JPH10330897A - 深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方法 - Google Patents

深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方法

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JPH10330897A
JPH10330897A JP9142790A JP14279097A JPH10330897A JP H10330897 A JPH10330897 A JP H10330897A JP 9142790 A JP9142790 A JP 9142790A JP 14279097 A JP14279097 A JP 14279097A JP H10330897 A JPH10330897 A JP H10330897A
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aluminum
rolling
based alloy
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annealing
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JP9142790A
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Goro Fuchizawa
護郎 淵澤
Koichi Ohori
紘一 大堀
Hiroshi Saito
洋 斉藤
Mitsuru Saito
充 斉藤
Toshihiro Harada
俊宏 原田
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MA Aluminum Corp
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間圧延工程の全工程にシングルミルのリバ
ース式熱間粗圧延機を用いて、深絞り成形時に耳率を大
幅に低減できるばかりでなく、製缶時にネックの縮径率
を大きくしてもネック耳が生じにくい深絞り成形用アル
ミニウム基合金板を得る。 【解決手段】 均熱工程でアルミニウム基合金鋳塊を
560〜610℃に加熱し、熱間圧延工程で熱間圧延
し、熱間圧延終了時の温度を280〜350℃とし、
第一冷間圧延工程で圧延率が85%以上となるように冷
間圧延し、第一中間焼鈍工程で260〜350℃に1
〜8時間焼鈍し、第二中間焼鈍工程で500〜600
℃に2〜60秒焼鈍し、第二冷間圧延工程で最終冷間
圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度および高延
展性を有し、アルミニウム基合金製の缶などの深絞り成
形に際して耳率を著しく低減できる深絞り成形用アルミ
ニウム基合金板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】缶入り飲料などの需要増大に伴い、最近
ではその容器として好適なアルミニウム基合金製のいわ
ゆるDI(Deep drawing & Ironing)缶が大量に生産さ
れるようになっている。このアルミニウム基合金製DI
缶の本体の一般的な製造方法としては、アルミニウム基
合金板を多段に深絞り加工し、さらにしごき加工を行っ
て缶本体を成形し、焼付け塗装後に、耐圧強度の向上や
比較的高価な蓋部材の材料の使用量を削減するために縮
径するネック加工を行う。ここで使用するアルミニウム
基合金板には、製缶後の十分な強度と、多段深絞りやし
ごきに耐える成形性とが共に要求される。
【0003】一般に、深絞り用アルミニウム基合金とし
ては、Al-Mn-Mg系の、例えば米国アルミニウム協
会標準(A.A)3004合金などが広く用いられてい
る。この合金から深絞り用アルミニウム基合金板を製造
するには、(a)先ずこの合金の鋳塊を熱間圧延し、次
に(b)冷間圧延して適度な板厚の板材とし、この冷間
圧延後の板材に(c)中間焼鈍を施し、さらに要求され
る強度に応じて(d)冷間圧延による硬化処理が行われ
る。
【0004】この深絞り成形用アルミニウム基合金板の
製造工程において、板材の強度を向上させるためには前
記(d)の冷間圧延における冷間圧延率を高くする必要
がある。しかし冷間圧延度を上げると、いわゆる圧延集
合組織が発達し、塑性変形に際して異方性が顕著に現れ
るようになり、深絞り成形したときの板材の圧延方向に
応じて、成形した缶本体の上縁の高さが山谷状に変化す
る現象が起こる。この山谷状に変形した部分は通常、
「耳」と呼ばれている。深絞り成形後の缶体は、次いで
しごき加工を行った後に、蓋部材を取付けるために開口
部を水平に切断し缶高を揃えるトリム加工が行われる。
このトリム加工の際には耳も除去されるので、耳の高さ
が高いと、除去すべき板材の量割合(以下「耳率」とい
う)が増大し、歩留まりが低下して製造コストが上昇す
るという問題があった。そこで、低耳率となる板材が求
められた。
【0005】一般にアルミニウム基合金板を冷間圧延す
ると、圧延方向に対して45〜60゜の方向に耳の山と
なる圧延集合組織が発達する傾向がある。そこで、耳率
を低下させるには圧延集合組織の発達を抑制する必要が
ある。これは冷間圧延前の板材における再結晶集合組織
の生成状態を制御することによって達成できることがわ
かっている。すなわち、一般には、冷間圧延以前に、0
〜90゜の方向に深絞り耳を生じるような、「立方体方
位」と呼ばれる再結晶集合組織を発達させる方法が用い
られる。立方体方位が発達すると0〜90゜方向の耳を
生じることになるが、その後の冷間圧延によってこの方
向の耳はあまり発達せず、一方45゜耳を生成する圧延
集合組織の発達も抑制され、結果として、開口部周縁に
おける耳の山が均化されることになる。この方法によっ
て、圧延度80%以上の冷間圧延の後に、僅かな0〜9
0゜耳と45゜耳とが混在する低耳性板材が得られるよ
うになった。
【0006】前記の立方体方位の再結晶集合組織を発達
させる具体的な方法としては、熱間圧延時の諸条件を調
節し、熱間圧延後に巻き取ったコイルが冷却するまでの
間、あるいは巻き取ったコイルを焼鈍する際に生じる再
結晶を制御する方法(特開平5−125500号公報)
が知られている。現在、DI缶用として主に用いられて
いる板材の厚さは約0.3mm程度であるので、この方
法を適用して最終の冷間圧延率を80〜90%とする場
合には、熱間圧延により板厚が1.5〜3mmとなるよ
うに圧延する必要がある。そこで普通、リバース式熱間
圧延機を用いて圧延した後にさらにタンデム式の仕上用
熱間圧延機または圧延機の両側にコイル巻取り装置を装
備したリバース式熱間仕上圧延機を用いて圧延する方法
が用いられる。しかしこれらの熱間仕上圧延機は大規模
でかつ高価であり、これを用いることによる製造コスト
上の負担が大きい。更に、缶用素材の薄肉化に伴い、圧
延ロールやパス間での温度低下の影響が大きくなり、適
切な熱間圧延条件を維持するためには設備能力を更に増
大させる必要があって一層コストが嵩む傾向にあった。
【0007】そこで、熱間圧延の全工程にシングルミル
のリバース式熱間粗圧延機のみを用いる方法が検討され
た。しかしこの粗圧延機を用いて薄肉の板材を製造しよ
うとすると、パス間での温度低下が著しく、強度と成形
性を両立する熱間圧延条件を維持することがきわめて困
難になる。この問題を解決する手段として、アルミニウ
ム基合金に時効硬化性を与える元素を添加し、中間焼鈍
を比較的高温で行うことにより溶体化し、冷間圧延の圧
延度を小さくしても十分な強度が得られる方法が提案さ
れた(特公昭60−35242号公報)。
【0008】この方法によれば、DI缶本体を成形した
後の焼付け塗装の加熱により結晶が析出するので、焼鈍
時の加熱による軟化が抑制され、冷間圧延率を小さくし
ても十分な強度が得られるようになった。従って、前記
(c)中間焼鈍の後に立方体集合組織が十分発達してい
なくても冷間圧延の圧延率を小さくできるので圧延集合
組織の発達も軽度となり、耳率が比較的低い実用レベル
のDI缶が得られるようになった。この方法は、仕上用
熱間圧延機を用いた場合より耳率が若干高く、従ってト
リム量も多くなるのではあるが、設備費が高価な仕上用
の熱間圧延機を用いずに適用できるので、結果的に有利
な方法となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近、経済的
およびデザイン的な要求からDI缶における蓋部材の直
径を小さくする要求が高まり、このためネックの縮径率
が増大するようになってきた。ところがネックの縮径率
を増大させると、このネック成形工程においても深絞り
成形の場合と同様に素材の異方性により開口部において
缶高が変化し耳が発生するという新たな問題が生じた。
このネック成形によって生じる開口部の高さ変動部を
「ネック耳」と称する。
【0010】缶本体の開口部は、ネック成形を行った後
にフランジ成形され、このフランジが蓋部材との巻き締
めに使われるのであるが、ネック耳が大きいとフランジ
幅が方向により異なったり、ネック部の形状が方向によ
り変化するなどの問題が起こり、加工工程が煩雑になる
と共に外観上にも悪影響が現れる。そこで、ネックの縮
径率を大きくしてもネック耳が生じにくい深絞り成形用
アルミニウム基合金板が求められた。
【0011】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであって、従ってその目的は、熱間圧延工程の
全工程にシングルミルのリバース式熱間粗圧延機を用い
て、深絞り成形時に耳率を大幅に低減できる深絞り成形
用アルミニウム基合金板の製造方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、アルミニウム基合金の鋳塊からアルミニ
ウム基合金板を製造するに際して、順次、均熱工程に
おいて、前記アルミニウム基合金鋳塊を、560〜61
0℃の範囲内の均質化温度に加熱して均質化し、熱間
圧延工程において、前記の均質化されたアルミニウム基
合金鋳塊を熱間圧延して板材を形成し、この板材が再結
晶しないように熱間圧延終了時の板材温度を280〜3
50℃の範囲内に調節し、第一冷間圧延工程におい
て、前記熱間圧延終了後の板材を、圧延率が85〜95
%の範囲内となるように冷間圧延し、第一中間焼鈍工
程において、前記冷間圧延後の板材を、焼鈍温度が26
0〜350℃の範囲内、かつ焼鈍時間が1〜8時間の範
囲内で焼鈍し、第二中間焼鈍工程において、前記焼鈍
後の板材を、焼鈍温度が500〜600℃の範囲内、か
つ焼鈍時間が2〜60秒の範囲内で焼鈍し、次いで第
二冷間圧延工程において、前記焼鈍後の板材を所望の肉
厚となるように冷間圧延する深絞り成形用アルミニウム
基合金板の製造方法を提供する。
【0013】前記のアルミニウム基合金は、Si:0.
1〜0.4重量%、Fe:0.3〜0.6重量%、C
u:0.05〜0.4重量%、Mn:0.8〜1.5重
量%およびMg:0.8〜1.5重量%を含有し、残り
がAlと不可避不純物からなる組成を有するものである
ことが好ましい。このアルミニウム基合金は、さらに前
記の元素に加えてCr:0.25重量%以下Zn:0.
05〜0.25重量%、Ti:0.2重量%以下のうち
1種または2種以上を含有するものであることが好まし
い。
【0014】前記の均熱工程において、均質化温度は
580〜610℃の範囲内、均質化加熱速度は100℃
/時以下、均質化時間は1時間以上とすることが好まし
い。前記の熱間圧延工程においては、熱間圧延の全工
程にシングルミルのリバース式熱間粗圧延機を用いるこ
とが好ましい。またこの工程で、熱間圧延開始温度は5
00℃以上、熱間圧延最終パスの圧延率は50%以上と
することが好ましい。前記の第一冷間圧延工程におい
て、圧延率は90〜95%の範囲内とすることが好まし
い。前記の第一中間焼鈍工程において、焼鈍加熱速度
は1℃/秒以下とすることが好ましい。前記の第二中
間焼鈍工程において、焼鈍加熱速度は10〜200℃/
秒の範囲内、焼鈍温度は550〜600℃の範囲内とす
ることが好ましい。前記の第二冷間圧延工程におい
て、圧延率は35〜55%の範囲内とすることが好まし
い。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。本発明の深絞り成形用アルミニウム基合金
板(以下「本合金板」と記す)の製造方法(以下「本製
法」と記す)は、基本的に、アルミニウム基合金の鋳塊
を基材とし、特定条件下に設定された 均熱工程、 熱間圧延工程、 第一冷間圧延工程、 第一中間焼鈍工程、 第二中間焼鈍工程、および 第二冷間圧延工程、 を順次経由することにより構成される。
【0016】本製法によれば、熱間圧延工程の全工程に
シングルミルのリバース式熱間粗圧延機のみを用い、し
かも強度と成形性とが両立した本合金板が得られ、例え
ばDI缶などの深絞り缶を製造する板材として用いると
き耳率が従来の板材に比べて低減し、ネック縮径率を大
きくしたDI缶を成形する際にもネック耳が減少し、缶
体の変形を防止し歩留りを向上させることができる。
【0017】本製法に用いるアルミニウム基合金組成物
(以下「本組成物」と記す)としては、基本的にAlを
基とし、Siを0.1〜0.4重量%、Feを0.3〜
0.6重量%、Cuを0.05〜0.4重量%、Mnを
0.8〜1.5重量%およびMgを0.8〜1.5重量
%含むものが用いられる。このうちSiは、同時に含有
するMgと化合物を形成し易く、固溶硬化作用、分散硬
化作用および析出硬化作用を有し、時効硬化性に寄与す
る。その含有量は、0.1重量%未満では所望の時効硬
化特性を確保することができず、また0.4重量%を越
えると加工性が劣化して不都合である。Feは、結晶の
微細化およびしごき成形時のダイスに対する焼付きを防
止する効果がある。その含有量は、0.3重量%未満で
は所望の効果が得られず、0.6重量%を越えると加工
性を劣化させる。Cuは、Mgと化合物を形成し易く、
固溶硬化、分散硬化および析出硬化に寄与する。その含
有量は、0.05重量%未満では所望の効果が得られ
ず、0.4重量%を越えると加工性を劣化させる。Mn
は、Fe、Si、Alなどと化合物を形成し易く、晶出
相および分散相となって主として分散硬化作用を現す。
その含有量は、0.8重量%未満では所望の硬化特性が
得られず、1.5重量%を越えると加工性が劣化する。
またMgは、固溶体強化作用を有し、圧延による加工硬
化性を高めると共に、前記Siや後記のCuと共存する
ことによって析出硬化作用を現す。その含有量は、0.
8重量%未満では所望の効果が得られず、1.5重量%
を越えると再びその効果が低下するようになる。
【0018】本組成物は、前記のSi、Fe、Cu、M
nおよびMgに加えて、さらに、Crを0.25重量%
以下、Znを0.05〜0.25重量%、Tiを0.2
重量%以下の範囲内で含むことが好ましい。このうちC
rは、熱間圧延後の再結晶を抑制する作用を有する。た
だしその含有量が0.25重量%を越えるとかえって低
下する。Znは、Mg、Si、Cuの析出を促進する作
用を有する。その含有量は、0.05重量%未満では所
望の効果が得られず、0.25重量%を越えると耐食性
を劣化させる。Tiは、結晶粒を微細化して加工性を改
善する効果がある。ただしその含有量は0.2重量%を
越えると、粗大な化合物を生成しかえって加工性を劣化
させる
【0019】前記の本組成物から本合金板を製造するに
際しては、先ず常法に従って本組成物の溶湯から鋳塊を
鋳造する。このときの凝固速度は通常、5〜20℃/秒
とされる。鋳塊の寸法は、例えば1.5m×0.5m×
4〜5mである。次に面削を行い、鋳塊の表面を1〜2
5mm程度研削して、表面が平滑化された面削体を作成
する。
【0020】この面削体は、次に本発明の均熱工程に
送られる。この均熱工程は一般に、溶湯の凝固によっ
て生じたミクロ偏析の均質化、過飽和固溶元素の析出、
凝固によって形成された準安定相の平衡相への転移など
のために行われる。この均熱工程においては、均質化
温度を560〜610℃、より好ましくは580〜61
0℃とすることが重要である。均質化温度が560℃未
満では、第二中間焼鈍の効果が得られず耳率が高くな
る。また610℃を越えると、鋳塊が溶融する。
【0021】また前記に均熱工程において、面削体は
100℃/時以下の加熱速度で均質化温度まで加熱する
ことが好ましい。加熱速度が100℃/時を越えると、
部分的に溶融を生じる惧れがある。しかし加熱速度は、
遅すぎると生産効率が低下する。この観点から、好まし
い加熱速度は、10〜100℃/時の範囲内である。
【0022】また前記に均熱工程において、均質化温
度に保持する時間(均質化時間)は1時間以上とするこ
とが好ましい。均質化時間が1時間未満では均質化が十
分に進行しない場合がある。しかし長すぎても効果はな
く生産効率が低下する。この観点から、好ましい均質化
時間は1〜24時間の範囲内である。この均熱工程は
均質化時間が比較的長いので通常、回分方式で炉中に置
いて行われる。
【0023】熱間圧延工程は、前記の均質化されたア
ルミニウム基合金鋳塊を熱間圧延して板材を形成するた
めに行われる。本発明においては、この熱間圧延工程
に、シングルミルのリバース式熱間粗圧延機を用いるこ
とが好ましい。この圧延機は、単基式の熱圧延ロールの
前後に受座が設けられ、この熱圧延ロールの間に鋳塊を
往復繰り返し通過させることで次第に薄板化する従来か
ら熱間粗圧延機として一般に用いられている装置であ
る。
【0024】この熱間圧延工程においては、圧延終了
後にコイルとして巻き取られた板材が再結晶しないよう
にすることが特に重要である。このために熱間圧延終了
直後のコイルの温度が280〜350℃の範囲内となる
ように調節する。この仕上げ温度が280℃未満となる
まで冷却すると板材が硬質となり引き続く冷間圧延時に
クラックが生じ易くなる。またコイルに巻き取り後に3
50℃を越えると巻き取られた板材に再結晶が生じる。
【0025】前記の熱間圧延工程において、圧延開始
温度は500℃以上とすることが好ましい。圧延開始温
度が500℃未満では、圧延荷重が大となり所要パス数
が増加し効率が低下すると共に、前記の熱間圧延終了直
後の許容温度範囲を維持することが困難になる。また、
熱間圧延最終パスの開始温度は400℃以上とすること
が好ましい。この熱間圧延最終パスでの圧延率は50%
以上、また歪み速度は1〜50sec-1 の範囲内とするこ
とが好ましい。熱間圧延最終パスの開始温度、圧延率お
よび歪み速度は、いずれも高いほど生産効率は向上する
が、熱間圧延直後の板材温度が規定温度より高くなる。
このため、圧延ロールから引き出された後、コイルに巻
き取られる前の板材を強制冷却してコイルに巻き取った
直後の温度を280〜350℃に調節することが好まし
い。
【0026】第一冷間圧延工程は、前記の熱間圧延工
程終了後の板材を、圧延率が85〜95%の範囲内とな
るように冷間圧延する。この工程における圧延率が85
%未満では耳率が大となる。圧延率は、高いほど第二
中間焼鈍工程において0〜90゜耳となる立方体方位組
織が多く生成する。ただし圧延率が95%を越えると耳
率は逆に高くなりサイドクラックも起こるようになる。
この観点から圧延率は90〜95%の範囲内とすること
が好ましい。
【0027】第一中間焼鈍工程は、前記冷間圧延後の
板材を、焼鈍温度が260〜350℃の範囲内、かつ焼
鈍時間が1〜8時間の範囲内で焼鈍する。この工程は板
材をほぼ完全に再結晶させる工程である。焼鈍温度が2
60℃未満または焼鈍時間が1時間未満では十分な再結
晶が得られず耳率が高くなる。焼鈍温度が350℃を越
えまたは焼鈍時間が8時間を越えても耳率は向上せず、
表面酸化などの弊害が生じ易くなる。焼鈍には長時間を
要するので、回分式の焼鈍炉を用いることが好ましい。
焼鈍のための加熱速度は、1℃/秒以下とすることが好
ましい。加熱速度が1℃/秒を越えると、コイル全体を
均一に加熱できなくなる。
【0028】第二中間焼鈍工程は、前記の第一中間
焼鈍工程を経た板材を、焼鈍温度が前記第一中間焼鈍
工程より高い500〜600℃の範囲内、更に好ましく
は550〜600℃の範囲内で、かつ焼鈍時間が2〜6
0秒の範囲内で焼鈍するものである。この工程は、第
一中間焼鈍工程に引き続いて、より高い焼鈍温度にもた
らすことで焼鈍による立方体方位組織の生成を更に増大
させ、0〜90゜耳を高くする効果があり、本発明にお
いて特に重要な工程である。焼鈍温度が500℃または
焼鈍時間が2秒未満では焼鈍の効果が不十分であり、十
分な強度が得られず耳率改善効果も低い。焼鈍温度が6
00℃を越え、または焼鈍時間が60秒を越えると、耳
率は低く強度も大となるがネック成形時に加工硬化が生
じ易くなる。この工程は焼鈍時間が短時間ですむので連
続焼鈍装置を用いて行うことが好ましい。
【0029】第二中間焼鈍工程における焼鈍加熱速度
は10〜200℃/秒の範囲内とすることが好ましい。
加熱速度が10℃/秒未満では、加熱に長時間を要し生
産効率が低下する。また加熱速度が200℃/秒を越え
ると、板材に歪みが発生し易くなる。
【0030】最終工程である第二冷間圧延工程では、
圧延率が35〜55%の範囲内となるように圧延する。
この工程を経た後に板材は所定の肉厚の本合金板として
コイルに巻き取られ製品化される。本製法においては、
第一冷間圧延工程において圧延率が高くされているの
で、所望の製品板厚を得るためのこの工程での圧延率は
35〜55%の範囲内と低くされる。圧延率が35%未
満では、耳率は低下するものの強度も低下する。第二
中間焼鈍工程の処理温度を高くすると強度低下を補うこ
とができるが、この場合はネック成形時に加工硬化を生
じ易くなるので、ネック成形方法によって両特性のバラ
ンスをとる必要が生じる。圧延率が55%を越えると耳
率が高くなる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。以下の実施例および比較例において、原料として
は次の組成を有するアルミニウム基合金を用いた。 Si:0.30重量% Fe:0.45重量% Cu:0.28重量% Mn:1.00重量% Mg:1.25重量% Cr:0.02重量% Zn:0.15重量% Ti:0.03重量% Al:残量
【0032】前記組成物の溶湯から重量6t、厚さ55
0mmの鋳塊を鋳造し、12.5mmの面削を行い面削
鋳塊の試料を作製した。この試料のそれぞれについて、
実施例は表1、比較例は表2に示す条件で順次、均熱
工程、熱間圧延工程、第一冷間圧延工程、第一中
間焼鈍工程、第二中間焼鈍工程、および第二冷間圧
延工程を施し、深絞り成形用アルミニウム基合金板を製
造した。表記以外の各工程の条件は全試料共通に下記の
通りとした。 均熱工程:加熱速度は平均50℃/時、均質化温度は
表1,表2の温度±3℃、均質化時間は8〜10hr。 熱間圧延工程:均熱工程終了後の試料について、シン
グルミルのリバース式熱間粗圧延機を用いて直ちに開
始。最終パス圧延開始温度450℃、圧下量62%。表
1,表2の「熱延巻取直後温度」は最終パス直後の温度
であり、これは圧延速度により調節した(圧延速度が遅
いほど仕上げ温度が低くなる)。 第一中間焼鈍工程:(焼鈍温度−100℃)から(焼
鈍温度−10℃)までの平均加熱速度は30℃/時。焼
鈍終了後の冷却は実体温度が約250℃となるまでは炉
中で冷却し以後は大気中で放冷した。 第二中間焼鈍工程:フローティング式連続焼鈍炉を用
い、常温から(焼鈍温度−100℃)までの平均加熱速
度は30〜50℃/秒。表1,表2の「温度」は焼鈍最
高到達温度を示し、「時間」は400℃から焼鈍最高到
達温度に達するまでの時間(秒)を示す。冷却速度は、
焼鈍最高到達温度から70℃までの平均で、約100℃
/秒とした。 第二冷間圧延(最終)工程:表1,表2の「最終冷延
率」によって、板厚0.31mmの深絞り成形用アルミ
ニウム基合金板を製造した。
【0033】上記の深絞り成形用アルミニウム基合金板
を用いて深絞り試験を行った。「耳率」は、深絞り加工
によって絞られたカップについて、下式 耳率=耳の高さ÷カップ高さ×100(%) により計算した。耐力は、前記の深絞り成形用アルミニ
ウム基合金板を焼付塗装の焼付け条件に相当する210
℃で10分間の加熱を行った後、JIS5号引張り試験
片に加工し、JIS B7771に従って0.2%耐力
を求めた。これらの結果を表1(実施例)および表2
(比較例)に示す。
【0034】
【表1】
【表2】
【0035】上記表1および表2の結果から、本発明の
条件を充たす実施例1〜実施例14の深絞り成形用アル
ミニウム基合金板(表1記載)は、いずれも優れた耐力
を維持したまま2.6〜3.7%の低い耳率を示した。
これに対し、表2において、均熱工程の保持温度が本
発明の条件から外れた比較例1,比較例15;熱間圧
延工程の圧延終了温度が本発明の条件から外れた比較例
2,比較例5,比較例6,比較例8;熱間圧延工程の
圧延終了温度が本発明の条件から外れ、かつ第一中間
焼鈍工程が省略された比較例3,比較例4,比較例7;
第一中間焼鈍工程が省略された比較例9;第一冷間
圧延工程の圧延率が本発明の条件から外れた比較例1
0,比較例13;第一中間焼鈍工程の保持温度が本発
明の条件から外れた比較例11,比較例12;および
第二冷間圧延工程の圧延率が本発明の条件から外れた比
較例14は、耳率が3.8〜5.2となって、いずれも
実施例より劣っていることがわかる。比較例10の場合
は、第一冷間圧延工程の圧延率が96%と高すぎたた
めにサイドクラックが多発した。
【0036】
【発明の効果】本発明の深絞り成形用アルミニウム基合
金板の製造方法は、均熱工程においてアルミニウム基
合金鋳塊を560〜610℃に加熱し、熱間圧延工程
において熱間圧延し、この板材が再結晶しないように熱
間圧延終了時の板材温度を280〜350℃に調節し、
第一冷間圧延工程において圧延率が85〜95%の範
囲内となるように冷間圧延し、第一中間焼鈍工程にお
いて260〜350℃、1〜8時間の範囲内で焼鈍し、
第二中間焼鈍工程において500〜600℃、2〜6
0秒の範囲内で焼鈍し、次いで第二冷間圧延工程にお
いて所望の肉厚となるように冷間圧延するものであるの
で、熱間圧延に設備費が安価なシングルミルのリバース
式熱間粗圧延機のみを用いて、深絞り成形時に耳率を大
幅に低減できるばかりでなく、製缶時にネックの縮径率
を大きくしてもネック耳が生じにくい深絞り成形用アル
ミニウム基合金板が得られ、DI缶などを製造する際の
製造コストを低減しかつ歩留まりを大幅に向上すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 623 C22F 1/00 623 630 630K 682 682 683 683 684 684A 685 685Z 686 686B 691 691B 691C 691A 694 694A 694B (72)発明者 斉藤 充 静岡県裾野市平松85 三菱アルミニウム株 式会社技術開発センター内 (72)発明者 原田 俊宏 静岡県裾野市平松85 三菱アルミニウム株 式会社技術開発センター内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基合金の鋳塊からアルミニ
    ウム基合金板を製造するに際して、順次、 均熱工程において、前記アルミニウム基合金鋳塊を、
    560〜610℃の範囲内の均質化温度に加熱して均質
    化し、 熱間圧延工程において、前記の均質化されたアルミニ
    ウム基合金鋳塊を熱間圧延して板材を形成し、この板材
    が再結晶しないように熱間圧延終了時の板材温度を28
    0〜350℃の範囲内に調節し、 第一冷間圧延工程において、前記熱間圧延終了後の板
    材を、圧延率が85〜95%の範囲内となるように冷間
    圧延し、 第一中間焼鈍工程において、前記冷間圧延後の板材
    を、焼鈍温度が260〜350℃の範囲内、かつ焼鈍時
    間が1〜8時間の範囲内で焼鈍し、 第二中間焼鈍工程において、前記焼鈍後の板材を、焼
    鈍温度が500〜600℃の範囲内、かつ焼鈍時間が2
    〜60秒の範囲内で焼鈍し、次いで 第二冷間圧延工程において、前記焼鈍後の板材を所望
    の肉厚となるように冷間圧延することを特徴とする深絞
    り成形用アルミニウム基合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム基合金が、 Si:0.1〜0.4重量%、 Fe:0.3〜0.6重量%、 Cu:0.05〜0.4重量%、 Mn:0.8〜1.5重量%および Mg:0.8〜1.5重量% を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
    するものであることを特徴とする請求項1に記載の深絞
    り成形用アルミニウム基合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウム基合金が、 Si:0.1〜0.4重量%、 Fe:0.3〜0.6重量%、 Cu:0.05〜0.4重量%、 Mn:0.8〜1.5重量%および Mg:0.8〜1.5重量% を含有し、さらに、 Cr:0.25重量%以下 Zn:0.05〜0.25重量%、 Ti:0.2重量%以下 のうち1種または2種以上を含有し、残りがAlと不可
    避不純物からなる組成を有するものであることを特徴と
    する請求項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記均熱工程において、均質化温度を
    580〜610℃の範囲内とすることを特徴とする請求
    項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記均熱工程において、均質化加熱速
    度を100℃/時以下とし、かつ均質化時間を1時間以
    上とすることを特徴とする請求項1に記載の深絞り成形
    用アルミニウム基合金板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱間圧延工程において、熱間圧延
    の全工程にシングルミルのリバース式熱間粗圧延機を用
    いることを特徴とする請求項1に記載の深絞り成形用ア
    ルミニウム基合金板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱間圧延工程において、熱間圧延
    開始温度を500℃以上とすることを特徴とする請求項
    1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記熱間圧延工程において、熱間圧延
    最終パスの圧延率を50%以上とすることを特徴とする
    請求項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金板の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第一冷間圧延工程において、圧延
    率を90〜95%の範囲内とすることを特徴とする請求
    項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記第一中間焼鈍工程において、焼
    鈍加熱速度を1℃/秒以下とすることを特徴とする請求
    項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記第二中間焼鈍工程において、焼
    鈍加熱速度を10〜200℃/秒の範囲内とすることを
    特徴とする請求項1に記載の深絞り成形用アルミニウム
    基合金板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第二中間焼鈍工程において、焼
    鈍温度を550〜600℃の範囲内とすることを特徴と
    する請求項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金
    板の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第二冷間圧延工程において、圧
    延率を35〜55%の範囲内とすることを特徴とする請
    求項1に記載の深絞り成形用アルミニウム基合金板の製
    造方法。
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