JPH10306821A - 動圧軸受の摺動安定化方法、および動圧軸受 - Google Patents

動圧軸受の摺動安定化方法、および動圧軸受

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JPH10306821A
JPH10306821A JP13051197A JP13051197A JPH10306821A JP H10306821 A JPH10306821 A JP H10306821A JP 13051197 A JP13051197 A JP 13051197A JP 13051197 A JP13051197 A JP 13051197A JP H10306821 A JPH10306821 A JP H10306821A
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JP
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sliding
dynamic pressure
bearing
rotating
motor
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JP13051197A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Okubo
克之 大窪
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 なじみ運転によってラップ仕上げと同等の表
面仕上げを行い、最終仕上げの手間を省ことにより、安
定な摺動特性を維持できる動圧軸受を安価に提供する。 【解決手段】 ラップ仕上げを施していない固定軸9お
よび回転軸10を用いて構成した動圧空気軸受20によ
り、ポリゴンモータを組み上げた。固定軸、回転軸はと
もに母材がアルミニウム合金からなり、回転摺動面にア
ルミナを主成分とする材料によるプラズマ溶射膜を形成
したものである。上記モータ(すなわち動圧空気軸受)
のなじみ運転を、室温・常圧のCHF3 ガス雰囲気中で
行ったところ、軸ロックなどの障害が発生することな
く、安定した運転を行うことができ、該運転後の固定
軸、回転軸の摺動面の表面精度はラップ仕上げと同等以
上のものとなった。上記なじみ運転後のモータは、従来
の最終仕上げ処理を行ったモータと同等の品質を有する
ものであり、そのまま使用に供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速で回転する小
型モータに用いられる、超精密加工の摺動面を有する動
圧空気軸受等の動圧軸受の摺動安定化方法(なじみ運転
方法)、該方法により作製される動圧軸受に関し、特に
デジタル複写機、レーザファクシミリ、レーザプリンタ
に用いられる高速回転型ポリゴンモータ等のモータの構
成に好適な動圧軸受の摺動安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル複写機、レーザファクシミリ、
レーザプリンタ等のレーザ書き込み系を用いた電子写真
方式の記録装置は印字品質の高さ、高速プリント、低騒
音などの優れた特長と低価格化により、急速に普及して
きている。これらの記録装置のレーザ書き込み系の構成
部品であるポリゴンモータ(ポリゴンスキャナ)には記
録装置のプリント速度、画素密度に応じた回転速度が要
求される。
【0003】近年、プリント速度の高速化、画素密度の
高密度化に伴い、ポリゴンモータには15,000〜2
0,000rpm以上の高速回転が要求されるため、軸
受として従来の玉軸受タイプのものを用いたのでは軸受
寿命、軸受騒音等の面から要求品質を満足することがで
きなくなってきた。このため、高速回転用のポリゴンモ
ータとしては、従来の玉軸受に代わって、溝付きの動圧
空気軸受を用いたものが実用化されている。
【0004】ここで、従来の動圧空気軸受の構造につい
て説明する。図2は、ポリゴンモータに配備される動圧
空気軸受の構造を示す縦断面図である。この動圧空気軸
受は、外筒部材である中空の回転軸51と、内筒部材
(軸受部材)である固定軸52とを備えている。固定軸
52の外周面に動圧発生用の溝52aが形成され、固定
軸52の外周面は軸受面(溝52aを除く)となってい
る。そして回転軸51、ロータマグネット53、ポリゴ
ンミラー54等により回転体61が構成されている。回
転軸51および固定軸52はアルミニウム合金からな
り、溝52aには、図示しないが防錆を兼ねて無電解ニ
ッケルめっきや、アルマイトなどの表面処理が施されて
いる。
【0005】ポリゴンモータの起動時および停止時にお
いて上記動圧空気軸受では、回転軸51と固定軸52の
軸受面との軸受摺動面(回転摺動面)は接触している
が、モータの起動により回転軸51が回転を開始する
と、回転軸51・固定軸52間の隙間、すなわち上記溝
52a内に動圧が発生し、この動圧によって回転軸51
が、固定軸52と非接触で支持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、上記構造の動圧
空気軸受の製造に際しては、回転軸51と固定軸52と
の摺動面の粗さを、研削加工によりRmaxを5μm程
度にした後、ラップ加工によってRmaxを0.5μm
程度に仕上げている。その理由は、このような表面仕上
げを施さないと、軸受のなじみ工程において摺動面上の
微小凸部が破壊して、必然的に微粒子状の軸受材料が回
転軸51・固定軸52間の隙間(軸クリアランス)に発
生し、これが軸受の他の部分を傷つける結果、大規模な
摩耗を引き起こす場合があるからである。しかし、上記
表面仕上げにはコストが少なからずかかるため、所望品
質の動圧空気軸受を安価に提供するのが難しいという問
題があった。
【0007】とくに、動圧空気軸受では、他の動圧軸受
に比べて上記軸クリアランスが小さいため、回転軸単体
および固定軸単体の(すなわち回転軸と軸受部材の)表
面精度を高めることが重要であることは勿論であるが、
実際にこれらが互いに摺動できる状態に組み上げたとき
の組上げ精度も重要である。したがって、なじみ運転
(ならし運転)を行って回転軸と軸受部材の相性を合わ
せることが不可欠となる。この場合において、回転軸お
よび軸受部材の仕上げ精度が不十分なときには、なじみ
運転中に異常摩耗が発生して軸トルクが上昇したり、最
悪の場合には軸ロックなどの致命的障害が発生したりす
る。
【0008】特公平7−37810号公報には、動圧気
体軸受のなじみ運転時のダメージを減らすために、該軸
受の摺動面を規定する発明が開示されている。この発明
は、起動・停止時に回転軸と軸受部材とが互いに摺動す
る動圧軸受の寿命・性能の向上と、起動時のロストルク
の減少を達成しようとするものである。すなわち上記動
圧気体軸受は、摺動面が緻密なセラミックスで形成さ
れ、かつ摺動面の面粗度Raが0.3μm以下に仕上げ
られた軸受表面に所定の潤滑剤を塗布し、摺動面に均一
で保護作用及び潤滑作用を備えた厚さ20〜100Åの
薄膜を設けたことを特徴とするものである。しかしなが
ら上記発明には、なじみ運転によって軸受摺動面の仕上
げ加工の負担を減らそうとする発想はない。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、その目的は、なじみ運転(ならし運転)によってラ
ップ仕上げと同等の表面仕上げを行い、最終仕上げの手
間を省ことにより、安定な摺動特性を維持できる動圧軸
受を安価に提供することにある。
【0010】本発明は上記目的を達成するために、なじ
み運転を動圧軸受の最終仕上げ工程として見直すことに
より、動圧軸受の摺動安定化方法を確立したものであ
る。究極的には、なじみ運転が回転軸や軸受部材の最終
仕上げ工程を兼ねるものとなることが望ましい。これに
よれば、動圧軸受の製造工程のうち最も時間とコストの
かかる工程を省略することができるからである。本発明
の摺動安定化方法により処理した動圧軸受は、高速用の
超精密加工の摺動面を必要とする動圧軸受を備えた、複
写機用のポリゴンモータなどの作製に特に有効である。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の動圧軸
受の摺動安定化方法は、ポリゴンモータなどに用いられ
る動圧軸受において、回転軸および軸受部材の回転摺動
面を所定の材料で形成し、かつ所定の流体環境下でなじ
み運転により回転軸を軸受部材に対し回転摺動させてラ
ップ仕上げと同等の表面仕上げを行い、最終仕上げ加工
の手間を省くとともに、回転摺動の安定化、特に初期な
じみ運転の安定化を実現することを特徴とする。
【0012】請求項2に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、請求項1の方法において、回転軸を軸受部材に対
し回転摺動させることにより相互に剪断力を作用させて
いるときにのみ発生する、前記流体環境を形成する流体
と、回転軸および軸受部材の回転摺動面との化学反応に
よって、前記回転軸と軸受部材との回転摺動部分の形状
および化学的組成を変化させることを特徴とする。
【0013】請求項3に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、請求項2の方法において前記流体として、通常の
温度・圧力条件下では化学的活性が極めて低い、フッ素
原子を構成原子として含む気体または液体を用いること
を特徴とする。
【0014】請求項4に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、請求項3の方法において前記気体としてCHF3
(フルオロホルム)、CF4 (四フッ化炭素)もしくは
SF6 (六フッ化硫黄)、または前記液体としてC5
12(パーフルオロペンタン)などのパーフルオロアルキ
ルカーボンを用いることを特徴とする。
【0015】請求項5に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、回転摺動面を所定の材料で形成した回転軸および
軸受部材からなる動圧軸受を用いてポリゴンモータなど
所定のモータを最終構成まで組み上げた後、該モータの
なじみ運転を、請求項3または4に記載の方法により、
かつ該モータの実際の使用条件と同等の条件で行うこと
を特徴とする。
【0016】請求項6に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、請求項3,4または5に記載の方法において、前
記回転軸および軸受部材の回転摺動面の少なくとも一
方、望ましくは両方を酸化物セラミックスで形成するこ
とを特徴とする。
【0017】請求項7に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、請求項3,4または5に記載の方法において、前
記回転軸および軸受部材の回転摺動面の少なくとも一
方、望ましくは両方をステンレス鋼で形成することを特
徴とする。
【0018】請求項8に記載の動圧軸受の摺動安定化方
法は、請求項1〜7のいずれか一つの項に記載の方法に
おいて前記回転軸の回転摺動面、軸受部材の回転摺動面
の少なくとも一方の表面粗さRmaxを1μm以上に設
定した動圧軸受を用いて、ポリゴンモータなど所定のモ
ータを最終構成まで組み上げることを特徴とする。
【0019】請求項9に記載の動圧軸受は、請求項1〜
8のいずれか一つの項に記載の摺動安定化方法により作
製されたことを特徴とする。
【0020】以下、本発明の構成を具体的に説明する。
動圧軸受のなじみ運転の目的は、最終仕上げでも摺動面
に残留する異常形状部、すなわち凸部を除去することに
ある。これによって回転軸と軸受部材の接触面圧を均一
にして摺動面の異常摩耗を軽減することができる。した
がって、ないみ運転は凹凸をならしていくという点で
は、回転軸や軸受部材の最終仕上げと何ら変わらないの
である。
【0021】そうであるからといって、仕上げ精度の低
い回転軸と軸受部材を単に組み付けて軸受を起動させて
も、軸クリアランスに摩耗粉が堆積し、軸トルクが上昇
するか、軸ロックが発生してしまうため、最終仕上げを
行うのは不可能であることは容易に推測される。上記の
場合において、摩耗粉が軸クリアランスで成長するとい
うことは、摩耗粉が摺動面構成材料を摩耗させるか、ま
たは摩耗粉が軸クリアランスの中で他の摩耗粉と結合す
ることを示している。そこで本発明者は、後者に特に着
目して検討を進めた。
【0022】摩耗粉同士の結合は、多くの場合、それを
取り巻く雰囲気が作用している。検証実験においてアル
ミナ球でガラスディスクを摩擦すると、大気中では酸素
の作用によってアルミナとガラスとの化学的な結合が発
生し、アルミナも摩耗してしまう。このとき摩耗粉は大
きく成長し、ガラスにこびりつくように堆積する。一
方、窒素などの不活性ガス雰囲気中では、このような現
象は発生せず、アルミナはガラスを一方的に摩耗させる
ため、破壊によって生成したガラスの摩耗粉は成長しな
い。
【0023】以上の実験により、摩耗粉の質や量には摩
耗の雰囲気が大きく関与していることが確認された。つ
まり、摺動2固体と雰囲気との相互作用が、摩耗形態に
重要な影響をもつと言える。したがって、この相互作用
を的確に制御することによって、なじみ運転の安定性を
大きく向上させる可能性があることが分かった。
【0024】ただし、上記相互作用が摺動2固体同士の
接触点に限定されることに注意しなくてはならない。酸
性電解液中での金属の腐食反応は、金属表面のうち電解
液と接触するすべての表面で進行するが、このように周
囲の流体(例えば雰囲気ガス)と摺動固体との接触面全
体で反応が進行したのでは、微小凸部のみを除去する軸
受のなじみ運転の目的を達成することはできない。ま
た、上記なじみ運転は、軸受をユニットとして完全に組
み上げてから行うのが理想的である。部品の段階でなじ
みを行っても、最終組付け時に部品を傷つけるなどの問
題があるからである。ポリゴンモータを例にとると、軸
受がモータに組み付けられたときには、このモータには
制御系も取り付けられているため、少なくとも、このモ
ータを電解液中に浸漬するような処理を施すことはでき
ない。
【0025】そこで本発明者は、軸受のなじみ運転を行
う環境を形成するための流体として、通常の温度・圧力
条件下では化学的活性が極めて低い、フッ素原子を構成
原子として含む気体または液体を用いることを検討し
た。
【0026】このような気体の一種であるSF6 (六フ
ッ化硫黄)は、不活性気体として絶縁材料などに用いら
れている。SF6 は、プラズマ中では多くの材料を腐食
させる性質をもつ、フッ素原子を含むラジカルを発生さ
せる。近年の研究によれば、固体接触の場においてはマ
イクロプラズマのようなものが発生し、局所的に非常に
活性な場が生じることが指摘されている。したがって、
先に挙げたSF6 に代表される含フッ素不活性材料を解
離するほどのエネルギーが、摺動2固体同士の接触点に
おいて発生するならば、該接触点のみを含フッ素原子ラ
ジカルによって腐食させ、これにより軸受のなじみ運転
を行うことができる可能性のあると考えられる。
【0027】そこで本発明者は、含フッ素不活性材料の
一種であるCHF3 (フルオロホルム)ガスを雰囲気ガ
スとして使用し、軸受のなじみ運転の効果を検討した。
その結果、回転軸と軸受部材との接触点においてのみ、
固体材料が化学変化を起こし、これらの固体材料のフッ
素化合物が発生すること、およびこのフッ素化合物はな
じみ運転前の回転軸、軸受部材の摺動面を形成している
固体材料よりも硬度が低いことが確認された。
【0028】したがって、上記固体材料のフッ素化合物
が摩耗粉となって上記摺動面から脱離した後、相互の凝
着により成長することがなければ、なじみ運転用の雰囲
気としてCHF3 ガスを有効利用でき、本発明の目的を
達成することが可能となる。摺動面を形成する材料の設
計において、上記した特性をも考慮に入れることで、な
じみ運転を最終仕上げ加工工程として積極的に利用する
ことが可能になる。
【0029】つぎに、本発明の実施例について説明す
る。
【実施例】
実施例1 図1は、この実施例で作製されたポリゴンモータ(ポリ
ゴンスキャナ)の縦断面図である。このポリゴンモータ
では、固定軸9と中空の回転軸10からなる動圧空気軸
受20をラジアル方向に用いている。また、固定軸9と
回転軸10は、モータの軽量化と高速回転のために比重
の小さいアルミニウム合金製とし、それぞれの回転摺動
面を、アルミナを主成分とするセラミックス(酸化物セ
ラミックス)で形成した。そのため固定軸9、回転軸1
0の表面に、前記セラミックスからなる被膜をプラズマ
溶射で形成した。図1において7は回転体、21は磁気
軸受、22はモータ部である。
【0030】固定軸9、回転軸10それぞれの摺動面
を、アルミニウムを主成分とするセラミックスで形成す
るには固定軸9、回転軸10の全体を前記セラミックス
の焼結体で構成する方法も可能である。また、セラミッ
クスの被膜形成方法してはCVD、スパッタ、湿式(め
っき、陽極酸化)などが採用できるが、プラズマ溶射法
は他の方法に比べて成膜速度が速く、かつ基体材料であ
るアルミニウム合金との密着性が高いという利点があ
る。
【0031】ハウジング1には、図示しない光学ハウジ
ングへの取付け基準面1aが、鍔状に形成されている。
ハウジング1の内部には、モータ部22を構成するプリ
ント基板3が配置され、ネジまたは接着剤によってハウ
ジング1に固定されている。プリント基板3の裏側に
は、巻線コイル4、ホール素子5が取り付けられ、コネ
クタ6とパターン配線されている。モータ方式は、回転
体7に取り付けられた偏平なロータマグネット8と巻線
コイル4が軸方向に対向したコアレスのブラシレスモー
タである。ハウジング1の下方には、回路基板(駆動回
路)17が一体的に設けられて、ハーネス18でモータ
のプリント基板3と接続され、ホール素子5の位置検出
信号に従って、順次巻線コイル4への通電を切り替えて
回転体7を回転させて定速制御するようになっている。
【0032】ハウジング1の中央には、動圧空気軸受を
構成する固定軸9が圧入固着あるいは焼きばめによって
堅固に固定されている。固定軸9の外周面には、動圧空
気軸受を構成するためのヘリングボーン溝9aが上下2
対形成されている。回転体7が回転を開始すると、回転
軸10と固定軸9との隙間の圧力が高まり、動圧軸受を
形成し、回転体7を非接触でラジアル方向に支持する。
動圧空気軸受の上端には磁石11aが固定され、回転体
7およびカバー12に取り付けられた磁石11b,11
cおよび振動減衰用の微細穴13とともに回転体7を軸
方向に支持する上下反発型の磁気軸受21を構成してい
る。
【0033】回転体7では、回転軸10の中ほどに形成
したフランジ部10aの上面にポリゴンミラー14を載
置し、ミラー押え15を挟んでネジを回転軸10に螺合
することにより、ポリゴンミラー14を係止固定してい
る。回転体7の下側には、ロータヨーク16が接着固定
され、さらにモータ用のロータマグネット8が接着固定
されている。ロータマグネット8はプラスチックででき
ているため、金属に比べると線膨張係数が大きく、機械
的強度が小さい。そのため、ロータヨーク16をカップ
状に形成し、ロータマグネット8の外径部を保持するこ
とで、高速回転による遠心力や発熱による熱膨張で半径
方向にロータマグネット8が膨張するのを抑え、回転体
7のバランスが崩れたり、ロータマグネット8が破壊し
たりしないようにしている。また、ロータヨーク16を
強磁性体とすることで、磁路を閉じて磁束漏洩を防止し
てモータ効率を上げている。ロータヨーク16の材料と
しては、例えば鉄鋼やステンレス鋼の板材が用いられて
いる。
【0034】モータ上部(スキャナ上部)には、固定軸
9に回転自在に嵌合された回転体7を囲むように内部が
くり抜かれたカバー12が、ハウジング1にネジで固定
される。カバー12には、図示しない半導体レーザから
のレーザ光の入出射用の開口部にガラス窓が両面テー
プ、または接着剤で固定されて密閉されている。
【0035】一方、回転体7は不釣合い(アンバラン
ス)振動が非常に小さいレベルになるように、回転体上
下2カ所の修正面19a,19bでバランス修正が行わ
れている。バランス修正作業を容易に、且つ、効率的に
行うには、初期的な不釣合いは小さい方がよいので、回
転体7の各構成部品(8,10,14,15,16,1
1b)は経済性を考慮した加工精度範囲で回転軸心に対
する偏心量ができるだけ小さくなるように製作されてい
る。回転体の構成部品の1つであるロータヨーク16
も、比較的小さな嵌合隙間で回転軸嵌合円筒部に位置決
めされ、接着固定されている。
【0036】実験例1 実施例1に記載したポリゴンモータを使用した。すなわ
ち、基本的構成は図1に示すとおりで共通であるが動圧
空気軸受(を構成する固定軸9・回転軸10)の摺動面
の仕上げ程度が相違するポリゴンモータを4種類×3個
以上用意し、それぞれについてなじみ運転を行った。従
来の動圧空気軸受(を構成する固定軸・回転軸)では、
その摺動面の仕上げ精度をRmaxで0.5μm程度に
する必要があった。これは、研削加工後にラップ仕上げ
等を施すことで達成できる表面精度である。しかし、こ
の実施例ではラップ仕上げを行う前の固定軸・回転軸の
研削品もサンプルとして使用した。使用したポリゴンモ
ータ(全4種)は、以下のとおりである。
【0037】ポリゴンモータA:回転軸・固定軸(軸受
部材)ともにラップ相当品 ポリゴンモータB:回転軸はラップ相当品、固定軸は研
削品 ポリゴンモータC:回転軸は研削品、固定軸はラップ相
当品 ポリゴンモータD:回転軸・固定軸ともに研削品 なじみ運転に際しては、ポリゴンモータ全体を簡単な構
造のケースに収納し、、その雰囲気を管理した。雰囲気
ガスとしては大気、窒素ガスおよびCHF3 ガスの3種
類(いずれも室温・常圧)を使用した。結果を下記[表
1]に示す。
【0038】
【表1】 評価基準: ◎:良好ななじみが可能 ○:ほぼ良好ななじみが可能 ×:良好ななじみはできなかった
【0039】モータAでは、いずれの雰囲気ガスでも安
定したなじみが行われたが、モータB,CおよびDで
は、雰囲気ガスの種類によってなじみの安定性が大きく
相違していた。以下、これについて説明するとともに、
本発明の有効性を明らかにする。
【0040】大気中ではモータB,CおよびDのいずれ
も、良好ななじみを行うことができず、その殆どが軸ロ
ック等の深刻な摺動不良を起こした。このときのモータ
を分解して摺動面の損傷程度を観察したところ、いずれ
も溶射膜の剥離が発生していた。
【0041】これに対し窒素ガス雰囲気中でのモータ
B,Cのなじみ運転では、致命的な軸ロックは発生しな
かった。しかし、なじみ運転中にトルク上昇が確認され
たので解体して点検したところ、研削品側のみならずラ
ップ相当品側の溶射膜の一部が破壊して発生した多数の
摩耗粉が軸クリアランス内に堆積しているのが確認され
た。上記摩耗粉には、大きさがクリアランス以上のもの
も含まれており、これが回転トルクの上昇をもたらした
原因であると推察される。モータDでは、なじみ運転中
に回転が停止してしまうものもあり、摩耗粉の発生量は
仕上げ精度と関係があるものと思われる。ただし、大気
中のなじみ運転と異なり、溶射膜の剥離に至るものはな
かった。雰囲気ガスに酸素ガスが含まれていると、摩耗
粉同士の凝着力が増大して溶射膜が剥離するようになる
ものと推察される。
【0042】雰囲気ガスとしてCHF3 ガスを用いた場
合には、モータA,B,CおよびDのいずれについても
(固定軸および回転軸が研削品であるときでも)、安定
ななじみ運転を行うことができた。このなじみ運転の結
果、軸クリアランス内に摩耗粉が観察されたが、固定軸
および回転軸の摺動面は、ラップ仕上げ相当品と同等、
またはこれよりも高度の表面精度となっていた。
【0043】CHF3 ガス雰囲気中でのなじみ運転によ
る軸クリアランス内の摩耗粉は、窒素ガス雰囲気中での
なじみ運転によるそれに比べて格段に微細化していた。
この摩耗粉について元素分析を行ったところフッ素が検
出された。これは、回転軸と固定軸との接触時に、これ
らがCHF3 ガスと化学反応を起こしていることを示し
ている。また回転軸、固定軸それぞれの摺動面からもフ
ッ素が検出された。さらに、上記摺動面の最表面部の硬
度は、アルミナのそれよりも低いことが確認された。
【0044】以上のことから、CHF3 ガス雰囲気中で
なじみ運転を行うことによって、以下の効果が得られる
ことが明らかになった。 (1)いずれもラップ相当の仕上げを行わない固定軸お
よび回転軸を用いても、軸ロックなどの致命的な摺動不
良が発生することなく、なじみ運転を行うことができ、
摺動特性に優れたポリゴンモータを得ることができる。 (2)なじみ運転中に必然的に発生する摩耗粉の大きさ
を微細化することができ、軸クリアランス以上の大きさ
の摩耗粉の成長を防止することができる。 (3)固定軸や回転軸の摺動面上に、該摺動面よりも硬
度の低い表面層が形成され、これによって摺動面の固体
潤滑作用が発生する。
【0045】CHF3 ガスによる以上のような化学的作
用は、当然のことながら動圧軸受の雰囲気をCHF3
スに維持したときにのみ発生するから、なじみ運転後に
ポリゴンモータを通常の環境下で置いた場合には、それ
以上に上記化学的作用が進行することはない。またCH
3 ガスは、回転摺動を行っている部分にのみ選択的に
作用するものであるから、モータの他の部材が腐食され
るなどの現象は全く発生しない。
【0046】なお、雰囲気ガスとしてCHF3 に代えて
CF4 (四フッ化炭素)、SF6 (六フッ化硫黄)な
ど、通常の環境下では化学的活性を示さない、フッ素原
子を構成原子として含む気体を使用して同様になじみ運
転を行ったところ、上記実施例と同等の優れた結果が得
られた。さらに、C5 12(パーフルオロペンタン)に
代表されるパーフルオロアルキルカーボンに(通常の環
境下では液体である)にポリゴンモータを浸漬して上記
実施例と同様ななじみ運転を行ったところ、同等に優れ
た結果が得られた。
【0047】実施例2 固定軸および回転軸の摺動面をステンレス鋼により形成
した以外は実施例1と同一にしてポリゴンモータを組み
上げ、実施例1と同じ要領でCHF3 ガス雰囲気中での
なじみ運転を行った。その結果、実施例1と同等の良好
な結果が得られた。
【0048】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば以下に示す顕著な効果を得ることができる。 (1)請求項1に記載の動圧軸受の摺動安定化方法によ
る効果:回転軸および軸受部材の回転摺動面を所定の材
料で形成し、かつ所定の流体環境下でなじみ運転を行う
ことにより、回転軸および軸受部材の最終仕上げ加工の
手間を省くことができるとともに、安定な摺動特性を維
持できる動圧軸受を安価に提供することができる。した
がって本発明によれば、ラップ仕上げ相当の仕上げを施
していない回転軸および軸受部材を用いても、少ない工
程数で、軸ロックなどの致命的障害の発生しない(なじ
み運転中にトラブル発生しない)、信頼性の高いポリゴ
ンモータなどの小型高速回転モータを低コストで製造す
ることができる。
【0049】(2)請求項2に記載の動圧軸受の摺動安
定化方法による効果:回転軸を軸受部材に対し回転摺動
させることにより相互に剪断力を作用させているときに
のみ、前記流体環境を形成する流体と、回転軸および軸
受部材の回転摺動面との化学反応を起こさせ、該回転摺
動部分の形状および化学的組成を変化させることによっ
て、請求項1に記載の効果をもたらすなじみ運転を行う
ことができる。
【0050】(3)請求項3,4に記載の動圧軸受の摺
動安定化方法による効果:上記流体として通常の条件で
は化学的活性が極めて低い、フッ素原子を構成原子とし
て含む気体または液体を用いることにより、上記化学反
応が起こる箇所を、上記回転摺動部分に限定することが
できるので、該摺動部分以外において腐食などの問題が
発生するのを防止することが可能となる。
【0051】(4)請求項5に記載の動圧軸受の摺動安
定化方法による効果:請求項1に記載の動圧軸受を用い
てポリゴンモータなど所定のモータを最終的に組み上げ
た後、該モータのなじみ運転を請求項3または4の方法
により、かつ該モータの実際の使用条件と同等の条件で
行うことにより、従来技術に比べて少ない工程で、摺動
特性に優れた動圧軸受を製造することができ、より安価
な動圧軸受(したがって、これを備えた高速回転モー
タ)提供することができる。
【0052】(5)請求項6,7に記載の動圧軸受の摺
動安定化方法による効果:回転軸および軸受部材の回転
摺動面を、酸化物セラミックスまたはステンレス鋼で形
成することによって、動圧軸受のなじみ運転で発生する
摩耗粉の硬度を、回転摺動面形成材料よりも低くするこ
とができ、かつ摩耗粉が軸クリアランスで凝着・成長す
るのを防止することができる。
【0053】(6)請求項8に記載の動圧軸受の摺動安
定化方法による効果:回転軸の表面、軸受部材の表面の
少なくとも一方の表面粗さRmaxを1μm以上に設定
して、動圧軸受を最終構成まで組み上げることにより、
動圧軸受の製造工程を大幅に簡略化することができて、
安価に提供することができる。
【0054】(7)請求項9に記載の動圧軸受による効
果:所定の摺動安定化処理を施した動圧軸受を用いてモ
ータを製造することにより、摺動特性に優れたポリゴン
モータなどの高速回転モータを低コストで提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るポリゴンモータの縦断面
図である。
【図2】従来の動圧空気軸受の縦断面図である。
【符号の説明】
7 回転体 9 固定軸(軸受部材) 9a ヘリングボーン溝 10 回転軸 14 ポリゴンミラー 17 回路基板(駆動回路) 20 動圧空気軸受 21 磁気軸受 22 モータ部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリゴンモータなどに用いられる動圧軸
    受において、回転軸および軸受部材の回転摺動面を所定
    の材料で形成し、かつ所定の流体環境下でなじみ運転に
    より回転軸を軸受部材に対し回転摺動させてラップ仕上
    げと同等の表面仕上げを行い、最終仕上げ加工の手間を
    省くとともに、回転摺動の安定化、特に初期なじみ運転
    の安定化を実現することを特徴とする動圧軸受の摺動安
    定化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、回転軸
    を軸受部材に対し回転摺動させることにより相互に剪断
    力を作用させているときにのみ発生する、前記流体環境
    を形成する流体と、回転軸および軸受部材の回転摺動面
    との化学反応によって、前記回転軸と軸受部材との回転
    摺動部分の形状および化学的組成を変化させることを特
    徴とする動圧軸受の摺動安定化方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、前記流
    体として、通常の温度・圧力条件下では化学的活性が極
    めて低い、フッ素原子を構成原子として含む気体または
    液体を用いることを特徴とする動圧軸受の摺動安定化方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法において、前記気
    体としてCHF3 (フルオロホルム)、CF4 (四フッ
    化炭素)もしくはSF6 (六フッ化硫黄)、または前記
    液体としてC5 12(パーフルオロペンタン)などのパ
    ーフルオロアルキルカーボンを用いることを特徴とする
    動圧軸受の摺動安定化方法。
  5. 【請求項5】 回転摺動面を所定の材料で形成した回転
    軸および軸受部材からなる動圧軸受を用いてポリゴンモ
    ータなど所定のモータを最終構成まで組み上げた後、該
    モータのなじみ運転を、請求項3または4に記載の方法
    により、かつ該モータの実際の使用条件と同等の条件で
    行うことを特徴とする動圧軸受の摺動安定化方法。
  6. 【請求項6】 請求項3,4または5に記載の方法にお
    いて、前記回転軸および軸受部材の回転摺動面の少なく
    とも一方、望ましくは両方を酸化物セラミックスで形成
    することを特徴とする動圧軸受の摺動安定化方法。
  7. 【請求項7】 請求項3,4または5に記載の方法にお
    いて、前記回転軸および軸受部材の回転摺動面の少なく
    とも一方、望ましくは両方をステンレス鋼で形成するこ
    とを特徴とする動圧軸受の摺動安定化方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一つの項に記載
    の方法において、前記回転軸の回転摺動面、軸受部材の
    回転摺動面の少なくとも一方の表面粗さRmaxを1μ
    m以上に設定した動圧軸受を用いて、ポリゴンモータな
    ど所定のモータを最終構成まで組み上げることを特徴と
    する動圧軸受の摺動安定化方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか一つの項に記載
    の摺動安定化方法により作製されたことを特徴とする動
    圧軸受。
JP13051197A 1997-05-02 1997-05-02 動圧軸受の摺動安定化方法、および動圧軸受 Pending JPH10306821A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002276653A (ja) * 2001-03-16 2002-09-25 Citizen Watch Co Ltd すべりスライド及びその製造方法

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