリトロ-3-アセト
キシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテート
を分離した。分離されたアセテートの一部を加水分解し
た後、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジメチルアミ
ノピリジンの存在下でα-メトキシ-α-トリフルオロメ
チルフェニルアセテート(以下、MTPAと記す。)と作用
させ、bis-MTPAエステルに誘導してから1H-NMRにて光学
純度を分析した。(+)-(2S,3R)-エリトロ-3-アセトキシ-
2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテートが50%の
収率で得られ、その光学純度は>95%e.e.であった。
【0031】参考例1:エステル加水分解酵素の調製 大腸菌組換え体E.coli JM109/pAL612株(FERM-BP 574
0)を、50mg/Lのアンピシリンと1mMのイソプロピル チ
オ-β-D-ガラクトシドを含む100mlのLB培地(ディフ
コ(株)社製)で、37℃、16時間培養した後、遠心分離
(6000rpm、10分間)により集菌することにより菌体を
回収した。回収された菌体を、10mlの100mMリン酸緩衝
液(pH7.0)に懸濁した後、超音波破砕(10分間)し、該
破砕物を遠心分離することにより粗酵素抽出液を得た。
さらに得られた粗酵素抽出液を凍結乾燥することにより
粗酵素粉末を得た。
【0032】参考例2:エステル加水分解酵素の固定化 トライトンX-100(ユニオン カーハ゛イト゛ ケミカルス゛ アント゛ フ゜ラスティック
ス社登録商標)(300mg)を溶解した0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.0)10mlに、参考例1により得られた酵素粉末1gを加
えた後、氷水中でフロリシル[U.S.Silica Company登録
商標、シグマアルドリッチ ジャパン(株)販売](8.7
mg)を添加した。得られた混合物を-78℃で凍結した
後、凍結乾燥することにより、固定化粉末酵素(1.4
g)を得た。
【0033】
【発明の効果】本発明により、操作が煩雑でなく、多工
程を要さず、また安全性にも優れた生化学的手法による
前記式 化3で示される光学活性アルコール化合物の製
造方法を提供する。
【0034】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:363 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Met Ser Arg Ser Ile Arg Ala Lys Ala Val Ala Thr Val Val Ala Ile 1 5 10 15 Ala Met Asn Ala Ala Pro Ala Ala Ser Val Gly Thr Val Leu Ser Leu 20 25 30 Ala Gly Ala Gln Ala Ala Ser Ala Ala Thr Thr Ala Val Asp Asp Tyr 35 40 45 Ala Ala Thr Arg Tyr Pro Ile Ile Leu Val His Gly Leu Thr Gly Thr 50 55 60 Asp Lys Tyr Gly Gly Val Val Glu Tyr Trp Tyr Arg Ile Pro Glu Asp 65 70 75 80 Leu Arg Ala His Gly Ala Ala Val Tyr Val Ala Asn Leu Ser Gly Phe 85 90 95 Gln Ser Asp Asp Gly Pro Asn Gly Arg Gly Glu Gln Leu Leu Ala Phe 100 105 110 Val Lys Gln Val Leu Ala Ala Thr Gly Ala Gln Lys Val Asn Leu Ile 115 120 125 Gly His Ser Gln Gly Gly Leu Thr Ser Arg Tyr Val Ala Ser Val Ala 130 135 140 Pro Glu Leu Val Ala Ser Val Thr Thr Ile Ser Thr Pro His Trp Gly 145 150 155 160 Ser Gln Phe Ala Asp Phe Val Gln Gln Leu Leu Gln Thr Asp Pro Thr 165 170 175 Gly Leu Ser Ser Thr Val Leu Gly Ala Phe Ala Asn Ala Leu Gly Thr 180 185 190 Leu Thr Ser Ser Asn Phe Asn Thr Asn Gln Asn Ala Ile Gln Ala Leu 195 200 205 Ser Val Leu Thr Thr Ala Lys Ala Ala Ala Tyr Asn Gln Lys Phe Pro 210 215 220 Ser Ala Gly Leu Gly Ala Pro Gly Ser Cys Gln Thr Gly Ala Pro Thr 225 230 235 240 Glu Thr Val Gly Gly Asn Thr His Leu Leu Tyr Ser Trp Gly Gly Thr 245 250 255 Ala Ile Gln Pro Thr Ala Thr Val Ala Gly Val Thr Gly Ala Val Asp 260 265 270 Thr Ser Val Ser Gly Val Thr Asp Pro Ala Asn Ala Leu Asp Pro Ser 275 280 285 Thr Leu Ala Leu Leu Gly Ser Gly Thr Val Met Ile Asn Arg Ser Ala 290 295 300 Gly Pro Asn Asp Gly Val Val Ser Gln Cys Ser Ala Arg Phe Gly Gln 305 310 315 320 Val Leu Gly Thr Tyr His Trp Asn His Thr Asp Ala Ile Asn Gln Ile 325 330 335 Leu Gly Val Leu Gly Ala Asn Val Glu Asp Pro Val Ala Val Ile Arg 340 345 350 Thr Asp Ala Asn Arg Leu Lys Leu Ala Gly Val 355 360 363
【0035】配列番号:2 配列の長さ:1089 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列 ATG AGC AGA TCG ATA CGA GCG AAG GCA GTG GCG ACC GTG GTG GCG ATC 48 AAC GCG GCC CCG GCC GCG AGT GTT GGA ACC GTT CTG GCC ATG TCG CTG 96 GCC GGC GCA CAG GCC GCT TCC GCC GCG ACG ACC GCC GTT GAC GAC TAC 144 GCG GCG ACC CGG TAC CCG ATC ATT CTC GTG CAC GGG CTG ACC GGC ACC 192 GAC AAG TAC GGT GGC GTC GTC GAG TAC TGG TAT CGC ATT CCG GAG GAC 240 CTG CGG GCG CAC GGC GCG GCG GTA TAC GTT GCC AAC CTG TCC GGC TTC 288 CAG AGC GAC GAT GGC CCG AAC GGG CGT GGC GAG CAA TTG CTT GCA TTC 336 GTG AAG CAG GTG CTC GCG GCG ACG GGC GCG CAG AAG GTG AAT CTG ATC 384 GGC CAT AGC CAG GGC GGC CTG ACA TCG CGT TAT GTT GCG TCC GTT GCA 432 CCG GAA CTG GTC GCA TCG GTG ACG ACG ATC AGT ACG CCG CAC TGG GGC 480 TCG CAA TTC GCG GAC TTC GTC CAG CAA CTG TTG CAG ACG GAC CCG ACC 528 GGC CTG TCG TCG ACC GTG CTC GGC GCA TTC GCG AAT GCG CTC GGC ACG 576 TTG ACG AGC AGC AAC TTC AAT ACG AAC CAG AAT GCG ATT CAG GCG TTG 624 TCG GTG CTG ACG ACG GCA AAG GCC GCC GCA TAC AAC CAG AAA TTC CCG 672 AGC GCC GGT CTC GGT GCG CCG GGC TCG TGT CAA ACC GGC GCG CCA ACG 720 GAG ACT GTC GGC GGC AAT ACG CAT CTG CTT TAT TCG TGG GGC GGC ACG 768 GCG ATC CAG CCG ACA GCG ACG GTG GCC GGC GTG ACA GGG GCC GTC GAT 816 ACG AGC GTG AGC GGG GTC ACC GAT CCG GCG AAC GCG CTC GAT CCG TCA 864 ACG CTG GCA CTC CTC GGC AGC GGC ACG GTG ATG ATC AAT CGC AGC GCC 912 GGT CCG AAC GAT GGC GTC GTG TCG CAA TGC AGC GCG CGG TTT GGC CAG 960 GTG CTC GGC ACG TAT CAC TGG AAT CAC ACC GAT GCG ATC AAC CAG ATC 1008 CTC GGC GTG CTC GGC GCG AAT GTG GAG GAT CCG GTT GCG GTA ATC CGC 1056 ACG GAC GCG AAC CGG TTG AAG CTC GCA GGC GTG 1089
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光田 賢 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 化1 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、1個以上の
    ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個か
    ら31個の脂肪族炭化水素基を表し、R3及びR4は、同一
    又は相異なって、炭素原子2個から7個のアシル基を表
    す。)で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの
    (2R,3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能
    力を有するエステル加水分解酵素を、一般式 化1で示
    されるN-アシルスフィンゴイドエステルに作用させ、こ
    れを不斉水解した後、反応液から未反応の前記N-アシル
    スフィンゴイドエステルの(2S,3R)体を回収し、これを
    エステル加水分解することにより、一般式 化2 【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、1個以上の
    ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個か
    ら31個の脂肪族炭化水素基を表し、R5及びR6は、少な
    くともその一方が水素原子を表し、他方は水素原子、又
    は炭素原子2個から7個のアシル基を表す。)で示され
    る光学活性アルコール化合物を得ることを特徴とする光
    学活性アルコール化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】一般式 化1で示されるN-アシルスフィン
    ゴイドエステルがエリトロ体である請求項1記載の光学
    活性アルコール化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】エステル加水分解酵素が、配列番号1で示
    されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列における1もし
    くは複数のアミノ酸が付加、欠失、もしくは置換された
    配列を有する蛋白質であることを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の光学活性アルコール化合物の製造方
    法。
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