JPH10322204A - 歪み低減装置及び歪み低減方法 - Google Patents

歪み低減装置及び歪み低減方法

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JPH10322204A
JPH10322204A JP13926897A JP13926897A JPH10322204A JP H10322204 A JPH10322204 A JP H10322204A JP 13926897 A JP13926897 A JP 13926897A JP 13926897 A JP13926897 A JP 13926897A JP H10322204 A JPH10322204 A JP H10322204A
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JP
Japan
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digital audio
audio signal
distortion
waveform
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JP13926897A
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Toru Saito
徹 斉藤
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Nippon Columbia Co Ltd
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Nippon Columbia Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特定レベルの範囲に生じたデジタルオーディオ
信号の歪みを補正することが困難であった。 【解決手段】デジタルオーディオ信号の歪みを低減する
歪み低減装置において、デジタルオーディオ信号の歪み
が存在する特定レベルの範囲を歪み存在部として検出し
切替基準信号を生成する歪み存在部判別手段と、デジタ
ルオーディオ信号の歪みを適応フィルタ等を用いて平滑
化する波形平滑化手段と、歪み存在部判別手段からの切
替基準信号に基づいて、歪み存在部には波形平滑化手段
からのデジタルオーディオ信号の波形を用い、歪み存在
部以外の部分はもとのデジタルオーディオ信号の波形を
用いてクロスフェードにより連続的に波形を連結したデ
ジタルオーディオ信号を出力する波形合成手段とを具備
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】デジタルオーディオ信号にお
ける歪みを低減する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ信号のデジタル録音を行う場
合、アナログ/デジタル(A/D:Analog/Digital)
変換器を用いてアナログオーディオ信号をデジタルオー
ディオ信号に変換する。そして、デジタルオーディオ信
号の再生を行う場合、デジタル/アナログ(D/A:Di
gital/Analog)変換器を用いてデジタルオーディオ信
号をアナログオーディオ信号に変換する。デジタル録音
のなかで、現在、主として用いられているPCM(Puls
e Code Modulation)録音では、アナログオーディオ信
号の時間軸方向を一定の周波数で細分化(標本化:サン
プリング)し、細分化されたそれぞれのサンプルの信号
レベルを一定のビット長で表現(量子化:クオンタイゼ
イション)している。
【0003】PCM録音を開始した初期においては、現
在と比較して低ビットの13ビット或いは14ビットの
逐次比較型A/D変換器が主に用いられていた。また、
PCM録音初期の頃のA/D変換器は、現在のA/D変
換器に比べて、A/D変換特性における直線性が悪く、
非線形誤差を多く含んだものであり、録音されたデジタ
ルオーディオ信号も多くの歪みを有していた。
【0004】このような歪みを有した過去のデジタルオ
ーディオ信号であるが、それらの録音ソースの中には演
奏として優れたものや、音楽史的に価値が有るものもあ
るため、録音時のさまざまな歪みを補正して、現在、コ
ンパクトディスク(CD:Compact Disk)やデジタルオ
ーディオテープ(DAT:Digital Audio Tape)等で用
いられている16ビットのデジタルオーディオ信号とし
て復刻させたいという要求がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したような過去の
デジタルオーディオ信号のもつ非線形誤差を補正する方
法の1つとして、録音時に用いたA/D変換器の変換特
性を測定して逆補正する方法が考えられるが、現在で
は、録音時に用いたA/D変換器が存在しないことが多
く、現存していたとしてもA/D変換器の特性が経時変
化しており、現在の特性に基づいて録音時の非線形誤差
を補正することは不可能であり、録音時に用いられたA
/D変換器を実測して、過去のPCM録音ソース(デジ
タルオーディオ信号)の非線形誤差を補正することは困
難である。
【0006】非線形誤差は、ビット精度の悪いA/D変
換器において各量子化ステップが不均一となるために生
じる。非線形誤差をもつデジタルオーディオ信号を、直
線性の良いD/A変換器で再生した場合、再生信号は、
データのビット数に応じた一定レベルの量子化雑音をも
つが、この非線形誤差を補正することにより、特定レベ
ルの量子化歪みが増長されてしまうことがある。この歪
みは、非線形誤差が大きかった零クロス部分に顕著に現
れ、零クロス歪みとなり聴感上耳障りな音になるという
欠点がある。
【0007】また、この零クロス歪みは、前述したよう
に零クロス部分の量子化歪みが局所的に増幅されたもの
であるから、従来の量子化雑音低減方法(適応フィル
タ、波形変換による平滑化等)を用いることも可能であ
るが、この零クロス部分の量子化歪みは、他の部分の量
子化歪みに比べて拡大されているため、これを十分に補
正できる程度の処理を施すと、音楽信号の他の部分の高
調波成分まで失ってしまい、周波数特性の劣化による音
質変化を招くおそれがある。
【0008】したがって本発明は、特定レベルの範囲に
生じたデジタルオーディオ信号の歪みを低減することが
可能な歪み低減方法及び歪み低減装置を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため、請求項1記載
の本発明は、デジタルオーディオ信号の歪みを低減する
歪み低減装置において、デジタルオーディオ信号の歪み
が存在する特定レベルの範囲を歪み存在部として検出
し、切替基準信号を生成する歪み存在部判別手段と、デ
ジタルオーディオ信号の歪みを平滑化する波形平滑化手
段と、歪み存在部判別手段からの切替基準信号に基づい
て、歪み存在部に対応する期間には波形平滑化手段から
のデジタルオーディオ信号の波形を用い、歪み存在部以
外の期間には元のデジタルオーディオ信号の波形を用い
て、クロスフェードにより連続的に波形を連結したデジ
タルオーディオ信号を出力する波形合成手段とを具備す
ることを特徴としている。
【0010】また、請求項2記載の本発明は、デジタル
オーディオ信号の歪みを低減する歪み低減方法におい
て、デジタルオーディオ信号の歪みが存在する特定レベ
ルの範囲を歪み存在部として検出し切替基準信号を生成
し、デジタルオーディオ信号の歪みを平滑化し、切替基
準信号に基づいて、歪み存在部に対応する期間には平滑
化したデジタルオーディオ信号の波形を用い、歪み存在
部以外の期間には元のデジタルオーディオ信号の波形を
用いて、クロスフェードにより連続的に波形を連結した
デジタルオーディオ信号を出力することを特徴としてい
る。
【0011】また、請求項3記載の本発明は、非線形誤
差を有するデジタルオーディオ信号の非線形誤差を補正
することにより生じる零クロス歪みを低減する歪み低減
装置において、非線形誤差補正前のデジタルオーディオ
信号の±1LSBの範囲にデータが存在する部分を零ク
ロス部として検出して、切替基準信号を生成する零クロ
ス部判別手段と、非線形誤差補正後のデジタルオーディ
オ信号を平滑化する波形平滑化手段と、零クロス判別手
段からの切替基準信号に基づいて、零クロス部に対応す
る期間には波形平滑化手段からのデジタルオーディオ信
号の波形を用い、零クロス部以外の期間には非線形誤差
補正後のデジタルオーディオ信号の波形を用いて、クス
フェードにより連続的に波形を連結したデジタルオーデ
ィオ信号を出力する波形合成手段とを具備することを特
徴としている。
【0012】また、請求項4記載の本発明は、非線形誤
差を有するデジタルオーディオ信号の非線形誤差を補正
することにより生じる零クロス歪みを低減する歪み低減
方法において、非線形誤差補正前のデジタルオーディオ
信号の±1LSBの範囲にデータが存在する部分を零ク
ロス部として検出して切替基準信号を生成し、非線形誤
差補正後のデジタルオーディオ信号を平滑化し、切替基
準信号に基づいて、零クロス部に対応する期間には平滑
化したデジタルオーディオ信号の波形を用い、零クロス
部以外の期間には非線形誤差補正後のデジタルオーディ
オ信号の波形を用いて、クロスフェードにより連続的に
波形を連結したデジタルオーディオ信号を出力すること
を特徴としている。
【0015】本発明によれば、デジタルオーディオ信号
の歪みが存在する特定レベルの範囲を歪み存在部として
検出して切替基準信号を生成し、デジタルオーディオ信
号を適応フィルタ等を用いて歪み存在部を平滑化し、切
替基準信号に基づいて、歪み存在部に対応する期間には
波形平滑化手段からのデジタルオーディオ信号の波形を
用い、歪み存在部以外の期間には元のデジタルオーディ
オ信号の波形を用いて、クロスフェードにより連続的に
波形を連結するため、特定レベルの歪みを低減したデジ
タルオーディオ信号を得ることができる。
【0016】また、非線形誤差補正前のデジタルオーデ
ィオ信号から、±1LSBの範囲にデータが存在する部
分を零クロス部として検出して切替基準信号を生成し、
非線形誤差補正により零クロス歪みが生じたデジタルオ
ーディオ信号を適応フィルタ等を用いて平滑化し、前記
切替基準信号に基づいて、零クロス部に対応する期間に
は平滑化したデジタルオーディオ信号の波形(非線形誤
差補正し平滑化したデジタルオーディオ信号の波形)を
用い、零クロス以外の期間には非線形誤差歪みを補正し
たデジタルオーディオ信号の波形(零クロス歪みを有す
るデジタルオーディオ信号の波形)を用いて、クロスフ
ェードにより連続的に波形を連結するため、零クロス歪
みを低減したデジタルオーディオ信号を得ることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の歪み低減装置に
おける一実施例の概略構成を示す模式図である。図1に
おいて、歪み低減装置101は、歪み存在部判別手段1
02と、遅延手段103、104と、波形平滑化手段1
05と、波形合成手段106とを備えている。
【0018】歪み存在部判別手段102は、入力したデ
ジタルオーディオ信号の特定レベルの範囲にデータが存
在する部分を歪み存在部と判別し、後述する波形合成手
段106で歪み存在部のデジタルオーディオ信号の波形
と、歪み存在部以外のデジタルオーディオ信号の波形と
を合成するための切替基準信号を生成する。特定レベル
は、デジタルオーディオ信号における特定コードに対応
する信号レベルの範囲であり、歪み存在部判別手段10
2は、例えば、2つのコンパレータ(比較器)の組み合
わせで実現できる。
【0019】遅延手段103、104は、歪み低減装置
101に入力したデジタルオーディオ信号と、歪み存在
部判別手段102からの切替基準信号とが、後述する波
形平滑化手段105で平滑化処理されたデジタルオーデ
ィオ信号に対し、時間的にずれないようにするためのも
のである。この遅延手段103、104は、装置をハー
ドウェアで実現する場合のみ必要であり、ソフトウェア
上で実現する場合には必要がない。また、遅延手段10
3は、歪み存在部部判別手段102の前段に配置する構
成でもよい。
【0020】波形平滑化手段105は、入力したデジタ
ルオーディオ信号を平滑化し出力するものである。この
平滑化処理は、例えば、入力したデジタルオーディオ信
号に対して、歪み存在部の歪みを補正しうる程度のフィ
ルタをかける。このフィルタは、歪み存在部の長さが一
定でないため、入力するデジタルオーディオ信号に応じ
て適応的に遮断周波数が変化する適応フィルタ等が望ま
しい。
【0021】波形合成手段106は、歪み存在部判別手
段102からの切替基準信号に基づいてクロスフェード
係数A及びBを作成し、波形平滑化手段105で平滑化
されたデジタルオーディオ信号にクロスフェード係数A
を乗算し、また、歪み低減装置101に入力し遅延手段
104から出力されたデジタルオーディオ信号にクロス
フェード係数Bを乗算し、それぞれ乗算したデジタルオ
ーディオ信号を加算する。すなわち、平滑化された歪み
存在部のデジタルオーディオ信号の波形を、元のデジタ
ルオーディオ信号の波形の歪み存在部にクロスフェード
挿入し、歪みが低減されたデジタルオーディオ信号を合
成するものである。
【0022】以上の各構成を備えた歪み低減装置101
の処理動作について説明する。ここで、歪み低減装置1
01に入力するデジタルオーディオ信号は、零クロス付
近(特定レベルの範囲)に歪みを有する零クロス歪みが
生じたものとする。図2は、本実施例の歪み低減装置に
おける歪み低減処理を説明するための波形を示す模式図
である。(a)は零クロス歪み低減前の波形を示し、
(b)は平滑化した波形を示し、(c)は切替基準信号
及びクロスフェード係数を示し、(d)は零クロス歪み
低減後の波形を示す。
【0023】図1において、歪み低減装置101の歪み
存在部判別手段102、遅延手段104、波形平滑化手
段105に、図2(a)に示す零クロス歪みが生じたデ
ジタルオーディオ信号がそれぞれ入力される。
【0024】波形平滑化手段105は、入力したデジタ
ルオーディオ信号に、図2(b)に示すように、零クロ
ス部の歪みを低減しうる程度のフィルタをかける。フィ
ルタを通過したデジタルオーディオ信号は、波形合成手
段106に入力される。
【0025】一方、歪み存在部判別手段102は、入力
したデジタルオーディオ信号の±αLSB(±1〜数L
SB)の範囲にデータが存在する部分を検出する。本実
施例においては、零クロス付近にデータが存在する部分
を、歪みが存在する歪み存在部として検出する。図2
(a)に示すように、零クロス付近の歪み存在部を検出
し、図2(c)に示す歪み存在部を示す切替基準信号を
出力する。
【0026】歪み存在部判別手段102からの切替基準
信号は、前述した波形平滑化手段105が平滑化処理を
行う時間と時間的に適合するように遅延手段103で遅
延させられ、波形合成手段106に出力される。また、
歪み低減装置101に入力したデジタルオーディオ信号
も同様に、遅延手段104により時間的に遅延させら
れ、波形合成手段106に出力される。
【0027】そして、波形合成手段106では、遅延手
段104からのデジタルオーディオ信号の零クロス歪み
存在部に、波形平滑化手段105からの平滑化されたデ
ジタルオーディオ信号を、クロスフェード挿入する。つ
まり、零クロス歪みをもつデジタルオーディオ信号の波
形を、適応フィルタ等を用いて平滑化して零クロス歪み
を低減した場合、音楽信号の高周波成分まで失われ周波
数特性の劣化を招くため、平滑化されたデジタルオーデ
ィオ信号の波形の零クロス部分のみを、元のデジタルオ
ーディオ信号に置換挿入する。このとき、波形の連結ポ
イントに不連続が生じ、新たな雑音となる可能性がある
ため、歪み存在部の外側でクロスフェード加算してスム
ーズに波形連結を行う。
【0028】具体的には、図2(c)に示す切替基準信
号に基づいて、図2(d)に示すA領域では、遅延手段
104からのデジタルオーディオ信号に図2(c)に示
すクロスフェード係数Aを乗算し、図2(d)に示すB
領域では波形平滑化手段105からのデジタルオーディ
オ信号に図2(c)に示すクロスフェード係数Bを乗算
して、それぞれのデジタルオーディオ信号を零クロス以
外の部分でクロスフェードするように加算する。すなわ
ち、零クロス部が波形平滑化手段105からのデジタル
オーディオ信号となるように波形合成することにより、
図2(d)に示すように、零クロス歪みが低減されたデ
ジタルオーディオ信号となる。
【0029】以上のように、本実施例の歪み低減装置
は、歪みが生じたデジタルオーディオ信号を入力し、デ
ジタルオーディオ信号の特定レベルの範囲にデータが存
在する部分を歪み存在部として検出して、歪み存在部に
応じて切替基準信号を生成する。一方、入力したデジタ
ルオーディオ信号を、2つの系統に分け、一方はそのま
まとし、もう一方は平滑化する。そして、歪みを有した
デジタルオーディオ信号と平滑化したデジタルオーディ
オ信号とに、それぞれ切替基準信号に基づいて作成した
クロスフェード係数を乗算することにより、歪み存在部
では平滑化したデジタルオーディオ信号を用い、歪み存
在部以外の部分では歪みを有したデジタルオーディオ信
号を用いて、両波形を加算合成する。このことにより、
特定レベルの範囲に歪みが生じたデジタルオーディオ信
号の歪みを低減することができる。
【0030】また、前述した実施例においては、歪み低
減装置に入力する歪みを有するデジタルオーディオ信号
から切替基準信号を生成しているが、前記歪みを検出す
るための専用のデジタルオーディオ信号を、別途入力す
るようにしてもよい。
【0031】このような場合、歪み存在部判別手段10
2は、歪みを検出するためのデジタルオーディオ信号か
ら歪み存在部を検出して切替基準信号を生成する。遅延
手段103の遅延手段は、外部回路による遅延量も加味
されている。また、遅延手段104、波形平滑化手段1
05には、特定レベルの範囲に歪みが生じたデジタルオ
ーディオ信号が入力される。遅延手段104は、波形平
滑化手段105と同等の遅延時間を有し、入力したデジ
タルオーディオ信号を遅延させて波形合成手段106に
出力する。波形平滑化手段105は、入力したデジタル
オーディオ信号を平滑化した後に波形合成手段106に
出力する。そして、波形合成手段106は、遅延手段1
03を介して入力した歪み存在部判別手段102からの
切替基準信号に基づいて、クロスフェード計数A、Bを
生成し、遅延手段104、波形平滑化手段105からの
デジタルオーディオ信号をクロスフェード加算する。
【0032】次に、非線形誤差補正装置において、録音
時に用いたA/D変換器の非線形誤差に基づく歪みを有
したデジタルオーディオ信号の非線形誤差を補正したこ
とにより、零クロス付近に零クロス歪みが生じたデジタ
ルオーディオ信号を、本実施例の歪み低減装置により零
クロス歪みを低減する場合について具体的に説明する。
図3は、本実施例の歪み低減装置と非線形誤差歪み補正
装置とを組み合わせた場合の概略構成を示す模式図であ
る。図3において、非線形誤差補正装置301は、切替
手段302と、レベル分布測定手段303と、誤差分布
算出手段304と、誤差データ積算手段305と、テー
ブル変換手段306とを備えている。歪み低減装置10
1は、前述した図1と同様の構成とする。但し、歪み存
在部判別手段102に入力するデジタルオーディオ信号
は、非線形誤差補正前の13ビットのデジタルオーディ
オ信号であり、遅延手段104、波形平滑化手段105
に入力するデジタルオーディオ信号は、非線形誤差補正
装置301から出力された非線形誤差が補正され、零ク
ロス歪みを有した16ビットのデジタルオーディオ信号
である。
【0033】先ず、非線形誤差補正装置301について
説明する。図3において、非線形誤差補正装置301
は、デジタルオーディオ信号の統計的特質を利用し、デ
ジタルコードの出現頻度に基づいて、非線形誤差を補正
するものである。すなわち、理想的なA/D変換器を用
いて録音したデジタルオーディオ信号のレベル分布(コ
ード毎の出現頻度を示す分布)は、零レベルを中心とし
た正規分布のような特性であるが、非線形誤差を有する
A/D変換器は、ビット誤差があるため各レベル幅が一
定でなく、それぞれ隣接するレベルとの間で変換される
べきデータがずれるため、レベルの出現頻度が、各レベ
ルの幅に応じて変化し、コードにより出現頻度が極端に
多いコード又は極端に少ないコードが発生する。
【0034】そこで、デジタルオーディオ信号のレベル
分布を平滑化して出現度数の凹凸を減らし、A/D変換
器に非線形誤差がない場合の理想的なレベル分布に近似
させ、平滑化する前のレベル分布を平滑化した後のレベ
ル分布で除算することにより、A/D変換器の各レベル
での非線形誤差の分布を算出する。この非線形誤差の分
布を積算して非線形誤差を補正しうる変換テーブルを求
め、入力するデジタルオーディオ信号をテーブル変換す
ることにより、非線形誤差を補正することができる。
【0035】具体的には、デジタルオーディオ信号のレ
ベルiの出現度数をg(i)、平滑化したレベル分布を
h(i)とすると、非線形誤差分布N(i)は、 N(i)=g(i)/h(i) (1) となる。
【0036】そして、このN(i)から、以下の式のよ
うに積算し、変換テーブルT(i)を求める。 T(0)=0 (2) T(i)=T(i−1)+N(i) (i>0) (3) T(i)=T(i+1)−N(i) (i<0) (4)
【0037】又は、 T(0)=0 (5) T(i)=T(i−1) +〔{N(i)+N(i−1)}/2〕 (i>0) (6) T(i)=T(i+1) −〔{N(i)+N(i+1)}/2〕 (i<0) (7) で求める。
【0038】このとき、変換テーブルT(i)のビット
長を、入力したデジタルオーディオ信号のビット長より
長くしてビット長拡張を行い、高精度に非線形誤差を補
正することも可能でる。例えば、13ビットの精度の信
号レベルを16ビットの精度の信号レベルに変換するこ
とが可能である。
【0039】すなわち、録音時に用いたA/D変換器に
よる非線形誤差を有する13ビットのデジタルオーディ
オ信号が、非線形誤差補正装置301に入力すると、切
替手段302により、先ずレベル分布測定手段303に
入力し、デジタルオーディオ信号のコード毎の出現頻度
を表すレベル分布を測定する。次に、誤差分布算出手段
304において、レベル分布のコードの出現度数の凹凸
を減らすために平滑化し、平滑化した結果を用いて元の
レベル分布を除算して誤差分布を求める。次に、誤差デ
ータ積算手段305により、誤差データを順に積算して
変換テーブルを求める。
【0040】その後、切替手段302を切り替え、テー
ブル変換手段306により、非線形誤差を有するデジタ
ルオーディオ信号のデータを、変換テーブルに基づいて
データを変換して出力する。ここで、出力されるデジタ
ルオーディオ信号は変換テーブルにより、ビット長拡張
された16ビットのデジタルオーディオ信号として出力
される。
【0041】この非線形誤差補正装置301から出力さ
れたデジタルオーディオ信号は、零クロス部に歪みが生
じたデジタルオーディオ信号として出力される。この零
クロス歪みの発生する原因と、従来の零クロス歪みを低
減する方法について説明する。図4は、零クロス歪みを
説明するためのデジタルオーディオ信号波形の一例を示
す模式図である。(a)はA/D変換精度のよいA/D
変換器を用いた場合を示し、(b)は非線形誤差を有す
るA/D変換器を用いた場合を示し、(c)は(b)の
非線形誤差を補正した場合を示し、(d)は(c)にス
ライディングバンドフィルタを用いた場合を示し、
(e)は(c)にε分離非線形フィルタを用いた場合を
示し、(f)は(c)に直線補間処理を用いた場合を示
す。
【0042】図4(a)は、A/D変換特性の直線性の
よいA/D変換器を用いたときのデジタルオーディオ信
号の波形であり、非線形誤差や零クロス歪みがない場合
のデジタルオーディオ信号を示している。これに対し
て、非線形誤差を有するA/D変換器を用いた場合は、
図4(b)に示すように、累積されたビット誤差によ
り、零クロス部分のデータが圧縮され消失してしまうこ
とがある。PCM録音初期の逐次比較型A/D変換器
は、内部のD/A変換器の各ビットの精度が悪く、各ビ
ット毎に独自の誤差を有していた。特に、−1(FFF
F)と0(0000)との間では、全てのビットが反転
するため、全てのビットの独自の誤差が加算されたレベ
ル誤差が生じる。そのため、零クロス点に大きな歪みが
生じ、零クロス点での1LSBの幅が、他の1LSBの
幅に比べて大きくなる。
【0043】図4(b)に示すデジタルオーディオ信号
の非線形誤差を補正すると、各部の信号レベルは元の波
形に近いものに再現され、図4(c)に示すような波形
となる。しかし、零クロス付近の微少レベルの信号は、
もともとA/D変換時に消失しているため、完全に復元
することが不可能である。このような消失した信号に対
して前述した非線形誤差の補正を行うと、図4(c)に
示すように、1LSBレベルが拡大し、大きな段差波形
が生じ量子化歪みが増長される。
【0044】図4(c)に示す前記デジタルオーディオ
信号の零クロス歪みを低減するために、スライディング
フィルタ、ε分離非線形フィルタによる処理を施し、ま
た、零クロスのレベル消失部分を直線補間の処理を施す
と、図4(d)、図4(e)及び図4(f)に示したよ
うな波形となる。それぞれある程度の効果はあるが、零
クロス歪みを十分に低減しうる程度まで各処理を施す
と、音楽信号の高調波成分まで失ってしまう。
【0045】そこで、本実施例の歪み低減装置により、
零クロス歪みを効果的に低減する。図5は、本実施例の
歪み低減装置における各処理を施した後の波形を示す模
式図である。(a)は入力したデジタルオーディオ信号
の波形を示し、(b)は平滑化後のデジタルオーディオ
信号の波形を示し、(c)は零クロス部以外の部分をク
ロスフェード係数Bにより切り出した波形を示し、
(d)は零クロス部をクロスフェード係数Aにより切り
出した波形を示し、(e)はクロスフェード挿入後のデ
ジタルオーディオ信号の波形を示す。
【0046】図5(a)に示す非線形誤差補正装置30
1の非線形誤差補正により零クロス歪みが生じたデジタ
ルオーディオ信号は、歪み低減装置101に入力され、
それぞれ遅延手段104、波形平滑化手段105に入力
される。また、非線形誤差を補正する前の13ビットの
デジタルオーディオ信号は、歪み存在部判別手段102
に入力する。
【0047】歪み存在部判別手段102は、図5(c)
に示すように、入力したデジタルオーディオ信号の±1
LSBの範囲にデータが存在する零クロス部分を歪み存
在部として検出し、検出した歪み存在部に基づいて、図
5(d)に示すような切替基準信号を生成して、遅延手
段103を介して波形合成手段106に出力する。
【0048】また、波形平滑化手段105は、図5
(b)に示すように、非線形誤差が補正された16ビッ
トのデジタルオーディオ信号の零クロス歪みを適応フィ
ルタにより除去したデジタルオーディオ信号を生成し、
波形合成手段106に出力する。波形合成手段106に
は、元の16ビットのデジタルオーディオ信号と、フィ
ルタがかけられ平滑化された16ビットのデジタルオー
ディオ信号が入力される。
【0049】波形合成手段106は、歪み存在部判別手
段102からの切替基準信号に基づいて、それぞれのデ
ジタルオーディオ信号にクロスフェード係数を乗算して
合成し、図5(e)に示すような、零クロス歪みが低減
されたデジタルオーディオ信号として出力する。
【0050】以上のように、元の13ビットデジタルオ
ーディオ信号から±1LSBの範囲にデータが存在する
部分を、零クロス歪みが生じた零クロス部として判別し
て切替基準信号を生成し、非線形誤差補正により零クロ
ス歪みの拡大したデジタルオーディオ信号を平滑化し、
切替基準信号に基づいて、非線形誤差補正後のデジタル
オーディオ信号の波形の零クロス部に、零クロス歪みを
平滑化したデジタルオーディオ信号の波形をクロスフェ
ード挿入して合成しているため、非線形誤差補正により
生じた零クロス部の歪みを低減したデジタルオーディオ
信号を得ることができる。
【0051】ここで、前述した歪み存在部判別手段にお
いては、零クロス部の判別を13ビットのデジタルオー
ディオ信号の±1LSBに基づいて判別しているが、1
6ビットに変換されたデジタルオーディオ信号の値にお
いて、13ビットのときの±1LSBに相当する範囲で
判別してもよい。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、特定レベルの範囲に生
じたデジタルオーディオ信号の歪みを低減することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歪み低減装置における一実施例の概略
構成を示す模式図である。
【図2】本実施例の歪み低減装置における歪み低減処理
を説明するための波形を示す模式図である。(a)は零
クロス歪み低減前の波形を示し、(b)は平滑化した波
形を示し、(c)は切替基準信号及びクロスフェード係
数を示し、(d)は零クロス歪み低減後の波形を示す。
【図3】本実施例の歪み低減装置と非線形誤差補正装置
とを組み合わせた場合の概略構成を示す模式図である。
【図4】零クロス歪みを説明するためのデジタルオーデ
ィオ信号波形の一例を示す模式図である。(a)はA/
D変換精度のよいA/D変換器を用いた場合を示し、
(b)は非線形誤差を有するA/D変換器を用いた場合
を示し、(c)は(b)の非線形誤差を補正した場合を
示し、(d)は(c)にスライディングバンドフィルタ
を用いた場合を示し、(e)は(c)にε分離非線形フ
ィルタを用いた場合を示し、(f)は(c)に直線補間
処理を用いた場合を示す。
【図5】本実施例の歪み低減装置における各処理を施し
た後の波形を示す模式図である。(a)は入力したデジ
タルオーディオ信号の波形を示し、(b)は平滑化後の
デジタルオーディオ信号の波形を示し、(c)は零クロ
ス部以外の部分をクロスフェード係数Bにより切り出し
た波形を示し、(d)は零クロス部をクロスフェード係
数Aにより切り出した波形を示し、(e)はクロスフェ
ード挿入後のデジタルオーディオ信号の波形を示す。
【符号の説明】
101・・歪み低減装置、102・・歪み存在部判別手
段、103・・遅延手段、104・・遅延手段、105
・・波形平滑化手段、106・・波形合成手段301・
・非線形誤差補正装置、302・・切替手段、303・
・レベル分布測定手段、304・・誤差分布算出手段、
305・・誤差データ積算手段、306・・テーブル変
換手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】デジタルオーディオ信号の歪みを低減する
    歪み低減装置において、前記デジタルオーディオ信号の
    歪みが存在する特定レベルの範囲を歪み存在部として検
    出し切替基準信号を生成する歪み存在部判別手段と、前
    記デジタルオーディオ信号の歪みを平滑化する波形平滑
    化手段と、前記切替基準信号に基づいて前記歪み存在部
    に対応する期間には前記波形平滑化手段からのデジタル
    オーディオ信号の波形を用い、前記歪み存在部以外の期
    間には元の前記デジタルオーディオ信号の波形を用いて
    クロスフェードにより連続的に波形を連結したデジタル
    オーディオ信号を出力する波形合成手段とを具備するこ
    とを特徴とする歪み低減装置。
  2. 【請求項2】デジタルオーディオ信号の歪みを低減する
    歪み低減方法において、前記デジタルオーディオ信号の
    歪みが存在する特定レベルの範囲を歪み存在部として検
    出し切替基準信号を生成し、前記デジタルオーディオ信
    号の歪みを平滑化し、前記切替基準信号に基づいて前記
    歪み存在部に対応する期間には前記平滑化したデジタル
    オーディオ信号の波形を用い、前記歪み存在部以外の期
    間には元の前記デジタルオーディオ信号の波形を用いて
    クロスフェードにより連続的に波形を連結したデジタル
    オーディオ信号を出力することを特徴とする歪み低減方
    法。
  3. 【請求項3】非線形誤差を有するデジタルオーディオ信
    号の非線形誤差を補正することにより生じる零クロス歪
    みを低減する歪み低減装置において、前記非線形誤差補
    正前のデジタルオーディオ信号の±1LSBの範囲にデ
    ータが存在する部分を零クロス部として検出して切替基
    準信号を生成する零クロス部判別手段と、前記非線形誤
    差補正後のデジタルオーディオ信号を平滑化する波形平
    滑化手段と、前記零クロス判別手段からの前記切替基準
    信号に基づいて前記零クロス部に対応する期間には前記
    波形平滑化手段からのデジタルオーディオ信号の波形を
    用い、前記零クロス部以外の期間には前記非線形誤差補
    正後のデジタルオーディオ信号の波形を用いてクロスフ
    ェードにより連続的に波形を連結したデジタルオーディ
    オ信号を出力する波形合成手段とを具備することを特徴
    とする歪み低減装置。
  4. 【請求項4】非線形誤差を有するデジタルオーディオ信
    号の非線形誤差を補正することにより生じる零クロス歪
    みを低減する歪み低減方法において、前記非線形誤差補
    正前のデジタルオーディオ信号の±1LSBの範囲にデ
    ータが存在する部分を零クロス部として検出して切替基
    準信号を生成し、前記非線形誤差補正後のデジタルオー
    ディオ信号を平滑化し、前記切替基準信号に基づいて前
    記零クロス部に対応する期間には前記平滑化したデジタ
    ルオーディオ信号の波形を用い、前記零クロス部以外の
    期間には前記非線形誤差補正後のデジタルオーディオ信
    号の波形を用いてクロスフェードにより連続的に波形を
    連結したデジタルオーディオ信号を出力することを特徴
    とする歪み低減方法。
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